ゴムロールの製造装置および製造方法
【課題】従来は芯材に塗布した液状材料を加熱硬化させるため、製造装置自体を加熱炉の中に入れておく必要があり、熱効率が悪く、液状材料の加熱硬化に長時間を要し、かつエネルギー節約の観点から望ましくない。従って成形型および加熱冷却炉を必要としないゴムロールの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コア1と、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズル7A,7B,7C,7Dと、塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレード20と、ブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレード23と、ブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段14とをゴムロールの製造装置に設けた。
【解決手段】少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コア1と、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズル7A,7B,7C,7Dと、塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレード20と、ブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレード23と、ブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段14とをゴムロールの製造装置に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子写真装置、プリンターの定着ロール等に使用されるゴムロールの製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のゴムロールを製造する装置および方法としては、芯金を筒状成形型の軸芯部に挿入し、成形型内に液状ゴム原料を注入し、加熱して液状ゴム原料を硬化させることによって、芯金の周りにゴム層を形成するものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
また、その他には、芯材を回転させながら、芯材の長手方向に塗布ノズルを移動させ、塗布ノズルの先端から液状材料を芯材の外表面に流下させるもの(所謂、フローコート法)がある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−039452号公報
【特許文献2】特開平05−192934号公報
【特許文献3】特開2006−065171号公報
【特許文献4】特開平09−085756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の芯金を用いてゴムロールを製造する装置および方法は、成形型を使用するため、成形型の組立て→テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体チューブ(離型性チューブ)の成形型内へのセット→成形型内への芯金(コア)の挿入→成形型への液状ゴム原料の注入→加熱硬化→冷却→成形型の分解脱型の少なくとも8工程を必要とした。
【0006】
また、液状ゴム原料を注入した成形型は加熱チャンバーに導入して外側から加熱するのであるが、このような加熱方式では熱効率が悪く、液状ゴム原料の加熱硬化に長時間を要し、かつエネルギー節約の観点から望ましいものとはいえない。
【0007】
さらに、この種のゴムロールは紙面を均一な圧力で押圧するため、軸方向中央部の径を大きくし、端部の径を小さくする所謂クラウン形状、あるいは軸方向中央部の径を小さくし、端部の径を大きくする所謂逆クラウン形状が付されることが多いが、このような形状は脱型の際のアンダーカット部となり、ゴム変形による成形型からの引抜き脱型が可能な程度の径差の小さいクラウン形状、あるいは逆クラウン形状しか付することができない。
【0008】
また、従来の芯材を用いてゴムロールを製造する装置および方法では、芯材に塗布した液状材料を加熱硬化させるため、製造装置自体を加熱炉の中に入れておく必要があり、熱効率が悪く、液状材料の加熱硬化に長時間を要し、かつエネルギー節約の観点から望ましいものとはいえない。
【0009】
さらに、芯材のみならず製造装置本体も加熱、冷却のを繰り返す過酷な環境に置かれることになるため、製造装置のライフサイクルが短くなるという問題もあった。
【0010】
また、ノズル先端から流下される液状材料の表面にブレードを当てただけではスパイラル形状が無くならないという問題もあった。
【0011】
本発明は、前記した全ての問題を解決するためになされたものであって、ゴムロールを製造するに際し、成形型および加熱冷却炉を必要としないゴムロールの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明)
第1発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、これらのブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有するものである。
【0013】
かかる構成により、ゴムロールを製造するに際し成形型を必要としないので、従来の成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分離脱型という工程が不要になる。また、加熱冷却炉を必要としないため、ゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。
さらに、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードにより無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0014】
尚、加熱手段は、液状ゴム材料を硬化させる温度(硬化温度)と、該温度よりも低い(液状ゴム材料を硬化させるまでに至らない)温度(予備加熱温度)の少なくとも2段階に切り換えられることが望ましい。
【0015】
つまり、パイプ状コアへの液状ゴム材料の塗布段階(塗布工程)においては、液状ゴム材料の流動性を増すために、加熱手段によりパイプ状コアを予備加熱温度で予備加熱する。そして、パイプ状コアへ液状ゴム材料を塗布した後の加熱硬化段階(加熱硬化工程)においては、パイプ状コアの表面に塗布された液状ゴム材料を加熱硬化温度で硬化させる。このように、加熱手段の温度を少なくとも2段階に切り換えすることにより、ゴムロールの製造を効率良くできる製造装置を提供することができる。
【0016】
また、補助ブレードは、加熱手段により流動性が増し、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に形成されたスパイラル模様を消去するためのものであるので、ブレードの厚みよりも薄い方が望ましい。
【0017】
(第2発明)
第2発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、これらブレード、回転部材および塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有するものである。
【0018】
かかる構成により、前記したようにゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0019】
(第3発明)
第3発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0020】
(第4発明)
第4発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0021】
かかる構成により、ゴムロールの製造方法を簡略化し、製造装置を簡素化できるため、ゴムロールの製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
【0022】
(第5発明)
第5発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、パイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するものである。
【0023】
(第6発明)
第6発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、パイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するものである。
【0024】
かかる構成により、ゴムロールを製造するに際し成形型を必要としないので、従来の成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分離脱型という工程が不要になる。また、加熱冷却炉を必要としないため、ゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。
さらに、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0025】
(第7発明)
第7発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、この塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0026】
第8発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共にパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、この塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0027】
かかる構成により、ゴムロールの製造方法を簡略化し、製造装置を簡素化できるため、ゴムロールの製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る製造装置および製造方法は、従来のように成形型を使用しないので、成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分解脱型という工程が不要になる。
【0029】
また、本発明に係る製造装置および製造方法は、パイプ状コアの内部から加熱手段によって液状ゴム材料を加熱するので、パイプ状コアの周りに形成されている液状ゴム材料からなる塗布層の加熱硬化、PFAディスパージョン塗布層の加熱乾燥融着等に要する熱エネルギーの効率が大幅に向上できる。
【0030】
さらに、本発明に係る製造装置および製造方法は、成形型を使用しないので、脱型時のアンダーカットの問題がなくなり、径差が大きなクラウン形状あるいは逆クラウンのゴムロールを製造できる。
【0031】
また、本発明に係る製造装置および製造方法は、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
〔作用〕
【0032】
パイプ状コア内に加熱手段を挿入し、該加熱手段によって該パイプ状コアを内部から予備加熱する。このような予備加熱状態のパイプ状コアを軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方を軸方向に沿って移動するノズルから液状ゴム材料をパイプ状コアの周面にかけ流す。
【0033】
パイプ状コアは内部から加熱手段によって予備加熱温度に加熱されているので、パイプ状コアの周面にかけ流された液状ゴム材料はパイプ状コアによって予備加熱温度に加熱され、粘度が低下(流動性が増加)してブレードにより厚さを調整し易くなる。
【0034】
さらに、液状ゴム材料からなる塗布層は、パイプ状コアによって予備加熱温度よりも高い加熱硬化温度にまで加熱焼付けされ、硬化してゴム層となる。このようにしてパイプ状コアの周面にゴム層を形成することによって、ゴムロールを製造する。
【0035】
前記したようにゴムロールを製造した後、更にパイプ状コアを回転させ、官能基を導入することによってパイプ状コアとの接着性を改良した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)プライマーのディスパージョンをかけ流し、パイプ状コアによってディスパージョン塗布層を加熱してPFAプライマー層P2を形成した上で、更にPFAプライマー層P2表面にPFAディスパージョンをかけ流し、パイプ状コアによってディスパージョン塗布層を加熱してPFA離型層Rを形成することによって、表面の離型性に富むゴムロールを製造することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明を以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図、図2は本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(図1におけるA−A断面図)、図3、図12、図13および図14はゴムロールの断面図、図4はノズル移動速度と液状ゴム材料の塗出量との関係を示すグラフ、図5は逆クラウン形状のゴムロールの側面図である。
尚、図3、図12、図13および図14は、説明を分かり易くするため、パイプ状コアのみにハッチングをかけている。
【0038】
(ゴムロールの製造装置)
図1に示すように、パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。このパイプ状コア1は、直径が20〜30mmのスチール、ステンレススチール、アルミニウム等の金属からなり、あらかじめ洗浄液によって洗浄され、乾燥されている。
【0039】
チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
【0040】
そして、一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図1における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。
【0041】
チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図2における矢印ニの向きに回転させられる。尚、駆動手段の回転速度は可変可能である。
【0042】
パイプ状コア1は、前記したように一対のチャック2A,2Bによって押圧状態で、かつ、パイプ状コア1の軸を中心として回転可能に支持されている。
【0043】
また、他方のチャック2Bの中心には、加熱手段としてのヒータ18の一端が取り付けられている。ヒータ18は、例えば、電熱式、電磁波加熱方式、遠赤外線放射方式等の周知の加熱手段が適用できる。
このヒータ18は、図示しない制御装置に配線により接続されており、少なくとも予備加熱温度または加熱硬化温度の2段階に温度が切り換えられるようになっている。
【0044】
また、パイプ状コア1の直上には、塗布ノズル7Aが配置されている。この塗布ノズル7Aの先端と、パイプ状コア1の周面との間隔は、パイプ状コア1の周面に塗布する材料によって適宜変更される。
【0045】
塗布ノズル7Aは、液状ゴム材料をパイプ状コア1にかけ流すために、可動枠8の上端に昇降枠9、摺動枠10を介して矢印ロに示す昇降可能および矢印ハに示す前後摺動可能に取付けられている。そして、ノズル7Aは、ダイヤル11によって上下位置が調節可能にされ、ダイヤル12によって前後位置が調節可能にされている。
【0046】
尚、昇降枠9と摺動枠10の昇降、摺動機構は図示しないが、ねじとめねじとの組合せ、ラックとピ二オンとの組合せ等の周知の機構を採用できる。
【0047】
可動枠8は、基台13上をパイプ状コア1の軸方向に沿って移動させる移動手段としての移動台14上に立設されている。
この移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0048】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0049】
移動台14上の摺動台19からは、パイプ状コア1に向けてブレード20と、このブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23が差出されている。そして、摺動台19は、ダイヤル21を操作して前後(図2の矢印ハ方向)に摺動可能に構成されている。
【0050】
ここで、ブレード20は、塗布ノズル7Aからパイプ状コア1にかけ流された液状ゴム材料に当て付けて厚みを調節するためのものである。
また、補助ブレード23は、ブレード20によって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触させて、液状ゴム材料の表面にできたスパイラル模様を消すためのものである。
このように、2つのブレードの機能がことなることから、補助ブレード23の板厚は、ブレード20の板厚よりも薄い方が望ましい。
尚、ブレード20および/または補助ブレード23に超音波振動子等の振動装置が取り付けられていても良い。ブレード20および/または補助ブレード23が振動することにより、前記した液状ゴム材料の厚みの調節および/またはスパイラル模様の消去が容易になる。
【0051】
前記したゴムロールの製造装置は、ダイヤル11、12および21を操作して、塗布ノズル7Aの上下前後位置(ノズル7Aの先端とパイプ状コア1の周面間の距離)およびブレード20および補助ブレード23の前後位置(ブレード20の先端および補助ブレード23の先端とパイプ状コア1の周面間の距離)を予め調節しておく。
【0052】
(ゴムロールの製造方法)
〔第1工程〕
第1工程は、パイプ状コア1の周面にプライマーを塗布して、プライマー層P1を形成する。尚、後で詳細に説明するが、本第1工程は必須の工程ではなく、必要に応じて用いられる。
【0053】
プライマー層P1を形成するためのプライマーは、図示しないプライマータンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Bを介して塗布ノズル7Bに供給される。これらプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
塗布ノズル7Bを、パイプ状コア1の上方においてパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって図1における矢印ホの向きに移動させ、プライマーを塗布ノズル7Bからパイプ状コア1の周面にかけ流し塗布する。この際、プライマーは、塗布ノズル7Bと共に移動台14によって移動するブレード20および補助ブレード23によって厚みが調節されると共に均一に塗布される。
【0054】
本第1工程で用いるプライマーとしては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のパイプ状コア1の周面上に形成されるゴム層Gと接着性を有する樹脂の溶液、ディスパージョン、エマルジョンまたはシランカップリング剤等が用いられる。
【0055】
本第1工程においては、ゴムロールの製造装置にセットしたパイプ状コア1は通常100rpm〜600rpmの回転数で図2おける矢印ニの向きに回転させられ、ノズル7Bの移動速度は通常300mm/分〜2000mm/分に設定され、塗布ノズル7Bの先端からパイプ状コア1の周面までの距離は0.1mm〜2.0mmに設定され、塗布ノズル7Bからのプライマー吐出量は通常0.5ml/分〜5.0ml/分に設定される。
【0056】
プライマーの塗布後は、所望なれば室温で30分〜90分の風乾を行ない、次いでヒータ18によってパイプ状コア1の周面温度を100℃〜150℃で30分〜60分加熱してプライマー焼付けを行なって、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面に形成する。プライマー層P1の厚みは、通常0.5μm〜100μmである。
【0057】
本第1工程は、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面に形成するためにゴムロールの製造装置を用いたものを示したが、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面にあらかじめ形成したパイプ状コア1をゴムロールの製造装置にセットしてもよい。この場合は、言うまでもなく、前記した第1工程を無くすことができ、後述する第2工程からゴムロールの製造を開始することができる。
【0058】
このように、パイプ状コア1の周面に別工程で予めプライマー層P1を形成する場合、プライマーは、パイプ状コア1周面にフローコート、スプレー、ハケ塗り等の周知の塗布手段で塗布され、塗布後は、加熱炉に導入して100〜150℃で30〜60分の加熱焼付けを行なう。
【0059】
尚、パイプ状コア1が、前記したプライマーを用いることなく、後述する液状ゴム材料との密着性が良い場合は、前記した第1工程が不要であることは言うまでもない。
【0060】
〔第2工程〕
第2工程は、パイプ状コア1への液状ゴム材料を塗布し、ゴム層Gを形成する。
第1工程を経て第2工程を行う場合は、プライマー層P1を形成した後、プライマー用の塗布ノズル7Bを液状ゴム材料用の塗布ノズル7Aに取替える。この塗布ノズル7Aは、図示しないゴムタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Aを介して液状ゴム材料が供給される。これらゴムタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0061】
第2工程は、まず、パイプ状コア1の予備加熱およびパイプ状コア1を矢印ニの向きに回転させることから開始する。
そして、塗布ノズル7Aは、パイプ状コア1の上方において、パイプ状コア1の軸方向に沿って、矢印ホの向きにパイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動させる。その際、塗布ノズル7Aから液状ゴム材料をパイプ状コア1の周面にかけ流し、ブレード20によって液状ゴム材料の厚みを調節し、かつ均一に流拡平滑化する。
【0062】
そして、ブレード20によって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に、ブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23を接触させる(軽く当てる)ことにより、液状ゴム材料の表面に形成されたスパイラル模様を消すことができる。
【0063】
通常、パイプ状コア1の回転数は150rpm〜800rpm、望ましくは200rpm〜400rpmであり、パイプ状コア1の予備加熱温度はパイプ状コア1の周面で50〜100℃、望ましくは60〜80℃である。
そして、塗布ノズル7Bは口径1mm程度のものを使用し、その移動速度は通常200〜1000mm/分、望ましくは300〜600mm/分であり、液状ゴム材料の塗布ノズル7Bからの吐出量は、通常25〜40g/分、望ましくは30〜35g/分である。
【0064】
液状ゴム材料としては、ウレタンゴム、プレポリマー、シリコン樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、未加硫ゴム等が例示されるが、プレポリマーの場合には、一般に塗布前に硬化剤を混合する。
また、プレポリマー自体が液状の場合には、溶剤で希釈する必要はないが、固体の場合あるいは高粘度液体の場合には溶剤で希釈して所定の粘度にする。
【0065】
通常、液状ゴム材料の粘度は、25℃で500〜20万センチポイズ(CP)である。また、溶剤として、通常、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、トルオール、キシロール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘブタン、エタノール、イソプロパンノール等の一般有機溶剤が併用される。
前記した液状ゴム材料を、パイプ状コア1の周面にかけ流し、塗布する本第2工程においては、パイプ状コア1の周面温度が50℃未満であると、液状ゴム材料の粘度低下が起りにく(柔らかくならな)くなり、パイプ状コア1の周面に均一に液状ゴム材料を塗布することが困難となる。
【0066】
また、パイプ状コア1の周面温度が100℃を越えると、液状ゴム材料の加熱硬化が起って、パイプ状コア1の表面への液状ゴム材料の均一な塗布が困難になる。さらに、パイプ状コア1の周面から液状ゴム材料が下に垂れてしまうおそれもある。
【0067】
そこで、ヒータ18によって、パイプ状コア1は、表面温度で50〜100℃、望ましくは60〜80℃に予備加熱される。そして、70℃に予備加熱されたパイプ状コア1の表面に塗布ノズル7Aによってかけ流し塗布された液状ゴム材料は、ブレード20によって厚みを調節され、さらに補助ブレード23によってスパイラル模様が無くされ、均一に平滑化される。
【0068】
パイプ状コア1の表面へ液状ゴム材料が塗布された後は、ヒータ18によってパイプ状コア1の表面温度が加熱硬化温度まで上げられ、液状ゴム材料を150℃程度の温度で加熱硬化させる。液状ゴム材料が加熱硬化した後は、液状ゴム材料が加熱硬化したことにより形成されたゴム層Gが室温になるまで冷却する。
以上の第1工程および第2工程によって図12に示したゴムロール30を製造することができる。また、第1工程を経ない場合は、本第2工程のみによって図3に示したゴムロールを製造することができる。これらの図3および図12に示したゴムロールは、必要に応じて、後述する第3工程以降の工程を行っても良い。
【0069】
〔第3工程〕
第3工程は、前記した第1工程および第2工程、または第2工程のみによってパイプ状コア1に形成されたゴム層Gの表面にプライマーとして官能基を導入した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(変性PFA)水性ディスパージョン(PFAプライマー)を塗布し、PFAプライマー層P2を形成するものである。
【0070】
変性PFAに導入される官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等がある。この官能基を導入することによって、変性PFAは前記したゴム層Gと、後述する第4工程において形成されるPFA離型層Rの双方に良好な接着性を示す。
【0071】
水性ディスパージョンの溶媒としては、水あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパンノール、アセトン等の水可溶性有機溶媒との混合溶媒が使用され、分散安定剤として界面活性剤の若干量が添加される。
【0072】
本第3工程において、塗布ノズルは、PFAプライマー専用の塗布ノズル7Cを使用し、塗布ノズル7Cには、図示しないPFAプライマータンクからチューブ22Cを介して図示しない定量ポンプによりPFAプライマーが供給される。これらPFAプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0073】
塗布ノズル7Cは、パイプ状コア1の上方において、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動する。そして、PFAプライマーは、前記した第2工程で形成されたゴム層Gの表面にかけ流されて塗布される。
【0074】
PFAプライマーの塗布後は、パイプ状コア1の回転を維持しつつ、通常、パイプ状コア1の周面温度50℃〜70℃、1分〜2分程度の予備乾燥を行なう。PFAプライマー層P2の厚みは20μm以下程度に設定する。
【0075】
尚、前記した第2工程と本第3工程の間に、前記した第1工程と同一の工程である中間工程を設けても良い。すなわち、第1工程→第2工程→中間工程→第3工程であっても良いし、第2工程→中間工程→第3工程であっても良い。
この理由は、第2工程で形成されたゴム層Gと本第3工程で形成するPFAプライマー層P2の接着性を向上させるためである。
中間工程は、前記した第1工程と同一であるため、説明は省略する。
【0076】
〔第4工程〕
第4工程は、前記した第3工程におけるPFAプライマー層P2の表面にPFA水性ディスパージョンを塗布し、PFA離型層Rを形成する。本第4工程で用いるPFA水性ディスパージョンは、変性されていないPFAを上記PFAプライマーと同様な溶媒に分散させたものである。
【0077】
本第4工程においても、塗布ノズルはPFA水性ディスパージョン専用の塗布ノズル7Dを使用し、塗布ノズル7Dには図示しないPFAディスパージョンタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Dを介してPFA水性ディスパージョンが供給される。これらPFAディスパージョンタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0078】
そして、塗布ノズル7Dは、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動し、PFA水性ディスパージョンをPFAプライマー層P2の表面にかけ流し塗布する。
【0079】
PFA水性ディスパージョン塗布後は、通常、パイプ状コア1の周面温度を300℃〜400℃に上昇させ、5分程度の焼付けを行なう。
前記した第1〜4工程により、PFA水性ディスパージョンが表面に塗布されPFA離型層Rが形成された図13に示すゴムロール31または図14に示すゴムロール32を製造することができる。
さらに、これらのゴムロール31、32について、以下の第5工程を行うことができる。
【0080】
〔第5工程〕
第5工程においては、このようにしてPFA離型層Rを表面に形成したゴム層Gを有するパイプ状コア1をゴムロールの製造装置からはずして加熱炉に導入しても良い。この場合は、通常150℃〜250℃、3時間〜5時間の加熱処理を行なう。
上記加熱処理においてもゴム層Gは完全に硬化する、そしてPFA離型層Rの厚みは通常5μm〜50μmに設定される。
以上説明した工程により、例えば、図13に示したようなパイプ状コア1の周面にプライマー層P1を介してゴム層Gが形成され、このゴム層Gの表面にはPFAプライマー層P2を介してPFA離型層Rが形成されているゴムロール31が製造される。ゴム層Gの厚みは通常1mm以下に設定される。
【0081】
上記第1工程乃至第5工程は、ゴム層Gの表面にPFA離型層Rを形成したゴムロール31を製造するための工程であるが、本発明においては、前記したように、PFA離型層Rは必須のものではない。
すなわち、PFA離型層Rを省略する場合は、第2工程において液状ゴム材料の塗布層を加熱硬化した後、このゴム層Gが形成されたパイプ状コア1を、ゴムロールの製造装置から外すことにより、図3に示したゴムロール29または図12に示したゴムロール30を製造することができる。
【0082】
また、ゴムロールの製造装置から外したゴムロール29または30を、加熱炉に導入し、前記した第5工程と同様な焼付けを行なってもよい。
【0083】
さらに、本発明にあっては、かけ流し塗布したプライマー、液状ゴム材料等を流拡平滑化するのにブレードおよび補助ブレードを用いたが、それに代えてエアー吹付けを行なってもよい。
また、ゴムロールに、所望なれば離型層としてPFAチューブを被着し、加熱溶融させてもよい。
【0084】
さらに、クラウン形状あるいは逆クラウン形状を有するゴムロールを製造する場合には、第2工程における塗布ノズル7Bの移動速度を変更して液状ゴム材料の塗布量を調節する。即ちクラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に遅くし、中央から他端にかけて徐々に早くし、逆クラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に早くし、中央から他端にかけて徐々に遅くする。
【0085】
塗布ノズル7Bの移動速度を調節する以外に、塗布ノズル7Bから液状ゴム材料の吐出量を調節してもよい。
【0086】
図4は、ノズル7Bの移動速度(mm/分)と液状ゴム材料吐出量(g/10秒)を示すグラフである。図4を参照すると、ノズル移動速度が大きくなると、吐出量が減少することがわかる。
そして、本実施例1におけるノズルからの液状ゴム材料の吐出量と膜厚との関係を求めるとy=−500x+700(x=膜厚(mm)、y=移動速度(mm/分))となる。
【0087】
図4に示す塗布ノズルの移動モードでは、図5に示すような逆クラウン形のゴムロール30が製造される。この場合、最大径−最小径=30μmである。
【実施例2】
【0088】
本発明の他の実施例を図6を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
本実施例2に係るゴムロールの製造装置における実施例1との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
【0090】
図6に示すように、回転部材24は、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0091】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第2実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とパイプ状コア1の間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0092】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図12に示すゴムロール30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いゴムロール30を製造することができた。
【実施例3】
【0093】
本発明の他の実施例を図7を用いて詳細に説明する。
図7は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例2に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
本実施例3に係るゴムロールの製造装置における実施例2との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
【0095】
この場合であっても、前記した実施例2と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図12に示す表面にスパイラル模様の無いゴムロール30を製造することができた。
【実施例4】
【0096】
本発明の他の実施例を図8および図9を用いて詳細に説明する。
図8は本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図、図9は本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(図8におけるB−B断面図)である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
本実施例4に係るゴムロールの製造装置における実施例1との主な相違点は、移動台14の上に支持枠3Aおよび3Bを載せ、パイプ状コア1自体が移動する点である。
【0098】
パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。そして、チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図8における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。さらに、チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図9における矢印ニの向きに回転させられる。
【0099】
これらの図示しない押圧手段および駆動手段は、パイプ状コア1が移動手段としての移動台14によりパイプ状コア1の軸方向に移動する関係上、移動台14または支持枠3Aに取り付けられた支持台26に固定されている。
【0100】
移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0101】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0102】
また、図9に示す様に、摺動台19および可動枠8は、基台13に直接固定されている。
すなわち、実施例1に係るゴムロールの製造装置は、塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23がパイプ状コア1に対して移動台14によって移動するのに対し、本実施例4に係るゴムロールの製造装置は、パイプ状コア1が塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23に対して移動台14によって移動するのである。
【0103】
かかる構成であっても、前記した実施例1と同様なゴムロールの製造方法を採用することができ、前記した第2工程によって、実施例1と同様の図12に示すゴムロール30を製造することができた。
【実施例5】
【0104】
本発明の他の実施例を図10を用いて詳細に説明する。
図10は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施例5に係るゴムロールの製造装置における実施例4との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
【0106】
図10に示すように、回転部材24は、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0107】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第5実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とパイプ状コア1の間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0108】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図12に示したゴムロール30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いゴムロールを製造することができた。
【実施例6】
【0109】
本発明の他の実施例を図11を用いて詳細に説明する。
図11は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
本実施例6に係るゴムロールの製造装置における実施例5との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
【0111】
この場合であっても、実施例5と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図30に示した表面にスパイラル模様の無いゴムロールを製造することができた。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明では、ゴムロールの製造に成形型を使用しないので、ゴムロールの製造工程が短縮され、またアンダーカット形状のクラウン形や逆クラウン形のゴムロールも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例1)
【図2】本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(実施例1)
【図3】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【図4】ノズル移動速度と液状ゴム材料吐出量との関係を示すグラフ(−●−:吐出量、−△−:ノズル移動速度)(実施例1)
【図5】逆クラウン形状ゴムロール側面図(実施例1)
【図6】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例2)
【図7】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例3)
【図8】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例4)
【図9】本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(実施例4)
【図10】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例5)
【図11】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例6)
【図12】ゴムロールの一部側断面図(実施例1等)
【図13】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【図14】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【符号の説明】
【0114】
1 パイプ状コア
2A,2B チャック
7A,7B,7C,7D 塗布ノズル
14 移動台(移動手段)
18 ヒータ(加熱手段)
20 ブレード
23 補助ブレード
24 回転部材
29 ゴムロール
30 ゴムロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子写真装置、プリンターの定着ロール等に使用されるゴムロールの製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のゴムロールを製造する装置および方法としては、芯金を筒状成形型の軸芯部に挿入し、成形型内に液状ゴム原料を注入し、加熱して液状ゴム原料を硬化させることによって、芯金の周りにゴム層を形成するものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
また、その他には、芯材を回転させながら、芯材の長手方向に塗布ノズルを移動させ、塗布ノズルの先端から液状材料を芯材の外表面に流下させるもの(所謂、フローコート法)がある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−039452号公報
【特許文献2】特開平05−192934号公報
【特許文献3】特開2006−065171号公報
【特許文献4】特開平09−085756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の芯金を用いてゴムロールを製造する装置および方法は、成形型を使用するため、成形型の組立て→テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体チューブ(離型性チューブ)の成形型内へのセット→成形型内への芯金(コア)の挿入→成形型への液状ゴム原料の注入→加熱硬化→冷却→成形型の分解脱型の少なくとも8工程を必要とした。
【0006】
また、液状ゴム原料を注入した成形型は加熱チャンバーに導入して外側から加熱するのであるが、このような加熱方式では熱効率が悪く、液状ゴム原料の加熱硬化に長時間を要し、かつエネルギー節約の観点から望ましいものとはいえない。
【0007】
さらに、この種のゴムロールは紙面を均一な圧力で押圧するため、軸方向中央部の径を大きくし、端部の径を小さくする所謂クラウン形状、あるいは軸方向中央部の径を小さくし、端部の径を大きくする所謂逆クラウン形状が付されることが多いが、このような形状は脱型の際のアンダーカット部となり、ゴム変形による成形型からの引抜き脱型が可能な程度の径差の小さいクラウン形状、あるいは逆クラウン形状しか付することができない。
【0008】
また、従来の芯材を用いてゴムロールを製造する装置および方法では、芯材に塗布した液状材料を加熱硬化させるため、製造装置自体を加熱炉の中に入れておく必要があり、熱効率が悪く、液状材料の加熱硬化に長時間を要し、かつエネルギー節約の観点から望ましいものとはいえない。
【0009】
さらに、芯材のみならず製造装置本体も加熱、冷却のを繰り返す過酷な環境に置かれることになるため、製造装置のライフサイクルが短くなるという問題もあった。
【0010】
また、ノズル先端から流下される液状材料の表面にブレードを当てただけではスパイラル形状が無くならないという問題もあった。
【0011】
本発明は、前記した全ての問題を解決するためになされたものであって、ゴムロールを製造するに際し、成形型および加熱冷却炉を必要としないゴムロールの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明)
第1発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、これらのブレード、補助ブレードおよび塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有するものである。
【0013】
かかる構成により、ゴムロールを製造するに際し成形型を必要としないので、従来の成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分離脱型という工程が不要になる。また、加熱冷却炉を必要としないため、ゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。
さらに、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードにより無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0014】
尚、加熱手段は、液状ゴム材料を硬化させる温度(硬化温度)と、該温度よりも低い(液状ゴム材料を硬化させるまでに至らない)温度(予備加熱温度)の少なくとも2段階に切り換えられることが望ましい。
【0015】
つまり、パイプ状コアへの液状ゴム材料の塗布段階(塗布工程)においては、液状ゴム材料の流動性を増すために、加熱手段によりパイプ状コアを予備加熱温度で予備加熱する。そして、パイプ状コアへ液状ゴム材料を塗布した後の加熱硬化段階(加熱硬化工程)においては、パイプ状コアの表面に塗布された液状ゴム材料を加熱硬化温度で硬化させる。このように、加熱手段の温度を少なくとも2段階に切り換えすることにより、ゴムロールの製造を効率良くできる製造装置を提供することができる。
【0016】
また、補助ブレードは、加熱手段により流動性が増し、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に形成されたスパイラル模様を消去するためのものであるので、ブレードの厚みよりも薄い方が望ましい。
【0017】
(第2発明)
第2発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、これらブレード、回転部材および塗布ノズルを、パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有するものである。
【0018】
かかる構成により、前記したようにゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0019】
(第3発明)
第3発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0020】
(第4発明)
第4発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、塗布ノズルと共に移動するブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0021】
かかる構成により、ゴムロールの製造方法を簡略化し、製造装置を簡素化できるため、ゴムロールの製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
【0022】
(第5発明)
第5発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、パイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するものである。
【0023】
(第6発明)
第6発明に係るゴムロールの製造装置は、少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、この加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、このパイプ状コアの上方においてパイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、この塗布ノズルからパイプ状コアにかけ流された液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、このブレードによって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触し、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、パイプ状コアを、パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するものである。
【0024】
かかる構成により、ゴムロールを製造するに際し成形型を必要としないので、従来の成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分離脱型という工程が不要になる。また、加熱冷却炉を必要としないため、ゴムロールの製造装置および製造コストを安価にできる。
さらに、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くすことができる。
【0025】
(第7発明)
第7発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、このパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、この塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0026】
第8発明に係るゴムロールの製造方法は、加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共にパイプ状コアを、軸を中心として回転させ、パイプ状コアをパイプ状コアの軸方向に移動させ、パイプ状コアの上方においてパイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを液状ゴム材料に当てて液状ゴム材料の厚みを調節し、さらに、ブレードによって厚さが調節された液状ゴム材料の表面に、パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによってパイプ状コアの外周に液状ゴム材料の塗布層を形成した後、この塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成するものである。
【0027】
かかる構成により、ゴムロールの製造方法を簡略化し、製造装置を簡素化できるため、ゴムロールの製造コストを安価にできる。また、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る製造装置および製造方法は、従来のように成形型を使用しないので、成形型の組立て、成形型内への芯金(コア)の挿入、成形型の分解脱型という工程が不要になる。
【0029】
また、本発明に係る製造装置および製造方法は、パイプ状コアの内部から加熱手段によって液状ゴム材料を加熱するので、パイプ状コアの周りに形成されている液状ゴム材料からなる塗布層の加熱硬化、PFAディスパージョン塗布層の加熱乾燥融着等に要する熱エネルギーの効率が大幅に向上できる。
【0030】
さらに、本発明に係る製造装置および製造方法は、成形型を使用しないので、脱型時のアンダーカットの問題がなくなり、径差が大きなクラウン形状あるいは逆クラウンのゴムロールを製造できる。
【0031】
また、本発明に係る製造装置および製造方法は、フローコート法で見られる液状材料表面のスパイラル模様を、補助ブレードまたは回転部材により無くすことができるので、スパイラル模様に起因した筋が画像にあらわれるという現象を無くし、高品質の画像形成ができるという効果を奏する。
〔作用〕
【0032】
パイプ状コア内に加熱手段を挿入し、該加熱手段によって該パイプ状コアを内部から予備加熱する。このような予備加熱状態のパイプ状コアを軸を中心として回転させ、パイプ状コアの上方を軸方向に沿って移動するノズルから液状ゴム材料をパイプ状コアの周面にかけ流す。
【0033】
パイプ状コアは内部から加熱手段によって予備加熱温度に加熱されているので、パイプ状コアの周面にかけ流された液状ゴム材料はパイプ状コアによって予備加熱温度に加熱され、粘度が低下(流動性が増加)してブレードにより厚さを調整し易くなる。
【0034】
さらに、液状ゴム材料からなる塗布層は、パイプ状コアによって予備加熱温度よりも高い加熱硬化温度にまで加熱焼付けされ、硬化してゴム層となる。このようにしてパイプ状コアの周面にゴム層を形成することによって、ゴムロールを製造する。
【0035】
前記したようにゴムロールを製造した後、更にパイプ状コアを回転させ、官能基を導入することによってパイプ状コアとの接着性を改良した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)プライマーのディスパージョンをかけ流し、パイプ状コアによってディスパージョン塗布層を加熱してPFAプライマー層P2を形成した上で、更にPFAプライマー層P2表面にPFAディスパージョンをかけ流し、パイプ状コアによってディスパージョン塗布層を加熱してPFA離型層Rを形成することによって、表面の離型性に富むゴムロールを製造することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明を以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図、図2は本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(図1におけるA−A断面図)、図3、図12、図13および図14はゴムロールの断面図、図4はノズル移動速度と液状ゴム材料の塗出量との関係を示すグラフ、図5は逆クラウン形状のゴムロールの側面図である。
尚、図3、図12、図13および図14は、説明を分かり易くするため、パイプ状コアのみにハッチングをかけている。
【0038】
(ゴムロールの製造装置)
図1に示すように、パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。このパイプ状コア1は、直径が20〜30mmのスチール、ステンレススチール、アルミニウム等の金属からなり、あらかじめ洗浄液によって洗浄され、乾燥されている。
【0039】
チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
【0040】
そして、一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図1における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。
【0041】
チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図2における矢印ニの向きに回転させられる。尚、駆動手段の回転速度は可変可能である。
【0042】
パイプ状コア1は、前記したように一対のチャック2A,2Bによって押圧状態で、かつ、パイプ状コア1の軸を中心として回転可能に支持されている。
【0043】
また、他方のチャック2Bの中心には、加熱手段としてのヒータ18の一端が取り付けられている。ヒータ18は、例えば、電熱式、電磁波加熱方式、遠赤外線放射方式等の周知の加熱手段が適用できる。
このヒータ18は、図示しない制御装置に配線により接続されており、少なくとも予備加熱温度または加熱硬化温度の2段階に温度が切り換えられるようになっている。
【0044】
また、パイプ状コア1の直上には、塗布ノズル7Aが配置されている。この塗布ノズル7Aの先端と、パイプ状コア1の周面との間隔は、パイプ状コア1の周面に塗布する材料によって適宜変更される。
【0045】
塗布ノズル7Aは、液状ゴム材料をパイプ状コア1にかけ流すために、可動枠8の上端に昇降枠9、摺動枠10を介して矢印ロに示す昇降可能および矢印ハに示す前後摺動可能に取付けられている。そして、ノズル7Aは、ダイヤル11によって上下位置が調節可能にされ、ダイヤル12によって前後位置が調節可能にされている。
【0046】
尚、昇降枠9と摺動枠10の昇降、摺動機構は図示しないが、ねじとめねじとの組合せ、ラックとピ二オンとの組合せ等の周知の機構を採用できる。
【0047】
可動枠8は、基台13上をパイプ状コア1の軸方向に沿って移動させる移動手段としての移動台14上に立設されている。
この移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0048】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0049】
移動台14上の摺動台19からは、パイプ状コア1に向けてブレード20と、このブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23が差出されている。そして、摺動台19は、ダイヤル21を操作して前後(図2の矢印ハ方向)に摺動可能に構成されている。
【0050】
ここで、ブレード20は、塗布ノズル7Aからパイプ状コア1にかけ流された液状ゴム材料に当て付けて厚みを調節するためのものである。
また、補助ブレード23は、ブレード20によって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に接触させて、液状ゴム材料の表面にできたスパイラル模様を消すためのものである。
このように、2つのブレードの機能がことなることから、補助ブレード23の板厚は、ブレード20の板厚よりも薄い方が望ましい。
尚、ブレード20および/または補助ブレード23に超音波振動子等の振動装置が取り付けられていても良い。ブレード20および/または補助ブレード23が振動することにより、前記した液状ゴム材料の厚みの調節および/またはスパイラル模様の消去が容易になる。
【0051】
前記したゴムロールの製造装置は、ダイヤル11、12および21を操作して、塗布ノズル7Aの上下前後位置(ノズル7Aの先端とパイプ状コア1の周面間の距離)およびブレード20および補助ブレード23の前後位置(ブレード20の先端および補助ブレード23の先端とパイプ状コア1の周面間の距離)を予め調節しておく。
【0052】
(ゴムロールの製造方法)
〔第1工程〕
第1工程は、パイプ状コア1の周面にプライマーを塗布して、プライマー層P1を形成する。尚、後で詳細に説明するが、本第1工程は必須の工程ではなく、必要に応じて用いられる。
【0053】
プライマー層P1を形成するためのプライマーは、図示しないプライマータンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Bを介して塗布ノズル7Bに供給される。これらプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
塗布ノズル7Bを、パイプ状コア1の上方においてパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって図1における矢印ホの向きに移動させ、プライマーを塗布ノズル7Bからパイプ状コア1の周面にかけ流し塗布する。この際、プライマーは、塗布ノズル7Bと共に移動台14によって移動するブレード20および補助ブレード23によって厚みが調節されると共に均一に塗布される。
【0054】
本第1工程で用いるプライマーとしては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のパイプ状コア1の周面上に形成されるゴム層Gと接着性を有する樹脂の溶液、ディスパージョン、エマルジョンまたはシランカップリング剤等が用いられる。
【0055】
本第1工程においては、ゴムロールの製造装置にセットしたパイプ状コア1は通常100rpm〜600rpmの回転数で図2おける矢印ニの向きに回転させられ、ノズル7Bの移動速度は通常300mm/分〜2000mm/分に設定され、塗布ノズル7Bの先端からパイプ状コア1の周面までの距離は0.1mm〜2.0mmに設定され、塗布ノズル7Bからのプライマー吐出量は通常0.5ml/分〜5.0ml/分に設定される。
【0056】
プライマーの塗布後は、所望なれば室温で30分〜90分の風乾を行ない、次いでヒータ18によってパイプ状コア1の周面温度を100℃〜150℃で30分〜60分加熱してプライマー焼付けを行なって、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面に形成する。プライマー層P1の厚みは、通常0.5μm〜100μmである。
【0057】
本第1工程は、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面に形成するためにゴムロールの製造装置を用いたものを示したが、プライマー層P1をパイプ状コア1の周面にあらかじめ形成したパイプ状コア1をゴムロールの製造装置にセットしてもよい。この場合は、言うまでもなく、前記した第1工程を無くすことができ、後述する第2工程からゴムロールの製造を開始することができる。
【0058】
このように、パイプ状コア1の周面に別工程で予めプライマー層P1を形成する場合、プライマーは、パイプ状コア1周面にフローコート、スプレー、ハケ塗り等の周知の塗布手段で塗布され、塗布後は、加熱炉に導入して100〜150℃で30〜60分の加熱焼付けを行なう。
【0059】
尚、パイプ状コア1が、前記したプライマーを用いることなく、後述する液状ゴム材料との密着性が良い場合は、前記した第1工程が不要であることは言うまでもない。
【0060】
〔第2工程〕
第2工程は、パイプ状コア1への液状ゴム材料を塗布し、ゴム層Gを形成する。
第1工程を経て第2工程を行う場合は、プライマー層P1を形成した後、プライマー用の塗布ノズル7Bを液状ゴム材料用の塗布ノズル7Aに取替える。この塗布ノズル7Aは、図示しないゴムタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Aを介して液状ゴム材料が供給される。これらゴムタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0061】
第2工程は、まず、パイプ状コア1の予備加熱およびパイプ状コア1を矢印ニの向きに回転させることから開始する。
そして、塗布ノズル7Aは、パイプ状コア1の上方において、パイプ状コア1の軸方向に沿って、矢印ホの向きにパイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動させる。その際、塗布ノズル7Aから液状ゴム材料をパイプ状コア1の周面にかけ流し、ブレード20によって液状ゴム材料の厚みを調節し、かつ均一に流拡平滑化する。
【0062】
そして、ブレード20によって厚みが調節された液状ゴム材料の表面に、ブレード20に隣接して設けられた補助ブレード23を接触させる(軽く当てる)ことにより、液状ゴム材料の表面に形成されたスパイラル模様を消すことができる。
【0063】
通常、パイプ状コア1の回転数は150rpm〜800rpm、望ましくは200rpm〜400rpmであり、パイプ状コア1の予備加熱温度はパイプ状コア1の周面で50〜100℃、望ましくは60〜80℃である。
そして、塗布ノズル7Bは口径1mm程度のものを使用し、その移動速度は通常200〜1000mm/分、望ましくは300〜600mm/分であり、液状ゴム材料の塗布ノズル7Bからの吐出量は、通常25〜40g/分、望ましくは30〜35g/分である。
【0064】
液状ゴム材料としては、ウレタンゴム、プレポリマー、シリコン樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、未加硫ゴム等が例示されるが、プレポリマーの場合には、一般に塗布前に硬化剤を混合する。
また、プレポリマー自体が液状の場合には、溶剤で希釈する必要はないが、固体の場合あるいは高粘度液体の場合には溶剤で希釈して所定の粘度にする。
【0065】
通常、液状ゴム材料の粘度は、25℃で500〜20万センチポイズ(CP)である。また、溶剤として、通常、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、トルオール、キシロール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セロソルブアセテート、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘブタン、エタノール、イソプロパンノール等の一般有機溶剤が併用される。
前記した液状ゴム材料を、パイプ状コア1の周面にかけ流し、塗布する本第2工程においては、パイプ状コア1の周面温度が50℃未満であると、液状ゴム材料の粘度低下が起りにく(柔らかくならな)くなり、パイプ状コア1の周面に均一に液状ゴム材料を塗布することが困難となる。
【0066】
また、パイプ状コア1の周面温度が100℃を越えると、液状ゴム材料の加熱硬化が起って、パイプ状コア1の表面への液状ゴム材料の均一な塗布が困難になる。さらに、パイプ状コア1の周面から液状ゴム材料が下に垂れてしまうおそれもある。
【0067】
そこで、ヒータ18によって、パイプ状コア1は、表面温度で50〜100℃、望ましくは60〜80℃に予備加熱される。そして、70℃に予備加熱されたパイプ状コア1の表面に塗布ノズル7Aによってかけ流し塗布された液状ゴム材料は、ブレード20によって厚みを調節され、さらに補助ブレード23によってスパイラル模様が無くされ、均一に平滑化される。
【0068】
パイプ状コア1の表面へ液状ゴム材料が塗布された後は、ヒータ18によってパイプ状コア1の表面温度が加熱硬化温度まで上げられ、液状ゴム材料を150℃程度の温度で加熱硬化させる。液状ゴム材料が加熱硬化した後は、液状ゴム材料が加熱硬化したことにより形成されたゴム層Gが室温になるまで冷却する。
以上の第1工程および第2工程によって図12に示したゴムロール30を製造することができる。また、第1工程を経ない場合は、本第2工程のみによって図3に示したゴムロールを製造することができる。これらの図3および図12に示したゴムロールは、必要に応じて、後述する第3工程以降の工程を行っても良い。
【0069】
〔第3工程〕
第3工程は、前記した第1工程および第2工程、または第2工程のみによってパイプ状コア1に形成されたゴム層Gの表面にプライマーとして官能基を導入した変性テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(変性PFA)水性ディスパージョン(PFAプライマー)を塗布し、PFAプライマー層P2を形成するものである。
【0070】
変性PFAに導入される官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等がある。この官能基を導入することによって、変性PFAは前記したゴム層Gと、後述する第4工程において形成されるPFA離型層Rの双方に良好な接着性を示す。
【0071】
水性ディスパージョンの溶媒としては、水あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパンノール、アセトン等の水可溶性有機溶媒との混合溶媒が使用され、分散安定剤として界面活性剤の若干量が添加される。
【0072】
本第3工程において、塗布ノズルは、PFAプライマー専用の塗布ノズル7Cを使用し、塗布ノズル7Cには、図示しないPFAプライマータンクからチューブ22Cを介して図示しない定量ポンプによりPFAプライマーが供給される。これらPFAプライマータンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0073】
塗布ノズル7Cは、パイプ状コア1の上方において、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動する。そして、PFAプライマーは、前記した第2工程で形成されたゴム層Gの表面にかけ流されて塗布される。
【0074】
PFAプライマーの塗布後は、パイプ状コア1の回転を維持しつつ、通常、パイプ状コア1の周面温度50℃〜70℃、1分〜2分程度の予備乾燥を行なう。PFAプライマー層P2の厚みは20μm以下程度に設定する。
【0075】
尚、前記した第2工程と本第3工程の間に、前記した第1工程と同一の工程である中間工程を設けても良い。すなわち、第1工程→第2工程→中間工程→第3工程であっても良いし、第2工程→中間工程→第3工程であっても良い。
この理由は、第2工程で形成されたゴム層Gと本第3工程で形成するPFAプライマー層P2の接着性を向上させるためである。
中間工程は、前記した第1工程と同一であるため、説明は省略する。
【0076】
〔第4工程〕
第4工程は、前記した第3工程におけるPFAプライマー層P2の表面にPFA水性ディスパージョンを塗布し、PFA離型層Rを形成する。本第4工程で用いるPFA水性ディスパージョンは、変性されていないPFAを上記PFAプライマーと同様な溶媒に分散させたものである。
【0077】
本第4工程においても、塗布ノズルはPFA水性ディスパージョン専用の塗布ノズル7Dを使用し、塗布ノズル7Dには図示しないPFAディスパージョンタンクから図示しない定量ポンプによってチューブ22Dを介してPFA水性ディスパージョンが供給される。これらPFAディスパージョンタンクおよび定量ポンプは、一般に市販されている公知のものを用いることができる。
【0078】
そして、塗布ノズル7Dは、所定の速度でパイプ状コア1の軸方向に沿って、パイプ状コア1の一端(チャック2Bの近傍)から他端(チャック2Aの近傍)に向かって移動し、PFA水性ディスパージョンをPFAプライマー層P2の表面にかけ流し塗布する。
【0079】
PFA水性ディスパージョン塗布後は、通常、パイプ状コア1の周面温度を300℃〜400℃に上昇させ、5分程度の焼付けを行なう。
前記した第1〜4工程により、PFA水性ディスパージョンが表面に塗布されPFA離型層Rが形成された図13に示すゴムロール31または図14に示すゴムロール32を製造することができる。
さらに、これらのゴムロール31、32について、以下の第5工程を行うことができる。
【0080】
〔第5工程〕
第5工程においては、このようにしてPFA離型層Rを表面に形成したゴム層Gを有するパイプ状コア1をゴムロールの製造装置からはずして加熱炉に導入しても良い。この場合は、通常150℃〜250℃、3時間〜5時間の加熱処理を行なう。
上記加熱処理においてもゴム層Gは完全に硬化する、そしてPFA離型層Rの厚みは通常5μm〜50μmに設定される。
以上説明した工程により、例えば、図13に示したようなパイプ状コア1の周面にプライマー層P1を介してゴム層Gが形成され、このゴム層Gの表面にはPFAプライマー層P2を介してPFA離型層Rが形成されているゴムロール31が製造される。ゴム層Gの厚みは通常1mm以下に設定される。
【0081】
上記第1工程乃至第5工程は、ゴム層Gの表面にPFA離型層Rを形成したゴムロール31を製造するための工程であるが、本発明においては、前記したように、PFA離型層Rは必須のものではない。
すなわち、PFA離型層Rを省略する場合は、第2工程において液状ゴム材料の塗布層を加熱硬化した後、このゴム層Gが形成されたパイプ状コア1を、ゴムロールの製造装置から外すことにより、図3に示したゴムロール29または図12に示したゴムロール30を製造することができる。
【0082】
また、ゴムロールの製造装置から外したゴムロール29または30を、加熱炉に導入し、前記した第5工程と同様な焼付けを行なってもよい。
【0083】
さらに、本発明にあっては、かけ流し塗布したプライマー、液状ゴム材料等を流拡平滑化するのにブレードおよび補助ブレードを用いたが、それに代えてエアー吹付けを行なってもよい。
また、ゴムロールに、所望なれば離型層としてPFAチューブを被着し、加熱溶融させてもよい。
【0084】
さらに、クラウン形状あるいは逆クラウン形状を有するゴムロールを製造する場合には、第2工程における塗布ノズル7Bの移動速度を変更して液状ゴム材料の塗布量を調節する。即ちクラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に遅くし、中央から他端にかけて徐々に早くし、逆クラウン形状の場合には、塗布ノズル7Bの移動速度を一端から中央にかけて徐々に早くし、中央から他端にかけて徐々に遅くする。
【0085】
塗布ノズル7Bの移動速度を調節する以外に、塗布ノズル7Bから液状ゴム材料の吐出量を調節してもよい。
【0086】
図4は、ノズル7Bの移動速度(mm/分)と液状ゴム材料吐出量(g/10秒)を示すグラフである。図4を参照すると、ノズル移動速度が大きくなると、吐出量が減少することがわかる。
そして、本実施例1におけるノズルからの液状ゴム材料の吐出量と膜厚との関係を求めるとy=−500x+700(x=膜厚(mm)、y=移動速度(mm/分))となる。
【0087】
図4に示す塗布ノズルの移動モードでは、図5に示すような逆クラウン形のゴムロール30が製造される。この場合、最大径−最小径=30μmである。
【実施例2】
【0088】
本発明の他の実施例を図6を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
本実施例2に係るゴムロールの製造装置における実施例1との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
【0090】
図6に示すように、回転部材24は、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0091】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第2実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とパイプ状コア1の間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0092】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図12に示すゴムロール30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いゴムロール30を製造することができた。
【実施例3】
【0093】
本発明の他の実施例を図7を用いて詳細に説明する。
図7は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例2に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
本実施例3に係るゴムロールの製造装置における実施例2との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
【0095】
この場合であっても、前記した実施例2と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図12に示す表面にスパイラル模様の無いゴムロール30を製造することができた。
【実施例4】
【0096】
本発明の他の実施例を図8および図9を用いて詳細に説明する。
図8は本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図、図9は本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(図8におけるB−B断面図)である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
本実施例4に係るゴムロールの製造装置における実施例1との主な相違点は、移動台14の上に支持枠3Aおよび3Bを載せ、パイプ状コア1自体が移動する点である。
【0098】
パイプ状コア1の両端は、先端コーン形状のチャック2Aおよび2Bによって支持されている。そして、チャック2A、2Bは、ぞれぞれ支持枠3A、3Bにボールベアリング4A、4Bを介して回転可能に支持されている。
一方のチャック2Aは、支持枠3Aに摺動自在に支持されており、図示しないエアシリンダー、油圧シリンダー、スプリング等の押圧手段によって、図8における矢印イの向きに(チャック2Bに向かって)押圧されている。さらに、チャック2Aの軸5は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図9における矢印ニの向きに回転させられる。
【0099】
これらの図示しない押圧手段および駆動手段は、パイプ状コア1が移動手段としての移動台14によりパイプ状コア1の軸方向に移動する関係上、移動台14または支持枠3Aに取り付けられた支持台26に固定されている。
【0100】
移動台14にはネジ孔15があけられており、ネジ孔15には、図示しないモータ等の駆動源によって回転速度可変に正逆回転させられる長尺ネジ16が入れられており、この長尺ネジ16を図示しない駆動源によって所定の回転数で正回転または逆回転させることによって、移動台14はパイプ状コア1の軸方向に沿って所定の速度で移動させられる。
【0101】
尚、移動台14は、基台13上に設けられたレール17によってガイドされている。また、前記したネジ孔15および長尺ネジ16は、一般に市販されているボールネジを用いて構成しても良い。
【0102】
また、図9に示す様に、摺動台19および可動枠8は、基台13に直接固定されている。
すなわち、実施例1に係るゴムロールの製造装置は、塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23がパイプ状コア1に対して移動台14によって移動するのに対し、本実施例4に係るゴムロールの製造装置は、パイプ状コア1が塗布ノズル7A、ブレード20および補助ブレード23に対して移動台14によって移動するのである。
【0103】
かかる構成であっても、前記した実施例1と同様なゴムロールの製造方法を採用することができ、前記した第2工程によって、実施例1と同様の図12に示すゴムロール30を製造することができた。
【実施例5】
【0104】
本発明の他の実施例を図10を用いて詳細に説明する。
図10は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施例5に係るゴムロールの製造装置における実施例4との主な相違点は、補助ブレード23の代わりに回転部材24を設けた点である。
【0106】
図10に示すように、回転部材24は、パイプ状コア1の軸方向とは垂直な方向に回転軸を有し、昇降枠9に取り付けられたモータ25により回転される。
【0107】
回転部材24の回転速度は、20000〜30000rpmが望ましく、本第5実施例においては、パイプ状コア1の回転数125rpmに対して、回転部材24の回転数を30000rpmとした。また、塗布ノズル7Aおよび回転部材24の移動速度を8mm/秒、回転部材24とパイプ状コア1の間隔(隙間)を1μmとした。尚、回転部材の回転方向は、正方向、逆方向のどちらであっても良い。
【0108】
そして、その他の条件を実施例1と同じにし、プライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により図12に示したゴムロール30を製造した。その結果、表面にスパイラル模様の無いゴムロールを製造することができた。
【実施例6】
【0109】
本発明の他の実施例を図11を用いて詳細に説明する。
図11は、本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係るゴムロールの製造装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
本実施例6に係るゴムロールの製造装置における実施例5との主な相違点は、補助ブレード23をさらに設けた点である。
【0111】
この場合であっても、実施例5と同じ条件でプライマー処理されたパイプ状コア1を用いて前記した第2工程により、図30に示した表面にスパイラル模様の無いゴムロールを製造することができた。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明では、ゴムロールの製造に成形型を使用しないので、ゴムロールの製造工程が短縮され、またアンダーカット形状のクラウン形や逆クラウン形のゴムロールも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例1)
【図2】本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(実施例1)
【図3】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【図4】ノズル移動速度と液状ゴム材料吐出量との関係を示すグラフ(−●−:吐出量、−△−:ノズル移動速度)(実施例1)
【図5】逆クラウン形状ゴムロール側面図(実施例1)
【図6】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例2)
【図7】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例3)
【図8】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例4)
【図9】本発明に係るゴムロールの製造装置の側面図(実施例4)
【図10】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例5)
【図11】本発明に係るゴムロールの製造装置の正面図(実施例6)
【図12】ゴムロールの一部側断面図(実施例1等)
【図13】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【図14】ゴムロールの一部側断面図(実施例1)
【符号の説明】
【0114】
1 パイプ状コア
2A,2B チャック
7A,7B,7C,7D 塗布ノズル
14 移動台(移動手段)
18 ヒータ(加熱手段)
20 ブレード
23 補助ブレード
24 回転部材
29 ゴムロール
30 ゴムロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、
該ブレード、該補助ブレードおよび前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有することを特徴とするゴムロールの製造装置
【請求項2】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
該ブレード、該回転部材および前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有することを特徴とするゴムロールの製造装置
【請求項3】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項4】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項5】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するゴムロールの製造装置
【請求項6】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するゴムロールの製造装置
【請求項7】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に該パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、該パイプ状コアを該パイプ状コアの軸方向に移動させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項8】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に該パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、該パイプ状コアを該パイプ状コアの軸方向に移動させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項1】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、
該ブレード、該補助ブレードおよび前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有することを特徴とするゴムロールの製造装置
【請求項2】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
該ブレード、該回転部材および前記塗布ノズルを、前記パイプ状コアの軸方向に沿って移動する移動手段とを有することを特徴とするゴムロールの製造装置
【請求項3】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項4】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に、該パイプ状コアを、軸を中心として回転させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアの軸方向に沿って移動する塗布ノズルから、該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流すと共に、該塗布ノズルと共に移動するブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項5】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触する補助ブレードと、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するゴムロールの製造装置
【請求項6】
少なくとも2段階に温度の切り換えができる加熱手段と、
該加熱手段を内部に有し、軸を中心として回転するパイプ状コアと、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに液状ゴム材料をかけ流す塗布ノズルと、
該塗布ノズルから前記パイプ状コアにかけ流された前記液状ゴム材料の厚みを調節するブレードと、
該ブレードによって厚みが調節された前記液状ゴム材料の表面に接触し、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材と、
前記パイプ状コアを、該パイプ状コアの軸方向に移動させる移動手段とを有するゴムロールの製造装置
【請求項7】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に該パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、該パイプ状コアを該パイプ状コアの軸方向に移動させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に補助ブレードを接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【請求項8】
加熱手段によってパイプ状コアを内部から予備加熱すると共に該パイプ状コアを、軸を中心として回転させると共に、該パイプ状コアを該パイプ状コアの軸方向に移動させ、
該パイプ状コアの上方において該パイプ状コアに塗布ノズルから液状ゴム材料をかけ流すと共に、ブレードを該液状ゴム材料に当てて該液状ゴム材料の厚みを調節し、
さらに、該ブレードによって厚さが調節された該液状ゴム材料の表面に、前記パイプ状コアの軸方向とは垂直な方向に回転軸を有する回転部材を接触させることによって該パイプ状コアの外周に該液状ゴム材料の塗布層を形成した後、
該塗布層を加熱硬化させてゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−172865(P2009−172865A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13643(P2008−13643)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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