説明

コンテンツ送信装置およびダビング制御方法

【課題】ダビング中に鍵破棄が発生するのを防止する。
【解決手段】本実施形態のコンテンツ送信装置は、暗号化手段と、検出手段と、保持手段と、送信手段とを有する。暗号化手段は、送受信装置間で共有され且つ時間制限により破棄条件が設定される鍵を用いて、記憶手段に記憶されているコンテンツを暗号化する。検出手段は、特定の処理負荷が発生することを検出する。保持手段は、前記暗号化手段で暗号化されたコンテンツを受信装置に送信するダビング処理中に前記検出手段により前記特定の処理負荷が発生することが検出された場合、前記特定の処理負荷が開始される前に、前記ダビング処理中で前記受信装置に送信していないコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して一時記憶手段に保持させる。送信手段は、前記保持手段により保持されたコンテンツを、前記特定の処理負荷の実行中に、前記破棄条件により前記鍵が破棄されない所定の送信条件に従って送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテンツ送信装置およびダビング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して接続される機器間で、動画や音楽などの著作権保護対象のコンテンツをダビング(ムーブまたはコピー)するダビングシステムにおいては、DTCP−IP(Digital Transmission Content Protection Over IP)という著作権保護技術を利用するのが一般的である。
【0003】
前記ダビングシステムでは、AKE(Authentication And Key Exchange)という手順により、送受信装置間で、暗号化および復号化で使用する鍵を共有する。鍵にはDTCP−IPの規格で定義された破棄条件があり、送信装置は、2時間暗号化されたコンテンツをPCP(Protected Content Packet)形式で送信しなかった場合に、受信装置は、2時間復号のために鍵を使用しなかった場合に鍵を破棄する。送信装置は、鍵を用いてコンテンツを暗号化し、該暗号化したコンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する。一方、受信装置は、鍵を用いて、ネットワークを介して受信した暗号化されたコンテンツを復号化し、所定の記憶部に記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−60451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のダビングシステムでは、送受信装置間でダビングを行っている最中に、少なくとも何れか一方の装置で、ダビングに必要なリソースを占有するような高負荷処理が発生してダビング中断せざるを得なくなり、時間経過に伴い鍵の破棄条件を満たした場合、鍵破棄が発生し、ダビング失敗するという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、高負荷処理中もダビングが完全には中断しないよう制御することで、ダビング中に鍵破棄が発生するのを防止し、ダビングの失敗を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のコンテンツ送信装置は、暗号化手段と、検出手段と、保持手段と、送信手段とを有する。暗号化手段は、送受信装置間で共有され且つ時間制限により破棄条件が設定される鍵を用いて、記憶手段に記憶されているコンテンツを暗号化する。検出手段は、特定の処理負荷が発生することを検出する。保持手段は、前記暗号化手段で暗号化されたコンテンツを受信装置に送信するダビング処理中に前記検出手段により前記特定の処理負荷が発生することが検出された場合、前記特定の処理負荷が開始される前に、前記受信装置に送信していない前記ダビング処理中のコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して一時記憶手段に保持させる。送信手段は、前記保持手段により保持されたコンテンツを、前記特定の処理負荷の実行中に、前記破棄条件により前記鍵が破棄されない所定の送信条件に従って送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係るダビングシステムの概略的な構成および各装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、コンテンツ送信装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ダビングシステムにおけるコンテンツ送信装置とコンテンツ受信装置との間の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図4】図4は、コンテンツ送信装置におけるダビング処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態のコンテンツ送信装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、第2の実施形態のコンテンツ送信装置におけるダビング処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るダビングシステム1の概略的な構成および各装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、このダビングシステム1は、コンテンツ送信装置2と、コンテンツ受信装置3とを備え、それらが通信ネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】
コンテンツ送信装置2は、ネットワーク4を介して接続されるコンテンツ受信装置3にダビングするコンテンツを保持しており、ダビング時に、その保持しているコンテンツを送受信装置間で共有される鍵を用いて暗号化し、その暗号化したコンテンツを送信する送信装置である。なお、本実施形態のコンテンツ送信装置2は、テレビジョン受像装置を適用した場合を示している。
【0013】
コンテンツ受信装置3は、ネットワーク4を介して接続されるコンテンツ送信装置2から暗号化されたコンテンツを受信し、該受信したコンテンツを前記鍵を用いて復号化してダビングする受信装置である。なお、本実施形態のコンテンツ受信装置3は、HDD(Hard Disk Drive)レコーダなどの録画装置を適用した場合を示している。
【0014】
ネットワーク4は、有線または無線のLAN(Local Area Network)や、ルータなどで構成されるネットワークである。
【0015】
次に、各装置2、3のハードウェア構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、コンテンツ送信装置2は、チューナ5と、信号処理部6と、表示装置7と、スピーカ8と、制御部9と、操作部10と、リモコン信号受信部11と、暗号器12と、記憶部(HDD)13と、バッファ14と、通信I/F部15と、電力供給部16などを有している。
【0017】
チューナ5は、放送局からアンテナを介してコンテンツを受信し、記憶部13や制御部9に出力するものである。
【0018】
信号処理部6は、チューナ5や記憶部13を介して入力したコンテンツを映像信号と音声信号とに変換するセレクタ(不図示)や、映像信号に対して所定の画像処理を行って出力画像を作成して表示装置7に出力する画像処理部(不図示)や、音声信号に対して所定の処理を行ってスピーカ8に出力する音声処理部(不図示)などを有している。
【0019】
表示装置7は、映像を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイなどで構成される。スピーカ8は、音声を出力するものである。
【0020】
制御部9は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを有しており、このコンテンツ送信装置2の全体を統括的に制御する。
【0021】
操作部10は、電源スイッチなどの各種スイッチを有し、ユーザの操作を受付けるものである。リモコン信号受信部11は、リモコン(不図示)からの操作信号を受信するものである。
【0022】
暗号器12は、コンテンツを暗号化するものである。
【0023】
記憶部(HDD)13は、チューナ5を介して受信したコンテンツを記憶するものである。
【0024】
バッファ14は、暗号器12で暗号化されたコンテンツ(以下、「暗号化コンテンツ」という場合がある。)を一時的に記憶するものである。
【0025】
通信I/F部15は、ネットワーク4を介して接続されるコンテンツ受信装置3との間で各種データの送受信を行うものである。
【0026】
電力供給部16は、商用電源などの電源から各負荷部に必要な電力を供給するものである。
【0027】
また、図1に示すように、コンテンツ受信装置3は、通信I/F部31と、制御部32と、記憶部33などを有している。
【0028】
通信I/F部31は、ネットワーク4を介して接続されるコンテンツ送信装置2との間で各種データの送受信を行うものである。
【0029】
制御部32は、不図示のCPU、ROM、RAMなどを有し、このコンテンツ受信装置3の全体を統括的に制御するものである。
【0030】
記憶部(HDD)33は、通信I/F部31などを介して受信したコンテンツを記憶するものである。
【0031】
図2は、コンテンツ送信装置2の機能的構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、コンテンツ送信装置2は、ユーザ操作制御部21と、表示制御部22と、音声制御部23と、録画制御部24と、ダビング制御部25と、リソース使用抑制指示部26などを有している。
【0033】
ユーザ操作制御部21は、操作部10やリモコン信号受信部11から入力した操作信号に基づいてユーザ操作を受付けるものである。
【0034】
表示制御部22は、表示装置7を用いて各種画面(チューナ5を介して受信したコンテンツの映像を表示画面や、録画済コンテンツのリスト閲覧画面など)の表示を制御するものである。
【0035】
音声制御部23は、表示制御部22により表示装置7に表示される画面に同期して、スピーカ8を用いて各種音声を出力制御するものである。
【0036】
録画制御部24は、チューナ5を介して受信したコンテンツを記憶部13に記憶する録画制御を行うものである。
【0037】
ダビング制御部25は、記憶部13に記憶されているダビング用のコンテンツを、ネットワーク4を介して接続されるコンテンツ受信装置3に送信するダビング制御を行うものである。
【0038】
具体的には、ダビング制御部25は、リソース使用抑制指示部26から抑制指示を受けていない場合には、リソース使用量を意識せずにダビング処理を行う。一方、ダビング制御部25は、リソース使用抑制指示部26から抑制指示を受けた場合には、その後、リソース使用抑制指示部26から抑制終了の指示があるまで、リソース使用量を抑制してダビング処理を行う。
【0039】
より具体的には、ダビング制御部25は、ダビング処理中において、特定の負荷処理中以外では、通常の送信条件に従って暗号化されたコンテンツをコンテンツ受信装置3に送信する。なお、ここでいう通常の送信条件とは、コンテンツ送信装置(機器)2で処理可能な最高速度で送信する条件である。
【0040】
また、ダビング制御部25は、リソース使用抑制指示部26から抑制指示を受けた場合、特定の処理負荷が開始される前に、記憶部13に記憶されているダビング用のコンテンツを読出して、暗号器12で暗号化してバッファ14に一時記憶させる。そして、ダビング制御部25は、特定の処理負荷中に、バッファ14に記憶されている暗号化されたコンテンツを、破棄条件により鍵が破棄されない所定時間経過毎に、破棄条件により鍵が破棄されない所定分量ずつDTCP−IPの規格上の最低速度でコンテンツ受信装置3に送信する。
【0041】
なお、ここでいう破棄条件とは、DTCP−IPの規格で定義される破棄条件であり、送信装置が、2時間暗号化されたコンテンツをPCP(Protected Content Packet)形式で送信しなかった場合に鍵を破棄する条件(1)や、受信装置が、2時間復号のために鍵を使用しなかった場合に鍵を破棄する条件(2)である。
【0042】
リソース使用抑制指示部26は、予約録画の開始など特定の処理負荷(高負荷)の発生により、ダビング中に、ダビング処理にリソース(暗号器12など)が割けなくなると判定した場合に、ダビング制御部25に抑制開始指示を出力し、その後、ダビング処理にリソースを割けるようになった場合に、ダビング制御部25に抑制終了指示を出力する。
【0043】
具体的には、リソース使用抑制支持部26は、ダビング制御部25のダビング処理中(即ち、コンテンツ送信装置2からコンテンツ受信装置3に暗号化されたコンテンツを送信している最中)における特定の処理負荷(高負荷)の発生を検出するものである。
【0044】
なお、ここでいう特定の処理負荷の発生とは、ダビング中に、ダビングの処理より処理の優先度の高い処理(例えば、録画処理など)により、ダビングの処理で使用するリソース(暗号器12など)が使用できなくなることである。
【0045】
なお、図2に示す機能的構成は、制御部9のCPU(不図示)がROM(不図示)に記憶されている処理プログラムを、RAM(不図示)上に展開して実行することにより実現されるものである。
【0046】
次に、前記説明した構成のダビングシステム1における各種処理動作について説明する。
【0047】
図3は、ダビングシステム1におけるコンテンツ送信装置2とコンテンツ受信装置3との間の処理の流れを示すシーケンス図であり、特に、図3の例では、ダビング処理中に、特定の処理負荷が発生した場合の処理の流れを示している。
【0048】
図3に示すように、このシーケンスでは、操作部10やリモコン信号受信部11を介してユーザによるダビング指示を受けた場合、まず、コンテンツ送信装置2とコンテンツ受信装置3との間で、ダビング初期処理を実行して(ステップS1)、ダビング処理を開始する。
【0049】
続いて、コンテンツ送信装置2からコンテンツ受信装置3に対して通常の送信条件に従って暗号化されたコンテンツを送信する(ステップS2)。具体的には、ステップS2では、コンテンツ送信装置2は、例えば、その機器で処理可能な最高速度で送信する。
【0050】
その後、コンテンツ送信装置2において、ダビング処理が中断される虞のある特定の処理負荷(高負荷)が検出されると(ステップS3)、コンテンツ送信装置2が、特定の処理負荷(高負荷)の処理が開始される前に、記憶部13に記憶されているコンテンツのうち、特定の処理負荷中に鍵破棄を発生させないよう制御するのに十分な量のコンテンツを暗号化してバッファ14に一時記憶する(ステップS4)。
【0051】
続いて、コンテンツ送信装置2では、録画処理などの特定の処理負荷(高負荷)の最中に、所定の送信条件に従ってバッファ14に記憶されている暗号化されたコンテンツをコンテンツ受信装置3に送信する(ステップS5)。具体的には、ステップS5では、コンテンツ送信装置2は、バッファ14に記憶されている暗号化されたコンテンツを、破棄条件により鍵が破棄されない所定時間経過毎に、破棄条件により鍵が破棄されない所定分量ずつ送信する(ステップS7)。
【0052】
その後、特定の処理負荷(高負荷)の実行が終了すると、コンテンツ送信装置2は、バッファ14に残っている残りの暗号化されたコンテンツを全てコンテンツ受信装置3に送信し(ステップS6)、その送信が終了した後、コンテンツ送信装置2は、記憶部13に記憶されているコンテンツのうちダビング処理で未だ送信していない未送信のコンテンツをステップS2と同様の通常の送信条件でコンテンツ受信装置3に送信する。
【0053】
その後、全てのコンテンツを送信終了した後、コンテンツ送信装置2とコンテンツ受信装置3との間で、ダビング終了処理を実行し(ステップS8)、ダビング処理が終了される。
【0054】
図4は、コンテンツ送信装置2におけるダビング処理の処理手順を示すフローチャートであり、特に、図3に示すコンテンツ送信装置2の処理ステップS3〜S5の詳細を示すものである。
【0055】
図4に示すように、コンテンツ送信装置2では、操作部10やリモコン信号受信部11を介してユーザによるダビング指示を受けると、ダビング制御部25が、ダビング初期処理を実行する(ステップS11)。具体的には、このステップS11の処理では、ダビング制御部25が、ダビング開始手続き処理や、AKEによる送受信装置間での鍵の共有処理などを実行する。
【0056】
続いて、ダビング制御部25は、ダビング処理中に、リソース使用抑制指示部26からの抑制開始指示を受取らなければ、記憶部13に記憶され、今回のダビングで指定されたコンテンツ(例えば、1または複数の動画ファイルのコンテンツなど)の全てを送信するまで、ステップS12〜ステップS15の処理を繰り返し実行する。
【0057】
具体的には、ステップS12では、リソース使用抑制指示部26が、コンテンツ送信装置2の負荷状態を監視し、その監視の結果、ダビング処理中に、ダビング処理にリソースを割けなくなるような特定の処理負荷が発生するか否かを監視しており、その監視の結果、特定の処理負荷が発生しておらず、ダビング制御部25が、抑制開始指示を受けない場合には(ステップS12:No)、続く、ステップS13において、ダビング制御部25は、通常の送信条件(最高速度での送信)に従って通常時送信サイズ分(バッファ14のサイズで通常1Mbyte程度)のコンテンツを記憶部13から読み出す。その後、ステップS14において、ダビング制御部25は、暗号器12を用いてステップS13で読み出したコンテンツを暗号化する。
【0058】
また、ステップS15では、ダビング制御部25は、ステップS13で暗号化されたコンテンツをPCP(Protected Content Packet)形式にしてコンテンツ受信装置3に送信する。
【0059】
そして、コンテンツの全てを送信し終えた場合には、ダビング制御部25は、ダビング終了処理を実行する(ステップS16)。具体的には、このステップS16の処理では、ダビング終了手続きなどを実行する。
【0060】
一方、ステップS12において、ダビング制御部25が、抑制開始指示を受取った場合には(ステップS12:Yes)、続いて、ダビング制御部25は、送信回数が所定の送信最大回数に達するか、コンテンツの全ての送信が終わるまで、ステップS17〜ステップS19の処理を繰り返し実行する。
【0061】
なお、ここでいう送信最大回数とは、鍵未使用のまま鍵が破棄されるのを避けるために暗号化したコンテンツのデータを送信する回数のことであり、抑制される時間に対して不足なく設定される回数である。例えば、リソースの使用が抑制される時間が最大で24時間である場合に、1時間50分毎に暗号化されたコンテンツを送信するとすれば、「14回」に設定される。
【0062】
具体的には、ステップS17では、ダビング制御部25は、コンテンツ受信装置3が暗号化されたコンテンツを受け取った場合に、復号を行える最低サイズ(例えば、AESであれば16byte)(以下、この最低サイズのことを「暗号化最低サイズ」という場合がある。)分のコンテンツを記憶部13から読み出し、ステップS18では、ダビング制御部25は、暗号器12を用いてステップS17で読み出したコンテンツを暗号化する。
【0063】
また、ステップS19では、ダビング制御部25は、ステップS18で暗号化したコンテンツをバッファ14に保持させる。
【0064】
そして、ダビング制御部25は、送信回数が所定の送信最大回数に達するか、コンテンツの全ての送信が終了すると、リソース使用抑制指示部26に抑制準備が終了した旨を通知する(ステップS20)。その後、ダビング制御部25は、次回の送信時刻を設定する(ステップS21)。
【0065】
なお、ここでいう次回の送信時刻とは、鍵未使用のまま鍵が破棄されるのを避けるため、次に暗号化したデータを送信する時刻のことである。具体的には、最後に送信した時刻から、鍵破棄が行われるまでの時間である2時間に対して、余裕のある時間(例えば、1時間50分など)後に設定される。
【0066】
続いて、ダビング制御部25は、リソース使用抑制指示部26から抑制終了指示を受けず(ステップS22:No)、且つ、次回送信時刻に達する(ステップS23:Yes)毎に、ステップS24〜ステップS26の処理を繰り返し実行する。
【0067】
具体的には、ステップS24では、ダビング制御部25は、バッファ14から暗号化最低サイズ分の暗号化されたコンテンツを読み出し、続く、ステップS25において、ダビング制御部25は、ステップS24で読み出したコンテンツをコンテンツ受信装置3に送信する。その後、ステップS26において、ダビング制御部25は、次回の送信時刻を設定する。
【0068】
一方、ステップS22の判定において、ダビング制御部25が、リソース使用抑制指示部26から抑制終了指示を受けると(ステップS22:Yes)、続く、ステップS27において、ダビング制御部25が、バッファ14から残りのコンテンツを全部読み出して、コンテンツ受信装置3に送信する。その後、ステップS12〜ステップS15の処理に遷移する。
【0069】
以上説明した第1の実施形態によれば、送受信装置間で共有され且つ時間制限により破棄条件が設定される鍵を使用して暗号化したコンテンツをコンテンツ受信装置に送信するダビング処理中に、ダビング処理で使用するリソースが使用できなくなる処理負荷や、ダビング処理より処理の優先度が高い処理負荷などの特定の処理負荷(高負荷)が発生した場合でも、ダビングが完全には中断されることがないため、鍵が破棄されるのを防止することができ、それにより、ダビングを最後まで正常に終了させることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のコンテンツ送信装置2Aについて図5及び図6を用いて説明する。
【0071】
図5は、第2の実施形態のコンテンツ送信装置2Aの機能的構成を示すブロック図である。
【0072】
図5に示すように、第2の実施形態のコンテンツ送信装置2Aでは、第1の実施形態の機能的構成に、リソース使用状況管理部27を追加した形態となっている。
【0073】
即ち、リソース使用状況管理部27は、特定の処理負荷の実行中に、ダビング処理で使用するリソースが使用可能であるか否かを判定するものである。
【0074】
図6は、第2の実施形態のコンテンツ送信装置2Aにおけるダビング処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
なお、図6の処理手順においては、図4の処理手順のステップS22〜ステップS27の間に、ステップS28〜ステップS31の処理を挿入したものとなっており、その他の処理は図4の処理と同一の処理であるため、以下では、同一の処理の説明は省略する。
【0076】
即ち、図6の処理手順において、第2のコンテンツ送信装置2Aでは、ステップS28において、リソース使用状況管理部27が、ダビング処理で使用するリソース(暗号器12など)の使用が可能であるか否かを判定し、この判定の結果、使用可能であると判定された場合には(ステップS28:Yes)、続いて、ステップS29において、ダビング制御部25が、記憶部13から、バッファ14の空き容量分のコンテンツを読み出す。
【0077】
その後、ステップS22に遷移して以下同様の処理を行う。
【0078】
即ち、前記した第2の実施形態によれば、特定の処理負荷中でも、ダビング処理に使用するリソース(暗号器12など)が使用可能であれば、そのリソースを使用することが可能であり、それにより、特定の処理負荷が発生した場合のダビング処理の全体の処理時間を短縮することが可能である。
【0079】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0080】
例えば、前記した実施形態では、コンテンツ送信装置1は、ダビングが中断される虞のある負荷として、コンテンツ送信装置1における高負荷を検出する場合について説明したが、これに限定されず、送受信装置間でダビングが中断される高負荷を検出すれば良く、例えば、ネットワーク4のトラフィック負荷や、コンテンツ受信装置3の負荷などを検出するようにしても良い。
【0081】
また、前記した実施形態では、破棄条件により鍵が破棄されない所定時間として、「1時間50分」を設定し、破棄条件により鍵が破棄されない所定分量として、「16byte」を設定する場合について説明したが、これに限定されず、その他の値を設定することも可能である。
【0082】
また、前記した実施形態のコンテンツ送信装置2で実行されるプログラムは、コンテンツ送信装置2に予めインストールされる以外にも、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読取り可能な記憶媒体に記憶して提供しても良いし、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしても良い。
【0083】
また、前記した実施形態では、コンテンツ送信装置2として、テレビジョン受像装置を例にして説明したが、これに限定されず、HDDレコーダなどの録画再生装置とすることも可能であるし、その他、録画機能を有さず、他の装置などから受信したコンテンツを保持する記憶部を備えた装置とすることも可能である。
【0084】
また、前記した実施形態では、コンテンツ受信装置として、HDDレコーダなどの録画装置を例にして説明したが、これに限定されず、DVDレコーダや、パーソナルコンピュータや、サーバ装置などのその他の装置とすることも可能である。
【0085】
その他、前記した実施形態におけるシステム、各装置のハードウェア構成および機能的構成や、コンテンツの種別や、処理手順などは、単なる例として記載したものであり、本実施形態は、それらにより限定されない。
【符号の説明】
【0086】
1 ダビングシステム
2 コンテンツ送信装置
3 コンテンツ受信装置
4 ネットワーク
12 暗号器(暗号化手段)
13 記憶部(記憶手段)
14 バッファ(一時記憶手段)
25 ダビング制御部(暗号化手段、保持手段、送信手段)
26 リソース使用抑制指示部(検出手段)
27 リソース使用状況管理部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信装置間で共有され且つ時間制限により破棄条件が設定される鍵を用いて、記憶手段に記憶されているコンテンツを暗号化する暗号化手段と、
特定の処理負荷が発生することを検出する検出手段と、
前記暗号化手段で暗号化されたコンテンツを受信装置に送信するダビング処理中に前記検出手段により前記特定の処理負荷が発生することが検出された場合、前記特定の処理負荷が開始される前に、前記受信装置に送信していない前記ダビング処理中のコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して一時記憶手段に保持させる保持手段と、
前記保持手段により保持されたコンテンツを、前記特定の処理負荷の実行中に、前記破棄条件により前記鍵が破棄されない特定の送信条件に従って送信する送信手段と、
を有するコンテンツ送信装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記特定の処理負荷の実行中に、前記保持手段で保持されるコンテンツを、前記破棄条件により前記鍵が破棄されない所定時間経過毎に、前記破棄条件により鍵が破棄されない所定分量ずつ送信する請求項1に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項3】
前記特定の処理負荷の実行中に、前記ダビング処理で使用するリソースが使用可能であるか否かを判定する判定手段、
を更に有し、
前記保持手段は、前記判定手段で前記リソースが使用可能であると判定された場合に、前記特定の処理負荷の実行中に、前記記憶手段に記憶されている未送信のコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して前記一時記憶手段に保持させる請求項1または2に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記特定の処理負荷の発生として、前記ダビング処理で使用するリソースが使用できなくなる負荷の発生を検出する請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記特定の処理負荷の発生として、前記ダビング処理より処理の優先度が高い処理の発生を検出する請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記ダビング処理中において、前記特定の処理負荷の実行前では、DTCP−IPの規格上の最高速度で前記暗号化手段で暗号化されたコンテンツを送信する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記特定の処理負荷の実行が終了した場合に、前記一時記憶手段に保持されている残りのコンテンツを全て送信し、該送信後、前記記憶手段に記憶されている未送信のコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して前記最高速度で送信する、請求項6に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項8】
前記鍵は、前記DTCP−IPの所定の手順により、前記送受信装置間で共有される鍵である、請求項6または7に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項9】
送受信装置間で共有され且つ時間制限により破棄条件が設定される鍵を用いて、記憶手段に記憶されているコンテンツを暗号化する暗号化ステップと、
特定の処理負荷が発生することを検出する検出ステップと、
暗号化されたコンテンツを受信装置に送信するダビング処理中に前記特定の処理負荷が発生することが検出された場合、前記特定の処理負荷が開始される前に、前記受信装置に送信していない前記ダビング処理中のコンテンツを前記暗号化手段で暗号化して一時記憶手段に保持させる保持ステップと、
前記保持ステップにより保持されたコンテンツを、前記特定の処理負荷の実行中に、前記破棄条件により前記鍵が破棄されない特定の送信条件に従って送信する送信ステップと、
を含むダビング制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119931(P2012−119931A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267772(P2010−267772)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【特許番号】特許第4799689号(P4799689)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】