説明

コードを扱うことができる装置、その制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】 画像形成装置で紙媒体を作成する場合に、最初に紙媒体を作成した者の情報と最後に紙媒体を作成した者の情報を残す。
【解決手段】 最古の情報と最新の情報とを媒体に、コードとして印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードを扱うことができる装置、その制御方法、プログラム、記憶媒体に関するものである。より詳細には、コードとして含める情報として、複数の情報の中から一部の情報を選択するものである。
【背景技術】
【0002】
電子データを印刷して紙媒体にした場合、紙媒体に対するセキュリティ管理が困難な側面もあり、紙媒体のセキュリティレベルは低いのが現状である。
【0003】
そのため、紙媒体に対するセキュリティ対策として、情報漏洩の経路を特定することを目的とする技術が提案されている。その技術の一つとして、漏洩経路を特定するために紙などの媒体にコード(例、二次元コードや電子透かし)を付加して、履歴情報を紙媒体に記録する技術がある。しかし、コードにも情報量として限界があり、いくらでも情報が入るわけではない。そのため、コードに含ませたい情報の全ての中から、一部の情報を選択する必要がある。そうした点を考慮し、特許文献1では、コードに含ませたい情報の全ての中から、一部の情報を選択している。具体的には、最新の情報と、最新の情報の次に新しい二つの情報を選択している。そして、最古の情報を削除している。この特許文献1について、より詳しく解説しよう。
【0004】
特許文献1では、電子透かし技術を使い、紙媒体の所有者データと複写人データを紙媒体に記録する技術が開示されている。
【0005】
そして、この技術は、紙媒体を複写して新たに複写物を生成した場合、所有者データが、複写前の複写人データに変更され、複写人データは、新たに複写を実行した人にするものである。
【0006】
図4を使って、この特許文献に記載の技術を説明する。透かし入り文書をユーザXが複写すると、その透かし入り文書には所有者データ、複写人データにユーザXが記録される。更に、その透かし入り文書をユーザYが複写すると、透かし入り文書の複写人データがYに変更される。
【0007】
次に、ユーザZが、前記透かし入り文書を複写すると、その透かし入り文書の所有者データはYに、複写人データはZに変更される。
【特許文献1】特開2008−131522
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、紙媒体を複写するたびに、紙媒体に記録されている所有者データ、複写人データの履歴データが更新されると、途中の紙媒体を紛失した場合、最初に紙媒体を作成した人への経路が経たれる。つまり、最初に紙媒体を作成した者(電子データの状態からの印刷を指示した者・・・紙媒体作成者)が誰なのかを特定できなくなる。
【0009】
そのため、紙媒体作成者自身が情報漏洩の事実に気づくのに手間取るという問題があった。なお、最初に紙媒体を作成した者とは、紙自体を作った者という意味ではなく、電子データの状態からの印刷を指示した者という意味である。この印刷の指示により、その電子データの印刷された紙媒体が初めて作成されるため、簡易的に、紙媒体作成者と呼んでいる。
【0010】
また、高いセキュリティレベルで管理されている電子データを、セキュリティ管理が困難な紙媒体にする場合、最初に誰が紙媒体を作成したかという情報は、セキュリティ上重要な情報である。
【0011】
それは、紙媒体作成者が、最初に、情報漏洩の危機を高める原因を作っているからである。
【0012】
しかし、特許文献1のように、複写の度に紙媒体に記録される所有者データ、複写人データの履歴データが更新されると、情報漏洩の危機を高める原因を作った最初の紙媒体作成者の特定も困難であった。
【0013】
そのため、紙媒体作成者は、電子データを紙媒体にすることによるセキュリティ低下に対する情報管理責任の意識と情報漏洩に対する危機意識が希薄になり、電子データの状態から紙媒体を安易に作成してしまうことになる。
【0014】
従って、最初に電子データから紙媒体を作成した者の情報は削除すべきではなく、履歴情報に、あえて、紙媒体作成者の情報を必ず残す事で、情報管理のセキュリティレベルを低下させる事に対する情報管理責任の意識を持たせる必要があった。つまり、紙媒体作成にあたっては、紙媒体による情報漏洩の危険性を意識させる必要があった。
【0015】
また、もちろん、最後に紙媒体をコピーした者の情報も重要である。この者の紙に対する管理がずさんであったが故に、情報漏洩が行われた可能性が高いからである。
【0016】
なお、以上の記載は、あくまで最新の情報と最古の情報がいかに重要かを説明するための一例である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係る装置は、請求項1に記載の構成を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明における一実施例によれば、紙媒体による情報漏洩時に、情報漏洩元を容易に特定出来るとともに、紙媒体を作成した情報源をも特定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
本実施例等(本実施例と、それ以外の実施例)は、(情報量的に)規定サイズの情報を含むことが可能な(面積的に)規定サイズのコード画像を対象とした場合について説明する。なお、そうした規定サイズのコード画像が、規定サイズ以下の情報を含むことが可能なことは言うまでもない。尚、本実施例等では、その規定サイズのコード画像には、2種類のユーザ履歴データを含めることができるものとする。そして、前記ユーザ履歴データ内のデータの一つを第一データ、残りを第二データと称する。なお、本実施例等においては、情報=データである。
【0021】
更に、画像形成装置にユーザがログインしようとしたとき、画像形成装置は、ログインユーザを特定する情報をデータサーバにアクセスして取得し、画像形成装置内の不図示の記憶手段(HDD、メモリ等)に格納するものとする。この格納により、ログインが完了する。尚、データサーバは、図示していないが、画像形成装置と電気的に接続されるログイン管理サーバのことである。なお、ユーザを特定する情報のことを本実施例等ではユーザ情報と称する。例えば、ユーザIDやユーザの名前などがこのユーザ情報に含まれる。また、ユーザを間接的に特定する情報も、ユーザを特定する情報である。例えば、複写時刻や、複写を行う画像形成装置の機体番号なども、ユーザを間接的に特定する情報である。なぜなら、複写時刻がわかれば、誰が複写前原稿の複写指示を行ったかわかる場合がある(例えば、その時刻に複写機の前に立っているユーザが誰なのか、監視カメラ等でわかる場合がある)。また、画像形成装置の機体番号がわかれば、誰が複写前原稿の複写指示を行ったかわかる場合がある(例えば、その画像形成装置をもっぱら使うユーザが決まっている場合がある)。なお、この「ユーザを間接的に特定する情報」は、「ユーザを特定するのに役立ち得る情報」と言い換えられることもできよう。
【0022】
図1は、画像形成装置を制御する不図示のCPU(画像形成装置内のCPU)が、画像形成装置のスキャナに複写前原稿を読み込ませて原稿画像データを生成させた後に行う処理フローを示す。なお、画像形成装置のスキャナに複写前原稿を読み込ませる前に、スキャナに置かれた原稿の複写の指示がログインユーザから画像形成装置に対して行われるのは言うまでもない。また、今回のように、ログインして複写の指示を行うユーザのことを複写ユーザと称する。
【0023】
ステップS101では、CPUが、上記原稿画像データに含まれているコード画像データを検知する処理を行う。
【0024】
ステップS101.5では、CPUが、前記原稿画像データ内にコード画像データを検知したか否かを判断する処理を行う。ステップS101.5で、コード画像データを検知した場合、ステップS102に処理を移行する。ステップS101.5で、コード画像データを検知しなかった場合、ステップS104に処理を移行する。
【0025】
ステップS102では、ステップS101.5で検知したコード画像データを、CPUが復号化する。これにより、コード画像データに含まれる情報(ユーザ履歴データ)が得られる事になる。そして、この得られたユーザ履歴データを記憶手段に格納する。
【0026】
ステップS103では、CPUが、上記ユーザ履歴データ内の第一データとしてユーザ情報が含まれているか否かを判断する処理を行う。ステップS103で、第一データとしてユーザ情報が含まれていた場合、ステップS106に処理を移行する。ステップS103で、ユーザ情報が含まれていなかった場合、ステップS104に処理を移行する。
【0027】
なお、本実施例等が扱うコード画像データには、昇順にユーザ情報が含められるものとする。そのため、本実施例では、第一データとしてユーザ情報を含めた上で、第二データとしてユーザ情報を含めることになる。よって、第一データにユーザ情報が含まれていなかった場合には、第二データにもユーザ情報は含まれていない。
【0028】
ステップS104では、CPUは、ユーザ情報を、上記記憶手段から取り出す。
【0029】
ステップS105では、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報をCPUがユーザ履歴データ内の第一データとして記録する処理を行う。即ち、ステップS102〜S103の処理が実行された場合には、記憶手段に格納されているユーザ履歴データのうちの第一データを更新して、再度、記憶手段に格納するのである。ステップS102〜S103の処理が実行されていない場合には、前記取り出したユーザ情報を、ユーザ履歴データのうちの第一データとして、ユーザ履歴データを記憶手段に格納する。更に、ステップS111において、CPUは、ユーザ履歴データを符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し処理を終了する。なお、このとき、ユーザ履歴データ内の第二データは空ということになる。
【0030】
ステップS106では、前記ユーザ履歴データ内の第一データにユーザ情報が含まれていた場合の処理が行われる。このステップS106では、CPUは、ユーザ情報を、上記記憶手段から取り出す。
【0031】
ステップS107では、CPUは、その含まれているユーザ情報が、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報と同一か否かを判断する処理を行う。ステップS107において同一だと判断した場合には、ステップS111に処理を移行し、記憶手段に格納されているユーザ履歴データを(変更することなしにそのまま)符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し処理を終了する。
【0032】
このように、元々、コード画像データに含まれていた情報の少なくとも一部(第一データ)と、これから新たにコード画像データに含ませるべき情報(複写を指示したログインユーザについての情報)とが一致する場合には、ユーザ履歴データを変更しないのである。
【0033】
ステップS107において同一だと判断しなかった場合には、CPUは、ステップS107.5に処理を移行する。
【0034】
ステップS107.5では、CPUが、上記記憶手段に格納されているユーザ履歴データ内の第二データとしてユーザ情報が含まれているか否かを判断する処理を行う。ステップS107.5で、第二データとしてユーザ情報が含まれていた場合、ステップS108に処理を移行する。ステップS107.5で、ユーザ情報が含まれていなかった場合、ステップS110に処理を移行する。
【0035】
ステップS108では、前記ユーザ履歴データ内の第二データとして含まれるユーザ情報が、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報と同一か否かを判断する処理を行う。ステップS108において同一だと判断した場合には、ステップS111に処理を移行し、記憶手段に格納されているユーザ履歴データを(変更することなしにそのまま)符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し処理を終了する。
【0036】
このように、元々、コード画像データに含まれていた情報の少なくとも一部(第二データ)と、これから新たにコード画像データに含ませるべき情報(複写を指示したログインユーザについての情報)とが一致する場合には、ユーザ履歴データを変更しないのである。
【0037】
ステップS108においてユーザ履歴データ内の第二データとして含まれるユーザ情報が同一だと判断しなかった場合には、CPUは、ステップS109に処理を移行する。
【0038】
ステップS109では、CPUが、上記記憶手段に格納されているユーザ履歴データ内の第二データとして含まれていたユーザ情報を、そのユーザ履歴データから削除する処理を行う。
【0039】
そして、ステップS110において、CPUは、ユーザ履歴データ内の第二データとして、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報を記録する。即ち、上記ユーザ履歴データのうちの第二データとしてユーザ情報が含まれるように上記ユーザ履歴データを変更して上記記憶手段に格納するのである。これらのステップS109とS110の処理により、ユーザ履歴データ内の第一データは更新されることなしに、第二データだけが更新されるのである。また、このステップS110は、以下のように言い換えることもできる。即ち、ステップS110とは、ステップS109における削除にて第二データが空になったユーザ履歴データ内に、ユーザ情報を追加するステップである。更に、ステップS111において、CPUは、S110で記憶手段に格納されたユーザ履歴データを符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し、処理を終了する。
【0040】
なお、このS103〜S110では、ユーザ履歴データ内に第一データを残しつつ、ユーザ履歴データ内に第二データを更新した。即ち、元の第二データを削除して、新たなユーザ情報(最新の情報)を第二データとして記録した。このように、第一データ、第二データ、最新の情報という三つの情報から第一データと最新の情報とを選択してユーザ履歴データとした。ここで、上述のルール(昇順にユーザ情報が含められる)から明らかな通り、第一データとは最古の情報である。従って、このS103〜S110では、最古の情報と最新の情報とを選択してユーザ履歴データとした、ということができる。また、言い換えると、第一データ、第二データ、最新の情報という三つの情報から、最古の情報(第一データ)を除いた中で最も古い情報(第二データ)を除去し、それ(第二データ)以外の情報を選択してユーザ履歴データとした、ということができる。
【0041】
その後、CPUは、生成されたコード画像データを、複写前原稿をスキャンして取り込んだ原稿画像データに合成する。合成する位置は、複写前原稿のコード画像の位置と同じ場所とする。そして、合成により得られた画像データを、画像形成装置内の不図示の印刷手段に印刷させる。これにより、複写後原稿には、最古の情報と最新の情報を含むコード化されたユーザ履歴データが付加される(含まれる)ことになる。
【0042】
上記の例では、原稿を複写したときに、コード化されたユーザ履歴データが、コード画像データとして、原稿に印刷されることを想定している。
【0043】
とはいえ、紙媒体に、コード画像データ(コード化されたユーザ履歴データ)が印刷される場合としては、パーソナルコンピュータから、画像形成装置に印刷データを送信して印刷する場合にも起こりえる。
【0044】
この場合、プリンタドライバが、上記印刷データにユーザ情報(ホストコンピュータを利用するユーザに関する情報)を付加し、それを受取った画像形成装置の不図示のCPUが、ユーザ情報をユーザ履歴データ内の第一データとしてコード画像データを生成する。そして、CPUは、生成したコード画像データと印刷データを合成して得られた画像データを、画像形成装置内の不図示の印刷手段に印刷させる。なお、この場合、ユーザ情報が一つしかないため、ユーザ履歴データ内の第二データは空ということになる。また、コード画像データにコード化された状態で含まれるユーザ情報は、紙媒体作成者(最初に紙媒体を作成した者。電子データの状態からの印刷を指示した者)に関する情報ということになる。なお、紙媒体作成者のことを印刷ユーザと称することもある。一方、それ以外のユーザ、即ち、複写に関わるユーザのことを複写ユーザと称することもある。
【0045】
なお、印刷データは、文書データと称されることもある。なお、本実施例では、紙媒体を対象に説明するが、コード画像データは、紙媒体に印刷されなくてもよい。例えば、OHPシート等の媒体に印刷されてもよい。紙媒体や、OHPシート等の媒体など、画像データの印刷対象になる物を、本実施例等では、媒体と称する。ただし、記憶媒体と称した場合には、媒体とは別物であり、メモリやHDDあるいはCDやDVDといった情報をデジタルで記憶できる物を指すものとする。
【0046】
このように、第一データとして印刷ユーザの情報を含み、第二データとして複写ユーザの情報を含んでいる印刷物が複写前原稿としてスキャンされ、図1のフローチャートにおける処理が行われた場合には、以下のことが行われる。即ち、第二データとしての複写ユーザの情報は更新され(S109、S110)、一方で、第一データとしての印刷ユーザの情報は残されたまま、両者がS111でコード化されることになる。
【0047】
図2は、図1の処理フローに従って、コード化された状態で複写物に付加されるユーザ履歴データの変化を示す図である。
【0048】
複写前原稿201には、コード化されたユーザ履歴データ202が印刷されている。そして、コード化されたユーザ履歴データ202の第一データ203として、ユーザX情報204が、第二データ205として、ユーザY情報206が記録されている。
【0049】
ここで、ユーザZが、複写前原稿201を画像形成装置207で複写を実行した場合、S106〜S111の順に処理が流れ、第二データが更新される。その結果、複写後原稿209に示されるように、ユーザ履歴データ210のうち途中の情報(元の第二データ)が削除され、その代わりに、最新の情報がユーザ履歴データの第二データとして含められることになる。
【0050】
このように、本実施例では、通常は、途中の情報を削除し最新の情報と最古の情報とをコード化されたユーザ履歴データとして複写後原稿に含ませるのである。しかし、最新の情報が最古の情報と一致する例外的な場合がある。このような、例外的な場合、本実施例では、途中の情報をあえて削除せずに残すようにするのである。
【0051】
図2の下方に、この例外的な場合(ユーザXが、複写前原稿201を画像形成装置208で複写を実行する例外の場合)を図示している。この場合、S107の判断結果がYES(第一データとしてのユーザX情報=ログインユーザを特定する情報としてのユーザX情報)となる。そのため、複写後原稿215に示されるように、途中の情報(ユーザY情報)は、あえて削除していない。
【0052】
このように、本実施例では、途中の情報をあえて削除しないことにより、規定サイズのコード画像の中に、最大限の情報を含ませるようにしているのである。
【0053】
図3は、ユーザ履歴データの構成の一例を示した図である。
【0054】
ユーザ履歴データは、第一データと第二データの2情報をもつ。そして、ユーザ情報として、ユーザ名、ユーザ・メールアドレス、ユーザ連絡先をもち、第一データ、第二データとしてそれらが、ユーザ履歴データに記録される。
【0055】
一方、上記3つの情報(ユーザ名、ユーザ・メールアドレス、ユーザ連絡先)に限らず、ユーザが使用した機器情報、ユーザが複写を実行した日付、複写回数など、用途に応じてユーザ履歴データのユーザ情報を変更しても良い。
【0056】
以上の実施例においては、2情報をコード画像データに含ませることができることを前提に説明した。そして、第一データ、第二データ、最新の情報という三つの情報から第一データ(最古の情報)と最新の情報の二つの情報を選択してユーザ履歴データとした。また、言い換えると、第一データ、第二データ、最新の情報という三つの情報から、最古の情報(第一データ)を除いた中で最も古い情報(第二データ)を除去し、それ(第二データ)以外の二つの情報を選択してユーザ履歴データとした、ということができる。
【0057】
このことは、N(Nは3以上の整数)情報をコード画像データに含ませることが出来る場合においても同様である。つまり、複数の情報から、最古の情報を除いた中でもっとも古い情報(第二データ)を除去し、それ以外のN−1個の情報を選択してユーザ履歴データとすることは、Nが3以上の場合にも同様に適用可能である。
【0058】
これにより、最新の情報と最古の情報は残ることとなり、また、それら以外の情報の中ではより最近の情報が残ることになる。以下の実施例では、Nが3の場合について説明する。もちろん、Nが4以上の場合にも同様なのは言うまでもない。
【実施例2】
【0059】
本実施例では、規定サイズのコード画像には、3種類のユーザ履歴データを含めることができるものとする。そして、前記ユーザ履歴データ内のデータを第一データ、第二データ、第三データと称する。
【0060】
更に、画像形成装置にユーザがログインしたとき、画像形成装置は、ログインユーザを特定する情報(ユーザ情報)をデータサーバにアクセスして取得し、画像形成装置内の不図示の記憶手段(HDD、メモリ等)に格納するものとする。尚、データサーバは、図示していないが、画像形成装置と電気的に接続されるログイン管理サーバのことである。
【0061】
図5は、規定サイズのコード画像に、3種類のユーザ履歴データを含めることが可能な場合における処理フローである。この処理フローは、画像形成装置を制御する不図示のCPU(画像形成装置内のCPU)が、画像形成装置のスキャナに複写前原稿を読み込ませて原稿画像データを生成させた後に行う処理フローである。
【0062】
図5を用いた本実施例の説明にあたっては、図1と異なる処理(S509〜S515の処理)についてのみ説明を行う。
【0063】
ステップS509では、CPUが、上記記憶手段に格納されているユーザ履歴データ内の第三データとしてユーザ情報が含まれているか否かを判断する処理を行う。ステップS509で、第三データとしてユーザ情報が含まれていた場合、ステップS510に処理を移行する。ステップS509で、ユーザ情報が含まれていなかった場合、ステップS514に処理を移行する。
【0064】
ステップS510では、前記ユーザ履歴データ内の第三データとして含まれるユーザ情報が、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報と同一か否かを判断する処理を行う。ステップS510において同一だと判断した場合には、ステップS111に処理を移行し、記憶手段に格納されているユーザ履歴データを(変更することなしにそのまま)符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し処理を終了する。
【0065】
ステップS510においてユーザ履歴データ内の第三データとして含まれるユーザ情報が同一だと判断しなかった場合には、CPUは、ステップS511に処理を移行する。
【0066】
ステップS511では、CPUが、ユーザ履歴データ内の第二データとして含まれていたユーザ情報を、そのユーザ履歴データから削除する処理を行う。
【0067】
ステップS512では、CPUが、ユーザ履歴データ内の第二データとして、ユーザ履歴データ内の第三データとして含まれていたユーザ情報を記録する。
【0068】
ステップS513では、CPUが、ユーザ履歴データ内の第三データとして含まれていたユーザ情報を、そのユーザ履歴データから削除する処理を行う。
【0069】
そして、ステップS514において、CPUは、ユーザ履歴データ内の第三データとして、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報を記録する。即ち、上記ユーザ履歴データのうちの第二データとして元の第三データを、第三データとしてユーザ情報が含まれるように上記ユーザ履歴データを変更して上記記憶手段に格納するのである。これらのステップS511〜S514の処理により、ユーザ履歴データ内の第一データは更新されることなしに、第二データと第三データが更新されるのである。更に、ステップS111において、CPUは、S514で記憶手段に格納されたユーザ履歴データを符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し、処理を終了する。
【0070】
ステップS515では、上記記憶手段から取り出されたユーザ情報をCPUがユーザ履歴データ内の第二データとして記録する処理を行う。更に、ステップS111において、CPUは、ユーザ履歴データを符号化して、上記規定サイズのコード画像データを生成し処理を終了する。なお、このユーザ履歴データ内の第三データは空ということになる。
【0071】
なお、このS103〜S514では、ユーザ履歴データ内の第一データと元の第三データを残しつつ、ユーザ履歴内に新たに第三データを更新した。即ち、元の第二データを削除して、元の第三データを第二データとして記録した。そして、新たなユーザ情報(最新の情報)を第三データとして記録した。このように、第一データ、第二データ、第三データ、最新の情報という四つの情報から、第一データと第三データと最新の情報とを選択してユーザ履歴データとした。ここで、前述のルール(昇順にユーザ情報が含められる)から明らかな通り、第一データとは最古の情報である。従って、このS103〜S514では、最古の情報と最新の情報と最新より一つ前の情報とを選択してユーザ履歴データとした、ということができる。
【0072】
また、本実施例では、ユーザ履歴データ内に3種類のユーザ履歴データを含める場合を説明した。しかし、このユーザ履歴データ内に含めるユーザ情報の種類を4種類以上にした場合でも、元の第二データを削除する前記と同様の考え方でユーザ履歴データを生成できるのは言うまでもない。
【0073】
図6は、図5の処理フローに従って、コード化された状態で複写物に拭かされるユーザ履歴データの変化を示す図である。
【0074】
複写前原稿601には、コード化されたユーザ履歴データ602が印刷されている。そして、コード化されたユーザ履歴データ602の第一データ603として、ユーザX情報604が、第二データ605として、ユーザY情報606が、第三データ621として、ユーザZ情報622が記録されている。
【0075】
ここで、ユーザCが、複写前原稿601を画像形成装置607で複写を実行した場合、S509〜S514、S111の順に処理が流れ、第二データが元の第三データに変更され、第三データが更新される。その結果、複写後原稿609に示されるように、ユーザ履歴データ610のうち、途中の情報の一つ(元の第二データ)が削除され、そして、第二データが元の第三データに変更され、最新の情報がユーザ履歴データの第三データとして含められることになる。
【0076】
また、図6の下方に、複写前原稿601のユーザ履歴データに記録されているユーザ(この図では、ユーザY)が画像形成装置608で複写を実行する場合を図示している。この場合、S108の判断結果がYES(第二データとしてのユーザY情報=ログインユーザを特定する情報としてのユーザY情報)となる。そのため、複写後原稿615に示されるように、途中の情報(ユーザZ情報)は、あえて削除しない。
【0077】
以上、実施例1、実施例2では、各フローチャートにおける各ステップの処理が一台の装置で行われるものとして説明したが、各ステップの処理が、夫々、別の装置で行われても良いのは言うまでもない。
【0078】
また、上記実施例等で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、コンピュータが、そのプログラムコードを読み出し、実行することによっても同様のことが達成される。
【0079】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施例の機能を実現することになる。その為、このプログラムコードやプログラムコードを記憶した記憶媒体も本発明を構成することができる。もちろん、そのプログラムコードは、記憶媒体から読取り可能である必要があろう。そうした記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例1のフローチャートを示す図
【図2】図1の処理フローに従って複写物に付加されるユーザ履歴データの変化を示す図
【図3】ユーザ履歴データの構成の一例を示した図。
【図4】特許文献1の実施例図
【図5】実施例2のフローチャートを示す図
【図6】図5の処理フローに従って複写物に付加されるユーザ履歴データの変化を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定サイズの情報をコードとして含むことが可能な媒体の中に含める情報として、複数の情報の中から一部の情報を選択する選択手段を有する装置であって、
前記一部の情報には、前記複数の情報における最新の情報と最古の情報が含まれることを特徴とする装置。
【請求項2】
媒体から複数の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された複数の情報のうち、最古の情報の次に古い情報を削除する削除手段と、
前記削除手段で前記次に古い情報の削除された後の前記複数の情報に対して、新たな情報を追加する追加手段と、
前記追加手段での前記追加により得られた情報を新たな媒体の上に印刷する印刷手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項3】
前記最古の情報とは、前記取得手段で複数の情報が取得される媒体における文書を電子データの状態から媒体の上に印刷することを指示したユーザを特定するための情報であり、前記新たな情報とは、前記取得手段で複数の情報が取得される媒体における文書を前記新たな媒体の上に印刷することを指示したユーザを特定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
媒体から印刷ユーザの情報と複写ユーザの情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された印刷ユーザの情報を残しつつ、複写ユーザの情報を更新する更新手段と、
前記更新手段で更新された複写ユーザの情報と、前記残された印刷ユーザの情報とを新たな媒体の上に印刷する印刷手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項5】
規定サイズの情報をコードとして含むことが可能な媒体の中に含める情報として、複数の情報の中から一部の情報を選択する選択工程を有する装置の制御方法であって、
前記一部の情報には、前記複数の情報における最新の情報と最古の情報が含まれることを特徴とする装置の制御方法。
【請求項6】
媒体から複数の情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された複数の情報のうち、最古の情報の次に古い情報を削除する削除工程と、
前記削除工程で前記次に古い情報の削除された後の前記複数の情報に対して、新たな情報を追加する追加工程と、
前記追加工程での前記追加により得られた情報を新たな媒体の上に印刷する印刷工程とを有することを特徴とする装置の制御方法。
【請求項7】
前記最古の情報とは、前記取得工程で複数の情報が取得される媒体における文書を電子データの状態から媒体の上に印刷することを指示したユーザを特定するための情報であり、前記新たな情報とは、前記取得工程で複数の情報が取得される媒体における文書を前記新たな媒体の上に印刷することを指示したユーザを特定するための情報であることを特徴とする請求項5に記載の装置の制御方法。
【請求項8】
媒体から印刷ユーザの情報と複写ユーザの情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された印刷ユーザの情報を残しつつ、複写ユーザの情報を更新する更新工程と、
前記更新工程で更新された複写ユーザの情報と、前記残された印刷ユーザの情報とを新たな媒体の上に印刷する印刷工程とを有することを特徴とする装置の制御方法。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れか1項に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータの読取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−136098(P2010−136098A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309964(P2008−309964)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】