説明

グローブボックスのロック装置

【課題】電磁的なID認証を介してリッドの施解錠が行われてセキュリティ性が高められ、しかも簡単且つ安価なロック機構によって当該施解錠を可能とするグローブボックスのロック装置を提供すること。
【解決手段】ロックバー24bとロックバー収納凹部とが係合され、車両のグローブボックスのリッドが施錠されているときに、電子キーから送信されるIDコードが正規のものであることを条件として、電磁ソレノイド36に通電するとともに磁力により操作カバー37とロックバー24bとを一体化する。そして、この際の操作ボタン9の押下操作によって、当該操作カバー37とともにロックバー24bを変位させることにより、ロックバー24bとロックバー収納凹部との係合を解除させてリッドを解錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスのロック装置に関し、詳しくは、自動車等の車両室内に配設されたグローブボックスのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両においては、その車両室内前方に位置するダッシュボードには、小物や貴重品等を密閉収納すべく、当該収納スペースに対して開閉可能なリッド(蓋体)を有するグローブボックスが設けられている。
【0003】
このグローブボックスには、フック(ラッチ部材)及びストライカが互いに係合・離脱することでリッドを保持・開放するラッチ機構と、運転者等によって操作される操作ハンドルが設けられている。そして、フック及びストライカを互いに係合させることで、リッドを同収納スペースに対して閉塞状態に保持させる一方、その係合状態で、該操作ハンドルを操作すると、フックが回転し、ストライカへの係合が解除され、これによりリッドが開放される。
【0004】
ところで、近年、自動車等の車両には、IDコード(認証用コード)を含む電波を送信する電子キーと、該電波を受信し、IDコードが正規のものである場合にドアの施解錠を許可する通信制御装置とからなる電子キーシステムや、電子キーを運転席のハンドル近傍の所定領域に配置することにより電磁的なID認証を行い、ID認証成立の場合にエンジンの始動を許可する所謂イモビライザーシステムが普及している。そしてこのような電磁的なID認証システムによって、セキュリティ性が向上するとともに車両のユーザの利便性が高められている。
【0005】
このような電子キーシステムやイモビライザーシステムを利用し、車両のグローブボックスにおいても、前記したラッチ機構を具備し、車両に乗車した者が正規のユーザであることを無線通信を通じて自動的にID認証させる。そして、ID認証成立の場合には、当該フック及びストライカの離脱を電磁的に許容し、リッドを解錠させるとともに、該ID認証不成立の場合には、フック及びストライカの離脱を電磁的に禁止し、リッドの施錠を維持するグローブボックスのロック装置が知られている(例えば、特許文献1の図2等を参照)。
【0006】
このグローブボックスのロック装置によれば、前記した電子キーシステムでは、電子キーに非常用メカニカルキーが収納されており、当該メカニカルキーを使用してグローブボックスのリッドを施錠したり解錠したりする必要がなく、車両のユーザの利便性が向上する。このため、例えば、ホテルの従業員に電子キーを手渡して車両を移動して貰う場合に、当該非常用メカニカルキーを電子キーから抜き取る手間もなくなる。
【特許文献1】特開平10−292696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のロック装置によれば、特許文献1の図2及び図3を参照して、フックであるラッチ部材(11)とストライカ(6)とからなるラッチ機構以外に、さらに、リッドである蓋体(5)内にて左右方向に延設された長尺のベース部材(10)、該ベース部材10に支持されたスライダ(13)、該ベース部材(10)の環状ボス(10a)に回転可能に支持されたロック部材(20)、ロック部材(20)を回転駆動するロータリーソレノイド(21)をリッドを施解錠するためのロック機構としている。
【0008】
そして、このロック機構によれば、ロック部材(20)が、第1の回転位置にあるときには、操作ボタン(17)の押下操作により、ベース部材(10)及びスライダ(13)が当該操作ボタン(17)に連動してラッチ部材(11)及びストライカ(6)の離脱が許容され、蓋体(5)が解錠される。一方、ロック部材(20)が、第2の回転位置にあるときには、操作ボタン(17)を押下操作できないため、蓋体(5)を解錠することができない。
【0009】
このため、ロック機構の構造や作動状態が複雑化し、ロック装置のグローブボックスへの取り付け後に機構上のトラブルが起こり易くなるばかりでなく、同ロック装置の占有スペースが大きくなるため、グローブボックスの収納スペースが狭められる懸念もある。しかも、ロータリーソレノイド(21)を用いてロック部材(20)が回転駆動される構成を採用しているため、ロック装置の高コスト化も避けられない。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電磁的なID認証を介してリッドの施解錠が行われてセキュリティ性が高められ、しかも簡単且つ安価なロック機構によって当該施解錠を可能としたグローブボックスのロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、被収納物を収納する収納スペースを開閉可能なリッドを有する車両のグローブボックスに設けられ、該リッドを施錠及び解錠するためのグローブボックスのロック装置であって、操作者によって押下操作される操作ボタンと、互いに係合された場合には、前記リッドを開放不能とする一方、同係合が解除された場合には、前記リッドを開放可能とする係合部材及び被係合部と、前記操作ボタンの押下操作に伴い変位する操作部材と、該操作部材と一体化され、通電されることで励磁する電磁部材と、を具備し、前記車両には、ユーザが所持する電子キーから電波を受信し、該電波に含まれる認証用コードに基づいて、前記電磁部材への通電状態を制御する通信制御装置が設けられ、前記操作部材と係合部材とは、前記電磁部材が通電されることで当該電磁部材と前記係合部材との間に発生する磁力によって一体化されるように構成されており、前記通信制御装置は、前記係合部材と被係合部とが係合され前記リッドが施錠されているときに、前記認証用コードが正規のものであることを条件として前記電磁部材に通電するとともに前記磁力により前記操作部材と係合部材とを一体化し、この際の前記操作ボタンの押下操作によって当該操作部材とともに係合部材を変位させることにより、前記係合部材と被係合部との係合を解除させて前記リッドを解錠すること、を要旨とする。
【0012】
同構成によれば、グローブボックスのロック装置において、リッドを施解錠するためのロック機構が、互いに係合された場合にはリッドを開放不能とする一方、同係合が解除された場合にはリッドを開放可能とする係合部材及び被係合部と、操作ボタンの押下操作に伴い変位する操作部材と、該操作部材に一体化され、通電されることで励磁される電磁部材とによって構成される。したがって、リッドの開閉に直接関与する係合部材及び被係合部以外には、操作ボタンと係合部材とを連携させる操作部材、及び、操作部材と係合部材とを一体化及び分離させる電磁部材のみによってロック機構が構成される。このため、当該ロック機構の構造や作動状態がシンプル化し、ロック装置のグローブボックスへの取り付け後に機構上のトラブルが起こり難くなるばかりでなく、同ロック装置の占有スペースがコンパクト化されるため、グローブボックスの収納スペースを極力広げることができる。しかも、通信制御装置は、リッドが施錠されているときに、電子キーから送信された認証用コードが正規のものであることを条件として、電磁部材に通電して磁力により操作部材と係合部材とを一体化し、この際に操作ボタンが押下操作されることで当該操作部材とともに係合部材が変位することにより、係合部材と被係合部との係合を解除させてリッドを解錠する。このような電磁的なID認証の成立を条件としてリッドの解錠が行われるので、セキュリティ性も高められる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のグローブボックスのロック装置において、前記操作ボタンは、第1弾性部材の付勢力に抗して押下操作可能とされているとともに、押下方向に突出する操作突出部を備え、該操作突出部には第1テーパ部が設けられ、前記操作部材には、前記操作ボタンの押下操作に伴い、前記操作突出部の第1テーパ部と摺接することで、当該操作部材を変位させる第2テーパ部が設けられていること、を要旨とする。
【0014】
同構成によれば、操作ボタンの操作突出部における第1テーパ部が操作部材の第2テーパ部と摺接するという簡単な機構により、操作ボタンの押下操作に伴い当該操作部材が変位するように構成されている。しかも、操作ボタンは、第1弾性部材の付勢力に抗して押下可能とされているので、当該操作ボタンの押下操作によって、操作部材を安定して変位させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のグローブボックスのロック装置において、前記被係合部は、車両のインストルメントパネルに設けられるとともに、前記リッドに固設されるとともに、前記係合部材、操作部材、及び電磁部材を収容するケース部材をさらに備え、前記係合部材は、ケース部材を挿通して前記被係合部に対して進退自在とされていること、を要旨とする。
【0016】
同構成によれば、被係合部は、車両のインストルメントパネルに設けられ、係合部材は、リッドに固設されるケース部材を挿通して当該被係合部に対して進退自在とされるとともに、係合部材、操作部材、及び電磁部材は、ケース部材に収容されてユニット化されるので、ロック装置のグローブボックスへの取り付けや運搬等の取り扱いが容易化される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のグローブボックスのロック装置において、前記電磁部材は、電磁ソレノイドであり、前記係合部材には、当該電磁ソレノイドに通電されたときに同電磁ソレノイドと磁力により一体化する磁性部材が一体的に固設されており、前記係合部材と前記ケース部材との間には第2弾性部材が介装され、同係合部材は、当該ケース部材内において、前記被係合部と係合される係合位置と、同被係合部との係合が解除される係合解除位置との間を弾性的に往復動可能に配設されており、前記操作部材と前記ケース部材との間には第3弾性部材が介装され、同操作部材は、前記電磁ソレノイドに通電されていない状態において、当該ケース部材内において、前記電磁ソレノイドが前記係合部材と接触する接触位置と、当該電磁ソレノイドが前記係合部材と最大距離離間する離間位置との間を弾性的に往復動可能に配設されていること、を要旨とする。
【0018】
同構成によれば、操作ボタンへの押圧力が解除されている初期状態では、操作部材は、電磁部材としての電磁ソレノイドが係合部材と弾性的に接触している接触位置にあるので、この状態で電磁ソレノイドに通電すると、磁力によって当該電磁ソレノイドが磁性部材を介して係合部材と容易に一体化するようになる。また、電磁ソレノイドと係合部材とを一体化させた後、操作ボタンを押下操作すると、当該押下操作に伴い、係合部材が操作部材とともに変位し、係合部材と被係合部との係合が解除されることでリッドが容易に解錠されるようにもなる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のグローブボックスのロック装置において、前記通信制御装置は、車両室内において、前記電子キーから電波を受信し、該電波に含まれる前記認証用コードが正規のものであることを条件として、前記電磁部材に通電するようにしたこと、を要旨とする。
【0020】
同構成によれば、通信制御装置は、車両室内において、電子キーから電波を受信し、該電波に含まれる認証用コードが正規のものであることを条件として、電磁部材に通電するようにしたので、電子キーが車両室内にあり、且つ当該電子キーから通信制御装置に送信される認証用コードが正規のものであるときに限り、リッドが解錠されるようになる。これにより、電子キーが車両室内になければ、リッドが解錠される虞が一切ないので、セキュリティ性がさらに高められる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のグローブボックスのロック装置において、前記電磁部材への通電経路を接続及び切断可能に設けられるとともに、前記操作ボタンが押下操作されたときにはオン状態となって当該通電経路を接続する一方、前記操作ボタンへの押圧力が解除されたときにはオフ状態となって当該通電経路を切断するスイッチ部材をさらに具備したこと、を要旨とする。
【0022】
同構成によれば、操作ボタンが押下操作されたときにはスイッチ部材がオン状態となって電磁部材への通電経路が接続される一方、操作ボタンへの押圧力が解除されるとスイッチ部材がオフ状態となって電磁部材への通電経路が切断されるので、電子キーから通信制御装置に送信される認証用コードが正規のものであれ、操作ボタンが押下操作されない限りは電磁部材に通電されることがない。これによって、ロック装置にセキュリティ性を担保させるために必要のない状況においては、常に電磁部材に電力が供給されることが防止され、電力の節減を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電磁的なID認証を介してリッドの施解錠が行われてセキュリティ性が高められ、しかも簡単且つ安価なロック機構によって当該施解錠を可能としたグローブボックスのロック装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
本実施形態に係るグローブボックス(GB)のロック装置(以下、「GBロック装置」という。)24は、図1に示す電子キーシステム3に設けられるものである。この電子キーシステム3は、車両(四輪自動車)20のユーザが所持する電子キー1と、車両20に設けられた通信制御装置2との間で双方向の無線通信を行い、該無線通信が成立したことを条件として、ドア錠の施解錠操作を許可したり、エンジンの始動を可能な状態としたりするものである。尚、この電子キー1には、同電子キー1のバッテリ切れの際にドアの施解錠に使用する非常用メカニカルキー(図示せず)が収納されている。
【0025】
前記通信制御装置2は、電子制御装置(ECU)として機能する車両側マイコン21と、該車両側マイコン21にそれぞれ電気的に接続され、アンテナ22aを有する車両側受信回路22と、アンテナ23aを有する車両側送信回路23とを備えている。
【0026】
前記車両側マイコン21には、車両20にそれぞれ設けられた、車載電源24v、ドア施解錠装置25、及びエンジン制御装置26が電気的に接続されている。また、GBロック装置24は、車載電源24v及び後述するマイクロスイッチSWを介して車両側マイコン21に電気的に接続されている。
【0027】
前記通信制御装置2は、車両側送信回路23によってアンテナ23aを介して予め設定されたリクエスト信号(電波)を車両周辺(図2に示す車室外検出エリアA1)及び車両室内(図2に示す車室内検出エリアA2)に送信し、それぞれリクエスト信号の検出エリアを形成する。そして、各検出エリアA1,A2に前記電子キー1が進入すると、同電子キー1は、該電子キー1に設けられた電子キー側送受信回路12によってアンテナ12aを介してリクエスト信号を受信する。そして、同電子キー1は、そのリクエスト信号に応答し、該電子キー1に設けられた電子キー側マイコン11のメモリ11aに記憶されたIDコード(認証用コード)を含むIDコード信号(電波)を同電子キー側送受信回路12によってアンテナ12aを介して通信制御装置2に送信する。
【0028】
そして、図2に示すように、前記通信制御装置2は、車室外検出エリアA1及び車室内検出エリアA2のいずれかでこのIDコード信号を車両側受信回路22によってアンテナ22aを介して受信すると、車両側マイコン21がそのメモリ21aに記憶されたIDコードと前記IDコード信号に含まれるIDコードとの照合を行う。そして、それらIDコード同士が一致したこと(電子キー1が送信したIDコードが正規のものであること)を条件として電子キー1と通信制御装置2との間で無線通信によるID認証が成立したものとし、車両20のドア施解錠装置25によってドア錠を施解錠可能な状態としたり、エンジン制御装置26を介してエンジン27を始動可能な状態としたりする。即ち、電子キー1が送信したIDコードが正規のものである場合に、同車両20に設けられた車載機器としての前記ドア施解錠装置25及びエンジン制御装置26の制御が許可される。
【0029】
尚、図1に示す電子キー1において、前記電子キー側マイコン11には、車両20のドア施解錠装置25によるドア錠の施解錠制御を行うためのドア施錠スイッチ14及びドア解錠スイッチ15が電気的に接続されている。即ち、電子キー1が送信したIDコードが正規のものである場合において、ドア施錠スイッチ14を押圧操作すれば、前記車両側
マイコン21を介してドア施解錠装置25が制御され、車両20のドア錠がロック(施錠)される。また、この場合、ドア解錠スイッチ15を押圧操作すれば、前記車両側マイコン21を介してドア施解錠装置25が制御され、車両20のドア錠がアンロック(解錠)される。
【0030】
図3に示すように、本実施形態に係るグローブボックス4は、車両20の車室内前方に位置するインストルメントパネル5内に一体的に設けられ、被収納物を収納する収納スペースとしてのボックス本体6と、同ボックス本体6の開口部を開閉可能なリッド7とを備え、助手席8の手前側に設けられている。
【0031】
該グローブボックス4には、リッド7を施錠及び解錠するべく前記GBロック装置24が配設されている。同GBロック装置24は、インストルメントパネル5に設けられる被係合部としてのロックバー収納凹部24aと、該ロックバー収納凹部24aに先端部が収納されることで同ロックバー収納凹部24aと係合し、これによりリッド7を開放不能とする係合部材としてのロックバー24bとを備えている。一方、ロックバー収納凹部24aとロックバー24bとの当該係合が解除されると、リッド7が開放可能となる。そして、該GBロック装置24は、ロックバー収納凹部24aを除いてリッド7の正面中央上部に配設され、車両20のユーザである操作者によって押下操作される操作ボタン9の操作により、ロックバー収納凹部24aとロックバー24bとの係合を解除させるように作動する。
【0032】
図4及び図5に示すように、本実施形態のGBロック装置24は、前記操作ボタン9と、リッド7に固設され、該操作ボタン9を上下方向にスライド自在に支持する有天四角筒状のケース部材35とをさらに備えている。前記ロックバー24bは、該ケース部材35の前方側壁35a1に貫通形成された貫通孔35hに断面略三角形状の先端部24cが挿通され、該先端部24cは、ロックバー収納凹部24a(図3参照)に対して挿脱自在とされている。本実施形態では、ロックバー24b本体から左方に向け板状突出部24dが突出形成されており、該板状突出部24dには一体的に磁性部材としての金属プレート24eが固設されている。そして、該金属プレート24eは、前記ロックバー24bの一部を構成している。
【0033】
図4に示すように、前記ケース部材35の天板35eには、上方に向けて角筒状突出部35bが突出形成されている。また、該角筒状突出部35bの中央部には、ケース部材35の天板35eを貫通する貫通孔35cが形成されている。
【0034】
前記操作ボタン9には、その押圧面の裏面中央部から垂下(押下方向に突出)する操作突出部9a、及び、同裏面中央部から垂下するとともに、該操作突出部9aを挟み込む状態で前後に相対向する一対の爪部9b1,9b2、並びに、同裏面の周縁部から垂下するL字状アーム9cが形成されている。この操作突出部9aの下方端部には、前後方向に傾斜する第1テーパ部であるテーパ面9dが形成されている。
【0035】
そして、同操作ボタン9は、その操作突出部9aを前記ケース部材35の天板35eの貫通孔35cに挿通させるとともに、その爪部9b1,9b2を同ケース部材35の角筒状突出部35bの前後両側面に前後に相対向するように且つ上下方向に延びるように形成された一対の案内孔35d1,35d2にスライド自在に係合させることで、当該ケース部材35に取り付けられている。
【0036】
この操作ボタン9と、ケース部材35の天板35eにおいて角筒状突出部35bに囲繞された部分との間には、第1弾性部材であるスプリングS1が操作突出部9aを外嵌した状態で介装されている。そして、操作ボタン9は、スプリングS1の付勢力に抗して、下方に押下操作可能とされている。
【0037】
本実施形態において、前記ロックバー24bの後方端面には、小突起24pが設けられており、前記ケース部材35の後方側壁35a2の内面側には、小突起35p1が設けられている。そして、前記ロックバー24bの後方端面と、ケース部材35の後方側壁35a2との間には、前記小突起24p及び小突起35p1に両端部を外嵌させた状態で、第2弾性部材であるスプリングS2が介装されて原点位置に復帰した状態いる。そしてこれにより、当該ロックバー24bは、前記ケース部材35に対して弾性的に連結されるとともに、前後方向に変位可能とされている。詳しくは、同ロックバー24bは、ケース部材35内において、ロックバー収納凹部24aと係合される係合位置と、同ロックバー収納凹部24aとの係合が解除される係合解除位置との間を弾性的に往復動可能に配設されている。
【0038】
本実施形態のGBロック装置24は、断面略U字状の金属部材36aに収納されたソレノイド本体36bを有する電磁部材としての電磁ソレノイド36と、該電磁ソレノイド36を包囲した状態で、上下一対の係合凸部37b,37bを金属部材36aの上下一対の係合孔36c,36cに係合させることで電磁ソレノイド36と一体化する断面略U字状且つ有底とされた操作部材としての操作カバー37とをさらに備えている。
【0039】
前記操作カバー37の後方端面には、小突起37pが設けられており、前記ケース部材35の後方側壁35a2の内面側には、小突起35p2が設けられている。そして、前記操作カバー37の後方端面と、ケース部材35の後方側壁35a2との間には、前記小突起37p及び小突起35p2に両端部を外嵌させた状態で、第3弾性部材であるスプリングS3が介装されている。そしてこれにより、当該電磁ソレノイド36は、前記操作カバー37を介してケース部材35に対して弾性的に連結されるとともに、前後方向に変位可能とされている。詳しくは、電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、当該電磁ソレノイド36に通電されていない状態において、ケース部材35内において、同電磁ソレノイド36が金属プレート24e(ロックバー24b)に接触する接触位置と、同電磁ソレノイド36が金属プレート24eと最大距離離間する離間位置との間を弾性的に往復動可能に配設されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、前記操作カバー37の右方側面には、前後方向に傾斜し、操作ボタン9の押下操作に伴い、操作突出部9aのテーパ面9dと前後方向に摺接可能とされた第2テーパ部であるテーパ面37dを有する突出部37aが突出形成されている。そして、操作ボタン9の押下操作に伴い、このテーパ面9dとテーパ面37dとが摺接し、電磁ソレノイド36及び操作カバー37が前後方向に変位するように構成されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、本実施形態のGBロック装置24は、操作ボタン9が押下操作されたことを検知するスイッチ部材としてのマイクロスイッチSWを備えている。このマイクロスイッチSWは、図1を参照して、車載電源24vから電磁ソレノイド36への通電経路を接続及び切断可能に設けられ、前記操作ボタン9が押下操作されたときにはオン状態(図1ではオン状態である。)となって当該通電経路を接続する一方、前記操作ボタン9への押圧力が解除されたときにはオフ状態となって当該通電経路を切断するように構成されている。
【0042】
詳しくは、該マイクロスイッチSWは、前記ケース部材35の右方の側板35fの上方周縁部に前後に並ぶように突出形成された一対の係合突起35p3,35p4に係合され、同ケース部材35に固定されている。そして、操作ボタン9が押下操作されると、操作ボタン9のL字状アーム9cは、マイクロスイッチSWに設けられた押ボタン(図4では図示せず)から離間し、当該マイクロスイッチSWはオン状態となり、前記通電経路が接続され、電磁ソレノイド36に通電されうる状態となる。一方、操作ボタン9への押圧力が解除され、操作ボタン9が原点位置に復帰した状態では、操作ボタン9のL字状アーム9cは、マイクロスイッチSWの押ボタンに接触し、当該マイクロスイッチSWはオフ状態となり、前記通電経路が切断され、電磁ソレノイド36には通電されない。
【0043】
そして、当該電磁ソレノイド36が通電されると、そのソレノイド本体36bが励磁され、このとき同電磁ソレノイド36が金属プレート24eに接触していると、電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、同電磁ソレノイド36と金属プレート24eとの間に発生する磁力によって、ロックバー24bと一体化される。そして、ロックバー24bは、このように電磁ソレノイド36及び操作カバー37と一体化されることで、当該電磁ソレノイド36及び操作カバー37とともに前記係合位置と係合解除位置との間を弾性的に往復動可能とされる。
【0044】
図4及び図5に示すGBロック装置24では、前記ロックバー24b(金属プレート24e)、電磁ソレノイド36及び操作カバー37、両スプリングS2,S3(図4参照)は、ケース部材35に収容されているとともに、底面プレート38によって同ケース部材35内に略密封されている。ここで、底面プレート38は、その周縁部に上方に向けて突出形成された4つの矩形状係合環38b,…をケース部材35の左右両側板35f,35fの下方周縁部に設けられた4つの係合凸部35g,…に係合させ、ケース部材35の開口周縁部に係合固定されている。
【0045】
この底面プレート38には、平板状のレール部38aが上方に突出形成されており、前記電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、同レール部38a上に載置され当該レール部38aによって移動経路を規制された状態で、前後方向に変位するように構成されている。
【0046】
本実施形態のGBロック装置24においては、リッド7を施解錠するためのロック機構が、ロックバー24b及びロックバー収納凹部24aと、操作ボタン9の押下操作に伴い変位する操作カバー37と、該操作カバー37に一体化され、通電されることで励磁される電磁ソレノイド36とによって構成されている。
【0047】
そして、前記通信制御装置2における車両側マイコン21は、電子キー1から送信される電波に含まれるIDコードに基づいて、前記電磁ソレノイド36への通電状態を制御するとともに、前記GBロック装置24のロック機構によってリッド7を施解錠するように構成されている。
【0048】
詳しくは、前記通信制御装置2は、GBロック装置24のロック機構によって、ロックバー24bとロックバー収納凹部24aとが係合され、リッド7が施錠されているときに、車室内検出エリアA2(車両室内)において、電子キー1から送信されたIDコードを含むIDコード信号を該装置2に設けられた車両側受信回路22によってアンテナ22aを介して受信すると、車両側マイコン21がそのメモリ21aに記憶されたIDコードと前記IDコード信号に含まれるIDコードとの照合を行う。そして、それらIDコード同士が一致したこと(電子キー1が送信したIDコードが正規のものであること)を条件として電子キー1と通信制御装置2との間で無線通信によるID認証が成立したものとする。ここで、電子キー1が車両室内にあることを検知するために、車室内検出エリアA2は、車両のユーザが、運転席ドアを開閉したこと、ブレーキを踏んだこと、イグニッションスイッチを操作したことが車両側マイコン21によって検知されたことを契機として形成されるように構成されている。
【0049】
そして、車両側マイコン21は、このID認証の成立を条件として、車載電源24v(図1参照)から前記電磁ソレノイド36への通電を許可するとともに、さらに操作ボタン9が押下操作されることにより、同電磁ソレノイド36と金属プレート24eとの間に発生する磁力によって、操作カバー37とロックバー24bとを電磁ソレノイド36を介して一体化する。そして、操作ボタン9の押下操作に伴い、当該電磁ソレノイド36及び操作カバー37とともにロックバー24bを図4の後方に向けて変位させることにより、前記ロックバー24bとロックバー収納凹部24aとの係合を解除させてリッド7が解錠される。
【0050】
本実施形態のGBロック装置24は、以上のように構成されており、以下にその動作について説明する。
まず、図6(a)及び図6(b)に示す初期状態では、GBロック装置24において、操作ボタン9は、スプリングS1の付勢力によって押圧面がリッド7の表面と面一にある原点位置にある。また、同ロックバー24b(金属プレート24e)は、スプリングS2によって付勢され、ロックバー収納凹部24aと係合される係合位置にあり、これによりリッド7が施錠されている。また、操作カバー37は、スプリングS3によってケース部材35に対して付勢され、電磁ソレノイド36がロックバー24bの金属プレート24eに接触している接触位置にある。尚、この状態では、操作ボタン9のL字状アーム9cは、マイクロスイッチSWの押ボタンBNに接触し、当該マイクロスイッチSWはオフ状態となり、車載電源24v(図1参照)からの通電経路が切断され、電磁ソレノイド36には通電されない。したがって、この状態で電子キー1と通信制御装置2との間で無線通信によるID認証が成立したとしても、当該車載電源24vから電磁ソレノイド36には通電されない。
【0051】
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、電子キー1と通信制御装置2との間で無線通信によるID認証が成立し、車載電源24v(図1参照)から電磁ソレノイド36への通電が許可された状態では以下のとおりとなる。即ち、操作ボタン9を押下操作すると、操作ボタン9のL字状アーム9cは、マイクロスイッチSWの押ボタンBNから離間し、当該マイクロスイッチSWはオン状態となり、電磁ソレノイド36に通電される。ここで、操作ボタン9の押下操作の直前には、電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、電磁ソレノイド36が金属プレート24eに接触している接触位置にあるので、これら電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、電磁ソレノイド36と金属プレート24eとの間に発生する磁力によって、ロックバー24bと一体化される。そして、操作ボタン9の押下操作に伴い、操作突出部9aのテーパ面9dと操作カバー37のテーパ面37dとが摺接し、電磁ソレノイド36及び操作カバー37がスプリングS3の付勢力に抗して後方に変位すると、ロックバー24bも当該電磁ソレノイド36及び操作カバー37とともにスプリングS2の付勢力に抗して後方に変位する。これにより、ロックバー24bが、ロックバー収納凹部24aとの係合が解除される係合解除位置まで変位すると、同ロックバー24bとロックバー収納凹部24aとの係合が解除され、リッド7が解錠される。
【0052】
一方、図8(a)及び図8(b)に示すように、電子キー1と通信制御装置2との間で無線通信によるID認証が成立せず、車載電源24v(図1参照)から電磁ソレノイド36への通電が禁止された状態では以下のとおりとなる。即ち、操作ボタン9を押下操作しても、操作ボタン9のL字状アーム9cは、マイクロスイッチSWの押ボタンBNから離間し、当該マイクロスイッチSWがオン状態とはなるが、電磁ソレノイド36には通電されない。このため、電磁ソレノイド36からロックバー24b(金属プレート24e)と一体化させるための磁力は発生せず、電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、ロックバー24bとは一体化されない。この結果、操作ボタン9の押下操作に伴い、操作突出部9aのテーパ面9dと操作カバー37のテーパ面37dとが摺接し、電磁ソレノイド36及び操作カバー37がスプリングS3の付勢力に抗して離間位置まで変位しても、ロックバー24bは、移動することなくロックバー収納凹部24aと係合している係合位置にあるので、当該ロックバー収納凹部24aとの係合が維持され、リッド7は施錠されたままとなる。
【0053】
本実施形態のGBロック装置24によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)リッド7を施解錠するためのロック機構が、互いに係合された場合にはリッド7を開放不能とする一方、同係合が解除された場合にはリッド7を開放可能とするロックバー24b及びロックバー収納凹部24aと、操作ボタン9の押下操作に伴い変位する操作カバー37と、該操作カバー37に一体化され、通電されることで励磁される電磁ソレノイド36とによって構成される。したがって、リッド7の開閉に直接関与するロックバー24b及びロックバー収納凹部24a以外には、操作ボタン9とロックバー24bとを連携させる操作カバー37、及び、操作カバー37とロックバー24bとを磁力によって一体化及び分離させる電磁ソレノイド36のみによってロック機構が構成される。このため、当該ロック機構の構造や作動状態がシンプル化し、GBロック装置24のグローブボックス4への取り付け後に機構上のトラブルが起こり難くなるばかりでなく、同GBロック装置24の占有スペースがコンパクト化されるため、グローブボックス4のボックス本体6内の収納スペースを極力広げることができる。しかも、通信制御装置2は、リッド7が施錠されているときに、電子キー1から送信されたIDコードが正規のものであることを条件として、電磁ソレノイド36に通電して磁力により操作カバー37とロックバー24bとを一体化し、この際に操作ボタン9が押下操作されることで当該電磁ソレノイド36及び操作カバー37とともにロックバー24bが後方に変位することにより、ロックバー24b及びロックバー収納凹部24aとの係合を解除させてリッド7を解錠する。このような電磁的なID認証の成立を条件としてリッド7の解錠が行われるので、セキュリティ性も高められる。
【0054】
(2)電子キー1に収納された非常用メカニカルキーを使用してグローブボックス4のリッド7を施錠したり解錠したりする必要がなく、車両20のユーザの利便性が向上する。このため、例えば、ホテルの従業員に電子キー1を手渡して車両20を移動して貰う場合に、当該非常用メカニカルキーを電子キー1から抜き取る手間もなくなる。
【0055】
(3)操作ボタン9の操作突出部9aにおけるテーパ面9dが操作カバー37におけるテーパ面37dと摺接するという簡単な機構により、操作ボタン9の押下操作に伴い当該操作カバー37が後方に変位するように構成されている。しかも、操作ボタン9は、操作ボタン9とケース部材35の天板35eとの間に介装されたスプリングS1の付勢力に抗して押下可能とされているので、当該操作ボタン9の押下操作によって、操作カバー37を安定して変位させることができる。
【0056】
(4)ロックバー収納凹部24aは、車両20のインストルメントパネル5に設けられ、ロックバー24bは、リッド7に固設されるケース部材35を挿通して当該ロックバー収納凹部24aに対して挿脱自在とされるとともに、当該ロックバー24b、操作カバー37、及び電磁ソレノイド36は、同ケース部材35に収容されてユニット化されるので、GBロック装置24のグローブボックス4への取り付けや運搬等の取り扱いが容易化される。
【0057】
(5)操作ボタン9への押圧力が解除されている初期状態では電磁ソレノイド36及び操作カバー37は、電磁ソレノイド36がロックバー24bと弾性的に接触している接触位置にあるので、この状態で電磁ソレノイド36に通電すると、磁力によって当該電磁ソレノイド36が金属プレート24eを介してロックバー24bと容易に一体化するようになる。また、電磁ソレノイド36とロックバー24bとを一体化させた後、操作ボタン9を押下操作すると、当該押下操作に伴い、ロックバー24bが電磁ソレノイド36及び操作カバー37とともに後方に変位し、ロックバー24bとロックバー収納凹部24aとの係合が解除されることでリッド7が容易に解錠されるようにもなる。
【0058】
(6)通信制御装置2は、車両室内において、電子キー1から電波を受信し、該電波に含まれるIDコードが正規のものであることを条件として、電磁ソレノイド36に通電するようにした。このため、電子キー1が車両室内にあり、且つ当該電子キー1から通信制御装置2に送信されるIDコードが正規のものであるときに限り、リッド7が解錠されるようになる。これにより、電子キー1が車両室内になければ、リッド7が解錠される虞が一切ないので、セキュリティ性がさらに高められる。
【0059】
(7)操作ボタン9が押下操作されたときにはマイクロスイッチSWがオン状態となって電磁ソレノイド36への通電経路が接続される一方、操作ボタン9への押圧力が解除されると電磁ソレノイド36がオフ状態となってマイクロスイッチSWへの通電経路が切断される。このため、電子キー1から通信制御装置2に送信されるIDコードが正規のものであれ、操作ボタン9が押下操作されない限りは電磁ソレノイド36に通電されることがない。これによって、GBロック装置24にセキュリティ性を担保させるために必要のない状況では電磁ソレノイド36に通電されることがなく、電力の節減を図ることが可能となる。
【0060】
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記実施形態では、ロックバー24bは、操作ボタン9の押下操作に伴い直線移動するように構成したが、これに限られず、回転移動するように構成することもできる。
【0061】
・上記実施形態では、GBロック装置24を、電子キー1と通信制御装置2との間で双方向の無線通信を行い、該無線通信が成立したことを条件として、ドア錠の施解錠操作を許可したり、エンジンの始動を可能な状態としたりする電子キーシステム3に設けた。しかしこれに限られず、GBロック装置24は、電子キー1を運転席のハンドル近傍の所定領域に配置することにより電磁的なID認証を行い、該ID認証成立の場合にエンジンの始動を許可するイモビライザーシステムに設けることも可能である。
【0062】
・上記実施形態では、ロックバー収納凹部24aを除いてGBロック装置24をグローブボックス4のリッド7の正面中央上部に配設した。しかしこれに限られず、GBロック装置24は、ロックバー収納凹部24aを除き、リッド7の正面左右側部に配設することもできる。さらには、リッド7以外のインストルメントパネル5側に配設することも可能である。
【0063】
・上記実施形態では、操作ボタン9の操作に応じて電磁部材への通電経路を接続及び切断するスイッチ部材としてマイクロスイッチSWを用いたが、当該スイッチ部材としては、例えば、リレーやリードスイッチ等を用いることも可能である。
【0064】
・上記実施形態では、通電されることでロックバー24bと操作カバー37とを磁力の作用により一体化させる電磁部材として電磁ソレノイド36を用いたが、これに限られず、その他の電磁部材、例えば、一般的な電磁石を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係る電子キーシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図2】車両から発信される電波が電子キーにより受信される車室外検知エリアA1と車室内検知エリアA2を示す模式図。
【図3】本発明の実施形態に係るGBロック装置が適用されたグローブボックスの状態を示す模式図。
【図4】本発明の実施形態に係るGBロック装置の構造を示す斜視分解図。
【図5】本発明の実施形態に係るGBロック装置の構造を示す斜視組立図。
【図6】本発明の実施形態に係るGBロック装置の初期状態を示す図であり、(a)は、図5のA−A線における断面図、(b)は、図5のB−B線における断面図。
【図7】本発明の実施形態に係るGBロック装置においてリッドが解錠された状態を示す図であり、(a)は、図5のA−A線における断面図、(b)は、図5のB−B線における断面図。
【図8】本発明の実施形態に係るGBロック装置においてリッドが施錠された状態を示す図であり、(a)は、図5のA−A線における断面図、(b)は、図5のB−B線における断面図。
【符号の説明】
【0066】
7…リッド、9…操作ボタン、24…GBロック装置(グローブボックスのロック装置)、24a…ロックバー収納凹部(被係合部)、24b…ロックバー(係合部材)、24e…金属プレート(磁性部材)、35…ケース部材、36…電磁ソレノイド(電磁部材)、37…操作カバー(操作部材)、38…底面プレート、S1…スプリング(第1弾性部材)、S2…スプリング(第2弾性部材)、S3…スプリング(第3弾性部材)、SW…マイクロスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納する収納スペースを開閉可能なリッドを有する車両のグローブボックスに設けられ、該リッドを施錠及び解錠するためのグローブボックスのロック装置であって、
操作者によって押下操作される操作ボタンと、互いに係合された場合には、前記リッドを開放不能とする一方、同係合が解除された場合には、前記リッドを開放可能とする係合部材及び被係合部と、前記操作ボタンの押下操作に伴い変位する操作部材と、該操作部材と一体化され、通電されることで励磁する電磁部材と、を具備し、
前記車両には、ユーザが所持する電子キーから電波を受信し、該電波に含まれる認証用コードに基づいて、前記電磁部材への通電状態を制御する通信制御装置が設けられ、
前記操作部材と係合部材とは、前記電磁部材が通電されることで当該電磁部材と前記係合部材との間に発生する磁力によって一体化されるように構成されており、前記通信制御装置は、前記係合部材と被係合部とが係合され前記リッドが施錠されているときに、前記認証用コードが正規のものであることを条件として前記電磁部材に通電するとともに前記磁力により前記操作部材と係合部材とを一体化し、この際の前記操作ボタンの押下操作によって当該操作部材とともに係合部材を変位させることにより、前記係合部材と被係合部との係合を解除させて前記リッドを解錠するグローブボックスのロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のグローブボックスのロック装置において、
前記操作ボタンは、第1弾性部材の付勢力に抗して押下操作可能とされているとともに、押下方向に突出する操作突出部を備え、該操作突出部には第1テーパ部が設けられ、
前記操作部材には、前記操作ボタンの押下操作に伴い、前記操作突出部の第1テーパ部と摺接することで、当該操作部材を変位させる第2テーパ部が設けられているグローブボックスのロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のグローブボックスのロック装置において、
前記被係合部は、車両のインストルメントパネルに設けられるとともに、
前記リッドに固設されるとともに、前記係合部材、操作部材、及び電磁部材を収容するケース部材をさらに備え、前記係合部材は、ケース部材を挿通して前記被係合部に対して進退自在とされているグローブボックスのロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載のグローブボックスのロック装置において、
前記電磁部材は、電磁ソレノイドであり、前記係合部材には、当該電磁ソレノイドに通電されたときに同電磁ソレノイドと磁力により一体化する磁性部材が一体的に固設されており、
前記係合部材と前記ケース部材との間には第2弾性部材が介装され、同係合部材は、当該ケース部材内において、前記被係合部と係合される係合位置と、同被係合部との係合が解除される係合解除位置との間を弾性的に往復動可能に配設されており、
前記操作部材と前記ケース部材との間には第3弾性部材が介装され、同操作部材は、前記電磁ソレノイドに通電されていない状態において、当該ケース部材内において、前記電磁ソレノイドが前記係合部材と接触する接触位置と、当該電磁ソレノイドが前記係合部材と最大距離離間する離間位置との間を弾性的に往復動可能に配設されているグローブボックスのロック装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のグローブボックスのロック装置において、
前記通信制御装置は、車両室内において、前記電子キーから電波を受信し、該電波に含まれる前記認証用コードが正規のものであることを条件として、前記電磁部材に通電するようにしたグローブボックスのロック装置。
【請求項6】
請求項5に記載のグローブボックスのロック装置において、
前記電磁部材への通電経路を接続及び切断可能に設けられるとともに、前記操作ボタンが押下操作されたときにはオン状態となって当該通電経路を接続する一方、前記操作ボタンへの押圧力が解除されたときにはオフ状態となって当該通電経路を切断するスイッチ部材をさらに具備したグローブボックスのロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−53550(P2010−53550A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217726(P2008−217726)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】