説明

コネクタ及び接続構造

【課題】流路に段差が設けられず、且つ、管状部材に対する液密の確保と管状部材の抜けの抑制とを異なる領域において行い得るコネクタ及びこれを用いた接続構造を提供する。
【解決手段】管状部材4が挿入される貫通孔7を備えたコネクタ本体1と、ストッパー部材2と、位置決め部材3とを備えたコネクタを用いる。ストッパー部材2は、コネクタ本体1における管状部材4の挿入側に配置する。コネクタ本体1は、ストッパー部材2に連結する。位置決め部材3は、管状部材4に固定する。更に位置決め部材3とストッパー部材2とを接触させて、ストッパー部材2のコネクタ本体1側への移動を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状部材を接続するためのコネクタ及び接続構造に関し、特に医療器具に使用されるコネクタ及び接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療用具においては、血液や薬液を送液するためチューブが備えられており、チューブはコネクタによって医療用具と接続されている。また、コネクタにおいては、人命にかかわるため、チューブが簡単に抜けたりしないといった信頼性が高いことや、液密が確保されて液漏れしないことが求められている。
【0003】
このような求めに応じるため、医療用具の分野においては、種々のコネクタの開発が行われている。例えば、雄型コネクタと雌型コネクタとによって管状の部材を内側及び外側から挟み込むことによって強固な接続が得られるようにしたコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来から医療用具において用いられているコネクタを示す断面図である。図6に示すように、コネクタは、管状の雄型コネクタ21を可撓性のチューブ24における一方の開口端に挿入し、チューブ24の雄型コネクタ21が挿入された部分に、管状の雌型コネクタ22を嵌め込むことによって構成されている。
【0005】
この構成により、チューブ24は、雄型コネクタ21の外面と雌型コネクタ22の内面とからの圧縮によって変形し、これらに密着する。また、図6に示すように、雄型コネクタ21の外面にはリング状の突起23が設けられており、チューブ24は突起23に押圧される。このため、チューブ24は、雄型コネクタ21及び雌型コネクタ22によって強固に挟み込まれることになる。
【0006】
このように、図6に示すコネクタを用いれば、雄型コネクタ21及び雌型コネクタ22のみによって、チューブ24を強固に締め付けることができるので、チューブ24の抜け防止と液密の確保とを図ることができる。
【特許文献1】特開2000−135292号公報(第1図−第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6に示すコネクタにおいては、チューブ24の抜け防止と液密の確保とは、同じ領域X(図6において点線で囲まれた領域)で、チューブ24の締め付けによってのみ行われている。
【0008】
従って、図6に示すコネクタにおいては、抜け防止と液密の確保とが同じ領域で行われている。このため、チューブ24や、雄型コネクタ21及び雌型コネクタ22の経時変化による劣化や歪等によって、締め付けが緩くなると、信頼性が低下すると同時に液密も確保できなくなる。この結果、チューブ24が抜けてしまったり、液漏れしたりする可能性が高くなってしまう。
【0009】
また、図6に示すコネクタにおいては、雄型コネクタ21がチューブ24に挿入されるため、構造上、液体の流路に段差ができ、流路を流れる液体に乱流が発生してしまう。このため、図6に示すコネクタを、例えば輸血パック等の血液の送液が行われる医療用具に使用した場合は、血液凝固(血栓)が生じる可能性が極めて高いと言える。
【0010】
更に、一般に、医療分野においては、チューブ24の内径は規格によって定められているため、図6に示すように、チューブの内側に雄型コネクタ21を挿入する構造を採用すると、液体の流路が狭められてしまう。
【0011】
本発明の目的は、上記問題を解消し、流路に段差が設けられず、且つ、管状部材に対する液密の確保と管状部材の抜けの抑制とを異なる領域において行い得るコネクタ及びこれを用いた接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明におけるコネクタは、管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、前記ストッパー部材は、コネクタ本体における前記管状部材の挿入側に配置され、前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため本発明における接続構造は、管状部材と、それに接続されるコネクタとを有する接続構造であって、前記コネクタは、管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、前記ストッパー部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔の挿入口側に配置され、前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコネクタ及び接続構造において、ストッパー部材は、コネクタ本体に連結されている。従って、コネクタ本体から管状部材を引き抜こうとする外力が加わると、ストッパー部材は、コネクタ本体と共に、管状部材からみて引き抜き方向と反対の方向(コネクタ本体側)へと移動しようとする。しかし、ストッパー部材のコネクタ本体側への移動は、管状部材に固定された位置決め部材によって制限され、それによってコネクタ本体の移動も制限される。よって、管状部材のコネクタ本体からの抜けは抑制される。
【0015】
また、管状部材のコネクタ本体からの抜けの抑制は、従来例のような管状部材の締め付けによって行われていない。このため、従来例のようにコネクタや管状部材の劣化や歪みによって、管状部材が抜けやすくなるという事態が生じるのも抑制される。
【0016】
更に、本発明のコネクタ及び接続構造においては、コネクタ本体に設けられた貫通孔に管状部材を挿入することによって、コネクタと管状部材との液密が確保される。このため、従来例と異なり、コネクタが劣化したり、歪んだりした場合であっても、コネクタと管状部材との液密を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明におけるコネクタは、管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、前記ストッパー部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔の挿入口側に配置され、前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とする。
【0018】
また、本発明における接続構造は、管状部材と、それに接続されるコネクタとを有する接続構造であって、前記コネクタは、管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、前記ストッパー部材は、コネクタ本体における前記管状部材の挿入側に配置され、前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とする。
【0019】
上記本発明におけるコネクタ及び接続構造では、前記コネクタ本体の前記貫通孔の内面が前記管状部材の外面と密着するのが好ましいく、これによってコネクタと管状部材との液密が確保される。また、上記本発明におけるコネクタ及び接続構造では、前記位置決め部材が、前記ストッパー部材の移動を制限することによって、前記コネクタ本体の前記貫通孔から前記管状部材が抜けるのを抑制している。
【0020】
上記本発明におけるコネクタ及び接続構造においては、前記位置決め部材が、リング状に形成され、前記管状部材に嵌め込まれた状態で固定されている態様とするのが好ましい。この態様とした場合は、コネクタ及び接続構造の組み立てを容易なものとすることができる。また、この態様においては、前記位置決め部材は、前記管状部材に融着されて固定されているのが好ましい。この場合は、前記管状部材の抜けの抑制をいっそう確実なものとできる。
【0021】
また、上記本発明におけるコネクタ及び接続構造においては、前記ストッパー部材が、前記管状部材を挿通可能な筒状の部分を備え、前記筒状の部分の内壁には、径方向に突出する突起が形成され、前記突起が前記位置決め部材に接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動が制限される態様とするのが好ましい。この態様とすれば、前記ストッパー部材の配置を容易に行うことができる。また、前記ストッパー部材と前記突起とを確実に接触させることができる。
【0022】
更に、上記態様においては、前記筒状の部分の内壁に、径方向に突出する第2の突起が形成され、前記第2の突起は前記突起よりも前記コネクタ本体側に位置し、前記コネクタ本体が、前記ストッパー部材側に、前記ストッパー部材の筒状の部分に挿入可能な端部を有し、前記コネクタ本体の端部には、前記第2の突起と嵌合する溝が形成され、前記ストッパー部材と前記コネクタ本体とが、前記第2の突起と前記溝との嵌合によって連結されているのが好ましい。この場合、前記コネクタ本体と前記ストッパー部材とを簡単に連結できる。
【0023】
また、上記態様においては、前記溝が、前記第2の突起と嵌合する嵌合溝と、前記第2の突起を前記嵌合溝に導く導入溝とを有し、前記嵌合溝は、前記端部の周方向に沿って形成されているのが更に好ましい。この場合は、前記管状部材の長軸方向に沿って前記コネクタ本体と前記ストッパー部材とを分離しようとする外力に対して、前記コネクタ本体と前記ストッパー部材との連結を強固なものとできる。
【0024】
また、上記本発明におけるコネクタ及び接続構造においては、前記コネクタ本体の前記貫通孔が、前記管状部材の挿入方向に沿って内径が小さくなるテーパ状に形成されているのが好ましい。更に、前記コネクタ本体は、前記貫通孔の内面において、前記管状部材に接着されているのも好ましい。このような場合は、前記管状部材に対する前記コネクタ本体の液密性をいっそう向上させることができる。
【0025】
更に、上記本発明におけるコネクタ及び接続構造においては、前記コネクタ本体が第2の貫通孔を備え、前記第2の貫通孔は、管状部材4の内径と同一の内径を有し、且つ、前記管状部材が挿入される前記貫通孔と連通している態様とするのが好ましい。この態様によれば、段差の無い流路を形成でき、流路を流れる液体に乱流が生じるのを抑制できる。また、上記本発明におけるコネクタ及び接続構造においては、前記管状部材として、可撓性を有する部材を用いることができる。
【0026】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造について、図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す分解側面図である。
【0027】
図3は、図1及び図2に示すコネクタ本体を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。図4は、図1及び図2に示すストッパー部材を示す図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は断面図、図4(c)は斜視図である。図5は、本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す断面図である。なお、図1、図2及び図5において管状部材は一部分のみを示している。また、図4(b)は、図4(a)中の切断線A−A´に沿って切断した断面を示している。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施の形態における接続構造は、本実施の形態におけるコネクタと、当該コネクタの接続対象となる管状部材4とを有している。また、本実施の形態におけるコネクタは、コネクタ本体1と、ストッパー部材2と、位置決め部材3とを有している。また、図5に示すように、コネクタ本体1はストッパー部材2に連結される。この点については後述する。なお、本実施の形態1において、管状部材4は可撓性を有するチューブであり、樹脂材料を成形して得られたものである。
【0029】
図1及び図2に示すように、位置決め部材3は、管状部材4に固定されている。本実施の形態においては、位置決め部材3は、リング状に形成され、管状部材4に嵌め込まれた状態で固定されている。また、位置決め部材3の管状部材4への固定は、固定強度の向上の点からは、例えば、位置決め部材3の形成材料が樹脂であるならば、融着によって行うのが好ましい。更に、位置決め部材3は、管状部材4と一体的に成形されていても良い。
【0030】
具体的な融着方法としては、位置決め部材3の成形型に管状部材4を予め配置した状態で射出成形を行う方法が挙げられる。この方法によれば、位置決め部材3を成形すると同時に管状部材4に固定できるため、製造工程の簡略化を図ることができ、製造コストを低減できる。
【0031】
この場合、管状部材4の形成材料としては、SEBS(水添SBSブロックポリマー)を含むスチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの混合物、軟質塩化ビニル樹脂等を用いるのが好ましい。また、位置決め部材3の形成材料としては、ポリプロピレン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂等を用いるのが好ましい。更に、管状部材がスチレン系熱可塑性エラストマーによって形成される場合は、位置決め部材3はポリプロピレン樹脂によって形成されるのが好ましい。また、管状部材が軟質塩化ビニル樹脂によって形成される場合は、位置決め部材3は硬質塩化ビニル樹脂によって形成されるのが好ましい。
【0032】
また、図5に示すように、位置決め部材3は、ストッパー部材2と接触する。このため、コネクタ本体1から管状部材4を引き抜こうとする外力が加わって、ストッパー部材2が、コネクタ本体1と共に、管状部材4からみて引き抜き方向と反対の方向(コネクタ本体側)へと移動しようとしても、この移動は制限される。即ち、位置決め部材3は、ストッパー部材2の管状部材4から分離する方向への移動を制限している。また、ストッパー部材2は位置決め部材3によって位置決めされている。本実施の形態においては、位置決め部材3は、後述するストッパー部材2に設けられた第1の突起8と接触することによって、ストッパー部材2の移動を制限している。
【0033】
また、位置決め部材3の外形状は、ストッパー部材2のコネクタ本体1側への移動を制限できる形状であれば良く、図1及び図2に示したリング状に限定されるものではない。また、本実施の形態において、リング状の位置決め部材3の周方向に垂直な断面は、クサビ形となっているが(図2及び図5参照)、この例に限定されるものではない。なお、位置決め部材3の周方向に垂直な断面がクサビ形となっているのは、ストッパー部材2の管状部材4への嵌め込みを考慮したためである。この点については後述する。
【0034】
コネクタ本体1は、図1〜図3及び図5に示すように、コネクタのベースとなる部分であり、貫通孔7を備えている。貫通孔7には、挿入口7cから管状部材4が挿入される。なお、図1、図3及び図5中の「7a」は第2の貫通孔を示し、「7b」は段差を示している。これらについては後述する。また、本実施の形態においては、貫通孔7の開口端の一つが外部に開口し、この外部に開口している開口端が挿入口7cを形成している。但し、本発明はこの例に限定されるものではなく、貫通孔7の両方の開口端が外部に開口し、いずれの開口端も挿入口として機能する態様であっても良い。
【0035】
また、本実施の形態におけるコネクタと管状部材4との液密は、貫通孔7のみによって確保されている。本実施の形態においては、液密性を高めるため、貫通孔7は、その内面が管状部材4の外面と密着するように形成されている。更に、図示していないが、液密性の更なる向上の点からは、貫通孔7は、管状部材4の挿入方向に沿って内径が小さくなるテーパ状に形成するのが好ましい。また、液密性の更なる向上の点からは、管状部材4が貫通孔7の内面と接着された態様とするのも好ましい。
【0036】
本実施の形態において、コネクタ本体1は、筒状に形成されている。更に、コネクタ本体1のストッパー部材2側の端部は、ストッパー部材2の内部に挿入可能に形成されている(図5参照)。更に、本実施の形態においては、コネクタ本体1のストッパー部材2側の端部は、貫通孔7に管状部材4を挿入したときに、位置決め部材3と接触する。本実施の形態では、位置決め部材3は、コネクタ本体1のストッパー部材2側への移動も制限している。なお、本発明において、コネクタ本体1の形状は、図1〜図3及び図5に示す例に限定されるものではない。
【0037】
ストッパー部材2は、図1、図2及び図5に示すように、コネクタ本体1の貫通孔7の挿入口7c側に配置されている。本実施の形態においては、ストッパー部材2は、管状部材4を挿通できるよう、全体が筒状に形成されている。また、ストッパー部材2は、位置決め部材3と共に、コネクタ本体1からの管状部材4の抜けを抑止している。この点については後述する。
【0038】
また、図2及び図4に示すように、筒状のストッパー部材2の内壁には、径方向に突出する第1の突起8と、同じく径方向に突出する第2の突起9が形成されている。第1の突起8は、位置決め部材3との接触に用いられる。また、第2の突起9は、第1の突起8よりもコネクタ本体1側の位置に形成されており、ストッパー部材2をコネクタ本体1に連結するのに用いられる。
【0039】
本実施の形態では、ストッパー部材2は、管状部材4の先端4a側から管状部材4に嵌め込まれる。よって、ストッパー部材2の管状部材4への嵌め込みを容易にするため、図4(b)、図4(c)及び図5に示すように第1の突起8の上面(筒の中心側の面)8aは、コネクタ本体1側に向けて高さが高くなる傾斜面となっている。更に、これと併せて、位置決め部材3には、コネクタ本体1側に向けて高さが低くなる傾斜面3aが形成されている。
【0040】
更に、本実施の形態では、図4(b)、図4(c)及び図5に示すように、位置決め部材3との接触面積を大きくするため、第1の突起8が位置決め部材3と接触する面(接触面)8bは、管状部材4の挿入方向に対して垂直に形成されている。また、これと併せて、位置決め部材3がストッパー部材2と接触する面(接触面)3bも、管状部材4の挿入方向に対して垂直に形成されている。なお、ストッパー部材2は、図1、図2及び図4に示す例に限定されるものではない。
【0041】
ここで、コネクタ本体1とストッパー部材2とを連結するための連結構造について説明する。図4を用いて既に説明したように、ストッパー部材2の内壁には、コネクタ本体1との連結用の第2の突起9が形成されている(図4参照)。本実施の形態では、図4に示すように、三つの第2の突起9が、周方向に沿って等間隔で配置されている。また、各第2の突起9は、ストッパー部材2の周方向に長い形状を呈している。また、第2の突起9の周方向に垂直な断面は矩形を呈している。
【0042】
また、図1〜図3に示すように、コネクタ本体1のストッパー部材2側の端部には、複数の溝5が形成されている。本実施の形態では、三つの溝5が、周方向に沿って等間隔で形成されている。各溝5は、端部の周方向に沿って形成された嵌合溝5aと、導入溝5bとを有している。また、嵌合溝5aは、ストッパー部材2の第2の突起9と嵌合するよう形成されており、周方向に長い形状となっている。また、導入溝5bは、第2の突起9を嵌合溝5aに導くためのガイドとして機能しており、その周方向の長さが、第2の突起9の周方向の長さと同じか、それよりも長くなるように形成されている。
【0043】
また、図4に示すように、ストッパー部材2の内壁には、更に、複数の歯10が形成されている。複数の歯10は、第2の突起9毎に歯列を形成している。また、複数の歯10は、周方向に沿って、第2の突起9と平行に配列されている。一方、図1から図3に示すように、コネクタ本体1のストッパー部材2側の端部にも、複数の歯6が形成されている。複数の歯6は、溝5毎に歯列を形成している。また、複数の歯6は、周方向に沿って、嵌合溝5aと平行に配列されている。
【0044】
このように構成されたコネクタ本体1とストッパー部材2との連結は、以下の手順で行うことができる。なお、以下の説明では、適宜、図1〜図5を参照する。先ず、ストッパー部材2の第1の突起8の接触面8bと位置決め部材3の接触面3bとを接触させる。次に、ストッパー部材2の各第2の突起9がコネクタ本体1の各導入溝5aに入るように、コネクタ本体を位置合わせし、コネクタ本体1をストッパー部材2に向けて押し込む。その後、コネクタ本体1をその先端から見て時計周りに回転させる。
【0045】
この結果、各第2の突起9は、対応する嵌合溝5aに嵌合し、コネクタ本体1とストッパー部材2との連結が完了する。また、嵌合溝5aは周方向に長い形状となっているため、連結構造は、コネクタ本体1とストッパー部材2とを分離しようとする外力に対して非常に強い構造となる。また、本実施の形態では、このとき、コネクタ本体1の複数の歯6はストッパー部材2の複数の歯10に噛み合う。よって、コネクタ本体1をその先端から見て反時計周りに回転させようとする外力が加わっても、第1の突起8と嵌合溝5aとの嵌合は容易に外れないようになっている。
【0046】
なお、図1〜図5に示した連結構造は一例である。よって、溝5の数や大きさ、第2の突起9の数や大きさは適宜設定することができる。また、溝5の形状や、第2の突起9の形状も限定されないが、上述したコネクタ本体1とストッパー部材2とを分離しようとする外力に対する耐性の点から、溝5の形状は図1〜図3に示す形状とするのが好ましい。また、本発明においては、他の連結構造を用いてコネクタ本体1とストッパー部材2とを連結することもできる。
【0047】
以上のように本実施の形態によれば、コネクタ本体1とストッパー部材2とは連結されて一体となる。従って、コネクタ本体1から管状部材4を引き抜こうとする外力が加わって、コネクタ本体1が、管状部材4からみて引き抜き方向と反対の方向へと移動しようとしても、ストッパー部材2と同様に、このコネクタ本体1の移動も制限される。このため、本実施の形態によれば、コネクタ本体1から管状部材4を引き抜こうとする外力が加わっても、管状部材4がコネクタ本体1から簡単に抜けることはなく、管状部材4の抜けは抑制されている。
【0048】
また、管状部材4の抜けの抑制は、従来例のような管状部材4の締め付けによって行われていない。このため、従来例と異なり、コネクタ本体1、ストッパー部材2、位置決め部材3、及び管状部材4が経時変化によって劣化したり、歪んだりした場合であっても、管状部材4の抜けは抑制される。
【0049】
更に、上述したように、液密の確保は、管状部材4の抜けを抑制する部位とは、別の部位、即ち、コネクタ本体1の貫通孔7において行われている。このため、従来と異なり、経時変化による液漏れの発生を抑制することもできる。
【0050】
また、本実施の形態においては、図5に示すように、コネクタ本体1の内部には、管状部材4の内径と同一の内径を有する第2の貫通孔7aが設けられている。第2の貫通孔7aの一方の開口端はコネクタ本体1の外部へと開口している。また、第2の貫通孔7aは、管状部材4が挿入される貫通孔7と連通しており、第2の貫通孔7aと貫通孔7との間には、管状部材4の厚みと同じ大きさの段差7bが形成されている。更に、管状部材4は、管状部材4の先端4aが段差7bと接触するように貫通孔7に挿入されている。
【0051】
このため、本実施の形態1では、管状部材4の内面と第2の貫通孔7aの内面とによって、段差の無い流路が形成され、流路を流れる液体に乱流が生じるのが抑制される。従って、本実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を、血液の送液が行われる医療用具に採用すれば、流路中に血液凝固(血栓)が生じる可能性を極めて低いものとできる。
【0052】
なお、管状部材4を貫通孔7に挿入したときに管状部材4の内径が狭まるのであれば、第2の貫通孔7aの内径は、貫通孔7に挿入した状態にあるときの管状部材4の内径と一致させるのが好ましい。また、第2の貫通孔7aはテーパ状に形成されていても良く、この場合は、第2の貫通孔7aの最大内径は、管状部材4の内径と一致させるのが良い。
【0053】
本発明において、管状部材4は管状の部分しか有していないチューブに限定されるものではない。管状部材4は、例えば、カテーテルや輸液バック等の医療器具に設けられた管状の部分であっても良い。また、コネクタ本体1、ストッパー部材2及び位置決め部材3の大きさは、接続対象となる管状部材4の外径及び内径に合わせて適宜設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明におけるコネクタ及び接続構造は、管状部材の接続の必要性がある種々の分野で利用でき、産業上の利用可能性を備えている。また、本発明におけるコネクタ及び接続構造は、特に、医療器具のように、接続の信頼性が高いことや、液漏れしないことの要求があるものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す分解側面図である。
【図3】図1及び図2に示すコネクタ本体を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。
【図4】図1及び図2に示すストッパー部材を示す図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は断面図、図4(c)は斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるコネクタ及び接続構造を示す断面図である。
【図6】従来から医療用具において用いられているコネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 コネクタ本体
2 ストッパー部材
3 位置決め部材
4 管状部材
4a 管状部材の先端
5 溝
5a 嵌合溝
5b 導入溝
6 コネクタ本体に形成された歯
7 貫通孔
7a 第2の貫通孔
7b 段差
8 第1の突起
9 第2の突起
10 ストッパー部材に形成された歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、
前記ストッパー部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔の挿入口側に配置され、
前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、
前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ本体の前記貫通孔の内面が、前記管状部材の外面と密着し、
前記位置決め部材が、前記ストッパー部材の移動を制限することによって、前記コネクタ本体の前記貫通孔から前記管状部材が抜けるのを抑制する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記位置決め部材が、リング状に形成され、前記管状部材に嵌め込まれた状態で固定されている請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記位置決め部材が、前記管状部材に融着されて固定されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ストッパー部材が、前記管状部材を挿通可能な筒状の部分を備え、
前記筒状の部分の内壁には、径方向に突出する突起が形成され、前記突起が前記位置決め部材に接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動が制限される請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記筒状の部分の内壁に、径方向に突出する第2の突起が形成され、前記第2の突起は前記突起よりも前記コネクタ本体側に位置し、
前記コネクタ本体が、前記ストッパー部材側に、前記ストッパー部材の筒状の部分に挿入可能な端部を有し、前記コネクタ本体の端部には、前記第2の突起と嵌合する溝が形成され、
前記ストッパー部材と前記コネクタ本体とが、前記第2の突起と前記溝との嵌合によって連結されている請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記溝が、前記第2の突起に嵌合する嵌合溝と、前記第2の突起を前記嵌合溝に導く導入溝とを有し、前記嵌合溝は、前記端部の周方向に沿って形成されている請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ本体の前記貫通孔が、前記管状部材の挿入方向に沿って内径が小さくなるテーパ状に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタ本体が第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔は、管状部材4の内径と同一の内径を有し、且つ、前記管状部材が挿入される前記貫通孔と連通している請求項1〜8のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項10】
前記管状部材が可撓性を有する部材である請求項1〜8のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項11】
管状部材と、それに接続されるコネクタとを有する接続構造であって、
前記コネクタは、管状部材が挿入される貫通孔を備えたコネクタ本体と、ストッパー部材と、位置決め部材とを少なくとも有し、
前記ストッパー部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔の挿入口側に配置され
前記コネクタ本体は、前記ストッパー部材に連結され、
前記位置決め部材は、前記管状部材に固定され、前記ストッパー部材と接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動を制限することを特徴とする接続構造。
【請求項12】
前記コネクタ本体の前記貫通孔の内面が、前記管状部材の外面と密着し、
前記位置決め部材が、前記ストッパー部材の移動を制限することによって、前記コネクタ本体の前記貫通孔から前記管状部材が抜けるのを抑制する請求項11に記載の接続構造。
【請求項13】
前記コネクタ本体の前記貫通孔が、前記管状部材の挿入方向に沿って内径が小さくなるテーパ状に形成されている請求項11または12に記載の接続構造。
【請求項14】
前記コネクタ本体が、前記貫通孔の内面において、前記管状部材に接着されている請求項11〜13に記載の接続構造。
【請求項15】
前記位置決め部材が、リング状に形成され、前記管状部材に嵌め込まれた状態で固定されている請求項11〜14のいずれかに記載の接続構造。
【請求項16】
前記位置決め部材が、前記管状部材に融着されて固定されている請求項15に記載の接続構造。
【請求項17】
前記ストッパー部材が、前記管状部材を挿通可能な筒状の部分を備え、
前記筒状の部分の内壁には、径方向に突出する突起が形成され、前記突起が前記位置決め部材に接触して、前記ストッパー部材の前記コネクタ本体側への移動が制限される請求項11〜16のいずれかに記載の接続構造。
【請求項18】
前記筒状の部分の内壁に、径方向に突出する第2の突起が形成され、前記第2の突起は前記突起よりも前記コネクタ本体側に位置し、
前記コネクタ本体が、前記ストッパー部材側に、前記ストッパー部材の筒状の部分に挿入可能な端部を有し、前記コネクタ本体の端部には、前記第2の突起と嵌合する溝が形成され、
前記ストッパー部材と前記コネクタ本体とが、前記第2の突起と前記溝との嵌合によって連結されている請求項17に記載の接続構造。
【請求項19】
前記溝が、前記第2の突起に嵌合する嵌合溝と、前記第2の突起を前記嵌合溝に導く導入溝とを有し、前記嵌合溝は、前記端部の周方向に沿って形成されている請求項18に記載の接続構造。
【請求項20】
前記コネクタ本体が第2の貫通孔を備え、
前記第2の貫通孔は、管状部材4の内径と同一の内径を有し、且つ、前記管状部材が挿入される前記貫通孔と連通している請求項11〜19のいずれかに記載の接続構造。
【請求項21】
前記管状部材が可撓性を有する部材である請求項11〜20のいずれかに記載の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−242338(P2006−242338A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61010(P2005−61010)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】