説明

コンバイン

【課題】排出オーガが排出作業の状態であると判断手段により判断されると脱穀クラッチを切断して脱穀部を停止する脱穀部を備えたコンバインを提供する。
【解決手段】穀粒排出クラッチ検出手段で穀粒排出クラッチの断接状態を検出し、穀粒排出クラッチの接続状態が穀粒排出クラッチ検出手段により検出されて、排出オーガ作動状況判断手段によって、排出オーガが作動状態であると判断されると、クラッチ操作装置によって脱穀クラッチが切断されて脱穀装置7が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取った穀類を脱穀する脱穀部を備えたコンバインに係り、詳しくは、排出オーガによる排出作業時の脱穀装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインは、穀類を刈取る前処理部と、該前処理部で刈取った穀類を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀された穀粒を貯蔵するグレンタンクと、該グレンタンク内の穀粒を機外に排出する排出オーガとを備え、前記脱穀部への動力伝達を断接する脱穀クラッチ及び排出オーガへの動力伝達を断接する排出クラッチを備えている。
【0003】
ところで、コンバインによる刈取り作業では、刈取り作業の終了後、グレンタンク内に貯まった穀粒をトラックの荷台などに排出オーガで排出して、穀粒を圃場から搬出するが、かかる排出作業を行う際、作業者は、コンバインを作業位置に停めた後、脱穀クラッチを切って脱穀部を停止させてから排出クラッチを繋ぎ、排出オーガを作動させて排出作業を開始する。しかし、作業者が脱穀部を作動させたまま排出作業を行う場合があり、かかる場合は、脱穀部の選別風と共に飛散するワラ屑など(三番飛散)が機体後方から排出されて所定箇所に堆積してしまい、見栄えが良くないだけでなく、次回の農作業に支障となる場合がある。
【0004】
従来、刈取りクラッチ及び脱穀クラッチを1個の作業系クラッチレバーの操作で断接できるクラッチ操作装置が案出されている(特許文献1参照)。このクラッチ操作装置は、伝動モータの駆動に応じて回動しうる単一のセクタギヤに対して、刈取りクラッチのテンションアーム及び脱穀クラッチのテンションアームのそれぞれに、異方向からワイヤが連繋されており、セクタギヤの回動位置により、それぞれ異なるタイミングで刈取りクラッチ及び脱穀クラッチを断接するものである。具体的には、セクタギヤの初期位置から中間位置(第二の位置)への回動により、刈取りクラッチをOFFに維持したまま、脱穀クラッチのみをONにして、セクタギヤの中間位置から終端位置(第三の位置)への回動により、脱穀クラッチのONを維持したまま、刈取りクラッチをONにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−77959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載のクラッチ操作装置は、1個の作業系クラッチレバーで脱穀クラッチ及び刈取りクラッチを断接することができるが、排出作業を行う際は、作業者自身が穀粒排出クラッチを繋いで排出オーガを作動させる必要があることから、例えば、作業者が脱穀クラッチを切り忘れて、脱穀装置を作動させた状態で、穀粒排出クラッチを繋ぐことがあり、かかる場合は、三番飛散などが所定箇所に堆積してしまう場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、排出オーガが排出作業の状態であると判断手段により判断されると、脱穀クラッチを切断して脱穀部を停止させることで、上記課題を解決したコンバインを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、刈取った穀類を脱穀する脱穀部(7)と、該脱穀部(7)で脱穀した穀粒を貯めるグレンタンクと、該グレンタンク内の穀粒を機外に排出する排出オーガ(9)と、を備えたコンバイン(1)において、
前記脱穀部(7)への動力伝達を断接する脱穀クラッチ(58)と、
前記排出オーガ(9)が作動状態に入る状況を検出する検出手段(67,69,70)と、
該検出手段(67,69,70)に基づき前記排出オーガが作動状態にあると判断する判断手段(73)と、
該判断手段(73)が、前記排出オーガ(9)を作動状態と判断することにより、前記脱穀クラッチ(58)を切断して、前記脱穀部(7)の動作を停止させる停止手段(52)と、を備える。
【0009】
前記停止手段(52)が前記脱穀部(7)を停止する状態にあって、前記脱穀クラッチを(58)人為的操作で入り操作すると、前記停止手段(52)の停止状態を解除して、前記脱穀部(7)を作動状態とする。
【0010】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によると、検出手段に基づいて判断手段が排出オーガは作動状態に入る状況であると判断すると、停止手段により脱穀クラッチを切断して脱穀部の動作を停止させるので、脱穀部を作動させながら排出作業を行うのを防止することができ、排出作業中に三番飛散などが機体から排出されて堆積することを防ぐことができる。
【0012】
請求項2に係る発明によると、排出オーガの作動により脱穀部が停止手段によって停止されても、人為的操作によって停止状態を解除して脱穀部を作動させることができるので、排出作業を行いながら脱穀作業をすることもでき、作業の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るコンバインの左側面図。
【図2】コンバインの脱穀部の内部構造を示した模式図。
【図3】コンバインの運転操作部を示した平面図。
【図4】運転操作部が備えるクラッチレバーを示す図であって、(A)は脱穀クラッチ及び刈取りクラッチが切れた状態であり、(B)は脱穀クラッチのみ繋がった状態であり、(C)は脱穀クラッチ及び刈取りクラッチが繋がった状態を示す図である。
【図5】コンバインが備えるクラッチ操作装置を示す模式図。
【図6】コンバインの制御部のブロック図。
【図7】コンバインの動力伝達を示す動力伝達図。
【図8】コンバインの脱穀クラッチの制御を示すフローチャート図。
【図9】コンバインの脱穀クラッチの制御を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態について図面に沿って説明する。コンバイン1の構成について説明すると、コンバイン1は、汎用型コンバインであり、図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置である走行部2に支持された機体3を有している。該機体3の前方には、圃場の穀類を刈取るための前処理部5が昇降自在に設けられており、該前処理部5の後方には、作業者がコンバインを操縦するための運転操作部6が設けられている。該運転操作部6の後方には穀類を脱穀する脱穀部7及び脱穀部7で脱穀した穀粒を貯蔵するグレンタンク(不図示)が並設されており、グレンタンク内の穀粒を機外に排出する排出オーガ9が設けられている。
【0015】
脱穀部7は、図2に示すように、扱室10を備えた脱穀装置7から構成されており、該扱室10の前方には、搬送された穀類を扱室10内に供給するための供給口11が設けられている。また、扱室10は、穀類を脱穀する扱胴12及び該扱胴12で脱穀された穀粒を選別する選別部13を有しており、扱胴12は、扱室10内で回転自在に支持されている。扱胴12の前方部12aは、略円錐形状に形成されており、扱胴12の外周には、ラセン形状に形成された扱歯15が設けられている。該扱歯15は、主に、穀類を搬送するラセン形状の板部15aと、該板部15aに等間隔で取付けられて穀類を扱ぐ歯部15bとからなる。
【0016】
扱胴12の下方には、受網17が設けられており、該受網17の下方には、選別部13が設けられている。選別部13には、揺動移動板19、チャフシーブ20、ラック21、ストローラック22、及びグレンシーブ23などからなる揺動選別体25が配設されており、該揺動選別体25の下方には、唐箕ファン26が設けられている。該唐箕ファン26後方には、穀粒をグレンタンクに搬送する一番揚穀装置(不図示)に、一番物を搬送する一番ラセン29が進行方向と直交するように配設されている。一番ラセン29の後方には、ターボファン30が設けられており、該ターボファン30の後方には、選別不十分でワラ屑や穂切れ粒などが混合した二番物を扱室に還元する二番還元装置(不図示)に、二番物を搬送する二番ラセン32が進行方向に直交するように配設されている。
【0017】
運転操作部6には、図3に示すように、運転者が着座するための運転座席35が設けられており、該運転座席35の前方には、運転パネル36が設けられている。該運転パネル36の右側には、コンバイン1を操舵するためのステアリングレバー37が設けられており、該ステアリングレバー37の左隣りには、様々な計器類を表示するための表示パネル39が設けられている。運転座席35の左側方には、操作パネル40が設けられており、該操作パネル40の前方には、コンバイン1の変速を行う主変速レバー41が設けられている。該主変速レバー41の後方には、A,B,Cの3つのポジションに切り換え可能で刈取・脱穀クラッチ操作レバー(以下、単に刈・脱クラッチレバー)42が設けられており、運転座席35の後方には、穀粒排出クラッチ44(図7参照)を断接する穀粒排出スイッチ43が設けられている。
【0018】
刈・脱クラッチレバー42の一端部側には、図4に示すように、運転者が刈・脱クラッチレバー42を握り易くするためのノブ45が設けられており、その他端部側には、基端部46が設けられている。該基端部46は軸47によって支持されており、刈・脱クラッチレバー42は前後方向(ポジションA,B,C)に回動自在に設けられている。また、基端部46にはカム49が設けられており、該カム49は、突起部49a,49bをそれぞれ有している。脱穀クラッチスイッチ50及び刈取クラッチスイッチ51は、基端部46を挟むように対向した位置に配設されており、該脱穀クラッチスイッチ50及び刈取クラッチスイッチ51は、刈・脱クラッチレバー検出手段66を構成している。また、突起部49a,49bは、基端部46が回動することで脱穀クラッチスイッチ50及び刈取クラッチスイッチ51と接触可能に設けられており、この接触により、後述する、脱穀クラッチ58を切断して脱穀装置7を停止する停止手段であるクラッチ操作装置52が連動するように構成されている。
【0019】
クラッチ操作装置52は、図5に示すように、クラッチ操作装置52をコンバイン1に固定するためのブラケット53を備えている。該ブラケット53には、軸61で回転自在に支持されたセクタギヤ56が設けられており、該セクタギヤ56は、ブラケット53に固定された刈・脱クラッチ用モータ71の出力軸に支持された出力ギヤ59と噛合している。また、ブラケット53には、刈取・脱穀クラッチ検出手段であるポテンショメータ60が設けられており、セクタギヤ56には、それぞれ異方向からのワイヤ54,55が接続されている。該ワイヤ54,55は、前処理部5への動力伝達を断接する刈取クラッチ57のテンションアーム57a、及び脱穀装置7への動力伝達を断接する脱穀クラッチ58のテンションアーム58aにそれぞれ連結されており、テンションアーム57a,58aとセクタギヤ56の回転とがワイヤ54,55を介して連動するように構成されている。
【0020】
コンバイン1に設けられた制御部であって、刈取、脱穀、及び排出動作を制御する制御部65の入力側には、図6に示すように、刈・脱クラッチレバー検出手段66、刈取・脱穀クラッチ検出手段60、及び穀粒排出スイッチ43が接続されていると共に、排出オーガが作動状態に入る状況を検出する検出手段である、穀粒排出クラッチ検出手段67、前処理高さポテンショメータ69、及びオーガ旋回ポテンショメータ70などが接続されており、出力側には、刈・脱クラッチ用モータ71及び穀粒排出クラッチ用モータ72などが接続されている。前記入力側の各種センサなどから制御部65に、信号が入力され、その信号に基づき、制御部65は、出力側に接続された各モータに信号を出力する構成となっている。また、制御部65は、マイクロコンピュータ(以下、単にマイコン)から構成されており、排出オーガ9が作業状態にあると判断する判断手段である排出オーガ作動状況判断手段73を有している。
【0021】
次に、上記のように構成されたコンバイン1の作用について説明する。圃場の穀類の刈取り作業を行うため、作業者は、コンバイン1に乗車した後、コンバイン1のイグニッションをONにしてエンジン8(図7参照)を始動させる。作業者は、刈取作業を行う圃場までコンバイン1を移動させた後、刈取作業を開始する。この時、作業者は、前処理部5及び脱穀部7を作動させるため、刈・脱クラッチレバー42を操作する(図8のSTEP1及びSTEP2、以下、単にS○○)。
【0022】
作業者が刈・脱クラッチレバー42をポジションC(図3参照)の位置にすると、刈・脱クラッチレバー42の基端部46が回動し、突起部49a,49bのそれぞれが、脱穀クラッチスイッチ50及び刈取クラッチスイッチ51に接触する(図4(C)参照)。この接触によって、刈・脱クラッチレバー検出手段66からマイコン65に信号が入力されて、その信号に基づき、マイコン65から刈・脱クラッチ用モータ71に信号が出力される。その信号によって、刈・脱クラッチ用モータ71の出力軸が回転して、出力ギヤ59が回動する。出力ギヤ59と噛合するセクタギヤ56は、出力ギヤ59の回動によって、終端位置まで回動し(図5参照)、ワイヤ54,55は、セクタギヤ56の回動方向に引っ張られる。それと連動して、テンションアーム57a,58aが引っ張られ、テンションアーム57a,58aが当接する伝動ベルト(不図示)が緊張することで、刈取クラッチ57及び脱穀クラッチ58は繋がった入り作動の状態となり、前処理部5及び脱穀装置7にエンジン8からの動力が伝達されて、前処理部5及び脱穀装置7が作動する(S3)。
【0023】
前処理部5は、リール4(図1参照)を回転させながら穀類を刈取る。刈取られた穀類は、フィーダ14で脱穀装置7まで搬送されて、脱穀装置7の供給口11から扱室10内に供給される。扱室10内に供給された穀類は、回転する扱胴12の扱歯15によって籾などが扱ぎ落されながら、扱室10の後方側へと搬送される。扱ぎ落とされた穀粒は、受網17を通過して揺動選別体25に落下する。
【0024】
揺動選別体25に落下した穀粒は、揺動選別体25による揺動選別及び唐箕ファン26による風選別によって、一番物と二番物に選別される。前記一番物は、一番ラセン29で一番揚穀装置に搬送された後、該一番揚穀装置によってグレンタンクに搬送される。二番物は、二番ラセン32で二番還元装置に搬送された後、再選別のため、二番還元装置によって扱室10に還元されて再び脱穀選別される。選別後、穀粒はグレンタンクに搬送されて、排ワラなどは機外へと排出される。
【0025】
刈取り作業を終えると、作業者は、脱穀装置7のみ作動させるために、クラッチレバー42をポジションBの位置にする(図3参照)。すると、刈・脱クラッチレバー42の基端部46が回動し、突起部49bと刈取りスイッチ51との接触が解除される(図4(B)参照)。これにより、マイコン65は、刈・脱クラッチ用モータ71に信号を出力して、出力ギヤ59が回動する。この出力ギヤ59の回動により、セクタギヤ56は、クラッチ接続時とは逆方向に回動して、中間位置(不図示)まで回動する。このセクタギヤ56の回動によって、ワイヤ55の引っ張りが解除されて、テンションアーム57aが元の位置に戻り、テンションアーム57aが当接する伝動ベルトが弛緩して、刈取クラッチ57は、切断された切り作動の状態となり、前処理部5は、エンジン8からの動力伝達が切断されて停止する(S4)。
【0026】
脱穀作業の終了後、作業者は、グレンタンク内に貯まった穀粒を機外に搬出するために、排出作業を行う。かかる排出作業は、排出作業を行うための所定位置にコンバイン1を停車させた後、排出オーガ9で、運搬用トラックの荷台などに穀粒を排出して行う。この際、作業者は、排出オーガ9を作動させるために穀粒排出スイッチ43を入れる。すると、信号がマイコン65に入力され、その信号に基づいて、マイコン65から穀粒排出クラッチ用モータ72に信号が出力される。この信号により、穀粒排出クラッチ用モータが作動して、穀粒排出クラッチ44が接続し(ON)、排出オーガ9は作動状態となる(S7のYES)。
【0027】
脱穀装置7が作動中にあっては、穀粒排出クラッチ44の断接状態を検出するための検出センサ(不図示)などで構成される穀粒排出クラッチ検出手段67によって、穀粒排出クラッチ44の接続が検出されて、穀粒排出クラッチ検出手段67からマイコン65に信号が入力される。排出オーガ作動状況判断手段73は、その入力された信号に基づき、排出オーガ9が作動状態にあると判断し、刈・脱クラッチ用モータ71に信号を出力して出力ギヤ59を回動させる。この出力ギヤ59の回動により、セクタギヤ56は、クラッチ接続時とは逆方向に回動して、初期位置(不図示)まで回動する。このセクタギヤ56の回動によって、ワイヤ55の引っ張りは解除されて、テンションアーム58aが元の位置に戻り、テンションアーム58aが当接する伝動ベルトが弛緩して、脱穀クラッチ58は、切断された切り作動の状態となり、脱穀装置7の作動が停止する(S1のYES,S5,S6のYES,S8,S9のNO)。
【0028】
作業者は、穀粒排出クラッチ44を接続したことで、脱穀装置7が停止したとしても、刈・脱クラッチレバー42を操作することで、クラッチ操作装置52を作動させて、脱穀クラッチ58を接続するように、人為的操作により停止状態を解除して、再び脱穀装置7を作動させることができる(S3,S4,S9のYES,S10)。
【0029】
刈取り及び脱穀作業の終了後、作業者が刈・脱クラッチレバー42をポジションAの位置(図3参照)にすると、突起部49a,49bと、脱穀クラッチスイッチ50及び刈取クラッチスイッチ51との接触が解除される(図4(A)参照)。すると、マイコン65は、刈・脱クラッチ用モータ71に信号を出力して出力ギヤ59が回動する。この出力ギヤ59の回動により、セクタギヤ56は、クラッチ接続時とは逆方向に回動して、初期位置(不図示)まで回動する。このセクタギヤ56の回動によって、ワイヤ54,55の引っ張りが解除されて、テンションアーム57a,58aが元の位置に戻り、テンションアーム57a,58aが当接する伝動ベルトが弛緩して、脱穀クラッチ58及び刈取りクラッチ57は、切断された切り作動の状態となり、前処理部5及び脱穀部7は停止状態となる(S5,S6のNO)。
【0030】
上述のように、穀粒排出クラッチ44の接続が穀粒排出クラッチ検出手段67によって検出されて、排出オーガ9は作動状態であると排出オーガ作動状況判断手段73が判断すると、クラッチ操作装置52によって脱穀クラッチ58が切断されて脱穀装置7が停止するので、例えば、作業者が切り忘れにより脱穀装置7を作動させながら排出作業を行うのを防止することができ、排出作業中に三番飛散などが機体から排出されて堆積することを防ぐことができる。即ち本実施の形態にあっては、穀粒排出クラッチ検出手段67が排出オーガ9の作動状態に入る状況を検出する手段であり、そして、該穀粒排出クラッチ検出手段が穀粒排出クラッチ44の接続を検出することにより、排出オーガの作動状態と判断し、これにより、脱穀クラッチ58が切断されて脱穀装置(脱穀部)7の動作を停止させる(停止手段)。
【0031】
また、脱穀装置7は、排出作業が開始されると停止するので、排出作業中の騒音を低減することができ、更に、脱穀装置7の作動による動力のロスも抑えることができるので、効率良く排出作業を行うことができる。
【0032】
また、排出オーガ9の作動により脱穀装置7がクラッチ操作装置52によって停止されても、刈・脱クラッチレバー42の操作で脱穀装置7の停止状態を解除して作動させることができるので、例えば、作業者は、手扱ぎ作業を行いながら排出作業を行うことができ、作業の自由度が高くなり、かつ刈取作業の効率の向上を図ることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、排出オーガ9が作動状態に入る状況の検出を、穀粒排出クラッチ44の断接状態を穀粒排出クラッチ検出手段67で検出する構成としたが、これに限らず、例えば、穀粒排出スイッチ43の入り切り(ON/OFF)や、排出オーガ9の旋回又は昇降スイッチの入り切り(ON/OFF)や、排出オーガ9の自動旋回スイッチの入り切り(ON/OFF)や、排出オーガ9の排出駆動から排出オーガ9が作動状態に入る状況を検出して、それに基づき、排出オーガ9の作動状態を排出オーガ作動状況判断手段73で判断する構成としてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、テンションアーム58aをクラッチ操作装置52のワイヤ55で動かすことで脱穀クラッチ58を切断して脱穀装置7を停止する構成としたが、これに限らず、例えば、複数のギヤが噛合してなるギヤ列でテンションアーム58aを動かして、脱穀クラッチ58を切断して脱穀装置7を停止する構成でもよい。
【0035】
次に、図9に沿って、上述の実施形態とは異なる別の実施形態について説明する。ただし、上述の実施形態の同じ構成については、同一の番号を付して、説明は省略する。
【0036】
穀類を刈取った後、作業者は、排出作業を行う作業位置までコンバイン1を移動させる。その際、前処理部5が所定の位置まで上昇し、その上昇状態が前処理高さポテンショメータ69で検出されると共に、排出オーガ9が収納位置にないことがオーガ旋回ポテンショメータ70によって検出され、その信号がマイコン65に入力される。かかる検出状態が所定時間継続して検出されると、排出オーガ作動状況判断手段73は、入力された信号に基づき、排出オーガ9が作動状態にあると判断する(S11のYES)。
【0037】
上述のように、排出オーガ9の作業状態を、前処理部5の高さ位置、排出オーガ9の位置、及び所定の時間の経過から作業状態に入る状況を検出するので、例えば、作業者が、排出作業を行う位置までコンバイン1を移動している際に、排出オーガ9を排出姿勢に旋回させた場合であっても脱穀装置7を停止させることで、早いタイミングで脱穀装置7の作動を停止することができ、脱穀ロスなどを減少させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、排出オーガ9の作動状態に入る状況を、前処理部5の高さ、排出オーガ9の位置、及びかかる検出状態の経過時間から検出する構成としたが、これに限らず、例えば、前処理部5の高さのみを前処理高さポテンショメータ69で検出して排出オーガ作動状況判断手段73で排出オーガ9の作動状態を判断する構成でもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 コンバイン
7 脱穀部(脱穀装置)
9 排出オーガ
52 停止手段(クラッチ操作装置)
58 脱穀クラッチ
67 判断手段(穀粒排出クラッチ検出手段)
69 判断手段(前処理高さポテンショメータ)
70 判断手段(オーガ旋回ポテンショメータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取った穀類を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を貯めるグレンタンクと、該グレンタンク内の穀粒を機外に排出する排出オーガと、を備えたコンバインにおいて、
前記脱穀部への動力伝達を断接する脱穀クラッチと、
前記排出オーガが作動状態に入る状況を検出する検出手段と、
該検出手段に基づき前記排出オーガが作動状態にあると判断する判断手段と、
該判断手段が、前記排出オーガを作動状態と判断することにより、前記脱穀クラッチを切断して、前記脱穀部の動作を停止させる停止手段と、を備える、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記停止手段が前記脱穀部を停止する状態にあって、前記脱穀クラッチを人為的操作で入り操作すると、前記停止手段の停止状態を解除して、前記脱穀部を作動状態とする、
請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−81376(P2013−81376A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221397(P2011−221397)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】