説明

サポート部材の端部支持装置

【課題】サポート部材の端部支持装置としての本来の役目が終了した後、コンクリートからそれらの突出する部材を簡単に除去することができ、補修作業の簡便化にも有効であり、しかも本装置が埋設されるスラブ等のコンクリートの厚さの変化にも簡便に対応することができ、比較的コンパクトで十分な剛性が得られる使い勝手のよいサポート部材の端部支持装置を提供する。
【解決手段】水平型枠5に対してほぼ垂直に立設される雄ネジ部8を備えた垂直部材1と、一端部に前記雄ネジ部8に螺合可能な雌ネジ部7を備え、他端部が水平型枠5に対して固着される傾斜部材2とを用い、前記垂直部材1の雄ネジ部8に対して着脱可能に構成された抜取り可能な支持部材12を介してサポート部材の端部に連結可能な端部支持部11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立上がり型枠等の支持手段として使用されるサポート部材の端部を支持するための端部支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のサポート部材の端部支持装置として、スラブなどの水平型枠面上に設置される略台形状や略凸状からなるアンカー金具を用い、それらのアンカー金具の頂部平坦面に形成された挿通孔を介して突出したボルトに対して、サポート部材の端部に連結可能な端部支持部を備えた支持部材を抜取り可能に螺着するように構成したものが従来から知られている(特許文献1参照)。この従来技術によれば、サポート部材の端部支持装置としての本来の役目が終了した後に前記支持部材の部分から抜取ることにより、コンクリートから突出する部材を除去できるとともに、補修作業の簡便化も図れる。しかしながら、この従来技術の場合には略台形状や略凸状からなるアンカー金具を使用するため、その頂部平坦面に設置される端部支持部を備えた支持部材の高さが固定されることから、装置が埋設されるスラブ等のコンクリートの厚さの変化に対応することが難しく、コンクリート厚に対する融通性に問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3082179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑みて開発したもので、サポート部材の端部支持装置としての本来の役目が終了した後、コンクリートからそれらの突出する部材を簡単に除去することができ、補修作業の簡便化にも有効であり、しかも本装置が埋設されるスラブ等のコンクリートの厚さの変化にも簡便に対応することができ、比較的コンパクトで十分な剛性が得られる使い勝手のよいサポート部材の端部支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、請求項1の発明では、水平型枠に対してほぼ垂直に立設される雄ネジ部を備えた垂直部材と、一端部に前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、他端部が前記水平型枠に対して固着される傾斜部材とを用い、前記垂直部材の雄ネジ部に対して着脱可能に構成された抜取り可能な支持部材を介してサポート部材の端部に連結可能な端部支持部を設けてなり、前記垂直部材の雄ネジ部を前記傾斜部材の雌ネジ部に螺入するとともに、その垂直部材の雄ネジ部の突抜け部分に前記支持部材を螺着し、該支持部材に設けた端部支持部を介してサポート部材の一端部を支持するという技術手段を採用した。前記傾斜部材の一端部にナットを溶接し、そのナットを前記垂直部材の雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部として使用するようにしてもよい(請求項2)。前記支持部材の外周面を外方へ向けて拡径状のテーパ面に形成すれば、コンクリートから抜取りやすく構成できる(請求項3)。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、前記垂直部材の雄ネジ部を前記傾斜部材の雌ネジ部に螺入するとともに、その垂直部材の雄ネジ部の突抜け部分に支持部材を螺着し、該支持部材に設けた端部支持部を介してサポート部材の一端部を支持するという技術手段を採用したので、垂直部材の雄ネジ部と傾斜部材の雌ネジ部との螺合位置を調整することにより、端部支持部を設けた支持部材の高さをコンクリートの厚さに簡便に対応させることが可能である。さらに、長さの異なる垂直部材を選択的に使用するようにすれば、コンクリートの厚さの変化に対する融通性が更に増大される。また、垂直部材と傾斜部材との組合わせから構成したので、比較的コンパクトで十分な剛性が得られる使い勝手のよいサポート部材の端部支持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、ベランダなどの立上がり型枠の支持手段として使用されるサポート部材の端部支持装置として好適であるが、他の用途に使用されるサポート部材の端部支持装置としても適用が可能である。前記垂直部材はスラブ型枠等の水平型枠面上に直接あるいは抜取り可能な支持部材を介してほぼ垂直に立設される。垂直部材の外周部の少なくとも傾斜部材の雌ネジ部との螺合位置より上方には雄ネジ部が形成されている。垂直部材の全長に雄ネジを形成することも可能である。また、前記傾斜部材の下方端部は前記水平型枠面上に直接あるいは抜取り可能な支持部材を介して固着される。なお、傾斜部材の水平面での設置方向は、垂直部材とサポート部材を結ぶ方向とほぼ一致する方向であれば、垂直部材の手前側でも後方側でもよい。そして、垂直部材の雄ネジ部は傾斜部材の雌ネジ部に螺入されるとともに、その雌ネジ部より突出した垂直部材の突抜け部分に対して更に前記支持部材が着脱可能に螺着され、その支持部材に設けた端部支持部を介してサポート部材の端部を支持する端部支持手段として機能することになる。因みに、端部支持部は、抜取り可能な前記支持部材に一体的に設けたものでもよいし、別体に構成した端部支持部材を前記支持部材に固着したものでもよい。しかして、コンクリートが打設され固化してサポート部材の役目が終了した場合には、サポート部材の端部を前記端部支持部から外し、垂直部材や傾斜部材の端部に装着された各支持部材をコンクリートから引抜いて除去し、さらに必要に応じて支持部材を除去した後に残存する雄ネジ部にキャップを施したり、補修が施されることになる。
【実施例】
【0007】
図1は本発明に係るサポート部材の端部支持装置の実施例を示した正面図であり、図2はその右側面図である。図中1は垂直部材、2は傾斜部材で、本実施例ではそれぞれ外周面がテーパ面に形成された抜取り可能な支持部材3,4を介してスラブ型枠等の水平型枠5の上面に固着される。それらの支持部材3,4は、内部に雌ネジ部が形成されるとともに下方にネジ軸部が突出した鋼製心材と、外面がテーパ状に形成された合成樹脂材とを一体的に構成したものからなり、その下方に突出した前記ネジ軸部を水平型枠5の挿通孔に貫通させてナット等により締付け固定されるように構成されている。図3は垂直部材1を示した正面図であり、本実施例の垂直部材1では下部に支持部材3の内部雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部6を設けるとともに、上部には傾斜部材2の上方端部に溶接されたナットからなる雌ネジ部7に螺合可能な雄ネジ部8が形成されている。そして、その垂直部材1の上部に形成された雄ネジ部8が、図1及び図2に示したように傾斜部材2の上方端部の雌ネジ部7及び上部水平部9に形成した挿通孔を貫通して上方に突出した突抜け部分10に対して、サポート部材の端部に連結可能な端部支持部11を設けた外面がテーパ状の支持部材12が着脱可能に螺着され、後にコンクリートから抜取り可能に構成されている。また、傾斜部材2の下方端部は、下部水平部13に形成された挿通孔を介して固着用ボルト14により前記支持部材4に固着される。なお、図3中15は垂直部材1の雄ネジ部6の上部に形成された締付け操作用の六角形部である。また、図4は傾斜部材2を示した平面図、図5はそのA−A拡大断面図であり、図示のように傾斜部材2には中央部に沿って上方に若干膨出した補強リブ16が形成されている。
【0008】
しかして、本実施例に係るサポート部材の端部支持装置をスラブ型枠等の水平型枠5の上面に設置する場合には、先ず支持部材3,4を水平型枠5の所定位置に固着する。しかる後、支持部材3に形成された内部雌ネジ部に対して垂直部材1の雄ネジ部6を螺入して立設する。この場合、支持部材3の内部雌ネジ部に雄ネジ部6を螺入して垂直部材1を単独で立設するようにしてもよいし、垂直部材1の上部の雄ネジ部8に対して傾斜部材2の雌ネジ部7を螺合してから支持部材3の内部雌ネジ部に雄ネジ部6を螺入して垂直部材1を立設するようにしてもよい。そして、前者の場合には立設された垂直部材1の上部の雄ネジ部8に対して傾斜部材2の雌ネジ部7を螺合した上で、また後者の場合はそのままの状態で、傾斜部材2の下部水平部13を固着用ボルト14を用いて支持部材4に固着することになる。その際に重要な点は、いずれの場合においても、垂直部材1の上部の雄ネジ部8と傾斜部材2の雌ネジ部7との螺合位置を調整することにより、抜取り可能な支持部材12の高さをコンクリートの厚さ、すなわちそのコンクリート天面の高さに応じて適当な高さに調整可能であるという点である。すなわち、コンクリートの厚さの変化に対して簡便に対応できるという点である。さらに、長さの異なる垂直部材1を用意しておき、その垂直部材を選択的に使用するようにすれば、コンクリートの厚さに対する融通性を更に増大させることができる。しかして、垂直部材1と傾斜部材2の設置が完了した場合には、垂直部材1の突抜け部分10に対して、サポート部材の端部に連結可能な端部支持部11を設けた外面テーパ状の支持部材12を螺着することにより、サポート部材の端部支持装置として機能することになる。因みに、支持部材12の垂直部材1の突抜け部分10に対する螺着は、傾斜部材2の下部水平部13の固着作業の前に行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例を示した正面図である。
【図2】同実施例を示した右側面図である。
【図3】同実施例における垂直部材を示した正面図である。
【図4】同実施例における傾斜部材を示した平面図である。
【図5】図4のA−A拡大断面図である。
【符号の説明】
【0010】
1…垂直部材、2…傾斜部材、3,4…支持部材、5…水平型枠、6…雄ネジ部、7…雌ネジ部、8…雄ネジ部、9…上部水平部、10…突抜け部分、11…端部支持部、12…支持部材、13…下部水平部、14…固着用ボルト、15…六角形部、16…補強リブ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平型枠に対してほぼ垂直に立設される雄ネジ部を備えた垂直部材と、一端部に前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、他端部が前記水平型枠に対して固着される傾斜部材とを用い、前記垂直部材の雄ネジ部に対して着脱可能に構成された抜取り可能な支持部材を介してサポート部材の端部に連結可能な端部支持部を設けてなり、前記垂直部材の雄ネジ部を前記傾斜部材の雌ネジ部に螺入するとともに、その垂直部材の雄ネジ部の突抜け部分に前記支持部材を螺着し、該支持部材に設けた端部支持部を介してサポート部材の一端部を支持し得るように構成したことを特徴とするサポート部材の端部支持装置。
【請求項2】
前記傾斜部材の一端部にナットを溶接することにより、傾斜部材に垂直部材の雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のサポート部材の端部支持装置。
【請求項3】
前記支持部材の外周面を外方へ向けて拡径状のテーパ面に形成し、コンクリートから抜取りやすく構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のサポート部材の端部支持装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−92389(P2007−92389A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283125(P2005−283125)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】