説明

ガス物理量検出装置,燃料電池システム,車両

【課題】結露水が原因の検出不良を起こすことなくガスの物理量を正確に検出する。
【解決手段】ガス物理量検出装置1は、センサ取付部4の底部に配置されたフィルタ6と、内部に検出素子室7を形成する管状のセンサ筐体8と、検出素子室7内の上部に配置された測温抵抗体を内部に含む素子カバー9とを備え、フィルタ6は非疎水性の繊維を三次元状に不均一に編み込むことにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの物理量を検出するガス物理量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油脂を含浸させた不織布又は金属メッシュからなるフィルタをセンサ素子室の入口に設けることにより、センサ素子室内に液水や異物が侵入することを防止する圧力センサ装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−30535号公報(段落[0054]〜[0056])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の圧力センサ装置によれば、装置が高加湿、且つ、高温の環境下にある際、フィルタを介してセンサ素子室内に水蒸気が浸入し、その後装置周囲の温度が低下した場合には、センサ素子室内に結露水が生じることになる。そしてセンサ素子室内に発生した結露水はセンサ素子本体に付着したり、表面張力によってフィルタ表面に液膜を形成したりするために、センサ素子本体にガスが効果的に供給されず、ガスの圧力を正確に検出することができなくなる。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、結露水が原因の検出不良を起こすことなくガスの物理量を正確に検出可能なガス物理量検出装置、燃料電池システム、及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ガス流路を流れるガスの物理量を検出する検出素子と、検出素子が配置され、ガス流路内のガスを検出素子に供給する検出素子室と、ガス流路と検出素子室との間に配置されたフィルタとを備え、フィルタは、非疎水性の繊維を三次元状、且つ、不均一に編み込むことにより形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、結露水が原因の検出不良を起こすことなくガスの物理量を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態となるガス物理量検出装置の構成について説明する。
【0008】
〔第1の実施形態〕
始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施形態となるガス物理量検出装置の構成について説明する。
【0009】
本発明の第1の実施形態となるガス物理量検出装置1は、図1に示すように、ガス配管2の開口部3の周部に形成されたセンサ取付部4に取り付けられる構成になっており、ガス配管2内を流れるガスの濃度を検出する。本実施形態では、ガス物理量検出装置1とセンサ取付部4の間からガスが漏れることを防止するために、ガス物理量検出装置1とセンサ取付部4間を気密に封止するOリング5が配置されている。
【0010】
ガス物理量検出装置1は、センサ取付部4の底部に配置されたフィルタ6と、内部に検出素子室7を形成する管状のセンサ筐体8と、検出素子室7内の上部に配置された測温抵抗体を内部に含む素子カバー9と、測温抵抗体からの検出信号の送受信及び測温抵抗体への電力供給を行うハーネス10とを主な構成要素として備え、測温抵抗体の温度変化から開口部3,フィルタ6,及び検出素子室7を介してガス配管2から測温抵抗体に到達したガスの濃度を検出する。本実施形態では、素子カバー9内に測温抵抗体を設けることによりガスの濃度を検出する構成としたが、素子カバー9内に設けるセンサの構成を変更することにより、温度,圧力等の物理量を検出するようにしてもよい。
【0011】
フィルタ6は非疎水性の繊維を三次元状に不均一に編み込むことにより形成されている。なお物理量を検出するガスに水素が含まれる場合、繊維材料としてはステンレス鋼であるSUS316(18%のCr,12%のNi,2%のMo,0.08%以下のCが添加されたステンレス鋼),SUS316L(18%のCr,12%のNi,2%のMo,0.03%以下のCが添加されたステンレス鋼)又はSUS304(18%のCrと8%のNiを含むステンレス鋼)を用いることが望ましい。この繊維材料を用いることにより、水素の影響でフィルタ6が劣化することを防止し、水素環境下でも交換することなく連続して使用することができる。
【0012】
このような構成のガス物理量検出装置1では、ガス配管2を流れるガス中に液水が含まれている場合、液水はフィルタ6によって遮られることにより検出素子室7内には浸入しないので、液水が素子カバー9に付着することにより検出不良が発生することを防止できる。また液水によってフィルタ6が詰まることによってガス配管2と検出素子室7間でガス交換ができなくなることがなく、ガスの物理量を正確に検出することができる。
【0013】
一方、ガス配管2を流れるガス中に水蒸気が含まれている場合には、水蒸気はフィルタ6を通過し、検出素子室7内に浸入する。従って、検出素子室7内で水蒸気が凝縮することによって検出素子室7内に結露水が生じることがある。しかしながら、フィルタ6は非疎水性の繊維を三次元状に不均一に編み込むことにより形成されているので、フィルタ6表面は平面を構成することなく細かな凹凸形状を有する。またフィルタ6の内部では連続した空孔が大きさを変えながら繋がり、複数のガスのパスが存在する状態になっている。従って、フィルタ6の表面における空気層の割合は従来技術と比較して大きくなる。
【0014】
一般に、水の表面張力は水の接触角によって決まり、複数の物体に跨った水の接触角は複数の物体それぞれに対する水の接触角に複数の物体の面積の割合を乗じた値によって決定される。従って、空気に対する水の接触角は0度であるので、空気層の割合が大きいフィルタ6に対する水の接触角は従来技術と比較して小さくなる。このため、表面張力によってフィルタ6表面に液膜が形成されることはなく、結露水は毛細管力によってフィルタ6の内部に浸透する。なおフィルタに親水処理を施すことによってもこのような効果が得られる可能性があるが、親水処理を活性化するためには温度を上げる等の処理が必要となり、コスト増加の要因になる。
【0015】
フィルタ6の内部では連続した空孔が大きさを変えながら繋がっているので、フィルタ6に吸収された結露水は表面張力が強く働く箇所に集まり、液水で満たされない箇所が存在するようになる。またフィルタ6の上下面では常時ガスが出入りしているので、フィルタ6内に複数あるガスのパスが全て詰まることがない。従って、検出素子室7内に結露水が生じたとしても、検出素子室7内にガスが供給されなくなることはなく、ガスの物理量を正確に検出することができる。
【0016】
フィルタ6の検出素子室7側表面に存在する空孔の大きさは、ガス配管2内を流れるガスの圧力に応じて、水素火炎の消炎径(大気圧では0.8mm程度)よりも小さくすることが望ましい。このような構成によれば、水素雰囲気状態で使用している際に万一火花が検出素子室7内で発生したとしても、ガス配管2側に火炎が燃え広がらず、検出素子室7内で火炎を抑えることができる。
【0017】
検出素子室7内で発生した結露水がセンサ筐体8の内壁表面8aで液膜を形成するように、内壁表面8aに親水処理を施す又は内壁表面8aの粗度を素子カバー9表面の粗度よりも大きくしてもよい。このような構成によれば、検出素子室7内で結露水が発生したとしても、内壁表面8aに液滴が付着することがない。また検出素子室7の荒れた内壁表面8aが結露水の発生核になることから素子カバー9表面に結露水が生成されることはない。従って素子カバー9に液水が付着して検出不良が発生することを防止できる。なお内壁表面8aに撥水処理を施した場合も同様に内壁表面8aに液滴が付着しないので、同様の技術的効果を得ることができる。
【0018】
〔変形例〕
次に、図2(a)〜(d)を参照して、フィルタ6の変形例の構成について説明する。
【0019】
図2(a)に示すフィルタでは、繊維密度がフィルタ6の軸方向で異なり、検出素子室7側のフィルタ6bの繊維密度がガス配管2側のフィルタ6aの繊維密度よりも小さくなっている。このような構成によれば、検出素子室7側のフィルタ6bの繊維密度が小さいので、検出素子室7内で生成された結露水は速やかにフィルタ6b側で吸収され、結露水を効果的に排出することができる。
【0020】
図2(b)に示すフィルタでは、繊維密度がフィルタ6の径方向で異なり、周縁部のフィルタ6bの繊維密度が中央部のフィルタ6aの繊維密度よりも小さくなっている。ガス配管2と検出素子室7間でガス交換が行われる際、センサ取付部4の内壁面においてはガスの流速が0になる。従ってこのような構成によれば、周縁部のフィルタ6bの繊維密度が中央部のフィルタ6aの繊維密度よりも小さいので、周縁部のフィルタ6bからの排水を促進させることができる。
【0021】
図2(c)に示すフィルタでは、フィルタ6aの検出素子室7側表面が凹部形状になっている。このような構成によれば、検出素子室7側表面が平面形状である場合と比較して検出素子室7に対するフィルタ6aの表面積を大きくすることができるので、検出素子室7内で生成された結露水をより効果的に排出することができる。
【0022】
図2(d)に示すフィルタでは、フィルタは層間に隙間を備える多層構造(図2(d)では3つのフィルタ6aの3層構造)を有する。このような構成によれば、フィルタ6の空孔容積をより大きくすることができるので、多量の結露水が生成された場合やガス配管2から多量の液水が流れてきた場合であっても、検出素子室7内に液水が浸入することを効果的に防止することができる。
【0023】
〔第2の実施形態〕
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態となるガス物理量検出装置の構成について説明する。
【0024】
本発明の第2の実施形態となるガス物理量検出装置1は、図3に示すように、上記第1の実施形態となるガス物理量検出装置1におけるフィルタ6,センサ筐体8,及び素子カバー9の構成を変更したものである。そこで以下では変更点についてのみ説明し、その他の点については第1の実施形態となるガス物理量検出装置1と同一符号を付してその説明を省略する。
【0025】
本実施形態では、センサ筐体8の内壁にセンサ取付部4の底部まで延伸する管状部材8bが設けられ、この管状部材8bにより検出素子室7が形成されている。そして管状部材8bの底部と内壁面にそれぞれフィルタ6a及びフィルタ6bが配置されている。本実施形態では、フィルタ6aは検出素子室7内に配置されているが、ガス配管2と検出素子室7との間にあれば図1に示すように検出素子室7外に配置されてもよい。
【0026】
フィルタ6aは、フィルタ6と同一の部材により形成され、ガス配管2側表面は開口部3を介してガス配管2内に突出している。フィルタ6aのガス配管2側表面をガス配管2内に突出させることにより、ガス配管2を流れるガスがフィルタ6aが吸収した水分を持ち去るようにすることができるので、検出素子室7内の液水をより効果的に排出することができる。
【0027】
フィルタ6bは、フィルタ6と同一の部材により形成され、管状部材8bの内壁面に設けられている。フィルタ6bを設けることにより、検出素子室7内で生成された結露水は検出素子室7の底部に加えて側壁部においても吸収されるようになるので、後述する検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bに液水が付着することを防止できる。またフィルタ6aが結露水の発生核になることから、素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面において結露水が生成されることも防止できる。
【0028】
検出素子室7内には、細孔21を有し、内部にガス検出用の測温抵抗体を含む検出素子カバー9aと、参照用の測温抵抗体と参照用ガスを密封した参照素子カバー9bとが配置され、参照用の測温抵抗体の温度変化に基づいて補正をしつつ、ガス中の水素濃度に応じたガス検出用の測温抵抗体の温度変化から水素濃度を検出する熱伝導式水素センサが構成されている。このような構成によれば、水素濃度が高く、酸素が存在しない状態で且つ、水蒸気が存在したとしても、水素濃度を正確に検出することができる。
【0029】
熱伝導式水素センサを用いる際、検出素子カバー9a内にガスの流れがあると、ガス検出用の測温抵抗体の温度がガスの熱伝導率だけでなく熱伝達率によっても変化するために、検出値にずれが生じてしまうことがある。このため、フィルタ6aの厚さを少なくとも10mm以上にしたり、ガス物理量検出装置1が取り付けられる位置におけるガス配管2の径を他の位置におけるガス配管2の径よりも大きくしたりすることにより、検出素子カバー9a内にガス流れが生じることを抑制することが望ましい。
【0030】
フィルタ6aが液水を吸収している状態において、ガス配管2内を流れるガス流量が急激に増加した場合、フィルタ6aから検出素子室7方向に液水が飛散することがある。このため、検出素子カバー9aとフィルタ6a間に数十mm程度の隙間を設けておくことが望ましい。このような構成によれば、飛散した液水が検出素子カバー9a表面に付着することを防止できる。
【0031】
検出素子カバー9a及び参照素子カバー9b双方の表面に撥水処理を施しておくことが望ましい。このような構成によれば、フィルタ6aが吸収している液水が検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面に飛び跳ねた場合や、検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面に結露水が生成された場合であっても、検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面に液滴が付着した状態にはならず、検出不良が発生することを防止できる。
【0032】
検出素子カバー9aと参照素子カバー9bとの間には隙間を空けておくことが望ましい。このような構成によれば、検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bのどちらかの表面に液滴が付着した場合であっても、検出素子カバー9aと参照素子カバー9bの間に跨って液膜が形成され、検出不良が発生することを防止できる。
【0033】
検出素子室7の内壁と検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bとの間に隙間を形成しておくことが望ましい。このような構成によれば、検出素子室7の内壁と検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面のどちらかに液滴が付着した場合であっても、検出素子室7の内壁と検出素子カバー9a及び参照素子カバー9bの表面との間に跨って液膜が形成され、検出不良が発生することを防止できる。
【0034】
〔燃料電池システム〕
本発明に係るガス物理量検出装置は、例えば図4乃至図6に示すような燃料電池システム、及びこの燃料電池システムにより発電された電力を駆動源として利用する車両に適用することができる。以下、図4乃至図6を参照して、本発明に係るガス物理量検出装置の適用例1〜3となる燃料電池システムの構成について説明する。なおこの燃料電池システムを車両に搭載する場合には、本発明に係るガス物理量検出装置1の上側が鉛直上方になるように設置することが望ましい。但しこの際、ガス配管2は、水平方向に向いている必要はなく、傾斜していてもよい。また車両が傾いた際、本発明に係るガス物理量検出装置1が±40°の傾きの範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0035】
〔適用例1〕
図4に示す燃料電池システムは、燃料極及び酸化剤極にそれぞれ水素及び空気の供給を受けて発電する燃料電池が複数積層された燃料電池スタック32を備える。燃料電池は、固体高分子型燃料電池により構成され、燃料極側及び酸化剤極側の触媒層とガス拡散電極により挟持された固体電解質膜とから成る膜電極接合体と、燃料極及び酸化剤極にそれぞれ水素及び空気を供給するためのガス流路を有し膜電極接合体を挟持するセパレータとを備える。燃料極及び酸化剤極における電気化学反応及び燃料電池全体としての電気化学反応は以下に示す式(1)〜(3)による。
【0036】
〔燃料極〕 H2 → 2H+ +2e- …(1)
〔酸化剤極〕 1/2 O2 +2H+ +2e- → H2O …(2)
〔全体〕 H2 +1/2 O2 → H2O …(3)
燃料電池システムは、水素タンク31及び水素調圧弁34を備え、水素調圧弁34によって水素タンク31内の高圧水素を燃料電池スタック32の運転条件に適した圧力まで圧力低下させた後、水素供給配管33を介して燃料電池スタック32の燃料極に水素を供給する。
【0037】
燃料極の出口側には、燃料極から排出されたガスを水素供給配管33に循環させる水素循環配管35及び循環ポンプ36が設けられている。また水素循環配管35には、燃料極から排出されたガスを系外に排出する水素排出配管37と、水素排出配管37を開閉する水素排出開閉弁38が設けられている。
【0038】
燃料電池システムはコンプレッサ39を備え、コンプレッサ39は空気供給配管40を介して燃料電池スタック32の酸化剤極に圧縮空気を供給する。酸化剤極の出口側には、酸化剤極から排出された空気を系外に排出する空気排出配管41と、空気排出配管41を開閉する空気排出開閉弁42が設けられている。
【0039】
この燃料電池システムでは、本発明に係るガス物理量検出装置1は、水素排出配管35に設けられ、燃料極から排出されたガス中に含まれる水素の濃度を検出する。そしてガス物理量検出装置1により検出された水素濃度に応じて水素調圧弁34や水素排出開閉弁38の開度を制御する。
【0040】
この適用例1では、本発明に係るガス物理量検出装置1は循環ポンプ36の上流側に設けられているが、循環ポンプ36の下流側や水素調圧弁34の下流側の水素供給配管33に設けるようにしても良い。但し、循環ポンプ36の下流側に設けた場合、循環ポンプ36の上流側に設けた場合と比較してガスの流速が速くなるために、検出誤差を大きくする要因になる。
【0041】
また水素供給配管33に設けた場合には、循環ポンプ36の上流側に設けた場合と比較して、常に高い水素濃度を検出することになり、またガス流量が大きくなるために、検出誤差を大きくする要因になる。このことから、本発明に係るガス物理量検出装置1は循環ポンプ36の上流側に設けることが望ましい。
【0042】
〔適用例2〕
図5に示す燃料電池システムは、水素循環配管35及び循環ポンプ36を備えず、燃料極から排出された水素は水素排出配管37及び水素排出開閉弁38を介してそのまま系外に排出される。この燃料電池システムでは、本発明に係るガス物理量検出装置1は、適用例1と同様に水素排出配管35に設けられ、燃料極から排出されたガス中に含まれる水素の濃度を検出する。そしてガス物理量検出装置1により検出された水素濃度に応じて水素調圧弁34や水素排出開閉弁38の開度を制御する。
【0043】
〔適用例3〕
図5に示す燃料電池システムは図4に示す燃料電池システムと同じ構成を有する。この燃料電池システムでは、本発明に係るガス物理量検出装置1(1a,1b,1c)は、水素排出配管35に加えて空気排出配管41とシステム外の位置にも設けられており、それぞれ燃料極,酸化剤極,及びシステムから排出されたガス中に含まれる水素の濃度を検出する。システム外の位置としては、燃料電池スタック32の付近や、車両用の燃料電池システムである場合にはキャビン内等を例示することができる。このような構成によれば、高加湿ガスが流れる空気排出配管41内への水素のリークや燃料電池システムからの水素のリークを検出することができる。
【0044】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態となるガス物理量検出装置の構成を示す部分断面図である。
【図2】図1に示すガス物理量検出装置におけるフィルタの変形例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態となるガス物理量検出装置の構成を示す部分断面図である。
【図4】本発明に係るガス物理量検出装置が適用される燃料電池システムの一例を示す図である。
【図5】本発明に係るガス物理量検出装置が適用される燃料電池システムの一例を示す図である。
【図6】本発明に係るガス物理量検出装置が適用される燃料電池システムの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1:ガス物理量検出装置
2:ガス配管
3:開口部
4:センサ取付部
5:Oリング
6:フィルタ
7:検出素子室
8:センサ筐体
9:素子カバー
10:ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路内を流れるガスの物理量を検出する検出素子と、
前記検出素子が配置され、ガス流路内のガスを前記検出素子に供給する検出素子室と、
前記ガス流路と前記検出素子室との間に配置されたフィルタとを備え、
前記フィルタは、非疎水性の繊維を三次元状、且つ、不均一に編み込むことにより形成されていること
を特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス物理量検出装置において、前記繊維はSUS316又はSUS304であることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタの前記検出素子室側表面における繊維間の隙間の大きさが水素火炎の消炎径より小さいことを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタは層間に隙間を備える多層構造を有することを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタの周縁部における繊維密度が中央部における繊維密度より低いことを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタの前記検出素子室側の繊維密度が前記ガス流路側の繊維密度より低いことを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタの前記ガス流路側表面が前記ガス流路内に突出していることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記フィルタの前記検出素子室側表面が凹部形状になっていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子室の内側側壁面に非疎水性の繊維を三次元状、且つ、不均一に編み込むことにより形成されたフィルタを備えることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子室の内側壁面に撥水処理が施されていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子室の内側壁面に親水処理が施されていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子を収容するカバー部材を有し、前記検出素子室の内側壁面の表面粗さが前記カバー部材の検出素子室側表面の表面粗さよりも大きいことを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子を収容するカバー部材を有し、前記カバー部材の検出素子室側表面に撥水処理が施されていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載のガス物理量検出装置において、前記検出素子室内に配置された参照用の検出素子と、前記参照用の検出素子を収容する第2カバー部材とを備え、前記カバー部材にはガス導入孔が形成され、前記検出素子により検出された物理量と前記参照用の検出素子により検出された物理量とによりガスの物理量を検出するガス物理量検出装置。
【請求項15】
請求項14に記載のガス物理量検出装置において、前記カバー部材と前記第2カバー部材との間に隙間が形成されていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のガス物理量検出装置において、前記カバー部材及び第2カバー部材と前記検出素子室の内側側壁との間に隙間が形成されていることを特徴とするガス物理量検出装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置が燃料電池の燃料極にガスを供給する配管及び/又は燃料極から排出されたガスが流れる配管に設けられていることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項18】
請求項1乃至請求項16のうち、いずれか1項に記載のガス物理量検出装置を用いてシステムからの水素漏れを検出することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の燃料電池システムにより発電された電力を駆動源として利用する車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−63352(P2009−63352A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230161(P2007−230161)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】