説明

コンデンサ構造

【課題】電極の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質を含むコンデンサを形成するために適した構造及び、このような構造を形成する方法を提供する。
【解決手段】第1の表面1および第2の表面5を有する電極、および電極の第1の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質2とを含み、ここで電極の第1の表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および250nm以下のW値を有する構造。第1の表面を有する金属箔を提供する工程、金属箔をニッケル電気メッキ浴と接触させる工程、および十分な陽極電位を印加して金属箔の第1の表面上にニッケルの層を堆積させる工程とを含み、ここでニッケルメッキされた第1の表面が200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する、電極構造を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してコンデンサ(capacitor)の分野に関する。特に、本発明は、プリント回路板の製造等において積層誘電物質内に埋め込み可能なコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
積層プリント回路板は、マルチチップモジュールと同様に、集積回路、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、および、その他のコンポーネントをはじめとする、電子コンポーネントの支持基体としての機能を果たす。従来的に、ディスクリート受動コンポーネント、たとえば、抵抗器、コンデンサおよびインダクタは、プリント回路板に表面実装される。このような表面実装されたディスクリート受動コンポーネントはプリント回路板の大きい面積を占有するので、集積回路のような能動コンポーネントの実装のために利用することができる空間を制限する。プリント回路板表面からの受動コンポーネントの除去は、能動コンポーネントの高密度化、プリント回路板のさらなる小型化、計算能力の増大、システムノイズの削減、および、リード線の短絡によるノイズ過剰反応の減少、を可能にする。受動コンポーネントを積層プリント回路板構造に埋め込むことにより、このようなコンポーネントをプリント回路板の表面から取り去ることが可能になる。
【0003】
コンデンサの容量密度は、誘電物質の厚さ、誘電物質の誘電率、および、電極の面積に依存する。誘電物質の厚さの減少はコンデンサの容量密度を増加させる。コンデンサの容量密度が増加するにつれて、コンデンサの必要面積が小さくなる。コンデンサによって使用される面積を縮小すると、そのコンデンサを使用するために必要なプリント回路板空間の大きさをまた縮小する。このようにして、より薄い誘電体層、したがって、より小さい面積を有するコンデンサが望まれる。しかし、誘電物質層が薄くなるにつれて、下にある導電性基体(電極)の形状が重要な考慮すべき事項になる。
【0004】
従来の埋め込み可能な薄いフィルム状コンデンサ構造は、典型的に、銅箔のような導電性基体上の誘電物質の堆積によって調製され、他の導電性層が導電性基体の反対側で誘電物質上に堆積される。これらの埋め込み可能なコンデンサを製造するために使用される銅箔は、従来的にプリント回路板産業において使用される銅箔である。
【0005】
銅箔は典型的に溶液から回転ドラムへの銅の電着によって生成される。ドラムに隣接した銅箔の表面は滑らかな(艶のある)表面であり、もう一方の表面は粗さの度合いがかなり高い(艶消し側)。箔の艶消し表面は、典型的に、基体への、たとえば、フォトレジストのような高分子層またはガラス強化エポキシのような高分子誘電物質へのより優れた接着を提供する。金属箔の形状構造は、従来的には、表面の粗さ、すなわち、峰と谷の距離を調べることによって評価される。
【0006】
コンデンサ誘電物質を箔の艶消し側に適用することは、ポリマーコーティングの場合と同様に、コンデンサ誘電物質と箔との間の接着を高めると考えられる。したがって、表面が粗くなるにつれて、コンデンサ誘電物質の箔への接着がよくなる。しかし、非常に粗い表面においては、薄いコンデンサ誘電物質が使用される場合に問題を生じる。粗い箔表面は、所定の容量密度を有する構造を実現するために、滑らかな箔表面よりも多量のコンデンサ誘電物質を堆積させることが必要である。より多量のコンデンサ誘電物質の添加は、滑らかな箔のために必要な堆積手順と比較して、追加の堆積手順を必要とする。このような追加の手順はプロセスのコストを非常に増やす。
【0007】
非常に粗い箔表面は、コンデンサ誘電物質層に、短絡の原因となる均一性の問題を生じさせうる。非常に滑らかな箔表面はコンデンサ誘電物質の箔への接着に悪影響を与えうる。薄いフィルム状コンデンサ製造のため望ましい箔は、コンデンサ誘電物質への十分な接着を確保しながら、所望の容量均一性を有する、より薄いコンデンサ誘電物質層を得るために十分な滑らかさを有する金属箔である。
【0008】
米国特許出願公開第2003/0068517号(Andresakisら)は、埋め込まれた受動デバイスのためのニッケル被覆銅箔を開示する。この特許出願では、従来の銅箔が使用される。この特許出願は、大量の短絡を伴うことなく埋め込み可能な薄いフィルム状誘電体を含むコンデンサを調製するために必要な、粗さのレベルと滑らかさのレベルのバランスを評価していない。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0068517号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1および第2の表面を有する電極と、電極の第1の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含み、第1の電極の第1の表面が200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する構造を提供することにより、上記の要求を解決する。
【0010】
本発明によってさらに提供されるのは、第1および第2の表面を有する電極と、電極の第1の表面上に配置されたバリア層と、バリア層上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含む構造であって、ここでバリア層が3原子パーセント未満の銅を含有する電着ニッケル層である構造である。
【0011】
さらに、本発明は、第1の表面を有する金属箔を提供する工程と、金属箔をニッケル電気メッキ浴と接触させる工程と、金属箔の第1の表面上にニッケルの層を堆積させるため、十分な陽極電位を印加する工程とを含む方法であって、ここでニッケルメッキされた第1の表面が200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する、電極構造を形成する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書の全体を通じて使用されるように、以下の省略形は、文脈上他の意味を示すことが明らかではない限り以下の意味を有する:℃=摂氏度、rpm=毎分回転数、mol=モル、hr=時間、min=分、sec=秒、nm=ナノメートル、μm=マイクロメートル、cm=センチメートル、in.=インチ、nF=ナノファラッド、および、wt%=重量パーセント。
【0013】
用語「プリント配線板」および「プリント回路板」は本明細書の全体を通じて相互置換可能に使用される。「堆積」および「メッキ」は本明細書の全体を通じて相互置換可能に使用され、無電解メッキと電解メッキの両方を含む。「多層」は2層以上を表す。用語「コンデンサ誘電物質」はコンデンサを形成するために使用される1層以上の誘電物質を表す。「積層誘電物質」は、多層材料の製造に使用され、コンデンサのような品目を内部に埋め込むことができる有機誘電物質を表す。「アルキル」は直鎖アルキル、分岐アルキルおよび環状アルキルを意味する。不定冠詞「a」および「an」は単数形および複数形を表す。すべての百分率は、他に注記しない限り、重量基準である。すべての数値範囲は、このような数値範囲が合計して100%になるように制約されていることが明らかである場合を除いて、境界値を含み、任意の順序で組み合わせることができる。
【0014】
一般に、本発明の誘電体構造は、コンデンサ誘電物質の層を電極の上に配置させることによって形成される。このような構造はコンデンサの作成に適している。本発明は、第1および第2の表面を有する電極と、電極の第1の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含み、電極の第1の表面が200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する構造を提供する。第1の電極表面および第2の電極表面は電極の第1の主要な表面および第2の主要な表面を表す。
【0015】
第1の電極は第1の導電性層を含む。多種多様の導電性層を本発明において適切に利用することができる。典型的に、導電性層は金属層である。このような導電性層は、金属箔の場合と同じように自己担持的であるか、または、基体上に堆積されうる。好適な金属箔には、これらに限定されないが、銅、銀、ニッケル、プラチナ、イリジウム、金、スズ、アルミニウム、および、それらの合金、たとえばステンレス鋼が挙げられる。好適な合金には、これらに限定されないが、スズ銅またはスズ−ビスマスのようなスズを含有する合金、クロムを含有する合金、および、ビスマスを含有する合金が挙げられる。好ましい金属箔は、銅、銀、金、プラチナ、アルミニウム、ニッケル、チタンおよびステンレス鋼である。
【0016】
本発明における使用に適した導電性金属箔は広範囲の厚さを有することができる。典型的に、このような導電性金属箔は、0.005mmから0.5mmまで(0.0002から0.02in.まで)の公称厚さを有する。金属箔の厚さは、しばしば重量の形で表現される。たとえば、好適な銅箔は、929cm当たり3.5〜397g(1平方フィート当たり0.125〜14オンス)、特に、929cm当たり7〜170g(1平方フィート当たり0.25〜6オンス)、より詳しくは、929cm当たり14〜140g(1平方フィート当たり0.5〜5オンス)の重量を有する。
【0017】
金属箔を従来の電着技術を使用して調製することができる。たとえば、導電性箔を、所望のレベルの表面粗さを箔のドラム表面に与えるために十分な表面を有するドラム陰極を使用して調製する。このようにして、200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する箔を、その後に表面処理を必要とすることなく生産することができる。これは従来の研磨方法を使用して行うことができる。代替的に、ドラムを、ドライフィルムまたは液体フォトレジストのいずれかのフォトレジストで被覆して、次に、適切な波長の化学線を使用してマスクを介して描画し、続いてフォトレジストを現像することができる。ドラムを次いでエッチングし、残りのフォトレジストを剥離して、所望の表面テクスチャを有するドラムを提供する。このようなテクスチャ付きドラムは所望の表面滑らかさを有する箔を提供するであろう。
【0018】
代替的に、好適な金属箔を従来の金属箔の表面処理または表面改質によって得ることができる。たとえば、ニッケル、銅、または、銀をはじめとする導電性物質の層を、200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する表面が得られるような方法で従来の金属箔の表面上に堆積させることができる。このような導電性物質の層は、様々な技術、たとえば、これらに限定されないが、スパッタリング、電着、無電解堆積、および、浸漬メッキによって金属箔上に堆積させることができる。別の実施例において、金属箔を化学研磨することができる。化学研磨は、エッチング液を利用して箔表面の一部を選択的に除去し、滑らかで平らな箔を提供し、そして、典型的に、銅の上に光輝仕上げを生成する。化学研磨は出発金属箔が希望よりも粗い場合に特に好適である。任意に、金属箔を、化学研磨の前に、たとえば、金属箔を好適なクリーナー(たとえばRohm and Haas Electronic Materialsから入手可能なRONACLEAN GP−300 LF)と接触させることにより、予備洗浄することができる。金属箔を、その金属箔を好適なエッチング液(たとえばRohm and Haas Electronic Materialsから入手可能なCHEM−POLISH 14−1 BRIGHT DIP)と接触させることによって研磨し、続いて水で洗い流し、次いで金属メッキして、所望の表面粗さを有する金属箔を提供する。このような金属メッキは、無電解ニッケルメッキのような無電解メッキ、または、電解メッキであってよい。
【0019】
基体上に堆積した導電性層は、基体上に配置された自己担持層および非自己担持層を含む。基体上の典型的な自己担持導電性層には、基体、たとえばエポキシまたはガラス充填エポキシ材料などの高分子誘電物質に積層された金属箔が挙げられる。非自己担持導電性層には、基体上に直接堆積した薄い金属層が挙げられる。基体には、これらに限定されないが、導電性金属および非導電性金属を含む金属と誘電物質とが挙げられる。典型的な誘電物質には、有機誘電物質、無機誘電物質およびそれらの混合物が挙げられる。好適な誘電物質には、これらに限定されないが、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、エポキシ、ガラス充填エポキシまたはポリイミドのようなガラス充填有機誘電体、および、セラミックが挙げられる。導電性層を、種々の手段、たとえばこれらに限定されないが、スパッタリング、化学気相成長(CVD)、物理気相成長、燃焼化学気相成長(CCVD)、雰囲気制御CCVD(CACCVD)、電気メッキ、無電解メッキ、浸漬メッキ、および、ラミネーションを用いて基体上に堆積させることができる。
【0020】
本発明の第1の電極は、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値をもつ表面を有する。表面の粗さは、典型的に、かなり微細な不規則性をもつ表面テクスチャで構成され、RaおよびRz(din)を含む。「Ra」は、ある特定の評価のための長さの範囲内で記録された平均ラインからのプロファイル(ピーク)高さ偏差の絶対値の算術平均を表す(平均粗さ)。一実施形態において、Raは100nm以下であり、より典型的には50nm以下である。Ra値は適切には1〜200nmである。Rz(din)値は、500μmの測定長さ内の任意の5個の連続的なサンプリング長さの、平均最大ピーク対谷の値である。このピークと谷の距離は、表面形態の高さと表面内の溝または谷との間の距離である。「ピーク」は中央線の上にあるプロファイルの所定の部分の最大高さの点である。「谷」は、中央線の下にある、プロファイルの所定の部分の最大深さの点である。一実施形態において、Rz(din)は1000nm以下であり、より典型的には600nm以下である。Rz(din)の好適な範囲は1〜2000nmであり、典型的には100〜2000nmであり、より典型的には200〜1000nmであり、さらにより典型的には200〜600nmである。「波状性(waviness)」は、表面テクスチャのより広く間隔のあいたコンポーネントであり、粗さサンプリング長さよりも大きく、かつ、波状性サンプリング長さよりも小さい間隔を有するすべての不規則性を含む。波状性高さ(「W」)は、10μmのフィルタによってフィルタリングすることによって粗さが除去された改質されたプロファイルのピーク対谷の高さである。一実施形態において、Wは150nm以下であり、より典型的には75nm以下である。Wの値の例示的な範囲は1〜250nmである。粗さおよび波状性パラメータとこれらのパラメータの値を決定する方法のさらなる説明は標準ASME B46.1−2002、「Surface Texture(Surface Roughness,Waviness,and Lay)」、American Society of Mechanical Engineers、2003に記載されている。金属箔の表面粗さを任意の好適な従来の表面形状測定装置を使用して測定することができる。
【0021】
本発明の第1の電極は、任意に、導電性層上に配置されたバリア層を含みうる。バリア層は、典型的に、導電性層の酸化を防止し、また、金属箔とコンデンサ誘電物質との間の熱膨張係数の不整合を小さくすることができる。銅導電性層の場合、バリア層は銅のコンデンサ誘電物質へのマイグレーションを防止する。銅マイグレーションは短絡のよく知られた原因である。バリア層は、導電性層のいずれか一方の表面、または、導電性層の両方の表面上に存在することができる。典型的に、バリアは少なくともコンデンサ誘電物質の最も近い表面上にある。導電性層が銅箔である場合、好ましくは、バリア層が使用される。バリア層の厚さは、広範囲にわたって変化することができ、この範囲に限定されないが、たとえば、0.1〜3μm、特に、0.25〜2.5μmにわたる。
【0022】
バリア層は当業者によく知られている。好適なバリア層には、これらに限定されないが、亜鉛、インジウム、スズ、ニッケル、コバルト、真鍮、および、青銅が挙げられる。好ましいバリア層は、下にある導電性層と類似した熱膨張係数を有するものである。バリア層を、電解的に、無電解的に、浸漬メッキによって、スパッタリングによって、CVDによって、CACCVDによって、および、CCVDによって堆積させることができる。好ましくは、バリア層を、電解的、無電解的、または、浸漬メッキによって堆積させる。銅のための特に適したバリア層は、ニッケル含有層であり、より具体的には、電着ニッケル含有層である。クロムはある種のコンデンサ誘電物質に対して有害である場合があるため、バリア層として機能するクロム含有層はバリア層として好ましくない。追加の接着促進剤をバリア層とコンデンサ誘電物質との間に配置することができるが、このような接着促進剤は必須ではない。
【0023】
代替的な実施形態において、本発明は、第1および第2の面を有する電極と、電極の第1の表面上に配置されたバリア層と、バリア層上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含み、バリア層がニッケル層のバルク中に3原子パーセント未満の銅を含有する電着ニッケル層である構造を提供する。ニッケル層は、ニッケルでも、ニッケル−リンのような好適なニッケル合金でもよい。ニッケル−クロム合金およびニッケル−銅合金はこの用途にはとりわけ好適ではない。ニッケル層中の3原子パーセント以上の銅の存在は、電気特性の他に、エッチング特性、ニッケルバリア層の導電性層への接着性、熱処理挙動のようなニッケル層のその他の特性、および、コンデンサを積層誘電物質に埋め込む後続のプロセスに著しい影響を与える。好ましくは、電着ニッケル層中の銅は2原子パーセント以下の量で存在する。ニッケル層中の他の好適な銅の量は1原子パーセント以下、さらには0.5原子パーセント以下である。高純度電気メッキニッケル層は、当業者の能力の範囲内に十分に入る高純度ニッケル電気メッキ浴の使用、および、多数のニッケル層の電着によるような種々の方法によって実現されうる。たとえば、第1のニッケル層を電着させた後に続いて、高純度試薬を利用するメッキ浴を使用して第2のニッケル層を電着させる。一実施形態において、ニッケル層は3原子パーセント未満の銅を含有する第1の領域と、1原子パーセント以下を含有する第2の領域とを有する。具体的な実施形態において、第1の電極は、銅箔と、総厚が0.5〜2μmであるニッケルバリア層とを含み、バリア層は、銅箔に隣接した、最大で10nmまでの厚さがあり、3原子パーセントの銅を含有する第1の領域と、10〜20nmであり、1原子パーセント以下の銅を含有する第2の領域と、0.5原子パーセント以下の銅を含有する第3の領域とを含む。別の実施形態において、ニッケル層は1原子パーセント以下の鉄とコバルトのそれぞれを含有し、好ましくは、実質的に鉄とコバルトのそれぞれを含まない。銅およびその他の金属不純物の量は、EDSおよびXPSのような従来の技術を使用して決定される。
【0024】
電着バリア層のさらなる有利な点は、電着バリア層を使用して、導電性層の表面の粗さを調整し、所望の粗さ、すなわち、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する表面粗さ、を有する表面を有する電極を提供することができる点である。このようにして、所望の表面粗さをもたない導電性層を、所望の表面粗さがバリア層の堆積に続いて得られる限り、利用することができる。
【0025】
たとえば、所望の程度の粗さをもたない第1の表面を有する金属箔を、得られるニッケルメッキ表面が所望の程度の粗さをもつように、ニッケルでメッキすることができる。したがって、本発明は、第1の表面を有する金属箔を提供する工程と、金属箔をニッケル電気メッキ浴と接触させる工程と、金属箔の第1の表面上にニッケルの層を堆積させるため十分な陽極電位を印加する工程とを含む方法であって、ここでニッケルメッキされた第1の表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値および250nm以下のW値を有する、電極構造を形成する方法を提供する。一実施形態において、金属箔は銅箔である。
【0026】
多種多様のコンデンサ誘電物質を本構造において使用することができる。典型的に、コンデンサ誘電物質は、中程度のおよび高い誘電率の物質、ならびに、それらの混合物から選択される。一実施形態において、コンデンサ誘電物質は、7以上の誘電率を有する。別の実施形態において、コンデンサ誘電物質は、10以上、典型的には25以上、より典型的には50以上、さらにより典型的には100以上の誘電率を有する。
【0027】
例示的な、中程度および高い誘電率のコンデンサ物質には、これらに限定されないが、セラミック、金属酸化物、高分子材料およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なセラミックおよび金属酸化物には、非限定的に、二酸化チタン(TiO)、Taのような酸化タンタル、式BaTi(式中aおよびbは独立に0.5〜1.25であり、cは2.5〜5である)を有するチタン酸バリウム、SrTiOのようなチタン酸ストロンチウム、式BaSrTi(式中xおよびyは独立に0〜1.25から選択され、zは0.8〜1.5であり、qは2.5〜5である)を有するようなチタン酸バリウムストロンチウム、PbZrTi1−yのようなチタン酸鉛ジルコニウム、式(Pb1−x)(ZrTi1−y)O (式中Mはアルカリ土類金属、およびニオブおよびランタンのような遷移金属をはじめとする種々の金属の任意のものであり、xは酸化物中の鉛含有量を、yはジルコニウム含有量を表す)を有する一連のドープトチタン酸鉛ジルコニウム、LiNbOのような酸化ニオブリチウム、(PbMg1−x)TiOのようなチタン酸鉛マグネシウム、(PbMg1−x)NbOのような酸化ニオブ鉛マグネシウム、およびチタン酸鉛ストロンチウム(PbSr1−x)TiOが挙げられる。コンデンサ誘電物質がBaTiを含む場合、好ましくは、aおよびbは共に1であり、cは3であり、すなわち、BaTiOである。他の好適なコンデンサ誘電物質には、これらには限定されないが:シルセスキオキサン、たとえばアルキルシルセスキオキサン、アリールシルセスキオキサン、ヒドリドシルセスキオキサンおよびこれらの混合物;シリカ;シロキサン;およびその類似物;たとえば任意の前記の混合物、が挙げられる。好適なアルキルシルセスキオキサンには、(C−C10)アルキルシルセスキオキサン、たとえばメチルシルセスキオキサン、エチルシルセスキオキサン、プロピルシルセスキオキサン、および、ブチルシルセスキオキサンが挙げられる。好ましくは、コンデンサ誘電物質には、セラミック、金属酸化物、または、それらの混合物が挙げられる。セラミックは、本発明において特に有用な誘電物質である。このようなセラミックコンデンサ誘電物質は、種々の結晶構造で使用することができ、たとえばこれらに限定されないが、perovskite(ABO)、pyrochlore(A)、ルチル、および、コンデンサ誘電体としての使用に適した電気特性を有するその他の構造的なポリモーフが挙げられる。
【0028】
ポリマー/セラミック複合体、または、ポリマー/金属酸化物複合体のコンデンサ誘電物質が使用される場合、セラミックまたは金属酸化物物質を粉末としてポリマーとブレンドすることができる。セラミックまたは金属酸化物がポリマー無しで使用される場合、このようなセラミックまたは金属酸化物を、種々の手段、たとえばこれらに限定されないが、ゾルゲル法、メニスカスコーティング、浸漬コーティング、物理的および/または反応性蒸着、スパッタリング、レーザーに基づく堆積技術、化学気相成長、燃焼化学気相成長、制御雰囲気化学気相成長、水素化物気相堆積、液相エピタキシ、および、エレクトロエピタキシによって堆積させることができる。好ましくは、このようなセラミックまたは金属酸化物をゾルゲル技術を使用して堆積させる。
【0029】
このようなゾルゲルプロセスにおいて、たとえばチタン酸バリウムストロンチウム(BST)コンデンサ誘電物質の堆積によって本明細書中で例示すると、チタンアルコキシドの溶液、バリウム前駆体およびストロンチウム前駆体を、所望の化学量論量で反応させ、溶媒/水の溶液を用いて制御可能に加水分解させる。チタンアルコキシドとして好ましいものはチタンイソプロポキシドである。「バリウム前駆体」は、種々のバリウム化合物、たとえばカルボン酸バリウム、およびグリコールと酸化バリウムの反応生成物から選択することができる。例示的なカルボン酸バリウムには、これらに限定されないが、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、および、プロピオン酸バリウムが挙げられる。典型的なグリコールは、エチレングリコールおよびプロピレングリコールである。グリコール−酸化バリウム反応生成物は、典型的に、チタンアルコキシドの添加前にアルコールで希釈される。「ストロンチウム前駆体」は、好適なストロンチウム化合物、たとえばカルボン酸ストロンチウム、たとえばギ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、および、プロピオン酸ストロンチウムでありうる。希釈剤として使用するため適したアルコールには、これらに限定されないが、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、ブタノールおよびペンタノールが挙げられる。
【0030】
ゾル堆積技術の一実施例として、BSTを以下の通り調製することができる。酢酸バリウムおよび酢酸ストロンチウムを、乳酸と水の溶液中に溶解させる。キレート剤を溶液に添加し、溶液を加熱還流する。好適な溶媒を次いで添加し、水を蒸留してBa/Sr溶液を提供する。別個の反応槽内で、チタンイソプロポキシドをキレート剤および溶媒とともに撹拌して、Ti溶液を提供する。Ti溶液をBa/Sr溶液と混ぜ合わせ、混合物を加熱還流する。反応混合物を、次いで、溶媒で大容積になるまで希釈して、そしてその混合物、すなわちBSTゾルは、スピンコーティングまたはメニスカスコーティングなどを用いて基体をコーティングすることができる状態となる。
【0031】
加水分解溶液(すなわち「ゾル」)の薄い粘着性フィルムを次いで、浸漬コーティング、1000〜3000rpmのスピンコーティング、または、メニスカスコーティングのような好適な方法によって基体に適用する。メニスカスコーティングが特に好適な技術である。
【0032】
メニスカスコーティングにおいては、基体を真空チャックに設置する。チャックを、次いで、基体をコーティング位置に位置させるためアプリケータバーの向こう側に反転させる。アプリケータバーは、閉口端、開口端、および、長さ方向に延びるスロットを有するチューブであり、スロットはチューブの内部と連通し、ここでアプリケータバーを、スロットがチューブの上面になるように水平方向に配置する。被覆させるべきゾルをはじめとする物質を、開口端を介してアプリケータバーに供給する。一実施形態において、物質を開口端を介してチューブに注入する。別の実施形態において、アプリケータバーをリザーバ内に配置する。ゾルはチューブの中を流れ、スロットを介してチューブから出て、メニスカスを形成する。基体を、被覆されるべき基体の表面がゾルのメニスカスと接触するようにアプリケータバーの上に設置する。アプリケータバーは基体の下で移動し、基体表面にゾルのコーティングを提供する。代替的に、銅箔のような、より具体的にはニッケルメッキ銅箔のような金属箔のロールなどの被覆されるべき基体のウェブを、基体表面を被覆するために、移動させ、または、代替的には静止したアプリケータバーの上を通過させることができる。
【0033】
代替的に、コンデンサ誘電物質で被覆されるべき基体を、毎分2〜12cm(毎分1〜5インチ)の平均速度で、典型的には、毎分2〜8cmの平均速度でゾル中に浸漬させることができる。
【0034】
コーティングの後に続いて、フィルムを200〜600℃の温度で、5〜15分間加熱して、有機種を揮発させ、および「ゲル」フィルムを乾燥させる。他の好適な温度および時間を使用することができ、その選択は当業者の能力の範囲内である。フィルム厚を増加させるために多数回のコーティングが必要である場合がある。有機物および水の大半は、500℃で加熱することによりフィルムから除去され、BSTフィルムは僅かに部分的に結晶性である。
【0035】
ゾルゲルプロセスから堆積したフィルムまたは層の厚さは、部分的に回転率(スピンコーティング)、コーティング速度(たとえば、メニスカスコーティング)、および、溶液の粘性に依存する。典型的に層の厚さは25nm以上であり、より典型的には、50nm以上であり、さらにより典型的には100nm以上である。特に有用な厚さは、25〜700nmの範囲であり、より具体的には50〜250nmの範囲である。コンデンサ誘電体構造の全厚は、誘電体構造の各層の厚さの合計によって決定される。
【0036】
フィルムを次いで一定の期間にわたってアニールして所望の結晶構造を提供する。たとえば、このようなフィルムを500〜800℃の温度範囲でアニールすることができる。典型的に、アニーリングの期間は約15分間であるが、しかし、種々のアニーリング時間を使用することができ、これは特定のセラミック誘電体化合物および基体に依存する。このようなアニーリング時間の選択は当業者の能力の範囲内の事項である。望ましいアニーリング条件は、555〜650℃で約15分間である。このようなアニーリングを、様々な雰囲気下、たとえば大気雰囲気下、または、不活性雰囲気下、たとえば窒素およびアルゴン下で実行することができる。フィルムを任意にさらにアニールして、フィルムの結晶性を改良することができる。この任意工程において、所望の結晶性が得られるまで、好適な雰囲気において毎時200℃の割合で600〜900℃の最終的なアニーリング温度までフィルムを加熱することができる。代替的に、フィルムを急速熱アニーリング技術を使用してアニールすることができ、これは当業者によく知られている。
【0037】
コンデンサ誘電物質は、任意に第2の電極メッキ強化領域を含むことができる。米国特許第6,819,540号(Allenら)に開示されている領域のような孔または空隙を有する領域、米国特許第6,661,642号(Allenら)に開示されている領域のようなメッキドーパントを含有する領域、または、係属中の米国特許出願番号第11/191,486(Rzeznik)に開示された領域のようなポジティブトポグラフィドーパントを有する領域などの種々のメッキ強化領域を使用することができる。
【0038】
コンデンサは、典型的に、一対の電極を含み、コンデンサ誘電物質が電極の間に配置されている。上記の構造内のコンデンサ誘電物質上に第2の電極を配置することにより、本発明に従ってコンデンサを調製することができる。このような第2の電極は、第1の電極に隣接した表面の反対側にあるコンデンサ誘電物質の表面上に配置されている。本コンデンサは、コンデンサが有機高分子誘電物質に埋め込むことができるプリント回路板製造において特に有用である。
【0039】
第2の電極は、上記の導電性物質のような任意の好適な導電性物質である第2の導電性層を含む。さらに、第2の導電性層は導電性高分子を含むことができる。好適な導電性高分子には、金属充填高分子、たとえば銅充填高分子および銀充填高分子、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、グラファイトが挙げられる。第2の電極は第2の導電性層を含み、任意に、1層以上のバリア層および触媒層を含むことができる。上記のバリア層のいずれもが好適である。「触媒層」は、無電解金属堆積または電気メッキを触媒作用的に促進する層のような、電極形成を触媒作用的に促進する層を表す。
【0040】
第1および第2の電極のいずれか一方、または、両方の電極は、2層以上の導電性物質層を含むことができる。たとえば、本コンデンサにおいて有用な電極は、銅の層とニッケルの層を含むことができる。その他の導電性物質の組み合わせを適切に利用することができる。第1および第2の電極のいずれか一方、または、両方の電極は、2層以上のバリア層を含むことができる。
【0041】
本発明の構造の一実施形態を示す図1Aにおいて、コンデンサ誘電物質2を第1の電極1上に配置する。第1の電極1は好適には銅箔であり、より具体的にはニッケルメッキ銅箔である。コンデンサ誘電体は、セラミックおよび特にBST、チタン酸バリウム、チタン酸鉛ジルコニウム、または、チタン酸鉛ランタンジルコニウムのような任意の好適な物質である。第1の電極1が銅である場合、好ましくは、第1の電極は、銅電極の一方または両方の表面上にニッケルのようなバリア層を含む。コンデンサを、図1Bに示されるように、第2の電極5をコンデンサ誘電物質2の表面上に堆積させることにより製作する。このようなコンデンサでは、第2の電極は任意の好適な導電性物質からなることができる。図1Cは、コンデンサ誘電物質2と第2の導電性層5bとの間に配置されたバリア層5aを有する第2の電極5を含むコンデンサのさらなる実施形態を示す。したがって、本発明は、第1の電極、第2の電極、および、第1の電極と第2の電極との間に配置されたコンデンサ誘電物質を含み、コンデンサ誘電物質に隣接した第1の電極の表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する、コンデンサを提供する。本発明によってさらに提供されるのは、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する第1の電極の表面上に、コンデンサ誘電物質を配置する工程と、コンデンサ誘電物質上に第2の電極を配置する工程とを含む、コンデンサを形成する方法である。
【0042】
コンデンサ誘電物質2が第1の導電性層3および第1のバリア層4を含む第1の電極1上に配置される本発明の構造のさらなる実施形態が、図2Aに示されている。第2のバリア層(図示せず)を第1のバリア層4を含む表面とは反対側の導電性層3の表面上に配置することができる。コンデンサ誘電物質に隣接した第1の電極1の表面は、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する。コンデンサを、図2Bに示されるように、コンデンサ誘電物質2の表面上に第2の電極5を配置することにより製作する。このようなコンデンサにおいて、第2の電極は任意の好適な導電性物質からなることができる。図2Cは、第1の電極1、第2の電極5、および、第1の電極と第2の電極との間に配置されたコンデンサ誘電物質2を含むコンデンサであって、第1の電極1が第1の導電性層3および第1のバリア層4を含み、第2の電極5が第2のバリア層5aおよび第2の導電性層5bを含む、さらなる実施形態を示す。当業者によって理解されるように、第2のバリア層(図示せず)を、第1のバリア層とは反対側の第1の導電性層の表面上に配置することができる。
【0043】
本発明のコンデンサは、積層プリント回路板において埋め込み型コンデンサとして使用するため特に適している。このようなコンデンサは積層プリント回路板の製造中に積層誘電体に埋め込まれる。積層誘電体は、典型的に、有機高分子、たとえばエポキシ、ポリイミド、繊維強化エポキシ、および、プリント回路板の製造の際に誘電体として使用されるその他の有機高分子である。一般に、積層誘電体は、6以下の誘電率を有し、典型的に、3〜6の範囲に入る誘電率を有する。本コンデンサを、米国特許第5,155,655号(Howardら)に開示された手段のような当該技術分野において知られた種々の手段を用いて埋め込むことができる。
【0044】
図3AからCは、本発明の埋め込み可能なコンデンサを形成する一般的な方法を示す。コンデンサ誘電体物質層25を、メニスカスコーティングなどを用いて電極20上に被覆する。誘電層25がBSTのようなセラミックからなる場合、誘電層は、典型的に、多層のBST前駆体(図示せず)の堆積物を含む。導電性基体20がニッケル被覆銅箔のような被覆箔である場合、導電性基体は銅層20aを含み、これはニッケル層20bおよび20c(銅層20aの反対側の主要表面上に配置されている)を有する。層20bおよび20cは、追加的な物質の層、または、代替的な物質の層をさらに含むことができると理解されるであろう。アニーリング後、セラミック誘電体被覆電極20は、典型的に、図3Bに示されるように、高分子積層誘電体30にラミネートされる。次いで、第2の電極27がコンデンサ誘電体物質層25の表面に提供される(図3Cを参照)。電極27は、無電解メッキの後に続く電解メッキなどの任意の好適な手段によって形成することができる。一実施形態において、電極27は、無電解ニッケルバリア層のような第1の層27aと、電気メッキ銅層のような第2の層27bを含む。
【0045】
したがって、本発明は、多層積層プリント回路板の層に構造を埋め込む工程を含み、埋め込まれた構造が電極の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質を含み、その表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する、多層積層プリント回路板を製造する方法を提供する。コンデンサ誘電物質は電極とオーム接触する。代替的な実施形態において、本発明は、多層積層プリント回路板の層に構造を埋め込む工程を含み、埋め込まれた構造が電極の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質を含み、電極が導電性層の第1の表面上に配置されたバリア層を含み、バリア層が0.5原子パーセント以下の銅を含有する電着ニッケル層であり、バリア層がコンデンサ誘電物質とオーム接触する、多層積層プリント回路板を製造する方法を提供する。
【0046】
本コンデンサをプリント回路板のような電子デバイスに埋め込む前に、それらをエッチングして、ディスクリートコンデンサを形成することができ、代替的に、シートとして使用して、分布コンデンサを形成することができる。埋め込み型ディスクリートコンデンサの形成は図4A−4Hに示されている。コンデンサ誘電体物質層25に隣接した、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値を有する第1の表面(図示せず)を有する第1の電極(ニッケル被覆銅箔)20、たとえばBST、および第2の電極(銅メッキ無電解ニッケル)27を有するコンデンサ35が、高分子積層誘電体30上に、提供される(図4Aを参照)。第1の表面とは反対側の第1の電極の表面を第1の表面よりも粗くして、引き続き適用される高分子誘電物質(図示せず)に十分に接着させることができると認識されるであろう。第2の電極27には、フォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materials, Marlborough, Massachusettsからどちらも入手可能であるRADIANCEまたはSN35のような乾燥フィルムまたは液体のいずれか)が配置され、フォトレジストを好適な波長で描画し、現像して、パターン状フォトレジスト50を提供する。これは図4Bに示されており、フォトレジストがない第2の電極27の一部分が露出している。次いで、第2の電極を2N HCl/10% CuClなどを用いてエッチングして、フォトレジストのない第2の電極の区域を除去する。パターン状フォトレジスト50は、次いで剥離され、図4Cに示されるように、パターン状の第2の電極28およびコンデンサ誘電体物質層25の露出した区域を有するコンデンサを提供する。第2のフォトレジストのコーティングをパターン状の上部電極に適用する。このフォトレジストを、好適な波長で描画し、現像して、パターン状フォトレジスト55を提供する。これは図4Dに示されており、パターン状フォトレジスト55が、パターン状の第2の電極28およびコンデンサ誘電体物質層25の一部分を覆っている。コンデンサ誘電層25の露出した部分を次いで、たとえば、適切なセラミックエッチによるエッチングによって除去し、パターン状の第2の電極28、パターン状のコンデンサ誘電層26、および、第1の電極20の露出した部分を有する図4Eに示された構造を提供する。第3のフォトレジストのコーティングを、パターン状の第2の電極、パターン状のコンデンサ誘電層、および、第1の電極の一部分に適用する。このフォトレジストを、好適な波長で描画し、現像して、パターン状フォトレジスト60を提供する。これは図4Fに示されており、パターン状フォトレジスト60が、パターン状の第2の電極28、パターン状のコンデンサ誘電層26、および、第1の電極20の一部分を覆っている。コンデンサはこの時点でさらなる処理を加えることなく分布コンデンサとして利用することができると理解されるであろう。フォトレジストのない第1の電極の区域を、次いで、2N HCl/10% CuClなどでエッチングし、パターン状フォトレジスト60を次いで除去し、図4Gに示されるように、高分子積層誘電体30上にディスクリートコンデンサ40を提供する。次いで、ディスクリートコンデンサ40を、図4Hに示されるように、コンデンサ40を埋め込む第2の高分子積層誘電体45にラミネートする。代替的な実施形態(図示せず)において、第2の電極、コンデンサ誘電体層、および、第1の電極を単一工程でエッチングすることができる。
【0047】
ディスクリートコンデンサが積層誘電体に埋め込まれた後、上部電極および下部電極への接点を形成する。図5Aは、高分子積層誘電体70上に配置され、高分子積層誘電体80に埋め込まれたディスクリートコンデンサ75を示す。高分子積層誘電体80はフォト描画可能でも可能でなくてもよい。ビアが次いで高分子積層誘電体80に提供される。高分子積層誘電体がフォト描画可能である場合、このようなビアはフォト描画技術を使用して形成することができる。このようなビアを、さらに、CO、YAGまたはその他の好適なレーザーを使用するレーザー穿孔のような穿孔によって形成することができる。図5Bは、第1のビア85aおよび第2のビア86aを有する埋め込み型ディスクリートコンデンサを示す。第1のビア85aはパターン状の第2の電極28を露出させ、第2のビア86aはパターン状の第2の電極21を露出させる。第1の接点85bおよび第2の接点86bを次いで、図5Cに示されるように、第1のビア85aおよび第2のビア86aにそれぞれ形成する。このような接点は、無電解メッキのような任意の好適な方法によって形成することができる。代替的な第1の接点85cおよび代替的な第2の接点86cが図5Dに示されている。代替的な接点85cおよび86cは、無電解メッキ、電気メッキ、または、無電解メッキと電気メッキの組み合わせのような任意の好適な方法によって形成することができる。代替的な接点を形成するための好適な電気メッキプロセスは、CUPULSEメッキプロセスである(Rohm and Haas Electronic Materialsから入手可能である)。
【0048】
電極は、929cm当たり14g(1平方フィート当たり0.5オンス)の厚さを有する銅箔上にニッケル含有バリア層を電気メッキすることにより形成された。このニッケル含有バリア層は、従来のニッケルメッキ浴を使用して形成された第1の電着ニッケル層と、ニッケル−リン合金の第2の電着ニッケル層とを含んでいた。ニッケル含有バリア層の全体は、0.5原子パーセント以下の銅を含有していた。箔は675℃でアニールされた。アニーリング後、銅箔からのニッケル含有バリア層の層間剥離は観察されなかった。電極の表面は、200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および、250nm以下のW値をもっていた(図6を参照)。対照的に、別の電極は、929cm当たり14g(1平方フィート当たり0.5オンス)の厚さを有する銅箔上に3〜5原子パーセントの銅を含有するニッケル含有バリア層を電気メッキすることにより調製された。この電極は、上記のアニーリング条件と同じ条件に置かれた。アニーリング後、ニッケルバリア層は、図7に示されるように、銅箔から著しく層間剥離したことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】本発明の一実施形態の断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態の断面図である。
【図1C】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2A】本発明のさらなる実施形態の断面図である。
【図2B】本発明のさらなる実施形態の断面図である。
【図2C】本発明のさらなる実施形態の断面図である。
【図3A】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図3B】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図3C】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4A】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4B】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4C】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4D】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4E】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4F】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4G】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図4H】本発明のコンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図5A】本発明による埋め込み型コンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図5B】本発明による埋め込み型コンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図5C】本発明による埋め込み型コンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図5D】本発明による埋め込み型コンデンサを形成する一つのプロセスを説明する図である。
【図6】本発明のニッケル被覆銅箔を説明する図である。
【図7】比較対照のニッケル被覆銅箔を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1の電極
2 コンデンサ誘電物質
3 第1の導電性層
4 第1のバリア層
5 第2の電極
5a バリア層
5b 第2の導電性層
20 第1の電極
20a 銅層
20b,20c ニッケル層
21 パターン状の第1の電極
25 コンデンサ誘電体層
26 パターン状のコンデンサ誘電体層
27 第2の電極
27a 第1の層
27b 第2の層
28 パターン状の第2の電極
30,45,70,80 高分子積層誘電体
35 コンデンサ
40,75 ディスクリートコンデンサ
50,55,60 パターン状フォトレジスト
85a 第1のビア
85b,85c 第1の接点
86a 第2のビア
86b,86c 第2の接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および第2の表面を有する電極、および電極の第1の表面上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含む構造であって、ここで電極の第1の表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および250nm以下のW値を有する構造。
【請求項2】
電極が導電性層およびバリア層を含む、請求項1記載の構造。
【請求項3】
コンデンサ誘電物質が10以上の誘電率を有する、請求項1記載の構造。
【請求項4】
請求項1記載の構造を含み、コンデンサ誘電物質上に配置された第2の電極をさらに含む、コンデンサ。
【請求項5】
第1の表面および第2の表面を有する電極、電極の第1の表面上に配置されたバリア層、およびバリア層上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含む構造であって、ここでバリア層が3原子パーセント未満の銅を含有する電着ニッケル層である構造。
【請求項6】
コンデンサ誘電物質が10以上の誘電率を有する、請求項5記載の構造。
【請求項7】
請求項5記載の構造を含み、コンデンサ誘電物質上に配置された第2の電極をさらに含む、コンデンサ。
【請求項8】
第1の表面および第2の表面を有する銅導電性層を備えた電極、導電性層の第1の表面および第2の表面のそれぞれの上に配置された0.5〜2μmの厚さを有するバリア層、および電極の第1の表面上に配置されたバリア層上に配置されたコンデンサ誘電物質とを含む構造であって、ここで各バリア層が3原子パーセント未満の銅を含む電着ニッケル層であり、およびここでコンデンサ誘電物質がセラミック、金属酸化物、高分子材料、および、それらの組み合わせから選択される構造。
【請求項9】
第1の表面が200nm以下のRa値、2000nm以下のRz(din)値、および250nm以下のW値を有する請求項8記載の構造。
【請求項10】
第1の表面を有する金属箔を提供する工程、金属箔をニッケル電気メッキ浴と接触させる工程、および十分な陽極電位を印加して金属箔の第1の表面上にニッケルの層を堆積させる工程とを含む、電極構造を形成する方法であって、ニッケルメッキされた第1の表面が200nm以下のRa値と2000nm以下のRz(din)値と250nm以下のW値を有する、電極構造を形成する方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図4F】
image rotate

【図4G】
image rotate

【図4H】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−140454(P2006−140454A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−294786(P2005−294786)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(596156668)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (31)
【住所又は居所原語表記】455 Forest Street,Marlborough,MA 01752 U.S.A
【Fターム(参考)】