説明

ケースの固定構造

【課題】ねじ締結を確実に視認可能とし且つ作業性の向上が可能なケースの固定構造を提供する。
【解決手段】ケース5の固定構造1は、ケース本体15と裏カバー16とこれらを互いに固定する固定部17とを備えている。裏カバー16は、底壁30と周壁31とを有した箱形に形成されている。固定部17は、ケース本体15に設けられ且つねじ8が螺合する螺合孔25と、裏カバー16に設けられた凹部32とを備えている。凹部32は、裏カバー16の底壁30と平行で且つ螺合孔25の位置に対応した貫通孔35を有する底壁33と、該底壁33と裏カバー16の底壁30とを連結する側壁34とを備えている。側壁34は、裏カバー16の底壁30及び底壁33に対して垂直な垂直面36と、底壁33から裏カバー16の底壁30に向かうのにしたがって徐々に貫通孔35から離れる方向に底壁30に対して傾斜する傾斜面37とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両や船舶等の移動体に搭載される計器装置などに用いられるケースを構成する第1のケース部材と第2のケース部材とを互いに固定するケースの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、船舶などの移動体には、各種の計測手段が計測した複数の情報を移動体の乗員に対して表示する計器装置が搭載されている。この種の計器装置として、例えば、移動体としての車両の速度を表示するスピードメータ、エンジンの回転数を表示するタコメータ、燃料の残量を表示するフューエルゲージ及びエンジンの冷却水の温度を表示するテンパラチャゲージ等の複数の表示計器を備えた車両用コンビネーションメータが用いられる。
【0003】
前述した車両用コンビネーションメータは、複数の表示計器と、該表示計器等の縁部を覆って表示部分以外を車両の乗員に対して遮蔽する見返し部材とをケース内に収容して、該ケースの乗員側を表ガラスで覆うことで前記表示計器等を保護している。このケースは、第1のケース部材と、該第1のケース部材の乗員側から見て背面側に取り付けられる第2のケース部材とで構成されている。
【0004】
前述したケースは、第1のケース部材と第2のケース部材とを互いに固定するための固定構造を備えている。このケースの固定構造として、従来から種々の固定構造が提案されており、例えば、図7乃至図9に示すケースの固定構造が提案されている。
【0005】
図7乃至図9に示されたケース51の固定構造50は、ケース51が、乗員から見て背面側に開口する開口部を有する箱形に形成された第1のケース部材52と、該第1のケース部材52の開口部を閉塞する第2のケース部材53と、これらの第1のケース部材52と第2のケース部材53とを互いに固定する固定部54とを備えている。
【0006】
前述した固定部54は、第1のケース部材52に設けられるとともに該第1のケース部材52から第2のケース部材53に向かって突出し且つねじ61が螺合する螺合孔56が設けられた凸部55と、第2のケース部材53に設けられ且つ第2のケース部材53の表面53aに第1のケース部材52に向かって凹状に形成された凹部57と、これらの凸部55及び凹部57同士を固定するためのねじ61とを備えている。
【0007】
凹部57は、第2のケース部材53の表面と平行で且つ前記螺合孔56の位置に対応して貫通孔60が設けられた底壁58と、この底壁58の外縁部から立設し且つ該底壁58と第2のケース部材53の表面とを連結する側壁59とを有している。この側壁は、第2のケース部材53の表面及び底壁58に対して垂直に設けられている。
【0008】
前述した構成のケース51の固定構造50は、固定部54を構成する凸部55と凹部57との間に各種の電子部品等が実装され且つ螺合孔56及び貫通孔60の位置に対応した孔63が設けられたプリント配線板62を挟んだ状態で、第1のケース部材52の開口部を第2のケース部材53で塞ぐように該第2のケース部材53を位置付けて、ケース51内にプリント配線板62を収容する。
【0009】
そして、ねじ61を、凹部57の底壁58の貫通孔60及びプリント配線板62の孔63に挿通するとともに、凸部55の螺合孔56に螺合させることで、第1のケース部材52と第2のケース部材53とを固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した構成のケース51の固定構造50では、固定部54を構成する凹部57の側壁59が、第2のケース部材53の表面53a及び底壁58に対して垂直に設けられているので、作業者が底壁58とねじ61との間を目視することができず、ねじ締めが完了しているか否かを確認することが困難であった。また、貫通孔に挿通できずに凹部内にねじが入った場合、作業者が凹部内からねじを取り出し難く、作業性が低下するという問題があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、ねじ締結を確実に視認可能とし且つ作業性の向上が可能なケースの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、第1のケース部材と、前記第1のケース部材に取り付けられる第2のケース部材と、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とを互いに固定する固定部と、を備えたケースの固定構造において、前記固定部は、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とのうちいずれか一方に設けられたねじが螺合する螺合孔と、他方に設けられ且つ前記ケースの表面から該ケース内に向かって凹状に形成された凹部と、を備え、前記凹部が、前記表面と平行で且つ前記螺合孔の位置に対応した貫通孔が設けられた底壁と、前記表面と前記底壁とを連結する側壁とを有しているとともに、前記側壁が、前記表面及び前記底壁に対して垂直な垂直面と、前記底壁から前記表面に向かうのにしたがって徐々に前記貫通孔から離れる方向に前記底壁に対して傾斜する傾斜面とで構成されていることを特徴とするケースの固定構造である。
【0013】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記傾斜面が、前記底壁から前記凹部の外周方向に向かって直線状に延在していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、前記凹部が前記ケースの前記表面の外縁部に配されているとともに、前記傾斜面の前記底壁から離れた側の端部が前記ケースの外周面に連なっていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、凹部を構成するケースの表面と平行で且つ螺合孔の位置に対応した貫通孔を有した底壁と前記表面とを連結する側壁が、ケースの表面及び底壁に対して垂直な垂直面と、底壁から表面に向かうのにしたがって徐々に貫通孔から離れる方向に底壁に対して傾斜する傾斜面とで構成されているので、ねじを貫通孔に挿通し且つ螺合孔に螺合して、第1のケース部材と第2のケース部材とを互いに固定した際に、凹部の底壁とねじとの間を目視することができる。また、ケース内のスペースの減少を抑制することができる。
【0016】
請求項2に記載された発明によれば、傾斜面が底壁から凹部の外周方向に向かって直線状に延在しているので、凹部の底壁とねじとの間を確実に目視することができる。また、貫通孔に挿通されずに凹部内にねじが入った場合に、ねじを傾斜面に沿ってかき出すことができる。
【0017】
請求項3に記載された発明によれば、凹部がケースの表面の外縁部に配されているとともに、傾斜面の底壁から離れた側の端部がケースの外周面に連なっているので、凹部の底壁とねじとの間を容易に目視することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、請求項1に記載された発明によれば、ねじを貫通孔に挿通し且つ螺合孔に螺合して、第1のケース部材と第2のケース部材とを互いに固定した際に、凹部の底壁とねじとの間を目視することができるので、ねじ締めが完了しているか否かを視認することができる。また、ケース内のスペースの減少を抑制することができるので、ケースの大型化を抑制することができる。
【0019】
請求項2に記載された発明によれば、凹部の底壁とねじとの間を確実に目視することができるので、ねじ締めが完了しているか否かを確実に視認することができる。また、貫通孔に挿通されずに凹部内にねじが入った場合に、ねじを傾斜面に沿ってかき出すことができ、ねじを凹部内から容易に取り出すことができる。
【0020】
請求項3に記載された発明によれば、凹部の底壁とねじとの間を容易に目視することができるので、ねじ締めが完了しているか否かを容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる固定構造を備えた車両用コンビネーションメータを示す分解斜視図である。
【図2】図1に示された車両用コンビネーションメータの固定構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3に示された固定構造のねじが貫通孔に挿通されずに凹部内に入った状態を示す断面図である。
【図5】図2に示された固定構造の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】図5中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】従来の固定構造の一例を示す斜視図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図8に示された固定構造のねじが貫通孔に挿通されずに凹部内に入った状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかるケースの固定構造(以下、単に固定構造と記す)を、図1乃至図5を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかる固定構造1は、図1に示すように、計器装置としての車両用コンビネーションメータ2に用いられる。車両用コンビネーションメータ2は、自動車等の移動体に搭載されて、この移動体の乗員に対して該移動体の状況を表示する装置である。
【0023】
車両用コンビネーションメータ2は、図1に示すように、表示計器3と、各種の電子部品等が実装されたプリント配線板4と、これらの表示計器3及びプリント配線板4等を収容するケース5と、表示計器3の車両の乗員側即ち前面側に配された見返し部材6と、該見返し部材6の乗員側即ち前面側を覆う透明カバー7等を備えている。
【0024】
表示計器3は、エンジンの回転数を表示するタコメータ3aと、車両の速度を表示するスピードメータ3bと、エンジンの冷却水の温度を表示するテンパラチャゲージ3cと、燃料の残量を表示するフューエルゲージ3dと、を備えている。なお、本実施形態では、タコメータ3a、スピードメータ3b、テンパラチャゲージ3c及びフューエルゲージ3dの各々に対応した表示計器3の基本構成は同一であることから、以下はタコメータ3aに対応した表示計器3を代表して説明する。
【0025】
表示計器3は、ムーブメント10aと、指針12aと、表面(乗員から視認される面)にエンジン回転数表示用目盛・文字13aが設けられた文字板13等によって構成されている。ムーブメント10aは、車両に搭載された図示しないエンジン回転数計測手段等と接続されているとともに、該エンジン回転数計測手段が計測した計測量に応じて回転する出力軸11aを備えている。
【0026】
指針12aは、中心軸となる基端部と、該基端部から直線状に延び且つエンジン回転数表示用目盛・文字13aを指示する指示部とを備えている。指針12aは、前記目盛・文字13aの中央部に基端部が位置した状態で、ムーブメント10aの出力軸11aに取り付けられて、該出力軸11aと一体となって回転する。そして、指針12aは、エンジン回転数計測手段が計測した計測量に応じてムーブメント10aによって回動されて、前記目盛・文字13aと協働して計測量を表示する。
【0027】
文字板13は、透光性の合成樹脂等からなり、平板状に形成されている。文字板13は、表面に遮光層が設けられており、この遮光層のエンジン回転数表示用目盛・文字13aの部分が除かれることで該目盛・文字13aが形成されている。文字板13は、前記目盛
・文字13aが、指針12aの回動許容範囲に対応して略円弧状に配置されているとともに、該目盛・文字13aが背後からの光を前方(利用者側)に透過することで利用者に発光視認される。なお、本実施形態では、タコメータ3a、スピードメータ3b、テンパラチャゲージ3c及びフューエルゲージ3dの各々の文字板13が一体に設けられている。
【0028】
プリント配線板4は、可撓性を有していない比較的硬質な材料からなり且つ略矩形の平板状に形成されているとともに、前述した目盛・文字13a及び指針12等を照明する複数のLEDと、前述したムーブメント10aと、これらの複数のLED及びムーブメント10a等の動作を制御するためのマイコン等の電子部品等が、電気的に接続されて実装されている。また、プリント配線板4には、ケース本体15と裏カバー16とを互いに固定する際に、後述するねじ8が通される複数の貫通孔4aが設けられている。
【0029】
そして、前述したプリント配線板4は、ケース5の後述するケース本体15の前面壁20及び裏カバー16の底壁30と略平行に配されるとともに、ケース5の後述する固定部17によってケース本体15と裏カバー16の間に取り付けられて、ケース5内に収容される。
【0030】
ケース5は、合成樹脂等から形成されており、図1に示すように、第1のケース部材としてのケース本体15と、第2のケース部材としての裏カバー16とを備えている。このケース5の詳細な構成については後述する。
【0031】
見返し板6は、図1に示すように、文字板13の移動体の乗員側即ち前面側に配されて、ケース5のケース本体15の前面側に取り付けられる。見返し板6には、文字板13の各目盛・文字13a,13b,13c,13dをそれぞれ車両の乗員に対して露出させる複数の露出窓6a,6b,6cが形成されている。見返し板6は、表示計器3のスピードメータ4a,タコメータ4b,フューエルゲージ4c及びテンパラチャゲージ4d等の表示部分以外を移動体の乗員に対して遮蔽する。
【0032】
透明カバー7は、透明性を有する樹脂等から形成されている。透明カバー7は、見返し板6の移動体の乗員側即ち前面側に配されている。透明カバー7は、間に文字板13及び見返し部材6を挟んだ状態で、ケース5のケース本体15の前面側に取り付けられる。そして、透明カバー7は、文字板13と見返し板6とを覆って、車両用コンビネーションメータ2内へ埃等が侵入するのを防ぐ。
【0033】
前述したケース5のケース本体15は、車両の乗員に相対する前面壁20と、この前面壁20の外周縁から車両の乗員から離れる方向に延びた周壁21とを備えている。ケース本体15は、乗員から離れる側、即ち、背面側に開口する箱状に形成されている。周壁21は、ケース本体15の外郭を形成する。
【0034】
ケース本体15の前面壁20には、車両の乗員側の面に文字板13が取り付けられる。また、前面壁20には、前述した出力軸11a,11b,11c,11dを通す指針用開口部22a,22b,22c,22dと、前述したプリント配線板4に設けられた複数のLEDからの光を文字板13側へ通すための複数の照明用開口部23a,23b,23c,23dと、が設けられている。
【0035】
前述したケース5の裏カバー16は、図1に示すように、底壁30と、この底壁30の外周縁から車両の乗員側に延びた周壁31とを備えている。裏カバー16は、移動体の乗員側、即ち、ケース本体15側に開口したケース状に形成されている。底壁30は、外形がケース本体15の前面壁20の外形と相似形状に形成されている。周壁31は、外形がケース本体15の周壁21の外形と相似形状に形成されているとともに、裏カバー16の
外郭を形成する。
【0036】
なお、本実施形態において、底壁30は特許請求の範囲に記載の表面に相当し、周壁31は特許請求の範囲に記載の外周面に相当する。
【0037】
固定構造1は、図3に示すように、前述したケース本体15及び裏カバー16と、固定部17と、を備えている。固定部17は、ケース本体15に設けられた凸部24と、裏カバー16に設けられた凹部32と、これらの凸部24及び凹部32同士を固定するためのねじ8とを備えている。
【0038】
凸部24は、図3に示すように、ケース本体15の前面壁20から裏カバー16に向かって突出して設けられている。即ち、凸部24は、ケース本体15の前面壁20からケース5内に向かって突設されている。凸部24は、略円柱状に形成され且つ内部にねじ8が螺合する螺合孔25が設けられている。凸部24は、複数設けられており、それぞれ、凹部32と相対する位置に配されている。
【0039】
凹部32は、図1乃至図3に示すように、裏カバー16の底壁30からケース本体15に向かって凹状に形成されている。即ち、凹部32は、裏カバー16の底壁30からケース5内に向かって凹状に形成されている。凹部32は、複数設けられており、図示例では4つ設けられて裏カバー16の底壁30の四隅に配されている。また、凹部32には、底壁33と側壁34とが設けられている。
【0040】
底壁33は、平板状に形成され且つ裏カバー16の底壁30と平行に設けられている。この底壁33には、当該底壁33を貫通して形成された貫通孔35が設けられている。この貫通孔35には、ケース本体15と裏カバー16とを互いに固定する際に、ねじ8が通される。
【0041】
側壁34は、裏カバー16の底壁30と、前述した底壁33とを連結して形成されている。即ち、側壁34は、底壁30と底壁33との間を連結している。この側壁34は、垂直面36と、傾斜面37とを備えている。垂直面36は、裏カバー16の底壁30の表面30a及び底壁33に対して垂直に形成されている。
【0042】
傾斜面37は、前述した垂直面36と連なって形成されている。傾斜面37は、底壁33から裏カバー16の底壁30に向かうのにしたがって徐々に該底壁33の貫通孔35から離れる方向に傾斜して形成されている。傾斜面37は、底壁33から凹部32の外周方向に向かって直線状に延在して設けられているとともに、底壁33から離れた側の端部38が裏カバー16の底壁30に連なっている。
【0043】
前述した固定部17は、ケース本体15と裏カバー16との間に前述したプリント配線板4を配置して、ケース本体15の乗員から離れた側即ち背面側に裏カバー16を重ねると、凸部24と凹部32との間にプリント配線板4を挟み込む。このとき、凸部24の螺合孔25と、プリント配線板4の貫通孔4aと、凹部32の貫通孔35とが同軸上に配置される。
【0044】
そして、ねじ8を、凹部32の貫通孔35及びプリント配線板4の貫通孔4a内に通すとともに凸部24の螺合孔25に螺合することで、プリント配線板4を挟み込んだ状態で凸部24及び凹部32同士を固定する。こうして、固定部17は、ケース本体15と裏カバー16とを互いに固定する。
【0045】
前述したように、本実施形態の固定構造1は、固定部17がケース本体15と裏カバー
16とを互いに固定する。
【0046】
本実施形態によれば、凹部32を構成するケース5の裏カバー16の底壁30と平行で且つ螺合孔25の位置に対応した貫通孔35を有した底壁33と前記底壁30とを連結する側壁34が、裏カバー16の底壁30及び底壁33に対して垂直な垂直面36と、底壁33から裏カバー16の底壁30に向かうのにしたがって徐々に貫通孔35から離れる方向に傾斜する傾斜面37とで構成されている。
【0047】
このため、ねじ8を貫通孔35に挿通し且つ螺合孔25に螺合して、ケース本体15と裏カバー16とを互いに固定した際に、凹部32の底壁33とねじ8との間を目視することができるので、ねじ締めが完了しているか否かを視認することができる。また、ケース5内のスペースの減少を抑制することができるので、ケース5の大型化を抑制することができる。
【0048】
また、傾斜面37が底壁33から凹部32の外周方向に向かって直線状に延在しているので、凹部32の底壁33とねじ8との間を確実に目視することができるので、ねじ締めが完了しているか否かを確実に視認することができる。また、貫通孔35に挿通されずに凹部32内にねじ8が入った場合に、ねじ8を傾斜面37に沿ってかき出すことができ、ねじ8を凹部32内から容易に取り出すことができる。
【0049】
前述した実施形態では、固定構造1は、固定部17を構成する凹部32の傾斜面37が、底壁33から凹部32の外周方向に向かって直線状に延在して設けられ且つ底壁33から離れた側の端部38が裏カバー16の底壁30に連なっていた。しかしながら、本発明では、図5又は図6に示すように、傾斜面37の底壁33から離れた側の端部38が、裏カバー16の周壁31に連なるように設けていても良い。なお図5又は図6において、前述した実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
図5又は図6に示す場合では、固定構造1は、固定部17を構成する凹部32が、前述した裏カバー16の底壁30の四隅それぞれに設けられているとともに、該裏カバー15の底壁30の外縁部に配されている。
【0051】
そして、凹部32の側壁34を構成する傾斜面37は、底壁33から凹部32の外周方向に向かって直線状に延在して設けられているとともに、底壁33から離れた側の端部38が裏カバー16の周壁31に連なっている。即ち、傾斜面37の底壁33から離れた側の端部38は、ケース5の周壁31に連なっている。
【0052】
図5又は図6に示す場合によれば、凹部32がケース5の裏カバー16の底壁30の外縁部に配されているとともに、傾斜面37の底壁33から離れた側の端部38がケース5の裏カバー16の周壁31に連なっているので、凹部32の底壁33とねじ8との間を容易に目視することができる。このため、ねじ締めが完了しているか否かを容易に視認することができる。
【0053】
前述した実施形態では、第1のケース部材としてケース本体15を示し、第2のケース部材として裏カバー16を示している。しかしながら、本発明では、第1のケース部材及び第2のケース部材として、ジャンクションボックスやリレーボックスなどの自動車に搭載される各種の機器を用いても良く、自動車に搭載される各種の機器以外の如何なるものであっても良い。また、本発明の第1のケース部材及び第2のケース部材は、必ずしもプリント配線板を間に配していなくても良いことは、勿論である。
【0054】
また、前述した実施形態では、固定構造1は、固定部17がケース本体15に凸部24
を設け且つ裏カバー16に凹部32を設けて構成されていた。しかしながら、本発明は、固定部17がケース本体15に凹部32を設け且つ裏カバー16に凸部24を設けて構成されていても良いことは、勿論である。
【0055】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 固定構造
5 ケース
8 ねじ
15 ケース本体(第1のケース部材)
16 裏カバー(第2のケース部材)
17 固定部
25 螺合孔
30 底壁(表面)
31 周壁(外周面)
32 凹部
33 底壁
34 側壁
35 貫通孔
36 垂直面
37 傾斜面
38 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケース部材と、前記第1のケース部材に取り付けられる第2のケース部材と、前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とを互いに固定する固定部と、を備えたケースの固定構造において、
前記固定部は、
前記第1のケース部材と前記第2のケース部材とのうちいずれか一方に設けられたねじが螺合する螺合孔と、他方に設けられ且つ前記ケースの表面から該ケース内に向かって凹状に形成された凹部と、を備え、
前記凹部が、前記表面と平行で且つ前記螺合孔の位置に対応した貫通孔が設けられた底壁と、前記表面と前記底壁とを連結する側壁とを有しているとともに、
前記側壁が、前記表面及び前記底壁に対して垂直な垂直面と、前記底壁から前記表面に向かうのにしたがって徐々に前記貫通孔から離れる方向に前記底壁に対して傾斜する傾斜面とで構成されていることを特徴とするケースの固定構造。
【請求項2】
前記傾斜面が、前記底壁から前記凹部の外周方向に向かって直線状に延在していることを特徴とする請求項1に記載のケースの固定構造。
【請求項3】
前記凹部が前記ケースの前記表面の外縁部に配されているとともに、前記傾斜面の前記底壁から離れた側の端部が前記ケースの外周面に連なっていることを特徴とする請求項2に記載のケースの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−47572(P2013−47572A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256057(P2012−256057)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2007−281778(P2007−281778)の分割
【原出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】