説明

クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの調製プロセス、及びそれらの使用方法

ヒドロシリル化プロセスを用い、ポリオルガノシロキサン鎖末端にクラスタ化官能性基を有するポリオルガノシロキサンを調製する。本プロセスにおいて用いられる成分はa)分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、b)分子当たり平均平均4〜15個のケイ素原子及び成分a)中の各脂肪族不飽和有機基について少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン、c)分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種、並びにd)ヒドロシリル化触媒を含む。得られるクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは、エレクトロニクス用途の硬化性シリコーン組成物において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの調製プロセスは、脂肪族不飽和種、ケイ素結合水素原子を含有する種、及び反応種をヒドロシリル化触媒の存在下で反応させるステップを含む。このプロセスにより調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは、異なるプロセスにより調製された「ダンベル」型ポリオルガノシロキサンと比較して向上した物理的特性(例えば、増加した引張強度及び伸び%)を有する。クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは充填剤を含有することができ、さらに異なるプロセスにより調製された「ダンベル」型ポリオルガノシロキサンと比べて向上した物理的特性のみならず向上したディスペンス特性を示すことができる。
【背景技術】
【0002】
硬化してエラストマー材料となるポリオルガノシロキサン組成物は周知である。こうした組成物は、硬化性(例えば、加水分解性、放射線硬化性、又は熱硬化性)基を有するポリジオルガノシロキサンを必要に応じて架橋剤及び/又は触媒と混合することにより調製することができる。一般的には、ポリジオルガノシロキサンは鎖末端当たり1〜3個の反応性基を有することができる。次にこれらの成分を含む組成物を、存在する硬化性基に応じて、例えば、大気水分への露出、放射線への露出、又は熱への露出により硬化することができる。
【0003】
特定の組成物の硬化速度は存在する反応性基のタイプ及び数を含む各種要因によって決まる。異なる基は異なる反応性を有することが知られている。例えば、水分の存在下、すべての他の条件が同じである場合、ケイ素結合アセトキシ基は通常ケイ素結合アルコキシ基より速く加水分解するだろう。さらに、同じタイプの硬化性基であっても、特定のケイ素原子に結合したそれらの硬化性基の数に応じて異なる反応性を有することができる。例えば、ポリジオルガノシロキサンが鎖末端上で1個のケイ素原子に結合した3個のケイ素結合アルコキシ基を有する場合、第1のアルコキシ基は一般的にはもっとも反応性である(もっとも速く反応する)が、第1のアルコキシ基が反応した後、同じケイ素原子に結合した第2のアルコキシ基が反応するにはより長い時間がかかり、第3についてはさらに長い。従って、分子末端当たりより多くの「もっとも」反応性である基を有するクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを調製する継続的必要性がある。
【0004】
さらに、シリコーン接着剤用途のような特定の用途についての有用性を示すため、充填剤を組成物に添加し、組成物の得られる硬化生成物の物理的特性プロファイルを向上させる(例えば、引張強度を増加させ、破断伸び%を向上させる)ことができる。充填剤の性質、その化学的性質、粒径及び界面化学反応はすべてポリオルガノシロキサンと充填剤との間の相互作用の大きさ及びひいては最終的な物理的特性に影響を及ぼすことが示されている。接着性及びディスペンス性のような他の特性も、接着剤用途についての組成物の性能及び市販性において役割を果たす。シリコーン接着剤は一般的には、幅広い金属、鉱物及びプラスチック表面への接着性とともに、平方インチ当たり(psi)200ポンドを超える引張特性及び100%の伸びを有する。
【0005】
長いポリマー鎖が1つ以上の有機官能性基を有する環状、線状及び星状種でキャップされた「ダンベル」シリコーンポリマーの合成については開示されている。こうしたポリマーについては多数の硬化化学反応、例えばエポキシ(グリシジル、アルキルエポキシ、及び脂環式エポキシ)、メタクリレート、アクリレート、ウレタン、アルコキシ、又は付加を行うことができることが記載されている。
【0006】
硬化性基がポリマーの末端でクラスタ化された多官能性末端ブロックコポリマー(クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン)を生成することが望ましい。「ダンベル」シリコーンポリマーにおけるクラスタ化官能性基のそれらを分離する非官能性ポリマー鎖との組み合わせは、硬化速度の最小限の低下でより高い物理的特性をもたらすことができる。この方法は硬化性基が同じである(例えば、ポリマー鎖末端でクラスタ化したすべての硬化性基がエポキシ又はアルコキシのいずれかであり得る)「ダンベル」シリコーンポリマーについて示されている。この方法は、硬化性基が異なる、例えば、ポリマー末端でクラスタ化したすべての硬化性基がエポキシ及びアルコキシ基の組み合わせであり得る、いわゆる「多重硬化」システムについても示されている。
【0007】
これらの「ダンベル」シリコーンポリマーを生成するための既知のプロセスでは、これらのポリマーは多重ステップにおいて調製される。まず、水素化シリコーン官能性「ダンベル」中間体はビニル末端ブロック線状ポリオルガノシロキサンの環状、線状又は分岐水素化シリコーンとの反応によって調製される。高温で長時間の触媒の継続的存在は、一般的には環状末端ブロックの開環又は残りのケイ素結合水素原子の架橋によって、ゲル化をもたらすので、この初期ステップ後、白金族金属触媒を中和するための試薬の添加並びに/又は水素化シリコーン官能性「ダンベル」中間体を未反応種及び副生成物から取り出すための精製ステップを行う。ゲル化を防止するいくつかの方法は、水素化シリコーン官能性「ダンベル」中間体を形成した後、白金族金属触媒毒、シリル化剤、又はジアリルマレエートのような触媒阻害剤を用い、触媒を不活性化するステップを含む。これは溶媒、未反応水素化シリコーン、及び反応副生成物を除去するための高温での中間体の(例えば、揮散又は蒸留による)精製を可能にする。この方法の問題は、不飽和有機官能性部分とのその後の反応を達成するのにより多くの白金族金属触媒の添加(追加費用)及びより高温、一般的には>80℃が長時間必要となり、これによりプロセスを行うのに必要な時間が増加することである。上昇した温度は、大きなエキソサームが一般的にヒドロシリル化プロセスに関連している小さな「ダンベル」種においてとくに問題となり得る。高い開始温度及び大きなエキソサームでは産業プロセスにおける熱管理が問題となる。不飽和基(例えば、メタクリレート、アクリレート、ビニル又はアリル)は望ましくないラジカルプロセスによって自動重合し得る。これらのラジカルプロセスはヒドロキノン(HQ)、4−メトキシフェノール(MEHQ)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、フェノチアジン(PTZ)、等のような重合阻害剤の添加により緩和することができる。しかしながら、メタクリレート官能性材料の場合、ラジカル阻害剤が存在していても、この多重ステッププロセスではメタクリレート自動重合の発生率は高い。これらの理由のため、開環及び自動重合の傾向を低減又は削減するので、最小限のプロセスステップ及び最小限の熱履歴を有するプロセスの必要性がある。これは有機官能性基のより大きなサイズを可能にするとともに、既知のプロセスに関連する追加の白金族金属触媒及び時間のかかるプロセスステップによるコストを低減することができる。
【0008】
さらに、上述の既知のプロセスにより製造された「ダンベル」シリコーンポリマーの使用はこれらのポリマーで充填剤を製剤するステップに関連する問題のために限定されている。充填剤の添加は、ゴム、封止材、及び接着剤のような硬化シリコーン製品の物理的特性を向上させる。こうした組成物において用いられる充填剤、例えばヒュームドシリカは、表面シラノール基のため本質的に親水性であり、加工及び使用に重度の問題をもたらす。シラノール基の水親和性は絶縁破壊、腐食、並びに接着促進剤、触媒、及び結合剤のゲル化をもたらし得る。シラノール基はポリオルガノシロキサンとシリカ表面との間の必要より大きな相互作用ももたらし、ディスペンスする又は取り扱うには高すぎる粘度を有する、クレープ硬化を示す材料をもたらす。従って、これらの問題を緩和するため疎水性種で予備処理したヒュームドシリカを用いることは一般的な方法である。これらの充填剤はシリカ製造業者により予備処理され得、例えば、Cabosil(登録商標)TS−530及びTS−720は米国マサチューセッツ州ビルリカのCabot Specialty Chemicals,Inc.のそれぞれヘキサメチルジシラザン(HMDZ)及びポリジメチルシロキサンで処理したヒュームドシリカであり、又は充填剤は製造プロセスの一環としてin situ処理することができる。
【0009】
ヒュームドシリカの利点にかかわらず、製品の製剤業者はヒュームドシリカの疎水性及び親水性形態の両方の問題を挙げている。例えば、その水分吸収シラノール基のため水濃度の増加は電気抵抗を減少させるので、親水性ヒュームドシリカは電子接着剤又はコーティング用途において問題を起こす傾向がある。さらに、コーティング用途において、親水性ヒュームドシリカにより導入されるこの水分は被覆基板の腐食を促進し得る。また、親水性ヒュームドシリカのせん断減粘効率は多くの場合不適切であり、これはヒュームドシリカ表面上での液体の吸収に起因し、シリカ凝集及びよってせん断減粘を妨げると考えられる。
【0010】
「ダンベル」ポリオルガノシロキサンをまず製造した後、その後のプロセスステップにおいて所望の量の充填剤を分散させ、高い引張特性を得ることが可能である。しかしながら、処理充填剤を分散させる際に直面するせん断は、新規の未処理シリカの形成をもたらし、よって粒子であるシラノール基は破壊及び破砕される。これは「ダンベル」ポリオルガノシロキサンのレオロジーの保存特性及び不安定性をもたらし得、「ダンベル」ポリオルガノシロキサンを含有する組成物、及びその硬化生成物の金属への接着特性も低減し得る。ヒュームドシリカは製造中に加工しにくくもあり得る。ヒュームドシリカを上述の「ダンベル」ポリオルガノシロキサンを含有する組成物に添加する場合、高せん断ブレンドでもヒュームドシリカ粒子を分散させるには不十分であり得る。シリカを十分に分散させるため、ヒュームドシリカ−ポリマー混合物を媒体ミル又は3ロールミルに通さなければならないプロセスステップを添加する必要がある場合が多い。さらに、シリカ凝集を破壊し、未処理シリカ表面を露出し、せん断減粘特性を破壊する、ヒュームドシリカの過剰分散の危険性がある。これらの余分なプロセスステップの必要性をなくすとともに、シリカを過剰分散させる危険性を回避することは製品製剤業者にとって非常に望ましい。従って、エレクトロニクス産業にはクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを処理充填剤の存在下で合成するプロセスの必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの調製プロセスは、
平均で1分子当たり少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、並びに、b)平均で、1分子当たり4〜15個のケイ素原子、及び、成分a)中の1つの脂肪族不飽和有機基当たりのケイ素結合水素原子(SiH/Vi比)を少なくとも4つ有するポリオルガノ水素シロキサンであって、成分a)中の各脂肪族不飽和有機基当たり1分子の成分b)をもたらすのに十分な量で存在するポリオルガノ水素シロキサンb)、を含む成分を、d)ヒドロシリル化触媒の存在下で、同時に反応させるステップを含む。成分b)中のケイ素結合水素原子/成分a)中の脂肪族不飽和有機基のモル比(SiH/Vi比)は4/1〜20/1の範囲内である。本プロセスにより調製された生成物は、成分a)のポリオルガノシロキサンの各末端に2個以上の硬化性基を有するクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンである。本プロセスにより調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは硬化性シリコーン組成物において用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例4〜6についてのトルク対時間の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語の定義及び使用
冠詞「a」、「an」及び「the」はそれぞれ、とくに指示のない限り、1つ以上を指す。本出願中のすべての量、比及び割合は、とくに指示のない限り、重量による。すべての動粘度は、とくに指示のない限り、25℃で測定された。
【0014】
プロセス
プロセスはクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを製造するのに有用である。本プロセスは
1) a)分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、
b)分子当たり平均4〜15個のSi原子及び成分a)中の脂肪族不飽和有機基当たり少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン、並びに
c)分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種
を含む成分をd)ヒドロシリル化触媒の存在下で同時に反応させるステップを含むことができる。このプロセスでは、ステップ1)の成分は、e)充填剤、f)非反応性シリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。上述のプロセスは任意で、2)ステップ1)後、触媒阻害剤を添加し、触媒を不活性化するステップ、及び3)ステップ2)の生成物を精製するステップをさらに含むことができる。
【0015】
あるいは、本プロセスは:
I) a)分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、並びに
b)分子当たり平均4〜15個のSi原子及び成分a)中の脂肪族不飽和有機基当たり少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン
を含む成分を
d)ヒドロシリル化触媒の存在下で同時に反応させるステップ;並びにその後
II)ステップI)の生成物を
c)分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種
を含む成分と反応させるステップを含むことができるが、
ただし、ステップI)及び/又はステップII)中の該成分はe)充填剤、f)非反応性シリコーン樹脂、又はこれらの組み合わせをさらに含み、中間体精製ステップはステップI)とステップII)との間に行われず、SiH/Vi比は4/1〜20/1の範囲内であり、本プロセスにより調製された生成物は成分a)のポリオルガノシロキサンの各末端に平均2個以上の硬化性基を有する。本プロセスは任意で:III)ステップII)後、触媒阻害剤を添加し、触媒を不活性化するステップ、及びIV)ステップIII)の生成物を精製するステップをさらに含むことができる。上記プロセス中の生成物を精製するステップは、揮散又は蒸留のようないずれかの便利な手段により、任意で真空下で行うことができる。
【0016】
成分
上述のプロセスにおいて用いられる成分は:
a)分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、
b)分子当たり平均4〜15個のケイ素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン、
c)分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種、並びに、
d)ヒドロシリル化触媒
を含む。
【0017】
成分a)ポリオルガノシロキサン
成分a)は、分子当たり平均少なくとも2個の、成分b)のケイ素結合水素原子とのヒドロシリル化反応を行うことができる、脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサンである。成分a)は線状又は分岐構造を有していてもよい。あるいは、成分a)は線状構造を有していてもよい。成分a)は、以下の特性:構造、粘度、重合度、及び配列の少なくとも1つが異なる2つ以上のポリオルガノシロキサンを含む組み合わせであってもよい。
【0018】
成分a)は100最小限の平均重合度(平均DP)を有する。あるいは、成分a)の平均DPは100〜1000の範囲内とすることができる。成分a)のポリオルガノシロキサンの分布DPは二相性であり得る。例えば、成分a)は、60のDPを有する1つのアルケニル末端ポリジオルガノシロキサン及び100より高いDPを有する別のアルケニル末端ポリジオルガノシロキサンを含むことができるが、ただし、ポリジオルガノシロキサンの平均DPは100〜1000の範囲内である。しかしながら、成分a)に用いるのに適したポリオルガノシロキサンは10の最小限の重合度(DP)を有するが、ただし、10未満のDPを有するポリオルガノシロキサンは100より大きいDPを有するポリオルガノシロキサンと組み合される。成分a)に適したポリジオルガノシロキサンは当技術分野において知られ、市販されている。例えば、DOW CORNING(登録商標)SFD−128は980〜1000の範囲内のDPを有し、DOW CORNING(登録商標)SFD120は120〜700の範囲内のDPを有し、DOW CORNING(登録商標)7038は100のDPを有し、DOW CORNING(登録商標)SFD−119は150のDPを有する。これらはすべて米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販されるビニル末端ポリジメチルシロキサンである。成分a)が二相性分布を有する場合、より低いDPを有するポリオルガノシロキサン(低DPポリオルガノシロキサン)はより高いDPを有するポリオルガノシロキサン(高DPポリオルガノシロキサン)よりも少ない量で存在している。例えば、二相性分布では、低DPポリオルガノシロキサン/高DPポリオルガノシロキサンの比は10/90〜25/75の範囲内とすることができる。
【0019】
成分a)の例としては、式(I)、式(II)、又はこれらの組み合わせのポリオルガノシロキサンが挙げられる。式(I)はRSiO(RSiO)(RSiO)SiRであり、式(II)はRSiO(RSiO)(RSiO)SiRである。これらの式中、各Rは独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、各Rは独立して脂肪族不飽和有機基であり、下付き文字aは2〜1000の範囲内の平均値を有し、下付き文字bは0〜1000の範囲内の平均値を有し、下付き文字cは0〜1000の範囲内の平均値を有し、下付き文字dは4〜1000の範囲内の平均値を有する。式(I)及び(II)中、10≦(a+b)≦1000であり、10≦(c+d)≦1000である。
【0020】
に適した一価有機基としては、これらに限定されないが、一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。各Rは独立して脂肪族不飽和一価有機基である。Rは脂肪族不飽和一価炭化水素基、例えば、ビニル、アリル、プロぺニル、及びブテニルのようなアルケニル基;並びにエチニル及びプロピニルのようなアルキニル基とすることができる。
【0021】
成分a)は、
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
viii)フェニル、メチル、ビニル−シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ix)ジメチルへキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ジメチルへキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルへキセニルシロキサン)、
xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルへキセニルシロキサン)、又は
xiii)これらの組み合わせ
のようなポリジオルガノシロキサンを含むことができる。
【0022】
成分b)ポリオルガノ水素シロキサン
成分b)は分子当たり平均4〜15個のケイ素原子を有するポリオルガノ水素シロキサンである。成分b)は成分a)中の脂肪族不飽和有機基当たり平均少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有する。成分b)は環状、分岐、又は線状であってもよい。あるいは、成分b)は環状であってもよい。成分b)は以下の特性:構造、粘度、重合度、及び配列の少なくとも1つが異なる2個以上のポリオルガノ水素シロキサンを含む組み合わせであってもよい。
【0023】
成分b)は、分子当たり平均4〜15個のシロキサン単位を有する環状ポリオルガノ水素シロキサンであってもよい。環状ポリオルガノ水素シロキサンは式(III)を有することができ、式(III)は(RSiO2/2(HRSiO2/2であり、式中、
各Rは独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字eは0〜10の範囲内の平均値を有し、
下付き文字fは4〜15の範囲内の平均値を有し、
(e+f)は4〜15、あるいは4〜12、あるいは4〜10、あるいは4〜6、あるいは5〜6の範囲内の値を有する。Rに適した一価有機基としては、これらに限定されないが、一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。
【0024】
あるいは、成分b)は分岐ポリオルガノ水素シロキサンであってもよい。成分b)の分岐ポリオルガノ水素シロキサンは式IV)を有することができ、式IV)はSi−(OSiR(OSiHRg’(OSiR(OSiRH)(4−h)であり、式中、
各Rは独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字gは0〜10の範囲内の値を有し、
下付き文字g’は0〜10の範囲内の値を有し、
下付き文字hは0〜1の範囲内の値を有する。あるいは、下付き文字gは0であってもよい。下付き文字g’が0である場合、下付き文字hも0である。Rに適した一価有機基としては、これらに限定されないが、一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。
【0025】
あるいは、成分b)は分子当たり平均少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有する線状ポリオルガノ水素シロキサンであってもよい。成分b)の線状ポリオルガノ水素シロキサンは(V)、(VI)、又はこれらの組み合わせから選択される式を有することができ、
式(V)はRHSiO(RSiO)(RHSiO)SiRHであり、
式(VI)はRSiO(RSiO)(RHSiO)SiRであり、式中、
各Rは独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字iは0〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字jは2〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字kは0〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字mは4〜12の範囲内の平均値を有し、
4≦(i+j)≦13であり、4≦(k+m)≦13である。
に適した一価有機基としては、これらに限定されないが、一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル;シクロへキシルのようなシクロアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリールが挙げられる。
【0026】
成分a)及び成分b)は、4/1〜20/1、あるいは4/1〜10/1、あるいは5/1〜20/1の範囲内の成分b)中のケイ素結合水素原子/成分a)中の不飽和有機基のモル比(一般的にはSiH/Vi比と称される)をもたらすのに十分な量で存在することができる。理論に縛られることは望まないが、SiH/Vi比が30/1以上である場合、成分は架橋し、望ましくない物理的特性を有する生成物を形成し得;SiH/Vi比が4/1未満である場合、プロセスの生成物は、とくに(分子当たり1個の硬化性基を有する)単官能性反応種が成分c)として用いられる場合、十分に速い硬化速度を有するのに十分なクラスタ化官能性基を有さないことがあり得ると考えられる。
【0027】
理論に縛られることは望まないが、成分a)中の脂肪族不飽和有機基に対して過剰の成分b)中のケイ素結合水素原子を用いることは、本明細書において記載するプロセスにより調製したクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを含有する硬化性シリコーン組成物中で不溶性となる傾向があり、その保存寿命を低減し得るクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの高ホモログを生成する可能性を低減することができると考えられる。過剰の成分b)中のケイ素結合水素原子は、反応性希釈剤又は粘度調整剤及び接着促進剤として機能することができる小さな(比較的低DPの)クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンをもたらすこともできる。小さな高官能性水素化シリコーンの阻害性質はヒドロシリル化プロセスを開始させるのに一般的には50℃より高い温度が必要であることを意味するので、産業環境においてこれらの高官能性小分子を生成するのは難しい。この後大きなエキソサームが発生し、これは大量の溶媒の存在下又は試薬の注意深い監視を用いて温度が制御されない場合、危険であり得る。SiH/Vi比を単純に変えることにより、これらの種をクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン及び充填剤の希釈溶液において製造することができ、これによりゲル化及び非制御発熱反応による発火の可能性を大幅に低減する。
【0028】
成分c)反応種
反応種は、クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンにおいて硬化性基をもたらすことができるいずれかの種であってもよい。反応種は、分子当たり平均少なくとも1個の、成分b)のケイ素結合水素原子との付加反応を行うことができる、脂肪族不飽和有機基を有する。成分c)は分子当たり1個以上の硬化性基をさらに含む。硬化性基は、(上述のプロセスにより調製される)クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを硬化性にする官能性(反応性)基である。成分c)上の硬化性基は、アクリレート、アルコール、アルコキシ、エポキシ、イソシアネート、メタクリレート、ウレタン、及びこれら組み合わせから選択することができる。あるいは、成分c)上の硬化性基は、アクリレート、アルコキシ、エポキシ、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから選択することができる。成分c)よりもたらされる硬化性基のすべてが同じである場合、プロセスの生成物は「単独硬化」クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンと考えられる。成分c)より2つ以上の異なる硬化性基、例えばアルコキシ及びエポキシがもたらされる場合、生成物は「多重硬化」クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンと考えられる。成分c)は1つの反応種、又は2つ以上の反応種を含む組み合わせであってもよい。成分c)が2つ以上の反応種を含む場合、2つ以上の反応種は2つ以上の異なる硬化性基を有する。成分c)はケイ素含有種又は有機種を含むことができる。あるいは、成分c)はシランのようなケイ素含有種を含むことができる。
【0029】
例えば、成分c)は式(VIII)のシランを含むことができ、式(VIII)はRSiR(3−O)であり、式中、
下付き文字oは1〜3の範囲内の値を有し、
各Rは独立して脂肪族不飽和有機基であり、
各Rは独立してアクリレート基、アルコール基、アルコキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリレート基、及びウレタン基を含有する有機基から選択される。あるいは、各Rは独立してアルケニル基又はアルキニル基から選択することができる。Rに適したアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、及びブテニルが挙げられる。Rに適したアルキニル基の例としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。あるいは、各Rは独立してアクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択することができる。あるいは、成分c)は2つ以上の式(VII)のシランを含むことができ、式(VII)はRSiR(3−n)であり、式中、各下付き文字nは独立して1〜3の範囲内の値を有し、
各Rは独立して脂肪族不飽和有機基であり、
各Rは独立してアクリレート基、アルコール基、アルコキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリレート基、及びウレタン基から選択される。
あるいは、各Rは独立してアルケニル基又はアルキニル基から選択することができる。あるいは、各Rは独立してアクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択することができる。1つのシラン上の少なくとも1つのR基は別のシラン上の少なくとも1つの他のR基とは異なり得る。式(VII)及び(VIII)に適したシランの例としては、これらに限定されないが、アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−イソブテニル、2−イソブテニル、1−sec−ブテニル、2−sec−ブテニル、5−へキセニルを有する有機官能性シランが挙げられ、例としては、アリルトリメトキシシラン及び5−へキセニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0030】
あるいは、成分c)は(ケイ素原子を含有しない)有機化合物を含むことができる。成分c)の有機化合物は分子当たり平均1〜2個のアルケニル又はアルキニル基のような脂肪族不飽和有機基、並びにアクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択される1個以上の反応性基を有することができる。成分c)に適した有機化合物の例としては、これらに限定されないが、2−アリルフェノール、2−アリルオキシエタノール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、又は4−アリル−2−メトキシフェノールのようなアリルアルコール;ビニルアルコール;アリルメタクリレート(AMA)又はビニルメタクリレートのようなアルケニルアクリレート;4−ビニルシクロヘキサンオキシド(VCHO)、リモネンオキシド、7−エポキシ−1−オクテン、又は4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシドのようなアルケニルエポキシド;アリルトリメトキシシラン(ATMS)、アリルトリイソプロポキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、5−へキセニルトリエトキシシラン、又は10−ウンデシルトリメトキシシランのようなアルケニルトリアルコキシシラン;アリルグリシジルエーテル(AGE)、アリルフェノールエーテル、1−アリルエーテル−2,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンアリルエーテル、又はアリルビニルエーテルのようなアリルエーテル;アリルアルコールプロポキシレート;アリルアセテート;アリルアセトアセテート;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
成分c)の量は、成分b)のタイプ、量及びSiH含有量並びに選択される成分c)のタイプを含む各種要因によって決まる。しかしながら、成分c)の量はSiHtot/Vitotを1/1〜1/1.4、あるいは1/1.2〜1.1/1の範囲内とするのに十分である。SiHtot/Vitot比は、組み合わされた成分a)及びc)上の脂肪族不飽和有機基の総量で割った、成分b)並びに、存在する場合成分g)鎖延長剤及び/又は成分h)末端キャップ剤(後述する)上のケイ素結合水素原子の総量のモル比を意味する。
【0032】
成分d)ヒドロシリル化触媒
成分d)は、成分a)、b)、及びc)の反応を促進するヒドロシリル化触媒である。成分d)は成分a)、b)、及びc)の反応を促進するのに十分な量で添加することができ、この量は、例えば、プロセスに用いられるすべての成分の総重量に対して、100万分の0.1部(ppm)〜1000ppm、あるいは1〜500ppm、あるいは2ppm〜200ppm、あるいは5ppm〜150ppmの白金族金属をもたらすのに十分であってもよい。
【0033】
適切なヒドロシリル化触媒は当技術分野において知られ、市販されている。成分d)は白金(Pt)、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム若しくはイリジウム金属若しくはこれらの有機金属化合物、又はこれらの組み合わせから選択される白金族金属を含むことができる。成分d)の例としては、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、及び該化合物の低分子量オルガノシロキサンとの錯体のような化合物又はマトリクス若しくはコアシェル型構造にマイクロカプセル化した白金化合物が挙げられる。白金の低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体が挙げられる。これらの錯体は樹脂マトリクスにマイクロカプセル化することができる。あるいは、触媒は1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体を含むことができる。触媒が低分子量オルガノシロキサンとの白金錯体である場合、触媒の量はプロセスにおいて用いられる成分の総重量に対して0.04〜0.4%の範囲内とすることができる。
【0034】
成分d)に適したヒドロシリル化触媒については、例えば、米国特許第3,159,601号;第3,220,972号;第3,296,291号;第3,419,593号;第3,516,946号;第3,814,730号;第3,989,668号;第4,784,879号;第5,036,117号;及び第5,175,325号並びに欧州特許第EP0347895B号に記載されている。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びそれらの調製方法は、米国特許第4,766,176号;及び米国特許第5,017,654号において例示されているように、当技術分野において知られている。
【0035】
追加成分
上述のプロセスにおいて用いられる成分は任意でe)充填剤、f)非反応性樹脂、g)鎖延長剤、及びh)末端キャップ剤、又はこれらの組み合わせから選択される1つ以上の追加成分をさらに含むことができる。あるいは、本プロセスにおいて用いられる成分は、成分a)、b)、c)、d)、及びe)であってもよい。あるいは、本プロセスにおいて用いられる成分は、成分a)、b)、c)、d)、e)、及びg)であってもよい。あるいは、本プロセスにおいて用いられる成分は、成分a)、b)、c)、d)、e)、及びh)であってもよい。あるいは、本プロセスにおいて用いられる成分は、成分a)、b)、c)、d)、e)、g)及びh)であってもよい。
【0036】
成分e)充填剤
充填剤は上述のプロセス中に添加することができる。充填剤の例としては、アルミナ、炭酸カルシウム(例えば、ヒュームド、粉砕、及び/又は沈降)、珪藻土、石英、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、及び/又は沈降)、タルク、酸化亜鉛、チョップドKEVLAR(登録商標)のような短繊維、又はこれらの組み合わせのような補強及び/又は増量充填剤が挙げられる。充填剤の量は、選択される充填剤のタイプ及び本プロセスにより製造されるクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの最終用途を含む各種要因によって決まるだろう。しかしながら、充填剤の量は、すべての成分の総量に対して最大20%、あるいは1%〜20%であってもよい。上述のプロセスにより調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを接着剤組成物に用いる場合、充填剤の量は10%〜20%の範囲内とすることができる。あるいは、クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを封止材組成物に用いる場合、充填剤の量は4%〜10%の範囲内とすることができる。
【0037】
理論に縛られることは望まないが、充填剤を本明細書に記載するプロセス中に添加する場合、これは従来の「ダンベル」型ポリオルガノシロキサンを多重ステッププロセスにおいて形成し、その後充填剤を分散させる従来プロセスと比較して引張特性の向上をもたらすだろうと考えられる。従って、本明細書に記載するプロセスは、段落[0013]で上述したプロセスのステップI)前又はその間に成分e)、充填剤を成分a)と混合するステップをさらに含むことができる。あるいは、本プロセスはステップI)前若しくはその間にe)充填剤を成分a)と混合するステップ又はステップI)後及び段落[0014]において上述したプロセスのステップII)前若しくはその間にe)充填剤を成分と混合するステップをさらに含むことができる。
【0038】
充填剤を添加する上記プロセスステップは多くの硬化性基に利点をもたらすことができるが、(例えば、加水分解性基を含有する)クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンとの有害反応は依然問題であり得る。この問題に対処するため、本プロセスは、段落[0013]で上述したプロセスのステップ1)前又はその間にe)充填剤及びe’)充填剤処理剤を成分a)と混合するステップをさらに含むことができる。あるいは、本プロセスは、ステップI)前若しくはその間e)充填剤及びe’)充填剤処理剤を成分a)と混合するステップ又はステップI)後及び段落[0016]に上述したプロセスII)前若しくはその間にe)充填剤及びe’)充填剤処理剤を成分と混合するステップをさらに含むことができる。上述の充填剤表面の効果的なin situ処理は高温及び/又は真空条件が必要であり得る。これらの条件は感温不飽和官能性基及びそれらの酸素使用可能酸化防止剤にとっても望ましくなくあり得る。従って、充填剤は充填剤処理剤で成分a)の存在下、高温で及び/又は真空下で予備処理することができる。これらの充填剤処理条件は、例えば、Kunimatsu他の米国特許第6,013,701号に記載されるようにバッチ又は連続プロセスで行うことができる。
【0039】
ポリオルガノシロキサン中の処理充填剤の得られる組み合わせはマスターバッチと称される。マスターバッチは市販されている。マスターバッチの使用は、成分a)の脂肪族不飽和有機基の成分b)のケイ素結合水素原子及び成分c)の不飽和有機基との速やかな反応を単独低せん断ステップにおいて行うことを可能にし、向上したレオロジー及び保存特性とともに優れた引張及び接着特性を有する充填クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンをもたらす。
【0040】
脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン及び処理充填剤、任意で同じ又は異なる分子量の(脂肪族不飽和有機基を有する)第2のポリオルガノシロキサンを含むマスターバッチを成分b)及びc)と組み合わせることができ、得られる混合物は成分d)の添加前に室温でせん断することができる。次に50℃〜100℃、あるいは70℃〜85℃まで昇温することにより反応を開始させることができ、フーリエ変換赤外線分光法(FT−IR)により約2170cm−1で観測されるSiHピークがスペクトルの背景まで減少するのに必要な時間により測定されるように、すべてのSiHが反応するまで温度を維持する。
【0041】
脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン及び充填剤処理剤の熱安定性のため、これらのプロセスはより高い温度及びせん断で行うことができ、ビニル末端ブロックPDMSのような脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン(ポリマー)中の(シリカのような)処理充填剤の安定な、再生産可能なマスターバッチを生成する。理論に縛られることは望まないが、ポリマー/充填剤界面を高い温度及びせん断に露出することがポリマー/充填剤相互作用を最適化し、安定なマスターバッチを製造すると考えられる。マスターバッチを用いることにより、当業者であれば、低い温度及びせん断で硬化性シリコーン組成物を製剤することができ、硬化性シリコーン組成物を異なる硬化化学反応で調製するのに本プロセスをより幅広く適用可能にする利点を提供する。
【0042】
充填剤処理剤は当技術分野において知られる処理剤であってもよい。充填剤処理剤の量は、充填剤が充填剤処理剤でin situ処理されようと成分a)と組み合わせる前に予備処理されようと、成分e)について選択される充填剤のタイプ及び量を含む各種要因に応じて異なり得る。しかしながら、成分e)の充填剤の重量に対して、0.1%〜2%の範囲内の量の充填剤処理剤を含むことができる。
【0043】
充填剤処理剤は、アルコキシシランのようなシラン、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ジメチルシロキサン又はメチルフェニルシロキサンのようなヒドロキシ官能性オリゴシロキサン、ステアリン酸塩、又は脂肪酸を含むことができる。アルコキシシランは式:R10Si(OR11(4−p)を有することができ、式中、下付き文字pは1、2、又は3であり、あるいはpは3である。各R10は独立して炭素原子1〜50個、あるいは炭素原子6〜18個の一価炭化水素基のような炭素原子1〜50個の一価有機基である。R10に適した一価炭化水素基の例としては、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルのようなアルキル基;並びにベンジル、フェニル及びフェニルエチルのような芳香族基が挙げられる。R10は飽和又は不飽和及び分岐又は非分岐である一価炭化水素基とすることができる。あるいは、R10は飽和、非分岐、一価炭化水素基とすることができる。各R11は炭素原子1〜4個、あるいは炭素原子1〜2個の飽和炭化水素基であってもよい。
【0044】
アルコキシシラン充填剤処理剤の例としては、へキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
アルコキシ官能性オリゴシロキサンを処理剤として用いることもできる。アルコキシ官能性オリゴシロキサン及びそれらの調製方法は当技術分野において知られ、例えば、欧州特許第EP1101167A2号を参照されたい。例えば、適切なアルコキシ官能性オリゴシロキサンとしては式(R14O)Si(OSiR1213(4−q)のものが挙げられる。この式中、下付き文字qは1、2、又は3であり、あるいはqは3である。各R12は独立して炭素原子1〜10個の飽和及び不飽和一価炭化水素基から選択することができる。各R13は少なくとも11個の炭素原子を有する飽和又は不飽和一価炭化水素基とすることができる。各R14はアルキル基とすることができる。
【0046】
あるいは、アルコキシシランを、一般的には反応性の小さいアルコキシシランと表面ヒドロキシルとの反応を触媒するシラザンと組み合わせて、用いることができる。こうした反応は一般的には100℃より高い温度、高せん断で、アンモニア、メタノール及び水のような揮発性副生成物を除去しながら行われる。
【0047】
あるいは、充填剤処理剤は、一般的にはシリカ充填剤を処理するのに用いられる有機ケイ素化合物のいずれかとすることができる。有機ケイ素化合物の例としては、これらに限定されないが、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、及びトリメチルモノクロロシランのようなオルガノクロロシラン;ヒドロキシ末端ブロックジメチルシロキサンオリゴマー、ヘキサメチルジシロキサン、及びテトラメチルジビニルジシロキサンのようなオルガノシロキサン;ヘキサメチルジシラザン及びヘキサメチルシクロトリシラザンのようなオルガノシラザン;並びにメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロールオキシプロピルトリメトキシシランのようなオルガノアルコキシシランが挙げられる。ステアリン酸塩の例としてはステアリン酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸の例としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、獣脂、ココナツ油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。充填剤処理剤及びそれらの使用方法の例は、例えば、欧州特許第EP1101167A2号並びに米国特許第5,051,455号、第5,053,442号、及び第6,169,142号(第4段落第42行〜第5段落第12行)に開示されている。
【0048】
成分f)非反応性樹脂
本明細書において有用な非反応性シリコーン樹脂は、R15SiO1/2により表される単官能性単位及びSiO4/2により表される三官能性単位を含有する。R15は炭化水素基のような非官能性一価有機基を表す。シリコーン樹脂はベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン等のような液体炭化水素中又は低粘度環状及び線状ポリジオルガノシロキサンのような液体有機ケイ素化合物中に可溶性である。
【0049】
15SiO1/2単位中、R15は最大20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子を含有する一価炭化水素基であってもよい。R15に適した一価炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシルのようなアルキル基;シクロへキシル及びシクロへキセニルエチルのような脂環式基;並びにフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルのようなアリール基が挙げられる。R15の有機基の例としては、例えば、非反応性置換基で水素原子を置き換えて修飾した上記炭化水素基が挙げられ、非反応性置換基としてはこれらに限定されないがハロゲン及びシアノを挙げることができる。R15により表すことができる一般的な有機基としては、これらに限定されないが、クロロメチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられる。
【0050】
シリコーン樹脂中のR15SiO1/2及びSiO4/2単位のモル比は0.5/1〜1.5/1、あるいは0.6/1〜0.9/1の範囲内とすることができる。これらのモル比はケイ素29核磁気共鳴分光法(29Si NMR)により便利に測定される。この技術は、シリコーン樹脂の総ヒドロキシル含有量に加え、シリコーン樹脂から誘導されるR15SiO1/2(「M」)及びSiO4/2(「Q」)単位の濃度を定質的に測定することができる。
【0051】
シリコーン樹脂は、2.0%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下の式XSiO3/2により表される末端単位をさらに含むことができ、式中、Xはヒドロキシル又は加水分解性基、例えばメトキシ及びエトキシのようなアルコキシを表す。シリコーン樹脂中に存在する加水分解性基の濃度はFT−IRを用いて測定することができる。
【0052】
数平均分子量、Mは、少なくとも部分的にシリコーン樹脂の分子量及びこの成分中に存在するR15により表される炭化水素基のタイプによって決まるだろう。本明細書において用いられるMは、ネオペンタマーを表すピークが測定から排除される場合、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される分子量を表す。シリコーン樹脂のMは一般的には3,000より大きく、あるいは、Mは4,500〜7,500の範囲内とすることができる。
【0053】
シリコーン樹脂はいずれかの適切な方法により調製することができる。このタイプのシリコーン樹脂は対応するシランの共加水分解により、又は当技術分野において知られるシリカヒドロゾルキャッピング法により調製されている。シリコーン樹脂は、Daudt他の米国特許第2,676,182号;Rivers−Farrell他の米国特許第4,611,042号;及びButlerの米国特許第4,774,310号のシリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより調製することができる。
【0054】
シリコーン樹脂を調製するのに用いられる中間体は一般的には、式R15SiX’のトリオルガノシランであり、式中、X’は加水分解性基、及びハロゲン、アルコキシ若しくはヒドロキシルのような4個の加水分解性基を有するシラン、又はケイ酸ナトリウムのようなアルカリ金属ケイ酸塩のいずれかを表す。
【0055】
シリコーン樹脂中のケイ素結合ヒドロキシル基(すなわち、HOR15SiO1/2又はHOSiO3/2基)はシリコーン樹脂の総重量に対して0.7%未満、あるいは0.3%未満であることが望ましい。シリコーン樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を適当な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキシ基又は加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランを一般的には、シリコーン樹脂のケイ素結合ヒドロキシル基と反応させるのに必要な量を超えて添加する。
【0056】
成分g)鎖延長剤
成分g)は鎖延長剤である。鎖延長剤は水素原子によって両端で終了するポリジオルガノシロキサンであってもよい。例となる鎖延長剤は式(XVII):HR16Si−(R16SiO)−SiR16Hを有することができ、式中、各R16は独立して一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルのようなアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル、及びベンジルのようなアリールである。下付き文字rは0〜400、あるいは10〜100の範囲内の平均値を有する。
【0057】
鎖延長剤を用いるかどうか、及び存在する場合用いられる量は、システムにおける固有の架橋度を含む各種要因によって決まる。例えば、比較的低い平均DP、例えば、60〜400の範囲内の平均DPを有する成分a)のポリオルガノシロキサンで開始させる場合、組み合わされたすべての成分中のSiH含有量の50モル%〜80モル%、あるいは70モル%は鎖延長剤からもたらすことができる。より長いビニル末端ブロックポリマー(平均DP>400)を用いる場合、より低いレベル、例えば、鎖延長分子からのSiHは25モル%〜50モル%、好適には40モル%が効果的である。
【0058】
成分h)末端キャップ剤
成分h)は末端キャップ剤である。末端キャップ剤は分子当たり1個の水素原子を有するポリジオルガノシロキサンであってもよい。例となる末端キャップ剤は式(XVIII)、式(XIX)、又はこれらの組み合わせを有することができる。式(XVIII)はR17Si−(R17SiO)−SiR17Hである。各R17は独立して一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルのようなアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル及びベンジルのようなアリールであり、下付き文字sは0〜10の範囲内、あるいは1〜10、あるいは1の値を有する。式(XIX)はR18Si−(R18SiO)−(HR18SiO)−SiR18である。この式中、各R18は独立して一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルのようなアルキル;並びにフェニル、トリル、キシリル及びベンジルのようなアリールである。下付き文字tは0〜10の範囲内、あるいは0の値を有する。
【0059】
あるいは、鎖延長剤又は末端キャップ剤の1つが用いられる;すなわち、この場合、鎖延長剤及び末端キャップ剤は互いに組み合わされない。
【0060】
末端キャップ剤は、システムにおいて使用可能なSiHのモルパーセントとして用いられる場合、より高い引張特性のより緩いネットワークを生成するという利点を提供することができる。添加される末端キャップ剤の量は、本プロセスにおいて用いられるすべての成分の総重量に対して0〜15%の範囲内、あるいは2%〜15%、あるいは10%とすることができる。
【0061】
本プロセスにおいて鎖延長剤又は末端キャップ剤を有する第2の利点は、反応前の粘度の初期低減であり、反応を促進し、不十分な混合及び局所ゲル形成によるゲル化の傾向を低減することができる。鎖延長剤又は末端キャップ剤を用いることは、成分a)の比較的高い分子量のポリオルガノシロキサン(例えば、400より大きい平均DP)を用いる場合及び充填剤が存在する場合とくに有益であり得る。
【0062】
成分中のケイ素結合水素原子/成分中のヒドロシリル化を行うことができる不飽和有機基の(一般的にはSiHtot/Vitot比と称される)モル比は1/1.4〜1/1、あるいは1/1.2〜1/1.1の範囲内とすることができる。この比では、SiHtotは、 存在する場合成分g)及び/又はh)中のケイ素結合水素原子の量と組み合わせた、成分b)中のケイ素結合水素原子の量を指す。Vitotは、組み合わせた成分a)及びc)中の脂肪族不飽和有機基の総量を指す。
【0063】
成分i)触媒阻害剤
成分i)は触媒阻害剤である。成分i)を任意で段落[0013]において上述した方法中のステップ1)後又は段落[0014]において上述した方法中のステップII)後に添加し、反応を停止し、上述のプロセスにより調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを安定させることができる。適切な触媒阻害剤のいくつかの例としては、エチレン若しくは芳香族不飽和アミド;2−エチニル−イソプロパノール、2−エチニル−ブタン−2−オル、2−メチル−3−ブチン−2−オル、2−フェニル−3−ブチン−2−オル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン−1−イン、3−エチル−3−ブテン−1−イン若しくは3−フェニル−3−ブテン−1−インのようなアセチレン化合物;エチレン不飽和イソシアネート;シリル化アセチレンアルコール、例えばトリメチル(3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オキシ)シラン、ジメチル−ビス−(3−メチル−1−ブチン−オキシ)シラン、メチルビニルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、及び((1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシ)トリメチルシラン;不飽和炭化水素ジエステル;共役エン−イン、例えば2−イソブチル−1−ブテン−3−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3−メチル−3−ヘキセン−1−イン、1−エチニルシクロヘキセン、3−エチル−3−ブテン−1−イン、及び3−フェニル−3−ブテン−1−イン;1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、若しくは1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサンのようなオレフィンシロキサン;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン;上述の共役エン−イン及び上述のオレフィンシロキサンの混合物;ヒドロペルオキシド;ニトリル及びジアジリン;不飽和カルボン酸エステル、例えばジアリルマレエート、ジメチルマレエート、フジエチルフマレート、ジアリルフマレート、及びビス−2−メトキシ−1−メチルエチルマレエート、モノ−オクチルマレエート、モノ−イソオクチルマレエート、モノアリルマレエート、モノメチルマレエート、モノエチルフマレート、モノアリルフマレート、及び2−メトキシ−1−メチルエチルマレエート;ジエチルフマレートのようなフマレート;アルコールがベンジルアルコール若しくは1−オクタノール及びエテニルシクロへキシル−1−オルであるフマレート/アルコール混合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、若しくはベンゾトリアゾールのような窒素含有化合物;トリフェニルホスフィンのような同様のリン含有化合物;硫黄含有化合物;ヒドロペルオキシ化合物;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
阻害剤は、成分d)ヒドロシリル化触媒を非活性化する効果的な量で用いられる。その量は触媒のタイプ及び量並びに選択される阻害剤のタイプに応じて変わるが、その量は成分a)100重量部当たり0.001〜3重量部、あるいは0.01〜1重量部の範囲内とすることができる。
【0065】
使用方法
上述のプロセスは、反応性生成物として、クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン、又はクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン並びに充填剤及び/若しくは非反応性シリコーン樹脂のマスターバッチを製造する。集合的に、クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン、並びにクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン並びに充填剤及び/又は非反応性シリコーン樹脂のマスターバッチを本明細書ではクラスタ化官能性生成物と称することができる。このクラスタ化官能性生成物は、接着剤及び封止材のような硬化性シリコーン組成物への製剤に有用である。硬化性シリコーン組成物の硬化メカニズムは、上述の成分c)によりクラスタ化官能性生成物に与えられる硬化性基、及び後述する組成物に添加される他の成分によって決まる。硬化メカニズムは、例えば、熱ラジカル開始若しくは有機ボラン開始のような熱硬化メカニズム;放射線ラジカル開始若しくはレドックス反応のような放射線硬化メカニズム;(熱の代わりにアミン反応性化合物を添加する場合)縮合反応若しくは有機ボラン開始のような室温硬化メカニズム;又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0066】
硬化性シリコーン組成物は:
(I)上述のプロセスにより調製されたクラスタ化官能性生成物、及び
(II)硬化剤
を含む。
【0067】
硬化剤
硬化剤の選択は、成分(I)中の成分c)により供給される硬化性基のタイプ及び量によって決まるだろう。例えば、成分(I)がアクリレート若しくはメタクリレート基又はエポキシ基のようなラジカル硬化性基を有する場合、硬化剤はラジカル開始剤を含むことができる。
【0068】
ラジカル開始剤は熱ラジカル開始剤又は放射線ラジカル開始剤であってもよい。熱ラジカル開始剤としては、これらに限定されないが、ジクミルペルオキシド、n−ブチル4,4’−ビス(ブチルペロキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン(Luperox(登録商標)531M80)、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,4−ペンタンジオンペルオキシド(Luperox(登録商標)224)、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(Luperox(登録商標)101)、2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、2−ブタノンペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−アミルペルオキシド(Luperox(登録商標)DTA(登録商標))、ラウロイルペルオキシド(Luperox(登録商標)LP)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド(米国コネチカット州ノーウォークのR.T.Vanderbilt Company,Inc.からVarox(登録商標)DCBPとして市販)、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロプロピル)ベンゼン、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペロキシ)バレレート、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサンノエート、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジ(4−tert−ブチルシクロへキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox16として市販)、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンジオクタノイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルペルオキシピバレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
こうした熱ラジカル開始剤の例は、以下の商品名:米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのArkema,Inc.より販売されるLuperox(登録商標);米国イリノイ州シカゴのAkzo Nobel Polymer Chemicals LLCより販売されるTrigonox及びPerkadox;米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.duPont deNemours and Co.より販売されるVAZO;米国コネチカット州ノーウォークのR.T.Vanderbilt Company,Inc.より販売されるVAROX(登録商標);並びに米国アラスカ州ヘレナのSyrgis Performance Initiators,Inc.より販売されるNoroxで市販されている。熱ラジカル開始剤の濃度は、組成物の重量に対して、0.01%〜15%、あるいは0.1%〜5%、あるいは0.1%〜2%の範囲内とすることができる。
【0070】
あるいは、ラジカル開始剤は、例えば、成分(I)がエポキシ基を有する場合、放射線光開始剤であってもよい。放射線光開始剤は、Crivelloの米国特許第4,310,469号及びKoshar他の第4,313,988号並びに欧州特許出願第EP0562922号に開示されるもののような、当技術分野において知られる放射線硬化性シリコーン組成物のいずれかの従来型光開始剤であってもよい。光開始剤はカチオン性光開始剤を含むことができる。カチオン性光開始剤は、150〜800nmの範囲内の波長を有する放射線に露出するとクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの硬化(架橋)を開始させることができるいずれかのカチオン性光開始剤とすることができる。カチオン性光開始剤の例としては、これに限定されないが、オニウム塩が挙げられる。
【0071】
適切なオニウム塩としては、R19MG、R19MG、R19SeMG、R19MG、及びR19MGから選択される式を有する塩が挙げられ、式中、各R19は独立して1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基のような一価有機基であり;Mは遷移金属、希土類金属、ランタニド金属、半金属、リン、及び硫黄から選択される元素であり;Gはハロゲン原子(例えば、Cl、Br、又はI)であり;下付き文字uは積u(G上の電荷数+Mの酸化数)=−1となるような値を有する。炭化水素基上の置換基の例としては、これらに限定されないが、炭素原子1〜8個のアルコキシ基、炭素原子1〜16個のアルキル基、ニトロ、クロロ、ブロモ、シアノ、カルボキシル、メルカプト、並びにピリジル、チオフェニル、及びピラニルのような複素環芳香族基が挙げられる。Mにより表される金属の例としては、これらに限定されないが、Fe、Ti、Zr、Sc、V、Cr、及びMnのような遷移金属;Pr及びNdのようなランタニド金属;Cs、Sb、Sn、Bi、Al、Ga、及びInのような他の金属;B及びAsのような半金属;並びにPが挙げられる。式MGは非塩基性、非求核性アニオンを表す。式MGを有するアニオンの例としては、これらに限定されないが、BF、PF、AsF、SbF、SbCl、及びSnClが挙げられる。
【0072】
オニウム塩の例としては、これらに限定されないが、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、例えばビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアーセネート及びビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートのようなビスジアリールヨードニウム塩;アルキルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートのようなアルキルフェニルヨードニウム塩;スルホン酸のジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ボロン酸のジアリールヨードニウム塩、及びボロン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0073】
スルホン酸のジアリールヨードニウム塩の例としては、これらに限定されないが、ペルフルオロブタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩のようなペルフルオロアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩;並びにパラ−トルエンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、及び3−ニトロベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩のようなアリールスルホン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。
【0074】
スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩の例としては、これらに限定されないが、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩のようなペルフルオロアルキルスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩;並びにパラ−トルエンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、及び3−ニトロベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩のようなアリールスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0075】
ボロン酸のジアリールヨードニウム塩の例としては、これに限定されないが、ペルハロアリールボロン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。ボロン酸のトリアリールスルホニウム塩の例としては、これに限定されないが、ペルハロアリールボロン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0076】
カチオン性光開始剤は、それぞれ上述のような、単一カチオン性光開始剤又は2つ以上の異なるカチオン性光開始剤を含む組み合わせとすることができる。カチオン性光開始剤の濃度は、硬化性シリコーン組成物の重量に対して、0.01%〜15%、あるいは0.1%〜10%、あるいは0.1%〜5%、あるいは0.1%〜2%の範囲内とすることができる。
【0077】
成分(I)がアルコール及び/又はアルコキシ基を有する場合、硬化剤は縮合反応触媒を含むことができる。縮合反応触媒は、ルイス酸;第1級、第2級、若しくは第3級有機アミン;金属酸化物;チタン化合物;スズ化合物;ジルコニウム化合物;又はこれらの組み合わせであってもよい。縮合反応触媒は、金属の電気化学系列における鉛からマンガンまでの範囲内の金属のカルボン酸塩を含むことができる。あるいは、縮合反応触媒はキレート化チタン化合物、テトラアルコキシチタネートのようなチタネート、チタンエステル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。適切なチタン化合物の例としては、これらに限定されないが、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセテート)、テトラブトキシチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、及びビス(エトキシアセトアセトネート)ジイソプロポキシチタン(IV)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、縮合反応触媒は、ジブチルスズジアセテートのようなスズ化合物;ジブチルスズジラウレート;ジブチルスズオキシド;第一スズオクトエート;スズオキシド;テトラブチルチタネート、テトラエチルヘキシルチタネート及びテトラフェニルチタネートのようなチタンエステル;テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン及びビス(トリメチルシロキシ)−ビス(イソプロポキシ)チタンのようなシロキシチタネート;並びにビス(アセチルアセトニル)ジイソプロピルチタネートのようなβ−ジカルボニルチタン化合物;又はこれらの組み合わせを含むことができる。あるいは、縮合反応触媒はヘキシルアミンのようなアミン;又はアミンの酢酸塩若しくは第4級塩を含むことができる。
【0078】
縮合反応触媒の例は当技術分野において知られ、米国特許第4,962,076号;第5,051,455号;第5,053,442号;第4,753,977号、第4段落第35行〜第5段落第57行;及び第4,143,088号、第7段落第15行〜第10段落第35行に開示されている。米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and CompanyからDuPont(商標)Tyzor(登録商標)PITAとして市販のチタンアセトアセテートエチル錯体のように、縮合反応触媒は市販もされている。縮合反応触媒の量は、選択される触媒のタイプ及び組成物中の残りの成分の選択を含む各種要因によって決まるが、縮合反応触媒の量は組成物の重量に対して0.001%〜5%の範囲内とすることができる。
【0079】
あるいは、硬化剤は有機ボラン−アミン錯体を含むことができる。有機ボランアミン錯体は有機ボランと錯体を周囲条件で安定にする適切なアミン化合物との間で形成される錯体である。錯体は、アミン反応性化合物の導入により、及び/又は加熱により成分(I)の重合又は架橋を開始させることができなければならない。例としては、トリアルキルボラン及び各種アミン化合物から形成されるアルキルボランアミン錯体がある。好適なモル比は変わり得るが、最適なモル比は、Bがホウ素を表す場合、B原子当たり窒素基1〜10個の範囲内とすることができる。硬化剤を形成するのに有用なトリアルキルボランの例としては、式B−R”のトリアルキルボランが挙げられるが、式中、R”は1〜20個の炭素原子を含有する線状及び分岐脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。いくつかの例としては、トリメチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリドデシルボラン、及びフェニルジエチルボランが挙げられる。
【0080】
有機ボラン化合物との有機ボランアミン錯体を形成するのに有用なアミン化合物のいくつかの例としては、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、及びイソホロンジアミンが挙げられる。有機ボランアミン錯体を形成するのに有用なアミン化合物の他の例は、米国特許第6,777,512号(‘512特許)、及び米国特許第6,806,330号に記載されている。
【0081】
ケイ素含有アミン化合物を用い、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、アミノプロピルシラントリオール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノへキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、及び(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン−トリアミンのような組成物を含む有機ボランアミン錯体を形成することもできる。
【0082】
アミン官能性ポリオルガノシロキサンも、アミン官能性ポリジオルガノシロキサン、及びアミン官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含む有機ボランアミン錯体を形成するのに有用である。これは、分子が3−アミノプロピル、2−アミノエチル、アミノメチル、6−アミノへキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、及び3−プロピルピロールのような、少なくとも1つのアミン官能性基を含有するという条件に従っている。
【0083】
具体例としては、末端及び/又は側鎖アミン官能性ポリジメチルシロキサンオリゴマー及びポリマー、ポリジメチルシロキサン及びポリ(3,3,3−トリフルオロプロピル−メチルシロキサン)の末端及び/又は側鎖アミン官能性ランダム、グラフト及びブロックコポリマー及びコオリゴマー、ポリジメチルシロキサン及びポリ(6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロへキシル−メチルシロキサン)の末端及び/又は側鎖アミン官能性ランダム、グラフト及びブロックコポリマー及びコオリゴマー、並びにポリジメチルシロキサン及びポリフェニルメチルシロキサンの末端及び/又は側鎖アミン官能性ランダム、グラフト及びブロックコポリマー及びコオリゴマーが挙げられる。
【0084】
有機ボランアミン錯体を形成するのに、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、窒素含有ポリオルガノシロキサン、及び少なくとも1つの基がイミダゾール、アミジン、又はウレイド官能性基であるポリオルガノシロキサン樹脂を含む他の窒素含有化合物も有用である。アミン化合物がポリマー性である場合、組成物の硬化又は重合を可能にするのに十分に高い濃度のホウ素を維持するようなものでなければならない以外、分子量は限定されない。例えば、二液型組成物中、有機ボラン開始剤を含有する液は組成物の他の成分で希釈することができ、又は開始剤錯体単独で構成することができる。
【0085】
有機ボランアミン錯体が硬化剤として用いられる場合、硬化性シリコーン組成物は、有機ボランアミン錯体と混合し、酸素化環境に露出すると組成物の重合又は架橋を開始させることができるアミン反応性化合物をさらに含むことができる。アミン反応性化合物の存在は、室温以下を含む有機ボランアミン錯体の解離温度より低い温度で重合又は架橋を開始させることを可能にする。酸素の存在下での保存安定性を達成するため、有機ボランアミン錯体及びアミン反応性化合物は物理的に又は化学的に分離することができる。例えば、アミン反応性化合物を含有する組成物は、多液型組成物として有機ボランアミン錯体とは別々にパッケージングすることにより空気中で安定させることができる。あるいは、有機ボランアミン錯体、アミン反応性化合物、若しくは両方をカプセル化する、又は別々の相中で供給することができる。これは、有機ボランアミン錯体及びアミン反応性化合物の1つ又は両方を、有機ボランアミン錯体及びアミン反応性化合物の密接な混合を妨げる固体形態で導入することにより達成することができる。組成物の硬化は、(a)固相成分若しくはカプセル化剤の軟化温度より高い温度で加熱するステップ、又は(b)有機ボランアミン錯体及びアミン反応性化合物を混合させる可溶化剤の導入ステップにより、活性化させることができる。有機ボランアミン錯体及びアミン反応性化合物は、2つの成分を混合条件が嫌気性である容器中にパッケージングすることにより、顕著な重合又は架橋なしに、単一容器中で組み合わせることもできる。
【0086】
酸素の存在下で重合又は硬化を迅速に開始させることができるアミン反応性基を有するいくつかのアミン反応性化合物の例としては、鉱酸、ルイス酸、カルボン酸、無水物及びサクシネートのようなカルボン酸誘導体、カルボン酸金属塩、イソシアネート、アルデヒド、エポキシド、酸塩化物、並びに塩化スルホニルが挙げられる。いくつかの適切なアミン反応性化合物としては、アクリル酸、ポリアクリル酸、メタクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸無水物、ポリメタクリル酸無水物、ウンデシレン酸、オレイン酸、イソホロンジイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、ウンデシレンアルデヒド、及びドデシルサクシニック無水物が挙げられる。
【0087】
硬化性シリコーン組成物における向上した相溶性のため、アミン反応性化合物はアミン官能性基を有するオルガノシラン又はオルガノポリシロキサンであってもよい。いくつかの例としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン;イソシアナトメチルトリメトキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物;プロピルサクシニック無水物官能基化線状、分岐、樹脂、及び超分岐オルガノポリシロキサン;メチルサクシニック無水物官能基化線状、分岐、樹脂、及び超分岐オルガノポリシロキサン;シクロへキセニル無水物官能性線状、樹脂、及び超分岐オルガノポリシロキサン;カルボキシデシル末端オリゴマー又はポリマーポリジメチルシロキサンのようなカルボン酸官能基化線状、分岐、樹脂、及び超分岐オルガノポリシロキサン;並びにウンデシレンアルデヒド末端オリゴマー又はポリマーポリジメチルシロキサンのようなアルデヒド官能基化線状、分岐、樹脂、及び超分岐オルガノポリシロキサンが挙げられる。’512特許は、水分に露出すると酸を放出する特定の化合物を含む、用いることができるケイ素含有化合物について記載する。’512特許は、脱錯化剤と称される他のアミン反応性化合物についても記載する。あるいは、脱錯化剤は酸、無水物、イソシアネート、又はエポキシから選択することができる。具体例としては、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、ノネニルサクシニック無水物、酢酸、2−カルボキシエチルアクリレート、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、及びアクリル酸が挙げられる。
【0088】
あるいは、硬化剤は、ラジカル重合の開始剤としてレドックス試薬を含むことができる。試薬はペルオキシド及びアミン又は遷移金属キレートの組み合わせであってもよい。レドックス試薬の例としては、これらに限定されないが、ベンゾイルペルオキシド及びアセチルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド;クメンヒドロペルオキシド及びt−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;メチルエチルケトンペルオキシド及びシクロヘキサノンペルオキシドのようなケトンペルオキシド;ジクミルペルオキシド及びジ−t−ブチルペルオキシドのようなジアルキルペルオキシド;t−ブチルペルオキシアセテートのようなペルオキシエステル;並びにチオグリセロール及びピラゾール及び/又はピラゾロンの組み合わせが挙げられる。あるいは、レドックス試薬の例としては、ジメチルアニリン、3,5−ジメチルピラゾール、チオグリセロール、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。適切なレドックス試薬開始剤の例は当技術分野において知られ、米国特許第5,459,206号において例示されている。他の適切なペルオキシドは当技術分野において知られ、ラウロイルペルオキシド(ArkemaのLuperox(登録商標)LP)、ジクロロベンゾイルペルオキシド(R.T.Vanderbilt Company,Inc.のVarox(登録商標)DCBP)及び6Ntert−ブチルヒドロペルオキシドのように市販されている。
【0089】
成分(I)がイソシアネート基又はウレタン基を有する場合、硬化剤は、ポリオールのような2つ以上のカルビノール基を有する化合物、又はアミン官能性化合物を含むことができる。硬化剤はカルビノール基及び/又はアミン官能性基を有する有機化合物又はシリコーン化合物であってもよい。イソシアネート及び/又はウレタン基を有する成分(I)に適した硬化剤の例としては、米国特許第7,452,956号及び国際公開第WO2008/088492号(段落[0018]〜[0037])に開示されるものが挙げられる。
【0090】
あるいは、成分(I)が2つ以上のタイプの硬化性基を有する場合、2つ以上のタイプの硬化剤を組成物に添加することができる。例えば、成分(I)がエポキシ及びアルコキシ基のようなラジカル硬化性基及び縮合反応硬化性基の両方を有する場合、ラジカル開始剤及び縮合反応触媒の組み合わせを用いることができる。
【0091】
他の任意の成分
硬化性シリコーン組成物は任意で1つ以上の追加成分をさらに含むことができる。追加成分の例としては、(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。硬化性シリコーン組成物は任意で、充填剤をクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの製造プロセス中に添加しなかった場合、又はより多くの若しくは異なる充填剤を製剤することが望ましい、例えば、添加される充填剤が後述する熱伝導性充填剤である場合、例えば、(X)充填剤、(XI)充填剤処理剤、(XII)酸受容体、及びこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0092】
成分(III)は架橋剤である。架橋剤のタイプ及び量は、成分(I)上の硬化性基のタイプ及び量を含む各種要因によって決まるだろう。硬化性シリコーン組成物が縮合反応硬化性である場合、組成物は任意で(III)架橋剤をさらに含むことができる。縮合反応架橋剤は、例えば、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランのようなトリアルコキシシラン;メチルトリアセトキシシラン又はエチルトリアセトキシシランのようなアセトキシシラン;メチルトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、及びビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シランのようなケトキシモシラン;テトラエチルオルトシリケート、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及び一般的にはアルキルポリシリケートと称されるこれらのオルトシリケートの縮合生成物のようなアルキルオルトシリケート;メチルビニルビス(n−メチルアセトアミド)シラン;並びにこれらの組み合わせから選択することができる。
【0093】
成分(IV)は溶媒である。適切な溶媒の例としては、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、デシルアルコール又はウンデシルアルコールのようなアルコール、及びこれらの組み合わせのような有機溶媒;並びにトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリメチルフェニルシロキサン、及びこれらの組み合わせのような非架橋性シリコーン溶媒が挙げられる。シリコーン溶媒の例は当技術分野において知られ、例えば、米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションからDOW CORNING(登録商標)OS Fluidsとして市販されている。成分(IV)の量は硬化性シリコーン組成物の重量に対して0.001%〜90%の範囲内とすることができる。
【0094】
成分(V)は接着促進剤である。適切な接着促進剤の例としては、エポキシ官能性アルコキシシラン、若しくはメルカプト官能性化合物のようなアルコキシシラン;アルコキシシラン及びヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせ:メルカプト官能性化合物;不飽和化合物;エポキシ官能性シラン;エポキシ官能性シロキサン;エポキシ官能性シラン若しくはエポキシ官能性シロキサン及びヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの反応生成物のような組み合わせ;又はこれらの組み合わせが挙げられる。適切な接着促進剤は当技術分野において知られ、市販されている。例えば、Silquest(登録商標)A186は米国コネチカット州ミドルベリーのCrompton OSi Specialtiesから市販のβ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシランである。CD9050は、金属基板への接着性をもたらし、放射線硬化性組成物用に設計された接着促進剤として有用な単官能性酸エステルである。CD9050はSartomer Co.から市販されている。SR489Dはトリデシルアクリレートであり、SR395はイソデシルアクリレートであり、SR257はステアリルアクリレートであり、SR506はイソボロニルアクリレートであり、SR833Sはトリシクロデカンジメタノールジアクリレートであり、SR238は1,6−ヘキサンジオールジアクリレートであり、SR351はトリメチロールプロパントリアクリレートであり、これらもすべてSartomer Co.から市販されている。組成物に添加する接着促進剤の量は、選択される具体的な接着促進剤、組成物の他の成分、及び組成物の最終用途を含む各種要因によって決まるが、その量は組成物の重量に対して0.1%〜5%の範囲内とすることができる。金属への接着を促進するのに有用な他の適切な接着促進剤としては、マレイン酸無水物、メタクリル酸無水物、及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0095】
成分(V)は不飽和又はエポキシ官能性化合物とすることができる。適切なエポキシ官能性化合物は当技術分野において知られ、市販されており、例えば、米国特許第4,087,585号;第5,194,649号;第5,248,715号;及び第5,744,507号(第4〜5段落)を参照されたい。成分(g)は不飽和又はエポキシ官能性アルコキシシランを含むことができる。例えば、官能性アルコキシシランは式R20Si(OR21(4−v)を有することができ、式中、下付き文字vは1、2、又は3であり、あるいはvは1である。
【0096】
各R20は独立して一価有機基であるが、ただし、少なくとも1つのR20は不飽和有機基又はエポキシ官能性有機基である。R20のエポキシ官能性有機基の例としては、3−グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロへキシル)エチルが挙げられる。R20の不飽和有機基の例としては、3−メタクリロールオキシプロピル、3−アクリロールオキシプロピル、並びにビニル、アリル、へキセニル、及びウンデシレニルのような不飽和一価炭化水素基が挙げられる。
【0097】
各R21は独立して炭素原子1〜4個、あるいは炭素原子1〜2個の非置換、飽和炭化水素基である。R21の例としては、メチル、エチル、プロピル、及びブチルが挙げられる。
【0098】
適切なエポキシ官能性アルコキシシランの例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロへキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロへキシル)エチルジエトキシシラン及びこれらの組み合わせが挙げられる。適切な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、へキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3−メタクリロールオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロールオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロールオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロールオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、適切な接着促進剤の例としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランのアルミニウムキレート又はジルコニウムキレートとの組み合わせが挙げられる。
【0099】
成分(V)は、ヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンの上述のようなエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンのエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドのようなエポキシ官能性シロキサンを含むことができる。成分(V)はエポキシ官能性アルコキシシラン及びエポキシ官能性シロキサンの組み合わせを含むことができる。例えば、成分(V)の例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物の混合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの混合物、又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーの混合物が挙げられる。反応生成物ではなく物理的ブレンドとして用いられる場合、これらの成分は多液型キット中に別々に保存することができる。
【0100】
適切なメルカプト官能性化合物としては、オルガノメルカプタン、メルカプト含有シラン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。適切なメルカプト含有シランとしては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。適切なメルカプト官能性化合物については米国特許第4,962,076号に開示されている。当業者であれば、本明細書に記載する特定の成分を2つ以上又は異なる目的のために組成物に添加することができることを認識するだろう。例えば、アルコキシシランは、縮合反応硬化性シリコーン組成物中接着促進剤、充填剤処理剤、及び/又はの架橋剤として用いることができる。
【0101】
成分(VI)は着色剤(例えば、染料又は顔料)である。適切な着色剤の例としては、カーボンブラック及び(PolyOneから市販される)Stan−Tone 50SP01 Greenが挙げられる。着色剤の例は当技術分野において知られ、米国特許第4,962,076号;第5,051,455号;及び第5,053,442号において開示されている。硬化性シリコーン組成物に添加される着色剤の量は、組成物の他の成分、及び選択される着色剤のタイプを含む各種要因によって決まるが、その量は組成物の重量に対して0.001%〜20%の範囲内とすることができる。
【0102】
成分(VII)は反応性希釈剤である。成分(VII)は成分(I)上の官能性基と反応する希釈剤であってもよい。反応性希釈剤は単官能性反応性希釈剤、二官能性反応性希釈剤、多官能性反応性希釈剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。選択される反応性希釈剤は、成分(I)上の硬化性基を含む各種要因によって決まるだろう。しかしながら、適切な反応性希釈剤の例としては、アクリレート、アルコール、マレイン酸無水物若しくはメタクリル酸無水物のような無水物、単官能性エポキシ化合物のようなエポキシ、グリシジルメタクリレートのようなメタクリレート、オキセタン、ビニルアセテート、ビニルエステル、ビニルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリドンのようなビニルピロリドン、スチレン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
単官能性アクリレート及びメタクリレートエステルは、Sartomer、RohmHaas、日立化成、Arkema,Inc.、Cytec、Sans Ester Corp、Rahn、及びBomar Specialties Co.のような会社から市販されている。具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロへキシルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−ブトキシアクリルアミド、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルオキシエチルメタクリレート、2−シアノエチルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、グリシジルメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、アルコキシル化ネオペチルグリコールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールaジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールaジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、n,n’−m−フェニレンジマレイミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、金属ジアクリレート、金属ジメタクリレート、金属モノメタクリレート、金属ジアクリレート(二官能性)、金属ジメタクリレート(二官能性)、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、及びジイソプロポキシシリルプロピルアクリレートが挙げられる。
【0104】
適切なアルコールの例としては、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、デカノール、ウンデシルアルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。適切なエポキシ化合物の例としては、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル;並びにネオペンチルグリコール及び1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルをベースとする二官能性反応性希釈剤が挙げられる。これらのエポキシ化合物は当技術分野において知られ、米国ペンシルベニア州アレンタウンのAir Products and Chemicals,Inc.から商品名EPODIL(登録商標)741、742、746、747、748、749、750、751、757、及び759で市販されている。反応性希釈剤として適した他のエポキシ化合物は、米国テキサス州ヒューストンのHexion Specialty Chemicals,Inc.から商品名Heloxy Modifiers 7、8、61、及び116で市販されている。適切なビニルエーテルの例としては、これらに限定されないが、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ビニルエーテルは当技術分野において知られ、欧州ドイツのBASF AGから市販されている。成分(VII)の量は選択される具体的な反応性希釈剤のような各種要因によって決まるが、その量は硬化性シリコーン組成物の重量に対して0.5〜50%の範囲内とすることができる。当業者であれば、本明細書に記載の反応性希釈剤のいくつか(例えば二官能性及び多官能性アクリレート及びメタクリレート)は成分c)として上述した反応種に加え、又はその代わりに用いることもできると認識するだろう。
【0105】
成分(VIII)は腐食防止剤である。適切な腐食防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、並びにR.T.Vanderbiltの2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体(CUVAN(登録商標)826)及びアルキルチアジアゾール(CUVAN(登録商標)484)のような市販の腐食防止剤が挙げられる。成分(VIII)の量は硬化性シリコーン組成物の重量に対して0.05%〜0.5%の範囲内とすることができる。
【0106】
成分(IX)は重合阻害剤である。アクリレート及びメタクリレート硬化性基に適した重合阻害剤の例としては、これらに限定されないが:ヒドロキノン(HQ)、4−メトキシフェノール(MEHQ)、4−エトキシフェノール、4−プロポキシフェノール、4−ブトキシフェノール、4−ヘプトキシフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−メトキシフェノール、2,5−ジクロロヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2−アセチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノベンゾエート、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、4−アミノフェノール、2−アミノフェノール、2−N,N−ジメチルアミノフェノール、2−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール、カテコールモノブチルエーテル、4−エチルアミノフェノール、2,3−ジヒドロキシアセトフェノン、ピロガロール−1,2−ジメチルエーテル、2−メチルチオフェノール、t−ブチルカテコール、ジ−tert−ブチルニトロキシド、ジ−tert−アミルニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、4−エタノールオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−ピロリジニルオキシ、3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチル−ピロリジニルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−1−オキサ−3−アザシクロペンチル−3−オキシ、2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリニル−1−オキシ−3−カルボン酸、2,2,3,3,5,5,6,6−オクタメチル−1,4−ジアザシクロヘキシル−1,4−ジオキシ、4−ニトロソフェノレートの塩、2−ニトロソフェノール、4−ニトロソフェノール、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン銅、ジブチルジチオカルバミン銅、サリチル酸銅、メチレンブルー、鉄、フェノチアジン(PTZ)、3−オキソフェノチアジン、5−オキシフェノチアジン、フェノチアジン二量体、1,4−ベンゼンジアミン、N−(1,4−ジメチルフェニル)−N’−フェニル−1,4−ベンゼンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−ベンゼンジアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン及びその塩、酸化窒素、ニトロベンゼン、p−ベンゾキノン若しくはその異性体、これらの2つ以上の組み合わせ、又は上記の1つ以上の酸素分子との組み合わせが挙げられる。存在する場合、重合阻害剤を100ppm〜4,000ppmの範囲内の量で硬化性シリコーン組成物に添加することができる。重合阻害剤は当技術分野において知られ、例えば欧州特許第EP1359137号において開示されている。
【0107】
成分(X)は、充填剤がクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの製造プロセスに用いられなかった場合、又は熱伝導性充填剤のような追加の充填剤若しくは異なるタイプの充填剤が望ましい場合、添加することができる充填剤である。充填剤は成分e)として上述した充填剤であってもよい。あるいは、充填剤は熱伝導性充填剤であってもよい。
【0108】
熱伝導性充填剤は熱伝導性及び導電性の両方であってもよい。あるいは、熱伝導性充填剤は熱伝導性及び電気的に絶縁であってもよい。熱伝導性充填剤は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水塩、バリウムチタネート、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、金属粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。熱伝導性充填剤は、金属充填剤、無機充填剤、溶融性充填剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる。金属充填剤としては、金属の粒子及び粒子の表面上に層を有する金属の粒子が挙げられる。これらの層は、例えば、粒子の表面上の金属窒化物層又は金属酸化物層であってもよい。適切な金属充填剤の例としては、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属、あるいはアルミニウムの粒子が挙げられる。適切な金属充填剤の例としては、それらの表面上に窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される層を有する上記の金属の粒子がさらに挙げられる。例えば、金属充填剤はそれらの表面上に酸化アルミニウム層を有するアルミニウム粒子を含むことができる。
【0109】
無機充填剤の例としては:オニキス;アルミニウム三水塩;酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛のような金属酸化物;窒化アルミニウム及び窒化ホウ素のような窒化物;炭化ケイ素及び炭化タングステンのような炭化物;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、無機充填剤の例としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせが挙げられる。溶融性充填剤は、Bi、Ga、In、Sn、又はこれらの合金を含むことができる。溶融性充填剤は任意でAg、Au、Cd、Cu、Pb、Sb、Zn、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。適切な溶融性充填剤の例としては、Ga、In−Bi−Sn合金、Sn−In−Zn合金、Sn−In−Ag合金、Sn−Ag−Bi合金、Sn−Bi−Cu−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Cu−Zn合金、及びこれらの組み合わせが挙げられる。溶融性充填剤は50℃〜250℃、あるいは150℃〜225℃の範囲内の融点を有することができる。溶融性充填剤は共晶合金、非共晶合金、又は純金属であってもよい。溶融性充填剤は市販されている。
【0110】
例えば、溶融性充填剤は、米国ニューヨーク州ウチカのIndium Corporation of America;米国ロードアイランド州プロビデンスのArconium;及び米国ロードアイランド州クラストンのAIM Solderから入手することができる。アルミニウム充填剤は、例えば、米国イリノイ州ネーパービルのToyal America,Inc.及び米国カリフォルニア州ストックトンのValimet Inc.から市販されている。銀充填剤は米国マサチューセッツ州アトルバロのMetalor Technologies U.S.A.Corp.から市販されている。
【0111】
熱伝導性充填剤は当技術分野において知られ、市販されており、例えば、米国特許第6,169,142号(第4段落、第7〜33行)を参照されたい。例えば、CB−A20S及びAl−43−Meは昭和電工から市販の異なる粒径の酸化アルミニウム充填剤であり、AA−04、AA−2、及びAA18は住友化学から市販の酸化アルミニウム充填剤である。商標KADOX(登録商標)及びXX(登録商標)を有する酸化亜鉛のような酸化亜鉛は米国ペンシルベニア州モナカのZinc Corporation of Americaから市販されている。
【0112】
熱伝導性充填剤粒子の形状はとくに限定されないが、円形又は球形粒子は組成物中への熱伝導性充填剤の高充填の際に望ましくないレベルまで粘度が増加するのを防止することができる。
【0113】
熱伝導性充填剤は単独の熱伝導性充填剤又は充填剤の粒子形状、平均粒径、粒径分布、及びタイプのような少なくとも1つの特性が異なる2つ以上の熱伝導性充填剤の組み合わせであってもよい。例えば、大きな平均粒径を有する第1酸化アルミニウム及び小さな平均粒径を有する第2酸化アルミニウムのような無機充填剤の組み合わせを用いることが望ましくあり得る。あるいは、例えば、大きな平均粒径を有する酸化アルミニウムの小さな平均粒径を有する酸化亜鉛との組み合わせを用いることが望ましくあり得る。あるいは、大きな平均粒径を有する第1アルミニウム及び小さな平均粒径を有する第2アルミニウムのような金属充填剤の組み合わせを用いることが望ましくあり得る。あるいは、アルミニウム及び酸化アルミニウム充填剤の組み合わせ;アルミニウム及び酸化亜鉛充填剤の組み合わせ;又はアルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化亜鉛充填剤の組み合わせのような、金属及び無機充填剤の組み合わせを用いることが望ましくあり得る。大きな平均粒径を有する第1充填剤及び第1充填剤より小さな平均粒径を有する第2充填剤の使用は、パッキング効率を向上させることができ、粘度を低減することができ、熱伝導を向上させることができる。
【0114】
熱伝導性充填剤の平均粒径は、選択される熱伝導性充填剤のタイプ及び硬化性シリコーン組成物に添加される正確な量、並びに硬化生成物が熱界面材料(TIM)として用いられる場合組成物の硬化生成物が用いられるデバイスのボンドライン厚を含む各種要因によって決まるだろう。しかしながら、熱伝導性充填剤は、0.1マイクロメートル〜80マイクロメートル、あるいは0.1マイクロメートル〜50マイクロメートル、あるいは0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲内である平均粒径を有することができる。
【0115】
組成物中の熱伝導性充填剤の量は、硬化性シリコーン組成物について選択される硬化メカニズム及び選択される具体的な熱伝導性充填剤を含む各種要因によって決まる。しかしながら、熱伝導性充填剤の量は、組成物の30体積%〜80体積%、あるいは50体積%〜75体積%の範囲内とすることができる。理論に縛られることは望まないが、充填剤の量が80体積%より大きい場合、組成物は架橋していくつかの用途にとって不十分な寸法保全性を有する硬化シリコーンを形成し得、充填剤の量が30%未満である場合、組成物から調製される硬化シリコーンはTIM用途にとって不十分な熱伝導性を有し得ると考えられる。
【0116】
成分(XI)は充填剤処理剤である。充填剤処理剤は、成分e)の充填剤処理剤として上述した充填剤処理剤であってもよい。あるいは、金属充填剤は、オクタデシルメルカプタン他のようなアルキルチオール、並びにオレイン酸、ステアリン酸、チタネート、チタネート結合剤、ジルコネート結合剤、及びこれらの組み合わせのような脂肪酸で処理することができる。
【0117】
アルミナ又はパッシベーション化窒化アルミニウムの処理剤はアルコキシシリル官能性アルキルメチルポリシロキサン(例えば、R2223Si(OR24(4−w−x)の部分加水分解縮合物、共加水分解縮合物又は混合物)、又は同様の材料を含むことができ、加水分解性基はシラザン、アシルオキシ又はオキシモを含むことができる。これらのすべてにおいて、上記式中のR22のような、Siに結合した基は、長鎖不飽和一価炭化水素又は一価芳香族官能性炭化水素である。各R23は独立して一価炭化水素基であり、各R24は独立して炭素原子1〜4個の一価炭化水素基である。上記式中、下付き文字wは1、2、又は3であり、下付き文字xは0、1、又は2であるが、ただし(w+x)は1、2、又は3である。当業者であれば、成分(XI)の充填剤処理剤に加えて、又はその代わりに、成分(V)の接着促進剤として上述したアルコキシシラン及びメルカプト官能性化合物を代わりに用いることができることを認識するだろう。当業者であれば、過度の実験なしに、充填剤の分散を助ける具体的な処理を最適化することができるだろう。
【0118】
成分(XII)は酸受容体である。酸受容体は酸化マグネシウムのような金属酸化物を含むことができる。酸受容体は当技術分野において知られ、Rhenofit F、Star Mag CX−50、Star Mag CX−150、BLP−3、及びMaxOx98LRを含む商品名で市販されている。Rhenofit Fは米国オハイオ州シャードンのRhein Chemie Corporationの酸化カルシウムだった。Star Mag CX−50は米国ニューハンプシャー州ポーツマスのMerrand International Corp.の酸化マグネシウムだった。MagOX 98LRは米国ペンシルベニア州ウエストコンショホッケンのPremier Chemicals LLCの酸化マグネシウムだった。BLP−3は米国オハイオ州シンシナティのOmya Americasの炭酸カルシウムだった。
【0119】
本明細書に記載する硬化性シリコーン組成物は:
(I)上述のクラスタ化官能性生成物、及び
(II)硬化剤を含む。組成物は任意で:(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、(XII)(生成物により酸を生成する熱ラジカル開始剤に用いられる)酸受容体、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含むことができる。各種硬化メカニズムは、当業者によりクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを生成するのに用いられる成分c)の選択に基づいて選択され得る。例えば、組成物は、成分(II)が縮合反応触媒である場合、縮合反応硬化性であってもよく、組成物は任意でトリアルコキシシラン、アセトキシシラン、ケトキシモシラン、アルキルオルトシリケート、アルキルポリシリケート、メチルビニルビス(n−メチルアセトアミド)シラン、及びこれらの組み合わせから選択される(III)架橋剤をさらに含む。あるいは、組成物は、成分(II)がラジカル開始剤を含む場合、放射線硬化性であってもよい。この放射性硬化性組成物は、放射線、熱、有機ボラン、又はレドックス反応により生成されるラジカルを有することができる。あるいは、組成物は、成分(I)がアルコキシ基を有し、成分(I)がアクリレート基、メタクリレート基、又はこれらの組み合わせを有するものであってもよい。
【0120】
あるいは、組成物は、成分(I)が2つ以上のタイプの硬化性基を有する多重硬化組成物であってもよい。例となる多重硬化組成物は成分(I)が縮合反応硬化性基及びラジカル硬化性基の両方を有するものである。あるいは、多重硬化組成物は成分(I)がエポキシ及びアルコキシ基を有するものであってもよい。
【0121】
あるいは、充填硬化性シリコーン組成物は:
(I)充填剤なしで段落[0013]において上述したプロセスにより調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン、
(II)硬化剤、及び
(X)充填剤を含むことができる。充填剤は熱伝導性充填剤を含むことができる。充填硬化性シリコーン組成物は(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、(XI)充填剤処理剤、(XII)酸受容体及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含むことができる。
【0122】
当業者であれば、上記の記載及び本明細書において提供する実施例に基づき、適当な硬化剤及び追加材料を選択し、封止材及び接着剤の組成物を製剤することができるだろう。
【0123】
上述の硬化性シリコーン組成物は、各種用途、例えば、リッドシール(例えば、自動車用リッドシール又はマイクロエレクトロニクス用リッドシール)の形成、接着剤(例えば、ダイ接着剤又は熱伝導性接着剤)の形成、又は末端封止材の形成のような封止材用途において用いることができる。
【0124】
上述の硬化性シリコーン組成物、及び組成物を硬化させることにより調製された硬化シリコーンは、マイクロエレクトロニクス及びマクロエレクトロニクス用途の両方を含むエレクトロニクス用途並びに光エレクトロニクス用途及び熱伝導性接着剤の製造のような熱伝導性エレクトロニクス用途において有用である。こうした硬化性シリコーン組成物から調製された硬化シリコーン接着剤は、アルミニウム、銅、及び無電解ニッケルのような金属を含む各種エレクトロニクス基板;並びにFR4、ナイロン、ポリカーボネート、Lucite(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びSolvay液晶ポリマーのようなポリマー基板に接着することができる。
【実施例】
【0125】
これらの実施例は本発明を当業者に例示することを意図しており、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。後述する実施例では以下の成分を用いた。
【0126】
ポリマーa1)は、190mm/sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンだった。
【0127】
ポリマーa2)は、450mPa.sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンだった。
【0128】
ポリマーa3)は、2,000mPa.sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンだった。
【0129】
ポリマーa4)は、9,000mm/sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンだった。
【0130】
ポリマーa5)は、55,000mm/sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンだった。
【0131】
ポリマーa6)は、22,000mm/sの粘度を有するフェニルメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチル/フェニルメチルシロキサン)だった。
【0132】
鎖延長剤g)は、13mm/sの粘度及び1,500ppmのSiH含有量を有する水素末端ジメチルシロキサンだった。
【0133】
SIHb2)は、1mm/sの粘度及び16,667ppmのSiH含有量を有する、5%のヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、43%のペンタメチルシクロペンタシロキサン、及び52%のテトラメチルシクロテトラシロキサンの混合物だった。
【0134】
末端キャップ剤h)はヘプタメチルトリシロキサンだった。
【0135】
SIHb4)は1,1,5,5−テトラメチル−3−(n−プロピル)−3−(ジメトキシシリルオキシ)トリシロキサンだった。
【0136】
SIHb5)はGelestのテトラキス(ジメチルシロキシ)シランだった。
【0137】
阻害剤i)DAMはジアリルマレエートだった。
【0138】
d)Pt触媒は1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金との錯体だった。
【0139】
c1)ATMSはアリルトリメトキシシランだった。
【0140】
c2)AMAはアリルメタクリレートだった。
【0141】
c3)VCHOはビニルクロロヘキサンオキシドだった。
【0142】
PAGは、ダウコーニングコーポレーションからDow Corning 2−7129として市販のヘキサフルオロアンチモン酸(3−メチルフェニル)((C12〜13分岐)フェニル)ヨードニウム触媒だった。
【0143】
c4)AGEはアリルグリシジルエーテルだった。
【0144】
Luperox(登録商標)PはArkemaのtert−ブチルペルオキシベンゾエートだった。
【0145】
Luperox(登録商標)LPはArkemaのラウロイルペルオキシドだった。
【0146】
Varox(登録商標)DCBPはR.T.Vanderbilt Company,Inc.のジクロロベンゾイルペルオキシドだった。
【0147】
Perkadox16はAkzo Nobelのジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートだった。
【0148】
SR297はSartomer Co.の1,3−ブチレングリコールジメタクリレートだった。
【0149】
SR239はSartomer Co.の1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートだった。
【0150】
CD9050は、金属基板への優れた接着性をもたらし、放射線硬化性組成物用に設計された接着促進剤として有用な単官能性酸エステルだった。CD9050はSartomer Co.から市販されている。
【0151】
SR489Dは、Sartomer Co.から市販されるトリデシルアクリレートだった。
【0152】
SR395は、Sartomer Co.から市販されるイソデシルアクリレートだった。
【0153】
SR257は、Sartomer Co.から市販されるステアリルアクリレートだった。
【0154】
SR506は、Sartomer Co.から市販されるイソボルニルアクリレートだった。
【0155】
SR833Sは、Sartomer Co.から市販されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートだった。
【0156】
SR238は、Sartomer Co.から市販される1,6−ヘキサンジオールジアクリレートだった。
【0157】
SR351は、Sartomer Co.から市販されるトリメチロールプロパントリアクリレートだった。
【0158】
SR203は、Sartomer Co.から市販されるテトラヒドロフルフリルメタクリレートだった。
【0159】
SR297中のPerkadox16は、等量のPerkadox16及びSR297の混合物だった。
【0160】
TBTは、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and CompanyのDuPont(商標)Tyzor(登録商標)TnBTとして市販の反応性アルコキシドエステル交換触媒だった。
【0161】
PITAチタンエチルアセトアセテート錯体は、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and CompanyのDuPont(商標)Tyzor(登録商標)PITAとして市販されている。
【0162】
e’)HMDZはAldrichのヘキサメチルジシラザンだった。
【0163】
MEHQはAldrichの4−メトキシフェノールだった。
【0164】
PTZはAldrichのフェノチアジンだった。
【0165】
Darocur1173はCibaの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンだった。
【0166】
Dowex(登録商標)2040は、製品番号Z2306を有するミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyのイオン交換樹脂だった。
【0167】
IBTMSはイソブチルトリメトキシシランだった。
【0168】
e1)EvonikR8200は、中国福建省南平のEvonik DegussaCorporationからAEROSIL(登録商標)R8200として市販される、ヘキサメチルジシラザンで処理したヒュームドシリカだった。
【0169】
e2)TS530は、米国マサチューセッツ州ビルリカのCabot Specialty Chemicals,Inc.からCabosil(登録商標)TS−530として市販のヘキサメチルジシラザン処理ヒュームドシリカだった。
【0170】
PDMSはポリジメチルシロキサンを表す。
【0171】
UVA1500は、放射線/UV硬化性組成物において用いられる脂環式エポキシモノマーだった。
【0172】
Z6040はグリシドキシプロピルトリメトキシシランだった。
【0173】
Zr(acac)4はジルコニウムアセチルアセトネートだった。
【0174】
Silquest(登録商標)A186は、米国コネチカット州ミドルベリのCrompton OSi Specialtiesから市販されるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランだった。
【0175】
MgOは酸化マグネシウムだった。MgOをペルオキシドの分解からの酸副生成物を中和するのに用いられる酸受容体として添加した。
【0176】
参照例1―ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
GPCデータをWatersの515ポンプ、Watersの717オートサンプラー、及びWatersの2410示差屈折計を用いて収集した。分離はPolymer LaboratoriesのPlgel5マイクロメーター(μm)ガードカラム、その後2つの(300mm×7.5mm)Plgel5μmMixed−Cカラムで行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードのトルエン溶離液を1分当たり1.0ミリリットル(mL/分)の流速で用い、カラム及び検出器を45℃まで加熱した。50マイクロリットル(μL)の注入量を用い、試料を0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを通して予めろ過した。1,300〜850,000の分子量範囲にわたるポリジメチルシロキサン(PDMS)標準を用いて作成した較正曲線(第4次)に従って分子量平均を割り出した。
【0177】
参照例2―29SiNMR
29Si NMRデータをVarianのMercury300上でベンゼン−d溶媒を用いて収集した。5ミリメートル(mm)の切替可能なPFGプローブをゲート分離パルスシーケンス、60秒の緩和遅延で用いて実験を行った。あるいは、試料を、任意で緩和試薬である0.03Mのクロムアセチルアセトネート、Cr(acac)とともにNaloracの16mmのケイ素を含まないPulsetune(登録商標)プローブ;及び定量条件を確保するゲート分離を用いるMercury400にかけた。両方とも90度のパルス幅を用い、400は12秒の緩和遅延を用いた。
【0178】
比較例
末端ブロックメタクリレートポリマーは、水素化シリコーン官能性シロキサンの調製、及びその後の別のステップにおけるc2)AMAでのヒドロシリル化により生成することができる。(これは、水素化シリコーン官能性シロキサンの調製及びc2)AMAでのヒドロシリル化が同時に、又は間に入る精製ステップなしで行われる本明細書に記載するプロセスとは異なる。)
【0179】
比較例1―ポリマーの調製
鎖延長剤、環状ポリジメチルシロキサン(環状PDMS)及び触媒としてDowex(登録商標)2040イオン交換樹脂を、濃縮器、機械的攪拌器及び熱電温度計が取り付けられた3口丸底フラスコに添加した。(鎖延長剤と比較して)モル過剰の環状PDMSを添加した。得られた混合物を4時間100℃で撹拌しながら窒素下で加熱した。得られたポリマーを冷却及びろ過し、触媒を除去した。次にポリマーを、ワイプト薄膜蒸発器(WFE)を用いて150℃及び1mmHgで過剰環状PDMSを揮散した。100〜1420の範囲内の重合度(DP)を有する5つの線状水素化シリコーン末端ブロックポリマーを鎖延長剤の環状PDMSに対する比を変えることにより得た。得られた水素化シリコーン末端ブロックポリマーをGPC及び29SiNMRにより分析した。
【0180】
上で調製された水素化シリコーン末端ブロックポリマーを、濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた3口丸底フラスコ中で、c2)AMAと1.3のSiH/Vi比で組み合わせた。これらのポリマーを100万分の1部(ppm)のPt触媒で触媒し、100ppmのMEHQの存在下80℃で加熱した。SiH基のヒドロシリル化を、赤外線(IR)スペクトル中2173cm−1のSiHピークの消失により観察した。
【0181】
得られたc2)AMA末端ブロックPDMSポリマーをWFEにより70℃及び1mmHgで揮散した。得られたポリマーは表1の指定ポリマー7〜11だった。ポリマー7〜11をそれぞれ充填剤及びラジカル開始剤と表1に示す量で組み合わせた。
【表1】

【表2】

【0182】
表1中の試料を90℃でMonsantoのダイレオメーター(MDR)上で硬化させ、それらの硬化の速度、及び相対硬度を測定した。二段階合成で生成される線状材料(ポリマー7〜11)、及び実施例7において後述する単一ステッププロセスで生成されるクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを用いて生成される組成物の比較について表2を参照されたい。
【0183】
実施例
実施例の製造プロセスは一般的には、20分間ビニル末端ブロックポリマー(上述のa1、a2、a3、a4、a5、又はa6)、ポリオルガノ水素シロキサン(SIHb2、SIHb4、又はSIHb5)、及び不飽和反応種(c1、c2、c3、又はc4)を室温で予備混合するステップを含んだ。Ptヒドロシリル化触媒を次に室温で添加し、さらに20分間撹拌した。80℃まで昇温することにより反応を開始させた。反応の程度をFT−IR中約2170cm−1のSiHピークの消失を観測することにより記録した。反応は一般的には1時間以内に完了し、その際生成物を50℃まで冷却し、DAMを添加した。
【0184】
実施例1
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた1リットルガラス樹脂ケトル中に、以下の成分:428.34部(部)のポリマーa4、7.65部のSIHb2、14.01部のc2)AMA、及び0.05部のPTZを添加した。得られた混合物を、室温で10分間、混合物が均質になるまで撹拌した。この後、0.09部のPt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。フーリエ変換赤外線(FT−IR)中2173cm−1のSiHピークの減少を測定することにより反応を観測した。一般的な反応時間は1時間だった。反応温度を次に50℃まで冷却し、0.9部のDAMを混合しながら添加し、得られた混合物を室温まで冷却した。得られたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは5rpmで15300cpsのBrookfield円錐平板粘度を有した。MDR上、125℃で15分間硬化させた40ミル厚試料の引張特性は、この実施例1において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンで生成した組成物について表3に示した。
【表3】

【0185】
実施例2
10リットルTurrelloミキサー中、6515部のポリマーa2)、401部のSIHb2)、900部のc1)ATMS、及び0.89部のMEHQを組み合わせた。組み合わせを室温で10分間、混合物が均質になるまで撹拌した。この後、1.05部のPt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を100℃まで上昇させることにより反応を開始させた。FT−IR中2173cm−1のSiHピークの減少を測定することにより反応を観測した。反応温度を次に50℃まで冷却し、8.9部のDAMを混合しながら添加した後、混合物を室温まで冷却した。歯科用カップ中、95部の得られた水分硬化クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを3部のIBTMS及び2部のPITAチタネート触媒と混合した。得られた生成物は2分の薄膜不粘着時間を有した。
【0186】
実施例3
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた3リットルガラス樹脂ケトル中で、以下の成分:1369.1部のポリマーa6)、48.7部のSIHb2)、82.2部のc3)VCHO、及び0.05部のPTZを組み合わせた。組み合わせを室温で10分間、得られた混合物が均質になるまで撹拌した。この後、0.3部のPt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。FT−IR中2173cm−1のSiHピークの減少を測定することにより反応を観測した。反応温度を次に50℃まで冷却し、0.9部のDAMを混合しながら添加した。得られたエポキシ官能性クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを室温まで冷却した。実施例3により調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを表3の成分と組み合わせ、引張特性を15分間80℃での硬化後に上述のように評価した。成分及び量、並びに結果を表4に示す。
【表4】

【0187】
実施例4〜6(鎖延長)
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた1リットルガラス樹脂ケトル中に、実施例4〜6を上述のように調製した。鎖延長のための各実施例における成分及び量を表5に示す。
【表5】

【0188】
粘度及びMDR結果を測定し、表6に示した。
【表6】

【0189】
実施例4〜6を歯科用カップにおいて組成物に製剤した。試料組成物は表7の成分を含有した。
【表7】

【0190】
実施例4〜6において調製された充填及び触媒組成物をMDRにおいて125℃で15分間硬化させた。結果は上の表6に示す。
【0191】
実施例7―鎖延長クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた1リットルガラス樹脂ケトル中で、以下の成分:549.6部のポリマーa4)、7.6部のSIHb2)、58部の鎖延長剤、23.1部のc2)AMA、及び0.06部のMEHQを組み合わせた。組み合わせを室温で10分間、混合物が均質になるまで撹拌した。この後、0.11部のPt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。FT−IR中2173cm−1のSiHピークの減少を測定することにより反応を観測した。反応温度を次に50℃まで冷却し、1.2部のDAMを混合しながら添加した。得られたメタクリレートクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを次に室温まで冷却した。このポリオルガノシロキサンは1rpmで27800cpsのBrookfield円錐平板粘度を有した。(実施例7の)メタクリレートクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを表8の成分で組成物に製剤し、得られた組成物を80℃で15分間硬化させた後、MDRにより分析した。
【表8】

【0192】
実施例8及び9(末端キャップ剤での鎖停止)
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた1リットルガラス樹脂ケトル中に、実施例8及び9を、表8の成分及び量が用いられた以外、上述のように調製した。組成物試料を125℃で15分間硬化させ、上述のようにMDRにより評価し、結果を表9に示す。
【表9】

【0193】
実施例10
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中に、5632部のポリマーa4)、125.7部のSIHb2)、30.49部のc1)ATMS、213.4部のc2)AMA、及び1.2部のMEHQを添加し、10分間室温で混合した。この後、1.15部のPt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。80℃での混合の1時間後、反応器を50℃まで冷却し、6.7部のDAMを混合しながら添加した。この実施例では、得られたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは利用可能な反応性基を含有し、その90モル%はメタクリレート系だったが、10モル%は水分硬化性基だった。得られたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは多重硬化クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンだった。
【0194】
実施例11〜13
1クオートRossミキサー及びラジカル阻害剤としてPTZを用い、ポリマーa2)、ポリマーa4)、SIHb2)環状メチル水素、及びc2)AMAを室温で10分間予備混合した。Pt触媒を添加し、室温混合をさらに20分間継続した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。80℃での混合の1時間後、ミキサーを50℃まで冷却し、6.7部のDAMを混合しながら添加した。
【0195】
調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを表10の成分を含有する組成物に製剤した。表10の組成物を歯科用カップ中で20%のTS530充填剤及び4%のVarox(登録商標)DCBPと混合した。150℃での15分間の硬化後、試料の引張試験を行った。成分及びそれらの量(部)、並びに引張試験結果を表10に示す。
【表10】

【0196】
実施例14(充填剤の分散)
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中に、5000部の実施例7において生成したクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン(ポリマー)を添加した。200グラム(g)増分中、1470gのTS530を低せん断混合しながら添加した。得られた20%のマスターバッチにより高いせん断を20分間加えた。
【0197】
実施例15(充填剤反応)
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中に、5160部のポリマーa4、及び1039gのTS530を添加し、ポリマーベースを調製した。TS530(処理充填剤)を約100g増分で75分間かけて添加した。このポリマーベースに、69.1部のSIHb2、546.8部のc1)ATMS、217部のc2)AMA、及び0.1部のMEHQを添加し、10分間混合した。得られた充填混合物を25℃まで冷却した後、ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させ、1.05部のPt触媒を添加し、室温で20分間撹拌した。80℃での混合の1時間後、ミキサーを50℃まで冷却し、10.98部のDAMを混合しながら添加した。
【0198】
実施例11及び12において調製されたマスターバッチを4%のVarox(登録商標)DCBPで製剤し、表11に示すように調節し、直接比較のため14.4%の充填剤を有する接着剤を得た。組成物を125℃で15分間硬化させ、引張特性について及びMDRにより分析した。組成物の成分及びそれらの量、並びに引張及びMDR試験の結果は表10に示す。物理的特性を公正比較するため、実施例7のクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを用い、実施例14において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを削減し、実施例15と同じ充填剤レベルとした。粘性相ポリマー−充填剤マスターバッチと呼ばれるものを生成するため、実施例14のポリマーは20%の充填剤を有する。粘性相は、せん断をポリマー/充填剤システム中に加えることにより、充填剤のもっとも良好な分散をもたらすが、充填剤の新たな表面も生成させる。
【表11】

【0199】
処理充填剤の存在下での反応性ネットワークの作製は、予備反応ポリマーネットワークにおいて同じ充填剤を単純に分散させるステップから誘導されたものと比べて向上した引張特性を有するベースを作製した。
【0200】
理論に縛られることは望まないが、粘性相ポリオルガノシロキサン−充填剤マスターバッチが調製される際存在する高せん断は充填剤凝集体の破壊及びより親密なポリオルガノシロキサン−充填剤相互作用をもたらすとゴム及び封止材産業において広く考えられている。これらの相互作用がこうしたシステムの向上した引張及び機械的特性に関与している。こうした高せん断事象中、処理剤を任意で導入し、充填剤表面を官能基化し、非常に高粘度のマスターバッチ、極端な例では、もろく使用不能なマスターバッチをもたらす過度の相互作用を防止することができる。実施例16では、わずかに処理した充填剤(TS530)を実施例7のクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン中に処理剤の存在下で分散させた。このプロセスは既存の高せん断粘性相プロセスにおいて作製されたいずれかの新たな表面を処理し、これにより得られたベースの安定性を増加させ、その接着性を向上させる。残りの表面ヒドロキシル基はシラン接着促進剤を製剤及び保存熟成中に隔離し、組成物を基板に塗布する際に接着性の向上のために使用可能な接着促進剤を少ししか残さない、又は全く残さないと考えられる。
【0201】
実施例16(in situ処理充填剤)
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中に、2667部の実施例7において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを添加した。5つのほぼ等しい添加ステップにおいて、137gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、及び1.2gのヘキサメチルジシラザンとともに、1333gのTS530を添加した。この高せん断粘性相材料を80℃まで2時間25mmHgの真空で加熱した。実施例7において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを添加し、これを削減し、24.7%の充填剤を含有するマスターバッチを得た。
【0202】
実施例14〜16において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを次に14.4%の充填剤及び4%のVarox(登録商標)DCBPを含有する組成物に実施例7において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを調節した充填剤レベルで用いて製剤した。材料を、1インチのオーバーラップ及び40ミルのボンドラインを有するクラッドアルミニウム1×3インチパネル間で硬化させた。試料を125℃で15分間硬化させた後、ラップせん断接着性を測定した。同様の試料を85℃/85%相対湿度(RH)で熟成させ、接着性損失を促進した。ラップせん断接着性試験の結果を表12に示す。
【表12】

【0203】
実施例1〜16は、多数の塗布領域において封止材及び接着剤として用いることができるクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン、及びそれらを含有する組成物を生成する。
【0204】
実施例17(90モル%のc2)AMA及び10モル&のc1)ATMSを含むin situ処理充填剤)
1クオートRossミキサー中に、以下の成分:0.1gのMEHQ、393gのポリマーa4)、及び441gのポリマーa5)中のHMDZ処理充填剤マスターバッチを添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。成分を10分間混合した。この後、15.9gのSIHb2、40.5gのc2)AMA、及び4.87gのc1)ATMSを添加し、得られた組み合わせを10分間室温で混合した。次に、0.2gのPt触媒を添加し、得られた組み合わせをさらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、この温度を1時間維持した。得られた生成物を50℃まで冷却し、1.5gのDAMを添加した。
【0205】
実施例17は、充填剤及びその反応性官能基の約90モルパーセントがメタクリレート基によってラジカル硬化され、その反応性官能基の10モルパーセントがアルコキシ水分硬化基である二重硬化クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンのマスターバッチだった。
【0206】
表13は、完全に製剤し、80℃で15分間硬化させた実施例17マスターバッチを含有する組成物中の成分示す。製剤を1インチのオーバーラップ及び40ミルのボンドラインを有するクラッドAl1×3インチパネル上での引張特性及びラップせん断の両方について試験した。初期熱硬化後、それぞれ1日及び7日かけて促進又は室温水分硬化を行った。
【表13】

【0207】
80℃で15分間の熱硬化後の初期引張特性は、ピーク応力について223lb/in、及び伸びについて396%だった。熱硬化試料を85%RH/85℃下で熟成後、同じ特性は422lb/in及び438%伸びまで増加した。第二次水分硬化の同様の兆候が、50%RH及び25℃で熟成させた同様の熱硬化試料で観察され、413lb/in及び447%伸びをもたらした。
【0208】
実施例18〜20
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中に、6046部のポリマーa4、136.4部のSIHb2、257部のc2)AMA、85部のc1)ATMS及び0.8部のMEHQを添加し、10分間混合した。この後、1.2部のPt触媒を室温で20分間撹拌しながら添加した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。80℃で1時間の混合後、反応器を50℃まで冷却し、11.5部のDAMを撹拌しながら添加した。
【0209】
実施例18において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンは、その反応性官能基の80モルパーセントのメタクリレート及び20モルパーセントのアルコキシを有した。このポリオルガノシロキサンを歯科用カップ中で4%のVarox(登録商標)DCBP、及び15%の処理充填剤、Cabosil TS530又はEvonikのR8200と混合した。実施例19〜20は実施例18において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを含有する組成物であり、表14に示す成分を混合することにより調製された。実施例19〜20は同等の充填剤レベルを有する。組成物中の成分及び量、並びに引張特性、ラップせん断データ、及び粘度を表14に示す。すべての試料を80℃で30分間硬化させ、ラップせん断試料を1インチのオーバーラップ及び40ミルのボンドラインを有するクラッドAl1×3インチパネル上で試験した。
【0210】
実施例21
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中で、0.6gのMEHQを6201gのポリマーa4)中にHMDZ処理充填剤を含有するマスターバッチ、107gのSIHb2、201.4gのc2)AMA、及び83.5gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、1.0gのPt触媒を添加し、組み合わせを室温でさらに20分間混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。この後、ミキサーを50℃まで冷却し、13.8gのDAMを添加した。組成物中の成分及び量、並びに引張特性、ラップせん断データ、及び粘度を表14に示す。すべての試料を80℃で30分間硬化させ、ラップせん断試料を上述のようにクラッドAl基板上で試験した。
【表14】

【0211】
実施例22
1クオートRossミキサー中で、0.1gのMEHQを459gのポリマーa5)中にHMDZ処理充填剤を含有するマスターバッチ、及び223gのポリマーa4)に添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。成分を10分間混合した。このミキサーに、23.5gのSIHb2)、47gのc2)AMA、及び15.1gのc1)ATMSを添加し、10分間室温で混合した。この後、0.1gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。得られた生成物を50℃まで冷却し、3.3gのDAMを添加した。
【0212】
実施例23(比較)
1クオートRossミキサー中で、0.1gのMEHQを707gのポリマーa4)中のHMDZ処理充填剤のマスターバッチ、67.5gのSIHb4)、75gのc2)AMA、及び24gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。成分を10分間室温で混合した。この後、0.2gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。得られた生成物を50℃まで冷却し、3.3gのDAMを添加した。
【0213】
実施例24
1クオートRossミキサー中で、0.1gのMEHQを437gのポリマーa4)中のHMDZ処理充填剤のマスターバッチ、67.5gのSIHb5)、47gのc2)AMA、及び15gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。成分を10分間室温で混合した。この後、0.2gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。得られた生成物を50℃まで冷却し、2gのDAMを添加した。
【0214】
実施例21〜24において調製された生成物をVarox(登録商標)DCBPで組成物に製剤した。成分及び量を表15に示す。ラップせん断データ及び引張特性を表16に示す。
【表15】

【表16】

【0215】
実施例22及び23は、ビニル末端キャップポリマーの代わりの多官能性水素化シリコーン種並びにモノマーアリル及びビニル種の結合を行い、単一又は多重硬化メカニズムを有する充填材料を生成するプロセスの能力を示す。実施例23において用いられる線状ポリオルガノ水素シロキサンは、分子当たり3個のみのケイ素結合水素原子を有するSiH成分のため、この実験において用いられる低温条件下でこの実施例の時間内に十分に硬化させるのに十分な反応性官能基クラスターを有さず、生成されるポリマーの各末端にもたらされる官能性基は少なすぎる。実施例21、22及び24における環状物及びネオペンタマー系の例は各末端に最小3個の官能性基を有する。
【0216】
実施例25
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中で、0.7gのMEHQを3921gのポリマーa5)中にHMDZ処理充填剤を含有するマスターバッチ、2608gのポリマーa4)、115gのSIHb2)、及び438gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、1.3gのPt触媒を添加し、室温でさらに20分間混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。ミキサーを50℃まで冷却し、11.2gのDAMを添加した。この後、96部の得られた生成物を歯科用カップ中で2部のメチルトリメトキシシラン及び2部のPITAと混合した。これを室内温度及び湿度で7日間硬化させ、581psiの引張応力値及び262%の伸びを有する硬化生成物を得た。
【0217】
実施例26 エポキシ/水分二重硬化
1クオートRossミキサー中、0.07gのMEHQを788.44gのポリマーa5)中にHMDZ処理充填剤を含有するマスターバッチ、11.1gのSIHb2)、19.1gのVCHO、及び2.1gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、0.11gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。ミキサーを50℃まで冷却し、2gのDAMを添加した。
【0218】
実施例27 エポキシ/水分二重硬化
1クオートRossミキサー中で、0.07gのMEHQを567.68gのポリマーa5)、11.1gのSIHb2)、19.1gのVCHO、及び2.1gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、0.11gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。ミキサーを50℃まで冷却し、1.2gのDAMを添加した。
【0219】
エポキシシリコーンの熱又はUV硬化を触媒することができる触媒混合物は、Dow Corning(登録商標)2−7129ヨードニウムSbF光酸発生剤(米国ミシガン州ミッドランドのダウコーニングコーポレーションから市販)、Perkadox16、Darocur1173及びデシルアルコールの等量混合物からなる。この触媒混合物を表17の組成物に添加した。
【0220】
実施例26及び27の混合は、存在する処理充填剤のレベルのみが異なる同等のポリマー組成物の試料をもたらした。
【0221】
クラッドAlパネルに対する引張及びラップせん断接着性を上述のように80℃で15分間硬化させた試料について測定した。ドローダウンバーを用い、300ワットのFusion Hバルブからの600mJ/cm照射での単一パスで硬化させた10ミル湿潤膜厚を堆積させることにより、試料をUV硬化についても確認した。
【表17】

【0222】
実施例28
1クオートRossミキサー中で、0.08gのMEHQを401.78gのポリマーa5)中のHMDZ処理充填剤のマスターバッチ、384.29gのポリマーa3)、25.5gのSIHb2)、40.7gのc4)AGE、及び10.2gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、0.11gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。ミキサーを50℃まで冷却し、0.75gのDAMを添加した。
【0223】
実施例28をマレイン酸無水物と組み合わせ、上述のようにクラッドAl基板に対して80℃で15分間硬化させた。ラップせん断接着性試験を上述のように行った。各成分の量(部)及びせん断データを表18に示す。
【表18】

【0224】
実施例29
1クオートRossミキサー中で、0.08gのMEHQを297.62gのポリマーa5)中のHMDZ処理充填剤のマスターバッチ、408.85gのポリマーa3)、35.4gのSIHb2)、73.1gのc2)AMA、9.14gのc3)VCHO、及び9.1gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、0.11gのPt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。ミキサーを50℃まで冷却し、0.75gのDAMを添加した。実施例29の生成物を表17に示す成分と組み合わせ、組成物を形成した。組成物をAlクラッド鋼板間で、80℃で30分間硬化させた後、ラップせん断について試験した。ラップせん断データを表19に示す。
【表19】

【0225】
実施例30
剥離ブレード及び2つの分散ブレードを備えた10リットルTurrelloミキサー中で、0.7gのMEHQを4241gのポリマーa5)中にHMDZ処理充填剤を含有するマスターバッチ、2095gのポリマーa5)、213gのSIHb2)、429gのc2)AMA及び212gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。これらの成分を10分間室温で混合した。この後、1.2gのd)Pt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。クラスタ化官能性生成物を形成した。
【0226】
実施例31
実施例30のクラスタ化官能性生成物を組成物に製剤した。生成物の88gの量を、4gのSartomerのSR249、4gのベンゾイルペルオキシド及び4gのN,N−ジメチル−p−トルイジンとともに歯科用ミキサー中に量り入れ、混合した。40ミルボンドライン厚を有するラップせん断試料を、Alクラッド基板を用いて作成した。これらの試料を周囲条件下で一晩放置した。24時間後、139lbs/insの引張特性は23%の破断伸びで展開した。
【0227】
実施例32〜36―室温でのレドックス及び嫌気性硬化による製剤
実施例30のクラスタ化官能性生成物を、表20の成分を含有する組成物に製剤した。
【表20】

【0228】
実施例37
10リットルクオートTurelloミキサー中で、0.3gのBHTを3233gのポリマーa5)中のHMDZ処理ヒュームドシリカ充填剤のマスターバッチ、3232gのポリマーa4)、168.9gのSIHb2)、326.9gのc2)AMA、及び105gのc1)ATMSに添加した。HMDZ処理充填剤はCab−o−SilMS−75ヒュームドシリカだった。成分を10分間室温で混合した。この後、3.4gのd)Pt触媒を添加し、さらに20分室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。得られたクラスタ化官能性生成物を50℃まで冷却し、6gの阻害剤i)DAMを添加した。
【0229】
実施例38
1クオートRossミキサー中、0.04gのBHTを399.4gのポリマーa1)、90.9gのSIHb2)、76.6gのc2)AMA、及び183gのc1)ATMSに添加した。成分を10分間室温で混合した。この後、0.4gのd)Pt触媒を添加し、さらに20分間室温で混合した。ミキサーを80℃まで加熱することにより反応を開始させ、1時間保持した。得られたクラスタ化官能性生成物を50℃まで冷却し、0.75gの阻害剤i)DAMを添加した。
【0230】
実施例39―実施例37及び38のクラスタ化官能性生成物を含有する組成物
実施例37及び38のクラスタ化官能性生成物を表21の成分を含有する組成物に製剤した。
【表21】

【0231】
比較例40
実施例39の組成物を1組の電極上にコーティングした。メルカプトベンゾチアゾール腐食防止剤を含まない対照もコーティングした。2組の被覆電極を非被覆電極とともに配線し、硫黄華を含有するガラスチャンバーに入れた。ガラスチャンバーを80℃オーブンに入れた。銀電極の電気抵抗を、Keithleyの電位計を抵抗モードで用いて観測した。約5〜10オームの初期抵抗は対照及び非被覆電極について露出の2日以内でメガオームまで上昇した。電極はまた目に見えて黒くなった。腐食防止剤を含有するコーティングは、露出の10日後、変わらない電気抵抗及び外観を有した。
【0232】
実施例41〜49―不飽和酸の金属への接着性に対する影響
表22の成分を歯科用ミキサー中で23.4ミルのスペーサービードを添加しながら混合した。得られた組成物をAlクラッド基板に塗布し、80℃で30分間硬化させた。室温で3日後、得られたラップせん断試料を試験した。成分、重量部でのそれらの量、及びラップせん断試験結果を表22に示す。
【表22】

【0233】
比較例50及び実施例51〜58
表23の成分を歯科用ミキサー中で23.4ミルのスペーサービードを添加しながら混合した。得られた組成物をAlクラッド及びにCu被覆FR4基板の間に塗布し、80℃で30分間硬化させた。室温で3日後、ラップせん断試料を試験した。第2組の試料を2気圧及び130℃の圧力調理器中に24時間入れ、その後それらにラップせん断試験を行った。成分、それらの量、及びラップせん断試験結果を表23に示す。実施例51〜58は、アクリレート及びメタクリレートモノマーを用い、接着性のロバスト性をさらに向上させることができることを示す。
【表23】

【0234】
実施例59〜64 酸受容体の添加
表24の成分を歯科用ミキサー中で23.4ミルのスペーサービードを添加しながら混合した。得られた組成物をAlクラッド基板間に塗布し、80℃で30分間硬化させた。室温で3日後、得られたラップせん断試料を、まず試料を80℃のオーブンに入れた5重量%のNaCl溶液中に浸漬することにより試験し、その後ラップせん断試験を行った。成分、それらの量、及びラップせん断試験結果を表24に示す。酸受容体種の使用はアルミニウムクラッド基板への湿潤接着性に対するペルオキシド分解産物の影響を低減することが示された。各成分の量は重量部で示す。
【表24】

【0235】
実施例65及び比較例66〜68
表25及び26の成分を歯科用ミキサー中で23.4ミルのスペーサービードを添加しながら混合した。得られた組成物を引張特性のためAlクラッド基板間の溝中、80℃で15分間硬化させた後、ラップせん断について試験した。2組の試料を調製した。1組を25℃及び50%相対湿度(RH)に設定した環境チャンバーにおいて3日熟成させ、別の組を85℃及び85%RHに設定した環境チャンバーにおいて3日熟成させた。成分及びそれらの量、並びにラップせん断試験結果を表25及び26に示す。以下の引張特性について、このシステムにおける第2次水分硬化は前に硬化させた材料と比べて物理的特性を向上させることが明らかとなり得る。
【表25】

【表26】

【0236】
実施例69〜71 熱伝導性組成物
156gの実施例7において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンの試料を、1クオートミキサーに入れ、0.02gのベンゾキノール及び16.16gのデシルトリメトキシシラン、CH(CHSi(OCHを添加し、5分間室温で混合した。507.6gのCBA05S及び507.6gのCBA20Sアルミナ充填剤の試料を添加し、室温で65分間混合した。CBA05Sは米国ニューヨーク州ニューヨークのShowa Denko America Inc.の5ミクロンアルミナ充填剤だった。CBA20Sは同様にShowa Denkoの20ミクロンアルミナ充填剤だった。ミキサーを次に70℃〜75℃の範囲内の温度で60分間(蒸気で)加熱した。この試料を以下の製剤実験のマスターバッチとして用いた。
【0237】
0.92gのDCBP開始剤及び181gの上述のように調製されたマスターバッチの試料を100mL歯科用カップにおいて2200rpmで30秒間歯科用ミキサーを用いて2回混合した。20グラムの得られた材料を次にそれぞれ0.1gのSR297及び0.1gのアクリル酸と混合した。アクリル酸添加剤の有無にかかわらず、組成物の接着特性を80℃で30分間硬化させた後ラップせん断を用いて多数の基板で試験した。組成物及び試験結果を以下の表に示す。
【0238】
3つの各試料を調製し、80℃で30分間、Ticona Alumimumのポリブチレンテレフタレート(PBT)基板と銅被覆FR4板との間で硬化させた。各試料は23.4ミルのスペーサービードで1インチのボンドラインを有した。試料をラップせん断について試験し、結果を表27に示す。
【表27】

【0239】
実施例72
濃縮器、機械的攪拌器、及び熱電温度計が取り付けられた1リットルガラス樹脂ケトル中に、以下の成分:427.7部(部)のポリマーa2)、26.4部のSIHb2)、46.0部のc2)AMA、及び0.05部のPTZを添加した。得られた混合物を室温で10分間、混合物が均質になるまで撹拌した。この後、0.09部のd)Pt触媒を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。ミキサー温度を80℃まで上昇させることにより反応を開始させた。フーリエ変換赤外線(FT−IR)中2173cm−1のSiHピークの減少を測定することにより反応を観測した。一般的な反応時間は1時間だった。
【0240】
実施例73―有機ボラン硬化性組成物
8gの量の実施例72において調製されたクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを歯科用カップ中で0.1gのトリ−n−ブチルボランメトキシプロピルアミン(TnBB−MOPA)錯体と混合した。脱錯化剤(0.11gのイソホロンジイソシアネート、IPDI)の添加後、ポリマー基板へのグラフトにおける有用性を示すメタ(アクリレート)系材料の反応に適したTnBB−MOPAラジカルを形成し、組成物は25秒以内に硬化させた。成分、量及び硬化結果を表28に示す。
【表28】

【0241】
実施例73〜77及び比較例78
表29の成分を含有するラップせん断試料を試験のためCu被覆FR4及びニッケル被覆銅基板と組み合わせたAlクラッドの上にコーティングした。すべての試料を90℃で30分間硬化させた。初期データは前に硬化させた試料の引張特性及び凝集破壊パーセントを示し、100%がもっとも望ましい。試料を2気圧及び120℃の圧力調理器に24時間入れることにより加速試験も行い、再試験した。これは接着性の厳しい試験である。
【表29】

対照と比較して、接着促進剤を含有する実施例73〜77の組成物に引張及び湿潤接着特性の向上が見られる。
【産業上の利用可能性】
【0242】
本発明のプロセスは、クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを生成するのに必要なプロセスステップの数が低減されるという点において、従来プロセスと比べて向上を示す。成分a)及び成分b)の成分c)との反応生成物を作成する場合、中間体精製又は触媒不活性化ステップが存在しない。さらに、プロセスは、プロセスのクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン生成物の粘度及び他の取扱特性に悪影響を及ぼすことなしに充填剤の組み込みを可能にする。
【0243】
クラスタ化官能性ポリオルガノシロキサンを含有する硬化性接着剤組成物は、比較的に低い温度(例えば、80℃以下)で硬化させた場合でも、自己接着性である(すなわち、準備なしで上記基板への接着性を形成する)という利点を提供することができる。硬化性シリコーン組成物は、上述のプロセスにより調製されるクラスタ化官能性ポリマーを含有しない硬化性シリコーン組成物と比較して、エレクトロニクス産業用途について比較的短い不粘着時間の利点をさらに提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)a)平均で1分子当たり少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、
b)平均で、1分子当たり4〜15個のケイ素原子、及び、成分a)中の1つの脂肪族不飽和有機基当たり少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン、並びに、
c)1分子当たり、少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種、を含む成分を、
d)ヒドロシリル化触媒の存在下で、
同時に反応させるステップを具え、
(成分b)中の、ケイ素結合水素原子)/(成分a)中の脂肪族不飽和有機基)の割合(SiH/Vi比)が、4/1〜20/1の範囲であり、本プロセスにより調製される生成物は、成分a)の前記ポリオルガノシロキサンの各末端に2つ以上の硬化性基を有する、プロセス。
【請求項2】
ステップ1)中の前記成分が、e)充填剤、f)非反応性シリコーン樹脂、又は、これらの組み合わせ、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
2)触媒阻害剤を添加するステップと、任意で、3)ステップ2)の生成物を精製するステップと、をさらに具える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
1)a)平均で1分子当たり少なくとも2個の脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、並びに、
b)平均で、1分子当たり4〜15個のケイ素原子、及び、成分a)中の1つの脂肪族不飽和有機基当たりのケイ素結合水素原子(SiH/Vi比)を少なくとも4つ有するポリオルガノ水素シロキサンであって、成分a)中の各脂肪族不飽和有機基当たり1分子の成分b)をもたらすのに十分な量で存在するポリオルガノ水素シロキサンb)、を含む成分を、
d)ヒドロシリル化触媒の存在下で、同時に反応させるステップと、
その後、
2)ステップ1)の生成物を、
c)1分子当たり、少なくとも1個の脂肪族不飽和有機基及び1個以上の硬化性基を有する反応種、を含む成分と反応させるステップとを具え、
ステップ1)及び/又はステップ2)中の成分は、e)充填剤、f)非反応性シリコーン樹脂、又は、これらの組み合わせをさらに含み;中間体精製ステップはステップ1)とステップ2)との間で行われず;(成分b)中の、ケイ素結合水素原子)/(成分a)中の脂肪族不飽和有機基)の割合(SiH/Vi比)が4/1〜20/1の範囲内であり、本プロセスにより調製される生成物が成分a)の該ポリオルガノシロキサンの各末端に2個以上の硬化性基を有する、プロセス。
【請求項5】
3)触媒阻害剤を添加するステップと、任意で、4)ステップ2)の前記生成物を精製するステップと、をさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
成分a)及び成分b)は、4/1〜10/1の範囲内の値を有する前記SiH/Vi比をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記充填剤が存在し、該充填剤は、ステップ1)前に、前記充填剤、充填剤処理剤、及び成分a)の全て又は一部を混合するステップを含む方法、によって添加される、請求項2〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
成分a)が、式(I)、式(II)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される式を有し、
式(I)は、RSiO(RSiO)(RSiO)SiRであり、
式(II)は、RSiO(RSiO)(RSiO)SiRであり、
各Rは、独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
各Rは、独立して脂肪族不飽和有機基であり、
下付き文字aは、2〜1000の範囲内の平均値を有し、
下付き文字bは、0〜1000の範囲内の平均値を有し、
下付き文字cは、0〜1000の範囲内の平均値を有し、
下付き文字dは、4〜1000の範囲内の平均値を有し、
10≦(a+b)≦1000であり、10≦(c+d)≦1000である、
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
成分b)が、環状ポリオルガノ水素シロキサンである、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
成分b)が、式(III)を有し、
式(III)は、(RSiO2/2(HRSiO2/2であり、
各Rは、独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字eは、0〜10の範囲内の平均値を有し、
下付き文字fは、3〜12の範囲内の平均値を有し、
(e+f)は、3〜12の範囲内の値を有する、
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
成分b)が、分岐ポリオルガノ水素シロキサンである、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
成分b)が式(IV)を有し、
式(IV)は、Si−(OSiR(OSiHRg’(OSiR(OSiRH)(4−h)であり、
式中、各Rは、独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字gは、0〜10の範囲内の値を有し、
下付き文字g’は、0〜10の範囲内の値を有し、
下付き文字hは、0〜1の範囲内の値を有し、
下付き文字g’が0である場合、下付き文字hも0である、
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
成分b)が、分子当たり平均少なくとも4個のケイ素結合水素原子を有する線状ポリオルガノ水素シロキサンである、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
成分b)が(V)、(VI)、又はこれらの組み合わせから選択される式を有し、
式(V)は、RHSiO(RSiO)(RHSiO)SiRHであり、
式(VI)は、RSiO(RSiO)(RHSiO)SiRであり、
式中、各Rは、独立して脂肪族不飽和を含まない一価有機基であり、
下付き文字iは、1〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字jは、2〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字kは、0〜12の範囲内の平均値を有し、
下付き文字mは、4〜12の範囲内の平均値を有し、
4≦(i+j)≦13であり、4≦(k+m)≦13である、
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
成分c)上の前記硬化性基が、アクリレート、アルコール、アルコキシ、エポキシ、イソシアネート、メタクリレート、ウレタン、及び、これらの組み合わせから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
成分c)が2個以上の反応種を含み、該2個以上の反応種が2個以上の異なる硬化性基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
成分c)が2個以上の(VII)のシランを含み、
式(VII)はRSiR(4−n)であり、
式中、各下付き文字nは、独立して1〜3の範囲内の値を有し、
各Rは、独立してアルケニル基又はアルキニル基であり、
各Rは、独立してアクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択され、
少なくとも1個のシラン上のR基は別のシラン上の少なくとも1個の他のR基とは異なる、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
成分c)が、式(VIII)のシランを含み、
式(VIII)はRSiR(4−o)であり、式中、
下付き文字oは1〜3の範囲内の値を有し、
各Rは独立してアルケニル基又はアルキニル基であり、
各Rは独立してアクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択される、
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
成分c)が、1分子当たり平均、1〜2個のアルケニル又はアルキニル基と、アクリレート基、アルコキシ基、エポキシ基、及びメタクリレート基から選択される1個以上の反応性基と、を有する有機化合物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
成分c)が、アリルアルコール、ビニルアルコール、アリルエーテル、アリルアルコールプロポキシレート、アリルアセテート、アリルアセトアセテート、アルケニルメタクリレート、アルケニルエポキシド、アルケニルトリアルコキシシラン、アリルグリシジルエーテル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
ステップ1)中の前記成分が、g)鎖延長剤、h)末端キャップ剤、又は、両方をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
前請求項のいずれか1項に記載のプロセスにより調製されるクラスタ化官能性生成物。
【請求項23】
(I)請求項22に記載のクラスタ化官能性生成物、及び、
(II)硬化剤
を含む、硬化性シリコーン組成物。
【請求項24】
(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、(XII)酸受容体、及び、これらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が縮合反応硬化性であり、成分(II)が縮合反応触媒であり、前記組成物が、任意で、トリアルコキシシラン、アセトキシシラン、ケトキシモシラン、アルキルオルトシリケート、アルキルポリシリケート、メチルビニルビス(n−メチルアセトアミド)シラン、及び、これらの組み合わせから選択される(III)架橋剤をさらに含む、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が放射線硬化性であり、成分(II)がラジカル開始剤を含む、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記ラジカルを、放射線、熱、有機ボラン、又はレドックス反応により生成することができる、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
成分(I)が、2つ以上のタイプの硬化性基を有する、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
成分(I)が、縮合反応硬化性基及びラジカル硬化性基の両方を有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
成分(II)が、放射線硬化性基である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
成分(I)が、エポキシ及びアルコキシ基を有する、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
成分(I)がアルコキシ基を有し、成分(I)がアクリレート基、メタクリレート基、又はこれらの組み合わせを有する、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
(I)請求項1に記載のプロセスにより調製されるクラスタ化官能性ポリオルガノシロキサン、
(II)硬化剤、及び、
(X)充填剤
を含む、硬化性シリコーン組成物。
【請求項34】
前記充填剤が熱伝導性充填剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、(XI)充填剤処理剤、(XII)酸受容体、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項33又は請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
請求項23〜35のいずれか1項に記載の組成物のエレクトロニクス用途における使用。

【公表番号】特表2013−510227(P2013−510227A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537961(P2012−537961)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055232
【国際公開番号】WO2011/056832
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】