説明

コードレス電話機、コンピュータ装置及び通信サーバ

【課題】 従来の電話機と同様な使い勝手が良い、且つ、セキュリティが高いIP電話サービスを提供する。
【解決手段】 コードレス電話機は、充電器とコードレスハンドセットを有するコードレス電話機において、上記コードレスハンドセットが上記充電器から取り上げられるとそれを検出し、検出信号を生成するハンドセット検出部と、IP電話サービス用ソフトウェアを装填したコンピュータと近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールと、ユーザーからの命令を入力する入力部と、データを表示する表示部と、IPアドレスを含むアドレスデータを記憶するメモリと、発信処理及び受信処理を含む通信制御を行う制御部と、を有し、該制御部は、上記ハンドセット検出部からの検出信号を受信すると、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに発信通知を送信し、上記表示部に発信可能である旨を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIP(Voice Over Internet Protocol)サービスとして提供されるIP電話サービス用の機器に関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)網を介して、TCP/IPを使用して音声データを送受信するVoIPサービスが提供されている。このようなVoIPサービスとして例えば、IP電話が普及している。IP電話を利用する場合、IP電話サービス用ソフトウェア(以下にIPソフトフォンと呼ぶ。)を装填したパーソナルコンピュータを使用するため、ユーザーインタフェースとして、キーボード、マウス、ディスプレイ等を使用しなければならない。従って、キーボード、マウス等を操作し、アプリケーションをウィンドウで開き、スタートボタンを押すなど、パーソナルコンピュータの操作と同様な操作を行わなければならず、使い勝手が悪かった。また、通話時には、マイク及びスピーカもしくはヘッドセットなどを使用するため、電話機器として、ユーザーにとっては違和感のあるものであった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−180265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IP電話機として、従来の電話機と同様のハンドセットまたは番号ボタンのついたタイプの機器が提案されている。
【0005】
しかしながら、このような機器は、ユーザーの発信、着信応答時の動作、電話帳連動機能、リダイヤルなど通常の電話機が有する機能を備えていない。
【0006】
さらに、このような機器は、IPソフトフォンを利用しているにもかかわらず、IPソフトフォン特有の機能、たとえば、電話帳データベースの参照、プレゼンス情報(ネットワークに参加しているかどうか)などを使用する機能が備わっていなかった。
【0007】
また、セキュリティ機能が十分でなく、パーソナルコンピュータに蓄積されている電話帳、メールアドレス等が漏れる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、従来の電話機と同様な使い勝手が良い、且つ、セキュリティが高いIP電話サービスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、コードレス電話機は、充電器とコードレスハンドセットを有するコードレス電話機において、上記コードレスハンドセットが上記充電器から取り上げられるとそれを検出し、検出信号を生成するハンドセット検出部と、IP電話サービス用ソフトウェアを装填したコンピュータと近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールと、ユーザーからの命令を入力する入力部と、データを表示する表示部と、IPアドレスを含むアドレスデータを記憶するメモリと、発信処理及び受信処理を含む通信制御を行う制御部と、を有し、該制御部は、上記ハンドセット検出部からの検出信号を受信すると、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに発信通知を送信し、上記表示部に発信可能である旨を表示する。
【0010】
本発明によると、コンピュータ装置は、所定の通信制御プロトコルに基づいて通信サーバを介して通信先との間でIP電話サービスを利用するためのIP電話サービス用ソフトウェアと、コードレス電話機との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールと、を有する。
【0011】
本発明によると、通信サーバは、コードレス電話機との間で近距離無線通信が可能なコンピュータ装置に対してIP電話サービスを提供するための通信サーバにおいて、通信要求に基づいて通信接続に関する処理を行う通信接続部と、ユーザーが応答できない状態であることとセキュリティ処理の内容を登録するプレゼンス登録処理部とを有し、接続要求を受信すると、上記プレゼンス登録処理部より、通信先のプレゼンスの状態を検出し、プレゼンスの状態が、ユーザーが応答できないことを示す場合に、それを発信元に送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来の電話機と同様な使い勝手が良い、且つ、セキュリティが高いIP電話サービスを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は、本発明によるVoIPシステムの全体構成を示す図である。本例のVoIPシステムは、通信サーバ6、パーソナルコンピュータ1、及び、コードレス電話機を有する。コードレス電話機は、コードレスハンドセット4と充電器5を有する。
【0014】
パーソナルコンピュータ1は、VoIPシステムの端末機能を提供するソフトフォンアプリケーション2を実装しており、また、USB接続型Bluetoothモジュール3が接続されている。コードレスハンドセット4は、USB接続型Bluetoothモジュール3を介してパーソナルコンピュータ1との間で、Bluetooth方式の無線通信を行う。こうしてユーザーは、コードレスハンドセット4を用いてIP電話サービスを利用することができる。コードレスハンドセット4は、AC入力を有する充電器5によって充電される。
【0015】
本例では、通信制御プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するが、他のプロトコル、例えば、H323等を使用してもよい。また、コードレスハンドセット4とパーソナルコンピュータ1の間の通信には、Bluetooth方式の無線通信を使用するが、Bluetooth以外の通信方式を使用してもよい。この場合、USB接続型Bluetoothモジュール3の代わりに通信方式に適合するモジュールが用いられる。
【0016】
図2を参照してコードレスハンドセット4の構成例を説明する。本例のコードレスハンドセット4は、コードレスハンドセット4の各部を制御するメインCPU41、コードレスハンドセット4が充電器5から取り上げられたことを検出するハンドセット検出部42、USB接続型Bluetoothモジュール3との間でBluetooth方式の無線通信を行うBluetoothモジュール43、数字キー等の入力キーを有するキーパッド44、液晶画面を有する表示部45、及び、電話番号、名前(ニックネーム)、IPアドレス等を含むアドレスデータを記憶するメモリ46を有する。
【0017】
図3を参照してIPソフトフォンアプリケーション2の構成例を説明する。本例のIPソフトフォンアプリケーション2は、イベント監視プログラム21、サービスメインプログラム22、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)23、及び、データベース24を有する。イベント監視プログラム21は、コードレスハンドセット4又は通信サーバ6からの通信接続要求を受信すると、サービスメインプログラム22及びグラフィックユーザーインタフェース(GUI)23を起動する。サービスメインプログラム22は、IP電話の接続処理に関する様々処理を行う。グラフィックユーザーインタフェース(GUI)23は図1に示すように、アドレス帳及びプレゼンス表示、数字キー、通話ボタン、切りボタン等を含む画面を生成する。データベース24は、コードレスハンドセット4のメモリ46と同様に、電話番号、名前(ニックネーム)、IPアドレス等を含むアドレスデータを記憶する。
【0018】
図4を参照して通信サーバ6の構成例を説明する。本例の通信サーバ6は、通信要求に基づいて通信接続に関する様々な処理を行う通信接続部61、ユーザーの在不在の状態、即ち、プレゼンス状態とそれに関連付けられたセキュリティ内容の登録処理を行うプレゼンス登録処理部62、及び、プレゼンス状態、セキュリティ内容、音声メッセージ、文字メッセージ等を格納するデータベース63を有する。
【0019】
先ず、発信処理を説明する。パーソナルコンピュータ1は既に電源が投入され起動しているものとする。また、パーソナルコンピュータ1内ではソフトフォンアプリケーション2を起動するためのイベント監視プログラム21も起動している。
【0020】
ユーザーは、発信を行うとき、充電器5に置かれたコードレスハンドセット4を取り上げる。コードレスハンドセット4のハンドセット検出部42は、ユーザーによってコードレスハンドセット4が充電器5から取り上げられたことを検出すると、それをメインCPU41に通知する。メインCPU41は、Bluetoothモジュール43を介して、USB接続型Bluetoothモジュール3に、接続要求を送信する。このとき、メインCPU41は、ユーザーに発信可能であることを知らせるため、表示部45に対し、例えば、液晶用ライトを点灯させる、もしくは「番号」など表示を行うよう制御する。
【0021】
USB接続型Bluetoothモジュール3からの接続要求は、パーソナルコンピュータ1に送られる。イベント監視プログラム21は、接続要求を受信すると、サービスメインプログラム22を起動し、グラフィックユーザーインタフェース(以降GUI)23を起動する。こうして、ソフトフォンアプリケーション2が自動的に立ち上げられる。
【0022】
次にユーザーは、表示部45を見て発信可能であることが判ると、通信先の番号を調べるために、コードレスハンドセット4のキーパッド44を操作し、アドレス帳参照のキー入力を行う。アドレス帳参照の命令は、キーパッド44からメインCPU41に伝えられる。メインCPU41は、メモリ46に格納されたアドレスデータを、表示部45に表示する。ユーザーは、表示部45に表示されたアドレスデータより、目的とするアドレスデータを見付けたら、それを選択し、通話ボタンを押し、発信を行う。
【0023】
ユーザーは、表示部45に表示されたアドレスデータより、目的とするアドレスデータを見付けることができない場合には、その旨のキー入力を行う。メインCPU41は、Bluetoothモジュール43を介して、USB接続型Bluetoothモジュール3にアドレスデータの問合せを送信する。
【0024】
USB接続型Bluetoothモジュール3は、アドレスデータの問合せを、パーソナルコンピュータ1に送信する。パーソナルコンピュータ1にて、ソフトフォンアプリケーション2内のサービスメインプログラム22は、アドレスデータの問合せを受信すると、データベース24に格納されたアドレスデータを読み出し、それをUSB接続型Bluetoothモジュール3を介して、コードレスハンドセット4に送信する。コードレスハンドセット4のBluetoothモジュール43は、パーソナルコンピュータ1からのアドレスデータを、メインCPU41に送信する。メインCPU41は、メモリ46に格納されたアドレスデータと同様に、表示部45にアドレスデータを表示する。ユーザーは、表示部45に表示されたアドレスデータより、目的とするアドレスデータを見付けたら、それを選択し、通話ボタンを押して、発信を行う。
【0025】
ユーザーが通話ボタンを押すと、発信要求は、キーパッド44からメインCPU41に伝えられる。メインCPU41は、発信要求を、Bluetoothモジュール43を介してUSB接続型Bluetoothモジュール3に送信する。USB接続型Bluetoothモジュール3は、発信要求を、パーソナルコンピュータ1に送信する。パーソナルコンピュータ1にて、サービスメインプログラム22は、発信要求を通信サーバ6に伝える。
【0026】
通信サーバ6は、パーソナルコンピュータ1からの発信要求を受信する。通信接続処理部61は、通信先の状態及びロケーションをプレゼンス登録処理部62に問い合わせる。プレゼンス登録処理部62は、データベース63より、通信先の状態及びロケーション情報を読み取り、それを通信接続処理部61に返送する。通信接続処理部61は、通信先の状態及びロケーション情報に基づいて、通信接続を行う。
【0027】
通信先のプレゼンスが、「離席」、「会議中」「休憩中」など、相手がいない状態を示す場合、通信接続処理部61は、「離席」、「会議中」「休憩中」などプレゼンスの内容をパーソナルコンピュータ1に送信する。パーソナルコンピュータ1にて、サービスメインプログラム22は、通信先のプレゼンスの内容をUSB接続型Bluetoothモジュール3に送信する。USB接続型Bluetoothモジュール3は、通信先のプレゼンスの内容をコードレスハンドセット4に送信する。コードレスハンドセット4にて、Bluetoothモジュール43は、通信先のプレゼンスの内容を受信すると、それを、メインCPU41に送信する。メインCPU41は、表示部45に、通信先のプレゼンスの内容を表示する。ユーザーは、通信先のプレゼンスの内容を確認し、そのまま、発信処理を継続するのであれば、再度、通話ボタンを押下し、もし、発信処理を中止するのであれば、切りボタンを押す。
【0028】
ユーザーは、音声メッセージ又は文字メッセージを通信サーバ6のデータベース63に登録することができる。例えば、キーパッド44に設けられた特定のボタンを押すことにより、又は、予め登録された番号を押下することにより、データベース63に音声メッセージ又は文字メッセージが登録される。ここで登録する音声メッセージ又は文字メッセージは、ユーザーが作成したものであってよいが、予め作成された典型的なメッセージを登録してもよい。通常の通信接続が可能になった時、登録されたメッセージは、通信接続処理部61を介して、送信先に送られる。
【0029】
例えば、番号「99」に対して「折り返し電話ください」という音声メッセージが登録されている場合、ユーザーが番号「99」を押下することにより、「折り返し電話ください」の音声メッセージがセットされる。
【0030】
ユーザーは、音声メッセージ又は文字メッセージの登録処理を何時行ってもよい。表示部45に、「離席」、「会議中」「休憩中」などの不在を示すプレゼンスの内容が表示されてから、登録処理を行ってもよい。
【0031】
次に、着信処理を説明する。パーソナルコンピュータ1は既に電源が投入され起動しているものとする。また、パーソナルコンピュータ1内ではソフトフォンアプリケーション2を起動するためのイベント監視プログラム21も起動している。
【0032】
通信サーバ6は、接続要求を受信すると、プレゼンス登録処理部62に、データベース63から通信先のプレゼンス情報を検索するように命令する。通信先のプレゼンスが、「離席」、「会議中」「休憩中」など、相手がいない状態を示す場合、通信接続処理部61は、「離席」、「会議中」「休憩中」などプレゼンスの内容を発信元に返信する。以降は前述と同様にユーザーのアクションにより、処理される。
【0033】
通信先のプレゼンスが在席である場合、通信サーバ6は、接続要求を、通信先のパーソナルコンピュータ1に送信する。パーソナルコンピュータ1にて、イベント監視プログラム21は、サービスメインプログラム22を起動し、サービスメインプログラム22は、グラフィックユーザーインタフェース23を起動する。こうしてソフトフォンアプリケーション2は自動的に起動する。サービスメインプログラム22は、USB接続型Bluetoothモジュール3を介して、コードレスハンドセット4に、着信通知を送信する。コードレスハンドセット4にて、Bluetoothモジュール43は、着信通知を受信すると、それをメインCPU41に通知する。メインCPU41は、表示部45に着信表示を行い、着信音を発生し、ユーザーに着信がある旨を伝える。ユーザーは、応答するために、コードレスハンドセット4を取り上げる。コードレスハンドセット4のハンドセット検出部42は、充電器5から切り離されたことを感知し、その旨をメインCPU41に知らせる。メインCPU41はBluetoothモジュール43を介して、USB接続型Bluetoothモジュール3に、通信先のユーザーが応答したことを通知する。USB接続型Bluetoothモジュール3は、応答通知を受信すると、それを、パーソナルコンピュータ1に通知する。サービスメインプログラム22は、通信先が応答したことを通信サーバ6に通知する。通信サーバ6の通話接続処理部61は応答メッセージを発信元に伝え、通話路を確立する。
【0034】
ここでは、パーソナルコンピュータ1は既に電源が投入され、パーソナルコンピュータ1内のソフトフォンアプリケーション2を起動するためのイベント監視プログラム21も起動している場合を説明した。パーソナルコンピュータ1は電源が投入されていない場合、またパーソナルコンピュータ1内のソフトフォンアプリケーション2を起動するためのイベント監視プログラム21が起動されていない場合、メインCPU41は、サービスメインプログラム22からの応答がないことを確認し、表示部45にその旨を伝える。
【0035】
図5は充電器の第2の例を示す。本例の充電機11はハンドセット検出部111、USBコントローラ112、及び、Bluetoothモジュール113を有し、コードレスハンドセット4のハンドセット検出部42の機能とUSB接続型Bluetoothモジュール43の機能を有する。充電器11は、USBケーブルにより、パーソナルコンピュータ1に接続される。ユーザーは、発信を行うとき、充電器11に置かれたコードレスハンドセット4を取り上げる。ハンドセット検出部111は、コードレスハンドセット4が充電器11から取り上げられたことを検出すると、その旨を、USBコントローラ112、USBケーブルを経由して、パーソナルコンピュータ1に送信する。それにより、パーソナルコンピュータ1のイベント監視プログラム21、サービスメインプログラム22、グラフィックユーザーインタフェース23の順序で起動し、前述同様、発信準備が行われる。
【0036】
その後のコードレスハンドセット4からの発信、通話、切断での各フェーズでのデータ通信は、コードレスハンドセット4のBluetoothモジュール43から、充電器11のBluetoothモジュール113、USBコントローラ112及びUSBケーブルを経由し、パーソナルコンピュータ1に送信される。
【0037】
また、ユーザーが着信応答を行う場合も同様に、コードレスハンドセット4が充電器11から取り上げられると、ハンドセット検出部111は、応答した旨を、USBコントローラ112、USBケーブルを経由し、パーソナルコンピュータ1に送信する。それにより、パーソナルコンピュータ1のイベント監視プログラム21、サービスメインプログラム22の順序で、起動する。
【0038】
その後、コードレスハンドセット4からの発信、通話、切断での各フェーズでのデータ通信は、コードレスハンドセット4のBluetoothモジュール43から、充電器11のBluetoothモジュール113、USBコントローラ112及びUSBケーブルを経由し、パーソナルコンピュータ1に送信される。
【0039】
次に、通信サーバ6のプレゼンス登録処理部62におけるプレゼンスの登録処理を説明する。プレゼンス登録とは、「在席」、「離席」、「会議中」、「休憩中」等の状態を、予めに通信サーバ6に登録する処理である。また、上記状態のいずれかを、デフォルトとして登録してもよい。先ず、ユーザーはコードレスハンドセット4のキーパッド44より、プレゼンス登録要求を入力する。プレゼンス登録要求は、メインCPU41に伝えられ、メインCPU41より、Bluetoothモジュール43を介して、USB接続型Bluetoothモジュール3に送られる。USB接続型Bluetoothモジュール3は、ユーザーからのプレゼンス登録要求を、パーソナルコンピュータ1に伝える。ユーザーは、コードレスハンドセット4の代わりにパーソナルコンピュータ1から直接、プレゼンス登録要求を入力してもよい。パーソナルコンピュータ1のイベント監視プログラム21は、プレゼンス登録要求をサービスメインプログラム22に伝える。サービスメインプログラム22は、通信サーバ6へプレゼンス登録要求を送信する。通信サーバ6のプレゼンス登録処理部62は、ユーザーからのプレゼンス内容をデータベース63に登録する。プレゼンス内容は、上述のように「在席」、「離席」、「会議中」、「休憩中」等の状態である。
【0040】
サービスメインプログラム22は、プレゼンス登録処理と同時に、セキュリティ処理を行う。セキュリティ処理は、ユーザーが不在のときに、コードレスハンドセット4又はパーソナルコンピュータ1に蓄積されている電話帳、メールアドレス等が漏れることを防止するために行う。
【0041】
ユーザーは、セキュリティ処理の内容を、プレゼンス登録の内容に応じて設定することができる。サービスメインプログラム22は、プレゼンスを登録するとき、データベース24より、ユーザーがあらかじめ登録しておいたセキュリティ内容を引き出し、それを実行する。例えば、登録されたセキュリティ内容が、アドレス帳参照の不可の場合、サービスメインプログラム22は、アドレスデータ参照のためのデータベース24へのアクセスを行うことを禁止する処理を行う。また、登録されたセキュリティ内容がコードレスハンドセット4の発着信履歴削除の場合、USB接続型Bluetoothモジュール3、Bluetoothモジュール43を介し、メインCPU41に、発着信履歴の消去を行う旨を伝える。メインCPU41は、メモリ46に対して、発着信履歴データの消去を行う。
【0042】
ユーザーは、席に戻った等の理由により、着信応答をすることができる状態になったとき、前述同様に、プレゼンス登録要求を行い、プレゼンス内容を「在席」としてデータベース63に登録する。ただし、プレゼンス内容として前述のいずれかの状態がデフォルトとして登録されている場合は、現在のプレゼンスの解除を行うことでデフォルトに自動的に変更することができる。
【0043】
先ず、ユーザーは、自身を証明するための認証処理を行う。例えば、ソフトフォンアプリケーション2もしくは、コードレスハンドセット4より、識別符号IDを入力することにより認証を行う。識別符号IDが、コードレスハンドセット4を介して入力された場合、識別符号IDは、メインCPU41に伝えられる。メインCPU41はメモリ46に登録されている識別符号と入力された識別符号を比較する。両者が不一致の場合は、処理は中断し、表示部45にプレゼンス内容を「在席」として登録できない、またはプレゼンスの解除ができない旨を表示し、ユーザーに知らせる。両者が一致した場合、メインCPU41はBluetoothモジュール43、USB接続型Bluetoothモジュール3を介し、ソフトフォンアプリケーション2のサービスメインプログラム22に、プレゼンス内容を「在席」として登録要求、またはプレゼンス解除要求を伝える。サービスメインプログラム22は、プレゼンス登録要求、プレゼンス解除要求情報から、入力された識別符号IDを抽出し、再度、データベース24にある識別符号IDと比較し、認証処理を行う。両者が不一致の場合、処理を中断する。両者が一致した場合、サービスメインプログラム22は通信サーバ6にプレゼンス内容を「在席」として登録要求、またはプレゼンス解除要求を送信する。また、同時にセキュリティを解除し、データベース24へのアクセスができるようにする。通信サーバ6のプレゼンス登録処理部62はサービスメインプログラム22からプレゼンス登録要求、またはプレゼンス解除要求を受け、データベース63にあるプレゼンスを「在席」として登録または解除する。
【0044】
上述の例では、ユーザーがプレゼンス登録の処理を行った。しかしながら、プレゼンス登録の処理、及び、セキュリティ処理を、自動的に行ってもよい。例えば、ユーザーが、プレゼンス登録を行わずに、席を外した場合、ソフトフォンアプリケーション2のサービスメインプログラム22は、イベント監視プログラム21に対して、タイマーの監視を要求する。イベント監視プログラム21は、ソフトフォンアプリケーション2の待機状態が例えば3時間以上になった場合、その旨をサービスメインプログラム22に通知する。サービスメインプログラム22は、自動的に上述と同様のプレゼンス登録の処理を行い、そのプレゼンスに対応したセキュリティ処理を行う。セキュリティ処理がアドレス帳参照の不可であった場合は、前述の内容と同様に、サービスメインプログラム22は、アドレスデータ参照のためのデータベース24へのアクセスを行うことを禁止する処理を行う。
【0045】
更に、待機状態の経過時間ごとにセキュリティの内容を設定してよい。それによって、段階的なセキュリティ処理を行うことができる。例えば、ソフトフォンアプリケーション2の待機状態が3時間以上になった場合、セキュリティの内容がアドレス及び電話帳参照不可であり、さらに3時間経過した場合、セキュリティの内容がコードレスハンドセット4の発着信履歴削除の場合、6時間経過後の最終的なセキュリティ内容は、アドレス及び電話帳参照不可とコードレスハンドセット4の発着信履歴削除の両者である。
【0046】
本例では、発信元は、通信サーバから通信先が「離席」である旨のメッセージを受信しても、強制発信を行うことができる。強制発信を行った場合、通信サーバ6は強制発信である旨をサービスメインプログラム22に伝える。サービスメインプログラム22は、強制発信であることをUSB接続型Bluetoothモジュール3、Bluetoothモジュール43を介し、メインCPU41に伝える。また、サービスメインプログラム22は、強制発信の場合、セキュリティ処理にて実行されたデータベース24へのアクセス禁止は解除せず、着信処理のみを行う。ただし、強制着信があった履歴は、データベース24に登録する。
【0047】
メインCPU41は強制着信であることを表示部45に表示する。この時、メインCPU41は、メモリ46の個人情報データ部にアクセスする処理は行わず、着信処理のみ実施する。すなわち、アドレス帳を参照するようなアプリケーションは実行できない。他のユーザーはこの着信に対して応答のみが可能であり、通話を切断した後、コードレスハンドセット4からは、プレゼンスの解除を行い、セキュリティを解除しない限り、発信はできない。
【0048】
以上、本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明によるIPソフトフォンを使用したVoIP(Voice Over Internet Protocol)システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明によるコードレスハンドセットの内部構成を示す図である。
【図3】本発明によるIPソフトフォンアプリケーションの内部構成を示す図である。
【図4】本発明による通信サーバの内部構成を示す図である。
【図5】本発明による充電器の第2の例の内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…パーソナルコンピュータ、2…IPソフトフォンアプリケーション、3…USB接続型Bluetoothモジュール、4…コードレスハンドセット、5…充電器、6…通信サーバ、11…充電器、21…イベント監視プログラム、22…サービスメインプログラム、23…グラフィックユーザーインタフェース(GUI)、24…データベース、41…メインCPU、42…ハンドセット検出部、43…Bluetoothモジュール、44…キーパッド、45…表示部、46…メモリ、61…通信接続部、62…プレゼンス登録処理部、63…データベース、111…ハンドセット検出部、112…USBコントローラ、113…Bluetoothモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器とコードレスハンドセットを有するコードレス電話機において、上記コードレスハンドセットが上記充電器から取り上げられるとそれを検出し、検出信号を生成するハンドセット検出部と、IP電話サービス用ソフトウェアを装填したコンピュータと近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールと、ユーザーからの命令を入力する入力部と、データを表示する表示部と、IPアドレスを含むアドレスデータを記憶するメモリと、発信処理及び受信処理を含む通信制御を行う制御部と、を有し、該制御部は、上記ハンドセット検出部からの検出信号を受信すると、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに発信通知を送信し、上記表示部に発信可能である旨を表示することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項2】
請求項1記載のコードレス電話機において、上記制御部は、上記入力部よりアドレス帳参照の命令が入力されると、上記メモリに格納されたアドレスデータを上記表示部に表示することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項3】
請求項1記載のコードレス電話機において、上記制御部は、上記入力部よりアドレス帳参照の命令が入力されると、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータにアドレス帳参照の命令を送信し上記コンピュータから送信されたアドレスデータを上記表示部に表示することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項4】
請求項1記載のコードレス電話機において、上記制御部は、上記入力部より入力されたアドレスデータを、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに送信することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項5】
請求項1記載のコードレス電話機において、上記制御部は、上記コンピュータより通信先が電話に出られない状態であることを通知されたとき、その旨を上記表示部に表示することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のコードレス電話機において、上記制御部は、音声メッセージ又は文字メッセージを通信サーバに登録する命令を、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに送信することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のコードレス電話機において、上記制御部は、上記コンピュータから着信通知を受信すると、上記表示部に着信表示を行い、上記ハンドセット検出部からの検出信号を受信すると、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに応答通知を送信することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載のコードレス電話機において、上記制御部は、ユーザーが現在着信応答をすることができない状態であることを通信サーバに登録するプレゼンス登録の命令を上記近距離無線通信モジュールを介して上記コンピュータに送信することを特徴とするコードレス電話機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載のコードレス電話機において、上記ハンドセット検出部と上記近距離無線通信モジュールは上記充電器に設けられていることを特徴とするコードレス電話機。
【請求項10】
所定の通信制御プロトコルに基づいて通信サーバを介して通信先との間でIP電話サービスを利用するためのIP電話サービス用ソフトウェアと、コードレス電話機との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールと、を有するコンピュータ装置。
【請求項11】
請求項10記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、表示部に表示する画面を生成するグラフィックユーザーインタフェースと、IP電話の接続処理に関する処理を行うサービスメインプログラムと、上記コードレス電話機又は通信サーバからの通信接続要求を受信すると、上記サービスメインプログラム及びグラフィックユーザーインタフェースを起動するイベント監視プログラムと、を有することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項12】
請求項10記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コードレス電話機からアドレスデータの問合せを受信すると、所定のデータベースに格納されたアドレスデータを読み出し、それを上記近距離無線通信モジュールを介して上記コードレス電話機へ送信することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項13】
請求項10記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コードレス電話機からユーザーが応答できない状態であること登録するプレゼンス登録の命令を上記通信サーバへ送信することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項14】
請求項13記載のコンピュータ装置において、上記プレゼンス登録の処理は、ユーザーからの入力処理によって又は上記IP電話サービス用ソフトウェアの待機状態が所定時間を経過したときに自動的に行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項15】
請求項13記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、上記プレゼンス登録の処理を行うとき、ユーザーの電話帳、及びメールアドレスが漏れることを防止するために所定のセキュリティ処理を行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータ装置において、上記セキュリティ処理の内容は、上記プレゼンスの内容に応じて設定されることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項17】
請求項10記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、ユーザーからプレゼンスの解除の要求と識別番号を受信したとき、識別番号によって本人であることを確認してから、該プレゼンスの解除を行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項18】
請求項10記載のコンピュータ装置において、上記IP電話サービス用ソフトウェアは、上記近距離無線通信モジュールを介して上記コードレス電話機から音声メッセージ又は文字メッセージの登録の命令を受信すると、それを上記通信サーバへ送信することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項19】
コードレス電話機との間で近距離無線通信が可能なコンピュータ装置に対してIP電話サービスを提供するための通信サーバにおいて、通信要求に基づいて通信接続に関する処理を行う通信接続部と、ユーザーが応答できない状態であることとセキュリティ処理の内容を登録するプレゼンス登録処理部とを有し、接続要求を受信すると、上記プレゼンス登録処理部より、通信先のプレゼンスの状態を検出し、プレゼンスの状態が、ユーザーが応答できないことを示す場合に、それを発信元に送信することを特徴とする通信サーバ。
【請求項20】
請求項19記載の通信サーバにおいて、上記プレゼンス登録処理部は、プレゼンスの状態と共にセキュリティ処理の内容を発信元に送信することを特徴とする通信サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−157534(P2006−157534A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345729(P2004−345729)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】