説明

キーレスエントリー装置

【課題】 低消費電力で外部電波状況に応じて常に最適な受信性能を発揮することができるキーレスエントリー装置を提供する。
【解決手段】 携帯機2は指令信号の前段に所定時間長の起動信号を付加して車両側装置1に送信する送信部23を有し、車両側装置1は携帯機2からの起動信号を高感度回路13aと耐妨害回路13bのいずれかの受信回路で受信する受信部12と、受信部12の受信回路を交互に切替えると共に切替毎に間欠的に動作させる制御部11とを有し、携帯機2の送信部23から送信される起動信号の時間長は受信回路の動作開始から2回の受信回路切替後における受信回路の動作終了までの時間長よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機からのIDを含む信号を車載の車両側装置により受信し、車両のロック・アンロック操作を行うキーレスエントリー装置に関し、特に、外部電波状況に応じて最適な受信性能を発揮することができるキーレスエントリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において、ドアのロック・アンロック操作を行うシステムとして、携帯機からロック・アンロック信号を車両に搭載される車両側装置の受信部により受信して、携帯機のID認証がなされればドアのロック・アンロックするキーレスエントリー装置が知られている。このようなキーレスエントリー装置は、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2000−78837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両側装置の受信部の受信性能の向上のため考慮すべき点は、受信品質と受信感度の向上である。しかし、受信品質を向上させるため、送信信号以外の周波数帯域以外のノイズを除去するバンドパスフィルタを用いると、挿入損失により受信感度が低下する。すなわち、受信品質と受信感度を両立させることは困難である。
【0004】
この問題を解消するため、特許文献2にはビット誤り率の比較、または、特定妨害波の電界検出によって、耐妨害回路と高感度回路のいずれの受信回路を用いるかを決定することが開示されている。しかし、この場合には信号の判別を可能とする必要があり、常に受信可能な状態にしなければならないので、消費電力が大きいという問題がある。
【特許文献2】特開2000−261347号公報
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、低消費電力で外部電波状況に応じて常に最適な受信性能を発揮することができるキーレスエントリー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るキーレスエントリー装置は、固有のIDを含む指令信号を送信する携帯機と、該携帯機からの指令信号を受信して既登録のIDを検出した場合に車両のロック・アンロック操作を行う車両側装置とからなるキーレスエントリー装置において、
上記携帯機は上記指令信号の前段に所定時間長の車両側装置をID検出可能状態とする起動信号を付加して上記車両側装置に送信する送信部を有し、
上記車両側装置は上記携帯機からの起動信号を高感度回路と耐妨害回路のいずれかの受信回路で受信する受信部と、
該受信部の受信回路を交互に切替えると共に切替毎に間欠的に動作させる制御部とを有し、
前記高感度回路は、前記耐妨害回路に比べて微小信号を感度よく検出でき、前記耐妨害回路は上記高感度回路に比べて受信器可能周波数領域を制限した回路とし、
上記携帯機の送信部から送信される起動信号の時間長は、任意の起動信号と受信部の動作タイミングにおいて、両方のモードにおいて正規の起動信号と認識可能な時間に設定されていることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置は、上記起動信号は複数のパルス信号からなり、上記受信回路は該複数の信号が所定の時間間隔で所定の個数受信したことを検知すると起動信号であると認識し、上記各受信回路が1回の起動によって動作され上記起動信号を受信可能な時間長は、前記所定の個数の信号の受信時間に前記パルス信号の1波長の時間を加えた時間以上とすることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側装置は携帯機からの起動信号を高感度回路と耐妨害回路のいずれかの受信回路で受信する受信部と、受信部の受信回路を交互に切替えると共に切替毎に間欠的に動作させる制御部とを有し、携帯機の送信部から送信される起動信号の時間長は任意の起動信号と受信部の動作タイミングにおいて、両方のモードにおいて正規の起動信号と認識可能な時間に設定されており、受信部の消費電力を節減しつつ、携帯機からの起動信号をいずれかの受信回路で確実に受信することができる。
【0009】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、起動信号は複数のパルス信号からなり、前記受信回路は該複数の信号が所定の時間間隔で所定の個数受信したことを検知すると起動信号であると認識し、上記各受信回路が1回の起動によって動作され上記起動信号を受信可能な時間長は、前記所定の個数の信号の受信時間に前記パルス信号の1波長の時間を加えた時間以上とすることにより、短い簡単な信号形態で、携帯機からの信号を受信部で受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する。本実施形態におけるキーレスエントリー装置は自動車等の車両に用いられ、携帯機2から固有のIDを含む信号を車載の車両側装置1により受信し、車両のロック・アンロックを遠隔操作するものである。図1に本実施形態におけるキーレスエントリー装置のシステム構成の概略ブロック図を示す。
【0011】
図1に示すように、本実施形態におけるキーレスエントリー装置は、予め固有のIDが設定され無線通信機能を有する携帯機2と、車両に搭載されて携帯機2からの信号を受信して既登録のIDを検出した場合に車両のロック・アンロック操作を行う車両側装置1とから構成されている。
【0012】
携帯機2は、固有のID及び操作スイッチ21の操作に応じた指令信号等からなる信号を形成する携帯機制御部22と、この信号形成を行わせるロックスイッチ及びアンロックスイッチからなる操作スイッチ21と、形成された信号を送信アンテナ24により送信する送信部23とを有している。携帯機制御部22には、メモリ25が接続されており、指令信号に含まれる当該携帯機2固有のIDが記憶されている。
【0013】
携帯機制御部22は、操作スイッチ21の操作により携帯機2のIDと該操作スイッチ21の操作に応じたロック指令及びアンロック指令を含む信号を形成する。そして、該指令信号の前段に起動信号を付加して、送信部23に送信させる。
【0014】
指令信号の前段に付加される起動信号は、車両側装置1の受信部12を受信可能状態に起動して後続する携帯機のID及び指令信号を受信させるためのヘッダー信号であり、所定波形の矩形波信号である。そして車両側装置は、それらの信号が所定回数受信され、それぞれの受信信号が所定の幅で、又、該受信信号の間隔が所定の時間間隔の場合に所定時間継続的に受信可能状態となり後続する携帯機のID及び指令信号を受信する。なお、パルス間の時間間隔を判定基準とするだけでなく、次のパルスがくるまでの時間間隔を測定する、あるいはパルスの幅は考慮しない等のいろいろな変形が可能である。
また、起動信号は受信回路を継続的に受信可能とするだけでなく更に制御回路でのIDの認証を行わせるのに持ちいる場合もある。
送信部23は複数の起動信号からなるヘッダー信号とこれに後続して送信される携帯機のID、指令信号を周波数変調あるいは振幅変調を行って送信する送信回路である。
【0015】
車両側装置1は、携帯機2からの信号を受信アンテナ14で受信する受信部12と、当該車両側装置1全体を制御する車両側制御部11とを有している。受信アンテナ14は携帯機2と交信するために設けられ、所定範囲内から発信された信号を受信する。
【0016】
車両側制御部11にはメモリ15が接続されている。メモリ15には1台の車両を操作可能な複数の携帯機2のID等の制御に必要な情報、例えば操作可能な携帯機の各ID等が記憶されており、記憶されているIDは携帯機2からの指令信号に含まれるIDとの照合に用いられる。
【0017】
受信部12は受信感度を向上させる高感度回路13aと、携帯機2からの信号の周波数帯域以外のノイズを除去する耐妨害回路13bとからなり、いずれかの受信回路で携帯機2からの信号を受信する。また、これら回路の後段に接続される復調回路等も含む。
【0018】
車両側制御部11は、受信部12が携帯機2からの信号を受信すると、受信した指令信号に含まれる携帯機2固有のIDを、メモリ15に記憶されているIDと照合する。IDの認証がなされれば、車両側制御部11は当該指令信号を正規信号とみなし、指令信号に従って車両のドアのロック・アンロック操作を行う。
【0019】
また、車両側装置1は車両の停車中に携帯機2からのドアのロック・アンロック操作に対応した動作を行う必要がある。このため停車中は常に車両側装置1を動作状態としておかなければならないが、バッテリーの消費電力を考慮して極力少ない消費電力で動作させる必要がある。本実施形態では車両側制御部11により受信部12に信号受信に必要な電圧を所定のタイミングで間欠出力することによって所定の時間間隔で受信部12を受信可能な状態に起動して消費電力の節減を行うようにしている。なお、該受信部12が間欠的に起動されると、そのとき切替スイッチ36に接続されている該高感度回路13aあるいは耐妨害回路13bのいずれかの受信回路が起動される。
【0020】
上述のように受信部12は、携帯機2からの信号をこの高感度回路13aと耐妨害回路13bのいずれかの受信回路で受信する。図2は本実施形態における受信部12の回路構成について示したものである。この図に示すように、BPF(Band Pass Filter)32の前段にLNA(Low Noise Amplefier)31を有する上段の回路が高感度回路13aであり、またLNA31を有しない下段の回路が耐妨害回路13bである。
すなわち、高感度回路13aは受信信号を直ちに増幅し、その後にバンドパスフィルターを挿入しているので耐妨害回路13bに比べて挿入損失は小さく、より小さな信号でも受信できる。しかしその代わりノイズ等も一緒に増幅するので耐妨害回路13bに比べて妨害には弱い。
また、耐妨害回路13bは、受信信号をバンドパスフィルターによって周波数変調された正規の信号の範囲、あるいは振幅変調された正規の信号の周波数を主に検知するようにして、それを増幅するので、該周波数以外の妨害信号があったとしても高感度回路13aに比べて正規信号を受信できるが、バンドパスフィルターの挿入損失によって信号が減衰されるので高感度回路13aに比べて強度の小さい信号を受信しにくい。
【0021】
車両側制御部11は受信回路のトランジスタ等の半導体スイッチからなる切替スイッチ36を制御することによって、受信部12の受信回路が交互に切り替えられる。このため、受信部12は高感度回路13aを用いる高感度モードと、耐妨害回路13bを用いる耐妨害モードとを交互に切り替えながら待機している。また、実際の動作は受信部12に電源電圧が供給されている事も必要条件となり、上述のように間欠的に供給されている。なお、電源電圧が供給されない状態においては前の供給時に接続されているモードにスイッチは接続が維持されている。すなわち、電源電圧の停止に伴って切替えスイッチの接続が切り替えられるのではなく、供給開始に伴って切替えられる。そしてこれらにより、受信部12は携帯機2からの信号を高感度モードか、耐妨害モードのいずれかの受信モードで選択的に受信することができ、また、間欠的に動作する事となるので、外部電波の状況に応じて受信動作することができ又同時に消費電力を抑えられる。
【0022】
なお、いずれかの受信回路で受信した信号は高周波増幅器33に入力され、高周波増幅器33で増幅された信号は混合器34へ入力される。混合器34では局部発信器35からの発信周波数と混合されて、図示しない復調器に出力され、いわゆるヘテロダイン方式(heterodyne system)により周波数変換されて図示を省略したクワドラチャー検波回路(quadrature detection circuit)等で復調されてデータが再生される。
【0023】
次に、受信部12における携帯機2からの起動信号の受信について詳細に説明する。図3(a)は携帯機2からの信号と車両側装置1の受信部12の動作状態について示したものである。この図に示すように、車両側制御部11は、所定のタイミングで切換スイッチ36を切替え、同時に受信部12への供給電源を制御して、受信モードの切替毎に受信部12を間欠的に動作させ、また同時に受信部12は高感度回路13aと耐妨害回路13bとが交互に切り替えられる。受信モードの切換により外部電波状況に応じた受信動作が可能となり同時に間欠受信によって消費電力の節減が可能となる。
【0024】
また、各受信モードにおける起動時間、すなわち受信動作時間は、本実施例の場合には起動信号と判断する為の所定個数の信号(本実施例の場合は2つの信号)の時間に、一周期分の長さを加えた時間以上としている。これは仮に起動信号と受信部12の起動タイミングと前後いずれにずれた場合であっても正規な信号であれば必ず所定回数検出できるようにして、起動信号と判別できるようにする為である。すなわち、これ以下の場合には両者のズレのタイミングによっては所定幅の矩形波を所定回数受信できない可能性があるためである。図3(b)には、一方のモード(この場合は高感度モード)の受信動作時間と携帯機2からの起動信号との関係を示している。この図に示すように、各受信モードにおける受信動作時間の長さを上述のように設定することで、携帯機2からの起動信号が図中の矢印で示す左右いずれにずれた場合でも、受信動作時間内で携帯機2からの起動信号を必ず2周期分受信することができる。
また、携帯機2からの複数の起動信号からなるヘッダー信号の時間長は、いずれかの受信モードの受信動作開始から車両側制御部11による2回の受信モード切替後における受信モードの受信動作終了までの時間長よりも長い。
【0025】
受信モードを2回切り替えると、当該受信モードと同じ受信モードに戻る。すなわち、言い換えると1回目に特定の受信モードになる時間から、2回目に特定の受信モードが終了するまでの時間よりも、ヘッダー信号の時間長を長くしている。
なお、本実施例においては起動信号の継続時間を長め設定しているが実際には、1回目に特定の受信モードが終了する時間から、2回目に特定の受信モードが開始されるまでの時間に、所定の起動信号であると判断するに足る時間の2倍の時間と一周期に相当する期間を加えた期間以上持続する起動信号であれば良い。
【0026】
このような関係にしておけば、どのように受信部12の起動タイミングと複数の起動信号の受信タイミングがずれた場合であってもいずれのモードにおいても、正規の起動信号と判断するのに足る起動信号が1回は受信部12で受信できる。図3(c)には、一方のモード(この場合は高感度モード)の受信動作間隔と携帯機2からの起動信号の持続時間との関係を示している。この図において、携帯機2からの起動信号が左側の矢印のように右側に僅かにずれた場合、すなわち1回目の受信部12の動作時間の終了前に僅かに正規と判断するに足る起動信号の送信が完了しない場合を想定する。この場合、この部分においては所定の起動信号であると判断するに足る時間より僅かに少ない時間、1回目の受信部12の動作において、信号を受信することになる。したがって、1回目の受信部の動作では起動信号を認識できない。そして、受信動作の次のタイミングにおいては、携帯機2からの起動信号が図中の右側の矢印のように左側に僅かにずれる、すなわち信号の最初の部分が僅かに欠けた信号の受信から始まると仮定すると、これは信号の一周期に僅かに足りない時間であり、これに続いて正規な信号と判断するに足る時間が必要となる。上述の期間以上持続する起動信号であれば、図3(c)に示すようにタイミングがずれた場合であっても、確実にいずれかの受信のタイミングで起動信号を2周期分受信することができる。なお他の受信モードは起動信号の送信途中となるため該他の受信モードにおいては正規信号の判断を行うに足る起動信号が1回は受信部12で受信できる。
【0027】
なお、起動信号がそれよりも短い場合、携帯機2からの起動信号がいずれかの受信モードの受信動作の途中に発信されると、受信モードが外部電波状況に対応していても正規の起動信号と判断するに足る起動信号を受信することができない場合がある。この場合、車両側制御部11によって受信モードが切り替えられても、切り替えられた受信モードでは外部電波状況に対応していないので、起動信号を受信することができない。
【0028】
しかし、本実施形態では、起動信号を受信モードの受信動作開始から2回の切替後の受信モードの受信動作終了までとすることで、受信動作中に携帯機2から起動信号が発信されて当該起動信号を受信できなかった場合でも、2回の受信モード切替後における受信モードで正規の起動信号と判断するのに十分な起動信号を受信することができる。
【0029】
本実施形態においては、受信部12の受信モードを高感度モードと耐妨害モードの2つとしたが、受信部12にこれらと異なる受信モードをさらに加えてもよい。この場合には、携帯機3から送信される起動信号の時間長をいずれかの受信モードの受信動作終了から車両側制御部11による3回の受信モード切替後における受信モードの受信動作開始までの時間長に、所定の起動信号であると判断するに足る時間の2倍の時間を加えた期間よりも長くすることで、起動信号をいずれかの受信モードで確実に受信することができる。
そして、本実施例においては、該受信信号を検波回路等で検波した後に正規の起動信号であると判断すると、制御部11が切替スイッチ36を切替えずに継続して接続し、また同時に受信部12の電源電圧の供給を継続する事によって図4に示すように、該受信モードが切り替わる前に、受信モードの状態を携帯機2のID及び指令信号を含めた全ての送信信号の受信が終了するに足る所定時間経過するまで維持する。そして受信部12でこれら全ての信号を処理し、制御部11で所定の携帯機である事を確認すると指令信号に含まれている指示内容をもとにして、所定の制御を行わしめる。
【0030】
なお、電源電圧の供給停止の寸前で正規の起動信号を受信した場合であっても、受信モードをスイッチによって切替える必要は無く電源電圧の供給を継続すれば足りるので短時間でモードを継続することができるが、仮にその時間が確保できない場合があったとしても、起動信号を本実施例は長めに設定しているので、次に同じモードとなった際に確実に正規の起動信号であると判定してモードを継続する事ができる。
そして、本実施例においては、携帯機との距離が離れた場合であっても高感度回路13aによって良好に受信可能であり、仮にノイズが存在する場合であっても動作不能とはならず、所定の距離となっていれば耐妨害回路13bによって良好にドアのロック、アンロックを行わせることができる。
【0031】
次に本発明の第2の実施例について図5に基づいて説明する。該第2の実施例において、起動信号が異なるのみであり、その他については上述の第1の実施例と同じ為、それらの詳細は省略する。該第2の実施例における起動信号は1つの起動信号で所定のコードを有し、1回でも完全な起動信号を受信すれば正規の起動信号と判断するようにしたものである。そして該第2の実施例においては、それぞれのモードとなる時間を該信号幅の2倍以上とする必要がある。又、起動信号の繰り返しの継続時間を、1回目に特定の受信モードが終了する時間から、2回目に特定の受信モードが開始されるまでの時間に、起動信号の3倍の時間を加えた期間以上持続するものであればよい。
すなわち、このような関係にしておけば、いずれのモードにおいても、完全な起動信号を1回は受信する事ができるので、正規の起動信号を受信した場合には、確実に正規であると判断できる。
【0032】
次に第3の実施例について図6に基づいて説明する。該第3の実施例において、起動信号が異なるのみであり、その他については上述の第1の実施例と同じ為、それらの詳細は省略する。該第3の実施例における起動信号は1つの矩形波からなる起動信号であり、該信号を受信部12の1つのモードにおいて継続的に受信できた場合に正規の起動信号と判断するようにしたものである。そして該第2の実施例においては、それぞれのモードとなる時間を1つのモードにおける受信部12の起動から、同じ受信モードにおける次の起動タイミングの終了までの時間以上としている。そして、このような関係にしておけば、いずれのモードにおいても、1回は継続的に受信する事ができるので、正規の起動信号を受信した場合には、確実に正規であると判断できる。
【0033】
上述の実施例において、高感度回路13a、耐妨害回路13bは記載の構成としたが該回路に限定されず、図7に示すように耐妨害回路13bに、BPFの前段にLNAバンドパスフィルターを設けても良い。また図8に示すようにBPFの後段にLNAを設けてもよく、相対的に、高感度回路13aは耐妨害回路13bに比べてより小さな信号でも受信でき、また、耐妨害回路13bは、高感度回路13aに比べて正規信号を受信できるものであればよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態ではキーレスエントリー装置の起動信号の送受信について説明したが、これに限らずその他の受信機及び送信機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態におけるキーレスエントリー装置のブロック図である。
【図2】車両側装置の受信部の回路構成図である。
【図3】起動信号と受信部の動作状態の関係について示した図である。
【図4】正規の起動信号を受信できた場合の受信部の動作状態の関係について示した図である。
【図5】第2の実施形態における起動信号と受信部の動作状態の関係について示した図である。
【図6】第2の実施形態における起動信号と受信部の動作状態の関係について示した図である。
【図7】受信部の変形例を示す図である。
【図8】受信部の別の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 車両側装置
2 携帯機
11 車両側制御部
12 受信部
13a 高感度回路
13b 耐妨害回路
21 操作スイッチ
22 携帯機制御部
23 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のIDを含む指令信号を送信する携帯機と、該携帯機からの指令信号を受信して既登録のIDを検出した場合に車両のロック・アンロック操作を行う車両側装置とからなるキーレスエントリー装置において、
上記携帯機は上記指令信号の前段に所定時間長の車両側装置をID検出可能状態とする起動信号を付加して上記車両側装置に送信する送信部を有し、
上記車両側装置は上記携帯機からの起動信号を高感度回路と耐妨害回路のいずれかの受信回路で受信する受信部と、
該受信部の受信回路を交互に切替えると共に切替毎に間欠的に動作させる制御部とを有し、
前記高感度回路は、前記耐妨害回路に比べて微小信号を感度よく検出でき、前記耐妨害回路は上記高感度回路に比べて受信器可能周波数領域を制限した回路とし、
上記携帯機の送信部から送信される起動信号の時間長は、任意の起動信号と受信部の動作タイミングにおいて、両方のモードにおいて正規の起動信号と認識可能な時間に設定されていることを特徴とするキーレスエントリー装置。
【請求項2】
上記起動信号は複数のパルス信号からなり、上記受信回路は該複数の信号が所定の時間間隔で所定の個数受信したことを検知すると起動信号であると認識し、上記各受信回路が1回の起動によって動作され上記起動信号を受信可能な時間長は、前記所定の個数の信号の受信時間に前記パルス信号の1波長の時間を加えた時間以上とすることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−39989(P2007−39989A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225650(P2005−225650)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】