説明

キー操作感覚付与方法及び携帯情報装置

【課題】
キー入力機構にタッチパネルを採用した携帯情報装置において実際的なキークリック感を実現する。
【解決手段】
タッチ位置検出部21Cにおけるタッチ操作の局所的位置についての検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの周縁部寄りの領域であった場合に、振動パターン読出部21Dが、当該領域に対応づけられた振幅の小さい振動パターンを振動パターン記憶領域25Cから読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。また、上記検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの中心部寄りの領域であった場合に、振動パターン読出部21Dが、当該領域に対応づけられた振幅の大きい振動パターンを振動パターン記憶領域25Cから読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された振動パターンに応じて、所要の振動がタッチパネル13に得られるよう振動子14を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作感覚付与方法及び携帯情報装置に係り、より詳しくは、例えば携帯電話装置等、キー入力機構を有して構成される携帯情報装置の利用者に、振動子の振動によるキー操作感覚を付与するためのキー操作感覚付与方法、及び、このキー操作感覚付与方法を使用して、上記キー操作感覚を利用者認識可能に構成した携帯情報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボタンスイッチ等の機械的なキー入力機構を有して構成される携帯電話装置等の携帯情報装置においては、同携帯情報装置の利用者によってキー押下操作が行われたことを利用者自身に認識させるため、その押下に際し、キーに内設された機構部品によりクリック感を発生させたり、押下認識のための電子音をスピーカから短時間放音させたりするのが一般的であった。また、近年その利用が拡大しているタッチパネル方式のキー入力機構を採用した携帯情報装置にあっては、タッチパネル直下に内設されたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置にキー表示領域を表示させ、これに対応してタッチパネルに割り付けられた感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、該当するキー表示領域の表示色を反転させるなどの技術も知られている。
【0003】
さらに、上記タッチパネル方式を採用したキー入力機構に関しては、タッチパネルを振動可能に設けられた振動子により、上記感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときにタッチパネル全体を瞬間的に振動させ、この振動をもってキークリック感を擬似的に発生させる技術(特許文献1参照;以下、「従来例」という)が開示されている。この種の技術は、故障発生率の高い従前の機械的なキー入力機構に代わるものとして、更なる技術開発が期待されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−190290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例の技術により得られるキークリック感は、従前の機械的なキー入力機構において得られていたキークリック感とは異質な、いわば平面的なものであった。これは、従来例の技術が、タッチパネルに割り付けられた感圧反応領域(表示装置上のキー表示領域)に対してタッチ操作が行われたときに、当該領域中におけるより局所的な位置を考慮することなく、その全領域に関して一様な振動を発生させているためと考えられる。事実、従前の機械的なキー入力機構にあっては、ボタンスイッチに対して行われたキー押下操作の局所的位置(例えば、周縁部や中心部)の違いに応じて異なった感覚を生じさせる、いわば立体的なキークリック感が得られるものであった。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、利用者に対してより実際的なキークリック感を付与することの可能なキー操作感覚付与方法及び携帯情報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の観点からすると、1以上のキー表示領域を有して構成された入力操作画面を視認可能に設けられたタッチパネルを有する操作入力部を備える携帯情報装置において、前記操作入力部の操作時に利用者に対してキー操作感覚を付与するためのキー操作感覚付与方法であって、前記入力操作画面の前記キー表示領域と対応する感応領域パターンにより定義される前記タッチパネル上の感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置を検出するタッチ位置検出工程と;前記タッチ位置検出工程により検出された局所的位置に対応する振動パターンに従って前記タッチパネルを振動させる振動付与工程と;を備えるキー操作感覚付与方法である。
【0008】
このキー操作感覚付与方法では、タッチ位置検出工程において、入力操作画面のキー操作領域と対応する感応領域パターンにより定義されるタッチパネル上の感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、感圧反応領域内におけるタッチ操作の局所的位置が検出される。次に、振動付与工程において、タッチ位置検出工程により検出された局所的位置に対応する振動パターンに従って前記タッチパネルが振動させられる。
【0009】
したがって、本発明のキー操作感覚付与方法では、タッチパネル上の感圧反応領域に対して行われたタッチ操作の当該感圧反応領域における局所的位置に応じた振動を携帯情報装置の利用者に付与することができる。これにより、携帯情報装置の利用者に対し、同利用者のタッチ操作が、感圧反応領域内におけるいずれの局所的位置に対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異(キークリック感の差異)をもって認識させることが可能となる。
【0010】
本発明のキー操作感覚付与方法では、前記タッチ位置検出工程において、前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の周縁部から中心部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかが識別される。この場合には、携帯情報装置の利用者に対し、同利用者のタッチ操作が感圧反応領域における周縁部寄りの領域と中心部寄りの領域とのいずれに対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異をもって認識させることが可能となる。
【0011】
また、本発明のキー操作感覚付与方法では、前記タッチ位置検出工程において、前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の一端部から他端部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかが識別される。この場合には、携帯情報装置の利用者に対し、同利用者のタッチ操作が感圧反応領域における一端部寄りの領域と他端部寄りの領域とのいずれに対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異をもって認識させることが可能となる。
【0012】
本発明は、第2の観点からすると、1以上のキー表示領域を有して構成された入力操作画面を表示する表示装置と;前記表示装置に表示された前記入力操作画面を視認可能に設けられたタッチパネルと;前記タッチパネルを振動可能に設けられた振動子と;前記表示装置に表示された前記入力操作画面の前記キー表示領域と対応して前記タッチパネルに割り付けられるべき1以上の感圧反応領域に関する感応領域パターンを記憶する感応領域パターン記憶手段と;前記振動子の振動に関して、形態の異なる複数の振動パターンを記憶する振動パターン記憶手段と;前記感応領域パターン記憶手段に記憶された前記感応領域パターンにより定義される前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置を検出するタッチ位置検出手段と;前記タッチ位置検出手段により検出された前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置に応じて、前記振動パターン記憶手段から対応する前記振動パターンを読み出す振動パターン読出手段と;前記振動パターン読出手段により読み出された前記振動パターンに応じて前記振動子を駆動する振動子駆動装置と;を備える携帯情報装置である。
【0013】
この携帯情報装置では、タッチ位置検出手段が、感応領域パターン記憶手段に記憶された感応領域パターンにより定義されるタッチパネル上の感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、感圧反応領域内におけるタッチ操作の局所的位置を検出する。また、振動パターン読出手段が、タッチ位置検出手段により検出された感圧反応領域内におけるタッチ操作の局所的位置に応じて、振動パターン記憶手段から対応する振動パターンを読み出す。そして、振動子駆動装置が、振動パターン読出手段により読み出された振動パターンに応じて振動子を駆動する。
【0014】
したがって、本発明の携帯情報装置では、上述した本発明のキー操作感覚付与方法を使用して、タッチパネル上の感圧反応領域に対して行われたタッチ操作の当該感圧反応領域における局所的位置に応じて、形態の異なる振動を携帯情報装置の利用者に付与する機能が実現される。これにより、携帯情報装置は、その利用者に対し、同利用者のタッチ操作が、感圧反応領域(表示装置上のキー表示領域)内におけるいずれの局所的位置に対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異(キークリック感の差異)をもって認識させることが可能となる。
【0015】
本発明の携帯情報装置では、前記タッチ位置検出手段を、前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の周縁部から中心部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別する構成とすることができる。また、前記振動パターン読出手段を、前記タッチ位置検出手段により識別された前記タッチ操作の局所的位置に対応した前記振動パターンを前記振動パターン記憶手段から読み出す構成とすることができる。この場合、携帯情報装置は、その利用者に対し、同利用者のタッチ操作が感圧反応領域における周縁部寄りの領域と中心部寄りの領域とのいずれに対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異をもって認識させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の携帯情報装置では、前記タッチ位置検出手段を、前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の一端部から他端部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別する構成とすることができる。また、前記振動パターン読出手段を、前記タッチ位置検出手段により識別された前記タッチ操作の局所的位置に対応した前記振動パターンを前記振動パターン記憶手段から読み出す構成とすることができる。この場合、携帯情報装置は、その利用者に対し、同利用者のタッチ操作が感圧反応領域における一端部寄りの領域と他端部寄りの領域とのいずれに対して行われたのかにつき、これを利用者の指に伝わる振動の形態上の差異をもって認識させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の携帯情報装置では、ネットワークに接続された追記用振動パターンを保持する情報管理サーバとの通信を行うための通信手段を更に備える構成とし、前記振動パターン記憶手段を、前記通信手段を利用して取得された前記追記用振動パターンを追記可能な構成とすることができる。この場合、携帯情報装置は、ネットワーク上の情報管理サーバを通じて、所要の振動パターン(追記用振動パターン)の提供を随意に受けることが可能となる。
【0018】
また、本発明の携帯情報装置では、記録媒体に記録された情報を読み取る記録媒体読取手段を更に備える構成とし、前記振動パターン記憶手段を、前記記録媒体読取手段を利用して読み取られた追記用振動パターンを追記可能な構成とすることができる。この場合、携帯情報装置は、任意の記録媒体を通じて、所要の振動パターン(追記用振動パターン)の提供を随意に受けることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のキー操作感覚付与方法によれば、携帯情報装置の利用者に対して、より実際的なキークリック感を付与することができるという効果を奏する。また、本発明の携帯情報装置によれば、より実際的なキークリック感を付与可能な装置構成を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図3Cを参照しつつ説明する。本実施形態では、携帯情報装置である携帯電話装置を例示して説明する。
【0021】
[構成]
図1には、一実施形態に係る携帯情報装置である携帯電話装置10の外観構成が正面図にて概略的に示されている。図1に示されるように、この携帯電話装置10は、(a)携帯電話本体11と、(b)電話番号を入力するためのテンキーや、動作モードの切替等の各種指令に関するファンクションキー等、1以上のキー表示領域12A(図では15個のキー表示領域12A)を有して構成された入力操作画面を表示するキー入力用表示部(本発明にいう「表示装置」(「操作入力部」の一部))12と、(c)キー入力用表示部に表示された入力操作画面を視認可能な形態に外設されたデジタル出力が可能なタッチパネル(本発明にいう「操作入力部」の一部)13と、(d)タッチパネル13を振動可能な形態に携帯電話本体11に内設された振動子14と、(e)操作案内、動作状況、受信メッセージ等を表示する画像出力用表示部15と、(f)通話時に通信相手から送られてきた音声信号を再生する通話用スピーカ16と、(g)集音時に音を入力したり、通話時に音声を入力したりするためのマイクロフォン17と、(h)無線基地局との間で無線信号を授受するためのアンテナ18とを備えている。
【0022】
なお、ここで用いられるタッチパネル13の種類は任意であり、例えば、抵抗膜式、静電容量結合方式、赤外線走査方式、超音波表面弾性波方式等といった種々の形態のものを適用することができる。ただし、製品としてのタッチパネル13の中には、デジタル出力を行わないものもあるため、この種の製品を適用する場合には、制御部21との間にADC(Analog to Digital Converter)を介在させるとよい。また、タッチパネル13は、あらかじめ振動子14と一体に構成されたものを適用してもよい。
【0023】
携帯電話本体11の内部構成は、図2の機能ブロック図にて示されている。図2に示されるように、(i)携帯電話装置10全体の動作を統括制御し、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)等を備えて構成される制御部21と、(ii)制御部21の制御下で、キー入力用表示部12及び画像出力用表示部15における画像表示に関する信号処理全般を行う画像処理部22と、(iii)制御部21の制御下で、通話用スピーカ16及びマイクロフォン17において放音及び集音される音声に関しての信号処理全般を行う音声処理部23と、(iv)制御部21の制御下で、アンテナ18を介しながら無線基地局との間で無線信号の送受信を行う送受信部24と、(v)フラッシュメモリ等から構成され、制御部21によるデータの読出し及び書込みが可能な記憶部25と、(vi)DAC(Digital to Analog Converter)等により構成され、制御部21の制御下で振動子14を駆動する振動子駆動部(本発明にいう「振動子駆動装置」)26とを備えている。
【0024】
このうち、記憶部25は、(i)キー入力用表示部12に表示すべき所要の入力操作画面に関する表示パターンを記憶する表示パターン記憶領域25Aと、(ii)キー入力用表示部12に表示された入力操作画面のキー表示領域12Aと対応してタッチパネル13に割り付けられるべき1以上の感圧反応領域13A(図1参照;図では15個の感圧反応領域13A)に関する感応領域パターンを記憶する感応領域パターン記憶領域(本発明にいう「感応領域パターン記憶手段」)25Bと、(iii)振動子14の振動に関して、例えば、振幅、波形、継続時間等に関して形態の異なる複数の振動パターンを記憶する振動パターン記憶領域(本発明にいう「振動パターン記憶手段」)25Cとを備えている。
【0025】
また、制御部21は、(i)上記記憶部25の表示パターン記憶領域25Aから表示パターンを読み出す表示パターン読出部21Aと、(ii)上記感応領域パターン記憶領域25Bから感応領域パターンを読み出す感応領域パターン読出部(本発明にいう「感応領域パターン読出手段」)21Bと、(iii)前記タッチパネルの感圧反応領域13Aに対するタッチ操作を検出するタッチ位置検出部(本発明にいう「タッチ位置検出手段」)21Cと、(iv)上記振動パターン記憶領域25Cから振動パターンを読み出す振動パターン読出部(本発明にいう「振動パターン読出手段」)21Dとを備えている。
【0026】
表示パターン読出部21Aは、入力操作画面に関する表示パターンをキー入力表示部12に表示する機能を有する。かかる表示に際して、表示パターン読出部21Aは、携帯電話装置10の電源投入に伴う入力操作画面(初期画面)に関する表示パターン、又は、携帯電話装置10の利用者からタッチパネル13を通じて指定された所定の入力操作画面に関する表示パターンを、記憶部25の表示パターン記憶領域25Aから読み出す。そして、表示パターン読出部21Aは、読み出された表示パターンをキー入力表示部12に表示する。なお、表示パターン読出部21Aは、表示パターン記憶領域25Aから読み出された表示パターンに関する情報を感応領域パターン読出部21Bに通知するようになっている。
【0027】
感応領域パターン読出部21Bは、記憶部25の感応領域パターン記憶領域25Bから読み出し、これをタッチ位置検出部21Cに通知する機能を有する。ここで、感応領域パターン読出部21Bは、表示パターン読出部21Aから通知された上記表示パターンに関する情報に基づき、該当する入力操作画面におけるキー表示領域12Aの配置パターンと対応した感圧反応領域13Aを割り付けられてなる感応領域パターンを、記憶部25の感応領域パターン記憶領域25Bから読み出すようになっている。
【0028】
タッチ位置検出部21Cは、感圧反応領域13A内におけるタッチ操作の局所的位置を検出し、この検出結果を振動パターン読出部21Dに通知する機能を有する。かかる機能の動作は、感応領域パターン読出部21Bから通知された上記感応領域パターンにより定義されるタッチパネル13上の感圧反応領域13Aに対して、携帯電話装置10の利用者によりタッチ操作が行われたときに行われる。
【0029】
振動パターン読出部21Dは、振動パターン記憶領域25Cから対応する振動パターンを読み出し、これを振動子駆動部26に通知する機能を有する。なお、振動パターンの読出しに際して、振動パターン読出部21Dは、タッチ位置検出部21Cから通知された上記タッチ操作の局所的位置についての検出結果に対応する振動パターンを読み出す。
【0030】
振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された上記振動パターンに応じて振動子14を駆動する機能を有する。
【0031】
なお、上記タッチ位置検出部21Cには、タッチパネル13上の感圧反応領域13Aに対するタッチ操作が、(i)該当する感圧反応領域13Aの周縁部から中心部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別する機能や、(ii)その感圧反応領域の一端部から他端部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別する機能等を具備させることができる。そして、上記振動パターン読出部21Dには、タッチ位置検出部21Cで識別されたタッチ操作の局所的位置に応じた振動パターンを、記憶部25の振動パターン記憶領域25Cから読み出す機能を具備させることができる。
【0032】
以上のタッチ位置検出部21C及び振動パターン読出部21Dの機能につき、図3A〜図3Cを参照しつつ、詳述する。ここで、図3A〜図3Cには、それぞれ、キー入力用表示部12に表示される通話/待受けモード時、シンプルモード時、及び、地図表示モード時の入力操作画面の例が示されている。
【0033】
図3A及び図3Bに示される例においては、キー入力用表示部12に表示された入力操作画面に、発信キー、クリアキー、切断キー、テンキー、割付キー等の複数のキー表示領域12Aが設定されている。このキー入力用表示部12の有効表示面上方に重積して設けられたタッチパネル13には、上記複数のキー表示領域12Aの配置パターンと対応した(合致した)複数の感圧反応領域13Aが割り付けられている。
【0034】
ここで、上記複数のキー表示領域12Aに対応する複数の感圧反応領域13Aに、上述した機能を具備させるには、例えば、テンキーや割付キー等のキー表示領域12Aに対する指定操作時に、該当する感圧反応領域13Aへのタッチ操作がその周縁部寄りの領域に対して行われた場合には、弱い振動がタッチパネル13(振動子14)に得られるよう振幅の小さい振動パターンを当該領域に対応づける。一方、タッチ操作がその中心部寄りの領域に対して行われた場合には、強い振動がタッチパネル13に得られるよう振幅の大きい振動パターンを当該領域に対応づけるとよい。これにより、携帯電話装置10の利用者に、より実際的なキークリック感(平面的ではないキークリック感)を付与することが可能となる。
【0035】
図3Cに示される例においては、キー入力用表示部12に表示された入力操作画面に、地図表示領域のほかに、発信キー、クリアキー、切断キー、4つのスクロールキー(矢印で示されるキー)、拡大キー、縮小キー等の複数のキー表示領域12Aが設定されている。このキー入力用表示部12の有効表示面上方に重積して設けられたタッチパネル13には、上記複数のキー表示領域12Aの配置パターンと対応した(複数のキー表示領域12Aを包含した)複数の感圧反応領域13Aが割り付けられている。
【0036】
ここで、上記複数のキー表示領域12Aに対応する複数の感圧反応領域13Aに、前述した機能を具備させるには、例えば、スクロールキー等のキー表示領域12Aに対する指定操作時に、該当する感圧反応領域13Aへのタッチ操作がその一端部(矢印の基端部)寄りの領域に対して行われた場合には、短時間の振動がタッチパネル13(振動子14)に得られるよう継続時間の短い振動パターンを当該領域に対応づける。一方、タッチ操作がその他端部(矢印の先端部)寄りの領域に対して行われた場合には、長時間の振動がタッチパネル13に得られるよう継続時間の長い振動パターンを当該領域に対応づけるとよい。これにより、携帯電話装置10の利用者に、より実際的なキークリック感(平面的ではないキークリック感)を付与することが可能となる。
【0037】
[動作]
次に、以上のように構成された携帯電話装置10におけるキー操作感覚付与に関する動作について、説明する。
【0038】
まず、携帯電話装置10の利用者が、例えば、上述の図3Aや図3Bに示されるキー入力用表示部12上のテンキーや割付キーに関するキー表示領域12Aを指定操作するために、その有効表示面上方のタッチパネル13に割り付けられた該当する感圧反応領域13Aに対してタッチ操作を行った場合を想定する。
【0039】
利用者が上記タッチ操作を行うと、まず、携帯電話装置10の制御部21におけるタッチ位置検出部21Cが、該当する感圧反応領域13Aにおけるタッチ操作の局所的位置を検出し、この検出結果を振動パターン読出部21Dに通知する(本発明にいう「タッチ位置検出工程」)。
【0040】
次に、振動パターン読出部21Dは、タッチ位置検出部21Cから通知された上記タッチ操作の局所的位置についての検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの周縁部寄りの領域であった場合には、記憶部25の振動パターン記憶領域25Cから、当該領域に対応づけられた振幅の小さい振動パターンを読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。そして、振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された振幅の小さい振動パターンに応じて、所要の弱い振動がタッチパネル13に得られるよう振動子14を駆動する(本発明にいう「振動付与工程」)。
【0041】
これに対し、タッチ位置検出部21Cから通知された上記タッチ操作の局所的位置についての検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの中心部寄りの領域であった場合、振動パターン読出部21Dは、記憶部25の振動パターン記憶領域25Cから、当該領域に対応づけられた振幅の大きい振動パターンを読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。そして、振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された振幅の大きい振動パターンに応じて、所要の強い振動がタッチパネル13に得られるよう振動子14を駆動する(本発明にいう「振動付与工程」)。
【0042】
以上の結果、タッチパネル13は、タッチ操作が感圧反応領域13Aの周縁部寄りに行われたときには弱く、中心部寄りに行われたときには強く振動するようになり、これにより、携帯電話装置10の利用者に対し、従前の機械的なキー入力機構におけるそれと類似した、いわば立体的なキークリック感が付与されるようになる。
【0043】
続いて、携帯電話装置10の利用者が、例えば、図3Cに示されるキー入力用表示部12上のスクロールキーに関するキー表示領域12Aを指定操作するために、その有効表示面上方のタッチパネル13に割り付けられた該当する感圧反応領域13Aに対してタッチ操作を行った場合を想定する。
【0044】
利用者が上記タッチ操作を行うと、まず、携帯電話装置10の制御部21におけるタッチ位置検出部21Cが、先の例と同様、該当する感圧反応領域13Aにおけるタッチ操作の局所的位置を検出し、この検出結果を振動パターン読出部21Dに通知する(本発明にいう「タッチ位置検出工程」)。
【0045】
次に、振動パターン読出部21Dは、タッチ位置検出部21Cから通知された上記タッチ操作の局所的位置についての検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの一端部(矢印の基端部)寄りの領域であった場合には、記憶部25の振動パターン記憶領域25Cから、当該領域に対応づけられた継続時間の短い振動パターンを読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。そして、振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された振動時間の短い振動パターンに応じて、所要の短時間の振動がタッチパネル13に得られるよう振動子14を駆動する(本発明にいう「振動付与工程」)。
【0046】
これに対し、タッチ位置検出部21Cから通知された上記タッチ操作の局所的位置についての検出結果が、例えば、該当する感圧反応領域13Aの他端部(矢印の先端部)寄りの領域であった場合、振動パターン読出部21Dは、記憶部25の振動パターン記憶領域25Cから、当該領域に対応づけられた継続時間の長い振動パターンを読み出し、これを振動子駆動部26に通知する。そして、振動子駆動部26は、振動パターン読出部21Dから通知された振幅の大きい振動パターンに応じて、所要の長時間の振動がタッチパネル13に得られるよう振動子14を駆動する(本発明にいう「振動付与工程」)。
【0047】
以上の結果、タッチパネル13は、タッチ操作が感圧反応領域13Aの一端部寄りに行われたときには短時間、他端部寄りに行われたときには長時間にわたって振動するようになり、これにより、携帯電話装置10の利用者に対し、従前の機械的なキー入力機構におけるそれと類似した、いわば立体的な(方向性のある)キークリック感が付与されるようになる。
【0048】
[変形例]
続いて、本発明の変形例を説明する。この変形例は、上記実施形態に係る携帯電話装置10がネットワーク接続可能な状態におかれた場合の例を示すものである。
【0049】
図4には、本発明の変形例におけるネットワーク構成図が示されている。図4に示されるように、上述した携帯電話装置10は、無線基地局30を介してインターネット等のネットワーク40に接続される。このネットワーク40には、コンテンツサーバ等の情報管理サーバ50が接続されており、携帯電話装置10が情報管理サーバ50にアクセス可能な状態とされている。また、このネットワーク40には、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置60が接続可能となっている。
【0050】
ここで、無線基地局30は、携帯電話装置10における送受信部(本発明にいう「通信手段」)24との間で通信を行う。ここで、この通信時の無線通信方式としては、通常の携帯電話システムにおけるWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)を採用することができる。
【0051】
情報管理サーバ50は、携帯電話装置10における記憶部25の振動パターン記憶領域25Cに記憶されている振動パターンの等価データとして、追記用振動パターンを保持しており、当該追記用振動パターンは、携帯電話装置10における送受信部24を通じたアクセス(直接ダウンロードや電子メール添付のためのアクセス等)により、ネットワーク40を経由して取得可能となっている。そして、取得された追記用振動パターンは、携帯電話装置10における制御部21の機能により振動パターン記憶領域25Cに追記可能となっている。
【0052】
情報処理装置60は、上記振動パターン記憶領域25Cに記憶されている振動パターンの等価データとしての追記用振動パターンを作成可能なものであり、当該追記用振動パターンは、携帯電話装置10における送受信部24を通じたアクセス(同前)により、ネットワーク40を経由して取得可能となっている(作成された追記用振動パターンは、一旦、上記情報管理サーバに50に保持させるようにしてもよい)。そして、取得された追記用振動パターンは、携帯電話装置10における制御部21の機能により振動パターン記憶領域25Cに追記可能となっている。
【0053】
なお、情報管理サーバ50に保持され、又は、情報処理装置60で作成された追記用振動パターンは、上記ネットワーク40を経由することなく、任意の種類の記録媒体に記録して流通させることが可能である。このため、この種の記録媒体に記録された情報を読み取るための記録媒体読取部(本発明にいう「記録媒体読取手段」)27を新たに携帯電話装置10に具備させ、当該手段に接続された状態の記録媒体RMに直接アクセスして追記用振動パターンを読み出すことにより、これを振動パターン記憶領域25Cに追記することも可能である。
【0054】
以上のようなネットワーク40を利用することにより、携帯電話装置10の利用者は、情報管理サーバ50から様々な形態の振動パターンの提供を受けることが可能になると共に、情報処理装置60を用いて所要の振動パターンを自作し、これを情報管理サーバ50において公開することも可能となる。この結果、携帯電話装置10の利用者は、より自身の感覚に相応したキークリック感を得るための試行が可能となる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態及び変形例につき、本発明を携帯電話装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、携帯情報装置であるPHS(Personal Handyphone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等にも適用することができる。
【0056】
また、本発明を上記PHSに適用する場合、変形例におけるネットワークとの無線通信方式としては、PHSに対応したPIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)を採用することができる。また場合により、例示した携帯情報装置全般にわたり、例えば、Bluetooth、無線LAN(Local Area Network)、RFID(Radio Frequency Identification)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、あるいは放送波(受信のみ)等の種々の無線通信方式を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明のキー操作感覚付与方法は、キー入力機構としてタッチパネルを採用した携帯情報装置におけるキークリック感の付与に関する技術に適用することができる。また、本発明の携帯情報装置は、キー入力機構としてタッチパネルを採用した携帯情報装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話装置の外観構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の携帯電話装置の内部構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3A】図1及び図2のキー入力用表示部に表示される通話/待受けモード時の入力操作画面の例を示す図である。
【図3B】図1及び図2のキー入力用表示部に表示されるシンプルモード時の入力操作画面の例を示す図である。
【図3C】図1及び図2のキー入力用表示部に表示される地図表示モード時の入力操作画面の例を示す図である。
【図4】本発明の変形例におけるネットワーク構成図である。
【符号の説明】
【0059】
10…携帯電話装置(携帯情報装置)、11…携帯電話本体、12…キー入力用表示部、12A…キー表示領域、13…タッチパネル、13A…感圧反応領域、14…振動子、15…画像出力用表示部、16…通話用スピーカ、17…マイクロフォン、18…アンテナ、21…制御部、21A…表示パターン読出部、21B…感応領域パターン読出部(感応領域パターン読出手段)、21C…タッチ位置検出部(タッチ位置検出手段)、21D…振動パターン読出部(振動パターン読出手段)、22…画像処理部、23…音声処理部、24…送受信部、25…記憶部、25A…表示パターン記憶領域(表示パターン記憶手段)、25B…感応領域パターン記憶領域(感応領域パターン記憶手段)、25C…振動パターン記憶領域(振動パターン記憶手段)、26…振動子駆動部(振動子駆動装置)、27…記録媒体読取部(記録媒体読取手段)、30…無線基地局、40…ネットワーク、50…情報管理サーバ、60…情報処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のキー表示領域を有して構成された入力操作画面を視認可能に設けられたタッチパネルを有する操作入力部を備える携帯情報装置において、前記操作入力部の操作時に利用者に対してキー操作感覚を付与するためのキー操作感覚付与方法であって、
前記入力操作画面の前記キー表示領域と対応する感応領域パターンにより定義される前記タッチパネル上の感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置を検出するタッチ位置検出工程と;
前記タッチ位置検出工程により検出された局所的位置に対応する振動パターンに従って前記タッチパネルを振動させる振動付与工程と;を備えるキー操作感覚付与方法。
【請求項2】
前記タッチ位置検出工程では、前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の周縁部から中心部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別することを特徴とする請求項1に記載のキー操作感覚付与方法。
【請求項3】
前記タッチ位置検出工程では、前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の一端部から他端部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別する、ことを特徴とする請求項1に記載のキー操作感覚付与方法。
【請求項4】
1以上のキー表示領域を有して構成された入力操作画面を表示する表示装置と;
前記表示装置に表示された前記入力操作画面を視認可能に設けられたタッチパネルと;
前記タッチパネルを振動可能に設けられた振動子と;
前記表示装置に表示された前記入力操作画面の前記キー表示領域と対応して前記タッチパネルに割り付けられるべき1以上の感圧反応領域に関する感応領域パターンを記憶する感応領域パターン記憶手段と;
前記振動子の振動に関して、形態の異なる複数の振動パターンを記憶する振動パターン記憶手段と;
前記感応領域パターン記憶手段に記憶された前記感応領域パターンにより定義される前記タッチパネル上の前記感圧反応領域に対してタッチ操作が行われたときに、前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置を検出するタッチ位置検出手段と;
前記タッチ位置検出手段により検出された前記感圧反応領域内における前記タッチ操作の局所的位置に応じて、前記振動パターン記憶手段から対応する前記振動パターンを読み出す振動パターン読出手段と;
前記振動パターン読出手段により読み出された前記振動パターンに応じて前記振動子を駆動する振動子駆動装置と;を備えることを特徴とする携帯情報装置。
【請求項5】
前記タッチ位置検出手段は、前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の周縁部から中心部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別し、
前記振動パターン読出手段は、前記タッチ位置検出手段により識別された前記タッチ操作の局所的位置に対応した前記振動パターンを前記振動パターン記憶手段から読み出す、ことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報装置。
【請求項6】
前記タッチ位置検出手段は、前記感圧反応領域に対する前記タッチ操作が前記感圧反応領域の一端部から他端部にかけてのいずれの局所的位置に対して行われたかを識別し、
前記振動パターン読出手段は、前記タッチ位置検出手段により識別された前記タッチ操作の局所的位置に対応した前記振動パターンを前記振動パターン記憶手段から読み出す、ことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報装置。
【請求項7】
ネットワークに接続された追記用振動パターンを保持する情報管理サーバとの通信を行うための通信手段を更に備え、
前記振動パターン記憶手段は、前記通信手段を利用して取得された前記追記用振動パターンを追記可能である、ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の携帯情報装置。
【請求項8】
記録媒体に記録された情報を読み取る記録媒体読取手段を更に備え、
前記振動パターン記憶手段は、前記記録媒体読取手段を利用して読み取られた追記用振動パターンを追記可能である、ことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の携帯情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−115157(P2007−115157A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308136(P2005−308136)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】