説明

サスペンション装置

【課題】車高変化を邪魔しないようなショックアブソーバの減衰力にできる。
【解決手段】ショックアブソーバ4は、車輪側部材にロッド5の一端が接続されて、前記ロッド5の他端が、作動流体が充填されている内側シリンダ6内に挿通されて、その他端に内側シリンダ6内を上液室8と下液室9とに区画するシリンダ内ピストン7が設けられて、ロッド5の一端側にスプリング5の他端が下側スプリングシート52を介して連結されている。車高調整手段(外側シリンダ41及び第2外側ピストン31)が長さを変化させることに応じて、上液室8及び下液室9のうちの一方の液室から作動流体を外部に流出させ、上液室8及び下液室9のうちの他方の液室に外部から作動流体を流入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車高を調整可能なサスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の油圧式車高調整装置は、車高調整用のシリンダ及びピストンが、ショックアブソーバの外周に配置され、ショックアブソーバと並列に配置されている。この油圧式車高調整装置では、車高を高くする場合、車高調整用のシリンダ内を加圧してピストンを押し下げることで、そのピストンの下に配置されているスプリングに変位を与えている。
【特許文献1】特開昭58−118408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示の油圧式車高調整装置では、前述のようにスプリングのみに変位を与えて、車高を高くする構造になっている。しかし、このような構造では、車高変化を常に邪魔する方向にショックアブソーバの減衰力が発生するため、大振幅や高周波による車両制御にその減衰力が作用してしまい、車高制御の応答性が悪くなる。
ここで、図11は、サスペンション装置を構成するスプリング101とショックアブソーバ102により支えられる車両の模式図を示す。同図中、103はばね上荷重であり、104はばね下荷重であり、105は車高調整手段(シリンダ及びピストン等)であり、106は車高調整手段を駆動するポンプ(液送手段)であり、107はポンプを駆動するモータである。このような構成において、モータ107によりポンプ106を駆動して、車高調整手段106によりスプリング101を下方向(同図中、入力方向)に変位させて車高を高くしようとすると、ショックアブソーバ102の減衰力が上方向(同図中、出力方向)に作用する。このように、従来の装置では、車高変化を常に邪魔する方向にショックアブソーバの減衰力が作用する。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、車高変化を邪魔しないようなショックアブソーバの減衰力にできるサスペンション装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明に係るサスペンション装置は、車体側部材と車輪側部材との間にスプリングとショックアブソーバとを並列に配置するとともに、前記スプリングの一端側に当該スプリングと直列に車高調整手段を配置して、前記車高調整手段の長さを変化させて前記スプリングを変位させることで車高を調整するサスペンション装置である。
このサスペンション装置において、前記ショックアブソーバは、車体側部材又は車輪側部材にロッドの一端が接続されて、前記ロッドの他端が、作動流体が充填されている第1シリンダ内に挿通されて、その他端に前記第1シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画する第1ピストンが設けられ、前記ロッドの一端側に前記スプリングの他端が連結されており、前記車高調整手段が長さを変化させることに応じて、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室から前記作動流体を外部に流出させ、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室に外部から前記作動流体を流入させる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、前記車高調整手段が長さを変化させることに応じて、ショックアブソーバの減衰力を変化させることができ、車高変化を邪魔しないようなショックアブソーバの減衰力にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、本発明を適用したサスペンション装置である。
図1は、サスペンション装置の構成を示す。
サスペンション装置は、車体と車軸との間で懸架されており、図1に示すように、上端に設けたアッパーマウント1により図示しない車体側(車体側部材)に固定され、下端に設けたブラケット2により図示しない車軸側(車軸側部材)に固定されている。
【0007】
本実施形態のサスペンション装置は、通常のサスペンション装置の構成と同様に、スプリング3とショックアブソーバ4とで車体を支える構成になっている。サスペンション装置は、スプリング3内にショックアブソーバ4が挿通された形になっており、すなわち、スプリング3とショックアブソーバ4とが並列に配置されており、ショックアブソーバが、いわゆる倒立式を採用して、ロッド5が下向きに配置されている。
【0008】
ロッド5の下端には、ブラケット2が設けられており、ロッド5の上端側は、第1シリンダであるシリンダ(以下、内側シリンダという。)6に挿通されて、その上端部には、第1ピストンであるピストン(以下、シリンダ内ピストンという。)7が設けられている。シリンダ内ピストン7は、内側シリンダ6内を上液室8と下液室9とに区画している。上下液室8,9は、作動油等の作動流体で満たされており、内側シリンダ6の上液室8には、フリーピストン10が配置されている。これにより、内側シリンダ6は、上液室8がフリーピストン10でさらに区画されている。
【0009】
内側シリンダ6は、周壁が径違いの円筒形状の内周壁11と外周壁12とから構成され、それら内周壁11と外周壁12との間に隙間を形成した2重構造になっており、内側シリンダ6の周壁の上端及び下端(2重構造の両端部)が各閉塞部材13,14でそれぞれ閉塞されている。例えば、内側シリンダ6の周壁の上端を閉塞する上側の閉塞部材13とは、溶接により接合されており、また、内側シリンダ6の周壁の下端と下側の閉塞部材とは、かしめられる等して接合されている。また、この下側の閉塞部材14は、例えば、ストッパラバーであり、このストッパラバーに、シリンダ4(下側液室9)内の密閉度が維持された状態で、ロッド5が挿通されている。
【0010】
内周壁11の外周面であり、当該内周壁11(内側シリンダ6)の軸方向の略中央部には、円環形状のピストン(以下、第1外側ピストンという。)15が配置されている。第1外側ピストン15は、内周壁11の外周面に固定されている。外周壁12は、内周壁11の外周面に固定された第1外側ピストン15により軸方向で分断された形になっている。すなわち、外周壁12は、第1外側ピストン15により軸方向で上側部位12aと下側部位12bとに分断されており、上側部位12aの下端部が、第1外側ピストン15の上側面に取り付けられており、下側部位12bの上端部が、第1外側ピストン15の下側面に取り付けられており、これにより、第1外側ピストン15が、上側部位12aと下側部位12bとで挟まれた形になっている。第1外側ピストン15の上下両側面には、円周溝(嵌合溝)が形成されており、上側部位12aの下端部及び下側部位12bの上端部がその円周溝15a,15bに嵌合されて、上側部位12a及び下側部位12bが第1外側ピストン15の上下両側面にそれぞれ固定されている。ここで、円周溝15a,15bは、第1外側ピストン15とショックアブソーバ4の外周壁12との芯出しを行う機能も併有している。
【0011】
このように、内側シリンダ6の周壁は、内周壁11と外周壁12とで構成されて2重構造とされ、さらに、その2重構造により形成される周壁内の隙間が第1外側ピストン15により上下に分断され、その上下に分断された隙間それぞれには、作動流体が充填されている。すなわち、内周壁11と外周壁12との間で、第1外側ピストン15により上下に区画された隙間は、作動流体が充填された流路(又は液室、以下、シリンダ周壁内流路という。)16,17をなす。以下の説明では、上側のシリンダ周壁内流路16(内周側部材12と外周壁12の上側部位12aとで形成される隙間)をシリンダ周壁内上側流路16といい、下側のシリンダ周壁内流路16(内周壁11と外周壁12の下側部位12bとで形成される隙間)をシリンダ周壁内下側流路17という。
【0012】
また、内周壁11及び外周壁12には、流孔が形成されている。流孔の形成位置は次のようになる。
内周壁11には、シリンダ周壁内上側流路16と上液室8との間で作動流体が流入及び流出するための流孔(以下、内周壁上側流孔という。)18が形成されており、この内周壁上側流孔18は、フリーピストン10の下側近傍に形成されている。また、内周壁11には、シリンダ周壁内下側流路17と下液室9との間で作動流体が流入及び流出するための流孔(以下、内周壁下側流孔という。)19が形成されており、この内周壁下側流孔19は、下側の閉塞部材14の上側近傍、すなわち、内周壁11の下端近傍に位置するように形成されている。
【0013】
図2及び図3を用いて、流孔の形成位置をさらに具体的に説明する。
図2は、シリンダ内ピストン7が内側シリンダ6内で最上位置にある状態、すなわち、ショックアブソーバ4が最も収縮した状態(最収縮状態又は全縮状態)を示し、図3は、シリンダ内ピストン7が内側シリンダ6内で最下位置にある状態、すなわち、ショックアブソーバ4が最も伸張した状態(最伸張状態又は全伸状態)を示す。
【0014】
図2に示すように、内周壁上側流孔18は、ショックアブソーバ4が最収縮状態になり、内側シリンダ6内で最上位置にきたシリンダ内ピストン7により閉塞されないように、内周壁11において当該シリンダ内ピストン7の上側近傍に位置される。また、図3に示すように、内周壁下側流孔19は、ショックアブソーバ4が最伸張状態になり、シリンダ内ピストン7が内側シリンダ6内で最下位置にきたときのシリンダ内ピストン7により閉塞されないように、内周壁11の下端近傍に位置される。
【0015】
また、外周壁12には、シリンダ周壁内上側流路16及びシリンダ周壁内下側流路17と後述の空隙部(液室)32,33との間を作動流体が流入及び流出するための流孔20,21が形成されており、各流孔20,21は、第1外側ピストン15の上下側の近傍に形成されている。以下の説明では、これら流孔20,21のうち、第1外側ピストン15の上側近傍に位置される流孔20を、外周壁上側流孔20といい、第1外側ピストン15の下側近傍に位置される流孔21を、外周壁下側流孔21という。
【0016】
図4は、外周壁12における外周壁上側流孔20の形成位置を示す。
図4に示すように、外周壁上側流孔20は、外周壁12において第1外側ピストン15の上側近傍、かつ周方向に等間隔で複数形成されている。例えば、外周壁上側流孔20の形状は、図4に示すように、切り欠き形状である。なお、図4のように詳細を図示しないが、内周壁上側流孔18,内周壁下側流孔19,外周壁下側流孔21も、各位置において周方向に等間隔に複数形成されている。また、外周壁下側流孔21の形状も、切り欠き形状である。
【0017】
また、各流孔18,19,20,21は、内側シリンダ6(内周壁11及び外周壁12)の強度の許す範囲で、可能な限り作動流体の通過抵抗が少なくなるように開口面積が大きくなっている。
また、図1に示すように、内側シリンダ6の外周には、ピストン(以下、第2外側ピストンという。)31が配置されている。第2外側ピストン31は、後述のシリンダ41とで、車高調整手段を構成している。
【0018】
第2外側ピストン31は、内側シリンダ6の軸方向に上下移動可能に配置されており、上下動する際に、内側シリンダ6の外周壁12の外周面を摺動するようになっている。第2外側ピストン31は、略円筒形状をなして、その上下両端が内周側に突出しており、その突出部31a,31bの内周端面が外周壁12の外周面と接触している。これにより、第2外側ピストン31は、内側シリンダ6の外周壁12との間の隙間を形成しつつ、その隙間を突出部(以下、摺動部という。)31a,31bにより上下両端で閉塞しているから、その上下両端の摺動部31a,31bとの間に、空隙部32,33が形成される。
【0019】
また、内周壁11の外周面に配置されている第1外側ピストン15の外周面が第2外側ピストン31の内周面と摺動可能に接触しており、これにより、第1外側ピストン15により上下に分断された空隙部32,33が形成される。
空隙部32,33には、作動流体が充填されており、空隙部32,33は、液室32,33をなしている。以下の説明では、第1外側ピストン15からみて上側の液室32を第1液室32といい、第1外側ピストン15からみて下側の液室33を第2液室33という。
【0020】
第1液室32は、内側シリンダ6の外周壁12の外周壁上側流孔20、シリンダ周壁内上側流路16及び内側シリンダ6の内周壁11の内周壁上側流孔18を介して、内側シリンダ6内の上液室8と連通している。また、第2液室33は、内側シリンダ6の外周壁12の外周壁下側流孔21、シリンダ周壁内下側流路17及び内側シリンダ6の内周壁11の内周壁下側流孔19を介して、内側シリンダ6内の下液室9と連通している。
【0021】
また、第1液室32と第2液室33との間で作動流体が移動しないよう、液室32,33の密閉度を保つために、第2外側ピストン31の摺動部31a,31bにおいて外周壁12の外周面に接触する面、及び第1外側ピストン15の外周面において第2外側ピストン31の内周面と接触する面には、シール部材34,35,36が適宜設けられている。
また、シリンダ周壁内上側流路16とシリンダ周壁内下側流路17との間で、作動流体が流入及び流出してしまうのを防止するため、第1外側ピストン15の内周面において内側シリンダ6の内周壁11の外周面に接触する面には、シール部材37が適宜設けられている。
【0022】
このように構成される第2外側ピストン31が、内側シリンダ6に対して相対移動(内側シリンダ6の軸方向に相対移動)すると、内側シリンダ6(内周壁11)の外周に固定されている第1外側ピストン15が内側シリンダ6の軸方向で第2外側ピストン31に対して相対移動するようになる。これにより、この第1外側ピストン15により上下に区画されている第1液室32と第2液室33との体積が変化するようになる。すなわち、第2外側ピストン31の内側に形成される第1液室32と第2液室33とからなる空隙部がシリンダの空隙部を構成し、第1外側ピストン15が第2外側ピストン31に対して相対移動することで、シリンダの空隙部をなす第1液室32及び第2液室33の体積が変化する。
【0023】
これにより、第2外側ピストン31が下側に移動すると、第1液室32の体積が減少するから、第1液室32の作動流体が、シリンダ周壁内上側流路16を介して、上液室8に流出し、その一方で、第2液室33の体積が増加するから、下液室9の作動流体が、シリンダ周壁内下側流路17を介して第2液室33に流入する。また、第2外側ピストン31が上側に移動すると、第2液室33の体積が減少するから、第2液室33の作動流体が、シリンダ周壁内下側流路17を介して、下液室9に流出し、その一方で、第1液室32の体積が増加するから、上液室8の作動流体が、シリンダ周壁内上側流路16を介して第1液室32に流入する。
【0024】
また、内側シリンダ6の上端部の外周には、当該内側シリンダ6とで、第2外側ピストン31を挟み込むように、シリンダ(以下、外側シリンダという。)41が設けられている。外側シリンダ41は、第2外側ピストン31とで、車高調整手段を構成している。すなわち、外側シリンダ41内に第2外側ピストン31を往復移動(上下移動)可能に収容しており、第2外側ピストン31が上下移動することで、全長が変化する車高調整手段を実現している。
【0025】
この外側シリンダ41の上端は、閉塞部材42により閉塞されている。図5は、サスペンション装置の上端部付近の構造を示す斜視図である。
この図5にも示すように、閉塞部材42は、中心部が開口されている円盤部42aと、円盤部42aの中央、すなわち、外側シリンダ41の軸心と一致する位置に配置され、やや肉厚の円管部42bとから構成されている。
【0026】
円管部42bの外周部には、アッパーマウント1が取り付けられている。また、円管部42bには、作動流体を供給するための液送手段であるポンプ106(図1参照)が接続されている。ポンプ106は、サスペンション装置の外部機器として備えられた車載ポンプである。
円盤部42aでは、中心部に形成された孔(開口部)の周囲の一部が、下側に向いて凸となり肉厚になっており、その肉厚部42cが外側シリンダ41内の収容されている内側シリンダ6上端の閉塞部材13にネジ等の締結部材43により固定されている。また、下側に向いて凸となる肉厚部42cを設けることで、外側シリンダ41の円盤部42aと内側シリンダ6上端の閉塞部材13との間には隙間44が形成される。
【0027】
また、内側シリンダ6の外周壁12の外周面に対しても摺動可能とされている第2外側ピストン31は、上下方向に移動するときに、この外側シリンダ41の内周面に対しても、摺動可能になっている。第2外側ピストン31が下側に移動すると、内側シリンダ6と外側シリンダ41との間に、軸方向が第2外側ピストン31の上側面と外側シリンダ41の閉塞部材42とで閉塞される空隙部45が形成される。
【0028】
ここで、外側シリンダ41の閉塞部材42と内側シリンダ6の閉塞部材13との間に隙間44が形成されているから、空隙部45は、その隙間44を介して、外側シリンダ41の閉塞部材42の円管部42bの孔と連通する。これにより、ポンプ106からの作動流体が円管部42bを介して、液室45としての空隙部45に供給される。ここで、液室(空隙部、以下、第3液室という。)45の密閉度を保つために、第2外側ピストン31の外周面において外側シリンダ41の内周面に接触する面には、シール部材46が適宜取り付けられている。
【0029】
このような構成により、ポンプ106の作動流体が第3液室45に流入及び流出することで、第3液室45内の液圧(内圧)が変化する。そして、例えば、ポンプ106からの作動流体が液室45に流入し、第3液室45内の液圧が大きくなると、第2外側ピストン31が押し下げられる。
また、ショックアブソーバ4には、外周にスプリング3が配置されている。ロッド5の下端には、円筒形状の下側スプリングシート51が取り付けられており、第2外側ピストン31の外周面にも、円筒形状の上側スプリングシート52が取り付けられており、スプリング3は、これら下側スプリングシート51と上側スプリングシート52とにより支持されている。
【0030】
上側スプリングシート52は、下端部が直径が小となるように絞られて第2外側ピストン31の下端部外周面に固定されており、その固定部より上側の部位で、第2外側ピストン31との間に隙間52aを形成している。隙間52aには、第2外側ピストン31の外周面に摺動可能に配置されている外側シリンダ41が位置されている。この上側スプリングシート52は、スプリング3内に挿通されるように配置されて、その上端部にスプリング3の上端部が固定されている。
【0031】
下側スプリングシート51は、その直径が上側スプリングシート52の直径よりも多少大きくされ、内部に上側スプリングシート52を収容可能な円筒形状をなしており、その下端部がロッド5の下端部(ロッド5とブラケット2との境界部位)に固定されている。例えば、下側スプリングシート51の下端部は、バンプラバー53により閉塞されており、バンプラバー53がロッド2の下端部に取り付けられている。下側スプリングシート51の上端部には、スプリング3の下端が固定されている。
このような構成により、第2外側ピストン31には、スプリング3により上方に付勢する力が働いている。そして、ロッド5に入力があった場合、その入力は、下側スプリングシート51及びスプリング3を介して、上側スプリングシート52に伝達され、それから第2外側ピストン31に伝達される。
【0032】
図6は、サスペンション装置により支えられる車両の構成を示す模式図である。
同図中、103はばね上荷重であり、104はばね下荷重であり、106は車高調整手段(外側シリンダ41及び第2外側ピストン31)を駆動するポンプ(液送手段)であり、107はポンプを駆動するモータである。このような構成により、モータ107によりポンプ106を駆動して、車高調整手段に作動流体を供給することで、車高調整手段によりスプリング3を下方向に変位させ、車高を高くする。
【0033】
なお、前述の実施形態の説明において、サスペンション装置は、車体側部材と車輪側部材との間にスプリング3とショックアブソーバ4とを並列に配置するとともに、前記スプリング3の一端側に当該スプリング3と直列に車高調整手段である外側シリンダ41(第2シリンダ)及び第2外側ピストン31(第2ピストン)を配置して、前記車高調整手段の長さを変化させて前記スプリング3を変位させることで車高を調整するサスペンション装置である。
【0034】
このサスペンション装置において、前記ショックアブソーバ4は、車体側部材又は車輪側部材にロッド5の一端が接続されて、前記ロッド5の他端が、作動流体が充填されている第1シリンダ内に挿通されて、その他端に前記第1シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画する第1ピストンが設けられ、前記ロッドの一端側に前記スプリング3の他端が連結されており、前記車高調整手段が長さを変化させることに応じて、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室から前記作動流体を外部に流出させ、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室に外部から前記作動流体を流入させている。
【0035】
ここで、第1シリンダは、内側シリンダ6に対応し、第1ピストンは、シリンダ内ピストン7に対応し、第1流体室及び前記第2流体室はそれぞれ、上液室8及び下液室9のいずれか一方ずつに対応している。
また、外側シリンダ41は、第2シリンダをなし、第2外側ピストン31は、第2ピストンをなしている。また、第1液室32及び第2液室33はそれぞれ、第3流体室及び前記第4流体室のいずれか一方に対応している。
【0036】
次に作用を説明する。
図7は、車高を上げている状態のサスペンション装置を示し、図8は、車高を下げている状態のサスペンション装置を示す。
図7に示すように、車高を上げる場合、ポンプ106から作動流体を供給する。その作動流体は、外側シリンダ41の閉塞部材42の円管部42bを通って第3液室45に供給される。これにより、第3液室45の圧力が高くなり、第2外側ピストン31は、スプリング3を下方に押し下げつつも、当該スプリング3の反力(付勢力)を受けつつ、下方に押し下げられる。このときのスプリング3の変位により、車高が上がる。
【0037】
そして、第2外側ピストン31が下方に移動すると、第1液室32内の作動流体が圧縮されて、第1液室32の圧力が増加する。この第1液室32の圧力増加により、第1液室32内の作動流体は、内側シリンダ6の外周壁12の外周壁上側流孔20、内側シリンダ6の周壁内のシリンダ周壁内上側流路16及び内側シリンダ6の内周壁11の内周壁上側流孔18を通って、内側シリンダ6内の上液室8内に流れ込む。上液室8は、作動流体が流れ込むことで、圧力が増加する。
【0038】
その一方で、第2外側ピストン31が下方に移動すると、第2液室33の体積が増加して、第2液室33の圧力が減少する。この第2液室33の圧力減少により、第2液室33には、内側シリンダ6の内周壁11の内周壁下側流孔19、内側シリンダ6の周壁内のシリンダ周壁内下側流路17及び内側シリンダ6の外周壁12の外周壁下側流孔21を介して、内側シリンダ6内の下液室9からの作動流体が流入する。このとき、下液室9は、作動流体が流出するから、圧力が減少する。
【0039】
これにより、上液室8と下液室9との間には、上液室8側の圧力が高くなる差圧が生じるから、シリンダ内ピストン7には、下方向に押す力を発生する。これにより、シリンダ内ピストン7に繋がっているロッド5を介してショックアブソーバ4の伸長力が車軸側へ伝達される。
以上のように、サスペンション装置は、スプリング3の反力を増加させる(スプリング3を押し下げる)と同時に、ショックアブソーバ4の減衰力がそれと同じ方向(スプリング3を押し下げる方向)に作用させつつ、車両を上げている。
【0040】
なお、第2外側ピストン31の下方への移動範囲、すなわち摺動ストローク範囲は、第2外側ピストン31の摺動部31aの下側面が第1外側ピストン15の上側面に当たるまでの範囲となり、これにより、サスペンション装置の伸張時のストロークエンドの位置が決まる。
一方、図8に示すように、車高を下げる場合、ポンプ106に作動流体を戻す。この場合、第3液室45内の作動流体は、外側シリンダ41の閉塞部材42の円管部42bからポンプ106側に吐出される。これにより、第3液室45の圧力が低くなり、第2外側ピストン31は、上方に押し上げられる。そして、この第2外側ピストン31の上方への移動により、スプリング3が伸長する。このときのスプリング3の変位により、車高が下がる。
【0041】
そして、第2外側ピストン31が上方に移動すると、第1液室32の体積が増加して、第1液室32の圧力が減少する。この第1液室32の圧力減少により、第1液室32には、内側シリンダ6の内周壁11の内周壁上側流孔18、内側シリンダ6の周壁内のシリンダ周壁内上側流路16及び内側シリンダ6の外周壁12の外周壁上側流孔20を介して、内側シリンダ6内の上液室8からの作動流体が流入する。このとき、上液室8は、作動流体が流出するから、圧力が減少する。
【0042】
その一方で、第2外側ピストン31が上方に移動すると、第2液室33内の作動流体が圧縮されて、第2液室33の圧力が増加する。この第2液室33の圧力増加により、第2液室33内の作動流体は、内側シリンダ6の外周壁12の外周壁下側流孔21、内側シリンダ6の周壁内のシリンダ周壁内下側流路17及び内側シリンダ6の内周壁11の内周壁下側流孔19を通って、内側シリンダ6内の下液室9に流れ込む。下液室9は、作動流体が流れ込むことで、圧力が増加する。
これにより、上液室8と下液室9との間には、下液室9側の圧力が高くなる差圧が生じるから、シリンダ内ピストン7には、上方向に押す力を発生する。これにより、シリンダ内ピストン7に繋がっているロッド5を介してショックアブソーバ4の収縮力が車軸側へ伝達される。
【0043】
以上のように、サスペンション装置は、スプリング3の反力を減少させる(スプリング3を押し上げる)と同時に、ショックアブソーバ4の減衰力がそれと同じ方向(スプリング3を押し上げる方向)に作用させつつ、車両を下げている。
なお、第2外側ピストン31の上方への移動範囲、すなわち摺動ストローク範囲は、第2外側ピストン31の摺動部31bの上速面が第1外側ピストン15の下側面に当たるまでの範囲となり、これにより、サスペンション装置の収縮時のストロークエンドの位置が決まる。
【0044】
次に本実施形態における効果を説明する。
前述のように、サスペンション装置は、車高調整手段(外側シリンダ41及び第2外側ピストン31)で車高調整する際に、外側シリンダ41内(第3液室45)の圧力を調整して、第2外側ピストン31を上下動させることで、スプリング3を圧縮及び伸張(変位)させるとともに、上液室8と下液室9との間に差圧を発生させて、ショックアブソーバ4の減衰力を小さくしている。すなわち、車高調整手段の動作に対応して、ショックアブソーバ4の減衰力が小さくなる。或いは、スプリング3の変位に応じて、その変位方向にシリンダ内ピストン7、又はロッド5を能動的に変位させている。この結果、大振幅、高周波で車高制御する場合でも、その車高制御の応答性を良くすることができ、エネルギー効率も向上させることができる。
【0045】
また、第2外側ピストン31の内側に設けた第1液室32及び第2液室33がシリンダの空隙部となり、その空隙部を第1外側ピストン15が移動(相対移動)して、第1液室32と第2液室33との間に差圧を発生させている、又は、ショックアブソーバ4の減衰力を小さくしている。すなわち、第2外側ピストン31が第1外側ピストン15に対して移動するだけで、第1液室32と第2液室33との間に差圧を発生させている、又は、ショックアブソーバ4の減衰力を小さくしている。このように、簡単な構成で、第1液室32と第2液室33との間に差圧を発生させたり、又は、ショックアブソーバ4の減衰力を小さくさせたりすることができる。
【0046】
また、前述のように、第1液室32及び第2液室33と上下液室8,9とは、内側シリンダ6の周壁内に形成したシリンダ周壁内上側流路16及びシリンダ周壁内下側流路17、並びに内側シリンダ6の内周壁11及び外周壁12に形成した各流孔18,19,20,21により、連通している。
ここで、内側シリンダ6の周壁が内周壁11と外周壁12とから構成された2重構造になっており、その2重構造の隙間が流路(シリンダ周壁内流路)16,17を構成している。このように、第1液室32及び第2液室33と上下液室8,9とを連通する流路を、スペースを最小限にして設けている。また、内側シリンダ6の周壁内に形成した隙間を流路(シリンダ周壁内流路)16,17としているから、第1液室32及び第2液室33と上下液室8,9とを連通する配管等を内側シリンダ6の周辺に配置しなくて済み、レイアウト上好ましい状態になる。例えば、内側シリンダ6の外周面に突起や内側シリンダ6の周囲に配管がないので、本構成の特徴点である、第2外側ピストン31が内側シリンダ6の外周面を摺動する構成を実現することができる。
【0047】
また、内周壁11及び外周壁12に各流孔18,19,20,21を形成するだけで、内側シリンダ6の周壁内に形成した隙間を流路として利用することができるようになる。
また、前述のように、内周壁上側流孔18を、内周壁11においてフリーピストン10の下側近傍に形成している。すなわち、ショックアブソーバ4が最収縮状態になり、内側シリンダ6内で最上位置にきたシリンダ内ピストン7により閉塞されないように、内周壁上側流孔18を、内周壁11において当該最上位置にあるシリンダ内ピストン7の上側近傍に形成している。また、内周壁下側流孔19を、内周壁11の下端部に形成している。すなわち、ショックアブソーバ4が最伸張状態になり、内側シリンダ6内で最下位置にきたシリンダ内ピストン7により閉塞されないように、内周壁下側流孔19を、内周壁11において当該最下位置にあるシリンダ内ピストン7の下側近傍に形成している。
【0048】
これにより、内周壁上側流孔18及び内周壁下側流孔19が内側シリンダ6内を移動するシリンダ内ピストン7により閉塞されることがないから、第1液室32及び第2液室33と上下液室8,9との間の作動流体の流入及び流出を常に確保できるようになる。
また、前述のように、車高調整手段(外側シリンダ41及び第2外側ピストン31)は、車体部材側に取り付けられている。これにより、車載のポンプ106を利用して、外側シリンダ41内(第3液室45)の圧力を調整することができる。これにより、サスペンション装置の耐久及び信頼性が向上する。例えば、車高調整手段を車軸側に配置したとすると、車体に対して車軸が相対運動するから、この場合、車載のポンプ106と車高調整手段とを、高圧ホース等の変形を前提とする手段で接続する必要があり、これでは、耐久面で問題が発生する。しかし、車高調整手段を車体部材側に取り付けることで、このような手段を要しないので、耐久面の問題も生じない。
【0049】
また、前述のように、ショックアブソーバ4の外周部に車高調整手段を配置している。すなわち、ショックアブソーバ4と車高調整手段とを並列に配置している。このようにすることで、ショックアブソーバ4のストロークを、従来のショックアブソーバ(例えば、車高調整手段を設けていないもの)のものと同等に確保することができるから、ショックアブソーバ4のストロークエンド規制が、車高調整手段の動作に影響させることもない。さらに、ショックアブソーバ4のストローク量も、車高調整手段の設置により影響を受けることもなく、従来のものと同等に確保できる。
【0050】
また、サスペンション装置がフルバウンドした時には、バンプラバー53にブラケット2が衝突する等するが、バンプラバー53でその衝撃が吸収される。このとき、バンプラバー53で発生する反発力が車高調整手段に入力されないため、車高調整手段の最大入力条件を小さくできるため、当該車高調整手段を小型化できる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態として実現されることに限定されるものではない。
【0051】
図9は、サスペンション装置の他の例を示す。
図9に示すように、下側部位12bの外径を上側部位12aの外径よりも大きくすることで、第1外側ピストン15において第2液室33に臨む下側面15dの面積又は第2外側ピストンにおいて第2液室33に臨む上側面31dの面積を、第1外側ピストン15において第1液室32に臨む上側面15cの面積又は第2外側ピストンにおいて第1液室32に臨む下側面31cの面積よりも小さくしても良い。すなわち、第1外側ピストン15において、液室32,33内の作動流体からの圧力を受ける各受圧面の面積に差異を設ける。
【0052】
前述のように、シリンダ内ピストン7の下面にロッド5が取り付けられていることから、シリンダ内ピストン7において、下液室9に臨む面(下面)の受圧面積は、上液室8に臨む面(上面)の受圧面積よりも小さくなっている。よって、前述のように、面積に差異を設ける構造にすることで、シリンダ内ピストン7において上液室8に臨む受圧面の面積と、第1外側ピストン15において第1液室32に臨む受圧面の面積との差、及び、シリンダ内ピストン7において下液室9に臨む受圧面の面積と、第1外側ピストン15において第2液室33に臨む受圧面の面積との差がそれぞれ小さくなる。これにより、前述のように、車高調整手段の動作に対応して、ショックアブソーバ4の減衰力を的確に小さくすることができるようになる。
【0053】
また、ショックアブソーバの減衰力は、車高調整手段が発生する力を妨げる方向に働くので、車高調整手段が必要とする制御の応答性が確保できる程度まで小さくなれば良い。このようなことから、そのように車高調整手段が必要とする制御の応答性が確保できる程度の減衰力になるように、前述の受圧面積の差を選定する。
また、前述の受圧面積の差は、下側部位12bの外径と上側部位12aの外径とを異ならせるだけで実現されており、簡単な構成で実現されている。
【0054】
また、前記実施形態では、上液室8にフリーピストン10を設置している。しかし、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、フリーピストン10に換えて、ベースバルブ61を配置しても良い。そして、ベースバルブ61の上部の空隙部を低圧ガスが充填されるリザーバ62にすることで、油量の変化をリザーバ62の低圧ガスで吸収するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態のサスペンション装置の構成を示す図である。
【図2】ショックアブソーバが最収縮状態のサスペンション装置の構成を示す図である。
【図3】ショックアブソーバが最伸張状態のサスペンション装置の構成を示す図である。
【図4】外周壁における外周壁上側流孔の形成位置を示す図である。
【図5】サスペンション装置の上端部付近の構造を示す斜視図である。
【図6】サスペンション装置により支えられる車両構成を模式的に示す図である。
【図7】車高を上げている状態のサスペンション装置の構成を示す図である。
【図8】車高を下げている状態のサスペンション装置の構成を示す図である。
【図9】下側部位の外径を上側部位の外径よりも大きくした、サスペンション装置の構成を示す図である。
【図10】フリーピストンに換えて、ベースバルブを配置したサスペンション装置の構成を示す図である。
【図11】従来のサスペンション装置により支えられる車両構成の模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 アッパーマウント、2 ブラケット、3 スプリング、4 ショックアブソーバ、5 ロッド、6 内側シリンダ、7 シリンダ内ピストン、8 上液室、9 下液室、10 フリーピストン、15 第1外側ピストン、31 第2外側ピストン、41 外側シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部材と車輪側部材との間にスプリングとショックアブソーバとを並列に配置するとともに、前記スプリングの一端側に当該スプリングと直列に車高調整手段を配置して、前記車高調整手段の長さを変化させて前記スプリングを変位させることで車高を調整するサスペンション装置において、
前記ショックアブソーバは、車体側部材又は車輪側部材にロッドの一端が接続されて、前記ロッドの他端が、作動流体が充填されている第1シリンダ内に挿通されて、その他端に前記第1シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画する第1ピストンが設けられ、前記ロッドの一端側に前記スプリングの他端が連結されており、
前記車高調整手段が長さを変化させることに応じて、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室から前記作動流体を外部に流出させ、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室に外部から前記作動流体を流入させることを特徴とするサスペンション装置。
【請求項2】
前記車高調整手段の長さを変化させた場合、前記第1流体室及び第2流体室のうちの、当該車高調整手段の長さの変化に連動して前記第1ピストンが移動する側の流体室から、前記作動流体を外部に流出させ、かつ前記第1流体室及び第2流体室のうちの前記第1ピストンの移動する側とは反対側の流体室に外部から前記作動流体を流入させることを特徴とする請求項1記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記車高調整手段は、前記車体部材側に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のサスペンション装置。
【請求項4】
前記車高調整手段と前記ショックアブソーバとは並列に配置されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のサスペンション装置。
【請求項5】
前記車高調整手段は、第2シリンダ内に第2ピストンを往復自在に収容するとともに、前記第2ピストンに前記スプリングを連結することで、当該第2ピストンの移動により前記スプリングを変位させており、前記第2ピストンの移動に応じて、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室から前記作動流体を外部に流出させ、前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室に外部から前記作動流体を流入させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項にサスペンション装置。
【請求項6】
前記作動流体が充填され、前記第2ピストンの移動で体積が変化する空隙部を設けて、前記第2ピストンの移動による前記空隙部の体積変化により、当該空隙部内に前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室から流出させた作動流体を流入させ、当該空隙部内の作動流体を前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室に流入させることを特徴とする請求項5記載のサスペンション装置。
【請求項7】
前記第1シリンダを円筒形状とし、かつ前記第2ピストンを前記第1シリンダの外周に配置される円環形状として、前記第1シリンダと前記第2ピストンとの間に円環状部材を前記第1シリンダに対して固定配置するともに、前記第2ピストンの内周面を前記円環状部材の径方向外周面に摺動可能にしつつ、前記第2ピストンの両端を内側に突出させて、その突出部をその内側に配置された前記第1シリンダの外周面に摺動可能にしており、前記第1シリンダ及び第2ピストンとの間の隙間を、前記第2ピストンの前記突出部で密閉して作動流体で満たされる前記空隙部を形成し、前記空隙部が前記円環状部材により第3流体室及び第4流体室に区画されて、前記第2ピストンの一方向への移動により、前記第3流体室及び第4流体室のうちの一方の流体室の体積が減少する一方で、前記第3流体室及び第4流体室のうちの他方の流体室の体積が増加しており、前記体積が減少する一方の流体室内の作動流体を前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの一方の流体室に流入させ、前記体積が増加した他方の流体室内に前記第1流体室及び前記第2流体室のうちの他方の流体室から流出させた作動流体を流入させることを特徴とする請求項6記載のサスペンション装置。
【請求項8】
前記第2ピストンにおいて前記第3流体室に臨む面であり、前記第2ピストンが移動する際に、前記第3流体室に対して流入又は流出する前記作動流体の圧力を受ける受圧面と、前記第1ピストンにおいて、前記第3流体室との間で作動流体が流入又は流出する前記第1流体室及び第2流体室のうちの一方の流体室に臨み、当該一方の流体室に対して流入又は流出する前記作動流体の圧力を受ける受圧面との差を、小さくなる方向に調整し、かつ、前記第2ピストンにおいて前記第4流体室に臨む面であり、前記第2ピストンが移動する際に、前記第4流体室に対して流入又は流出する前記作動流体の圧力を受ける受圧面と、前記第1ピストンにおいて、前記第4流体室との間で作動流体が流入又は流出する前記第1流体室及び第2流体室のうちの他方の流体室に臨み、当該一方の流体室に対して流入又は流出する前記作動流体の圧力を受ける受圧面との差を、小さくなる方向に調整することを特徴とする請求項7記載のサスペンション装置。
【請求項9】
前記第2ピストンにおける前記受圧面は、前記第2ピストンの両端の前記突出部において前記第3流体室及び第4流体室に臨む面であり、前記第1シリンダにおいて、前記第3流体室を密閉する側の前記突出部が摺動する外周面の直径と、前記第4流体室を密閉する側の前記突出部が摺動する外周面の直径とを異ならせることで、前記第2ピストンにおいて前記第3流体室を密閉する側の前記突出部で当該第3流体室に臨む面と前記第2ピストンにおいて前記第4流体室を密閉する側の前記突出部で当該第4流体室に臨む面とで差をつけることを特徴とする請求項8記載のサスペンション装置。
【請求項10】
前記第1シリンダの周壁が内周側壁と外周側壁とからなる2重構造になっており、その2重構造とされた周壁内の空隙部を流路として、当該空隙部と前記第1流体室及び第2流体室とを連通させて、前記作動流体を流入及び流出させることを特徴とする特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載のサスペンション装置。
【請求項11】
前記第1シリンダの周壁が内周側壁と外周側壁とからなる2重構造になっており、前記円環状部材を、前記外周側壁を貫通させて、前記内周側壁の外周面に固定することで、前記2重構造とされた周壁内の空隙部を前記第1シリンダの軸方向において分断して、その分断した空隙部を第1及び第2流路としており、前記第1流路を介して前記第1流体室と前記第3流体室及び前記第4流体室のうちの一方の流体室とが連通しており、前記第2流路を介して前記第2流体室と前記第3流体室及び前記第4流体室のうちの他方の流体室とが連通していることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のサスペンション装置。
【請求項12】
前記第1流路及び第2流路は、前記内周側壁及び外周側壁に形成した流孔により、前記第1流体室及び第2流体室並びに第3流体室及び第4流体室と連通しており、前記外周壁側の流孔は、前記円環状部材の近傍に形成されており、前記内周側壁の流孔のうち、前記第1流体室及び第2流体室のうちの、前記ショックアブソーバが収縮時に前記第1ピストンが移動する側の流体室に連通する内周側壁のものは、当該ショックアブソーバが収縮時に移動する前記第1ピストンにより閉塞されない位置に形成されており、前記内周側壁の流孔のうち、前記第1流体室及び第2流体室のうちの、前記ショックアブソーバが伸張時に前記第1ピストンが移動する側の流体室に連通する内周側壁のものは、当該ショックアブソーバが伸張時に移動する前記第1ピストンにより閉塞されない位置に形成されていることを特徴とする請求項11記載のサスペンション装置。
【請求項13】
前記第1流体室及び第2流体室のうちの、前記ショックアブソーバが収縮時に前記第1ピストンが移動する側の流体室には、フリーピストン又はベースバルブが配置されており、当該流体室に連通する前記内周側壁の流孔は、前記フリーピストン又はベースバルブの近傍に形成されており、前記第1流体室及び第2流体室のうちの、前記ショックアブソーバが伸張時に前記第1ピストンが移動する側の流体室に連通する前記内周側壁の流孔は、当該内周側壁の端部近傍に形成されていることを特徴とする請求項12記載のサスペンション装置。
【請求項14】
車体側部材と車輪側部材との間にスプリングとショックアブソーバとを併設するとともに、前記スプリングの一端側に当該スプリングと直列に車高調整手段を配置して、前記車高調整手段の長さを変化させて前記スプリングを変位させることで車高調整するサスペンション装置において、
前記車高調整手段の動作に応じて、前記ショックアブソーバの減衰力を減少させることを特徴とするサスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−127200(P2007−127200A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320863(P2005−320863)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】