説明

グレアを低減しシリコン表面に制御された密度のつや消し仕上げを作る方法

シリコン製外科手術用刃などの表面上につや消し仕上げを作るためのシステム(100)および方法において、そのシステムは、コンピュータ(2)と、レーザーおよびレンズアッセンブリー(8)と、受け取られた命令に従いレーザーの位置を制御するx−y座標コントローラ(6)とを含んでいる。その方法は、レーザーにより、外科手術用刃に除去される意匠、即ち、模様(200)を作ることを含む。それから、データセットは、その意匠即ち模様を表すファイルから作成され、そのデータセットの命令は、x−y座標コントローラ(6)、レーザーおよびレンズアッセンブリー(8)に送出される。x−y座標コントローラ(6)は、レーザー(8)を窪み(212、214)が形成されるべき位置に移動させ、そのレーザーがその外科手術用刃に当たり、所定の直径、深さおよび間隔の穴即ち窪みをその外科手術用刃に焼き付ける。それから、そのプロセスは、その意匠即ち模様が外科手術用刃(10)に作られるまで迅速に繰り返す。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法§119(e)により、特に本明細書の一部を構成する全内容となる2003年、9月10日出願、米国仮出願(No.60/501400)に対し優先権を請求する。また、本出願は、本明細書の一部を構成する全内容となる仮出願ではない出願(No.10/383573,2003年3月10日出願)(「システムおよび外科手術用刃の製造方法」という発明の名称)の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、外科手術用刃の製造および使い方に関する。また、本発明は、システムおよびシリコン製外科手術用刃の表面などの表面につや消し仕上げを作りグレアを低減する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコン製外科手術用刃の製造は、医療技術の分野において比較的新しい革新である。上記の仮出願および仮出願でない特許出願は、これらの刃の製造方法を開示している。上記の出願において説明される方法あるいは他の方法を使用して製造される場合、刃のシリコン表面が、典型的には、非常に反射するものとなる。この反射は、外科手術用刃および他の装置を製造する際に使用されるシリコンまたは他の結晶物質における固有の特性である。外科手術用刃の場合、その刃が光源で顕微鏡のもとで使用されるならば、これは、外科医にとって気をちらすこととなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上記の出願において説明された方法ならびに他の方法に従い製造される外科手術用刃からの光反射により作られるグレアのほとんどまたは全部を低減あるいはなくすシステムおよび方法をもたらすことに対し要望がある。外科手術用刃、好ましくは、シリコン、および/または他の結晶物質で作られる刃につや消し仕上げを作るための方法を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法は、所定の模様即ち意匠に従いつや消し仕上げを作るようにシステムを制御するためのデータセットを作り、そのデータセットを位置制御部およびレーザーに転送し、所定の模様即ち意匠を作るために知られた波長、パルス繰返し数、表面速度およびレーザー出力のレーザー光で外科手術用刃の表面に光をあてることを含む。
【0006】
波長、パルス繰返し数、表面速度およびレーザー出力における変数は、外科手術用刃に穴即ち窪みを作るように選択され、それにより、つや消し仕上げを作る。
【0007】
本発明の様々な目的、利点、新規な特徴は、添付図面とともに読むとき、以下の好ましい実施例の詳細な説明を参照することにより最もよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の幾つかの実施例が添付図面を参照して詳細に説明されるだろう。図面において、たとえ、それらが異なる図面において示されても、同一またはほぼ同じの要素は、同一の参照数字により示されている。以下の説明において、知られた機能および構成の詳細な説明は、簡潔のために省略される。
【0009】
上述したように、シリコン製外科手術用刃の表面は、特に、上記の出願において説明される方法に従い作られる刃は、通常、非常に反射するだろう。これは、その刃が顕微鏡下、光源とともに使用される場合、その外科医の気を散らすこととなる。従って、刃の表面は、散乱即ち入射光線(例えば、外科手術の間、使用される高輝度ランプから出る)を放散させるつや消し仕上げを備えることができ、光沢あるものとは対照的に光沢がないように見える。そのつや消し仕上げは、適切なレーザーから刃面に光が発し、特定の模様および密度に応じて刃面における領域を除去することにより作られる。その除去された領域は、それは概ね発せられたレーザー光の形状であるので好ましくは、円形に作られる。円形の除去された部分の寸法は、好ましくは、直径で25〜50ミクロンの範囲である。また一方では、寸法は、製作者および使用されるレーザーの形式に依存している。その円形の除去された領域の深さは、好ましくは、10〜25ミクロンの範囲である。これらの特徴は、以下により詳細に説明されるだろう。
【0010】
実際には、穴即ち窪みを任意に配置するグラフィックファイル(graphic file)が作成可能とされ、その模様についての特定の除去された領域の密度および任意性における所望の効果を達成する。代替的には、その模様は、任意である必要がない。このグラフィックファイルは、コンピュータにおけるプログラムにより、手動または自動的に作成可能とされる。実行され得る付加的な特徴は、刃面における製造番号、製造業者のロゴ、または外科医、または病院の名の表記である。
【0011】
つや消し仕上げを作る工程中、結晶シリコン(Si)の反射面は、レーザー光に曝される。本発明の好ましい実施例においては、他の波長を有するレーザー光も使用され得るが、そのレーザー光は、波長355nmを有するだろう。そのようなレーザーの一例は、エキシマーレーザーおよびヤグ(YAG)レーザーを含む。そのレーザー光は、高周波(またはパルス繰返し数)で発し、本発明における好ましい実施例においては、5kHzに、または約5kHzに設定されている。5kHz未満、5kHz以上の他のパルス繰返し数も使用され得る。例えば、いくつかのレーザーは、10kHz、11kHz、25kHz、30kHz,あるいは100kHzの周波数を使用可能である。この明細書中、開示される本発明の実施例は、いずれかの所望される周波数で振動するレーザーを包含する。本発明の好ましい実施例において、レーザー光が外科手術用刃の表面上を連続的に移動する速度(表面速度)は、1000mm/secに、または約1000mm/secに設定されている。
【0012】
レーザー光の各パルスは、シリコンの表面に穴即ち窪みを作る。本発明の好ましい実施例において、穴即ち窪みは、25乃至50μmの範囲の直径を有している。穴即ち窪みにおける直径、形状および深さは、いくつかの要因によって決まる。普通、レーザーは、実質的に円形ビームで発する。穴即ち窪みの直径および形状は、伝播されたレーザー光の形状、および、シリコンの表面にレーザー光を当てるために使用される単一または複数のレンズ(集光用アッセンブリー)により決定される。その集光用アッセンブリーは、伝播される場合よりもレーザー光をより小さい直径で集束させることができる(即ち、レーザー光の出力をより小さい領域に集束させる;これは、後述する)。または、逆に言えば、レーザー光が分散できる(より大きな領域にわたりその出力を発散する)。また、集光用アッセンブリーは、レーザー光の直径における実用上の影響なく、レーザー光が実質的に変わらず簡単に通過できる。
【0013】
さらに、集光用アッセンブリーは、その物体の表面に対して直角でなくある角度でレーザー光を導くことができる。これは、楕円形の穴即ち窪みを作ることができ、その長軸の長さが、その物体の表面に対するレーザー光の角度次第である。最後に、そのデューティサイクルが、その物体の表面における穴即ち窪みの形状に影響を及ぼすことができる。そのデューティサイクルは、レーザーが振動(周波数)する総時間(即ち期間(T)に対するレーザーがオンとなる時間(オン時間)の割合である。そのデューティサイクルは、概ね期間の割合として表される。1%のデューティサイクルは、レーザーがその期間の1%の間、オンとなることを意味する。レーザーが10kHzの周波数で、0.01%のデューティサイクルにより断続的に振動する場合、レーザーは、0.01マイクロセカンド(μs)の間、オンとされる。そのデューティサイクルは、そのレーザー光がその物体の表面を連続的に移動するので穴即ち窪みの形状に影響を及ぼすことができる。しかしながら、物体上に穴即ち窪みを作る際に使用されるレーザーのデューティサイクルは、概して極めて小さい(例えば、0.01%,0.0001%等)のでその穴即ち窪みは、実質的に円形となるだろう。一例として、現行の工業用レーザーAVIA355は、本明細書の一部の内容を構成する仕様書をもたらし、その仕様書には、パルス幅が、60kHzのパルス繰り返し周波数で30ナノ秒(nsec)未満であることが示されている。60kHzのパルス繰り返し周波数でパルス幅が30ナノ秒であるレーザーのデューティサイクルは、0.00018%である。この例は、他のデューティサイクルおよびパルス繰り返し周波数も本発明の範囲内にあるので決して限定するものではない。
【0014】
その窪みの深さは、ピークレーザー出力、レーザーおよび集光用アッセンブリーの周波数により制御可能である。ピークレーザー出力は、レーザーの共振器への入力により制御される。ある程度までは、この関係は、線形であり、レーザーの共振器への入力信号に対し電力を増すことが、レーザーの出力において対応する増大を引き起すだろう。より高いレーザー出力が、より深い穴即ち窪みをもたらすだろう。第2に、異なるレーザー周波数、または波長が、異なる物質に関して異なる「焼け(burn)」特性を有するだろう。概して、より低い周波数のレーザーは、より大きな出力を有し、より高い周波数のレーザーは、より低い出力を有する。第3に、上述したように、集光用アッセンブリーは、穴即ち窪みの深さに影響を及ぼすことができる。発散せざるを得ないレーザー光は、集光用アッセンブリーのために、平方ミリメートルあたりの消費電力が少ない。逆に言えば、集中せざるを得ないレーザー光は、集光用アッセンブリーのために、平方ミリメートルあたりのより大きな電力を有するだろう。より高い電力の集中が、所定の波長および出力電気強度のためにより深い穴即ち窪みを作るだろう。さらに、そのレーザーは、穴即ち窪みの深さを増大させるために同じ位置に繰り返し当てるように制御可能とされる。本発明の好ましい実施例においては、その窪みの深さは、25μm、もしくは約25μmである。
【0015】
その穴即ち窪みの間隔および大きさが、窪みの密度を決める。その密度は、光を反射するシリコン表面の能力を決定する。低密度の窪み模様が、より多くの光を反射するだろう。それ故に、より鏡面の表面、高密度の模様は、より少ない光を反射し、より暗い表面にするだろう。
【0016】
図1は、シリコンまたはシリコン以外の結晶物質で作られる外科手術用刃に対しレーザー光を当てるための例としてのシステム100を示す。図1において、コンピュータ2は、制御/データライン4を介して制御信号をx−y座標コントローラ6、レーザーおよびレンズアッセンブリー(レーザーアッセンブリー)8に供給する。コンピュータ2は、システム100を制御するために命令を受けるためのインターネット、LAN,WAN,またはいずれかの他の形式の有線/無線のネットワークであるネットワーク(不図示)に接続され得るものである。これらのネットワーク接続は、理解し易いように省略される。x−y座標コントローラ6は、コンピュータ2から位置制御情報を受け、それにより、それに応じてレーザーアッセンブリー8を移動させる。
【0017】
本発明の好ましい実施例において、物体10につや消し仕上げ模様を作るようにプログラムされたソフトウェアがコンピュータ2内にある。そのプログラムは、物体10が作られる物質の形式、レーザー光の周波数、物体10に付与される模様を考慮に入れ、x−y座標コントローラ6およびレーザーアッセンブリー8に送られるデータセットを作り出すだろう。このデータセットは、パルス繰返し数(PRR)、表面速度(SV)、位置制御情報、そのPRRに対応するデューティサイクル、最大および平均のレーザー出力、レーザーアッセンブリー8のレンズアッセンブリ部における焦点/方向を変更するための命令も含む。その位置制御情報は、作業者(または他の図形プログラムから入力される)により設計されるつや消し仕上げ模様から作られる。そのプログラムは、作業者により作られた模様のデータを取り込み、x−y座標コントローラ6が、レーザーが物体の表面に穴即ち窪みを作る場所を制御するように処理する一連の命令にそのデータを変換する。作業者が模様の密度(レーザーの限度内)および模様自体を制御するのでそのプログラムは、レーザーおよびx−yコントローラの仕様によりそれらの変数に分解し、そのレーザーを移動させ、オンオフの時期、どれくらいの期間かを、また、その物体の表面に穴即ち窪みを作る場所を指示する命令を作る。
【0018】
円形に除去された領域の「密度」とは、円形に除去された領域により覆われる全表面積の割合をいう。約5%の「除去された部分の密度」が、その刃をその通常円滑な、鏡面の外観から著しくつや消し仕上げにする。しかしながら、すべての除去された部分をその同一の領域に共用することは、その刃の調和における鏡面効果に影響を及ぼさない。従って、円形の除去された部分は、好ましくは、無作為あるいは所定の様式で刃の表面部に渡って広がる。
【0019】
そのデータセットが作られたならば、作業者は、続行し(手動的または自動的に)物体10の表面にレーザー光を当てる。データは、x−y座標コントローラ6およびレーザーアッセンブリー8に転送され、x−y座標コントローラ6は、プログラムの変数に従いレーザーアッセンブリー8を移動させる。本発明における好ましい実施例において、レーザーは、ある開始位置で穴即ち窪みを作るように導かれる。図2は、厳選された変数でレーザー光を外科手術用刃に対しあてた結果として生じたつや消し仕上げ模様を示す。x−y座標コントローラ6は、連続的に矢印206の方向に沿ってレーザーアッセンブリー8を移動させる。そのレーザーは、穴即ち窪み212Aを作るように期間t(オン期間)の間、オンとされ、それから、期間t(オフ期間)の間、レーザーは、レーザーが次の所望される位置(穴即ち窪み212B)に移動するのでオフとされる。この模様は、穴即ち窪みの最初の横列(または縦列)が作られるまでプログラムされたデータセットに応じて繰り返す。それから、レーザーは、矢印208の方向に沿って(この例において右に)移動し、穴即ち窪み214Aで再び開始する。本発明の様々な実施例において、そのレーザーは、位置214Bで穴即ち窪みを作ることを開始し得る。本発明におけるこの好ましい実施例において、そのプログラムが、レーザー光を変更するようにそのレンズアッセンブリーに命じるならばそうではないけれど、穴即ち窪みは、概ね、円形の模様である。
【0020】
代表的には、ガントリーレーザーが、刃につや消し仕上げを作るために使用可能とされる。また、ガルボヘッド(galvo−head)レーザー機械が使用可能とされる。前者は、遅いが、非常に正確であり、後者は、速く、そのガントリーほど正確ではない。全体的な精度は、不可欠ではなく、製造速度は、直接的に価格に影響を及ぼすのでガルボヘッドレーザー機械は、好ましい道具である。ガルボヘッドレーザー機械は、1秒間あたり数千mm移動でき、典型的な外科手術用刃に対し約5秒間のエッチング時間を除去された全部にもたらす。
【0021】
穴即ち窪みの最初の横列がレーザー光により作られた後、そのプログラムは、x−y座標コントローラ6がレーザーアッセンブリー9を新たな横列(あるいは縦列)の始端に移動させるとき、レーザーを止める。それから、そのプロセスは、その所望される模様が完成するまで繰り返す。図2に示されるように、穴即ち窪みが作られていない部分(部分210)がある。模様が、ほぼ無限の可能性をもって、つや消し仕上げの物体10に与えられる。例えば、外科医は、シリコン製外科手術用刃に彼または彼女の名前を付けることができ、または、病院は、病院の名前を付けた刃を注文することができる。x−y座標コントローラ6およびレーザーアッセンブリー8のためのデータセットを作るプログラムは、好ましくは、設計者が模様を作ることができ、または、他のグラフィックアートプログラムからの模様を取り込むことができる直感的ユーザーインターフェースを有している。
【0022】
実際には、グラフィックファイルは、窪みが任意に配置し、特定の除去された部分の密度および模様に対する無作為の所望の効果を実現するように作成可能とされる。このグラフィックファイルは、コンピュータ内のプログラムにより手動的または自動的に作製可能とされる。実施され得る他の形態は、製造番号および製造者のロゴの表記である。その製造番号およびロゴは、穴即ち窪みにより作られるか、あるいは、穴即ち窪みのない部分により、形成または配置可能とされる。例えば、図2において、部分210は、穴即ち窪みがない領域である。
【0023】
表1は、パルス繰り返し数、レーザーの表面速度とシリコンまたは他の結晶物質で作られる外科手術用刃における穴即ち窪みの次の間隔との関係を示し、図2は、厳選された変数により外科手術用刃にレーザー光をあてた結果として生じたつや消し仕上げ模様を示す。上述したように、パルス繰返し数(PRR)は、レーザーが断続的に変動する速さ(周波数)でる。当業者は理解するように、その期間は、Tにより表される。レーザー8のオン期間およびオフ期間は、それぞれ、t、tに等しい。もし最初のPRRが10kHzに等しいならば、それから、T(期間)は、0.100msに等しい。オン期間tの間、レーザーが、x−y座標コントローラ6により決定される位置でオンとされ、穴即ち窪みは、つや消し仕上げの物体10に形成される。期間tの間、オフ期間、そのレーザーがオフとされ、最初の表面速度、SV−1に等しい速度で穴即ち窪みが形成されるべき次の位置に移動し続ける。各穴即ち窪みの中心相互間の距離、「間隔」は、期間TとSV−1との積である:間隔=(SV−1)×(T)。一例として、SV−1が1000mm/s,Tが0.1ms,それから、穴即ち窪みの間隔が、1000mm/s×0.1ms(100μmに等しい)となる。図2は、これらの変数を使用したつや消し仕上げを示す。最初の縦列における各穴即ち窪み相互間の間隔は、矢印204により示されるように、約100μmである。穴即ち窪みの直径は、電力、周波数(波長)、およびレーザーの焦点距離(レーザーおよびレンズアッセンブリー8におけるレンズの使用)により決定される。矢印202により示される隣接する縦列相互間の間隔は、この限定されない例において、約150μmである。図2において、作業者により作られたつや消し仕上げの模様は、穴即ち窪みのない部分210を含む。
【0024】
【表1】

【0025】
適当なレーザーにより、シリコンの他に他の物質に穴即ち窪みを作ることは可能である。これらの他の物質は、あらゆる種類の金属、ガラス、石、プラスチック、木材、セラミック、および、使用するほとんど他のどんな種類の物質も含む。必要なのは、レーザーの周波数の制御変数、レーザー出力(平均および最大値)、デューティサイクル、表面速度における正しい適用、および、その制御変数を適切に実行するシステムだけである。
【0026】
本発明は、代表的な実施例を参照して説明された。しかしながら、その当業者にとって上述の代表的な実施例ではない特定の形式で本発明を具体化することも可能であることも容易に明らかであろう。これは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、なされ得る。その代表的な実施例は、単に、例証であり、なんらかの限定したものに考慮されるべきではない。本発明の範囲は、先の説明ではなく、添付した請求の範囲により与えられ、請求の範囲内にあるあらゆる変形例および均等物、およびそれらの均等物は、包含されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】シリコンなどのような結晶物質で作られた外科手術用刃にレーザー光を加えるためのシステムを示す。
【図2】厳選された変数をもって外科手術用刃にレーザー光を加えることによりもたらされるつや消し仕上げ模様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレアを低減し物体の表面につや消し仕上げ模様を作るためのシステムにおいて、
つや消し仕上げ模様の命令を処理するようにしたx−y座標コントローラと、
レーザー光を出力し、前記物体の表面に前記つや消し仕上げ模様を作るために前記処理されたつや消し仕上げ模様命令に応じて移動されるレーザーアッセンブリーと、
を含むシステム。
【請求項2】
一連の命令コードおよび使用者と相互作用を起こすようにし、前記物体の表面につや消し仕上げ模様を作るためにつや消し仕上げ模様命令を作成し送信するコンピュータをさらに含む請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記命令コードは、前記コンピュータにおいてつや消し仕上げ模様を作り、該模様を前記x−y座標コントローラにより読み取り可能な命令およびデータに翻訳するために作業者と連動するように設計された一連のコンピュータ命令を含む請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記レーザーアッセンブリーは、ガントリーレーザーおよびガルボヘッドレーザーからなる群から選択される請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザーアッセンブリーは、約355ナノメーターの波長、約5kHzから100kHzまでのパルス繰返し数、および、約18×10−5%のデューティサイクルを有するレーザー光を出力するようにしたレーザーを含む請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザーは、エキシマーレーザーおよびヤグ(YAG)レーザーからなる群から選択される請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記レーザーは、約25ミクロンの深さ、および、約25ミクロンから50ミクロンまでの直径の範囲で実質的に円形の窪みをシリコンの表面に作るようにしたものである請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記レーザーアッセンブリーは、出力レーザー光を当初の出力よりも小さな直径のレーザー光となるように集束させるか、該出力レーザーを当初の出力よりも大きな直径のレーザー光となるように発散させ、あるいは、該出力レーザーに実質的に影響がないようにしたレーザー光集光アッセンブリーを含む請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記x−y座標コントローラおよび前記レーザーアッセンブリーは、約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作るようにしたものである請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記x−y座標コントローラおよび前記レーザーアッセンブリーは、約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約400ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作るようにしたものである請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記x−y座標コントローラおよび前記レーザーアッセンブリーは、約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約100ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作るようにしたものである請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記x−y座標コントローラおよび前記レーザーアッセンブリーは、約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作るようにしたものである請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記物体は、シリコン製外科手術用刃である請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記物体は、シリコンで作られている請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記物体は、ガラス、セラミック、プラスチック、金属、木材、および、石からなる群から選択される物質で作られる請求項1記載のシステム。
【請求項16】
グレアを低減し物体の表面につや消し仕上げ模様を作るための方法において、
一連のつや消し仕上げ模様命令に応じてx−y座標コントローラにおけるレーザーアッセンブリーを移動させ、
前記つや消し仕上げ模様命令に応じて前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからレーザー光を出力し、前記物体の表面に前記つや消し仕上げ模様を作ることを含む方法。
【請求項17】
物体の表面につや消し仕上げ模様を作るようにつや消し仕上げ模様命令を作製するためにコンピュータにおける一連の命令コードを作り、
前記コンピュータからの命令コードを送信し、
前記x−y座標コントローラで前記つや消し仕上げ模様命令を受信する請求項16記載の方法。
【請求項18】
コンピュータにおける一連の命令コードを作製する工程は、コンピュータ上につや消し仕上げ模様を作るように一連のコンピュータ命令を作業者と連係させ、
前記模様を前記x−y座標コントローラにより読み取り可能な命令およびデータに翻訳することを含む請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記レーザーアッセンブリーは、ガントリーレーザーおよびガルボヘッドレーザーからなる群から選択される請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからレーザー光を出力する工程は、約355ナノメーターの波長、約5kHzから100kHzまでのパルス繰返し数、および、約18×10−5%のデューティサイクルを有するレーザー光を出力することを含む請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記レーザーは、エキシマーレーザーおよびヤグ(YAG)レーザーからなる群から選択される請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからレーザー光を出力する工程は、約25ミクロンの深さ、および、約25ミクロンから50ミクロンまでの直径の範囲で実質的に円形の窪みをシリコンの表面に作ることを含む請求項16記載の方法。
【請求項23】
前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからレーザー光を出力する工程は、
前記出力レーザー光を当初の出力よりも小さな直径のレーザー光となるように集束させるか、該出力レーザーを当初の出力よりも大きな直径のレーザー光となるように発散させ、あるいは、該出力レーザーに実質的に変更がないようにすることを含む請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記レーザーアッセンブリーを移動させ、前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからのレーザー光を出力する工程は、
約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項16記載の方法。
【請求項25】
前記レーザーアッセンブリーを移動させ、前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからのレーザー光を出力する工程は、
約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約400ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項16記載の方法。
【請求項26】
前記レーザーアッセンブリーを移動させ、前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからのレーザー光を出力する工程は、
約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約100ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項16記載の方法。
【請求項27】
前記レーザーアッセンブリーを移動させ、前記レーザーアッセンブリーにおけるレーザーからのレーザー光を出力する工程は、
約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項16記載の方法。
【請求項28】
前記物体は、シリコン製外科手術用刃である請求項16記載の方法。
【請求項29】
前記物体は、ガラス、セラミック、プラスチック、金属、木材、および、石からなる群から選択される物質で作られる請求項16記載の方法。
【請求項30】
請求項16に記載の方法に従い作られた製造物。
【請求項31】
請求項16に記載の方法に従い作られたシリコン製外科手術用刃。
【請求項32】
表面につや消し仕上げを有する物体において、
光からのグレアが実質的に低減されるように光を放散即ち散乱させるために十分な寸法の複数の穴即ち窪みを前記物体の表面に含む物体。
【請求項33】
グレアを低減し物体の表面につや消し仕上げ模様を作るための方法において、
光からのグレアが実質的に低減されるように光を放散即ち散乱させるために十分な寸法の複数の窪みを作るように物体の表面にレーザーを集束させることを含む方法。
【請求項34】
物体の表面にレーザーを集束させる工程は、該レーザーを制御するように複数の命令を作り、前記複数の命令に従い該レーザーを移動および操作し、該複数の命令に従い該レーザーからのレーザー光を前記つや消し仕上げ模様を作るように該物体の表面に出力することを含む請求項33記載の方法。
【請求項35】
複数の窪みを作るように物体の表面にレーザーを集束させる工程は、約355ナノメーターの波長、約5kHzから100kHzまでのパルス繰返し数、および、約18×10−5%のデューティサイクルを有するレーザー光を出力することを含む請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記レーザーは、エキシマーレーザーおよびヤグ(YAG)レーザーからなる群から選択される請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記レーザーからレーザー光を出力する工程は、約25ミクロンの深さ、および、約25ミクロンから50ミクロンまでの直径の範囲で実質的に円形の窪みを物体の表面に作ることを含む請求項34記載の方法。
【請求項38】
複数の窪みを作るように物体の表面にレーザーを集束させる工程は、
前記出力レーザー光を当初の出力よりも小さな直径のレーザー光となるように集束させるか、該出力レーザーを当初の出力よりも大きな直径のレーザー光となるように発散させ、あるいは、該出力レーザーに実質的に変更がないようにすることを含む請求項33記載の方法。
【請求項39】
前記レーザーを移動および操作し該レーザーからレーザー光を出力する工程は、
約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記レーザーを移動および操作し該レーザーからレーザー光を出力する工程は、
約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約5kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約400ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項34記載の方法。
【請求項41】
前記レーザーを移動および操作し該レーザーからレーザー光を出力する工程は、
約1000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約100ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項34記載の方法。
【請求項42】
前記レーザーを移動および操作し該レーザーからレーザー光を出力する工程は、
約2000mm/secの表面速度で前記レーザーを移動し、約10kHzのパルス繰返し数のレーザー光を出力し、約200ミクロンの間隔で実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項34記載の方法。
【請求項43】
前記物体は、シリコン製外科手術用刃である請求項33記載の方法。
【請求項44】
前記物体は、ガラス、セラミック、プラスチック、金属、木材、および、石からなる群から選択される物質で作られる請求項33記載の方法。
【請求項45】
請求項33記載の方法に従い作られる製造物。
【請求項46】
請求項33記載の方法に従い作られるシリコン製外科手術用刃。
【請求項47】
複数の窪みを作るように物体の表面にレーザーを集束させる工程は、複数の実質的に円形の窪みを作ることを含む請求項33記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511367(P2007−511367A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526296(P2006−526296)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029499
【国際公開番号】WO2005/026910
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】