説明

クリップ式検査治具およびそれに使用されるクリップ開状態保持機構

【課題】 クリップ開状態保持機構をクリップ式検査治具本体に対して容易に着脱すること。
【解決手段】 クリップ開状態保持機構(600)は、クリップ式検査治具本体(400)の操作部(452)を基板(300)側に押圧し、基板とクリップ式検査治具本体の先端間を開状態に保持するものである。クリップ開状態保持機構は、基板に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレーム(610R、610L)と、第1の端に操作部(634)が設けられたレバー(630)と、レバーの第2の端に回動自在に結合されたリンク(640)と、一端がリンクの第2の端に回動自在に結合されたプッシャー(650)とを備える。レバーの回動操作により、リンクを介してプッシャーを上下動させ、操作部(452)を押圧、押圧解除するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(flexible printed circuit)やFFC(flexible flat cable)などのプリント配線板を接続したモジュールを検査するために使用されるクリップ式検査治具に関し、特に、クリップ式検査治具のクリップの開状態を保持するためのクリップ開状態保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象のモジュールとしては、液晶ディスプレイ(LCD)や電荷結合素子(CCD)などがある。このようなモジュールにはFPCやFFCなどのプリント配線板が接続されている。このようなモジュールを検査する際、プリント配線板の端部に配設された端子(端子電極)を、検査用テスタに電気的に接続するために、クリップ式検査治具が用いられる。上記プリント配線板は、検査側基板或いは検査対象物と呼ばれる。
【0003】
この種のクリップ式検査治具は、いわゆる洗濯バサミを摘まむ要領で簡単に、検査対象物を検査用テスタに電気的に接続できるという利点がある。このようなクリップ式検査治具は、回動軸(揺動軸)と、この回動軸に対して第1の端部側に設けられた挟持部と、回動軸に対して第2の端部側(第1の端部側とは反対側)に設けられた操作部とを備える。挟持部は、検査対象物を挿入して挟持するためのものである。ここで、「挟持」とは、挟んだ状態で支持することをいう。尚、挟持部は付勢手段によって常に閉じる方向に付勢されている。ここで、「付勢」とは、勢いが付されることをいう。操作部を押すことにより挟持部を開いた状態とし、この開いた状態の挟持部に検査対象物を挿入し、上記操作部への押す操作を解除することにより、挟持部を閉じて挟持部で検査対象物を挟む。これにより、検査対象物を電気的に検査用テスタに接続することができる。したがって、操作部を操作しない状態(すなわち、押さない状態)では、挟持部は閉じた状態にある。なお、挟持部には検査対象物が挿入されるので、挟持部は挿入部とも呼ばれる。
【0004】
このような構成のクリップ式検査治具は、従来から種々提案されている。例えば、特許文献1は、第1及び第2の接続対象板を電気コネクタを介して電気的に接続するための接続治具を開示している。第1の接続対象板はフレキシブル印刷回路(FPC)であってよく、第2の接続対象板はプリント回路基板であってよい。第1の接続対象板が検査対象物である。入出力インタフェースコネクタが、プリント回路基板の上面上に搭載されている。この入出力インタフェースコネクタと上記検査用テスタとはケーブルで接続される。
【0005】
特許文献1に開示された接続治具は、プリント回路基板の上面に搭載されたベースと、ベースを覆うカバーと、カバーをベースに回転可能に支持するシャフトと、シャフトの抜出を防止するシャフト止め輪と、カバーを押し上げる一対の第1のコイルスプリングと、カバーに保持されて、フレキシブル印刷回路を電気コネクタに向かって押圧するプッシャーと、プッシャーを押し上げる一対の第2のコイルスプリングと、ベースの前方側で、ベース内部に組み込まれたインナーフレームとを有する。ここで、「押圧」とは、押して押え付けることをいう。シャフトは回動軸として働く。カバーはその後ろ側に押し板を持つ。従って、この押し板が上記操作部として働く。プッシャーは、フレキシブル印刷回路(FPC)を、電気コネクタを介してプリント回路基板とで挟むものである。したがって、プッシャーとプリント回路基板との組合せが上記挟持部として作用する。
【0006】
また、特許文献2は、目視による位置あわせをせずに、検査作業が簡易で、しかも、位置合わせが正確な、検査対象物と基板の間をコネクタにより接続する「検査装置」を開示している。この特許文献2に開示された検査装置は、基板と、この基板を載置する基台と、検査対象物と基板との間を接続するコネタクと、コネクタを保持するインナーフレームと、インナーフレームにスライド可能に保持されるプッシャーと、ベースと、ベースに回転可能に保持され、プッシャーを押圧する操作部材と、操作部材をプッシャーの押圧方向に常時付勢する第1の弾性部材と、プッシャーを上記押圧方向とは反対方向に常時付勢する第2の弾性部材とを備える。インナーフレームとプッシャーとが協働して検査対象物の挿入をガイドし、かつ、位置決めしている。検査対象物を検査する際、操作部材を第1の弾性部材の付勢に抗して操作し、プッシャーを第2の弾性部材により押圧方向とは反対方向にスライドさせ、検査対象物をプッシャーに挿入した後、操作部材の操作を解除する。操作部材は上記操作部として働く。ベースには、操作部材がシャフトを中心として回転可能に取り付けられている。したがって、シャフトが上記回動軸として働く。そして、プッシャーと基板との組合せが、上記挟持部として作用する。
【0007】
とにかく、特許文献1や特許文献2に開示されたような、クリップ式検査治具においては、操作部を操作しない状態(すなわち、押さない状態)で、挟持部が閉じた状態にある。換言すれば、操作者(作業者)が操作部を操作しない限り、挟持部は閉じた状態に維持される。従って、挟持部を開いた状態に保持するためには、操作者(作業者)が操作部を押し続ける必要がある。操作者(作業者)が操作部に対する押す操作を解除すると、挟持部は閉じた状態に復旧する(戻る)。
【0008】
しかしながら、用途によっては、操作者(作業者)が操作部を一旦押して、操作を解除した後でも、挟持部が開いた状態を保持した方が都合が良い場合もある。その理由について説明する。上記クリップ式検査治具を使用する際には、人(操作者;作業者)が片手で操作部を操作して挟持部を開け、もう片方の手で検査対象物を開いた挟持部に挿入するという作業が必要となる。ここで、検査対象物が片手で扱える場合には問題がない。しかしながら、検査対象であるモジュールの寸法が大きいとか、検査対象物の形状が複雑である場合には、検査対象物を両手で扱わなければならない。このような状況では、上記クリップ式検査治具を使用する際には少なくとも二人の操作者(作業者)が必要となり、不自由となる。したがって、操作部を一旦操作するだけで操作を解除した後では挟持部が開いた状態を保持することができれば、1人の操作者でクリップ式検査治具を使用することができる。
【0009】
したがって、挟持部が開いた状態を保持する機構が必要となる。このような機構は、クリップ開状態保持機構と呼ばれる。
【0010】
挟持部が開いた状態を保持できる、すなわち、クリップ開状態保持機構を備えたクリップ式検査治具も種々知られている。例えば、特許文献3は、フレキシブル基板の端子電極に弾接するプローブに、ずれ方向の力が作用しない「基板用コネクタ」を開示している。ここで、「弾接」とは、弾力的に接することをいう。この特許文献3に開示された基板用コネクタは、本体ブロックとスライドブロックとを備える。これら本体ブロックとスライドブロックとはリニアシャフトにより軸方向に相対的に近接および分離移動自在である。本体ブロックとスライドブロックとの間にスプリングが縮設されている。本体ブロックにフレキシブル基板の端子電極の部分を軸方向と直交する面で配設している。スライドブロックに端子電極に臨んで軸方向と平行に複数本のプローブを設けている。係合レバーの一端部を本体ブロックに揺動自在としている。スライドブロックに係合レバーが係合する係合突起を設ける。係合レバーを係合方向に弾性付勢する係合用スプリングを設ける。スライドブロックを押し下げて本体ブロックに近接状態とし、プローブを端子電極に弾接させる。係合レバーは係合状態となり、近接状態を保持する。なお、「係合」とは、係わり合うこと、すなわち、2つの物体が互いに噛み合うことをいう。
【0011】
また、特許文献3において、スライドブロックには、本体ブロックと反対側の面に導出用基板が設けられる。この導出用基板には導出用パターンが形成されている。この導出用パターンにプローブの他端が電気的に接続される。導出用基板は、適宜に他の検査装置などの電子機器に電気的に接続される。導出用基板には、導出用パターンを保護するためにこれを覆うようにカバーが設けられる。本体ブロックとスライドブロックと導出用基板とカバーには、その略中央部に軸方向に貫通する空間部が設けられる。この空間部に係合レバーが設けられる。
【0012】
特許文献4は、検査側基板(検査対象物)を挿入して挟持させる挿入部(挟持部)の開口状態を確実に保つ「クリップ式中継コネクタ」を開示している。この特許文献4に開示されたクリップ式中継コネクタは、支軸で揺動自在に配設された絶縁性の第1および第2の基台と、弾性部材とを有する。ここで、「揺動」とは、揺れ動くことをいう。支軸の一方側には、第1の基台と第2の基台との間に挿入部が設けられる。弾性部材の弾力で、挿入部に挿入された検査側基板が挟持される。第2の基台には中継用基板が配設される。この中継用基板にはスプリングコネクタが配設される。このスプリングコネクタは、検査側基板を挿入部で挟持した状態で、検査側基板の端部に設けられた端子に弾接する。第1の基台には、第2の基台の両側で揺動方向に長い一対のアームが設けられている。支軸に対して挿入部と反対側のアームには、第2の基台より離して支軸と平行にカム支軸が設けられている。カム支軸にはカムレバーが揺動自在に配設される。カムレバーは、第1の揺動姿勢と第2の揺動姿勢とを取り得る。第1の揺動姿勢では、カムレバーは弾性部材の弾力で検査用基板を挟持する。第2の揺動姿勢では、カムレバーは第2の基台にカム支軸と平行な平面を当接して、弾性部材の弾力に抗して挿入部を開口状態とする。この第2の揺動姿勢は、カムレバーが安定した姿勢である。
【0013】
とにかく、特許文献3、4では、レバー操作により、挿入部(挟持部)の開状態を保持している。
【0014】
【特許文献1】米国特許公開第2006/0180475号公報(図26〜図28)
【特許文献2】米国特許公報第2006/0279317号公報
【特許文献3】特開2000−260512号公報
【特許文献4】特開2004−111269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献3、4に開示されたクリップ開状態保持機構を備えたクリップ式検査治具には、次に述べるような問題点がある。
【0016】
特許文献3に開示された基板用コネクタでは、その中心付近に係合レバーを設置している。そのため、内部の導出用基板へ空間部(穴)を空ける必要がある。その結果、導出用基板の導出用パターン(配線)に工夫が必要となると共に、配線スペース的にも不利となる。また、特許文献3に開示された基板用コネクタは、構造が複雑で組み立て性が悪いという問題もある。更に、特許文献3に開示された基板用コネクタは、使用途中で係合レバーが不要となった場合に分解が必要となる。その結果、係合レバーを基板用コネクタ本体から取り外すのが非常に困難である。
【0017】
特許文献4に開示されたクリップ式中継コネクタでは、カムレバーを外付けでコネクタ本体に取り付けている。しかしながら、このクリップ式中継コネクタでは、弾性部材の弾力(反発力)に抗して、カムレバーの摺接面を第2の基台の上面に擦り付けて、第2の基台を押し下げている。ここで、「摺接」とは、滑る状態で接することをいう。このため、カムレバーの摺接面と第2の基台の上面(コネクタ本体)との間で削れが生じる。この結果、コネクタ本体(クリップ式検査治具)へダメージを与えてしまう。
【0018】
また、上記特許文献3および4に開示された構造では、挿入部(挟持部)の開状態を保持する際に下死点を越えてロックされる。そのため、挿入部(挟持部)の「戻り」が発生するので、挿入部(挟持部)はその最大開口寸法から若干閉じた状態で保持される。
【0019】
さらに、上記特許文献3および4に開示された構造では、クリップ開状態保持機構がクリップ式検査治具本体と一体不可分の関係に設けられている。そのため、上記クリップ開状態保持機構を単体で、クリップ式検査治具本体に対して取り付けたり、取り外したりすることが不可能である。また、上記特許文献3および4に開示されたクリップ開状態保持機構には汎用性がないので、クリップ式検査治具本体の種類が変わると、その種類に応じた多数のクリップ式検査治具、部品を用意しなければなない。その結果、非常に効率が悪くなるという問題がある。
【0020】
そこで、本発明の課題は、クリップ開状態保持機構をクリップ式検査治具本体に対して容易に着脱することができる、クリップ式検査治具を提供することにある。
【0021】
本発明の他の課題は、レバー操作のみでクリップ式検査治具本体を開状態で保持でき、かつ「戻り」がない、クリップ式検査治具を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに他の課題は、非常に簡素な構造で組み立て性が非常に良い、クリップ開状態保持機構を提供することにある。
【0023】
本発明のもっと他の課題は、ある程度の高さの異なるクリップ式検査治具本体へ共通に使用できる、クリップ開状態保持機構を提供することにある。
【0024】
本発明の別の課題は、極力摺動を減らして、クリップ式検査治具本体に対するダメージを非常に少なくすることができる、クリップ式検査治具を提供することにある。
【0025】
本発明のもっと別の課題は、組立て間違いが少なく、かつ右利き用・左利き用で組み替えを容易に行える、クリップ開状態保持機構を提供することにある。
【0026】
本発明の他の課題は、組立て間違いが少なく、かつ右利き・左利きによらずに使用可能な、クリップ開状態保持機構を提供することにある。
【0027】
本発明のさらに他の課題は、クリップ式検査治具本体に取り付け、取り外しができ、かつある程度の範囲のクリップ式検査治具本体に適用可能な汎用性をもった、クリップ開状態保持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の第1の態様によれば、基板と、先端が基板側に付勢されながら揺動自在となるように基板に軸着されたクリップと、このクリップ及び基板の先端の面のいずれか一方に設けられた複数の接点端子とを備えたクリップ式検査治具本体を有するクリップ式検査冶具において、クリップの後端を基板側に押圧し、基板とクリップの先端間を開状態に保持するクリップ開状態保持機構を有し、このクリップ開状態保持機構は基板に取り付け取り外し自在に設けられているクリップ式検査冶具が得られる。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、先端が基板側に付勢されながら揺動自在となるように基板に軸着されたクリップの後端を基板側に押圧し、基板とクリップの先端間を開状態に保持するクリップ開状態保持機構であって、基板に取り付け取り外し自在に設けられているクリップ開状態保持機構が得られる。
【発明の効果】
【0030】
クリップ開状態保持機構が基板に取り付け取り外し自在に設けられているので、クリップ開状態保持機構をクリップ式検査治具本体に対して容易に着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0032】
図1乃至図3を参照して、本発明に係るクリップ式検査治具が適用される第1のクリップ式検査治具本体400について説明する。図示のクリップ式検査治具本体400は、実質的に、前述した特許文献2に開示されたものと同様の構成を有する。
【0033】
図1は入出力インタフェースコネクタ320が搭載されたプリント回路基板300上に搭載されたクリップ式検査治具本体400を示す斜視図である。図2はクリップ式検査治具本体400の分解斜視図である。図3はクリップ式検査治具本体400の断面図である。
【0034】
図示の例において、座標系は、左右すなわち横方向に延在する第1又はX方向と、前後方向に延在する第2又はY方向と、上下方向に延在する第3又はZ方向とを持つ。第1乃至第3の方向X、Y、およびZは、互いに直交している。第1又はX方向は、横方向又は幅方向とも呼ばれる、第2又はY方向は、前後方向とも呼ばれる。第3又はZ方向は、上下方向とも呼ばれる。
【0035】
クリップ式検査治具本体400は接続治具とも呼ばれる。クリップ式検査治具本体400は、電気コネクタ100を介して第1および第2の接続対象板(接続対象物)200および300を電気的に接続するためのものである。図示の例では、第1の接続対象物200はフレキシブル印刷回路(FPC)から成り、第2の接続対象物300はプリント回路基板から成る。電気コネクタ100は低接圧コネクタとも呼ばれる。
【0036】
図4を参照して、第1の接続対象物であるフレキシブル印刷回路200について説明する。フレキシブル印刷回路200は、第1の導電パターン210が形成された下面200lを持つ。第1の導電パターン210は、複数の第1の下側パッド(コンタクト部)211と、複数の第2の下側パッド(コンタクト部)212とを有する。第1の下側パッド211は、横方向Xに沿ってフレキシブル印刷回路200の前縁200fの近傍で第1の下側列に配列されている。第2の下側パッド212は、横方向Xに沿って前縁200fから離れた第2の下側列に配列されている。第1の下側パッド211と第2の下側パッド212とは、互いに前後方向Yにおいて所定の距離だけ離間している。換言すれば、第1の下側パッド211は横方向Xに等間隔で配列され、第2の下側パッド212は横方向Xに等間隔で配列されている。等間隔は線ピッチPlの2倍である。すなわち、第1の下側パッド211と第2の下側パッド212は、互いに前後方向Yに所定の距離だけシフトして配列されている。換言すれば、第1の下側パッド211と第2の下側パッド212は、横方向Xに沿って千鳥状に配置されている。第1の下側パッド211と第2の下側パッド212は、下側接点パターンとも呼ばれる。
【0037】
図5を参照して、第2の接続対象物であるプリント回路基板300について説明する。プリント回路基板300は、第2の導電パターン310が形成された上面300uを持つ。第2の導電パターン310は、複数の第1の上側パッド(コンタクト部)311と、複数の第2の上側パッド(コンタクト部)312とを有する。第1の上側パッド311は、横方向Xに沿って第1の上側列に配列されている。第2の下側パッド312は、横方向Xに沿って第2の上側列に配列されている。第1の上側パッド311と第2の上側パッド312とは、互いに前後方向Yにおいて所定の距離だけ離間している。換言すれば、第1の上側パッド311は横方向Xに等間隔で配列され、第2の上側パッド312は横方向Xに等間隔で配列されている。等間隔は線ピッチPlの2倍である。すなわち、第1の上側パッド311と第2の上側パッド312は、互いに前後方向Yに所定の距離だけシフトして配列されている。換言すれば、第1の上側パッド311と第2の上側パッド312は、横方向Xに沿って千鳥状に配置されている。第1の上側パッド311と第2の上側パッド312は、接点端子或いは上側接点パターンとも呼ばれる。
【0038】
後で説明するようにクリップ式検査治具本体400を使用することによって、フレキシブル印刷回路200とプリント回路基板300は、電気コネクタ100を介して互いに電気的に接続される。
【0039】
図6乃至図10を参照して、電気コネクタ(低接圧コネクタ)100について説明する。図示の電気コネクタ100は、前述した特許文献1に開示された電気コネクタと実質的に同様の構成を有する。
【0040】
図6は電気コネクタ100の斜視図である。図7は図6の線VII−VIIについての断面図である。図8は図6の線VIII−VIIIについての断面図である。図9は図7において楕円9によって囲まれた電気コネクタ100の拡大図である。図10は図8において楕円10によって囲まれた電気コネクタ100の拡大図である。
【0041】
電気コネクタ100は、第1及び第2の接続対象物200、300に間に差し挟まれて、それら接続対象物を電気的に接続するために採用される。従って、電気コネクタ100は、中間コネクタと呼ばれる。電気コネクタ100は、厚さ方向Zで互いに対向する第1及び第2の表面120uおよび120lを持つ板状ベース部材120を有する。第1の表面120uは上面と呼ばれ、第2の表面120lは下面と呼ばれる。板状ベース部材120は、前後方向Yにおいて互いに対向する前及び後縁120fおよび120rを持つ。
【0042】
電気コネクタ100は、可撓性伝導フィルム(シート)130と、可撓性伝導フィルム130を板状ベース部材120に固定するための第1及び第2の両面接着シート140Uおよび140Lとを有する。第1の両面接着シート140Uは上側両面接着シートと呼ばれ、第2の両面接着シート140Lは下側両面接着シートと呼ばれる。
【0043】
可撓性伝導フィルム(シート)130は、可撓性絶縁フィルム(シート)131とフィルム伝導パターン132とを有する。可撓性絶縁フィルム131は、互いに対向する外側表面131oと内側表面131iとを持つ。可撓性絶縁フィルム131は、板状ベース部材120の前縁120fの近傍で、略U形状に折り曲げられている。
【0044】
フィルム伝導パターン132は、可撓性絶縁フィルム131の外側表面131oばかりでなく、可撓性絶縁フィルム131の内側表面131iにも形成されている。
【0045】
詳述すると、フィルム伝導パターン132は、横方向Xに沿って配列された複数の第1及び第2の伝導細線132−1および132−2から成る。換言すると、第1及び第2の伝導細線132−1および132−2は、互いに前後方向Yに平行に延在し、かつ、所定の線ピッチPlで横方向Xに互いに離間している。第1の伝導細線132−1と第2の伝導細線132−2は、横方向Xに沿って交互に配列されている。第1及び第2の伝導細線132−1および132−2の各々は、板状ベース部材120の後縁120rの近くから板状ベース部材120の前縁120fに向かって延在し、板状ベース部材120の前縁120fの近くから板状ベース部材120の後縁120rの近くへ戻る。
【0046】
可撓性絶縁フィルム131は、ベース部材120の上面120uに上側両面接着シート140Uを介して固定された上側端部131Uと、ベース部材120の下面120lに下側両面接着シート140Lを介して固定された下側端部131Lと、ベース部材120から離間して上側端部131Uと下側端部131Lとの間に略U形状に延在する弾性支持部131Sとを持つ。
【0047】
電気コネクタ100は、更に、第1及び第2の弾性部材150Uおよび150Lを有する。第1の弾性部材150Uは上側弾性部材と呼ばれ、第2の弾性部材150Lは下側弾性部材と呼ばれる。第1及び第2の弾性部材150Uおよび150Lは、ベース部材120の第1及び第2の表面120uおよび120lに固定され、弾性支持部131Sと対面している。従って、上側弾性部材150Uは、弾性支持部131Sとベース部材120の上面120uとの間に挿入され、下側弾性部材150Lは、弾性支持部131Sとベース部材120の下面120lとの間に挿入されている。
【0048】
上側弾性部材150Uは、複数の第1の上側突起151Uと複数の第2の上側突起152Uとを持ち、それらは上側弾性部材150Uから上方へ突き出ている。第1の上側突起151Uは、横方向Xに沿ってベース部材120の前縁120fから離れた第1の上側列に配列されている。第2の上側突起152Uは、横方向Xに沿ってベース部材120の前縁120fの近傍で第2の上側列に配列されている。第1の上側突起151Uの第1の上側列と第2の上側突起152Uの第2の上側列とは、互いに前後方向Yに所定の距離だけ離間している。換言すれば、第1の上側突起151Uは、互いに同じ形状でかつ横方向Xに等間隔で配置されている。第2の上側突起152Uは、互いに同じ形状でかつ横方向Xに等間隔で配置されている。等間隔は線ピッチPlの2倍である。すなわち、第1の上側突起151Uと第2の上側突起152Uは、横方向Xにおいて互いに線ピッチPlだけシフトして配置されている。換言すれば、第1の上側突起151Uと第2の上側突起152Uとは、横方向Xに千鳥状に配置されている。
【0049】
同様に、下側弾性部材150Lは、複数の第1の下側突起151Lと複数の第2の下側突起152Lとを持ち、それらは下側弾性部材150Lから下へ突き出ている。第1の下側突起151Lは、横方向Xに沿ってベース部材120の前縁120fから離れた第1の下側列に配列されている。第2の下側突起152Lは、横方向Xに沿ってベース部材120の前縁120fの近傍で第2の下側列に配列されている。第1の下側突起151Lの第1の下側列と第2の上側突起152Lの第2の下側列とは、互いに前後方向Yに所定の距離だけ離間している。換言すれば、第1の下側突起151Lは、互いに同じ形状でかつ横方向Xに等間隔で配置されている。第2の下側突起152Lは、互いに同じ形状でかつ横方向Xに等間隔で配置されている。等間隔は線ピッチPlの2倍である。すなわち、第1の下側突起151Lと第2の下側突起152Lは、横方向Xにおいて互いに線ピッチPlだけシフトして配置されている。換言すれば、第1の下側突起151Lと第2の下側突起152Lとは、横方向Xに千鳥状に配置されている。
【0050】
第1の上側突起151Uと第1の下側突起151Lとは、それらの間にベース部材120を挟んだ状態で、互いに対向して配置されている。第2の上側突起152Uと第2の上側突起152Lとは、それらの間にベース部材120を挟んだ状態で、互いに対向して配置されている。第1の上側突起151Uと第1の下側突起151Lとは、第1の伝導細線132−1と対面する位置に形成され、第2の上側突起152Uと第2の下側突起152Lとは、第2の伝導細線132−2と対面する位置に形成されている。
【0051】
図10を参照して、第1の伝導細線132−1の各々は、対応する第1の上側突起151U上に形成された第1の上側電極パッド(コンタクト部)132−1uと、対応する第1の下側突起151L上に形成された第1の下側電極パッド(コンタクト部)132−1lとを持つ。第1の上側電極パッド132−1uと第1の下側電極パッド132−1lとは可撓性絶縁フィルム131の外面131o上に形成されている。
【0052】
第1の伝導細線132−1の各々は、第1の内側伝導線部132−1iと、一対の第1の外側伝導線部132−1oとを有する。第1の内側伝導線部132−1iは、可撓性絶縁フィルム131の内面131i上に形成され、第1の上側電極パッド132−1uと第1の下側電極パッド132−1lとをスルーホール132−1tを介して電気的に接続している。すなわち、第1の内側伝導線部132−1iとスルーホール132−1tとの組合せは、第1の上側電極パッド132−1uと第1の下側電極パッド132−1lとを電気的に接続する第1の接続部材として働く。
【0053】
一対の第1の外側伝導線部132−1oは、可撓性絶縁フィルム131の外面131o上に形成されている。一対の第1の外側伝導線部132−1oの一方は、第1の上側電極パッド132−1uと電気的に接続され、一対の第1の外側伝導線部132−1oの他方は、第1の下側電極パッド132−1lに電気的に接続されている。
【0054】
図9を参照して、第2の伝導細線132−2の各々は、対応する第2の上側突起152U上に形成された第2の上側電極パッド(コンタクト部)132−2uと、対応する第2の下側突起152L上に形成された第2の下側電極パッド(コンタクト部)132−2lとを持つ。第2の上側電極パッド132−2uと第2の下側電極パッド132−2lとは、可撓性絶縁フィルム131の外面131o上に形成されている。
【0055】
第2の伝導細線132−2の各々は、第2の外側伝導線部132−2oと、一対の第2の内側伝導線部132−2iとを有する。第2の外側伝導線部132−2oは、可撓性絶縁フィルム131の外面131o上に形成され、第2の上側電極パッド132−2uと第2の下側電極パッド132−2lとを電気的に接続するためのものである。すなわち、第2の外側伝導線部132−2oは、第2の上側電極パッド132−2uと第2の下側電極パッド132−2lとを電気的に接続する第2の接続部材として働く。
【0056】
一対の第2の内側伝導線部132−2iは、可撓性絶縁フィルム131の内面131i上に形成さている。一対の第2の内側伝導線部132−2iの一方は、スルーホール132−2tを介して第2の上側電極パッド132−2uと電気的に接続され、一対の第2の内側伝導線部132−2iの他方は、スルーホール132−2tを介して第2の下側電極パッド132−2lと電気的に接続されている。
【0057】
とにかく、フィルム伝導パターン132は、可撓性絶縁フィルム131の外面131o上ばかりでなく、可撓性絶縁フィルム131の内面131i上にも形成されている。
【0058】
図1乃至図3に戻って、クリップ式検査治具本体400について説明する。クリップ式検査治具本体400は、支持部材(固定部材)として働くボトムカバー410を有する。ボトムカバー410は、前述したプリント回路基板300を載置している。換言すれば、プリント回路基板300はボトムカバー410上に搭載されている。すなわち、プリント回路基板300の底面300lにボトムカバー410が設けられている。
【0059】
クリップ式検査治具本体400は、プリント回路基板300上に搭載されたインナーフレーム420と、ボトムカバー410、プリント回路基板300、およびインナーフレーム420に沿って垂直方向(上下方向)Zに移動可能なプッシャー430と、プリント回路基板300とインナーフレーム420に取り付けられたベース部材440と、シャフト460の周りに回転可能にベース部材440に取り付けられたトップカバー450とを更に有する。
【0060】
インナーフレーム420は、所定の間隔を持って互いに離間した一対のプッシャーガイド421を持つ。この所定の間隔は、フレキシブル印刷回路(FPC)200の幅を考慮に入れて、例えば、15.6mmである。
【0061】
プッシャー430は、ガイド穴432に挿入されたプッシャーガイド421によって案内された垂直運動を行い、一対の持上げ用コイルスプリング(図示せず)によって上方へ付勢されている。プッシャー430は、互いに対面する一対の上下ガイド433を持つ。これら上下ガイド433は、フレキシブル印刷回路(FPC)200を受けるために、インナーフレーム420の上記間隔に対応した位置に形成された挿入口431を規定している。挿入口431は、フレキシブル印刷回路(FPC)200の厚さを考慮に入れて、例えば、0.5mmに等しい高さを持つ最狭部を持つ。
【0062】
尚、後述するように、インナーフレーム420は、フレキシブル印刷回路(FPC)200の挿入を案内する働きを有するので、FPCガイド部材とも呼ばれる。
【0063】
ベース部材440とトップカバー450は、それぞれ、シャフト460を挿入するためのシャフト孔441および451を持つ。シャフト460は、シャフト孔441および451に挿入され、これによって、トップカバー450はベース部材440に取り付けられる。トップカバー450が取り付けられたベース部材440は、4本のボルト501と4個のナット502を使用して、プリント回路基板300とインナーフレーム420と一緒にボトムカバー410に固定される。ボルト501は、ベースカバー410に形成された貫通孔411、プリント回路基板300に形成された貫通孔301、インナーフレーム420に形成された貫通孔424およびベース部材440に形成された貫通孔(図示せず)に挿入されて、ナット502に螺合される。トップカバー450は、一対の閉鎖用コイルスプリング470によって閉じる方向に付勢されている。
【0064】
とにかく、ボトムカバー(固定部材)410とインナーフレーム420とプッシャー430とベース部材440とトップカバー450と一対の閉鎖用コイルスプリング470との組合せは、先端がプリント回路基板300に付勢されながら揺動自在となるようにプリント回路基板300に軸着されたクリップとして働く。シャフト460に対して前後方向Yの前方がクリップの先端であり、前後方向Yの後方がクリップの後端である。また、ここでは、クリップの先端を第1の端部と呼び、クリップの後端を第2の端部と呼ぶ。
【0065】
シャフト460は回動軸として働く。トップカバー450の第2の端部が操作部452として働く。プッシャー430とプリント回路基板300との組合せが上記挟持部として作用する。
【0066】
次に、電気コネクタ(低接圧コネクタ)100を位置決めする方法について説明する。
【0067】
インナーフレーム420は、その底面に形成された大きい突出部(図示せず)と小さい突出部(図示せず)とを備えている。図示の例では、大きい突出部はインナーフレーム420の左側に設けられ、小さい突出部はインナーフレーム420の右側に設けられている。これら突出部を使用することによって、低接圧コネクタ100は後述するように位置決めされる。詳述すると、図6に示されるように、低接圧コネクタ100の板状ベース部材120は、その対向する両側に形成された大きい穴121と小さい穴122とを備える。図示の例では、大きい穴121は低接圧コネクタ100の左側に設けられており、小さい穴122は低接圧コネクタ100の左側に設けられている。大きい穴121と小さい穴122は、それぞれ、インナーフレーム420の大きい突出部と小さい突出部に嵌められる。さらに、プリント回路基板300には、大きい嵌合穴302と小さい嵌合穴303とが形成されている。図示の例では、大きい嵌合穴302はプリント回路基板300の左側に設けられ、小さい嵌合穴303はプリント回路基板300の右側に設けられている。インナーフレーム420に形成された上記大きい突出部と上記小さい突出部は、それぞれ、プリント回路基板300に形成された大きい嵌合穴302と小さい嵌合穴303に嵌合される。従って、低接圧コネクタ100は、プリント回路基板300とインナーフレーム420との間に確実に嵌合される。
【0068】
次に、図1乃至図3に加えて図11をも参照して、クリップ式検査治具本体400について説明する。ここでは、検査対象のモジュールが液晶ディスプレイ(LCD)230である場合を例に挙げて説明する。
【0069】
図11(A)に示されるように、液晶ディスプレイ(LCD)230からフレキシブル印刷回路200が延在している。図4を参照して説明したように、フレキシブル印刷回路200の下面200lには第1の導電パターン210が形成されている。第1の導電パターン210は、下側パッド(コンタクト部)211、212を有する。これら下側パッド211、212は、下側接点パターンとも呼ばれる。
【0070】
図11(A)は、クリップ式検査治具本体400の初期状態を示している。この初期状態では、一対の閉鎖用コイルスプリング470によってトップカバー450の操作部452を上方へ押し上げている。このため、トップカバー450の先端(第1の端部)はシャフト460の回りで反時計回りに付勢されている。これにより、プッシャー430は、プリント回路基板300側へ付勢されるので、低接圧コネクタ100を介してプリント回路基板300と当接している。
【0071】
この状態において、図11(B)に示されるように、トップカバー450の操作部452を手指により矢印A1によって示される方向へ押し下げる。これより、トップカバー450は、シャフト460の回りを時計回りに回転し、一対の閉鎖用コイルスプリング470を圧縮する。このとき、プッシャー430は一対の持上げ用コイルスプリングにより上方へ持上げられ、プッシャー430の突出部434はトップカバー450の当接部453に追従する。
【0072】
この状態において、図11(C)に示されるように、フレキシブル印刷回路(FPC)200は、矢印A2で示される方向へ、プッシャー430の挿入口431に挿入される。このとき、インナーフレーム420とプッシャー430は、互いに協働して、フレキシブル印刷回路(FPC)200の挿入を案内し、フレキシブル印刷回路(FPC)200を位置決めする。その為、目視による位置あわせが不要で、検査作業が容易で、しかも、位置あわせが正確である。
【0073】
引き続いて、図11(D)に示されるように、トップカバー450の操作部452から手指を矢印A3に示される方向に離す。その結果として、一対の閉鎖用コイルスプリング470が伸長し、トップカバー450はシャフト460の回りを反時計回りに回転する。すると、プッシャー430はトップカバー450によって押し下げられ、一対の持上げ用コイルスプリングは圧縮される。
【0074】
図12に示されるように、フレキシブル印刷回路(FPC)200はプッシャー430の平面によって押圧され、フレキシブル印刷回路(FPC)200の下面200lに形成された下側接点パターン211、212は、低接圧コネクタ100のフィルム伝導パターン132を介してプリント回路基板300の上面300uに形成された上側接点パターン311、312と接触させられる。従って、フレキシブル印刷回路(FPC)200はプリント回路基板300と電気的に接続される。
【0075】
前述したように、プリント回路基板300の上面300u上には入出力インタフェースコネクタ320が搭載されている。入出力インタフェースコネクタ320は、プリント回路基板300の上面300uに形成された第2の導電パターン310(図5)と電気的に接続されている。また、入出力インタフェースコネクタ320はケーブルを介して上記検査用テスタ(図示せず)と接続されている。従って、液晶ディスプレイ(LCD)230は、フレキシブル印刷回路(FPC)200、クリップ式検査治具本体400、入出力インタフェースコネクタ320、およびケーブルを介して検査用テスタと電気的に接続される。これにより、検査用テスタを使用することによって、液晶ディスプレイ(LCD)230の電気的特性(点灯特性)を試験することができる。
【0076】
図1に本発明に係るクリップ式検査治具が適用される第1のクリップ式検査治具本体400を図示したが、本発明に係るクリップ式検査治具が適用されるクリップ式検査治具本体は図1に図示したものに限定されないのは勿論である。
【0077】
図13は本発明に係るクリップ式検査治具が適用される第2のクリップ式検査治具本体400Aを示す斜視図である。図示のクリップ式検査治具本体400Aは、実質的に、前述した特許文献1に開示されたものと同様の構成を有する。
【0078】
図示のクリップ式検査治具本体400Aは、基本的には、図1に図示したクリップ式検査治具本体400と同様の構成を有し動作をする。相違点は、プリント回路基板300の上面300uからの高さが異なることである。すなわち、クリップ式検査治具本体400Aの高さは、クリップ式検査治具本体400の高さより低い。
【0079】
前述したように、図1や図13に図示したクリップ式検査治具本体400、400Aにおいて、その挟持部(挿入部)を開いた状態に維持するためには、操作者(作業者)がトップカバー450の操作部452を下方へ押し続けていなければならない。何故なら、トップカバー450の操作部452から操作者(作業者)が手指を離してしまうと、一対の閉鎖用コイルスプリング470が伸長するので、トップカバー450は、挟持部(挿入部)を閉じる方向へ付勢するからある。
【0080】
しかしながら、検査対象であるモジュール(この例では、液晶ディスプレイ(LCD)230)の寸法が大きいとか、検査対象物(この例では、フレキシブル印刷回路(FPC)200)の形状が複雑である場合には、検査対象物を両手で扱わなければならない。このような状況では、クリップ式検査治具本体400、400Aを使用する際には少なくとも2人の操作者(作業者)が必要となり、不自由となる。したがって、トップカバー450の操作部452を一旦操作するだけで操作を解除した後では挟持部が開いた状態を保持することができれば、1人の操作者でクリップ式検査治具本体400、400Aを使用することができる。
【0081】
したがって、挟持部が開いた状態を保持する機構(クリップ開状態保持機構)が必要となる。
【0082】
本発明に係るクリップ式検査治具は、図1や図13に図示したクリップ式検査治具本体400又は400Aにクリップ開状態保持機構(後述する)を組み合わせた構造を有する。但し、本発明に係るクリップ開状態保持機構は、前述した特許文献3、4に開示されたクリップ開状態保持機構のように、クリップ式検査治具本体とは一体不可分の関係に設けられてはおらず、クリップ式検査治具本体400又は400Aとは分離してプリント回路基板300に取り付けられる。換言すれば、本発明に係るクリップ開状態保持機構は、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられる。
【0083】
図14は、本発明の第1の実施例に係るクリップ式検査治具を示す斜視図である。図示のクリップ式検査治具は、図1に図示したクリップ式検査治具本体400と本発明の第1の実施例に係るクリップ開状態保持機構600とから構成される。
【0084】
クリップ開状態保持機構600は、トップカバー450の操作部452をプリント回路基板300側に押圧し、挟持部を開状態に保持するためのものである。換言すれば、クリップ開状態保持機構600は、クリップの後端をプリント回路基板300側に押圧し、プリント回路基板300とクリップの先端間を開状態に保持するためのものである。クリップ開状態保持機構600は、後述する一対のネジ620R、620Lによって、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられる。
【0085】
図14に加えて図15をも参照して、クリップ開状態保持機構600の構成について詳細に説明する。
【0086】
クリップ開状態保持機構600は、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレーム610を有する。図示のベースフレーム610は、クリップ式検査治具本体400のトップカバー450の操作部452を間に挟んだ状態で、左右方向(横方向)Xに離間して配置された一対の支柱610R、610Lから構成される。一方の支柱610Rは、トップカバー450の右側に配置されるので、右側支柱或いは右側ベースフレームと呼ばれる。他方の支柱610Lは、トップカバー450の左側に配置されるので、左側支柱或いは左側ベースフレームと呼ばれる。図15に示されるように、右側支柱610Rと左側支柱610Lは同一の形状(構造)をしている。
【0087】
一対の支柱610R、610Lは、それぞれ、一対のネジ620R、620Lによってプリント回路基板300に取り付けられる。詳述すると、プリント回路基板300は、一対のネジ620R、620Lのネジ部を貫通するための一対の貫通孔(図示せず)を持つ。また、一対の支柱610R、610Lの底面には、それぞれ、一対のネジ620R、620Lのネジ部を螺合するための一対のネジ穴(図示せず)が形成されている。プリント回路基板300の一対の貫通孔を介して一対のネジ620R、620Lのネジ部を一対の支柱610R、610Lの一対のネジ穴に螺合することにより、ベースフレーム610はプリント回路基板300に取り付けられる。一方、一対のネジ620R、620Lによる螺合を解除することにより、ベースフレーム610はプリント回路基板300から取り外される。
【0088】
とにかく、一対のネジ620R、620Lは、クリップ開状態保持機構600をプリント回路基板300に対して取り付け取り外し自在にする取付け/取外し部材として働く。
【0089】
クリップ開状態保持機構600は、ベースフレーム610の上方の位置に回動自在に軸支されたレバー630を有する。詳述すると、レバー630は、右支柱610Rと左支柱610Lとの間に延在する支軸部632を有する。支軸部632は、レバー用シャフト633が挿通される第1のシャフト貫通孔632aを持つ。右支柱610Rは、レバー用シャフト633の右端部633aが挿入される右シャフト貫通孔610Raを持ち、左支柱610Lは、レバー用シャフト633の右端部633bが挿入される左シャフト貫通孔610Laを持つ。レバー630は、支軸部632の上端632uの右端部から上方へ延在する操作部634を有する。支軸部632の上端632uは第1の端と呼ばれる。また、レバー630は、支軸部632の下端632lの左右両端部から下方へ延在して、後述するリンク640を回動自在に支持する一対のリンク支持部636R、636Lを有する。支軸部632の下端632lは第2の端と呼ばれる。一方のリンク支持部636Rは、支軸部632の右側に設けられているので右側リンク支持部と呼ばれ、他方のリンク支持部636Lは、支軸部632の左側に設けられているので左側リンク支持部と呼ばれる。
【0090】
リンク640は、略直方体形状をしている。リンク640の上端部640uは、一対のリンク支持部636R、636L間に挿入されている。リンク640の上端部640uは、第1のリンク用シャフト642が挿通される第1のシャフト貫通孔640aを持つ。リンク640の上端部640uは第1の端と呼ばれる。一方、上記右リンク支持部636Rは、第1のリンク用シャフト642の右端部642aが挿入される右シャフト貫通孔636Raを持ち、上記左リンク支持部636Lは、第1のリンク用シャフト642の左端部642bが挿入される左シャフト貫通孔636Laを持つ。リンク640の下端部640lは、後述するプッシャー650間に挿入される。リンク640の下端部640lは、第2のリンク用シャフト644が挿通される第2のシャフト貫通孔640bを持つ。
【0091】
プッシャー650は、ベースフレーム610の下方の位置に上下動可能に組み付けされている。詳述すると、プッシャー650は、上下方向Zで2分割された上側プッシャー部652および下側プッシャー部654と、上側プッシャー部652と下側プッシャー部654との間に配置された一対の圧縮バネ656R、656Lと、上側プッシャー部652と下側プッシャー部654とを、一定の範囲で上下方向Zに近接離間可能に結合する一対のネジ658R、658Lとを有する。一方の圧縮バネ656Rは、プッシャー650の右側に配置されているので、右側圧縮バネと呼ばれ、他方の圧縮バネ656Lは、プッシャー650の左側に配置されているので、左側圧縮バネと呼ばれる。一方のネジ658Rは、プッシャー650の右側に配置されているので、右側ネジと呼ばれ、他方のネジネジ658Lは、プッシャー650の左側に配置されているので、左側ネジと呼ばれる。一対の圧縮バネ656R、656Lにより、上側プッシャー部652と下側プッシャー部654とは互いに離間する方向に付勢されている。
【0092】
上側プッシャー部652は、リンク640の下端部640lを間に挟んで対向する一対のプッシャーガイド部652R、652Lを有する。一方のプッシャーガイド部652Rは、上側プッシャー部652の右側に配置されているので、右側プッシャーガイド部と呼ばれ、他方のプッシャーガイド部652Lは、上側プッシャー部652の左側に配置されているので、左側プッシャーガイド部と呼ばれる。右側プッシャーガイド部652Rと左側プッシャーガイド部652Lとは、架橋部652Bによってそれらの間の橋架されている。右側プッシャーガイド部652Rは、第2のリンク用シャフト644の右端部644aが挿入される右シャフト貫通孔652Raを持つ。左側プッシャーガイド部652Lは、第2のリンク用シャフト644の左端部644bが挿入される左シャフト貫通孔652Laを持つ。したがって、上側プッシャー部652が、リンク640の第2の端に回動自在に結合されている。
【0093】
また、右側プッシャーガイド部652Rは、右側へ突出する右側ガイド片652Rbを持ち、左側プッシャーガイド部652Lは、左側へ突出する左側ガイド片652Lbを持つ。一方、右側ベースフレーム610Rは、左側プッシャーガイド部652Lとの対向面に、右側ガイド片652Rbと係合して、プッシャー650の上下動を案内する右側ガイド溝610Rb(図示せず)を持つ。左側ベースフレーム610Lは、右側プッシャーガイド部652Rとの対向面に、左側ガイド片652Lbと係合して、プッシャー650の上下動を案内する左側ガイド溝610Lbを持つ。とにかく、右側ガイド溝610Rbと左側ガイド溝610Lbは、プッシャー650の上下動を案内するためのものである。
【0094】
右側プッシャーガイド部652Rは、その底面に右側凹部652Rcを持ち、左側プッシャーガイド部652Lは、その底面に左側凹部652Lcを持つ。
【0095】
下側プッシャー部654は、左右方向Xに延在して、上述したクリップ式検査治具本体400の操作部452と当接するプッシャー本体654Bを有する。プッシャー本体654Bは、上記上側プッシャー部652の架橋部652Bと対向している。下側プッシャー部654は、プッシャー本体654Bの上面654Buの左右両端から上方へ突出する一対の突出部654R、654Lを有する。一方の突出部654Rは、プッシャー本体654Bの右側に配置されているので、右側突出部と呼ばれ、他方の突出部654Lは、プッシャー本体654Bの左側に配置されているので、左側突出部と呼ばれる。右側突出部654Rは、右側圧縮バネ656Rを介して、上側プッシャー部652の右側プッシャーガイド部652Rの右側凹部652Rcと対向している。左側突出部652Lは、左側圧縮バネ656Lを介して、上側プッシャー部652の左側プッシャーガイド部652Lの左側凹部652Lcと対向している。
【0096】
右側突出部654Rは、右側ネジ658Rのネジ部を貫通する右側貫通孔654Raを持つ。一方、上側プッシャー部652の右側プッシャーガイド部652Rは、右側ネジ658Rのネジ部の先端が螺合される右側ネジ穴(図示せず)を持つ。従って、右側ネジ658Rのネジ部の先端は、右側突出部654Rの下端側(底部)から右側貫通孔654Raと右側圧縮バネ656Rを介して、右側プッシャーガイド部652Rの右側ネジ穴に螺合される。
【0097】
同様に、左側突出部654Lは、左側ネジ658Lのネジ部を貫通する左側貫通孔654Laを持つ。一方、上側プッシャー部652の左側プッシャーガイド部652Lは、左側ネジ658Lのネジ部の先端が螺合される左側ネジ穴(図示せず)を持つ。従って、左側ネジ658Lのネジ部の先端は、左側突出部654Lの下端側(底部)から左側貫通孔654Laと左側圧縮バネ656Kを介して、左側プッシャーガイド部652Lの右側ネジ穴に螺合される。
【0098】
その結果、右側圧縮バネ656Rによって右側突出部654Rの底部へ右側ネジ658Rの頭部が当接し、かつ、左側圧縮バネ652Lによって左側突出部654Lの底部へ左側ネジ部658Lの頭部が当接するように、常に下側プッシャー部654が上側プッシャー部652から離れる方向へ付勢されている。
【0099】
なお、本実施例では、上側プッシャー部652と下側プッシャー部654とを、一定の範囲で上下方向Zに接近離間可能に結合する結合部材として、右側ネジ658Rと左側ネジ658Lとを用いているが、それらの代わりに、右側ピンと左側ピンとを用いてもよい。この場合には、上側プッシャー部652の右側プッシャーガイド部652Rは、右側ピンの先端が圧入される右側圧入穴を持ち、上側プッシャー部652の左側プッシャーガイド部652Lは、左側ピンの先端が圧入される左側圧入穴を持てばよい。
【0100】
図15から明らかなように、右側ベースフレーム610R、左側ベースフレーム610L、リンク640、およびプッシャー650は、左右対称形状をしている。これにより、組み立て間違えを減らすことができる。例えば、図15に示されるように、ベースフレーム610に関して、右側ベースフレーム610Rと左側ベースフレーム610Lの各々は左右対称形状であるので、右側ベースフレーム610Rと左側ベースフレーム610Lとを左右で取り間違えても、同一形状のクリップ開状態保持機構600となる。
【0101】
また、図16に示されるように、レバー630を左右反転して組み立てることで、右利き用のクリップ開状態保持機構600(図16(A)参照)と、左利き用のクリップ開状態保持機構600A(図16(B)参照)との間で、容易に組み替えることが出来る。
【0102】
なお、図15に示されるように、右側ベースフレーム610Rおよび左側ベースフレーム610Lは、それぞれ、レバー630の回動を阻止する右側ストッパ612Rおよび左側ストッパ612Lを有する。これらストッパ612R、612Lの働き(作用)については後で図面を参照して詳細に説明する。
【0103】
とにかく、クリップ開状態保持機構600又は600Aは、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレーム610と、このベースフレーム610に回動自在に取り付けられたレバー630と、このレバー630にリンク640を介して作用的に結合されたプッシャー650とを備える。このような構成のクリップ開状態保持機構600又は600Aによれば、レバー630の回動操作により、リンク640を介してプッシャー650を上下動させ、クリップの後端(操作部)452を押圧、押圧解除することができる。
【0104】
図17にクリップ開状態保持機構600によりクリップ式検査治具本体400の挟持部を閉じた状態に維持している状態を示し、図18にクリップ開状態保持機構600によりクリップ式検査治具本体400の挟持部を開いた状態に維持している状態を示す。図17において、(A)は挟持部が閉じた状態にあるクリップ式検査治具の斜視図を示し、(B)は挟持部が閉じた状態にあるクリップ式検査治具の断面図を示す。図18において、(A)は挟持部が開いた状態にあるクリップ式検査治具の斜視図を示し、(B)は挟持部が開いた状態にあるクリップ式検査治具の断面図を示す。
【0105】
図17(A)、(B)に示されるように、挟持部を閉じた状態にする場合、作業者がレバー630の操作部634を持って、レバー用シャフト633の回りを反時計回りに回動しておく。この場合、レバー630の支軸部632がベースフレーム610のストッパ612R、612Lで、図17(B)に示す位置で係止している。このような状態では、クリップ式検査治具本体400のトップカバー450の操作部452が、クリップ開状態保持機構600のプッシャー650と、図17(B)に示す位置で係止される。
【0106】
すなわち、一対の閉鎖用コイルスプリング470の伸長力により、トップカバー450はシャフト460の回りを反時計回りに回転するので、トップカバー450の操作部452がクリップ開状態保持機構600のプッシャー650で係止する。このとき、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430はトップカバー450により押し下げられ、一対の持上げ用コイルスプリングは圧縮される。このより、プッシャー430は低接圧コネクタ100をプリント回路基板300側へ押し付けている。
【0107】
この状態において、操作者がレバー630の操作部634を持って、レバー用シャフト633の回りを時計回りに回動したとする。
【0108】
この場合、図18(B)に示されるように、レバー630は、リンク640を介してプッシャー650を下方へ押し下げる。プッシャー650はトップカバー450の操作部452と係合しているので、トップカバー450はシャフト460の回りを時計回りに回転し、一対の閉鎖用コイルスプリング470は圧縮される。すると、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430は一対の持上げ用コイルスプリングにより上方へ持上げられる。これにより、クリップ式検査治具本体400の挟持部は開状態となる。
【0109】
ここで、操作者がレバー630の操作部634から手を離したとする。そのような状態でも、レバー630の支軸部632は、ベースフレーム610のストッパ612R、612Lで、図18(B)に示す位置で係止する。その結果、一対の閉鎖用コイルスプリング470の付勢力(伸長力)によるトップカバー450のシャフト460の回りの反時計回りの回動が禁止(抑止)される。その結果、クリップ式検査治具本体400の挟持部は、たとえ操作者が操作を解除しても、開状態に維持(保持)される。
【0110】
次に、図19乃至図23を参照して、クリップ開状態保持機構600のストッパ612R、612Lとクリップ式検査治具本体400の下死点との関係について詳細に説明する。尚、本明細書中では、リンク640とレバー630とを連結するための第1のリンク用シャフト642を第1の連結部とも呼び、レバー630とベースフレーム610とを連結するためのレバー用シャフト633を第2の連結部とも呼び、リンク640とプッシャー650とを連結するための第2のリンク用シャフト644を第3の連結部とも呼ぶ。
【0111】
図19に示されるように、初期状態では、前述したように、クリップ式検査治具本体400の一対の閉鎖用コイルスプリング470の伸長力により、クリップ式検査治具本体400の挟持部は閉じた状態に保持されている。
【0112】
この状態において、図20に示されるように、操作者(作業者)が、レバー630の操作部634を持って、図20の矢印B1で示される方向に、レバー用シャフト(第2の連結部)633の回りを時計回りに回動したとする。この場合、クリップ開状態保持機構600のプッシャー650がクリップ式検査治具本体400の操作部452を、図20の矢印B2で示される方向に、下方へ押す。その結果、クリップ式検査治具本体400の一対の閉鎖用コイルスプリング470は圧縮され、クリップ式検査治具本体400のトップカバー450はシャフト460の回りを時計回りに回転するので、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430は一対の持上げ用コイルスプリングにより上方へ持上げられる。これにより、図20に示されるように、クリップ式検査治具本体400の挟持部が開き始める。
【0113】
ここで、上側プッシャー部652と下側プッシャー部654との間に配置された一対の圧縮バネ656R、656Lの圧縮力は、クリップ式検査治具本体400の一対の閉鎖用コイルスプリング470の伸長力(付勢力)より大きい必要がある。
【0114】
この状態から、図21に示されるように、操作者(作業者)が、レバー630の操作部634を持って、図21の矢印B3で示される方向に、レバー用シャフト(第2の連結部)633の回りを更に時計回りに回動したとする。すると、クリップ式検査治具本体400の操作部452が下死点BDCへ到達する。さらに、操作者(作業者)がレバー630を操作していくと、図21の矢印B4で示されるように、一対の圧縮バネ656R、656Lが撓んでいく。
【0115】
さらに、図22に示されるように、操作者がレバー630をストッパ612R、612Lへ突き当たるまで操作すると、クリップ開状態保持機構600のプッシャー650がクリップ式検査治具本体400の下死点BDCを超え、クリップ式検査治具本体400の挟持部の開状態が保持される。この時、第1のリンク用シャフト(第1の連結部)642は、レバー用シャフト(第2の連結部)633と第2のリンク用シャフト(第3の連結部)644とを結ぶ線を挟んで図22中右側から左側に移動し、閉鎖用コイルスプリング470の伸長力(付勢力)によりレバー630がストッパ612R、612Lに押し付けられるように作用するので、操作者がレバー630から手を離しても、クリップ式検査治具本体400の挟持部はその開状態を保持する。また、クリップ開状態保持機構600のプッシャー650がクリップ式検査治具本体400の下死点BDCを超えても、一対の圧縮バネ656R、656Lの圧縮力により、クリップ式検査治具本体400の操作部452は「戻り」が無い。したがって、クリップ式検査治具本体400の挟持部を、その最大開口寸法で開いた状態に保持することができる。
【0116】
この状態において、検査対象物であるフレキシブル印刷回路(FPC)200を、図22の矢印B5で示されるように、クリップ式検査治具本体400の挟持部から挿入することができる。
【0117】
フレキシブル印刷回路(FPC)200をクリップ式検査治具本体400の挟持部から挿入して位置あわせした後、操作者は、レバー630の操作部634を持って、レバー用シャフト633の回りに反時計回りに回動する。そして、上記クリップ式検査治具本体400の下死点BDCを超えると、一対の閉鎖用コイルスプリング470は伸長するので、操作者はレバー630の操作部634から手を離して良い。その結果、トップカバー450はシャフト460の回りを反時計回りに回転する。すると、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430はトップカバー450により押し下げられ、一対の持上げ用コイルスプリングは圧縮される。その結果、図23に示されるように、フレキシブル印刷回路(FPC)200とプリント回路基板300とは低接圧コネクタ100を介して互いに電気的に接続される。
【0118】
本実施例に係るクリップ開状態保持機構600では、プッシャー650は、ベースフレーム610に形成された一対のガイド溝610Rb、610Lbに沿って上下方向Zに垂直に可動するので、クリップ式検査治具本体400との摺動が少ない。ここで、「摺動」とは、接触してすり動くことをいう。その結果、クリップ式検査治具本体400へのダメージを抑制することができる。
【0119】
とにかく本実施例に係るクリップ開状態保持機構600においては、一対のストッパ612R、612Lは、第1の連結部(第1のリンク用シャフト)642が、クリップ式検査治具本体400の下死点BDCを超えて第2の連結部(レバー用シャフト)633と第3の連結部(第2のリンク用シャフト)644とを結ぶ線を挟んだその一側から他側に移動したとき、レバー630のそれ以上の回動を阻止する。
【0120】
図24を参照して、異なる高さを持つクリップ式検査治具本体400、400Aへの対応について説明する。図24において、(A)は図1に示したクリップ式検査治具本体400に本実施例に係るクリップ開状態保持機構600を適用したクリップ式検査治具の初期状態を示す概略断面図であり、(B)は図13に示したクリップ式検査治具本体400Aに本実施例に係るクリップ開状態保持機構600を適用したクリップ式検査治具の初期状態を示す概略断面図である。
【0121】
前述したように、クリップ式検査治具本体400Aの高さHは、クリップ式検査治具本体400の高さHより低い(H<H)。
【0122】
その結果、図24(A)に示すクリップ式検査治具と図24(B)に示すクリップ式検査治具とでは、初期のプッシャー650の位置が異なる。その結果、レバー630の初期角度も異なる。
【0123】
このような状況において、前述したように操作者がクリップ開状態保持機構600のレバー630を操作することにより、クリップ式検査治具400、400Aの挟持部を開いた状態に保持したとする。図24(C)は、図24(A)に図示したクリップ式検査治具本体400の挟持部をクリップ開状態保持機構600により開いた状態に保持した状態を示す概略断面図であり、図24(D)は、図24(B)に図示したクリップ式検査治具本体400Aの挟持部をクリップ開状態保持機構600により開いた状態に保持した状態を示す概略断面図である。
【0124】
図24(C)、(D)から明らかなように、クリップ式検査治具本体400、400Aの挟持部を開いた状態において、一対の圧縮バネ656R、656Lが高さの違いを吸収するので、レバー630の位置が変わらないことが分かる。すなわち、プッシャー650に設けた一対の圧縮バネ656R、656Lの長さの範囲で、高さの異なるクリップ式検査治具本体400、400Aに対応可能であることが分かる。但し、一対の圧縮バネ656R、656Lの圧縮力がクリップ式検査治具本体400、400Aの一対の閉鎖用コイルスプリング470の力よりも大きいことが必要である。
【0125】
尚、一対の圧縮バネ656R、656Lの長さの範囲を超えて、クリップ式検査治具本体の高さが異なる場合も想定される。このような場合には、適した長さの一対の圧縮バネを一対の圧縮バネ656R、656Lと交換することで対応が可能である。換言すれば、一対の圧縮バネ656R、656Lを交換するだけで、対応可能である。
【0126】
クリップ開状態保持機構のレバーの形状は、上述した実施例のものに限定されず、種々の形状のものを採用可能である。
【0127】
図25を参照して、クリップ開状態保持機構の第1の変形例600Bについて説明する。図示のクリック開状態保持機構600Bは、レバーの形状が相違する点を除いて、図15に図示したクリップ開状態保持機構600と同様の構成を有し、動作をする。したがって、レバーに630Aの参照符号を付してある。図16に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
【0128】
レバー630Aは、操作部の形状が異なる点を除いて、図15に図示したレバー630と同様の構成を有する。したがって、操作部に634Aの参照符号を付しえある。
【0129】
すなわち、図15に図示したレバー630の操作部634は、支軸部632の一方の端部から上方へ延在して棒状の形状を有しているのに対して、レバー630Aの操作部634Aは、支軸部632の両端部から上方へ延在するコ字形の構成をしている。すなわち、レバー630Aは、コ字形の操作部634Aを備えている。そのため、レバー630Aは、左右対称形状をしている。換言すれば、クリック開状態保持機構600Bは、それを構成する部品(右側ベースフレーム610R、左側ベースフレーム610L、リンク640、プッシャー650、およびレバー630A)がすべて左右対称形状をしている。このような構成のクリック開状態保持機構600Bは、左右両利きへ対応することが可能である。
【0130】
図26を参照して、クリップ開状態保持機構の第2の変形例600Cについて説明する。図示のクリック開状態保持機構600Cは、レバーの形状が相違する点を除いて、図15に図示したクリップ開状態保持機構600と同様の構成を有し、動作をする。したがって、レバーに630Bの参照符号を付してある。図15に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
【0131】
レバー630Bは、操作部の取り付け角度が異なる点を除いて、図15に図示したレバー630と同様の構成を有する。したがって、操作部に634Bの参照符号を付してある。
【0132】
すなわち、図15に図示したレバー630の棒状の操作部634は、支軸部632の上端632uの一方の端部から上方へ真っ直ぐに延在しているのに対して、レバー630Bの棒状の操作部634Bは、支軸部632の上端632uの一方の端部から上方へ予め所定の角度をつけて延在している。この変形例は作業性を考慮したためである。
【0133】
図27を参照して、クリップ開状態保持機構の第3の変形例600Dについて説明する。図示のクリック開状態保持機構600Dは、レバーの形状が相違する点を除いて、図25に図示したクリップ開状態保持機構600Aと同様の構成を有し、動作をする。したがって、レバーに630Cの参照符号を付してある。図25に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
【0134】
レバー630Cは、操作部の取り付け角度が異なる点を除いて、図25に図示したレバー630Aと同様の構成を有する。したがって、操作部に634Cの参照符号を付してある。
【0135】
すなわち、図25に図示したレバー630Aのコ字形の操作部634Aは、支軸部632の上端632uの両端部から上方へ真っ直ぐに延在しているのに対して、レバー630Cのコ字形の操作部634Cは、支軸部632の上端632uの両端部から上方へ予め所定の角度をつけて延在している。この変形例も作業性を考慮したためである。
【0136】
図28および図29を参照して、本発明の第2の実施例に係るクリップ式検査治具について説明する。図28は本発明の第2の実施例に係るクリップ式検査治具の斜視図であり、図29はその断面図である。図示のクリップ式検査治具は、図1に図示したクリップ式検査治具本体400と本発明の第2の実施例に係るクリップ開状態保持機構700とから構成される。
【0137】
クリップ開状態保持機構700は、トップカバー450の操作部452をプリント回路基板300側に押圧し、クリップ式検査治具本体400の挟持部を開状態に保持するためのものである。換言すれば、クリップ開状態保持機構700は、クリップの後端をプリント回路基板300側に押圧し、プリント回路基板300とクリップの先端間を開状態に保持するためのものである。クリップ開状態保持機構700は、後述する一対のボルトと一対のナット720R、720Lとによって、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられる。
【0138】
図30はクリップ開状態保持機構700の斜視図であり、図31はクリップ開状態保持機構700の分解斜視図である。
【0139】
以下、図28および図29に加えて図30および図31をも参照して、クリップ開状態保持機構700の構成について詳細に説明する。クリップ開状態保持機構700は、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレーム710を有する。ベースフレーム710は、クリップ式検査治具本体400のベース部材440の外周を覆うように実質的にコ字形をしている。詳述すると、ベースフレーム710は、ベース部材440の右側面に沿って延在する右側ベース部710Rと、ベース部材440の左側面に沿って延在する左側ベース部710Lと、ベース部材440の後面に沿って延在し、右側ベース部710Rと左側ベース部710Lとを橋架する架橋部710Bとを有する。
【0140】
右側ベース部710Rは、そのほぼ中央部に、右側ナット720Rを収容するための右側ナット収容部711Rを持つ。この右側ナット収容部711Rには、図示しない右側ボルトを貫通するための右側貫通孔711Raが穿設されている。また、プリント回路基板300にも、この右側貫通孔711Raと対応する位置に、右側貫通孔(図示せず)が穿設されている。したがって、右側ボルトを、プリント回路基板300の右側貫通孔および右側ベース部710Rの右側貫通孔711Raを貫通させて、右側ナット収容部711Rに収容された右側ナット720Rに螺合することにより、右側ベース部710Rをプリント回路基板300に取り付けることができる。
【0141】
同様に、左側ベース部710Lは、そのほぼ中央部に、左側ナット720Lを収容するための左側ナット収容部711Lを持つ。この左側ナット収容部711Lには、図示しない右側ボルトを貫通するための左側貫通孔(図示せず)が穿設されている。また、プリント回路基板300にも、この左側貫通孔と対応する位置に、左側貫通孔(図示せず)が穿設されている。したがって、左側ボルトを、プリント回路基板300の右側貫通孔および右側ベース部710Rの右側貫通孔を貫通させて、左側ナット収容部711Lに収容された左側ナット720Lに螺合することにより、左側ベース部710Lをプリント回路基板300に取り付けることができる。
【0142】
このようにして、一対のナット720R、720Lと一対のボルトとを使用して、ベースフレーム710をプリント回路基板300に対して取り付けたり取り外したりすることができる。
【0143】
とにかく、一対のナット720R、720Lと一対のボルトとの組合せは、クリップ開状態保持機構700をプリント回路基板300に対して取り付け取り外し自在にする取付け/取外し部材として働く。
【0144】
このベースフレーム710にはレバー730が回動自在に軸着されている。ここで、「軸着」とは、軸で回転自在に取り付けることをいう。レバー730も略コ字形をしている。詳述すると、レバー730は、互いに左右両側で対向して設けられた右側アーム部730Rおよび左側アーム部730Lと、右側アーム部730Rと左側アーム部730Lとをそれらの後端で橋架する架橋部730Bとを有する。架橋部730Bは、レバー操作部とも呼ばれる。
【0145】
右側アーム部730Rの先端(前端)730Raは、内側(左側)へ直角に折り曲げられている。一方、ベースフレーム710の右側ベース部710Rは、その先端部側に、右側アーム部730Rを案内する右側案内溝(凹部)712Rを有する。この右側案内溝(凹部)712Rには、右側アーム部730Rの先端(前端)730Raが嵌入される右側嵌入孔(図示せず)が穿設されている。ここで、「嵌入」とは、嵌め入れることをいう。
【0146】
同様に、左側アーム部730Lの先端(前端)730Laは、内側(右側)へ直角に折り曲げられている。一方、ベースフレーム710の左側ベース部710Lは、その先端部側に、左側アーム部730Lを案内する左側案内溝(凹部)712Lを有する。この左側案内溝(凹部)712Lには、左側アーム部730Lの先端(前端)730Laが嵌入される左側嵌入孔712Laが穿設されている。
【0147】
尚、右側アーム部730Rの先端(前端)730Raおよび左側アーム部730Lの先端(前端)730Laは、レバー730の第1の端と呼ばれる。また、右側アーム部730Rと左側アーム部730Lの後端は、レバー730の第2の端と呼ばれる。とにかく、右側アーム部730Rの先端(前端)730Raは、右側ベース部710Rの右側嵌入孔に回動自在に嵌入され、左側アーム部730Lの先端(前端)730Laは左側ベース部710Lの左側嵌入孔712Laに回動自在に嵌入される。したがって、レバー730の第1の端は、ベースフレーム710に回動自在に軸着されている。換言すれば、右側アーム部730Rの先端(前端)730Raおよび左側アーム部730Lの先端(前端)730Laは、レバー730の回動軸(回転軸)として働く。
【0148】
また、レバー730の架橋部(操作部)730Bは、その中央部に、外側(後方)へ突出するコ字形の突出部732Bを持つ。この突出部732Bには、後述するプッシャー750が取り付けられる。突出部732Bがコ字形をしているのは、プッシャー750の回転を防止するためのものである。とにかく、プッシャー750は、レバー730の第2の端に取り付けられている。
【0149】
尚、プッシャー750は、図28および図29から明らかなように、クリップ式検査治具本体400の操作部452の上方に設けられている。
【0150】
図28乃至図31に加えて図32をも参照して、プッシャー750の構成について更に詳細に説明する。図32において、(A)はプッシャー740をレバー730に取り付けた組み立て体を示す斜視図であり、(B)はその組み立て体の分解斜視図であり、(C)はその組み立て体の右側面図である。
【0151】
図32(B)に示されるように、プッシャー750は、上下方向Zで2分割された上側プッシャー部材752および下側プッシャー部材754とから構成される。すなわち、上側プッシャー部材752と下側プッシャー部材754とで、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bを挟み込むことにより、プッシャー750はレバー730の第2の端に取り付けられる。
【0152】
上側プッシャー部材752は、その底面752lに、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bの形状に対応した断面半球状の上側溝752aを持つ。また、上側プッシャー部材752は、その底面752lの後縁で下方へ突出する突出部752bを持つ。さらに、上側プッシャー部材752は、その底面752lの左右両側近傍に、突出部752bと接する位置で、上方へ凹んだ一対の凹部752cを持つ。一対の凹部752cは、突出部752bとの接触部で、その内部にまで穿設されている。
【0153】
一方、下側プッシャー部材754は、その上面754uに、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bの形状に対応した断面半球状の下側溝754aを持つ。また、下側プッシャー部材754は、その上面754uの後縁で下方へ凹んだ切欠き部754bを持つ。更に、下側プッシャー部754は、その上面754uの左右両側近傍に、切欠き部754bと接する位置で、上方へ突出する一対の突出部754cを持つ。一対の突出部754cは、切欠き部754bに延在する一対の爪754dを持つ。
【0154】
次に、プッシャー750をレバー730の第2の端に取り付ける工程について説明する。先ず、図32(B)に示されるように、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bの中央部を下側プッシャー部材754の下側溝754aに嵌め込む。
【0155】
この状態において、下側プッシャー部材754の一対の爪754dを上側プッシャー部材752の突出部752bに引っ掛けながら、下側プッシャー部754の一対の突出部754cを上側プッシャー部752の一対の凹部752cに嵌入する。これにより、下側プッシャー部材754の上面754uと上側プッシャー部752の底面752lとが互いに当接し、かつ、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bの中央部が下側プッシャー部材754の下側溝754aと上側プッシャー部材752の上側溝752aとの間に挟まれた状態で、プッシャー750がレバー730の架橋部(操作部)730Bに取り付けられる。
【0156】
尚、前述したように、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bはコ字形の突出部732Bを有するので、プッシャー750に対する加圧時に、プッシャー750が回転するのを防止することができる。また、後述するように、下側プッシャー部材754のみその高さを変更することにより、高さの異なるクリップ式検査治具本体にも対応可能である。
【0157】
図28乃至図31に戻って、クリップ開状態保持機構700は、ベースフレーム710に設けられたロック部材760を更に備える。このロック部材760は、レバー730を押下げたときレバー730の第2の端(架橋部)730Bに係合してその押下げ状態を保持するためのものである。
【0158】
ロック部材760は、ベースフレーム710の後端に前方へ付勢された状態で回動自在に軸着されている。詳述すると、ロック部材760は、右側揺動板760Rと、左側揺動板760Lと、右側揺動板760Rと左側揺動板760Lとの間を橋架する架橋部760Bとを有する。この架橋部760Bは、ロック解除操作部とも呼ばれる。
【0159】
右側揺動板760Rは、横方向Xに所定の厚さを持ち、かつY−Z面と平行な面を持つ板状をしており、実質的にT字形をしている。右側揺動板760Rは、上下方向Zに延在する右側支持板762Rと、この右側支持板762Rの上部で前方へ突出する右側前方突出板764Rと、右側支持板762Rの上部で後方へ突出する右側後方突出板766Rとを有する。右側支持板762Rは下方から上方へ行くにつれて前後方向Yの幅が広くなっている。右側支持板762Rの下部には右側枢支ピン768Rが貫通する右側貫通孔762Raが穿設されている。ここで、「枢支」とは、凹部と凸部で回動可能に支持することをいう。右側前方突出板764Rは、略三角形をしている。すなわち、右側前方突出板764Rは、前方へ斜め下方へ傾斜した右側傾斜面764Raと、前後方向Yへ延在する右側底面764Rbとを持つ。右側傾斜面764Raは、レバー730のレバー操作部730Bの右端部を摺動する右側摺動面として働く。一方、右側底面764Rbと右側支持板762Rの右側前方面762Rbとの組合せは、レバー730のレバー操作部730Bの右端部を係止する右側係止部として働く。すなわち、右側底面764Rbは右側係止面として働く。尚、「係止」とは、係わり合って止まることをいう。
【0160】
一方、ベースプレート710の右側ベース部710Rは、その後端部に、右側揺動板760Rの右側支持板762Rを揺動可能に収容する右側収容凹部713Rを持つ。そして、ベースプレート710の右側ベース部710Rおよび架橋部710Bの右端部には、この右側収容凹部713Rを介して左右方向Xに右側枢支ピン768Rが貫通する右側貫通孔713Raが穿設されている。したがって、右側揺動板760Rの右側支持板762Rの下部を右側ベース部710Rの右側収容凹部713Rに収容した状態で、右側枢支ピン768Rを右側貫通孔713Raおよび右側貫通孔762Raに挿入することによって、右側揺動板760Rは、右側枢支ピン768Rの周りで揺動可能に支持される。
【0161】
同様に、左側揺動板760Lは、横方向Xに所定の厚さを持ち、かつY−Z面と平行な面を持つ板状をしており、実質的にT字形をしている。左側揺動板760Lは、上下方向Zに延在する左側支持板762Lと、この左側支持板762Lの上部で前方へ突出する左側前方突出板764Lと、左側支持板762Lの上部で後方へ突出する左側後方突出板766Lとを有する。左側支持板762Lは下方から上方へ行くにつれて前後方向Yの幅が広くなっている。左側支持板762Lの下部には左側枢支ピン768Lが貫通する左側貫通孔762Laが穿設されている。左側前方突出板764Lは、略三角形をしている。すなわち、左側前方突出板764Lは、前方へ斜め下方へ傾斜した左側傾斜面764Laと、前後方向Yへ延在する左側底面(図示せず)とを持つ。左側傾斜面764Laは、レバー730のレバー操作部730Bの左端部を摺動する左側摺動面として働く。一方、左側底面と左側支持板762Lの左側前方面762Lbとの組合せは、レバー730のレバー操作部730Bの左端部を係止する左側係止部として働く。すなわち、左側底面は右側係止面として働く。
【0162】
一方、ベースプレート710の左側ベース部710Lは、その後端部に、左側揺動板760Lの左側支持板762Lを揺動可能に収容する左側収容凹部713Lを持つ。そして、ベースプレート710の左側ベース部710Lおよび架橋部710Bの左端部には、この左側収容凹部713Lを介して左右方向Xに左側枢支ピン768Lが貫通する左側貫通孔713Laが穿設されている。したがって、左側揺動板760Lの左側支持板762Lの下部を左側ベース部710Lの左側収容凹部713Lに収容した状態で、左側枢支ピン768Lを左側貫通孔713Laおよび左側貫通孔762Laに挿入することによって、左側揺動板760Lは、左側枢支ピン768Lの周りで揺動可能に支持される。
【0163】
尚、図示はしないが、右側収容凹部713Rおよび左側収容凹部713Lには、ロック部材760を常に前方へ倒れるように付勢するバネも収容されている。
【0164】
架橋部(ロック解除操作部)760Bは、右側揺動板760Rの右側後方突出板766Rと左側揺動板760Lの左側後方突出板766Lとの間に橋架されている。この架橋部(ロック解除操作部)760Bは、後述するように、当該ロック部材760によるレバー730のロックを解除するためのものである。
【0165】
とにかく、図示のクリップ開状態保持機構700は、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられたベースプレート710と、このベースプレート710に回動自在に取り付けられたレバー730と、このレバー730に作用的に連結されたプッシャー750とを備えている。そして、レバー710を操作することにより、プッシャー760を下動させ、クリップ式検査治具本体400の操作部452(クリップの後端)を押圧するようにしている。
【0166】
また、図示のクリップ開状態保持機構700は、それを構成する全ての部品(ベースプレート710、レバー730、プッシャー750、およびロック部材760)が左右対称形状をしている。従って、組み立て間違えが発生しにくく、歩留りが良い。また、クリップ開状態保持機構700を使用する際にも、全ての部品が左右対称形状であるので、操作者(作業者)の利き手に依らず使用することが可能である。
【0167】
とにかく、クリップ開状態保持機構700は、プリント回路基板300に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレーム710と、このベースフレーム710に回動自在に取り付けられたレバー730と、このレバー730に作用的に結合されたプッシャー750とを備える。このような構成のクリップ開状態保持機構700によれば、レバー730を操作することによりプッシャー750を下動させ、クリップの後端(操作部)452を押圧することができる。
【0168】
次に、図33を参照して、図28に示したクリップ式検査治具の動作について説明する。
【0169】
図33(A)は、クリップ式検査治具の初期状態を示している。この状態では、クリップ式検査治具本体400は、その挟持部を閉じた状態にある。一方、クリップ開状態保持機構700では、そのプッシャー750がクリップ式検査治具本体400の操作部452の上方に置かれている。このとき、レバー730の架橋部(レバー操作部)730Bの右端部および左端部は、それぞれ、ロック部材760の右側揺動板760Rの右側傾斜面(右側摺動面)764Raおよび左側揺動板760Lの左側傾斜面(左側摺動面)764Laで係止している。
【0170】
この状態において、図33(B)に示されるように、操作者(作業者)がその手でレバー730のレバー操作部730B(プッシャー750)を矢印C1で示される方向に押下げたとする。この場合、レバー730のレバー操作部730Bがロック部材760の右側揺動板760Rの右側傾斜面(右側摺動面)764Ra上および左側揺動板760Lの左側傾斜面(左側摺動面)764La上を摺動するので、ロック部材760はその右側枢支ピン768Rおよび左側枢支ピン768Lの回りを時計回りに回転する。その結果、図33(B)に示されるように、プッシャー750がクリップ式検査治具本体400の操作部452と当接する。ここで、「当接」とは、突き当てた状態に接することをいう。
【0171】
その後、さらに引き続いて、図33(C)に示されるように、操作者(作業者)がその手でレバー730のレバー操作部730B(プッシャー750)を矢印C2で示される方向にさらに押下げたとする。これにより、プッシャー750はクリップ式検査治具本体400の操作部452を押下げる。これにより、トップカバー450はシャフト460(図29)の回りを時計回りに回転し、一対の閉鎖用コイルスプリング470(図3)は圧縮される。すると、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430(図29)は一対の持上げ用コイルスプリングにより持上げられて、プッシャー430の突出部434はトップカバー450の当接部453(図29)に追従する。
【0172】
と同時に、レバー730のレバー操作部730Bとロック部材760の右側揺動板760Rの右側傾斜面(右側摺動面)764Raおよび左側揺動板760Lの左側傾斜面(左側摺動面)764Laとの係止が解除されるので、ロック部材760はレバー730を引っ掛ける。詳述すると、ロック部材760は、ベースフレーム710の右側収容凹部713Rおよび左側収容凹部713Lに収容されている前述したバネ(図示せず)の付勢力により、常に、右側枢支ピン768Rおよび左側枢支ピン768Lの回りを反時計回りに前方へ倒れる方向へ付勢されている。したがって、上記係止が解除されると、上記バネの付勢力により、ロック部材760は、図33(C)の矢印C3で示される方向に自動的に前方へ倒れる。その結果、レバー730はこのロック部材760によりロックされる。すなわち、レバー730のレバー操作部730Bの右端部および左端部は、それぞれ、ロック部材760の右側揺動板760Rの右側係止部および左側揺動板760Lの左側係止部で係止される。
【0173】
その結果、図33(C)に示されるように、クリップ式検査治具本体400は、その挟持部が開いた状態に保持される。
【0174】
この状態において、図29に示されるように、操作者(作業者)は、検査対象物であるフレキシブル印刷回路(FPC)200をクリップ式検査治具本体400の挟持部に挿入して位置決めする。
【0175】
このフレキシブル印刷回路(FPC)200の位置決めが終了したら、操作者(作業者)は、ロック部材760のロック解除操作部760Bを手でもって、図33(D)の矢印C4で示される方向に、ロック部材760を右側枢支ピン768Rおよび左側枢支ピン768Lの回りに時計回りに回転して、後方へ倒す。これより、上記レバー730のレバー操作部730Bの右端部および左端部とロック部材760の右側揺動板760Rの右側係止部および左側揺動板760Lの左側係止部との間の係合が解除される。すなわち、ロック部材760とレバー730との間のロックが解除される。これにより、クリップ式検査治具本体400の一対の閉鎖用コイルスプリング470(図3)は伸長するので、トップカバー450はシャフト460(図29)の回りを反時計回りに回転する。クリップ式検査治具本体400の操作部452にクリップ開状態保持機構700のプッシャー750が当接しているので、レバー730は、図33(D)の矢印D5で示される方向に、その回転軸730Ra、730Laの回りを反時計回りに回転する。換言すれば、レバー730は、図33(A)に示される初期状態に復帰する(戻る)。
【0176】
このとき、クリップ式検査治具本体400のプッシャー430(図29)はトップカバー450により押下げられ、一対の持上げ用コイルスプリングは圧縮される。それにより、プッシャー430の平面でフレキシブル印刷回路(FPC)200を押圧することにより、図12に示されように、フレキシブル印刷回路(FPC)200の下面200lに形成された下側接点パターン211、212は、低接圧コネクタ100のフィルム伝導パターン132を介してプリント回路基板300の上面300uに形成された上側接点パターン311、312と接触させられる。従って、フレキシブル印刷回路(FPC)200はプリント回路基板300と電気的に接続される。
【0177】
図34は、レバー730の回転軸730Ra、730Laから、プッシャー750とクリップ式検査治具本体400の操作部452との間の接触位置までの距離Lと、この接触位置での摺動距離Lとの関係を示した右側面図である。
【0178】
図34に示されるように、レバー730の回転軸730Ra、730Laは、クリップ式検査治具本体400の操作部452との接触位置から距離Lだけ離れている。その結果、プッシャー750とクリップ式検査治具本体400の操作部452との間の接触位置での摺動距離Lを極めて短くすることができる。それにより、クリップ開状態保持機構700のプッシャー750とクリップ式検査治具本体400の操作部452との間の摺動を減らすことができ、クリップ式検査治具本体400の擦れによる破損(ダメージ)を抑制することができる。
【0179】
図35を参照して、異なる高さを持つクリップ式検査治具本体400、400Aへの対応について説明する。図35において、(A)は図1に示したクリップ式検査治具本体400に適応した本実施例に係るクリップ開状態保持機構600のプッシャー750がクリップ式検査治具本体400のトップカバー450の操作部452に当接している状態を示す概略右側面図であり、(B)は図13に示したクリップ式検査治具本体400Aに適応した本実施例に係るクリップ開状態保持機構600Aのプッシャー750Aがクリップ式検査治具本体400Aのトップケカバー450の操作部452に当接している状態を示す概略右側面図である。
【0180】
但し、図35(A)、(B)では、図面の簡略化のために、それぞれ、クリップ式検査治具本体400、400Aの図示を省略している。
【0181】
前述したように、クリップ式検査治具本体400Aの第1のクリップ高さHは、クリップ式検査治具本体400の第2のクリップ高さHより低い(H<H)。
【0182】
そのような場合、図35(A)、(B)に示されるように、クリップ式検査治具本体400、400Aのクリップ高さH、Hに適応したプッシャー750、750Aに付け替えることで対応することが可能である。クリップ式検査治具本体400に適応したクリップ開状態保持機構700のプッシャー750は第1のプッシャー高さHp1を持ち、クリップ式検査治具本体400Aに適応したクリップ開状態保持機構700Aのプッシャー750Aは第2のプッシャー高さHp2を持つ。第1のプッシャー高さHp1は第2のプッシャー高さHp2より低い(Hp1<Hp2)。
【0183】
このようにすることで、クリップ開状態保持機構700、700Aのロック部材760の高さは変わらないので、プッシャーの1部品のみを交換するだけで交換可能となる。すなわち、ロック部材760の高さを変更せず、クリップ開状態保持機構700、700Aのプッシャー高さの異なるプッシャー750、750Aへ付け替える事で、クリップ高さの異なるクリップ式検査治具本体400、400Aへ対応可能である。
【0184】
尚、プッシャーのプッシャー高さを変える場合、図32に示されるように、上側プッシャー部材752を共通にし、下側プッシャー部材764のみの高さを変更すれば良い。
【0185】
尚、本第2の実施例に係るクリップ開状態保持機構700に使用されるプッシャーは、上述したものに限定されず、種々のものを使用することができる。
【0186】
図36を参照して、プッシャーの第1の変形例750Bについて説明する。図示のプッシャー750Bは、上側プッシャー部材および下側プッシャー部材が後述するように変更されている点を除いて、図32(B)に図示したプッシャー750と同様の構成を有する。従って、上側プッシャー部材および下側プッシャー部材に、それぞれ、752Aおよび754Aの参照符号を付してある。図32(B)と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のために、以下では異なる点についてのみ説明する。
【0187】
図32(B)に示すプッシャー350では、後端に設けた爪754dのみを使用して上側プッシャー部材752と下側プッシャー部材754とを互いに引っ掛けて、上側プッシャー部材752と下側プッシャー部材754とを固定している。
【0188】
これに対して、図36に図示したプッシャー750Bでは、後端に設けた爪754dばかりでなく前端に設けた爪(後述する)をも使用して、上側プッシャー部材752Aと下側プッシャー部材754Aとを互いに引っ掛けて、上側プッシャー部材752Aと下側プッシャー部材754Aとを固定している。詳述すると、上側プッシャー部材752Aは、その前端で、その底面752lから下方へ突出する、爪752eを持つ突出部752eを有する。一方、下側プッシャー部材764Aは、その前端で、その上面754uから凹んだ、係合部754fを持つ凹部754eを有する。
【0189】
したがって、下側プッシャー部材754Aの後端に設けた爪754dを上側プッシャー部材752Aの突出部752bに引っ掛けるばかりでなく、上側プッシャー部材752Aの前端に設けた爪752fを下側プッシャー部材754Aの係合部754fに引っ掛けることにより、上側プッシャー部材752Aと下側プッシャー部材754Aとを互いに強固に結合することができる。
【0190】
図37を参照して、プッシャーの第2の変形例750Cについて説明する。図示のプッシャー750Cは、下側プッシャー部材が後述するように変更されている点を除いて、図32(B)に図示したプッシャー750と同様の構成を有する。従って、下側プッシャー部材に754Bの参照符号を付してある。図32(B)と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のために、以下では異なる点についてのみ説明する。
【0191】
図示の下側プッシャー部材754Bは、上下方向Zで2分割された下側プッシャー固定部756および下側プッシャー可動部757と、下側プッシャー固定部756と下側プッシャー可動部757との間に配置された複数の圧縮コイルバネ758(図37では、1つの圧縮コイルバネのみ図示している)とを有する。
【0192】
ここで、上側プッシャー部材752と下側プッシャー固定部756との組合せは上側プッシャー部とも呼ばれ、下側プッシャー可動部757は下側プッシャー部とも呼ばれる。したがって、圧縮コイルバネ758は、上側プッシャー部(752、756)と下側プッシャー部756との間に配置される。上側プッシャー部(752、756)と下側プッシャー部756とは、後述するように、一定の範囲で上下方向Zに移動可能に組み合わされる。そして、上側プッシャー部(752、756)は、レバー730の他端(レバー操作部)730Bに取り付けられる。
【0193】
詳述すると、下側プッシャー可動部757は、その上面757uに、圧縮コイルバネ758を収容する下側バネ収容凹部757aを持つ。一方、下側プッシャー固定部756は、その底面756lに、圧縮コイルバネ758を収容する上側バネ収容凹部756aを持つ。すなわち、圧縮コイルバネ758は、下側バネ収容凹部757aと上側バネ収容凹部756aとによって形成されるバネ収容空間に収容されている。
【0194】
また、下側プッシャー可動部757と下側プッシャー固定部756とは、それらを互いに上下方向Zに沿って摺動(案内)可能とする摺動機構(案内機構)を持っている。詳述すると、下側プッシャー可動部757は、前後方向両端で、その上面757uから上方へ延在する一対の摺動板(案内板)757bを有する。一対の摺動板(案内板)757bは、それぞれ、その先端部で互いに対向する方向(内側)へ突出する一対の係合突起757cを持つ。一方、下側プッシャー固定部756は、上記一対の摺動板(案内板)757bがそれぞれ挿入される一対の案内溝孔756bを持つ。また、下側プッシャー固定部756は、一対の案内溝孔756bの内壁から互いに離れる方向(外側)へ突出して、ぞれぞれ、上記一対の係合突起757cを係止するための一対の係止突起756cを持つ。
【0195】
このような構成のプッシャー750Cによれば、下側プッシャー可動部(下側プッシャー部)757は、下側プッシャー固定部(上側プッシャー部)756に対して、一対の係合突起757cが一対の一対の係止突起756cに係止する位置と下側プッシャー可動部757の上面757uが下側プッシャー固定部756の底面756lと当接する位置との範囲(可動範囲)で、上下方向Zに移動可能である。尚、プッシャー750Cに対して外部から何らの力も作用しない状態では、図37に示されるように、圧縮コイルバネ758の付勢力(伸長力)により、一対の係合突起757cが一対の一対の係止突起756cに係止した状態(位置)で、下側プッシャー可動部(下側プッシャー部)757は、下側プッシャー固定部(上側プッシャー部)756から離れている。また、圧縮コイルバネ758は、クリップ式検査治具本体400、400Aにおいてトップカバー450を上方へ付勢する一対の閉鎖用コイルスプリング470(図3)の操作力(押込み力)より強い(硬い)バネから構成される。
【0196】
このような構成のプッシャー750Cをクリップ開状態保持機構のプッシャーとして使用することにより、上記可動範囲(一定の範囲)の分だけ高さの異なるクリップ式検査治具本体に対応可能である。換言すれば、クリップ開状態保持機構の部品を交換する事無く、高さの異なるクリップ式検査治具本体に対応可能となる。
【0197】
また、上述した実施例で使用されたプッシャーは、上側プッシャー部材と下側プッシャー部材とでレバー730のレバー操作部730Bを挟み込んで組み立てる構成をしているが、このような組み立て(製作)方法に限定されないのは勿論である。例えば、プッシャーとレバーとが互いに強固に保持されるように、レバーをモールドイン成形する形でプッシャーを製作してもよい。
【0198】
以上、本発明ついて好ましい実施例に即して説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。例えば、上述した実施例では、複数の接点端子が基板の先端の面に設けられているが、複数の接点端子はクリップの先端の面に設けられても良い。また、上述した実施例では、クリップ開状態保持機構を基板に対して取り付け取り外し自在にする取付け/取外し部材として、ネジやボルトとナットとの組合せを用いているが、これら以外の取付け/取外し部材を用いても良いのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明に係るクリップ式検査治具が適用される第1のクリップ式検査治具本体を、入出力インタフェースコネクタが搭載されたプリント回路基板上に搭載した状態で示す斜視図である。
【図2】図1に図示した第1のクリップ式検査治具本体の分解斜視図である。
【図3】図1に図示した第1のクリップ式検査治具本体の断面図である。
【図4】第1の接続対象物であるフレキシブル印刷回路(FPC)を底面側から見た斜視図である。
【図5】第1の接続対象物であるプリント回路基板を上面側から見た斜視図である。
【図6】電気コネクタ(低接圧コネクタ)の斜視図である。
【図7】図6の線VII−VIIについての断面図である。
【図8】図6の線VIII−VIIIについての断面図である。
【図9】図7において楕円9によって囲まれた電気コネクタ(低接圧コネクタ)の拡大図である。
【図10】図8において楕円10によって囲まれた電気コネクタ(低接圧コネクタ)の拡大図である。
【図11】図1に示した第1のクリップ式検査治具本体の嵌合動作を説明するための斜視図である。
【図12】図1に示した第1のクリップ式検査治具本体の嵌合状態を示す拡大断面図である。
【図13】本発明に係るクリップ式検査治具が適用される第2のクリップ式検査治具本体を、入出力インタフェースコネクタが搭載されたプリント回路基板上に搭載した状態で示す斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施例に係るクリップ式検査治具を示す斜視図である。
【図15】図14に示したクリップ式検査治具に使用される、本発明の第1の実施例に係るクリップ開状態保持機構の分解斜視図である。
【図16】右利き用のクリップ開状態保持機構(A)と左利き用のクリップ開状態保持機構(B)を示す斜視図である。
【図17】(A)は挟持部が閉じた状態にあるクリップ式検査治具の斜視図を示し、(B)は挟持部が閉じた状態にあるクリップ式検査治具の断面図である。
【図18】(A)は挟持部が開いた状態にあるクリップ式検査治具の斜視図を示し、(B)は挟持部が開いた状態にあるクリップ式検査治具の断面図である。
【図19】図14に示したクリップ式検査治具の初期状態を示す概略断面図である。
【図20】レバーを回動したときの、クリップ式検査治具の状態を示す概略断面図である。
【図21】クリップ式検査治具本体の操作部が下死点に到達したときの、クリップ式検査治具の状態を示す概略断面図である。
【図22】レバーをストッパへ突き当たるまで操作したときの、クリップ式検査治具の状態を示す概略断面図である。
【図23】フレキシブル印刷回路(FPC)とプリント回路基板とが低接圧コネクタを介して互いに電気的に接続されたときの、クリップ式検査治具の状態を示す概略断面図である。
【図24】異なる高さを持つクリップ式検査治具本体への対応を説明するための、クリップ式検査治具の各状態を示す概略断面図である。
【図25】本発明の第1の実施例に係るクリップ開状態保持機構の第1の変形例を示す斜視図である。
【図26】本発明の第1の実施例に係るクリップ開状態保持機構の第2の変形例を示す斜視図である。
【図27】本発明の第1の実施例に係るクリップ開状態保持機構の第3の変形例を示す斜視図である。
【図28】本発明の第2の実施例に係るクリップ式検査治具の斜視図である。
【図29】図28に示したクリップ式検査治具の断面図である。
【図30】図28に示したクリップ式検査治具に使用される、本発明の第2の実施例に係るクリップ開状態保持機構の斜視図である。
【図31】図30に示したクリップ開状態保持機構の分解斜視図である。
【図32】図30に示したクリップ開状態保持機構に使用されるプッシャーの構成を示す図で、(A)はプッシャーをレバーに取り付けた組み立て体を示す斜視図であり、(B)は組み立て体の分解斜視図であり、(C)は組み立て体の右側面図である。
【図33】図28に示したクリップ式検査治具の動作を説明するための右側面図である。
【図34】レバーの回転軸から、プッシャーとクリップ式検査治具の操作部との間の接触位置までの距離と、この接触位置での摺動距離との関係を示す、クリップ式検査治具の右側面図である。
【図35】異なる高さを持つクリップ式検査治具への対応を説明するための、クリップ開状態保持機構の右側面図である。
【図36】本発明の第2の実施例に係るクリップ開状態保持機構に使用されるプッシャーの第1の変形例を示す断面図である。
【図37】本発明の第2の実施例に係るクリップ開状態保持機構に使用されるプッシャーの第2の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0200】
100 電気コネクタ(低接圧コネクタ)
132 フィルム伝導パターン
200 フレキシブル印刷回路(FPC、第1の接続対象物)
211、212 下側パッド(下側接点パターン)
230 液晶ディスプレイ(LCD、モジュール)
300 プリント回路基板(第2の接続対象物)
300u 上面
300l 底面
311、312 上側パッド(上側接点パターン、接点端子)
320 入出力インタフェースコネクタ
400、400A クリップ式検査治具本体
410 ボトムカバー(支持部材、固定部材)
420 インナーフレーム
430 プッシャー
431 挿入口
440 ベース部材
450 トップカバー
452 操作部
453 当接部
460 シャフト
470 閉鎖用コイルスプリング
600、600A、600B、600C、600D クリップ開状態保持機構
610 ベースフレーム
610R 右側支柱(右側ベースフレーム)
610Rb 右側ガイド溝
610L 左側支柱(左側ベースフレーム)
610Lb 左側ガイド溝
612R 右側ストッパ
612L 左側ストッパ
620R、620L ネジ
630、630A、630B、630C レバー
632 支軸部
632u 上端(第1の端)
632l 下端(第2の端)
633 レバー用シャフト(第2の連結部)
634、634A、634B、634C 操作部
636R 右側リンク支持部
636L 左側リンク支持部
640 リンク
640u 上端部(第1の端)
640l 下端部(第2の端)
642 第1のリンク用シャフト(第1の連結部)
644 第2のリンク用シャフト(第3の連結部)
650 プッシャー
652 上側プッシャー部
652R 右側プッシャーガイド部
652Ra 右側ガイド片
652L 左側プッシャーガイド部
652La 左側ガイド片
652B 架橋部
654 下側プッシャー部
654B プッシャー本体
656R 右側圧縮バネ
656L 左側圧縮バネ
658R 右側ネジ
658L 左側ネジ
700、700A クリップ開状態保持機構
710 ベースフレーム
710R 右側ベース部
710L 左側ベース部
710B 架橋部
711R 右側ナット収容部
711L 左側ナット収容部
712R 右側案内溝(凹部)
712L 左側案内溝(凹部)
713R 右側収容凹部
713L 左側収容凹部
720R 右側ナット
720L 左側ナット
730 レバー
730R 右側アーム部
730Ra 先端(前端、第1の端、回転軸)
730L 左側アーム部
730La 先端(前端、第1の端、回転軸)
730B 架橋部(レバー操作部、第2の端)
732B コ字形の突出部
750、750A、750B、750C プッシャー
752 上側プッシャー部材
752f 爪
754 下側プッシャー部材
754d 爪
756 下側プッシャー固定部
756a 上側バネ収容凹部
756b 案内溝孔
756c 係止突起
757 下側プッシャー可動部(下側プッシャー部)
757a 下側バネ収容凹部
757b 摺動板(案内板)
757c 係合突起
758 圧縮コイルバネ
760 ロック部材
760R 右側揺動板
760L 左側揺動板
760B 架橋部(ロック解除操作部)
762R 右側支持板
762Rb 右側前方面
762L 左側支持板
764R 右側前方突出板
764Ra 右側傾斜面(右側摺動面)
764Rb 右側底面(右側係止面)
764L 左側前方突出板
764La 左側傾斜面(左側摺動面)
766R 右側後方突出板
766L 左側後方突出板
768R 右側枢支ピン
768L 左側枢支ピン
BDC 下死点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、先端が前記基板側に付勢されながら揺動自在となるように前記基板に軸着されたクリップと、該クリップ及び前記基板の先端の面のいずれか一方に設けられた複数の接点端子とを備えたクリップ式検査治具本体を有するクリップ式検査冶具において、
前記クリップの後端を前記基板側に押圧し、前記基板と前記クリップの先端間を開状態に保持するクリップ開状態保持機構を有し、該クリップ開状態保持機構は前記基板に取り付け取り外し自在に設けられているクリップ式検査治具。
【請求項2】
前記クリップ開状態保持機構は、
前記基板に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレームと、
該ベースフレームの上方の位置に回動自在に軸支されたレバーであって、第1の端に操作部が設けられた前記レバーと、
前記レバーの第2の端に第1の端が回動自在に結合されたリンクと、
前記ベースフレームの下方の位置に上下動可能に組み付けられたプッシャーであって、一端が前記リンクの第2の端に回動自在に結合された前記プッシャーと、を備え、
前記レバーの回動操作により、前記リンクを介して前記プッシャーを上下動させ、前記クリップの後端を押圧、押圧解除するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載のクリップ式検査治具。
【請求項3】
前記クリップ開状態保持機構は、前記リンクと前記レバーとを連結する第1の連結部と、前記レバーと前記ベースフレームとを連結する第2の連結部と、前記リンクと前記プッシャーとを連結する第3の連結部とを有し、
前記クリップ開状態保持機構は、前記レバーの回動を阻止するストッパを更に備え、該ストッパは、前記第1の連結部が、前記クリップの下死点を越えて前記第2の連結部と第3の連結部とを結ぶ線を挟んだその一側から他側に移動したとき、前記レバーのそれ以上の回動を阻止することを特徴とする、請求項2に記載のクリップ式検査治具。
【請求項4】
前記プッシャーは、
上下方向で2分割された上側プッシャー部および下側プッシャー部と、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部との間に配置された圧縮バネと、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部とを、一定の範囲で上下方向に接近離間可能に結合する結合部材とを備え、
前記上側プッシャー部が前記リンクの第2の端に回動可能に結合されている、請求項2又は3に記載のクリップ式検査治具。
【請求項5】
前記ベースフレームは、前記レバーを間に挟んで左右に配置された、左側ベースフレームと右側ベースフレームとを備え、前記レバーは前記左側ベースフレームと前記右側ベースフレームとに間に回動自在に軸支され、
前記左側ベースフレームおよび前記右側ベースフレームは、それぞれ、対向面に前記プッシャーの上下動を案内する左側ガイド溝および右側ガイド溝を持つ、請求項2乃至4のいずれか1つに記載のクリップ式検査治具。
【請求項6】
前記左側ベースフレーム、前記右側ベースフレーム、前記リンクおよび前記プッシャーは、左右対称形状をしている、請求項5に記載のクリップ式検査治具。
【請求項7】
前記クリップ開状態保持機構は、
前記基板に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレームと、
該ベースフレームに第1の端が回動自在に軸着されたレバーと、
前記レバーの第2の端に取り付けられたプッシャーと、
前記ベースフレームに設けられたロック部材であって、前記レバーを押下げたとき前記レバーの第2の端に係合してその押下げ状態を保持する前記ロック部材と、を備え、
前記レバーの第2の端を押下げ操作することにより、前記プッシャーを下動させ、前記クリップの後端を押圧するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載のクリップ式検査治具。
【請求項8】
前記プッシャーは、
上下方向で2分割され、一定の範囲で上下方向に移動可能に組み合わされた上側プッシャー部および下側プッシャー部と、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部との間に配置された圧縮バネとを備え、
前記上側プッシャー部が前記レバーの第2の端に取り付けられている、請求項7に記載のクリップ式検査治具。
【請求項9】
先端が基板側に付勢されながら揺動自在となるように前記基板に軸着されたクリップの後端を前記基板側に押圧し、前記基板と前記クリップの先端間を開状態に保持するクリップ開状態保持機構であって、
前記基板に取り付け取り外し自在に設けられているクリップ開状態保持機構。
【請求項10】
前記基板に取り付け取り外し自在に設けられたベースフレームと、
該ベースフレームに回動自在に取り付けられたレバーと、
該レバーに作用的に結合されたプッシャーと、を備え、
前記レバーを操作することにより前記プッシャーを下動させ前記クリップの後端を押圧するように構成したことを特徴とする請求項9に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項11】
前記レバーは前記ベースフレームの上方の位置に回動自在に軸支され、第1の端に操作部が設けられており、
前記プッシャーは前記ベースフレームの下方の位置に上下動可能に組み付けられており、
前記クリップ開状態保持機構は、前記レバーと前記プッシャーとを連結するリンクを更に備え、該リンクの第1の端は前記レバーの第2の端に回動自在に結合され、前記リンクの第2の端は前記プッシャーの一端に回動自在に結合されており、
前記レバーの回動操作により、前記リンクを介して前記プッシャーを上下動させ、前記クリップの後端を押圧、押圧解除するように構成したことを特徴とする、請求項10に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項12】
前記クリップ開状態保持機構は、前記リンクと前記レバーとを連結する第1の連結部と、前記レバーと前記ベースフレームとを連結する第2の連結部と、前記リンクと前記プッシャーとを連結する第3の連結部とを有し、
前記クリップ開状態保持機構は、前記レバーの回動を阻止するストッパを更に備え、該ストッパは、前記第1の連結部が、前記クリップの下死点を越えて前記第2の連結部と第3の連結部とを結ぶ線を挟んだその一側から他側に移動したとき、前記レバーのそれ以上の回動を阻止することを特徴とする、請求項11に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項13】
前記プッシャーは、
上下方向で2分割された上側プッシャー部および下側プッシャー部と、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部との間に配置された圧縮バネと、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部とを、一定の範囲で上下方向に接近離間可能に結合する結合部材とを備え、
前記上側プッシャー部が前記リンクの第2の端に回動可能に結合されている、請求項11又は12に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項14】
前記ベースフレームは、前記レバーを間に挟んで左右に配置された、左側ベースフレームと右側ベースフレームとを備え、前記レバーは前記左側ベースフレームと前記右側ベースフレームとの間に回動自在に軸支され、
前記左側ベースフレームおよび前記右側ベースフレームは、それぞれ、対向面に前記プッシャーの上下動を案内する左側ガイド溝および右側ガイド溝を持つ、請求項11乃至13のいずれか1つに記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項15】
前記左側ベースフレーム、前記右側ベースフレーム、前記リンクおよび前記プッシャーは、左右対称形状をしている、請求項14に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項16】
前記レバーの第1の端は、前記ベースフレームに回動自在に軸着され、
前記レバーの第2の端は、前記プッシャーに取り付けられ、
前記クリップ開状態保持機構は、前記ベースフレームに設けられたロック部材であって、前記レバーを押下げたとき前記レバーの第2の端に係合してその押下げ状態を保持する前記ロック部材を更に有し、
前記レバーの第2の端を押下げ操作することにより、前記プッシャーを下動させ、前記クリップの後端を押圧するように構成したことを特徴とする、請求項10に記載のクリップ開状態保持機構。
【請求項17】
前記プッシャーは、
上下方向で2分割され、一定の範囲で上下方向に移動可能に組み合わされた上側プッシャー部および下側プッシャー部と、
前記上側プッシャー部と前記下側プッシャー部との間に配置された圧縮バネとを備え、
前記上側プッシャー部が前記レバーの第2の端に取り付けられている、請求項16に記載のクリップ開状態保持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−63293(P2009−63293A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228586(P2007−228586)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】