説明

ガラスフレークに基づく干渉顔料

本発明は、<1μm、特に20nm〜400nmの平均厚さを有する板状ガラス基材、及び(a)高い屈折率を有する誘電体、特に金属酸化物、又は(a)金属層、特に薄い半透明な金属層を含む顔料、その製造方法ならびに塗料、インクジェット印刷における、織物を浸染するための、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラスのための釉薬を着色するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い屈折率を有する金属酸化物又は(薄い半透明の)金属層を含む、ガラスのコアを有する(干渉)顔料、(干渉)顔料を製造する方法ならびに塗料、インクジェット印刷における、織物を浸染するための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラスのための釉薬を着色するためのその使用に関する。
【0002】
透明な担体材料、たとえばSiO2又はガラスからなるコアを有する干渉顔料が公知である。たとえば、Gerhard Pfaff and Peter Reynders, Chem. Rev. 99 (1999) 1963-1981を参照すること。
【0003】
WO98/53011は、高い屈折率の金属酸化物層と低い屈折率の金属酸化物層とで交互にコートされた(それらの屈折率の差は0.1である)透明な担体材料からなるマルチコートされた干渉顔料を開示している。金属酸化物層は、湿式法で、対応する水溶性金属化合物の加水分解により、そのようにして得られた顔料を分離し、乾燥し、場合によってはか焼することによって得られる。
【0004】
SiO2フレークは、たとえば、WO93/08237に記載されている、ナトリウム水ガラス溶液を薄膜としてエンドレスバンドに被着させ、固化させ、乾燥させる方法によって製造される。WO93/08237はまた、高い屈折率を有する金属酸化物又は薄い半透明金属層によるSiO2フレークのコーティングを記載している。
【0005】
WO01/57287は、物理蒸着による基材、たとえば酸化ケイ素の製造及び得られたフレークの、たとえばTiO2による湿式化学コーティングを含む方法を記載している。
【0006】
EP−A−803549は、(a)本質的に透明な材料又は金属反射材料からなるコア、及び(b)本質的に一つ以上のシリコーン酸化物(ケイ素に対する酸素のモル比は0.25〜0.95である)からなる少なくとも一つのコーティングを含む有色顔料を開示している。
【0007】
US−B−3,331,699は、はじめに、酸性溶液に不溶性である成核物質をガラスフレークに付着させ、そこから半透明な金属酸化物層を析出させるならば、高い屈折率を有する金属酸化物、たとえば二酸化チタンの粒子の半透明な層でガラスフレークをコートすることができることを開示している。
【0008】
WO97/46624は、酸化鉄又はルチル型二酸化チタンを含む第一のコーティングをその上に有するCガラスのフレークを含む真珠光沢顔料に関する。
【0009】
WO02/090448は、厚さ<1.0μmのガラスフレークに基づく効果顔料に関する。ガラスフレークは、高い及び/又は低い屈折率の一つ以上の層でコートされており、>800℃の軟化点を特徴とする。
【0010】
本発明の目的は、高い色濃度及び/又は色純度を有する干渉顔料を提供することである。
【0011】
前記目的は、<1μm、特に20nm〜400nmの平均厚さを有する板状ガラス基材、及び
(a)高い屈折率を有する誘電体、特に金属酸化物、又は
(a)金属層、特に薄い半透明な金属層
を含む顔料によって解決された。
【0012】
顔料粒子は一般に、2μm〜5mmの長さ、2μm〜2mmの幅及び<4μmの平均厚さならびに少なくとも5:1の長さ対厚さの比を有し、実質的に平行な二つの面を有し、それら二面の間の距離がコアの最短軸であるガラスのコアを含む。ガラスコアは、高い屈折率を有する誘電体、特に金属酸化物又は金属層、特に薄い半透明な金属層でコートされている。前記層がさらなる層でコートされていることもできる。
【0013】
本発明にしたがって、「アルミニウム」は、アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえば、G. WassermannのUllmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7, S. 281 to 292に記載されている。特に適当なものは、WO00/12634の10〜12頁に記載されている、アルミニウムの他にケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む腐食安定性アルミニウム合金である。
【0014】
(半透明な)金属層に適した金属は、たとえば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au又はNiである。半透明な金属層は、通常は5〜25nm、特に5〜15nmの厚さを有する。
【0015】
金属層は、湿式化学コーティング又は化学蒸着、たとえば金属カルボニル類の気相蒸着によって得ることができる。基材を、金属化合物の存在で水性及び/又は有機溶媒含有媒体中に懸濁させ、還元剤の添加によって基材に付着させる。金属化合物は、たとえば硝酸銀又はニッケルアセチルアセトネートである(WO03/37993)。
【0016】
US−B−3,536,520によると、塩化ニッケルを金属化合物として使用し、次亜リン酸塩を還元剤として使用することができる。EP−A−353544によると、湿式化学コーティングのための還元剤として以下の化合物を使用することができる。アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド)、ケトン類(アセトン)、カルボン酸及びその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン類(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)及び還元糖(グルコース)。しかし、還元性アルコール(アリルアルコール)、ポリオール類及びポリフェノール類、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ジチオン酸塩、次亜リン酸塩、ヒドラジン、ホウ素窒素化合物、金属水素化物ならびにアルミニウム及びホウ素の錯体水素化物を使用することも可能である。さらに、金属層の付着は、CVD法を用いて実施することができる。このタイプの方法は公知である。好ましくは、この目的には流動床反応器が用いられる。EP−A−0741170は、不活性ガスの流れの中で炭化水素を使用するアルキルアルミニウム化合物の還元によるアルミニウム層の付着を記載している。金属層はさらに、EP−A−045851に記載されているように、加熱可能な流動床反応器中での対応する金属カルボニル類の気相分解によって付着させることもできる。この方法に関するさらなる詳細はWO93/12182に与えられている。金属層を基材に被着させるこの場合に使用することができる薄い金属層の付着のためのさらなる方法は、高真空中の金属の蒸着のための公知の方法である。これは、Vakuum-Beschichtung(真空コーティング)Volumes 1-5; Editors Frey, Kienel and Lobl, VDI-Verlag, 1995で詳細に記載されている。スパッタリング法では、ガス放出(プラズマ)を、支持体と、プレートの形態にあるコーティング材料(ターゲット)との間で発火させる。プラズマからの高エネルギーイオン、たとえばアルゴンイオンをコーティング材料に衝突させ、それによってコーティング材料を除去し、噴霧化する。噴霧化したコーティング材料の原子又は分子は支持体上に析出し、所望の薄層を形成する。スパッタリング法は、Vakuum-Beschichtung(真空コーティング)Volumes 1-5; Editors Frey, Kienel and Lobl, VDI-Verlag, 1995に記載されている。屋外用途、特に自動車塗料の用途では、顔料は、バインダ系への最適な適合を同時に生じさせるさらなる耐候安定化保護層、いわゆるポストコーティングを設けることができる。このタイプのポストコーティングは、たとえば、EP−A−0268918及びEP−A−632109に記載されている。
【0017】
金属質な外観を有する顔料が望まれるならば、金属層の厚さは>25nm〜100nm、好ましくは30〜50nmである。有色金属効果を有する顔料が望まれるならば、有色又は無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物及び/又は金属のさらなる層を付着させることができる。これらの層は透明又は半透明である。高い屈折率の層と低い屈折率の層とが交互にある、又は一つの層が存在し、その層の中で屈折率が徐々に変化することが好ましい。バインダ系への最適な適合を同時に生じさせるさらなるコーティングによって耐候性を高めることが可能である(EP−A−0268918及びEP−A−0632109)。
【0018】
金属及び/又は金属酸化物コートされたガラスフレークは、US60/689196(PCT/EP2006/062758)に記載されているような、プラズマトーチで処理されたものであることができる。処理は、たとえば、均一な結晶性及び/又はコーティング高密度化を促進する。特定の粒子の急速な融解及び固化は、金属及び/又は金属酸化物コーティングに関する高められた性質、たとえばバリヤ性、結合性及び結晶面形成を提供することができる。反応ゾーン中の短い滞留時間が速やかな処理を可能にする。さらには、処理条件は、粒子の表面及び表面近くを選択的に融解、再固化及び結晶化させるように調節することができる。そのうえ、最小限の欠陥しかない均一な表面を生じさせる表面レベリングを達成することができる。とりわけ、これは、粒子の凝集を避けるのに役立つことができる。
【0019】
方法は、
(A)コートされたガラスフレークを用意すること、
(B)前記コートされたガラスフレークを、プラズマトーチへの輸送のためのガス流の中に連行すること、
(C)前記ガス流中にプラズマを発生させてコートされたガラスフレークの外面を加熱すること、
(D)前記コートされたガラスフレークを冷ますこと、及び
(E)前記コートされたガラスフレークを収集すること
を含む。
【0020】
プラズマトーチは、好ましくは、誘導プラズマトーチである。本発明の方法における使用に好ましい誘導プラズマトーチは、カナダケベック州SherbrookeのTekna Plasma Systems社から市販されている。US−A−5,200,595を、プラズマ誘導トーチの構成及び動作に関するその教示に関し、引用例として本明細書に取り込む。
【0021】
本発明の一つの好ましい実施態様では、ガラス基材上に、
(a)誘電層、
(b)金属層、及び
(c)誘電層
を含む。このような顔料は、高い赤外線反射率及び高い可視光線透過率を有する。
【0022】
好ましくは、金属銀が、赤外線に対する高い反射率及び太陽放射線に対する高い透過率を提供してその反射損失を最小限にするため、金属層として使用される。高純度金属銀膜が好ましいが、赤外線反射率を有意に下げる、又は可視光線吸収率を有意に上げることがないならば、特定の不純物及び/又は合金化金属を許容することもできる。金属銀層の厚さは3〜20nmの範囲内である。
【0023】
層(c)に適した材料は、使用される厚さで太陽放射線及び赤外線に対して透過性である材料である。さらには、これらの材料は、銀層による可視光線の反射を最小限にするための反射防止コーティングとして働き、好ましくは、高い屈折率を有する。層(c)に適したいくつかの材料としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化インジウム、酸化クロム、硫化亜鉛及びフッ化マグネシウムがあるが、これらに限定されない。二酸化チタンが、その高い屈折率のせいで、また、銀との相互拡散が最小限であることが見出されているため、好ましい材料である。
【0024】
層(a)に適した材料は、層(a)と協同して銀層による可視光線反射損失を最小限にする透明な材料である。層(c)に適した透明な材料は層(a)にも適し、同じく二酸化チタンがこの層に好ましい材料である。層(a)は、層(c)と同じ材料から形成することもできるし、異なる材料から形成することもでき、後者の場合、おそらくは厚さが異なるであろう。
【0025】
層(c)及び層(a)の厚さは、太陽放射線透過率及び赤外線反射率を最大限にするように選択される。約15〜約50nmの厚さが層(c)に適していることが見出された。そして、層(a)の厚さは、多数の考慮事項、たとえば最適な太陽放射線透過を達成することを望むのかどうか、熱反射率に対する透過率の最適な比率又はそのような最適化値の間の何らかの組み合わせに基づいて選択される。
【0026】
大部分の場合、望まれる光学的性質は、約15nm〜約50nmの層厚さを選択することによって達成することができる。
【0027】
本発明の一つの好ましい実施態様では、干渉顔料は、本明細書では約1.65を超える屈折率と定義される「高い」屈折率を有する材料及び、場合によっては、本明細書では約1.65以下の屈折率と定義される「低い」屈折率を有する材料を含む。使用することができる種々の(誘電)材料としては、無機材料、たとえば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハロゲン化物、金属硫化物、金属カルコゲニド、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせなど及び有機誘電体がある。これらの材料は入手しやすく、物理もしくは化学蒸着法又は湿式化学コーティング法によって容易に被着される。
【0028】
場合によっては、SiO2層をガラス基材と「高い」屈折率を有する材料との間に配設することもできる。SiO2層をガラス基材に被着させることにより、ガラス面は、化学的改変、たとえばガラス成分の膨潤及び浸出に対して保護される。SiO2層の厚さは、5〜200nm、特に20〜150nmの範囲である。SiO2層は、好ましくは、有機シラン化合物、たとえばテトラエトキシシラン(TEOS)を使用して調製される。SiO2層は、Al23、Fe23又はZrO2薄い層(厚さ1〜20nm)によって置き換えることもできる。
【0029】
さらに、SiO2コート又はTiO2コートされたガラスフレークは、EP−A−0982376に記載されているように、窒素ドープされた炭素層でコートされてもよい。EP−A−0982376に記載された方法は、以下の工程
(a)SiO2又はTiO2コートされたガラスフレークを液に懸濁させる工程、
(b)場合によっては、表面改質剤及び/又は重合触媒を加える工程、
(c)工程(b)の前又は後で、窒素及び炭素原子を含む一つ以上のポリマー又はそのようなポリマーを形成することができる一つ以上のモノマーを加える工程、
(d)フレークの表面にポリマーコーティングを形成する工程、
(e)コートされたフレークを単離する工程、及び
(f)コートされたフレークを、ガス雰囲気中、100〜600℃の温度に加熱する工程
を含む。
【0030】
ポリマーは、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、好ましくはポリアクリロニトリルであることができ、モノマーは、ピロール誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はクロトアミド、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル又はクロトニトリル、もっとも好ましくはアクリロニトリルである。
【0031】
好ましくは、工程(f)で、フレークを、まず、酸素含有雰囲気中で100℃〜300℃に加熱し、次いで、不活性ガス雰囲気中で200〜600℃に加熱する。
【0032】
したがって、本発明はまた、酸化ケイ素又は酸化チタンコートされたガラスフレークの全面に、炭素50〜95重量%、窒素5〜25重量%ならびに元素としての水素、酸素及び/又は硫黄0〜25重量%からなる層(重量%データは層(PAN)の全重量に関する)を含む本発明のガラスフレークに基づく顔料に関する。
【0033】
窒素ドープされた炭素層の厚さは、一般に10〜150nm、好ましくは30〜70nmである。前記実施態様では、好ましい顔料は、以下の層構造:ガラス基材/TiO2/PAN、ガラス基材/TiO2/PAN/TiO2、ガラス基材/TiO2/PAN/SiO2/PANを有する。
【0034】
特に好ましい実施態様では、ガラス基材に基づく干渉顔料は、ガラス基材の全面に被着される「高い」屈折率、すなわち約1.65を超える、好ましくは約2.0を超える、もっとも好ましくは約2.2を超える屈折率を有する誘電体のさらなる層を含む。このような誘電体の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、酸化インジウム(In23)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ユーロピウム(Eu23)、酸化鉄、たとえば酸化鉄(II)/(III)(Fe34)及び酸化鉄(III)(Fe23)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化サマリウム(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se23)、酸化スズ(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)又はそれらの組み合わせである。誘電体は、好ましくは金属酸化物である。金属酸化物は、吸収性を有してもよいし有しなくてもよい、単独の酸化物又は酸化物の混合物、たとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23又はZnOであることが可能であり、TiO2が特に好ましい。
【0035】
TiO2層の上に低い屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2を被着させ、場合によってはさらにTiO2層を後者の層の上に被着させることにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である(EP−A−892832、EP−A−753545、WO93/08237、WO98/53011、WO9812266、WO9838254、WO99/20695、WO00/42111及びEP−A−1213330)。使用することができる適当な低屈折率誘電体の非限定的な例は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)及び金属フッ化物、たとえばフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化ナトリウムアルミニウム(たとえばNa3AlF6又はNa5Al314)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、それらの組み合わせ又は約1.65以下の屈折率を有する他の低屈折率材料を含む。たとえば、ジエン類又はアルケン類、たとえばアクリレート(たとえばメタクリレート)、ペルフルオロアルケン類のポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、それらの組み合わせなどをはじめとする有機モノマー及びポリマーを低屈折率材料として使用することができる。さらには、前記材料は、開示内容を引用例として本明細書に取り込むUS−B−5,877,895号に記載されている方法によって付着させてもよい、蒸発させ、凝縮させ、架橋させた透明なアクリレート層を含む。
【0036】
したがって、好ましい干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物だけでなく、さらには(b)低屈折率の金属酸化物をも含み、屈折率の差が少なくとも0.1である。
【0037】
湿式化学法によって表記順序でコートされたガラス基材に基づく顔料が特に好ましい。
TiO2、(SnO2)TiO2(基材:ガラス、層:(SnO2)TiO2、好ましくはルチル型)、Fe23、Fe34、TiFe25、Cr23、ZrO2、Sn(Sb)O2、BiOCl、Al23、Ce23、MoS2、Fe23・TiO2(基材:ガラス、Fe23とTiO2との混合層)、TiO2/Fe23(基材:ガラス、第一の層:TiO2、第二の層:Fe23)、TiO2/ベルリンブルー、TiO2/Cr23又はTiO2/FeTiO3。一般に、層厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmの範囲である。
【0038】
もう一つの特に好ましい実施態様では、本発明は、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に少なくとも三つ含む、たとえばTiO2/SiO2/TiO2、(SnO2)TiO2/SiO2/TiO2、TiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2、Fe23/SiO2/TiO2又はTiO2/SiO2/Fe23を含む干渉顔料に関する。
【0039】
好ましくは、層構造は以下のとおりである。
(a)>1.65の屈折率を有するコーティング、
(b)≦1.65の屈折率を有するコーティング、
(c)>1.65の屈折率を有するコーティング、及び
(d)場合によっては、外側保護層。
【0040】
基材上の高屈折率及び低屈折率の個々の層の厚さが顔料の光学的性質にきわめて重要である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用分野に依存し、一般に10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0041】
層(A)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。層(C)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0042】
層(A)に特に適した材料は、金属酸化物、金属硫化物又は金属酸化物混合物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(2〜<4の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト及びこれらの化合物の、互い又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。金属硫化物コーティングは、好ましくは、スズ、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト及び/又はニッケルから選択される。
【0043】
層(B)に特に適した材料は、金属酸化物又は対応する酸化水和物、たとえばSiO2、MgF2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2である。
【0044】
層(C)に特に適した材料は、無色又は有色の金属酸化物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(2〜<4の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト及びこれらの化合物の、互い又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。TiO2層は、さらに、着色剤を選択的に吸収し、金属カチオンを選択的に吸収する吸収材料、たとえば炭素を含有することができ、吸収材料でコートされることもでき、部分的に還元されることもできる。
【0045】
吸収性又非吸収性の中間層が層(A)、(B)、(C)及び(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。そのような中間層は、たとえば、SnO2からなることができる。少量のSnO2を加えることにより、ルチル構造を形成させることも可能である(たとえば、WO93/08237を参照)。
【0046】
この実施態様では、好ましい干渉顔料は以下の層構造を有する。
【0047】
【表1】

【0048】
本発明の顔料は、薄いガラスフレークの正確に確定された厚さ及び平滑な表面を特徴とする(平均厚さは、50〜400nm±40%、好ましくは約220nm未満であるべきであり、平均厚さから±10%の偏差が好ましい)。
【0049】
金属酸化物層は、CVD(化学蒸着)によって被着させることもできるし、湿式化学コーティングによって被着させることもできる。金属酸化物層は、水蒸気の存在(比較的低分子量の金属酸化物、たとえば磁鉄鉱)又は酸素及び場合によっては水蒸気の存在(たとえば酸化ニッケル及び酸化コバルト)における金属カルボニル類の分解によって得ることができる。金属酸化物層は、特に、金属カルボニル類(たとえば鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル、EP−A−45851)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(たとえばチタン及びジルコニウムテトラ−n−及び−イソ−プロパノラート、DE−A−4140900)もしくは金属ハロゲン化物(たとえば四塩化チタン、EP−A−338428)の加水分解的気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特にアルキルスズ化合物、たとえばテトラブチルスズ及びテトラメチルスズ、DE−A−4403678)の酸化分解によって、又はEP−A−668329に記載されているオルガニルケイ素化合物(特にジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって被着され、コーティング作業は、流動床反応器で実施することが可能である(EP−A−045851及びEP−A−106235)。Al23層(B)は、他の方法では不活性ガス下で実施される(DE−A−19516181)、アルミニウムコートされた顔料の冷却の間の制御された酸化によって好都合に得ることができる。
【0050】
ホスフェート、クロメート及び/又はバナデート含有ならびにホスフェート及びSiO2含有金属酸化物層は、DE−A−4236332及びEP−A−678561に記載されている不動態化法にしたがって、金属の酸化ハロゲン化物(たとえばCrO2Cl2、VOCl3)、特にリンオキシハロゲン化物(たとえばPOCl3)、リン酸及び亜リン酸エステル(たとえば亜リン酸ジ−及びトリ−メチルならびにジ−及びトリ−エチル)ならびにアミノ基含有オルガニルケイ素化合物(たとえば3−アミノプロピル−トリエトキシ−及び−トリメトキシ−シラン)の加水分解又は酸化気相分解によって被着させることができる。
【0051】
金属ジルコニウム、チタン、鉄及び亜鉛の酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン又はこれらの混合物の層は、好ましくは、湿式化学法による析出によって被着され、場合によっては、その金属酸化物を還元することが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠光沢顔料の製造のために開発された湿式化学コーティング法を使用してもよい。これらは、たとえば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602及びDE−A−3235017、DE1959988、WO93/08237、WO98/53001及びWO03/6558に記載されている。
【0052】
高屈折率の金属酸化物は、好ましくはTiO2及び/又は酸化鉄であり、低屈折率の金属酸化物は、好ましくはSiO2である。TiO2の層はルチル又はアナターゼ型にあることができ、ルチル型が好ましい。TiO2層はまた、EP−A−735,114、DE−A−3433657、DE−A−4125134、EP−A−332071、EP−A−707,050又はWO93/19131に記載されているようにして、公知の手段、たとえばアンモニア、水素、炭化水素蒸気もしくはそれらの混合物又は金属粉末によって還元することができる。
【0053】
コーティングのためには、基材粒子を水に懸濁させ、一つ以上の加水分解性金属塩を、副次的な析出を発生させることなく金属酸化物又は金属酸化水和物が粒子上に直接析出するように選択される、加水分解に適したpHで加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分別し、洗浄し、乾燥させ、場合によってはか焼するが、当該コーティングに対してか焼温度を最適化することが可能である。望むならば、個々のコーティングを被着させたのち、顔料を分別し、乾燥させ、場合によってはか焼し、その後、さらなる層を析出させるために再懸濁させることもできる。
【0054】
金属酸化物層はまた、たとえば、DE−A−19501307に記載されている方法と同様にして、場合によっては有機溶媒及び塩基性触媒の存在で、ゾルゲル法による一つ以上の金属酸エステルの制御された加水分解によって金属酸化物層を製造することによって得ることができる。適当な塩基性触媒は、たとえば、アミン類、たとえばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン及びメトキシプロピルアミンである。有機溶媒は、水混和性有機溶媒、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0055】
適当な金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム及びホウ素のアルキル及びアリールアルコラート類、カルボキシレート類ならびにカルボキシル基又はアルキル基又はアリール基で置換されたアルキルアルコラート類又はカルボキシレート類から選択される。アルミン酸トリイソプロピル、チタン酸テトライソプロピル、ジルコン酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチル及びホウ酸トリエチルの使用が好ましい。加えて、前述の金属のアセチルアセトネート類及びアセトアセチルアセトネート類を使用してもよい。このタイプの金属酸エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート及びジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミネート又はジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネートならびに金属酸エステルの混合物、たとえば混合アルミニウム/ケイ素金属酸エステルであるDynasil(登録商標)(Huls)である。
【0056】
高い屈折率を有する金属酸化物としては、二酸化チタンを使用することが好ましい。二酸化チタン層の被着には、US−B−3,553,001に記載されている方法が本発明の実施態様にしたがって使用される。
【0057】
約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コートされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。析出したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。出発溶液中のAl23又はMgOの前駆体の添加が、TiO2層の形態を改善する一つの方法である。
【0058】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法は、過剰なチタン塩を避けられるという事実によって際立つ。これは、水和TiO2による均一なコーティングに必要であり、コートされる粒子の利用可能な表面によって単位時間あたりに吸収されることができる量だけを単位時間あたりの加水分解のために供給することによって達成される。原則的に、アナターゼ形TiO2が出発顔料の表面に形成する。しかし、少量のSnO2を加えることにより、ルチル構造を形成させることも可能である。たとえば、WO93/08237に記載されているように、二酸化スズを付着させたのち二酸化チタンを析出させ、二酸化チタンでコートされた生成物を800〜900℃でか焼することができる。
【0059】
TiO2は、場合によっては、通常の手法:US−B−4,948,631(NH3、750〜850℃)、WO93/19131(H2、>900℃)又はDE−A−19843014(固形還元剤、たとえばケイ素、>600℃)によって還元することができる。
【0060】
場合によっては、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を被着させることができ、そのためには以下の方法を使用することができる。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コートされる材料の懸濁液にソーダ水ガラス溶液を計量供給する。同時に10%塩酸を加えることによってpHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えたのち、攪拌を30分間実施する。
【0061】
TiO2層の上に「低い」屈折率、すなわち約1.65未満の屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2を被着させ、その層の上にさらなるFe23及び/又はTiO2層を被着させることにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である。ガラス基材及び高屈折率の金属酸化物層と低屈折率の金属酸化物層とを交互に含むこのようなマルチコート干渉顔料は、WO98/53011及びWO99/20695に記載されている方法と同様にして調製することができる。
【0062】
加えて、さらなる層、たとえば有色の金属酸化物もしくはベルリンブルー、遷移金属、たとえばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物又は有機化合物、たとえば染料もしくはレーキ顔料を被着させることにより、顔料の粉末色を変えることも可能である。
【0063】
加えて、本発明の顔料はまた、難溶性で固着性の無機又は有機着色剤でコートすることもできる。好ましいものは、レーキ顔料、特にアルミニウムレーキ顔料の使用である。その目的のためには、水酸化アルミニウム層を析出させ、それを、第二の工程で、レーキ顔料を使用することによって浸染する(DE−A−2429762及びDE2928287)。
【0064】
さらには、本発明の顔料はまた、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸錯体のさらなるコーティングを有することもできる(EP−A−141173及びDE−A−2313332)。
【0065】
応用分野に依存して、耐候及び耐光安定性を高めるため、多層酸化ケイ素フレークを表面処理に付すことができる。有用な表面処理は、たとえば、DE−A−2215191、DE−A−3151354、DE−A−3235017、DE−A−3334598、DE−A−4030727、EP−A−649886、WO97/29059、WO99/57204及びUS−A−5,759,255に記載されている。前記表面処理はまた、顔料の取扱い、特に種々の被着媒体へのその配合を容易にするかもしれない。
【0066】
ガラスフレークは、たとえば、WO2004056716に記載された方法によって調製される。前記方法により、平均厚さ250nm未満で厚さのばらつきが10%しかないフレークを製造することができる。
【0067】
屈折率を1.45〜1.65の間に調節するために、ガラス組成物の改変が可能である。適当なガラス材料の例は、Cガラス[SiO2(65〜70%)、Al23(2〜6%)、CaO(4〜9%)、MgO(0〜5%)、B23(2〜7%)、Na2O&K2O(9〜13%)、ZnO(1〜6%)]及びECRガラス[SiO2(63〜70%)、Al23(3〜6%)、CaO(4〜7%)、MgO(1〜4%)、B23(2〜5%)、Na2O(9〜12%)、K2O(0〜3%)、TiO2(0〜4%)、ZnO(1〜5%)]である。特に好ましいガラス材料は、TiO2>0.1%、特にTiO21%未満を有するECRガラスである。ASTM C−338によるECRガラスの軟化温度は800℃未満、特に700℃未満である。ASTM C−338によると、軟化温度とは、均一なガラス繊維(直径0.65mm、長さ23.5cm)の長手の上部10cm分を特殊な炉の中で毎分5℃の率で加熱した場合、その繊維がそれ自体の重みで毎分1.0mmの速度で延伸する温度である。
【0068】
このようなECRガラスフレークは、たとえばGlassFlake社から市販されている。GF10は、約210nmの平均厚さ及び2.2m2/gのBETを有する。GF350は、約390nmの平均厚さ及び1.2m2/gのBETを有する。両製品は、ASTM C338にしたがって約688℃の軟化温度を有するECRガラスに基づく。
【0069】
ECRガラスフレークが使用されるならば、SnO2が存在する場合、TiO2のルチル相がすでに室温で得られる。それでも、TiO2層内に捕らえられた水を除去するためにはか焼が必要である。
【0070】
好ましい実施態様で、本発明は、ガラスのコアを含有し、Al23/TiO2の混合層を含む顔料に関する。混合層は、Al23を20モル%まで含有することができる。Al23/TiO2の混合層は、約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱してある、コートされる材料の懸濁液にアルミニウム及びチタン塩の水溶液をゆっくりと加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することによって約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持することによって得られる。析出したAl23/TiO2の所望の層厚さが達成されると、チタン及びアルミニウム塩溶液の添加をただちに停止する。
【0071】
Al23/TiO2の混合層の厚さは一般に20〜200nm、特に50〜150nmの範囲にある。好ましくは、顔料は、1〜50nm、特に10〜20nmの厚さを有するAl23/TiO2の混合層の上にTiO2層を含む。Al23/TiO2の混合層の厚さを変えることにより、顔料のフロップを望みどおりに高め、制御することができる。
【0072】
もう一つの好ましい実施態様で、本発明は、ガラスのコアを含有し、TiO2/SnO2/TiO2の後続層からなり、ガラス基材に隣接するTiO2層が1〜20nmの厚さを有し、好ましくは、チタンアルコラート類、特にチタン酸テトライソプロピルを使用して調製されたものである顔料に関する。
【0073】
上述した方法によって作られるガラスフレークのBETは1〜50m2/gである。ガラスフレークは、WCA(水被覆面積)に対するBET(比表面積)の比によって表すことができる優れた平坦さ及び平滑さ(表面微細構造)を示す。値は、材料の最適な適性を示す約3である。
【0074】
本発明で使用されるフレークは均一な形状ではない。それでも、簡潔に説明するため、フレークは「直径」を有するものとして参照する。ガラスフレークは、高い面平行性及び平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の確定された厚さを有する。ガラスフレークは、<1μm、特に20〜400nm、特に20〜300nm、もっとも好ましくは50〜220nmの平均厚さを有する。ここでは、フレークの直径が約1〜60μmの好ましい範囲、約5〜40μmのより好ましい範囲にあることが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、約5〜3000の好ましい範囲にある。高屈折率の材料としてTiO2層が付着されるならば、TiO2層は、厚さ20〜200nm、特に20〜100nm、より具体的には20〜50nmである。
【0075】
本発明のガラス基材が使用されるならば、優れた輝度、明澄かつ強い色、強い色フロップ、改善された色濃度及び/又は色純度を有する干渉顔料を得ることができる。
【0076】
本発明のもう一つの好ましい実施態様では、ガラスフレークは、20〜200nm、特に40〜150nm、もっとも好ましくは60〜120nmの平均厚さを有する。ガラスフレークは、高い面平行性及び平均厚さの±40%、特に±10%の範囲の確定された厚さを有する。ここでは、フレークの直径が約1〜60μmの好ましい範囲、特に約2〜50μmの範囲、より好ましくは約5〜40μmの範囲にあることが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、約4〜1250の好ましい範囲、約42〜670のより好ましい範囲にある。高屈折率の材料としてTiO2層が付着されるならば、TiO2層は、厚さ20〜200nm、特に50〜200nmである。TiO2コートされたガラスフレークの全厚さは特に150〜450nmである。たとえば厚さ90nm±30%のガラスフレークから出発して、TiO2層の厚さを選択することにより、赤(約73nm)、緑(約150nm)又は青(約130nm)の干渉顔料を得ることが可能である。ガラスフレークの小さな厚さ分布のおかげで、高い色純度を有する効果顔料が得られる。
【0077】
本発明顔料に好ましい設計は、
自動車用途の場合で直径>3〜<40μm、より好ましくは10〜35μm、及び
印刷用途の場合で直径>3〜<20μm、好ましくは5〜20μm
である。
【0078】
均質なTiO2コーティング及び大きな厚さ分布(ガラスフレークの大きなガウス厚さ分布)を有するガラスフレークで、金属様の真珠効果を得ることができる。すなわち、標準偏差10〜100nmのガウス分布。標準偏差は、好ましくは20nmを超え、もっとも好ましくは50nmを超える。TiO2の代わりに、基材よりも高い屈折率を有する他の金属酸化物を使用することができる。例は、上述した高屈折率の金属酸化物、たとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO又はこれらの酸化物の混合物又はチタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン又はこれらの化合物の混合物及び/又は混合相である。
【0079】
すなわち、ガラスフレークの大きなガウス厚さ分布の場合、顔料の色はガラスフレークの平均厚さに依存しない。TiO2の付着の後又は前に、たとえばGF10(平均厚さ=210nm)及びGF35(平均厚さ=350nm)ガラスフレークを混合することにより、金属的な色合いを得ることができる。それが、約40nmのTiO2厚さの典型的な効果である。GF10とGF35との比は好ましくは0.5:0.5である。
【0080】
金属又は非金属の無機小板形の粒子又は顔料は、効果顔料(特に金属効果顔料又は干渉顔料)、すなわち、被着媒体に色を付与する他に、さらなる性質、たとえば色の角度依存性(フロップ)、つや(表面光沢ではない)又はきめを付与する顔料である。金属効果顔料では、指向性顔料粒子で実質的に指向性の反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果は、薄い高屈折層における光の干渉現象による。
【0081】
本発明の(効果)顔料は、すべての通例の目的に、たとえばポリマーの練込み着色、コーティング(自動車分野のためのものをはじめとする特殊効果仕上げ塗装を含む)及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ及びフレキソ印刷を含む)ならびに、たとえば、化粧品、インクジェット印刷、織物の浸染、セラミックス及びガラスの釉薬ならびに紙及びプラスチックのレーザマーキングにおける用途で使用することができる。このような用途は、参考文献、たとえば「Industrielle Organische Pigmente」(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York、全面改訂第二版1995)から公知である。
【0082】
本発明の顔料が干渉顔料(効果顔料)である場合、本発明の顔料は、ゴニオクロマチック(goniochromatic)であり、鮮やかで高彩度の(光沢のある)色を生じさせる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどとの組み合わせに非常に適し、透明顔料が効果顔料と類似した色を有することが可能になる。しかし、たとえばEP−A−388932又はEP−A−402943と同様に、透明顔料の色と効果顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組み合わせ効果が得られる。
【0083】
高分子量有機材料を着色する場合、本発明の顔料を使用して優れた結果を得ることができる。
【0084】
本発明の顔料又は顔料組成物を使用して着色することができる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、約103〜108g/mol又はそれを超える分子量を有する。これらは、たとえば、天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン又はそれらから誘導される天然物質、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロースもしくはニトロセルロースであることができるが、特に、重合、重縮合又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性樹脂)であってもよい。重合樹脂のクラスのうち、特にポリオレフィン類、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン及び置換ポリオレフィン類、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物ならびに前記モノマーの共重合物、たとえば特にABS又はEVAを挙げることができる。
【0085】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、たとえば、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト及び表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和樹脂、たとえばアルキド樹脂又は不飽和樹脂、たとえばマレイン酸樹脂ならびに直鎖状ポリエステル及びポリアミド類、ポリウレタン類又はシリコーン類を挙げることができる。
【0086】
前記高分子量化合物は、単独で存在してもよいし、混合物としてプラスチック素材又は溶融体の形態で存在してもよい。これらはまた、それらのモノマーの形態で存在してもよいし、重合状態で、コーティング又は印刷インクのための膜形成剤又はバインダ、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解形態で存在してもよい。
【0087】
所期の目的に依存して、本発明の効果顔料又は効果顔料組成物をトナーとして又は調製物の形態で使用することが有利であることが判明した。コンディショニング法又は所期の用途に依存して、高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色するための効果顔料の使用に悪影響を及ぼさないという条件で、コンディショニング工程の前又は後で特定量のきめ改善剤を効果顔料に加えることが有利であるかもしれない。適当な薬剤は、特に、炭素原子少なくとも18個を含有する脂肪酸、たとえばステアリン酸もしくはベヘン酸又はそれらのアミドもしくは金属塩、特にマグネシウム塩及び可塑剤、ロウ、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール類又は脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール又は炭素原子8〜22個を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオールならびに変性松やにマレイン酸樹脂又はフマル酸松やに樹脂である。きめ改善剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加えられる。
【0088】
本発明の(効果)顔料は、着色される高分子量有機材料に着色有効量で加えることができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明の顔料とを含む着色された組成物が有利である。多くの場合、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を実際に使用することができる。
【0089】
高い濃度、たとえば30重量%を超える濃度は普通、比較的低い顔料含量を有する有色材料を製造するための着色剤として使用することができる濃縮物(「マスタバッチ」)の形態にあるが、本発明の顔料は、通例の配合物中で異常に低い粘度を有するため、それでも十分に加工することができる。
【0090】
有機材料を着色するためには、本発明の効果顔料を単独で使用してもよい。しかし、異なる色相又は色効果を達成するために、本発明の効果顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白、有色、黒又は効果顔料を高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料が本発明の効果顔料と混合して使用される場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて好ましくは0.1〜10重量%である。本発明の効果顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られ、効果顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で20〜340、特に150〜210の色相差(△H*)を示す。
【0091】
好ましくは、本発明の効果顔料は透明な有色顔料と組み合わされ、このとき、透明な有色顔料は、本発明の効果顔料と同じ媒体中に存在することもできるし、隣接媒体中に存在することもできる。効果顔料と有色顔料とが有利にも隣接媒体中に存在する構造の一例は多層効果コーティングである。
【0092】
本発明の顔料による高分子量有機物質の着色は、たとえば、ロールミル又は混合もしくは粉砕装置を使用して、場合によってはマスタバッチの形態にある当該顔料を基材と混合することによって実施される。そして、着色された材料を、それ自体は公知の方法、たとえば圧延、圧縮成形、押出し、コーティング、注型又は射出成形によって所望の最終形態にする。顔料の配合の前又は後で、プラスチック工業で通例の添加物、たとえば可塑剤、充填剤又は安定剤を通例の量でポリマーに加えることができる。特に、非剛性の成形物を製造する、又はそれらの脆性を下げるためには、成形の前に可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを高分子量化合物に加えることが望ましい。
【0093】
コーティング及び印刷インクを着色する場合、高分子量有機材料及び本発明の効果顔料を、場合によっては通例の添加物、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に微分散又は溶解させる。このとき、個々の成分を別々に溶解又は分散させることも可能であるし、いくつかの成分をいっしょに溶解又は分散させ、その後ではじめてすべての成分を合わせることも可能である。
【0094】
着色される高分子量有機材料への本発明の効果顔料の分散及び本発明の顔料組成物の加工は、好ましくは、効果顔料がより小さな部分に砕散しないように比較的弱い剪断力しか発生させない条件で実施される。
【0095】
本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。コーティングの分野では、本発明の顔料は、0.1〜10重量%の量で使用される。たとえば、塗料及び凹版、オフセット又はスクリーン印刷のための印刷インクのためのバインダ系の着色においては、顔料は、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で印刷インクに配合される。
【0096】
たとえばプラスチック、コーティング又は印刷インク、特にコーティング又は印刷インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた性質、特に極めて高い彩度、抜群の堅ろう性、高い色純度及び高い角度依存呈色性によって際立つ。
【0097】
着色される高分子量材料がコーティングである場合、それは特に特殊コーティング、非常に特に自動車仕上げ塗装である。
【0098】
本発明の効果顔料はまた、唇又は肌のメイクアップ及び髪又は爪の着色にも適している。
【0099】
したがって、本発明はまた、そのものの全重量に基づいて、本発明の顔料、特に効果顔料0.0001〜90重量%及び化粧品に適したキャリヤ材料10〜99.9999重量%を含む化粧品調製物又は配合物に関する。
【0100】
このような化粧品調製物又は配合物は、たとえば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、ネイルワニス及びヘアシャンプーである。
【0101】
顔料は、単独で使用してもよいし、混合物の形態で使用してもよい。加えて、本発明の顔料を他の顔料及び/又は着色剤とともに、たとえば本明細書で先に記載したように又は化粧品調製物で公知であるように組み合わせて使用してもよい。
【0102】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、好ましくは、本発明の顔料を、調製物の全重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有する。
【0103】
本発明の化粧品調製物及び配合物に適したキャリヤ材料としては、そのような組成物に使用される通例の物質がある。
【0104】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってもよい。これらは、たとえば、リップスティック、マスカラ剤、ほお紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はネイルワニスである。
【0105】
調製物がスティック、たとえばリップスティック、アイシャドー、ほお紅又はファンデーションの形態にあるならば、調製物は、そのかなりの部分が、一つ以上のロウ、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、微晶質ロウ、カルナバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、25℃で固体であるモノ−、ジ−もしくはトリ−グリセリド類又はそれらの脂肪エステル、シリコーンロウ、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、マツ脂及びその誘導体、たとえばアビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である水添油、糖グリセリドならびにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩からなることができる脂肪成分からなる。
【0106】
脂肪成分はまた、少なくとも一つのロウと、少なくとも一つの油との混合物からなることもでき、その場合、たとえば以下の油が適当である。パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、たとえば小麦胚芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコール、たとえばグリコール及びグリセロールのオクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコール、たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシリラウレート及びオクチルドデカノールのリシノレエート。
【0107】
スティックの形態のこのような調製物中の脂肪成分は一般に、調製物の全重量の99.91重量%までを構成してもよい。
【0108】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、さらなる成分、たとえばグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド類、無着色ポリマー、無機又は有機充填剤、防腐剤、UVフィルタ又は化粧品で通例である他の補助剤及び添加物、たとえば、天然又は合成もしくは部分的に合成のジ−もしくはトリ−グリセリド、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪アルコール、Guerbetアルコールもしくはそのエステル、親油性機能的化粧品有効成分、たとえば日焼け止めフィルタ又はそれらの物質の混合物をさらに含んでいてもよい。
【0109】
皮膚化粧品に適した親油性機能的化粧品有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、経皮的又は局所的な適用に関して認可されている成分又は成分の混合物である。例として以下を挙げることができる。
【0110】
―皮膚表面及び毛髪に対して清浄作用を有する有効成分。これらには、皮膚を清浄するように働くすべての物質、たとえば油、石鹸、合成洗剤及び固形物質がある。
【0111】
―脱臭及び制汗作用を有する有効成分。これらには、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む脱臭剤ならびに吸臭剤、たとえばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と種々の添加物との組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(場合によっては酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンと組み合わされている)又はイオン交換樹脂がある。
【0112】
―太陽光に対する保護を提供する有効成分(UVフィルタ)。適当な有効成分は、太陽光からのUV線を吸収し、それを熱に転換することができるフィルタ物質(日焼け止め)である。所望の作用に依存して、以下の光保護剤が好ましい。約280〜315nmの範囲の、日焼けを生じさせる高エネルギーUV線を選択的に吸収し(UV−B吸収剤)、より長い、たとえば315〜400nmの波長範囲(UV−A範囲)を透過させる光保護剤ならびにより長い315〜400nmのUV−A範囲の波長の放射線だけを吸収する光保護剤(UV−A吸収剤)。適当な光保護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1個以上の有機ケイ素基を含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスからの有機UV吸収剤及び/又は酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素でコートされたTiO2、酸化亜鉛もしくは雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
【0113】
―昆虫に対する有効成分(駆除剤)は、昆虫が皮膚に触れ、そこで活動することを防ぐための薬剤である。昆虫を駆逐し、ゆっくりと揮発する。もっともよく使用される駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である。他の一般的な駆除剤は、たとえば、「Pflegekosmetik」(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)の161頁に見られる。
【0114】
―化学的及び機械的な影響に対する保護のための有効成分。これらには、皮膚と外部の有害物質との間にバリヤを形成するすべての物質、たとえば、水溶液に対する保護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及びラノリン、有機溶媒の影響に対する保護のための膜形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル又は皮膚に対する激しい機械的応力に対する保護のための「潤滑剤」としての、鉱油、植物油もしくはシリコーン油に基づく物質がある。
【0115】
―保湿物質。たとえば以下の物質が水分調整剤(保湿剤)として使用される。乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸。
【0116】
―角質新生効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール。
【0117】
―抗微生物剤、たとえばトリクロサン又は第四級アンモニウム化合物。
【0118】
―経皮的に適用することができる油性又は油溶性ビタミン又はビタミン誘導体、たとえばビタミンA(遊離酸の形態のレチノール又はその誘導体)、パンテノール、パントテン酸、葉酸及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
【0119】
―ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
【0120】
―ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
【0121】
―植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
【0122】
―動物抽出物、たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質又は胸腺抽出物。
【0123】
―経皮的に適用することができる化粧油:Miglyol 812タイプのニュートラルオイル、杏仁油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマ−オリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、サクランボ種子油、サーモン油、アマニ油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、ライスシード油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、グレープシード油又は小麦胚芽油。
【0124】
スティック形態の調製物は、好ましくは無水であるが、特定の場合には、一般に化粧品調製物の全重量に基づいて40重量%を超えない一定量の水を含んでもよい。
【0125】
本発明の化粧品調製物及び配合物が半固形製品の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態にあるならば、それも同じく無水であっても水性であってもよい。このような調製物及び配合物は、たとえば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドー又は目の下のくまを手入れするための組成物である。
【0126】
他方、このような軟膏又はクリームが水性であるならば、それは特に、顔料とは別に脂肪相1〜98.8重量%、水相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0127】
このような軟膏及びクリームはまた、さらなる従来の添加物、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無着色ポリマー及び無機又は有機充填剤を含むことができる。調製物が粉末の形態にあるならば、それは実質的にミネラルもしくは無機又は有機充填剤、たとえば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末及び補助剤、たとえばバインダ、着色剤などからなる。
【0128】
このような調製物も同じく、化粧品で従来から使用されている種々の補助剤、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤などを含んでいてもよい。
【0129】
本発明の化粧品調製物及び配合物がネイルワニスであるならば、それは本質的に、溶媒系の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成のポリマーからなり、その溶液が他の補助剤、たとえば真珠光沢剤を含むことが可能である。
【0130】
その実施態様では、着色されたポリマーは約0.1〜5重量%の量で存在する。
【0131】
本発明の化粧品調製物及び配合物はまた、毛髪を着色するために使用することができ、その場合、化粧品工業で従来から使用されているベース物質及び本発明の顔料で構成されるシャンプー、クリーム又はゲルの形態で使用される。
【0132】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、従来の方法で、たとえば各成分を、場合によっては混合物が融解するように加熱しながら、いっしょに混合又は攪拌することによって調製される。
【0133】
本発明の様々な特徴及び態様を以下の実施例でさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲内で作業する方法を当業者に示すために提示するものであるが、請求項でのみ定義される本発明の範囲に対する限定として働くものではない。断りない限り、以下の実施例ならびに明細書及び請求の範囲の他の部分において、部及び%は重量基準であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその付近である。
【0134】
実施例
実施例1
粉砕され、ふるい分けして100ミクロン未満及び20ミクロン超の粒子を得たガラスフレークGF10(Glassflake社、ECRガラス(軟化温度約688℃)、平均厚さ約210nm、BET2.2m2/g)4.5gを密閉反応器中で蒸留水300mlと混合し、75℃で加熱した。pHを1.15に合わせて、懸濁液を350rpmで15分間攪拌した。次いで、HCl(37%)5g及び蒸留水100gに溶解したSnCl4・5H2O9gを含む調製物を、350rpmで攪拌しながら15分かけて加えた(毎分0.8ml)。次いで、さらに15分間攪拌しながら懸濁液を90℃で加熱した。
【0135】
次いで、pHを1.6に合わせて、TiOCl234g、HCl(37%)32g及び蒸留水445gを含む調製物を6時間かけて毎分0.8mlの速度で加えた。ろ過及び乾燥後に得られた粉末は、視野角が大きくなるにつれ鮮やかな青からマゼンタへの色のシフトを示した。生成物を空気中500℃で6時間か焼した。X線回折分光法は、TiO2がルチル型で存在することを示し、元素分析は、生成物がSn0.92重量%及びTi35.4重量%を含有することを示した。
【0136】
実施例2
粉砕され、ふるい分けして100ミクロン未満及び20ミクロン超の粒子を得たガラスフレークGF10(Glassflake社)4.5gを密閉反応器中で蒸留水300mlと混合し、75℃で加熱した。pHを1.2に合わせて、懸濁液を350rpmで15分間攪拌した。次いで、HCl(37%)5g及び蒸留水100gに溶解したSnCl4・5H2O9gを含む調製物を、350rpmで攪拌しながら15分かけて加えた(毎分0.8ml)。一度調製物の添加が完了すると、懸濁液を15分間攪拌し、pHを1.8に合わせた。次いで、TiOCl234g、HCl(37%)32g及び蒸留水445gを含む調製物を攪拌しながら1時間かけて毎分0.8mlの速度で加えた。
【0137】
1時間後、蒸留水200に溶解したAlCl3・6H2O12gを含む調製物15%と、TiOCl234g、HCl(37%)32g及び蒸留水445gを含む調製物85%との混合物を、1.8の一定のpHで、4時間かけて毎分0.8mlの速度で加えた。最後に、TiOCl234g、HCl(37%)32g及び蒸留水445gを含む調製物を0.5時間かけて毎分0.8mlの速度で加えた(pH=1.8)。ろ過及び乾燥後に得られた粉末は、視野角が大きくなるにつれ鮮やかな黄色からパールグレイへの色のシフトを示した。
【0138】
この生成物を空気中500℃で6時間か焼した。X線回折分光法は、TiO2がルチル型で存在することを示し、元素分析は、生成物がSn1.37重量%、Ti11.6重量%及びAl1.58重量%を含有することを示した。
【0139】
実施例3
粉砕され、ふるい分けして100ミクロン未満及び20ミクロン超の粒子を得たガラスフレークGF10(Glassflake社)5gをイソプロパノール55g及びテトラエトキシシラン7.5g中に分散し、その分散系を密閉反応器中60℃で加熱した。次いで、蒸留水6g及びイソプロパノール16g中NH32gを3時間かけて加えた。このようにして、ろ過及び乾燥後に得られたガラスフレークを厚さ約30nmのSiO2層でコートした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
<1μm、特に20nm〜400nmの平均厚さを有する板状ガラス基材、及び
(a)高い屈折率を有する誘電体、特に金属酸化物、又は
(a)金属層、特に薄い半透明な金属層
を含む顔料。
【請求項2】
ガラス基材がECRガラスからなる、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
(b)低い屈折率の金属酸化物をさらに含み、屈折率の差が少なくとも0.1である、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
高い屈折率の金属酸化物が、TiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO又はこれらの酸化物の混合物又はチタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン又はこれらの化合物の混合物及び/又は混合相である、請求項3記載の顔料。
【請求項5】
低い屈折率の金属酸化物が、SiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物であり、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物がさらなる成分として含まれることができる、請求項1〜4のいずれか1項記載の顔料。
【請求項6】
ガラスコアが、20〜220nm、特に50〜220nmの平均厚さを有する、請求項1〜5いずれか1項記載の顔料。
【請求項7】
Al23/TiO2もしくはMgO/TiO2の混合層又は誘電層/金属層/誘電層を含む、請求項1、2又は6記載の顔料。
【請求項8】
ガラスフレークが、高い屈折率の金属酸化物、特にTiO2の均質なコーティング及び大きな厚さ分布(ガラスフレークの大きなガウス厚さ分布)を有する、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項9】
ガラスフレークを、一つ以上の金属酸化物により、対応する水溶性金属化合物の加水分解による湿式法でコートし、そのようにして得られた顔料を分離し、乾燥し、場合によってはか焼することによる、あるいは
ガラスフレークを、金属化合物の存在で水性及び/又は有機溶媒含有媒体中に懸濁させ、還元剤の添加によって金属化合物をガラスフレークに付着させることによる、請求項1記載の干渉顔料を製造する方法。
【請求項10】
塗料、インクジェット印刷における、織物を浸染するための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラスのための釉薬を着色するための、請求項1〜8のいずれか1項記載の顔料の使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の顔料で着色された塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス。

【公表番号】特表2008−546880(P2008−546880A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517459(P2008−517459)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063077
【国際公開番号】WO2007/054379
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】