説明

ギア並びにこれを用いた駆動装置、画像形成装置及び現像器

【課題】
ギアの歯面表面の付着物が原因となり生じるギアの異音やギアの摩耗を防止することができるギアを提供する。
【解決手段】
回転に伴い、少なくともギアの歯面へ向けて空気を送る羽根を備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる回転軸に嵌入され、互いに噛み合いながら回転することにより、駆動力が伝達されるギアと、このギアを用いた駆動装置や画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−69294号公報
【0003】
一般的に、モータなどの駆動装置を備える電気機器、特に、回転数や回転量などの精度が要求される機器の多くは、駆動装置の駆動力を伝達する手段としてギアが適用されている。その理由としては、先ず、ギアは、互いに噛み合わさった状態で回転することにより、駆動源の回転軸に挿入されているギアから従動されるギアへ効率よくその駆動力を伝達できることが挙げられる。そして、駆動源の回転軸が一定の回転数で回転するのに対し、当該駆動源の回転軸に挿入されるギアの歯数及び従動されるギアの歯数を適宜設定することにより、従動されるギアを所望の回転数で回転させることが可能であることが挙げられる。
【0004】
このような利点を有することから、電子写真方式の画像形成装置は駆動力を伝達する手段としてギアが適用されている。しかし、画像形成装置においては、装置筐体内で発生する浮遊トナーや、装置筐体に入り込んだ粉塵がギアに付着することがある。このような場合、互いに噛み合っているギアが回転する際に、異音を発するばかりではなく、付着した浮遊トナーや粉塵によりギアが摩耗してしまう。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、耐トナー摺動性ポリアミド樹脂組成物を用いた樹脂ギアが提案されている(特許文献1)。この樹脂ギアであれば、浮遊トナーがギアに付着しても、当該浮遊トナーを表面樹脂中に収容して保持するため、ギアからの異音やギアの摩耗を抑制することができる。しかし、ポリアミド樹脂は、吸湿性などの特性を有するため、精度を確保することが難しく、高い精度が要求される部位には適用することができない上に、ギアの材質が特定され、設計の幅が制約されてしまうといった問題があった。そして、装置筐体内を浮遊するクラウド状のトナーは、駆動装置の複数のギアから成るギア列(以下単に「駆動系」という)へあらゆる方向から回り込むため、これら駆動系を隔てる仕切り板、或いは、駆動系を覆うカバーを設けたとしても、駆動系へ浮遊トナーが入り込んでしまうといった問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ギアの歯面表面の付着物が原因となり生じるギアの異音やギアの摩耗を防止することができるギアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のギアは、回転に伴い、少なくともギアの歯面へ向けて空気を送る羽根を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
このような本発明のギアにおいて、前記羽根は、前記ギアの回転に伴い回転し、少なくとも当該ギアの歯面へ向けて空気を送ることができるものであればよい。そして、前記羽根の形態としては、前記羽根の回転中心軸を基準として放射状に複数枚の前記羽根を配設することが好ましい。また、前記羽根は、前記ギアと一体化させて使用されるが、一体、或いは、別体として成形してもよく、生産性などを考慮し、適宜構成を選択することができる。更に、前記羽根により送られる空気の向きとしては、前記ギアの歯面(前記ギアの山部及び谷部を含む面とする)に沿った向きであることがよく、その強さは、前記ギアの歯面表面の付着物を吹き飛ばすことができる強さであればよい。これにより、例えば、前記ギアが停止している間に当該ギアの歯面表面に付着する付着物があっても、前記ギアの回転に伴いそれらを吹き飛ばして除去することが可能である。尚、前記羽根の枚数は、前記ギアの歯面表面の付着物を吹き飛ばすことができる強さの空気を送ることが可能であれば、1枚であってもよい。
【0009】
前記羽根は、前述の通り、前記ギアの歯面に沿った向きへ空気を送る構成となっているが、当該羽根により送られる空気の流れを集中的に前記歯面へ向けることは難しい。そこで、前記羽根の外側の全周に亘り、当該羽根により送られる空気の向きを規制する風向規制部材を備えるとよい。そして、前記風向規制部材は、前記羽根と一体、或いは、別体であってもよい。ここで、前記風向規制部材と、前記羽根とを一体に成形する場合には、当該風向規制部材を円筒状に成形し、前記羽根の先端を全周に亘り覆うように構成することが好ましく、少なくとも前記ギアの直径よりも当該円筒の内径を大きく設定するのがよい。一方、前記風向規制部材と、前記羽根とを別体で成形する場合には、円筒状に成形された前記風向規制部材の内径を前記羽根の直径よりも大きく設定し、回転する前記羽根の先端と、前記風向規制部材の内壁とが接触しない構成でなければならない。それに加え、一体に成形する場合と同様に、少なくとも前記ギアの直径よりも前記風向規制部材の内径を大きく設定するのがよい。また、前記風向規制部材が前記羽根と一体、或いは、別体の何れであっても、前記羽根の回転軸方向における前記風向規制部材の長さは、前記羽根の回転軸方向における当該羽根の長さよりも長く、つまり、前記風向規制部材により、前記羽根を当該羽根の回転軸方向についても覆う長さに設定することが好ましい。このように、前記風向規制部材を設定及び配設することにより、前記羽根により送られた空気を前記風向規制部材の内壁に沿うようにして流し、効率よく前記ギアの歯面に沿う向きに空気を送り、前記ギアの歯面表面の付着物を除去することができる。
【0010】
電気機器の装置筐体内においては、例えば、粉塵が発生し易い部位や静電気などの発生により粉塵が集まり易い部位に仕切り板を設け、粉塵により影響を受け易い機器へ粉塵が入り込み難い構造となっている。電子写真方式の画像形成装置においては、感光体表面の静電潜像をトナーにより現像する現像器と、この現像器を駆動する駆動装置との間に、現像器にて発生する浮遊トナーが駆動系へ入り込まないように仕切り板が設けられている。しかし、装置筐体内の浮遊トナーは、あらゆる方向から回り込むため、仕切り板により駆動系へ浮遊トナーが入り込むことを完全に防ぐことは困難である。そこで、現像器を駆動する駆動系を構成する少なくとも1つのギアを回転可能な状態で挿通させる開口部を仕切り板に設け、前記ギアと同一回転軸に取り付けられた前記羽根により、前記開口部と、前記ギアとの隙間を通して、前記ギアの歯面に向けて空気を送るとよい。この時、前記羽根は、前記仕切り板を隔て駆動系側に配設し、駆動系側から現像器側へ空気を送る構成であるのがよい。この構成により、現像器において発生した浮遊トナーは、前記仕切り板に設けられた前記開口部から駆動系側へ飛散すること、更には、駆動系の前記ギアに浮遊トナーや粉塵が付着することを防止し、前記ギアの歯面表面の付着物が原因として発生する前記ギアからの異音や前記ギアの摩耗を防ぐことが可能である。
【0011】
前述の例のように、駆動装置に前記羽根を備える前記ギアを適用する場合、駆動装置周辺に浮遊する粉塵などが駆動系へ影響を及ぼさないように、駆動系を構成する1つ、或いは、複数のギアと同一回転軸に前記羽根を取り付けるとよい。この時、前記羽根により送られる空気は、前記ギアの歯面の向きだけではなく、駆動系に粉塵などが入り込まない向きへ送るものであるのが好ましい。このような向きに空気を送るように前記羽根を配設することにより、本発明のギアを前述の現像器に限らず、画像形成装置を構成する機器で駆動装置を備える、感光体や中間転写体ベルト、または、駆動装置を備えるその他の電気機器に適用することができる。
【0012】
本発明によれば、前記ギアと同一回転軸に前記羽根を取り付けることにより、前記羽根の回転に伴い送られる空気で前記ギアの歯面を覆うものとなっている。そのため、駆動系を前記仕切り板で隔てる、或いは、ケースなどで密閉しなくても前記ギアの歯面へ付着物が付着するのを防止することができる。そして、駆動系の停止中において前記ギアの歯面に付着物が付着した場合であっても、駆動系の作動に伴い当該駆動系を構成する前記ギアと同一回転軸に取り付けられた前記羽根から送られる空気の流れにより、当該ギアの歯面の付着物を吹き飛ばすことが可能である。また、前記羽根の形状を調整することにより、空気を送るべき前記ギアの近傍のみに空気の流れを生成することができるため、装置筐体内に設けられたダクトなどに備えられた送風ファンによる強制的な空気の流れに対し、前記羽根により送られる空気が影響を及ぼすことは殆どない。更に、前記ギアの回転に伴い、前記羽根により前記ギアの歯面へ空気を送ることができればよいため、前記ギア及び前記羽根に適用する材料に関してはその制約がなく、前記ギア及び前記羽根を自由に設計することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成される本発明のギアによれば、ギアの歯面表面の付着物が原因となり生じるギアの異音やギアの摩耗を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面に基づいて本発明のギアを詳細に説明する。
【0015】
本発明の第1実施例の斜視図を示しているのが図1である。本図においては、ギア11及び羽根10がそれぞれ回転軸12に挿入されている様子を分図(a)はギア11側から、そして、分図(b)は羽根10側からそれぞれ斜視したものが示されている。
【0016】
本実施例の構成において、回転軸12に挿入されているギア11(歯数18枚)は、各歯の山部及び谷部を含む面から構成される歯面11a(本図では1つについて符号を付与)を有している(分図(a)、(b))。そして、ギア11と同じく回転軸12に挿入されている羽根10は、羽根10の回転方向に対して所定の角度を有し、羽根10の回転に伴い空気を送る8枚から成る羽根部10a(分図(b)では2枚について符号を付与)と、羽根部10aの先端を全周に亘り覆い、羽根部10aにより送られる空気の流れを規制する風向規制部10bとから構成されている(分図(a)、(b))。
【0017】
ここで、回転軸12そのものが、或いは、ギア11と噛合する図示外のギアの回転に伴い回転軸12が矢印D方向に回転することにより、ギア11と同じく回転軸12に挿入されている羽根10も矢印D方向(右回り)に回転する。この時、羽根10の回転に伴い羽根部10aにより送られる空気は、風向規制部10bでその向きを規制され、ギア11の歯面11aに向けて空気が送られるものとなっている(分図(a)、(b)、矢印B)。
【0018】
本発明の第1実施例の正面図及び側面図を示しているのが図2である。分図(a)及び分図(b)は、それぞれ正面図及び側面図を示している。
【0019】
分図(a)において、羽根10及びギア11は、それぞれ回転軸12に挿入されており、本図においては、羽根10の手前側にギア11が配設されている。そして、ギア11(歯数18枚)は、各歯の山部及び谷部を含む面から構成される歯面11a(本図では1つについて符号を付与)を有している。また、羽根10は、羽根10の回転方向に対して所定の角度を有する8枚から成る羽根部10a(本図では2枚について符号を付与)と、羽根部10aにより送られる空気の流れを規制する風向規制部10bとから構成されている。ここで、回転軸12そのものが、或いは、ギア11と噛合する図示外のギアの回転に伴い回転軸12が矢印D方向(右回り)に回転することにより、回転軸12に挿入されている羽根10が回転し、羽根部10aにより紙面の裏面側から表面側へ向けて略垂直方向、つまり、ギア11の歯面11aへ向けて空気を送るものとなっている。また、分図(b)に示されているように、羽根10の外径d1は、ギア11の直径d2よりも大きく設定されている。
【0020】
図2に示されているように羽根10及びギア11を構成することにより、回転軸12の矢印D方向(右回り)への回転に伴い(分図(a))、羽根部10aから送られる空気の向きを風向規制部10bにより規制し、ギア11の歯面11aに沿う向き(矢印B)に空気を効率よく送り、ギア11の歯面11aの付着物を吹き飛ばし、除去することが可能となる。更には、ギア11と、ギア11に噛合する図示外のギアとの回転に伴い、これらギアの歯面の付着物による異音や、ギアの摩耗を防止することができる。尚、羽根部10aにより送られる空気の強さは、ギア11の歯面11aの付着物を吹き飛ばすことができればよく、回転軸12が回転する際の羽根10の回転速度に応じ、羽根10の回転方向に対する羽根部10aの角度などを適宜設定することが可能である。
【0021】
本発明における第1実施例に適用される羽根を示しているのが図3である。分図(a)、分図(b)、分図(c)は、それぞれ羽根10の正面図、側面図、背面図を示している。
【0022】
分図(a)において、羽根10は、8枚から成る羽根部10a(本図では3枚について符号を付与)と、羽根部10aの先端を全周に亘り覆い、羽根10により送られる空気の流れを規制する風向規制部10bと、回転軸(図示せず)が挿入される開口部10cとから構成されている。
【0023】
分図(b)において、羽根部10aは、図示外の回転軸と平行な方向に対して長さl1を有するものとなっている。また、羽根10の風向規制部10bは、図示外の回転軸と平行な方向に対して長さl2を有するものとなっている。そして、長さl2は、長さl1より長く設定され、羽根部10aが風向規制部10bより回転軸(図示せず)と平行な方向に対して突出することがないものとなっている。また、羽根部10aは、羽根10の回転方向に対し、平行、或いは、垂直以外に設定され、羽根10の回転速度に応じ、所定の強さの空気を送るようにその角度が設定されている。この構成により、羽根10の回転に伴い送られる空気は、風向規制部10bの内壁に沿うようにして流れることとなり、積極的に羽根10から送られる空気の向き(矢印B)を規制することができる。
【0024】
分図(c)において、羽根10は、分図(a)と同様に、8枚から成る羽根部10a(本図では3枚について符号を付与)と、羽根10により送られる空気の流れを規制する風向規制部10bと、回転軸が挿入される開口部10cとから構成されている。
【0025】
ここで、羽根10が挿入されている回転軸(図示せず)が矢印D方向へ回転すると、その回転に伴い羽根10も矢印D方向へ回転し、羽根部10aにより、分図(a)においては、紙面の裏面側から表面側へ向けて略垂直方向に、分図(b)においては、矢印Bの方向に、そして、分図(c)においては、紙面の表面側から裏面側へ向けて略垂直方向にそれぞれ空気が送られる。従って、ギア(図示せず)の歯面へ向けて羽根部10aにより空気が送られる位置にギアを配設することにより、ギアの歯面の付着物を吹き飛ばすと共に除去し、ギアの歯面の付着物による異音や、ギアの摩耗を防止することが可能となる。
【0026】
本発明の第2実施例の斜視図を示しているのが図4である。本実施例は、回転軸12に挿入されているギア11と、同じく回転軸12にギア11と密接させるようにして挿入されている羽根13と、仕切り板14とから構成されている。この構成において、ギア11(歯数18枚)は、各歯の山部及び谷部を含む面から構成される歯面11a(本図では1つについて符号を付与)を有している。そして、羽根13は、円盤状の円盤部13bと、円盤部13bに立設された20枚から成る羽根部13a(本図では2枚について符号を付与)とから構成されている。また、仕切り板14は、その内径がギア11の直径よりも大きい開口部14aが穿設されており、回転軸12に挿入されているギア11が回転可能な状態で挿通されている。
【0027】
本発明の第2実施例の正面図及び断面図を示しているのが図5である。分図(a)及び分図(b)は、それぞれ正面図及び側面図を示している。
【0028】
分図(a)において、羽根13及びギア11は、それぞれ回転軸12に挿入され、更に、ギア11は、仕切り板14に設けられた開口部14aに回転可能な状態で挿通されている。そして、羽根13は、図4と同様に、円盤状の円盤部13bと、円盤部13bに立設された20枚から成る羽根部13a(本図では2枚について符号を付与)とから構成され、更に、円盤部13bの中央部には円形状の平面部13dを有している。また、ギア11(歯数18枚)は、各歯の山部及び谷部を含む面から構成される歯面11a(本図では1つについて符号を付与)を有している。更に、仕切り板14の開口部14aは、ギア11を挿通させるため、ギア11の直径よりも大きい内径を有するものとなっている。分図(b)に示されているように、羽根13と、ギア11とは、回転軸12と直交するギア11の面を羽根13の平面部13dに密接させた状態で回転軸12にそれぞれ挿入されている。そして、羽根部13aと、仕切り板14との間には隙間gが設けられており、仕切り板14の開口部14aに挿通されたギア11の回転に伴い、同一回転軸12に挿入された羽根13の羽根部13aが仕切り板14に接触せずに回転する構成となっている。従って、羽根13の羽根部13aと、円盤部13bとにより形成される羽根13の外周部からギア11の歯面11aへ通じる通路(計20個)は、仕切り板14により略覆われるものとなっている。
【0029】
図5に示されている構成においては、回転軸12そのものが、或いは、ギア11と噛合する図示外のギアの回転に伴い回転軸12が矢印D方向(右回り)に回転すると、羽根13の外周部の空気は、羽根部13aと、円盤部13bとにより形成される通路により集められるようにして点線矢印S方向に導かれる(分図(a)では1箇所のみ図示)。更には、ギア11の歯面11aに沿う向きに送られ(分図(b))、ギア11の歯面11aの付着物を吹き飛ばし、除去することができる。そして、ギア11と、ギア11に噛合するギアとの回転に伴い、これらギアの羽面の付着物による異音や、ギアの摩耗を防止することが可能となる。
【0030】
本発明における第2実施例に適用される羽根を示しているのが図6である。分図(a)及び分図(b)は、それぞれ羽根13の正面図及び側面図を示している。
【0031】
分図(a)において、羽根13は、円盤状の円盤部13bと、円盤部13bの片面に放射状に立設された20枚の羽根部13a(本図では3枚について符号を付与)と、回転軸(図示せず)が挿入される開口部13cとから構成されている。そして、羽根部13aは、回転軸(図示せず)にギア(図示せず)と共に挿入されることを考慮し、円盤部13bの外周部から開口部13cまで達するものではなく、羽根部13aの開口部13c側の先端がギア(図示せず)の歯と接触しないように、円形状の平面部13dが円盤部13bの中央に残されるものとなっている。また、分図(b)には、羽根13の円盤部13bに立設された羽根部13a(本図では3枚について符号を付与)の高さhが示されており、この高さhは、羽根13の回転速度、ギア(図示せず)の歯面へ送る空気の強さなどに応じ、適宜設定できるものとなっている。ここで、羽根13が、回転軸(図示せず)を中心に矢印D方向(右回り)に回転すると、羽根13の外周部の空気は、羽根部13aと、円盤部13bとにより形成された通路により、集められるようにして点線矢印Sの向き(本図では1箇所のみ図示)へ導かれる(分図(a))。従って、羽根13と、羽根13の平面部13dに密接させた状態のギア(図示せず)とを回転軸(図示せず)に挿入させた場合には、ギア(図示せず)の歯面の付着物を吹き飛ばすと共に除去し、ギアの歯面の付着物による異音や、ギアの摩耗を防止することができる。
【0032】
ここで、本発明の第2実施例を画像形成装置の現像器に適用する場合、図5分図(b)における仕切り板14を隔てて左側に現像器を配設する構成とするのがよい。この構成であれば、羽根13により送られる空気により、現像器において発生するトナーやキャリアのクラウドが仕切り板14の開口部14aと、ギア11との隙間から飛散することを防ぐと共に、ギア11の歯面11aにトナーやキャリアが付着することも防ぐことが可能となる。従って、結果的には、画像形成装置の装置筐体内におけるトナーやキャリアのクラウドの飛散を抑えると共に、ギアの異音やギアの摩耗を防止することができる。
【0033】
電子写真方式の画像形成装置においては、記録用紙へトナー像を形成する過程において発生した浮遊トナー、帯電器及び転写器において発生するオゾン、定着器において加熱定着時に発生する熱、そして、装置筐体内に入り込んだ粉塵などが、それぞれの機器から排気孔へ伸びるダクトと、ダクト内の空気を排気孔へ送る送風ファンと、ダクトの通過物を捕集するフィルタとから構成される排気装置により、除去されている。これら帯電器、転写器、定着器などは、画像形成時において、円筒状のドラム、または、ロールが駆動装置により回転させられている。ここで、前述のダクトがこれら機器の駆動装置の近傍に配設されているのならば、本発明の第1実施例、或いは、第2実施例をこれら機器の駆動装置に適用するとよい。この時、駆動系を構成する1つ、或いは、複数のギアに、当該ギアと同一回転軸に羽根10、または、羽根13を取り付けることにより、ギアの歯面に付着した浮遊トナーや粉塵を吹き飛ばすだけではなく、オゾン及び熱をダクトへ送る空気の流れを装置筐体内に発生させることができる。その結果として、装置筐体内における浮遊物や発生物を効率よくダクトへ導き、ダクトに設けられたフィルタでこれら浮遊物や発生物を除去すると共に、装置筐体外へ排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例の斜視図を示している。
【図2】本発明の第1実施例の正面図及び側面図を示している。
【図3】本発明における第1実施例に適用される羽根を示している図である。
【図4】本発明の第2実施例の斜視図を示している。
【図5】本発明の第2実施例の正面図及び断面図を示している。
【図6】本発明における第2実施例に適用される羽根を示している図である。
【符号の説明】
【0035】
10・・・羽根、10a・・・羽根部、10b・・・風向規制部、11・・・ギア、11a・・・歯面、12・・・回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転に伴い、少なくともギアの歯面へ向けて空気を送る羽根を備えていることを特徴とするギア。
【請求項2】
前記羽根は、前記ギアの歯面に沿う向きに空気を送ることを特徴とする請求項1に記載のギア。
【請求項3】
前記羽根は、当該羽根により送られる空気の方向を規制する風向規制部材をその外側の全周に亘り備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のギア。
【請求項4】
前記ギアは、回転可能な状態で仕切り板に設けられている開口部に挿通され、前記羽根は、前記仕切り板の対向位置に配設され、前記開口部と、前記ギアとの隙間を通してそのギアの歯面へ向けて空気を送ることを特徴とする請求項1に記載のギア。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のギアを備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の駆動装置を備えることを特徴とする現像器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−266484(P2006−266484A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89817(P2005−89817)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】