説明

コンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法及びコンテンツ伝送システム

【課題】この発明は、受信側機器に対してコピー制限の必要なコンテンツとコピー制限の不要なコンテンツとを適応的に出力可能とし、ユーザにとっての利便性を高め実用に適するようにしたコンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法及びコンテンツ伝送システムを提供することを目的としている。
【解決手段】送信側機器(11)に受信側機器(12)が電源投入状態であるか否かを検出させ、受信側機器(12)が電源投入状態であるとき、送信側機器(11)に受信側機器(12)との認証処理を行なわせ、認証が失敗したとき送信側機器(11)から受信側機器(12)にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信側の機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するコンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法及びコンテンツ伝送システムを改良したものに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、デジタル化された映像データを伝送するための規格として、DVI(digital visual interface)規格が普及している。そして、近年では、このDVI規格をさらに改良したデジタル信号伝送規格として、HDMI(high definition multimedia interface)規格が採用されるようになってきている。
【0003】
このHDMI規格には、例えば、デジタル映像データのブランキング期間にデジタル音声データを多重化して音声伝送を行なうことが可能であること、デジタル映像データをRGB信号の形態で伝送する他に、YCbCr信号の形態またはそれより高画質なYPbPr信号の形態で伝送することが可能であること、USB(universal serial bus)ライクの小型のHDMIコネクタで接続することが可能であること等々、DVI規格にない種々の規定が盛り込まれている。
【0004】
ところで、このようなDVI規格やHDMI規格等に準拠するデジタル伝送規格を用いて、コピー制限の必要なデジタル映像データやデジタル音声データ等のコンテンツを伝送する場合には、そのコンテンツが不正にコピーされることを防止して著作権の保護を図るために、HDCP(high-bandwidth digital content protection)と称されるコピーガード方式が採用されている。
【0005】
このHDCP方式では、コンテンツの送信側機器が受信側機器に対して認証処理を実行し、認証が成立した場合にコンテンツを暗号化して送信している。そして、受信側機器では、受信した暗号化コンテンツを復号化して映像表示や音声再生等を行なっている。この場合、送信側機器では、認証成立後も受信側機器に対する認証処理を一定周期で繰り返し行なうことにより、受信側機器に対してなり済ましが行なわれていないかを確認しながら暗号化コンテンツの送信を行なっている。
【0006】
一方、コピー制限の必要のないコンテンツに対しては、当然のことながら、不正コピー対策を施す必要がなく、つまり、HDCP方式における認証処理やコンテンツの暗号化等を行なう必要がなく、平文のままの映像ストリームや音声ストリームとしてコンテンツを送信することが可能である。
【0007】
また、市場では、HDCP方式に対応していない、例えばグラフィックボードやモニタ等の受信側機器も数多く出回っている。このため、HDCP方式に対応した送信側機器としては、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されることを想定する必要がある。つまり、HDCP方式対応の送信側機器は、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続された場合、認証処理を実行しても認証に失敗するので、認証に失敗した場合には、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されていると判断して、コピーガードの不要なコンテンツについては送信可能にすることが望ましいとされる。
【0008】
しかしながら、HDCP方式対応の送信側機器が認証処理に失敗する原因としては、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されている場合だけでなく、HDCP方式対応の受信側機器が接続されている場合であっても、例えば、その電源がオフになっている等、受信側機器が認証処理の可能な状態になっていないにも関わらず、HDCP方式対応の送信側機器が認証処理を実行してしまうという場合が考えられる。
【0009】
このような場合があることを想定すると、HDCP方式対応の送信側機器は、認証に失敗したとしても、接続されている受信側機器がいつ認証処理の可能な状態になっても良いように、継続的に認証処理を試み続ける必要が生じる。つまり、HDCP方式対応の受信側機器が接続されている場合であっても認証に失敗することがある以上、HDCP方式対応の送信側機器は、認証に失敗したからといって、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されていると判断し、コピー制限の不要なコンテンツに限って送信可能とするように切り替えることはできず、ユーザにとっての利便性が低下している。
【0010】
特許文献1には、テレビジョン受信装置の切換制御部が、切換スイッチの内部接続をデジタル入力端子側に切り換え、そこにDVIケーブルが接続されているか否かを判断し、DVIケーブルが接続されている場合にはHDCP認証を開始し、HDCP認証に失敗した場合には、切換スイッチの内部接続を、コンポジット信号またはコンポーネント信号の入力端子であるアナログ入力端子側に切り換えるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−050170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、受信側機器に対してコピー制限の必要なコンテンツとコピー制限の不要なコンテンツとを適応的に出力可能とし、ユーザにとっての利便性を高め実用に適するようにしたコンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法及びコンテンツ伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るコンテンツ送信装置は、受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するものを対象としている。そして、受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出する検出手段と、検出手段により受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、受信側機器に対して認証処理を行なう認証手段と、認証手段による認証が失敗したとき受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信する送信手段とを備えるようにしたものである。
【0014】
また、この発明に係るコンテンツ送信方法は、受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信する方法を対象としている。そして、受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出する工程と、受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、受信側機器に対して認証処理を行なう工程と、認証が失敗したとき受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信する工程とを有するようにしたものである。
【0015】
さらに、この発明に係るコンテンツ伝送システムは、送信側機器が受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するシステムを対象としている。そして、送信側機器に、受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出させる検出手段と、検出手段により受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、送信側機器に、受信側機器との認証処理を行なわせる認証手段と、認証手段による認証が失敗したとき、送信側機器に、受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信させる送信手段とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
上記した発明によれば、受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、送信側機器に受信側機器との認証処理を行なわせ、認証が失敗したとき送信側機器から受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信させるようにしたので、受信側機器に対してコピー制限の必要なコンテンツとコピー制限の不要なコンテンツとを適応的に出力可能とし、ユーザにとっての利便性を高め実用に適するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、コンテンツ伝送システムの概略を説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態におけるコンテンツ伝送システムを構成する光ディスク記録再生装置の信号処理系を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるコンテンツ伝送システムを構成するテレビジョン放送受信装置の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同実施の形態におけるコンテンツ伝送システムを構成するテレビジョン放送受信装置の他の例を説明するために示すブロック構成図。
【図5】同実施の形態における光ディスク記録再生装置が行なう主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図6】同実施の形態における光ディスク記録再生装置が行なう主要な処理動作の他の一部を説明するために示すフローチャート。
【図7】同実施の形態における光ディスク記録再生装置が行なう主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するコンテンツ伝送システムの概略を示している。このコンテンツ伝送システムは、コンテンツ送信側機器としての光ディスク記録再生装置11と、コンテンツ受信側機器としてのテレビジョン放送受信装置12とを、HDMI規格に準拠したデジタルインターフェース方式で接続したものである。
【0019】
図1では、光ディスク記録再生装置11とテレビジョン放送受信装置12とを、HDCP方式に対応した伝送ケーブル13で接続した状態を示している。このうち、光ディスク記録再生装置11は、例えばDVD(digital versatile disk)等の光ディスクに対して、映像や音声等のデジタル化されたコンテンツを記録再生するものである。
【0020】
また、テレビジョン放送受信装置12は、デジタルやアナログのテレビジョン放送を受信し、その番組コンテンツの映像表示や音声再生を行なうものである。さらに、このテレビジョン放送受信装置12は、光ディスク記録再生装置11から供給されたコンテンツの映像表示や音声再生も行なうことができる。
【0021】
そして、上記HDCP方式に対応した伝送ケーブル13は、+5Vパワーライン13aと、HPD(hot plug detect)ライン13bと、DDC(display data channel)ライン13cと、TMDS(transition minimized defferential signaling)ライン13dとを備えている。
【0022】
ここで、上記光ディスク記録再生装置11は、上記テレビジョン放送受信装置12にコンテンツを送信する場合、まず、伝送ケーブル13の+5Vパワーライン13aをL(low)レベルからH(high)レベルに反転して、自己の接続をテレビジョン放送受信装置12に知らせる。すると、上記テレビジョン放送受信装置12は、伝送ケーブル13のHPDライン13bをHレベルに設定して、自己の接続を上記光ディスク記録再生装置11に知らせる。
【0023】
このようにしてお互いの接続が確認されると、光ディスク記録再生装置11は、DDCライン13cを介して、テレビジョン放送受信装置12からその属性情報であるEDID(extended display identification data)を取得し、テレビジョン放送受信装置12が表示可能な解像度や色空間等に関する各種の情報を得る。
【0024】
その後、光ディスク記録再生装置11は、DDCライン13cを介してテレビジョン放送受信装置12とHDCP方式における鍵交換を行なうことにより、テレビジョン放送受信装置12に対する認証処理を実行する。そして、認証が成立した場合、光ディスク記録再生装置11は、テレビジョン放送受信装置12に送信すべきコンテンツを暗号化し、その暗号化コンテンツをテレビジョン放送受信装置12にTMDSライン13dを介して送信する。
【0025】
これにより、テレビジョン放送受信装置12では、光ディスク記録再生装置11から供給された暗号化コンテンツを復号化し、その映像表示や音声再生を実行する。以後、光ディスク記録再生装置11では、テレビジョン放送受信装置12に対する認証処理を一定周期で繰り返し行ない、テレビジョン放送受信装置12に対してなり済ましが行なわれていないかを確認しながら暗号化コンテンツの送信を行なっている。
【0026】
図2は、上記した光ディスク記録再生装置11の主要な信号処理系を示している。すなわち、BS(broadcasting satellite)/CS(communication satellite)デジタル放送受信用のアンテナ14で受信した衛星デジタル放送信号は、入力端子15を介して衛星デジタル放送用のチューナ部16に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0027】
そして、このチューナ部16で選局された放送信号は、PSK(phase shift keying)復調部17に供給されてTS(transport stream)が復調される。このTSは、TS処理部18に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号等に復号化された後、信号処理部19に出力される。
【0028】
また、地上波放送受信用のアンテナ20で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子21を介して地上デジタル放送用のチューナ部22に供給されることによって、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0029】
そして、このチューナ部22で選局された放送信号は、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)復調部23に供給されてTSが復調される。このTSは、上記TS処理部18に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号に復号化された後、上記信号処理部19に出力される。
【0030】
また、上記地上波放送受信用のアンテナ20で受信した地上アナログテレビジョン放送信号は、入力端子21を介して地上アナログ放送用のチューナ部24に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。そして、このチューナ部24で選局された放送信号は、アナログ復調部25に供給されてアナログの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理部19に出力される。
【0031】
ここで、上記信号処理部19は、TS処理部18から供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部26及び音声処理部27に出力している。また、この信号処理部19は、上記アナログ復調部25から供給されたアナログの映像信号及び音声信号をデジタル化し、そのデジタル化された映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施した後、グラフィック処理部26及び音声処理部27に出力している。
【0032】
このうち、グラフィック処理部26は、信号処理部19から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号生成部28で生成されるOSD信号を重畳して出力する機能を有する。また、このグラフィック処理部26は、信号処理部19から出力される映像信号と、OSD信号生成部28から出力されるOSD信号とを選択的に出力することや、両映像信号をそれぞれ画面の半分を構成するように組み合わせて出力することができる。
【0033】
そして、グラフィック処理部26から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部29に供給される。この映像処理部29は、入力されたデジタルの映像信号を所定のフォーマットのアナログ映像信号に変換し、出力端子30を介して外部に導出可能としている。また、上記音声処理部27は、入力されたデジタルの音声信号を所定のフォーマットのアナログ音声信号に変換し、出力端子31を介して外部に導出可能としている。
【0034】
ここで、この光ディスク記録再生装置11は、上記した各種の受信動作や以下に述べる記録再生動作を含むその全ての動作を制御部32によって統括的に制御されている。この制御部32は、CPU(central processing unit)32aを内蔵しており、光ディスク記録再生装置11の本体に設置された操作部33からの操作情報、または、リモートコントローラ34から送出され受信部35で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0035】
この場合、制御部32は、メモリ部32bを利用している。このメモリ部32bは、主として、CPU32aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU32aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0036】
また、この制御部32には、ディスクドライブ部36が接続されている。このディスクドライブ部36は、例えばDVD等の光ディスク37を着脱自在とするもので、装着された光ディスク37に対してデジタルデータの記録再生を行なう機能を有している。
【0037】
そして、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、上記TS処理部18から得られるMPEG(moving picture experts group)2−TSのデジタル信号を、暗号化・復号化部38によって暗号化した後、ディスクドライブ部36に供給して光ディスク37に記録させるように制御することができる。
【0038】
さらに、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、上記アナログ復調部25から得られるアナログの映像信号及び音声信号をエンコーダ39によりMPEG2−TSに変換し、上記暗号化・復号化部38によって暗号化した後、ディスクドライブ部36に供給して光ディスク37に記録させるように制御することができる。
【0039】
また、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、ディスクドライブ部36により光ディスク37からMPEG2−TSを読み出させ、上記暗号化・復号化部38によって復号化した後、TS処理部18に供給することによって、以後、上記したアナログの映像信号や音声信号の生成に供させるように制御することができる。
【0040】
さらに、上記制御部32には、HDD(hard disk drive)40が接続されている。そして、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、上記TS処理部18から得られるMPEG(moving picture experts group)2−TSのデジタル信号を、暗号化・復号化部38によって暗号化した後、HDD40に供給してハードディスク40aに記録させるように制御することができる。
【0041】
また、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、上記アナログ復調部25から得られるアナログの映像信号及び音声信号をエンコーダ39によりMPEG2−TSに変換し、上記暗号化・復号化部38によって暗号化した後、HDD40に供給してハードディスク40aに記録させるように制御することができる。
【0042】
さらに、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、HDD40によりハードディスク40aからMPEG2−TSを読み出させ、上記暗号化・復号化部38によって復号化した後、TS処理部18に供給することによって、以後、上記したアナログの映像信号や音声信号の生成に供させるように制御することができる。
【0043】
また、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、ディスクドライブ部36により光ディスク37から読み出したデータを、HDD40によりハードディスク40aに記録させるように制御することができる。
【0044】
さらに、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づいて、HDD40によりハードディスク40aから読み出したデータを、ディスクドライブ部36により光ディスク37に記録させるように制御することができる。
【0045】
また、上記制御部32には、デジタル送受信部41が接続されている。このデジタル送受信部41は、HDCP方式に対応する、例えばHDMI規格やDVI規格等に準拠したデジタルインターフェース機能を持つもので、入出力端子42に接続された外部の受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)と制御部32との相互間でのデータ伝送を可能にしている。
【0046】
このため、上記制御部32は、操作部33またはリモートコントローラ34の操作やCPU32aが実行する制御プログラムの指示等に基づき、デジタル送受信部40及び入出力端子41を介して、HDCP方式に対応した外部の受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)との間での認証処理や、コンテンツを暗号化して受信側機器に送信する処理等を実行することができる。
【0047】
これにより、受信したテレビジョン放送番組、ディスクドライブ部36により光ディスク37から読み出したデータ、HDD40によりハードディスク40aから読み出したデータ等の各種コンテンツが、デジタル送受信部40及び入出力端子41を介して外部の受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)に伝送され、映像表示や音声再生等に供されることになる。
【0048】
図3は、HDCP方式に対応した受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)の一例を示している。このテレビジョン放送受信装置12は、送信側機器である光ディスク記録再生装置11とHDCP方式によるデータ伝送を行なうためのHDCPインターフェース43を備えている。そして、このHDCPインターフェース43は、テレビジョン放送受信装置12の電源が投入されているとき駆動状態となる。
【0049】
また、このテレビジョン放送受信装置12は、HDCP方式対応の伝送ケーブル13のうち、+5Vパワーライン13aが接続される入力端子44と、HPDライン13bが接続される出力端子45と、DDCライン13cが接続される入出力端子46と、TMDSライン13dが接続される入力端子47とを備えている。
【0050】
そして、光ディスク記録再生装置11が+5Vパワーライン13aをLレベルからHレベルに反転させると、その情報が入力端子44を介してHDCPインターフェース47に供給され、これにより、HDCPインターフェース47は、テレビジョン放送受信装置12の電源が投入されて駆動状態であれば、光ディスク記録再生装置11の接続を確認することができる。
【0051】
また、上記出力端子45は、+5Vパワーライン13aのレベルに関わらず、テレビジョン放送受信装置12の電源が投入されている状態で、所定の基準直流電圧レベル+Bが印加されてHレベルとなる電源端子48に接続されている。このため、テレビジョン放送受信装置12が電源投入状態であれば、出力端子45を介してHPDライン13bがHレベルとなり、光ディスク記録再生装置11は、テレビジョン放送受信装置12の接続を確認することができる。
【0052】
さらに、上記入出力端子46は、上記HDCPインターフェース43に接続されるとともに、テレビジョン放送受信装置12に関するEDIDの格納されたEDIDメモリ49に接続されている。また、このEDIDメモリ49も、電源端子48に接続されており、テレビジョン放送受信装置12の電源が投入されて電源端子48から所定の基準直流電圧レベル+Bが供給されているとき駆動状態となる。
【0053】
このため、光ディスク記録再生装置11は、テレビジョン放送受信装置12が電源投入状態であれば、DDCライン13c及び入出力端子46を介してEDIDメモリ49にアクセスし、テレビジョン放送受信装置12に関するEDIDを取得することができる。また、光ディスク記録再生装置11は、テレビジョン放送受信装置12が電源投入状態であれば、DDCライン13c及び入出力端子46を介してHDCPインターフェース43と鍵交換を行なって認証処理を実行することができる。
【0054】
さらに、上記入力端子47は、HDCPインターフェース43に接続されている。これにより、テレビジョン放送受信装置12の電源が投入されて駆動状態であれば、光ディスク記録再生装置11からTMDSライン13dに出力された暗号化コンテンツは、入力端子47を介してHDCPインターフェース43に供給されて復号化され、映像表示や音声再生等に供されることになる。
【0055】
図4は、HDCP方式に対応した受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)の他の例を示している。図4において、図3と同一部分には同一符号を付して説明すると、上記出力端子45及びEDIDメモリ49が、電源端子48に代えて入力端子44に接続されている。このため、テレビジョン放送受信装置12が電源投入状態であるか否かに関わらず、光ディスク記録再生装置11が+5Vパワーライン13aをLレベルからHレベルに反転させると、出力端子45を介してHPDライン13bがHレベルとなり、光ディスク記録再生装置11は、テレビジョン放送受信装置12の接続を確認することができる。
【0056】
また、光ディスク記録再生装置11が+5Vパワーライン13aをLレベルからHレベルに設定すると、EDIDメモリ49が駆動状態となる。このため、光ディスク記録再生装置11は、DDCライン13c及び入出力端子46を介してEDIDメモリ49にアクセスすることにより、EDIDを取得することができる。
【0057】
上記したように、HDCP方式に対応した受信側機器(この場合、テレビジョン放送受信装置12)には、図3に示したように、送信側機器(この場合、光ディスク記録再生装置11)による+5Vパワーライン13aのレベル設定に関わらず、電源の投入状態でHPDライン13bがHレベルになるとともに、EDIDメモリ49が駆動状態になるタイプ(以下、独立電源型と称する)と、図4に示したように、電源投入の有無に関わらず、送信側機器(この場合、光ディスク記録再生装置11)が+5Vパワーライン13aをHレベルに設定したときに、HPDライン13bがHレベルになるとともに、EDIDメモリ49が駆動状態になるタイプ(以下、連動電源型と称する)との、2種類がある。
【0058】
ところで、以上は、送信側機器から受信側機器にコピー制限の必要なコンテンツを送信する場合について説明したが、送信するコンテンツの中には、コピー制限の不要なものもある。このようなコンテンツの場合には、不正コピー対策を施す必要がなく、つまり、HDCP方式における認証処理やコンテンツの暗号化等を行なう必要がなく、平文のままの映像ストリームや音声ストリームとしてコンテンツを送信することができる。
【0059】
また、送信側機器には、そのコピーガード方式(この場合、HDCP方式)に対応していない受信側機器が接続されることがある。つまり、実際上は、HDCP方式対応の送信側機器に対して、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されることを想定する必要がある。
【0060】
そして、このような場合、送信側機器は、受信側機器との認証処理を実行しても認証に失敗するので、認証に失敗した場合には、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されていると判断して、コピー制限の不要なコンテンツについての送信を可能にすることが望ましいとされる。
【0061】
しかしながら、HDCP方式対応の送信側機器が認証処理に失敗する原因としては、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されている場合だけでなく、HDCP方式対応の受信側機器が接続されている場合であっても、例えば、その電源が投入されていない等、受信側機器が認証処理に対応可能な状態になっていないにも関わらず、HDCP方式対応の送信側機器が認証処理を実行してしまうという場合が考えられる。
【0062】
このような場合があることを考慮すると、HDCP方式対応の送信側機器は、認証に失敗したとしても、接続されている受信側機器がいつ認証処理に対応可能な状態になっても良いように、継続的に認証処理を試み続ける必要が生じる。つまり、HDCP方式対応の受信側機器が接続されている場合であっても認証に失敗することがある以上、HDCP方式対応の送信側機器は、認証に失敗したからといって、HDCP方式に非対応の受信側機器が接続されていると判断し、コピー制限の不要なコンテンツに限って送信可能とするように切り替えることはできず、ユーザにとっての利便性が低下することになる。
【0063】
そこで、この実施の形態では、HDCP方式対応の送信側機器(光ディスク記録再生装置11)が、接続されている受信側機器(テレビジョン放送受信装置12)が独立電源型でHPDライン13bがHレベルになっているか否かを判別する。そして、独立電源型でHPDライン13bがHレベルになっていると判断した場合に、認証が成立すれば暗号化コンテンツを送信し、認証の失敗が予め設定された所定時間続いた場合には、接続されている受信側機器がHDCP方式に非対応であると判断し、コピー制限の不要なコンテンツについての送信を可能とするようにしている。
【0064】
すなわち、受信側機器が独立電源型でHPDライン13bがHレベルになっているということは、その受信側機器が電源投入状態であり、HDCPインターフェース43が駆動状態、つまり、認証処理に対応可能な状態になっていることを意味する。そして、HDCPインターフェース43が認証処理に対応可能な状態になっているにも関わらず、認証の失敗が予め設定された所定時間続くということは、接続されている受信側機器がHDCP方式に非対応であると判断することができる。このため、コピー制限の不要なコンテンツに限っての送信を可能とするように送信側機器を設定することができ、ユーザにとっての利便性を高めることが可能となる。
【0065】
図5乃至図7は、送信側機器(光ディスク記録再生装置11)の制御部32が、受信側機器(テレビジョン放送受信装置12)を判別してコピー制限の必要なコンテンツとコピー制限の不要なコンテンツとを適応的に出力する処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0066】
すなわち、処理が開始(ステップS1)されると、制御部32は、ステップS2で、HPDライン13bがHレベルになっているか否かを判別し、Hレベルであると判断された場合(YES)、ステップS3で、+5Vパワーライン13aをLレベルに設定し、ステップS4で、HPDライン13bがHレベルになったかLレベルになったかを判別する。
【0067】
そして、上記ステップS4でHPDライン13bがHレベルであると判断された場合、+5Vパワーライン13aがLレベルであるのにHPDライン13bがHレベルであることから、制御部32は、ステップS5で、接続されているテレビジョン放送受信装置12が独立電源型であると判断し、ステップS6で、+5Vパワーライン13aをHレベルに設定する。
【0068】
その後、制御部32は、ステップS7で、テレビジョン放送受信装置12からEDIDを取得するとともに、テレビジョン放送受信装置12に対してHDCP方式の認証処理を実行する。そして、制御部32は、ステップS8で、認証が成立したか否かを判別し、成立したと判断された場合(YES)、ステップS9で、コンテンツを暗号化してテレビジョン放送受信装置12に送信し、処理を終了(ステップS18)する。
【0069】
また、上記ステップS8で認証が成立しないと判断された場合(NO)、制御部32は、ステップS10で、予め設定された所定時間が経過したか否かを判別し、経過していないと判断された場合(NO)、ステップS7の処理に戻される。
【0070】
さらに、上記ステップS10で所定時間が経過したと判断された場合(YES)、制御部32は、ステップS11で、送信すべきコンテンツがコピー制限の必要なコンテンツであるか否かを判別し、コピー制限の必要なコンテンツであると判断された場合(YES)、ステップS7の処理に戻される。
【0071】
また、上記ステップS11で送信すべきコンテンツがコピー制限の必要なコンテンツでないと判断された場合(NO)、制御部32は、ステップS12で、コンテンツを暗号化せずにテレビジョン放送受信装置12に送信して、処理を終了(ステップS18)する。
【0072】
一方、上記ステップS4でHPDライン13bがLレベルであると判断された場合、+5Vパワーライン13aをLレベルに設定したときHPDライン13bがLレベルに変わったことから、制御部32は、ステップS13で、接続されているテレビジョン放送受信装置12が連動電源型であると判断し、ステップS14で、+5Vパワーライン13aをHレベルに設定する。
【0073】
その後、制御部32は、ステップS15で、テレビジョン放送受信装置12からEDIDを取得するとともに、テレビジョン放送受信装置12に対してHDCP方式の認証処理を実行する。そして、制御部32は、ステップS16で、認証が成立したか否かを判別する。
【0074】
そして、上記ステップS16で認証が成立しないと判断された場合(NO)、制御部32は、ステップS15の処理に戻され、認証が成立したと判断された場合(YES)、ステップS17で、コンテンツを暗号化してテレビジョン放送受信装置12に送信し、処理を終了(ステップS18)する。
【0075】
上記した実施の形態によれば、光ディスク記録再生装置11が+5Vパワーライン13aのレベルを変えたとき、そのレベル変更に追従してHPDライン13bのレベルが変動するか否かにより、テレビジョン放送受信装置12が連動電源型か独立電源型かを判別する。このようにして独立電源型であると判断され、かつ、HPDライン13bがHレベルになっていることにより、テレビジョン放送受信装置12が電源投入状態であって、そのHDCPインターフェース43が認証処理に対応可能な状態になっていると判断する。
【0076】
そして、HDCPインターフェース43が認証処理に対応可能な状態になっていると判断されたテレビジョン放送受信装置12に対しては、認証の失敗が予め設定された所定時間続いた場合に、HDCP方式に非対応であると判断し、コピー制限の不要なコンテンツに限っての送信を可能とすることにより、認証処理が不要に継続されることを防止して、ユーザにとっての利便性を高めることが可能となる。
【0077】
また、上記した実施の形態では、送信側機器として光ディスク記録再生装置11を示したが、これに限らず、受信側機器との認証を行なった上で映像や音声等を含むデジタル化されたコンテンツを暗号化して送信可能とする機能を備えた機器を、広く対象とすることができる。
【0078】
さらに、上記した実施の形態では、受信側機器としてテレビジョン放送受信装置12を示したが、これに限らず、送信側機器の備えるコピーガード方式に対応した復号化手段を備えた機器や、送信側機器の備えるコピーガード方式に非対応の機器等を、広く対象とすることができる。
【0079】
また、上記した実施の形態では、コピーガード方式としてHDCP方式を用いることについて説明したが、これに限らず、受信側機器が電源投入状態であるか否か、つまり、認証処理に対応可能な状態になっているか否かを、送信側機器で判別することができる方式であれば、広く対象とすることができる。
【0080】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0081】
11…光ディスク記録再生装置、12…テレビジョン放送受信装置、13…伝送ケーブル、13a…+5Vパワーライン、13b…HPDライン、13c…DDCライン、13d…TMDSライン、14…アンテナ、15…入力端子、16…チューナ部、17…PSK復調部、18…TS処理部、19…信号処理部、20…アンテナ、21…入力端子、22…チューナ部、23…OFDM復調部、24…チューナ部、25…アナログ復調部、26…グラフィック処理部、27…音声処理部、28…OSD信号生成部、29…映像処理部、30,31…出力端子、32…制御部、32a…CPU、32b…メモリ部、33…操作部、34…リモートコントローラ、35…受信部、36…ディスクドライブ部、37…光ディスク、38…暗号化・復号化部、39…エンコーダ、40…HDD、40a…ハードディスク、41…デジタル送受信部、42…入出力端子、43…HDCPインターフェース、44…入力端子、45…出力端子、46…入出力端子、47…入力端子、48…電源端子、49…EDIDメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するコンテンツ送信装置であって、
前記受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、前記受信側機器に対して認証処理を行なう認証手段と、
前記認証手段による認証が失敗したとき前記受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信する送信手段とを具備することを特徴とするコンテンツ送信装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記認証手段で認証が成立したとき前記受信側機器にコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ送信装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記認証手段による認証が所定時間継続して失敗したとき、前記受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ送信装置。
【請求項4】
前記認証手段は、前記検出手段により前記受信側機器が電源投入状態でないことが検出されたとき、前記受信側機器に対して認証が成立するまで認証処理を継続して行なうことを特徴とする請求項1記載のコンテンツ送信装置。
【請求項5】
前記受信側機器とHDCP方式に基づく認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するコンテンツ送信装置であって、
前記検出手段は、前記HDCP方式における+5Vパワーラインのレベルを反転させたとき、当該HPDラインのレベルが変更されない状態で、かつ、前記HPDラインのレベルが前記受信側機器の電源投入状態に対応しているとき、前記受信側機器が電源投入状態であると判断することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ送信装置。
【請求項6】
受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するコンテンツ送信方法であって、
前記受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出する工程と、
前記受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、前記受信側機器に対して認証処理を行なう工程と、
認証が失敗したとき前記受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信する工程とを有することを特徴とするコンテンツ送信方法。
【請求項7】
送信側機器が受信側機器と認証が成立した上でコピー制限の必要なコンテンツを暗号化して送信するコンテンツ伝送システムであって、
前記送信側機器に、前記受信側機器が電源投入状態であるか否かを検出させる検出手段と、
前記検出手段により前記受信側機器が電源投入状態であることが検出されたとき、前記送信側機器に、前記受信側機器との認証処理を行なわせる認証手段と、
前記認証手段による認証が失敗したとき、前記送信側機器に、前記受信側機器にコピー制限の不要なコンテンツを暗号化せずに送信させる送信手段とを具備することを特徴とするコンテンツ伝送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−119793(P2011−119793A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272688(P2009−272688)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】