サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、およびハードディスクドライブ
【課題】本発明は、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、金属支持基板、第一絶縁層、第一配線層、第二絶縁層、第二配線層がこの順に配置されたサスペンション用基板であって、外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【解決手段】本発明は、金属支持基板、第一絶縁層、第一配線層、第二絶縁層、第二配線層がこの順に配置されたサスペンション用基板であって、外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。
【0003】
HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャ)は、通常、一方の先端部分に形成され、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装する素子実装領域と、他方の先端部分に形成され、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域と、素子実装領域および外部回路基板接続領域を接続する配線層とを有する。さらに、外部回路基板接続領域における具体的な端子構造として、いわゆるフライングリード端子が知られている(特許文献1〜3)。フライングリード端子と、外部回路基板の端子とは、例えばボンディングツールを用いた超音波接合により電気的に接続される。
【0004】
また、サスペンション用基板は、通常、金属支持基板(例えばステンレス鋼)、絶縁層(例えばポリイミド樹脂)、配線層(例えば銅)がこの順に積層された基本構造を有する。サスペンション用基板における配線層は、例えば特許文献4に示すように、絶縁層の同一表面上に一対で形成される(平面配列の配線層)。これに対して、特許文献5〜7に示すように、配線層を、絶縁層を介して縦に積層したもの(積層配列の配線層)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−31915号公報
【特許文献2】特開2006−310491号公報
【特許文献3】特開2009−129490号公報
【特許文献4】特開2005−11387号公報
【特許文献5】特開2010−108537号公報
【特許文献6】特開平9−022570号公報
【特許文献7】特開平10−003632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フライングリード端子は、通常、表面および裏面の両面で配線層が露出しており、さらにその厚さも薄いため、機械的強度が弱く、変形または破断が生じやすい。フライングリード端子の変形または破断は、接合時のみならずサスペンション用基板の製造中にも生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、フライングリード端子に変形または破断を生じさせる主たる要因は、金属支持基板の開口部の端部に加わる応力であることが判明した。そこで、金属支持基板の開口部の端部を補強することで、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、上記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0010】
本発明によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板とすることができる。
【0011】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部において、断線部を有し、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記断線部の位置に形成されていることが好ましい。第二配線層が、第一配線層の断線部に形成されていることから、断線部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができるからである。その結果、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすくなる。
【0012】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一絶縁層は、上記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記第一絶縁層開口部に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第一配線層が、第一絶縁層開口部から露出するように形成されているため、カバー層側からボンディングツールを押し当てて、金属支持基板側で接合を行う場合に、フライングリード端子における第一配線層と、外部回路基板の端子との距離が近くなり、金属支持基板開口部の端部における応力の発生を抑制できるからである。
【0013】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成され、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているからである。
【0014】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層、上記第二絶縁層および上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることが好ましい。金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているからである。
【0015】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第二配線層が、金属支持基板開口部において、第一配線層の表面上に形成されていることから、金属支持基板開口部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができるからである。その結果、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすくなる。
【0016】
上記発明においては、上記フライングリード端子が、上記金属支持基板開口部において、上記第一配線層と、上記第一配線層よりも線幅の狭い上記第二配線層と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子がショートすることを防止できるからである。
【0017】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板と、上記サスペンション用基板の上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンションを提供する。
【0018】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンションとすることができる。
【0019】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0020】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制した素子付サスペンションとすることができる。
【0021】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0022】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のサスペンション用基板は、フライングリード端子の変形または破断を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す模式図である。
【図2】図1(a)における外部回路基板接続領域102の模式図である。
【図3】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図4】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図5】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図6】第一実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図7】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図8】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図9】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図10】第二実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図11】第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図12】第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図13】第三実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図14】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図15】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図16】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図17】第四実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図18】第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図19】第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図20】第五実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図21】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図22】本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図23】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、およびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
【0026】
A.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、上記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするものである。
【0027】
図1(a)は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。なお、図1(a)では、便宜上、カバー層の記載は省略している。図1(a)に示されるサスペンション用基板100は、一方の先端部分に形成された素子実装領域101と、他方の先端部分に形成された外部回路基板接続領域102と、素子実装領域101および外部回路基板接続領域102を電気的に接続する配線層103とを有するものである。また、図1(a)における配線層103は、一方が書込み(ライト)用配線層であり、他方が読取り(リード)用配線層である。
【0028】
また、図1(b)に示すように、サスペンション用基板100は、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された第一絶縁層2と、第一絶縁層2上に形成された第一配線層3と、第一配線層3上に形成された第二絶縁層4と、第二絶縁層4上に形成された第二配線層5と、第二配線層5を覆うように形成されたカバー層6とを有するものである。第二絶縁層4を介して、第一配線層3および第二配線層5が積層されることにより、一対の配線層が形成されている。なお、低インピーダンス化の観点から、第一配線層3および第二配線層5の下の金属支持基板1は除去されていることが好ましい。
【0029】
図2(a)は、図1(a)における外部回路基板接続領域102の概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図2(a)、(b)に示すように、外部回路基板接続領域102において、金属支持基板1には、金属支持基板開口部1Xが形成されている。さらに、金属支持基板開口部1Xには、少なくとも第二配線層5を有し、外部回路基板(図示せず)との接続を行うフライングリード端子10が形成されている。なお、フライングリード端子10の表面には、めっき部7が形成されている。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて(図2(b)の矢印の位置において)、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されていることを大きな特徴とする。なお、図2(b)では、2ヶ所の端部1Y(金属支持基板開口部1Xの両端部)において、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されているが、本発明においては、少なくとも1ヶ所の端部1Yで、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されていれば良い。
【0030】
本発明によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板とすることができる。金属支持基板開口部の端部に加わる応力がフライングリード端子に変形または破断を生じさせる主たる要因であると考えられることから、その端部の位置に、第一配線層および第二配線層の両方を配置することによって、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制することができる。なお、本発明において、フライングリード端子が形成される領域には、金属支持基板の開口部のみならず、第一絶縁層および第二絶縁層の開口部も形成される。中でも、金属支持基板の開口部の端部に応力が集中する理由は、ボンディング時のボンディングツールによる印圧点を力点、フライングリード開口部外側を支点とした時に、金属支持基板の開口端部が作用点となり、応力が集中するからであると考えられる。
【0031】
また、本発明によれば、第一配線層および第二配線層を平面視上重複するように形成するという厚さ方向の補強により、フライングリード端子の変形または破断を抑制している。そのため、例えばフライングリード端子の幅を大きくするという幅方向の補強に比べて、フライングリード端子の端子ピッチを狭くすることができる。その結果、端子ピッチの空間的制約が少なくなり、HDDの高機能化に伴う配線層数の増加に対応しやすいという利点がある。なお、本発明のサスペンション用基板は、第一配線層および第二配線層という2層構造の配線層を有しているため、この点からも、HDDの高機能化に伴う配線層数の増加に対応しやすいという利点がある。
以下、本発明のサスペンション用基板について、サスペンション用基板の部材と、サスペンション用基板の構成とに分けて説明する。
【0032】
1.サスペンション用基板の部材
まず、本発明のサスペンション用基板の部材について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、第一絶縁層、第一配線層、第二絶縁層、第二配線層を少なくとも有するものである。
【0033】
本発明における金属支持基板は、サスペンション用基板の支持体として機能するものである。金属支持基板の材料は、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的にはステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属支持基板の厚さは、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内である。
【0034】
本発明における第一絶縁層は、金属支持基板上に形成されるものである。第一絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れているからである。また、第一絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一絶縁層の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0035】
本発明における第一配線層は、第一絶縁層上に形成されるものである。第一配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。また、第一配線層の材料は、圧延銅であっても良く、電解銅であっても良い。第一配線層の厚さは、例えば5μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、9μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。また、第一配線層の一部の表面には、めっき部が形成されていることが好ましい。めっき部を設けることにより、第一配線層の劣化(腐食等)を防止できるからである。中でも、本発明においては、素子や外部回路基板との接続を行う端子部にめっき部が形成されていることが好ましい。めっき部の種類は特に限定されるものではないが、例えば、Auめっき、Niめっき、Agめっき等を挙げることができる。中でも、本発明においては、第一配線層の表面側から、NiめっきおよびAuめっきが形成されていることが好ましい。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4μmの範囲内である。
【0036】
本発明における第二絶縁層は、第一配線層上に形成されるものである。第二絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記の第一絶縁層の材料として記載したものを用いることができる。中でも、第二絶縁層の材料は、ポリイミド樹脂であることが好ましい。また、第二絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一配線層および第二配線層の間の第二絶縁層の厚さ(配線間厚さ)は、特に限定されるものではないが、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明における第二配線層は、第二絶縁層上に形成されるものである。第二配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記の第一配線層の材料として記載したものを用いることができる。中でも、第二配線層の材料は、銅(Cu)であることが好ましい。また、第二配線層の寸法の好ましい範囲は、上述した第一配線層の寸法の好ましい範囲と同様であるので、ここでの記載は省略する。第二配線層にも、上述した第一配線層と同様に、めっき部が形成されていることが好ましい。
【0038】
また、本発明においては、第一配線層および第二配線層として、任意の機能を有する配線層を用いることができる。第一配線層および第二配線層の具体例としては、書込み用配線層、読取り用配線層、電源用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、センサー用配線層、アクチュエータ用配線層、熱アシスト用配線層等を挙げることができる。また、後述するように、第一配線層又は第二配線層のいずれか一方が、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)であっても良い。
【0039】
また、本発明のサスペンション用基板は、通常、第一配線層および第二配線層の少なくとも一方が、書込み用配線層および読取り用配線層を有する。特に、本発明においては、第一配線層および第二配線層が書込み用配線層を有し、これらの書込み用配線層が平面視上重複するように配置され、一対の配線を構成していることが好ましい。具体的には、図1(b)に示すように、第二絶縁層4を介して、第一配線層(書込み用配線層)3と第二配線層(書込み用配線層)5とが平面視上重複するように配置されていることが好ましい。このような積層配列の配線層は、平面配列の配線層に比べて、低インピーダンス化を図りやすいからである。また、本発明においては、第一配線層および第二配線層が読取り用配線層を有し、これらの読取り用配線層が平面視上重複するように配置され、一対の配線を構成していても良い。さらに、書込み用配線層および読取り用配線層の両方が、上記の積層配列の配線層であっても良い。また、本発明においては、第一配線層のみが書込み用配線層および読取り用配線層を有していても良く、第二配線層のみが書込み用配線層および読取り用配線層を有していても良く、第一配線層が書込み用配線層および読取り用配線層の一方のみを有し、第二配線層が書込み用配線層および読取り用配線層の他方のみを有していても良い。
【0040】
本発明におけるカバー層は、第二配線層を覆うように形成されるものである。カバー層を設けることにより、第二配線層の劣化(腐食等)を防止できる。カバー層の材料としては、例えば、上述した第一絶縁層の材料として記載したものを挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。カバー層の厚さは、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
【0041】
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されているものであれば特に限定されるものではない。以下、本発明のサスペンション用基板の具体例について、第一実施態様〜第五実施態様に分けて説明する。なお、第一実施態様〜第三実施態様は、金属支持基板開口部の端部に、第一配線層および第二配線層が存在する態様であり、第四実施態様〜第五実施態様は、金属支持基板開口部の端部に、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層が存在する態様である。
【0042】
(1)第一実施態様
第一実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部において、断線部を有し、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記断線部の位置に形成されていることを特徴とする態様である。
【0043】
上述した図2(b)は、第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図2(b)に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。ここで、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」とは、第二絶縁層を介さずに第一配線層および第二配線層が積層された状態をいう。そのため、例えば両者の間に、第二絶縁層上に第二配線層を形成するためのシード層が形成されていても、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことになる。
【0044】
また、図2(b)において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xに断線部を有している。ここで、「第一配線層が金属支持基板開口部において断線部を有する」とは、金属支持基板開口部に、第一配線層の配線終端部が位置することをいう。図2(b)では、2ヶ所の端部1Y(金属支持基板開口部1Xの両端部)の近傍において、第一配線層3がそれぞれ配線終端部を有しているが、第一配線層3の配線終端部は1ヶ所のみであっても良い。
【0045】
また、図2(b)において、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域(金属支持基板開口部1Xが形成されてない側の領域、以下同じ)において、第一配線層3の方向(図面の下側方向、以下同じ)に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成されている。さらに、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1yより内側の領域(金属支持基板開口部1Xが形成されている側の領域、以下同じ)において、第一絶縁層2の方向(図面の下側方向、以下同じ)に折れ曲がることにより、第一配線層3の断線部に形成されている。また、図2(b)では、金属支持基板1側のフライングリード端子10の表面には、第一配線層3および第二配線層5の両者が配置され、金属支持基板1とは反対側(カバー層6側)の表面には、第二配線層5が配置されている。
【0046】
第一実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二配線層が、第一配線層の断線部に形成されていることから、断線部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができる。そのため、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすいという利点がある。このように、応力が集中する金属支持基板開口部の端部には第一配線層および第二配線層を配置し、接合を行う部分には第二配線層のみを配置することにより、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制しつつ、良好な接合を行うことができる。
【0047】
図3において、金属支持基板開口部の長さをL1とした場合、L1の値は、例えば0.50mm〜2.00mmの範囲内であることが好ましく、0.50mm〜1.25mmの範囲内であることがより好ましい。また、第一配線層3の断線部に形成された第二配線層5の長さをL2とした場合、L2の値は、例えば0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましい。L2の値が小さすぎると、ボンディングツールを押し当てる際に、所望の追従性が発揮できない可能性があるからである。一方、L2の値は、L1の値以下であり、例えば1.8mm以下であることが好ましい。
【0048】
図3において、金属支持基板開口部における第一絶縁層2の端部は、金属支持基板開口部の端部1Yと面一か、金属支持基板開口部の端部1Yよりも突出していることが好ましい。応力が集中する金属支持基板開口部の端部を効果的に補強できるからである。突出した第一絶縁層2の長さをL3とした場合、L3の値は、例えば10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、20μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部の端部1Yの外側および内側の領域において、第一配線層1の表面上に形成されている。上記外側の領域での重複部分の長さをL4とし、上記内側の領域での重複部分の長さをL5とし、これらの長さをL4+L5とした場合、L4の値は、例えば100μm以下であることが好ましい。L5の値は、例えば20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。L4+L5の値は、例えば40μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。L4+L5の値が小さすぎると、応力が集中する金属支持基板開口部の端部を効果的に補強できない可能性があるからである。
【0049】
図3において、第二配線層5が、第一配線層3の方向に折れ曲がる角度をθ1とした場合、θ1は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、第二配線層5が、第一絶縁層2の方向に折れ曲がる角度をθ2とした場合、θ2は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、θ1、θ2<90°とする場合、第二絶縁層4、第一配線層3に所定の傾斜を作製することが好ましい。傾斜の作製方法としては、例えば、エッチング条件を調製する方法、階調性を有するフォトマスクを用いる方法等を挙げることができる。なお、図3においては、第二配線層5がいずれも直線的に折れ曲がっているが、曲線的に折れ曲がるものであっても良い。
【0050】
また、図3における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図3では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図3における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第一実施態様においては、図4(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図4(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0051】
また、図5(a)は第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。図5(a)、(b)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。なお、第一配線層3および第二配線層5の線幅が同一であると、レジスト製版のアライメント誤差等により、第一配線層3の側面に第二配線層5が形成されやすくなる。その結果、図5(c)に示すように、隣り合うフライングリード端子10の間隔が狭くなり、最悪の場合、ショートが生じる可能性がある。
【0052】
図5(b)において、第一配線層3の線幅をW1とし、第二配線層5の線幅をW2とした場合、W1の値は、例えば50μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。W2の値は、例えば20μm〜280μmの範囲内であることが好ましく、70μm〜170μmの範囲内であることが好ましい。また、W1−W2の値は、レジスト製版のアライメント誤差を考慮すると、20μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、20μm〜30μmの範囲内であることがより好ましい。
【0053】
次に、第一実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図6を用いて説明する。なお、図6は、図2(b)と同様の断面図である。図6においては、まず、金属支持部材1A、絶縁部材2Aおよび導体部材3Aがこの順に積層された積層部材を準備する(図6(a))。次に、導体部材3Aおよび金属支持部材1Aに対して、ウェットエッチングによるパターニングを行い、第一配線層3、および、金属支持基板開口部1Xを有する金属支持基板1を形成する(図6(b))。次に、第一配線層3上に、第二絶縁層4を形成する(図6(c))。
【0054】
その後、第二絶縁層4側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第二配線層5を形成する(図6(d))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第二配線層5上にカバー層6を形成する(図6(e))。次に、絶縁部材2Aをエッチングするためのレジストパターン11を形成し(図6(f))、レジストパターン11から露出する絶縁部材2Aをウェットエッチングにより除去することにより絶縁層2を形成する(図6(g))。レジストパターン11を除去し(図6(h))、第一配線層3および第二配線層5の表面に、電解めっき法によりめっき部7を形成する(図6(i))。最後に、図示しないが通常は金属支持基板1の外形加工を行い、サスペンション用基板を得る。
【0055】
(2)第二実施態様
第二実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一絶縁層は、上記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記第一絶縁層開口部に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0056】
図7は、第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図7に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことの定義は、第一実施態様と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0057】
また、図7において、第一絶縁層2は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一絶縁層開口部2Xを有している。また、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第一絶縁層2の方向に折れ曲がることにより第一絶縁層開口部2Xに形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成され、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域においても、第一配線層3の表面上に形成されている。なお、図7では、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第二配線層5が第一配線層3の表面全面に形成されているが、第二実施態様においては、第二配線層5が第一配線層3の表面上の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0058】
第二実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有する。また、第一配線層が、第一絶縁層開口部から露出するように形成されているため、カバー層側からボンディングツールを押し当てて、金属支持基板側で接合を行う場合に、フライングリード端子における第一配線層と、外部回路基板の端子との距離が近くなり、金属支持基板開口部の端部における応力の発生を抑制できるという利点がある。
【0059】
図7において、第一絶縁層開口部2Xから露出する第一配線層3の長さをL6とした場合、L6の値は、例えば0.5mm〜2.0mmの範囲内であることが好ましく、0.5mm〜1.25mmの範囲内であることがより好ましい。また、図7において、第一配線層3が、金属支持基板1の方向に折れ曲がる角度をθ3とした場合、θ3は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、θ3<90°とする場合、第一絶縁層2に所定の傾斜を作製することが好ましい。
【0060】
また、図7における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図7では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図7における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第二実施態様においては、図8(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図8(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0061】
また、図9(a)は第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。図9(a)、(b)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。なお、図9(b)におけるW1、W2の好ましい値は、図5(b)におけるW1、W2の好ましい値と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0062】
第二実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0063】
次に、第二実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図10を用いて説明する。なお、図10は、図7と同様の断面図である。図10においては、まず、金属支持部材1Aを準備する(図10(a))。次に、金属支持部材1A上に、パターン状の第一絶縁層2を形成する(図10(b))。次に、第一絶縁層2側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第一配線層3を形成する(図10(c))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第一配線層3上に、第二絶縁層4を形成する(図10(d))。
【0064】
その後、第二絶縁層4側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第二配線層5を形成する(図10(e))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第二配線層5上にカバー層6を形成する(図10(f))。次に、金属支持部材1Aをエッチングし、金属支持基板開口部1Xを有する金属支持基板1を形成する(図10(g))。最後に、第一配線層3および第二配線層5の表面に、電解めっき法によりめっき部7を形成する(図10(h))。
【0065】
(3)第三実施態様
第三実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0066】
図11は、第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図11に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことの定義は、第一実施態様と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0067】
また、図11において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成され、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域においても、第一配線層3の表面上に形成されている。なお、図11では、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第二配線層5が第一配線層3の表面全面に形成されているが、第三実施態様においては、第二配線層5が第一配線層3の表面上の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0068】
第三実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有する。
【0069】
また、図11における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図11では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図11における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第三実施態様においては、図12(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図12(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0070】
第三実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第三実施態様においても、フライングリード端子は、金属支持基板開口部において、第一配線層と、第一配線層よりも線幅の狭い第二配線層と、を有することが好ましい。
【0071】
次に、第三実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図13を用いて説明する。なお、図13は、図11と同様の断面図である。図13におけるサスペンション用基板の製造方法は、図13(b)における第一配線層3の形状を変更したこと以外は、上述した図6と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0072】
(4)第四実施態様
第四実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層、上記第二絶縁層および上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることを特徴とする態様である。
【0073】
図14は、第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図14に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二絶縁層4が形成され、第二絶縁層4の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、第二絶縁層4と第二配線層5との間には、第二配線層5を形成するためのシード層が形成されていても良い。また、図14において、第一配線層3、第二絶縁層4および第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。
【0074】
第四実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有し、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。
【0075】
また、図14における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図14では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図14における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第四実施態様においては、図15(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図15(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0076】
また、図16(a)は第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図16(b)、(c)は図16(a)のA−A断面図である。図16(a)〜(c)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。第一配線層3の線幅が、第二配線層5の線幅より小さければ、レジスト製版のアライメント誤差が生じた場合であっても、図16(c)に示すように、隣り合うフライングリード端子10の間隔が狭くなることを防止できる。なお、図16(b)におけるW1、W2の好ましい値は、図5(b)におけるW1、W2の好ましい値と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
第四実施態様における寸法、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0078】
次に、第四実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図17を用いて説明する。なお、図17は、図15と同様の断面図である。図17におけるサスペンション用基板の製造方法は、図17(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、上述した図13と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0079】
(5)第五実施態様
第五実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0080】
図18は、第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図18に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二絶縁層4が形成され、第二絶縁層4の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、第二絶縁層4と第二配線層5との間には、第二配線層5を形成するためのシード層が形成されていても良い。また、図18において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成されている。
【0081】
第五実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、機械的強度が非常に優れているという利点を有し、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二配線層が、金属支持基板開口部において、第一配線層の表面上に形成されていることから、第四実施態様に比べて、金属支持基板開口部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができる。そのため、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすいという利点がある。
【0082】
図18において、金属支持基板開口部1において、第一配線層3の表面上に形成された第二配線層5の長さをL7とした場合、L7の値は、例えば0.3mm〜1.8mmの範囲内であることが好ましく、0.4mm〜1.0mmの範囲内であることがより好ましい。
【0083】
また、図18における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図18では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図18における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第五実施態様においては、図19(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図19(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0084】
第五実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第五実施態様においても、フライングリード端子は、金属支持基板開口部において、第一配線層と、第一配線層よりも線幅の狭い第二配線層と、を有することが好ましい。
【0085】
次に、第五実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図20を用いて説明する。なお、図20は、図18と同様の断面図である。図20におけるサスペンション用基板の製造方法は、図20(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外、上述した図13と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0086】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、上記サスペンション用基板の上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするものである。
【0087】
図21は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図21に示されるサスペンション300は、上述したサスペンション用基板100と、サスペンション用基板100の金属支持基板側の表面に設けられたロードビーム200とを有するものである。
【0088】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンションとすることができる。
【0089】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板およびロードビームを有する。本発明におけるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。一方、本発明におけるロードビームは、サスペンション用基板の金属支持基板側の表面に設けられるものである。ロードビームの材料は、特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、ステンレス鋼であることが好ましい。
【0090】
C.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0091】
図22は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図22に示される素子付サスペンション400は、上述したサスペンション300と、サスペンション300(サスペンション用基板100の素子実装領域101)に実装された素子301とを有するものである。
【0092】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制した素子付サスペンションとすることができる。
【0093】
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび素子を有する。本発明におけるサスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。本発明における素子としては、例えば、磁気ヘッドスライダ、アクチュエータ、半導体等を挙げることができる。また、上記アクチュエータは、磁気ヘッドを有するものであっても良く、磁気ヘッドを有しないものであっても良い。また、本発明における素子は、磁気ヘッドスライダのように、ディスクに対して記録再生を行う素子(記録再生用素子)であることが好ましい。
【0094】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするものである。
【0095】
図23は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図23に示されるハードディスクドライブ500は、上述した素子付サスペンション400と、素子付サスペンション400がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク401と、ディスク401を回転させるスピンドルモータ402と、素子付サスペンション400の素子を移動させるアーム403およびボイスコイルモータ404と、上記の部材を密閉するケース405とを有するものである。
【0096】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0097】
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「C.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0100】
[実施例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(絶縁部材)、厚さ9μmの電解銅層(導体部材)を有する積層部材を準備した(図6(a))。次に、ドライフィルムレジストを積層部材の両面にラミネートし、レジストパターンを形成した。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行った。これにより、導体部材から第一配線層を形成し、金属支持部材から金属支持基板開口部を有する金属支持基板を形成した(図6(b))。
【0101】
その後、パターニングされた第一配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜をエッチングし、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第二絶縁層を形成した(図6(c))。次に、第二絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第二配線層を形成した(図6(d))。
【0102】
シード層の除去後、パターニングされた第二配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜をエッチングし、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、カバー層を形成した(図6(e))。次に、絶縁部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位のポリイミド樹脂をウェットエッチングで除去し、その後、レジスト剥離を行った(図6(f)〜(h))。
【0103】
その後、電解めっき法により、フライングリード端子の表面および裏面に、めっき部(Auめっき部)を形成した(図6(i))。最後に、金属支持基板の外形加工を行った。これにより、第一実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0104】
[実施例2]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)を用意した(図10(a))。次に、金属支持部材上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第一絶縁層を形成した(図10(b))。次に、第一絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第一配線層を形成した(図10(c))。
【0105】
シード層の除去後、パターニングされた第一配線層上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第二絶縁層を形成した(図10(d))。次に、第二絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第二配線層を形成した(図10(e))。
【0106】
シード層の除去後、パターニングされた第二配線層上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、カバー層を形成した(図10(f))。次に、金属支持部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位の金属支持部材をウェットエッチングで除去し、その後、レジスト剥離を行った(図10(g))。次に、電解めっき法により、フライングリード端子の表面および裏面に、めっき部(Auめっき部)を形成した(図6(i))。これにより、第二実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0107】
[実施例3]
図13(b)における第一配線層3の形状を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第三実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0108】
[実施例4]
図17(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、第四実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0109】
[実施例5]
図20(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、第五実施態様のサスペンション用基板を得た。
【符号の説明】
【0110】
1…金属支持基板、 1X…金属支持基板開口部、 2…第一絶縁層、 2X…第一絶縁層開口部、 3…第一配線層、 4…第二絶縁層、 5…第二配線層、 6…カバー層、 7…めっき部、 10…フライングリード端子、 11…レジストパターン、 100…サスペンション用基板、 101…素子実装領域、 102…外部回路基板接続領域、 103…配線層
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。
【0003】
HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャ)は、通常、一方の先端部分に形成され、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装する素子実装領域と、他方の先端部分に形成され、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域と、素子実装領域および外部回路基板接続領域を接続する配線層とを有する。さらに、外部回路基板接続領域における具体的な端子構造として、いわゆるフライングリード端子が知られている(特許文献1〜3)。フライングリード端子と、外部回路基板の端子とは、例えばボンディングツールを用いた超音波接合により電気的に接続される。
【0004】
また、サスペンション用基板は、通常、金属支持基板(例えばステンレス鋼)、絶縁層(例えばポリイミド樹脂)、配線層(例えば銅)がこの順に積層された基本構造を有する。サスペンション用基板における配線層は、例えば特許文献4に示すように、絶縁層の同一表面上に一対で形成される(平面配列の配線層)。これに対して、特許文献5〜7に示すように、配線層を、絶縁層を介して縦に積層したもの(積層配列の配線層)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−31915号公報
【特許文献2】特開2006−310491号公報
【特許文献3】特開2009−129490号公報
【特許文献4】特開2005−11387号公報
【特許文献5】特開2010−108537号公報
【特許文献6】特開平9−022570号公報
【特許文献7】特開平10−003632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フライングリード端子は、通常、表面および裏面の両面で配線層が露出しており、さらにその厚さも薄いため、機械的強度が弱く、変形または破断が生じやすい。フライングリード端子の変形または破断は、接合時のみならずサスペンション用基板の製造中にも生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、フライングリード端子に変形または破断を生じさせる主たる要因は、金属支持基板の開口部の端部に加わる応力であることが判明した。そこで、金属支持基板の開口部の端部を補強することで、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、上記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0010】
本発明によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板とすることができる。
【0011】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部において、断線部を有し、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記断線部の位置に形成されていることが好ましい。第二配線層が、第一配線層の断線部に形成されていることから、断線部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができるからである。その結果、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすくなる。
【0012】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一絶縁層は、上記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記第一絶縁層開口部に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第一配線層が、第一絶縁層開口部から露出するように形成されているため、カバー層側からボンディングツールを押し当てて、金属支持基板側で接合を行う場合に、フライングリード端子における第一配線層と、外部回路基板の端子との距離が近くなり、金属支持基板開口部の端部における応力の発生を抑制できるからである。
【0013】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成され、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているからである。
【0014】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層、上記第二絶縁層および上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることが好ましい。金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているからである。
【0015】
上記発明においては、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成されていることが好ましい。第二配線層が、金属支持基板開口部において、第一配線層の表面上に形成されていることから、金属支持基板開口部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができるからである。その結果、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすくなる。
【0016】
上記発明においては、上記フライングリード端子が、上記金属支持基板開口部において、上記第一配線層と、上記第一配線層よりも線幅の狭い上記第二配線層と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子がショートすることを防止できるからである。
【0017】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板と、上記サスペンション用基板の上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンションを提供する。
【0018】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンションとすることができる。
【0019】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0020】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制した素子付サスペンションとすることができる。
【0021】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0022】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のサスペンション用基板は、フライングリード端子の変形または破断を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す模式図である。
【図2】図1(a)における外部回路基板接続領域102の模式図である。
【図3】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図4】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図5】第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図6】第一実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図7】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図8】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図9】第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図10】第二実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図11】第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図12】第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図13】第三実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図14】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図15】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図16】第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す模式図である。
【図17】第四実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図18】第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。
【図19】第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の他の例を示す概略断面図である。
【図20】第五実施態様のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図21】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図22】本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図23】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、およびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
【0026】
A.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、上記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、上記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、上記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、上記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層および上記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするものである。
【0027】
図1(a)は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。なお、図1(a)では、便宜上、カバー層の記載は省略している。図1(a)に示されるサスペンション用基板100は、一方の先端部分に形成された素子実装領域101と、他方の先端部分に形成された外部回路基板接続領域102と、素子実装領域101および外部回路基板接続領域102を電気的に接続する配線層103とを有するものである。また、図1(a)における配線層103は、一方が書込み(ライト)用配線層であり、他方が読取り(リード)用配線層である。
【0028】
また、図1(b)に示すように、サスペンション用基板100は、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された第一絶縁層2と、第一絶縁層2上に形成された第一配線層3と、第一配線層3上に形成された第二絶縁層4と、第二絶縁層4上に形成された第二配線層5と、第二配線層5を覆うように形成されたカバー層6とを有するものである。第二絶縁層4を介して、第一配線層3および第二配線層5が積層されることにより、一対の配線層が形成されている。なお、低インピーダンス化の観点から、第一配線層3および第二配線層5の下の金属支持基板1は除去されていることが好ましい。
【0029】
図2(a)は、図1(a)における外部回路基板接続領域102の概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図2(a)、(b)に示すように、外部回路基板接続領域102において、金属支持基板1には、金属支持基板開口部1Xが形成されている。さらに、金属支持基板開口部1Xには、少なくとも第二配線層5を有し、外部回路基板(図示せず)との接続を行うフライングリード端子10が形成されている。なお、フライングリード端子10の表面には、めっき部7が形成されている。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて(図2(b)の矢印の位置において)、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されていることを大きな特徴とする。なお、図2(b)では、2ヶ所の端部1Y(金属支持基板開口部1Xの両端部)において、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されているが、本発明においては、少なくとも1ヶ所の端部1Yで、第一配線層3および第二配線層5が平面視上重複するように形成されていれば良い。
【0030】
本発明によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンション用基板とすることができる。金属支持基板開口部の端部に加わる応力がフライングリード端子に変形または破断を生じさせる主たる要因であると考えられることから、その端部の位置に、第一配線層および第二配線層の両方を配置することによって、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制することができる。なお、本発明において、フライングリード端子が形成される領域には、金属支持基板の開口部のみならず、第一絶縁層および第二絶縁層の開口部も形成される。中でも、金属支持基板の開口部の端部に応力が集中する理由は、ボンディング時のボンディングツールによる印圧点を力点、フライングリード開口部外側を支点とした時に、金属支持基板の開口端部が作用点となり、応力が集中するからであると考えられる。
【0031】
また、本発明によれば、第一配線層および第二配線層を平面視上重複するように形成するという厚さ方向の補強により、フライングリード端子の変形または破断を抑制している。そのため、例えばフライングリード端子の幅を大きくするという幅方向の補強に比べて、フライングリード端子の端子ピッチを狭くすることができる。その結果、端子ピッチの空間的制約が少なくなり、HDDの高機能化に伴う配線層数の増加に対応しやすいという利点がある。なお、本発明のサスペンション用基板は、第一配線層および第二配線層という2層構造の配線層を有しているため、この点からも、HDDの高機能化に伴う配線層数の増加に対応しやすいという利点がある。
以下、本発明のサスペンション用基板について、サスペンション用基板の部材と、サスペンション用基板の構成とに分けて説明する。
【0032】
1.サスペンション用基板の部材
まず、本発明のサスペンション用基板の部材について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、第一絶縁層、第一配線層、第二絶縁層、第二配線層を少なくとも有するものである。
【0033】
本発明における金属支持基板は、サスペンション用基板の支持体として機能するものである。金属支持基板の材料は、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的にはステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属支持基板の厚さは、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内である。
【0034】
本発明における第一絶縁層は、金属支持基板上に形成されるものである。第一絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れているからである。また、第一絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一絶縁層の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0035】
本発明における第一配線層は、第一絶縁層上に形成されるものである。第一配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。また、第一配線層の材料は、圧延銅であっても良く、電解銅であっても良い。第一配線層の厚さは、例えば5μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、9μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。また、第一配線層の一部の表面には、めっき部が形成されていることが好ましい。めっき部を設けることにより、第一配線層の劣化(腐食等)を防止できるからである。中でも、本発明においては、素子や外部回路基板との接続を行う端子部にめっき部が形成されていることが好ましい。めっき部の種類は特に限定されるものではないが、例えば、Auめっき、Niめっき、Agめっき等を挙げることができる。中でも、本発明においては、第一配線層の表面側から、NiめっきおよびAuめっきが形成されていることが好ましい。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4μmの範囲内である。
【0036】
本発明における第二絶縁層は、第一配線層上に形成されるものである。第二絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記の第一絶縁層の材料として記載したものを用いることができる。中でも、第二絶縁層の材料は、ポリイミド樹脂であることが好ましい。また、第二絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一配線層および第二配線層の間の第二絶縁層の厚さ(配線間厚さ)は、特に限定されるものではないが、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明における第二配線層は、第二絶縁層上に形成されるものである。第二配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記の第一配線層の材料として記載したものを用いることができる。中でも、第二配線層の材料は、銅(Cu)であることが好ましい。また、第二配線層の寸法の好ましい範囲は、上述した第一配線層の寸法の好ましい範囲と同様であるので、ここでの記載は省略する。第二配線層にも、上述した第一配線層と同様に、めっき部が形成されていることが好ましい。
【0038】
また、本発明においては、第一配線層および第二配線層として、任意の機能を有する配線層を用いることができる。第一配線層および第二配線層の具体例としては、書込み用配線層、読取り用配線層、電源用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、センサー用配線層、アクチュエータ用配線層、熱アシスト用配線層等を挙げることができる。また、後述するように、第一配線層又は第二配線層のいずれか一方が、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)であっても良い。
【0039】
また、本発明のサスペンション用基板は、通常、第一配線層および第二配線層の少なくとも一方が、書込み用配線層および読取り用配線層を有する。特に、本発明においては、第一配線層および第二配線層が書込み用配線層を有し、これらの書込み用配線層が平面視上重複するように配置され、一対の配線を構成していることが好ましい。具体的には、図1(b)に示すように、第二絶縁層4を介して、第一配線層(書込み用配線層)3と第二配線層(書込み用配線層)5とが平面視上重複するように配置されていることが好ましい。このような積層配列の配線層は、平面配列の配線層に比べて、低インピーダンス化を図りやすいからである。また、本発明においては、第一配線層および第二配線層が読取り用配線層を有し、これらの読取り用配線層が平面視上重複するように配置され、一対の配線を構成していても良い。さらに、書込み用配線層および読取り用配線層の両方が、上記の積層配列の配線層であっても良い。また、本発明においては、第一配線層のみが書込み用配線層および読取り用配線層を有していても良く、第二配線層のみが書込み用配線層および読取り用配線層を有していても良く、第一配線層が書込み用配線層および読取り用配線層の一方のみを有し、第二配線層が書込み用配線層および読取り用配線層の他方のみを有していても良い。
【0040】
本発明におけるカバー層は、第二配線層を覆うように形成されるものである。カバー層を設けることにより、第二配線層の劣化(腐食等)を防止できる。カバー層の材料としては、例えば、上述した第一絶縁層の材料として記載したものを挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。カバー層の厚さは、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
【0041】
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層および第二配線層が平面視上重複するように形成されているものであれば特に限定されるものではない。以下、本発明のサスペンション用基板の具体例について、第一実施態様〜第五実施態様に分けて説明する。なお、第一実施態様〜第三実施態様は、金属支持基板開口部の端部に、第一配線層および第二配線層が存在する態様であり、第四実施態様〜第五実施態様は、金属支持基板開口部の端部に、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層が存在する態様である。
【0042】
(1)第一実施態様
第一実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部において、断線部を有し、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記断線部の位置に形成されていることを特徴とする態様である。
【0043】
上述した図2(b)は、第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図2(b)に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。ここで、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」とは、第二絶縁層を介さずに第一配線層および第二配線層が積層された状態をいう。そのため、例えば両者の間に、第二絶縁層上に第二配線層を形成するためのシード層が形成されていても、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことになる。
【0044】
また、図2(b)において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xに断線部を有している。ここで、「第一配線層が金属支持基板開口部において断線部を有する」とは、金属支持基板開口部に、第一配線層の配線終端部が位置することをいう。図2(b)では、2ヶ所の端部1Y(金属支持基板開口部1Xの両端部)の近傍において、第一配線層3がそれぞれ配線終端部を有しているが、第一配線層3の配線終端部は1ヶ所のみであっても良い。
【0045】
また、図2(b)において、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域(金属支持基板開口部1Xが形成されてない側の領域、以下同じ)において、第一配線層3の方向(図面の下側方向、以下同じ)に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成されている。さらに、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1yより内側の領域(金属支持基板開口部1Xが形成されている側の領域、以下同じ)において、第一絶縁層2の方向(図面の下側方向、以下同じ)に折れ曲がることにより、第一配線層3の断線部に形成されている。また、図2(b)では、金属支持基板1側のフライングリード端子10の表面には、第一配線層3および第二配線層5の両者が配置され、金属支持基板1とは反対側(カバー層6側)の表面には、第二配線層5が配置されている。
【0046】
第一実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二配線層が、第一配線層の断線部に形成されていることから、断線部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができる。そのため、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすいという利点がある。このように、応力が集中する金属支持基板開口部の端部には第一配線層および第二配線層を配置し、接合を行う部分には第二配線層のみを配置することにより、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制しつつ、良好な接合を行うことができる。
【0047】
図3において、金属支持基板開口部の長さをL1とした場合、L1の値は、例えば0.50mm〜2.00mmの範囲内であることが好ましく、0.50mm〜1.25mmの範囲内であることがより好ましい。また、第一配線層3の断線部に形成された第二配線層5の長さをL2とした場合、L2の値は、例えば0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましい。L2の値が小さすぎると、ボンディングツールを押し当てる際に、所望の追従性が発揮できない可能性があるからである。一方、L2の値は、L1の値以下であり、例えば1.8mm以下であることが好ましい。
【0048】
図3において、金属支持基板開口部における第一絶縁層2の端部は、金属支持基板開口部の端部1Yと面一か、金属支持基板開口部の端部1Yよりも突出していることが好ましい。応力が集中する金属支持基板開口部の端部を効果的に補強できるからである。突出した第一絶縁層2の長さをL3とした場合、L3の値は、例えば10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、20μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部の端部1Yの外側および内側の領域において、第一配線層1の表面上に形成されている。上記外側の領域での重複部分の長さをL4とし、上記内側の領域での重複部分の長さをL5とし、これらの長さをL4+L5とした場合、L4の値は、例えば100μm以下であることが好ましい。L5の値は、例えば20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。L4+L5の値は、例えば40μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。L4+L5の値が小さすぎると、応力が集中する金属支持基板開口部の端部を効果的に補強できない可能性があるからである。
【0049】
図3において、第二配線層5が、第一配線層3の方向に折れ曲がる角度をθ1とした場合、θ1は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、第二配線層5が、第一絶縁層2の方向に折れ曲がる角度をθ2とした場合、θ2は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、θ1、θ2<90°とする場合、第二絶縁層4、第一配線層3に所定の傾斜を作製することが好ましい。傾斜の作製方法としては、例えば、エッチング条件を調製する方法、階調性を有するフォトマスクを用いる方法等を挙げることができる。なお、図3においては、第二配線層5がいずれも直線的に折れ曲がっているが、曲線的に折れ曲がるものであっても良い。
【0050】
また、図3における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図3では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図3における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第一実施態様においては、図4(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図4(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0051】
また、図5(a)は第一実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。図5(a)、(b)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。なお、第一配線層3および第二配線層5の線幅が同一であると、レジスト製版のアライメント誤差等により、第一配線層3の側面に第二配線層5が形成されやすくなる。その結果、図5(c)に示すように、隣り合うフライングリード端子10の間隔が狭くなり、最悪の場合、ショートが生じる可能性がある。
【0052】
図5(b)において、第一配線層3の線幅をW1とし、第二配線層5の線幅をW2とした場合、W1の値は、例えば50μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。W2の値は、例えば20μm〜280μmの範囲内であることが好ましく、70μm〜170μmの範囲内であることが好ましい。また、W1−W2の値は、レジスト製版のアライメント誤差を考慮すると、20μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、20μm〜30μmの範囲内であることがより好ましい。
【0053】
次に、第一実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図6を用いて説明する。なお、図6は、図2(b)と同様の断面図である。図6においては、まず、金属支持部材1A、絶縁部材2Aおよび導体部材3Aがこの順に積層された積層部材を準備する(図6(a))。次に、導体部材3Aおよび金属支持部材1Aに対して、ウェットエッチングによるパターニングを行い、第一配線層3、および、金属支持基板開口部1Xを有する金属支持基板1を形成する(図6(b))。次に、第一配線層3上に、第二絶縁層4を形成する(図6(c))。
【0054】
その後、第二絶縁層4側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第二配線層5を形成する(図6(d))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第二配線層5上にカバー層6を形成する(図6(e))。次に、絶縁部材2Aをエッチングするためのレジストパターン11を形成し(図6(f))、レジストパターン11から露出する絶縁部材2Aをウェットエッチングにより除去することにより絶縁層2を形成する(図6(g))。レジストパターン11を除去し(図6(h))、第一配線層3および第二配線層5の表面に、電解めっき法によりめっき部7を形成する(図6(i))。最後に、図示しないが通常は金属支持基板1の外形加工を行い、サスペンション用基板を得る。
【0055】
(2)第二実施態様
第二実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一絶縁層は、上記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより上記第一絶縁層開口部に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0056】
図7は、第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図7に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことの定義は、第一実施態様と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0057】
また、図7において、第一絶縁層2は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一絶縁層開口部2Xを有している。また、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第一絶縁層2の方向に折れ曲がることにより第一絶縁層開口部2Xに形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成され、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域においても、第一配線層3の表面上に形成されている。なお、図7では、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第二配線層5が第一配線層3の表面全面に形成されているが、第二実施態様においては、第二配線層5が第一配線層3の表面上の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0058】
第二実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有する。また、第一配線層が、第一絶縁層開口部から露出するように形成されているため、カバー層側からボンディングツールを押し当てて、金属支持基板側で接合を行う場合に、フライングリード端子における第一配線層と、外部回路基板の端子との距離が近くなり、金属支持基板開口部の端部における応力の発生を抑制できるという利点がある。
【0059】
図7において、第一絶縁層開口部2Xから露出する第一配線層3の長さをL6とした場合、L6の値は、例えば0.5mm〜2.0mmの範囲内であることが好ましく、0.5mm〜1.25mmの範囲内であることがより好ましい。また、図7において、第一配線層3が、金属支持基板1の方向に折れ曲がる角度をθ3とした場合、θ3は、例えば90°以下であることが好ましく、30°〜90°の範囲内であること好ましい。また、θ3<90°とする場合、第一絶縁層2に所定の傾斜を作製することが好ましい。
【0060】
また、図7における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図7では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図7における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第二実施態様においては、図8(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図8(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0061】
また、図9(a)は第二実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。図9(a)、(b)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。なお、図9(b)におけるW1、W2の好ましい値は、図5(b)におけるW1、W2の好ましい値と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0062】
第二実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0063】
次に、第二実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図10を用いて説明する。なお、図10は、図7と同様の断面図である。図10においては、まず、金属支持部材1Aを準備する(図10(a))。次に、金属支持部材1A上に、パターン状の第一絶縁層2を形成する(図10(b))。次に、第一絶縁層2側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第一配線層3を形成する(図10(c))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第一配線層3上に、第二絶縁層4を形成する(図10(d))。
【0064】
その後、第二絶縁層4側の表面に、スパッタリングによりシード層を形成し、そのシード層の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出するシード層の表面に、第二配線層5を形成する(図10(e))。次に、レジストパターンおよびシード層を除去し、その後、第二配線層5上にカバー層6を形成する(図10(f))。次に、金属支持部材1Aをエッチングし、金属支持基板開口部1Xを有する金属支持基板1を形成する(図10(g))。最後に、第一配線層3および第二配線層5の表面に、電解めっき法によりめっき部7を形成する(図10(h))。
【0065】
(3)第三実施態様
第三実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成され、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0066】
図11は、第三実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図11に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、「第一配線層の表面上に第二配線層が形成されている」ことの定義は、第一実施態様と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0067】
また、図11において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより外側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成され、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域においても、第一配線層3の表面上に形成されている。なお、図11では、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第二配線層5が第一配線層3の表面全面に形成されているが、第三実施態様においては、第二配線層5が第一配線層3の表面上の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0068】
第三実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層の表面上に第二配線層が形成されていることから、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二絶縁層が、金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、第一配線層の表面上に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有する。
【0069】
また、図11における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図11では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図11における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第三実施態様においては、図12(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図12(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0070】
第三実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第三実施態様においても、フライングリード端子は、金属支持基板開口部において、第一配線層と、第一配線層よりも線幅の狭い第二配線層と、を有することが好ましい。
【0071】
次に、第三実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図13を用いて説明する。なお、図13は、図11と同様の断面図である。図13におけるサスペンション用基板の製造方法は、図13(b)における第一配線層3の形状を変更したこと以外は、上述した図6と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0072】
(4)第四実施態様
第四実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層、上記第二絶縁層および上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることを特徴とする態様である。
【0073】
図14は、第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図14に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二絶縁層4が形成され、第二絶縁層4の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、第二絶縁層4と第二配線層5との間には、第二配線層5を形成するためのシード層が形成されていても良い。また、図14において、第一配線層3、第二絶縁層4および第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。
【0074】
第四実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、フライングリード端子の機械的強度が非常に優れているという利点を有し、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。
【0075】
また、図14における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図14では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図14における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第四実施態様においては、図15(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図15(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0076】
また、図16(a)は第四実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略平面図であり、図16(b)、(c)は図16(a)のA−A断面図である。図16(a)〜(c)に示すように、フライングリード端子10は、金属支持基板開口部1Xにおいて、第一配線層3と、第一配線層3よりも線幅の狭い第二配線層5と、を有することが好ましい。隣り合うフライングリード端子10がショートすることを防止できるからである。第一配線層3の線幅が、第二配線層5の線幅より小さければ、レジスト製版のアライメント誤差が生じた場合であっても、図16(c)に示すように、隣り合うフライングリード端子10の間隔が狭くなることを防止できる。なお、図16(b)におけるW1、W2の好ましい値は、図5(b)におけるW1、W2の好ましい値と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
第四実施態様における寸法、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0078】
次に、第四実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図17を用いて説明する。なお、図17は、図15と同様の断面図である。図17におけるサスペンション用基板の製造方法は、図17(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、上述した図13と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0079】
(5)第五実施態様
第五実施態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板開口部の端部において、上記第一配線層の表面上に上記第二絶縁層が形成され、上記第二絶縁層の表面上に上記第二配線層が形成され、上記第一配線層は、上記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、上記第二配線層は、上記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、上記第一配線層の方向に折れ曲がることにより上記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする態様である。
【0080】
図18は、第五実施態様のサスペンション用基板における外部回路基板接続領域の一例を示す概略断面図である。図18に示すように、金属支持基板開口部1Xの端部1Yにおいて、第一配線層3の表面上に第二絶縁層4が形成され、第二絶縁層4の表面上に第二配線層5が形成されている。なお、第二絶縁層4と第二配線層5との間には、第二配線層5を形成するためのシード層が形成されていても良い。また、図18において、第一配線層3は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yの外側から内側に向かって直線的に形成されている。また、第二配線層5は、金属支持基板開口部1Xの端部1Yより内側の領域において、第一配線層3の方向に折れ曲がることにより第一配線層3の表面上に形成されている。
【0081】
第五実施態様によれば、金属支持基板開口部の端部において、第一配線層、第二絶縁層および第二配線層がこの順に形成されていることから、機械的強度が非常に優れているという利点を有し、フライングリード端子の変形または破断を効果的に抑制できる。さらに、第二配線層が、金属支持基板開口部において、第一配線層の表面上に形成されていることから、第四実施態様に比べて、金属支持基板開口部におけるフライングリード端子の厚さを薄くすることができる。そのため、例えば、ボンディングツールを押し当てた際に、フライングリード端子が追従しやすくなり、良好な接合を行いやすいという利点がある。
【0082】
図18において、金属支持基板開口部1において、第一配線層3の表面上に形成された第二配線層5の長さをL7とした場合、L7の値は、例えば0.3mm〜1.8mmの範囲内であることが好ましく、0.4mm〜1.0mmの範囲内であることがより好ましい。
【0083】
また、図18における第二配線層5は、素子実装領域まで接続された配線層である。図18では、第二配線層5の右端および左端の記載を省略しているが、例えば左端は素子実装領域まで接続されており、例えば右端はめっき部7を形成するためのめっき線として機能させるためにサスペンション用基板を支持する外枠まで接続されている。一方、図18における第一配線層3は、部材同士を電気的に接続する機能を有しないダミー配線層(独立配線)である。また、第五実施態様においては、図19(a)に示すように、第二配線層5がダミー配線であり、第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良く、図19(b)に示すように、第二配線層5および第一配線層3が素子実装領域まで接続された配線層であっても良い。
【0084】
第五実施態様における寸法、角度、その他の事項については、基本的には、上述した各実施態様に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第五実施態様においても、フライングリード端子は、金属支持基板開口部において、第一配線層と、第一配線層よりも線幅の狭い第二配線層と、を有することが好ましい。
【0085】
次に、第五実施態様のサスペンション用基板の製造方法について図20を用いて説明する。なお、図20は、図18と同様の断面図である。図20におけるサスペンション用基板の製造方法は、図20(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外、上述した図13と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0086】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、上記サスペンション用基板の上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするものである。
【0087】
図21は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図21に示されるサスペンション300は、上述したサスペンション用基板100と、サスペンション用基板100の金属支持基板側の表面に設けられたロードビーム200とを有するものである。
【0088】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制したサスペンションとすることができる。
【0089】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板およびロードビームを有する。本発明におけるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。一方、本発明におけるロードビームは、サスペンション用基板の金属支持基板側の表面に設けられるものである。ロードビームの材料は、特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、ステンレス鋼であることが好ましい。
【0090】
C.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0091】
図22は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図22に示される素子付サスペンション400は、上述したサスペンション300と、サスペンション300(サスペンション用基板100の素子実装領域101)に実装された素子301とを有するものである。
【0092】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、フライングリード端子の変形または破断を抑制した素子付サスペンションとすることができる。
【0093】
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび素子を有する。本発明におけるサスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。本発明における素子としては、例えば、磁気ヘッドスライダ、アクチュエータ、半導体等を挙げることができる。また、上記アクチュエータは、磁気ヘッドを有するものであっても良く、磁気ヘッドを有しないものであっても良い。また、本発明における素子は、磁気ヘッドスライダのように、ディスクに対して記録再生を行う素子(記録再生用素子)であることが好ましい。
【0094】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするものである。
【0095】
図23は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図23に示されるハードディスクドライブ500は、上述した素子付サスペンション400と、素子付サスペンション400がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク401と、ディスク401を回転させるスピンドルモータ402と、素子付サスペンション400の素子を移動させるアーム403およびボイスコイルモータ404と、上記の部材を密閉するケース405とを有するものである。
【0096】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0097】
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「C.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0100】
[実施例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(絶縁部材)、厚さ9μmの電解銅層(導体部材)を有する積層部材を準備した(図6(a))。次に、ドライフィルムレジストを積層部材の両面にラミネートし、レジストパターンを形成した。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行った。これにより、導体部材から第一配線層を形成し、金属支持部材から金属支持基板開口部を有する金属支持基板を形成した(図6(b))。
【0101】
その後、パターニングされた第一配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜をエッチングし、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第二絶縁層を形成した(図6(c))。次に、第二絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第二配線層を形成した(図6(d))。
【0102】
シード層の除去後、パターニングされた第二配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜をエッチングし、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、カバー層を形成した(図6(e))。次に、絶縁部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位のポリイミド樹脂をウェットエッチングで除去し、その後、レジスト剥離を行った(図6(f)〜(h))。
【0103】
その後、電解めっき法により、フライングリード端子の表面および裏面に、めっき部(Auめっき部)を形成した(図6(i))。最後に、金属支持基板の外形加工を行った。これにより、第一実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0104】
[実施例2]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)を用意した(図10(a))。次に、金属支持部材上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第一絶縁層を形成した(図10(b))。次に、第一絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第一配線層を形成した(図10(c))。
【0105】
シード層の除去後、パターニングされた第一配線層上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、第二絶縁層を形成した(図10(d))。次に、第二絶縁層側の表面に、スパッタリング法によりCrからなるシード層を形成した。次に、シード層上に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する部分に、電解銅めっき法により、第二配線層を形成した(図10(e))。
【0106】
シード層の除去後、パターニングされた第二配線層上に、感光性ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングした。乾燥後、露光、現像にて未露光部のポリイミド前駆体を除去し、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、カバー層を形成した(図10(f))。次に、金属支持部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位の金属支持部材をウェットエッチングで除去し、その後、レジスト剥離を行った(図10(g))。次に、電解めっき法により、フライングリード端子の表面および裏面に、めっき部(Auめっき部)を形成した(図6(i))。これにより、第二実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0107】
[実施例3]
図13(b)における第一配線層3の形状を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第三実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0108】
[実施例4]
図17(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、第四実施態様のサスペンション用基板を得た。
【0109】
[実施例5]
図20(c)における第二絶縁層4の形状を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、第五実施態様のサスペンション用基板を得た。
【符号の説明】
【0110】
1…金属支持基板、 1X…金属支持基板開口部、 2…第一絶縁層、 2X…第一絶縁層開口部、 3…第一配線層、 4…第二絶縁層、 5…第二配線層、 6…カバー層、 7…めっき部、 10…フライングリード端子、 11…レジストパターン、 100…サスペンション用基板、 101…素子実装領域、 102…外部回路基板接続領域、 103…配線層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、前記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、前記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、
外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、前記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、
前記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、前記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層および前記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部において、断線部を有し、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより前記断線部の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一絶縁層は、前記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより前記第一絶縁層開口部に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二絶縁層が形成され、前記第二絶縁層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層、前記第二絶縁層および前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二絶縁層が形成され、前記第二絶縁層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記フライングリード端子が、前記金属支持基板開口部において、前記第一配線層と、前記第一配線層よりも線幅の狭い前記第二配線層と、を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板と、前記サスペンション用基板の前記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンション。
【請求項9】
請求項8に記載のサスペンションと、前記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項10】
請求項9に記載の素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項1】
金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された第一配線層と、前記第一配線層上に形成された第二絶縁層と、前記第二絶縁層上に形成された第二配線層と、を有するサスペンション用基板であって、
外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域において、前記金属支持基板には金属支持基板開口部が形成され、
前記金属支持基板開口部には、少なくとも第二配線層を有し、前記外部回路基板との接続を行うフライングリード端子が形成され、
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層および前記第二配線層が平面視上重複するように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部において、断線部を有し、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより前記断線部の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一絶縁層は、前記金属支持基板開口部において、第一絶縁層開口部を有し、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一絶縁層の方向に折れ曲がることにより前記第一絶縁層開口部に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より外側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成され、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域においても、前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二絶縁層が形成され、前記第二絶縁層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層、前記第二絶縁層および前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記金属支持基板開口部の端部において、前記第一配線層の表面上に前記第二絶縁層が形成され、前記第二絶縁層の表面上に前記第二配線層が形成され、
前記第一配線層は、前記金属支持基板開口部の端部の外側から内側に向かって直線的に形成され、
前記第二配線層は、前記金属支持基板開口部の端部より内側の領域において、前記第一配線層の方向に折れ曲がることにより前記第一配線層の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記フライングリード端子が、前記金属支持基板開口部において、前記第一配線層と、前記第一配線層よりも線幅の狭い前記第二配線層と、を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板と、前記サスペンション用基板の前記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンション。
【請求項9】
請求項8に記載のサスペンションと、前記サスペンションに配置された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項10】
請求項9に記載の素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−221518(P2012−221518A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83816(P2011−83816)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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