説明

コンバイン

【課題】排気ガス浄化装置150を適正に再生できるものでありながら、エンジン70が無駄に運転されるのを防止できるようにしたコンバインを提供しようとするものである。
【解決手段】エンジン70を搭載した走行機体1と、左右の走行クローラ2と、刈取装置3と、脱穀装置5と、エンジン70の排気経路に配置された排気ガス浄化装置150とを備えたコンバインにおいて、脱穀クラッチ入り時間を除くエンジン70の実質的稼働時間が所定時間以上経過したときに、排気ガス浄化装置150内に燃料を供給する強制再生制御を実行するように構成したものである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、刈取装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀するコンバインに係り、より詳しくは、ディーゼルエンジンを搭載したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、ディーゼルエンジン(以下単に、エンジンという)に関する高次の排ガス規制が適用されるのに伴い、エンジンが搭載されるエンジン発電機、農作業機及び建設機械等に、排気ガス中の大気汚染物質を浄化処理する排気ガス浄化装置を搭載することが要望されつつある。排気ガス浄化装置としては、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)が知られている(特許文献1及び2参照)。DPFは、排気ガス中の粒子状物質(以下、PMという)等を捕集するためのものである。この場合、DPFにて捕集されたPMが規定量を超えると、DPF内の排気抵抗が増大してエンジン出力の低下をもたらすため、排気ガスの昇温によってDPFに堆積したPMを除去し、DPFのPM捕集能力を回復させる(DPFを再生させる)こともよく行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−145430号公報
【特許文献2】特開2003−27922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンバインにおいて、例えば、エンジンにコモンレール装置を設けて、DPFにて捕集されたPM量に関係なく、コモンレール装置を所定時間毎に制御して、排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させることによって、排気ガス浄化装置を適正に再生できるが、必要以上に行うと、コモンレール装置の制御(ポスト噴射)によって、エンジンの燃料が無駄に消費される等の問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、このような現状を検討して改善を施したコンバインを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、エンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置と、前記エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置とを備えたコンバインにおいて、脱穀クラッチ入り時間を除くエンジンの実質的稼働時間が所定時間以上経過したときに、前記排気ガス浄化装置内に燃料を供給する強制再生制御を実行するように構成したものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記脱穀装置の作動状態に関わらず、前記排気ガス浄化装置を所定条件下で自主的に再生動作させる一方、前記脱穀装置が停止しているときに、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記エンジンに吸気絞り装置又は排気絞り装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記吸気絞り装置又は排気絞り装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記エンジンにコモンレール装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記コモンレール装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、エンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置と、前記エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置とを備えたコンバインにおいて、脱穀クラッチ入り時間を除くエンジンの実質的稼働時間が所定時間以上経過したときに、前記排気ガス浄化装置内に燃料を供給する強制再生制御を実行するように構成したものであるから、前記排気ガス浄化装置を適正に再生できるものでありながら、前記エンジンが無駄に運転されるのを防止できる。
【0011】
例えば、前記エンジンにコモンレール装置を設けて、前記排気ガス浄化装置にて捕集された粒子状物質(PM)量に関係なく、前記コモンレール装置を所定時間毎に制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させる場合であっても、前記排気ガス浄化装置を再生動作するためのエンジンの燃料が無駄に消費されるのを防止できる。
【0012】
請求項2の発明によると、前記脱穀装置の作動状態に関わらず、前記排気ガス浄化装置を所定条件下で自主的に再生動作させる一方、前記脱穀装置が停止しているときに、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、前記排気ガス浄化装置を所定温度以上で自己再生できる一方、前記脱穀装置の停止中、前記排気ガス浄化装置を補助再生できる。前記脱穀装置の脱粒性能又は選別性能を維持しながら、前記排気ガス浄化装置の浄化性能を維持できる。
【0013】
請求項3の発明によると、前記エンジンに吸気絞り装置又は排気絞り装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記吸気絞り装置又は排気絞り装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、前記エンジンの吸気抵抗又は排気抵抗等の制御によって、前記エンジンからの排気ガスを速やかに昇温でき、前記排気ガス浄化装置に堆積したPMをスムーズに除去できる。
【0014】
請求項4の発明によると、前記エンジンにコモンレール装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記コモンレール装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、前記コモンレール装置のポスト噴射(アフター噴射)制御等によって、前記排気ガス浄化装置内の排気ガスをアフターバーナーにて速やかに昇温でき、前記排気ガス浄化装置に堆積したPMをスムーズに除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示すコンバインの左側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】エンジン及び排気ガス浄化装置の関係を示す機能ブロック図である。
【図4】エンジンの燃料系統説明図である。
【図5】DPF再生制御についての基本プログラムの流れを示すフローチャートである。
【図6】手動補助再生モードのフローチャートである。
【図7】自動補助再生モードのフローチャートである。
【図8】DPFのリセット再生制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示すコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図である。図1及び図2を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0017】
本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。脱穀装置5が走行機体1の左側に、穀粒タンク7が走行機体1の右側に配置されている。走行機体1の後部及び上部に旋回可能な穀粒排出オーガ8が設けられている。穀粒タンク7の内部の穀粒が、穀粒排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
【0018】
運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップと、操縦ハンドル13を設けたハンドルコラムと、運転座席14の左側方のレバーコラム15に設けた走行主変速レバー16、及び走行副変速レバー17、刈取クラッチ及び脱穀クラッチ等の作業クラッチ(図示省略)を入り切り操作する作業クラッチレバー18とが、配置されている。運転座席14の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン70が配置されている。
【0019】
図1及び図2、図8乃至図11に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン70の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。ディーゼルエンジン70の出力がミッションケース19に伝達され、ミッションケース19によってディーゼルエンジン70の出力が変速され、ミッションケース19の変速出力によって走行クローラ2が駆動される。
【0020】
図1及び図2に示されるように、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場の未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置されている。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、圃場の未刈り穀稈を分草する6条分の分草体225が突設されている。ディーゼルエンジン70にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取る。
【0021】
図1及び図2に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する脱穀選別機構としての揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴229と、揺動選別盤227の後部の排塵を排出する排塵ファン230とを備えている。なお、扱胴226の回転軸はフィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の前進方向)に沿って延びている。刈取装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈の株元側はフィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて扱胴226にて脱穀される。
【0022】
図1及び図2に示されるように、揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ231,232は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ231、二番コンベヤ232の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。なお、揺動駆動軸240によって、略一定速度で前後及び上下方向に揺動選別盤227を往復揺動させる(図3参照)。その結果、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、揺動選別盤227のフィードパン及びチャフシーブ(図示省略)によって搖動選別(比重選別)される。
【0023】
前記揺動選別盤227によって脱穀物が揺動選別されることによって、脱穀物中の穀粒が、揺動選別盤227のグレンシーブ(図示省略)から下方に落下する。前記グレンシーブから落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。一番コンベヤ231のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる揚穀コンベヤ233が連通接続されている。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ233を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集される。
【0024】
また、図1及び図2に示されるように、脱穀選別機構としての揺動選別盤227は、揺動選別(比重選別)によってチャフシーブ(図示省略)から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。揺動選別盤227のチャフシーブから落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下する。二番コンベヤ232のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁から外向きに突出した終端部は、揚穀コンベヤ233と交差して前後方向に延びる還元コンベヤ236を介して、揺動選別盤227前部の上面側に連通接続され、前記二番物を揺動選別盤227前部の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0025】
一方、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン234が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0026】
次に、図3及び図4を参照しながら、エンジン及びその周辺の構造を説明する。図3に示すように、エンジン70は4気筒型のディーゼルエンジンであり、上面にシリンダヘッド172が締結されたシリンダブロック175を備えている。シリンダヘッド172の一側面には吸気マニホールド173が接続されており、他側面には排気マニホールド171が接続されている。シリンダブロック175の側面のうち吸気マニホールド173の下方には、エンジン70の各気筒に燃料を供給するコモンレール装置317が設けられている。吸気マニホールド173の吸気上流側に接続された吸気管176には、エンジン70の吸気圧(吸気量)を調節するための吸気絞り装置181とエアクリーナ(図示省略)とが接続される。
【0027】
図4に示す如く、エンジン70における4気筒分の各インジェクタ315に、コモンレール装置317及び燃料供給ポンプ316を介して、燃料タンク318が接続される。各インジェクタ315は電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ319を備えている。コモンレール装置317は円筒状のコモンレール320を備えている。燃料供給ポンプ316の吸入側には、燃料フィルタ321及び低圧管322を介して燃料タンク318が接続されている。燃料タンク318内の燃料が燃料フィルタ321及び低圧管322を介して燃料供給ポンプ316に吸い込まれる。燃料供給ポンプ316は吸気マニホールド173の近傍に配置されている。
【0028】
一方、燃料供給ポンプ316の吐出側には、高圧管323を介してコモンレール320が接続されている。円筒状のコモンレール320の長手方向の中間に高圧管コネクタ324を設け、高圧管コネクタ324に高圧管323の端部が高圧管コネクタナット325の螺着にて連結されている。また、コモンレール320には、4本の燃料噴射管326を介して、4気筒分のインジェクタ315が接続されている。円筒状のコモンレール320の長手方向に四気筒分の燃料噴射管コネクタ327を設け、燃料噴射管コネクタ327に燃料噴射管326の端部が燃料噴射管コネクタナット328の螺着にて連結されている。
【0029】
上記の構成により、燃料タンク318の燃料が燃料供給ポンプ316によってコモンレール320に圧送され、高圧の燃料がコモンレール320に蓄えられる。各燃料噴射バルブ319がそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール320内の高圧の燃料が各インジェクタ315からディーゼルエンジン70の各気筒に噴射される。即ち、各燃料噴射バルブ319を電子制御することによって、各インジェクタ315から供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン70から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。ディーゼルエンジン70の騒音振動を低減できる。
【0030】
なお、燃料タンク318に燃料戻り管329を介して燃料供給ポンプ316を接続する。円筒状のコモンレール320の長手方向の端部に、コモンレール320内の燃料の圧力を制限する圧力調整バルブ付き戻り管コネクタ330を介して、コモンレール戻り管331を接続する。即ち、燃料供給ポンプ316の余剰燃料とコモンレール320の余剰燃料が、燃料戻り管329とコモンレール戻り管331を介して、燃料タンク318に回収される。
【0031】
図3に示す如く、排気マニホールド171の排気下流側に接続された排気管177には、エンジン70の排気圧を調節するための排気絞り装置182と、排気ガス浄化装置の一例であるディーゼルパティキュレートフィルタ150(以下、DPFという)とが接続される。エンジン70の各気筒から排気マニホールド171に排出された排気ガスは、排気管177、排気絞り装置182及びDPF150を経由して浄化処理されて機外に排出される。
【0032】
DPF150は、排気ガス中の粒子状物質(以下、PMという)等を捕集するためのものである。DPF150は、耐熱金属材料製のケーシング151内にある略筒型のフィルタケース152に、例えば白金等のディーゼル酸化触媒153とスートフィルタ154とを直列に並べて収容している。フィルタケース152の排気上流側にディーゼル酸化触媒153が配置され、排気下流側にスートフィルタ154が配置される。スートフィルタ154は、排気ガスをろ過可能な多孔質隔壁にて区画された多数のセルを有するハニカム構造に構成されている。
【0033】
ケーシング151の一側部には、排気管177のうち排気絞り装置182の排気下流側に連通する排気導入口155が設けられている。前記ケーシング151の一側部と、フィルタケース152の一側部は、第1側壁板156と第2側壁板157にて塞がれている。ケーシング151の他側部は、第1蓋板159と第2蓋板160にて塞がれている。両蓋板159,160の間は、フィルタケース152内に複数の連通管162を介して連通する排気音減衰室163になっている。また、第2蓋板160を略筒型の排気出口管161が貫通している。排気出口管161の外周面には、排気音減衰室163に向けて開口する複数の連通穴158が形成されている。排気出口管161及び排気音減衰室163等によって消音器164を構成している。
【0034】
ケーシング151の一側部に形成された排気導入口155には排気ガス導入管165が挿入されている。排気ガス導入管165の先端は、ケーシング151を横断して排気導入口155と反対側の側面に突出している。排気ガス導入管165の外周面には、フィルタケース152に向けて開口する複数の連通穴166が形成されている。排気ガス導入管165のうち排気導入口155と反対側の側面に突出する部分は、これに着脱可能に螺着された蓋体167にて塞がれている。
【0035】
DPF150には、検出手段の一例として、スートフィルタ154の詰まり状態を検出する差圧センサ168が設けられている。差圧センサ168は、DPF150内におけるスートフィルタ154の上流側と下流側の各排気圧の圧力差(入口側と出口側の排気ガスの差圧)を検出するものである。この場合、排気ガス導入管165の蓋体167に、差圧センサ168を構成する上流側排気圧センサ168aが装着され、スートフィルタ154と排気音減衰室163との間に、下流側排気圧センサ168bが装着されている。
【0036】
なお、DPF150の上流側と下流側の各排気圧の圧力差と、スートフィルタ154(DPF150)内のPM堆積量との間に特定の関連があるから、差圧センサ168にて検出される圧力差に基づき、DPF150内のPM堆積量が演算によって求められる。前記PM堆積量の演算結果に基づき、吸気絞り装置181、又は排気絞り装置182、又はコモンレール320を作動制御することにより、スートフィルタ154(DPF150)の強制再生制御が実行される。
【0037】
上記の構成において、エンジン70からの排気ガスは、排気導入口155を介して排気ガス導入管165に入って、排気ガス導入管165に形成された各連通穴166からフィルタケース152内に噴出し、ディーゼル酸化触媒153からスートフィルタ154の順に通過して浄化処理される。排気ガス中のPMは、スートフィルタ154(各セル間の多孔質隔壁)に捕集される。ディーゼル酸化触媒153及びスートフィルタ154を通過した排気ガスは、消音器164を介して排気出口管161から機外に放出される。
【0038】
排気ガスがディーゼル酸化触媒153及びスートフィルタ154を通過するに際して、排気ガス温度が再生可能温度(例えば約250〜300℃)を超えていれば、ディーゼル酸化触媒153の作用にて、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO(二酸化窒素)に酸化する。そして、NOがNOに戻る際に放出するO(酸素)にて、スートフィルタ154に堆積したPMを酸化除去することにより、スートフィルタ154のPM捕集能力が回復する。即ち、スートフィルタ154(DPF150)が自己再生する。
【0039】
次に、図4〜図5を参照しながら、エンジン70の制御関連の構成を説明する。図4に示す如く、エンジン70における各気筒の燃料噴射バルブ319を作動させるECU(エンジン制御回路)111を備えている。ECU111は、各種演算処理や制御を実行する制御手段としてのCPU131の他、各種データを記憶した固定記憶手段としてのROM132、後述する複数の再生モードの再生プログラム等を記憶する可変記憶手段としてのEEPROM133、各種データを一時的に記憶させるRAM134、時間計測用のタイマ135、及び入出力インターフェイス等を備える。
【0040】
ECU111の入力側には、コモンレール320内の燃料圧力を検出するレール圧センサ112と、燃料ポンプ316を回転又は停止させる電磁クラッチ113と、エンジン70のクランク軸のカムシャフト位置を検出するエンジン速度センサ114と、インジェクタ315の燃料噴射回数(1行程の燃料噴射期間中の回数)を設定する噴射設定器115と、スロットルレバー等のアクセル操作位置を検出するスロットル位置センサ116と、吸気経路中の吸気温度を検出する吸気温度センサ117と、排気経路中の排気ガス温度を検出する排気温度センサ118と、エンジン70の冷却水温度を検出する冷却水温度センサ119と、コモンレール320内の燃料温度を検出する燃料温度センサ120と、後述する手動補助再生モードの実行の可否をオペレータが選択操作する手動操作手段としての手動再生スイッチ121と、差圧センサ168(上流側排気圧センサ168a及び下流側排気圧センサ168b)と、作業クラッチレバー18の入り切り操作を検出する脱穀クラッチセンサ136とが接続されている。
【0041】
ECU111の出力側には、エンジン70の4気筒分の各燃料噴射バルブ319の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。即ち、コモンレール320に蓄えた高圧燃料が燃料噴射圧力、噴射時期及び噴射期間等を制御しながら、1行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ319から噴射されることによって、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えると共に、すすや二酸化炭素等の発生も低減した完全燃焼を実行し、燃費を向上させるように構成されている。また、ECU111の出力側には、エンジン70の吸気圧(吸気量)を調節する吸気絞り装置181と、エンジン70の排気圧を調節する排気絞り装置82と、後述する複数の再生モードの再生状況を表示する再生ランプ124が接続されている。
【0042】
ECU111は、エンジン速度センサ114にて検出される回転速度とスロットル位置センサ116にて検出されるスロットル位置とからエンジン70の出力トルクを求め、出力トルクと出力特性とを用いて目標燃料噴射量を演算し、当該演算結果に基づきコモンレール装置317が作動する燃料噴射制御を実行するように構成されている。なお、コモンレール装置317の燃料噴射量は、各燃料噴射バルブ319の開弁期間を調節して、各インジェクタ315への噴射期間を変更することによって調節される。
【0043】
エンジン70制御において実行されるDPF150の再生モードとしては、DPF150が再生可能な条件下でエンジン70を駆動させる自己再生モードと、DPF150の詰まり程度が所定以上の場合に強制的に排気ガスを昇温させる自動補助再生モードと、手動再生スイッチ121の入り操作によってDPF150を強制的に再生する手動補助再生モードとがある。自己再生モードは、一定の回転速度及び出力トルクにて扱胴226(エンジン70)を駆動する収穫作業中に用いられる。自動補助再生モードと、手動補助再生モードは、エンジン70の出力が不足するDPF150のフィルタ詰り状態下で用いられる。なお、自己再生モードにおける「再生可能な条件下」とは、エンジン70における回転速度と出力トルクとの関係が出力特性の再生可能領域にあり、DPF150内のPM酸化量がPM捕集量を上回る程度に、エンジン70の排気ガス温度が高い状態を意味している。
【0044】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、ECU111によるDPF150再生制御について説明する。図5のフローチャートに示す如く、エンジン速度センサ114のエンジン回転速度と、冷却水温度センサ119のエンジン冷却水温度と、排気温度センサ118のエンジン排気温度が読み込まれる。DPF150の再生が可能な再生モード状態で、自己再生モードのサブルーチンを呼び出して、自己再生処理を実行する。自己再生モードでは、DPF150が「再生可能な条件下」にあるか否かを判別し、「再生可能な条件下」のときに、計器パネル上の再生ランプ124を点灯させ、DPF150が自己再生されている旨をオペレータに報知する。
【0045】
次に、図5乃至図7のフローチャートを参照しながら、手動補助再生モードと自動補助再生モードについて説明する。自己再生モードの自己再生処理が実行されていない状態で、脱穀クラッチセンサ136によって作業クラッチレバー18の切り操作が検出されている(脱穀装置5の停止状態)ときに、手動補助再生モードの手動補助再生制御、又は自動補助再生モードの自動補助再生制御が実行される。なお、手動補助再生制御が実行されていない状態で、自動補助再生制御が実行される。
【0046】
図6は、ECU111によるDPF再生制御の手動補助再生モードの手動補助再生制御を実行する場合を示している。手動補助再生モードでは、オペレータが手動再生スイッチ121を入り操作することによって、DPF150の再生を許可する。図6の手動補助再生制御において、差圧センサ168からの検出結果に基づきDPF150内のPM堆積量が演算され、前記PM堆積量を読み込んで、前記PM堆積量が限界量(所定量)を超えたか否かを判別する。限界量を超えてDPF150が詰り状態である場合、再生ランプ124を点滅させ、DPF150の詰まり状態が限界量を超えている旨をオペレータに知らせる。
【0047】
次いで、手動再生スイッチ121が入り操作されていることによって、再生ランプ124を点灯させ、吸気絞り装置181の吸気絞りが可能か否かを判別する。吸気絞り装置181の閉弁が可能なときに、吸気絞り装置181の開度を所定開度まで閉弁して各気筒への吸気量を制限する。また、排気絞り装置182の排気絞りが可能か否かを判別する。排気絞り装置182の閉弁が可能なときに、排気絞り装置182の開度を所定開度まで閉弁して排気ガスの排出を制限する。また、コモンレール320のポスト噴射が可能か否かを判別する。コモンレール320のポスト噴射が可能なときに、コモンレール320のポスト噴射を実行する。即ち、手動再生補助モードでは、吸気量及び排気量の制限によってエンジン70負荷を増大させて排気ガスを昇温させたり、前記ポスト噴射によってDPF150内のPMを直接燃焼させたりする。その結果、DPF150内のPMが除去され、DPF150(スートフィルタ154)のPM捕集能力が回復する。
【0048】
なお、前記ポスト噴射とは、コモンレール320のメイン噴射後、即ちエンジン70のシリンダ(気筒)から排気中、排気経路(DPF150)に高圧燃料を送る燃料噴射のことである。前記ポスト噴射によって排気経路に送られた高圧燃料はDPF150内のPMを燃焼させるから、DPF150が再生される。
【0049】
図7は、ECU111によるDPF再生制御の自動補助再生モードの自動補助再生制御を実行する場合を示している。自動補助再生モードでは、DPF150の詰まり程度が所定状況以上になった場合に強制的に排気ガスを昇温させる。自動補助再生モードでは、図6の手動補助再生制御において、差圧センサ168からの検出結果に基づきDPF150内のPM堆積量が演算され、前記PM堆積量を読み込んで、前記PM堆積量が限界量(所定量)を超えたか否かを判別する。限界量を超えてDPF150が詰り状態である場合、限界量を超えた場合、超過後の経過時間をタイマ135にて計測し、所定時間(例えば10秒)を経過するまで、再生ランプ124を点滅させ、オペレータにDPF150の自動補助再生を予告する。
【0050】
タイマ135による計測時間が所定時間を経過した場合、再生ランプ124を点灯させ、吸気絞り装置181の吸気絞りが可能か否かを判別する。吸気絞り装置181の閉弁が可能なときに、吸気絞り装置181の開度を所定開度まで閉弁して各気筒への吸気量を制限する。また、排気絞り装置182の排気絞りが可能か否かを判別する。排気絞り装置182の閉弁が可能なときに、排気絞り装置182の開度を所定開度まで閉弁して排気ガスの排出を制限する。また、コモンレール320のポスト噴射が可能か否かを判別する。コモンレール320のポスト噴射が可能なときに、コモンレール320のポスト噴射を実行する。即ち、手動再生補助モードでは、吸気量及び排気量の制限によってエンジン70負荷を増大させて排気ガスを昇温させたり、前記ポスト噴射によってDPF150内のPMを直接燃焼させたりする。その結果、DPF150内のPMが除去され、DPF150(スートフィルタ154)のPM捕集能力が回復する。
【0051】
前記複数の再生モードとして少なくとも、前記排気ガス浄化装置150が再生可能な条件下で前記エンジン70を駆動させる自己再生モードと、前記排気ガス浄化装置150の詰まり程度が規定水準を超えた場合に自動的に排気ガスを昇温させる自動補助再生モードの自動補助再生制御と、手動操作手段124の入り操作によって前記排気ガス浄化装置150の再生を許可する手動補助再生モードの手動補助再生制御とを備えている。また、脱穀装置5が作動していないときに、手動補助再生制御又は自動補助再生制御が実行されるから、脱穀装置5を作動させる収穫作業中、手動補助再生制御又は自動補助再生制御によってエンジン70の回転数が変更されるのを防止できる。
【0052】
次に、図8のフローチャート等を参照しながら、ポスト噴射にてDPF150内に燃料を供給するためのDPF150のリセット再生制御(強制再生制御)について説明する。図8のフローチャートに示す如く、DPF150のリセット再生制御では、まずエンジン70のPM堆積通算時間Teを演算する。エンジン70のPM堆積通算時間Teは、エンジン70の累積駆動時間から、作業クラッチレバー18の入り操作によって脱穀装置5が作動している脱穀クラッチ入り時間を減算することによって、求められる。また、エンジン70のPM堆積通算時間Teが設定時間T0以上か否かを判別する(S01)。この段階では通常運転モードが実行されている。実施形態の設定時間T0は例えば約100時間程度に設定される。なお、エンジン70の累積駆動時間Teは、エンジン70が駆動している間、ECU111におけるタイマ135の時間情報を用いて計測され、EEPROM133に格納・蓄積される。
【0053】
累積駆動時間Teが設定時間T0以上のときには(S01:YES)、後述するステップS11へ移行する。一方、累積駆動時間Teが設定時間T0未満のときには(S01:NO)、差圧センサ68からの検出結果に基づきDPF50内のPM堆積量を推定し、当該推定結果が規定量(規定水準)以上か否かを判別する(S02)。PM堆積量が規定量未満の場合は(S02:NO)、通常運転モードが続行される。PM堆積量の規定量は例えば8g/lに設定される。PM堆積量が規定量以上のときには(S02:NO)、タイマ135の時間情報に基づく計測を開始して再生ランプ124を低速点滅させることによって(S03)、オペレータにDPF150再生動作(自動補助再生モード)の実行を予告する。
【0054】
次いで、再生禁止ボタン(図示省略)が押し操作(禁止操作)中のときには(S04:ON)、再生禁止ランプを点灯させ(S05)、ステップS03に戻る。一方、再生禁止ボタン27が押し操作中でないときには(S04:OFF)、再生ランプ124の低速点滅開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判別する(S06)。所定時間が経過したときに(S06:YES)、前記再生禁止ランプを消灯させ、低速点滅していた再生ランプ124を点灯させ(S07)、自動補助再生制御を実行する(S08)。
【0055】
前記自動補助再生制御では、吸気絞り装置181及び排気絞り装置182の少なくとも一方を用いた吸気量や排気量の制限によって、エンジン70負荷を増大させ、エンジン70出力を増大させて、排気ガス温度を上昇させる。その結果、DPF150内のPMが燃焼除去され、DPF150のPM捕集能力が回復する。前記自動補助再生制御は、例えば約20分程度実行され、当該時間の経過後、吸気絞り装置181や排気絞り装置182の開度がこれを狭める前の元の状態に戻る。
【0056】
前記自動補助再生制御の実行後は再び、差圧センサ168からの検出結果に基づきDPF150内のPM堆積量を推定し、当該推定結果が許容量以下か否かを判別する(S09)。PM堆積量が許容量以下のときには(S09:YES)、再生ランプ124を消灯させて自動補助再生モードの終了を報知し(S10)、ステップS01に戻って通常運転モードを実行する。前記PM堆積量の許容量は例えば4g/lに設定される。PM堆積量が許容量を超過している場合(S09:NO)、前記自動補助再生制御を実行したにも拘らず、DPF50内のPMが十分除去されていない(詰り状態が改善しない)状態にあるので、タイマ135の時間情報に基づく計測を開始して再生ランプ124を低速点滅させ(S11)、オペレータにDPF150再生動作(リセット再生制御)の実行を予告する。
【0057】
次いで、前記再生禁止ボタンが押し操作中の場合(S12:ON)、再生禁止ランプを点灯させ(S13)、ステップS11に戻り、リセット再生制御への移行が禁止される。一方、再生禁止ボタン27が押し操作中でないときに(S12:OFF)、再生ランプ124の低速点滅開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判別する(S14)。所定時間が経過した場合(S14:YES)、再生禁止ランプを消灯させ、低速点滅していた再生ランプ124を点灯させてから(S15)、リセット再生制御を実行する(S16)。
【0058】
リセット再生制御では、コモンレールシステム317のポスト噴射にてDPF150内に燃料を供給し、当該燃料をディーゼル酸化触媒153にて燃焼させることによって、DPF150内の排気ガス温度を上昇させる。その結果、DPF150内のPMが強制的に燃焼除去され、DPF150のPM捕集能力が回復する。前記リセット再生制御は、例えば約30分程度実行され、当該時間の経過後、コモンレールシステム317がポスト噴射を行わなくなる。なお、リセット再生制御を実行した場合、前記PM堆積通算時間Teはリセットされる。なお、作業クラッチレバー18の入り操作によって脱穀装置5を作動することによって、前記PM堆積通算時間Teがリセットされるように制御することも行える。
【0059】
図1、図4、図8に示す如く、エンジン70を搭載した走行機体1と、左右の走行クローラ2と、刈取装置3と、脱穀装置5と、エンジン70の排気経路に配置された排気ガス浄化装置150とを備えたコンバインにおいて、脱穀クラッチ入り時間を除くエンジン70の実質的稼働時間が所定時間以上経過したときに、排気ガス浄化装置150内に燃料を供給する強制再生制御を実行するように構成したものであるから、排気ガス浄化装置150を適正に再生できるものでありながら、エンジン70が無駄に運転されるのを防止できる。
【0060】
例えば、エンジン70にコモンレール装置317を設けて、排気ガス浄化装置150にて捕集された粒子状物質(PM)量に関係なく、コモンレール装置317を所定時間毎に制御して、排気ガス浄化装置150を強制的に再生動作させる場合であっても、排気ガス浄化装置150を再生動作するためのエンジン70の燃料が無駄に消費されるのを防止できる。
【0061】
図1、図4、図5に示す如く、脱穀装置5の作動状態に関わらず、排気ガス浄化装置150を所定条件下で自主的に再生動作させる一方、脱穀装置5が停止しているときに、排気ガス浄化装置150を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、排気ガス浄化装置150を所定温度以上で自己再生できる一方、脱穀装置5の停止中、排気ガス浄化装置150を補助再生できる。脱穀装置5の脱粒性能又は選別性能を維持しながら、排気ガス浄化装置150の浄化性能を維持できる。
【0062】
図3、図4、図5に示す如く、エンジン70に吸気絞り装置181又は排気絞り装置182を設け、脱穀装置5が停止しているときに、吸気絞り装置181又は排気絞り装置182を制御して、排気ガス浄化装置150を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、エンジン70の吸気抵抗又は排気抵抗等の制御によって、エンジン70からの排気ガスを速やかに昇温でき、排気ガス浄化装置150に堆積したPMをスムーズに除去できる。
【0063】
図4、図5に示す如く、エンジン70にコモンレール装置317を設け、脱穀装置5が停止しているときに、コモンレール装置317を制御して、排気ガス浄化装置150を強制的に再生動作させるように構成したものであるから、コモンレール装置317のポスト噴射(アフター噴射)制御等によって、排気ガス浄化装置150内の排気ガスをアフターバーナーにて速やかに昇温でき、排気ガス浄化装置150に堆積したPMをスムーズに除去できる。
【0064】
図4、図5に示す如く、エンジン70が連続運転状況下で回転しているときに、排気ガス浄化装置150の再生動作を制御可能に構成したものであるから、例えば、エンジン70の暖気運転中、又は不安定な回転状況下での排気ガス浄化装置150の再生動作を禁止でき、エンジン70の運転トラブル(エンジンストール等)又は排気ガス浄化装置150の再生トラブル(不適正な再生)等を簡単に低減でき、排気ガス浄化装置150の浄化性能を維持できる。
【0065】
図4、図5に示す如く、エンジン70の冷却水温度が所定温度を維持しているときに、排気ガス浄化装置150の再生動作を制御可能に構成したものであるから、例えば、寒冷地などの環境温度が極めて低い状況下での運転中、又はエンジン70の暖気運転中、又は不安定な回転状況下での排気ガス浄化装置150の再生動作を禁止でき、エンジン70の運転トラブル(エンジンストール等)又は排気ガス浄化装置150の再生トラブル(不適正な再生)等を簡単に低減でき、排気ガス浄化装置150の浄化性能を維持できる。
【0066】
図4、図5に示す如く、エンジン70の排気ガス温度が所定温度以上を維持しているときに、排気ガス浄化装置150の再生動作を制御可能に構成したものであるから、例えば、寒冷地などの環境温度が極めて低い状況下での運転中、又はエンジン70の暖気運転中、又は不安定な回転状況下での排気ガス浄化装置150の再生動作を禁止でき、エンジン70の運転トラブル(エンジンストール等)又は排気ガス浄化装置150の再生トラブル(不適正な再生)等を簡単に低減でき、排気ガス浄化装置150の浄化性能を維持できる。
【0067】
なお、脱穀装置の扱胴又は揺動選別盤等は一定回転力によって駆動するのが望ましい。しかしながら、脱穀作業中、DPFに堆積したPMを除去するDPF再生動作が実行された場合、排気ガスを昇温すべくエンジンの回転数が増大されることによって、扱胴又は揺動選別盤等の駆動速度も増速され、扱胴によって脱穀中の穀稈の穂先が切断される不具合、又は揺動選別盤上の脱粒物が早期に機外に排出される不具合等が発生しやすく、扱胴の脱粒性能又は揺動選別盤の選別性能が低下する等の不具合を未然になくせる。
【符号の説明】
【0068】
70 エンジン
121 手動再生スイッチ(手動操作手段)
150 DPF(排気ガス浄化装置)
320 コモンレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置と、前記エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置とを備えたコンバインにおいて、
脱穀クラッチ入り時間を除くエンジンの実質的稼働時間が所定時間以上経過したときに、前記排気ガス浄化装置内に燃料を供給する強制再生制御を実行するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記脱穀装置の作動状態に関わらず、前記排気ガス浄化装置を所定条件下で自主的に再生動作させる一方、前記脱穀装置が停止しているときに、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記エンジンに吸気絞り装置又は排気絞り装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記吸気絞り装置又は排気絞り装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記エンジンにコモンレール装置を設け、前記脱穀装置が停止しているときに、前記コモンレール装置を制御して、前記排気ガス浄化装置を強制的に再生動作させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−13027(P2012−13027A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151594(P2010−151594)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】