説明

コアレス電気機械装置

【課題】コアレス電気機械装置において大トルク実現する。
【解決手段】相対的に移動可能な第1と第2の部材を有するコアレス電機機械装置であって、前記第1の部材20に配置された永久磁石200と、前記第2の部材15に配置された空芯の電磁コイル100と、前記第2の部材に配置された積層構造を有するコイルバックヨーク115と、を備え、前記電磁コイルは、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間に配置されており、前記電磁コイルは、前記電磁コイルにおいて前記第1の部材を相対的に移動方向に移動させる力を生じさせる有効コイル領域と、コイルエンド領域とを有しており、前記コイルバックヨークは、前記有効コイル領域を覆い、前記コイルエンド領域を覆っていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアレス電気機械装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーターは、永久磁石と電磁コイルとの間のローレンツ力により、駆動力を発生させている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のモーターや発電機などのコアレス電気機械装置では、大トルクを実現することは難しかった。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、コアレス電気機械装置で大トルクを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
相対的に移動可能な第1と第2の部材を有するコアレス電機機械装置であって、前記第1の部材に配置された永久磁石と、前記第2の部材に配置された空芯の電磁コイルと、前記第2の部材に配置された積層構造を有するコイルバックヨークと、を備え、前記電磁コイルは、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間に配置されており、前記電磁コイルは、前記電磁コイルにおいて前記第1の部材を相対的に移動方向に移動させる力を生じさせる有効コイル領域と、コイルエンド領域とを有しており、前記コイルバックヨークは、前記有効コイル領域を覆い、前記コイルエンド領域を覆っていない、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、渦電流の発生を抑えることが出来るので、渦電流損によるロスを低減し、大トルクを実現できる。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載のコアレス電気機械装置において、前記有効コイル領域は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向けて前記永久磁石を投影したときの投影領域である、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、永久磁石の磁束を有効に使うことが出来るので、ロスを低減し、大トルクを実現できる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、前記第1の部材の移動方向と垂直な方向に積層された複数の鋼板材を有する、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークが、移動部の移動方向と平行な層構造を有する積層鋼板材を有するので、移動方向と垂直方向の渦電流の生成を抑制することができる。
【0010】
[適用例4]
適用例3に記載のコアレス電気機械装置において、前記鋼板材の厚さは、0.1mm以下である、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、積層鋼板材の厚さは、0.1mm以下であるので、渦電流に発生を抑制しやすい。
【0011】
[適用例5]
請求項4に記載のコアレス電気機械装置において、前記鋼板材の厚さは、約0.1mmである、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、積層鋼板材の厚さは、約0.1mmであってもよい。
【0012】
[適用例6]
適用例1から適用例5のいずれかに記載のコアレス電気機械装置において、前記永久磁石は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向及び前記移動方向のそれぞれと垂直な方向の両端部にサイドヨークを備える、電気機械装置。
この適用例によれば、サイドヨークにより磁石の側面方向への磁束の漏れを抑制できる。
【0013】
[適用例7]
適用例1から適用例6までのうちのいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、 前記第1の部材は、前記永久磁石を有するローターであり、前記第2の部材は、前記空心の電磁コイルと、前記コイルバックヨークと、ケースと、を有するステーターであり、前記ローターと前記ステーターは、前記ローターの回転軸を中心とする同心円筒形状を有しており、前記永久磁石と前記電磁コイルは、前記ローターと前記ステーターの対向する円筒面に対向して配置されており、前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向に前記永久磁石を投影したときの前記ケースの投影領域に前記コイルバックヨークが設けられ、前記ケースの投影領域外には、前記コイルバックヨークが設けられていない、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、渦電流の発生を抑制し、渦電流損によるロスを少なくすることが可能となる。
【0014】
[適用例8]
適用例1から適用例6までのうちのいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記第1の部材は、前記永久磁石を有するローターであり、前記第2の部材は、前記空心の電磁コイルと、前記コイルバックヨークと、ケースと、を有するステーターであり、前記ローターと前記ステーターは、前記ローターの回転軸に垂直な第1と第2の円盤形状を有しており、前記永久磁石と前記電磁コイルは、前記ローターと前記ステーターの対向する円盤面に対向して配置されており、前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向に前記永久磁石を投影したときの前記ケースの投影領域に前記コイルバックヨークが設けられ、前記ケースの投影領域外には、前記コイルバックヨークが設けられていない、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、いわゆるアキシャルギャップ型の電気機械装置に適用が可能である。
【0015】
[適用例9]
適用例7に記載のコアレス電気機械装置において、前記投影方向は、前記回転軸を中心とする放射方向である、コアレス電気機械装置。
【0016】
[適用例10]
適用例7または適用例9に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、円筒形状を有しており、前記円筒形状は穴あき円盤を積層することにより形成されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークは、穴あき円盤を積層することにより、円筒状に形成されている。渦電流は、穴あき円盤の面に沿って生成するので、渦電流を少なくすることが可能となる。
【0017】
[適用例11]
適用例7または適用例9に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、円筒形状を有しており、前記円筒形状は、幅よりも小さい厚さを有する板を厚さ方向に螺旋状に巻くことにより形成されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークは、板を螺旋状に巻いて形成されているので、穴あき円盤を円筒形にそろえる必要がなく、成形や製造が容易となる。
【0018】
[適用例12]
適用例10または適用例11に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、前記円筒形状の前記電磁コイル側の側面に切り欠き部を有する、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークは電磁コイル側の側面に切り欠き部を有するので、切り欠き部により渦電流を抑制することができる。
【0019】
[適用例13]
適用例12に記載のコアレス電気機械装置において、前記切り欠き部は、前記円筒形状の前記電磁コイルと反対側の側面まで達している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、切り欠き部は円筒形状の前記電磁コイルと反対側の側面まで達しているので、渦電流を抑制する効果が大きい。
【0020】
[適用例14]
適用例7、適用例9から適用例13まで、のうちのいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、前記回転軸の方向に向かって突き出ている突起を備え、前記電磁コイルは、前記突起の前記回転軸側に配置されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、突起に磁束を集中させることが出来る。その結果、電磁コイルを流れる電子に与えるローレンツ力を大きくすることが出来、トルクを増大させることが可能となる。また、突起と突起の間は、バックヨークの厚さが薄くなるので、突起間の渦電流を抑制できる。
【0021】
[適用例15]
適用例14に記載のコアレス電気機械装置において、前記突起は、前記回転軸を中心として、点対称に配置されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コギングトルクを軽減し、振動の少ない回転運動を実現することが可能となる。
【0022】
[適用例16]
適用例8に記載のコアレス電気機械装置において、前記投射方向は、前記回転軸と平行な方向である、コアレス電気機械装置。
【0023】
[適用例17]
適用例8または適用例16に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、穴あき円盤形状を有しており、前記穴あき円盤形状は、細長い平板をゼンマイバネ状に巻くことにより形成されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークの穴あき円盤形状は、細長い平板をゼンマイバネ状に巻くことにより形成されているので、穴あき円盤の放射方向の渦電流の発生を抑制し易い。
【0024】
[適用例18]
適用例17に記載のコアレス電気機械装置において、前記穴あき円盤形状は、前記電磁コイル側の面に切り欠き部を有する、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークは切り欠き部を有するので、切り欠き部により渦電流を抑制することができる。
【0025】
[適用例19]
適用例18に記載のコアレス電気機械装置において、前記切り欠き部は、前記穴あき円盤形状の前記電磁コイルと反対側の面まで達している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、切り欠き部は穴あき円盤形状の電磁コイル側と反対側の面まで達しているので、渦電流を抑制する効果が大きい。
【0026】
[適用例20]
適用例7から適用例19のいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記ケースのうち、前記投射領域を除いた部分は、非導電性材料で構成されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、前記端面部、前記側面部のうち、前記投射領域を除いた部分は、非導電性材料で構成されているので、渦電流損の発生を抑制し、渦電流損による影響を少なくすることが可能となる。その結果、電気機械装置の発熱を抑制することも可能となる。
【0027】
[適用例21]
適用例7から適用例20のいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、さらに、前記回転軸を支持する軸受けを有し、前記軸受けは、非導電性材料で構成されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、軸受けは、非導電性材料で構成されているので、渦電流損の発生を抑制し、渦電流損による影響を少なくすることが可能となる。その結果、電気機械装置の発熱を抑制することも可能となる。
【0028】
[適用例22]
適用例21に記載のコアレス電気機械装置において、前記軸受けは、非導電性材料で構成されたボール部を有する、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、軸受けは、非導電性材料で構成されたボール部を有するので、ボール部における渦電流損の発生を抑制し、渦電流損による影響を少なくすることが可能となる。その結果、電気機械装置の発熱を抑制することも可能となる。
【0029】
[適用例23]
適用例7から適用例22のうちのいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記コイルバックヨークは、外気に露出している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルバックヨークが渦電流損により発熱しても、容易に放熱できる。
【0030】
[適用例24]
適用例1から適用例6までのうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、前記第1の部材は、内部に磁石を有する棒状構造を有し、前記材2の部材は、前記材1の部材を軸とする周回方向に巻かれた電磁コイルを有し、前記第1の部材に沿って移動し、前記コイルバックヨークは、前記第2の部材の移動方向と平行な層を有する積層構造を有している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、本発明は、回転型のモーターだけでなく、リニアモーター、シャフトモーターにも適応することが可能である。
【0031】
[適用例25]
コアレス電機機械装置であって、永久磁石を有するローターと、前記ローターを回転させる力を生じさせる有効コイル領域と、コイルエンド領域「とを有し、空芯である電磁コイルを有するステーターと、前記有効コイル領域を覆い、前記コイルエンド領域を覆っていないコイルバックヨークと、前記ローターとステーターと前記コイルバックヨークとを囲うケースと、を備え、前記有効コイル領域は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向けて前記永久磁石を投影したときの投影領域であり、前記コイルバックヨークは、前記ローターの回転方向と平行な厚さ0.1mm以下の鋼板材を積層して形成されており、前記ケースは、前記コイルバックヨークと重ならない部分において、非導電性材料で構成されている、コアレス電機機械装置。
この適用例によれば、渦電流の発生を抑えることが出来るので、渦電流損によるロスを低減し、大トルクを実現できる。
【0032】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、コアレス電気機械装置の他、電気機械装置用ケース等、様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施例のコアレスモーターの構成を示す説明図である。
【図2】電磁コイルの製造方法を示す説明図である。
【図3】電磁コイルに樹脂を埋めるための樹脂充填装置を示す説明図である。
【図4】電磁コイルを樹脂で固める工程を示す説明図である。
【図5】コイルバックヨーク115の構成を示す説明図である。
【図6】コイルバックヨーク115の他の構成例を示す説明図である。
【図7】渦電流の測定を模式的に示す説明図である。
【図8】本実施例の渦電流損を示す説明図である。
【図9】コイルバックヨーク115が積層構造をとる場合における、穴あき円盤115aの厚さと渦電流損の関係を示す説明図である。
【図10】本実施例によるコアレスモーターと、比較例であるコア付モーターの特性を比較する説明図である。
【図11】本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと回転数の関係を比較する説明図である。
【図12】本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと電流と、の関係を比較する説明図である。
【図13】本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと入力電力と、の関係を比較する説明図である。
【図14】本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと出力電力(仕事)と、の関係を比較する説明図である。
【図15】本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと効率(=出力電力/入力電力)と、の関係を比較する説明図である。
【図16】第2の実施例を示す説明図である。
【図17】第3の実施例を示す説明図である。
【図18】本実施例と比較例のコアレスモーターとのトルク特性を比較する説明図である。
【図19】第4の実施例のコアレスモーターの構成を模式的に示す説明図である。
【図20】中央部と電磁コイルの位置の関係を模式的に示す説明図である。
【図21】無負荷電流と無負荷電力について本実施例と変形例とを比較する説明図である。
【図22】モーターの回転数と渦電流損の関係を示すグラフである。
【図23】第5の実施例であるアキシャルギャップ型モーターの構成を示す説明図である。
【図24】第6の実施例を示す説明図である。
【図25】コイルバックヨーク115の製造方法を示す説明図である。
【図26】第7の実施例を示す説明図である。
【図27】コイルバックヨークの構成例を示す説明図である。
【図28】第8の実施例におけるモーターの回転数と渦電流損の関係を示すグラフである。
【図29】第9の実施例を示す説明図である。
【図30】第10の実施例を示す説明図である。
【図31】第11の実施例を示す説明図である。
【図32】第12の実施例を示す説明図である。
【図33】磁場解析のモデルを示す説明図である。
【図34】従来のモデルを用いた磁場解析シミュレーションの結果を示す説明図である。
【図35】永久磁石表面から磁気センサーまでの距離と磁束密度の関係の測定結果を示す説明図である。
【図36】本発明の変形例によるモーターを利用したプロジェクタを示す説明図である。
【図37】本発明の変形例によるモーターを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。
【図38】本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。
【図39】本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。
【図40】本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1の実施例]
図1は、第1の実施例のコアレスモーターの構成を示す説明図である。図1(A)は、コアレスモーター10を回転軸に平行な面で切った断面であり、図1(B)は、コアレスモーター10を回転軸に垂直な面で切った断面である。コアレスモーター10は、ラジアルギャップ構造のインナーローター型モーターである。このコアレスモーター10では、ステーター15が外側に配置されている。ステーター15の内側には、略円筒状の空間が形成されており、この略円筒状の空間には、略円筒状のローター20が配置されている。
【0035】
ステーター15は、電磁コイル100と、ケーシング110と、コイルバックヨーク115と、を備える。ローター20は、回転軸230と、複数の永久磁石200と、を備える。回転軸230は、ローター20の中心軸であり、回転軸230の外周に永久磁石200が配置されている。永久磁石200は、回転軸230の中心から外部に向かう径方向(放射方向)に沿って磁化されている。永久磁石200の回転軸230と平行な方向の両側には、サイドヨーク210が配置されている。サイドヨーク210は、磁性体材料で形成されており、永久磁石200の回転軸230と平行な方向への磁束の漏れを抑制する。回転軸230は、ケーシング110の軸受け240で支持されている。
【0036】
ケーシング110は、内側が略円筒形の空間になっており、その内周に沿って複数の電磁コイル100が配置されている。なお、本実施例では、電磁コイル100は、内側に配置される電磁コイル100Aと外側に配置される電磁コイル100Bとを備えている。なお、本実施例では、電磁コイル100Aと電磁コイル100Bを区別する必要がない場合には、単に「電磁コイル100」と呼ぶ。電磁コイル100は、コアレス(空心)である。また、電磁コイル100と永久磁石200とは、ローター20とステーター15の対向する円筒面に対向して配置されている。ここで、電磁コイル100の回転軸230と平行な方向の長さは、永久磁石200の回転軸230と平行な方向の長さよりも長くなっている。すなわち、永久磁石200から放射方向に投射すると、電磁コイル100の一部は、投射領域からはみ出る。電磁コイル100のうち、このはみ出た部分を、「コイルエンド」と呼ぶ。ここで、電磁コイル100をコイルエンドと、コイルエンド以外の部分と、に分けると、コイルエンドに流れる電流により生じる力の向きは、ローター20の回転方向と異なる方向(回転軸230と平行な方向)であり、コイルエンド以外の部分に流れる電流により生じる力の向きは、ローター20の回転方向とほぼ同じ方向である。なお、コイルエンドは、コイルエンド以外の部分を挟んで2つあり、両者に生じる力は、互いに反対方向なので、電磁コイル100全体に掛かる力としては打ち消し合う。本実施例では、コイルエンドと重ならない領域を「有効コイル領域」と呼び、コイルエンドと重なる領域を「有効コイル領域外」と呼ぶ。電磁コイル100の放射方向外側であって、有効コイル領域と重なる部分には、コイルバックヨーク115が設けられている。なお、コイルバックヨーク115は、有効コイル領域外と重なっていないことが好ましい。コイルバックヨーク115が有効コイル領域外と重なっていると、コイルバックヨーク115の有効コイル領域外と重なる部分において、渦電流損(鉄損)が生じ、コアレスモーター10の効率を下げて、大トルクの実現が困難となる。
【0037】
ケーシング110は、回転軸230と平行な円筒形状部分(側面部)111と、円筒形状部分111の両端に配置された、回転軸230と垂直な円盤形状部分(端面部)112とを備える。2つの円盤形状部分112は、円筒形状部分111を挟んで配置されており、2つの円盤形状部分112と、円筒形状部分111は、取り付けネジ120により固定されている。円筒形状部分111は、有効コイル領域と重なっている。円筒形状部分111は、コイルバックヨーク115に生じた熱を放熱するために、熱伝導性の高い材料で形成されていてもよい。円盤形状部分112は、樹脂で形成されている。
【0038】
図2は、電磁コイルの製造方法を示す説明図である。本実施例では、電磁コイル100として、複数の電磁コイルを樹脂で固めて円筒形に成形したものを用いている。各電磁コイルは、円筒の側面の法線方向を軸方向として、その軸の周りを回るように巻かれている。図2(A)に示す工程では、表、裏に帯状の凹凸のある板150を準備する。板150は、樹脂により形成されており、例えば、射出成形により製造することが可能である。板150は、表に凸151、裏に凸152を備える。凸151と凸152は、交互に配置されている。また、表の両端部は、凸151より幅の狭い凸151a、151bになっている。なお、凸151a、151bの幅の和は、他の凸151の幅と同じである。和が同じであれば、凸151a、151bの幅は、同じ、異なる、のいずれであってもよい。また、図2(B)に示すように、表面の凸151は、頂部が膨らんでいてもよく、裏面の凸152は、頂部152が凹んでいてもよい。この頂部のふくらみや凹みの曲率は、板150の凸151aから凸151bまでの長さ、凸151、凸152の高さと、から定めることが可能である。
【0039】
図2(B)に示す工程では、裏面の各凸152の周りに導体を巻き、電磁コイル100A(内相コイル)を形成する。図2(C)に示す工程では、電磁コイル100Aが内側に位置するように板150を円筒形に曲げる。このとき、表面の2つの凸151a、151bを合致させて1つの凸151cとなるように曲げる。合致した凸151cの大きさは、他の凸151の大きさと同じである。また、表面の凸151の頂部が膨らんでおり、裏面の凸152の頂部が凹んでいる場合には、それぞれの頂部を滑らかに結んだ面は、滑らかな円筒形の側面となっている。滑らかな円筒形の側面であれば、後の工程において板150及び電磁コイル100A、100Bを樹脂で固めるときに、段差が生じにくい。図2(D)に示す工程では、板150から形成された円筒の外側表面の各凸151の周りに導体を巻き、電磁コイル100B(外相コイル)を形成する。図2(E)に示す工程では、円筒の内側及び外側の凹凸の間に樹脂500を埋めて円筒の内側、外側をなめらかにする。
【0040】
図3は、電磁コイルに樹脂を埋めるための樹脂充填装置を示す説明図である。図3(A)は樹脂充填装置400を下から見た図であり、図3(B)は樹脂充填装置400を横から見た図である。樹脂充填装置400は、底部401と、芯部402と、外壁403と、上蓋404と、樹脂充填管405と、を備える。図3(A)では、樹脂充填管405の記載を省略している。底部401は、略円盤形状の底部401aと、円筒形の側壁部401bと、を有している。上蓋404も同様に、底部404aと、円筒形の側壁部404bと、を有している。側壁部401bあるいは、側壁部404bの内径は、電磁コイル100の円筒の外径とほぼ同じ大きさである。芯部402は円柱形状をしている、芯部402の側面の曲率は、図2に示す凸152の頂部の凹みの曲率と同じであってもよい。また、芯部402の内部は、中空構造、充填構造いずれであってもよい。外壁403の内側面は、円筒形状をしている。本実施例では、電磁コイル100とコイルバックヨーク115とを一体成型するため、芯部402の側面と外壁403の内側面の間の間隔は、円筒形状の板150の凸151と凸152の高さの和よりも少し広くしている。なお、電磁コイル100のみ成型する場合には、芯部402の側面と外壁403の内側面の間の間隔は、円筒形状の板150の凸151の高さの2倍とほぼ同じであってもよい。樹脂充填管405は、上蓋404に接続されており、その接続位置は、芯部402の側面と外壁の内側面の間にあたる位置である。底部401と、芯部402と、外壁403と、上蓋404と、により形成される空間に、図2(D)で形成された、円筒形に変形された、コイル100A、100Bが巻かれた板150を配置する。このとき、コイルバックヨーク115を同時に配置してもよい。底部401と上蓋404との間を加圧しながら、樹脂充填管405から該空間に樹脂を注入することにより、樹脂で固められた円筒形の電磁コイル100が形成される。
【0041】
図4は、電磁コイルを樹脂で固める工程を示す説明図である。なお、本実施例では、コイルバックヨーク115も同時に樹脂で固める。図4(A)に示す工程では、底部401の上、底部401の中央に芯部402を配置する。次に、図2(D)の工程で形成された、電磁コイル100A、100Bが巻かれた円筒形に変形された板150を配置する。このとき、円筒形の板150の内側に芯部402が収まるように、板150を配置する。図4(B)に示す工程では、円筒形の板150の外側にコイルバックヨーク115を配置する。コイルバックヨーク115は、底部401の側壁部401bの上に乗るように配置される。そして、コイルバックヨーク115の円筒の長さ方向の中心と、板150の円筒の長さ方向の中心の位置はほぼ同じである。したがって、底部401の側壁部401bの高さは、板150の円筒の長さと、コイルバックヨーク115の円筒の長さの差の半分であることが好ましい。
【0042】
図4(C)に示す工程では、コイルバックヨーク115の外側に、側壁部401bの上に乗るように外壁403を配置する。外壁403の長さは、コイルバックヨーク115の長さとほぼ同じであることが好ましい。図4(D)に示す工程では、上蓋404を配置する。なお、上蓋404には、樹脂充填管405が接続されている。図4(E)に示す工程では、上蓋404と底部401との間を加圧しながら、樹脂充填管405から樹脂を充填する。
【0043】
図5は、コイルバックヨーク115の構成を示す説明図である。コイルバックヨーク115は、複数の穴あき円盤115aを備える。穴あき円盤115aは、円筒形に積層され、コイルバックヨーク115を形成する。各穴あき円盤115aは、鋼板材の平板を打ち抜くことにより、容易に製造することが可能である。隣接する穴あき円盤115a間は、無垢の場合よりも高抵抗、あるいは絶縁されているので、渦電流損を少なくする効果が大きい。
【0044】
図6は、コイルバックヨーク115の他の構成例を示す説明図である。コイルバックヨーク115は、幅より小さい厚さを有する板115bを厚さ方向に螺旋状に巻くことにより形成されている。板115bを螺旋状に巻く場合には、部材が1つであり、穴あき円盤115aを円筒形にそろえる必要がないので、コイルバックヨーク115の成形や製造が容易である。
【0045】
図7は、渦電流の測定を模式的に示す説明図である。被測定モーター11は、永久磁石200と、回転軸230と、コイルバックヨーク115とを備える。回転軸230は、カップリング310により駆動モーター300に接続されている。本実施例では、駆動モーター300により、被測定モーター11を駆動し、駆動モーターの駆動電圧及び電流、並びに被測定モーター11に発生する逆起電力電圧及び逆起電力電流を測定し、これらの測定結果を用いて被測定モーター11の渦電流損を取得する。本実施例では、コイルバックヨーク115の構造として、たとえば、無垢の構造や、板厚の異なる穴あき円盤115aを複数重ねてなる積層構造を採用し、逆起電力電圧及び逆起電力電流を測定し、それらの測定結果を用いて渦電流損の特性を取得した。
【0046】
図8は、本実施例の渦電流損を示す説明図である。ここでは、コイルバックヨーク115の構造が穴あき円盤115aの積層構造であるものと、コイルバックヨーク115が穴あき円盤115aの積層構造でない、無垢の構造であるものとを比較している。コイルバックヨーク115が無垢の構造である場合よりも、コイルバックヨーク115が積層構造を有する場合(図8参照)の方が、渦電流損が少なくなっている。
【0047】
図9は、コイルバックヨーク115が積層構造をとる場合における、穴あき円盤115aの厚さと渦電流損の関係を示す説明図である。穴あき円盤115aの厚さが薄い方が、渦電流損が少ない結果となっている。ここでは、板厚0.1mmについては、材料として、JFEスチール株式会社のJNEXコアを用いた。図9(B)にJNEXコアのデータを掲載する。図9(B)には、JFEスチール株式会社の別の材料JNHFコアのデータも掲載している。このJNHFコアについても同様に渦電流を求めたところ、図9(A)には掲載していないが、JNEXコアよりもやや渦電流が少ないものであり、JNEXコアの逆起電力電圧と同等以上の結果が得られている。
【0048】
上記の結果は、以下の理由によるものと考えられる。渦電流は回転する永久磁石200の磁束の移動方向と垂直の方向、すなわち2枚の穴あき円盤115aの境界が為す面と垂直な方向に発生する。したがって、薄い穴あき円盤115aを重ねてコイルバックヨーク115を形成した方が、すなわち、積層構造の方が、コイルバックヨーク115に流れる渦電流を少なくすることができ、渦電流損を小さくすることが可能となる。そして、穴あき円盤115aの積層数が多いほど、すなわち、穴あき円盤115aが薄いほどより渦電流を少なくすることが可能となる。なお、隣接する穴あき円盤115a間に絶縁物を挿入してもよい。隣接する穴あき円盤115aにおいて渦電流がより移動しにくくなる。
【0049】
図10は、本実施例によるコアレスモーターと、同体積の比較例であるコア付モーターの特性を比較する説明図である。モーター定格回転トルク特性(回転数3000rpm、トルク300mNm)では、比較例の温度上昇が65℃であるのに対し、本実施例のコアレスモーターの温度上昇は55℃であり、本実施例の方が、温度上昇、すなわち、発熱が小さい。このことは、本実施例によりロ−ター側の磁石200の磁束がコイルバックヨーク115により集中するため有効コイル領域への磁束密度が上昇するために、電磁コイル100へ流れる電流が減り電磁コイル100からの銅損失が減少した結果と、ローター側の磁石200の回転する磁界によりコイルバックヨーク115に生じる渦電流損は、渦電流損を発生させないコイルバックヨーク構造により発熱が小さくなる。更に、コアレスモーターのコイルバックヨーク115による効果は、始動トルクで136%、瞬時最大トルク(6000rpmを定回転制御させて、3秒間負荷トルクを上昇させ6000rpmが維持できなくなった時のトルク)で139%と、コア付きモーターを大きく超えた結果が得られた。このことは、従来コアレスモータ(コイルバックヨークの無い)は、コア付きモーターに比べて同体積比較では、40%以下程度のトルクしか得られなかったのが現状で、この結果によりコア付きモーター以上の特性効果は、モーター分野にとってコアレスモーター特性の常識を塗り替え、鉄損失(ヒステリシス損、渦電流損)Zero化に向けて非常に重要な意味を持つ。
【0050】
図11は、本実施例のコアレスモーターと、同体積による比較例のコア付モーターの、トルクと回転数の関係を比較する説明図である。ここで、実線が本実施例であり、破線が比較例である(以下、図12〜15において同じ)。本実施例と比較例の無負荷回転数はほぼ同じであるが、より大きな始動トルクを得ることができる。図12は、本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと電流と、の関係を比較する説明図である。本実施例は、同じトルクであれば、比較例よりも電流が少なくて済み、同じ電流であれば、比較例よりも大きなトルクを得ることができる。
【0051】
図13は、本実施例のコアレスモーターと、同体積による比較例のコア付モーターの、トルクと入力電力と、の関係を比較する説明図である。本実施例は、同じトルクを得ようとすると、比較例よりも入力電力が少なくて済み、同じ入力電力であればすれば、より多くのトルクを得ることが出来る。図14は、本実施例のコアレスモーターと、比較例のコア付モーターの、トルクと出力電力(仕事)と、の関係を比較する説明図である。図15は、本実施例のコアレスモーターと、同体積による比較例のコア付モーターの、トルクと効率(=出力電力/入力電力)と、の関係を比較する説明図である。本実施例は、同じトルクであれば、比較例よりも効率がよい。以上のことから、本実施例のモーター(コアレスモーター)は、比較例のコア付モーターよりも高トルクで運転でき、より高性能を実現できるといえる。
【0052】
以上、第1の実施例によれば、有効コイル領域と重なる部分において、コイルバックヨーク115を配置し、さらにコイルバックヨーク115円筒形部材114に積層構造を持たせることにより、コイルバックヨーク115に生じる渦電流損を少なくすることが可能となる。そして、渦電流損は損失であるので、これを少なくすることにより、高トルクを実現することが可能となる。コイルバックヨーク115に生じる渦電流は、ローター20の回転方向と垂直な方向である。したがって、コイルバックヨーク115を構成する穴あき円盤115aは、ローター20の回転方向と平行、すなわち、ローター20の回転方向と平行な層構造を備えることが好ましい。この構造を採用することにより、渦電流が流れにくく、結果的に渦電流損を発生させないことに繋がる。
【0053】
本実施例では、コイルバックヨーク115は、有効コイル領域を覆い、コイルエンドを覆っていない。そのため、コイルエンドを流れる電流の変化による磁束変化の影響を受け難く、当該磁束の変化による渦電流の発生を抑制できる。また、永久磁石200の磁束の投射領域を有効コイル領域と一致させるように、永久磁石200を配置すれば、コイルエンド部における永久磁石200の回転による磁束の変化による渦電流も抑制できる。
【0054】
[第2の実施例]
図16は、第2の実施例を示す説明図である。第2の実施例は、第1の実施例と比較すると、ケーシング110において円筒形状部分111を有していない点が異なっている。そして、第2の実施例は、コイルバックヨーク115が、ケーシング110の外に突出している。コイルバックヨーク115の構成は、第1の実施例と同じである。そして、突出したコイルバックヨーク115の外側には、熱伝導性樹脂510が形成されている。第2の実施例の構成であっても、コイルバックヨーク115に生じる渦電流を少なくして、コアレスモーターの効率を向上させることが可能となる。また、第2の実施例では、コイルバックヨーク115がケーシング110の外に突出しているので、渦電流損による発熱が生じても、放熱しやすい。また、本実施例では、バックヨーク115に外側に、熱伝導性樹脂510を備えているので、渦電流損により生じた熱を、熱伝導性樹脂510を介して放熱し易くなっている。
【0055】
[第3の実施例]
図17は、第3の実施例を示す説明図である。第3の実施例は、コアレスブラシモーターである。第1、第2の実施例では、電磁コイル100がステーター15に設けられ、永久磁石200がローター20に設けられていた。これに対し、第3の実施例では、電磁コイル100がローター20に設けられ、永久磁石200がステーター15に設けられている。すなわち、第1、第2の実施例では、永久磁石が回転するが、第3の実施例では、電磁コイル100が回転する。第3の実施例では、回転する電磁コイル100に流れる電流の向きを変えるためのコミューター170と、コミューター170に接触するブラシ160を備えている。電磁コイル100の永久磁石200と反対側には、コイルバックヨーク115が設けられている。
【0056】
図18は、本実施例と比較例のコアレスモーターとのトルク特性を比較する説明図である。本実施例、比較例A〜Dとも、永久磁石200の磁石材として、ネオジウムを用いている。最大連続トルク300mNは、比較例Dまたは本実施例しか実現ですることは出来ない。この場合、比較例Dでは、出力が250Wと大出力を要するのに対し、本実施例では、出力が100Wで済む。本実施例では、少ない出力、すなわち、より少ない消費電力で、高トルクを実現できる。また、本実施例は、比較例A、Cと同様に小型である。一般に、小型のモーターでは、トルクを大きくし難い。しかし、本実施例は、小型であるにも関わらず、高トルクを実現することができる。すなわち、本実施例によれば、小型低消費電力でありながら、高トルクのモーターを実現できる。
【0057】
[第4の実施例]
図19は、第4の実施例のコアレスモーターの構成を模式的に示す説明図である。図19(A)は、コアレスモーター10を回転軸に平行な面で切った断面であり、図19(B)は、コアレスモーターを回転軸に垂直な面(19B−19B切断面)で切った断面である。
【0058】
コアレスモーター10は、略円筒状のステーター15が外側に配置され、略円筒状のローター20が内側に配置されたラジアルギャップ構造のインナーローター型モーターである。ステーター15は、ケーシング110の内周に沿って配列された複数の電磁コイル100A、100Bを有している。電磁コイル100A、100Bは、コアレス(空心)である。なお、電磁コイル100A、100Bを合わせて電磁コイル100とも呼ぶ。ステーター15には、さらに、ローター20の位相を検出する位置センサーとしての磁気センサー300が、電磁コイル100の各相に1つずつ配置されている(図1(A))。磁気センサー300は、回路基板310の上に固定されており、回路基板310は、ケーシング110に固定されている。
【0059】
ローター20は、中心に回転軸230を有し、外周に6つの永久磁石200を有している。各永久磁石200は、回転軸230の中心から外部に向かう径方向(放射方向)に沿って磁化されている。また、永久磁石200と電磁コイル100とは、ローター20とステーター15の対向する円筒面に対向して配置されている。
【0060】
回転軸230は、ケーシング110の軸受け240で支持されており、軸受け240は、ベアリングボール241を備えている。本実施例では、ケーシング110の内側に、コイルバネ260を備えている。このコイルバネ260は、永久磁石200を図の左方向に押すことによって、永久磁石200の位置決めを行っている。但し、コイルバネ260は省略可能である。
【0061】
ケーシング110は、回転軸230と平行な円筒形状部分(側面部)111と、円筒形状部分111の両端に配置された、回転軸230と垂直な円盤形状部分(端面部)112とで構成されている。円筒形状部分111と円盤形状部分112は、樹脂で形成されている。円筒形状部分111の中央部113は、磁性体部材で形成されている。中央部113は、ケーシング110のうち、永久磁石200から電磁コイル100へ向かう方向に永久磁石200を投射したときのケーシング110を投射する領域である。なお、中央部113を、「有効長領域113」とも呼ぶ。また、中央部113は、円筒形形状をしているので、「円筒形部材113」とも呼ぶ。有効長領域113を、磁性体部材で構成し、コイルバックヨークとして機能させて、磁束線201を有効長領域113に集めてもよい。この場合、磁束線201は電磁コイル100の有効コイル領域のみを通りやすくなり、コアレスモーター10の効率を良くすることが可能となる。なお、この有効長領域113は、第1の実施例で示した有効コイル領域とほぼ重なっている。
【0062】
また、有効長領域113は、コアレスモーター10の外部に露出している。そして、有効長領域113は、磁性体部材であると同時に、導電性部材でも良い。有効長領域113は、コイルバックヨークとして機能するので、永久磁石200からの磁束線201は、電磁コイル100の内側を通り、有効長領域113を貫通し易い。ここで、ローター20が回転すると、永久磁石200も回転する。これにより、有効長領域113を貫通する磁束が変化し、磁束の変化を妨げる方向に磁束を作る電流、すなわち渦電流が生じる。渦電流が流れると、電力損失(渦電流損)が生じ、熱として放出される。本実施例では、有効長領域113が、コアレスモーター10の外部に露出しているため、渦電流損による熱が生じても、その熱をコアレスモーター10の外部に容易に排出し、コアレスモーター10内部に籠もることを抑制することが可能となる。なお、有効長領域113を構成する材料として、アルミ材等の熱伝導率が大きく放熱効果がある材料で覆ってもよい。こうすれば、更に放熱効果を高め、高トルク化が可能となる。なお、有効長領域113は、第1の実施例のコイルバックヨーク115と同様に、穴あき円盤を積層した構造(図5参照)、あるいは、細長い板を螺旋に巻いた構造(図6参照)を有していてもよい。尚、高透磁率の磁性体として注目されている金属ガラスでは、厚さが0.025mmまで薄く成形できるため更なる渦電流損を軽減できる。
【0063】
図20は、中央部と電磁コイルの位置の関係を模式的に示す説明図である。中央部113(有効長領域113)は、円盤形状部分112のうち、2つのコイルエンド101A、101Bの間の領域と重なる。図19における説明では、有効長領域113の範囲(有効長領域)を、永久磁石200を放射方向に投射した領域として定めたが、このように、2つのコイルエンド101A、101Bとの関係で定めてもよい。また、有効超領域113を、永久磁石200を放射方向に投射した領域としてもよい。
【0064】
また、本実施例では、ケーシング110の軸受け240は、非導電性材料で構成されているが、この有効長流域のコイルバックヨーク115の設計上によっては、軸受け240を非導電性材料にしても良いが、この場合は機械損失、回転数、寿命等の制約に注意を払うことが好ましい。
【0065】
図21は、無負荷電流と無負荷電力について本実施例と変形例とを比較する説明図である。図21(A)が変形例における結果を示し、図21(B)は本実施例における結果を示している。変形例のモーターは、ケーシング110が、ステンレス合金、すなわち導電性材料、で構成されている点で、図19、20に示した本実施例と異なっている。本実施例の方が変形例よりも、無負荷電流、無負荷電力の大きさと傾きが小さく、効率がよい。これは、変形例と異なり、本実施例ではケーシング110に渦電流損が生じないので、その分コアレスモーターの駆動電力が減って、効率が良くなったものと考えられる。また、渦電流損が生じないので、ケーシング110からの発熱を抑制することが可能となる。
【0066】
本実施例では、有効長領域113は、2つのコイルエンド101A、101Bとの関係では、2つのコイルエンド101A、101Bの間の領域と重なる領域としているが、有効長領域113は、2つのコイルエンド101A、101Bと重なる部分を有していてもよい。
【0067】
図22は、モーターの回転数と渦電流損の関係を示すグラフである。渦電流損の測定は、図7に示す方法を用いて実行した。なお、図7では、コイルバックヨーク115を用いているが、図22の結果は、図7のコイルバックヨーク115の代わりに円筒形部材113を用いたときの結果である。ここで、線Xは、円筒形部材113が積層構造を有さない無垢の構造である場合における特性を示している。線Y、Zは、円筒形部材113が、穴あき円盤が多数積層された積層構造を有する場合における特性を示している。ここで、線Yは、穴あき円盤(図5参照)の厚さが0.5mmの場合を示し、線Zは、穴あき円盤の厚さが0.1mmの場合を示している。円筒形部材113が無垢の構造である場合よりも、円筒形部材113が積層構造を有する場合の方が、渦電流損が少なくなっている。そして、穴あき円盤の厚さが薄い方が、渦電流損が少ない。この理由は、第1の実施例におけるコイルバックヨーク115についての理由と同じである。
【0068】
[第5の実施例]
また、上記説明では、ラジアルギャップ構造のモーターを例にとって説明したが、アキシャルギャップ構造のモーターであっても同様の適用が可能である。図23は、第5の実施例であるアキシャルギャップ型モーターの構成を示す説明図である。ローター20とステーター15は、ローター20の回転軸230に垂直な第1と第2の円盤形状を有している。そして、永久磁石200と電磁コイル100は、ローター20とステーター15の対向する円盤面に対向して配置されている。永久磁石200から電磁コイル100に向かって磁束線201を投射したときの投射領域(有効長領域113)に磁性体部材を有している。なお、アキシャルギャップ構造の場合、有効長領域113は、穴あき円盤形状を有しており、端面部に設けられている。なお、有効長領域113は、電磁コイル100が有する2つのコイルエンドのうちの第1のコイルエンドと、第2のコイルエンドとの間の部分と重なっていてもよく、永久磁石200を回転させながら回転軸230と平行な方向に投射したときの投射領域と重なっていてもよい。
【0069】
[第6の実施例]
図24は、第6の実施例を示す説明図である。第6の実施例は、アキシャルギャップ型モーターである。図24(A)は、アキシャルギャップ型モーター10(以下、単に「モーター10」とも呼ぶ。)を回転軸230と平行な面で切ったときの断面図を示している。図24(B)は、ローターの平面図を示し、図24(C)は、電磁コイル100Aの平面図を示し、図24(D)は、電磁コイル100Bの平面図を示し、図24(E)は、コイルバックヨーク115Aの平面図を示している。第6の実施例は、第5の実施例で説明したアキシャルギャップ型モーターと、いくつかの異なる点を除き、ほぼ同じ構成を有している。そこで、以下の説明では、第5の実施例と同じ構成のものについては、同じ符合を付し、説明を省略する。
【0070】
以下は、第5の実施例と異なる点である。第6の実施例のモーター10は、A相用の電磁コイル100Aと、磁気センサー300Aと、回路基板310Aと、B相用の電磁コイル100Bと、磁気センサー300Bと、回路基板310Bと、を備えている。すなわち、第6の実施例のモーター10は、電磁コイル、磁気センサー、回路基板について、それぞれA相用と、B相用と、2つずつ備えている。ここで、各符合の末尾A、Bは、A相用と、B相用と、を区別するためのものである。図24(C)(D)では、磁気センサー300Aは磁気コイル100Aのコイル内に配置され、磁気センサー300Bは磁気コイル100Bのコイル内に配置されているが、A相の磁気センサー300Aが磁気コイル100Bのコイル内に配置され、B相の磁気センサー300Bが磁気コイル100Aのコイル内に配置されていてもよい。また、第6実施例は、有効長領域113の代わりにコイルバックヨーク115A、115Bを備えている。すなわち、第6の実施例のモーター10は、コイルバックヨークについても、A相用、B相用を、それぞれ備えている。なお、A相用のコイルバックヨーク115Aと、B相用のコイルバックヨーク115Bを区別しない場合には、単に「コイルバックヨーク115」と呼ぶ。また、第6実施例の電磁コイル100A(100B)の個数や永久磁石200の個数(4個)は、第5の実施例の電磁コイル100の個数や永久磁石200の個数(8個)とは異なっているが、一般にモーターは、用途に応じ、これらの個数について、様々な個数を採用可能である。
【0071】
コイルバックヨーク115Aは、穴あき円盤形状を有しており、電磁コイル100Aの、永久磁石200と反対側に配置されている。コイルバックヨーク115Aは、例えば磁性体材料で構成されている磁性体部材であることが好ましい。また、コイルバックヨーク115Aは、磁性体部材であると同時に、導電性部材でもよい。永久磁石200からの磁束は、電磁コイル100の内側を通り、コイルバックヨーク115Aを貫通し易い。ここで、ローター20が回転すると、永久磁石200も回転する。これにより、コイルバックヨーク115A有効長領域113を貫通する磁束が変化し、磁束の変化を妨げる方向に磁束を作る電流、すなわち渦電流が生じる。渦電流が流れると、電力損失(渦電流損)が生じ、熱として放出される。なお、コイルバックヨーク115Bについても同様である。また、本実施例では、第5の実施例と異なり、コイルバックヨーク115A、115Bをケースシング110と別個独立に備えているが、コイルバックヨーク115A、115Bは、ケースシング110と一体構成であってもよい。
【0072】
図25は、コイルバックヨーク115の製造方法を示す説明図である。この製造方法は、細長い平板116をゼンマイバネ状に巻くことにより、コイルバックヨーク115を、形成する。なお、このときの平板116の幅が、コイルバックヨーク115の厚さとなる。ゼンマイバネ状構造を有するコイルバックヨーク115は、平板116の重なりの間の抵抗により放射方向の抵抗が大きくなるため、放射方向の電流を少なくすることができる。したがって、放射方向の渦電流を抑制できる。なお、ゼンマイバネ状構造を有するコイルバックヨーク115については、平板116の表面に絶縁物が塗布してあってもよい。この場合、コイルバックヨーク115における平板116の重なりの間の部分に絶縁物が存在することになるので、放射方向の渦電流をさらに抑制することが可能となる。
【0073】
[第7の実施例]
図26は、第7の実施例を示す説明図である。第7の実施例は、アキシャルギャップ型モーターである。図26(A)は、アキシャルギャップ型モーター10(以下、単に「モーター10」とも呼ぶ。)を回転軸230と平行な面で切ったときの断面図を示している。図26(B)は、モーター10を回転軸と平行な方向から見た図である。
【0074】
ローター20とステーター15は、ローター20の回転軸230に垂直な円盤形状を有している。ローター20は、永久磁石200と、サイドヨーク210と、回転軸230と、を備える。永久磁石200は、図24に示すのと同様に、回転軸230の外周に沿って配置されており、磁化の向きは、回転軸230と平行な方向である。永久磁石200の放射方向外側には、サイドヨーク210が配置されている。
【0075】
ステーター15は、電磁コイル100と、コイルバックヨーク115と、軸受け240と、ケーシング110と、を備える。電磁コイル100は、回転軸230と垂直な面に沿って巻かれている(図24(C)又は(D)参照)。永久磁石200と電磁コイル100は、ローター20とステーター15の対向する円盤面に対向して配置されている。なお、電磁コイル100のコイルエンド部分は、永久磁石200からはみ出しており、永久磁石200と重なっていない。第1の実施例と同様に、電磁コイル100のコイルエンドと重なっていない領域を「有効コイル領域」とも呼び、コイルエンドと重なっている領域を「運動外領域」と呼ぶ。電磁コイル100の永久磁石200との反対側には、コイルバックヨーク115が配置されている。コイルバックヨーク115は、穴あき円盤形状を有しており、有効コイル領域と重なっている。ケーシング110は、熱伝導性を有しており、コイルバックヨーク115と接触し、渦電流損によりコイルバックヨーク115に生じた熱を外部に廃熱する。
【0076】
この実施例によれば、渦電流損によりコイルバックヨーク115に生じた熱を、ケーシング110を通じて容易に廃熱できる。また、コイルバックヨーク115は、図25に示したような、細い板をゼンマイバネ形状に巻いたものであってもよい。コイルバックヨーク115における渦電流を減らし、渦電流損による発熱を抑制することができる。
【0077】
[第8の実施例]
図27は、コイルバックヨークの構成例を示す説明図である。図27(A)に示すコイルバックヨーク115は、図10に示す方法で作成したコイルバックヨークである。図27(B)は、一方の面に切り欠き部115Sを備えるコイルバックヨークを示す。なお、モーター10へのコイルバックヨーク配置時には、この切り欠き部115Sが電磁コイル100A(100B)に隣接する面側に位置するように、コイルバックヨーク115が配置される。このコイルバックヨーク115は、図27(A)に示すコイルバックヨーク115に対して、例えば、ワイヤ放電加工機等を用いて切り込みを入れることにより製造することが可能である。図27(C)は、切り欠き部115Sが他方の面まで達している切り欠き部115Cを有するコイルバックヨークを示す。このコイルバックヨーク115は、図27(A)に示すコイルバックヨークに対して、例えば、ワイヤ放電加工機等を用いて切り込みを入れることの他、打ち抜きプレスにより製造することも可能である。図27(D)は、一方の面に切り欠き部115Sを複数備えるコイルバックヨークを示す。この場合、複数の切り欠き部115Sは、互いに回転対称となる位置に設けられていることが好ましい。なお、切り欠き部115Sと切り欠き部115Cとは、混在していてもよい。ただし、他方の面まで達している切り欠き部115Cは、1個であることが好ましい。他方の面まで達している切り欠き部115Cが複数あると、コイルバックヨーク115が2分されてしまうからである。
【0078】
図28は、第8の実施例におけるモーターの回転数と渦電流損の関係を示すグラフである。なお、渦電流損は、図7に示す方法により行った。ここで、線Xは、図27(A)に示すコイルバックヨーク115に切り欠き部115Cが設けられていない場合における特性を示している。線Yは、図27(B)に示すコイルバックヨーク115に切り欠き部115Sが設けられている場合における特性を示している。線Zは、図27(C)に示すコイルバックヨーク115に切り欠き部115Cが設けられている場合における特性を示している。コイルバックヨーク115に切り欠き部115Sが有る方(線Y)が、渦電流が少なく、他方の面まで達している切り欠き部115Cが有る方が、更に渦電流が少なくなっている。これは、以下の理由によるものと考えることができる。渦電流は磁束の方向と垂直の方向、すなわちコイルバックヨーク115の面方向に発生する。ここで、切り欠き部115S、115Sは、円盤形状の円周方向の渦電流を抑制する。そして、他方の面まで達している切り欠き部115Cは、円盤形状の円周方向の渦電流を遮断する。したがって、切り欠き部115S、115Cを設けることにより、渦電流損を小さくすることが可能である。
【0079】
なお、コイルバックヨーク115Aは、その切り欠き部115Sが電磁コイル100A側に位置するように配置されることが好ましい。渦電流は、電磁コイル100A側の方が発生しやすく、切り欠き部115Sが電磁コイル100A側にあると、切り欠き部115Sにより、この渦電流を抑制し易いからである。
【0080】
[第9の実施例]
図29は、第9の実施例を示す説明図である。第9の実施例は、第4の実施例の円筒形部材113に第8の実施例と同様に、切り欠き部を設けたものである。図29(A)の円筒形部材113は、第4の実施例に示す円筒形部材である。図29(B)は、図29(A)の円筒形部材113の内壁側に切り欠き部113BSを設けたものである。図29(C)は、図29(A)の円筒形部材113に対し、内壁から外壁に達する切り欠き部113BCを設けたものである。このように、円筒形部材113に切り欠き部113BS、113BCを設けてもよい。これにより、渦電流を抑制し、渦電流損を少なくすることが可能となる。なお、本実施例では、板を厚さ方向に螺旋状に巻くことにより形成されている円筒形部材113を例に取り説明したが、穴あき円盤が多数積層された積層構造を有する円筒形部材や、無垢の円筒形部材に切り欠き部113BS、113BCを設けてもよい。
【0081】
[第10の実施例]
図30は、第10の実施例を示す説明図である。第10の実施例は、リニアモーターである。リニアモーター12は、可動部16と固定部21とを備える。固定部21は、2つの磁石200と、磁石バックヨーク202と、を備える。2つの磁石200は、磁石バックヨーク202を挟むように配置されている。2つの磁石200の磁束の向きは、磁石バックヨーク202側がS極、外側(磁石バックヨーク202と反対側)がN極となっている。なお、N極、S極は逆であってもよい。また、磁石200は、移動方向と平行なスリットを備えていてもよい。
【0082】
可動部16は、電磁コイル100と、コイルバックヨーク116と、を備える。電磁コイル100は、可動部の移動方向を中心軸とする周回方向に巻かれている。コイルバックヨーク116は、電磁コイル100の磁石200と反対側に配置されている。すなわち、磁石200とコイルバックヨーク116との間に電磁コイルが位置する。コイルバックヨーク116は、複数の板が積層されて構成されており、複数の板の境界面は、可動部16の移動方向と平行である。可動部の移動方向を中心軸とする周回方向に生じる渦電流の発生を抑制できる。
【0083】
[第11の実施例]
図31は、第11の実施例を示す説明図である。第11の実施例は、シャフトモーター13である。シャフトモーター13は、磁石シャフト205と、移動体17と、を備える。磁石シャフト205は、磁石200と、非磁性体ケース250と、ストッパー260と、を備える。磁石200は、複数あり、非磁性体ケース250中に、直列に並べて配置されている。各磁石200の磁化の方向は、磁石シャフト205の長さ方向であり、交互に向きが180°入れ替わっている。すなわち、隣接する磁石200は、同じ極(N極同士、S極同士)が向かい合っている。そのため、2つの磁石200からの磁束は2つの磁束の間で反発する。結果として、隣接する磁石200の間における磁束の向きは、磁石シャフト205を中心とした放射方向となる。ストッパー260は、磁石シャフト205の両端に配置されており、移動体17が磁石シャフト205から抜けないようにする。
【0084】
移動体17は、電磁コイル100と、コイルバックヨーク116と、コイルケース117と、を備える。電磁コイル100は、磁石シャフト205の外周に沿って巻かれている。磁石200の磁束の方向は磁石シャフト205を中心とする放射方向であり、電磁コイル100を流れる電流の向きは、磁石シャフト205の外周に沿った方向であるので、電磁コイル100が受ける力の方向は、フレミングの左手の法則により、磁石シャフト205の長さ方向となる。コイルバックヨーク116は、電磁コイル100の放射方向の外側に配置されている。コイルバックヨーク116は、放射方向を第1の辺、移動体17の移動方向を第2の辺とする長方形に板を、円筒状に積層下構造を有している。このコイルバックヨーク116の構造により、円筒の円周に沿った渦電流を少なくすることができる。コイルケース117は、電磁コイル100とコイルバックヨーク116を収納するケースである。
【0085】
[第12の実施例]
図32は、第12の実施例を示す説明図である。図32(A)は、回転軸230の方向(z方向)から見た図であり、図32(B)は、回転軸230の方向と垂直な方向(x方向)から見た図である。なお、第12の実施例では、図32(B)に示すように、電磁コイルを配置する領域が、電磁コイル100Aが配置される領域と電磁コイル100Bが配置される領域とに分かれている。そのため、図32(A)では、電磁コイル100Aのみが見える状態である。第12の実施例は、第1の実施例と比較するとコイルバックヨーク115の形状が異なっている。すなわち、第12の実施例におけるコイルバックヨーク115は、電磁コイル100Aの極間で重なる部分において、極間を中心に凸となる突起部115dを有している。なお本実施例では、隣り合う突起部115dの間の凹んだ部分を谷部115eと呼ぶ。この構成は、電磁コイル100Bについても同様である。以下、本実施例では、電磁コイル100A、100Bを合わせて電磁コイル100と呼ぶ。本実施例では、コイルバックヨーク115が突起部115dを有しているため、永久磁石200側の面に段差が生じる。そこで、本実施例では、コイルバックヨーク115の永久磁石200側に熱伝導性の樹脂500をモールドすることにより、コイルバックヨーク115の永久磁石200側の面を滑らかにしている。
【0086】
コイルバックヨーク115は、磁性体部材で形成されているため、永久磁石200の磁束は、谷部115eよりも突起部115dに集中し易い。その結果、電磁コイル100Aを形成する配線内の電子にかかるローレンツ力を大きくするとことができる。モーター10のトルクを増大させることが可能となる。また、隣接する突起部115dの間には谷部115eが形成されているので、隣接する突起部115dの間を流れる渦電流を低減することが可能となる。
【0087】
突起部115dは、回転軸230を中心として点対称となるように形成されることが好ましい。突起部115dが回転軸230を中心として点対称となるように形成することにより、コギングトルクを軽減することが可能となる。その結果、モーター10は、振動の少ない回転運動を実現することが可能となる。
【0088】
なお、第1と第12の実施例では、電磁コイル100の数が異なっているが、磁石200の個数と電磁コイル100A、100Bの数については、一般に、様々な組み合わせが可能である。
【0089】
以上、第12の実施例によれば、コイルバックヨーク115は、電磁コイル100の極間で重なる部分において、極間を中心に凸となる突起部115dを有しているので、永久磁石200の磁束を集中させることができ、その結果、モーター10のトルクを増大させることが可能となる。
【0090】
[第13の実施例]
図33は、磁場解析のモデルを示す説明図である。図33(A)は、回転軸230の方向と垂直な方向(x方向)から見た図であり、図33(B)は、回転軸230の方向(z方向)から見た図である。このモデルでは、6個の永久磁石200と、回転軸230と、磁気センサー300と、コイルバックヨーク115と、を備える。永久磁石200は、回転軸230の周りに配置されており、磁化の方向は、回転軸230を中心とする放射方向である。コイルバックヨーク115は、略円筒形を有しており、永久磁石200と一定の間隔を空けて配置されている。そこで、電磁コイル100が設けられる空間領域の磁束密度を計測するために、ホール素子により構成された磁気センサー300で、永久磁石200の外周表面からコイルバックヨーク115間までの距離(L1)に応じた磁束密度を観測する。
【0091】
従来の磁場解析によるシミュレーションでは、永久磁石200の表面における磁束密度は、コイルバックヨークの有無にかかわらず、一定となるモデルを用いていた。図34は、従来のモデルを用いた磁場解析シミュレーションの結果を示す説明図である。従来のシミュレーションでは、永久磁石200表面(ローター表面)の磁束密度は、コイルバックヨーク115の有無により、ほとんど違いはない。一方、永久磁石200の表面からの距離(L1)が大きくなると、コイルバックヨーク115を備えていない場合には、コイルバックヨーク115を備えている場合に比べて、磁束密度は小さくなる。
【0092】
図35は、永久磁石表面から磁気センサーまでの距離と磁束密度の関係の測定結果を示す説明図である。本実施例では、コイルバックヨーク115の材料として、JEF社のJNEXコア及びJNHFコア(図9(B)参照)とパーマロイを用い、コイルバックヨークを備えない場合(以下「コイルバックヨーク無し」と呼ぶ。)と比較した。コイルバックヨーク無しに比べて、コイルバックヨーク115を備えている方が、磁束密度が大きく、特に、永久磁石200の表面においても、コイルバックヨーク無しに比べて、コイルバックヨーク115を備えている方が、磁束密度が大きかった。この点は、シミュレーションモデルと異なる点であった。また、コイルバックヨーク115の材料にJNEXコアあるいは、JNHFコアを用いた場合の磁束密度は、コイルバックヨーク115の材料にパーマロイを用いた場合に比べ、大きな磁束密度が得られた。なお、コイルバックヨーク115の材料として、JNEXコアと、JNHFコアとの間には有意差は無かった。
【0093】
以上のように、実測値では、コイルバックヨーク115を備えた方が、備えないよりも、磁束密度を大きくできるという結果が得られた。すなわち、モーター10のトルクを増大させるには、コイルバックヨーク115を備えることが好ましい。また、JNEX,JNHFコアは、変圧器用材料として検討されているため、材料厚が0.1[mm]と非常に薄く成形され、モーター10の永久磁石ローターの回転から生じる渦電流損に対しても非常に少ない事が確認されている。
尚、JNEXとJNHF材の材料構成を以下に示す。
JNEX材:鋼板材全域に6.5%のSiを含有加工
JNHF材:鋼板材の両面域の各25%に6.5%のSiを含有加工(中心部50%は未Si)
【0094】
他の変形例:
本発明は、各種の装置に適用可能である。例えば、本発明は、ファンモーター、時計(針駆動)、ドラム式洗濯機(単一回転)、ジェットコースタ、振動モーターなどの種々の装置のモーターに適用可能である。本発明をファンモーターに適用した場合には、上述した種々の効果(低消費電力、低振動、低騒音、低回転ムラ、低発熱、高寿命)が特に顕著である。このようなファンモーターは、例えば、デジタル表示装置や、車載機器、燃料電池式パソコン、燃料電池式デジタルカメラ、燃料電池式ビデオカメラ、燃料電池式携帯電話などの燃料電池使用機器、プロジェクタ等の各種装置のファンモーターとして使用することができる。本発明のモーターは、さらに、各種の家電機器や電子機器のモーターとしても利用可能である。例えば、光記憶装置や、磁気記憶装置、ポリゴンミラー駆動装置等において、本発明によるモーターをスピンドルモーターとして使用することが可能である。また、本発明によるモーターは、移動体やロボット用のモーターとしても利用可能である。
【0095】
図36は、本発明の変形例によるモーターを利用したプロジェクタを示す説明図である。このプロジェクタ3100は、赤、緑、青の3色の色光を発光する3つの光源3110R、3110G、3110Bと、これらの3色の色光をそれぞれ変調する3つの液晶ライトバルブ3140R、3140G、3140Bと、変調された3色の色光を合成するクロスダイクロイックプリズム3150と、合成された3色の色光をスクリーンSCに投写する投写レンズ系3160と、プロジェクタ内部を冷却するための冷却ファン3170と、プロジェクタ3100の全体を制御する制御部3180と、を備えている。冷却ファン3170を駆動するモーターとしては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0096】
図37(A)〜(C)は、本発明の変形例によるモーターを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。図37(A)は携帯電話3200の外観を示しており、図37(B)は、内部構成の例を示している。携帯電話3200は、携帯電話3200の動作を制御するMPU3210と、ファン3220と、燃料電池3230とを備えている。燃料電池3230は、MPU3210やファン3220に電源を供給する。ファン3220は、燃料電池3230への空気供給のために携帯電話3200の外から内部へ送風するため、或いは、燃料電池3230で生成される水分を携帯電話3200の内部から外に排出するためのものである。なお、ファン3220を図37(C)のようにMPU3210の上に配置して、MPU3210を冷却するようにしてもよい。ファン3220を駆動するモーターとしては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0097】
図38は、本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、前輪にモーター3310が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモーター3310で回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、モーターの駆動と回生とを制御する回路である。このモーター3310としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0098】
図39は、本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、モーター3430とを有している。このモーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。このモーター3430としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0099】
図40は、本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、モーター3510と、車輪3520とを有している。このモーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電機として利用され、電力が回生される。このモーター3510としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0100】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0101】
10…モーター(コアレスモーター)
11…被測定モーター
12…リニアモーター
13…シャフトモーター
15…ステーター
16…可動部
17…移動体
20…ローター
21…固定部
100、100A、100B…電磁コイル
101A、101B…コイルエンド
110…ケーシング
111…円筒形状部分
112…円盤形状部分
113…中央部(有効長領域、円筒形部材)
113BS、113BC…切り欠き部
115a…穴あき円盤
115b…板
115C、115S…切り欠き部
115…コイルバックヨーク
115d…突起部
115e…谷部
116…コイルバックヨーク
117…コイルケース
115BC、115BS…切り欠き部
150…板
151、151a、151b、151c、152…凸
160…ブラシ
170…コミューター
200…永久磁石
201…磁束線
202…磁石バックヨーク
230…回転軸
240…軸受け
241…ベアリングボール
260…コイルバネ
300…磁気センサー
310…回路基板
510…熱伝導性樹脂
3100…プロジェクタ
3110…光源
3140…液晶ライトバルブ
3150…クロスダイクロイックプリズム
3160…投写レンズ系
3170…冷却ファン
3180…制御部
3200…携帯電話
3220…ファン
3230…燃料電池
3300…自転車
3310…モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第1のアーム
3420…第2のアーム
3430…モーター
3500…鉄道車両
3510…モーター
3520…車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動可能な第1と第2の部材を有するコアレス電機機械装置であって、
前記第1の部材に配置された永久磁石と、
前記第2の部材に配置された空芯の電磁コイルと、
前記第2の部材に配置された積層構造を有するコイルバックヨークと、
を備え、
前記電磁コイルは、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間に配置されており、
前記電磁コイルは、前記電磁コイルにおいて前記第1の部材を相対的に移動方向に移動させる力を生じさせる有効コイル領域と、コイルエンド領域とを有しており、
前記コイルバックヨークは、前記有効コイル領域を覆い、前記コイルエンド領域を覆っていない、コアレス電気機械装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコアレス電気機械装置において、前記有効コイル領域は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向けて前記永久磁石を投影したときの投影領域である、コアレス電気機械装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、前記第1の部材の移動方向と垂直な方向に積層された複数の鋼板材を有する、コアレス電気機械装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコアレス電気機械装置において、
前記鋼板材の厚さは、0.1mm以下である、コアレス電気機械装置。
【請求項5】
請求項3に記載のコアレス電気機械装置において、
前記鋼板材の厚さは、約0.1mmである、コアレス電気機械装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記永久磁石は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向及び前記移動方向のそれぞれと垂直な方向の両端部にサイドヨークを備える、電気機械装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記第1の部材は、前記永久磁石を有するローターであり、
前記第2の部材は、前記空心の電磁コイルと、前記コイルバックヨークと、ケースと、を有するステーターであり、
前記ローターと前記ステーターは、前記ローターの回転軸を中心とする同心円筒形状を有しており、
前記永久磁石と前記電磁コイルは、前記ローターと前記ステーターの対向する円筒面に対向して配置されており、
前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向に前記永久磁石を投影したときの前記ケースの投影領域に前記コイルバックヨークが設けられ、前記ケースの投影領域外には、前記コイルバックヨークが設けられていない、コアレス電気機械装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記第1の部材は、前記永久磁石を有するローターであり、
前記第2の部材は、前記空心の電磁コイルと、前記コイルバックヨークと、ケースと、を有するステーターであり、
前記ローターと前記ステーターは、前記ローターの回転軸に垂直な第1と第2の円盤形状を有しており、
前記永久磁石と前記電磁コイルは、前記ローターと前記ステーターの対向する円盤面に対向して配置されており、
前記永久磁石から前記電磁コイルに向かう方向に前記永久磁石を投影したときの前記ケースの投影領域に前記コイルバックヨークが設けられ、前記ケースの投影領域外には、前記コイルバックヨークが設けられていない、コアレス電気機械装置。
【請求項9】
請求項7に記載のコアレス電気機械装置において、
前記投影方向は、前記回転軸を中心とする放射方向である、コアレス電気機械装置。
【請求項10】
請求項7または請求項9に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、円筒形状を有しており、
前記円筒形状は穴あき円盤を積層することにより形成されている、コアレス電気機械装置。
【請求項11】
請求項7または請求項9に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、円筒形状を有しており、
前記円筒形状は、幅よりも小さい厚さを有する板を厚さ方向に螺旋状に巻くことにより形成されている、コアレス電気機械装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、前記円筒形状の前記電磁コイル側の側面に切り欠き部を有する、コアレス電気機械装置。
【請求項13】
請求項12に記載のコアレス電気機械装置において、
前記切り欠き部は、前記円筒形状の前記電磁コイルと反対側の側面まで達している、コアレス電気機械装置。
【請求項14】
請求項7、請求項9から請求項13まで、のうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、前記回転軸の方向に向かって突き出ている突起を備え、
前記電磁コイルは、前記突起の前記回転軸側に配置されている、コアレス電気機械装置。
【請求項15】
請求項14に記載のコアレス電気機械装置において、
前記突起は、前記回転軸を中心として、点対称に配置されている、コアレス電気機械装置。
【請求項16】
請求項8に記載のコアレス電気機械装置において、
前記投射方向は、前記回転軸と平行な方向である、コアレス電気機械装置。
【請求項17】
請求項8または請求項16に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、穴あき円盤形状を有しており、
前記穴あき円盤形状は、細長い平板をゼンマイバネ状に巻くことにより形成されている、コアレス電気機械装置。
【請求項18】
請求項17に記載のコアレス電気機械装置において、
前記穴あき円盤形状は、前記電磁コイル側の面に切り欠き部を有する、コアレス電気機械装置。
【請求項19】
請求項18に記載のコアレス電気機械装置において、
前記切り欠き部は、前記穴あき円盤形状の前記電磁コイルと反対側の面まで達している、コアレス電気機械装置。
【請求項20】
請求項7から請求項19のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記ケースのうち前記投射領域を除いた部分は、非導電性材料で構成されている、コアレス電気機械装置。
【請求項21】
請求項7から請求項20いずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、さらに、
前記回転軸を支持する軸受けを有し、
前記軸受けは、非導電性材料で構成されている、コアレス電気機械装置。
【請求項22】
請求項21に記載のコアレス電気機械装置において、
前記軸受けは、非導電性材料で構成されたボール部を有する、コアレス電気機械装置。
【請求項23】
請求項7から請求項22のうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記コイルバックヨークは、外気に露出している、コアレス電気機械装置。
【請求項24】
請求項1から請求項6までのうちのいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記第1の部材は、内部に磁石を有する棒状構造を有し、
前記材2の部材は、前記材1の部材を軸とする周回方向に巻かれた電磁コイルを有し、前記第1の部材に沿って移動し、
前記コイルバックヨークは、前記第2の部材の移動方向と平行な層を有する積層構造を有している、コアレス電気機械装置。
【請求項25】
コアレス電機機械装置であって、
永久磁石を有するローターと、
前記ローターを回転させる力を生じさせる有効コイル領域と、コイルエンド領域とを有し、空芯である電磁コイルを有するステーターと、
前記有効コイル領域を覆い、前記コイルエンド領域を覆っていないコイルバックヨークと、
前記ローターとステーターと前記コイルバックヨークとを囲うケースと、を備え、
前記有効コイル領域は、前記永久磁石から前記電磁コイルに向けて前記永久磁石を投影したときの投影領域であり、
前記コイルバックヨークは、前記ローターの回転方向と平行な厚さ0.1mm以下の鋼板材を積層して形成されており、
前記ケースは、前記コイルバックヨークと重ならない部分において、非導電性材料で構成されている、コアレス電機機械装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−10572(P2012−10572A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177545(P2010−177545)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】