説明

キャブマウント構造

【課題】 耐久性に優れるキャブマウント構造を提供すること。
【解決手段】 車両のシャシフレームを構成する梁状のメインフレームメンバ1に設けたキャブマウント部13dに、車室を有するキャビンを架装するキャブマウント構造であって、キャブマウント部13dを、メインフレームメンバ1と車両上下方向で重なる位置に配置し、キャブマウント部13dに、メインフレームメンバ1の一般部よりも肉厚を厚くした厚肉部11d,12dを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックタイプの車両のような、例えば梯子状に形成されたシャシフレームにキャビンをマウントした車両における、キャビンのマウント部分の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトラックなどように、シャシフレームに人が乗るキャビンを架装した構造の車両が知られている。そして、このような構造の車両において、シャシフレームを構成するフレームメンバにマウントブラケットを固定し、このマウントブラケットにキャビン側の部材を締結具によりマウントしたキャブマウント構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−337747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、マウントブラケットが、フレームメンバの側面に片持ち状態でアーク溶接により固定されており、このマウントブラケットにおいてフレームメンバからオフセットした位置でキャビンを支持した構造であった。
【0004】
このため、キャビン側からマウントブラケットへ入力される車両上下方向の荷重に対して、アーク溶接部における応力が、フレームメンバの側面の面外方向に作用し、耐久性に不利となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、耐久性に優れるキャブマウント構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述事情に鑑みなされたもので、車両のシャシフレームを構成する梁状のフレームメンバに設けたキャブマウント部に、車室を有するキャビンを架装するキャブマウント構造であって、前記キャブマウント部が、前記フレームメンバと車両上下方向で重なる位置に配置され、前記キャブマウント部に、前記フレームメンバの一般部よりも肉厚を厚くした厚肉部が形成されていることを最も主要な特徴とするキャブマウント構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のキャブマウント構造にあっては、キャビンからキャブマウント部に入力される上下方向の荷重が、フレームメンバに対して上下方向で重なる位置から伝達されて分散される。
【0008】
このようにフレームメンバにおける入力点が、フレームメンバと上下方向に重なり車幅方向にオフセットしていないため、入力がフレームメンバに対して中心軸回りに作用しにくい。しかも、キャブマウント部は、厚肉部を形成しているため、厚肉部を設けない構造に比べ、支持剛性が向上し、かつ、荷重を効率良く分散できる。したがって、キャブマウント部における耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
この実施の形態のキャブマウント構造は、シャシフレーム(CF)を構成する梁状のフレームメンバ(1)に設けたキャブマウント部(13d)に、車室を有するキャビン(4)を架装するキャブマウント構造であって、前記キャブマウント部(13d)が、前記フレームメンバ(1)と車両上下方向で重なる位置に配置され、前記キャブマウント部(13d)に、フレームメンバ(1)の一般部よりも肉厚を厚くした厚肉部(11d,12d)が形成されていることを特徴とする。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5に基づいて本発明の最良の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aについて説明する。
【0012】
まず、その構成について説明する。
【0013】
実施例1のキャブマウント構造Aは、図5に示すシャシフレームCFに図外の人を載せる車室が形成されたキャビン(図18の符号4参照)を架装するのに適用されている。
【0014】
シャシフレームCFは車両の左右位置において車両前後方向に沿って延在されたメインフレーム部材11と、この左右のメインフレーム部材11の間に架け渡された複数のクロスフレームメンバ2,2,2,2,2,2と、を梯子状に連結して構成されている。
【0015】
メインフレームメンバ1の複数個所において、図外のキャビンを架装するためのマウント部が設けられており、これらのマウント部に実施例1のキャブマウント構造Aが用いられている。
【0016】
この実施例1のキャブマウント構造Aは、例えば、図5のa部に用いられており、図1はこのa部を拡大したものである。
【0017】
図1に示すように、メインフレームメンバ1は、a部では、第1フレーム部材11と第2フレーム部材12とを、連結部材13で連結した構造となっている。すなわち、メインフレームメンバ1は、両フレーム部材11,12を含む複数のフレームメンバを車両前後方向に一列に並べ、これらを連結して形成されている。なお、各図において矢印FRが車両前方を、矢印RRが車両後方を示している。
【0018】
各フレーム部材11,12は、アルミ合金などの軽金属の押出成形により四角筒状に形成されており、図2に示すように、上板11a,12a、側板11b,11b,12b,12b、下板11c,12cで囲まれた略正方形の断面形状に形成されている。さらに、上板11a,12aにおいて、線CEで示す車幅方向の中央には、一般部分よりも肉厚を厚く形成したリブ状の厚肉部11d,12dが、車両前後方向の全長に亘って形成されている。すなわち、実施例1では、後述するキャブマウント部13dに厚肉部を形成するにあたり、このキャブマウント部13dの下面を支持するフレーム部材11,12に厚肉部11d,12dを形成している。なお、図2は図1のS2−S2線で切断した第2フレーム部材12の断面であるが、第1フレーム部材11も同様の構造であるので、第1フレーム部材11の符号も付している。
【0019】
連結部材13は、図1に示すように、上板13a、側板13b,13b、下板13cを有した四角筒状で、その内周が各フレーム部材11,12の外周よりも僅かに大きな寸法に形成されている。そして、連結部材13の前後両端部から両フレーム部材11,12が挿入されて、連結部材13と各フレーム部材11,12とが内外に重なったラップ部113,123が形成されている。
【0020】
さらに、上板13aの車両前後方向および車幅方向の中央位置には、図外のキャビンを支持するキャブマウント部13dが形成されている。なお、図3において、線CEは連結部材13の重心Zを通る線であり、この線CEの位置が、連結部材13の車両前後方向および車幅方向の中央位置である。
【0021】
キャブマウント部13dは、上板13aを車両下方(矢印UN)に向けて円形に凹ませて形成されている。そして、このキャブマウント部13dの凹みの中央、およびこれと同軸の下板13cには、図外の弾性を有したマウント部材(図18の44参照)を締結するボルトなどを挿通する挿通穴13e,13fが穿設されている。
【0022】
上述した形状の連結部材13は、アルミ合金などの軽金属の鋳造品あるいは同様の軽金属の押出成形品を加工したものが用いられている。
【0023】
次に、実施例1の作用を説明する。
【0024】
図4は、図外のキャビンから連結部材13のキャブマウント部13dに対し上下方向の荷重F2を受けた場合を示しており、この荷重F2が連結部材13の車幅方向の略中央に入力され、入力位置がオフセットしていないため、図4に示すように応力が面内方向に作用し、耐久性に有利となる。
【0025】
また、連結部材13は、ラップ部113,123で第1・第2フレーム部材11,12とラップして連結されているため、荷重F2を効率良く各フレームに伝達することができる。
【0026】
しかも、各フレーム部材11,12は、上板11a,12aに厚肉部11d,12dを形成したことにより、上板11a,12aの全体を厚くすることなく各フレーム部材11,12の断面2次モーメントが向上し、各フレーム部材11,12の曲げにより荷重F2を広く伝達できる。
【0027】
このため、キャブマウント部13dの応力低減が図られ、レインフォースなどの部品を追加しない軽量な手段により支持剛性および耐久性が向上する。しかも、厚肉部11d,12dは、上板11a,12aの下面、すなわち各フレーム部材11,12の内側に形成されているため、各フレーム部材11,12の車両上下方向寸法が増すことが無く、車両上下方向に寸法の制限を受ける場合でも、上述の支持剛性および耐久性の向上を図ることができる。
【0028】
さらに、キャブマウント部13dを有した連結部材13は、キャブマウント部13dを両フレーム部材11,12の断面と車両前後方向で重なって配置しているため、キャビンからの荷重F2をメインフレームメンバ1の真上で受ける構造にもかかわらず、車両上下方向の寸法を抑えて、上述の荷重伝達効果を得ることができる。
【0029】
また、メインフレームメンバ1を、第1フレーム部材11と第2フレーム部材12とを連結部材13で連結し、この連結部材13にキャブマウント部13dを形成した構造としたため、メインフレームメンバ1の中間部にキャブマウント部13dを配置するのが容易で、製造が容易である。
【0030】
加えて、各フレーム部材11,12は、軽金属の押出成形品を用い、また、連結部材13も、軽金属の押出成形品あるいは鋳造品を用いたため、これら11,12,13を筒状に形成するにあたり折曲加工や溶接が不要で製造が容易であり、かつ、軽量である。
【実施例2】
【0031】
次に、図6に基づいて本発明実施の形態の実施例2のキャブマウント構造Bについて説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心として説明する。
【0032】
実施例2のキャブマウント構造Bは、第1フレーム部材211および第2フレーム部材212の構造が、実施例1のものとは相違する。
【0033】
すなわち、両フレーム部材211,212は、図6に示すように、実施例1と同様に、上板211a,212a、側板211b,211b,212b,212b、下板211c,212cに囲まれた四角筒状に形成され、上板211a,212aの車幅方向中央位置(線CEの位置)に、リブ状の厚肉部211d,212dが長手方向全長に亘って形成されている。これに加え、各下板211c,212cの車幅方向中央位置(線CEの位置)に、リブ状の厚肉部211e,212eが長手方向全長に亘って形成されている。
【0034】
したがって、実施例2のキャブマウント構造では、実施例1と比較して、両フレーム部材211,212の断面中心位置と両フレームの重心位置とが近くなり、断面2次モーメントが大きくなり、両フレーム部材211,212の曲げ剛性が向上するため、キャビンからの上下方向の荷重F2の分散効果が向上し、支持剛性および耐久性が向上する。
【0035】
他の構成および作用効果については、実施例1と同様であり、説明を省略する。
【実施例3】
【0036】
次に、図7〜図9に基づいて本発明実施の形態の実施例3のキャブマウント構造Cについて説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心として説明する。
【0037】
実施例3のキャブマウント構造Cは、連結部材313の構造が、実施例1のものとは相違している。
【0038】
すなわち、連結部材313は、アルミ合金などの軽金属の鋳物材で形成され、実施例1と同様の上板13a、側板13b,13b、下板13c、キャブマウント部13d、挿通穴13e,13fを備えている。
【0039】
さらに、実施例2では、連結部材313の内側に、キャブマウント部13dおよび挿通穴13e,13fと同軸に配置された円筒形状の補強部材としてのカラー313gが、上板13aのキャブマウント部13dおよび下板13cと一体に形成されている。
【0040】
したがって、実施例3のキャブマウント構造Cでは、実施例1の効果に加え、キャブマウント部13dへ入力される荷重(F2)を効率良く連結部材313の下板13cに分散でき、さらに、両フレーム部材11,12へも伝達できる。よって、荷重の分散効果が向上し、キャブマウント部13dにおける支持剛性および耐久性が向上する。
【0041】
また、連結部材313は、軽金属の鋳造品を用いたため、カラー313gを設けるにあたり、溶接などで連結する必要が無く、製造が容易である。
【実施例4】
【0042】
次に、図10〜図12に基づいて本発明実施の形態の実施例4のキャブマウント構造Dについて説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心として説明する。
【0043】
この実施例4のキャブマウント構造Dは、実施例3の変形例であり、連結部材413の構造が実施例3のものと相違している。
【0044】
すなわち、連結部材413の内側に設けたカラー313gの周囲に、車両上方から見てキャブマウント部13dの軸心位置(線CEの位置)でクロスするX状に配置され、カラー313gと側板13b,13bとの間、および上板13aと下板13cとの間に4枚の補強材としてのリブ413h,413h,413h,413hが、一体に形成されている。
【0045】
したがって、実施例4のキャブマウント構造では、リブ413h,413h,413h,413hを設けたため、連結部材413の捩り剛性および曲げ剛性が向上する。よって、荷重の分散効果がさらに向上し、実施例4のキャブマウント構造Dにおける支持剛性および耐久性がさらに向上する。
【0046】
また、連結部材413は、軽金属の鋳造品を用いたため、補強部材としてカラー313gおよびリブ413h,413h,413h,413hを設けるにあたり、溶接などで連結する必要が無く、製造が容易である。
【0047】
他の構成および効果は実施例3と同様であるので説明を省略する。
【実施例5】
【0048】
次に、図13〜図15に基づいて本発明実施の形態の実施例5のキャブマウント構造Eについて説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心として説明する。
【0049】
この実施例5のキャブマウント構造Eは、実施例3の変形例であり、連結部材513の構造が実施例3のものと相違している。
【0050】
すなわち、連結部材513の内部には、補強部材としてカラー313gに加え、上板13aと下板13cとの間に、連結部材513の対角線上、すなわち車両前後方向から見て図14に示すようにX状に配置された2枚の対角リブ513j,513jと、図13に示すように、車両上方から見てキャブマウント部13dの軸心を通り車幅方向に延在された剪断リブ513k,513kと、が連結部材513に一体に形成されている。
【0051】
したがって、実施例5のキャブマウント構造Eでは、対角リブ513j,513jが両フレーム部材11,12の角の稜線の近くに配置されているため、キャビンから入力される荷重(F2)が両フレーム部材11,12に伝達されやすくなる。
【0052】
加えて、剪断リブ513k,513kを設けたことで、補強部材としてカラー313gのみを設けた場合と比較して、上下方向の荷重(F2)を効率良く連結部材513の下板13cへ伝達でき、連結部材513それ自体の捩り剛性および曲げ剛性が、いっそう向上する。これにより、実施例5のキャブマウント構造Eにおける支持剛性および耐久性がさらに向上する。
【0053】
また、連結部材513は、軽金属の鋳造品を用いたため、補強部材としてカラー313g、対角リブ513j,513j、剪断リブ513k,513kを有した複雑な形状であるが、カラー313gや各リブ513j,513gを溶接などで連結する必要が無く、製造が容易である。
【実施例6】
【0054】
次に、図16〜図20に基づいて本発明実施の形態の実施例6のキャブマウント構造について説明する。なお、前記実施例1および実施例5と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心として説明する。
【0055】
シャシフレームCFは、図16に示すように、実施例1と同様に、車両前後方向に沿って車両の左右に配置されたメインフレームメンバ61,61と、この左右のメインフレームメンバ61,61の間に架け渡された複数のクロスフレームメンバ62と、を梯子状に連結して構成されている。
【0056】
メインフレームメンバ61において、実施例1と相違するのは、メインフレームメンバ61の前部61aと中間部61bとの間、および中間部61bと後部61cとの間に、車幅方向に折曲された折曲部61d,61eが形成され、中間部61bが前部61aおよび後部61cよりも車外方向に突出して形成されている。この中間部61bの位置は、例えば、従来技術においてマウントブラケットを配置していた位置に相当する。
【0057】
さらに、折曲部61dの車両前方には、前輪FWが配置されている。
【0058】
また、中間部61bの車両前後方向の両端部には、キャビン4(図18参照)を支持する車両前方側から2番目に配置された第2マウント部M2および3番目に配置された第3マウント部M3が配置されている。
【0059】
これら第2・第3マウント部M2,M3に、それぞれ実施例6のキャブマウント構造が適用されている。これら第2・第3マウント部M2,M3は、その断面図である図17に示すように、実施例2で示した第1フレーム部材211および第2フレーム部材212を、実施例5で示した連結部材513で連結した構造となっている。
【0060】
図18に示すように、キャビン4は、底部にフロアパネル41が設けられ、このフロアパネル41の車幅方向両側(図では一側のみを示す)には、長方形の閉断面構造のサイドシル42が接合されている。そして、フロアパネル41の下面に設けられ、フロアパネル41とで閉断面を形成したサイドメンバ43が、第2,第3マウント部M2,M3において弾性を有したマウント部材44を介して支持されている。
【0061】
次に、実施例6の作用について説明する。
【0062】
実施例6のキャブマウント構造では、両フレーム部材211,212により実施例2と同様の効果が得られ、連結部材513により実施例5と同様の効果が得られる。
【0063】
図19および図20は、は実施例6のキャブマウント構造を適用したメインフレームメンバ61における捩れ角特性および静的捩り剛性を従来と比較する特性図であり、両図に示すように、実施例6では捩れ角特性および捩り剛性が向上する。
【0064】
さらに、実施例6では、メインフレームメンバ61の中間部61bを車両外側に配置したことにより、メインフレームメンバ61の上下方向寸法が制約された中でメインフレームメンバ61の実断面積を幅方向に拡大可能であり、これにより、さらに、軽量化を図りつつ捩れ剛性や曲げ剛性を向上させることが可能となる。
【0065】
また、車両のオフセット衝突時には、図16に示すように、車両前方からの入力F3を前輪FWから直接メインフレームメンバ61に伝達させることができ、キャビン反力が向上する。
【0066】
一方、側面衝突時には、図18に示すように、側面からの荷重F4が、サイドシル42からフロアパネル41への荷重伝達に加え、サイドシル42から直接メインフレームメンバ61の中間部61bへの荷重f4の伝達が可能となり、早期に反力を上昇させることが可能である。これにより、エネルギ効率の向上と、キャビン生存空間の確保を図ることができる。
【0067】
ちなみに、中間部61bを、車幅方向で後部61cと同じ位置に配置した従来構造の場合、サイドシル42へ入力された側方からの荷重F4は、サイドシル→フロアパネル→キャブマウント部→メインフレームという荷重伝達となり、実施例6と比較すると、反力の上昇が遅くなる。
【実施例7】
【0068】
次に、図21に基づいて本発明実施の形態の実施例7のキャブマウント構造Gについて説明する。
【0069】
この実施例7は、実施例1で示したメインフレームメンバ1と同様にシャシフレームCFの左右に設けられたメインフレームメンバ701に一体にキャブマウント部701dが形成されている。このキャブマウント部701dは、メインフレームメンバ701の車幅方向の略中央位置に設けられ、その軸心位置には、図外のマウント部材を締結するボルトなどを挿通する挿通穴701eが形成され、また、これと同軸に下板701cにも挿通穴701fが形成されている。
【0070】
さらに、上板701aには、2本のリブ状の厚肉部701g,701gが、車幅方向の中心軸(線CE)を挟んで左右対称に全長に亘って形成されている。
【0071】
この実施例7にあっては、上述した荷重の効率の良い分散効果が得られ耐久性が向上し、かつ、部品点数が少なく軽量化を図ることができる。
【0072】
この実施例7のキャブマウント構造Gにあっても、キャブマウント部701dがメインフレームメンバ701の車幅方向略中央に配置され、かつ、メインフレームメンバ701に、厚肉部701gが形成されているため、上述した荷重の効率の良い分散効果が得られ耐久性が向上する。また、補強用の構造や連結部材を有していないため、部品点数が少なく軽量化を図ることができる。
【実施例8】
【0073】
次に、図22に基づいて本発明実施の形態の実施例8のキャブマウント構造Hについて説明する。
【0074】
この実施例8にあっては、メインフレームメンバ801が、第1フレーム部材811と第2フレーム部材812とを直接連結して形成されている。
【0075】
第1フレーム部材811と第2フレーム部材812の上板811a,812aには、それぞれ第1実施例と同様に、車幅方向の中央位置に厚肉部811d,812gが形成されている。なお、両フレーム部材811,812のラップ部802では、厚肉部812gが切り欠かれている。
【0076】
さらに、第2フレーム部材812において、第1フレーム部材811との連結側の端部には、キャブマウント部812dが形成されている。また、その軸心部には、挿通穴812e,812fが同軸に形成されている。
【0077】
この実施例8のキャブマウント構造Hにあっても、キャブマウント部812dがメインフレームメンバ801の車幅方向略中央に配置され、かつ、メインフレームメンバ801を構成する各フレーム部材811,812に、それぞれ厚肉部811d,812gが形成されているため、上述した荷重の効率の良い分散効果が得られ耐久性が向上する。また、補強用の構造や連結部材を有していないため、部品点数が少なく軽量化を図ることができる。
【実施例9】
【0078】
次に、図23に基づいて本発明実施の形態の実施例9のキャブマウント構造Jについて説明する。
【0079】
この実施例9は、メインフレームメンバ901の上面にマウントブラケット902を取り付けた例である。
【0080】
メインフレームメンバ901は、上板901a、側板901b,901b、下板901cにより四角の筒状に形成されている。そして、キャブマウント部902dの軸心部、およびこれと同軸の下板902cに、ボルトなどを挿通する挿通穴902e,902fが形成されている。
【0081】
マウントブラケット902は、上板902a、側板902b,902b、下板902cにより長方形の筒状に形成され、上板902aには、上述の各実施例と同様の下方に凹んだキャブマウント部902dが形成されている。そして、上板901aの車幅方向の中央位置(線CEの位置)の下面にリブ状の厚肉部901dが全長に亘って形成されている。 さらに、これらの挿通穴902e,902fと同軸に、メインフレームメンバ901の上板901aおよび下板901cにも、挿通穴901e,901fが形成されている。
【0082】
このように構成された実施例9のキャブマウント構造Jも、キャブマウント部902dがメインフレームメンバ901の車幅方向略中央に配置され、かつ、メインフレームメンバ901に、リブ状の厚肉部901dを形成していることから、上述した荷重の効率の良い分散効果が得られ耐久性が向上する。
【実施例10】
【0083】
次に、図24に基づいて本発明実施の形態の実施例10のキャブマウント構造Kについて説明する。
【0084】
この実施例10も実施例9と同様に、メインフレームメンバ101の上面にマウントブラケット102を取り付けた例である。
【0085】
メインフレームメンバ101は、上板101a、側板101b,101b、下板101cにより四角の筒状に形成されている。そして、上板101aと下板101cとに、実施例7と同様に、それぞれ左右対称の2本のリブ状の厚肉部101d,101eが全長に亘って形成されている。
【0086】
また、上板101aには、取付用穴101fが開口され、その中心軸(線CE)の位置で下板101cにボルトなどを挿通する挿通穴101gが開口されている。
【0087】
マウントブラケット102は、上板102aの車幅方向端部から側板102b,102bを垂下させた略コの字断面形状に形成され、上板102aには、下方に凹んだキャブマウント部102dが形成され、その中央に挿通穴102eが形成されている。
【0088】
そして、マウントブラケット102は、キャブマウント部102dをメインフレームメンバ101の上板101aの取付用穴101f内に配置し、かつ、両側板102b,102bを、それぞれメインフレームメンバ101の側板101b,101bの外側面に沿わせた状態で溶接により固定されている。
【0089】
このように構成された実施例10のキャブマウント構造Kも、キャブマウント部102dがメインフレームメンバ101の車幅方向略中央に配置され、かつ、メインフレームメンバ101に、リブ状の厚肉部101d,101eを形成していることから、上述した荷重の効率の良い分散効果が得られ耐久性が向上する。
【0090】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1ないし実施例10を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1ないし実施例10に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0091】
例えば、メインフレームメンバ1などとして、軽金属の押出成形品を示したが、これに限定されず、鉄などのプレス成形品など、他の素材を用いることもできる。
【0092】
また、キャブマウント部を形成する連結部材13についても、軽金属による鋳造品などを例としてあげたが、押出成形品を切断したものや、プレス加工品など、他の素材を用いることができる。
【0093】
また、補強材であるカラー313g、各種リブは413h,513k,513jとして、鋳造により一体成形したものを示したが、別体のものを溶接などで固定してもよい。
【0094】
また、フレームメンバおよび連結部材として、四角の筒状のものを示したが、その形状としては、実施例で示した形状に限定されるものではなく、例えば、円柱形状のものなどを用いることもできる。図25は、円柱状の一例を示しており、メインフレームメンバ250が、円筒形状の第1フレーム部材251と第2フレーム部材252とを、円筒形状の連結部材253で連結して形成されている。そして、連結部材253には、キャブマウント部253dが形成され、その上面を形成する部位と下面を形成する部位とを連結する補強部材としての円筒状のカラー253gが設けられている。また、各フレーム部材251,252には、上面を形成する部位の車幅方向中央に、厚肉部251d,252dが形成されている。
【0095】
また、実施例1〜6などでは、キャブマウント部13dに厚肉部を形成するにあたり、フレーム部材に形成した例を示したが、連結部材13に圧肉部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aを示す断面図であり、図1のS2−S2線で切った状態を示している。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aを示す断面図であり、図1のS3−S3線で切った状態を示している。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aの作用を説明する説明図であり、図3と同様の位置で切断した状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1のキャブマウント構造Aを適用したシャシフレームを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の実施例2のキャブマウント構造Bの要部を示す断面図であって、図2と同様の切断面を示している。
【図7】本発明の実施の形態の実施例3のキャブマウント構造Cを示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態の実施例3のキャブマウント構造Cを示す断面図であり、図7のS8−S8線で切った状態を示している。
【図9】本発明の実施の形態の実施例3のキャブマウント構造Cを示す断面図であり、図7のS9−S9線で切った状態を示している。
【図10】本発明の実施の形態の実施例4のキャブマウント構造Dを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の実施例4のキャブマウント構造Dを示す断面図であり、図10のS11−S11線で切った状態を示している。
【図12】本発明の実施の形態の実施例4のキャブマウント構造Dを示す断面図であり、図10のS12−S12線で切った状態を示している。
【図13】本発明の実施の形態の実施例5のキャブマウント構造Eを示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態の実施例5のキャブマウント構造Eを示す断面図であり、図13のS14−S14線で切った状態を示している。
【図15】本発明の実施の形態の実施例5のキャブマウント構造Eを示す断面図であり、図13のS154−S15線で切った状態を示している。
【図16】本発明の実施の形態の実施例6のキャブマウント構造を適用したシャシフレームCFおよびその作用を示す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態の実施例6のキャブマウント構造を示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態の実施例6のキャブマウント構造およびその作用を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態の実施例6のキャブマウント構造と従来技術とを比較する捩れ角特性図である。
【図20】本発明の実施の形態の実施例6のキャブマウント構造と従来技術とを比較する静的捩り剛性特性図である。
【図21】本発明の実施の形態の実施例7のキャブマウント構造Gを示す断面図であり、(a)は車両前後方向に沿って切断した状態を示し、(b)は車幅方向に沿って切断した状態を示している。
【図22】本発明の実施の形態の実施例8のキャブマウント構造Hを示す車両前後方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図23】本発明の実施の形態の実施例9のキャブマウント構造Jを示す説明図であり、(a)は車両側方から見た側面図、(b)は(a)のSb−Sb線で切った状態を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態の実施例10のキャブマウント構造Kを示す断面図であり、(a)は車両前後方向に沿って切断した状態を示し、(b)は車幅方向に沿って切断した状態を示している。
【図25】本発明の実施の形態の他の例を示す断面図であり、(a)は車両前後方向に沿って切断した状態を示し、(b)は車幅方向に沿って切断した状態を示している。
【符号の説明】
【0097】
CF シャシフレーム
1 メインフレームメンバ
2 クロスフレームメンバ
4 キャビン
11 第1フレーム部材
11d 厚肉部
12 第2フレーム部材
12d 厚肉部
13 連結部材
13d キャブマウント部
61 メインフレームメンバ
62 クロスフレームメンバ
101 メインフレームメンバ
101d厚肉部
101e厚肉部
102dキャブマウント部
211 第1フレーム部材
211d厚肉部
211e厚肉部
212 第2フレーム部材
212d厚肉部
212e厚肉部
313 連結部材
313gカラー(補強部材)
413 連結部材
413hリブ(補強部材)
513 連結部材
513j対角リブ(補強部材)
513k剪断リブ(補強部材)
701 メインフレームメンバ
701dキャブマウント部
701g厚肉部
801 メインフレームメンバ
811 第1フレーム部材
811d厚肉部
812 第2フレーム部材
812dキャブマウント部
812g厚肉部
901 メインフレームメンバ
901d厚肉部
902dキャブマウント部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシャシフレームを構成する梁状のフレームメンバに設けたキャブマウント部に、車室を有するキャビンを架装するキャブマウント構造であって、
前記キャブマウント部が、前記フレームメンバと車両上下方向で重なる位置に配置され、
前記キャブマウント部に、前記フレームメンバの一般部よりも肉厚を厚くした厚肉部が形成されていることを特徴とするキャブマウント構造。
【請求項2】
前記キャブマウント部が、前記フレームメンバの車幅方向の略中央に配置され、
前記厚肉部が、前記キャブマウント部の上面を形成する部位の車幅方向の略中央に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキャブマウント構造。
【請求項3】
前記厚肉部が、前記キャブマウント部の下面を形成する部位に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャブマウント構造。
【請求項4】
前記フレームメンバが、車両前後方向に一列に並べられた複数の梁状のフレーム部材を、連結部材で連結して形成され、
この連結部材に前記キャブマウント部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のキャブマウント構造。
【請求項5】
前記連結部材が、筒状に形成され、かつ、前記上面を形成する部位と下面を形成する部位とを連結する補強部材が内側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のキャブマウント構造。
【請求項6】
前記キャブマウント部が、軽金属の押出成形品で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のキャブマウント構造。
【請求項7】
前記連結部材が、軽金属の鋳造品で形成されていることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載のキャブマウント構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−50816(P2007−50816A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238330(P2005−238330)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】