説明

ガラス基板の搬送容器

【課題】溝付き天パッドを中蓋に装設してガラス基板の上端部に容易に被着できて、しかも、ガラス基板の大きな撓みや溝外れおよび干渉による破損を防止できる、ガラス基板の搬送容器を提供する。
【解決手段】一方の相対向する側壁内面に支持用溝13を有する容器本体1と、側壁上端部に外嵌合して被着される蓋体2と、その内側でガラス基板Bの上端部を支持する溝付きの天パッド5と、蓋体2とは別に蓋体2の内側で被着可能な中蓋3を備え、中蓋3は、その天板31の下面において、容器本体1の支持用溝13を有する側壁12bに対応する両辺で側方に開口し、また、他方の相対向する側壁12aと対応する側の両辺には側壁上端部に内嵌合する端部壁32aを有し、包装状態において、中蓋3の天板下面に天パッド5が装設され、この状態で両端部壁32aが容器本体1の側壁上端部に内嵌合し、蓋体2の垂下側壁22a,22bが側壁上端部に外嵌合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素板ガラスのほか、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板その他の各種のガラス基板の搬送、保管に使用する搬送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示用やプラズマ表示用の比較的大形のガラス基板を複数枚並列して収容して搬送するための搬送容器として、緩衝性を有する合成樹脂発泡体製の容器本体と蓋体とよりなる容器で、容器本体の一方の相対向する側壁内面に等間隔に縦溝よりなる支持用溝を形成しておき、該支持用溝にガラス基板の側端部を挿入して相互に接触させないように支持して収納するようにしたものが知られている。
【0003】
さらに、前記容器本体内の底板上にガラス基板の下端部を保護する支持用溝を有する底パッドを設けることに加えて、容器本体の上方に突出するガラス基板の上端部を保護する支持用溝を有する天パッドを設けることも提案されている(例えば、特許文献1、2)。前記天パッドは、被着操作の際にガラス基板の上端部を支持用溝に嵌め合わせる必要があることから、蓋体とは別にガラス基板の上端部に被せ、その後、蓋体を被着するようにしている。
【0004】
ところで、近年、ガラス基板の薄板化が進み、これにより底パッドや天パッド等を設けた搬送容器を使用する場合においても、輸送時における破損が増加している。この原因は、ガラス基板の薄板化のために輸送時の振動による撓みが大きくなることに加え、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の外的要因による容器自体の変形により、収容された内部のガラス基板が大きく撓み、ガラス基板を保持する左右側壁や天パッドの支持用溝からの溝外れが発生し、その結果、ガラス基板同士が干渉し当接することが大きな原因であると考えられる。
【0005】
この点について説明する。図11及び図12に示すように、底パッド104と天パッド105を備える前記の搬送容器において、蓋体102は容器本体101の各側壁112(112a,112b)の上端部に外嵌合して被着される形態をなすものが一般的であるが、この嵌合部の遊び等のために、輸送中の振動や他物との接触による衝撃等の影響を受け易く、容器本体101の側壁、特にはガラス基板Bと対向する側壁112aが蓋体102に対して内方へ変位する撓み変形が生じ易いものである。
【0006】
すなわち、容器本体101の各側壁112の蓋体102に対する外方向の撓み変形が蓋体102により規制され、また、支持用溝113を有する左右側壁112bの内方への撓み変形がガラス基板B自体により規制されるが、前記ガラス基板Bの板面と対向する側壁112aは、内方へ変形するのを規制する部分がなく、そのため振動や外的衝撃等のために内方へ撓み変形するおそれがある。
【0007】
仮に、前記側壁112aが蓋体102に対し内方へ、あるいは蓋体102が前記側壁112aに対し外方へ相対的に変位するような変形が生じると、図13のように、蓋体102の天板121の下面に装着された天パッド105の支持用溝152の位置と、容器本体101の側壁内面の支持用溝113の位置とにずれが生じ、その結果、支持用溝113及び152に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されているガラス基板Bに大きな撓みが発生し、ガラス基板Bの溝外れや干渉による損傷が生じ易くなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−51131号公報
【特許文献2】特開2006−199351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解消するためになしたものであり、溝付き天パッドを中蓋に装設してガラス基板の上端部に容易に被着できて、しかも、ガラス基板の大きな撓みや溝外れおよび干渉による破損を防止できる、ガラス基板の搬送容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明は、ガラス基板を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面にガラス基板の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記容器本体の側壁上端部に嵌合する垂下側壁を有する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側でガラス基板の上端部を支持する溝付きの天パッドとを備えるガラス基板の搬送容器において、前記蓋体とは別に該蓋体の内側で被着可能な中蓋を備え、この中蓋は、前記蓋体の内側に装入できる天板の下面において、前記容器本体の前記支持用溝を有しない他方の相対向する側壁と対応する側の両辺に、該側壁上端部に内嵌合する端部壁を有し、包装状態において、該中蓋の前記天板下面に前記天パッドが装設され、この状態で前記両端部壁が容器本体の側壁上端部に内嵌合し、前記蓋体の垂下側壁が側壁上端部に外嵌合することを特徴とする。
【0011】
この搬送容器によれば、前記中蓋及び蓋体を被着した包装状態においては、容器本体の四周の側壁の外方への撓み変形による変位が蓋体により規制され、また、前記支持用溝を有する側壁の内方への撓み変形による変位がガラス基板により規制されことに加えて、前記ガラス基板の板面と対向する側壁の側では、該側壁の内方への撓み変形による変位を前記中蓋により規制できることになる。また仮に、前記側壁が蓋体に対して内方に変位するときは、前記中蓋も容器本体に追従して変位することになる。そのため、中蓋の天板下面に装着された天パッドの支持用溝の位置と、容器本体の側壁内面の支持用溝の位置との相対位置にずれが生じることがなく、それゆえ、収容されたガラス基板が大きく撓んだり、溝外れが生じたりするのを抑制できる。
【0012】
前記の搬送容器において、前記容器本体の前記支持用溝を有する側壁に対応する両辺で側方に開口しているのが好ましい。すなわち、天板下面に溝付き天パッドを装設した中蓋を、容器本体に並列して収容したガラス基板の上端部に対して被着する際、前記端部壁と交差する両辺における側方への開口部から、収容したガラス基板の側端部の位置と前記天パッドの支持用溝の位置を確認し位置合わせしながら、容易に位置ずれを生じさせることなく被着することができる。
【0013】
前記の搬送容器において、前記中蓋が、前記端部壁に沿う方向で複数に分割されてなるものとすることができる。
【0014】
前記の搬送容器において、前記天パッドが、前記中蓋とは別の弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、該中蓋の天板下面に装着されてなるものとすることができる。これにより、中蓋として所定の保形性を確保しながら、ガラス基板の上端部を弾力的に保持でき、ガラス基板の保護を良好になすことができる。
【0015】
前記の搬送容器において、前記天パッドが前記中蓋の端部壁に沿う方向で複数のパッド片に分割形成され、各パッド片がそれぞれ中蓋に装着されてなるものとすることができる。これにより、天パッドを構成する合成樹脂発泡体の収縮などの影響を小さくすることができる。
【0016】
前記の搬送容器において、前記中蓋の天板下面に前記パッド片に対応する凸状枠部が設けられ、各パッド片が前記凸条枠部の内側に嵌合保持されてなるものとすることができる。これにより、接着手段を要さずに装着しておくことができる。
【0017】
前記の搬送容器において、前記中蓋が適度の弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、前記天パッドが該中蓋の天板下面に一体に形成されてなるものとすることもできる。これにより部品数を少なくでき、包装や開包装時の作業性を高めることができる。
【0018】
前記の搬送容器において、前記中蓋が、容器本体及び蓋体と同程度の保形性及び弾力性を有するか、あるいは蓋体より柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、前記天パッドが中蓋と同程度の保形性及び弾力性を有するか、あるいは中蓋より柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなるものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記したように本発明のガラス基板の搬送容器によれば、溝付き天パッドを中蓋に装設してガラス基板の上端部に容易に被着できて、しかも、中蓋を利用して、特にガラス基板の板面と対向する容器本体の側壁の内方への変位を規制できるとともに、仮に前記側壁が変位したときには、中蓋とともに天パッドを容器本体の側壁の変位に追従でき、振動や外的衝撃等に起因するガラス基板の大きな撓みや溝外れおよび干渉による破損を防止でき、ひいては、ガラス基板の薄板化に対応でき、輸送中の保護を良好になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のガラス基板の搬送容器の1実施例の分離した容器本体と蓋体及び天パッドを装設した中蓋の略示斜視図である。
【図2】同上の搬送容器の容器本体の平面図である。
【図3】同上の搬送容器の分離した中蓋と天パッドの下面側からの斜視図である。
【図4】同上の搬送容器の天パッドを装設した中蓋の下面側からの平面図である。
【図5】同上の中蓋の縦断正面図である。
【図6】同上の縦断側面図である。
【図7】同上の搬送容器の包装状態の半部縦断正面図である。
【図8】同上の半部縦断側面図である。
【図9】同上の一部の拡大図である。
【図10】中蓋の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】従来の包装容器の分離した斜視図である。
【図12】同上の包装状態の半部縦断側面図である。
【図13】同上の蓋体と容器本体の側壁上端部と変位が生じた場合の一部の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0022】
図1〜図9において、この実施例の搬送容器Aは、緩衝効果のある合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口する容器本体1と、該容器本体1の開口部1aに被着自在な蓋体2と、該蓋体2とは別に該蓋体2の内側で被着可能な中蓋3とを備え、さらに容器内部に収容されるガラス基板Bの下端部及び上端部をそれぞれ弾力的に支持する溝付きの底パッド4、及び溝付きの天パッド5を備えてなる。
【0023】
前記容器本体1は、合成樹脂発泡体により一体に成形されてなり、底部11より立ち上がった四周の各側壁つまり前後左右の側壁12a,12a,12b,12bのうち、一方の相対向する側壁、特には図のように短辺側の左右側壁12b,12bの内面に、収納対象のガラス基板Bの左右側端部を挿入し支持するための縦溝よりなる複数の支持用溝13が等間隔に複数並設されている。図の場合、前記底部11の上面(内面)には、左右方向に間隔をおいて凸状枠部15により区画された複数の凹部16が設けられており、後述のように各凹部16毎に前記底パッド4としてのパッド片41が配置されるようになっている。図中の17はバンド掛け用の凹部を示す。
【0024】
前記蓋体2は、前記容器本体1と同様に合成樹脂発泡体により成形されており、天板21の周縁部に、前記容器本体1の開口部1a、すなわち四周の前記各側壁12a,12a,12b,12bの上端部に外嵌合する垂下側壁22a,22a,22b,22bを有しており、該垂下側壁22a,22a,22b,22bの嵌合により容器本体に対し被着自在に形成されている。
【0025】
図の場合、前記容器本体1に対する蓋体2の嵌合構造として、前記容器本体1の側壁12a,12a,12b,12bの上端部には外側を切欠して内側に突縁14が形成され、また、前記蓋体2の垂下側壁22a,22a,22b,22bの下端部には内側を切欠して外側に突縁24が形成されており、該突縁24が前記容器本体1の前記突縁14の外側の切欠部に嵌合するように形成されている。27はバンド掛け用の凹部を示す。
【0026】
前記中蓋3は、前記蓋体2と同様に合成樹脂発泡体により成形されてなり、前記蓋体2の内側、すなわち前記垂下側壁22a,22a,22b,22bの内側で前記容器本体1及び収容されたガラス基板Bに対し被着可能であり、該中蓋3の天板31の下面において、前記容器本体1の支持用溝13を有する側壁とは交差する他方の相対向する両側壁、すなわち収容されるガラス基板Bの板面と対向する前後側壁12a,12aと対応する両辺には、該側壁12a,12aの上端部に内嵌合するように垂設された端部壁32a,32aを有し、全体として断面伏凹形をなしている。特に、図のように前記容器本体の1の支持用溝13を有する両側壁、すなわち収容されたガラス基板Bの両側端部を支持する左右側壁12b,12bと対応する両辺で側方に開口してする一方、前後側壁12a,12aと対応する両辺に端部壁32a,32aが形成されている。図中の33は前記側方への開口部を示している。前記容器本体1に対する前記中蓋3の嵌合構造として、前記両端部壁32a,32aの下端部外側に前記容器本体1の側壁上端部の突縁14に嵌合する切欠部34が形成され、前記側壁上端部に内嵌合するように設けられている。通常、前記中蓋3は、前記蓋体2の内側に内接して嵌合するか、もしくは僅かに間隙を存して嵌合するように形成される。
【0027】
図の場合、前記中蓋3の天板31の下面(内面)には、前記端部壁32aに沿う左右方向に間隔をおいて凸状枠部35により画された複数の凹部36が設けられており、後述のように各凹部36毎にそれぞれ前記天パッド5としてのパッド片51が配置されるようになっている。
【0028】
前記底パッド4は、前記容器本体1より柔軟性のある軟質合成樹脂発泡体等の弾力性素材よりなり、前記凹部16に対応して複数のパッド片41に分割形成され、各凹部16に主として脱着可能に嵌合して上部が凸状枠部15より突出した状態で保持されるように形成されている。前記各パッド片41の上面には、前記各凹部16に配置した状態において、前記側壁内面の支持用溝13と対応する支持用溝42が等間隔に設けられており、収容されるガラス基板Bの下端部を等間隔に弾力的に支持できるようになっている。
【0029】
また、前記天パッド5は、前記底パッド4と同様に、前記容器本体1より柔軟性のある軟質合成樹脂発泡体等の弾力性素材よりなり、前記凹部36に対応して複数のパッド片41に分割形成され、各凹部16に主として脱着可能に嵌合して下部が凸状枠部35より突出した状態で保持されるように形成されている。各パッド片51の下面には前記各凹部36に配置し装設した状態において、前記側壁内面の支持用溝13と対応する支持用溝52が等間隔に設けられており、収容されるガラス基板Bの上端部を等間隔に弾力的に支持できるようになっている。
【0030】
前記底パッド4及び天パッド5については、1枚ものであってもよいが、収縮等の影響を少なくし、位置ずれや外れを抑制する上では、図示する実施例のように複数に分割して配置するように設けておくのが好ましい。また、前記底パッド4及び天パッド5を容器本体1の底部11及び中蓋3の天板31に接着しておくことも可能である。この場合、前記凸状枠部15及び35による凹部16及び36は必ずしも設けなくてもよい。
【0031】
なお、前記中蓋3については、ガラス基板Bに対する被着セット作業を容易にするために、図10のように、端部壁32aに沿う方向(左右方向)、すなわち前記端部壁32aを有する両辺の長さ方向の中間部で二つの中蓋部材3a,3bに2分割する等、複数に分割して形成しておくこともできる、この場合、各中蓋部材3a,3b毎の天板下面に、それぞれに対応した天パッド5を上記同様に配置して実施する。
【0032】
前記容器本体1及び蓋体2は、任意の発泡樹脂成形体で作ることができるが、熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂にはポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンを含む複合樹脂を用いることが好ましい。また、前記発泡体の発泡倍率は3〜50倍が好ましい。
【0033】
また、前記中蓋3についても、前記同様の発泡樹脂成形体で作ることができるが、基本的に前記蓋体2と同程度の保形性及び弾力性を有する発泡体、あるいはやや柔軟な保形性及び弾力性を有する発泡体が用いられる。例えば、蓋体2と中蓋3が同素材よりなるものの場合、中蓋3としては、蓋体2と同発泡倍率の発泡体か、もしくは蓋体より高発泡倍率で弾力性の高い発泡体が用いられる。
【0034】
また、前記底パッド4や天パッド5としては、前記同様の合成樹脂のビーズ成形発泡体で、前記中蓋3と同様に、前記容器本体1や蓋体2と同程度の保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体、あるいはやや柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体が用いられる。より好ましくは、容器本体1や蓋体2よりやや柔軟な弾力性を有する発泡体が好適に用いられる。
【0035】
前記中蓋3として、容器本体1や蓋体2よりやや柔軟な弾力性を有する合成樹脂発泡体を用いる場合は、前記天パッド5を中蓋3と一体に発泡成形しておくことができる。
【0036】
上記した図1〜図9の実施例の搬送容器Aの使用においては、溝付きの底パッド4(各パッド片41)は容器本体1の底部11の上面に、また溝付きの天パッド5(各パッド片51)は中蓋3の天板31の下面にそれぞれ配置し装設しておく。そして、収容対象のガラス基板Bの両側端部を容器本体1の左右側壁12b,12bに有する支持用溝13に挿入するとともに、下端部を底パッド4の支持用溝42に嵌合して支持させるようにして、所要数枚のガラス基板Bを前記支持用溝13に対応した一定の間隔で収容する。
【0037】
そして、前記天パッド5を装設した中蓋3を、前記容器本体1の前記ガラス基板Bの板面と対向する両側壁12a,12aの上端部に対し、該側壁12a,12aと対応する両辺に有する端部壁32a,32aを内嵌合して被着する。この際、前記端部壁32a,32aと交差する両辺における側方への開口部33から、収容したガラス基板Bの両側端部の並列状態や位置、及び、該中蓋3の天板31の下面に装設した前記天パッド5の支持用溝52の位置を確認し位置合わせしながら、容易に位置ずれなく被着することができる。
【0038】
この後、蓋体2を前記中蓋3の外側に被せて周縁部の垂下側壁22a,22a,22b,22bの下端部を、前記容器本体1の四周の各側壁12a,12a,12b,12bの上端部に外嵌合して被着する。こうして包装した容器外側に、必要に応じてバンド掛け(図示せず)して輸送に供する。
【0039】
この包装状態での輸送時あるいは運搬等の取扱いにおいては、前記蓋体2の垂下側壁22a,22a,22b,22bが容器本体1の四周の側壁12a,12a,12b,12bの上端部に外嵌合し、その内部で、前記中蓋3の対向する端部壁32a,32aが容器本体1の支持用溝13を有する側壁12b,12bとは交差する側壁、すなわち収容されたガラス基板Bの板面に対向する側壁12a,12aの上端部に対し内嵌合している。そのため、容器本体1の各側壁12の蓋体2に対する外方向の撓み変形による変位が蓋体2により規制され、また、前記支持用溝13を有する左右側壁12b,12bの内方への撓み変形による変位が収容されているガラス基板Bにより規制される。さらに加えて、前記ガラス基板Bの板面と対向する側壁12a,12aの側では、該側壁12aの内方への変形変位を前記中蓋3により規制できることになる。また仮に、容器本体1の前記側壁12a,12aが蓋体2に対して相対的に内方に変位するときは、前記中蓋3も容器本体1に追従して変位することになる。そのため、中蓋2の天板21の下面に装着された天パッド5の支持用溝52の位置と、容器本体1の側壁内面の支持用溝13の位置との相対位置にずれが生じることがない。従って、支持用溝13及び52に嵌め込まれて一定間隔に並列して保持されているガラス基板Bに大きな撓みや溝外れが発生することがなく、ガラス基板Bの大きな撓み干渉に起因する破損を防止でき、ひいてはガラス基板Bの薄肉化にも対応できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の搬送容器は、素板ガラス、液晶表示用やプラズマ表示用のガラス基板等の比較的大型のガラス基板その他の衝撃に弱い各種の板状体の搬送、保管するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
A…搬送容器、B…ガラス基板、1…容器本体、11…底部、12a,12b…側壁、13…支持用溝、14…突縁、15…凸状枠部、16…凹部、17…バンド掛け用の凹部、2…蓋体、21…天板、22a,22b…垂下側壁、23…突縁、27…バンド掛け用の凹部、3…中蓋、31…天板、32a…端部壁、33…開口部、34…切欠部、35…凸状枠部、36…凹部、4…底パッド、41…パッド片、42…支持用溝、5…天パッド、51…パッド片、52…支持用溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を収容して搬送するための合成樹脂発泡体製の平面矩形の容器であって、上面が開口し、かつ、一方の相対向する側壁内面にガラス基板の側端部を支持する複数の支持用溝が設けられてなる容器本体と、前記
容器本体の側壁上端部に嵌合する垂下側壁を有する被着自在な蓋体と、該蓋体の内側でガラス基板の上端部を支持する溝付きの天パッドとを備えるガラス基板の搬送容器において、
前記蓋体とは別に該蓋体の内側で被着可能な中蓋を備え、この中蓋は、前記蓋体の内側に装入できる天板の下面において、前記容器本体の前記支持用溝を有しない他方の相対向する側壁と対応する側の両辺に、該側壁上端部に内嵌合する端部壁を有し、包装状態において、該中蓋の前記天板下面に前記天パッドが装設され、この状態で前記両端部壁が容器本体の側壁上端部に内嵌合し、前記蓋体の垂下側壁が側壁上端部に外嵌合することを特徴とするガラス基板の搬送容器。
【請求項2】
前記容器本体の前記支持用溝を有する側壁に対応する両辺で側方に開口している請求項1に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項3】
前記中蓋が、前記端部壁に沿う方向で複数に分割されてなる請求項1又は2に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項4】
前記天パッドが、前記中蓋とは別の弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、該中蓋の天板下面に装着されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項5】
前記天パッドが、前記中蓋の端部壁に沿う方向で複数のパッド片に分割形成され、各パッド片がそれぞれ中蓋に装着されてなる請求項4に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項6】
前記中蓋の天板下面に前記パッド片に対応する凸状枠部が設けられ、各パッド片が前記凸条枠部の内側に嵌合保持されてなる請求項5に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項7】
前記中蓋が適度の弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、前記天パッドが該中蓋の天板下面に一体に形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の搬送容器。
【請求項8】
前記中蓋が、容器本体及び蓋体と同程度の保形性及び弾力性を有するか、あるいは蓋体より柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなり、前記天パッドが中蓋と同程度の保形性及び弾力性を有するか、あるいは中蓋より柔軟な保形性及び弾力性を有する合成樹脂発泡体よりなる請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス基板の搬送容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−215262(P2010−215262A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62940(P2009−62940)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】