説明

クラッド層形成用樹脂組成物およびこれを用いたクラッド層形成用樹脂フィルム、これらを用いた光導波路ならびに光モジュール

【課題】耐屈曲性、耐捻性に優れるクラッド層形成用樹脂組成物、およびクラッド層形成用樹脂フィルム、これらを用いて作製した光導波路ならびに光モジュールを提供すること。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する光導波路のクラッド層形成用樹脂組成物、およびクラッド層形成用樹脂フィルム、これらを用いて作製した光導波路ならびに光モジュールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッド層形成用樹脂組成物およびクラッド層形成用樹脂フィルムそれらを用いた光導波路ならびに光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子間や配線基板間の高速・高密度信号伝送において、従来の電気配線による伝送では、信号の相互干渉や減衰が障壁となり、高速・高密度化の限界が見え始めている。これを打ち破るため電子素子間や配線基板間を光で接続する技術、いわゆる光インタコネクションが検討されている。
機器内部や機器間などの短距離で光信号を伝送するためには、フレキシブルなフィルム光導波路が望まれている。特に、携帯用小型機器の内部に光導波路を配線する場合には、省スペース化のために部品表面を這わせるようにして配線する場合も多く、小さな曲率半径で屈曲可能な、ポリマーフィルム光導波路が求められている。
フレキシブル光導波路の屈曲性、あるいは形状復元する際の界面における追従性を向上させるために、低弾性率材料を用いた光導波路の開発がなされている。例えば、特許文献1及び2では、光導波路の曲げ弾性率を1000MPa以下、膜厚を150μm以下とした、耐屈曲性、耐捻性の高いフィルム光導波路が提案されている。しかし、スタンパを用いて光導波路を作製していることから、設計の自由度が低く、設計の変更がし難しいこという欠点がある。
【0003】
【特許文献1】特許第3870976号
【特許文献2】特開第3906870号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、耐屈曲性、耐捻性に優れるクラッド層形成用樹脂組成物、およびクラッド層形成用樹脂フィルム、これらを用いて作製した光導波路ならびに光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、以下の方法により上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明は、以下(1)〜(20)に関する。
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する光導波路のクラッド層形成用樹脂組成物。
(2)(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤との合計重量をAとし、(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量をBとしたとき、その比率A/Bが0.24〜1.0である上記(1)のクラッド層形成用樹脂組成物。
(3)(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーが、エポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーを含む上記(1)又は(2)のクラッド層形成用樹脂組成物。
(4)前記エポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーが、エポキシ基含有繰り返し単位を0.5〜6質量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーを含む上記(3)のクラッド層形成用樹脂組成物。
(5)前記(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量が10万以上である、上記(1)〜(4)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(6)さらに(D)フィラーを含有する上記(1)〜(5)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(7)前記(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーが、グリシジル(メタ)アクリレートを1.5〜2.5質量%含み、かつ重量平均分子量が10万以上のエポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーであり、(D)フィラーとして、平均粒径が0.010〜0.1μmの無機フィラーを(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部対して1〜50質量部含む上記(6)のクラッド層形成用樹脂組成物。
(8)さらに(E)硬化促進剤を含有する上記(1)〜(7)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(9)(E)硬化促進剤がイミダゾール化合物を含む上記(8)のクラッド層形成用樹脂組成物。
(10)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、25℃での引張り弾性率が1〜2000MPaである上記(1)〜(9)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(11)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、25℃での引張り破断伸び率が10〜600%である上記(1)〜(10)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(12)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径2mmの屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない上記(1)〜(11)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(13)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、捻回耐久試験を10万回実施後、破断のない上記(1)〜(12)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物を用いたクラッド層形成用樹脂フィルム。
(15)上記(1)〜(13)のいずれかのクラッド層形成用樹脂組成物により、下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成された光導波路。
(16)上記(14)のクラッド層形成用樹脂フィルムにより、下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成された光導波路。
(17)前記光導波路の下部クラッド層と上部クラッド層の間に、両クラッド層よりも屈折率の高い感光性樹脂組成物によりコア部が形成され、コア部とクラッド層との比屈折率差が1〜10%である上記(15)又は(16)の光導波路。
(18)クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と支持フィルムから構成され、支持フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されている上記(16)又は(17)の光導波路。
(19)クラッド層形成用樹脂フィルムが、接着処理を施した支持フィルム上にクラッド層形成用樹脂組成物が成膜されてなる上記(18)の光導波路。
(20)上記(15)〜(19)のいずれかの光導波路を用いた光モジュール。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐屈曲性、耐捻性に優れるクラッド層形成用樹脂組成物、およびクラッド層形成用樹脂フィルム、これらを用いて作製した光導波路ならびに光モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下において、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において使用される(A)エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、二官能基以上で、好ましくは分子量が5000未満、より好ましくは3000未満のエポキシ樹脂を使用することができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添2,2’−ビフェノール型エポキシ樹脂、水添4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂などの水添2官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−クレゾール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂などの2官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;シクロヘキサンジオール型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリシクロデカンジメタノール型エポキシ樹脂などの2官能脂環式アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能芳香族グリシジルエステル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能脂環式グリシジルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトリフルオロメチルアニリンなどの2官能芳香族グリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,o−トリグリシジル−p−アミノフェノールなどの3官能以上の多官能芳香族グリシジルアミン;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどの2官能脂環式エポキシ樹脂;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加体などの3官能以上の多官能脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートなどの3官能以上の多官能複素環式エポキシ樹脂;オルガノポリシロキサン型エポキシ樹脂などのケイ素含有2官能又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び(メタ)アクリルポリマーとの相溶性の観点から、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル型液状エポキシ樹脂;上記2官能脂環式液状エポキシ樹脂であることが好ましい。
以上の化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0008】
本発明においては、耐熱性の観点から、必要に応じて室温で固体であり、環球式で測定した軟化点が50℃以上のエポキシ樹脂を、好ましくはエポキシ樹脂全体の20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上使用することができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらは単独又は2種類以上を併用してもよく、エポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
【0009】
本発明において使用する(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させることが可能なものであれば、特に限定することなく使用可能である。
【0010】
フェノール系エポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールAD、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール、フルオレン型ビスフェノールなどの2官能フェノール;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリアジン環含有フェノールノボラック樹脂、トリアジン環含有クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、テトラブロモビスフェノールAノボラック樹脂、ビスフェノールAFノボラック樹脂、ビスフェノールADノボラック樹脂、ビフェノールノボラック樹脂、フルオレン型ビスフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂;フェノールレゾール樹脂、クレゾールレゾール樹脂などのレゾール樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び(メタ)アクリルポリマーとの相溶性の観点から、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの2官能フェノール;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック樹脂であることが好ましい。
以上の化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明においては、また、耐湿性の観点から、必要に応じて水酸基当量150g/eq以上のフェノール樹脂を使用することができる。このようなフェノール樹脂としては、上記値を有する限り特に制限は無いが、ノボラック型あるいはレゾール型の樹脂を用いることが好ましい。
上記したフェノール樹脂の具体例として、例えば、下記一般式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R1は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキル基、環状アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、nは、1〜3の整数を表し、そしてmは、0〜50の整数を表す)
で示されるフェノール樹脂が挙げられる。このようなフェノール樹脂としては、式(I)に合致する限り、特に制限は無いが、耐湿性の観点から、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に48時間投入後の吸水率が2質量%以下であることが好ましい。また、熱重量分析計(TGA)で測定した350℃での加熱重量減少率(昇温速度:5℃/min,雰囲気:窒素)が5質量%未満のものを使用することは、加熱加工時などにおいて揮発分が抑制されることで、耐熱性、耐湿性などの諸特性の信頼性が高くなるために、好ましい。
【0014】
式(I)で示されるフェノール樹脂は、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができる。
上記したようなフェノール樹脂としては、例えば、ミレックスXLC−シリーズ,同XLシリーズ(以上、三井化学株式会社製、商品名)などを挙げることができる。
上記フェノール樹脂をエポキシ樹脂と組合せて使用する場合の配合量は、それぞれエポキシ当量と水酸基当量の当量比で0.70/0.30〜0.30/0.70となるのが好ましく、0.65/0.35〜0.35/0.65となるのがより好ましく、0.60/0.30〜0.30/0.60となるのがさらに好ましく、0.55/0.45〜0.45/0.55となるのが特に好ましい。配合比が上記範囲であれば、硬化性が十分に得られる。
【0015】
これらのフェノール系エポキシ樹脂硬化剤は、単独、或いは、組み合わせて用いることもできる。
【0016】
(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、エポキシ基の硬化反応を進行させることができれば、特に限定されないが、好ましくは、エポキシ基1モルに対して、0.01〜5.0当量の範囲で、特に好ましくは0.8〜1.2当量の範囲で使用する。
【0017】
本発明において使用される(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーは、重量平均分子量が10万以上であるものが好ましい。ここで、本発明の(C)成分における(メタ)アクリルポリマーとは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、及びこれらの誘導体を単量体とし、これを重合してなるポリマーをいう。該(メタ)アクリルポリマーは、上記単量体の単独重合体であってもよいし、また、これらのモノマーの2種以上を重合させた共重合体であってもよい。さらには、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記のモノマーと、上記以外のモノマーとを含む共重合体であってもよい。また、複数の(メタ)アクリルポリマーの混合物であってもよい。
反応性官能基としては、例えば、カルボン酸基、アミノ基、水酸基及びエポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、官能基モノマーが、カルボン酸タイプのアクリル酸であると、橋架け反応が進行しやすく、ワニス状態でのゲル化が生じやすい。そのため、これらを生ずることがないか、あるいは生じる場合でもゲル化するまでの期間が長いエポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーを使用することがより好ましい。本発明に使用される(C)成分としては、重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーを使用することがさらに好ましい。また、(C)成分としては、エポキシ基含有繰り返し単位を0.5〜6質量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーを含むことが好ましい。
本発明に使用される(C)成分は、官能基含有(メタ)アクリルポリマーを得る重合反応において、未反応モノマーが残存するように重合して得るか、又は高分子化合物を得た後、反応性基含有モノマーを添加することによっても得ることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0018】
(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル及びアクリロニトリルなどの共重合体であるアクリルゴムが挙げられる。
また、密着性及び耐熱性が高いことから、共重合体モノマーとして、エチレン性不飽和エポキシドを0.5〜6質量%を含み、かつ重量平均分子量が10万以上である(メタ)アクリルポリマーが特に好ましい。
エチレン性不飽和エポキシドとしては、特に制限はなく、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。この中で、透明性及び耐熱性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
エチレン性不飽和エポキシドを0.5〜6質量%含み、ガラス転移温度(以下「Tg」という)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が10万以上である(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、HTR−860P−3(帝国化学産業株式会社製、商品名)が挙げられる。エチレン性不飽和エポキシドの含有量は、2〜6質量%であることがより好ましい。より高い密着力を得るためには、2質量%以上が好ましく、ゲル化を抑える観点から、6質量%以下が好ましい。残部はメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、およびスチレンやアクリロニトリルなどの混合物を用いることができる。これらの中でもエチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。混合比率は、共重合体のTgを考慮して調整することが好ましい。Tgが−10℃以上であるとBステージ状態でのクラッド層又はクラッド層フィルムのタック性の増大を抑えることが可能であり、取り扱い性を向上させることができる。重合方法は特に制限が無く、例えば、パール重合、溶液重合等が挙げられ、これらの方法により共重合体が得られる。
【0019】
(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量は、10万〜300万であることが好ましく、30万〜300万であることがさらに好ましく、50万〜200万であることが特に好ましい。重量平均分子量が10万以上であれば、シート状、フィルム状での強度や可とう性の十分でタック性が増大することがない。一方、300万以下であれば、エポキシ樹脂やフェノール系エポキシ樹脂硬化剤との相溶性が良好であり、さらにフロー性が十分でコア埋め込み性が低下することがない。
【0020】
上記(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの添加量は、弾性率低減や成型時のフロー性抑制が可能なため、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤との合計重量をAとし、(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量をBとしたとき、その比率A/Bが0.24〜1.0であることが好ましい。上記の配合比率が0.24以上であれば、弾性率の低減及び成形時のフロー性抑制効果が得られ、一方、1.0以下であると、高温での取り扱い性を向上させることができる。
【0021】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物には、さらに、必要に応じて(D)フィラー及び/又は(E)硬化促進剤を添加することができる。
【0022】
本発明において使用される(D)フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーが挙げられるが、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整及びチキソトロピック性付与などのために、無機フィラーを添加することが好ましい。
無機フィラーとしては特に制限が無く、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を併用することもできる。熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶質シリカ、非晶質シリカなどが好ましい。
有機フィラーとしては、各種ゴムフィラーなどがあり、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴムフィラー、シリコーンゴムフィラーなどが挙げられる。これらは低温における可とう性の向上及び低弾性率化に効果がある。
【0023】
本発明において使用するフィラーは、水との接触角が100以下であることがより好ましい。水との接触角が100度超の場合、フィラーの添加効果が減少する傾向があり、水との接触角が60度以下である場合は特に耐リフロー性向上の効果が高く、好ましい。フィラーの平均粒径は0.010μm以上、0.1μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.010μm以上であると、分散性、流動性を向上させることができ、0.1μm以下であると、コアとの密着性を向上させることができる。
なお、フィラーの水との接触角は以下の方法で測定される。フィラーを圧縮成型し平板を作製し、その上に水滴を滴下し、その水滴が平板と接触する角度を接触角計で測定する。接触角の値は、この測定を10回行い、その平均値を使用する。
このようなフィラーとしてはシリカ、アルミナ、アンチモン酸化物などが挙げられる。シリカはシーアイ化成株式会社からナノテックSiO2(接触角:43度、平均粒径:0.012μm)という商品名で、或いは日本アエロジル株式会社からアエロジルR972(平均粒径:0.016μm)という商品名で市販されている。アルミナは、シーアイ化成株式会社からナノテックAl23(接触角:55度、平均粒径:0.033μm)という商品名で市販されている。三酸化二アンチモンは日本精鉱株式会社からPATOX−U(接触角:43度、平均粒径:0.02μm)という商品名で市販されている。
【0024】
フィラーの添加量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部以下であることが好ましい。使用量が50質量部以下であれば、クラッド層形成用樹脂硬化フィルムの貯蔵弾性率の上昇、密着性の低下などの問題が起こりにくく、さらに好ましくは5質量部以上40質量部未満であり、特に好ましくは10質量部以上30質量部未満である。
【0025】
本発明に使用される(E)硬化促進剤としては、特に制限が無く、例えば、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルアニリンなどの2級アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどの3級アミン;ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどの環状アミン;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−1−メチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]エチル−s−トリアジンなどのイミダゾール化合物;上記イミダゾール化合物のトリメリト酸付加体;上記イミダゾール化合物のイソシアヌル酸付加体;上記イミダゾール化合物の臭化水素酸付加体;塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び硬化性の観点から上記イミダゾール化合物;上記イミダゾール化合物のトリメリト酸付加体;上記イミダゾール化合物のイソシアヌル酸付加体であることが好ましい。
以上の化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
(E)硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂及びフェノール系エポキシ樹脂硬化剤との総量に対して0〜5.0質量%とすることが好ましく、0.05〜3.0質量%とすることがより好ましく、さらには0.2〜3.0質量%とすることがより好ましい。硬化促進剤の配合量が5.0質量%以下であれば、保存安定性が向上し、ポットライフが充分となる。
【0027】
また、本発明においては、このクラッド層形成用樹脂組成物の硬化フィルムが、25℃で引張り弾性率を測定した場合、1〜2000MPaであることが好ましく、10〜1500MPaがより好ましく、20〜1000MPaがさらに好ましい。クラッド層形成用樹脂硬化フィルムの引張り弾性率が1〜2000MPaの間であれば、小さな外力で容易に折れ曲がったりねじれたりする。硬化フィルムの引張り弾性率が2000MPa以下の場合、屈曲試験や捻り試験を行ったときに、脆いために破断するがことなく、好適である。一方、1MPa以上の場合には、屈曲試験や捻り試験を行ったときに、硬化フィルムが伸びきることなく、もとの形状に戻るため、好適である。
本発明のクラッド層形成用樹脂硬化フィルムの引張り試験における25℃での引張り破断伸び率は、10〜600%が好ましく、さらに好ましくは15〜400%がより好ましく、20〜200%がさらに好ましい。引張り破断伸び率が、10%以上の場合、硬くて脆いため屈曲試験を行ったときに破断するのを抑えることができる。600%以下の場合、屈曲試験により硬化フィルムが伸びることなく、もとの形状に戻るため、好適である。なお、引張り破断伸び率とは、フィルム引張り試験においてフィルムが破断した時点での伸び率のことを意味するものである。
このクラッド層形成用樹脂硬化フィルムを光導波路に用いれば、機械的な引張り力が加わっても、上下クラッド層で吸収されるため、コアの変形を小さくすることができ、フィルム光導波路の伝送特性の劣化を抑制することができる。
【0028】
本発明のクラッド層形成用組成物の硬化物を250℃で加熱した際の重量減少率は、5質量%以下であることが好ましい。加熱時の重量減少率が5質量%以下であれば、リフロープロセスを適用することができる。
【0029】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物には、その可とう性や耐リフロークラック性向上のため、さらに、エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂としては特に制限が無く、例えば、フェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂、極性の大きい官能基含有ゴム、極性の大きい官能基含有反応性ゴム等を使用することができる。
フェノキシ樹脂は、東都化成株式会社から、フェノトートYP−40、フェノトートYP−50という商品名で市販されている。また、フェノキシアソシエート社から、PKHC、PKHH、PKHJという商品名でも市販されている。
高分子量エポキシ樹脂としては、分子量が3万〜8万の高分子量エポキシ樹脂、さらには、分子量が8万を越える超高分子量エポキシ樹脂(特公平7−59617号公報、特公平7−59618号公報、特公平7−59619号公報、特公平7−59620号公報、特公平7−64911号公報、特公平7−68327号公報等参照)が挙げられる。極性の大きい官能基含有反応性ゴムとして、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムは、JSR株式会社から、PNR−1という商品名で市販されている。
エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、40質量部以下とするのが好ましい。40質量部以下であれば、エポキシ樹脂層のTgを低下させることがなく、好適である。
【0030】
また、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物には、異種材料間の界面結合を良くするために、さらに、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系などが挙げられるが、シラン系カップリング剤が最も好ましい。
シラン系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロ)イミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−ジメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
チタン系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
アルミニウム系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノ−エチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレートなどを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
カップリング剤の添加量は、その効果や耐熱性およびコストから、樹脂の合計100質量部に対し、0〜10質量部とするのが好ましい。
【0031】
本発明においては、25℃における貯蔵弾性率が1〜2000MPaの硬化物を与えるクラッド層形成用樹脂組成物が好ましい。
このような特性を有するクラッド層形成用樹脂組成物は、例えば、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマー、並びに(D)フィラー及び(E)硬化促進剤からなる組成物により達成される。特にフィラーを含有するものが好ましく、0.010〜0.1μmの平均粒径を有するフィラーを含有するものが特に好ましい。
【0032】
上記特性を有するクラッド層形成用樹脂フィルムは、エポキシ樹脂、及びフェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及び反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマー、並びに必要に応じてフィラー及び/又は硬化促進剤からなる組成物又はそのフィルム状物により達成される。特にエポキシ樹脂、及びフェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及びグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを1.5〜2.5質量%含有する重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有アクリル共重合体、並びにフィラー及び硬化促進剤からなる接着フィルムにより達成される。
【0033】
さらに、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物及びクラッド層形成用樹脂フィルムは、(A)〜(E)の成分の配合割合が、
(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤との合計 49.5〜17.0質量%、
(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマー 50.0〜70.0質量%、
(D)フィラー 0.45〜10.0質量%及び
(E)硬化促進剤0.05〜3.0質量%
から成るものであることが好ましい。
(A)エポキシ樹脂及び(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤の合計の配合量は、17.0〜49.5質量%であることが好ましい。17.0質量%以上では、密着性、コア埋め込み性等が十分となり、一方、49.5質量%以下では、適度な弾性率を有する。
ここで、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤との比率〔(A):(B)〕は、33:67〜75:25であることが好ましい。
この比率で、(A)エポキシ樹脂が多すぎると、耐熱性が不充分となる傾向があり、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤が多すぎると成形性等が不充分となる傾向がある。
上記した配合からなる組成物を使用することにより、耐屈曲性、耐捻性などに優れたクラッド層形成用樹脂硬化フィルムを得ることができる。
【0034】
本発明のクラッド層形成用樹脂フィルムは、また、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤の合計重量をAとし、(C)0.5〜6質量%の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上である(メタ)アクリルポリマーの重量をBとしたとき、その比率A/Bが0.24〜1.0であるクラッド層形成用樹脂組成物からなることが好ましい。
以下、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムについて説明する。
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの25℃での引張り弾性率は、1〜2000MPaであることが好ましく、10〜1500MPaがより好ましく、20〜1000MPaがさらに好ましい。弾性率が2000MPa以下の硬化フィルムにすると、フィルムを厚み方向に曲げた場合、小さな曲率半径で曲げることのできるフィルム光導波路を作製することができる。
【0035】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの25℃での引張り試験における引張り破断伸び率は、10〜600%が好ましく、さらに好ましくは15〜400%がより好ましく、20〜200%がさらに好ましい。引張り破断伸び率が、10%以上であると、脆くなり屈曲時に破断することがなく、好適である。600%以下であると、十分な柔軟性が得られるとともに、屈曲時に光導波路が伸びて変形してしまうことがなく好適である。なお、引張り破断伸び率とは、フィルム引張り試験においてフィルムが破断した時点での伸び率のことを意味するものである。
【0036】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物の硬化物は、最高温度265℃のリフロー試験を3回実施した後の屈折率変化が±0.005以下であることが好ましい。この範囲にあれば、光学的な安定性を確保できるため、鉛フリーリフロープロセスが適用でき、以上の観点から、屈折率変化は±0.003以内であることがより好ましく、±0.001以内であることがさらに好ましい。なお、最高温度265℃のリフロー試験とは、IPC/JEDEC J−STD−020Bに準じた条件で実施する鉛フリーはんだリフロー試験のことを意味するものである。
【0037】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムは、繰り返し曲げ試験において、曲率半径1〜5mm、例えば2mmで10万回曲げ試験を実施後、機械的破断が発生しないことが好ましい。硬化フィルムに機械的破断が発生しないと、これを用いた光導波路が長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。機器の小型化のためには、より小さい曲率半径においても光導波路に機械的破断が発生しないことが求められ、この観点から、クラッド層形成用硬化フィルムが曲率半径0.5mmで機械的破断を発生しないことがより好ましく、さらに曲率半径0.2mmで機械的破断が発生しないことが好ましい。機械的破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
【0038】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの繰り返し捻り試験において、10万回捻り試験を実施後、クラッド層形成用樹脂硬化フィルムに機械的破断が発生しないことが好ましい。さらに好ましくは、100万回捻り試験を実施後、機械的破断が発生しないことである。硬化フィルムに機械的破断が発生しないと、このフィルムをクラッド層に用いた光導波路は長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。機械的破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
【0039】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる、厚み110μmの硬化フィルムの全光線透過率は50%以上であることが好ましい。該透過率が50%以上であれば、光導波路においてコア部の視認性が良好であり、例えば光導波路をダイシングソーにより外形加工する際に、加工の位置決めがしやすくなる。以上の観点から、該透過率は60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。なお、全光線透過率の上限については特に制限されない。
【0040】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる、厚み110μmの硬化フィルムのヘイズ(曇価)は50%以下であることが好ましい。ヘイズが50%以下であれば、光導波路においてコア部の視認性が良好であり、例えば光導波路をダイシングソーにより外形加工する際に、加工の位置決めがしやすくなる。以上の観点から、ヘイズは40%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
【0041】
本発明のクラッド層形成用樹脂フィルムは、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物をメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンなどの溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムなどの支持体フィルム上に塗布、加熱、乾燥し、溶剤を除去することにより、支持体フィルム上に形成されたクラッド層として得られ、さらに必要に応じ、保護フィルムを設けてもよい。
この際の加熱条件としては、例えば、80〜250℃で、10分間〜20時間程度であることが好ましい。
前記支持体フィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルムを使用することができ、これらプラスチックフィルムは表面を離型処理して使用することもできる。支持体フィルムは、使用時に剥離してクラッド層のみを使用することもできるし、支持体フィルムとともに使用し、後で除去することもできる。
支持体フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
【0042】
クラッド層の厚さは、特に制限されるものではないが、5〜500μm範囲が好ましい。5μm以上であると、光の閉じ込めに必要なクラッド厚さが確保でき、500μm以下であると、膜厚を均一に制御することが容易である。以上の観点から、該クラッド層の厚さは、さらに10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、クラッド層の厚さは、最初に形成される下部クラッド層と、コアパターンを埋め込むための上部クラッド層において、同一であっても異なってもよいが、コアパターンを埋め込むために、上部クラッド層の厚さはコア層の厚さよりも厚くすることが好ましい。
前記ワニス化の溶剤としては、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を溶解しえるものであれば特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常10〜80質量%であることが好ましい。
【0043】
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物にフィラーを添加した際のワニスの製造には、フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、これらを組み合せて使用することもできる。また、フィラーと低分子化合物をあらかじめ混合した後、(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーを配合することによって、混合する時間を短縮することも可能となる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することが好ましい。
また、本発明においてフィラーをクラッド層形成用樹脂組成物に添加する場合、エポキシ樹脂及びフェノール系エポキシ樹脂硬化剤とフィラーを混合した後、それらの混合物に(B)エポキシ樹脂と(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーを混合することによりクラッド層形成用樹脂組成物を製造する方法を採用することが好ましい。
【0044】
次に、本発明で使用するコア部形成用樹脂組成物は、コア層がクラッド層より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る樹脂組成物を用いることができ、感光性樹脂組成物が好適である。
【0045】
コア部形成用樹脂フィルムの厚さについては特に限定されず、乾燥後のコア層の厚さが、通常は10〜100μmとなるように調整される。
コア層の厚さが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバーとの結合において位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバーとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。
以上の観点から、該フィルムの厚さは、さらに30〜70μmの範囲であることが好ましい。
【0046】
コア部形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる基材は、コア部形成用樹脂フィルムを支持する支持体であって、その材料については特に限定されないが、後にコア部形成用樹脂フィルムを剥離することが容易であり、かつ、耐熱性及び耐溶剤性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適に挙げられる。
該基材の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると、支持体としての強度が得やすいという利点があり、50μm以下であると、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できるという利点がある。
以上の観点から、該基材の厚さは10〜40μmの範囲であることがより好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。
【0047】
また、露光用光線の透過率向上及びコアパターンの側壁荒れ低減のため、高透明タイプのフレキシブルな基材を用いるのが好ましい。
高透明タイプの基材のヘイズ値は5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。
なお、ヘイズ値はJIS K7105に準拠して測定したものであり、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業株式会社製)等の市販の濁度計などで測定可能である。
このような基材としては、東洋紡績株式会社製、商品名「コスモシャインA1517」や「コスモシャインA4100」として入手可能である。
なお、上記基材は、後にコア部形成用樹脂フィルムの剥離を容易とするため、離型処理、帯電防止処理等が施されていてもよい。
【0048】
また、コア部形成用樹脂フィルムの製造に際し、コア部形成用樹脂フィルムの保護やロール状に製造する際の巻き取り性を向上させるなどの目的で、必要に応じコア部形成用樹脂フィルムに保護フィルムを貼り合わせてもよい。
保護フィルムとしては、前記クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムとして例に挙げたものと同様なものが使用でき、必要に応じ離型処理や帯電防止処理がなされていてもよい。
【0049】
以下、本発明のクラッド形成用樹脂組成物を用いて光導波路を作製する方法について説明する(図1参照)。
その方法としては、例えば、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、カーテンコート法、シルクスクリーン法、ロールコート法等の方法を用いて基板上に該樹脂組成物を塗布し、加熱、または減圧乾燥等によって溶媒を乾燥除去した後、加熱によって樹脂を硬化する。この樹脂層がクラッド層を構成するものである。
次いで、同様の塗布方法により、先に形成した光導波路層より屈折率の高い樹脂組成物を塗布し、これをコア層とする。
続いて、ネガまたはポジ型のマスクパターンを通して、活性光線を照射し、露光後、ウェット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、コアパターンを製造する。
ここで、必要に応じ、60〜250℃程度の加熱または0.1から1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、光導波路パターンをさらに硬化して用いてもよい。
この後、クラッド層形成用樹脂組成物を同様の方法にて塗布・製膜し、光導波路を作製する。
【0050】
以下、本発明のクラッド層形成用樹脂フィルムを用いてフレキシブル光導波路を形成するための製造方法について詳述する(図1参照)。
まず、第1の工程としてクラッド層形成用樹脂と基材フィルムから構成された第1のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、下部クラッド層2を形成する。
クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムの反対側に保護フィルムを設けている場合には該保護フィルムを剥離せずに、クラッド層形成用樹脂フィルムを光または加熱により硬化した後、保護フィルムを剥離し、クラッド層を形成する。
このとき、クラッド層形成用樹脂は接着処理を施した基材フィルム上に製膜されていることが好ましい。
一方、保護フィルムは、クラッド層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
【0051】
次いで、第2の工程としてクラッド層上にコア部形成用樹脂フィルムをラミネートし、コア層3を積層する。
この第2の工程において、上述のクラッド層上に、コア部形成用樹脂フィルムを室温、または加熱圧着することにより、クラッド層より屈折率の高いコア層を積層する。ここで、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。ここでの加熱温度は20〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm2)程度とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
なお、コア部形成用樹脂フィルムの基材の反対側に保護フィルムを設けている場合には該保護フィルムを剥離後、コア部形成用樹脂フィルムをラミネートする。
このとき、保護フィルム及び基材は、コア部形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
【0052】
次に、第3の工程として、コア層を露光現像し、光導波路のコアパターン6を形成する。
具体的には、ネガマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。
活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する公知の光源が挙げられる。
また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いることができる。
【0053】
次いで、コア部形成用樹脂フィルムの基材が残っている場合には、基材を剥離し、ウェット現像等で未露光部を除去して現像し、導波路パターンを形成する。
ウェット現像の場合は、前記フィルムの組成に適した有機溶剤系現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
有機溶剤系現像液としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量部の範囲で水を添加することが好ましい。
また、必要に応じて2種類以上の現像方法を併用してもよい。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、高圧スプレー方式等のスプレー方式、ブラッシング、スクラッピング等が挙げられ、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱または0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、光導波路パターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0054】
この後、コアパターンを第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートによって埋め込む第4の工程と、第2のクラッド層形成用樹脂フィルムのクラッド層形成用樹脂を硬化し、上部クラッド層7を形成する第5の工程を行う。
ラミネートは、クラッド層形成用樹脂フィルムがクラッド層形成用樹脂と基材フィルムからなる場合には、クラッド層形成用樹脂をコアパターン側にする。
このときのクラッド層の厚さは、前述のようにコア層の厚さより大きくすることが好ましい。硬化は、光または熱によって上記と同様に行う。
なお、クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムの反対側に保護フィルムを設けている場合には該保護フィルムを剥離後、クラッド層形成用樹脂フィルムを光または加熱により硬化し、クラッド層を形成する。
このとき、クラッド層形成用樹脂は接着処理を施した基材フィルム上に製膜されていることが好ましい。
一方、保護フィルムは、クラッド層形成用樹脂フィルムからの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
上述のフィルムを用いた製造方法によれば、薄膜形成が可能であり、従来の課題であったコアサイズの大きなマルチモードの光導波路の作製時間を大幅に短縮できる。
本発明のフィルム光導波路は、好ましくは1〜2000MPaの小さな引張り弾性率のクラッド層を有しているので、フィルム光導波路が屈曲し、あるいは形状復元する際の界面のおける追従性を向上させることができる。
本発明のフレキシブル光導波路の繰り返し曲げ試験において、1〜5mm、例えば2mmの曲率半径で10万回曲げ試験を実施後、フレキシブル光導波路に機械的破断が発生しないことが好ましい。さらに好ましくは、100万回曲げ試験を実施後、機械的破断が発生しないことである。光導波路に機械的破断が発生しないと、長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。機器の小型化のためには、より小さい曲率半径においても光導波路に機械的破断が発生しないことが求められ、この観点から、曲率半径0.5mmで機械的破断が発生しないことがより好ましい。機械的破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
【0055】
本発明のフレキシブル光導波路の繰り返し捻り試験において、10万回捻り試験を実施後、フレキシブル光導波路に機械的破断が発生しないことが好ましい。さらに好ましくは、100万回捻り試験を実施後、機械的破断が発生しないことである。光導波路に機械的破断が発生しないと、長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。機械的破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
【0056】
本発明の光導波路において、光伝搬損失は0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であれば、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分である。以上の観点から0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
【0057】
本発明の光導波路は、コア部とクラッド層の比屈折率差が、1〜10%であることが好ましい。1%以上であると、屈曲時にコア部を伝搬する光がクラッド層に漏れ出すことがない。10%以下であると、光導波路と光ファイバなどの接続部において、伝搬光が広がりすぎることがなく、結合損失が大きくならない。以上の観点から、1.5〜7.5%であることがより好ましく、2〜5%であることが特に好ましい。なお、比屈折率差は、以下に示す式により求めた。
比屈折率差(%)=[(コア部の屈折率)2−(クラッド層の屈折率)2]/[2×(コア部の屈折率)2]×100
【0058】
本発明の光導波路は、耐屈曲性、耐捻性、透明性、信頼性、及び耐熱性に優れており、光モジュールの光伝送路として用いることもできる。光モジュールの形態としては、例えば、光導波路の両端に光ファイバを接続した光ファイバ付き光導波路、光導波路の両端にコネクタを接続したコネクタ付き光導波路、光導波路とプリント配線板とを複合化した光電気複合基板、光導波路と光信号と電気信号を相互に変換する光/電気変換素子を組み合わせた光電気変換モジュール、光導波路と波長分割フィルタを組み合わせた波長合分波器などが挙げられる。
なお、光電気複合基板において、複合化するプリント配線板として、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ基板、セラミック基板などのリジッド基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板などのフレキシブル基板などが挙げられる。
【実施例】
【0059】
以下の本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
[クラッド層形成用樹脂ワニスCLV−1の調合]
(A)エポキシ樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製YDCN−703、エポキシ当量209g/eq)55質量部、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤としてミレックスキシレン変性フェノール樹脂(三井化学株式会社製XLC−LL、水酸基当量175g/eq)45質量部、シランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製A−189)2質量部、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー株式会社製A−1160)3質量部、(D)フィラーとしてシリカフィラー(シリカ表面にジメチルジクロロシランを被覆し、400℃の反応器中で加水分解させた、メチル基などの有機基を表面に有するフィラー、日本アエロジル株式会社製R972、平均粒径0.016μm)32質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、さらにビーズミルを用いて90分混練した。これに(C)(メタ)アクリルポリマーとして、エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(ナガセケムテックス株式会社製HTR−860P−3、分子量80万、固形分12質量%)2333質量部(固形分280質量部)、及び(E)硬化促進剤として、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製2PZ−CN)を0.5質量部を加え、攪拌混合後、減圧脱泡して、クラッド層形成用樹脂ワニスCLV−1を得た。
[クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1の作製]
クラッド層形成用樹脂ワニスCLF−1を、表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A53、厚み25μm)の離型処理面上に塗工機(株式会社ヒラノテクシード製マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A31、厚み25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層形成用樹脂フィルムでは30μm、上部クラッド層形成用樹脂フィルムでは80μm、及び屈折率測定用硬化フィルムでは50μmとなるように調節した。
【0060】
[引張り試験、屈曲耐久試験、及び捻回耐久試験用、並びに全光線透過率及びヘイズ測定用硬化フィルムの作製]
ロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製HLM−1500)を用い、保護フィルム(A31)を除去した下部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、保護フィルム(A31)を除去した上部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。160℃で1時間硬化させた後、支持フィルム(A53)を除去して厚み110μmの硬化フィルムを得た。
【0061】
[引張り試験]
得られた硬化フィルム(幅10mm、長さ70mm)の引張り試験(つかみ具間距離50mm)を、引張り試験機(株式会社オリエンテック製 RTM−100)を用いて、温度25℃、引張り速度50mm/minで、JIS K 7127に準拠して行った。
(1)引張り弾性率
引張り弾性率は、引張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて、以下に示す式により算出した。
引張り弾性率(MPa)=直線上の2点間の応力の差(N)÷硬化フィルムの元の平均断面積(mm2)÷同じ2点間のひずみの差
(2)引張り破断伸び率
引張り破断伸び率は、以下に示す式により算出した。
引張り破断伸び率(%)=(破断時のつかみ具間距離(mm)−初期のつかみ具間距離(mm))÷初期のつかみ具間距離(mm)×100
【0062】
[屈曲耐久試験]
得られた硬化フィルム(幅5mm、長さ10mm)の屈曲耐久試験を、屈曲耐久試験機(株式会社大昌電子製)を用い、曲げ角度0〜180°、曲げ半径2mm、曲げ速度2回/秒の条件で屈曲耐久試験を行い、硬化フィルムの破断の有無を観察した。
○:10万回後も破断せず
×:10万回未満で破断
【0063】
[捻回耐久試験]
得られた硬化フィルム(幅2mm、長さ40mm)の捻回耐久試験を、屈曲耐久試験機(株式会社大昌電子製)を用い、捻り角度±180°、つかみ具間距離20mm、捻り速度0.5回/秒の条件で捻回耐久試験を行い、硬化フィルムの破断の有無を観察した。
○:10万回後も破断せず
×:10万回未満で破断
【0064】
[全光線透過率及びヘイズの測定]
得られた硬化フィルムの全光線透過率及びヘイズを分色度・濁度測定器(日本電食工業株式会社製COH 400)を用いて測定した。以下の基準で評価した。
(1)全光線透過率
○:50%以上
×:50%未満
(2)ヘイズ
○:50%以下
×:50%より大きい
【0065】
[コア部形成用樹脂ワニスCOV−1の調合]
バインダーポリマーとして、フェノキシ樹脂のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(東都化成株式会社製YP−70、固形分40質量%)63質量部(固形分25質量部)、重合性化合物として、エトキシ化フルオレン型ジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新中村化学工業株式会社A−BPEF/PGMAC70、固形分70質量%)54質量部(固形分38質量部)、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学工業株式会社EA−1020)38質量部、光ラジカル重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部を攪拌混合後、減圧脱泡して、コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を得た。
【0066】
[コア部形成用樹脂フィルムCOF−1の作製]
コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A1517、厚み16μm)の非処理面上に、クラッド層形成用樹脂フィルムと同様な方法で塗布乾燥し、コア部形成用樹脂フィルムCOF−1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、50μmとなるように調節した。
【0067】
[屈折率測定用硬化フィルムの作製]
(1)クラッド層形成用樹脂フィルム
クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を160℃で1時間硬化させた後、支持フィルム(A53)及び保護フィルム(A31)を除去して厚み50μmの硬化フィルムを得た。
(2)コア部形成用樹脂フィルム
コア部形成用樹脂フィルムCOF−1に、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射した。保護フィルム(A31)を除去し、160℃で1時間加熱処理後、支持フィルム(A1517)を除去して厚み50μmの硬化フィルムを得た。
【0068】
[屈折率の測定]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率をプリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて測定した。
【0069】
[比屈折率の算出]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率をプリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて測定した。
比屈折率差は、以下に示す式により算出した。
比屈折率差(%)=[(コア部形成用樹脂硬化フィルムの屈折率)2−(クラッド層形成用樹脂硬化フィルムの屈折率)2]÷[2×(コア部形成用樹脂硬化フィルムの屈折率)2]×100
【0070】
[光導波路の作製]
下部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1の保護フィルム(A31)を除去した後、160℃で1時間硬化させて、下部クラッド層を形成した。
【0071】
続いて、前記ロールラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去したコア部形成用樹脂フィルムCOF−1を、下部クラッド層上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。さらに、真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製MVLP−500/600)を用い、圧力0.4MPa、温度80℃及び加圧時間30秒の条件で圧着した。
次いで、幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機で紫外線(波長365nm)を500mJ/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。支持フィルム(A1517)を除去し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=70/30質量比)を用い、コア部を現像した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル、次いでイソプロパノールを用いて洗浄し、100℃で1時間加熱乾燥した。
【0072】
次に、前記真空加圧式ラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去した上部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、コア部及び下部クラッド層上に、圧力0.4MPa、温度80℃及び加圧時間30秒の条件で積層した。下部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1の支持フィルム(A53)を除去した後、160℃で1時間硬化させて、上部クラッド層を形成した。続いて、上部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1の支持フィルム(A53)を除去し、光導波路を得た。その後、ダイシングソー(株式会社ディスコ製DAD−341)を用いて導波路長10cmの光導波路を切り出した。
【0073】
実施例2〜6及び比較例1
表1に示す配合比に従ってクラッド層形成用樹脂ワニスCLV−2〜7を調合し、実施例1と同様な方法で、クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−2〜7を作製した。硬化フィルムの引張り試験、屈曲耐久試験、及び捻回耐久試験、並びに全光線透過率及びヘイズ測定を実施した結果を表1に示す。
続いて、これらの光導波路形成用樹脂フィルムを用いて、実施例1と同様な方法で、光導波路を作製した。光導波路の作製に用いたコア部形成用樹脂フィルム及びクラッド層形成用樹脂フィルムの組合せ、それぞれの硬化フィルムの屈折率を測定した結果、並びに比屈折率差を表2に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
*1:エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量80万)
*2:フェノキシ樹脂のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(東都化成株式会社製)
*3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、エポキシ当量172g/eq)
*4:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、エポキシ当量158g/eq)
*5:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、エポキシ当量209g/eq)
*6:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量204g/eq)
*7:ビスフェノールAノボラック樹脂のメチルエチルケトン溶液(大日本インキ化学工業株式会社、水酸基当量118g/eq)
*8:ビスフェノールAノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社、水酸基当量118g/eq)
*9:キシレン変性フェノール樹脂樹脂(三井化学株式会社、水酸基当量175g/eq)
*10:シリカフィラー(日本アエロジル株式会社製、平均粒径0.016μm)
*11:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製)
*12:γ‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー株式会社製)
*13:1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製)
*14:○…10万回後も破断せず、×…10万回未満で破断
*15:○…10万回後も破断せず、×…10万回未満で破断
*16:○…50%以上、×…50%未満、フィルム厚み110μmの条件で測定
*17:○…50%以下、×…50%より大きい、フィルム厚み110μmの条件で測定
【0076】
【表2】

【0077】
[光伝搬損失の測定]
実施例1〜6及び比較例1で得られた光導波路(導波路長10cm)の光伝搬損失を、光源に波長850nmの光を中心波長とするVCSEL(EXFO社製FLS−300−01−VCL)、受光センサ(株式会社アドバンテスト製Q82214)、入射ファイバ(GI−50/125マルチモードファイバ、NA=0.20)及び出射ファイバ(SI−114/125、NA=0.22)を用いて、カットバック法(測定導波路長10、5、3、2cm)により測定した。
○:0.3dB/cm以下
×:0.3dB/cmより大きい
【0078】
また、得られた光導波路(幅5mm、長さ10mm)の屈曲耐久試験及び捻回耐久試験を前記と同様な条件で実施した。
○:10万回後も破断せず
×:10万回未満で破断
以上の結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
*1:○…0.3dB/cm以下、×…0.3dB/cmより大きい
*2:○…10万回後も破断せず、×…10万回未満で破断
【0081】
表1から、本発明のクラッド層形成用樹脂組成物の硬化フィルムは、屈曲耐性及び捻回耐性に優れており、これらを用いて製造した光導波路も屈曲耐性及び捻回耐性に優れていることがわかる。一方、本発明に属さないクラッド層形成用樹脂組成物の硬化フィルム及び該樹脂組成物を用いて製造した光導波路は、屈曲耐性及び捻回耐性に劣っていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のクラッド層形成用樹脂硬化フィルム、及びこれを用いたフレキシブル光導波路は、上記構成により優れた屈曲耐性及び捻回耐性を有するものである。このため、光インタコネクション等の幅広い分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】光導波路作製工程の一例を示す断面模式図
【符号の説明】
【0084】
1、8;基材フィルム(クラッド層用)
2;下部クラッド層
3;コア層
4;基材フィルム(コア部形成用)
5;ホトマスク
6;コアパターン
7;上部クラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する光導波路のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項2】
(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール系エポキシ樹脂硬化剤との合計重量をAとし、(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量をBとしたとき、その比率A/Bが0.24〜1.0である請求項1に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項3】
(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーが、エポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーを含む請求項1又は2に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーが、エポキシ基含有繰り返し単位を0.5〜6質量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーを含む請求項3に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量が10万以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項6】
さらに(D)フィラーを含有する請求項1〜5のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項7】
前記(C)反応性官能基を有する(メタ)アクリルポリマーが、グリシジル(メタ)アクリレートを1.5〜2.5質量%含み、かつ重量平均分子量が10万以上のエポキシ基を有する(メタ)アクリルポリマーであり、(D)フィラーとして、平均粒径が0.010〜0.1μmの無機フィラーを(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部対して1〜50質量部含む請求項6に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項8】
さらに(E)硬化促進剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項9】
(E)硬化促進剤がイミダゾール化合物を含む請求項8に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項10】
前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、25℃での引張り弾性率が1〜2000MPaである請求項1〜9のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項11】
前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、25℃での引張り破断伸び率が10〜600%である請求項1〜10のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項12】
前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径2mmの屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない請求項1〜11のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項13】
前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、捻回耐久試験を10万回実施後、破断のない請求項1〜12のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物を用いたクラッド層形成用樹脂フィルム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物により、下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成された光導波路。
【請求項16】
請求項14に記載のクラッド層形成用樹脂フィルムにより、下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層が形成された光導波路。
【請求項17】
前記光導波路の下部クラッド層と上部クラッド層の間に、両クラッド層よりも屈折率の高い感光性樹脂組成物によりコア部が形成され、コア部とクラッド層との比屈折率差が1〜10%である請求項15又は16に記載の光導波路。
【請求項18】
クラッド層形成用樹脂フィルムの少なくとも1つがクラッド層形成用樹脂と支持フィルムから構成され、支持フィルムがコア層に対してクラッド層の外側に配置されている請求項16又は17に記載の光導波路。
【請求項19】
クラッド層形成用樹脂フィルムが、接着処理を施した支持フィルム上にクラッド層形成用樹脂組成物が成膜されてなる請求項18に記載の光導波路。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれかに記載の光導波路を用いた光モジュール。

【図1】
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【公開番号】特開2009−116291(P2009−116291A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14288(P2008−14288)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】