説明

キャリアテープの製造方法及び製造装置

【課題】本発明は、短時間で、しかも、簡単に製造できるキャリアテープの製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
【解決手段】下型5の突出片形成用凸部52を予め型加熱手段によって所定の温度に加熱しておく。その状態から上型6を下降させるとともに下型5を上昇させ、テープ材料10を、上型6の突出片形成用凹部62と下型5の突出片形成用凸部52とでしごき加工を施す。又、そのしごき加工に際して発生した余剰のテープ材料10を、下型5に設けた材料逃がし凹部8a、8bに逃がしながら行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置のチップ・サイズ・パッケージ(CSP)等の電子部品等の物品を収納するのに最適なキャリアテープの製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置のチップ・サイズ・パッケージ等の電子部品を収納する突出片を有する複数の収納凹部を形成したキャリアテープが知られている。このような突出片を有する収納凹部に収納される電子部品100は、例えば図3に示すように、電子部品本体101と、その電子部品本体101から外下方に湾曲状に延ばされるようにして突設されたリード端子102とを備えたものである。このようなリード端子102が収納凹部の内壁面等に接触するとリード端子102を傷める。そのため、突出片によって電子部品本体101を保持するようにし、リード端子102が収納凹部の内壁面等に接触しないようにしている。しかし、この突出片の厚さが厚くなると、電子部品本体101を保持する際に、突出片がリード端子102に接触するおそれがある。
【0003】
そこで、この問題点を解決するものとして、次のようなキャリアテープの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、まず、長尺の熱可塑性樹脂シートに、エンボス部(収納凹部)を成形すると同時に、その底部上面にリブ(突出片)を一体成形する。そして、得られた成形品の突出片を、両側から型で挟み込むようにして板状に押し潰す。これにより、突出片を厚さ(幅)の薄いものにしている。
【特許文献1】特開平8−207132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、収納凹部と突出片とを成形した後、更に、成形した突出片を、型で押し潰しているため、2つの型及び2つの成形工程が必要になってしまい、製造に長時間を要してしまうとともに、製造コストが高くついてしまう。又、成形した突出片の厚さは、薄く、これを更に型押しするため、例えば型押しに際して、成形した突出片と型との位置決めが難しくなってしまう。
【0005】
本発明は、短時間で、しかも、簡単に製造できるキャリアテープの製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、長尺板状のテープ材料に、底壁とその底壁の一部を裏側から押し上げるようにして底壁から突出させた突出片とを有する収納凹部を形成するキャリアテープの製造方法であって、壁形成用下型本体及び突出片形成用凸部を備えた下型と、前記壁形成用下型本体と対向する壁形成用上型本体及び前記突出片形成用凸部の外周面と対向する内周面を有する突出片形成用凹部を備え前記下型に対して上下移動可能な上型とであって、前記収納凹部の成形に際して、前記外周面と前記内周面とで、テープ材料にしごき加工を施し得るように構成されているとともに、前記下型における壁形成用下型本体と突出片形成用凸部との境界部と、前記上型における壁形成用上型本体と突出片形成用凹部との境界部との少なくとも一方に材料逃がし凹部を備えたものを用い、前記テープ材料を前記下型と上型との間に配設した状態で、前記上型を下型に対して下方に相対移動させ、前記突出片形成用凸部の外周面と前記突出片形成用凹部の内周面とで、それらの間に配設されたテープ材料にしごき加工を施し、そのしごき加工に伴い発生した余剰のテープ材料を前記材料逃がし凹部に逃がしながら前記突出片を形成するとともに、前記壁形成用下型本体と壁形成用上型本体とで前記底壁を形成することを特徴とするキャリアテープの製造方法を提供する。
【0007】
請求項2は、前記突出片形成用凸部を、型加熱手段によって加熱し得るように構成された下型を用い、前記外周面と内周面との間に配設されたテープ材料に、前記型加熱手段によって加熱した突出片形成用凸部から熱を加えながらしごき加工を施すことを特徴とするキャリアテープの製造方法である。
【0008】
請求項3は、長尺板状のテープ材料に、底壁とその底壁の一部を裏側から押し上げるようにして底壁から突出させた突出片とを有する収納凹部を形成するキャリアテープの製造装置であって、下型と、その下型に対して上下移動可能な上型とを備え、前記下型は、壁形成用下型本体と、その壁形成用下型本体から上方に突出した突出片形成用凸部を備え、前記上型は、前記壁形成用下型本体と対向する壁形成用上型本体と、その壁形成用上型本体から窪まされて前記突出片形成用凸部の外周面と対向する内周面を有する突出片形成用凹部を備え、前記突出片形成用凸部の外周面と前記突出片形成用凹部の内周面とは、前記収納凹部の成形に際して、それらによってテープ材料にしごき加工を施し得るように構成され、前記下型における壁形成用下型本体と突出片形成用凸部との境界部と、前記上型における壁形成用上型本体と突出片形成用凹部との境界部との少なくとも一方に、材料逃がし凹部が設けられていることを特徴とするキャリアテープの製造装置を提供する。
【0009】
請求項4は、前記突出片形成用凸部は、型加熱手段によって加熱可能に構成されていることを特徴とするキャリアテープの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1及び3によれば、上型を下型に対して下方に移動させ、突出片形成用凸部の外周面と突出片形成用凹部の内周面とで、それらの間に配設されたテープ材料にしごき加工を施して突出片を形成するとともに、壁形成用下型本体と壁形成用上型本体とでテープ材料に底壁を形成する。
【0011】
これにより、底壁を形成する同じ工程で、薄い板厚の突出片を形成できる。従って、短時間で、簡単にキャリアテープを製造できる。又、そのしごき加工に際し、余剰のテープ材料を材料逃がし凹部に逃がすため、突出片を、円滑にしごき加工できる。
【0012】
請求項2及び4によれば、突出片形成用凸部を型加熱手段によって加熱し得るように構成された下型を用い、外周面と内周面との間に配設されたテープ材料に、突出片形成用凸部から熱を加えながらしごき加工を施す。これにより、しごき加工に際して、テープ材料の材料流れを良好にでき、割れ等を生じさせることなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法により得られた一実施形態のキャリアテープの要部の平面図、図2は、図1のII−II線の拡大断面図、図3は、そのキャリアテープの収納凹部に電子部品を収納した状態の拡大断面図である。
【0014】
まず、本発明の製造方法により得られた実施形態のキャリアテープ1から説明する。この実施形態のキャリアテープ1は、長尺状のものから構成されている。又、長手方向に直交する前後方向(幅方向)の長さは、16mm程度である。
【0015】
又、この実施形態のキャリアテープ1は、0.25mm程度の厚さの長尺板状のテープ材料を用いて加工形成されている。又、このキャリアテープ1は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン等の合成樹脂から構成されている。
【0016】
このキャリアテープ1には、幅方向の中央側寄りに、複数の収納凹部2が備えられている。又、幅方向の一端側には、複数の送り穴3が備えられている。
【0017】
収納凹部2は、電子部品100(図3に図示)を収納するためのもので、長手方向に沿って等間隔で配設されている。収納凹部2は、左右の両側壁21、22及び前後の両側壁23、24と、底壁25とを備えている。又、収納凹部2の上面側に、四角形状の開口部20が備えられており、この開口部20から内部に上記電子部品100を入れ得るようになっている。
【0018】
又、収納凹部2の内部には、底壁25から上方に突設された2つの突出片3が備えられている。これらの突出片3は、互いに間隔を隔ててほぼ平行に配設されて、左右一対をなしている。突出片3は、夫々、前側壁23から後側壁24にかけての部分に形成されており、これにより、収納凹部2の内部は、本体収納凹部2aと、本体収納凹部2aの左右両側夫々に形成された端子収納凹部2bとに区画されている。
【0019】
又、この突出片3は、夫々、底壁25の一部を、底壁25の裏側から押し上げるようにして突出されており、図2、図5に示すように、内層壁31と外層壁32とからなる2層壁から構成されている。
【0020】
内層壁31と外層壁32とは、夫々、後述するようにしごき加工によって、その厚さt1が底壁25の厚さt2よりも薄く形成されている。この実施形態では、内層壁31と外層壁32と厚さt1は、夫々、0.1mm程度とされている。
【0021】
又、これらの内層壁31と底壁25との間、及び外層壁32と底壁25との境界部には、夫々、肉厚部34a、34bが備えられている。この肉厚部34a、34bは、図5に示すように最大厚さt3、t4が夫々、底壁25の厚さt2よりも厚く形成されている。
【0022】
又、この実施形態の収納凹部2の底壁25には、図1、図2に示すように、吸引用穴26が設けられており、電子部品を収納凹部2に収納する際に、この吸引用穴26から電子部品を収納凹部2の内部に吸引できるようになっている。
【0023】
送り穴3は、例えば収納凹部2に電子部品を収納する際に、収納凹部2を機械的に順次送るためのもので、一列にほぼ等間隔で形成されている。
【0024】
次に、本発明のキャリアテープ1の製造方法に用いるキャリアテープ用の製造装置7について説明する。キャリアテープ用の製造装置7は、図4に示すように、下型5と、下型5の上方側に配置され下型5に対して相対的に上下移動可能な上型6とを備えている。尚、この実施形態では、下型5と上型6とは、夫々、上方側及び下方側に移動し得るように構成されている。
【0025】
この製造装置7の下型5は、壁形成用下型本体51と、その壁形成用下型本体51から突出した突出片形成用凸部52を備えている。
【0026】
又、この実施形態では、壁形成用下型本体51は、底壁形成部51aと、底壁形成部51aの前後左右の全周部に一体に形成された側壁形成部51bとを備えている。
【0027】
突出片形成用凸部52は、この実施形態では、壁形成用下型本体51の底壁形成部51aに取り付けられた突片50の先端部に形成されている。詳しくは、突片50は、板状のものから構成され、先端部に突出片形成用凸部52を備え、基端側に壁形成用下型本体51に着脱自在に取り付けられる下型本体取付部50bを備えている。
【0028】
そして、突出片形成用凸部52は、先端側に行くに従って漸次厚さが薄くなるように形成されている。尚、この実施形態の突出片形成用凸部52の先端の厚さは、0.08mm程度とされている。
【0029】
下型本体取付部50bは、壁形成用下型本体51に設けられた嵌合凹部50cに嵌め入れられ、これにより、突出片形成用凸部52が、壁形成用下型本体51から上方に突設されている。
【0030】
又、図5に示すように、下型5における壁形成用下型本体51と突出片形成用凸部52との左右両側の境界部には、夫々、突出片3をしごき加工によって発生した余剰のシート材料を逃がすための材料逃がし凹部8a、8b(図5中に2点鎖線で示した部分)が設けられている。なお、この材料逃がし凹部8a、8bは、突出片3の肉厚部34の一部を形成する。
【0031】
次に、上型6について説明する。上型6は、図4に示すように、壁形成用上型本体61と、その壁形成用上型本体61の下面に、下面から窪まされて形成された左右一対の突出片形成用凹部62を備えている。壁形成用上型本体61は、上記壁形成用下型本体51と略同じ形状に形成され、壁形成用下型本体51内に入り込み可能な大きさのものから構成されている。
【0032】
又、壁形成用上型本体61は、上型底壁形成部61aと、上型底壁形成部51aの前後左右の全周部に一体的に形成された上型側壁形成部61bとを備えている。上型底壁形成部61aは、収納凹部2の成形に際して、図5に示すように上記壁形成用下型本体51の下型底壁形成部51aと所定の距離L2を隔てて対向し、この上型底壁形成部61aと下型底壁形成部51aとで、収納凹部2の底壁25を形成する。
【0033】
なお、この上型底壁形成部61aと下型底壁形成部51aとの距離L2は、キャリアテープ1における収納凹部2の底壁25のほぼ厚さt2を構成する。
【0034】
上型側壁形成部61bは、収納凹部2の成形に際して、壁形成用下型本体51の下型側壁形成部51bと対向し、この上型側壁形成部61bと下型側壁形成部51bとで、収納凹部2の側壁21〜24を形成する。
【0035】
突出片形成用凹部62は、収納凹部2の成形に際して、突出片形成用凸部52が入り込むことができる大きさに形成されている。又、突出片形成用凹部62の内周面62aは、その入り込んだ突出片形成用凸部52の外周面52aと対向する。
【0036】
又、突出片形成用凹部62の内周面62aとその突出片形成用凹部62に入り込む際の突出片形成用凸部52の外周面52aとの距離L1は、その間に配設されるテープ材料10の厚さよりも小さく設定され、テープ材料10にしごき加工を施すことができるように構成されている。
【0037】
詳しくは、上記内周面62aと外周面52aとの間に配設されるテープ材料10は、絞り加工されてその絞り加工前の素材の厚さよりも薄く形成されており、上記内周面62aと外周面52aとの距離L1は、その絞り加工されたテープ材料10の厚さよりも小さく設定されている。
【0038】
この実施形態では、上記内周面62aと外周面52aとの間に配設されるテープ材料10は、絞り加工によってその厚さが0.15〜0.20mm程度となる。そこで、上記内周面62aと外周面52aとの距離L1を、0.1mm程度に設定している。
【0039】
そして、この内周面62aと外周面52aとの距離L1は、上記キャリアテープ1における収納凹部2の内層壁31及び外層壁32夫々のほぼ厚さt1を構成する。
【0040】
また、突出片形成用凹部62に突出片形成用凸部52が入り込んだ状態で、突出片形成用凹部62と壁形成用上型本体61との境界部63と、突出片形成用凸部52と壁形成用下型本体51との境界部に形成された材料逃がし凹部8a、8bとの最大距離L3、L4は、上記上型底壁形成部61aと下型底壁形成部51aとの距離L2よりも大きくなるように設定されている。
【0041】
又、この最大距離L3、L4は、上記収納凹部2の肉厚部34a、34bの最大厚さt3、t4を構成することになる。
【0042】
又、この実施形態では、下型5に、上記突出片形成用凸部52を加熱する型加熱手段が設けられている。この型加熱手段は、しごき加工に際してテープ材料の材料流れを良好にしてしごき加工を円滑にできるようにするためのもので、この実施形態では、突片50の前端から後端に至る全長に渡って、カーボンの線材9を通電可能に内設している。そして、その線材9を加熱することによって突出片形成用凸部52を加熱できるようにしている。
【0043】
又、突出片形成用凸部52を加熱する温度は、特に限定されないが、この実施形態では、100°C〜テープ材料10の溶融温度以下の範囲とされている。
【0044】
尚、型加熱手段は、カーボンの線材9を突出片形成用凸部52に内設する形態のものに限らず、例えばニクロム線等でも良い。又、型加熱手段は、突出片形成用凸部52に線材9を内設する形態のものに限らず、例えば突出片形成用凸部52を直接通電して加熱するようにしても良く、適宜変更できる。
【0045】
次に、キャリアテープ用の製造装置7を用いたキャリアテープ1の製造方法について説明する。まず、型加熱手段によって予め突出片形成用凸部52を加熱しておく。又、テープ材料10を材料加熱手段によって、100°C〜テープ材料10の溶融温度以下の適宜温度に予め加熱する。
【0046】
そして、上記温度に加熱したテープ材料10を、下型5と上型6との間に配設し、その状態で、下型5を上昇させるとともに、上型6を下降させ、テープ材料10を壁形成用上型本体61と壁形成用下型本体51との間に押し入れていく。
【0047】
これにより、テープ材料10は、絞り加工が施されながら、即ち、板厚を減少させながら、上記壁形成用上型本体61と壁形成用下型本体51との間に入っていく。この実施形態では、0.25mm程度の厚さのテープ材料10は、絞り加工された部分が0.15〜0.20mm程度になる。
【0048】
そして、テープ材料10が突出片形成用凸部52まで押し込まれると、突出片形成用凸部52が、テープ材料10の一部を突出片形成用凹部62に相対的に押し上げるようにして押し込んでいく。
【0049】
その際、突出片形成用凹部62の内周面62aと突出片形成用凸部52の外周面52aとの距離が、その絞り加工されたテープ材料10の厚さよりも小さく設定されている。従って、それらの内周面62aと外周面52aとの間に配設されたテープ材料10の一部は、それらの内周面62aと外周面52aとによってしごき加工される。
【0050】
又、そのしごき加工に際して発生した余剰のテープ材料10は、材料流れによって材料逃がし凹部8a、8bに入る。しかも、型加熱手段によって突出片形成用凸部52が加熱されているため、テープ材料10は、円滑に材料が流れて材料逃がし凹部8a、8bに入る。
【0051】
従って、円滑にしごき加工を施すことができ、図5に示すように、内層壁31及び外層壁32からなる突出片3を形成できる。この実施形態では、全体の厚さt5が0.3〜0.4mm程度の突出片3を形成した。
【0052】
又、同時に、壁形成用上型本体61と壁形成用下型本体51とで、側壁21〜24及び底壁25を形成できる。その後、下型5を下降させるとともに、上型6を上昇させる。これにより、収納凹部2が成形されたテープ材料10を、下型5及び上型6から外すことができる。以下、同様に、順次収納凹部2を形成する。
【0053】
尚、この実施形態では、収納凹部2を形成した後、収納凹部2を基準にして送り穴3及び吸引用穴26を形成している。
【0054】
このように形成された収納凹部2には、例えば図3に示すように、電子部品100が収納される。この電子部品100は、上述したように、電子部品本体101と、その電子部品本体101から突設されたリード端子102とを備えたものである。
【0055】
そして、電子部品本体101は、突出片3によって保持される。これにより、電子部品本体101は、本体収納凹部2aに収納される。又、リード端子102は、端子収納凹部2bに収納された状態になる。
【0056】
この状態で、リード端子102は、収納凹部2の側壁や底壁25に当たることがなく、又、突出片3の厚さが薄く形成されているため、リード端子102が突出片3に接触するおそれの少ないものにできる。従って、収納凹部2に収納した電子部品100のリード端子102が、運搬や取り扱いに際して変形等するおそれの少ないものにできる。
【0057】
尚、上記実施形態では、型加熱手段を設けたものとしているが、型加熱手段を設けないものとしても良く、適宜変更できる。
【0058】
また、上記実施形態では、材料逃がし凹部8a、8bを、下型5における壁形成用下型本体51と突出片形成用凸部52との左右両側の境界部に設けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0059】
例えば材料逃がし凹部を、下型5における壁形成用下型本体51と突出片形成用凸部52とのいずれか一方の境界部に設ける。或いは、上型6における壁形成用上型本体61と突出片形成用凹部62との左右両側の境界部のいずれか一方または両方に設けるようにしても良い。
【0060】
又、上記実施形態では、収納凹部2の夫々における左右の両側に突出片3を設けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば収納凹部2の夫々における左右前後のいずれか一方に突出片3を設け、或いは、収納凹部2の夫々における左右前後の全周に突出片3を設ける形態のものでも良い。
【0061】
また、上記実施形態では、突出片形成用凸部52を、壁形成用下型本体51に取り外し可能なものから構成しているが、この形態のものに限らず、例えば突出片形成用凸部52と壁形成用下型本体51とを一体的に形成したものでも良く、適宜変更し得る。
【0062】
また、上記実施形態では、底壁形成部51aと側壁形成部51bとを一体的に形成し、又、上型底壁形成部61aと上型側壁形成部61bとを一体的に形成しているが、何れか一方又は両方を別体のものから構成しても良く、適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のキャリアテープの製造方法により製造した状態のキャリアテープの一部の平面図である。
【図2】図1のII−II線の拡大断面図である。
【図3】キャリアテープの収納凹部に電子部品を収納した状態の拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態のキャリアテープの製造装置の断面説明図である。
【図5】そのキャリアテープの製造装置の要部の拡大断面説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 キャリアテープ
2 収納凹部
3 突出片
5 下型
6 上型
25 底壁
52 突出片形成用凸部
62 突出片形成用凹部
100 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺板状のテープ材料に、底壁とその底壁の一部を裏側から押し上げるようにして底壁から突出させた突出片とを有する収納凹部を形成するキャリアテープの製造方法であって、
壁形成用下型本体及び突出片形成用凸部を備えた下型と、前記壁形成用下型本体と対向する壁形成用上型本体及び前記突出片形成用凸部の外周面と対向する内周面を有する突出片形成用凹部を備え前記下型に対して上下移動可能な上型とであって、前記収納凹部の成形に際して、前記外周面と前記内周面とで、テープ材料にしごき加工を施し得るように構成されているとともに、前記下型における壁形成用下型本体と突出片形成用凸部との境界部と、前記上型における壁形成用上型本体と突出片形成用凹部との境界部との少なくとも一方に材料逃がし凹部を備えたものを用い、
前記テープ材料を前記下型と上型との間に配設した状態で、前記上型を下型に対して下方に相対移動させ、前記突出片形成用凸部の外周面と前記突出片形成用凹部の内周面とで、それらの間に配設されたテープ材料にしごき加工を施し、そのしごき加工に伴い発生した余剰のテープ材料を前記材料逃がし凹部に逃がしながら前記突出片を形成するとともに、前記壁形成用下型本体と壁形成用上型本体とで前記底壁を形成することを特徴とするキャリアテープの製造方法。
【請求項2】
前記突出片形成用凸部を、型加熱手段によって加熱し得るように構成された下型を用い、
前記外周面と内周面との間に配設されたテープ材料に、前記型加熱手段によって加熱した突出片形成用凸部から熱を加えながらしごき加工を施すことを特徴とする請求項1記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項3】
長尺板状のテープ材料に、底壁とその底壁の一部を裏側から押し上げるようにして底壁から突出させた突出片とを有する収納凹部を形成するキャリアテープの製造装置であって、
下型と、その下型に対して上下移動可能な上型とを備え、
前記下型は、壁形成用下型本体と、その壁形成用下型本体から上方に突出した突出片形成用凸部を備え、
前記上型は、前記壁形成用下型本体と対向する壁形成用上型本体と、その壁形成用上型本体から窪まされて前記突出片形成用凸部の外周面と対向する内周面を有する突出片形成用凹部を備え、
前記突出片形成用凸部の外周面と前記突出片形成用凹部の内周面とは、前記収納凹部の成形に際して、それらによってテープ材料にしごき加工を施し得るように構成され、
前記下型における壁形成用下型本体と突出片形成用凸部との境界部と、前記上型における壁形成用上型本体と突出片形成用凹部との境界部との少なくとも一方に、材料逃がし凹部が設けられていることを特徴とするキャリアテープの製造装置。
【請求項4】
前記突出片形成用凸部は、型加熱手段によって加熱可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載のキャリアテープの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−149295(P2010−149295A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327232(P2008−327232)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(399120785)石井産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】