説明

ガター構造

【課題】車両の走行時における走行風の気流のガターによる乱れを抑制しつつガターに液体を良好に収納する。
【解決手段】ガター構造10では、車両の前進走行時に、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水が、レインガター38に収納されることで、フロントピラー20を越えて流れることが抑制される。ここで、レインガター38内の車両後側面がウインドシールド14の表面より車両後側に配置されている。このため、レインガター38のウインドシールド14表面からの突出量を大きくしなくても、レインガター38内の容量を大きくでき、車両の前進走行時における走行風の気流のレインガター38による乱れを抑制しつつ、レインガター38に雨水を良好に収納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体をガターに収納可能にされたガター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガター構造としては、フロントウインドパネル(ウインドシールド)の車幅方向外側のフロントウインドモールディングにガイド溝、ドレーン口及び排水ガイド(ガター)が設けられて、フロントウインドパネルの表面を車幅方向外側へ流れる水をガイド溝、ドレーン口及び排水ガイドに収納可能にされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このガター構造では、ガイド溝、ドレーン口及び排水ガイドがフロントウインドパネルの表面より車両前側に設けられている。このため、ガイド溝、ドレーン口及び排水ガイドに水を良好に収納可能にするために、ガイド溝、ドレーン口及び排水ガイドの容量を大きくすると、フロントウインドモールディングのフロントウインドパネル表面からの車両前側への突出量が大きくなる。これにより、自動車の走行時に、フロントウインドモールディング部分において発生する走行風の気流の乱れが大きくなり、自動車に作用する空気抵抗や自動車の風切音が増加する可能性がある。
【特許文献1】実開昭61−38279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、車両の走行時における走行風の気流のガターによる乱れを抑制しつつガターに液体を良好に収納できるガター構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のガター構造は、車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、前記ウインドシールドの車幅方向外側に前記ウインドシールドの表面より車両後側に凹んで設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、を備えている。
【0006】
請求項2に記載のガター構造は、請求項1に記載のガター構造において、前記ガターに設けられ、前記ガターに収納された液体を排出可能にされた排出部を備えた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載のガター構造は、車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、前記ウインドシールドの車幅方向外側に設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、前記ガターに連通されると共に、車両の下面又は側面に開口され、前記ガターに収納された液体を排出可能にされた排出手段と、を備えている。
【0008】
請求項4に記載のガター構造は、車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、前記ウインドシールドの車幅方向外側に設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、前記ガターに連通され、作動されることで前記ガターに収納された液体を吸引して排出可能にされた吸引手段と、を備えている。
【0009】
請求項5に記載のガター構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のガター構造において、前記ガターに設けられ、前記ガター内へ突出する突出部を備えた、ことを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載のガター構造は、請求項4又は請求項5に記載のガター構造において、作動されることで前記ウインドシールドの表面を払拭する払拭手段を備え、前記払拭手段が作動される際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載のガター構造は、請求項4〜請求項6の何れか1項に記載のガター構造において、車両の速度を検知する速度検知手段を備え、前記速度検知手段が車両の速度が所定値より大きいことを検知した際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載のガター構造は、請求項4〜請求項7の何れか1項に記載のガター構造において、車両への液体の到来を検知する検知手段を備え、前記検知手段が車両への液体の到来を検知した際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載のガター構造は、請求項4〜請求項8の何れか1項に記載のガター構造において、操作されることで前記吸引手段が作動される操作手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のガター構造では、車両に設けられたウインドシールドの表面が車両前側に向けられると共に、ウインドシールドの車幅方向外側にガターが設けられており、ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体をガターに収納可能にされている。
【0015】
ここで、ガターがウインドシールドの表面より車両後側に凹んで設けられている。このため、ガターのウインドシールド表面からの突出量を大きくしなくても、ガター内の容量を大きくすることができ、車両の走行時における走行風の気流のガターによる乱れを抑制しつつガターに液体を良好に収納することができる。
【0016】
請求項2に記載のガター構造では、ガターに設けられた排出部が、ガターに収納された液体を排出可能にされている。このため、ガターからの液体の流出を抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載のガター構造では、車両に設けられたウインドシールドの表面が車両前側に向けられると共に、ウインドシールドの車幅方向外側にガターが設けられており、ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体をガターに収納可能にされている。
【0018】
また、ガターに連通された排出手段が、ガターに収納された液体を排出可能にされている。
【0019】
ここで、排出手段が車両の下面又は側面に開口されている。このため、車両の走行時には、車両の下面又は側面はガター内に比し走行風による圧力が低くなることで、排出手段が負圧によってガターに収納された液体を吸引して排出することができる。これにより、ガター内の容量を大きくする必要をなくすことができ、車両の走行時における走行風の気流のガターによる乱れを抑制しつつガターに液体を良好に収納することができる。
【0020】
請求項4に記載のガター構造では、車両に設けられたウインドシールドの表面が車両前側に向けられると共に、ウインドシールドの車幅方向外側にガターが設けられており、ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体をガターに収納可能にされている。
【0021】
ここで、ガターに連通された吸引手段が、作動されることで、ガターに収納された液体を吸引して排出可能にされている。このため、ガター内の容量を大きくする必要をなくすことができ、車両の走行時における走行風の気流のガターによる乱れを抑制しつつガターに液体を良好に収納することができる。
【0022】
請求項5に記載のガター構造では、ガターに設けられた突出部が、ガター内へ突出している。このため、車両の走行時にガター内に走行風の気流を滞留させることができ、ガターに収納された液体がガター外へ流出することを抑制できる。
【0023】
請求項6に記載のガター構造では、払拭手段が、作動されることで、ウインドシールドの表面を払拭する。
【0024】
ここで、払拭手段が作動される際に、吸引手段が作動される。このため、ガターに収納された液体を排出する必要がある際に、吸引手段を作動させることができる。
【0025】
請求項7に記載のガター構造では、速度検知手段が車両の速度を検知する。
【0026】
ここで、速度検知手段が車両の速度が所定値より大きいことを検知した際に、吸引手段が作動される。このため、ガターに収納された液体を排出する必要がある際に、吸引手段を作動させることができる。
【0027】
請求項8に記載のガター構造では、検知手段が車両への液体の到来を検知する。
【0028】
ここで、検知手段が車両への液体の到来を検知した際に、吸引手段が作動される。このため、ガターに収納された液体を排出する必要がある際に、吸引手段を作動させることができる。
【0029】
請求項9に記載のガター構造では、操作手段が操作されることで、吸引手段が作動される。このため、ガターに収納された液体を排出する必要がある際に、吸引手段を作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るガター構造10が上方から見た断面図(図2の1−1線断面図)にて示されており、図2には、ガター構造10が適用されて構成された車両12の前側部が車両前斜め左方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両左方(車幅方向外方)を矢印LHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0031】
本実施の形態における車両12の前部には、内部において、エンジンルーム(図示省略)が設けられており、エンジンルームには、エンジンが収容されている。エンジンルームの上部の車両後側には、車両12の内部において、カウル(図示省略)が設けられている。
【0032】
カウルの車両後側かつ上側には、略矩形板状のウインドシールド14(フロントウインドシールドガラス)が設けられており、ウインドシールド14は、表面が車両前側に向けられると共に、車室16の上側部分の車両前側を被覆している。ウインドシールド14は、車両後側へ向かうに従い上側へ向かう方向へ傾斜されると共に、車幅方向外側へ向かうに従い車両後側へ向かう方向へ湾曲されている。
【0033】
車両12には、ウインドシールド14の下側(車両前側)において、払拭手段としての所定数(本実施の形態では2つ)のワイパ18が設けられており、ワイパ18は、作動されることで、下側端(車両前側端)を中心として往復回動されて、ウインドシールド14の表面(車両前側面)を払拭可能にされている。
【0034】
車両12には、ウインドシールド14の車幅方向両外側において、側部材としての筒状(閉断面状)のフロントピラー20が設けられており、フロントピラー20は、ウインドシールド14に沿って、車両後側へ向かうに従い上側へ向かう方向へ傾斜されている。フロントピラー20の車幅方向内側部分には、ウインドシールド14の車幅方向外側端が、シール部材22(接着剤)によって、接着(固定)されており、シール部材22は、フロントピラー20とウインドシールド14との間をシールしている。
【0035】
車両12の側面には、フロントピラー20の車両後側において、側面体としての車両側面略矩形状のサイドドア24(フロントサイドドア)が開閉可能に設けられており、サイドドア24は、車室16の車幅方向外側を被覆している。サイドドア24の上側部分には、側面部材としての略矩形板状のサイドガラス26が設けられており、サイドドア24の全周と車体側との間(サイドガラス26とフロントピラー20との間を含む)は、シールされている。サイドドア24の車両前側端には、上下方向中間部において、ドアミラー28が設けられており、ドアミラー28はサイドドア24から車幅方向外側へ突出されて、ドアミラー28によって車両12の乗員が車両12の後側を視認可能にされている。
【0036】
車両12前部の側面には、側面部としての板状のフェンダ30(フロントフェンダパネル)が設けられており、フェンダ30は、サイドドア24の下側部分の車両前側に配置されている。
【0037】
サイドドア24の下部及びフェンダ30の上下方向中間部には、長尺柱状のサイドモール32が設けられており、サイドモール32は、サイドドア24及びフェンダ30から車幅方向外側へ突出している。サイドモール32は、車両前後方向に沿って延伸されており、サイドドア24のサイドモール32とフェンダ30のサイドモール32とは、車両前後方向において、連続して配置されている。
【0038】
フロントピラー20には、ウインドシールド14の車幅方向外側において、断面矩形状の凹部34が形成されており、凹部34は、フロントピラー20の長手方向に沿って配置されている。凹部34内の車幅方向内側面は、ウインドシールド14及びシール部材22の車幅方向外側端面と略面一にされており、凹部34内の車両後側面(底面)は、ウインドシールド14及びシール部材22より車両後側にされている。凹部34内の車幅方向外側面は、ウインドシールド14及びシール部材22の車幅方向外側端面に対向されると共に、ウインドシールド14の車幅方向外側端より車両前側に延出されている。
【0039】
凹部34内の車幅方向外側面には、車両前側部分において、断面略L字形長尺板状のモール36の車両後側部分が固定されており、モール36の車両前側部分は、凹部34の車両前側からウインドシールド14の車幅方向外側端の車両前側へ延伸されている。
【0040】
ウインドシールド14の車幅方向外側端、シール部材22、凹部34及びモール36は、ガターとしてのレインガター38を構成しており、レインガター38内は、ウインドシールド14の車幅方向外側端とモール36の車両前側部分との間の開放部40を介して、車幅方向内側へ開放されている。
【0041】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0042】
以上の構成の車両12では、ウインドシールド14が車幅方向外側へ向かうに従い車両後側へ向かう方向へ湾曲されている。このため、車両12の前進走行時には、ウインドシールド14の表面に到来した走行風が車幅方向外側へ流れると共に、降雨時における車両12の前進走行時には、ウインドシールド14の表面に到来した雨水(液体)が車幅方向外側へ流れる。
【0043】
また、ウインドシールド14の車幅方向両外側には、レインガター38が設けられている。このため、降雨時における車両12の前進走行時には、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がレインガター38に開放部40を介して収納(保持)される。これにより、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がフロントピラー20を越えて車両12の側面(特にサイドドア24のサイドガラス26)へ流れる(回り込む)ことが抑制される。
【0044】
ここで、レインガター38内の車両後側面(フロントピラー20の凹部34内の底面)がウインドシールド14の表面より車両後側に配置されている。このため、レインガター38の車両前側端(モール36の車両前側部分)のウインドシールド14表面からの車両前側への突出量を大きくしなくても、レインガター38内の容量を大きくすることができ、車両12の前進走行時における走行風の気流のレインガター38による乱れを抑制しつつ、レインガター38に雨水を良好に収納することができる。これにより、車両12の前進走行時に、車両12に作用する空気抵抗や車両12の風切音が増加することを抑制できると共に、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れることを良好に抑制できる。
【0045】
[第2の実施の形態]
図3には、本発明の第2の実施の形態に係るガター構造50が上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)にて示されている。
【0046】
本実施の形態に係るガター構造50は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0047】
本実施の形態に係るガター構造50では、レインガター38内の車幅方向外側面に、車両前後方向中間部(モール36の車両後側部分)において、突出部としての断面三角形長尺柱状の突起52(フィン)が一体に設けられており、突起52は、レインガター38内に車両後側へ向けて突出している。
【0048】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0049】
さらに、レインガター38内へ突起52が突出している。このため、車両12の前進走行時にレインガター38内に走行風の気流54を滞留させることができ、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水をレインガター38に確実に収納することができると共に、レインガター38内の車両後側部分(深部)において雨水を流下させることができる。これにより、レインガター38に収納された雨水がレインガター38外へ開放部40を介して流出することを抑制でき、レインガター38内の容量を大きくしなくても、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れることを良好に抑制できる。
【0050】
[第3の実施の形態]
図4には、本発明の第4の実施の形態に係るガター構造60が上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)にて示されている。
【0051】
本実施の形態に係るガター構造60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0052】
本実施の形態に係るガター構造60では、レインガター38内の車幅方向内側面に、車両前側端(ウインドシールド14の車幅方向外側端面)において、突出部としての断面三角形長尺柱状の突起62(フィン)が一体に設けられており、突起62は、レインガター38内に車両後側へ向けて突出している。
【0053】
ここで、本実施の形態でも、上記第2の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、ウインドシールド14の車幅方向外側端面に突起62を一体に設けた構成としたが、図5に示す別例に係るガター構造70の如く、凹部34内の車幅方向内側面(特に車両前側端)に突起62を一体に設けた構成や、シール部材22の車幅方向内側面に突起62を一体に設けた構成としてもよい。
【0055】
[第4の実施の形態]
図6(A)には、本発明の第4の実施の形態に係るガター構造80が上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)にて示されており、図6(B)には、ガター構造80の主要部が斜視図にて示されている。
【0056】
本実施の形態に係るガター構造80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0057】
本実施の形態に係るガター構造80では、レインガター38の車両後側壁(フロントピラー20の凹部34の底壁)に、排出部としての円筒状のドレーン開口82が設けられており、ドレーン開口82は、レインガター38内とフロントピラー20内とを連通している。ドレーン開口82は、レインガター38内において雨水が車両12の走行風による圧力(風圧)や重力の作用によって留まり易い位置に配置されている。
【0058】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0059】
さらに、レインガター38のドレーン開口82が、レインガター38内とフロントピラー20内とを連通すると共に、レインガター38内において雨水が車両12の走行風による圧力や重力の作用によって留まり易い位置に配置されている。このため、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れてレインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82を介して、フロントピラー20内に排出することができる。これにより、レインガター38内の容量を大きくしなくても、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れることを良好に抑制できる。
【0060】
なお、本実施の形態では、上記第1の実施の形態においてレインガター38にドレーン開口82を設けた構成としたが、上記第2の実施の形態又は第3の実施の形態においてレインガター38にドレーン開口82を設けた構成としてもよい。
【0061】
[第5の実施の形態]
図7には、本発明の第5の実施の形態に係るガター構造90が適用されて構成された車両12が左方から見た側面図にて示されている。
【0062】
本実施の形態に係るガター構造90は、上記第4の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0063】
本実施の形態に係るガター構造90では、レインガター38のドレーン開口82に、排出手段としての円管状のドレーンパイプ92の一端が接続されており、ドレーンパイプ92は、フロントピラー20内等を介して、下側へ延伸されている。ドレーンパイプ92の他端(出口)は、板状のエンジンアンダーカバー94から下側に開口されており、エンジンアンダーカバー94は、エンジンルームの下側を被覆すると共に、車両12の下面を構成している。
【0064】
ここで、本実施の形態でも、上記第4の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0065】
特に、レインガター38のドレーン開口82にドレーンパイプ92の一端が接続されると共に、ドレーンパイプ92の他端がエンジンアンダーカバー94(車両12の下面)から下側に開口されている。このため、車両12の前進走行時には、エンジンアンダーカバー94の下側はレインガター38内に比し車両12の走行風による圧力が低くなることで、ドレーンパイプ92が、レインガター38に収納された雨水を、負圧によって、ドレーン開口82を介して一端から吸引して、他端からエンジンアンダーカバー94の下側に排出することができる。これにより、レインガター38内の容量を大きくしなくても、ウインドシールド14の表面を車幅方向外側へ流れる雨水がフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れることを一層良好に抑制できる。
【0066】
さらに、ドレーンパイプ92の他端が開口されるエンジンアンダーカバー94は、車両12の外観上視認し難いため、ドレーンパイプ92によって車両12の見栄えが損なわれることを防止できる。
【0067】
なお、本実施の形態では、ドレーンパイプ92の他端をエンジンアンダーカバー94から開口させた構成としたが、ドレーンパイプ92の他端を車両12の下面から開口させた構成であればよい。
【0068】
[第6の実施の形態]
図8には、本発明の第6の実施の形態に係るガター構造100が適用されて構成された車両12が左方から見た側面図にて示されている。
【0069】
本実施の形態に係るガター構造100は、上記第5の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0070】
本実施の形態に係るガター構造100では、ドレーンパイプ92が、フロントピラー20内からサイドドア24内に車両後側へ向けて延伸されており、ドレーンパイプ92の他端(出口)は、サイドドア24のドアミラー28下側部分(車両12の側面)から車両12の車幅方向外側に開口されている。
【0071】
ここで、車両12の前進走行時には、サイドドア24のドアミラー28下側部分はレインガター38内に比し車両12の走行風による圧力が低くなることで、ドレーンパイプ92が、レインガター38に収納された雨水を、負圧によって、ドレーン開口82を介して一端から吸引して、他端からサイドドア24のドアミラー28下側部分に排出することができる。
【0072】
このため、本実施の形態でも、上記第5の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0073】
特に、ドレーンパイプ92の他端が開口されるサイドドア24のドアミラー28下側部分は、車両12の外観上目立たない部分であるため、ドレーンパイプ92によって車両12の見栄えが損なわれることを抑制できる。
【0074】
なお、本実施の形態では、ドレーンパイプ92の他端をサイドドア24のドアミラー28下側部分から開口させた構成としたが、ドレーンパイプ92の他端を車両12の側面(特に車両12の外観上目立たない部分であるサイドドア24又はフェンダ30のサイドモール32等)から開口させた構成であればよい。
【0075】
[第7の実施の形態]
図9には、本発明の第7の実施の形態に係るガター構造110が適用されて構成された車両12の前側部が前斜め左方から見た斜視図にて示されている。
【0076】
本実施の形態に係るガター構造110は、上記第5の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0077】
本実施の形態に係るガター構造110では、カウル内に、吸引手段としてのポンプ112(排水ポンプ)が設けられており、ドレーンパイプ92は、フロントピラー20内からカウル内に車両前側へ向けて延伸されている。ポンプ112は、制御装置(図示省略)に接続されると共に、ドレーンパイプ92の他端が接続されており、ポンプ112が制御装置によって制御されて作動されることで、ポンプ112が、レインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82からドレーンパイプ92を介して吸引して、排出可能にされている。
【0078】
このため、本実施の形態でも、上記第5の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0079】
特に、ドレーンパイプ92及びポンプ112が車両12の内部に配置されるため、ドレーンパイプ92及びポンプ112によって車両12の見栄えが損なわれることを防止できる。
【0080】
なお、本実施の形態では、ポンプ112をカウル内に設けた構成としたが、ポンプ112を車両12の内部(例えばエンジンルーム等)に設けた構成であればよい。
【0081】
[第8の実施の形態]
図10には、本発明の第8の実施の形態に係るガター構造110の制御フローチャートが示されている。
【0082】
本実施の形態に係るガター構造110は、上記第7の実施の形態において、ワイパ18が制御装置に接続されている。
【0083】
本実施の形態に係るガター構造110では、図10に示す如く、ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされているか否かが判断される。
【0084】
ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされていないと判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動(動作)されない。
【0085】
一方、ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされていると判断された際には、ステップ204において、ワイパ18が作動されている(ONにされている)か否かが判断される。
【0086】
ステップ204において、ワイパ18が作動されていないと判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動されない。
【0087】
一方、ステップ204において、ワイパ18が作動されていると判断された際には、ステップ206において、ポンプ112が作動される。これにより、ポンプ112が、レインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82からドレーンパイプ92を介して吸引して、排出する。
【0088】
また、ステップ202の処理の後及びステップ206の処理の後は、再度、ステップ200からの処理を繰り返す。
【0089】
ここで、本実施の形態でも、上記第7の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0090】
特に、降雨時に作動されるワイパ18が作動されている際のみに、ポンプ112が作動される。このため、レインガター38に雨水が収納される可能性がある際(レインガター38に収納された雨水を排出する必要がある際)のみに、ポンプ112を作動させることができ、ポンプ112の消費電力を小さくできると共に、ポンプ112の損耗を減少させることができる。
【0091】
[第9の実施の形態]
図11には、本発明の第9の実施の形態に係るガター構造110の制御フローチャートが示されている。
【0092】
本実施の形態に係るガター構造110は、上記第8の実施の形態において、速度検知手段としての車両12の速度検知装置(図示省略)が制御装置に接続されており、速度検知装置は、車両12の速度を検知可能にされている。
【0093】
本実施の形態に係るガター構造110では、図11に示す如く、上記第8の実施の形態のステップ204において、ワイパ18が作動されていると判断された際には、ステップ208において、速度検知装置が検知する車両12の速度が所定値より大きいか否か(本実施の形態では所定値が0であり車両12が前進走行されているか否か)が判断される。
【0094】
ステップ208において、速度検知装置が検知する車両12の速度が所定値以下と判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動されない。
【0095】
一方、ステップ208において、速度検知装置が検知する車両12の速度が所定値より大きいと判断された際には、ステップ206において、ポンプ112が作動される。これにより、ポンプ112が、レインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82からドレーンパイプ92を介して吸引して、排出する。
【0096】
ここで、本実施の形態でも、上記第8の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0097】
特に、降雨時に作動されるワイパ18が作動されている際において、ウインドシールド14の表面を雨水が車幅方向外側へ流れフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れる可能性がある車両12の速度が所定値より大きい際のみに、ポンプ112が作動される。このため、レインガター38に収納された雨水を排出する必要がある際のみに、ポンプ112を作動させることができ、ポンプ112の消費電力を一層小さくできると共に、ポンプ112の損耗を一層減少させることができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、ワイパ18が作動されている際において車両12の速度が所定値より大きい際にポンプ112を作動させる構成としたが、車両12の速度が所定値より大きい際にポンプ112を作動させる構成であればよい。
【0099】
[第10の実施の形態]
図12には、本発明の第10の実施の形態に係るガター構造110の制御フローチャートが示されている。
【0100】
本実施の形態に係るガター構造110は、上記第9の実施の形態において、液体検知手段としての車両12の雨量検知装置(図示省略)が制御装置に接続されており、雨量検知装置は、車両12(特にウインドシールド14の表面)に到来する雨量を検知可能にされている。
【0101】
本実施の形態に係るガター構造110では、図12に示す如く、上記第9の実施の形態のステップ208において、車両12の速度が所定値より大きいと判断された際には、ステップ210において、雨量検知装置が検知する車両12に到来する雨量が閾値より大きいか否かが判断される。
【0102】
ステップ210において、雨量検知装置が検知する車両12に到来する雨量が閾値以下と判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動されない。
【0103】
一方、ステップ210において、雨量検知装置が検知する車両12に到来する雨量が閾値より大きいと判断された際には、ステップ206において、ポンプ112が作動される。これにより、ポンプ112が、レインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82からドレーンパイプ92を介して吸引して、排出する。
【0104】
ここで、本実施の形態でも、上記第9の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0105】
特に、降雨時に作動されるワイパ18が作動されている際において、ウインドシールド14の表面を雨水が車幅方向外側へ流れフロントピラー20を越えて車両12の側面へ流れる可能性がある車両12の速度が所定値より大きくかつ車両12に到来する雨量が閾値より大きい際のみに、ポンプ112が作動される。このため、レインガター38に収納された雨水を排出する必要がある際のみに、ポンプ112を作動させることができ、ポンプ112の消費電力を一層小さくできると共に、ポンプ112の損耗を一層減少させることができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、ワイパ18が作動されている際において車両12の速度が所定値より大きくかつ車両12に到来する雨量が閾値より大きい際にポンプ112を作動させる構成としたが、車両12に到来する雨量が閾値より大きい際にポンプ112を作動させる構成(例えば車両12の速度が所定値より大きくかつ車両12に到来する雨量が閾値より大きい際に常にポンプ112を作動させる構成)であればよい。
【0107】
[第11の実施の形態]
図13には、本発明の第11の実施の形態に係るガター構造110の制御フローチャートが示されている。
【0108】
本実施の形態に係るガター構造110は、上記第7の実施の形態において、車両12の操作手段としてのスイッチ(手動スイッチ、図示省略)が制御装置に接続されており、スイッチは、車両12の乗員によって、ON/OFF操作可能にされている。
【0109】
本実施の形態に係るガター構造110では、図13に示す如く、ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされているか否かが判断される。
【0110】
ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされていないと判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動されない。
【0111】
一方、ステップ200において、車両12のエンジンのイグニッションがONにされていると判断された際には、ステップ212において、スイッチがONにされているか否かが判断される。
【0112】
ステップ212において、スイッチがONにされていない(OFFにされている)と判断された際には、ステップ202において、ポンプ112が作動されない。
【0113】
一方、ステップ212において、スイッチがONにされていると判断された際には、ステップ206において、ポンプ112が作動される。これにより、ポンプ112が、レインガター38に収納された雨水を、ドレーン開口82からドレーンパイプ92を介して吸引して、排出する。
【0114】
また、ステップ202の処理の後及びステップ206の処理の後は、再度、ステップ200からの処理を繰り返す。
【0115】
ここで、本実施の形態でも、上記第7の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0116】
特に、乗員の操作によってスイッチがONにされている際のみに、ポンプ112が作動される。このため、レインガター38に収納された雨水を排出する必要がある際のみに、ポンプ112を作動させることができ、ポンプ112の消費電力を小さくできると共に、ポンプ112の損耗を減少させることができる。
【0117】
なお、本実施の形態において、ステップ212の処理とステップ206の処理との間に、上記第10の実施の形態におけるステップ204の処理、ステップ208の処理及びステップ210の処理の少なくとも1つを行う構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガター構造を示す上方から見た断面図(図2の1−1線断面図)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における車両の前側部を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るガター構造を示す上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るガター構造を示す上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の別例に係るガター構造を示す上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)である。
【図6】(A)は、本発明の第4の実施の形態に係るガター構造を示す上方から見た断面図(図2の1−1線位置断面図)であり、(B)は、本発明の第4の実施の形態に係るガター構造の主要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における車両を示す左方から見た側面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態における車両を示す左方から見た側面図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態における車両の前側部を示す車両前斜め左方から見た斜視図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態に係るガター構造の制御フローチャートである。
【図11】本発明の第9の実施の形態に係るガター構造の制御フローチャートである。
【図12】本発明の第10の実施の形態に係るガター構造の制御フローチャートである。
【図13】本発明の第11の実施の形態に係るガター構造の制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
10 ガター構造
12 車両
14 ウインドシールド
18 ワイパ(払拭手段)
38 レインガター(ガター)
50 ガター構造
52 突起(突出部)
60 ガター構造
62 突起(突出部)
70 ガター構造
80 ガター構造
82 ドレーン開口(排出部)
90 ガター構造
92 ドレーンパイプ(排出手段)
100 ガター構造
110 ガター構造
112 ポンプ(吸引手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、
前記ウインドシールドの車幅方向外側に前記ウインドシールドの表面より車両後側に凹んで設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、
を備えたガター構造。
【請求項2】
前記ガターに設けられ、前記ガターに収納された液体を排出可能にされた排出部を備えた、ことを特徴とする請求項1記載のガター構造。
【請求項3】
車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、
前記ウインドシールドの車幅方向外側に設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、
前記ガターに連通されると共に、車両の下面又は側面に開口され、前記ガターに収納された液体を排出可能にされた排出手段と、
を備えたガター構造。
【請求項4】
車両に設けられ、表面を車両前側に向けられたウインドシールドと、
前記ウインドシールドの車幅方向外側に設けられ、前記ウインドシールドの表面を車幅方向外側へ流れる液体を収納可能にされたガターと、
前記ガターに連通され、作動されることで前記ガターに収納された液体を吸引して排出可能にされた吸引手段と、
を備えたガター構造。
【請求項5】
前記ガターに設けられ、前記ガター内へ突出する突出部を備えた、ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載のガター構造。
【請求項6】
作動されることで前記ウインドシールドの表面を払拭する払拭手段を備え、前記払拭手段が作動される際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のガター構造。
【請求項7】
車両の速度を検知する速度検知手段を備え、前記速度検知手段が車両の速度が所定値より大きいことを検知した際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴とする請求項4〜請求項6の何れか1項記載のガター構造。
【請求項8】
車両への液体の到来を検知する液体検知手段を備え、前記液体検知手段が車両への液体の到来を検知した際に前記吸引手段が作動される、ことを特徴とする請求項4〜請求項7の何れか1項記載のガター構造。
【請求項9】
操作されることで前記吸引手段が作動される操作手段を備えた、ことを特徴とする請求項4〜請求項8の何れか1項記載のガター構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−248773(P2009−248773A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99637(P2008−99637)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】