説明

コンテンツ再生方法、再生装置、及びプログラム

【課題】一般に普及している再生装置が再生するコンテンツにより、別の再生装置でのコンテンツの再生をリアルタイムに制御するための技術を提供する。
【解決手段】電子楽器10は、DVDプレーヤ20から光ディスクの再生による映像を入力して解析し、バーコードが挿入された映像からそのバーコードを抽出し、そのバーコードが示す制御情報(コマンド)を認識する。それにより、その認識結果に従って、内蔵の曲データの再生を行う。DVDプレーヤ20から入力した映像は、バーコードが挿入された映像はそのバーコードを消去する加工を行ってテレビジョン30に出力して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像コンテンツの再生により、それとは異なるコンテンツの再生を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを再生する従来の再生装置のなかには、コンテンツの再生を他の機器のコンテンツの再生に同期させて行うものがある。例えば特許文献1に記載された再生装置では、CD等の記録媒体の再生に伴奏して外部で演奏されて生成される演奏情報を入力し、その入力した演奏情報を、記録媒体から所定の間隔で読み出される時間情報と対応させた同期演奏情報を作成し記憶する。そして、同期演奏の際には、記録媒体から読み出される時間情報と同期演奏情報に含まれる時間情報とを比較して一致する時間情報に対応する演奏情報を再生する。これにより、CD等の通常の記録媒体に記録されている音楽等と、他の機器により演奏された音楽との繰り返し同期再生が容易にできるようになる。
【0003】
しかしながら、このような再生方法では、コンテンツを一旦、記憶させなくてはならない。このため、迅速な同期再生は不可能である。またこの記憶されるコンテンツが画像であった場合はデータ量が大きくなってしまう。このようなことから、同期再生を行ううえでは必ずしも望ましいとは言えないものである。
【0004】
また、リアルタイムで同期再生を行う場合は、2つの再生装置のうちの一方(マスター)から他方(スレーブ)に必要な情報を通知することで行わせることができる。しかしながら、そのために再生装置(マスター)に特殊な処理、或いはインターフェースを備えさせねばならないが、このようなことは望ましくない。なぜなら、一般的に広く普及している再生装置は、このような処理、インターフェースは備えていないため、使用できないからである。このような特殊な再生装置を準備することは一般的ユーザーには不可能に近く、仮に準備できたとしてもユーザー側の経済的負担がより大きくなってしまう。このことから、マスターとしては普通の再生装置を用いて、つまりその再生装置により再生されるコンテンツを通して、リアルタイムの同期再生といったコンテンツの再生を制御できるようにすることが望ましいと考えられる。
【特許文献1】特開平5−297867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、一般に普及している再生装置が再生するコンテンツにより、別の再生装置でのコンテンツの再生をリアルタイムに制御するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンテンツ再生方法は、第1の再生装置による画像コンテンツの再生に合わせて、第2の再生装置による該画像コンテンツとは異なる種類の他のコンテンツの再生を行わせるための方法であって、画像コンテンツの再生によって再現される画像中に、第2の再生装置が認識可能な他のコンテンツの再生に係わる制御情報を挿入し、第1の再生装置による画像コンテンツの再生によって再現される画像を第2の再生装置に入力させ、画像の入力により第2の再生装置に該画像中の制御情報を認識させ、その認識結果に基づいて他のコンテンツの再生を行わせる。
【0007】
本発明の第1の態様の再生装置は、画像コンテンツとは異なる種類のコンテンツを再生可能なことを前提とし、画像コンテンツの再生によって再現される画像を入力するための画像入力手段と、画像入力手段が入力した画像中に存在する、コンテンツの再生に係わる制御情報を認識する情報認識手段と、コンテンツを再生する再生手段と、再生手段によるコンテンツの再生を、情報認識手段が認識した制御情報に基づいて制御する再生制御手段と、を具備する。
【0008】
第2の態様の再生装置は、上記第1の態様における構成に加えて、画像入力手段が入力した画像を出力する画像出力手段、を更に具備する。
【0009】
第3の態様の再生装置は、上記第2の態様における構成に加えて、画像入力手段が入力した画像中から制御情報を削除する加工を行う画像加工手段、を更に具備し、画像出力手段は、画像加工手段が加工した画像を出力する。
【0010】
本発明のプログラムは、画像コンテンツとは異なる種類のコンテンツを再生可能な再生装置として用いることが可能なコンピュータに、画像コンテンツの再生によって再現される画像を入力するための画像入力機能と、画像入力機能により入力した画像中に存在する、コンテンツの再生に係わる制御情報を認識する情報認識機能と、コンテンツを再生する再生機能と、再生機能によるコンテンツの再生を、情報認識機能により認識した制御情報に基づいて制御する再生制御機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、画像コンテンツの再生によって再現される画像(映像)中に、他のコンテンツの再生に係わる制御情報を挿入し、その画像コンテンツの再生側(マスター)が再現させた画像を他のコンテンツの再生側(スレーブ)に入力させ、そのスレーブに制御情報を認識させて他のコンテンツの再生を制御させる。このため、リアルタイムに他のコンテンツを画像コンテンツの再生と同期させるといったことを行うことができる。マスターは、単に画像コンテンツを再生すれば良いため、一般に普及している再生装置を使用することができる。
【0012】
スレーブに入力した画像を出力させるようにした場合には、そのスレーブ、或いはそれから画像を入力することが可能な表示装置に任意に画像を表示させることができる。制御情報を削除(消去)する加工を行って出力させるようにした場合には、より適切な画像を表示させることができる。加工する内容によっては、有用な情報を更に付加した画像を表示させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、コンテンツ再生用に構築されたシステム構成を示す図である。図1に示すようにそのシステムは、電子楽器10にDVDプレーヤ20、及びテレビジョン(以下「TV」)30を接続して構築されている。その電子楽器10は、鍵盤11、スピーカ12、及び液晶表示装置(LCD)13を備えたものである。
【0014】
第1の実施の形態による再生装置は、その電子楽器10に搭載されている。それにより図1に示すシステム構成では、DVDプレーヤ20から出力されたビデオ(Video)信号を入力し、そのビデオ信号によって楽曲の再生を制御すると共に、そのビデオ信号をTV30に出力して画像(映像)を表示させるものとして実現されている。
【0015】
図2は、その電子楽器の機能構成図である。その電子楽器10は、以下のような機能、及びハードウェアを搭載している。
【0016】
ビデオデコーダ101は、DVDプレーヤ20から入力したビデオ信号をデコードし、画像を再現する。映像バッファ102は、再現された画像(画像データ)を一時的に格納するメモリであり、それに格納された画像はバーコード検出部103及び映像加工部(OSD)105に出力される。
【0017】
本実施の形態では、DVDプレーヤ20が再生可能なDVD等の光ディスクに、図3に示すような2次元バーコードを制御情報として一連の画像のなかの必要なものに挿入されていることを想定している。そのように画像中に直接、制御情報を配置することにより、DVDプレーヤ20等の光ディスクを再生可能な再生装置(マスター)として、一般的に広く普及しているものを利用可能とさせている。バーコード検出部103は、画像解析を行い、それに挿入されたバーコードを抽出し、そのバーコードが示す情報を認識して、その認識結果をシーケンサ部108に出力する。
【0018】
バーコードが挿入された画像をそのまま表示(出力)するのは望ましくない。このことから本実施の形態では、図4に示すように、バーコード上に別の画像を配置する加工を行うようにしている。映像データベース104は、その加工を行うための画像(映像)、或いはその生成用のデータを格納したメモリである。実際の加工は、映像加工部105によって行われ、ビデオエンコーダ106に出力される。それにより、映像加工部105が出力した映像はビデオエンコーダ106によってビデオ信号に変換され、TV30に入力されることで表示される。
【0019】
ROM107には、楽曲再生用の曲データが1つ以上、例えばスタンダードMIDIファイル(SMF)の形式で格納されている。そのSMFでは、演奏イベント毎に、その処理タイミングを示す時間情報、及びイベントの内容を示すイベント情報が用意されている。シーケンサ部108は、ユーザーが所定のスイッチを操作して指定の曲データをROM107から読み出し、その再生を行う。
【0020】
本実施の形態では、画像中に挿入されたバーコードにより、曲データの再生開始を指示するStartコマンド、その終了を指示するStopコマンド、及び時間情報等を通知することを想定している。その時間情報は、Startコマンドを示すバーコードが挿入された画像を基準として表すもの、つまり絶対時間を示すものとしている。それにより、SMFの時間情報も絶対時間を示すものとしている。
【0021】
なお、バーコードで表す制御情報は、上記したようなものに限定されるわけではない。例えば効果音等の発音を指示するものであっても良い。或いは、映像自体に行うべき加工を指示するものであっても良い。図4に示すような加工は、曲データから行うことができるが、制御情報に従っても行うことができる。そのような制御情報は何れも、マスター側からのコマンドに相当することから、「コマンド」とも総称することとする。
【0022】
シーケンサ部108は、バーコード検出部103から出力されたコマンドに従い、曲データの再生を開始し、終了させる。また、後述する図6には示していないが、ビデオ信号を入力する場合、バーコードで指定される曲データを選択するようになっている。
【0023】
バーコード検出部103から出力された時間情報は、同期処理部108aで処理され、その時間情報を基準にして、曲データ中のイベントデータの処理タイミングが補正される。その補正により、曲データはDVDプレーヤ20による光ディスクの再生に同期して再生させるようにしている。楽音の発音開始、或いはその消音を指示するコマンド等はアサイナ部110に出力する。
【0024】
鍵盤処理部109は、鍵盤11上の鍵の押鍵や離鍵に対応するためのものである。鍵の押鍵により、その鍵に対応する楽音の発音開始を指示するコマンドを生成し、鍵の離鍵により、その鍵に対応する楽音の消音を指示するコマンドを生成する。生成したコマンドはアサイナ部110に出力する。
【0025】
アサイナ部110は、シーケンサ部108、或いは鍵盤処理部109からコマンドを入力し、発音可能な楽音を発音させるための波形データを音源部111に生成させる。その波形データがDAC&アンプ回路112に入力することにより、スピーカ12から楽音が放音される。また、押鍵すべき鍵をユーザーに通知するために、その鍵に対応するLEDの点灯を行う。
【0026】
上記バーコード検出部103、映像加工部105、シーケンサ部108、鍵盤処理部109及びアサイナ部110は何れも、実際には例えばCPU、そのCPUが実行するプログラムを格納した記憶装置、及びワークに用いる記憶装置、等によって実現される。そのCPUは、そのプログラムを実行することにより、以下のような処理を行い、それら各部の機能を実現させる。図5及び図6を参照して具体的に説明する。
【0027】
図5は、バーコード検出割り込み処理のフローチャートである。その割り込み処理は、ビデオデコーダ101が1映像を出力する度に発生する割り込み信号によって起動される処理である。図5を参照して、その割り込み処理について詳細に説明する。
【0028】
先ず、ステップSA1では、ビデオデコーダ101が出力した映像の解析を行う。続くステップSA2では、その解析によりバーコードを検出したか否か判定する。その映像にバーコードが挿入されていた場合、判定はYESとなり、ステップSA3でバッファにバーコードが示す制御情報を保存し、ステップSA4でその映像上のバーコードを削除するために、別の画像を上書きにより消去する加工を行ってビデオエンコーダ106に出力した後、この割り込み処理を終了する。そうでない場合には、つまり映像加工を行う必要がない場合には、判定はNOとなり、ここで割り込み処理を終了する。
【0029】
図6は、シーケンサ用タイマー割り込み処理のフローチャートである。その割り込み処理は、例えばCPUが搭載のタイマーが時間情報の最小時間分解能に相当する時間間隔で発生させる割り込み信号によって起動される、曲データ再生用の処理である。次に図6を参照して、その割り込み処理について詳細に説明する。
【0030】
先ず、ステップSB1では、上記バッファにバーコードの制御情報があるか否か判定する。直前に実行されたバーコード検出割り込み処理により、バッファにコマンド(制御情報)が保存された場合、判定はYESとなってステップSB2に移行し、そうでない場合には、判定はNOとなってステップSB7に移行する。
【0031】
ステップSB2では、コマンドの種類を判定する。そのコマンドがStartコマンドであった場合、その旨が判定されてステップSB3に移行し、ROM107に格納されている曲データの再生を開始するための曲開始処理を実行する。その後はステップSB7に移行する。曲開始処理を実行することにより、後述する変数Δtは初期化されて0が代入される。
【0032】
バッファに保存されたコマンドがStopコマンドであった場合には、その旨が判定されてステップSB4に移行し、曲データの再生を終了するための曲終了処理を実行する。その実行後はステップSB7に移行する。
【0033】
バッファに保存されたコマンドが時間情報であった場合には、その旨が判定されてステップSB5に移行し、その時間情報を変数ATに代入する。続くステップSB6では、変数Δtに0を代入する。その代入後はステップSB7に移行する。変数AT及びΔtは、時間情報に合わせた形の曲データの同期再生を実現させるために用意したものである。
【0034】
ステップSB7では、バッファ内をクリアし、曲データの再生中か否か判定する。その再生中の場合、判定はYESとなってステップSB8に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなり、ここでこの割り込み処理を終了する。
【0035】
ステップSB8では、変数Δtの値をインクリメントし、変数Tの値をデクリメントする。その後に移行するステップSB9では、変数Tの値が0以下か否か判定する。次のイベントデータを処理すべきタイミングとなると、変数Tの値は0以下となる。このことから、そのタイミングとなった場合、判定はYESとなってステップSB10に移行し、そうでない場合には、判定はNOとなってステップSB13に移行する。
【0036】
ステップSB10では、次に処理すべきイベントデータの処理を行う。続くステップSB11では、変数Tにその次のイベントデータに付加された時間情報をROM107から読み出して代入する。その後に移行するステップSB12では、変数Tに、それまでの値から変数ATと変数Δtの各値の加算値を減算して得られる値(=T−(AT+Δt))、つまり先に代入した時間情報が示すタイミングとなるまでの時間を示す値を代入する。それにより、リアルタイムに同期再生を実現させる。ステップSB13にはその代入後に移行する。
【0037】
時間情報は、或る程度の頻度で画像に挿入される。その時間情報が所定時間、バッファに保存されないということは、ビデオ信号入力自体がない可能性がある。このことからステップSB13では、時間情報が所定時間以上、バッファに保存されていないか否か判定する。最後に保存されてからその所定時間以上、経過していた場合、判定はYESとなり、ステップSB14で曲終了処理を実行した後、この割り込み処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなり、ここでこの割り込み処理を終了する。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、画像中に挿入されたバーコードが示す時間情報に完全に合わせる形で曲データの同期再生を行うようにしている。そのような同期再生では、時間情報を示すバーコードの挿入間隔と、その間に曲データの再生側で計時する時間のズレが曲データの再生に直接的に影響する。そのズレは、その挿入間隔が比較的に長い時間であれば、比較的に大きなものとなる可能性がある。比較的に大きなズレは、楽音間の発音間隔を不自然と感じさせるように変化させる可能性がある。このようなことから第2の実施の形態は、そのような再生上の不具合を回避するようにしたものである。
【0038】
第2の実施の形態による再生装置は電子楽器に搭載されたものであり、その電子楽器の構成は、上記第1の実施の形態のそれと基本的に同じである。動作も大部分は基本的に同じである。このようなことから、上記第1の実施の形態で付した符号をそのまま用いて、その第1の実施の形態から異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0039】
第2の実施の形態では、上記ズレを監視し、その大きさ(ズレには正負が存在するので、ここでは絶対値のことである)が許容範囲外となった場合に、曲データの再生管理用に計時した時間を時間情報が示す時間に近づけるように修正するようにしている。それにより、曲データの再生管理用に計時している時間を急激、且つ比較的に大きく変化させる修正を行わないようにして、不自然と感じさせるような曲データの再生を確実に回避している。
【0040】
この第2の実施の形態では、図2に示すシーケンサ部108の同期処理部108aにおいて、上記のような時間管理を行い、そのシーケンサ部108は、その時間管理により補正される処理タイミングで曲データ中のイベントデータを処理する。それにより、常に不自然と感じさせないような曲データの再生(同期再生)を実現させる。
【0041】
そのような曲データの再生を行うために、CPUが実行する処理としては、図6に示すシーケンサ用タイマー割り込み処理が第1の実施の形態から一部、異なっている。このことから、図7及び図8を参照して、第2の実施の形態におけるその割り込み処理について詳細に説明する。その割り込み処理も第1の実施の形態と同じく、CPUがプログラムを実行することで実現される。
【0042】
図7及び図8において、第1の実施の形態と同じ、或いは基本的に同じ内容の処理ステップには、第1の実施の形態(図6)と同じ符号を付している。ここでは、第1の実施の形態になる符号を付した処理ステップに着目する形で説明を行う。
【0043】
第2の実施の形態では、再生管理用の時間の計時は変数Tを用いて行っている。その変数Tの初期化、つまり0の代入は、ステップSB3の曲開始処理の実行時に行われ、その実行後はステップSC1でバッファ内をクリアしてから、ステップSB7に移行する。ステップSB4の曲終了処理、或いはステップSB5の処理を実行した場合には、その実行後はステップSC1に移行する。
【0044】
ステップSB7でYESと判定した場合、次にステップSC2に移行して、再生管理用の変数Tの値をインクリメントする。次に移行するステップSC3では、バーコードの時間情報があるか否か判定する。ステップSC1でクリアする前のバッファにバーコードが示す時間情報が保存されていた場合、判定はYESとなってステップSC4に移行する。その場合、ステップSB5が実行され、その時間情報は変数ATに代入される。そうでない場合には、判定はNOとなってステップSB13に移行する。第2の実施の形態では、そのステップSB13でのNOの判定により図8のステップSC8に移行する。
【0045】
ステップSC4では、変数T及びATの各値が示す時間を比較し、それらの間の時間差(ズレ)を算出する。続くステップSC5では、その時間差が許容範囲外か否か判定する。その時間差が許容範囲内であった場合、判定はNOとなり、ステップSC6で変数ATの値をクリア、つまり0を代入してから、図8のステップSC8に移行する。そうでない場合には、判定はYESとなり、ステップSC7で変数Tの値を所定時間分、変数ATの値に近づける、つまり値がT>ATの関係であれば変数Tの値をより小さく、そのT<ATの関係であれば変数Tの値をより大きくする変更を行ってから、そのステップSC8に移行する。
【0046】
上記許容範囲とは、隣接する楽音の発音開始間隔として通常、存在しない時間間隔を想定して定めたものであり、具体的には例えば±64分音符に相当する時間の範囲である。所定時間分とは、例えばその更に1/2(128分音符)に相当する時間である。その許容範囲や所定時間は、予め固定的に設定しても良いが、その設定用の情報を曲データ毎に用意するか、或いは曲データを解析することにより、自動的に設定するようにしても良い。所定時間については、例えば次のイベントデータを処理すべきタイミングとなるまでの時間を考慮して、そのイベントデータと直前のイベントデータの処理間隔が大きく変化しないように随時、設定するようにしても良い。そのような許容範囲や所定時間を設定することにより、不自然と感じさせるような曲データの再生を回避することができる。
【0047】
図8のステップSC8では、変数Tの値が示す時間(絶対時間)が、次のイベントデータに付加された時間情報(イベント時間)が示す時間と一致するか否か判定する。例えば変数Tが示す時間がその時間情報が示す時間以上となっていた場合、判定はYESとなり、ステップSC9で次のイベントデータの処理を行い、更にステップSC10でその次のイベントデータに付加された時間情報(イベント時間)をROM107から読み出した後、この割り込み処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなり、次のイベントデータを処理すべきタイミングが来ていないとして、ここでこの割り込み処理を終了する。ステップSC8で変数Tの値と比較される時間情報(イベント時間)は、ステップSC10で読み出されたものである。
【0048】
なお、本実施の形態(第1及び第2の実施の形態)では、マスター(図1のシステム構成ではDVDプレーヤ20が相当)から入力した映像を別の表示装置であるTV30に表示させているが、これは任意の表示装置を映像表示用に利用できるようにするためである。しかし、そのような表示は行わなくとも良い。つまり、マスターが表示させる映像を楽しむようにしても良い。また、マスター側が再生するコンテンツは、画像コンテンツ以外のものであっても良い。しかし、スレーブ側の負荷を軽減するためには、スレーブ側より負荷が重いコンテンツをマスター側で再生させることが望ましい。
【0049】
上述したような再生装置を実現させるようなプログラムは、CD−ROM、DVD、或いは着脱自在なフラッシュメモリ等の記録媒体に記録させて配布しても良い。公衆網等の通信ネットワークを介して、そのプログラムの一部、若しくは全部を配信するようにしても良い。そのようにした場合には、ユーザーはプログラムを取得して、再生装置として用いることが可能なコンピュータにロードすることにより、そのコンピュータに本発明を適用させることができる。このことから、記録媒体は、プログラムを配信する装置がアクセスできるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】コンテンツ再生用に構築されたシステム構成を示す図である。
【図2】本実施の形態による再生装置を搭載した電子楽器の構成図である。
【図3】制御情報が挿入された画像例を示す図である。
【図4】制御情報が挿入された画像の加工例を示す図である。
【図5】バーコード検出割り込み処理のフローチャートである。
【図6】シーケンサ用タイマー割り込み処理のフローチャートである。
【図7】シーケンサ用タイマー割り込み処理のフローチャートである(第2の実施の形態)。
【図8】シーケンサ用タイマー割り込み処理のフローチャートである(第2の実施の形態:続き)。
【符号の説明】
【0051】
10 電子楽器
20 DVDプレーヤ
30 テレビジョン
101 ビデオデコーダ
102 映像バッファ
103 バーコード検出部
104 映像データベース
105 映像加工部
106 ビデオエンコーダ
107 ROM
108 シーケンサ部
110 アサイナ部
111 音源部
112 DAC&アンプ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の再生装置による画像コンテンツの再生に合わせて、第2の再生装置による該画像コンテンツとは異なる種類の他のコンテンツの再生を行わせるための方法であって、
前記画像コンテンツの再生によって再現される画像中に、認識可能な前記他のコンテンツの再生に係わる制御情報を挿入し、
前記第1の再生装置による前記画像コンテンツの再生によって再現される画像を前記第2の再生装置に入力させ、
前記画像の入力により前記第2の再生装置に該画像中の制御情報を認識させ、その認識結果に基づいて前記他のコンテンツの再生を行わせる、
ことを特徴とするコンテンツ再生方法。
【請求項2】
画像コンテンツとは異なる種類のコンテンツを再生可能な再生装置において、
前記画像コンテンツの再生によって再現される画像を入力するための画像入力手段と、
前記画像入力手段が入力した画像中に存在する、前記コンテンツの再生に係わる制御情報を認識する情報認識手段と、
前記コンテンツを再生する再生手段と、
前記再生手段による前記コンテンツの再生を、前記情報認識手段が認識した制御情報に基づいて制御する再生制御手段と、
を具備することを特徴とする再生装置。
【請求項3】
前記画像入力手段が入力した画像を出力する画像出力手段、
を更に具備することを特徴とする請求項2記載の再生装置。
【請求項4】
前記画像入力手段が入力した画像中から前記制御情報を削除する加工を行う画像加工手段、を更に具備し、
前記画像出力手段は、前記画像加工手段が加工した画像を出力する、
ことを特徴とする請求項3記載の再生装置。
【請求項5】
画像コンテンツとは異なる種類のコンテンツを再生可能な再生装置として用いることが可能なコンピュータに、
前記画像コンテンツの再生によって再現される画像を入力するための画像入力機能と、
前記画像入力機能により入力した画像中に存在する、前記コンテンツの再生に係わる制御情報を認識する情報認識機能と、
前記コンテンツを再生する再生機能と、
前記再生機能による前記コンテンツの再生を、前記情報認識機能により認識した制御情報に基づいて制御する再生制御機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−281792(P2008−281792A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126132(P2007−126132)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】