説明

ガラス板の加工機械

【課題】切断ヘッドと研削ヘッドとの互いの角度制御の回動を精度よく、素早く敏感に応答させ、高速加工にもかかわらず加工精度の高い生産を行い得るガラス板の加工機械を提供すること。
【解決手段】ガラス板の加工機械1は、ガラス板5に切線を入れる切断ヘッド9と切線の通り折割されたガラス板5の周縁を研削する研削ヘッド10とをNC制御により同時平行して移動しながら、それぞれに角度制御モータ46、49を備えた上記切断ヘッド9と研削ヘッド10をガラス板5の面に直交する軸39、39の回りで角度制御を同期させて行ない、切断ヘッド9のカッターホイール52の向きを加工ラインに合せ、研削へッド10の研削ホイール64の押圧接触方向をガラス板5のエッヂの加工ラインに対して法線方向に保つようにして、切断ヘッド9と研削ヘッド10を移動させてゆくようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓ガラス用ガラス板、液晶ガラス板、プラズマテレビ用のガラス板等を、切断、エッヂ研削して生産するガラス板の加工機械に関する。
【0002】
本発明は、切断(以下切線形成と称す)とエッヂ研削を同一装置で平行して行うガラス板の加工機械に関する。
【0003】
また、共通の制御データでもって動作させるようにしたガラス板の加工機械に関する。
【0004】
さらに、ガラス板に切線を形成する切断ヘッドと、切線の通り折割りされたガラス板のエッヂを研削する研削ヘッドとを、ガラス板の面に直交する軸の回りで再度制御してカッターホイールの切断方向が常に切線の接線方向を向くように、また研削ホイールの押圧接触方向がガラス板のエッヂの法線方向を保つようにしたガラス板の加工機械に関する。
【背景技術】
【0005】
【特許文献1】特開2002−68768号公報
【0006】
例えば、特許文献1においては、切断ヘッドと研削ヘッドとを平行して角度制御するため、切断ヘッドと研削ヘッドとをラインシャフト、ベベルギア等を介して連結し、上記ラインシャフトに制御用モータを連結し、ラインシャフトを回転するようにしたガラス板の加工機械が示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、現在、自動車用窓ガラス板の生産は、高速化が要求されている。従って、ガラス板の加工機械は高速の動きをしなければならない。
【0008】
切断ヘッド及び研削ヘッドの角度制御の回動も素早く、敏感に応答しなければならない。
【0009】
ところが、斯かるガラス板の加工機械では、切断ヘッドと研削ヘッドとはラインシャフト、ベベルギア・ベベルギアのきついかみ合せにより連結されているため回動に対する慣性、抵抗が大きく敏感な応答が困難である。
【0010】
また、ガタが発生し易い。
【0011】
このため、ガラス板のコーナー形成に精度が落るものである。
【0012】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切断ヘッドと研削ヘッドとの互いの角度制御の回動を精度よく、素早く敏感に応答させ、高速加工にもかかわらず加工精度の高い生産を行い得るガラス板の加工機械を提供することにある。
【0013】
また、切断ヘッドの腰部、研削ヘッドの腰部へ、圧縮エーア、給油、給水、電源が容易にかつスムースに送られるようにしたガラス板の加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
カッターホイールを備えた切断ヘッドとガラス板を支持する切断テーブルとを備え、切断ヘッドと切断テーブルとをNC制御させて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行う切断部と、研削ホイールを備えた研削ヘッドとガラス板を保持する研削テーブルを備え、研削ヘッドと研削テーブルとをNC制御させて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行う研削部とからなり、切断部と研削部とは同時平行して同一の輪郭運動軌跡を行いながら、さらに切断ヘッドと研削ヘッドが上記平面座標系に直交する軸の回りで角度制御されるようにしたガラス板の加工機械において、切断ヘッドと研削ヘッドとは、それぞれに角度制御モータを備え、切断ヘッドの角度制御と研削ヘッドの角度制御とを同期させて運転するようにしたガラス板の加工機械である。
【0015】
また、上記の切断ヘッド及び研削ヘッドのそれぞれは、平面座標動きの一方の軸として移動する移動台に、軸線が平面座標動き面に直交して、回転自在に取付けられたそれぞれ中空の回転軸の下端部に、側方から取付けられ、かつそれぞれの上記回転軸の上端部には、側方から伝動手段を介して、角度制御モータが連結され、さらに、上記回転軸は中空部が上端から下端に貫通させてある。
【発明の効果】
【0016】
切断ヘッド及び研削ヘッドは、それぞれに角度制御モータを備えているため、切断ヘッド及び研削ヘッドは、直接に独立して角度制御回動され、素早く敏感に応答した角度制御が行われる。
【0017】
輪郭制御されて描かれてゆく加工ラインに合わせて切断ヘッド及び研削ヘッドをスピーデーに、精確に角度制御することができる。
【0018】
即ち、切断ヘッドにあっては、高速に移動し、刻々向きを変える加工ラインに対してカッターホイールの向きをスピーデーに、精確に合わせることができ、また研削ヘッドにあっては、刻々形状変化をするエッヂ加工ラインに対してその法線方向に向って研削ホイールの周端縁の同一部を常に合わせ、かつ押圧当てして移動するように、角度制御を刻々スピーデーに、精確に、ガタなく滑らかに行なうことができる。
【0019】
従って、高速加工ができ、高い生産性が得られる。
【0020】
さらに、鋭角なコーナー形状加工においても、形崩れのない精確な形状が高速加工で得られる。
【0021】
下端部に切断ヘッドが、上端部には角度制御モータが取付けられ、切断ヘッドを角度制御回動させるところの回転軸、及び下端部に研削ヘッドが上端部には角度制御モータが取付けられ、研削ヘッドを角度制御回動させるところの回転軸は、共に中空構造であって、その中空部が上端から下端に貫通している。
【0022】
さらに、この中空の回転軸に対して、切断ヘッド、研削ヘッド及び角度制御モータが側方から取付けられているため、回転軸は中空部が上端から下端に貫通し、開口している。
【0023】
このため、回転軸の中空部に、圧縮エーア管、給油チューブ、給水チューブ、電源線を通すことができ、切断ヘッド、研削ヘッドが回動するにもかかわらず、その切断ヘッド、研削ヘッドに十分に圧縮エーア、給油、給水、電源が供給できる。
【0024】
次に、本発明の具体例を図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本実施例のガラス板の加工機械1は、第1図、第2図に示すように、右側にはガラス板5に切線を形成する切断部2、左側にはガラス板の周縁を研削する研削部3、中央に折割部4、そして背後にガラス板5を搬送するガラス板搬送部6が配置されている。
【0026】
さらに、切断部2の前方にはガラス板5の入込み待期コンベア7が、研削部3の後方には取出しコンベア8が配設されている。
【0027】
切断部2には、カッターホイール52を備えた切断ヘッド9とガラス板5を支持する切断テーブル12を備える。
【0028】
また、研削部3には、研削ホイール64を備えた研削ヘッド10とガラス板5を保持する研削テーブル13を備える。なお、研削テーブル13においてガラス板5を直接に保持するのは、この研削テーブル13上に配置した複数の吸盤22である。
【0029】
上記切断ヘッド9と切断テーブル12は、NC制御されて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行ない、また上記研削ヘッド10と研削テーブル13もまたNC制御されて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行なう。
【0030】
そして、切断部2における上記輪郭制御運動と研削部3における上記輪郭制御運動とは、同時平行して同一に行なわれる。
【0031】
切断部2の切断ヘッド9と研削部3の研削ヘッド10とは、共通の移動台11に装置されており、この移動台11は、X軸方向の運動(以下、移動と称す)を行なう。
【0032】
よって、切断ヘッド9至いてはカッターホイール52と研削ヘッド10、至いては、研削ホイール64とはX軸を共用し、一体となってX軸方向の移動を行なう。
【0033】
一方、切断ヘッド9に対応して、Y軸方向に移動する切断テーブル12と研削ヘッド10に対応してY軸方向に移動する研削テーブル13とは、それぞれ独立して装置されているが、共に同期制御される。
【0034】
切断テーブル12と研削ヘッド13の前方上方には、架台16が架設されている。
【0035】
架台16は機台14の前後端において立設された門型の枠台15、15に架設されている。
【0036】
この架台16の正面32に2組のスライドレール装置17及び17が、X軸方向に沿って、平行に設けられている。
【0037】
このスライドレール装置17及び17は、架台16に敷設されたレール本体18と、このレール本体18上を移動する複数のスライド19とからなり、これらのスライド19には移動台11が固定されている。
【0038】
この移動台11には、前述したように前記切断ヘッド9及び研削ヘッド10が装置されている。
【0039】
したがって切断ヘッド9及び研削ヘッド10は、上記スライドレール装置17及び17によってX軸方向に移動台11と共に一体となって移動する。
【0040】
X軸方向への移動台11の駆動は2組のスライドレール装置17の間に設けられた送りねじ20と、この送りねじ20に接続されたX軸制御モータ21とによって行われる。
【0041】
切断テーブル12の上面は、ガラス板5を平面支持するように形成されている。
【0042】
研削テーブル13は、上面に複数個の吸盤22が配置され、これら吸盤22上にガラス板5が平面を保って吸着固定される。
【0043】
上記切断テーブル12はY軸方向に沿って配設されたスライド装置23上に載設されている。
【0044】
これらスライド装置23はガイドレール24とこのガイドレール24に組付けたスライドブロックを備え、上記切断テーブル12は、これらスライドブロックに取付けられている。
【0045】
切断テーブル12のY軸方向移動は上記ガイドレール24、24に沿って設けられた送りねじ25と送りねじ25に連結したY軸制御モータ26とによって行なわれる。
【0046】
また、研削テーブル13は、同じようにY軸方向に沿って配設されたスライド装置27上に載設されている。
【0047】
もちろん、このスライド装置27もまた、ガイドレール28とこのガイドレール28に組付けられたスライドブロックを備え、これらスライドブロック上に上記研削テーブル13が取付けられている。
【0048】
研削テーブル13のY軸方向移動は、上記ガイドレール28、28に沿って配設された送りねじ29とこの送りねじ29に連結されたY軸制御モータ30とにより行なわれる。
【0049】
切断テーブル12と研削テーブル13とが同期してY軸方向に移動されるように、個々独立して配されたY軸制御モータ26とY軸制御モータ30とは数値制御装置によって同期して作動される。
【0050】
次に、第4図に拡大して示すように、X軸方向に移動する移動台11の正面32には、前記切断テーブル12に対応して軸受装置33が研削テーブル13に対応して軸受装置34が、それぞれ取付けられている。
【0051】
軸受装置33には、ベアリング(図示されていない)より保持された回転軸36を備える。
【0052】
また軸受装置34には、ベアリング37、37により保持された回転軸38を備える。
【0053】
上記の回転軸36と38は回転軸心がX−Y平面座標系、つまりガラス板5の上面に対して直交した状態に組込まれている。
【0054】
回転軸36及び38はガラス板5の上面に直交した軸39を中心に回転する。
【0055】
なお、回転軸36及び38のそれぞれは、上端から下端に至って貫通した中空部40を備える。(第7図)
【0056】
軸受装置33に組込まれた回転軸36及び軸受装置34に組込まれた回転軸38は、共に、その上端部41、42及び下端部43、44それぞれの軸受装置33、34から上方にまた下方に露出している。
【0057】
切断部2における回転軸36は、その下端部43にはブラケット45を介して切断ヘッド9が取付けられている。
【0058】
さらに、この回転軸36の上端部41には、角度制御モータ46が平歯車47、47を介して連結されている。
【0059】
他方、回転軸38は、その下端部44において、ブラケット48を介して研削ヘッド10が取付けられている。
【0060】
同じく、この回転軸38の上端部42には、角度制御モータ49が平歯車50、50を介して連結されている。
【0061】
回転軸36に連結された角度制御モータ46及び回転軸38に連結された角度制御モータ49は、共に、それぞれの回転軸36、38の側方に配置し、それぞれの回転軸36、38に側部から上記平歯車47、47、50、50を介して連結されている。
【0062】
また、上記角度制御モータ46及び49のそれぞれは、共に、移動台11の正面32から立設されたブラケット51、52に保持されており、もちろん移動台11と一体となってX軸方向を移動する。
【0063】
また、回転軸36の下端部43に取付けされた切断ヘッド9及び回転軸38の下端部44に取付けされた研削ヘッド10もまた、共に、その下端部43、44において、それぞれの回転軸36及び38を側部から掴み取付けされた上記ブラケット45、48を介して取付けられている。
【0064】
従って、回転軸36及び38のそれぞれは、上端部41、42において、角度制御モーター46及び49により角度制御回動の駆動を受けて、それぞれの下端部43に取付けた切断ヘッド9及び研削ヘッド10をガラス板5の上面に直交する軸39の回りで角度制御回動させる。
【0065】
第2図に示すように、回転軸36及び38は共に、中空構造であり、その中空部40において、上端部41、42から下端部43、44に圧縮エーアのチューブ、給水のホース、電線、給油のチューブ95を通し、下端部43、44に取付けの上記切断ヘッド9には圧縮エーアカッターオイル等を供給し、研削ヘッド10には、給水、電源を供給する。
【0066】
切断ヘッド9は、カッターホイール52を備えたカッターヘッド本体53と、このカッターヘッド本体53を保持し、このカッターヘッド本体53の位置をガラス板5の面に平行な面内で直交する2方向(X方向、Y方向)に調整するところの位置調整手段54とカッターヘッド本体53の上部に取付けられ、上記カッターホイール52をZ軸方向に上下動し、ガラス板5に切線を形成する時にはカッターホイール52に切り圧を与えるエーアシリンダ装置55を備える。
【0067】
位置調整手段54は上記カッターヘッド本体53を保持する。
【0068】
Y方向スライド56と、このY方向スライド56をY方向に可動自在に保持するX方向スライド57とこのX方向スライド57をX方向に可動自在に保持するブラケット58とからなる。
【0069】
そして、ブラケット58の上部59が回転軸36の下端部43に掴み取付けたブラケット45に懸吊的に取付けられている。
【0070】
カッターヘッド本体53は、下端にカッターホイール52が取付けられたシャフト60と、このシャフト60をZ軸方向に上下スライド動及びガイドするスライドベアリングとを内蔵している。
【0071】
そして、シャフト60の上端が上記エーアシリンダ装置55のピストンロッドに連結している。
【0072】
切断ヘッド9はY方向スライド56を微調整移動させることによりカッターホイール52を回転軸36の軸心に、合わせたりまたずらして切線の軌跡の微調整を行なうことができる。
【0073】
研削ヘッド10はスピンドルモータ61とこのスピンドルモータ61の位置をガラス板5の面に平行な面内で、直交する2方向(X方向、Y方向)に夫々調整するための位置調整手段62を備える。そして、スピンドルモータ61の回転シャフト63に研削ホイール64が装着されている。
【0074】
位置調整手段62は上記スピンドルモータ61を保持するY方向スライド65と、このY方向スライド65をY方向に可動自在に保持するX方向スライド66とこのX方向スライド66をX方向可動自在に保持するブラケット67とからなる。
【0075】
このブラケット67の上部68が回転軸38の下端部44に掴み取付けしたブラケット45に懸吊的に取付けされている。
【0076】
研削ホイール64は、上記位置調整手段62の調整によって、その周端面(研削面)が、回転軸38の軸心と一致させるようにしてある。なお、上記Y方向スライド65をY方向に微調整動きをさせて回転軸38の軸心に対する研削ホイール64の周端面(研削面)の位置を微調変化させ研削しろを調整する。
【0077】
折割り部4には、搬送されて来た切線入りのガラス板5を置く水平のベルトコンベア69と、このベルトコンベア69上に置かれたガラス板5を折割りする2基の折割装置70及び70とを備える。
【0078】
各折割り装置70及び70は、端切りカッター装置71とプレス装置72と、端切りカッター装置71及びプレス装置72を保持し、これら端切りカッター装置71及びプレス装置72を、ガラス板5上を、ガラス板5の面に沿って移動させる移動手段73とよりなる。
【0079】
移動手段73は、端切りカッター装置71及びプレス装置72を保持し、この端切りカッター装置71及びプレス装置72をY方向に数値制御移動させるY方向移動装置74と、このY方向移動装置74をX方向に数値制移動をさせるX方向移動装置75を備え、このX方向移動装置75が架台16及び架台76にブラケットを介して取付けられている。
【0080】
ベルトコンベア69は、コンベアベルト77とコンベアベルト77を内側から平面に支える支持板兼フレーム78とベルトコンベア69を回走させる駆動装置79とを有しており、支持板兼フレーム78においてブラケットを介して機台14から支持されている。
【0081】
折割部4の動作は、まず、切断部2で切線を入れられたガラス板5が切断部2に対応の吸着パット装置80によりベルトコンベア69上に置かれる。すると、この吸着パット装置80は切断部2へ復帰し、代りにこの折割部4に復帰した折割部4に対応の吸着パット装置81が降下して、ベルトコンベア69上に置れたガラス板5を押えて固定状態とする。
【0082】
すると、先ず折割装置70の端切りカッター装置71が必要箇所へ順次移動してゆき、ガラス板5に端切り線を入れてゆく。次に、プレス装置72が必要箇所に順次移動してプレスを施し、不要部を折割り、切離してゆく。
【0083】
不要部を折割り、切離されたガラス板5は折割部4に対応の吸着パット81により吸着、持上げられ、この状態で次に研削部3への搬送を待つ。
【0084】
このとき、ベルトコンベア69が作動し、コンベアベルト77上の折割りカレットは外部へ排出される。
【0085】
ガラス板搬送部6は、切断テーブル12の上、折割部4のベルトコンベア69の上、研削テーブル13の吸盤22の上を、X軸方向に平行に往復移動する往復移動台84と、この往復移動台84にブラケット85を介して定間隔を保って取付けられた4基の吸着パット装置80、81、82、83と、往復移動台84及び吸着パット装置80、81、82、83を一体として定間隔を往復動させる駆動装置としての送りねじ91及び送り軸制御モータ92とからなる。
【0086】
吸着パット装置80は入込み待期コンベア7に対応して設けられ、吸着パット装置81は切断テーブル12に対応して設けられ、吸着パット装置82は折割部4のベルトコンベア69に対応して設けられ、吸着パット装置83は研削テーブル13の吸盤22らに対応して設けられている。
【0087】
上記の各吸着パット装置80、81、82、83それぞれは、ガラス板5を吸着または解放するところの吸着パット86とこの吸着パット86を上下動させる上下動装置87とからなり、この上下動装置87が前記ブラケット85に取付けられている。
【0088】
なお、ブラケット85は、往復移動台84に取付けられているので吸着パット装置80、81、82、83は往復移動台84に取付けられている。
【0089】
往復移動台84は、前記架台76にX軸方向に平行に設置されたスライド装置88に取付けられている。
【0090】
スライド装置88は、平行に設置したガイドレール89とこのガイドレール89に組付けたスライド90とからなり、このスライド90、90に上記往復移動台84が取付けられている。往復移動台84の往復移動は、上記ガイドレール89、89間に設けた送りねじ91とこの送りねじ91に連結した送り軸制御モータ92とにより駆動する。送り軸制御モータ92は数値制御装置からの数値情報に基づいて数値制御により精確に搬送される。
【0091】
なお上記第二架台76は前記第一架台16の後方において、第一架台16と平行にして、機台14の前後端に立設の枠台15、15に架設されている。
【0092】
ガラス板搬送部6の動作は、先ず吸着パット装置80が入込み待期コンベア7上に、吸着パット装置81が切断テーブル12上に、吸着パット装置82が折割部4のベルトコンベア69上に、吸着パット装置83が研削テーブル13上に、それぞれ待機しているときが搬送始期位置である。
【0093】
この搬送始期位置において吸着パット装置80の吸着パット86、吸着パット装置81の吸着パット86、吸着パット装置83の吸着パット86が一せいに降下し、ガラス板5、5、5を吸着し、持上げる。次に、往復移動台84が往行程を移動し、ガラス板5を吸着した状態で吸着パット装置80は切断テーブル12上に、吸着パット装置81は折割部4のベルトコンベア69上に、吸着パット装置82は研削テーブル13の吸盤22上に吸着パット装置83は取出しコンベア8上に、一体として達する。すると、各吸着パット装置80、81、82、83は、吸着パット86を降下し、ガラス板5を解放し、切断テーブル12上に、ベルトコンベア69上に、研削テーブル13の吸盤22上に、取出しコンベア8上に、ガラス板5を置く。その後、各吸着パット装置80、81、82、83は、その吸着パット86を持上げ、往復移動台84と共に始期位置に復行程を復帰する。
【0094】
ガラス板搬送部6の上記の動作によって、入込み待期コンベア7上の素板ガラス板5は切断テーブル12上に、切断テーブル12上で切線入されたガラス板5は折割部4のベルトコンベア69上に、折割部4の折割済ガラス板5は研削テーブル13の吸盤22上に、研削テーブル13の吸盤22上でエッヂを研削されたガラス板5は取出しコンベア8上に排出される。
【0095】
ガラス板搬送部6の上記動作の繰返しによってガラス板5は入込み待期コンベア7、切断テーブル12、折割部4のベルトコンベア69上、研削テーブル13の吸盤22、取出しコンベア8へと順送りされる。
【0096】
次に上記のようになる本実施例のガラス板の加工機械1における切断部2、研削部3の動作を詳述する。
【0097】
切断テーブル12に素板ガラス板5が、研削テーブル13の吸盤22、22上に折割されたガラス板5が搬入されると、切断ヘッド9、研削ヘッド10は共用の移動台11と一体となってX軸移動し、一方切断テーブル12と研削テーブル13とは、同期制御されて共にY軸移動する。
【0098】
切断部2において、切断ヘッド9のカッターホイール52と切断テーブル12上のガラス板5とが輪郭制御運動してカッターホイール52はガラス板5上に切線入れラインを移動する。
【0099】
同時に、研削部3においては、研削ヘッド10の研削ホイール64と研削テーブル13の吸盤22上に吸着保持されたガラス板5とが輪郭制御運動して研削ホイール64はガラス板5の四囲を巡る。
【0100】
切断ヘッド9のカッターホイール52と研削ヘッド10の研削ホイール64は同時、平行して同一の運動軌跡を描いて移動する。
【0101】
この時、同時に切断ヘッド9が備える角度制御モータ46と研削ヘッド10が備える角度制御モータ49が同期運転され切断ヘッド9と研削ヘッド10は同一回転角度の制御が同期平行して行われる。このとき、切断ヘッド9にあっては、刻々向きが変る切線入れラインにカッターホイール52の向きを合せながら移動し、研削ヘッド10にあっては研削ホイール64をその押圧方向が常にガラス板5の側端面の法線方向を向くように首振しながら移動する。
【0102】
即ち、切断部2と研削部3は同一輪郭運動軌跡と同一角度制御運動を同時並行して行ない、ガラス板5への切線入れ(切断)とガラス板5の周縁研削を同時に行なう。
【0103】
上記の如くのガラス板5の加工において、切断ヘッド9及び研削ヘッド10はそれぞれに、角度制御モータ46、49を備え、直接に角度制御回動を受けるため、切断ヘッド9にあっては、刻々向きを変える加工ラインに対してカッターホイール52の向きを素早く、敏感に、かつ精確に合わすことができ、また研削ヘッド10にあっては刻々変化するガラス板エッヂの加工ラインに対して、その法線方向に向って研削ホイール64の周端部の同一部を常に合わせ、かつ押圧当てして、移動するように角度制御が素早く、精確に、ガタなく滑らかに行なうことができる。
【0104】
従って、高速加工ができ、高い生産性が得られる。さらに、鋭角なコーナー形状加工においても、形崩れのない精確な形状が高速加工で得られる。
【0105】
また、下端部に切断ヘッドが、上端部には角度制御モータが取付けられ、切断ヘッドを角度制御回動させるところの回転軸、及び下端部と研削ヘッドが上端部には角度制御モータが取付けられ研削ヘッドを角度制御回動させるところの回転軸は、共に中空構造であって、その中空部が上端から下端に貫通している。さらに、この中空の回転軸に対して切断ヘッド、研削ヘッド及び角度制御モータが側方から取付けられているため、回転軸は中空部が上端から下端に貫通し、開口している。このため、回転軸の中空部に圧縮エーア管、給油チューブ、給水チューブ、電源線を通すことができ、切断ヘッド、研削ヘッドが回動するにもかかわらず、その切断ヘッド、研削ヘッドに十分に圧縮エーア、給油、給水、電源が供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1図は本発明の一実施例の正面図。
【図2】第2図は第1図に示す実施例の平面図。
【図3】第3図は第1図に示す一部切欠の平面図。
【図4】第4図は要部の正面図。
【図5】第5図は第1図に示す実施例のA−A線断面図。
【図6】第6図は第1図に示す実施例のB−B線断面図。
【図7】第7図は要部を断面で示した研削ヘッドの正面図。
【図8】第8図は第2図に示す実施例のC−C線断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターホイールを備えた切断ヘッドとガラス板を支持する切断テーブルとを備え、切断ヘッドと切断テーブルとをNC制御させて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行なう切断部と、研削ホイールを備えた研削ヘッドとガラス板を保持する研削テーブルを備え、研削ヘッドと研削テーブルとをNC制御させて直交の平面座標系において輪郭制御運動を行なう研削部とからなり、切断部と研削部とは同時平行して同一の輪郭運動軌跡を行ないながら、さらに切断ヘッドと研削ヘッドが上記平面座標系に直交する軸の回りで角度制御されるようにしたガラス板の加工機械において、切断ヘッドと研削ヘッドとは、それぞれに角度制御モータを備え、切断ヘッドの角度制御と研削ヘッドの角度制御とを同期させて運転するようにしたガラス板の加工機械。
【請求項2】
切断ヘッド及び研削ヘッドのそれぞれは、平面座標動きの一方の軸として移動する移動台に、軸線が平面座標動き面に直交して、回転自在に取付けられたそれぞれ中空の回転軸の下端部に、側方から取付けられ、かつそれぞれの上記回転軸の上端部には、側方から伝動手段を介して角度制御モータが連結され、さらに上記回転軸は、中空部が上端から下端に貫通している請求項第1項に記載のガラス板の加工機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−196851(P2009−196851A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40489(P2008−40489)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000174220)坂東機工株式会社 (51)
【Fターム(参考)】