コンデンサ充電装置
【課題】充電装置の運転時や装置の稼働率によるコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動にも、コンデンサの粗充電電圧を適切な値に逐次補正する。
【解決手段】直流チョッパ型の急速充電回路の電圧制御回路8は、コンデンサ7の容量変動による急速充電電圧の変化を、コンデンサ自体の温度計測値、または周囲の温度計測値から算出し、この算出したコンデンサ容量Cの変動に出力電流iの制御で補正する。
LC共振型の急速充電回路に適用したことを含む。コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御することも含む。
【解決手段】直流チョッパ型の急速充電回路の電圧制御回路8は、コンデンサ7の容量変動による急速充電電圧の変化を、コンデンサ自体の温度計測値、または周囲の温度計測値から算出し、この算出したコンデンサ容量Cの変動に出力電流iの制御で補正する。
LC共振型の急速充電回路に適用したことを含む。コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御することも含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用コンデンサを直流電源として高電圧・大電流のパルスを発生させるパルス電源において、コンデンサを設定電圧まで高い精度で繰り返し充電するコンデンサ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパルス電源の使用用途としては、エキシマレーザーやオソナイザなどがあり、充電電圧の設定値に対する充電精度が特に高精度を要求される(例えば0.1%以下の精度)。充電装置は、決められた時間内で負荷コンデンサを充電電圧指令値によって与えられる電圧に充電する。この動作は例えば1秒間に4000回繰り返される。
【0003】
図7は従来の充電回路例であり、充電電圧指令値に対し、高速で高精度な充電精度を得るため、1回の充電期間に急速充電期間と微調整期間を設け、先ず急速充電期間で負荷コンデンサを指令値より数%低い電圧(目標電圧)まで急速に充電し、次に微調整期間で電圧指令値V*まで追加充電する。この追加充電は、急速充電回路のみでは指令値に対する高精度充電が困難なため、急速充電回路で負荷コンデンサを僅かに低く充電し、微調整回路の追加充電によって高精度充電を実現している(例えば、特許文献1参照)。この回路構成と動作を以下に説明する(波形は図8参照)。
【0004】
<急速充電期間の動作>
図7において、急速充電回路は、直流電源1を電源とし、半導体スイッチ2、リアクトル3、半導体スイッチ4およびフライホイールダイオード5,6によって直流チョッパ型に構成され、その出力電流で負荷コンデンサ7を急速充電する。
【0005】
電圧制御回路8は、まず、スイッチ2とスイッチ4を同時にオン制御し、回路には矢印Aの経路で電流を流し、リアクトル3にエネルギーを蓄積する。次に、スイッチ2とスイッチ4を同時にオフ制御し、回路には矢印Bの経路で電流を流し、リアクトル3に蓄えられたエネルギーをコンデンサ7へすべて移行させ、コンデンサ7を充電する。このときの充電電圧は、充電電圧指令に係数回路9の係数(ゲインG:1以下)を乗じた値を制御回路8の電圧指令値とし、この電圧指令値を基にした制御回路8による演算結果としてスイッチ2,4のオフタイミングを求める。
【0006】
この演算は、リアクトル3のリアクトル値をL、コンデンサ7のコンデンサ容量をC、スイッチ2及びスイッチ4をオフした時の電流(矢印A)をI、矢印Bの電流が流れ終わった時のコンデンサ7の電圧をV(以下、粗充電電圧と呼ぶ)とすると、エネルギー保存の法則より、
【0007】
【数1】
【0008】
が成り立つ。急速充電では上式を基に、コンデンサ7を目標電圧(指令値より数%低い電圧)Vまで充電する。つまり、常にリアクトル3の電流iを検出し、以下の式、
【0009】
【数2】
【0010】
が成立した時にスイッチ2及びスイッチ4をオフする。
【0011】
<微調整期間の動作>
図7において、微調整充電回路は、直流電源1を電源とするインバータ10で交流電圧を得、これをパルストランス11で昇圧し、整流回路12と直流リアクトル13と半導体スイッチ14とダイオード15からなる定電流回路によって、コンデンサ7の微調整充電電流を出力する。定電流充電回路16は、常時はスイッチ14をオンしておき、インバータ10の運転によって、整流回路12とリアクトル13およびスイッチ14の経路で定電流指令によって設定された(一定の直流)電流を流しておく。次に、スイッチ14をオフ制御し、コンデンサ7に充電電流を流し続け、コンデンサ7を微調整充電する。
【0012】
この微調整期間制御は、充電電圧指令値V*とコンデンサ7の電圧をコンパレータ17で常に比較しておき、コンデンサ7の電圧が設定値V*と一致するまでスイッチ14をオフする。
【0013】
図9は、他の充電回路例を示し、図7と異なる部分は、急速充電回路をLC振動電流として供給する場合である(例えば、特許文献2参照)。このLC共振型の急速充電回路は、インバータ構成のパルス発生回路18とパルストランス19と整流回路20およびリアクトル21によって構成し、電圧制御回路8はパルス発生回路18に正負逆極性のパルスを交互に発生させ、この各パルス発生毎にリアクトル21を通してコンデンサ7に半周期の振動電流を流し、1発のパルス発生毎にコンデンサ7を目標電圧まで充電する(波形は図10参照)。この充電回路は、等価的には、パルス発生回路18とパルストランス19および整流回路20を図7のスイッチ2とダイオード5に置換し、ダイオード6とスイッチ4を省いた構成になる。
【0014】
このLC共振型の充電電圧制御には、コンデンサ7の電圧Vcを検出しながらパルス発生期間を制御する。すなわち、パルス発生回路18から1発のパルス電圧を発生したときの電流をI、コンデンサ7の充電電圧をV0、パルス停止時のコンデンサ7の電圧をVとすると、エネルギー保存の法則より以下の式(1−1)が成り立つ。この式からコンデンサ7を目標電圧Vまで充電するために、電圧制御回路8では充電電流iについて以下の式(2−1)の演算を行い、この式が成立するときにパルス発生回路18のパルス発生動作を停止する。
【0015】
【数3】
【0016】
【数4】
【0017】
以上のような急速充電と微調整充電によるコンデンサ充電装置において、コンデンサ7は周囲温度の変化や装置の稼働率により、内部温度の変化で静電容量が変動し、またリアクトル3のリアクトル値も周囲温度の変化や装置の稼働率により変動することがあり、粗充電電圧が指令値V(V*にゲインGを乗じた値)からずれてくる場合がある。
【0018】
例えば、前記の式(1)を変形すると、
【0019】
【数5】
【0020】
であるから、コンデンサ7の静電容量がCからC’に変動すると、粗充電電圧は、
【0021】
【数6】
【0022】
となり、リアクトル3のリアクトル値がLからL’に変動すると、粗充電電圧は、
【0023】
【数7】
【0024】
に変動する。
【0025】
また、前記の式(1−1)を変形すると、
【0026】
【数8】
【0027】
であるから、コンデンサ7の静電容量がCからC’に変動すると、粗充電電圧は、
【0028】
【数9】
【0029】
となり、リアクトル3のリアクトル値がLからL’に変動すると、粗充電電圧は、
【0030】
【数10】
【0031】
に変動する。
【0032】
したがって、温度変化等でコンデンサ7の静電容量が減った場合は式(4−1)、式(4−3)より、同じくリアクトル3のリアクトル値が増えた場合は式(4−2)、式(4−4)より粗充電電圧が増大し、粗充電電圧が設定値V*を超えてしまい(図11のa参照)、微調整充電回路による微調整ができなくなり、結果、充電精度が悪化する。
【0033】
逆に、コンデンサ7の静電容量が増えた場合は式(4−1)、式(4−3)より、同じくリアクトル3のリアクトル値が減った場合は式(4−2)、式(4−4)より粗充電電圧が減少し(図11のb参照)、以下の不都合がおきる。
【0034】
・微調整充電回路の充電電流容量の余裕度を高くする必要があり、装置の大型化に繋がる。
【0035】
・粗充電電圧が下がり、充電の繰り返し周期で決まる微調整期間内に設定値V*まで追加充電しきれなくなる場合が生じる。
【0036】
・これらの不都合を防止する目的で微調整充電電流を大きくすると、微調整充電電圧のdV/dtが増え、充電精度が悪化する。
【0037】
なお、上記のコンデンサ容量Cの変動やリアクトル値Lの変動は、これらの温度変化に限らず、装置ユニット単位の交換や回路要素の交換による回路定数の変化によっても起きる。この場合の対策として、特許文献2ではパルス電流エネルギーの変化に対して、電圧制御回路の演算定数の値を変更することで補償している。
【特許文献1】特開2005−086970号公報
【特許文献2】特開2005−108910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
前記の特許文献2の手法は、充電装置のコンデンサ容量Cの変動やリアクトル値Lの変動を回路定数の入力設定値変更で補償するものであり、装置ユニット単位の交換や回路要素の交換時に回路定数を変更することになる。
【0039】
このため、充電装置の運転時の周囲温度の変化や装置の稼働率による温度変化等で、静電容量やリアクトル値が変動した場合には補償できない。すなわち、充電装置の運転時や装置の稼働率による静電容量やリアクトル値の変動に対する補償ができない。
【0040】
本発明の目的は、充電装置の運転時や装置の稼働率によるコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動にも、コンデンサの粗充電電圧を適切な値に逐次補正できるコンデンサ充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、前記の課題を解決するため、直流チョッパ型またはLC共振型の急速充電回路と、微調整充電回路とによるコンデンサ充電装置において、負荷コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御するものであり、以下の構成を特徴とする。
【0042】
(1)直流チョッパ回路の出力でコンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電する直流チョッパ型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0043】
(2)パルス電圧出力を直流リアクトルを通してコンデンサに振動電流を流して該コンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電するLC共振型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0044】
(3)前記制御手段は、前記コンデンサ自体またはリアクトル自体の温度計測値、または急速充電回路の周囲の温度計測値から前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lを算出し、この算出したコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0045】
(4)前記制御手段は、前記コンデンサの粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流Iおよび微調整充電時間Tの計測結果から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0046】
(5)前記制御手段は、前記微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびこれら計測結果から予測した粗充電電圧V1’から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正、または前記目標電圧Vの制御で補正することを特徴とする。
【0047】
(6)前記制御手段は、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記直流チョッパ回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0048】
(7)前記制御手段は、微調整充電時間Tが予め設定された時間T2を超えた場合、前記微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびコンデンサ容量Cと充電電圧指令値V*から求める比率で次回以降の前記目標電圧Vを切換え、微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することを特徴とする。
【0049】
(8)前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を予め算出しておき、急速充電開始直前に、算出した容量Cとリアクトル値Lと、前記急速充電回路の直流電源電圧Eと前記目標電圧Vから該急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする。
【0050】
(9)前記制御手段は、前記コンデンサの容量Cと、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記急速充電回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0051】
(10)前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cと、リアクトル値Lと、急速充電開始直前の直流電源電圧Eと充電電圧指令値V*から前記急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0052】
以上のとおり、本発明によれば、直流チョッパ型またはLC共振型の急速充電回路と、微調整充電回路とによるコンデンサ充電装置において、負荷コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御するため、充電装置の運転時や装置の稼働率によるコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動にもコンデンサの粗充電電圧を適切な値に逐次補正できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(実施形態1)
図1は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、温度によるコンデンサ7の容量変動を補正する点にある。
【0054】
コンデンサ7の静電容量Cはその内部温度を計測することで推定が可能であるため、充電開始直前にコンデンサ7の内部温度を温度検出器31で計測し、この温度計測値から温度補正回路32によりコンデンサ7の静電容量を算出し、この算出したコンデンサ7の静電容量C’を変数として、電圧制御回路8では前記の式(2)へ代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0055】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0056】
なお、温度補正は、充電装置の運転開始時に限らず、一定回数の充電動作毎に補正することで粗充電精度を一層高めることができる。また、温度補正回路32は温度−コンデンサ容量特性の関数演算回路とした構成または関数をテーブルデータ化した構成とすることで済む。また、温度検出器31は、コンデンサ7の温度を直接に計測するに限らず、充電装置の周囲温度計測から推定することもできる。
【0057】
また、温度補正は、コンデンサ7の容量のほか、リアクトル3のリアクトル値についても同様に補正できる。この場合、温度補正回路32と同等のリアクトルの値を補正する回路を追加することで済む。
【0058】
(実施形態2)
図2は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、コンデンサ7の粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)Tの計測結果から、コンデンサ7の静電容量の変動を算出し、この算出したコンデンサ7の静電容量C’を使って実施形態1と同様に式(2)へ代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する点にある。
【0059】
前回充電時のコンデンサ7の静電容量Cは、スイッチ26のオフ時間をT、粗充電電圧をV1、微調電圧をV2、微調整電流値をIとすると、下記の演算式より算出される。
【0060】
【数11】
【0061】
電圧制御回路8は、式(6)を基にして算出した静電容量Cを式(2)の静電容量C’に代入した演算を行い、この演算結果に検出電流iが一致したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0062】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0063】
なお、静電容量補正は、充電動作毎に計算する必要はなく、一定回数の充電動作毎に補正することで済む。
【0064】
(実施形態3)
図3は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図2と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、粗充電電圧V1を測定することなしに、微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)から粗充電電圧V1を推定し、目標値Vとの誤差を次回の設定値に反映させる点にある。
【0065】
前回充電時の粗充電電圧の推定値V1’はスイッチ26のオフ時間をT、充電電圧指令16(指令値)をV*とすると、前記の式(6)から、
【0066】
【数12】
【0067】
として求めることができる。
【0068】
また、電圧制御回路8に入力される粗充電電圧の指令値Vは、充電電圧指令V*に係数回路9の係数(ゲインG)を掛けた値であるから、ゲインGの値を式(7)で求めた推定値V1’の値を元に変化させることで、次回の粗充電電圧を制御することができる。
【0069】
ゲインGを、
【0070】
【数13】
【0071】
ただし、gは変数で初期値は例えば1、G0は変更前のゲインGの値(初期値)で、コンデンサ7を充電電圧指令値V*よりもΔVだけ低く充電するための値であり、以下の式の関係になる。
【0072】
【数14】
【0073】
次に、前回充電時の目標電圧V、前記充電時の変数gの値をg1とすると、次回充電時に用いる変数gの値g2を、以下の式(8−2)から求め、
【0074】
【数15】
【0075】
次回充電時に用いるゲインGを、以下の式(8−3)から求め、これを次回充電時のゲインGの値とする。
【0076】
【数16】
【0077】
なお、V*−ΔV=V*’なる粗充電の目標電圧Vが予め設定入力されるシステムにおいては、G0=1で、以下の式(8−4)で算出される。
【0078】
【数17】
【0079】
本実施形態による演算を具体例で説明すると、前回、電圧制御回路8の入力値V*×G0×g1に対し、実際の粗充電電圧値はV1’となり、次回の充電電圧指令V*も同じの場合、電圧制御回路8の入力値は、
【0080】
【数18】
【0081】
となることから、粗充電電圧値は、
【0082】
【数19】
【0083】
となり、粗充電電圧を目標電圧Vに制御することができる。ただし、コンデンサ7の静電容量Cは固定定数としているため誤差は生ずる。
【0084】
したがって、本実施形態においては、粗充電電圧V1の検出を不要にして、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0085】
(実施形態4)
図4は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、リアクトル3のリアクトル値Lの変動を補正して急速充電電圧を制御する点にある。
【0086】
電圧制御回路8は、スイッチ2及びスイッチ4のオン時間と、その時の検出電流とからリアクトル3のリアクトル値を算出し、算出したリアクトル3のリアクトル値を変数として前記の式(2)に代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0087】
スイッチ2及びスイッチ4のオン時間をT2、その時のリアクトル3の電流値をI2、直流電圧をE(=VDC)とすると、リアクトル3のリアクトル値Lは、下記の式(9)より求めることができる。
【0088】
【数20】
【0089】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、リアクトル3のリアクトル値Lが変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0090】
(実施形態5)
図5は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図3と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、乗算回路9におけるゲインGをステップ状に切換える点にある。
【0091】
電圧制御回路8は、前回微調整充電時の時間T(スイッチ26のオフ時間)が要求される時間を超えた場合、次回以降の充電に用いる粗充電目標電圧設定用の乗算回路9のゲインGをステップ状に変化させることで、コンデンサ7の充電電圧を制御する。
【0092】
微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)Tは前記の式(6)より求まるが、この時間Tよりも実際の微調整充電時間が長くなることは、粗充電電圧が下がったことを意味し、前記のように、充電の繰り返し周期で決まる微調整期間内に設定値V*まで追加充電しきれなくなるという問題が生じる。
【0093】
したがって、要求される微調整充電時間Tよりも短い適当な時間T2を設定し、スイッチ26のオフ時間TがT2を超えたとき、次回以降に用いるゲインGを式(8−3)に代えて、以下の式(10)に従って求める係数(比率)を乗じた値に切換える。
【0094】
【数21】
【0095】
とする。ただし、前回までのゲインGをG0×g1とする。
【0096】
したがって、本実施形態においては、コンデンサ容量Cの変動またはリアクトル値Lの変動を補正するのに、ゲインGの切換えのみで、充電の繰り返し周期から要求される微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することができる。これにより、実施形態3等によるCやLの変動を演算で求める場合に比べて、式(8−3)によるゲインGを予め求めておくことができ、電圧制御回路8ではゲインGの演算が不要になる。
【0097】
(実施形態6)
図6は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図である。前記までの実施形態1〜5では、急速充電期間の制御は電流iを検出しながらリアルタイムで前記の式(2)の演算を行うものであるが、急速充電開始直前に直流電源1の電圧VDCを検出すれば、目標電圧Vまでの充電に必要なスイッチ2及びスイッチ4のオン時間TONを予め算出することができる。例えば、直流電圧VDCの値をEとすると、
【0098】
【数22】
【0099】
であるから、前記の式(1)へ代入して、
【0100】
【数23】
【0101】
で算出可能である。
【0102】
そこで、電圧制御回路8は、上記の式(11)により算出する時間TONでスイッチ2,4をオフ制御し、この時間TONの算出に使用するコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を前記までの実施形態1〜5における演算によって補正しておく構成とする。これにより、リアクトル電流iの検出による急速充電電圧の補正を不要にする。
【0103】
(実施形態7)
本実施形態は、図9に示すLC共振型の急速充電回路に、前記までの実施形態1〜6と同様の急速充電制御を適用する場合である。
【0104】
具体的には、前記の実施形態3または実施形態5におけるゲインGの調整または切換えは、図9のLC共振型の急速充電回路にそのまま適用できる。また、前記の式(2)による電流iの演算に代えて、LC共振型の急速充電回路に適した前記の式(2−1)形のものにすれば実施形態1〜実施形態5と同様の補正ができる。
【0105】
さらに、前記の式(9)をLC共振型の急速充電回路に適した形のものにすれば実施形態4(図4)と同様にして補正できる。この場合、コンデンサ7の静電容量C、パルス発生回路18のパルス発生時間をT2、そのときのリアクトル21の電流値をI2、パルストランス19で昇圧した直流電圧をEとすると、リアクトル21の値Lは以下の式(9−1)より求めることができる。
【0106】
【数24】
【0107】
また、式(11)をLC共振型の急速充電回路に適した形のものにすれば実施形態6(図6)と同様にして補正できる。この場合、パルストランス19で昇圧した直流電圧をEとすると、以下の式(11−1)より、パルス発生回路18のパルス発生時間TONを求めることができる。
【0108】
【数25】
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態1を示す充電装置の要部回路図。
【図2】本発明の実施形態2を示す充電装置の要部回路図。
【図3】本発明の実施形態3を示す充電装置の要部回路図。
【図4】本発明の実施形態4を示す充電装置の要部回路図。
【図5】本発明の実施形態5を示す充電装置の要部回路図。
【図6】本発明の実施形態6を示す充電装置の要部回路図。
【図7】急速充電と微調整充電の回路例(その1)。
【図8】直流チョッパ型の電流・電圧波形。
【図9】急速充電と微調整充電の回路例(その2)。
【図10】LC共振型の電流・電圧波形。
【図11】充電電圧の変化の例。
【符号の説明】
【0110】
1 直流電源
2、4 半導体スイッチ
3 リアクトル
7 負荷コンデンサ
8 電圧制御回路
9 乗算回路
31 温度検出器
32 温度補正回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用コンデンサを直流電源として高電圧・大電流のパルスを発生させるパルス電源において、コンデンサを設定電圧まで高い精度で繰り返し充電するコンデンサ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパルス電源の使用用途としては、エキシマレーザーやオソナイザなどがあり、充電電圧の設定値に対する充電精度が特に高精度を要求される(例えば0.1%以下の精度)。充電装置は、決められた時間内で負荷コンデンサを充電電圧指令値によって与えられる電圧に充電する。この動作は例えば1秒間に4000回繰り返される。
【0003】
図7は従来の充電回路例であり、充電電圧指令値に対し、高速で高精度な充電精度を得るため、1回の充電期間に急速充電期間と微調整期間を設け、先ず急速充電期間で負荷コンデンサを指令値より数%低い電圧(目標電圧)まで急速に充電し、次に微調整期間で電圧指令値V*まで追加充電する。この追加充電は、急速充電回路のみでは指令値に対する高精度充電が困難なため、急速充電回路で負荷コンデンサを僅かに低く充電し、微調整回路の追加充電によって高精度充電を実現している(例えば、特許文献1参照)。この回路構成と動作を以下に説明する(波形は図8参照)。
【0004】
<急速充電期間の動作>
図7において、急速充電回路は、直流電源1を電源とし、半導体スイッチ2、リアクトル3、半導体スイッチ4およびフライホイールダイオード5,6によって直流チョッパ型に構成され、その出力電流で負荷コンデンサ7を急速充電する。
【0005】
電圧制御回路8は、まず、スイッチ2とスイッチ4を同時にオン制御し、回路には矢印Aの経路で電流を流し、リアクトル3にエネルギーを蓄積する。次に、スイッチ2とスイッチ4を同時にオフ制御し、回路には矢印Bの経路で電流を流し、リアクトル3に蓄えられたエネルギーをコンデンサ7へすべて移行させ、コンデンサ7を充電する。このときの充電電圧は、充電電圧指令に係数回路9の係数(ゲインG:1以下)を乗じた値を制御回路8の電圧指令値とし、この電圧指令値を基にした制御回路8による演算結果としてスイッチ2,4のオフタイミングを求める。
【0006】
この演算は、リアクトル3のリアクトル値をL、コンデンサ7のコンデンサ容量をC、スイッチ2及びスイッチ4をオフした時の電流(矢印A)をI、矢印Bの電流が流れ終わった時のコンデンサ7の電圧をV(以下、粗充電電圧と呼ぶ)とすると、エネルギー保存の法則より、
【0007】
【数1】
【0008】
が成り立つ。急速充電では上式を基に、コンデンサ7を目標電圧(指令値より数%低い電圧)Vまで充電する。つまり、常にリアクトル3の電流iを検出し、以下の式、
【0009】
【数2】
【0010】
が成立した時にスイッチ2及びスイッチ4をオフする。
【0011】
<微調整期間の動作>
図7において、微調整充電回路は、直流電源1を電源とするインバータ10で交流電圧を得、これをパルストランス11で昇圧し、整流回路12と直流リアクトル13と半導体スイッチ14とダイオード15からなる定電流回路によって、コンデンサ7の微調整充電電流を出力する。定電流充電回路16は、常時はスイッチ14をオンしておき、インバータ10の運転によって、整流回路12とリアクトル13およびスイッチ14の経路で定電流指令によって設定された(一定の直流)電流を流しておく。次に、スイッチ14をオフ制御し、コンデンサ7に充電電流を流し続け、コンデンサ7を微調整充電する。
【0012】
この微調整期間制御は、充電電圧指令値V*とコンデンサ7の電圧をコンパレータ17で常に比較しておき、コンデンサ7の電圧が設定値V*と一致するまでスイッチ14をオフする。
【0013】
図9は、他の充電回路例を示し、図7と異なる部分は、急速充電回路をLC振動電流として供給する場合である(例えば、特許文献2参照)。このLC共振型の急速充電回路は、インバータ構成のパルス発生回路18とパルストランス19と整流回路20およびリアクトル21によって構成し、電圧制御回路8はパルス発生回路18に正負逆極性のパルスを交互に発生させ、この各パルス発生毎にリアクトル21を通してコンデンサ7に半周期の振動電流を流し、1発のパルス発生毎にコンデンサ7を目標電圧まで充電する(波形は図10参照)。この充電回路は、等価的には、パルス発生回路18とパルストランス19および整流回路20を図7のスイッチ2とダイオード5に置換し、ダイオード6とスイッチ4を省いた構成になる。
【0014】
このLC共振型の充電電圧制御には、コンデンサ7の電圧Vcを検出しながらパルス発生期間を制御する。すなわち、パルス発生回路18から1発のパルス電圧を発生したときの電流をI、コンデンサ7の充電電圧をV0、パルス停止時のコンデンサ7の電圧をVとすると、エネルギー保存の法則より以下の式(1−1)が成り立つ。この式からコンデンサ7を目標電圧Vまで充電するために、電圧制御回路8では充電電流iについて以下の式(2−1)の演算を行い、この式が成立するときにパルス発生回路18のパルス発生動作を停止する。
【0015】
【数3】
【0016】
【数4】
【0017】
以上のような急速充電と微調整充電によるコンデンサ充電装置において、コンデンサ7は周囲温度の変化や装置の稼働率により、内部温度の変化で静電容量が変動し、またリアクトル3のリアクトル値も周囲温度の変化や装置の稼働率により変動することがあり、粗充電電圧が指令値V(V*にゲインGを乗じた値)からずれてくる場合がある。
【0018】
例えば、前記の式(1)を変形すると、
【0019】
【数5】
【0020】
であるから、コンデンサ7の静電容量がCからC’に変動すると、粗充電電圧は、
【0021】
【数6】
【0022】
となり、リアクトル3のリアクトル値がLからL’に変動すると、粗充電電圧は、
【0023】
【数7】
【0024】
に変動する。
【0025】
また、前記の式(1−1)を変形すると、
【0026】
【数8】
【0027】
であるから、コンデンサ7の静電容量がCからC’に変動すると、粗充電電圧は、
【0028】
【数9】
【0029】
となり、リアクトル3のリアクトル値がLからL’に変動すると、粗充電電圧は、
【0030】
【数10】
【0031】
に変動する。
【0032】
したがって、温度変化等でコンデンサ7の静電容量が減った場合は式(4−1)、式(4−3)より、同じくリアクトル3のリアクトル値が増えた場合は式(4−2)、式(4−4)より粗充電電圧が増大し、粗充電電圧が設定値V*を超えてしまい(図11のa参照)、微調整充電回路による微調整ができなくなり、結果、充電精度が悪化する。
【0033】
逆に、コンデンサ7の静電容量が増えた場合は式(4−1)、式(4−3)より、同じくリアクトル3のリアクトル値が減った場合は式(4−2)、式(4−4)より粗充電電圧が減少し(図11のb参照)、以下の不都合がおきる。
【0034】
・微調整充電回路の充電電流容量の余裕度を高くする必要があり、装置の大型化に繋がる。
【0035】
・粗充電電圧が下がり、充電の繰り返し周期で決まる微調整期間内に設定値V*まで追加充電しきれなくなる場合が生じる。
【0036】
・これらの不都合を防止する目的で微調整充電電流を大きくすると、微調整充電電圧のdV/dtが増え、充電精度が悪化する。
【0037】
なお、上記のコンデンサ容量Cの変動やリアクトル値Lの変動は、これらの温度変化に限らず、装置ユニット単位の交換や回路要素の交換による回路定数の変化によっても起きる。この場合の対策として、特許文献2ではパルス電流エネルギーの変化に対して、電圧制御回路の演算定数の値を変更することで補償している。
【特許文献1】特開2005−086970号公報
【特許文献2】特開2005−108910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
前記の特許文献2の手法は、充電装置のコンデンサ容量Cの変動やリアクトル値Lの変動を回路定数の入力設定値変更で補償するものであり、装置ユニット単位の交換や回路要素の交換時に回路定数を変更することになる。
【0039】
このため、充電装置の運転時の周囲温度の変化や装置の稼働率による温度変化等で、静電容量やリアクトル値が変動した場合には補償できない。すなわち、充電装置の運転時や装置の稼働率による静電容量やリアクトル値の変動に対する補償ができない。
【0040】
本発明の目的は、充電装置の運転時や装置の稼働率によるコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動にも、コンデンサの粗充電電圧を適切な値に逐次補正できるコンデンサ充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、前記の課題を解決するため、直流チョッパ型またはLC共振型の急速充電回路と、微調整充電回路とによるコンデンサ充電装置において、負荷コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御するものであり、以下の構成を特徴とする。
【0042】
(1)直流チョッパ回路の出力でコンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電する直流チョッパ型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0043】
(2)パルス電圧出力を直流リアクトルを通してコンデンサに振動電流を流して該コンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電するLC共振型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0044】
(3)前記制御手段は、前記コンデンサ自体またはリアクトル自体の温度計測値、または急速充電回路の周囲の温度計測値から前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lを算出し、この算出したコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0045】
(4)前記制御手段は、前記コンデンサの粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流Iおよび微調整充電時間Tの計測結果から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0046】
(5)前記制御手段は、前記微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびこれら計測結果から予測した粗充電電圧V1’から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正、または前記目標電圧Vの制御で補正することを特徴とする。
【0047】
(6)前記制御手段は、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記直流チョッパ回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0048】
(7)前記制御手段は、微調整充電時間Tが予め設定された時間T2を超えた場合、前記微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびコンデンサ容量Cと充電電圧指令値V*から求める比率で次回以降の前記目標電圧Vを切換え、微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することを特徴とする。
【0049】
(8)前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を予め算出しておき、急速充電開始直前に、算出した容量Cとリアクトル値Lと、前記急速充電回路の直流電源電圧Eと前記目標電圧Vから該急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする。
【0050】
(9)前記制御手段は、前記コンデンサの容量Cと、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記急速充電回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする。
【0051】
(10)前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cと、リアクトル値Lと、急速充電開始直前の直流電源電圧Eと充電電圧指令値V*から前記急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0052】
以上のとおり、本発明によれば、直流チョッパ型またはLC共振型の急速充電回路と、微調整充電回路とによるコンデンサ充電装置において、負荷コンデンサの容量変動または急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による急速充電電圧の変化を、温度や回路定数、電圧や電流、動作期間を演算要素とする演算によって求め、この演算結果から急速充電回路の出力電流や目標電圧を制御するため、充電装置の運転時や装置の稼働率によるコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動にもコンデンサの粗充電電圧を適切な値に逐次補正できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(実施形態1)
図1は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、温度によるコンデンサ7の容量変動を補正する点にある。
【0054】
コンデンサ7の静電容量Cはその内部温度を計測することで推定が可能であるため、充電開始直前にコンデンサ7の内部温度を温度検出器31で計測し、この温度計測値から温度補正回路32によりコンデンサ7の静電容量を算出し、この算出したコンデンサ7の静電容量C’を変数として、電圧制御回路8では前記の式(2)へ代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0055】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0056】
なお、温度補正は、充電装置の運転開始時に限らず、一定回数の充電動作毎に補正することで粗充電精度を一層高めることができる。また、温度補正回路32は温度−コンデンサ容量特性の関数演算回路とした構成または関数をテーブルデータ化した構成とすることで済む。また、温度検出器31は、コンデンサ7の温度を直接に計測するに限らず、充電装置の周囲温度計測から推定することもできる。
【0057】
また、温度補正は、コンデンサ7の容量のほか、リアクトル3のリアクトル値についても同様に補正できる。この場合、温度補正回路32と同等のリアクトルの値を補正する回路を追加することで済む。
【0058】
(実施形態2)
図2は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、コンデンサ7の粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)Tの計測結果から、コンデンサ7の静電容量の変動を算出し、この算出したコンデンサ7の静電容量C’を使って実施形態1と同様に式(2)へ代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する点にある。
【0059】
前回充電時のコンデンサ7の静電容量Cは、スイッチ26のオフ時間をT、粗充電電圧をV1、微調電圧をV2、微調整電流値をIとすると、下記の演算式より算出される。
【0060】
【数11】
【0061】
電圧制御回路8は、式(6)を基にして算出した静電容量Cを式(2)の静電容量C’に代入した演算を行い、この演算結果に検出電流iが一致したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0062】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0063】
なお、静電容量補正は、充電動作毎に計算する必要はなく、一定回数の充電動作毎に補正することで済む。
【0064】
(実施形態3)
図3は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図2と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、粗充電電圧V1を測定することなしに、微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)から粗充電電圧V1を推定し、目標値Vとの誤差を次回の設定値に反映させる点にある。
【0065】
前回充電時の粗充電電圧の推定値V1’はスイッチ26のオフ時間をT、充電電圧指令16(指令値)をV*とすると、前記の式(6)から、
【0066】
【数12】
【0067】
として求めることができる。
【0068】
また、電圧制御回路8に入力される粗充電電圧の指令値Vは、充電電圧指令V*に係数回路9の係数(ゲインG)を掛けた値であるから、ゲインGの値を式(7)で求めた推定値V1’の値を元に変化させることで、次回の粗充電電圧を制御することができる。
【0069】
ゲインGを、
【0070】
【数13】
【0071】
ただし、gは変数で初期値は例えば1、G0は変更前のゲインGの値(初期値)で、コンデンサ7を充電電圧指令値V*よりもΔVだけ低く充電するための値であり、以下の式の関係になる。
【0072】
【数14】
【0073】
次に、前回充電時の目標電圧V、前記充電時の変数gの値をg1とすると、次回充電時に用いる変数gの値g2を、以下の式(8−2)から求め、
【0074】
【数15】
【0075】
次回充電時に用いるゲインGを、以下の式(8−3)から求め、これを次回充電時のゲインGの値とする。
【0076】
【数16】
【0077】
なお、V*−ΔV=V*’なる粗充電の目標電圧Vが予め設定入力されるシステムにおいては、G0=1で、以下の式(8−4)で算出される。
【0078】
【数17】
【0079】
本実施形態による演算を具体例で説明すると、前回、電圧制御回路8の入力値V*×G0×g1に対し、実際の粗充電電圧値はV1’となり、次回の充電電圧指令V*も同じの場合、電圧制御回路8の入力値は、
【0080】
【数18】
【0081】
となることから、粗充電電圧値は、
【0082】
【数19】
【0083】
となり、粗充電電圧を目標電圧Vに制御することができる。ただし、コンデンサ7の静電容量Cは固定定数としているため誤差は生ずる。
【0084】
したがって、本実施形態においては、粗充電電圧V1の検出を不要にして、周囲温度の変化や装置の稼働率により、コンデンサ7の静電容量が変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0085】
(実施形態4)
図4は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図7と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、リアクトル3のリアクトル値Lの変動を補正して急速充電電圧を制御する点にある。
【0086】
電圧制御回路8は、スイッチ2及びスイッチ4のオン時間と、その時の検出電流とからリアクトル3のリアクトル値を算出し、算出したリアクトル3のリアクトル値を変数として前記の式(2)に代入することで、コンデンサ7を目標電圧Vにまで充電するのに必要な電流iを求め、この電流iに達したときにスイッチ2,4をオフ制御する。
【0087】
スイッチ2及びスイッチ4のオン時間をT2、その時のリアクトル3の電流値をI2、直流電圧をE(=VDC)とすると、リアクトル3のリアクトル値Lは、下記の式(9)より求めることができる。
【0088】
【数20】
【0089】
したがって、周囲温度の変化や装置の稼働率により、リアクトル3のリアクトル値Lが変動した場合にも、コンデンサ7の粗充電電圧を逐次補正して充電精度を高めることができ、前記のような課題を解消できる。
【0090】
(実施形態5)
図5は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図であり、図3と異なる部分は電圧制御回路8による急速充電演算に、乗算回路9におけるゲインGをステップ状に切換える点にある。
【0091】
電圧制御回路8は、前回微調整充電時の時間T(スイッチ26のオフ時間)が要求される時間を超えた場合、次回以降の充電に用いる粗充電目標電圧設定用の乗算回路9のゲインGをステップ状に変化させることで、コンデンサ7の充電電圧を制御する。
【0092】
微調整充電時間(スイッチ26のオフ時間)Tは前記の式(6)より求まるが、この時間Tよりも実際の微調整充電時間が長くなることは、粗充電電圧が下がったことを意味し、前記のように、充電の繰り返し周期で決まる微調整期間内に設定値V*まで追加充電しきれなくなるという問題が生じる。
【0093】
したがって、要求される微調整充電時間Tよりも短い適当な時間T2を設定し、スイッチ26のオフ時間TがT2を超えたとき、次回以降に用いるゲインGを式(8−3)に代えて、以下の式(10)に従って求める係数(比率)を乗じた値に切換える。
【0094】
【数21】
【0095】
とする。ただし、前回までのゲインGをG0×g1とする。
【0096】
したがって、本実施形態においては、コンデンサ容量Cの変動またはリアクトル値Lの変動を補正するのに、ゲインGの切換えのみで、充電の繰り返し周期から要求される微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することができる。これにより、実施形態3等によるCやLの変動を演算で求める場合に比べて、式(8−3)によるゲインGを予め求めておくことができ、電圧制御回路8ではゲインGの演算が不要になる。
【0097】
(実施形態6)
図6は、本実施形態を示す充電装置の要部構成図である。前記までの実施形態1〜5では、急速充電期間の制御は電流iを検出しながらリアルタイムで前記の式(2)の演算を行うものであるが、急速充電開始直前に直流電源1の電圧VDCを検出すれば、目標電圧Vまでの充電に必要なスイッチ2及びスイッチ4のオン時間TONを予め算出することができる。例えば、直流電圧VDCの値をEとすると、
【0098】
【数22】
【0099】
であるから、前記の式(1)へ代入して、
【0100】
【数23】
【0101】
で算出可能である。
【0102】
そこで、電圧制御回路8は、上記の式(11)により算出する時間TONでスイッチ2,4をオフ制御し、この時間TONの算出に使用するコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を前記までの実施形態1〜5における演算によって補正しておく構成とする。これにより、リアクトル電流iの検出による急速充電電圧の補正を不要にする。
【0103】
(実施形態7)
本実施形態は、図9に示すLC共振型の急速充電回路に、前記までの実施形態1〜6と同様の急速充電制御を適用する場合である。
【0104】
具体的には、前記の実施形態3または実施形態5におけるゲインGの調整または切換えは、図9のLC共振型の急速充電回路にそのまま適用できる。また、前記の式(2)による電流iの演算に代えて、LC共振型の急速充電回路に適した前記の式(2−1)形のものにすれば実施形態1〜実施形態5と同様の補正ができる。
【0105】
さらに、前記の式(9)をLC共振型の急速充電回路に適した形のものにすれば実施形態4(図4)と同様にして補正できる。この場合、コンデンサ7の静電容量C、パルス発生回路18のパルス発生時間をT2、そのときのリアクトル21の電流値をI2、パルストランス19で昇圧した直流電圧をEとすると、リアクトル21の値Lは以下の式(9−1)より求めることができる。
【0106】
【数24】
【0107】
また、式(11)をLC共振型の急速充電回路に適した形のものにすれば実施形態6(図6)と同様にして補正できる。この場合、パルストランス19で昇圧した直流電圧をEとすると、以下の式(11−1)より、パルス発生回路18のパルス発生時間TONを求めることができる。
【0108】
【数25】
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態1を示す充電装置の要部回路図。
【図2】本発明の実施形態2を示す充電装置の要部回路図。
【図3】本発明の実施形態3を示す充電装置の要部回路図。
【図4】本発明の実施形態4を示す充電装置の要部回路図。
【図5】本発明の実施形態5を示す充電装置の要部回路図。
【図6】本発明の実施形態6を示す充電装置の要部回路図。
【図7】急速充電と微調整充電の回路例(その1)。
【図8】直流チョッパ型の電流・電圧波形。
【図9】急速充電と微調整充電の回路例(その2)。
【図10】LC共振型の電流・電圧波形。
【図11】充電電圧の変化の例。
【符号の説明】
【0110】
1 直流電源
2、4 半導体スイッチ
3 リアクトル
7 負荷コンデンサ
8 電圧制御回路
9 乗算回路
31 温度検出器
32 温度補正回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流チョッパ回路の出力でコンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電する直流チョッパ型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とするコンデンサ充電装置。
【請求項2】
パルス電圧出力を直流リアクトルを通してコンデンサに振動電流を流して該コンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電するLC共振型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とするコンデンサ充電装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記コンデンサ自体またはリアクトル自体の温度計測値、または急速充電回路の周囲の温度計測値から前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lを算出し、この算出したコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記コンデンサの粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流Iおよび微調整充電時間Tの計測結果から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびこれら計測結果から予測した粗充電電圧V1’から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正、または前記目標電圧Vの制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記直流チョッパ回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項7】
前記制御手段は、微調整充電時間Tが予め設定された時間T2を超えた場合、前記微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびコンデンサ容量Cと充電電圧指令値V*から求める比率で次回以降の前記目標電圧Vを切換え、微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を予め算出しておき、急速充電開始直前に、算出した容量Cとリアクトル値Lと、前記急速充電回路の直流電源電圧Eと前記目標電圧Vから該急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記コンデンサの容量Cと、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記急速充電回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cと、リアクトル値Lと、急速充電開始直前の直流電源電圧Eと充電電圧指令値V*から前記急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項1】
直流チョッパ回路の出力でコンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電する直流チョッパ型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とするコンデンサ充電装置。
【請求項2】
パルス電圧出力を直流リアクトルを通してコンデンサに振動電流を流して該コンデンサを充電電圧指令値に近い目標電圧まで急速充電するLC共振型の急速充電回路と、前記急速充電後に前記コンデンサを定電流充電で充電電圧指令値まで充電する微調整充電回路とを備えたコンデンサ充電装置において、
前記急速充電回路の電圧制御回路は、前記コンデンサの容量変動または前記急速充電回路がもつリアクトルのリアクトル値変動による前記急速充電電圧の変化を補正する制御手段を備えたことを特徴とするコンデンサ充電装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記コンデンサ自体またはリアクトル自体の温度計測値、または急速充電回路の周囲の温度計測値から前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lを算出し、この算出したコンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記コンデンサの粗充電電圧V1、微調整電圧V2、微調整電流Iおよび微調整充電時間Tの計測結果から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記微調整電圧V2、微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびこれら計測結果から予測した粗充電電圧V1’から前記コンデンサ容量C’を算出し、この算出したコンデンサ容量C’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正、または前記目標電圧Vの制御で補正することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記直流チョッパ回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項7】
前記制御手段は、微調整充電時間Tが予め設定された時間T2を超えた場合、前記微調整電流I、微調整充電時間Tの計測結果およびコンデンサ容量Cと充電電圧指令値V*から求める比率で次回以降の前記目標電圧Vを切換え、微調整充電期間内に充電電圧指令値V*まで充電することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cまたはリアクトル値Lの変動を予め算出しておき、急速充電開始直前に、算出した容量Cとリアクトル値Lと、前記急速充電回路の直流電源電圧Eと前記目標電圧Vから該急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記コンデンサの容量Cと、前記リアクトルに電流を流す時間T2と、そのときの電流I2および前記急速充電回路の直流電源電圧Eから前記リアクトルのリアクトル値L’を算出し、この算出したリアクトル値L’の変動による急速充電電圧の変化を前記急速充電回路の出力電流制御で補正することを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ充電装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記コンデンサ容量Cと、リアクトル値Lと、急速充電開始直前の直流電源電圧Eと充電電圧指令値V*から前記急速充電回路のオン期間TONを制御して急速充電電圧の変化を補正することを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ充電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−92746(P2008−92746A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273525(P2006−273525)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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