説明

コンバインの駆動制御装置

【課題】 エンジンの始動状態から刈取作業を行うときの操作の簡略化を図ることができるコンバインの駆動制御装置を提供する。
【解決手段】 制御手段Hが、作業指令手段Iにて作業開始指令が指令されると、アクセル手段42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態にする運転起動状態にすべく、切換操作用駆動手段Mの作動を制御するように構成され、且つ、運転起動状態において、運転状態検出手段Jの検出情報に基づいて刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると、刈取クラッチ10を入り状態にし、かつ、運転状態検出手段Jの検出情報に基づいて刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると、刈取クラッチ10を切り状態にすべく、切換操作用駆動手段Mの作動を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記脱穀装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチと、前記エンジンの出力を刈取処理装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記刈取処理装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、前記エンジンを設定定格回転数にて回転させる定格回転状態と前記エンジンをアイドリング回転数にて回転させるアイドリング状態とに切り換え自在なアクセル手段とが設けられたコンバインの駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、エンジンの始動を行うときには、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に且つアクセル手段をアイドリング状態にすることになり、そして、エンジンの始動後において、刈取作業を行うときには、先ず、アクセル手段を定格回転状態にし、脱穀クラッチを入り状態に且つ刈取クラッチを切り状態にして、枕地等における走行を行うことになり、そして、実際に刈取作業を開始するときには、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態にすることになる。つまり、エンジンの始動後において、刈取作業を行うときには、先ず、アクセル手段を定格回転状態にかつ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にし、その運転起動状態において、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態に維持したまま、実際に刈取処理装置にて穀稈を刈取処理する刈取作業中のときには、刈取クラッチを入り状態に切り換え、且つ、刈取処理装置にて穀稈を刈取処理せずに枕地等を走行する等、非刈取作業中のときには、刈取クラッチを切り状態に切り換えることになる。
【0003】
このようなコンバインにおいては、操作の簡略化が望まれるものであり、そのためのコンバインの駆動制御装置における第1の従来例として、アイドリング用調節指令を指令するアイドルスイッチ、作業用調節指令を指令するセットスイッチ、アクセルレバーをアイドリング状態と定格回転状態に切り換える電動モータ、及び、アイドルスイッチにてアイドリング用調節指令が指令されると、アクセルレバーがアイドリング状態になるように電動モータの作動を制御し、セットスイッチにて作業用調節指令が指令されると、アクセルレバーがアイドリング状態になるように電動モータの作動を制御する制御手段が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記第1の従来例においては、セットスイッチにて作業用調節指令を指令するだけの簡単な操作で、アクセル手段を定格回転状態に切り換えることができるものであるが、エンジンの始動後において、運転起動状態にするときには、セットスイッチにて作業用調節指令を指令することに加えて、脱穀クラッチを入り状態に切り換える操作を要するものとなるため、脱穀クラッチを別途手動操作しなければならない等、操作の簡略化を図ることができないものであり、加えて、運転起動状態において、刈取作業中のときには、刈取作業クラッチを入り状態に切り換え、非刈取作業中のときには、刈取作業クラッチを切り状態に切り換える操作を要するものとなる等、刈取作業を行なうときの操作の簡略化を図ることができないものであった。
【0005】
そこで、上述の不利を解消するためのコンバインの駆動制御装置における第2の従来例として、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態と切り状態に切り換える電動モータ、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態と切り状態とに切り換え自在な操作スイッチ及び自動入切スイッチ、刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置センサ、及び、電動モータの作動を制御する制御手段を設け、その制御手段が、自動入切スイッチを切り状態に切り換えた状態において、操作スイッチを入り状態にすると、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態にし、かつ、操作スイッチを切り状態にすると、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態にするように、電動モータの作動を制御し、又、自動入切スイッチを入り状態に切り換えた状態において、操作スイッチを入り状態にすると、昇降位置センサの検出情報に基づいて、刈取処理装置が刈取位置に位置するときには、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態にし、刈取処理装置が非刈取上昇位置に位置するときには、脱穀クラッチを入り状態に維持したまま、刈取クラッチを切り状態にするものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
すなわち、エンジンの始動を行うときには、アクセル手段をアイドリング状態にし、自動入切スイッチ及び操作スイッチを切り状態にすることにより、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に且つアクセル手段をアイドリング状態にすることになり、エンジンの始動後において、刈取作業を行うときには、先ず、アクセル手段を定格回転状態に切り換え、操作スイッチ及び自動入切スイッチを入り状態に切り換えることにより、アクセル手段を定格回転状態にかつ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にし、運転起動状態において、刈取作業中のときには、刈取処理装置を非刈取上昇位置から刈取位置に下降させることにより、刈取クラッチを入り状態に切り換え、非刈取作業中のときには、刈取処理装置を刈取位置から非刈取上昇位置に上昇させることにより、刈取クラッチを切り状態に切り換えるものがある。
【0007】
【特許文献1】特開平11−210497号公報
【特許文献2】特開2002−95337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記第2の従来例においては、刈取処理装置の昇降操作に連動して刈取クラッチを入り状態と切り状態とに自動的に切り換え操作する等、運転起動状態において、刈取作業を行なうときの操作の簡略化を図ることができるものであるが、エンジンの始動後において、運転起動状態にするときには、操作スイッチ及び自動入切スイッチを切り状態から入り状態に切り換えることに加えて、アクセル手段を定格回転状態に切り換える操作を要するものとなるため、アクセル手段を別途手動操作しなければならない等、エンジンの始動後において、運転起動状態にするときには、操作の簡略化を図ることができないものであった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態であるエンジン始動状態から、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態への切り換え、及び、その運転起動状態における刈取クラッチの入り状態と切り状態との切り換えについての操作の簡略化を図ることができるコンバインの駆動制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンバインの駆動制御装置は、エンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記脱穀装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチと、前記エンジンの出力を刈取処理装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記刈取処理装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、前記エンジンを設定定格回転数にて回転させる定格回転状態と前記エンジンをアイドリング回転数にて回転させるアイドリング状態とに切り換え自在なアクセル手段とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、前記脱穀クラッチの前記入り状態と前記切り状態との切換操作、前記刈取クラッチの前記入り状態と前記切り状態との切換操作、及び、前記アクセル手段の前記定格回転状態と前記アイドリング状態との切換操作を行う切換操作用駆動手段と、作業開始指令を指令する状態に操作自在な作業指令手段と、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段と、前記切換操作用駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を前記定格回転状態にかつ前記脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、前記運転起動状態において、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると、前記刈取クラッチを前記入り状態にし、かつ、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると、前記刈取クラッチを前記切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0011】
すなわち、作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にすることになる。運転起動状態において、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていないことを判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを切り状態にし、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていることを判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0012】
このように、エンジンの始動後において、作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にすることができるものであるから、単に、作業指令手段にて作業開始指令を指令するだけの簡単な操作で運転起動状態に操作できるものとなるのであり、運転起動状態への操作の簡略化を図ることができるものとなる。
そして、運転起動状態において、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていないことを判別することにより、刈取クラッチを切り状態にし、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていることを判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、刈取作業開始条件を満足するか否かに基づいて刈取クラッチを入り状態と切り状態とに自動的に切り換えられることになり、刈取作業を行なうときの操作の簡略化を図ることができるものとなる。
つまり、エンジンの始動状態において、作業指令手段にて作業開始指令を指令するだけの簡単な操作により、エンジン始動状態からアクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態への切り換え、及び、その運転起動状態における刈取クラッチの入り状態と切り状態との切り換えを行えるものとなる。
したがって、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態であるエンジン始動状態から、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態への切り換え、及び、その運転起動状態における刈取クラッチの入り状態と切り状態との切り換えについての操作の簡略化を図ることができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記作業指令手段が、作業停止指令を指令する状態に操作自在に構成され、前記制御手段が、前記運転起動状態において、前記作業指令手段により前記作業停止指令が指令されると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチを前記切り状態とすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、運転起動状態において、作業指令手段にて作業停止指令が指令されることにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、アクセル手段を定格回転状態に維持した状態で脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に切り換えることになる。
【0015】
このように、運転起動状態において、作業指令手段にて作業停止指令が指令されることにより、アクセル手段を定格回転状態に維持した状態で脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に切り換えることができるものであるから、運転起動状態において、高速走行する等のために、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態にすることを、作業指令手段にて作業停止指令を指令する簡単な操作にて行なえるものとなる。
したがって、アクセル手段を定格回転状態に且つ脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態にするときの操作の簡略化を図ることができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段、及び、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、前記走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又は前記ニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点を特徴とする。
【0017】
すなわち、昇降位置検出手段にて刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、操作位置検出手段にて走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0018】
このように、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、刈取処理装置を刈取処理を行なうときの適正な刈高さに位置させた状態で良好に刈取作業を行なうことができる。又、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、言い換えると、走行あるいは設定速度以上の速度で走行すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、停止あるいは設定速度以下の速度で走行するときには、刈取クラッチを入り状態にすることはないため、運転起動状態において、コンバインが停止あるいは設定速度以下の速度で走行中に、誤って刈取処理装置を設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置させたとしても、刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
したがって、良好に刈取作業を行なうことができ、コンバインが停止あるいは設定速度以下の速度で走行中に、刈取処理装置が不測に駆動されることを防止することができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段、及び、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、前記走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点を特徴とする。
【0020】
すなわち、昇降位置検出手段にて刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、操作位置検出手段にて走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0021】
このように、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、刈取処理装置を刈取処理を行なうときの適正な刈高さに位置させた状態で良好に刈取作業を行なうことができる。又、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、言い換えると、前進走行あるいは設定速度以上の速度で前進走行すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行するときには、刈取クラッチを入り状態にすることはないため、運転起動状態において、コンバインが停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行中に、誤って刈取処理装置を設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置させたとしても、刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
したがって、良好に刈取作業を行なうことができ、コンバインが停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行中に、刈取処理装置が不測に駆動されることを防止することができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、昇降位置検出手段にて刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0024】
このように、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、刈取処理装置を刈取処理を行なうときの適正な刈高さに位置させた状態で良好に刈取作業を行なうことができる。
したがって、良好に刈取作業を行なうことができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0025】
本発明の第6特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又は前記ニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点を特徴とする。
【0026】
すなわち、操作位置検出手段にて走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0027】
このように、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、刈取処理装置を刈取処理を行なうときの適正な刈高さに位置させた状態で良好に刈取作業を行なうことができる。又、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又はニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、言い換えると、設定速度以上の速度で走行すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、停止あるいは設定速度以下の速度で走行するときには、刈取クラッチを入り状態にすることはないため、運転起動状態において、コンバインが停止あるいは設定速度以下の速度で走行中に、誤って刈取処理装置を設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置させたとしても、刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
したがって、良好に刈取作業を行なうことができ、コンバインが停止あるいは設定速度以下の速度で走行中に、刈取処理装置が不測に駆動されることを防止することができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、前記走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、操作位置検出手段にて走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、制御手段が切換操作用駆動手段を作動させて、刈取クラッチを入り状態にすることになる。
【0030】
このように、刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、言い換えると、前進走行あるいは設定速度以上の速度で前進走行すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にすることができるものであるから、停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行するときには、刈取クラッチを入り状態にすることはないため、運転起動状態において、コンバインが停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行中に、誤って刈取処理装置を設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置させたとしても、刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
したがって、コンバインが停止、設定速度以下の速度で前進走行、及び、後進走行中に、刈取処理装置が不測に駆動されることを防止することができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0031】
本発明の第8特徴構成は、上記第1〜第7のいずれかの特徴構成に加えて、電源回路を切るオフ状態及び前記電源回路を入れるオン状態に切換操作自在なメインスイッチが設けられ、前記制御手段が、前記メインスイッチが前記オフ状態から前記オン状態に切り換えられると、前記アクセル手段を前記アイドリング状態に且つ前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチを前記切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている点を特徴とする。
【0032】
すなわち、例えば、作業中にエンジンが停止する等により、脱穀クラッチ又は刈取クラッチが入り状態を維持した状態でメインスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたとしても、メインスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられると、切換操作用駆動手段にてアクセル手段をアイドリング状態に且つ脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に切り換えることにより、エンジンを確実に始動させることができる。又、メインスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられると、切換操作用駆動手段にてアクセル手段をアイドリング状態に且つ脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態に切り換えることにより、エンジンが始動されたときに脱穀装置及び刈取処理装置が不測に駆動される不都合が無いものとなる。
したがって、エンジンを確実に始動させることができ、エンジンが始動されたときに脱穀装置及び刈取処理装置が不測に駆動される不都合を防止することができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【0033】
本発明の第9特徴構成は、上記第1〜第7特徴構成のいずれか1つの特徴構成に加えて、前記切換操作用駆動手段が、単一のアクチュエータにて、前記脱穀クラッチ、前記刈取クラッチ、及び、前記アクセル手段を操作するように構成されている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、切換操作用駆動手段が、単一のアクチュエータにて、脱穀クラッチ、刈取クラッチ、及び、アクセル手段を操作するから、脱穀クラッチ、刈取クラッチ、及び、アクセル手段を操作する構成を兼用して、構成の簡素化を図ることができる。
したがって、構成の簡素化を図ることができるコンバインの駆動制御装置を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るコンバインの駆動制御装置について図面に基づいて説明する。
図1にコンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1L、1Rの駆動により走行機体2が走行自在に構成され、その走行機体2の前部に、圃場の植立穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を後方に搬送する刈取処理装置3が横軸芯X周りに揺動自在に設けられ、走行機体2に、刈取処理装置3にて刈り取られた刈取穀稈を受け取って脱穀および選別処理する脱穀装置4と、脱穀装置4にて脱穀および選別処理することにより得られた穀粒を貯留する穀粒タンク5とが搭載されるとともに、穀粒タンク5の前方箇所に搭乗運転部6が形成されている。そして、走行機体2と刈取処理装置3との間には昇降用油圧シリンダ32が介装されており、その昇降用油圧シリンダ32の伸縮操作により刈取処理装置3が走行機体2に対して昇降操作されるようになっている。尚、横軸芯Xには、刈取処理装置3の走行機体2に対する昇降位置を検出する昇降位置検出手段としての対機体高さセンサ33が設けられている。
【0036】
次にこのコンバインの伝動構造について説明する。
図2、図3に示すように、エンジンEの動力が伝動ベルト14及び伝動プーリ15を介して直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8に伝達され、これら無段変速装置7、8の変速出力は、ミッションケース9を経由して、走行装置1R、1Lの夫々に伝達されている。又、これら無段変速装置7、8のうち直進用の無段変速装置7の変速出力は、ミッションケース9を経由した後、刈取クラッチ10を介して刈取処理装置3に伝達され、刈取クラッチ10には、その入り切りを検出する刈取センサ11が付設されている。又、エンジンEの動力は、脱穀クラッチ12を介して脱穀装置4に伝達され、脱穀クラッチ12には、その入り切り状態を検出する脱穀センサ13が付設されている。
【0037】
前記直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8は、コンバインの走行機体に搭載されているエンジンからの動力によって駆動される可変油圧ポンプ7A、8Aと、その可変油圧ポンプ7A、8Aからの供給油で回転駆動される油圧モータ7B、8Bとの対で構成された周知構造の静油圧式無段変速装置(HST)によって構成されている。ちなみに、エンジンEの動力は、伝動ベルト14及び伝動プーリ15を介して可変油圧ポンプ7A、8Aの伝動軸16に伝達される。
【0038】
前記ミッションケース9は、その内部に、前記直進用の無段変速装置7の出力軸17と、前記旋回用の無段変速装置8の出力軸18との夫々が内挿され、これら両出力軸17、18からの変速出力が左右一対の走行装置1R、1Lに伝達される一方、直進用の無段変速装置7の出力軸17からの変速出力が刈取処理装置3に伝達される構成となっている。尚、前記旋回用の無段変速装置8の出力軸18には、右側出力ギヤ18aと左側出力ギヤ18bとが固着されている。
【0039】
前記直進用の無段変速装置7の出力軸17には、副変速用の大小一対の出力ギヤ17a、17b及び刈取部駆動用の出力ギヤ17cが固着されている。副変速軸19には、前記出力ギヤ17a、17bが常時噛合する副変速用の小径ギヤ19aと大径ギヤ19bとが相対回転自在に支持され、その両ギヤ19a、19bの中間位置に、副変速軸19と一体回転する副変速用シフトギヤ19dが軸芯方向で摺動自在に外嵌されている。図示しない副変速レバー40により副変速用シフトギヤ19dを摺動操作することで高低2段に切換自在な走行用の副変速装置Dが構成されている。そして、副変速軸19には出力ギヤ19eが固着されており、この出力ギヤ19eに対して、支持軸20に一体に設けたセンターギヤ21が常時噛合する状態で設けられている。
【0040】
前記支持軸20には、センターギヤ21を挾む両側に、伝動状態切換手段Aが設けられており、この伝動状態切換手段Aは、前記左側出力ギヤ18aに常時かみ合いの左側外周ギヤ部22aを備えた左側の多板式の摩擦クラッチ22と、前記右側出力ギヤ18bに常時噛み合いの右側外周ギヤ部22bを備えた右側の多板式の摩擦クラッチ22と、前記センターギヤ21の両側面とこれに対向するシフトギヤ23との間に形成された左右一対の噛み合いクラッチ24、24とで構成されている。
【0041】
左側の摩擦クラッチ22により、旋回用の無段変速装置8と左側の走行装置1Lとの間の伝動を遮断する状態に切り換え可能な左側のクラッチが構成され、右側の摩擦クラッチ22により、旋回用の無段変速装置8と右側の走行装置1Rとの間の伝動を遮断する状態に切り換え可能な右側のクラッチが構成されている。
【0042】
前記左右のシフトギヤ23は、回転軸芯方向にシフト操作自在であって、シフト操作することにより噛み合いクラッチ24が噛み合って伝動入りとなる状態と、噛み合いクラッチ24が噛み合わない伝動を遮断する状態とに切り換え自在に構成され、また、シフトギヤ23における摩擦板が摩擦クラッチ22の本体部に対してシフト移動自在に構成されており、多板式の摩擦クラッチ22が圧接して伝動入りとなる状態と、多板式の摩擦クラッチ22が圧接しない伝動を遮断した状態とに切り換え自在に構成されている。
【0043】
つまり、左右一対の走行装置1L、1Rへの動力伝達は、噛み合いクラッチ24が噛み合った伝動入り状態では、直進用の無断変速装置7からの動力が伝達され、摩擦クラッチ22が圧接した伝動入り状態では、旋回用の無断変速装置8からの動力が伝達され、噛み合いクラッチ24と摩擦クラッチ22の両方が伝動入り状態であれば、直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8との両方からの動力が伝達され、噛み合いクラッチ24と摩擦クラッチ22の両方が伝動遮断状態であれば、直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8とのどちらからも動力が伝達されないように構成されている。
【0044】
前記左右のシフトギヤ23、23は夫々、押圧スプリング25、25による押圧力にて噛み合いクラッチ24、24が噛み合う伝動入り状態に付勢されており、左右のシフトギヤ23、23の夫々を押圧スプリング25、25による押圧力に抗して遮断用油圧シリンダ26L、26Rでシフト操作することにより、噛み合いクラッチ24、24が噛み合わない伝動遮断状態に切り換え操作可能に構成されている。
【0045】
そして、この伝動遮断状態において、操向用油圧シリンダ27L、27Rでシフトギヤ23における摩擦板をシフト操作することにより、摩擦クラッチ22、22が圧接する伝動入り状態に切り換え操作可能に構成されている。そして、この操向用油圧シリンダ27L、27Rおよび遮断用油圧シリンダ26L、26Rの操作は、操向用電磁弁29L、29Rおよび遮断用電磁弁28L、28Rを切り換えることにより行うように構成されている。
シフトギヤ23からはファイナルギヤ30を介して左右一対の走行装置1L、1Rに伝達される。このシフトギヤ23は、噛み合いクラッチ24が噛み合いしているときも噛み合いしていないときも常時走行装置への伝動系の中継ギヤ31に噛合するように構成されている。
【0046】
これにより、左右の噛み合いクラッチ24を伝動入り状態に切り換え、左右の摩擦クラッチ22を伝動遮断状態に切り換えることで、直進用伝動状態となり、右の噛み合いクラッチ24を伝動入り状態に切り換え、右の摩擦クラッチ22を伝動遮断状態に切り換え、左の噛み合いクラッチ24を伝動遮断状態に切り換え、左の摩擦クラッチ22を伝動入り状態に切り換えることで、左旋回用伝動状態となり、右の噛み合いクラッチ24を伝動遮断状態に切り換え、右の摩擦クラッチ22を伝動入り状態に切り換え、左の噛み合いクラッチ24を伝動入り状態に切り換え、左の摩擦クラッチ22を伝動遮断状態に切り換えることで、右旋回用伝動状態となり、左右の噛み合いクラッチ24を伝動遮断状態に切り換え、左右の摩擦クラッチ22を伝動遮断状態に切り換えることで、中立状態となるように構成されている。
【0047】
図4〜図10に示すように、エンジンEを設定定格回転数にて回転させる定格回転状態とエンジンEをアイドリング回転数にて回転させるアイドリング状態とに切り換え自在なアクセル手段としての速度調整レバー42がエンジンEに設けられ、刈取クラッチ10及び脱穀クラッチ12の入り状態と切り状態との切換操作及び速度調整レバー42の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を行う切換操作用駆動手段としてのアクチュエータである切換操作用モータMが設けられている。そして、単一の切換操作用駆動モータMにて、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10、及び、速度調整レバー42を操作するように構成されている。
【0048】
説明を加えると、切換操作用モータMの回動操作に伴って速度調整レバー42、刈取クラッチ10、脱穀クラッチ4の夫々を連動操作する連動操作部Bが、搭乗運転部6の運転席43の横側に位置する状態で設けられている。連動操作部Bは、切換操作用モータMのピニオンギヤ47と噛み合うセクターギヤ44と、アクセルレバー45を切り位置から入り位置に押圧作用するとともに速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換え操作するアクセルレバー操作用カム46と、脱穀クラッチ12を切り換え操作する脱穀クラッチ操作用リンク部48と、刈取クラッチ10を切り換え操作する刈取クラッチ操作用リンク部49とを備えて構成されている。搭乗運転部6に固定されている略直方体形状の枠部50が備える取り付け用軸部51に、回動ボス部52が回動自在に取り付けられ、その回動ボス部52に、セクターギヤ44、アクセルレバー操作用カム46、脱穀クラッチ操作用リンク部48、及び、刈取クラッチ操作用リンク部49が連結されている。これにより、切換操作用モータMが駆動されると、切換操作用モータMのピニオンギヤ47と噛み合うセクターギヤ44も回動されることになり、そのセクターギヤ44の回動に伴って、アクセルレバー操作用カム46、脱穀クラッチ操作用リンク部48、及び、刈取クラッチ操作用リンク部49が一体回動するように構成されている。
【0049】
前記アクセルレバー45は、枠部50が備える支持用軸部53に揺動自在に支持されている。アクセルレバー45の先端部には握り部45aが設けられ、アクセルレバー45の基端部にはカムフォロア54が設けられるとともに速度調整レバー操作用ケーブル55が取り付けられている。アクセルレバー45の握り部45aを揺動操作してアクセルレバー45を切り位置から入り位置に位置変更することにより、アクセルレバー45に設けられた速度調整レバー操作用ケーブル55を引っ張り操作して速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換えるようになっている。ちなみに、アクセルレバー45の握り部45aを揺動操作しないときには、図示しないバネの付勢力により速度調整レバー42を定格回転状態からアイドリング状態に切り換えるようになっている。
【0050】
前記アクセルレバー操作用カム46は、円板の一部を切り欠いた半月に近い板状に構成され、その切り欠き部にカム面46aが形成されている。そして、アクセルレバー操作用カム46の回動に伴ってカム面46aがアクセルレバー45に設けられたカムフォロア54に押圧作用してアクセルレバー45を切り位置から入り位置に位置変更することにより、速度調整レバー操作用ケーブル55を引っ張り操作して速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換えるようになっている。
【0051】
前記脱穀クラッチ操作用リンク部48は、回動ボス部52に固定された脱穀クラッチ操作用取り付け板56、及び、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に連結ピンを介して相対回動自在に連結され且つ脱穀クラッチ操作用ケーブル57が取り付けられた脱穀クラッチ操作用L字リンク58を備えて構成され、刈取クラッチ操作用リンク部49は、回動ボス部52に固定された刈取クラッチ操作用取り付け板59、及び、刈取クラッチ操作用取り付け板59に連結ピンを介して相対回動自在に連結され且つ刈取クラッチ操作用ケーブル60が取り付けられた刈取クラッチ操作用L字リンク61を備えて構成されている。
そして、回動ボス部52の回動に伴って、脱穀クラッチ操作用取り付け板56が回動ボス部52に固定されている基端部を揺動支点として揺動し、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に相対回動自在に連結されている脱穀クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている脱穀クラッチ操作用ケーブル57を引っ張り操作して脱穀クラッチ12を入り状態に切り換え、又、回動ボス部52の回動に伴って、刈取クラッチ操作用取り付け板59が回動ボス部52に固定されている基端部を揺動支点として揺動し、刈取クラッチ操作用取り付け板59に相対回動自在に連結されている刈取クラッチ操作用L字リンク61に取り付けられている刈取クラッチ操作用ケーブル60を引っ張り操作して脱穀クラッチ12を入り状態に切り換えるようになっている。
【0052】
前記切換操作用モータMを正逆回転駆動すると、連動操作部Bを取り付け用軸部51の軸芯周りで正逆回転させて、図7に示す走行停止位置と、図8に示す走行位置と、図9に示す脱穀位置と、図10に示す刈取作業位置とに切り換え操作する構成となっている。
説明を加えると、図7に示すように、連動操作部Bが走行停止位置に位置する場合において、アクセルレバー操作用カム46のカム面46aがカムフォロア54に当接することにより、アクセルレバー45を切り位置に維持し、速度調整レバー42をアイドリング状態に維持する。ちなみに、この走行停止位置において、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の両方とも切り状態になっている。
【0053】
図8に示すように、切換操作用モータMを正回転駆動させることにより、連動操作部Bが走行停止位置から走行位置に位置変更する場合において、アクセルレバー操作用カム46のカム面46aがカムフォロア54に押圧作用することにより、アクセルレバー45を切り位置から入り位置に切り換え、速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換える。ちなみに、この走行位置において、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の両方とも切り状態になっている。
【0054】
図9に示すように、切換操作用モータMを正回転駆動させることにより、連動操作部Bが走行位置から脱穀位置に位置変更する場合において、アクセルレバー操作用カム46の外周面46bがカムフォロア54に当接することにより、アクセルレバー45を入り位置に維持し、速度調整レバー42を定格回転状態に維持する。刈取クラッチ操作用取り付け板59が刈取クラッチ操作用ケーブル60の延びる方向にほぼ直交する方向に揺動するので、刈取クラッチ操作用取り付け板59に相対回動自在に連結されている刈取クラッチ操作用L字リンク61に取り付けられている刈取クラッチ操作用ケーブル60を引っ張り操作することがほとんど無く、刈取クラッチ10を切り位置に維持する。脱穀クラッチ操作用取り付け板56が脱穀クラッチ操作用ケーブル57の延びる方向に揺動するので、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に相対回動自在に連結されている脱穀クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている脱穀クラッチ操作用ケーブル57を引っ張り操作して、脱穀クラッチ12を切り状態から入り状態に切り換える。
【0055】
図10に示すように、切換操作用モータMを正回転駆動させることにより、連動操作部Bが脱穀位置から刈取作業位置に位置変更する場合において、アクセルレバー操作用カム46の外周面46bがカムフォロア54に当接することにより、アクセルレバー45を入り位置に維持し、速度調整レバー42を定格回転状態に維持する。刈取クラッチ操作用取り付け板59が刈取クラッチ操作用ケーブル60の延びる方向に揺動するので、刈取クラッチ操作用取り付け板59に相対回動自在に連結されている刈取クラッチ操作用L字リンク61に取り付けられている刈取クラッチ操作用ケーブル60を引っ張り操作して、刈取クラッチ10を切り位置から入り状態に切り換える。脱穀クラッチ操作用取り付け板56が脱穀クラッチ操作用ケーブル57の延びる方向にほぼ直交する方向に揺動するので、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に相対回動自在に連結されている脱穀クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている脱穀クラッチ操作用ケーブル57を引っ張り操作することがほとんど無く、脱穀クラッチ12を入り状態に維持する。
尚、切換操作用モータMを逆回転駆動させることにより、連動操作部Bが刈取作業位置から走行停止位置に位置変更する場合において、バネの付勢力により速度調整レバー42を定格回転状態からアイドリング状態に切り換え、アクセルレバー45を入り位置から切り位置に位置変更する。
【0056】
以上の構成により、連動操作部Bを取り付け用軸部51の軸芯周りで正回転させることにより、速度調整レバー42がアイドリング状態、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10が切り状態となる走行停止位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10が切り状態となる走行位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が切り状態となる脱穀位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が入り状態となる刈取作業位置に順次切り換え操作する構成となっている。ちなみに、連動操作部Bが走行停止位置に位置する状態において、アクセルレバー45を操作することにより、速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換えることができるようになっている。
【0057】
前記搭乗運転部6には、停止を指令するニュートラル位置N、そのニュートラル位置Nに隣接位置して前進を指令する前進側範囲、及び、そのニュートラル位置Nに隣接位置して後進を指令する後進側範囲にわたり移動操作自在であり、その前進側範囲及び後進側範囲における移動操作により走行速度を指令する手動操作式の主変速レバー69、直進を指令する直進指令位置、その直進指令位置に隣接位置して左旋回を指令する左旋回指令範囲、及び、その直進指令位置に隣接位置して右旋回を指令する右旋回指令範囲にわたり移動操作自在であり、その左旋回指令範囲及び右旋回指令範囲における左右方向の移動操作によりコンバインの直進、左旋回、及び、右旋回を指令するとともに、刈取処理装置3の停止を指令する昇降停止指令位置、その昇降停止指令位置に隣接位置して刈取処理装置3の上昇を指令する上昇指令範囲、及び、その昇降停止指令位置に隣接位置して刈取処理装置3の下降を指令する下降指令範囲にわたり移動操作自在であり、その上昇指令範囲及び下降指令範囲における前後方向の移動操作により刈取処理装置3の停止、上昇、及び、下降を指令する十字操作式の操作レバー70、ダイヤル操作により旋回モードを3段階に切り換える旋回モード切換え操作具73、操作レバーの上部に位置して親指にて押し操作される自動昇降スイッチ75、速度調整レバー42を入り位置と切り位置とに切り換え操作するアクセルレバー45、作業指令手段Iとしての非操作状態に自動復帰する押し操作式の作業開始指令用操作スイッチ71、作業停止指令用操作スイッチ72、キー操作により図示しない電源回路を切るオフ状態、及び、電源回路を入れるオン状態に切り換え操作自在なメインスイッチ76等が設けられている。
そして、前記直進用の無段変速装置7は、中立位置から正転方向並びに逆転方向夫々について無段階に変速操作可能な構成となっており、搭乗運転部6に設けられた走行変速操作具としての主変速レバー69の手動操作により変速操作を行なえるようになっている。
【0058】
説明を加えると、この主変速レバー69は、中立位置から前後方向に沿って所定の前後操作範囲にわたり手動操作によって揺動可能に構成されている。そして、図11に示すように、可変油圧ポンプ7Aの直進用斜板77が油圧サーボ機構SVを介して主変速レバー69に連係され、主変速レバー69の操作指令に基づいて直進用斜板77の角度を変更することにより油圧モータ7B側の出力状態を無段階に変更するように構成されている。つまり、主変速レバー69に対する手動操作があれば、その操作に対して油圧サーボ機構SVの作用により油圧操作力にてアシスト操作を行うことにより変速操作を軽く操作することができる構成となっている。尚、主変速レバー69の基端部には操作位置検出手段としての主変速レバーセンサ86が設けられ、主変速レバー69の操作位置を検出できるようになっている。
【0059】
そして、図12に示すように、主変速レバー69がニュートラル位置Nにあり中立状態が指令されていると、前記直進用斜板77が中立状態となり油圧モータ7Bは回転せず停止状態に維持される。主変速レバー69がニュートラル位置Nから前進側範囲に移動操作されて前進が指令されていると、主変速レバー69の操作指令に応じて油圧サーボ機構SVによって直進用斜板77の角度が正転方向(前進増速方向)に油圧操作力によって主変速レバー69による指令量だけ傾倒操作され、油圧モータ7Bが指令に応じた速度で正転方向に回転駆動されるように変速操作される構成となっている。
【0060】
主変速レバー69がニュートラル位置Nから後進側範囲に移動操作されて後進が指令されていると、主変速レバー69の操作指令に応じて油圧サーボ機構SVによって直進用斜板77の角度が逆転方向(後進増速方向)に油圧操作力によって主変速レバー69による指令量だけ傾倒操作され、油圧モータ7Bが指令に応じた速度で逆転方向に回転駆動されるように変速操作される構成となっている。
【0061】
前記旋回用の無段変速装置8も前記直進用の無段変速装置7と同様に、正転方向並びに逆転方向夫々について無段階に変速操作可能な構成となっており、油圧式の変速操作手段HSにより変速操作を行なえるようになっている。
説明を加えると、可変油圧ポンプ8Aの旋回用斜板78が油圧式の変速操作手段HSに連係され、この変速操作手段HSにより斜板角を変更することにより油圧モータ8B側の出力状態を変更するように構成されている。この変速操作手段HSは、図11に示すように、旋回用の無段変速装置8における旋回用斜板78に連動連結された複動型の変速用油圧シリンダ79と、この変速用油圧シリンダ79に対する作動油の給排状態を切り換え操作する変速用油圧制御ユニットVU1とを備えて構成されている。前記変速用油圧シリンダ79は、中立位置から正方向並びに逆方向夫々に操作自在な複動型に構成されており、内装される左右一対のバネ79a、79bの付勢力により中立位置に復帰付勢される構成となっている。
【0062】
前記直進用の無段変速装置7及び前記旋回用の無段変速装置8の変速動作について説明を加えると、斜板77、78の変速位置がニュートラル位置Nを含む所定幅を有する中立域にあれば変速出力(走行速度)は零となり、斜板77、78の変速位置がその中立域から所定方向に回動操作されると前進方向への走行速度が無段階に増速操作され、斜板77、78が中立域から所定方向と反対方向に操作されると後進方向への走行速度が無段階に増速操作される構成となっている。
【0063】
図11に示すように、その操作レバー70の左右方向の操作位置を検出する旋回センサ81及び前後方向の操作位置を検出する昇降センサ82、一対の無段変速装置7、8夫々の出力回転速度を前記出力ギヤ19e及び右側出力ギヤ18aの歯数をカウントすることにより検出する回転センサ92、93、前記直進用の無段変速装置7の直進用斜板77の斜板角を検出するポテンショメータ式の直進用変速位置センサ94、前記旋回用の無段変速装置8の旋回用斜板78の斜板角を検出するポテンショメータ式の旋回用変速位置センサ95、旋回モード切換え操作具73の操作位置を検出するモードセンサ96、作業開始指令用操作スイッチ71、作業停止指令用操作スイッチ72、メインスイッチ76、自動昇降スイッチ75、対機体高さセンサ33、主変速レバー69の変速操作位置を検出する操作位置検出手段としての主変速レバーセンサ86が備えられ、これらの入力情報に基づいて変速操作手段HS、操向用油圧シリンダ27R、27L、遮断用油圧シリンダ26R、26L、切換操作用モータM、昇降用油圧制御ユニットVU2の動作、及び、作業開始指令用操作スイッチ71、作業停止指令用操作スイッチ72の点灯を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御手段としての制御装置Hが備えられている。
【0064】
そして、直進用変速位置センサ94は、直進用の無断変速装置7における直進用斜板77の角度(傾倒位置)に応じた電圧が出力されるものであり、その電圧がA/D変換されて直進用検出値として制御装置Hに入力され、旋回用変速位置センサ95は、旋回用の無断変速装置8における旋回用斜板78の角度(傾倒位置)に応じた電圧が出力されるものであり、その電圧がA/D変換されて旋回用検出値として制御装置Hに入力されるように構成されている。
【0065】
前記制御装置Hによる旋回制御について説明を加えると、前記直進用の無段変速装置7を変速操作する油圧サーボ機構SVと、旋回用の無段変速装置8を変速操作する変速操作手段HSの変速用油圧シリンダ79と、変速操作手段HSの作動を制御し、操作レバー70にて指令された走行状態となるように伝動状態切換手段Aを切り換え操作する制御装置Hとが備えられ、その制御装置Hが、操作レバー70にて直進が指令されるときには、直進用の無段変速装置7を、主変速レバー69にて指令された走行速度になるように変速操作し、且つ、旋回用の無段変速装置8を、直進用の無段変速装置7の回転速度を検出する回転センサ59の検出速度と同じ速度になるように変速操作する直進制御処理を実行し、及び、操作レバー70にて左旋回及び右旋回が指令されたときには、直進用の無段変速装置7を、主変速レバー69にて指令された走行速度になるように変速操作し、且つ、旋回用の無段変速装置8を旋回用の目標速度になるように変速操作する旋回制御処理を実行するように構成されている。
【0066】
又、前記油圧サーボ機構SVが、直進用の無段変速装置7を、主変速レバー69にて操作位置の変化として指令される走行速度になるように変速操作するように構成され、変速操作手段HS、及び、変速操作手段HSの作動を制御する制御装置Hが、旋回用の無段変速装置8を、回転センサ92の検出速度と同じ速度になるように変速用油圧シリンダ79にて変速操作するように構成されている。
【0067】
前記制御装置Hによる刈取処理装置3の昇降制御について説明を加えると、操作レバー70が、昇降停止指令位置に位置すると、刈取処理装置3の昇降を停止させるように昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御し、操作レバー70が、上昇指令範囲に位置すると、昇降停止指令位置から操作レバー70が離れて位置するほど高速となる形態で刈取処理装置3を上昇させるように昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御し、操作レバー70が、下降指令範囲に位置すると、昇降停止指令位置から操作レバー70が離れて位置するほど高速となる形態で刈取処理装置3を下降させるように昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御する。そして、刈取処理装置3が、対機体高さセンサ33により設定高さよりも下降側の刈取処理高さにあることが検出されているときに、自動昇降スイッチ75が押し操作されると、刈取処理装置3を最大上昇位置に近い非刈取上昇位置まで上昇させるように昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御し、対機体高さセンサ33により非刈取上昇位置に位置することが検出されているときに、自動昇降スイッチ75が押し操作されると、刈取処理装置3を設定高さまで下降させるように昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御するようになっている。
尚、詳述はしないが、昇降用油圧制御ユニットVU2を切換制御することにより、刈取処理装置3の昇降速度を変更するように昇降用油圧シリンダ32の作動速度を変更調節する構成となっている。
【0068】
前記制御装置Hによる速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の切り換え制御について説明を加えると、作業開始指令を指令する状態及び作業停止指令を指令する状態に操作自在な作業指令手段Iと、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段Jと、切換操作用駆動モータMの作動を制御する制御装置Hとが設けられ、前記制御装置Hが、作業指令手段Iにて作業開始指令が指令されると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態にする運転起動状態にすべく、切換操作用駆動モータMの作動を制御するように構成され、且つ、運転起動状態において、運転操作状態検出手段Jの検出情報に基づいて刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると、刈取クラッチ10を入り状態にし、かつ、運転操作状態検出手段Jの検出情報に基づいて刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると、刈取クラッチ10を切り状態にすべく、切換操作用駆動モータMの作動を制御するように構成され、作業指令手段Iにて作業停止指令が指令されると、速度調整レバー42を定格回転状態に維持した状態で脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を切り状態とすべく、切換操作用駆動モータMの作動を制御するように構成されている。
【0069】
そして、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、脱穀装置4を搭載した走行機体2に対して昇降操作自在に設けられた刈取処理装置3の昇降位置を検出する対機体高さセンサ33、及び、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、主変速レバー69がニュートラル位置N以外の位置に位置する又はニュートラル位置N及びそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている。
【0070】
又、電源回路を切るオフ状態及び前記電源回路を入れるオン状態に切換操作自在なメインスイッチ76が設けられ、制御装置Hが、メインスイッチ76がオフ状態からオン状態に切り換えられると、速度調整レバー42をアイドリング状態に且つ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を切り状態にすべく、切換操作用駆動モータMの作動を制御するように構成されている。
【0071】
さらに、説明を加えると、図14に示すように、作業開始指令用操作スイッチ71、作業停止指令用操作スイッチ72は、ランプ付きロック無しスイッチにて構成されている。そして、メインスイッチ76がオフ状態からオン状態に切り換えられると、エンジンEが始動され、連動操作部Bが走行停止位置に位置するように切換操作用モータMを作動させるとともに、作業開始用指令用操作スイッチ71、作業停止指令用操作スイッチ72を消灯させる(図14(a)参照)。これにより、速度調整レバー42をアイドリング状態とし、刈取クラッチ10及び脱穀クラッチ12を切り状態とすることになる。
【0072】
前記作業開始指令用操作スイッチ71が押し操作されると、連動操作部Bが脱穀位置に位置するように切換操作用モータMを作動させるとともに、走行開始指令用操作スイッチ71を点灯させ、作業停止指令用操作スイッチ72を消灯させる(図14(b)参照)。これにより、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態にする運転起動状態になる。そして、運転起動状態において、対機体高さセンサ33により刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置することが検出され、且つ、主変速レバーセンサ86により主変速レバー69がニュートラル位置N又はそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置することが検出されると、刈取開始条件が満たされたと判別して、連動操作部Bが刈取作業位置に位置するように切換操作用モータMを作動させ、対機体高さセンサ33により刈取処理装置3が設定高さよりも上昇側の非刈取処理高さに位置することが検出され、又は、主変速レバーセンサ86により主変速レバー69がニュートラル位置N又はそのニュートラル位置Nの近傍範囲の位置に位置することが検出されると、刈取開始条件が満たされていないと判別して、連動操作部Bが脱穀位置に位置するように切換操作用モータMを作動させる。これにより、運転起動状態において、刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を入り状態にし、かつ、刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態にすべく、切換操作用モータMの作動を制御することになる。ちなみに、ニュートラル位置Nの近傍範囲とは、走行速度が通常の作業速度よりも遅く設定された設定速度以下の低速側の範囲である。
【0073】
前記作業停止指令用操作スイッチ72が押し操作されると、連動操作部Bが走行位置に位置するように切換操作用モータMを作動させるとともに、作業停止指令用操作スイッチ72を点灯させ、作業開始指令用操作スイッチ71を消灯させる(図14(c)参照)。これにより、速度調整レバー42を定格回転状態とし、刈取クラッチ10及び脱穀クラッチ12を切り状態とすることになる。
【0074】
次に、図15のフローチャートに基づいて、速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の切り換え制御について説明を加えると、メインスイッチ76がオフ状態からオン状態に切り換えられると、速度調整レバー42をアイドリング状態にかつ刈取クラッチ10及び脱穀クラッチ12を切り状態とする(ステップ1)。作業開始指令用操作スイッチ75の押し操作により作業開始指令が指令されると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態にする運転起動状態にする(ステップ2、3)。運転起動状態において、対機体高さセンサ33により刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置することが検出され、且つ、主変速レバーセンサ86により主変速レバー69がニュートラル位置N又はそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置することが検出されると、刈取開始条件が満たされたと判別して、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を入り状態とする(ステップ4、5)。運転起動状態において、対機体高さセンサ33により刈取処理装置3が設定高さよりも上昇側の非刈取処理高さに位置することが検出され、又は、主変速レバーセンサ86により主変速レバー69がニュートラル位置N又はそのニュートラル位置Nの近傍範囲の位置に位置することが検出されると、刈取開始条件が満たされていないと判別して、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態とする(ステップ4、6)。そして、作業停止指令用操作スイッチ72の押し操作により作業停止指令が指令されるまでの間、刈取開始条件が満たされると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を入り状態とし、刈取開始条件が満たされていないと、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態とする(ステップ4〜7)。作業停止指令用操作スイッチ72の押し操作により作業停止指令が指令されると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を切り状態とする(ステップ7、9)。作業開始指令が指令されないと、作業停止指令用操作スイッチ72の押し操作により作業停止指令が指令されると、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10を切り状態とし、作業停止指令が指令されないと、速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の状態を維持する(ステップ2、8、9)。そして、メインスイッチ76がオン状態の間、速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の入切操作を繰り返すことになる(ステップ2〜14)。
【0075】
前記制御装置Hによる速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の切り換え制御についてコンバインの動作に基づいて説明を加えると、メインスイッチ76をオフ状態からオン状態に切り換えると、エンジンEが始動され、速度調整レバー42がアイドリング状態に且つ刈取クラッチ10及び脱穀クラッチ12が切り状態になる。作業を開始するときには、作業開始指令用操作スイッチ71を押し操作することにより、速度調整レバー42を定格回転状態に且つ脱穀クラッチ12を入り状態にする運転起動状態にする。そして、運転起動状態において、枕地を走行するときには、自動昇降スイッチ75を押し操作して刈取処理装置3を非刈取上昇位置まで上昇させると、刈取作業開始条件が満たされていないことを判別して、刈取クラッチ10を切り状態にする。枕地から未刈り領域に進入して作業行程での刈取作業を開始するときには、自動昇降スイッチ75を押し操作して刈取処理装置3を刈取処理高さに下降させると、刈取処理装置3が刈取処理高さに位置し、且つ、走行速度が設定速度以上であるので、刈取作業開始条件が満たされていることを判別して、刈取クラッチ10を入り状態にする。作業行程での刈取作業を終了して枕地を走行するときには、自動昇降スイッチ75を押し操作して刈取処理装置を非刈取上昇位置に上昇させると、刈取作業開始条件が満たされていないことを判別して、刈取クラッチ10を切り状態にする。枕地から未刈り領域に進入して次の作業行程での刈取作業を開始するときには、自動昇降スイッチ75を押し操作して刈取処理装置3を刈取処理高さに下降させると、刈取処理装置3が刈取処理高さに位置し、且つ、走行速度が設定速度以上であるので、刈取作業開始条件が満たされていることを判別して、刈取クラッチ10を入り状態にする。このようにして全ての作業行程の刈取作業を行なうことになる。
【0076】
したがって、エンジンを始動させて作業を開始するときには、作業開始指令用操作スイッチ75を押し操作するだけの簡単な操作で、速度調整レバー42を定格回転状態にかつ脱穀クラッチ12を入り状態としかつ刈取クラッチ10を切り状態にする運転起動状態になるので、作業を開始するときにあたって、操作の簡略化を図れるものとなる。そして、運転起動状態において、刈取部が刈取処理高さに位置し、且つ、走行速度が設定速度以上であると、刈取作業開始条件が満たされていると判別することにより、刈取クラッチ10を切り状態に切り換えることができるものであるから、刈取作業を行なうにあたって、操作の簡略化を図れるものとなる。
【0077】
前記旋回用の無段変速装置8が旋回用の目標速度になるように変速操作手段HSの作動
を制御する処理について説明を加えると、操作レバー70が、中立位置から離れる方向への移動量と旋回半径に対応する速度比率との関係が図13に示すように二次関数に対応する関係として定めて記憶されている。一方、前記直進用変速位置センサ94からの直進用検出値と、図13に示すような関係の関数とから、旋回用の無段変速装置8の目標速度としての目標変速位置すなわち目標斜板位置を求めるのである。そして、旋回用変速位置センサ95からの旋回用検出値が目標変速値になるように変速操作手段HSの作動を制御して変速操作を行う。ちなみに、直進用の無段変速装置7は主変速レバー69に対する手動操作にて変速位置が調整されることになる。
【0078】
図13に基づいて説明を加えると、図13のラインL1は基準となる直進側の無段変速装置の速度を示し、ラインL2は緩旋回モードにおける目標回転速度の変化を示し、ラインL3は信地旋回モードにおける目標回転速度の変化を示し、ラインL4は超信地旋回モードにおける目標回転速度の変化を示しており、前記旋回モード切換え操作具73にて指定された旋回モードが選択されることになる。説明を加えると、ラインL2にて示す緩旋回モードでは、操作レバー70が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置が反対側の走行装置の走行速度Vの約1/3の速度にまで減速されるように、操作レバー70の操作位置に対する、左右の走行装置1R、1Lの速度比率の変化特性が予め設定されている。ラインL3で示す信地旋回モードにおいては、操作レバー70が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置の走行速度が零となるまで減速されるように、操作レバー70の操作位置に対する左右の走行装置1R、1Lの速度比率が予め設定されている。又、ラインL4に示す超信地旋回モードにおいては、操作レバー70が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置の走行速度が反対側の走行装置の駆動回転方向とは逆回転方向で、反対側の走行装置の速度と同速度になるように、操作レバー70の操作位置に対する左右の走行装置1R、1Lの速度比率が予め設定されている。
【0079】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係るコンバインの旋回制御装置の第2実施形態を説明するが、基本的な構成は、上記第1実施の形態と同様であるので、同様な構成については、第1実施の形態と同じ符号を付け、説明は省略する。
【0080】
前記アクセルレバー45は、枠部50が備える支持用軸部53に揺動自在に支持されており、さらに、円盤状の摩擦板97がアクセルレバー45及び支持用軸部53の夫々に取り付けられている。これによりアクセルレバー45を操作しない状態では、バネの付勢力に抗してアクセルレバー45の位置を維持するようになっている。
【0081】
前記切換操作用モータMを正逆回転駆動すると、連動操作部Bを取り付け用軸部51の軸芯周りで正逆回転させて、図16に示す走行停止位置と、図17に示す脱穀位置と、図18に示す刈取作業位置と、図19に示す走行位置とに切り換え操作する構成となっている。
説明を加えると、図16に示すように、連動操作部Bが走行停止位置に位置する場合において、摩擦板97の摩擦作用によりアクセルレバー45を切り位置に維持し、速度調整レバー42をアイドリング状態に維持する。ちなみに、この走行停止位置において、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の両方とも切り状態になっている。
【0082】
図17に示すように、切換操作用モータMを正回転駆動させることにより、連動操作部Bが走行停止位置から脱穀位置に位置変更する場合において、アクセルレバー操作用カム46のカム面46aがカムフォロア54に押圧作用することにより、アクセルレバー45を切り位置から入り位置に切り換え、速度調整レバー42をアイドリング状態から定格回転状態に切り換える。刈取クラッチ操作用取り付け板59が刈取クラッチ操作用ケーブル60の延びる方向にほぼ直交する方向に揺動するので、刈取クラッチ操作用取り付け板59に相対回動自在に連結されている刈取クラッチ操作用L字リンク61に取り付けられている刈取クラッチ操作用ケーブル60を引っ張り操作することがほとんど無く、刈取クラッチ10を切り位置に維持する。脱穀クラッチ操作用取り付け板56が脱穀クラッチ操作用ケーブル57の延びる方向に揺動するので、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に相対回動自在に連結されている脱穀クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている脱穀クラッチ操作用ケーブル57を引っ張り操作して、脱穀クラッチ12を切り状態から入り状態に切り換える。
【0083】
図18に示すように、切換操作用モータMを正回転駆動させることにより、連動操作部Bが脱穀位置から刈取作業位置に位置変更する場合において、アクセルレバー操作用カム46の外周面46bがカムフォロア54に当接することにより、アクセルレバー45を入り位置に維持し、速度調整レバー42を定格回転状態に維持する。刈取クラッチ操作用取り付け板59が刈取クラッチ操作用ケーブル60の延びる方向に揺動するので、刈取クラッチ操作用取り付け板59に相対回動自在に連結されている刈取クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている操作用ケーブル55を引っ張り操作して、刈取クラッチ10を切り位置から入り状態に切り換える。脱穀クラッチ操作用取り付け板56が脱穀クラッチ操作用ケーブル57の延びる方向にほぼ直交する方向に揺動するので、脱穀クラッチ操作用取り付け板56に相対回動自在に連結されている脱穀クラッチ操作用L字リンク58に取り付けられている脱穀クラッチ操作用ケーブル57を引っ張り操作することがほとんど無く、脱穀クラッチ12を入り状態に維持する。
【0084】
図19に示すように、切換操作用モータMを逆回転駆動させることにより、連動操作部Bが刈取作業位置から走行位置に位置変更する場合において、摩擦板97の摩擦作用によりアクセルレバー45を入り位置に維持し、速度調整レバー42を定格回転状態に維持する。ちなみに、この走行位置において、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の両方とも切り状態になっている。
【0085】
以上の構成により、連動操作部Bを取り付け用軸部51の軸芯周りで正回転させることにより、速度調整レバー42がアイドリング状態、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10が切り状態となる走行停止位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10が切り状態となる走行位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が切り状態となる脱穀位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が入り状態となる刈取作業位置に順次切り換え操作し、連動操作部Bを取り付け用軸部51の軸芯周りで逆回転させることにより、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が入り状態となる刈取作業位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12が入り状態、刈取クラッチ10が切り状態となる脱穀位置、速度調整レバー42が定格回転状態、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10が切り状態となる走行位置に順次切り換え操作する構成となっている。ちなみに、連動操作部Bが走行停止位置及び走行位置に位置する状態において、アクセルレバー45を操作することにより、速度調整レバー42をアイドリング状態と定格回転状態とに切り換えることができるようになっている。
【0086】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、脱穀装置4を搭載した走行機体2に対して昇降操作自在に設けられた刈取処理装置3の昇降位置を検出する対機体高さセンサ33、及び、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、主変速レバー69がニュートラル位置N以外の位置に位置する又はニュートラル位置N及びそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成を例示したが、このような構成に代えて、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、脱穀装置4を搭載した走行機体2に対して昇降操作自在に設けられた刈取処理装置3の昇降位置を検出する対機体高さセンサ33、及び、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、主変速レバー69が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。
【0087】
又は、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、脱穀装置4を搭載した走行機体2に対して昇降操作自在に設けられた刈取処理装置3の昇降位置を検出する対機体高さセンサ33の検出情報に基づいて、刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成や、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、制御装置Hが、主変速レバー69がニュートラル位置N以外の位置に位置する又はニュートラル位置N及びそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成や、あるいは、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、主変速レバー69が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。
【0088】
(2)上記実施の形態では、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の入り状態と切り状態との切換操作及び速度調整レバー42の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を行う切換操作用モータMを設ける構成を例示したが、このような構成に代えて、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ10の入り状態と切り状態との切換操作を行なうクラッチ切換操作用モータと、速度調整レバー42の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を行う速度調整レバー切換操作用モータとを各別に設ける構成としてもよく、あるいは、速度調整レバー42、脱穀クラッチ12、刈取クラッチ10の夫々に対して脱穀クラッチ切換操作用モータ、刈取クラッチ切換操作用モータ、速度調整レバー切換操作用モータを設ける構成としてもよい、
【0089】
(3)上記実施の形態では、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、脱穀装置4を搭載した走行機体2に対して昇降操作自在に設けられた刈取処理装置3の昇降位置を検出する対機体高さセンサ33、及び、主変速レバー69の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ86の検出情報に基づいて、刈取処理装置3が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、主変速レバー69がニュートラル位置N以外の位置に位置する又はニュートラル位置N及びそのニュートラル位置Nの近傍範囲以外の位置に位置すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、刈取処理装置3の分草具に設けられた株元センサにて穀稈の存在を検出すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよく、前記運転操作状態検出手段Jが、前記制御装置Hを主要部として構成されて、その制御装置Hが、撮像手段の撮像情報にて穀稈の存在を検出すると、刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態におけるコンバインの全体側面図
【図2】第1実施形態における伝動構造を示す概略構成図
【図3】第1実施形態における伝動構造を示す概略構成図
【図4】第1実施形態における連動操作部の左側面図
【図5】第1実施形態における連動操作部の平面図
【図6】第1実施形態における連動操作部の右側面図
【図7】第1実施形態における走行停止位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図8】第1実施形態における走行位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図9】第1実施形態における脱穀位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図10】第1実施形態における刈取作業位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図11】第1実施形態における制御ブロック図
【図12】第1実施形態における変速位置と変速出力との関係を示す図
【図13】第1実施形態における旋回レバーの操作位置と速度比率を示す図
【図14】第1実施形態におけるスイッチの点灯状態を示す図
【図15】第1実施形態における制御動作のフローチャート
【図16】第2実施形態における走行停止位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図17】第2実施形態における脱穀位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図18】第2実施形態における刈取作業位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【図19】第2実施形態における走行位置に位置する連動操作部を示す概略構成図
【符号の説明】
【0091】
2 走行機体
3 刈取処理装置
4 脱穀装置
10 刈取クラッチ
12 脱穀クラッチ
33 昇降位置検出手段
42 アクセル手段
69 走行変速操作具
76 メインスイッチ
86 操作位置検出手段
E エンジン
H 制御手段
I 作業指令手段
J 運転状態検出手段
M 切換操作用駆動手段、アクチュエータ
N ニュートラル位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記脱穀装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチと、
前記エンジンの出力を刈取処理装置に伝達する入り状態と前記エンジンの出力の前記刈取処理装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、
前記エンジンを設定定格回転数にて回転させる定格回転状態と前記エンジンをアイドリング回転数にて回転させるアイドリング状態とに切り換え自在なアクセル手段とが設けられたコンバインの駆動制御装置であって、
前記脱穀クラッチの前記入り状態と前記切り状態との切換操作、前記刈取クラッチの前記入り状態と前記切り状態との切換操作、及び、前記アクセル手段の前記定格回転状態と前記アイドリング状態との切換操作を行う切換操作用駆動手段と、
作業開始指令を指令する状態に操作自在な作業指令手段と、
刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段と、
前記切換操作用駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、
前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を前記定格回転状態にかつ前記脱穀クラッチを入り状態にする運転起動状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、
前記運転起動状態において、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると、前記刈取クラッチを前記入り状態にし、かつ、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると、前記刈取クラッチを前記切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されているコンバインの駆動制御装置。
【請求項2】
前記作業指令手段が、作業停止指令を指令する状態に操作自在に構成され、
前記制御手段が、前記運転起動状態において、前記作業指令手段により前記作業停止指令が指令されると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチを前記切り状態とすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1に記載のコンバインの駆動制御装置。
【請求項3】
前記運転操作状態検出手段が、
前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段、及び、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、前記走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又は前記ニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項1又は2に記載のコンバインの制御装置。
【請求項4】
前記運転操作状態検出手段が、
前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段、及び、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置し、且つ、前記走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項1又は2に記載のコンバインの制御装置。
【請求項5】
前記運転操作状態検出手段が、
前記脱穀装置を搭載した走行機体に対して昇降操作自在に設けられた前記刈取処理装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記刈取処理装置が設定高さよりも下降側の刈取処理高さに位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項1又は2に記載のコンバインの制御装置。
【請求項6】
前記運転操作状態検出手段が、
走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に位置する又は前記ニュートラル位置及びそのニュートラル位置の近傍範囲以外の位置に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項1又は2に記載のコンバインの制御装置。
【請求項7】
前記運転操作状態検出手段が、
走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記走行変速操作具が前進側範囲の位置又は前進側範囲でかつ設定速度以上の高速側の範囲に位置すると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項1又は2に記載のコンバインの制御装置。
【請求項8】
電源回路を切るオフ状態及び前記電源回路を入れるオン状態に切換操作自在なメインスイッチが設けられ、
前記制御手段が、前記メインスイッチが前記オフ状態から前記オン状態に切り換えられると、前記アクセル手段を前記アイドリング状態に且つ前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチを前記切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバインの制御装置。
【請求項9】
前記切換操作用駆動手段が、単一のアクチュエータにて、前記脱穀クラッチ、前記刈取クラッチ、及び、前記アクセル手段を操作するように構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバインの駆動制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−252347(P2007−252347A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84695(P2006−84695)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】