説明

コンバインの刈取部構造

【課題】本発明は、バリカン型の刈取装置を備えたコンバインの刈取部構造において、簡単な改良で外側分草フレームと刈取フレームとの連結部、並びに刈取フレームの剛性を高めることを目的とする。
【解決手段】前処理部のメインフレーム12に連結した下部横フレーム13と、左右の外側分草フレーム14と、刈取装置9を装着した刈取フレーム15と、刈取フレーム15に連結した複数の内側分草フレーム14とを備え、左右の外側分草フレーム14の近くの下部横フレーム13と刈取フレーム15とに亘って第1補強部材25を固定するとともに、第1補強部材25と外側分草フレーム14との間に第2補強部材26を固定して、外側分草フレーム14と刈取装置9を支持する刈取フレーム15との連結部、並びに刈取フレーム15の剛性を高めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行機体の前部に昇降自在に備えた前処理部フレームにバリカン型の刈取装置を備えたコンバインの刈取部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の前部に昇降自在に備えた前処理部フレームにバリカン型の刈取装置を備えたコンバインの刈取部構造としては、例えば特許文献1に示されているように、前処理部フレームとして、走行機体側の支持部に基部を左右横向きの軸芯回りに回動自在に連結したメインフレーム(伝動ケース52)と、メインフレーム52の延出下端部に連結した下部横フレーム(伝動ケース53)と、下部横フレーム53の左右外側からそれぞれ機体前方向きに延出した外側分草フレーム56と、下部横フレーム53よりも前方に離間して左右の外側分草フレーム56,56間に亘って連結した刈取フレーム(支持フレーム57)と、刈取フレーム57から機体前方向きに延出した複数の内側分草フレーム58とを備え、刈取フレーム57と左右の外側分草フレーム56,56に刈取装置13を装着し、下部横フレーム53と刈取フレーム57との間の位置における左右の外側分草フレーム56,56から内側にそれぞれ丸パイプフレーム54を延設し、この丸パイプフレーム54と刈取フレーム57とに刈刃駆動用のアームを軸支するアーム支持部材を取付けた構成が知られている。
【特許文献1】特開2003−284421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成では、圃場の端、特に圃場のコーナーでの旋回時や畦越え時などで片側の外側分草フレーム56や分草具11の側面が畦に当たったり、分草具11が畦に突き刺さったりしたときに外枠を構成する刈取フレーム(特に下部横フレーム53に対する外側分草フレーム56の連結部、外側分草フレーム56と刈取フレーム57との連結部)に大きな力が掛かり、変形に発展するおそれがあった。特に、刈取フレーム57と外側分草フレーム56との連結部に変形が生じると刈取装置13の刈取性能が低下するおそれがあった。
【0004】
本発明の目的は、刈取フレームを殊更大きなものとしなくても簡単な改良を以って外側分草フレームと下部横フレーム及び刈取フレームとの連結部の強度アップを図ることのできるコンバインの刈取部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、走行機体の前部に昇降自在に備えた前処理部フレームにバリカン型の刈取装置を備えたコンバインの刈取部構造であって、前処理部フレームには、走行機体側の支持部に基部を左右横向きの軸芯回りに回動自在に連結したメインフレームと、メインフレームの延出下端部に連結した下部横フレームと、下部横フレームの左右外側からそれぞれ機体前方向きに延出した外側分草フレームと、下部横フレームよりも前方に離間して左右の外側分草フレーム間に亘って連結した刈取フレームと、刈取フレームから機体前方向きに延出した複数の内側分草フレームとを備え、刈取フレームに刈取装置を装着し、左右の外側分草フレームの内側で、且つ複数の内側分草フレームよりも外側の位置における下部横フレームと刈取フレームとに亘って第1補強部材を固定するとともに、下部横フレームと刈取フレームとの間の位置における第1補強部材と外側分草フレームとの間に第2補強部材を固定してあることを特徴とする。
【0006】
〔第1発明の作用〕
第1発明によると、左右の外側分草フレームの内側で、且つ複数の内側分草フレームよりも外側の位置における下部横フレームと刈取フレームとに亘って第1補強部材を固定することにより、外側分草フレームと下部横フレームと刈取フレームと第1補強部材により箱型構造が得られて、外側分草フレームと下部横フレームとの連結部並びに刈取フレームとの連結部の強度アップが図れる。
箱型構造に連結したことにより強度部材として機能する第1補強部材と外側分草フレームとに亘って第2補強部材を連結することで、外側分草フレームが箱型構造のフレームとなる下部横フレームと刈取フレームと第1補強部材との三者に連結されていることとなり、外側分草フレームに対する下部横フレームとの連結部並びに刈取フレームとの連結部の強度アップが図れて耐久性を頗る向上させることができる。
【0007】
〔第1発明の効果〕
第1発明によれば、各部材の強度を殊更強大なものにしなくても、外側分草フレームが不測に畦等に当たって外力を受けても連結部が変形し難くなって、刈取装置の刈取性能に悪影響を及ぶことが極力防止できるに至った。
【0008】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、刈取装置の刈刃駆動用のアームを第1補強部材に軸支するように構成した点にある。
【0009】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によると、第1補強部材を刈取装置の刈刃駆動用のアームの軸支部材に兼用してあるので、部品点数を少なくでき、簡単な改良でもって生産性を向上させることができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、クローラ式走行装置1、搭乗型の運転部2、運転座席の下方に位置する原動部を備えている機体本体の機体フレーム3に脱穀装置4や穀粒タンク5などを搭載し、機体横方向に並ぶ複数の引起装置8や、この引起装置8の下端側の後方に位置するバリカン型の刈取装置9などを備える前処理部10におけるメインフレームを構成する伝動ケース12の基端部を、機体フレーム3の前部に位置する支持部に左右横向き軸芯P1回りで回動自在に連結し、伝動ケース12に一端側が連結している屈伸自在なリンク機構6と機体フレーム3とにわたって油圧式のリフトシリンダ7を取付けるとともに、機体本体の原動部から前処理部10に動力伝達するように構成して、コンバインを構成してある。
【0011】
このコンバインは、稲・麦などの収穫作業をするものであり、リフトシリンダ7によって前処理部フレームを左右横向き軸芯P1回りで上下に揺動操作することにより、前処理部10を機体本体に対して昇降操作する。つまり、引起装置8の下端や刈取装置9が地面上近くに位置して穀稈の刈取りを行なう下降作業位置と、機体本体に対して上昇エンドやその近くまで上昇して刈取りしないで走行する上昇非作業位置とに昇降操作する。そして、機体走行に伴い、前処理部10によって稲・麦などの植立穀稈を引起こすとともに刈取り処理し、前処理部10からの刈取穀稈をフィードチェーン11に受け継いで脱穀装置4によって脱穀処理し、脱穀装置4からの脱穀粒を穀粒タンク5に搬送して貯留していく。
【0012】
前記前処理部10は、図1、図2に示す如く構成してある。すなわち、メインフレームを構成する伝動ケース12、伝動ケース12の延出下端部に中間部が連結している機体横向きの下部横フレームを構成する横向き伝動ケース13、横向き伝動ケース13の両端部から機体前方向きに延出している左右の外側分草フレーム14、左右の外分草フレーム14の基端部どうしにわたって連結している刈取フレーム15、刈取フレーム15の長手方向での複数箇所から機体前方向きに延出している内側分草フレーム14、横向き伝動ケース13の左右両端部に立設してある機体上下向きの引起し伝動ケース16、左右の上下向き引起し伝動ケース16の上端部どうしにわたって連結してある機体横向きの引起し伝動ケース17、メイフレーム12の基端部と横向き引起し伝動ケース17の中間部とにわたって連結してある搬送フレーム18の各フレームにより前記前処理部フレームを構成してある。
【0013】
機体横方向に並ぶ複数本の内側及び外側の分草フレーム14のそれぞれの先端部に分草具14aを固設し、各分草具14aによって刈取り対象の植立穀稈を複数本の分草フレーム14による隣接し合う一対の分草フレーム14どうしの間に位置する引起経路に導入するように構成してある。機体横方向に並べた複数の引起装置8を分草フレーム14の先端側と横向き引起し伝動ケース17とにわたって取付け、各引起装置8によって引起し処理された植立穀稈の株元を切断する刈取装置9を刈取フレーム15に取付けてある。
【0014】
図2に示すように、左右の外側分草フレーム14の内側で、複数の内側分草フレーム14よりも外側の位置における伝動ケース13と刈取フレーム15とに亘って第1補強部材としての補強板25を固定するとともに、伝動ケース13と刈取フレーム15との間の位置における補強板25と外側分草フレーム14との間に第2補強部材としての丸パイプフレーム26を固定してある。
【0015】
補強板25は、平板を複数箇所(2箇所)で異なる方向に折り曲げ成形した側面視で屈曲した形状に構成されている。これにより、屈曲した形状で補強板25の強度を向上しながら、一枚板状の補強板25の前部に斜め前方下方に傾斜した傾斜面25Aを形成でき、補強板25の後部に斜め後方上方に傾斜した取り付け部25Bを形成できる。補強板25の傾斜面25Aが形成された傾斜部には、上下に連通する貫通穴が形成されて、この貫通穴に、段付き形状に成形された円筒状の軸支持部材25Cが内嵌挿入されて固着されている。なお、この実施形態では、折り曲げ成形により補強板25を一枚板状に構成して傾斜面25A等を一体形成した例を示したが、例えば複数の平板を溶接等により接合することで補強板25を一枚板状に構成して傾斜面25A等を形成してもよい。
【0016】
軸支持部材25Cには、上下に連通する穴部が形成されており、この穴部にアーム58を支持する支軸61が上方から内嵌挿入されて、支軸61の先端(下端)のネジ部に円盤状のワッシャを介して下方側からナットが締め付けられ、刈刃駆動機構53のアーム58が補強板25に回動自在に支持されている。これにより、傾斜面25Aと平行な軸支持部材25Cの上面がアーム58のボス部を安定支持する支持面として機能する。なお、軸支持部材25Cを設けずに、補強板25の傾斜面25Aが形成されている傾斜部を板厚の更に厚いものに構成する等して傾斜面25Aに直接的にアーム58を接当支持させ、傾斜面25Aがアーム58のボス部を安定支持する支持面として機能するように構成してもよい。
【0017】
補強板25の前端部は、角パイプ状の刈取フレーム15の上面側に固着されている。伝動ケース13には、前方に突出する支持部13aが一体形成されており、この支持部13aに補強板25の取り付け部25Bの下面側が当て付けられ、支持部13aのネジ部に上方からボルトが締め付けられて、補強板25が支持部13aに着脱可能に固定されている。補強板25の前後中央部における下面側には、横長の丸パイプフレーム26の内端側が固着されており、この丸パイプフレーム26の外端側は、外側分草フレーム14後端部の内側部分に固着されている。
【0018】
なお、第2補強部材を丸パイプフレーム26で構成した例を示したが、第2補強部材として丸棒等の無垢の材料を採用してもよく、また、第2補強部材として断面形状が異なる材料(角パイプ、角棒等)を採用してもよく、第2補強部材を、アングル材やチャンネル材、フラットバー等で構成してもよい。また、この実施形態では、補強板25と外側分草フレーム14とに亘って第2補強部材としての丸パイプフレーム26を備えた例を示したが、例えば、丸パイプフレーム26を省略すると共に、補強板25を更に横外側に延出した幅広のものに構成して補強板25の横外端部を外側分草フレーム14に固定し、補強板25自体が第2補強部材として機能するように構成してもよい。
【0019】
前記刈取装置9は、左右2個の固定刃51と、この固定刃51の上に設けた左右2個の可動刃52と、各可動刃52を駆動する刈刃駆動機構53とによって構成され、固定刃51が機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ複数本の内側及び外側分草フレーム14の基部に支持されている。
【0020】
前記固定刃51には、可動刃52を保持する可動刃支持部材54を設けてあり、左右の可動刃52は、各可動刃支持部材54を介して固定刃51に機体横方向に摺動自在に支持されている。
【0021】
左右の各可動刃52の外側寄り近くに可動刃操作体55を備え、この可動刃操作体55に連結される刈刃駆動機構53の駆動によって、可動刃52を固定刃51に対して機体横幅方向で左右往復駆動するように構成してある。
【0022】
図2〜図4に示すように、前記可動刃操作体55には操作板56によって形成された係入溝を備えている。刈刃駆動機構53は、可動刃操作体55の係入溝に係入する操作ローラ57を一端部に備えたベルクランクから成るアーム58、このアーム58の他端側の端部に一端側が相対回動自在に連結された連動ロッド59、この連動ロッド59の他端側が周縁部に相対回動自在に連結されたクランクアームとして機能する駆動回転体60を備えて構成してある。
アーム58の中間部は、前記補強板25に支持されている支軸61に回動自在に軸支されており、支軸61には掻込み搬送装置20の掻込み回転体21と、係止搬送ベルト22を巻回するプーリ19及び無端回動チェーン23a又は31aを巻回するスプロケット29を備えている。支軸61の上端は支持板48に支持されている。これにより、補強板25を刈取装置9の刈刃駆動用のアーム58の軸支部材に兼用している。前記駆動回転体60は、伝動ケース13の左右の端部に形成された短筒ケース62に回転自在に保持された回転軸63に支持されている。
【0023】
これにより、各刈刃駆動機構53は、回転軸63の斜め前方上向き軸芯P2回りで駆動される駆動回転体60の回転駆動力を連動ロッド59によって往復動力に変換してアーム58の端部に伝達し、このアーム58を支軸61の斜め前方上向き軸芯P3回りで一定の揺動角度で往復揺動するように駆動し、このアーム58の往復動力を操作ローラ57によって可動刃操作体55に伝達することにより、可動刃52を左右往復駆動する。
【0024】
図3に示すように、刈取装置9における固定刃支持台66の後端側が、前記分草フレーム14に対して左右横向き軸芯P4回りで上下揺動自在に支持されるように構成してある。固定刃支持台66から機体前方向きに延出している刈取固定アーム67の延出端側と、各内側及び外側分草フレーム14に付設してある固定用部材68とにわたってボルト69を装着して、刈取固定アーム67を固定用部材68に連結することにより、刈取装置9を刈取フレーム15に対して所望の作業用の取付け姿勢で固定する。刈取固定アーム67の固定用部材68に対するボルト69による連結を解除することで、刈取装置9が左右横向き軸芯P4回りでの上下揺動が許容され、刈取装置9の装着姿勢を多少上下に変更することができるようになっている。
【0025】
前記刈取装置9の上方で機体横方向に並ぶ複数個の掻込み回転体21を備える掻込み搬送装置20を前記補強板25や分草フレーム14などに支持させ、この掻込み搬送装置20の後側から脱穀装置4の脱穀フィードチェーン11の前端付近に至る搬送装置30を搬送フレーム18などに支持させてある。
【0026】
図5に示すように、前記掻込み搬送装置20は、複数個の駆動回動自在な掻込み回転体21と、各掻込み回転体21の上方に一つずつ位置する状態で機体横方向に並ぶ複数の駆動回動自在な係止搬送ベルト22と、複数個の掻込み回転体21のうちの一部の掻込み回転体21の上方に搬送始端部が位置する穀稈挟持搬送用の無端回動チェーン23a,23bと、掻込み回転体21の後側近くに搬送始端部が位置する穀稈係止搬送用の無端回動チェーン24とによって構成してあり、引起し処理される複数条の植立穀稈の株元側を各係止搬送ベルト22の係止爪22aによって刈取装置9に掻き込み供給し、刈取装置9の運転部側に位置する部分によって刈取り処理された複数条の刈取穀稈をこれに対応する掻込み回転体21の係止爪21aと、係止搬送ベルト22の係止爪22aとによって刈取装置9の後方に掻込み搬送して搬送装置30の始端側に送り込み、刈取装置9の後側で刈取り処理された複数条の刈取穀稈をこれに対応する掻込み回転体21の係止爪21aと係止搬送ベルト22の係止爪22aとによって刈取装置9の後方に掻込み搬送し、更に無端回動チェーン23a,23b,24によって後方に挟持搬送して搬送装置30に供給する。
【0027】
図1、図5に示すように、前記搬送装置30は、搬送方向に並ぶ3つの無端回動チェーン31a,32a,33aを備える株元挟持搬送部31,32,33、この株元側挟持搬送部31,32,33より高レベルに位置する無端回動チェーン34aを備える穂先係止搬送部34、この穂先係止搬送部34より高レベルに位置する穂先搬送ガイド35、株元挟持搬送部31,32,33の搬送終端部から脱穀フィードチェーン11の搬送始端部に延出する案内レール36などを備えて構成してある。
【0028】
前記株元挟持搬送部31,32,33は、3つの無端回動チェーン31a〜33aのうちの最も搬送始端側に位置するとともに穀稈挟持用突起を備えている始端側無端回動チェーン31a、及び、この始端側無端回動チェーン31aの搬送作用部に対向している第1、第2挟持搬送ガイドレール37,38を備える始端側株元挟持搬送部31と、3つの無端回動チェーン31a〜33aのうちの搬送中間部に位置するとともに穀稈挟持用突起を備えている中間無端回動チェーン32a、及び、この中間無端回動チェーン32aの搬送作用部に大部分が対向している第3挟持搬送ガイドレール39を備える中間株元挟持搬送部32と、3つの無端回動チェーン31a〜31cにおいて最も搬送終端側に位置するとともに穀稈挟持用突起を備えている終端側無端回動チェーン33a、及び、この終端側無端回動チェーン33aの搬送作用部分に対向している第4挟持搬送ガイドレール40を備える終端側株元挟持搬送部33とによって構成してある。
【0029】
前記始端側株元挟持搬送部31は、掻込み搬送装置20の運転部側の2個の掻込み回転体21からの刈取穀稈の株元側を、第1挟持搬送ガイドレール37を形成している丸棒部材の一端側でなるガイド部によって始端側無端回動チェーン31aと第1挟持搬送ガイドレール37との間に導入し、この始端側無端回動チェーン31aと第1挟持搬送ガイドレール37とによって挟持して搬送し、かつ、掻込み搬送装置20の中央の1個の掻込み回転体21と無端回動チェーン23bとからの刈取穀稈の株元側を、第2挟持搬送ガイドレール38を形成している丸棒部材の一端側でなるガイド部によって始端側無端回動チェーン31aと第2挟持搬送ガイドレール38との間に導入して第1挟持搬送ガイドレール37からの穀稈に合流させ、合流した穀稈の株元側を始端側無端回動チェーン31aと第2挟持搬送ガイドレール38とによって挟持して搬送し、さらに、掻込み搬送装置20の無端回動チェーン23a,24からの刈取穀稈の株元側を、始端側無端回動チェーン31aの搬送終端部に導入して第2挟持搬送ガイドレール38からの穀稈に合流させ、合流した穀稈の株元側を中間株元挟持搬送部32の中間無端回動チェーン32aと第3挟持搬送ガイドレール39とによって受け継いで機体方向でかつ機体横外側に向けて挟持搬送する。終端側株元挟持搬送部33は、中間株元挟持搬送部32からの刈取穀稈の株元側を終端側無端回動チェーン33aと第4挟持搬送ガイドレール40とによって受け継いで機体後方に脱穀フィードチェーン11の搬送始端部に向けて搬送する。
【0030】
前記穂先係止搬送部34は、掻込み搬送装置20の最も運転部側の掻込み回転体21の後方で株元挟持搬送部31よりも高レベルに搬送始端部が位置するとともに係止搬送爪34bが複数箇所に起伏揺動自在に付いている無端回動チェーン34aと、この無端回動チェーン34aの搬送側における終端側部分に対向している係止搬送ガイドレール41とで成り、掻込み搬送装置20からの複数条の刈取穀稈の株元挟持搬送部31が搬送作用する部分よりも穂先側を無端回動チェーン34aの搬送始端側で受け継いで係止搬送爪34bによって係止搬送し、搬送中間部からは、係止搬送ガイドレール41に沿わせて係止搬送爪34bから外れないようにしながら係止搬送爪34bによって係止搬送し、搬送終端部では、係止搬送爪34bが機体内側に向かって移動することにより、穂先側を終端側株元挟持搬送部33より機体内側に引き込み作用する。
【0031】
これにより、搬送装置30は、掻込み搬送装置20からの複数条の刈取穀稈を、始端側株元挟持搬送部31と、穂先側係止搬送部34の搬送始端部とで受け継いで合流させ、この後、中間株元挟持搬送部32と、穂先係止搬送部34とによって機体後方でかつ機体横外側に向けて搬送する。このとき、穂先係止搬送部34が作用するよりも穂先側を穂先ガイド板42に沿って移動するように穂先搬送ガイド35によって押圧案内しながら搬送する。そして、終端側株元挟持搬送部33に到達すると、穂先係止搬送部34の係止搬送爪34bが終端側株元挟持搬送部33から機体内側に離れていくことにより、穂先側が株元側より機体内側に位置した倒伏姿勢に姿勢変更し、終端側株元挟持搬送部33から株元側を案内レール36の下側に送り込み、この案内レール36によって押圧案内させて脱穀フィードチェーン11の搬送始端部に供給する。
【0032】
前記中間株元挟持搬送部32は、搬送始端側に位置する軸芯回りで駆動機構(図示せず)によって揺動調節されて、脱穀装置4での扱き深さ調節を行なうように構成してある。すなわち、中間株元挟持搬送部32の揺動調節が行なわれると、終端側株元挟持搬送部33が中間株元挟持搬送部32から供給される穀稈の挟持する稈身部分が調節前より株元側や穂先側に変化し、脱穀フィードチェーン11が終端側株元挟持搬送部33から受け継いで挟持する稈身部分が株元側や穂先側に変化し、脱穀装置4の扱室に挿入する刈取穀稈の穂先側長さが変化する。
【0033】
前記搬送装置30の係止搬送ガイドレール41、第4挟持搬送ガイドレール40、穂先搬送ガイド35、案内レール36のそれぞれは、図6〜図12に示す支持フレーム45によって支持させるように構成してある。
【0034】
図1、図6〜図12に示すように、前記支持フレーム45は、支持フレーム45の中間部に付設してある位置決めブラケット43aと上下向き引起し伝動ケース16に付設してあるブラケット43bに亘って取付けた支持アーム44によって支持して前処理部フレームの上下向き引起し伝動ケース16の中間部分から機体後方向きに延出してあり、穂先搬送ガイド35、案内レール36、第4挟持搬送ガイドレール40及び係止搬送ガイドレール41に対する前記取付け構造は、支持フレーム45の遊端側に第4挟持搬送ガイドレール40を支持するように設けたガイドレール支持部46と、支持フレーム45の遊端側に係止搬送ガイドレール41と穂先搬送ガイド35とを支持するように設けたガイド支持部45bと、支持フレーム45の遊端側に案内レール36を支持するように設けたレール支持部45cとによって構成してある。
【0035】
前記ガイドレール支持部46は、第4挟持搬送ガイドレール40から延出する一対の取付けロッド72を摺動自在に支持するとともにコイルスプリング73によって終端側無端回動チェーン33aの方に摺動付勢することにより、第4挟持搬送ガイドレール40を搬送穀稈のボリュームに応じて終端側無端回動チェーン33aに対して接近したり離間するように支持している。
【0036】
前記ガイドレール支持部46は、支持フレーム45に固設した固定枠70と、固定枠70に保持された断面コ字状の取付枠71と、取付枠71に摺動自在に保持された一対のロッド72と、ロッド72に挿通して取付枠71に収容されたコイルスプリング73とを備え、一対のロッド72の先端にピン40aを介して前記第4挟持搬送ガイドレール40が、終端側無端回動チェーン33aの搬送ラインに対して所定距離を保つように付勢されながら搬送穀稈のボリュームに応じて離間自在に終端側無端回動チェーン33a側に付勢するように取付けられている。
【0037】
前記固定枠70には、ロッド72に挿通された一対のコイルスプリング73に当たらない幅狭な前後幅寸法で、ロッド延設側の折曲片70aの前後中央部に係合ピン74を付設し、対向する折曲片70bには一対の長めのボルト75を挿通して段付きのナット77で締付け固定してある。
前記取付枠71には、ロッド延設側の折曲片71aの前後中央部に係合ピン74を挿通させる円形孔78を穿設するとともに、前後端部近くにロッド挿通用の前後方向に少し長い長孔79を穿設し、ロッド延設側の折曲片71aの外面にはカバー50の揺動支軸80を固設してある。対向する折曲片71bには、一対の前記ナット77を挿通できる大きさの円形孔81と、一対のロッド挿通用の円形孔82を穿設してある。折曲片71bの外面には、一端をピン83で軸支し、取付枠71の固定用の切欠き84を形成し、遊端側に固定ピンからなる固定手段85と操作用の把持部86とを設けた固定用レバー87を取付けてある。
前記一対のロッド72には、長手方向中間部にストッパーとなる割ピン88を挿通するピン孔を穿設し、両端のスプリング受け座金89とともにコイルスプリング73を挿通するようにしてある。
【0038】
ガイドレール支持部46は次のように組み付ける。取付枠71の一対の折曲片71a,71bの間にコイルスプリング73と両端のスプリング受け座金89を介在させた状態で第4挟持搬送ガイドレール40を取付けたロッド72を挿通し、ロッド72に形成したピン孔に割ピン88を嵌め込む。この状態で第4挟持搬送ガイドレール40を組付けた取付枠71が固定枠70に対して着脱することができる。取付枠71を固定枠70に装着するには、取付枠71の折曲片71aの円形孔78へ固定枠70の折曲片70aに付設した係合ピン74を通すとともに、取付枠71の折曲片71bの一対の円形孔78へボルト75に仮止め状態で螺合してあるナット77を円形孔78に嵌り込むように差し込み、取付枠71の位置合わせをした後、固定用レバー87を操作して一対の切欠き84をナット77の凹入している小径の段部に係合させ、ナット77を締め込むことで固定手段85のピン先を折曲片71bの孔90に差し込ませてレバー87を揺動しないように固定することで取付枠71を固定枠70に固定する。前記固定手段85は、レバー87より数ミリ突出するピンで形成されており、ナット77を緩めてレバー87を折曲片71bの板面に対して離れる方向に動かすことによって、レバー87の弾性を利用してピン85を孔90から離脱させることができるようになっている。符号91は、取付枠71に付設したスペーサである。
ガイドレール支持部46を取り外すときは、ナット77を緩めて固定手段85のピンを孔90から外して固定用レバー87を開放する。この状態で取付枠71を係合ピン74及びボルトナット75,77から抜き出すことで、カバー50とともに取り外すことができる。
【0039】
前記レール支持部45cは、案内レール36の基端部を回動自在に支持することにより、案内レール36を搬送穀稈のボリュームに応じて脱穀フィードチェーン11に対して揺動昇降するように支持している。又、レール支持部45cには、フィードチェーン11に穀稈を受け継ぐ穀稈の詰まりセンサー49を設けてある。
前記取付枠71に固定した揺動支軸80は、脱穀フィードチェーン11の搬送始端部の上方を覆うカバー50を上下揺動自在に支持しており、このカバー50の重量によって案内レール36の遊端側を脱穀フィードチェーン11に当て付け付勢している。
【0040】
第4挟持搬送ガイドレール40は、これと終端側無端回動チェーン33aの搬送作用部に対向して中間株元挟持搬送部32からの刈取穀稈を終端側無端回動チェーン33aとによって挟持搬送する搬送経路を形成し、係止搬送ガイドレール41は、これと無端回動チェーン34aの搬送始端側からの刈取穀稈を無端回動チェーン34aの搬送終端側とによって係止搬送する搬送経路を形成し、穂先搬送ガイド35は、穂先ガイド板42の案内面に接近していてこれと穂先ガイド板42との間に穂先搬送経路を形成する。案内レール36は、延出端側が脱穀フィードチェーン11の搬送始端部の上側に入り込んで終端側株元挟持搬送部33からの穀稈を脱穀フィードチェーン11に案内するように機能する。
【0041】
穂先搬送ガイド35の前端部35aと係止搬送ガイドレール41の前端部41aは、穂先係止搬送部34の無端回動チェーン34aによって搬送される穀稈の穂先側を案内する穂先ガイド板42に保持された支持杆64にそれぞれボルト27,28で固定支持してある。
【0042】
前記穀稈詰まりセンサー49の検出により穀稈の詰まりを検出した場合は、エンジン(図示せず)が自動的に停止操作されて、運転部2に設けたランプ(図示せず)を点灯させるとともにブザーを鳴らすようにしてある。穀稈の詰まりが発生した場合、ガイドレール支持部46の固定枠70と取付枠71を固定しているナット77を緩めて固定手段85の係合を外して固定用レバー87を開放することにより、第4挟持搬送ガイドレール40とカバー50とともにガイドレール支持部46を外して、無端回動チェーン33aとフィードチェーン11の受け継ぎ部の詰まり穀稈を取り除く作業を行う。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】コンバイン前部の側面図
【図2】前処理部の刈取装置を示す平面図
【図3】刈取装置と刈取駆動機構を示す側面図
【図4】刈取駆動機構を示す展開図
【図5】穀稈搬送装置の概略平面図
【図6】ガイドレールの取付け構造を示す側面図
【図7】ガイドレール支持部の取付け構造の平面図
【図8】ガイドレール支持部の詳細を示す横断平面図
【図9】ガイドレール支持部の側面図
【図10】(a)はガイドレール支持部の取付状態を示す縦断背面図、(b)はガイドレール支持部の取付枠を取外した状態を示す縦断背面図
【図11】(a)はガイドレール支持部の取付状態を示す側面図、(b)はガイドレール支持部の取付枠を取外した状態を示す側背面図
【図12】穂先搬送ガイドと係止搬送ガイドレールの始端部の取付構造を示す部分側面図
【符号の説明】
【0044】
9 刈取装置
12 メインフレーム
13 下部横フレーム(伝動ケース)
14 分草フレーム
15 刈取フレーム
25 第1補強部材(補強板)
26 第2補強部材(丸パイプフレーム)
58 刈刃駆動用のアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部に昇降自在に備えた前処理部フレームにバリカン型の刈取装置を備えたコンバインの刈取部構造であって、
前記前処理部フレームには、走行機体側の支持部に基部を左右横向きの軸芯回りに回動自在に連結したメインフレームと、前記メインフレームの延出下端部に連結した下部横フレームと、前記下部横フレームの左右外側からそれぞれ機体前方向きに延出した外側分草フレームと、前記下部横フレームよりも前方に離間して前記左右の外側分草フレーム間に亘って連結した刈取フレームと、前記刈取フレームから機体前方向きに延出した複数の内側分草フレームとを備え、前記刈取フレームに前記刈取装置を装着し、
前記左右の外側分草フレームの内側で、且つ前記複数の内側分草フレームよりも外側の位置における前記下部横フレームと前記刈取フレームとに亘って第1補強部材を固定するとともに、前記下部横フレームと前記刈取フレームとの間の位置における前記第1補強部材と前記外側分草フレームとの間に第2補強部材を固定してあることを特徴とするコンバインの刈取部構造。
【請求項2】
前記刈取装置の刈刃駆動用のアームを前記第1補強部材に軸支してある請求項1記載のコンバインの刈取部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−110302(P2010−110302A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287995(P2008−287995)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】