説明

コンバインの穀粒排出構造

【課題】穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因した不具合の発生を防止する。
【解決手段】穀粒排出口のシャッタの開閉を制御する制御手段と穀粒排出口での穀粒の滞留を検出する穀粒センサとを備え、制御手段が、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知すると、穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合はシャッタを開状態に維持し、滞留を検出していない場合はシャッタを閉状態に切り換え、シャッタを開状態に維持している状態では、制御手段が、穀粒排出口の移動を検知したときに再び穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合はシャッタを開状態に維持し、滞留を検出していない場合はシャッタを閉状態に切り換えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインの穀粒排出構造としては、穀粒排出レバーの排出操作のときに開閉シャッタ(シャッタ)が開き、穀粒排出レバーの排出停止操作のときに開閉シャッタが閉じるように開閉シャッタを穀粒排出レバーに関連的に連結することが考えられていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111511号公報(段落番号0011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態であっても、穀粒排出レバーの排出停止操作を行うとシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が生じ易くなっていた。
【0005】
本発明の目的は、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因した不具合の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段では、
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサとを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知すると、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合は前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成し、
前記シャッタを開状態に維持している状態では、前記制御手段が、前記穀粒排出口の移動を検知したときに、再び前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合は前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0007】
この課題解決手段によると、単に穀粒排出装置の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えに伴ってシャッタを閉状態に切り換えるのではなく、制御手段が穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知して穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合にシャッタが閉状態に切り換わり、制御手段が穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知しても穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合はシャッタが開状態を維持するようになることから、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でのシャッタの閉状態への切り換えを防止することができる。
【0008】
そして、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えた段階ではシャッタが開状態を維持していても、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換え後に、穀粒の排出箇所を変更するための穀粒排出口の移動操作、あるいは、穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻すための穀粒排出口の移動操作、などを行うと、排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れることで穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留が解消されて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなることから、シャッタが閉状態に切り換わる。
【0009】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が発生する虞を防止することができる。又、穀粒排出装置の排出停止状態への切り換え後に、穀粒の排出箇所を変更するための穀粒排出口の移動操作、あるいは、穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻すための穀粒排出口の移動操作、などを行うとシャッタが閉状態に切り換わることから、穀粒の排出箇所を変更するための穀粒排出口の移動操作や穀粒排出口を所定の作業終了位置に戻すための穀粒排出口の移動操作などの際に穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0010】
本発明の第2の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知してから所定時間の経過後に前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別するように構成してある。
【0011】
この課題解決手段によると、制御手段が穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知してからの所定時間を、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えてからの穀粒排出装置の慣性で穀粒排出口から排出される穀粒がなくなるのに要する時間に設定することにより、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えてからの穀粒排出装置の慣性で穀粒排出口から排出される穀粒がなくなったときの適切な時期に穀粒センサが検出した検出情報に基づいて、制御手段が穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を判別することになる。
【0012】
そして、その判別結果において穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍で穀粒が滞留していない場合はシャッタが閉状態に切り換わり、穀粒排出口又は穀粒排出口の近傍で穀粒が滞留している場合はシャッタが開状態を維持するようになる。
【0013】
従って、穀粒排出口で穀粒が滞留している状態でシャッタが閉状態に切り換わることに起因して穀粒やシャッタが損傷するなどの不具合が発生する虞を、穀粒排出装置を排出停止状態に切り換えてからの穀粒排出装置の慣性で穀粒排出口から排出される穀粒を考慮した状態で、より確実に防止することができる。
【0014】
本発明の第3の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段において、
前記制御手段が、機体の走行で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある。
【0015】
この課題解決手段によると、機体の走行で穀粒排出口を移動させることで、排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると、シャッタが閉状態に切り換わることから、機体の走行時に穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段のいずれか一つにおいて、
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能に装備した搬出コンベヤに前記穀粒排出口を形成し、
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの昇降揺動で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある。
【0017】
この課題解決手段によると、搬出コンベヤを昇降揺動させることで、排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると、シャッタが閉状態に切り換わることから、搬出コンベヤを昇降揺動させる際に穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0018】
本発明の第5の課題解決手段では、上記第1又は2の課題解決手段のいずれか一つにおいて、
前記穀粒排出装置に旋回可能に装備した搬出コンベヤに前記穀粒排出口を形成し、
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの旋回で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある。
【0019】
この課題解決手段によると、搬出コンベヤを旋回させることで、排出箇所で堆積する穀粒から穀粒排出口が離れて穀粒センサが穀粒の滞留を検出しなくなると、シャッタが閉状態に切り換わることから、搬出コンベヤを旋回させる際に穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0020】
本発明の第6の課題解決手段では、上記第4又は5の課題解決手段において、
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの予め設定した収納位置への到達を検知すると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある。
【0021】
この課題解決手段によると、搬出コンベヤが収納位置に到達するとシャッタが閉状態に切り換わることから、搬出コンベヤを収納位置に位置させた状態での走行時に穀粒排出口から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自脱型コンバインの全体右側面図である。
【図2】自脱型コンバインの全体平面図である。
【図3】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図4】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【図5】シャッタを開姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図6】シャッタを閉姿勢に切り換えた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図7】制御構成を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態でのシャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【図9】搬出コンベヤ収納制御のフローチャートである。
【図10】第2実施形態でのシャッタ閉じ制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
【0024】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、この実施形態で例示する自脱型コンバインは、走行機体1の前部右側に搭乗運転部2を形成し、走行機体1の下部に左右一対のクローラ3を配備してある。走行機体2の前部には、機体の走行に伴って収穫対象の未刈り穀稈を刈り取って搬送する刈取搬送装置4を、走行機体1から機体前方に向けて延出した状態で昇降揺動可能に装備してある。走行機体2の後部左側には、刈取搬送装置4からの刈り取り後の穀稈に扱き処理を施し、扱き処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置5を搭載してある。走行機体2の後部右側には、脱穀装置5での扱き処理及び選別処理で得た穀粒を貯留する穀粒タンク6を搭載してある。脱穀装置5の後端部には、脱穀処理後の穀稈である排ワラを細断して機外に排出することを可能にする排ワラ細断装置7を連結してある。穀粒タンク6には、穀粒タンク6に貯留した穀粒の機外への排出を可能にするスクリュ搬送式の穀粒排出装置8を装備してある。
【0026】
穀粒排出装置8は、穀粒タンク6に貯留した穀粒を穀粒タンク6の底部に前後向きに配備した搬送コンベヤ9により穀粒タンク6の底部後方に搬送し、搬送コンベヤ9が搬送した穀粒を搬送コンベヤ9の後端部に連結した揚送コンベヤ10により揚送し、揚送コンベヤ10が揚送した穀粒を揚送コンベヤ10の上端部に中継コンベヤ11を介して連結した搬出コンベヤ12により機外に搬出するように構成してある。
【0027】
搬送コンベヤ9は、前端部が穀粒タンク6から前方に延出し、かつ、穀粒タンク6から後方に延出する搬送スクリュ13、及び、搬送スクリュ13の後端部を覆うとともに揚送コンベヤ10との連通接続を可能にする下部ケース14、などを備えて構成してある。搬送スクリュ13の前端部には、走行機体1の前部右側に配備したエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を断続する排出クラッチ16を接続してある。
【0028】
揚送コンベヤ10は、下端部を搬送スクリュ13の後端部にベベルギア式伝動機構17を介して連動連結する揚送スクリュ18、及び、下端部を下部ケース14の上端部に相対回転可能に内嵌した円筒状の揚送ケース19、などを備えて構成してある。
【0029】
中継コンベヤ11は、一端部を揚送スクリュ18の上端部にベベルギア式伝動機構20を介して連動連結する横向きの中継スクリュ(図示せず)、下端部を揚送ケース19の上端部に相対回転不能に連結したくの字円筒状の第1ケース21、及び、一端部を第1ケース21の上端部に中継スクリュを中心に相対回転可能に内嵌したくの字円筒状の第2ケース22、などを備えて構成してある。
【0030】
図1〜6に示すように、搬出コンベヤ12は、一端部を中継スクリュの他端部にベベルギア式伝動機構(図示せず)を介して連動連結する搬出スクリュ23、及び、一端部を第2ケース22の他端部に相対回転不能に連結した円筒状の搬出ケース24、などを備えて構成してある。搬出ケース24の他端部には、この他端部から下向きに延出する横断面形状が矩形の排出ケース25を連通接続してあり、この排出ケース25により下向きで矩形の穀粒排出口26を形成してある。排出ケース25の内部には、横向きの支軸27を支点にした上下揺動で穀粒排出口26を開閉するシャッタ28を装備してある。
【0031】
図1、図2及び図7に示すように、搬送コンベヤ9の下部ケース14には、揚送スクリュ18の回転中心を中心にして揚送ケース19を回転させて搬出コンベヤ12を揚送スクリュ18の回転中心を支点にして旋回させることで、穀粒排出口26を旋回方向に移動させて穀粒排出口26の旋回方向での位置を変更するウォーム減速機付きの電動モータからなる旋回モータ29、及び、揚送ケース19の回転角を搬出コンベヤ12の旋回位置として検出する多回転型のポテンショメータからなる旋回センサ30を装備してある。
【0032】
又、揚送コンベヤ10と搬出コンベヤ12とにわたって、中継コンベヤ11の中継スクリュを支点にして搬出コンベヤ12を昇降揺動させることで、穀粒排出口26を高さ方向に移動させて穀粒排出口26の高さ位置を変更する単動式の油圧シリンダからなる昇降シリンダ31を架設してある。
【0033】
図3〜7に示すように、搬出コンベヤ12の排出ケース25には、シャッタ28を横向きの支軸27を支点にして開閉揺動させるウォーム減速機付きの電動モータからなる開閉モータ32、シャッタ28の開閉を検出する単回転型のポテンショメータからなる開閉センサ33、及び、排出ケース25から下方に延設した軟質透明樹脂製の排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出することで穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出する感圧式の穀粒センサ35を装備してある。
【0034】
開閉モータ32は、その出力軸32Aと一体回転するカム36を回転させてシャッタ28に対するカム36の作用姿勢を変更することで、シャッタ28を下向きの開姿勢と横向きの閉姿勢とにわたって開閉揺動させるように構成してある。開閉センサ33は、カム36の回転に伴う検出アーム37の揺動変位でシャッタ28の開閉を検出するように構成してある。穀粒センサ35は、排出ケース25から排出ブーツ34の内部まで下向きに延出した支持部材38の下端部に装備してある。そして、例えばトラックの荷台に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて荷台に堆積する穀粒が荷台の上方に位置する排出ブーツ34に到達して排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。又、例えば籾袋に穀粒を排出する場合においては、穀粒排出装置8の穀粒排出口26から排出されて籾袋に貯留される穀粒が籾袋の開口から差し入れた排出ブーツ34の内部で堆積する状態(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留する状態)に至ると、その状態を籾袋の満杯状態として排出ブーツ34の内部で堆積する穀粒の圧力から検出するように構成してある。
【0035】
図7に示すように、排出クラッチ16は、ウォーム減速機付きの電動モータからなるクラッチモータ39の作動でエンジン15から穀粒排出装置8に伝動する入り状態とエンジン15から穀粒排出装置8への伝動を遮断する切り状態とに切り換わるように構成してある。
【0036】
図7に示すように、この自脱型コンバインには、CPUやEEPROMなどを備えるマイクロコンピュータを利用して構成した制御手段としての電子制御ユニット(以下、ECUと略称する)40を搭載してある。ECU40には、時間の経過を計測する計時手段40Aを備えるとともに旋回センサ30、開閉センサ33、及び穀粒センサ35、などの検出情報を入力してある。
【0037】
搭乗運転部2には、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を上昇揺動させるための上昇指令をECU40に出力するモーメンタリ式の上昇スイッチ41、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を下降揺動させるための下降指令をECU40に出力するモーメンタリ式の下降スイッチ42、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を左旋回させるための左旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の左旋回スイッチ43、押圧操作が継続されている間、搬出コンベヤ12を右旋回させるための右旋回指令をECU40に出力するモーメンタリ式の右旋回スイッチ44、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態に切り換えるための穀粒排出指令をECU40に出力するモーメンタリ式の排出スイッチ45、押圧操作に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態に切り換えるための排出停止指令をECU40に出力するモーメンタリ式の停止スイッチ46、及び、押圧操作に基づいて搬出コンベヤ12を所定の収納位置に移動させるための収納指令をECU40に出力するモーメンタリ式の収納スイッチ47、などを装備してある。
【0038】
ECU40は、上昇スイッチ41及び下降スイッチ42からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を昇降揺動させる搬出コンベヤ昇降制御を行う。この搬出コンベヤ昇降制御では、ECU40は、上昇スイッチ41から上昇指令が出力されると、その上昇指令が出力されている間、昇降シリンダ31に対するオイルの流れを制御する電磁制御弁からなる昇降制御弁48を昇降シリンダ31にオイルを供給する供給状態に切り換えて昇降シリンダ31を伸長作動させることで搬出コンベヤ12を上昇揺動させる。上昇スイッチ41からの上昇指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を昇降シリンダ31に対するオイルの給排を停止する給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させることで搬出コンベヤ12の上昇揺動を停止させる。又、下降スイッチ42から下降指令が出力されると、その下降指令が出力されている間、昇降制御弁48を昇降シリンダ31からオイルを排出する排出状態に切り換えて昇降シリンダ31を短縮作動させることで搬出コンベヤ12を下降揺動させる。下降スイッチ42からの下降指令の出力が停止されると、昇降制御弁48を給排停止状態に切り換えて昇降シリンダ31を作動停止させることで搬出コンベヤ12の下降揺動を停止させる。
【0039】
つまり、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42を操作することで搬出コンベヤ12を上昇揺動又は下降揺動させることができ、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を任意の高さ位置に変更することができる。
【0040】
ECU40は、左旋回スイッチ43及び右旋回スイッチ44からの指令に基づいて搬出コンベヤ12を旋回させる搬出コンベヤ旋回制御を行う。この搬出コンベヤ旋回制御では、ECU40は、左旋回スイッチ43から左旋回指令が出力されると、その左旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が左回りに回転するように旋回モータ29を正転作動させることで搬出コンベヤ12を左回りに旋回させる。左旋回スイッチ43からの左旋回指令の出力が停止されると、旋回モータ29の正転作動を停止させることで搬出コンベヤ12の左回り旋回を停止させる。又、右旋回スイッチ44から右旋回指令が出力されると、その右旋回指令が出力されている間、揚送コンベヤ10の揚送ケース19が右回りに回転するように旋回モータ29を逆転作動させることで搬出コンベヤ12を右回りに旋回させる。右旋回スイッチ44からの右旋回指令の出力が停止されると、旋回モータ29の逆転作動を停止させることで搬出コンベヤ12の右回り旋回を停止させる。
【0041】
つまり、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44を操作することで搬出コンベヤ12を左旋回又は右旋回させることができ、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を旋回方向での任意の位置に変更することができる。
【0042】
ECU40は、排出スイッチ45からの指令に基づいて穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換える穀粒排出制御を行う。この穀粒排出制御では、ECU40は、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されると、旋回センサ30からの出力に基づいて、搬出コンベヤ12の旋回位置が予め設定した搬出コンベヤ12の収納旋回位置を含む所定の排出停止領域(例えば搬出コンベヤ12の収納旋回位置と搬出コンベヤ12が搭乗運転部2の上方を横切る状態になる領域とを含む機体の前部右側の領域)か否かを判別する。排出停止領域であれば、排出スイッチ45からの穀粒排出指令にかかわらず、開閉モータ32及びクラッチモータ39を作動させずにシャッタ28を閉姿勢に維持するとともに排出クラッチ16を切り状態に維持して穀粒排出装置8を排出停止状態に維持する。排出停止領域でなければ、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が開姿勢であるか否かを判別し、シャッタ28が開姿勢であれば、クラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換える。シャッタ28が開姿勢でなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を閉姿勢から開姿勢に下降揺動させる。そして、このときの開閉モータ32の作動でシャッタ28の開姿勢への切り換えを開閉センサ33が検出すると、このときの開閉センサ33からの出力に基づいてクラッチモータ39を正転作動させて排出クラッチ16を切り状態から入り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換える。
【0043】
つまり、穀粒排出装置8の穀粒排出口26を排出停止領域を除く任意の搬出位置に位置させた後、排出スイッチ45を操作することで穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換えることができる。
【0044】
ECU40は、停止スイッチ46からの指令に基づいて穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換える排出停止制御を行う。この排出停止制御では、ECU40は、停止スイッチ46から排出停止指令が出力されると、クラッチモータ39を逆転作動させて排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えることで穀粒排出装置8を穀粒排出状態から排出停止状態に切り換えるとともに、シャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えるシャッタ閉じ制御を開始する。つまり、ECU40は、停止スイッチ46から排出停止指令が出力されることで穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態への切り換えを検知することになる。
【0045】
図7及び図8に示すように、シャッタ閉じ制御では、ECU40は、排出クラッチ16の入り状態から切り状態への切り換えとともに計時手段40Aによる計時を開始し、排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えてから所定時間(例えば2秒)が経過したか否かを判別する〔#1〕。所定時間が経過すると、所定時間が経過した時点での穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持する〔#4〕。そして、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されたか否かを判別し、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力された場合は穀粒排出制御に移行する〔#5〕。排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されていない場合は、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力されたか否かを判別する〔#6〕。上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力された場合は、前述した搬出コンベヤ昇降制御を実行するとともに、計時手段40Aによる計時を開始して上昇指令又は下降指令が出力されてから所定時間(例えば2秒)が経過したか否かを判別する〔#7,#8〕。所定時間が経過すると、その時点での穀粒センサ35の出力に基づいて排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別し〔#9〕、穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。#6において上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力されていない場合、及び、#9において穀粒が堆積している場合は、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力されたか否かを判別する〔#10〕。左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力された場合は、前述した搬出コンベヤ旋回制御を実行するとともに、計時手段40Aによる計時を開始して左旋回指令又は右旋回指令が出力されてから所定時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判別する〔#11,#12〕。所定時間が経過すると、その時点での穀粒センサ35の出力に基づいて排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別し〔#13〕、穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。#10において左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力されていない場合、及び、#13において穀粒が堆積している場合は、収納スイッチ47から収納指令が出力されたか否かを判別する〔#14〕。収納スイッチ47から収納指令が出力された場合は、搬出コンベヤ収納制御を実行してシャッタ閉じ制御を終了する〔#15〕。収納スイッチ47から収納指令が出力されていない場合は#5に戻り、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されるか、収納スイッチ47から収納指令が出力される、又は、シャッタ28が開姿勢から閉姿勢に切り換わるまで、#5〜#14の制御を繰り返す。
【0046】
図7及び図9に示すように、搬出コンベヤ収納制御では、ECU40は、予め設定した上限位置への搬出コンベヤ12の到達を検出するリミットスイッチからなる上限センサ49の出力に基づいて搬出コンベヤ12が上限位置に到達しているか否かを判別する〔#1〕。上限位置に到達していなければ、上限センサ49の出力に基づいて昇降制御弁48の作動を制御して昇降シリンダ31を伸長作動させることで搬出コンベヤ12を上限位置に到達するまで自動上昇させる自動上昇制御を行う〔#2〕。搬出コンベヤ12が上限位置に到達していると、旋回センサ30からの出力に基づいて搬出コンベヤ12が予め設定した収納旋回位置に到達しているか否かを判別する〔#3〕。収納旋回位置に到達していなければ、旋回センサ30からの出力に基づいて旋回モータ29の作動を制御することで搬出コンベヤ12を収納旋回位置まで自動旋回させる自動旋回制御を行う〔#4〕。搬出コンベヤ12が収納旋回位置に到達していると、搬出コンベヤ12を予め設定した収納位置で受け止めるように構成した受具50(図1及び図2参照)に備えたリミットスイッチからなる収納センサ51の出力に基づいて、搬出コンベヤ12が収納位置に到達しているか否かを判別する〔#5〕。収納位置に到達していなければ、収納センサ51の出力に基づいて昇降制御弁48の作動を制御して昇降シリンダ31を短縮作動させることで搬出コンベヤ12を収納位置まで自動下降させる自動下降制御を行う〔#6〕。搬出コンベヤ12が収納位置に到達していると、開閉センサ33の出力に基づいてシャッタ28が閉姿勢か否かを判別し、シャッタ28が閉姿勢であると搬出コンベヤ収納制御を終了する〔#7〕。シャッタ28が閉姿勢でなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えた後に搬出コンベヤ収納制御を終了する〔#8〕。
【0047】
つまり、この穀粒排出構造では、排出クラッチ16の入り状態から切り状態(穀粒排出装置8の穀粒排出状態から排出停止状態)への切り換えに伴って直ちにシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えるのではなく、排出クラッチ16の入り状態から切り状態への切り換えに伴って、排出ブーツ34の内部で穀粒が堆積している状態(穀粒排出口26で穀粒が滞留している状態)が解消されているか否かを自動的に判別し、排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積が解消された段階でシャッタ28を自動的に開姿勢から閉姿勢に切り換えるように構成していることから、排出クラッチ16の入り状態から切り状態への切り換えで自動的にシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えるものでありながら、穀粒排出口26で穀粒が滞留している状態でシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えることに起因して、穀粒排出口26で滞留する穀粒が搬出コンベヤ12の内部に戻される不具合や、その戻された穀粒が穀粒排出作業終了後の移動走行時などにおいて穀粒排出口26とシャッタ28との隙間から零れ落ちる不具合、あるいは、穀粒やシャッタ28が損傷する不具合、などが生じることを防止することができる。
【0048】
又、排出クラッチ16を切り状態に切り換えてから所定時間の経過後に、穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留)を判別することにより、排出クラッチ16を切り状態に切り換えた後の穀粒排出装置8の慣性で穀粒排出口26から排出される穀粒をも考慮して排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を判別することができ、これにより、前述した不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0049】
しかも、所定時間が経過した時点での穀粒センサ35の出力に基づいてシャッタ28を開姿勢に維持した後は、少なくとも、上昇スイッチ41の操作、下降スイッチ42の操作、左旋回スイッチ43の操作、右旋回スイッチ44の操作、及び、収納スイッチ47の操作、のうちのいずれかを行わない限り、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出する状態から検出しない状態に切り換わったとしても、シャッタ28が開姿勢から閉姿勢に切り換わらないことから、例えば、穀粒排出口26から排出する穀粒を籾袋に直に貯留する袋詰め作業において、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出した後に、停止スイッチ46を操作して穀粒排出装置8を排出停止状態から穀粒排出状態に切り換えると、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出していることからシャッタ28が開姿勢を維持し、その後、貯留済みの籾袋を空の籾袋に交換することで穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出しなくなってもシャッタ28が開姿勢から閉姿勢に切り換わることはなく、これにより、貯留済みの籾袋を空の籾袋に交換するごとにシャッタ28が不必要に閉姿勢に切り換わる不具合の発生を防止することができる。
【0050】
又、例えば、トラックの荷台などに穀粒を排出する排出作業時において、先の排出対象箇所が満杯になって次ぎの排出対象箇所に穀粒排出口26を移動させる場合に、先の排出対象箇所で堆積した穀粒が排出ブーツ34に到達して穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出していたとしても、穀粒排出口26を移動させるために、上昇スイッチ41の操作、下降スイッチ42の操作、左旋回スイッチ43の操作、又は、右旋回スイッチ44の操作を行って、搬出コンベヤ12を昇降あるいは旋回させることで、穀粒センサ35が排出ブーツ34の内部での穀粒の堆積を検出しなくなると、シャッタ28が開姿勢から閉姿勢に切り換わることから、先の排出対象箇所から次ぎの排出対象箇所に穀粒排出口26を移動させる際に穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができる。
【0051】
そして、収納スイッチ47を操作すると、搬出コンベヤ12が収納位置に到達した段階では必ずシャッタ28が閉姿勢に切り換わっていることから、搬出コンベヤ12を収納位置に位置させた移動走行時に穀粒排出口26から穀粒が零れ落ちる不具合の発生を防止することができ、又、搬出コンベヤ12を収納位置に位置させて納屋などに格納した場合におけるネズミなどの小動物の穀粒排出口26からの侵入を防止することができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
【0053】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るコンバインの穀粒排出構造を、コンバインの一例である自脱型コンバインに適用した第2実施形態を図面に基づいて説明する。尚、この第2実施形態は上記の第1実施形態とシャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動が異なるだけであることから、シャッタ閉じ制御でのECU40の制御作動のみを説明し、他の説明は省略する。
【0054】
図7及び図10に示すように、シャッタ閉じ制御では、ECU40は、排出クラッチ16の入り状態から切り状態への切り換えとともに計時手段40Aによる計時を開始し、排出クラッチ16を入り状態から切り状態に切り換えてから所定時間(例えば2秒)が経過したか否かを判別する〔#1〕。所定時間が経過すると、所定時間が経過した時点での穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別する〔#2〕。穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。穀粒が堆積していれば、開閉モータ32を作動させずにシャッタ28を開姿勢で維持する〔#4〕。そして、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されたか否かを判別し、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力された場合は穀粒排出制御に移行する〔#5〕。排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されていない場合は、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力されたか否かを判別する〔#6〕。上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力された場合は、前述した搬出コンベヤ昇降制御を実行し、その後、上昇スイッチ41又は下降スイッチ42からの上昇指令又は下降指令が出力停止されると搬出コンベヤ昇降制御を終了する〔#7〜#9〕。そして、搬出コンベヤ昇降制御を終了した時点での穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別し〔#10〕、穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。#6において上昇スイッチ41又は下降スイッチ42から上昇指令又は下降指令が出力されていない場合、及び、#10において穀粒が堆積している場合は、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力されたか否かを判別する〔#11〕。左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力された場合は、前述した搬出コンベヤ旋回制御を実行し、その後、左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44からの左旋回指令又は右旋回指令が出力停止されると搬出コンベヤ旋回制御を終了する〔#12〜#14〕。そして、搬出コンベヤ旋回制御を終了した時点での穀粒センサ35の出力に基づいて、排出ブーツ34の内部において穀粒が堆積しているか否か(穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍で穀粒が滞留しているか否か)を判別し〔#15〕、穀粒が堆積していなければ、開閉モータ32を作動させてシャッタ28を開姿勢から閉姿勢に切り換えてシャッタ閉じ制御を終了する〔#3〕。#11において左旋回スイッチ43又は右旋回スイッチ44から左旋回指令又は右旋回指令が出力されていない場合、及び、#15において穀粒が堆積している場合は、収納スイッチ47から収納指令が出力されたか否かを判別する〔#16〕。収納スイッチ47から収納指令が出力された場合は、搬出コンベヤ収納制御を実行してシャッタ閉じ制御を終了する〔#17〕。収納スイッチ47から収納指令が出力されていない場合は#5に戻り、排出スイッチ45から穀粒排出指令が出力されるか、収納スイッチ47から収納指令が出力される、又は、シャッタ28が開姿勢から閉姿勢に切り換わるまで、#5〜#16の制御を繰り返す。
【0055】
〔別実施形態〕
【0056】
〔1〕コンバインとしては、穀粒排出装置8を備えるものであれば、刈り取った穀稈の全体を脱穀装置5に投入するように構成した普通型(全稈投入型)コンバインであってもよい。
【0057】
〔2〕搭乗運転部2に排出クラッチレバーを備えるとともに、この排出クラッチレバーを排出クラッチ16に連係ワイヤなどで機械的に連係し、排出スイッチ45及び停止スイッチ46の代わりに、排出クラッチレバーの操作位置を検出するレバーセンサ、又は、排出クラッチの作動状態を検出するクラッチセンサ、などを備えて、制御手段40が、レバーセンサ又はクラッチセンサなどの検出に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知するように構成してもよい。
【0058】
〔3〕穀粒排出装置8を、排出クラッチ16を介したエンジン15からの動力で駆動する構成に代えて、電動モータ又は油圧モータなどの穀粒排出装置駆動用のアクチュエータで穀粒排出装置8を駆動するように構成し、制御手段40が、排出スイッチ45からの穀粒排出指令及び停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置駆動用のアクチュエータの作動を制御するように構成してもよい。この構成では、制御手段40が停止スイッチ46からの排出停止指令に基づいて穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知することになる。
【0059】
〔4〕穀粒排出装置8の作動状態から穀粒排出装置8が作動状態であるか否かを直接的に検出する穀粒排出センサを備え、この穀粒排出センサの検出に基づいて制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知するように構成してもよい。
【0060】
〔5〕シャッタ閉じ制御においては、計時手段40Aを備えずに、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知しても穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している場合は、制御手段40がシャッタ28を開状態に維持し、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知して穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出していない場合に、制御手段40がシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成し、シャッタ28を開状態に維持している状態では、制御手段40が穀粒排出口28の移動を検知しても穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している場合は、制御手段40がシャッタ28を開状態に維持し、制御手段40が穀粒排出口28の移動を検知して穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出していない場合に、制御手段40がシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0061】
〔6〕シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知しても穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している場合は、制御手段40がシャッタ28を開状態に維持し、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知して穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出していない場合に、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知してから所定時間(例えば2秒)の経過後に制御手段40がシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。又、シャッタ28を開状態に維持している状態で、制御手段40が穀粒排出口28の移動を検知して穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出していない場合に、制御手段40が穀粒排出口28の移動を検知してから所定時間(例えば2秒)の経過後に制御手段40がシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0062】
〔7〕シャッタ閉じ制御においては、制御手段40が穀粒排出口28の移動の検知に基づいて再び穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出しているか否かを判別する場合に、計時手段40Aによる計時を行わないように構成してもよい。
【0063】
〔8〕シャッタ閉じ制御においては、シャッタ28の開状態及び閉状態への切り換えを制御手段40に指令する例えばモーメンタリスイッチなどからなる開閉状態切り換え用の手動式指令手段を備え、制御手段40が穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知してから手動式指令手段からの閉じ指令の出力を検知した場合に、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しているか否かの判別を行うように構成してもよい。
【0064】
〔9〕シャッタ閉じ制御においては、シャッタ28の開状態及び閉状態への切り換えを制御手段40に指令する例えばモーメンタリスイッチなどからなる開閉状態切り換え用の手動式指令手段を備え、制御手段40が手動式指令手段からの閉じ指令の出力を検知してから穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知した場合に、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出しているか否かの判別を行うように構成し、穀粒排出装置8の排出停止状態への切り換えを検知していない場合だけでなく、穀粒センサ35が穀粒排出口26又は穀粒排出口26の近傍での穀粒の滞留を検出している場合においても、手動式指令手段からの閉じ指令によるシャッタ28の閉状態への切り換えを牽制するように構成してもよい。
【0065】
〔10〕搬出コンベヤ12を伸縮可能に構成し、搬出コンベヤ12を伸縮させる電動モータなどの伸縮用のアクチュエータ、搬出コンベヤ12の伸長を指令する伸長指令手段、及び、搬出コンベヤ12の短縮を指令する短縮指令手段、などを備え、制御手段40が、伸長指令手段からの伸長指令に基づいて伸縮用のアクチュエータを作動させて搬出コンベヤ12を伸長させ、短縮指令手段からの短縮指令に基づいて伸縮用のアクチュエータを作動させて搬出コンベヤ12を短縮させるように構成し、制御手段40が、伸長指令手段からの伸長指令又は短縮指令手段からの短縮指令に基づいて穀粒排出口26の移動を検知し、伸長指令又は短縮指令に基づく穀粒排出口26の移動を検知した場合に再び穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出しているか否かを判別するように構成してもよい。
【0066】
〔11〕左右の各クローラ3の駆動軸にクローラ3による機体の走行を検出する回転センサを備え、制御手段40が、その回転センサの出力に基づいて機体の走行による穀粒排出口26の移動を検知し、この機体の走行による穀粒排出口26の移動を検知した場合に再び穀粒センサ35が穀粒の滞留を検出しているか否かを判別するように構成してもよい。
【0067】
〔12〕制御手段40が、搬出コンベヤ12の予め設定した収納旋回位置への到達を検知するとシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。又、制御手段40が、搬出コンベヤ12の予め設定した上限位置への到達を検知するとシャッタ28を閉状態に切り換えるように構成してもよい。
【0068】
〔13〕シャッタ28の構成は種々の変更が可能であり、例えば、シャッタ28を摺動で穀粒排出口26を開閉するように構成してもよく、又、穀粒排出口26を部分的に開閉するように構成してもよい。
【0069】
〔14〕穀粒センサ35として光センサなどを採用するようにしてもよい。又、穀粒センサ35を穀粒排出口26の内部に装備するようにしてもよい。
【0070】
〔15〕穀粒排出装置8としては、バケットコンベヤ又はベルトコンベヤなどを使用して穀粒を機外に排出するように構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係るコンバインの穀粒排出構造は、穀粒排出装置を備えた自脱型コンバイン及び普通型コンバインに適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
6 穀粒タンク
8 穀粒排出装置
12 搬出コンベヤ
26 穀粒排出口
28 シャッタ
35 穀粒センサ
40 制御手段
40A 計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクに貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出状態と穀粒の排出を停止する排出停止状態とに切り換え可能に構成した穀粒排出装置に、前記穀粒排出装置の穀粒排出口を開閉するシャッタを備えたコンバインの穀粒排出構造において、
前記シャッタの開閉を制御する制御手段と前記穀粒排出口又は前記穀粒排出口の近傍での穀粒の滞留を検出する穀粒センサとを備え、
前記制御手段が、前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知すると、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合は前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成し、
前記シャッタを開状態に維持している状態では、前記制御手段が、前記穀粒排出口の移動を検知したときに、再び前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出している場合は前記シャッタを開状態に維持し、前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出していない場合は前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してあるコンバインの穀粒排出構造。
【請求項2】
時間の経過を計測する計時手段を備え、
前記制御手段が前記穀粒排出装置の排出停止状態への切り換えを検知してから所定時間の経過後に前記穀粒センサが穀粒の滞留を検出しているか否かを判別するように構成してある請求項1に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項3】
前記制御手段が、機体の走行で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項4】
前記穀粒排出装置に昇降揺動可能に装備した搬出コンベヤに前記穀粒排出口を形成し、
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの昇降揺動で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項5】
前記穀粒排出装置に旋回可能に装備した搬出コンベヤに前記穀粒排出口を形成し、
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの旋回で前記穀粒排出口の移動を検知するように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒排出構造。
【請求項6】
前記制御手段が、前記搬出コンベヤの予め設定した収納位置への到達を検知すると、前記シャッタを閉状態に切り換えるように構成してある請求項4又は5に記載のコンバインの穀粒排出構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95565(P2012−95565A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244413(P2010−244413)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】