説明

ガンの処置のためのHSP90阻害剤としてのピラゾール化合物

式(I)の化合物はHSP90活性の阻害剤であり、ガンのような増殖疾患の処置に有用である[式中、R1、R2及びR3は本明細書中で定義されたとおりであり、Xは、-OR4又は-NR4R5(ここで、R4及びR5は独立して、水素又は任意に置換していてもよいC1〜C6アルキルであるか、又はR4及びR5は、これらが付着している窒素と一緒になって、5〜8の環原子を有する任意に置換していてもよい窒素含有環を形成する)である]。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HSP90阻害活性を有する置換ピラゾール、過剰な又は不適切なHSP90活性によて媒介される疾患(例えば、ガン)に関連する医薬における該化合物の使用、及び該化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
HSP90(熱ショックタンパク質90)は、ATP依存性の細胞内分子シャペロンである。腫瘍の発現型の駆動に決定的に重要である多くのシグナル伝達経路の調節への関与のため、及びある種の生物活性天然生成物がHSP90活性を介してその効果を発揮するとの発見のため、分子シャペロンHSP90は、現在、抗ガン薬開発のターゲットと見なされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の簡単な説明
本発明は、例えばガン細胞増殖の阻害のために、HSP90阻害剤としての置換ピラゾール化合物のクラスを使用することに関する。1つの環炭素原子上に芳香族置換を有し、別の環炭素原子上にアミド置換基の制限されたクラスを有する核ピラゾール環が、本発明に係る化合物の基本的な特性付ける特徴である。
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は、HSP90活性の阻害のための組成物の製造における、式(I)の化合物又はその塩、N-酸化物、水和物若しくは溶媒和物の使用を提供する:
【化1】

【0005】
[式中、
R1は、式(IA):
-Ar1-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Q (IA)
(ここで、任意の矛盾しない組合せで、
Ar1は、任意に置換していてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、
Alk1及びAlk2は、任意に置換していてもよい二価のC1〜C6アルキレン又はC2〜C6アルケニレン基であり、
p、r及びsは、独立して0又は1であり、
Zは、-O-、-S-、-(C=O)-、-(C=S)-、-SO2-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-C(=S)NRA-、-SO2NRA-、-NRAC(=O)-、-NRASO2-又は-NRA-(ここで、RAは、水素又はC1〜C6アルキルである)であり、そして
Qは、水素又は任意に置換していてもよい炭素環式若しくは複素環式基である)
の基であり、
【0006】
R2 は、(i) R1に関して定義したとおりの式(IA)の基;
(ii) カルボキサミド基;又は
(iii) 非芳香族炭素環又は複素環(ここで、環炭素及び/又は環窒素は、式-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Q (ここで、Q、Alk1、Alk2、Z、p、r及びsは、基(IA)に関して上記で定義したとおりである)の基により任意に置換されていてもよい)であり;そして
【0007】
R3は、水素、又はメチル、エチル、n−若しくはイソ−プロピル(このいずれもがヒドロキシによって任意に置換していてもよい)であり;
【0008】
Xは、-OR4又は-NR4R5(ここで、R4及びR5は、独立して、水素又は任意に置換していてもよいC1〜C6アルキルであるか、又はR4及びR5は、これらが付着している窒素と一緒になって、5〜8の環原子を有する任意に置換していてもよい窒素含有環を形成する)である]。
【0009】
式(I)に関して上記で定義した化合物のクラスは概して新規であり、本発明は、このクラス並びにそれらの塩、水和物及び溶媒和物の新規なメンバーを全て含む。
【0010】
上記の構造(I)は、当然のことながら、構造(I1)と互変性であり、本明細書においては、一方の互変体への何らかの言及は、他方の互変体を包含する:
【化2】

【0011】
本明細書中で用いられているように、
用語「カルボキシ基」は式 -COOHの基をいい;
用語「カルボキシエステル基」は、式 -COOR (ここで、Rは、ヒドロキシ化合物ROHに現実に又は概念的に由来する基である)の基をいい;そして
用語「カルボキサミド基」は、式-CONRaRb (ここで、-NRaRbは、アンモニア又はアミンHNRaRbに現実に又は概念的に由来する第1級又は第2級(環式を含む)アミノ基である)の基をいう。
【0012】
本明細書中で用いられているように、用語「(C1〜C6)アルキル」は、1〜6の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルを含む。
【0013】
本明細書中で用いられているように、用語「二価の(C1〜C6)アルキレン基」は、1〜6の炭素原子及び2つの満たされていない結合価を有する飽和炭化水素鎖を意味する。
【0014】
本明細書中で用いられているように、用語「(C1〜C6)アルケニル」は、2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1つのE又はZ配置の二重結合を含有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基をいい、例えばエテニル及びアリルを含む。
【0015】
本明細書中で用いられているように、用語「二価の(C2〜C6)アルケニレン基」は、2〜6の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び2つの満たされていない結合価を有する炭化水素鎖を意味する。
【0016】
本明細書中で用いられているように、用語「(C1〜C6)アルキニル」は、2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基をいい、例えば、エチニル及び2-プロピニル(prop-2-ynyl)を含む。
【0017】
本明細書中で用いられているように、用語「シクロアルキル」は、3〜8の炭素原子を有する飽和炭素環式基をいい、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。
【0018】
本明細書中で用いられているように、用語「シクロアルケニル」は、3〜8の炭素原子を有し、少なくとも1つの二重結合を含有する炭素環式基をいい、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルを含む。
【0019】
本明細書中で用いられているように、用語「アリール」は、単環、二環又は三環の炭素環式芳香族基をいう。このような基の例示は、フェニル、ビフェニル及びナフチルである。
【0020】
本明細書中で用いられているように、用語「炭素環式」は、その環原子が全て炭素である環式基をいい、単環式アリール、シクロアルキル及びシクロアルケニル基を含む。
【0021】
本明細書中で用いられているように、用語「ヘテロアリール」は、S、N及びOから選択される1又はそれ以上のヘテロ原子を含有する単環式、二環式又は三環式の芳香族基をいう。このような基の例示は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル及びインダゾリルである。
【0022】
本明細書中で用いられているように、制限のない用語「ヘテロサイクリル」又は「複素環式」は、上記で定義したような「ヘテロアリール」を含み、特に、S、N及びOから選択される1又はそれ以上のヘテロ原子を含有する単環式、二環式又は三環式の非芳香族基を意味し、別のこのような基又は単環炭素環式基に共有結合している1又はそれ以上の前記ヘテロ原子を含有する単環式非芳香族基からなる基をもいう。このような基の例示は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミド及びスクシンイミド基である。
【0023】
この用語が存在する文脈で特に明記されていない限り、本明細書中のいずれの部分でも適用されているように、用語「置換(された)」は、例えば、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ、ハロ(フルオロ及びクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(-CN)、オキソ、フェニル、-COOH、-COORA、-CORA、-SO2RA、-CONH2、-SO2NH2、-CONHRA、-SO2NHRA、-CONRARB、-SO2NRARB、-NH2、-NHRA、-NRARB、-OCONH2、-OCONHRA、-OCONRARB、-NHCORA、-NHCOORA、-NRBCOORA、-NHSO2ORA、-NRBSO2ORA、-NHCONH2、-NRACONH2、-NHCONHRB、-NRACONHRB、-NHCONRARB又は-NRACONRARB (ここで、RA及びRBは、独立して、(C1〜C6)アルキル基である)から選択される少なくとも1つの置換基で置換されていることを意味する。用語「任意の置換基」は、前記の置換基の1つをいう。
【0024】
本明細書中で用いられているように、用語「塩」は、塩基付加塩、酸付加塩及び第4級塩を含む。酸性である本発明の化合物は、水酸化アルカリ金属(例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム);水酸化アルカリ土類金属(例えば水酸化カルシウム、水酸化バリウム及び水酸化マグネシウム)のような塩基;有機塩基(例えばN-エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)と塩(医薬的に又は動物医薬的に許容される塩を含む)を形成できる。塩基性である化合物(I)は、無機酸(例えば、塩酸若しくは臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸など)と、そして有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸など)と塩(医薬的又は動物医薬的に許容される塩を含む)を形成できる。
【0025】
本発明のいくつかの化合物は、不斉炭素原子の存在により、1又はそれ以上の現実の又は潜在的なキラル中心を含有する。いくつかの不斉炭素原子の存在により、各キラル中心でR又はS立体配置を有する多くのジアステレオ異性体が生じる。本発明は、このようなジアステレオ異性体及びこれらの混合物を全て含む。
【0026】
R1
本発明の1つの実施形態では、R1は、式(IB):
【化3】

[式中、R6は、クロロ、ブロモ、C1〜C6アルキル又はシアノである]を有する。
【0027】
別の実施形態では、R1は、式(IC):
【化4】

[式中、Alk1、Alk2、p、r、s、Z及びQは、式(IA)に関して請求項1で定義したとおりであり、Rは、1又はそれ以上の任意の置換基を表す]を有する。この場合、Rは、フェニル環の4位で-OHであり、置換基-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Qは、フェニル環の5位にあることが、現在のところ好ましい。(IC)型の構造の1つのクラスでは、rは0であり、Qは水素又は任意に置換されていてもよいフェニルであり、これらの場合において、sは0であり得、pは1であり得、Alk1は、未置換で二価のC1〜C6アルキレン又はC2〜C6アルケニレン基(例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-又は-CH=CH-)であり得る。(IC)型の構造の別のクラスでは、p、r及びsは各々0であり得、Qは任意に置換されていてもよいフェニルであり得る。
【0028】
R2
R2が(i)タイプ、すなわち式(IA)の基である場合、例として、フェニル、2-、3-若しくは4-ピリジル、2-若しくは3-フラニル、2-若しくは3-チエニル及びチアゾリル(ここで、任意の置換基には、「置換」の定義において上記で列挙した置換基のいずれか、例えばメトキシ、エトキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びトリフルオロメチルが含まれる)が挙げられる。R2が4位でC1〜C6アルコキシ(例えばメトキシ又はエトキシ)、フルオロ、クロロ、ブロモ、モルホリノメチル、ピペラジノ、N-メチルピペラジノ又はピペリジノによって置換されているフェニルである化合物が、現在のところ好ましい。また、R2が任意に置換されていてもよいC1〜C6アルキル(例えば、任意に置換されていてもよいメチル、エチル、n-プロピル又はイソ-プロピル)により4位で置換されているフェニルである化合物も好ましい。加えて、R2が任意に置換されていてもよいモルホリノC1〜C6アルキル-、チオモルホリノC1-6アルキル-、ピペラジノC1-6アルキル-、メチルピペラジノC1-6アルキル-又はジエチルアミノにより4位で置換されているフェニルである化合物が好ましい。さらに、R2が-NH2、-NHRA、-NRARB、-NHCORA、-NHCOORA、-NRBCOORA、-NHSO2ORA、-NRBSO2ORA、-NHCONH2、-NRACONH2、-NHCONHRB、-NRACONHRB、-NHCONRARB又は-NRACONRARB(ここで、RA及びRBは独立して、(C1〜C6)アルキル基である)により4位で置換されているフェニルである化合物が好ましい。なおさらに、R2が任意に置換されていてもよいピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ又はチオモルホリノにより4位で置換されているフェニルである化合物が好ましい。
【0029】
R2が上記(ii)タイプのカルボキサミド基であるとき、例として、式-CONRB(Alk)nRAが挙げられる(ここで、
【0030】
Alkは、二価のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基、例えば-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH=CH-又は-CH2CCCH2-基であり、Alk基は任意に置換されていてもよく、
nは0又は1であり、
RBは、水素又はC1〜C6アルキル又はC2〜C6アルケニル基、例えばメチル、エチル、n-若しくはイソ-プロピル又はアリルであり、
RAは、ヒドロキシ、又は任意に置換されていてもよい炭素環、例えばヒドロキシ及び/又はクロロ-置換フェニル及び3,4メチレンジオキシフェニル;又はへテロサイクリル、例えばピリジル、フリル、チエニル、N-ピペラジニル又はN-モルホリニルであり、これらの複素環のいずれも置換されていてもよく、
【0031】
或いは、RA及びRBは、これらが結合している窒素と一緒になって、O、S及びNから選択される1又はそれ以上の追加のヘテロ原子を任意に含有していてもよく且つ1又はそれ以上の環C又はN原子上で任意に置換されていてもよいN-複素環を形成する(このようなN-複素環の例としては、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニル及びN-フェニルピペラジニルが挙げられる))。
【0032】
R3
R3は水素又はメチルであることが現在のところ好ましい。また、R3が水素以外であるとき、これが結合している炭素中心での立体化学配置は、Dアミノ酸のものであることが好ましい。
【0033】
X基
本発明に係る化合物の1つの好ましいクラスにおいて、Xは、-OR4又は-NHR4である(ここで、R4は、任意にヒドロキシで置換されていてもよいC1〜C6アルキル、又は第1級、第2級、第3級若しくは環式のアミノ基(例えばモルホリノ、ピペリジニル又はピペラジニル基)であり、後者は第2の窒素上で任意にC1〜C6アルキルにより置換されていてもよい)。
【0034】
別の好ましいクラスでは、Xは、-NR4R5である(ここで、R4及びR5は、これらが結合している窒素と一緒になって、モルホリノ、ピペリジニル又はピペラジニル環(これらは、第2窒素上で任意にC1〜C6アルキルにより置換されていてもよい)を形成する)。
【0035】
本発明に係る具体的化合物としては、実施例のものが含まれる。
本発明に係る化合物は、文献の方法(例えば、本明細書中の予備的な実施例に記載の方法及びこれに類似する方法)によって製造されてもよい。
【0036】
したがって、Xが-OR4である式(I)の化合物は、式(II)のカルボン酸を式(III)のアミノ酸とカップリングさせることにより製造してもよい。
【化5】

【0037】
Xが-OHである式(I)の化合物は、エステル化合物(III)の加水分解により製造してもよい。この化合物は、アミンHNR4R5と縮合させてXが-NR4R5である式(I)の化合物を製造してもよい。
【0038】
本発明の化合物はHSP90の阻害剤であり、したがって過剰の又は不適切なHSP90活性によって媒介される疾患(例えばガン);C型肝炎(HCV)のようなウイルス性疾患(Waxman、2002);例えば移植時における、免疫抑制(Bijlmakers、2000及びYorgin、2000);慢性関節リウマチ、喘息、多発性硬化症(MS)、I型糖尿病、狼瘡、乾癬及び炎症性腸疾患のような抗炎症性疾患(Bucci、2000);嚢胞性線維症(Fuller、2000);血管新生に関連する疾患(Hur、2002及びKurebayashi、2001);糖尿病性網膜症、血管腫、乾癬、子宮内膜症及び腫瘍血管新生の処置に有用である。
【0039】
本発明のHsp90阻害剤はまた、化学療法誘発毒性に対して正常細胞を保護し得、そしてアポトーシスを経ないことが基礎的要因である疾患に有用であり得る。このようなHsp90阻害剤はまた、細胞ストレス又は熱ショックタンパク質応答に誘導される疾病において有用であり得、例えば、心臓(Hutter、1996及びTrost、1998)及び脳内(Plumier、1997及びRajder、2000)におけるHsp70の上昇に起因する低酸素−虚血性傷害からの保護に有益であり得る。Hsp90阻害剤はまた、タンパク質のミスフォールディング又は凝集が主要な原因因子である疾患、例えばスクラピー/CJD、ハンチントン病及びアルツハイマー病(Sittler、2001;Trazelt、1995及びWinklhofer、2001)において有用であり得る。
【0040】
したがって、本発明はまた:
(i)哺乳動物(特にヒト)において過剰の又は不適切なHSP90活性により媒介される疾患又は状態の処置の方法であって、上記で定義したような式(I)の化合物又はその塩、水和物若しくは溶媒和物の、該HSP90活性の阻害に有効な量を哺乳動物に投与することを含む方法;及び
(ii)ヒト又は動物の医薬、特に過剰の又は不適切なHSP90活性により媒介される疾患又は状態の処置に使用するための、上記で定義したような式(I)の化合物又はその塩、水和物若しくは溶媒和物
を提供する。
【0041】
任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、用いられる具体的化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬の組合せ、並びに治療を受ける特定の疾患の原因となる機序及び重篤度を含む種々の要因に依存することが理解される。
一般に、経口投与可能な製剤に適切な用量は、通常、1日当り1回、2回又は3回で、0.1〜3000 mgの範囲であるか、又は注入若しくは他の経路により投与される当該1日量に等しい量である。しかし、最適な用量レベル及び投薬頻度は、当該分野で慣例の臨床試験によって決定される。
【0042】
本発明に係る化合物は、その薬物動態特性と合致するいずれか経路による投与のために調製できる。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、液体又はゲル製剤(例えば、経口用、局所用又は無菌非経口用溶液若しくは懸濁液)の形態であり得る。経口投与のための錠剤及びカプセル剤は、単位用量提示形態であり得、通常の賦形剤、例えば結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント又はポリビニルピロリドン);充填剤(例えば乳糖、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン);打錠滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ);崩壊剤(例えばバレイショデンプン)又は許容される湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を含有してもよい。錠剤は、通常の製薬実務で周知の方法によりコーティングされてもよい。
【0043】
経口液体製剤は、例えば水性若しくは油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップ若しくはエリキシルの形態であってもよいし、又は使用前に水若しくは他の適切なビヒクルで再構成する乾燥生成物として提供されてもよい。このような液体製剤は、通常の添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、食用硬化油脂);乳化剤(例えばレシチン、ソルビタンモノオレエート又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(食用油を含み得る)(例えばアーモンド油、ヤシ油、グリセリンのような油状エステル、プロピレングリコール又はエチルアルコール);防腐剤(例えばメチル若しくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)、及び所望により通常の芳香剤又は着色剤を含有してもよい。
【0044】
皮膚に対する局所適用のために、薬物はクリーム、ローション又は軟膏にされ得る。薬物のために使用され得るクリーム又は軟膏の製剤は、例えば英国薬局方のような製剤学の標準的な教科書に記載されているように、当該分野において周知の通常の製剤である。
【0045】
活性成分はまた、無菌媒体中で非経口的に投与され得る。使用するビヒクル及び濃度に依存して、薬物はビヒクルに懸濁させるか又は溶解させることができる。有利には、ビヒクル中に、局所麻酔剤のような補助剤、防腐剤及び緩衝剤を溶解することができる。
【0046】
以下の実施例は、本発明の具体的化合物の製造及び活性を説明する。
【実施例】
【0047】
実験の部
【化6】

【0048】
スキーム1:5-アミドの製造のための一般スキーム
1-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-2-(4-メトキシ-フェニル)-エタノン
【化7】

4-クロロレゾルシノール(1当量)及びパラ-メトキシフェニル酢酸(1当量)を三フッ化ホウ素ジエチルエーテル化合物(5当量)中で合わせ、窒素下で90℃まで3時間加熱した。反応物を室温まで冷却させ、次いで10%NaOAc(水溶液)に滴下して加えた。混合物を一晩静置し、生じた固体を真空濾過により集めた。固体を真空下で乾燥させて、1-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-2-(4-メトキシ-フェニル)-エタノンを得た。
LC/MC保持時間2.485分 [M+H]+ 293.2/295.2 塩素分割パターン。
【0049】
6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸メチルエステル
【化8】

1-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-2-(4-メトキシ-フェニル)-エタノン(1当量)を無水ピリジン中に取り、氷浴上で0℃まで冷却した。メチルクロロオキソアセテート(3当量)を滴下して加え、溶液に栓をして一晩冷蔵庫中に静置した。
【0050】
明るい橙色の溶液を、100ml 1M HCl(水溶液)に注意深く加え、2×70ml DCM中に抽出させた。有機相を合わせ、2×50ml塩水で洗浄した。全てを真空中で濃縮して黄色固体を得た。これを、1M HCl(水溶液)とメタノールとの1:1混合物中に懸濁した。全てを還流にて4時間加熱した。冷却させた。
反応混合物を真空中で濃縮して、淡黄色固体として6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸メチルエステルを得た。
LC保持時間2.423分 [M+H]+ 361.2/363.2 塩素分割パターン。
【0051】
6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸
【化9】

6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸メチルエステルを、飽和NaHCO3(水溶液):メタノールの2:1混合物中に取り、全てを65℃で5時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、真空中で濃縮してメタノールを除去した。残渣の水溶液を1M HCl(水溶液)で酸性化し、黄褐色の沈殿物を溶液から取り出した。これを、真空濾過により集め、水、及びジエチルエーテルで洗浄して、6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸を得た。
LC保持時間1.814分 347.2/349.2 塩素分割パターン。
【0052】
5-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸
【化10】

6-クロロ-7-ヒドロキシ-3-(4-メトキシ-フェニル)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸(1当量)をエタノール中に取り、ヒドラジン水和物(3当量)を加えた。溶解を助けるため、数滴のNaHCO3(水溶液)を加え、次いで全てを窒素下で70℃にて2時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、真空中で褐色油に濃縮した。これを、1M HCl(水溶液)とジエチルエーテルとの間で分配する。有機相を合わせ、1M HCl(水溶液)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、真空中で濾過及び濃縮して、黄色の泡として5-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸を得た。
LC保持時間2.020分 [M+H]+ 361.2/363.2 塩素分割パターン。
【0053】
アミドの一般的合成
【化11】

方法1
5-(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸(1当量)を、無水ジクロロメタン中に懸濁物として取った。得られた溶液を窒素下で0℃に冷却した。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3当量)を加え、続いてN-メチルモルホリン(10当量)、N-エチル-N'-(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(3当量)及びアミン(2当量)を加えた。全てを室温まで一晩撹拌した。得られた溶液をジクロロメタンで希釈し、1M HCl(水溶液)、飽和NaHCO3(水溶液)及び飽和NaCl(水溶液)で抽出させ、次いでMgSO4上で乾燥させ、真空中で濾過及び濃縮した。残渣を分取(preparative)LC/MSにより精製してアミド生成物を得た。
【0054】
方法2
前記酸(1当量)を無水ジクロロメタン中に取り、溶液を窒素下で0℃まで冷却した。トリエチルアミン(6当量)を加え、続いて4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.5当量)を加えた。無水ジクロロメタン中の溶液としてのジ-tert-ブチルジカルボネート(3当量)を、30分間にわたって滴下して加え、続いて前記アミン(2当量)を加えた。反応混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物を1M HCl(水溶液)で洗浄し、次いで塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶液を真空中で濾過及び濃縮した。
この粘性物質(gum)をメタノール中に溶解した。過剰な1M Na2CO3(水溶液)を加え、溶液を窒素下に80℃まで8時間加熱し、次いで室温に冷却して戻した。残渣を分取LC/MSにより精製した。
【化12】

【0055】
スキーム2:5-位伸長アミドの合成
方法3
【化13】

前記酸(1当量)を無水ジクロロメタン中に取り、溶液を窒素下で0℃まで冷却した。トリエチルアミン(6当量)を加え、続いて4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.5当量)を加えた。無水ジクロロメタン中の溶液としてのジ-tert-ブチルジカルボネート(3当量)を、30分間にわたって滴下して加えた。反応混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物を1M HCl(水溶液)で洗浄し、次いで塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶液を真空中で濾過及び濃縮した。
LC/MC保持時間2.86分 [M-Boc]+ 505.4/507.4 塩素分割パターン。
【化14】

【0056】
このカルボン酸(1当量)を無水ジクロロメタンに溶解させた。得られた溶液を窒素下で0℃まで冷却した。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3当量)を加え、続いてN-メチルモルホリン(8当量)、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(3当量)及びH-D-ALA-OMe.HCl(2当量)を加えた。全てを室温まで一晩撹拌した。得られた溶液をジクロロメタンで希釈し、1M HCl(水溶液)、飽和NaHCO3(水溶液)及び飽和NaCl(水溶液)で抽出させ、次いでMgSO4上で乾燥させ、真空中で濾過及び濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した(1% MeOH-DCMで溶出)。
LC/MC保持時間2.97分 [M-H]+ 646.5/648.5 塩素分割パターン。
【化15】

【0057】
前記エステル(1当量)を水:1,4-ジオキサンの1:1溶液中に取った。1M LiOH(水溶液)を加え、全てを窒素下にて90分間室温にて撹拌した。
反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄した。水性相を1M HCl(水溶液)で酸性化し、ジクロロメタン中に抽出させた。有機相をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濾過及び濃縮して、泡としてカルボン酸を得た。
LC/MC保持時間2.851分 632.5/634.5
【化16】

【0058】
前記カルボン酸(1当量)を無水ジクロロメタン中に溶解した。得られた溶液を窒素下で0℃まで冷却した。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3当量)を加え、続いてN-メチルモルホリン(8当量)、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(3当量)及びアミン(2当量)を加えた。全てを室温まで一晩撹拌した。得られた溶液をジクロロメタンで希釈し、1M HCl(水溶液)、飽和NaHCO3(水溶液)及び飽和NaCl(水溶液)で抽出させ、次いでMgSO4上で乾燥させ、真空中で濾過及び濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した(1% MeOH-DCMで溶出)。
【化17】

【0059】
この粘性物質(gum)をメタノール中に溶解した。過剰な1M Na2CO3(水溶液)を加え、溶液を窒素下に80℃まで8時間加熱し、次いで室温に冷却して戻した。残渣を分取LC/MSにより精製した。
【0060】
【表1】

【表2】

【表3】

【0061】
蛍光偏光アッセイ
蛍光偏光[蛍光異方性としてもまた知られる]は、溶液中の蛍光種の旋光度を測定する。ここで、分子が大きいほど、蛍光発光は偏光する。蛍光体が偏光した光で励起されると、発せられる光も偏光する。分子サイズは、蛍光発光の偏光に正比例する。フルオロセイン標識プローブ(RBT0045864-FAM)は、HSP90[完全長ヒト、完全長酵母又はN末端ドメインHSP90]に結合し、異方性[プローブ−タンパク質複合体の旋光度]が測定される。
【0062】
化合物をアッセイプレートに加え、平衡にさせ、異方性を再度測定する。異方性の何らかの変化は、HSP90への化合物の競合的結合によるプローブの遊離に起因する。
【化18】

材料
化学物質は、商業的に入手可能な最高級の純度のものであり、全ての水溶液は、AR水で作製される。
1)Costar96ウェルブラックアッセイプレート#3915
2)(a)100mM Tris pH7.4;(b)20mM KCl;(c)6mM MgCl2のアッセイ緩衝液。室温にて貯蔵。
3)BSA(ウシ血清アルブミン)10mg/ml(New England Biolabs #B9001S)
4)100% DMSO貯蔵濃度で20mM RBT0045864(ピラゾール)。RTにて暗所中で貯蔵。自家製、Kd- 200μM(使用するタンパク質に依存して)。実効濃度は、AR水に希釈した200nMであり、4℃にて貯蔵。アッセイ中の最終濃度80nM。
5)E.coli発現ヒト完全長HSP90タンパク質。95%より高い純度に精製(例えば、Panaretouら、EMBO J., Vol.17, pp.4829-4836, 1998)及び−80℃にて50μLアリコートで貯蔵。
【0063】
プロトコル
1)ウェル11A及び12A(=FP BLNK)に100μl 1×緩衝液を添加。

2)アッセイミックスを調製。プローブは光感受性であるので、バケットに蓋をして、全ての反応剤を氷上に維持する。
i. 最終濃度n
・1×Hsp90 FP緩衝液 10 ml 1×
・BSA 10mg/ml(NEB) 5.0 μl 5μg/ml
・プローブ 200μM 4.0 μl 80nM
・ヒト完全長Hsp90 6.25μl 200nM
3)他の全てのウェルに100μlアッセイミックスを分注。
4)プレートを密封し、暗所で室温にて20分間放置して平衡化。
【0064】
化合物希釈プレート−1×3希釈系列
1)透明な96ウェルv底プレート[#VWR007/008/257]において、10μlの100%DMSOをウェルB1〜H11に加える
2)ウェルA1〜A11に、17.5μlの100%DMSOを加える
3)A1に2.5μlのcpdを加える。これにより2.5mM[50×]貯蔵cpdを得る(cpdを20mMと仮定して)。
4)ウェルA2〜A10について繰り返す。列11及び12にはコントロール。
5)行Aから行Bに5μl移す(列12は除く)。ウェルを混合する。
6)行Bから行Cに5μl移す。ウェルを混合する。
7)行Gまで繰り返す。
8)行H(これが0行である)には化合物を加えない。
9)これにより、50μMから0.07μMまでの1×3希釈系列が作成される。
10)ウェルB12において、20μlの100μM標準化合物を調製する。
11)第1のインキュベーション後、アッセイプレートをFusion(商標)a-FPプレートリーダー(Packard BioScience, Pangbourne, Berkshire, UK)上で読み取る。
12)第1の読み取り後、2μlの希釈化合物を列1〜10について各ウェルに加える。列11[標準曲線を提供する]には、化合物B11〜H11のみを加える。2μlの100mM標準cpdをウェルB12〜H12[陽性コントロールである]に加える。
0コントロール及び陽性ウェルからZ'因子を算出する。これは、代表的には、0.7〜0.9の値を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HSP90活性の阻害のための組成物の製造における式(I):
【化1】

[式中、
R1は、式(IA):
-Ar1-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Q (IA)
(ここで、任意の矛盾しない組合せで、
Ar1は、任意に置換していてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、
Alk1及びAlk2は、任意に置換していてもよい二価のC1〜C6アルキレン又はC2〜C6アルケニレン基であり、
p、r及びsは、独立して0又は1であり、
Zは、-O-、-S-、-(C=O)-、-(C=S)-、-SO2-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-C(=S)NRA-、-SO2NRA-、-NRAC(=O)-、-NRASO2-又は-NRA-(ここで、RAは水素又はC1〜C6アルキルである)であり、そして
Qは、水素又は任意に置換していてもよい炭素環式若しくは複素環式基である)
の基であり、
R2は、(i) R1に関して定義したとおりの式(IA)の基;
(ii) カルボキサミド基;又は
(iii) 非芳香族炭素環又は複素環(ここで、環炭素及び/又は環窒素は、式-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Q (ここで、Q、Alk1、Alk2、Z、p、r及びsは、基(IA)に関して上記で定義したとおりである)の基により任意に置換されていてもよい)であり;そして
R3は、水素、又はメチル、エチル、n−若しくはイソ−プロピル(このいずれもがヒドロキシによって任意に置換していてもよい)であり;
Xは、-OR4又は-NR4R5(ここで、R4及びR5は独立して、水素又は任意に置換していてもよいC1〜C6アルキルであるか、又はR4及びR5は、これらが付着している窒素と一緒になって、5〜8の環原子を有する任意に置換していてもよい窒素含有環を形成する)である]の化合物又はその塩、N-酸化物、水和物若しくは溶媒和物の使用。
【請求項2】
式(I)の化合物において、R1が式(IB):
【化2】

[式中、R6は、クロロ、ブロモ、C1〜C6アルキル又はシアノである]を有する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物において、R1が式(IC):
【化3】

[式中、Alk1、Alk2、p、r、s、Z及びQは、式(IA)に関して請求項1で定義したとおりであり、Rは1又はそれ以上の任意の置換基を表す]を有する請求項1に記載の使用。
【請求項4】
Rがフェニル環の4位において-OHであり、置換基-(Alk1)p-(Z)r-(Alk2)s-Qがフェニル環の5位にある請求項2に記載の使用。
【請求項5】
rが0であり、Qが水素又は任意に置換されていてもよいフェニルである請求項4に記載の使用。
【請求項6】
sが0であり、pが1であり、Alk1が未置換で二価のC1〜C6アルキレン又はC2〜C6アルケニレン基である請求項5に記載の使用。
【請求項7】
Alk1が-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-又は-CH=CH-である請求項5に記載の使用。
【請求項8】
p、r及びsが各々0である請求項4に記載の使用。
【請求項9】
R2が、メトキシ、エトキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ又はトリフルオロメチルの1又はそれ以上により任意に置換されていてもよいフェニル、2-、3-若しくは4-ピリジル、2-若しくは3-フラニル、2-若しくは3-チエニル又はチアゾリルである請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
R2が、任意に置換されていてもよいフェニルである請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
R2が、4位において、(i)C1〜C6アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、モルホリノメチル、ピペラジノ、N-メチルピペラジノ又はピペリジノ、(ii)任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、例えば、任意に置換されていてもよいメチル、エチル、n-プロピル又はイソ-プロピル、(iii)任意に置換されていてもよいモルホリノC1-6アルキル-、チオモルホリノC1-6アルキル-、ピペラジノC1-6アルキル-、メチルピペラジノC1-6アルキル-又はジエチルアミノ、(iv)-NH2、-NHRA、-NRARB、-NHCORA、-NHCOORA、-NRBCOORA、-NHSO2ORA、-NRBSO2ORA、-NHCONH2、-NRACONH2、-NHCONHRB、-NRACONHRB、-NHCONRARB又は-NRACONRARB(ここで、RA及びRBは独立して(C1〜C6)アルキル基である)、或いは(v)任意に置換されていてもよいピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ又はチオモルホリノにより置換されているフェニルである請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
R2が式-CONRB(Alk)nRA
(ここで、
Alkは、任意に置換されていてもよい二価のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基であり
nは0又は1であり、
RBは、水素又はC1〜C6アルキル又はC2〜C6アルケニル基であり、
RAは、ヒドロキシ又は任意に置換されていてもよい炭素環若しくは複素環であり、
或いは、RA及びRBは、これらが結合している窒素と一緒になって、O、S及びNから選択される1又はそれ以上の追加のヘテロ原子を任意に含有していてもよく且つ1又はそれ以上の環C又はN原子上で任意に置換されていてもよいN-複素環を形成する)のカルボキサミド基である請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
Alkが、任意に置換されていてもよい-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH=CH-又は-CH2CCCH2-基であり、
nは0又は1であり、
RBは、水素、メチル、エチル、n-若しくはイソ-プロピル又はアリルであり、
RAは、ヒドロキシ、又はヒドロキシ及び/若しくはクロロ-置換されたフェニル、3,4メチレンジオキシフェニル、ピリジル、フリル、チエニル、N-ピペラジニル若しくはN-モルホリニルであり、
或いは、RA及びRBは、これらが結合している窒素と一緒になって、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニル又はN-フェニルピペラジニル環を形成する請求項12に記載の使用。
【請求項14】
nが0であり、RBが水素であり、RAがヒドロキシ又は任意に置換されていてもよい炭素環若しくは複素環である請求項12に記載の使用。
【請求項15】
R3が水素である請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
R3が水素以外であり、これが結合している炭素中心での立体化学配置がDアミノ酸のものである請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
Xが-OR4又は-NHR4(ここで、R4は、任意にヒドロキシで置換されていてもよいC1〜C6アルキル、又は第1級、第2級、第3級若しくは環式のアミノ基である)である請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
Xが-NR4R5(ここで、R4及びR5は、これらが結合している窒素と一緒になって、モルホリノ、ピペリジニル又はピペラジニル環(これらの環は、第2窒素上で任意にC1〜C6アルキルにより置換されていてもよい)を形成する)である請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
過剰の又は不適切なHSP90活性の阻害に有効な量の請求項1〜15のいずれか1項に規定の式(I)の化合物又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において過剰の又は不適切なHSP90活性により媒介される疾患又は状態の処置の方法。
【請求項20】
免疫抑制のため、又はガン;ウイルス性疾患;慢性関節リウマチ、喘息、多発性硬化症、I型糖尿病、狼瘡、乾癬及び炎症性腸疾患のような炎症性疾患;嚢胞性線維症;糖尿病性網膜症、血管腫及び子宮内膜症のような血管新生に関連する疾患の処置のため、又は化学療法誘発毒性に対する正常細胞の保護のため、アポトーシスを経ないことが基礎的要因である疾患、又は心臓及び脳内におけるHsp70の上昇に起因する低酸素−虚血性傷害、スクラピー/CJD、ハンチントン病及びアルツハイマー病からの保護のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用又は請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ヒト又は動物の医薬に使用するための請求項1〜18のいずれか1項に規定の式(I)の化合物又はその塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか1項に規定の式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物若しくは水和物。
【請求項23】
本明細書中のいずれかの実施例に記載された構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物若しくは水和物。
【請求項24】
請求項22又は23に規定の化合物を医薬的又は動物医薬的に許容可能なキャリアと共に含む医薬又は動物医薬組成物。



【公表番号】特表2006−524673(P2006−524673A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506168(P2006−506168)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001740
【国際公開番号】WO2004/096212
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504236215)ヴァーナリス(ケンブリッジ)リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】VERNALIS(CAMBRIDGE)LIMITED
【住所又は居所原語表記】Granta Park,Abington,Cambridge CB1 6GB,United Kingdom
【出願人】(505401654)キャンサー リサーチ テクノロジー リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CANCER RESEARCH TECHNOLOGY LTD.
【住所又は居所原語表記】61 Lincoln’s Inn Fields,London WC2A 3PX,United Kingdom
【出願人】(504236178)ジ インスティテュート オブ キャンサー リサーチ (11)
【氏名又は名称原語表記】THE INSTITUTE OF CANCER RESEARCH
【住所又は居所原語表記】Royal Cancer Hospital,123 Old Brompton Road,London SW7 3RP,United Kingdom
【Fターム(参考)】