説明

ケースの閉鎖保持機構

【課題】一対のケース部を軽い操作力で容易に閉鎖及び開放させることができるケースの閉鎖保持機構を提供する。
【解決手段】開閉可能な合成樹脂製の2つのケース部12,13間に閉鎖保持機構15を設ける。一方のケース部13の外側面には突出部21を形成する。突出部21にはケース部13の外側面に沿って延びる止め孔22を形成する。他方のケース部12の外側面には、係止部23を、ケース部12の外側面と直交する方向へ弾性変形可能なほぼU字状の弾性変形片24を介して一体に形成する。止め孔22の入口側の開口周縁部には、係止部23を止め孔22内に向かって案内するための案内面25を形成する。止め孔22の出口側の開口周縁部には、係止部23の爪部23bを保持するための保持部26を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両用エンジンの吸気系に接続されるエアクリーナのケースにおいて、開閉可能な2つのケース部を閉鎖状態に保持するためのケースの閉鎖保持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のケースの閉鎖保持機構としては、一方のケース部に取り付けられた金属製のクランプ金具が他方のケース部の一部に掛止めされることにより、2つのケース部が閉鎖状態に保持されるようになっている。従って、この従来構成においては、ケース部以外にクランプ金具としての金属製の部品が必要となり、構成が複雑化する。
【0003】
これに対して、前記クランプ金具に相当する部材がケース部に一体形成された例として、特許文献1及び特許文献2に開示されるような構成が提案されている。
特許文献1に記載の構成では、合成樹脂製のケース体に合成樹脂製のカバー体がヒンジを介して開閉回動可能に取り付けられている。ケース体とカバー体との開放端部間には、カバー体をケース体に対して閉鎖状態に保持するための閉鎖保持機構が設けられている。すなわち、ケース体の外側面には、その外側面に沿って縦方向に延びる長孔状の挿入孔が形成されている。カバー体の外側面には、先端部に前記挿入孔内へ挿入可能な爪部を有する一対の係止爪が、カバー体の外側面に沿う方向へ弾性変形可能な直線状の弾性変形片を介して一体に形成されている。
【0004】
そして、カバー体がケース体に対する開放位置から閉鎖位置に向かって回動されたとき、各係止爪における爪部の先端案内面が挿入孔の入口側の開口周縁に係合される。この係合により、一対の各係止爪が弾性変形片において、カバー体の外側面に沿って、その外側面と平行な面内において互いに接近する方向へ弾性変形されて挿入孔内に挿入される。さらに、各係止爪の爪部が挿入孔の出口側に達したとき、各係止爪が弾性変形状態から復元変形されて、各係止爪の爪部が挿入孔の出口側の開口周縁に係止される。このため、カバー体がケース体に対する閉鎖位置に保持される。
【0005】
また、特許文献2に記載の構成では、合成樹脂製のロアケース上に合成樹脂製のアッパケースが着脱可能に取り付けられている。ロアケースとアッパケースとの開放端部間には、アッパケースをロアケースに対して閉鎖状態に保持するための複数の閉鎖保持機構が設けられている。各閉鎖保持機構において、ロアケースの外側面には、平面形ほぼL字状及び逆L字状をなす一対の被係止部が間隔をおいて突出形成されている。各被係止部とロアケースの外側面との間には、溝部が形成されている。一方、アッパケースの外側面には、先端部に各被係止部の溝部内へ挿入可能な爪部を有する一対の係止爪が、アッパケースの外側面に沿う方向へ弾性変形可能な直線状の弾性変形片を介して一体に形成されている。
【0006】
そして、アッパケースがロアケースに対して被覆装着されるとき、各係止爪における爪部の先端案内面が各被係止部の上端縁に係合される。この係合により、一対の各係止爪が弾性変形片において、アッパケースの外側面に沿って互いに接近する方向へ弾性変形されて、各被係止部の溝部内に挿入される。さらに、各係止爪の爪部が溝部の下側に達したとき、各係止爪が弾性変形状態から復元変形されて、各係止爪の爪部が被係止部の下端縁に係止される。このため、アッパケースがロアケースに対する閉鎖位置に保持される。
【特許文献1】特開2005−23860号公報
【特許文献2】特開2005−337064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの特許文献1及び特許文献2に記載された従来のケースの閉鎖保持機構においては、前述のように、係止爪がケース部の外側面に直線状の弾性変形片を介して一体に形成されている。そして、その弾性変形片がケース部の外側面に沿う方向へ弾性変形されることにより、係止爪の爪部が挿入孔の開口周縁または被係止部の端縁に対して係脱されるようになっている。このため、弾性係止片が直線状をなして変形し難いにも拘らず、弾性係止片を大きく弾性変形させて、係止爪を挿入孔または被係止部に係脱させる必要がある。よって、両ケース部を閉鎖する場合には、一方のケース部を他方のケース部に対して強い力で押し付ける必要があった。また、両ケース部を開放する場合には、係止爪を弾性変形片の弾発力に抗して強い力で係止位置から解除位置に変形させる必要があった。従って、両ケース部を閉鎖及び開放するのに強い操作力を要して、それらの操作が困難であるという問題があった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、一対のケース部を軽い操作力で容易に閉鎖及び開放させることができるケースの閉鎖保持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は、開閉可能な合成樹脂製の2つのケース部間に設けられ、両ケース部を閉鎖状態に保持するためのケースの閉鎖保持機構において、一方のケース部の外側面に突出部を形成し、他方のケース部の外側面には、長さ方向の中間部において反転湾曲部を形成し、ケース部の外側面と直交する方向に弾性変形可能な弾性変形片を一体に形成し、前記弾性変形片の先端部には前記突出部と係合可能な係止部を形成し、前記突出部には、ケース部の閉鎖にともない前記係止部の爪部を突出部との係合方向に向かって案内するための案内面を形成するとともに、前記爪部と突出部との係合状態を保持するための保持部を形成したことを特徴としている。
【0010】
従って、両ケース部を開放状態から閉鎖状態にする場合には、一方のケース部を他方のケース部に対して相対回動させると、係止部の爪部が案内面によって案内されて、弾性変形片がケース部の外側面と直交する方向へ弾性変形され、次いで係止部が突出部と係合される。このため、両ケース部が閉鎖状態に保持される。よって、一方のケース部を他方のケース部に対して軽い操作力で閉鎖させることにより、両ケース部を閉鎖状態に対して容易に保持することができる。
【0011】
一方、両ケース部を閉鎖状態から開放させる場合には、係止部をケース部の外側面に向かって押し付けると、弾性変形片がケース部の外側面と直交する方向へ弾性変形される。この弾性変形により、係止部の爪部が保持部から離脱されて、両ケース部の閉鎖状態に対する保持が解除される。この状態で、一方のケース部上から他方のケース部を開放方向へ回動させると、係止部が突出片から離隔して、両ケースが開放状態になる。よって、軽い操作力で、係止部の爪部を保持部から離脱させることができて、ケースを容易に開放することができる。
【0012】
そして、係止部を有する弾性係止片がケース部と一体に形成されているため、部品点数を少なくして、構成を簡素化できる。
前記の構成において、前記突出部は、ケース部の外側面に沿ってケース部の周方向に延びる長孔状の止め孔を有し、その止め孔には、幅広部と、その幅広部の中央部に位置する幅狭部とを形成し、前記案内面は、前記弾性変形片の係止部を前記幅広部に沿って案内する位置に形成されるとともに、前記保持部は幅狭部に対応して設けられ、前記弾性変形片の先端部の幅を前記幅狭部の幅より狭くするとともに、前記係止部の幅を前記幅狭部の幅より広く、幅広部の幅より狭く形成することが好ましい。
【0013】
また、前記の構成において、前記突出部は、ケース部の外側面に沿ってケース部の周方向に延び、外方に向かって開放された止め溝と、その止め溝と隣接し、止め溝より幅広の幅広部とを有し、前記案内面は、前記弾性変形片の係止部を前記止め溝の開放部に向かって案内する位置に形成されるとともに、前記保持部は止め溝に対応して設けられ、前記弾性変形片の先端部の幅を前記止め溝の幅より狭くするとともに、前記係止部の幅を前記止め溝の幅より広く、幅広部の幅より狭く形成することも好ましい。
【0014】
さらに、前記の構成において、前記係止部の外側面には、係止部の爪部を保持部による係止保持状態から解除するための操作部を形成するとよい。このように構成した場合には、操作部を押圧操作することにより、弾性変形片が弾性変形されて、その係止部の爪部を保持部による係止保持状態から容易に解除することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、一対のケース部を軽い操作力で容易に閉鎖及び開放させることができるとともに、構成を簡素化できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、この発明を車両用エンジンの吸気系に接続されるエアクリーナのケースの閉鎖保持機構に具体化した第1実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、全体として四角箱形をなすエアクリーナのケース11は、上面を開口した合成樹脂製の下ケース部12と、下面を開口した合成樹脂製の上ケース部13とから構成されている。両ケース部12,13は、それらの一側の辺において一対のヒンジ14を介して開閉回動可能に結合されている。ヒンジ14と対向する他側の辺において両ケース部12,13間には、それらのケース部12,13を閉鎖状態に保持するための一対の閉鎖保持機構15が設けられている。
【0018】
図1及び図2に示すように、下ケース部12の側壁には、大気に連通されるインレット16が形成されている。上ケース部13の側壁には、エンジンの吸気側に接続されるアウトレット17が形成されている。ケース11内において両ケース部12,13間には、エンジンに吸引されるエアを濾過するためのフィルタ18が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
次に、前記閉鎖保持機構15について詳細に説明する。図2〜図4に示すように、上ケース部13の開口縁の外側面には、ほぼ平板状の突出部21が外方に向かって一体に形成されている。突出部21には止め孔22が、上ケース部13の外側面に沿って周方向へ長孔状に延びるように形成されている。止め孔22内には、上ケース部13の外面側に位置する幅広(図3及び図4の左右方向の寸法)の幅広部22aと、その幅広部22aの外側に隣接して位置する幅狭の幅狭部22bとが形成されている。なお、前記突出部21の両端部と上ケース部13の外側面との間には突出部21を補強するための補強部21aが一体形成されている。
【0020】
前記下ケース部12の開口縁の外側面には弾性変形片24がその基端部において一体に形成され、その先端部24bには係止部23が形成されている。この弾性変形片24の長さ方向の中間部には反転湾曲部24aが形成されて、弾性変形片24は全体としてほぼU字状に形成されている。この弾性変形片24の弾性変形により、前記係止部23が下ケース部12の外側面と直交する方向に移動される。前記係止部23には、その両側に突出するとともに、ほぼ三角形状をなす一対の爪部23bが形成されている。
【0021】
そして、前記下ケース部12に対する上ケース部13の閉鎖時に、係止部23の両爪部23bが止め孔22の幅広部22a内に進入できるように、両爪部23bの外端部間の間隔、つまり幅(図3及び図4の左右方向の寸法)が幅広部22aの幅よりも若干狭くなるように形成されている。また、係止部23の両爪部23bが止め孔22の幅広部22a内に進入した状態で、弾性変形片24の先端部24bが止め孔22の幅狭部22b内に移動できるように、先端部24bの幅が止め孔22の幅よりも若干狭くなるように形成されている。また、前記先端部24bが幅狭部22b内に位置した状態で、係止部23が突出部21の上面に掛止めされるように、両爪部23bの外端部間の幅が幅狭部22bの幅より広くなるように形成されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、前記突出部21の下面側において、止め孔22の幅狭部22bの両側部には、係止部23の爪部23bを止め孔22の幅広部22a内に向かって案内するための一対の傾斜案内面25が形成されている。そして、図5(a)に示すように、上ケース部13が下ケース部12に対して閉鎖された状態において、前記弾性変形片24はその係止部23が前記傾斜案内面25と対向する位置に配置される。
【0023】
図4に示すように、突出部21の上面側において、止め孔22の幅広部22aの両側部には、前後両側面に傾斜面を形成した一対の山形状の保持部26が幅狭部22bと対応して形成されている。そして、係止部23の爪部23bが止め孔22の幅広部22a内に進入した後、弾性変形片24の先端部24bが止め孔22の幅狭部22b内に移動された状態で、係止部23の爪部23bが保持部26にて係止保持される。
【0024】
図2及び図4に示すように、前記係止部23の外側面には、操作部27が一体に突出形成されている。そして、係止部23の爪部23bが前記保持部26に係止保持された状態で、この操作部27を押圧操作することにより、係止部23が弾性変形片24を介して下ケース部12の外面に接近するように弾性変形されて、係止部23の爪部23bが保持部26の傾斜面に沿って移動されて、保持部26による係止保持状態から解除される。
【0025】
次に、前記のように構成されたケースの閉鎖保持機構15について作用を説明する。
さて、両ケース部12,13を開放状態から閉鎖状態にする場合には、上ケース部13を下ケース部12に向かって相対回動させる。このようにすると、図5(a)に示すように、係止部23の各爪部23bが止め孔22の入口側の傾斜案内面25に係合する。そして、上ケース部13のさらなる相対回動にともない前記傾斜案内面25の案内作用により、係止部23の各爪部23bが止め孔22の幅広部22a内に進入する。すなわち、このとき図5(b)に示すように、弾性変形片24の弾性変形により、係止部23が、下ケース部12の外側面に対して接近する方向に移動される。
【0026】
その後、係止部23の爪部23bが幅広部22a内から上方へ突出すると、図2に示すように、係止部23が弾性変形片24の弾性復元力により下ケース部12の外側面から離間する方向に移動される。この移動により、図2に示すように、係止部23の先端部24bが止め孔22の幅狭部22b内に移動されるとともに、係止部23の両爪部23bが幅狭部22bの両側において突出部21上に乗り上げる。このとき、係止部23の両爪部23bが突出部21上の保持部26を乗り越えてその保持部26に係合して、止め孔22に対する進入状態に係止保持され、その結果、両ケース部12,13が閉鎖状態に保持される。
【0027】
一方、両ケース部12,13を図2に示す閉鎖状態から開放させる場合には、弾性変形片24の先端部24bの外面における操作部27を下ケース部12の外側面に向かって押圧操作する。この操作により、弾性変形片24が弾性変形されて、係止部23が下ケース部12の外面側に接近するように移動される。この移動により、係止部23の両爪部23bが突出部21上から止め孔22の幅広部22a側に移動されて、下方へ離脱可能な状態になる。従って、両ケース部12,13に対する閉鎖保持状態が解放される。この状態において、その後、下ケース部12上から上ケース部13を開放回動させると、図5(b)に示すように、係止部23の爪部23bが止め孔22の幅広部22aから抜け出して、両ケース部12,13が開放状態になる。
【0028】
よって、この実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この実施形態のケースの閉鎖保持機構15においては、止め孔22内へ進入して両ケース部12,13を閉鎖状態に保持するための爪部23bを有する係止部23が、下ケース部12の外側面に、その外側面と直交する方向へ弾性変形可能なほぼU字状の弾性変形片24を介して一体に形成されている。よって、部品点数が増えることはなく、構成を簡素化できる。
【0029】
(2) 両ケース部12,13を開放状態から閉鎖する場合には、上ケース部13を下ケース部12に対して軽い操作力で押し付けるようにして回動させることにより、両ケース部12,13を閉鎖状態に容易に係止保持することができる。また、両ケース部12,13を閉鎖状態から開放させる場合にも、係止部23を操作部27にて軽い操作力で押し付けることにより、係止部23の爪部23bを保持部26から離脱させることができて、両ケース部12,13を容易に開放させることができる。
【0030】
(3) 両ケース部12,13を開放状態から閉鎖する場合、その閉鎖動作により係止部23が傾斜案内面25により止め孔22の幅広部22aに案内される。従って、係止部23を止め孔22の幅広部22aにあてがう必要はなく、両ケース部12,13を容易に閉鎖状態にできる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態においては、図6〜図8に示すように、前記第1実施形態における止め孔22の幅狭部22bに代えて、幅広部22aの外側中央部に止め溝30が形成されている。止め溝30は外方に向かって開放されている。そして、幅広部22aの幅が弾性変形片24の係止部23の幅より広く形成されるとともに、止め溝30の幅が弾性変形片24の先端部24bの幅よりも若干広く、かつ前記係止部23の幅より狭く形成されている。
【0032】
また、この第2実施形態においては、突出部21の傾斜案内面25の傾斜方向が前記第1実施形態と逆方向であって、係止部23を突出部21の先端方向(外方向),すなわち前記止め溝30の開放部の方向に導くようになっている。
【0033】
さらに、この第2実施形態においては、突出部21の上面側において止め孔22の止め溝30の両側部に、各一対の山形状の保持部26が間隔をおいて形成されている。そして、係止部23の先端部24bが止め溝30内に移動されるとともに、係止部23の爪部23bが突出部21上に乗り上げた状態で、両爪部23bが前後各一対の保持部26間の凹部において係止保持される。
【0034】
さて、両ケース部12,13を開放状態から閉鎖状態する場合には、上ケース部13を下ケース部12に向かって相対回動させることにより、図8(a)(b)に示すように、係止部23の各爪部23bが止め孔22の入口側の傾斜案内面25に係合する。そして、前記傾斜案内面25の案内作用により、弾性変形片24の弾性変形をともないながら、係止部23の各爪部23bが突出部21の先端側、すなわち止め溝30の開放部に向かって移動される。
【0035】
そして、弾性変形片24の先端部24bが止め溝30に対応したところで、操作部27により先端部24bを止め溝30内に押し込めば、係止部23の爪部23bが前後各一対の保持部26間の凹部において係止保持される。その結果、両ケース部12,13が閉鎖状態に保持される。
【0036】
一方、両ケース部12,13を閉鎖状態から開放させる場合には、係止部23の外面の操作部27を下ケース部12の外側面に向かって押圧操作すればよい。このようにすることにより、係止部23が下ケース部12の外面側に接近するように弾性変形されて、係止部23の両爪部23bが突出部21上から止め孔22の幅広部22a側に移動される。このため、係止部23の爪部23bが保持部26から離脱され、両ケース部12,13が閉鎖保持状態から解放される。その後、下ケース部12上から上ケース部13を開放回動させると、前記第1実施形態と同様に、係止部23の爪部23bが止め孔22の幅広部22aから抜け出して、両ケース部12,13が開放状態になる。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0038】
前記、第1,第2実施形態においては、閉鎖保持機構15がケース11の1辺に設けられていたが、閉鎖保持機構15をヒンジ14が設けられた辺以外の2辺または3辺に設けること。
【0039】
・ 前記各実施形態においては、上ケース部13側に突出部21及び止め孔22が形成されるとともに、下ケース部12側に係止部23が形成されているが、これとは逆に、下ケース部12側に突出部21及び止め孔22を形成するとともに、上ケース部13側に係止部23を形成すること。
【0040】
・ 前記各実施形態においては、この発明を車両用エンジン等の内燃機関の吸気系に接続されるエアクリーナケースの閉鎖保持機構に具体化しているが、この発明を例えば車両においてヒューズやコンデンサ等の電気部品を収容する電気接続箱等の他の種類のケースの閉鎖保持機構に具体化すること。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態のケースの閉鎖保持機構を備えたエアクリーナを示す斜視図。
【図2】図1のケースの閉鎖保持機構を拡大して示す要部断面図。
【図3】図2の3−3線における要部断面図。
【図4】図1のケースの閉鎖保持機構を分解して示す要部斜視図。
【図5】(a)及び(b)は同閉鎖保持機構における係止状態への動作を順に示す要部断面図。
【図6】第2実施形態のケースの閉鎖保持機構を示す要部断面図。
【図7】図6のケースの閉鎖保持機構を分解して示す要部斜視図。
【図8】(a)及び(b)は第2実施形態の閉鎖保持機構における係止状態への動作を順に示す要部断面図。
【符号の説明】
【0042】
11…エアクリーナのケース、12…下ケース部、13…上ケース部、15…閉鎖保持機構、21…突出部、22…止め孔、22a…幅広部、22b…幅狭部、23…係止部、23b…爪部、24…弾性変形片、24a…反転湾曲部、24b…先端部、25…傾斜案内面、26…保持部、27…操作部、30…止め溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な合成樹脂製の2つのケース部間に設けられ、両ケース部を閉鎖状態に保持するためのケースの閉鎖保持機構において、
一方のケース部の外側面に突出部を形成し、
他方のケース部の外側面には、長さ方向の中間部において反転湾曲部を形成し、ケース部の外側面と直交する方向に弾性変形可能な弾性変形片を一体に形成し、
前記弾性変形片の先端部には前記突出部と係合可能な係止部を形成し、
前記突出部には、ケース部の閉鎖にともない前記係止部の爪部を突出部との係合方向に向かって案内するための案内面を形成するとともに、前記爪部と突出部との係合状態を保持するための保持部を形成したことを特徴とするケースの閉鎖保持機構。
【請求項2】
前記突出部は、ケース部の外側面に沿ってケース部の周方向に延びる長孔状の止め孔を有し、その止め孔には、幅広部と、その幅広部の中央部に位置する幅狭部とを形成し、前記案内面は、前記弾性変形片の係止部を前記幅広部に向かって案内する位置に形成されるとともに、前記保持部は幅狭部に対応して設けられ、前記弾性変形片の先端部の幅を前記幅狭部の幅より狭くするとともに、前記係止部の幅を前記幅狭部の幅より広く、幅広部の幅より狭く形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの閉鎖保持機構。
【請求項3】
前記突出部は、ケース部の外側面に沿ってケース部の周方向に延び、外方に向かって開放された止め溝と、その止め溝と隣接し、止め溝より幅広の幅広部とを有し、前記案内面は、前記弾性変形片の係止部を前記止め溝の開放部に向かって案内する位置に形成されるとともに、前記保持部は止め溝に対応して設けられ、前記弾性変形片の先端部の幅を前記止め溝の幅より狭くするとともに、前記係止部の幅を前記止め溝の幅より広く、幅広部の幅より狭く形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの閉鎖保持機構。
【請求項4】
前記係止部の外側面には、係止部の爪部を保持部における係止保持状態から解除するための操作部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のケースの閉鎖保持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−257517(P2009−257517A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109061(P2008−109061)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】