ガルバノスキャナ及びレーザ加工機
【課題】トルク定数と慣性モーメントの比を向上させ、駆動に必要な電流を小さくして駆動時の消費電力の低減を図る。
【解決手段】回転中心となる軸10と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石11で構成される回転子と、該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイル13とヨーク14とアウターケース15とで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナ1において、永久磁石11には回転軸方向の溝50を周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨って形成し、当該永久磁石11は分割線60によって1極あたり2個以上に分割した。
【解決手段】回転中心となる軸10と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石11で構成される回転子と、該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイル13とヨーク14とアウターケース15とで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナ1において、永久磁石11には回転軸方向の溝50を周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨って形成し、当該永久磁石11は分割線60によって1極あたり2個以上に分割した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被書き込み媒体に光書き込みを行うガルバノスキャナ及びレーザ加工機に係り、特に、軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石を回転子として使用するガルバノスキャナと、このガルバノスキャナを備えたレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の穴加工を行う装置は、ドリルで穴明けを行うドリル加工機とレーザビームで穴明けを行うレーザ加工機に大別される。一方、近年、プリント配線板は多層化し、素子などの実装穴あるいは層間接続穴が高密素になり、1枚あたりの穴数は増加傾向にある。そのため、穴明け機はドリル加工機からレーザ加工機に移行しつつある。また、レーザ加工機には穴数増加に伴う穴明け速度の高速化が求められている。
【0003】
レーザ加工機では、図26に示すようにレーザ光源110から出射されたレーザ光111をガルバノスキャナ1によって偏向走査し、fθレンズ112によりプリント配線板113上に集光して穴明けを行うのが一般的である。その際、前記穴明け速度の高速化に対応するために、ガルバノスキャナ1の応答速度を高速化する必要があり、ガルバノスキャナ1の応答速度を高速化するためには、コイルに流れる電流を増加させる必要がある。しかし、コイルに流れる電流を増加させると、コイルで発生するジュール熱も増大する。なお、ガルバノスキャナ1は軸の一端にガルバノミラー100が取り付けられ、レーザ光111はこのガルバノミラー100の揺動により偏向され、プリント配線板113上を走査する。
【0004】
コイルで発生したジュール熱は、空隙を介して回転子として使用される永久磁石に伝わり、永久磁石の温度が上昇する。また、高速応答の場合、永久磁石に流れる渦電流も増大するため、さらに永久磁石の温度が上昇する。これらの温度上昇により、永久磁石が減磁し、回転トルクが減少する。その結果、駆動時の消費電力が増大する。すなわち、応答周波数の高速化に伴い、ガルバノスキャナ駆動時の消費電力が上昇することは避けられなかった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1ないし3には、このような消費電力の上昇を抑えるようにした技術が提案されている。このうち、特許文献1には、回転界磁を構成する永久磁石の表面に生ずる渦電流を低減するため、回転軸に固定された回転子鉄心の上に鉄分を含有する永久磁石により構成された回転界磁を有する永久磁石式回転電機の回転子であって、前記回転界磁は前記回転軸の軸線方向に並ぶ複数の分割永久磁石ユニットからなり、隣接する二つの前記分割永久磁石ユニットの隣接する端面間には、該隣接する二つの分割永久磁石ユニットに跨って渦電流が流れるのを阻止する電気絶縁層が配置されていることを特徴とする発明が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、可動磁石式アクチュエータにおける永久磁石の温度上昇を抑制し、穴位置精度の劣化を防ぐため、回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、前記永久磁石に、前記固定子側に開口し、深さが前記永久磁石の体積抵抗率と透磁率と前記コイルに通電する電流の基本周波数との関数で表される表皮深さ以上である径方向の溝を形成したことを特徴とする発明が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、スキャナのトルク定数を均一化して、位置決め精度の向上を図るため、軸とこの軸の外周側に取り付けた永久磁石を有する回転子と、回転子の外側に配置した固定子とを備え、この固定子は、ケーシングと、ケーシングの内周側に保持したヨークと、ヨークの内周側に配置したコイルとを有するものであるスキャナにおいて、前記回転子の永久磁石は、半径方向に凹んだ溝が外周部に形成されており、この溝によりスキャナのトルク定数を周方向に均一化したことを特徴とする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−252835号公報
【特許文献2】特開2008−43133号公報
【特許文献3】特開2007−6626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように特許文献1では、隣接する二つの分割永久磁石ユニットの隣接する端面間に当該二つの分割永久磁石ユニットに跨って渦電流が流れるのを阻止する電気絶縁層を配置することにより、また、特許文献2では、径方向の溝を永久磁石に形成して共に渦電流の発生を抑制することが記載され、特許文献3では、周方向におけるトルク定数の均一化に関する記載があるだけである。いずれにしても、消費電力の低減を図ることを意図しているが、消費電力の低減を図るためには、ガルバノスキャナのトルク定数と慣性モーメントの比が問題となる。
【0010】
しかし、特許文献1ないし3に記載された発明では、トルク定数と慣性モーメントの比については、特に配慮されていない。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、トルク定数と慣性モーメントの比を向上させ、駆動に必要な電流を小さくして駆動時の消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、第1の手段は、回転中心となる軸と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石で構成される回転子と、該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイルとヨークとアウターケースとで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナにおいて、前記永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されていることを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、第1の手段において、前記永久磁石には回転軸方向の溝が周方向に隣り合う永久磁石の磁極に跨って形成されていることを特徴とする。
【0014】
第3の手段は、第2の手段において、前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が直線になっていることを特徴とする。
【0015】
第4の手段は、第2の手段において、前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が前記軸側に凸形状であることを特徴とする。
【0016】
第5の手段は、第3又は第4の手段において、前記ガルバノスキャナの揺動範囲内で常に前記溝が前記コイルの巻かれていない中空部と対向する個所に位置していることを特徴とする。
【0017】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は直線形状の断面を有することを特徴とする。
【0018】
第7の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記軸側に凸の折れ線形状の断面を有することを特徴とする。
【0019】
第8の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する1本以上の直線形状の断面を有することを特徴とする。
【0020】
第9の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する2本の分割線と径方向に分割する分割線とを含むことを特徴とする。
【0021】
第10の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する分割線と径方向に分割する折れ線形状の分割線とを含むことを特徴とする。
【0022】
第11の手段は、第1ないし第10のいずれかの手段に係るガルバノスキャナをレーザ加工機が備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されているので、トルク定数と慣性モーメントの比を向上させ、駆動に必要な電流を小さくして駆動時の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1に係るガルバノスキャナの構成を示す横断面図である。
【図2】図1に示したガルバノスキャナの縦断面図である。
【図3】回転子の斜視図である。
【図4】固定子の内部を断面して示す斜視図である。
【図5】分割線はあるが溝がない場合の回転子の要部構成を示す断面図である。
【図6】分割線と溝を共に設けた場合の回転子の要部構成を示す断面図である。
【図7】実施例1における渦電流損失低減率を示す特性図である。
【図8】永久磁石角度を説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図9】溝角度を説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図10】溝角度を90度としたときの永久磁石角度とトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。
【図11】永久磁石角度を60度としたときの溝角度とトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。
【図12】分割線の厚みについて説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図13】分割線の厚みと渦電流損失低減率との関係を示す図である。
【図14】分割線を折れ線形状とした実施例1の変形例に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図15】図14における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図16】実施例1の変形例に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図17】実施例2に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図18】図17における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図19】実施例2に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図20】実施例3に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図21】図20における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図22】実施例3に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図23】実施例4に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図24】図23における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図25】実施例4に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図26】従来から実施されているガルバノスキャナを使用したレーザ加工機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の各実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本実施形態の実施例1に係るガルバノスキャナの構成を示す横断面図、図2は縦断面図、図3は回転子の斜視図、図4は固定子の内部を断面して示す斜視図である。
【0027】
ガルバノスキャナ1は図3に示す回転子20と図4に示す固定子30とを備え、図1及び図2に示すように固定子30の内側に回転子20が配置され、回転子20の軸10の両端部側で軸受け101を介して固定子30に回転可能に支持されている。また、回転子20は軸10と永久磁石11とから、固定子30はコイル13とヨーク14とアウターケース15とからそれぞれ構成される。これにより図1及び図2に示すようにガルバノスキャナ1は、ガルバノスキャナ1の内側より、軸10、永久磁石11、空隙12、コイル13、ヨーク14、アウターケース15の順で配置されることになる。
【0028】
図2に示すように、回転子20は回転軸である軸10周りに自由度があり、軸10の一端にはミラー100、他端にはミラー100の回転角度を検出するエンコーダ102が取り付けられている。なお、軸受け101はアウターケース15に取り付けられ、アウターケース15の両端部で軸10を回動可能に支持する。
【0029】
図1において永久磁石11はフェライト、サマコバ、ネオジウム系等の金属系永久磁石で構成され、それぞれ外周表面の磁極は図1に示すようにN極とS極とが配置されており、隣り合うそれぞれの永久磁石11表面の磁極の極性は互いに異なっている。この永久磁石11には、周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨り、永久磁石11の回転軸方向に沿って溝50が形成されている。この溝50は軸10の円周方向に複数本形成されている。図1では周方向に4本形成されている。各溝50は後述の図9に示すように切れ込み角θで軸方向に沿って延びたものである。ちなみに図1の例では、切れ込み角θは90度である。
【0030】
本実施例では4極の場合を扱うため、コイル13は永久磁石11の磁極の数に対応し、周方向に90度間隔で4個所に配置されており、図4に示すようにコイル13が巻かれ、電流6が流れている。すなわち、図1においてコイル13は紙面に向かって垂直方向に巻かれて電流が流れており、その方向は周方向に±90度離れたコイル13と互いに逆になる。
【0031】
本発明の特徴となる永久磁石11には、周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨るようにトルク定数と慣性モーメントの比(トルクイナーシャ比)を向上させる溝50が前述のように回転軸方向に4本形成されている。また、ガルバノスキャナ1の揺動範囲内においてコイル13が巻かれていない部分、すなわち、コイル中空部17と溝50は常に対面する。
【0032】
また、図1に示すように永久磁石11において、各磁極について分割線60が設けられている。分割線60は磁極を挟む溝50に対してそれぞれ直交する方向に形成されている。分割線60は、溝50がなく永久磁石11が円柱形状に形成されている場合における弦のように軸10に平行に設けられ、弦の両端が両側の溝50に届くようにして径方向に永久磁石11を分割している。すなわち、分割された永久磁石11同士が、分割線60を構成する接着層を介して双方結合した構造となっている。
【0033】
ここで、この溝50を設けた場合と設けない場合の渦電流損失低減率及びトルク定数と慣性モーメントの比(トルクイナーシャ比)を比較する。図7は渦電流損失低減率を示す特性図で横軸に永久磁石11の厚み90に対する分割線60の位置を、縦軸に渦電流損失低減率をそれぞれ示す。なお、厚み90は図5の溝50を形成しない場合の要部断面図に示すように軸10の外周から永久磁石11の外周までの距離であり、分割線60の位置は軸10の外周から分割線60の中心線80までの距離である。図7では、軸10の径が8mm、分割線60の厚みが0.1mmであって、永久磁石11の厚みを軸10の半径の0.7倍、1.45倍としたときの分割線60及び溝50がない場合に対する渦電流損失の低減率を示している。なお、横軸の分割線60の位置は永久磁石の厚み90に対する軸10から分割線60の距離91の割合であり、距離91は分割線の中心線80までの距離である。この分割線60の位置が7.5%〜95%の範囲で分割線60の製作が可能である。
【0034】
この結果では、永久磁石11の厚み90が異なっても、分割線60の位置がどの位置であっても渦電流損失の低減率は20%を超えており、どんな場合でも渦電流損失は溝50及び分割線60がない場合に比べて渦電流損失を低減できる。また、永久磁石11の厚み90がいずれの場合であっても分割線60の位置が50%程度のときが最も渦電流損失低減率が高い。
【0035】
次に、図5及び図6を用いて溝50がある場合とない場合を比較する。図5は回転子20に分割線60はあるが溝50がない場合、図6は分割線60と溝50を共に設けた場合の例である。永久磁石11の直径が19.6mm、軸径が8mmの場合、分割線位置が厚みの77.4%のときに、図6に図示するように溝50の端点51を分割線60の中心線80が通ることとなる。ここで、溝50の角度(切れ込み角)θ(図9参照)を90度、永久磁石11の角度φ(図8参照)を60度とすると、図7に示すように溝50なしの場合の渦電流損失低減率47%に対し、溝50ありの場合の渦電流損失低減率は56%と約10%の効果がある。
【0036】
ここで、トルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比について検討する。図8においてφはマグネット角度、δはコルク巻き角度、図9においてθは溝10の角度を示す。図10は溝角度θを90度としたときの永久磁石11の角度φとトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。同図から溝角度θが90度で、分割線60の厚みが0.1mm以下の場合、トルクイナーシャ比は最大で1.5%程度低減するのでその分を見積もると、トルクイナーシャ比が1.015以上であれば分割によるトルクイナーシャ比の低減を防ぐことができる。よって、分割の厚みが0.1mm以下の場合、永久磁石角度φが58度から72度の範囲で、トルクイナーシャ比が実質的に1以上となることが分かる。そのため、永久磁石角度φが58度から72度の範囲であれば、トルクイナーシャ比の面から消費電力の削減が可能となる。好適には65度近傍で最大のトルクイナーシャ比を得ることができる。このことは、永久磁石角度φは58度から72度であれば、消費電力を削減可能であり、永久磁石角度φが65度近傍を選択すれば、消費電力の削減効果が最も大きいことを意味する。なお、図8の例では、コイル巻き角度δも60度である。
【0037】
図11は永久磁石角度φを60度に固定したときの溝50の角度θとトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。同図から、分割線60の厚みが0.1mm以下の場合に、上記と同様の理由でトルクイナーシャ比が1.015以上であれば分割によるトルクイナーシャ比の低減を防ぐことができる。よって、分割の厚みが0.1mm以下の場合、溝角度θが85度から155度の範囲で、トルクイナーシャ比が実質的に1以上となることが分かる。そのため、溝角度θが85度から155度の範囲であれば、トルクイナーシャ比の面から消費電力の削減が可能となる。好適には120度近傍で最大のトルクイナーシャ比を得ることができる。このことは、溝角度θは85度から155度であれば、消費電力を削減可能であり、溝角度θが120度近傍を選択すれば、消費電力の削減効果が最も大きいことを意味する。
【0038】
また、図12に示すように上記と同じ条件である永久磁石11の直径を19.6mm、軸径を8mm、分割線位置が厚みの77.4%の場合における分割線60の厚みtを変化させた場合の渦電流損失低減率を図13に示す。この例は、分割線60の厚みtを想定される厚みである0.05mm、0.10mm、0.15mm及び0.20mmとしたときの渦電流損失低減率を示すもので、図13から分かるように渦電流損失低減率は55〜57%の範囲内にあり、前記分割線60の厚みtの範囲では渦電流損失低減率は同等であることが分かる。なお、この厚みtによって分割線60は断面が幅を有する直線形状となる。後述の実施例2ないし4においても同様である。
【0039】
したがって、永久磁石角度φと溝角度θを前記範囲で組み合わせれば消費電力を効率よく削減でき、その際、分割線60の厚みtは想定される厚みの範囲内で同等なので、特に考慮する必要がないことが分かる。
【0040】
そこで、さらに分割線の形状について検討する。
図14は折れ線形状の分割線61とした場合のガルバノスキャナの横断面図、図15は図14の要部拡大図、図16は図14及び図15に示した形状における渦電流損失低減率を示す図で、上記した例の変形例にあたる。なお、分割線61の形成が可能な折れ線の中心角である分割開角αは102度から180度の範囲である。102度未満ではV字の先端が軸10と干渉してしまうためV字の形成ができず、180度であると直線の分割線60と同等になるので折れ線とする意味がなくなるからである。そこで、分割開角αの範囲を102度から180度の範囲で振り、軸からの分割線切れ込み位置93を77.4%とし、永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚みを0.1mmとしたときの渦電流損失低減率を計算すると図16に示すようになる。
【0041】
図16に示した結果から、分割開角αの角度がいずれの場合であっても50%以上の渦電流損失低減率が得られることが分かる。また、好適には分割開角αが120度のときの渦電流損失低減率が73%となり、折れ線形状の分割線61とした場合、分割開角αを120度近傍に設定すれば、最も効率的なことが分かる。
【0042】
このようにトルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比を向上させると消費電量の低減を図ることができるのは、以下のような理由による。
すなわち、ムービングマグネット方式のガルバノスキャナ1において、回転トルクはコイル13に流れる電流とコイル13に鎖交する磁束に依存する。ガルバノスキャナ1の永久磁石11とコイル13により磁束が生じており、コイル13に鎖交する磁束線は主にコイル13に対面する永久磁石部分の磁束である。一方、コイル13が巻かれていない部分(コイル中空部17)に対面する永久磁石部分の磁束はコイル13に鎖交しないため、トルクへの寄与が比較的小さい。したがって、コイル中空部17に対面する永久磁石11を除去することによりトルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比を向上させることが可能である。これを可能にするため、本発明では、永久磁石11の外周の軸方向であって、当該永久磁石の磁極が隣接する個所に当該磁極に跨って溝を形成した。これにより駆動時に必要となるコイル電流を低減できるため、駆動時の消費電力を低減することが可能となる。
【実施例2】
【0043】
本実施例2は、永久磁石11を半径方向に伸びる分割線62により周方向に分割するものである。図17は実施例2に係るガルバノスキャナの横断面図、図18は図17の要部拡大図、図19は図17及び図18に示した実施例2における渦電流損失低減率を示す図である。
【0044】
ここで、分割線の厚み0.1mm、永久磁石径19.6mm、軸径8mmの場合、分割線62同士のなす角βは、44度及び94度の場合が隣り合う永久磁石の境界部分で独立して永久磁石が存在する限界である。そのため、前記角βは、44度<β<94度の範囲で設定することが可能である。これは、前記範囲で永久磁石11の分割が可能であることを意味する。そこで、前記条件でβ=44,60,94とした場合の渦電流損失低減率を計算すると、図19に示すようになる。この計算結果から、この実施例の場合、渦電流損失低減率は37%以上であり、分割線62同士のなす角βを94度としたときに最大65%であることが分かる。したがって、実施例2のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線62同士のなす角βを94度とすると最も効率的である。
【0045】
その他、特に説明しない各部は、実施例1と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0046】
本実施例3は、永久磁石11を半径方向に伸びる分割線62により周方向に分割し、さらに、径方向には直線の分割線60で分割するもので、謂わば、実施例1と実施例2を組み合わせた例である。図20は実施例3に係るガルバノスキャナの横断面図、図21は図20の要部拡大図、図22は図20及び図21に示した実施例3における渦電流損失低減率を示す図である。
【0047】
本実施例3においても、実施例1及び2と同一の永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚み0.1mmの条件で、分割線62同士のなす角βが実施例2と同様に44度から94度までの間で周方向の永久磁石11の分割が可能である。図22は、この角度範囲において、永久磁石11を径方向に分割する分割線60を固定して渦電流損失低減率を計算した結果である。この計算結果から実施例3の場合、渦電流損失低減率は70%以上、最大82%であることが分かる。したがって、実施例3のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線60を固定した上で、分割線62同士のなす角βを94度とすると最も効率的である。
【0048】
その他、特に説明しない各部は、実施例1及び2と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【実施例4】
【0049】
本実施例4は、実施例3に対して永久磁石11を径方向に分割する直線の分割線60を折れ線の分割線61とした例である。この実施例4は、謂わば、実施例1の変形例と実施例3を組み合わせた例である。図23は実施例4に係るガルバノスキャナの横断面図、図24は図23の要部拡大図、図25は図23及び図24に示した実施例4における渦電流損失低減率を示す図である。
【0050】
本実施例4においても、実施例1及び2と同一の永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚み0.1mmの条件で、分割線62同士のなす角βが実施例2と同様に44度から94度までの間で周方向の永久磁石11の分割が可能である。図25は、この角度範囲において、軸10からの分割切れ込み位置93及び分割線61の分割開角αを120度に固定して渦電流損失低減率を計算した結果である。この計算結果から実施例4の場合、渦電流損失低減率は78%以上、最大80%であることが分かる。したがって、実施例4のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線61の分割切れ込み位置93と分割角度αを固定した上で、分割線62同士のなす角βを60度とすると最も効率的である。
【0051】
その他、特に説明しない各部は、実施例1及び2と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、ガルバノスキャナのトルク定数と慣性モーメントの比を向上させることが可能となり、これにより、駆動に必要な電流が小さくなり、駆動時の消費電力を低減することができる。同時に永久磁石に生じる渦電流を低減することが可能である。これらにより、駆動時に生じる消費電力に伴う永久磁石の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記各実施例は、好適な実施形態をそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 ガルバノスキャナ
10 軸
11 永久磁石
12 空隙
13 コイル
14 ヨーク
15 アウターケース
20 回転子
30 固定子
60,61,62 分割線
100 ガルバノミラー
110 レーザ光源
111 レーザ光
112 fθレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被書き込み媒体に光書き込みを行うガルバノスキャナ及びレーザ加工機に係り、特に、軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石を回転子として使用するガルバノスキャナと、このガルバノスキャナを備えたレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の穴加工を行う装置は、ドリルで穴明けを行うドリル加工機とレーザビームで穴明けを行うレーザ加工機に大別される。一方、近年、プリント配線板は多層化し、素子などの実装穴あるいは層間接続穴が高密素になり、1枚あたりの穴数は増加傾向にある。そのため、穴明け機はドリル加工機からレーザ加工機に移行しつつある。また、レーザ加工機には穴数増加に伴う穴明け速度の高速化が求められている。
【0003】
レーザ加工機では、図26に示すようにレーザ光源110から出射されたレーザ光111をガルバノスキャナ1によって偏向走査し、fθレンズ112によりプリント配線板113上に集光して穴明けを行うのが一般的である。その際、前記穴明け速度の高速化に対応するために、ガルバノスキャナ1の応答速度を高速化する必要があり、ガルバノスキャナ1の応答速度を高速化するためには、コイルに流れる電流を増加させる必要がある。しかし、コイルに流れる電流を増加させると、コイルで発生するジュール熱も増大する。なお、ガルバノスキャナ1は軸の一端にガルバノミラー100が取り付けられ、レーザ光111はこのガルバノミラー100の揺動により偏向され、プリント配線板113上を走査する。
【0004】
コイルで発生したジュール熱は、空隙を介して回転子として使用される永久磁石に伝わり、永久磁石の温度が上昇する。また、高速応答の場合、永久磁石に流れる渦電流も増大するため、さらに永久磁石の温度が上昇する。これらの温度上昇により、永久磁石が減磁し、回転トルクが減少する。その結果、駆動時の消費電力が増大する。すなわち、応答周波数の高速化に伴い、ガルバノスキャナ駆動時の消費電力が上昇することは避けられなかった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1ないし3には、このような消費電力の上昇を抑えるようにした技術が提案されている。このうち、特許文献1には、回転界磁を構成する永久磁石の表面に生ずる渦電流を低減するため、回転軸に固定された回転子鉄心の上に鉄分を含有する永久磁石により構成された回転界磁を有する永久磁石式回転電機の回転子であって、前記回転界磁は前記回転軸の軸線方向に並ぶ複数の分割永久磁石ユニットからなり、隣接する二つの前記分割永久磁石ユニットの隣接する端面間には、該隣接する二つの分割永久磁石ユニットに跨って渦電流が流れるのを阻止する電気絶縁層が配置されていることを特徴とする発明が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、可動磁石式アクチュエータにおける永久磁石の温度上昇を抑制し、穴位置精度の劣化を防ぐため、回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、前記永久磁石に、前記固定子側に開口し、深さが前記永久磁石の体積抵抗率と透磁率と前記コイルに通電する電流の基本周波数との関数で表される表皮深さ以上である径方向の溝を形成したことを特徴とする発明が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、スキャナのトルク定数を均一化して、位置決め精度の向上を図るため、軸とこの軸の外周側に取り付けた永久磁石を有する回転子と、回転子の外側に配置した固定子とを備え、この固定子は、ケーシングと、ケーシングの内周側に保持したヨークと、ヨークの内周側に配置したコイルとを有するものであるスキャナにおいて、前記回転子の永久磁石は、半径方向に凹んだ溝が外周部に形成されており、この溝によりスキャナのトルク定数を周方向に均一化したことを特徴とする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−252835号公報
【特許文献2】特開2008−43133号公報
【特許文献3】特開2007−6626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように特許文献1では、隣接する二つの分割永久磁石ユニットの隣接する端面間に当該二つの分割永久磁石ユニットに跨って渦電流が流れるのを阻止する電気絶縁層を配置することにより、また、特許文献2では、径方向の溝を永久磁石に形成して共に渦電流の発生を抑制することが記載され、特許文献3では、周方向におけるトルク定数の均一化に関する記載があるだけである。いずれにしても、消費電力の低減を図ることを意図しているが、消費電力の低減を図るためには、ガルバノスキャナのトルク定数と慣性モーメントの比が問題となる。
【0010】
しかし、特許文献1ないし3に記載された発明では、トルク定数と慣性モーメントの比については、特に配慮されていない。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、トルク定数と慣性モーメントの比を向上させ、駆動に必要な電流を小さくして駆動時の消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、第1の手段は、回転中心となる軸と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石で構成される回転子と、該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイルとヨークとアウターケースとで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナにおいて、前記永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されていることを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、第1の手段において、前記永久磁石には回転軸方向の溝が周方向に隣り合う永久磁石の磁極に跨って形成されていることを特徴とする。
【0014】
第3の手段は、第2の手段において、前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が直線になっていることを特徴とする。
【0015】
第4の手段は、第2の手段において、前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が前記軸側に凸形状であることを特徴とする。
【0016】
第5の手段は、第3又は第4の手段において、前記ガルバノスキャナの揺動範囲内で常に前記溝が前記コイルの巻かれていない中空部と対向する個所に位置していることを特徴とする。
【0017】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は直線形状の断面を有することを特徴とする。
【0018】
第7の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記軸側に凸の折れ線形状の断面を有することを特徴とする。
【0019】
第8の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する1本以上の直線形状の断面を有することを特徴とする。
【0020】
第9の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する2本の分割線と径方向に分割する分割線とを含むことを特徴とする。
【0021】
第10の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する分割線と径方向に分割する折れ線形状の分割線とを含むことを特徴とする。
【0022】
第11の手段は、第1ないし第10のいずれかの手段に係るガルバノスキャナをレーザ加工機が備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されているので、トルク定数と慣性モーメントの比を向上させ、駆動に必要な電流を小さくして駆動時の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1に係るガルバノスキャナの構成を示す横断面図である。
【図2】図1に示したガルバノスキャナの縦断面図である。
【図3】回転子の斜視図である。
【図4】固定子の内部を断面して示す斜視図である。
【図5】分割線はあるが溝がない場合の回転子の要部構成を示す断面図である。
【図6】分割線と溝を共に設けた場合の回転子の要部構成を示す断面図である。
【図7】実施例1における渦電流損失低減率を示す特性図である。
【図8】永久磁石角度を説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図9】溝角度を説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図10】溝角度を90度としたときの永久磁石角度とトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。
【図11】永久磁石角度を60度としたときの溝角度とトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。
【図12】分割線の厚みについて説明するための回転子の要部構成を示す断面図である。
【図13】分割線の厚みと渦電流損失低減率との関係を示す図である。
【図14】分割線を折れ線形状とした実施例1の変形例に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図15】図14における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図16】実施例1の変形例に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図17】実施例2に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図18】図17における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図19】実施例2に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図20】実施例3に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図21】図20における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図22】実施例3に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図23】実施例4に係るガルバノスキャナの横断面図である。
【図24】図23における回転子の要部構成を示す断面図である。
【図25】実施例4に係るガルバノスキャナの渦電流損失低減率を示す図である。
【図26】従来から実施されているガルバノスキャナを使用したレーザ加工機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の各実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本実施形態の実施例1に係るガルバノスキャナの構成を示す横断面図、図2は縦断面図、図3は回転子の斜視図、図4は固定子の内部を断面して示す斜視図である。
【0027】
ガルバノスキャナ1は図3に示す回転子20と図4に示す固定子30とを備え、図1及び図2に示すように固定子30の内側に回転子20が配置され、回転子20の軸10の両端部側で軸受け101を介して固定子30に回転可能に支持されている。また、回転子20は軸10と永久磁石11とから、固定子30はコイル13とヨーク14とアウターケース15とからそれぞれ構成される。これにより図1及び図2に示すようにガルバノスキャナ1は、ガルバノスキャナ1の内側より、軸10、永久磁石11、空隙12、コイル13、ヨーク14、アウターケース15の順で配置されることになる。
【0028】
図2に示すように、回転子20は回転軸である軸10周りに自由度があり、軸10の一端にはミラー100、他端にはミラー100の回転角度を検出するエンコーダ102が取り付けられている。なお、軸受け101はアウターケース15に取り付けられ、アウターケース15の両端部で軸10を回動可能に支持する。
【0029】
図1において永久磁石11はフェライト、サマコバ、ネオジウム系等の金属系永久磁石で構成され、それぞれ外周表面の磁極は図1に示すようにN極とS極とが配置されており、隣り合うそれぞれの永久磁石11表面の磁極の極性は互いに異なっている。この永久磁石11には、周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨り、永久磁石11の回転軸方向に沿って溝50が形成されている。この溝50は軸10の円周方向に複数本形成されている。図1では周方向に4本形成されている。各溝50は後述の図9に示すように切れ込み角θで軸方向に沿って延びたものである。ちなみに図1の例では、切れ込み角θは90度である。
【0030】
本実施例では4極の場合を扱うため、コイル13は永久磁石11の磁極の数に対応し、周方向に90度間隔で4個所に配置されており、図4に示すようにコイル13が巻かれ、電流6が流れている。すなわち、図1においてコイル13は紙面に向かって垂直方向に巻かれて電流が流れており、その方向は周方向に±90度離れたコイル13と互いに逆になる。
【0031】
本発明の特徴となる永久磁石11には、周方向に隣り合う永久磁石11の磁極に跨るようにトルク定数と慣性モーメントの比(トルクイナーシャ比)を向上させる溝50が前述のように回転軸方向に4本形成されている。また、ガルバノスキャナ1の揺動範囲内においてコイル13が巻かれていない部分、すなわち、コイル中空部17と溝50は常に対面する。
【0032】
また、図1に示すように永久磁石11において、各磁極について分割線60が設けられている。分割線60は磁極を挟む溝50に対してそれぞれ直交する方向に形成されている。分割線60は、溝50がなく永久磁石11が円柱形状に形成されている場合における弦のように軸10に平行に設けられ、弦の両端が両側の溝50に届くようにして径方向に永久磁石11を分割している。すなわち、分割された永久磁石11同士が、分割線60を構成する接着層を介して双方結合した構造となっている。
【0033】
ここで、この溝50を設けた場合と設けない場合の渦電流損失低減率及びトルク定数と慣性モーメントの比(トルクイナーシャ比)を比較する。図7は渦電流損失低減率を示す特性図で横軸に永久磁石11の厚み90に対する分割線60の位置を、縦軸に渦電流損失低減率をそれぞれ示す。なお、厚み90は図5の溝50を形成しない場合の要部断面図に示すように軸10の外周から永久磁石11の外周までの距離であり、分割線60の位置は軸10の外周から分割線60の中心線80までの距離である。図7では、軸10の径が8mm、分割線60の厚みが0.1mmであって、永久磁石11の厚みを軸10の半径の0.7倍、1.45倍としたときの分割線60及び溝50がない場合に対する渦電流損失の低減率を示している。なお、横軸の分割線60の位置は永久磁石の厚み90に対する軸10から分割線60の距離91の割合であり、距離91は分割線の中心線80までの距離である。この分割線60の位置が7.5%〜95%の範囲で分割線60の製作が可能である。
【0034】
この結果では、永久磁石11の厚み90が異なっても、分割線60の位置がどの位置であっても渦電流損失の低減率は20%を超えており、どんな場合でも渦電流損失は溝50及び分割線60がない場合に比べて渦電流損失を低減できる。また、永久磁石11の厚み90がいずれの場合であっても分割線60の位置が50%程度のときが最も渦電流損失低減率が高い。
【0035】
次に、図5及び図6を用いて溝50がある場合とない場合を比較する。図5は回転子20に分割線60はあるが溝50がない場合、図6は分割線60と溝50を共に設けた場合の例である。永久磁石11の直径が19.6mm、軸径が8mmの場合、分割線位置が厚みの77.4%のときに、図6に図示するように溝50の端点51を分割線60の中心線80が通ることとなる。ここで、溝50の角度(切れ込み角)θ(図9参照)を90度、永久磁石11の角度φ(図8参照)を60度とすると、図7に示すように溝50なしの場合の渦電流損失低減率47%に対し、溝50ありの場合の渦電流損失低減率は56%と約10%の効果がある。
【0036】
ここで、トルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比について検討する。図8においてφはマグネット角度、δはコルク巻き角度、図9においてθは溝10の角度を示す。図10は溝角度θを90度としたときの永久磁石11の角度φとトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。同図から溝角度θが90度で、分割線60の厚みが0.1mm以下の場合、トルクイナーシャ比は最大で1.5%程度低減するのでその分を見積もると、トルクイナーシャ比が1.015以上であれば分割によるトルクイナーシャ比の低減を防ぐことができる。よって、分割の厚みが0.1mm以下の場合、永久磁石角度φが58度から72度の範囲で、トルクイナーシャ比が実質的に1以上となることが分かる。そのため、永久磁石角度φが58度から72度の範囲であれば、トルクイナーシャ比の面から消費電力の削減が可能となる。好適には65度近傍で最大のトルクイナーシャ比を得ることができる。このことは、永久磁石角度φは58度から72度であれば、消費電力を削減可能であり、永久磁石角度φが65度近傍を選択すれば、消費電力の削減効果が最も大きいことを意味する。なお、図8の例では、コイル巻き角度δも60度である。
【0037】
図11は永久磁石角度φを60度に固定したときの溝50の角度θとトルクイナーシャ比との関係を示す特性図である。同図から、分割線60の厚みが0.1mm以下の場合に、上記と同様の理由でトルクイナーシャ比が1.015以上であれば分割によるトルクイナーシャ比の低減を防ぐことができる。よって、分割の厚みが0.1mm以下の場合、溝角度θが85度から155度の範囲で、トルクイナーシャ比が実質的に1以上となることが分かる。そのため、溝角度θが85度から155度の範囲であれば、トルクイナーシャ比の面から消費電力の削減が可能となる。好適には120度近傍で最大のトルクイナーシャ比を得ることができる。このことは、溝角度θは85度から155度であれば、消費電力を削減可能であり、溝角度θが120度近傍を選択すれば、消費電力の削減効果が最も大きいことを意味する。
【0038】
また、図12に示すように上記と同じ条件である永久磁石11の直径を19.6mm、軸径を8mm、分割線位置が厚みの77.4%の場合における分割線60の厚みtを変化させた場合の渦電流損失低減率を図13に示す。この例は、分割線60の厚みtを想定される厚みである0.05mm、0.10mm、0.15mm及び0.20mmとしたときの渦電流損失低減率を示すもので、図13から分かるように渦電流損失低減率は55〜57%の範囲内にあり、前記分割線60の厚みtの範囲では渦電流損失低減率は同等であることが分かる。なお、この厚みtによって分割線60は断面が幅を有する直線形状となる。後述の実施例2ないし4においても同様である。
【0039】
したがって、永久磁石角度φと溝角度θを前記範囲で組み合わせれば消費電力を効率よく削減でき、その際、分割線60の厚みtは想定される厚みの範囲内で同等なので、特に考慮する必要がないことが分かる。
【0040】
そこで、さらに分割線の形状について検討する。
図14は折れ線形状の分割線61とした場合のガルバノスキャナの横断面図、図15は図14の要部拡大図、図16は図14及び図15に示した形状における渦電流損失低減率を示す図で、上記した例の変形例にあたる。なお、分割線61の形成が可能な折れ線の中心角である分割開角αは102度から180度の範囲である。102度未満ではV字の先端が軸10と干渉してしまうためV字の形成ができず、180度であると直線の分割線60と同等になるので折れ線とする意味がなくなるからである。そこで、分割開角αの範囲を102度から180度の範囲で振り、軸からの分割線切れ込み位置93を77.4%とし、永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚みを0.1mmとしたときの渦電流損失低減率を計算すると図16に示すようになる。
【0041】
図16に示した結果から、分割開角αの角度がいずれの場合であっても50%以上の渦電流損失低減率が得られることが分かる。また、好適には分割開角αが120度のときの渦電流損失低減率が73%となり、折れ線形状の分割線61とした場合、分割開角αを120度近傍に設定すれば、最も効率的なことが分かる。
【0042】
このようにトルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比を向上させると消費電量の低減を図ることができるのは、以下のような理由による。
すなわち、ムービングマグネット方式のガルバノスキャナ1において、回転トルクはコイル13に流れる電流とコイル13に鎖交する磁束に依存する。ガルバノスキャナ1の永久磁石11とコイル13により磁束が生じており、コイル13に鎖交する磁束線は主にコイル13に対面する永久磁石部分の磁束である。一方、コイル13が巻かれていない部分(コイル中空部17)に対面する永久磁石部分の磁束はコイル13に鎖交しないため、トルクへの寄与が比較的小さい。したがって、コイル中空部17に対面する永久磁石11を除去することによりトルク定数と慣性モーメントの比であるトルクイナーシャ比を向上させることが可能である。これを可能にするため、本発明では、永久磁石11の外周の軸方向であって、当該永久磁石の磁極が隣接する個所に当該磁極に跨って溝を形成した。これにより駆動時に必要となるコイル電流を低減できるため、駆動時の消費電力を低減することが可能となる。
【実施例2】
【0043】
本実施例2は、永久磁石11を半径方向に伸びる分割線62により周方向に分割するものである。図17は実施例2に係るガルバノスキャナの横断面図、図18は図17の要部拡大図、図19は図17及び図18に示した実施例2における渦電流損失低減率を示す図である。
【0044】
ここで、分割線の厚み0.1mm、永久磁石径19.6mm、軸径8mmの場合、分割線62同士のなす角βは、44度及び94度の場合が隣り合う永久磁石の境界部分で独立して永久磁石が存在する限界である。そのため、前記角βは、44度<β<94度の範囲で設定することが可能である。これは、前記範囲で永久磁石11の分割が可能であることを意味する。そこで、前記条件でβ=44,60,94とした場合の渦電流損失低減率を計算すると、図19に示すようになる。この計算結果から、この実施例の場合、渦電流損失低減率は37%以上であり、分割線62同士のなす角βを94度としたときに最大65%であることが分かる。したがって、実施例2のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線62同士のなす角βを94度とすると最も効率的である。
【0045】
その他、特に説明しない各部は、実施例1と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0046】
本実施例3は、永久磁石11を半径方向に伸びる分割線62により周方向に分割し、さらに、径方向には直線の分割線60で分割するもので、謂わば、実施例1と実施例2を組み合わせた例である。図20は実施例3に係るガルバノスキャナの横断面図、図21は図20の要部拡大図、図22は図20及び図21に示した実施例3における渦電流損失低減率を示す図である。
【0047】
本実施例3においても、実施例1及び2と同一の永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚み0.1mmの条件で、分割線62同士のなす角βが実施例2と同様に44度から94度までの間で周方向の永久磁石11の分割が可能である。図22は、この角度範囲において、永久磁石11を径方向に分割する分割線60を固定して渦電流損失低減率を計算した結果である。この計算結果から実施例3の場合、渦電流損失低減率は70%以上、最大82%であることが分かる。したがって、実施例3のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線60を固定した上で、分割線62同士のなす角βを94度とすると最も効率的である。
【0048】
その他、特に説明しない各部は、実施例1及び2と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【実施例4】
【0049】
本実施例4は、実施例3に対して永久磁石11を径方向に分割する直線の分割線60を折れ線の分割線61とした例である。この実施例4は、謂わば、実施例1の変形例と実施例3を組み合わせた例である。図23は実施例4に係るガルバノスキャナの横断面図、図24は図23の要部拡大図、図25は図23及び図24に示した実施例4における渦電流損失低減率を示す図である。
【0050】
本実施例4においても、実施例1及び2と同一の永久磁石径19.6mm、軸径8mm、分割線の厚み0.1mmの条件で、分割線62同士のなす角βが実施例2と同様に44度から94度までの間で周方向の永久磁石11の分割が可能である。図25は、この角度範囲において、軸10からの分割切れ込み位置93及び分割線61の分割開角αを120度に固定して渦電流損失低減率を計算した結果である。この計算結果から実施例4の場合、渦電流損失低減率は78%以上、最大80%であることが分かる。したがって、実施例4のようにして永久磁石11を分割する場合には、分割線61の分割切れ込み位置93と分割角度αを固定した上で、分割線62同士のなす角βを60度とすると最も効率的である。
【0051】
その他、特に説明しない各部は、実施例1及び2と同一の構成であり、同一の機能を有するので、重複する説明は省略する。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、ガルバノスキャナのトルク定数と慣性モーメントの比を向上させることが可能となり、これにより、駆動に必要な電流が小さくなり、駆動時の消費電力を低減することができる。同時に永久磁石に生じる渦電流を低減することが可能である。これらにより、駆動時に生じる消費電力に伴う永久磁石の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記各実施例は、好適な実施形態をそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 ガルバノスキャナ
10 軸
11 永久磁石
12 空隙
13 コイル
14 ヨーク
15 アウターケース
20 回転子
30 固定子
60,61,62 分割線
100 ガルバノミラー
110 レーザ光源
111 レーザ光
112 fθレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心となる軸と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石で構成される回転子と、
該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイルとヨークとアウターケースとで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項2】
請求項1記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石には回転軸方向の溝が周方向に隣り合う永久磁石の磁極に跨って形成されていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項3】
請求項2記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が直線になっていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項4】
請求項2記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が前記軸側に凸形状であることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のガルバノスキャナにおいて、
前記ガルバノスキャナの揺動範囲内で常に前記溝が前記コイルの巻かれていない中空部と対向する個所に位置していることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は直線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記軸側に凸の折れ線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する1本以上の直線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する2本の分割線と径方向に分割する分割線とを含むことを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する分割線と径方向に分割する折れ線形状の分割線とを含むことを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のガルバノスキャナを備えていることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項1】
回転中心となる軸と該軸周りに配置され該軸の円周方向に複数極に分極された永久磁石で構成される回転子と、
該回転子の外側に空隙を介して配置されたコイルとヨークとアウターケースとで構成される固定子とを有し、回転子が所定の角度範囲内で揺動するガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石が分割線によって1極あたり2個以上に分割されていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項2】
請求項1記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石には回転軸方向の溝が周方向に隣り合う永久磁石の磁極に跨って形成されていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項3】
請求項2記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が直線になっていることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項4】
請求項2記載のガルバノスキャナにおいて、
前記永久磁石を前記軸の軸線方向と直交する方向から断面したときに、前記分割線が前記軸側に凸形状であることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のガルバノスキャナにおいて、
前記ガルバノスキャナの揺動範囲内で常に前記溝が前記コイルの巻かれていない中空部と対向する個所に位置していることを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は直線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記軸側に凸の折れ線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する1本以上の直線形状の断面を有することを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する2本の分割線と径方向に分割する分割線とを含むことを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガルバノスキャナにおいて、
前記分割線は前記永久磁石を周方向に分割する分割線と径方向に分割する折れ線形状の分割線とを含むことを特徴とするガルバノスキャナ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のガルバノスキャナを備えていることを特徴とするレーザ加工機。
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図16】
【図19】
【図22】
【図25】
【図26】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図10】
【図11】
【図13】
【図16】
【図19】
【図22】
【図25】
【図26】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−98399(P2012−98399A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244421(P2010−244421)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】
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