説明

ガス流量計測装置、ガス流量計測方法、ガス流量計測プログラムおよびこれらを用いたガス供給システム

【課題】換気装置の動作状態に応じてガスの供給を制御し、ガスの使用時における安全をより確実なものとする。
【解決手段】ガス器具用のガスの流量を計測するとともにガスの流量を制御するガス流量計測装置2は、ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測部23と、ガスの供給を遮断可能な流路遮断部22と、外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信する通信部20と、を備え、制御部200は、通信部20が動作状態信号を受信することができない場合、または受信した動作状態信号に基づく換気装置の動作が所定の状態である場合、流路遮断部22によりガスの供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置の動作状態に応じて、ガス器具へのガスの供給を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガスの漏洩防止または漏洩時の対策について、種々のものが提案されている。例えば特許文献1においては、ガス供給配管中に、ガス流出部の圧力を検出するとともにガス器具の燃焼状態を自動的に判別し、非燃焼時には常に閉じる自動遮断弁を配することが提案されている。本技術は、監視対象のガス器具のガス燃焼状態が、ガス流量等により決定されるガス器具燃焼時の正常燃焼パターンと異なる場合、自動遮断弁を閉じることで、安全を提供するものである。
【0003】
また、上記技術においては、自動で換気扇を開閉する制御も設けられ、燃焼時またはガス漏洩時には換気扇を開くように制御することにより、一層の安全対策が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−267774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、換気扇が故障しているような場合や、意図的に換気扇の電源が切られている場合などには、ガスの供給と連動して換気扇を制御し、安全を確保することはできない。すなわち、換気扇やレンジフードなどを含む換気装置の動作状態に対応して、ガスの供給を制御する技術は提供されていない。
【0006】
本発明は、換気装置の動作状態に応じてガス器具へのガスの供給を制御し、一層の安全を確保する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス流量計測装置は、ガス器具用のガスの流量を計測するとともにガスの流量を制御するガス流量計測装置であって、ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測部と、ガスの供給を遮断可能な流路遮断部と、外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信可能な通信部と、前記流量計測部と前記流路遮断部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記通信部が前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作状態が所定の状態である場合、前記流路遮断部によりガスの供給を遮断する。
【0008】
上記構成によれば、換気装置の動作状態または動作状態の検知の有無に応じてガスの供給を制御できるため、安全をより確実なものとすることができる。
【0009】
上記ガス流量計測装置において、複数の換気装置の情報を登録可能な換気装置登録部を設けることができる。
【0010】
上記構成によれば、ガス流量計測装置に換気装置の情報を予め登録することにより、換気装置に応じた種々の制御を行うことが可能となり、ガス流量計測装置の利便性を増すことができる。
【0011】
また、前記換気装置登録部は、所定の換気装置については前記動作状態信号の受信の有無に関わらずガスの供給を遮断しない無効処理を登録可能である。
【0012】
上記構成によれば、所定の換気装置について本発明の制御を解除することが可能となり、状況に応じて柔軟に本発明を適用することができる。
【0013】
上記ガス流量計測装置は、前記ガス器具の器具情報を登録可能な器具登録部をさらに備え、前記換気装置登録部は、登録された換気装置と前記器具登録部に登録されたガス器具の対応付けを登録可能である。
【0014】
上記構成によれば、換気装置に対応したガス器具がわかることとなり、当該ガス器具へのガスの供給を制御するなど、種々の制御を行うことが可能となる。
【0015】
さらに本発明によれば、上記ガス流量計測装置と、前記動作状態信号を生成し、前記ガス流量計測装置の前記通信部に送信する前記外部の装置としての検知装置と、を備えるガス供給システムが提供される。
【0016】
上記構成によれば、一層の安全が確保されたガス供給システムが提供される。
【0017】
また、前記検知装置は、前記換気装置の動作状態を検知する動作状態検知部と、前記ガス流量計測装置と通信する通信部と、前記動作状態検知部が検知した前記換気装置の動作状態に応じた動作状態信号を生成して前記通信部を介して前記ガス流量計測装置に前記動作状態信号を送信する検知制御部と、を備える。
【0018】
上記構成において、前記検知制御部は、前記動作状態検知部が前記換気装置の動作状態を検知することができない場合または前記換気装置が所定の状態であることを検知した場合、前記通信部を介して警報器に警報発動命令を送信することもできる。
【0019】
上記構成によれば、換気装置の動作状態または動作状態の検知の有無に応じて警報器を制御できるため、安全をより確実なものとすることができる。
【0020】
さらに本発明は、コンピュータが実行するガス流量計測方法であって、ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測ステップと、外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信するステップと、前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作が所定の状態である場合、ガスの供給を遮断するステップと、を備えるガス流量計測方法をも提供する。
【0021】
さらに本発明は、ガスの供給を制御するコンピュータに、以下のステップを実行させるガス流量計測プログラムであって、ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測ステップと、外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信するステップと、前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作が所定の状態である場合、ガスの供給を遮断するステップと、をコンピュータに実行させるガス流量計測プログラムをも提供する。
【0022】
さらに本発明は、上記ガス流量計測方法またはガス流量計測プログラムを用いたガス供給システムをも提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、換気装置の動作状態または動作状態の検知の有無に応じてガスの供給を制御できるため、ガスの使用時における安全をより確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態におけるガス供給システムの図
【図2】ガス流量計測装置、ガス供給制御装置のブロック図
【図3】ガス器具ごとに異なるガス流量の変化を示すグラフ
【図4】ガス器具と換気装置の対応を示すテーブル
【図5】他の実施形態のガス流量計測装置、ガス供給制御装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本発明のガス流量計測装置を含むガス供給システムの実施形態を示す図である。ガス供給システムは各家庭やオフィス等にガスを供給し、少なくともガス流量計測装置と、換気装置の動作状態に応じた動作状態信号をガス流量計測装置に送信することができる検知装置とを含む。
【0027】
図1に示すように、各家庭やオフィス等へガスを供給するガス供給管1の入口部分に、ガス器具用のガスの流量を計測するとともにガスの流量を制御するガス流量計測装置2が設置されている。ガス流量計測装置2を経由した後に設置されたガス配管3が分岐して、各家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管され、ガスが供給される。例えば、屋外には給湯器4が設置され、この給湯器4で生成される湯が水配管を介して浴槽やシャワー装置が設置された風呂6等に供給される。
【0028】
また、屋内にあっては、台所に設置されたガステーブル5、リビングに設置された第1のガスファンヒータ7、寝室に設置された第2のガスファンヒータ8にガスが供給され、必要に応じて適宜使用される。勿論ガス器具の種類はガステーブル5、第1のガスファンヒータ7、第2のガスファンヒータ8には限定されない。
【0029】
そして、ガステーブル5、第1のガスファンヒータ7、第2のガスファンヒータ8各々に対応して、発生したガスを屋外に排出し、室内の空気を換気する換気装置としてのレンジフード11、換気扇12、換気扇13が室内に設けられている。室内の空気を換気することができるのであれば、換気装置の種類は限定されない。
【0030】
さらに、レンジフード11、換気扇12、換気扇13各々に対応して、これらの動作状態を検知し、ガス流量計測装置2と無線により通信し、レンジフード11、換気扇12、換気扇13の動作状態に関する動作状態信号をガス流量計測装置2に送信する検知装置30A、30B、30Cが設けられている。検知装置30Aは、製造時からレンジフード11に内蔵されている。検知装置30Bは換気扇12に直接取り付けられているが、換気扇12のみを室内に取り付けた後、後から検知装置30Bがアダプタのように換気扇12に取り付けられたものである。検知装置30Cは製造時から換気扇13に内蔵されている。
【0031】
レンジフード11、換気扇12、換気扇13各々はコンセント40を介して電源に接続されている。後述するように、検知装置は、レンジフード11、換気扇12、換気扇13への電源の供給の有無により、レンジフード11、換気扇12、換気扇13の動作状態を検知する。
【0032】
また、ガス供給システムには警報器50が設けられている。警報器50はCOの濃度レベルが所定の値より大きくなった場合等に、警告音などで住人に警報を通知するものである。本実施形態において、警報器50は、後述するガス流量計測装置2の通信部20から所定の場合に警報発動命令を受信する。
【0033】
図2は、検知装置、ガス流量計測装置のブロック図である。ガス流量計測装置2は、流路21と、流路遮断部22と、流量計測部23と、器具判別部24と、計測流量情報記憶部25と、器具別流量算出部26と、器具登録部27と、換気装置登録部28と、操作部29と、通信部20とを備えたものである。器具判別部24と、計測流量情報記憶部25と、器具別流量算出部26と、器具登録部27と、換気装置登録部28とによって、ガス流量計測装置2の動作の制御を司る制御部200が構成される。制御部200は、流量計測部23、操作部29、通信部20から入力された情報を処理する。また、制御部200は流路遮断部22を制御してガスの供給を遮断することが可能である
【0034】
流量計測部(超音波流量計)23は、ガス供給管1を経て流路21に流れる流体としてのガスに対し、超音波を発射してその流量を計測するものであり、一般的なものを使用することができる。計測流量情報記憶部25は、流量計測部23で計測された計測流量値と、当該計測流量値を計測した計測時間が対応付けられて記述された対象データ(図3のような計測流量変化パターン)を記憶する。
【0035】
器具登録部27は、流路21の下流に接続されたガステーブル5、第1のガスファンヒータ7、第2のガスファンヒータ8のようなガス器具別の種々の器具情報を登録している。器具情報の例としては、ガス器具の起動時の流量を表す初期流量値や、運転状態が変化するときの変化流量を表す変化流量値などがある。例えば図3に示すように、ガス器具ごとに異なる流量の絶対値Aと絶対値Bや(図3(a))、ガス器具ごとに異なる運転開始時の流量変化Cと流量変化D(図3(b))といった器具情報によってもガス器具を特定し、登録することができる。
【0036】
器具判別部24は、計測流量情報記憶部25に記憶された計測流量変化パターン(計測時間と計測流量値を対応付けたもの)、器具登録部27に登録された器具情報から得られる流量変化パターンを比較して、流体であるガスを使用するガス器具を判別する。器具別流量算出部26は、器具判別部24により判別されたガス器具毎の流量を算出する。
【0037】
流路遮断部(流路遮断弁)22は、緊急時の場合などに流路21を閉じ、流れるガスの流れを遮断する。本実施例において通信部20が換気装置(レンジフード11、換気扇12、換気扇13)の動作状態に関する動作状態信号を受信できない場合、または受信した動作状態信号が換気装置が動作していないことを示す場合、制御部200は流路遮断部22にガスの供給を遮断するガス遮断命令を発する。ガス遮断命令を受けた流路遮断部22は、流路21を閉じてガスの流れを遮断する。
【0038】
通信部20は、換気装置11、13(レンジフード11、換気扇13)に内蔵または換気装置12(換気扇12)に取り付けられた検知装置30(図1の検知装置30A、30B、30Cを含む)から送られた換気装置の動作状態などに関する情報を含む動作状態信号を受信する。換気装置登録部28は、室内で使用される複数の換気装置の情報を登録、記憶する部分である。操作部29は、各種のスイッチ、ボタン、タッチパネル等により構成される。住人などのユーザーが操作部29を操作することにより、換気装置登録部28において、新しく使用を始める換気装置の情報を登録したり、既に登録されている換気装置の情報を消去したりすることが可能となる。
【0039】
また、所定の換気装置については、その動作状態にかかわらず、検知装置30によるガスの制御を作動させる本発明の動作を無効にする無効処理をユーザーが操作部29から入力し、換気装置登録部28に当該無効処理を登録することも可能である。
【0040】
換気装置11、12、13(図1のレンジフード11、換気扇12、換気扇13)には、検知装置30が設けられている。尚、図1においてレンジフード11、換気扇13には検知装置30A、30Cが内蔵されており、換気扇12の外側に検知装置30Bが取り付けられている。図2においては、便宜上、すべての検知装置30が換気装置11、12、13に内蔵された状態で図示されている。
【0041】
検知装置30は、動作状態検知部31と通信部33を備えている。動作状態検知部31は、換気装置の動作状態を検知するが、例えば換気装置の機械的な動作(ファンの回転など)を司る駆動部100に、換気装置のコンセント40から電源が供給されているか否かによって、換気装置の動作状態(作動しているまたは停止しているか)を検知することができる。
【0042】
通信部33は、ガス流量計測装置2の通信部20に換気装置の動作状態を示す動作状態信号を送信する。しかしながら、動作状態検知部31が換気装置の動作状態を検知することができない場合、例えば検知装置30が換気装置から外された場合などには、通信部33は動作状態信号を送信しないので、ガス流量計測装置2の通信部20は動作状態信号を受信することができない。もちろん、通信部33と通信部20の間の通信は有線通信にすることもできる。
【0043】
具体的な動作は次のようなものである。すなわち、(1)ガス流量計測装置2は、流量計測部23で予め定めた流量、若しくは、器具判別部24で、特定のガス器具が動作していることを検知すると、通信部20で、一定時間毎に外部の装置である検知装置30へ換気装置の動作状態を要求する出力要求を送信し、検知装置30から当該出力要求に対応した動作状態信号を受信する。ここで、受信した動作状態信号が換気装置が動作していないことを示す場合、制御部200はガス遮断命令を流量遮断部22へ出力し、流量遮断部22は流路21を閉じ、ガスを遮断する。また、(2)ガス流量計測装置2の通信部20は、一定時間毎に検知装置30へ換気装置の動作状態を要求する出力要求を送信するが、検知装置30から当該出力要求に対応した動作状態信号を受信できない場合がある。従って、所定回数、出力要求を送信しても検知装置30から動作状態信号を受信できない場合、通信不能と判断し、制御部200はガス遮断命令を流量遮断部22へ出力し、流量遮断部22は流路21を閉じ、ガスを遮断する。
【0044】
なお、通信不能と判断する所定回数は、例えば大流量の場合は少なく、小流量の場合は多くといったように、流量計測部23により計測した流量に応じて設定することにより、安全性の確保と、不用意な誤遮断を防止するようにしてもよい。
【0045】
また、ガス流量計測装置2の制御部200は、通信部20が動作状態信号を受信することができない場合、または受信した動作状態信号が換気装置が動作していないことを示す場合、通信部20を介して警報器50に無線通信にて警報発動命令を送信することもできる。さらに、ガスの供給を管理しているセンター(図示せず)へ通報することも可能である。
【0046】
また、ガス流量計測装置2の制御部200は、通信部20が動作状態信号を受信することができない場合、または受信した動作状態信号が換気装置が動作していないことを示す場合、通信部20を介して警報器50に、COの検知レベルを下げる(警報発動のCO濃度閾値を下げる)命令を、無線通信にて送信することもできる。
【0047】
また、換気装置とガス器具を一対一に対応させて記憶することも可能である。図4に示すテーブルにおいては、所定のガス器具と、当該ガス器具から発生するCOに対応して設けられた換気装置の対応付けが記録されている。このテーブルを保持する登録部を別途ガス流量計測装置2内、例えば換気装置登録部28内に設けることができる。例えばユーザーが、換気装置登録部28に登録された換気装置と器具登録部27に登録されたガス器具を対応付ける情報を操作部29から入力することにより、図4のテーブルを作成することができる。
【0048】
図4のテーブルを予め作成せず、学習により図4のテーブルを作成することもできる。例えば所定のガス器具を動かしたときに使用される換気装置を記憶し、同じガス器具と換気装置の組み合わせの動作が何回か続いたとき、図4のようなテーブルを作成し、ガス流量計測装置2に記憶するようにしてもよい。
【0049】
本発明によれば、ガス供給の可否において換気扇、レンジフードなどの換気装置の動作状態をも考慮することにより、COの漏洩に対する安全対策をより確実なものとすることが可能となる。また、ガス器具の使用時に換気装置が作動しないという状態をも検出し、ガスを遮断することができるため、安全対策をより確実なものとすることが可能となる。さらに、本発明の検知装置30は、換気扇12のように、既に設置された既存の換気装置に対して取り付け可能であるため、既存の換気装置にも適用することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は、ガス器具が使用されて場合に、換気装置による換気が必要な場合について説明したが、特定のガス器具、或いは特定の設置状態においては、ガス器具の使用時に換気装置による換気が禁止されるものがある。例えば、CF式ふろがま(図示せず)は、半密閉式ガス機器で浴室内に設置されるものであるが、自然通気力によって燃焼排ガスを屋外に排出するため、換気扇の動作により排ガスが屋内に引き込まれてしまう場合がある。このような場合、ガス流量計測装置2の制御部200は、通信部20が動作状態信号を受信することができない場合、または受信した動作状態信号が換気装置が動作していることを示す場合、通信部20を介して警報器50に無線通信にて警報発動命令を送信したり、ガス遮断命令を流路遮断部22へ出力し、ガスを遮断することもできる。
【0051】
すなわち、制御部200は、流量計測部23で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、通信部20が動作状態信号を受信することができない場合、流路遮断部22によりガスの供給を遮断する。また、制御部200は、通信部20が受信した動作状態信号に基づく換気装置の動作が所定の状態である場合、すなわち、換気装置の動作状態信号が、当該換気装置が対応するガス器具に適していない場合(実施形態のレンジフード11、換気扇12、換気扇13に対しては換気装置が動作していない場合、上述したCF式風呂がまに対しては換気装置が動作している場合)、流路遮断部22によりガスの供給を遮断する。
【0052】
なお、CF式ふろがま近傍に警報器が設置されていれば、前述したように換気装置登録部28に該当する換気扇の無効処理を登録することにより、換気扇の動作/非動作に係わらず機器を使用でき、かつ安全は確保できる。
【0053】
さらに、上述の換気装置登録部28に登録された換気装置と器具登録部27に登録されたガス器具を対応付けにおいて、ガスの遮断が必要となるガス器具と換気装置の動作状態の組み合わせの条件も登録するように構成すれば、使用時に換気が必要なガス機器と必要でないガス器具が混在しても安全性を損なうことはない。
【0054】
図5は本発明の他の実施形態を示す。本実施形態において、検知装置30は、動作状態検知部31、検知制御部32、通信部33を備えている。そして検知制御部32は、何らかの理由により動作状態検知部31が換気装置の動作状態を検知することができないこと、または動作状態検知部31が換気装置が動作していないことを検知した場合(上述したCF式風呂がまに対しては換気装置が動作していることを検知した場合)、その旨を示す換気装置に関する動作状態信号を生成し、通信部33を介してガス流量計測装置2に当該動作状態信号を無線通信にて送信する。通信部33は、通常はガス流量計測装置2の通信部20と所定の信号のやり取りをする。上述したように、動作状態検知部31が換気装置の動作状態を検知することができないこと、または換気装置が動作していないこと(上述したCF式風呂がまに対しては換気装置が動作していること)を検知した場合、検知制御部32の命令により、通信部33は、ガス流量計測装置2の通信部20に動作状態信号を無線通信にて送信する。もちろん、通信部33と通信部20の間の通信は有線通信にすることもできる。
【0055】
すなわち、図2の実施形態においては、検知装置30は、単に動作状態信号を送るか何も送らないかのいずれかであった。本実施形態においては、検知装置30は換気装置の動作状態を検知することができない旨を能動的にガス流量計測装置2に送ることとしている。
【0056】
本実施形態において検知制御部32は、何らかの理由により動作状態検知部31が換気装置の動作状態を検知することができないこと、または換気装置が所定の状態であること(実施形態のレンジフード11、換気扇12、換気扇13に対しては換気装置が動作していないこと、上述したCF式風呂がまに対しては換気装置が動作していること)を検知した場合、通信部33を介して警報器50に無線通信にて警報発動命令を送信することもできる。
【0057】
さらに本実施形態において検知制御部32は、動作状態検知部31が換気装置が動作していることを検知した場合であっても、警報器50によるCOの検出値が所定の値より高くなった場合、通信部33を介してガス流量計測装置2にガスの遮断命令を無線通信にて送信することもできる。
【0058】
また、上述したガス流量計測装置2によって実行されるガス流量計測方法を実施するため、ガス流量計測装置2の図示せぬコンピュータ(演算装置)には、ガス流量制御方法の各ステップを実行させるプログラムが記憶されている。
【0059】
なお、以上の説明は超音波流量計を用いた場合について説明したが、他の瞬間式の流量計測装置でも、同様の効果が得られることは明白である。
【0060】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明によれば、換気装置の動作状態または動作状態の検知の有無に応じてガスの供給を制御でき、より高い安全性を確保するガス流量計測装置、ガス流量計測方法、ガス流量計測プログラムおよびこれらを用いたガス供給システムが提供可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 ガス供給管
2 ガス流量計測装置
3 ガス配管
4 給湯器
5 ガステーブル
6 風呂
7 第1のガスファンヒータ
8 第2のガスファンヒータ
11 レンジフード(換気装置)
12 換気扇(換気装置)
13 換気扇(換気装置)
20 通信部
21 流路
22 流路遮断部
23 流量計測部
24 器具判別部
25 計測流量情報記憶部
26 器具別流量算出部
27 器具登録部
28 換気装置登録部
29 操作部
30 検知装置
31 動作状態検知部
32 検知制御部
33 通信部
40 コンセント
50 警報器
100 駆動部
200 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス器具用のガスの流量を計測するとともにガスの流量を制御するガス流量計測装置であって、
ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測部と、
ガスの供給を遮断可能な流路遮断部と、
外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信可能な通信部と、
前記流量計測部と前記流路遮断部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記通信部が前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作が所定の状態である場合、前記流路遮断部によりガスの供給を遮断する、ガス流量計測装置。
【請求項2】
請求項1記載のガス流量計測装置であって、
複数の換気装置の情報を登録可能な換気装置登録部をさらに備える、ガス流量計測装置。
【請求項3】
請求項2記載のガス流量計測装置であって、
前記換気装置登録部は、所定の換気装置については前記動作状態信号の受信の有無に関わらずガスの供給を遮断しない無効処理を登録可能である、ガス流量計測装置。
【請求項4】
請求項2記載のガス流量計測装置であって、
前記ガス器具の器具情報を登録可能な器具登録部をさらに備え、
前記換気装置登録部は、登録された換気装置と前記器具登録部に登録されたガス器具の対応付けを登録可能である、ガス流量計測装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のガス流量計測装置と、前記動作状態信号を生成し、前記ガス流量計測装置の前記通信部に送信する前記外部の装置としての検知装置と、を備えるガス供給システム。
【請求項6】
請求項5記載のガス供給システムであって、
前記検知装置は、
前記換気装置の動作状態を検知する動作状態検知部と、
前記ガス流量計測装置と通信する通信部と、
前記動作状態検知部が検知した前記換気装置の動作状態に応じた動作状態信号を生成して前記通信部を介して前記ガス流量計測装置に前記動作状態信号を送信する検知制御部と、
を備えるガス供給システム。
【請求項7】
請求項6記載のガス供給システムであって、
前記検知制御部は、
前記動作状態検知部が前記換気装置の動作状態を検知することができない場合または前記換気装置が所定の状態であることを検知した場合、前記通信部を介して警報器に警報発動命令を送信するガス供給システム。
【請求項8】
コンピュータが実行するガス流量計測方法であって、
ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測ステップと、
外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信するステップと、
前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作が所定の状態である場合、ガスの供給を遮断するステップと、
を備えるガス流量計測方法。
【請求項9】
ガスの供給を制御するコンピュータに、以下のステップを実行させるガス流量計測プログラムであって、
ガス器具用のガスの流量を計測する流量計測ステップと、
外部の装置から、室内の空気を換気する換気装置の動作状態を示す換気装置に関する動作状態信号を受信するステップと、
前記流量計測部で計測されるガスの流量が所定流量以上である時に、前記動作状態信号を受信することができない場合、または受信した前記動作状態信号に基づく前記換気装置の動作が所定の状態である場合、ガスの供給を遮断するステップと、
をコンピュータに実行させるガス流量計測プログラム。
【請求項10】
請求項8または9記載のガス流量計測方法またはガス流量計測プログラムを用いたガス供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−158147(P2011−158147A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19233(P2010−19233)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000168643)高圧ガス保安協会 (92)
【Fターム(参考)】