説明

ガラスペースト

【課題】長期間保管しても、ペースト粘度が不当に上昇することなく、平滑で均一な膜厚を形成できるガラスペーストを得ることにより、表面精度が良好な誘電体層等を形成すること。
【解決手段】本発明のガラスペーストは、ガラス粉末とビークルを含有するガラスペーストであって、ガラスペースト中の塩化物の含有量が60ppm以下、好ましくは40ppm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスペーストに関するものであり、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)の誘電体層の形成に好適なガラスペーストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PDPは、自己発光型のフラットディスプレイパネルであり、軽量薄型、高視野角等の優れた特性を備えており、大画面化が容易であることから、将来有望な平面表示装置として注目されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
図1は、PDPの構造を示す概略断面図である。図1に示すように、PDPは、前面ガラス基板1と背面ガラス基板2とが対向して設けられており、これらのガラス基板間の空間には、多数のガス放電部に区切るため、隔壁(バリアリブ)3が形成されている。
【0004】
透明電極4の上には、前面ガラス基板1の全面を覆うように誘電体層5が形成されている。誘電体層5の上には、プラズマを安定に形成するためのMgOからなる保護層6が形成されている。また、隔壁3間の背面ガラス基板2の上には、アドレス電極7が形成されている。このアドレス電極7の上には、背面ガラス基板2の全面を覆うように誘電体層8が形成されている。さらに、隔壁3間において、隔壁3の側壁および誘電体層8の上には、蛍光体9が塗布されている。通常、隔壁3は誘電体層8の上に形成される。そして、隔壁3を形成した背面ガラス基板2と前面ガラス基板1とが対向するように組み合わされることによりパネルが構成される。
【0005】
なお、図1に示すパネル構造において、背面ガラス基板2の上に、隔壁3がアドレス電極7を覆う電極保護用の誘電体層8を介して形成されているが、背面ガラス基板2の上に直接隔壁3を形成するパネル構造も知られている。
【0006】
このような構造を有するPDPは、一対の透明電極4間に電圧が印加されることにより、隔壁3で仕切られたガス放電部内にプラズマ放電が生じ、このプラズマ放電で発生した紫外線が蛍光体9に照射され、蛍光体9が発光し、これにより前面ガラス基板1を通して画像が表示される。
【0007】
ところで、PDPの誘電体層等は、ガラス粉末とビークル等を三本ロールミル等で混練分散させたガラスペーストをスクリーン印刷やスリット式若しくはロール式のコーター等でガラス基板上に塗布した後、乾燥し、焼成することで作製することができる。一般的に、ビークルは、樹脂、可塑剤、溶剤等で構成される。
【特許文献1】特開2001−139342号公報
【特許文献2】特開2003−104756号公報
【特許文献3】特開2003−327448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のガラスペーストは、三本ロールミル等で混練分散させた後、ペースト粘度が安定せず、つまりペースト粘度が経時的に上昇し、長期間保管したガラスペーストを使用する場合、平滑で均一な膜厚を得ることが困難であった。
【0009】
また、ビークルの樹脂成分としてエチルセルロースを使用すれば、平滑で均一な膜厚を得やすいペースト粘度に調製することができる。更に言えば、エチルセルロースを使用すれば、スクリーン印刷法、ロールコート法、スリットコート法等の塗布方法によらず、平滑で均一な膜厚を得やすいペースト粘度に調整することができる。しかし、樹脂成分としてエチルセルロースを使用すれば、経時的にペースト粘度が著しく上昇する場合があり、ガラスペーストを作製した後、短期間で塗布作業を行わなければ、平滑で均一な膜厚を得ることが困難であった。
【0010】
このような状況から、PDP等の製造において、表面精度の良好な誘電体層等を得ることが困難であり、特に、長期間保管したガラスペーストを用いた場合、表面精度の良好な誘電体層等を得ることが困難であり、誘電体層等の絶縁特性等を低下させる一因となっていた。また、誘電体層等の表面精度が悪化すれば、誘電体層等の表面に亀裂が発生し、PDPの機能が損なわれるおそれがあり、上記問題は深刻となっていた。
【0011】
そこで、本発明は、長期間保管しても、ペースト粘度が不当に上昇することなく、平滑で均一な膜厚を形成できるガラスペーストを得ることにより、表面精度が良好な誘電体層等を形成することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラス粉末とビークルを含有するガラスペーストにおいて、ガラスペースト中の塩化物の含有量を60ppm以下に規制することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。なお、ガラスペースト中の塩化物の含有量は、JIS K2501に記載の硝酸銀滴定法により測定することができる。
【0013】
ガラスペースト中の塩化物の含有量を60ppm以下に規制すれば、経時的にペースト粘度が不当に上昇することがない。ガラスペースト中の塩化物により、ペースト粘度が不当に上昇するメカニズムは、その詳細が不明である。現時点では、ガラスペースト中の塩化物は、塩析作用によりガラスペースト中に存在する水分を引き寄せることに起因して、ガラス成分とエチルセルロースが強固な結合を形成し、この結合により経時的にペースト粘度が不当に上昇するものと推定される。
【0014】
ガラスペースト中の塩化物の含有量を60ppm以下に規制する方法として、種々の方法を採用することができるが、その中でもビークル中に不純物として存在する塩化物を極力低減する方法が効果的である。特に、ビークルに含まれる樹脂中の塩化物量を低減する方法が効果的である。樹脂中の塩化物量を低減する手法としては、高純度の樹脂の原料を使用する、あるいは樹脂の製造工程で混入する塩化物を除去する工程を導入したり、樹脂の製造後、樹脂の洗浄を徹底的に行う方法等を採用することができる。なお、従来のガラスペーストは、ガラスペースト中の塩化物量について、管理されておらず、80〜150ppm程度の塩化物量が含まれていた。
【0015】
第二に、本発明のガラスペーストは、ガラスペースト中の塩化物の含有量が40ppm以下であることに特徴付けられる。
【0016】
第三に、本発明のガラスペーストは、ビークルが、エチルセルロースと溶剤を含有し、且つエチルセルロース中の塩化物の含有量が0.08重量%以下であることに特徴付けられる。なお、エチルセルロース中の塩化物の含有量は、JIS K2501に記載の硝酸銀滴定法により測定することができる。
【0017】
既述の通り、ビークルの樹脂成分としてエチルセルロースを使用すれば、ペースト粘度が経時的に著しく上昇する場合があり、ガラスペーストを作製した後、短期間で塗布作業を行わなければ、平滑で均一な膜厚を得ることが困難であった。この現象は、エチルセルロース中に存在する塩化物量が他の樹脂に比べて多いことが原因であると考えられる。つまり、この現象は、エチルセルロースの製造工程で生成する反応残渣のNaClが不純物となりやすいことが原因である。一般的に、エチルセルロースの製造工程では、クロロエタン等によりヒドロキシル基をエトキシル化する工程が存在することから、反応残渣としてNaClが生成しやすくなっている。
【0018】
エチルセルロース中の塩化物量を0.08重量%以下に低減する手法としては、エチルセルロースの洗浄を徹底的に行う方法が効果的である。ビークルに使用されるエチルセルロース中の塩化物量は、通常、0.10〜0.15重量%程度であるが、エチルセルロースの洗浄回数を増やすことにより、エチルセルロース中の塩化物量を0.08重量%以下とすることができる。なお、エチルセルロース中の塩化物量を0.08重量%以下とすれば、効果的にガラスペースト中の塩化物量を60ppm以下とすることができる。
【0019】
したがって、本発明のガラスペーストにおいて、エチルセルロース中の塩化物量を0.08重量%以下に低減すれば、ビークルの樹脂成分としてエチルセルロースを使用しても、経時的にペースト粘度が不当に上昇しにくいとともに、塗布方法によらず、平滑で均一な膜厚を得る上で適切なペースト粘度に調整しやすいことから、誘電体層等の表面精度を顕著に向上させることができる。
【0020】
第四に、本発明のガラスペーストは、塩化物がNaClであることに特徴付けられる。エチルセルロースに含まれる不純物は、主にNaClであるため、ガラスペースト中のNaCl量を規制する意義は大きい。
【0021】
第五に、本発明のガラスペーストは、ガラス粉末が、ガラス組成として、B23を10〜40重量%含有することに特徴付けられる。
【0022】
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラス粉末が、ガラス組成として、B23を10重量%以上含有する場合、経時的にペースト粘度が上昇しやすいことを見出した。この現象の詳細なメカニズムは明らかではないが、ガラス粉末が、ガラス組成として、B23を10重量%以上含有する場合、ガラスペースト中でB23が遊離し硼酸イオンとなり、その後、硼酸イオンが樹脂中の水酸基と架橋を形成し、経時的にペースト粘度が著しく上昇するものと推定される。塩化物によるペースト粘度の上昇に加えて、遊離硼酸によるペースト粘度の上昇が生じれば、これらの相乗効果により、平滑で均一な膜厚を得ることが極めて困難となる。特に、ガラスペーストを長期間保管した場合、その傾向が顕著になる。したがって、ガラス粉末が、ガラス組成として、B23を10重量%以上含有する場合、ペースト粘度が不当に上昇しやすいことから、ガラスペースト(エチルセルロース)中の塩化物量を規制し、ペースト粘度の上昇を抑制する意義は大きくなる。
【0023】
第六に、本発明のガラスペーストは、平面表示装置の誘電体層形成材料または隔壁形成材料に使用することに特徴付けられる。
【0024】
第七に、本発明のガラスペーストは、平面表示装置がPDPであることに特徴付けられる。
【0025】
また、本発明の誘電体層は、PDPに形成された誘電体層であって、誘電体層中の塩化物の含有量が100ppm以下であることに特徴付けられる。なお、誘電体層中の塩化物の含有量は、JIS K2501に記載の硝酸銀滴定法により測定することができる。
【0026】
PDPの誘電体層は、良好な表面精度が求められ、例えば30μmの膜厚に対し±0.5μmの精度が要求される。このような表面精度を満たすべく、誘電体層用ガラスペーストのペースト粘度に対する要求も高い。既述の通り、本発明のガラスペーストを使用すれば、表面精度の高い誘電体層を形成することができるが、ガラスペースト中の塩化物量を60ppm以下に規制すれば、誘電体層中の塩化物の含有量が100ppm以下になり、誘電体層の表面精度を高めることができる。その結果、PDPの誘電体層の絶縁特性等を向上させることができる。ここで、PDPの誘電体層とは、前面ガラス基板上に形成される透明電極を保護する誘電体層や背面ガラス基板上に形成されるアドレス電極を保護する誘電体層が含まれる。
【0027】
さらに、上記の誘電体層は、誘電体層中のB23含有量が10〜40重量%であることに特徴付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のガラスペーストにおいて、ガラスペースト中の塩化物量は60ppm以下、好ましくは40ppm以下、より好ましくは25ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。ガラスペースト中の塩化物量が60ppmより多くなると、経時的にペースト粘度が不当に上昇し、平滑で均一な膜厚を得ることが困難になる。特に、長期間保管したガラスペーストを使用する場合、その傾向が顕著となる。なお、ガラスペーストの材料コストを考慮すれば、ガラスペースト中の塩化物量は、5ppm以上に調節するのが目安となる。
【0029】
本発明のガラスペーストにおいて、エチルセルロース中の塩化物量は0.08重量%以下、好ましくは0.06重量%以下、より好ましくは0.04重量%以下、更に好ましくは0.03重量%以下である。ガラスペースト中の塩化物量が0.08重量%より多くなると、経時的にペースト粘度が不当に上昇し、長期間保管したガラスペーストを使用する場合、平滑で均一な膜厚を得ることが困難になる。なお、エチルセルロースの製造コストを考慮すれば、ガラスペースト中の塩化物量は、0.008重量%以上に調節するのが目安となる。
【0030】
本発明のガラスペーストは、主成分として、ガラス粉末、ビークルを含有する。さらに、必要に応じて、ガラスペーストにセラミック粉末等を添加してもよい。
【0031】
以下、ガラスペーストの各構成成分について説明する。なお、いずれの構成成分についても、塩化物が極力混入しないように不純物の管理を十分に行う必要があることは言うまでもない。
【0032】
ガラス粉末は、高い耐電圧を有する誘電体層や実用的な焼結強度を有する隔壁を形成するための成分であり、その含有量は30〜90重量%、好ましくは50〜70重量%である。ガラス粉末の含有量が30重量%より少ないと、緻密な誘電体層や隔壁を形成し難くなる。また、ガラス粉末の含有量が90重量%より多いと、相対的にビークルの含有量が少なくなるため、ペースト粘度を調整し難くなる。
【0033】
既述の通り、粉末ガラスが、ガラス組成として、B23を10重量%以上(好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%)含有している場合、経時的にペースト粘度が上昇しやすいことから、ガラスペースト(エチルセルロース)中の塩化物量を低減する意義が大きくなる。なお、B23の含有量が40重量%より多いと、ガラスが分相しやすくなる。
【0034】
なお、ガラス粉末が、ガラス組成として、アルカリ金属酸化物を合量で10重量%以上および/またはアルカリ土類金属酸化物を合量で15重量%以上含有する場合も、経時的にペースト粘度が上昇しやすい傾向があるため、ガラスペースト(エチルセルロース)中の塩化物量を規制する意義が大きくなる。
【0035】
また、本発明のガラスペーストにおいて、ガラス粉末として、PbO−B23系ガラス粉末、ZnO−Bi23−B23系ガラス粉末、ZnO−B23−R2O(R2Oは、Li2O+Na2O+K2Oを表す)系ガラス粉末は、熱的安定性が良好であるため、好適である。
【0036】
PbO−B23系ガラス粉末は、ガラス組成として、重量%でPbO 30〜55%、B23 10〜40%、SiO2 1〜15%、ZnO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜30%、Bi23 0〜30%含有することが好ましく、PbO 40〜50%、B23 15〜35%、SiO2 2〜10%、ZnO 10〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 3〜20%、Bi23 0〜20%含有することがより好ましい。このようにガラス組成範囲を規制すれば、500〜600℃の焼成で良好な流動性を示し、また絶縁特性に優れたガラス粉末を得ることができる。
【0037】
ガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。
【0038】
PbOは、軟化点を下げる成分であり、その含有量は30〜55%、好ましくは40〜50%である。PbOの含有量が30%より少なくなると、軟化点が高くなりすぎる場合がある。また、PbOの含有量が55%より多くなると、熱膨張係数が高くなりすぎる場合がある。
【0039】
23は、ガラス化範囲を拡げる成分であり、その含有量は10〜40%、好ましくは15〜35%である。B23の含有量が10%より少なくなると、ガラス化が困難となる。B23の含有量が40%より多くなると、ガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
【0040】
SiO2は、ガラスの骨格となる成分であり、その含有量は1〜15%、好ましくは2〜10%である。SiO2の含有量が1%より少なくなると、ガラス化が困難となる。SiO2の含有量が15%より多くなると、軟化点が高くなりすぎるおそれがある。
【0041】
ZnOは、熱膨張係数を上げずに軟化点を調整することができる成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは10〜30%である。ZnOの含有量が30%より多くなると、ガラスが失透しやすくなる。
【0042】
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれも熱的安定性を高める成分であり、これらの成分の含有量は合量で0〜30%、好ましくは3〜20%である。これらの成分の合量が30%より多くなると、ガラス組成のバランスを欠き、逆に焼成時にガラスが失透しやすくなる。
【0043】
Bi23は、軟化点を下げる成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは0〜20%である。Bi23の含有量が30%より多くなると、熱膨張係数が高くなりすぎる場合がある。
【0044】
上記成分以外にも他の成分を25%まで含有させることが可能である。
【0045】
また、PbO−B23系ガラス粉末は、以下のガラス組成を有するガラス粉末も好適である。つまり、PbO−B23系ガラス粉末は、ガラス組成として、重量%でPbO 15〜45%、B23 10〜40%、SiO2 1〜15%、Al23 0〜10%、ZnO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜30%含有することが好ましく、PbO 20〜35%、B23 10〜30%、SiO2 2〜9%、Al23 2〜7%、ZnO 15〜35%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜25%含有することがより好ましい。このようにガラス組成範囲を規制すれば、500〜600℃の焼成で良好な流動性を示し、また絶縁特性に優れたガラス粉末を得ることができる。
【0046】
ガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。
【0047】
PbOは、軟化点を下げることができる成分であり、その含有量は15〜45%、好ましくは20〜35%である。PbOの含有量が15%より少なくなると、軟化点が高くなりすぎる場合がある。一方、PbOの含有量が45%より多くなると、熱膨張係数が高くなりすぎる場合がある。
【0048】
23は、ガラス化範囲を拡げる成分であり、その含有量は10〜40%、好ましくは10〜30%である。B23の含有量が10%より少なくなると、ガラス化が困難となる。一方、B23の含有量が40%より多くなると、ガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
【0049】
SiO2は、ガラスの骨格となる成分であり、その含有量は1〜15%、好ましくは2〜9%である。SiO2の含有量が1%より少なくなると、ガラス化が困難となる。一方、SiO2の含有量が15%より多くなると、軟化点が高くなりすぎる場合がある。
【0050】
ZnOは、熱膨張係数を上げずに軟化点を調整することができる成分であり、その含有量は0〜40%、好ましくは15〜35%である。ZnOの含有量が40%より多くなると、ガラスが失透しやすくなる。
【0051】
上記成分以外にも他の成分を25%まで含有させることが可能である。
【0052】
ZnO−Bi23−B23系ガラス粉末は、ガラス組成として、重量%でZnO 25〜45%、Bi23 15〜35%、B23 10〜30%、SiO2 0〜8%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜24%含有することが好ましく、ZnO 30〜40%、Bi23 20〜30%、B23 17〜27%、SiO2 3〜7%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜20%含有することがより好ましい。このようにガラス組成範囲を規制すれば、500〜600℃の焼成で良好な流動性を示し、また絶縁特性に優れたガラス粉末を得ることができる。
【0053】
ガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。
【0054】
ZnOは、熱膨張係数を下げるとともに、軟化点を下げる成分であり、その含有量は25〜45%、好ましくは30〜40%である。ZnOの含有量が25%より少なくなると、軟化点が600℃を超えるおそれがある。一方、ZnOの含有量が45%より多くなると、焼成時にガラスが失透しやすくなる。
【0055】
Bi23は、軟化点を下げる成分であり、その含有量は15〜35%、好ましくは20〜30%である。Bi23の含有量が15%より少なくなると、軟化点が600℃を超えるおそれがある。一方、Bi23の含有量が35%より多くなると、ガラスが黒褐色に着色しやすくなる。
【0056】
23は、ガラス化範囲を拡げる成分であり、その含有量は10〜30%、好ましくは17〜27%である。B23の含有量が10%より少なくなると、ガラス化が困難となる。一方、B23の含有量が30%より多くなると、ガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
【0057】
SiO2は、ガラスの骨格成分であり、その含有量は0〜8%、好ましくは3〜7%である。SiO2の含有量が8%より多くなると、軟化点が600℃を超えるおそれがある。
【0058】
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれも熱膨張係数を高める成分であり、これらの成分の含有量は合量で0〜24%、好ましくは10〜20%である。これらの成分の合量が24%より多くなると、焼成時にガラスが失透しやすくなる。
【0059】
上記成分以外にも他の成分を25%まで含有させることが可能である。
【0060】
ZnO−B23−R2O系ガラス粉末は、ガラス組成として、重量%でZnO 20〜55%、B23 10〜45%、K2O 0〜20%、SiO2 0〜20%、Nb25+La23+WO3 0〜30%含有することが好ましく、ZnO 25〜53%、B23 15〜40%、K2O 3〜15%、Li2O+Na2O 0〜10%、SiO2 3〜15%、Nb25+La23+WO3 1〜25%含有することがより好ましい。このようにガラス組成範囲を規制すれば、500〜600℃の焼成で良好な流動性を示し、しかも電極成分であるAgやCuとの反応による黄変現象が生じにくいガラス粉末を得ることができる。
【0061】
ガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。
【0062】
ZnOは、ガラスを構成する主成分であるとともに、軟化点を下げる成分であり、その含有量は20〜55%、好ましくは25〜53%である。ZnOの含有量が20%より少なくなると、上記効果が得難くなる。一方、ZnOの含有量が55%より多くなると、ガラスが結晶化し易くなる傾向にあり、ガラスの流動性が損なわれやすい。
【0063】
23は、ガラスの骨格を形成するとともに、ガラス化範囲を拡げる成分であり、その含有量は10〜45%、好ましくは15〜40%である。B23の含有量が10%より少なくなると、ガラスが結晶化し易くなる。一方、B23の含有量が45%より多くなると、軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成しにくくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。
【0064】
2Oは、軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整したりする働きがあり、また電極成分であるAgやCuとの反応による黄変を抑制する成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは3〜15%である。K2Oの含有量が20%より多くなると、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。
【0065】
SiO2は、ガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは3〜15%である。SiO2の含有量が20%より多くなると、軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成しにくくなる。
【0066】
Nb25、La23およびWO3は、誘電率を向上させ、絶縁性を向上させる成分であり、これらの成分は合量で0〜30%、好ましくは1〜25%、より好ましくは3〜20%である。これらの成分の合量が30%より多くなると、ガラスが結晶化しやすくなることに加えて、軟化点が高くなり、600℃以下の温度で焼成できなくなったりする。
【0067】
また、ガラス組成として、上記成分に加えて、以下の成分を更に含有させることができる。
【0068】
Al23は、ガラスの分相性を抑制するとともに、耐候性を向上させる成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜3%である。Al23の含有量が5%より多くなると、軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成しにくくなる。
【0069】
Li2OやNa2Oは、ガラスを低融点化させたり、熱膨張係数を調整したりするために添加する成分であり、それらの成分は合量で0〜10%、好ましくは0〜5%である。これらの成分の合量が10%より多くなると、結晶が析出しやすくなる傾向がある。また、K2Oを使用しても電極との反応による黄変を防止することが困難になる。
【0070】
CaO、SrOおよびBaOは、軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整したりするために添加する成分であり、これらの成分は合量で0〜20%である。これらの成分の合量が20%より多くなると、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。
【0071】
それ以外にも、軟化点を低下させるために、Cs2OやRb2O等を合量で10%まで、AgやCuとの反応による黄変をより一層抑制するために、CuO、Bi23、Sb23、CeO2、MnO等を合量で10%まで、ガラスを安定化させたり、耐水性や耐薬品性を向上させたりするために、TiO2、ZrO2、SnO2、Ta25、P25等を合量で10%まで添加することができる。
【0072】
樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は0.1〜40重量%、特に1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。樹脂の含有量が0.1重量%より少ないと、乾燥後の膜強度が低下する虞が生じる。一方、樹脂の含有量が40重量%より多いと、ペースト粘度が高くなりすぎるとともに、樹脂の分解揮発に長時間を要し、PDPの生産効率の低下を招く。
【0073】
樹脂として、種々の材料を使用することができるが、特に、エチルセルロースは、膜の平滑性を確保する上で好適である。誘電体層を形成する場合、エチルセルロースの含有量は1〜8重量%、特に3〜7重量%が好ましい。隔壁を形成する場合、エチルセルロースの含有量は0.5〜5重量%、特に1.5〜3重量%が好ましい。また、樹脂として、エチルセルロースに加えて、更にポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート等を添加することができる。
【0074】
可塑剤は、乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜50重量%、特に0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。可塑剤の含有量が50重量%より多いと、ペースト粘度を調節し難くなる。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0075】
溶剤は、ペースト化するための成分であり、その含有量は5〜60重量%、特に20〜50重量%の範囲にあることが好ましい。溶剤の含有量が5重量%より少ないと、ペースト粘度が高くなりすぎるおそれがある。溶剤の含有量が60重量%より多いと、ガラスペーストの粘度が低くなりすぎるおそれがある。溶剤は、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
【0076】
上記成分以外にも、ガラスペーストの流動性、焼結性あるいは熱膨張係数を調整するために、アルミナ、ジルコニア等のセラミック粉末を10重量%まで添加することができる。また、ガラスペーストのポットライフを長期化するために、界面活性剤を3重量%まで添加することができる。さらに、ペースト粘度の低下や樹脂の特性劣化を防止するために、酸化防止剤を3重量%まで添加することができる。
【0077】
本発明のガラスペーストは、平面表示装置の誘電体層または隔壁の形成に使用することが好ましい。平面表示装置の誘電体層や隔壁には、高い表面精度が要求される。また、これらの用途に使用するガラスペーストには、ペースト粘度の安定化および長期保管性も要求される。したがって、本発明のガラスペーストはこれらの用途に好適に使用することができる。ここで、平面表示装置には、PDP、フィールドエミッションディスプレイ、蛍光表示管等が含まれる。
【0078】
次に、誘電体層を形成する方法を説明する。まず、PDPに用いられる前面ガラス基板を用意する。次に、スクリーン印刷法や一括コート法等を用いて、ガラスペーストを前面ガラス基板上に塗布し、膜厚30〜100μmの塗布層を形成する。なお、前面ガラス基板には、予め電極が形成されており、ガラスペーストの塗布はその上に行う。続いて得られた塗布層を80〜120℃程度の温度で乾燥させ、乾燥膜を得る。その後、この乾燥膜を500〜600℃程度の温度で5〜15分間程度焼成することにより、誘電体層を形成することができる。
【0079】
本発明の誘電体層において、誘電体層中の塩化物の含有量は100ppm以下、好ましくは75ppm以下、より好ましくは60ppm以下、更に好ましくは35ppm以下である。誘電体層中の塩化物の含有量が100ppmより多いと、誘電体層の表面精度が悪化しやすいことから、誘電体層の絶縁特性や透明性等が劣化しやすく、PDPの製品特性が悪化しやすくなる。
【0080】
本発明の誘電体層において、誘電体層中のB23含有量は10重量%以上(より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは15〜35重量%)であることが好ましい。誘電体層中のB23含有量を上記範囲であれば、本発明のガラスペーストの場合と同様にして、本発明の作用効果を最大限に享受することが可能となる。
【0081】
本発明の誘電体層において、誘電体層の平均表面粗さRaは、0.75μm未満が好ましく、0.6μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。誘電体層の平均表面粗さRaが0.75μm以上であると、誘電体層の電気絶縁性が低下しやすくなる。また、本発明の誘電体層において、誘電体層に深さ10μm、好ましくは深さ8μmを超える亀裂が認められないことが好ましい。誘電体層に深さ10μmを超える亀裂があると、誘電体層の電気絶縁性が低下しやすくなる。なお、上記表面特性は、触針式表面粗さ計で測定を行ったときの値である。
【0082】
隔壁を形成する方法を説明する。まず、PDPに用いられる背面ガラス基板を用意する。次に、スクリーン印刷法や一括コート法等を用いて、ガラスペーストを背面ガラス基板上に塗布し、膜厚30〜500μm、好ましくは200〜500μmの塗布層を形成する。なお、背面ガラス基板には、予め電極が形成されており、更には電極上に誘電体層が形成されており、ガラスペーストの塗布はその上に行う。得られた塗布層を80〜120℃程度の温度で乾燥させ、乾燥膜を得る。その後、乾燥膜上にレジスト膜に形成し、露光、現像する。続いて、サンドブラスト法で不要な部分を除去した後、500〜600℃程度の温度で5〜15分間程度焼成する。このようにして所定形状の隔壁を得ることができる。
【0083】
本発明の隔壁において、隔壁中の塩化物の含有量は60ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下である。隔壁中の塩化物の含有量が60ppmより多いと、隔壁の表面精度が悪化しやすいことから、隔壁に欠け等の欠陥が生じやすく、PDPの製品特性が悪化しやすくなる。
【0084】
本発明の隔壁において、隔壁中のB23含有量は5重量%以上(より好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは15〜35重量%)であることが好ましい。隔壁中のB23含有量を上記範囲であれば、本発明のガラスペーストの場合と同様にして、本発明の作用効果を最大限に享受することが可能となる。なお、隔壁を構成するガラス組成中のB23含有量は、10〜40重量%が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。
【実施例】
【0085】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0086】
<実験1>
表1〜4は、本発明の実施例(No.1〜3、6〜8、11〜13、16〜18)および比較例(No.4、5、9、10、14、15、19、20)を示している。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
まず、表1〜4に記載のガラス組成となるように、ガラス原料を調合し、得られたガラスバッチを白金るつぼに投入し、1300℃で2時間溶融した。次に、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出し、薄片状のガラスを作製した後、このガラスをボールミルで粉砕加工した。続いて、得られた粉末状のガラスを分級し、平均粒子径D50が2μmのガラス粉末を作製した。
【0092】
表1〜4に記載のガラス組成を有するガラス粉末65重量%と表1〜4に記載のビークル35重量%を混合し、両者を均一に攪拌した後、三本ロールミルで混練分散することにより、表1〜4に記載のガラスペーストを作製した。なお、ガラスペーストの作製の際、気泡や凝集物が発生しないように留意した。
【0093】
ペースト中の塩化物の含有量は、JIS K2501に準拠した方法により測定した。同様にして、樹脂中の塩化物の含有量は、JIS K2501に準拠した方法により測定した。
【0094】
ペースト粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(SC4−14/6R、25℃)を用いて、測定した。また、ペースト粘度は、「ペースト作製後」(三本ロールミルで混練分散した直後)、「ペースト作製から3日後」、「ペースト作製から30日後」について、それぞれ測定した。表中のペースト粘度の数値に関し、「ペースト作製後」のペースト粘度を100とし、「ペースト作製から3日後」および「ペースト作製から30日後」のペースト粘度は、これに対する相対値で示した。また、試料No.1〜20の「ペースト作製後」のペースト粘度は、同一値になるように調製した。
【0095】
表面精度の評価は、以下のように行った。まず、「ペースト作製から30日後」のガラスペーストを高歪点ガラス基板上にスクリーン印刷し、乾燥後、590℃で10分間焼成することによって、膜厚40μmのガラス膜を形成した。次に、得られたガラス膜の平均表面粗さRa(JIS B0603に準拠)を触針式表面粗さ計で測定し、平均表面粗さRaが0.75μm未満のものを「○」とし、0.75μm以上であったものを「×」とした。
【0096】
亀裂の評価は、以下のように行った。まず、「ペースト作製から30日後」のガラスペーストを高歪点ガラス基板上にスクリーン印刷し、乾燥後、590℃で10分間焼成することによって、膜厚40μmのガラス膜を形成した。次に、得られたガラス膜の平均表面粗さRaを触針式表面粗さ計で測定し、深さが10μmを超える亀裂が観察されなかったものを「○」とし、深さが10μmを超える亀裂が観察されたものを「×」とした。なお、膜厚40μmのガラス膜に10μmを超える亀裂があれば、耐電圧が著しく低下し、絶縁破壊が非常に起こりやすくなる。
【0097】
その結果、実施例(No.1〜3、6〜8、11〜13、16〜18)のガラスペーストは、経時的なペースト粘度の上昇が緩和されており、表面精度の評価および亀裂の評価がともに良好であった。一方、比較例(No.4、5、9、10、14、15、19、20)のガラスペーストは、経時的にペースト粘度が不当に上昇しており、表面精度の評価および亀裂の評価がともに不良であった。
【0098】
<実験2>
ガラスペースト中の塩化物の含有量とペースト粘度の関係を更に説明する。
【0099】
図2は、ガラスペースト中の塩化物の含有量とペースト粘度の関係を示したデータである。図2において、ガラスペースト中の塩化物以外の影響を極力排除するため、ガラスペースト中の塩化物以外の成分は、その含有量を同一に規制するとともに、ペースト作製の条件等も同一となるように規制した。
【0100】
以下、図2に記載のガラスペーストの作製方法について説明する。
【0101】
まず、重量%でPbO 30%、B23 20%、SiO2 5%、ZnO 20%、Al23 5%、BaO 20%のガラス組成となるように、ガラス原料を調合し、得られたガラスバッチを白金るつぼに投入し、1300℃で2時間溶融した。次に、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出し、薄片状のガラスを作製した後、このガラスをボールミルで粉砕加工した。続いて、得られた粉末状のガラスを分級し、平均粒子径D50が2μmのガラス粉末を作製した。
【0102】
次に、上記のガラス組成を有するガラス粉末65重量%とビークル35重量%(エチルセルロース6重量%、ジブチルフタレート4重量%、ターピネオール25重量%)を混合し、両者を均一に攪拌した後、三本ロールミルで混練分散することにより、ガラスペーストを作製した。なお、ガラスペーストの作製の際、気泡や凝集物が発生しないように留意した。
【0103】
ガラスペースト中の塩化物の含有量は、樹脂であるエチルセルロースのNaCl量を調節することにより、調整した。また、ガラスペースト中の塩化物の含有量は、JIS K2501に準拠した方法により測定した。
【0104】
ペースト粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(SC4−14/6R、25℃)を用いて、「ペースト作製から30日後」のペースト粘度を測定した。
【0105】
図2から明らかなように、ガラスペースト中の塩化物の含有量が増加するにつれて、ペースト粘度が上昇することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のガラスペーストは、PDP、フィールドエミッションディスプレイ、蛍光表示管等の平面表示装置の誘電体層または隔壁の形成に好適であり、特にPDPの誘電体層の形成に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】PDPの構造を示す概略断面図である。
【図2】ガラスペースト中の塩化物の含有量とペースト粘度の関係を示した図面である。
【符号の説明】
【0108】
1 前面ガラス基板
2 背面ガラス基板
3 隔壁(バリアリブ)
4 透明電極
5 誘電体層(前面側)
6 保護層
7 アドレス電極
8 誘電体層(背面側)
9 蛍光体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス粉末とビークルを含有するガラスペーストにおいて、
ガラスペースト中の塩化物の含有量が60ppm以下であることを特徴とするガラスペースト。
【請求項2】
ガラスペースト中の塩化物の含有量が40ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラスペースト。
【請求項3】
ビークルが、エチルセルロースと溶剤を含有し、
且つエチルセルロース中の塩化物の含有量が0.08重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラスペースト。
【請求項4】
塩化物がNaClであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスペースト。
【請求項5】
ガラス粉末が、ガラス組成として、B23を10〜40重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラスペースト。
【請求項6】
平面表示装置の誘電体層形成材料または隔壁形成材料に使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラスペースト。
【請求項7】
平面表示装置がプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする請求項6に記載のガラスペースト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−156551(P2008−156551A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349259(P2006−349259)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】