説明

サンプルにおける生物学的粒子の検出および/または特徴付けのための方法およびシステム

本発明は、サンプルで存在しうる生物学的粒子を、監視し、検出し、および/または特徴付けるための方法およびシステムを提供し、それによって、その方法は、サンプルが含まれる増殖組成物の少なくとも2つの測定値を得るために、時間依存的な分光技術を利用すること、およびサンプルにおいて存在しうる、生物学的粒子の検出および/または特徴付けのために、前記測定値を相関させることによって非侵襲的に達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを、生物学的粒子の増殖について監視し、検出し、および/または特徴付けるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物を検出し、および識別するための方法は、典型的に臨床検査室および産業上のセッティング(工業環境)において別々の自動化(オートメーション化)したシステム上で実行される。標準的な自動化した血液培養機器は、ポジティブであるか、ネガティブな結果のいずれかを与えるが、微生物の特徴付け、または同一性(アイデンティティー)に関する何らの情報も提供しない検出システムに制限される。分子ベースのアッセイ(分析評価)で、それは高価で、一般に特定の微生物に限られているが、それを用いるテストは別として、微生物の同一性は、ポジティブな血液培養ボトルからサンプルを採取すること、および別々の識別テストを行うことによって、通常、識別テストのために生物が準備されるように、夜通しのサブカルチャーステップの後に、典型的に確立される。
【0003】
国際公開第2007/019462号は一般に、単一の時点での蛍光の励起-発光マトリクス(EEM)の測定に基づく生物学的(生体)サンプル(試料)の識別および定量化のための方法に関する。周囲の媒体で、その中に関心のある生物学的試料が含まれるもののクエンチング(消失)、蛍光、および反射率特性が測定を干渉することがあるので、このアプローチの感受性は制限される。微生物が均質で、そして透明なサンプルであり、たとえば水または塩類溶液(サリン)のようなものの中にあるならば、システムは使用可能である。しかし、単一の時点だけで測られるとき、複雑な背景の変わりやすさが微生物のスペクトルを複雑にするので、濁った、光学的に密な、または他の複合体のサンプル、たとえば血液のようなものについて、システムは非効率である。反射率の小さな変化および微生物の蛍光は、単一のEEMの読みを用いて測定することができず、それは濁ったサンプルの背景信号での変わりやすさが微生物によって発される特定の信号より大きいからである。このように、複合体サンプルでの生物学的実体の高感度な検出および早期の特徴付けまたは識別は通常、この参考文献によって教えられるような単一の測定アプローチでも実際的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/019462号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オートメーション化したシステムのための継続した必要性が、生物学的粒子、特に微生物を監視し、検出し、および/または特徴付けることにおいて追加の能力を提供するために存在する。初期の検出および特徴付けのための代わりの方法もまた望ましく、それは早期の結果を医者に提供するために、臨床的設定における利益があり、より一層適切な治療が、血液または殺菌体液培養物を微生物増殖について陽性として示す時、またはその頃に選ぶことができるからである。短くされた時間枠での追加の情報は、同様にシステムの非臨床的な使用のためにも役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概略。このようにして、サンプルにおいて存在しえ、臨床的、および非臨床的な設定に役立つことがある生物学的微粒子を監視し、検出し、および/または特徴付けるための方法およびシステムを提供する。
【0007】
1種の具体化において、この方法は、サンプルが含まれる増殖組成物(growth composition)の少なくとも2つの時間依存的な測定値を得るため、分光学的技術を利用すること、および前記サンプルにおいて存在する場合に、生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けることに前記測定値を相関させることを含む。本発明によれば、測定値は前記生物学的粒子またはその構成要素の質量を検出し、および/または特徴付けるだけでなく、前記増殖組成物における変化を考慮する。本方法は特に、複雑なサンプルタイプにおいて微生物を監視し、検出し、および/または特徴付けするのに役立つ。
【0008】
別の具体化において、本発明はオートメーション化したシステムを、サンプルにおいて存在することがある生物学的粒子を検出および/または特徴付けるために提供し、前記システムは次の、(1)サンプルおよび増殖組成物が含まれる増殖チャンバー(栽培箱)、(2)2つまたはそれよりも多くの時点での、採用された前記増殖チャンバーからの反射率および/または蛍光の測定を可能にするために、反射率および/または蛍光の分光計を含む測定装置、および(3)前記測定値を、前記サンプルにおいて存在する場合に前記生物学的粒子を検出および/または特徴付けることに関連させための手段を含み、そこでは前記増殖チャンバーは、同じシステムにおいて測定装置として配置され、そして測定値は増殖チャンバーに対し非侵襲性である。このシステムでは、サンプルが含まれる組成物の手動サンプリングは、早期検出および/または特徴付けを提供するために要求されず、このようにして、特に臨床的、および非臨床的な適用の双方に役立つことがある改善された効率および安全性が提供される。
【0009】
さらにもう一つの具体化において、サンプルにおいて存在する生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるための方法が提供され、前記方法は次のステップ、
(a)増殖組成物およびサンプルが含まれる容器を診断システム中に導入することであり、そこで前記容器は、前記診断システムへの前記容器の導入に先立ち、または導入の後のいずれかに前記増殖組成物および前記サンプルを含むことができ、
(b)前記容器を、予め定められた時点、または連続的に照射すること、
(c)少なくとも2つの測定値を得るために、前記照射された組成物を予め定められた時点で、または連続的に監視することであり、そこで前記監視は、反射率および蛍光のそれぞれのために、照射において用いられる波長と等しいか、またはそれよりも長い波長で行われ、および
(d)前記サンプル内に含まれる場合に、前記生物学的粒子を、検出し、および/または特徴付けるために、前記測定値を相関させること
を含む。
【0010】
まだ更なる具体化において、生物学的粒子の増殖を検出し、および/または特徴付けるためのシステムを提供し、前記システムは、(1)非侵襲的に前記生物学的粒子の増殖を検出するために、サンプル、増殖組成物およびセンサーを含む密閉された容器、および(2)測定手段で、前記容器の反射率および/または蛍光の少なくとも2つの時間依存的な測定値を非侵襲的な様式で提供するための分光学的器具のようなものであり、そこで前記分光学的器具はサンプルにおける変化ならびに前記増殖組成物の時間にわたっての変化の双方の測定値を提供し、および(3)前記サンプルにおいて存在する場合、生物学的粒子の検出および/または特徴付けに対して、前記測定値を相関させるための手段を含む。この方法は特に、高度に散乱し、強い蛍光的な環境において、複合体のサンプルタイプで、たとえば血液および他の不透明な物質のようなものにおいて見出されるように効果的である。このシステムでは、以降にさらに詳細に議論するように、その組合せは単一システム内で多様性を与え、このようにしてテストを、より一層多種多様なサンプルタイプに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】いくつかの選ばれた波長での、E. coli(エシェリキア・コリ、大腸菌)を含む接種された血液培養の蛍光信号での時間依存的な変化を例示する。
【図1B】いくつかの選ばれた波長での、S. aureus(スタフィロコッカス・アウレウス、黄色ブドウ球菌)を含む接種された血液培養物の蛍光信号での時間依存的な変化を例示する。
【図2A】大腸菌を含む接種された血液培養物の散乱信号における時間依存的な変化を、465の励起波長および465nmの発光波長(Ex465/Em465)で監視して例示する。
【図2B】黄色ブドウ球菌を含む接種された血液培養物の散乱信号における時間依存的な変化を、465の励起波長および465nmの発光波長(Ex465/Em465)で監視して例示する。
【図3】310-320nmの励起波長および345-530nmの発光波長によるE. Coli接種血液培養での時間にわたる蛍光信号のパーセント変化を例示する。
【図4A】大腸菌接種血液培養の蛍光の監視から得られた励起発光(Excitation-Emission)マトリクス(EEM)測定値データ、および「初期」相データの実証を例示する。
【図4B】大腸菌接種血液培養の蛍光の監視から得られた励起発光マトリクス(EEM)測定値データ、および「後期」相データの実証を例示する。
【図5】22.5度の前面(front face)ウォーターバス(水浴)アダプターに置かれた、酸化エチレン(エチレンオキシド、EO)殺菌したアクリルのキュベットでの大腸菌培養物の蛍光の時間依存的な変化を例示する。
【図6】注文製(カスタムビルド)のオートメーション化したカルーセル(回転木馬)アダプターに置かれるEOで殺菌されたアクリルのキュベットでの大腸菌培養物の蛍光の時間依存的な変化を例示する。
【図7】17の励起/発光波長の対を用いた蛍光発光における微生物群に特異的な変化の一般的な判別(discrminant、discriminant)分析を使用する分類モデルを例示する。
【図8A】図8A-8Dは異なる微生物の例を特徴のある蛍光パターンと共に例示し、図8Aでは、ネガティブコントロールを例示する。
【図8B】E. faecalis(エンテロコッカス・フェカリス)の接種した血液培養を例示する。
【図8C】P. aeruginosa(シュードオナス・エルギノーサ、緑膿菌)の接種した血液培養を例示する。
【図8D】S. pneumoniae(ストレプトコッカス・ニューモニエ、肺炎球菌)の接種した血液培養を例示する。
【図9A】図9A-9Dは異なる微生物の例を様々な波長での特徴的な拡散反射率パターンと共に例示し、図9Aではネガティブコントロールを例示する。
【図9B】E. faecalisの接種した血液培養を例示する。
【図9C】緑膿菌の接種した血液培養を例示する。
【図9D】肺炎球菌の接種した血液培養を例示する。
【図10A】図10A-10Fは、微生物の異なる種について、選ばれた波長での時間にわたる蛍光信号でのパーセント変化の例を示す。
【図10B】図10Aと同様である。
【図10C】図10Aと同様である。
【図10D】図10Aと同様である。
【図10E】図10Aと同様である。
【図10F】図10Aと同様である。
【図11A】図11A-11Dは、モデルでのデータポイントの異なる数を用いる蛍光発光における微生物群に特異的な経時変化の一般的な判別分析を用いる異なる分類モデルを例示する。
【図11B】図11Aと同様である。
【図11C】図11Aと同様である。
【図11D】図11Aと同様である。
【図12A】図12A-12Dは、異なる微生物の例を、概念証明の血液培養システムでの商業上の血液培養ボトルにおいて増殖した特徴的な蛍光パターンと共に例示する。
【図12B】図12Aと同様である。
【図12C】図12Aと同様である。
【図12D】図12Aと同様である。
【図13A】図13A-13Dは、異なる微生物の例を、概念証明の血液培養システムでの血液培養ボトルにおいて増殖した特徴的な蛍光パターンと共に例示する。
【図13B】図13Aと同様である。
【図13C】図13Aと同様である。
【図13D】図13Aと同様である。
【図14】概念証明の血液培養システムのブロックダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な記載。本発明は、サンプルにおいて生物学的粒子およびその成分の関連したレベルを検出するために手段を提供する。さらに、生物学的粒子の特徴付けは、観察可能な違いで、たとえば、組成物、形状、サイズ、クラスタリング(集まり)および/または代謝のようなものに基づいて達成することができる。システムは、サンプルでの生物学的粒子の増殖について監視し、サンプルでの生物学的粒子を検出し、サンプル、またはその組合せにおいて、生物学的粒子を特徴付けるために、構成することができる。
【0013】
連続分析の構成において、特定の信号は、各々のサンプルの蛍光、および反射率の信号を監視することによって決定され、時間とともに、および一定の条件下に採取され、そこでは、関心のある生物学的粒子の濃度は、一般に検出制限より下のレベルから検出可能なレベルにまで増加し、そして検出制限を越えたレベルにまで拡げられうる。この原則を用い、システムは、サンプルが複雑で、不透明なタイプで、たとえば培養基での血液サンプルのようなものであるとき、次いで生物学的粒子の増殖と相関することがあり、操作されることがある小さな変化を測定し、それは、その方法が複雑なサンプルタイプを監視するための非侵襲性の方法を提供するために高い背景信号を、サンプルおよび増殖組成物の双方での変化と区別することができるからである。増殖の動力学は、サンプルでの変化、増殖組成物での変化、および/または生物学的粒子の実際の質量を測ることによってその方法において捕捉される。
【0014】
テストされうるサンプルは、生物学的粒子の存在または増殖が疑われることがある、臨床的、および非臨床的サンプルを含む。利用するサンプルの量は、方法の多用途性および感度のために大いに異なるかもしれない。サンプル調製は、当業者に知られている多くの技術によって達成することができ、本発明の利益のうちの1つは、その複雑なサンプルタイプであり、血液、体液、または他の不透明な物質として定義され、広範囲な前処理をほとんど用いないか、またはまったく用いないで、システムを利用し、直接テストされうる。
【0015】
テストされうる臨床的なサンプルは、臨床検査室で典型的にテストされる任意のタイプのサンプルが、次のものを含めて含まれ、制限されないが、血液、痰、血しょう、血液分画、滑液、尿、精液、唾液、糞便、脳脊髄液、胃内容物、膣の分泌物、組織ホモジェネート、骨髄穿刺液、骨ホモジェネート、喀痰、吸引物、ぬぐい液およびスワブすすぎ液(swab rinsates)、他の体液、およびそのような他のものを含む。
【0016】
また、テストすることができる非臨床的サンプルは、非常に可変的な物質を含み、以下が含まれ、制限されないが、食材、飲料、薬剤(調合薬)、化粧品、水、空気、土、植物、血液製剤(血小板を含む)、移植用提供臓器または組織サンプル、および他の同様のものなどである。この方法は、またリアルタイムテストのために、工業環境での汚染レベル、プロセスコントロール、品質管理、および他の同様のものその他を監視するために、特によく適している。
【0017】
ここに用いるように、用語の生物学的粒子および生物学的粒子群は、互換的に用いられ、そして1またはそれよりも多くの生物学的粒子(群)およびその構成要素を包含することを意図し、それはサンプルにおいて検出され、および/または特徴付けることができ、自己再生が可能な任意の生物または細胞、ならびに生物または細胞に特有のフラグメント(断片)、代謝物質、および他の物質を含む。この定義において、微生物および非微生物が含まれ、一例として、ウイルス、寄生生物、原生動物、クリプトスポリジウム、および同様のもので、細胞培養物(植物、哺乳類、昆虫、その他)が含まれる。検出および/または特徴付けのために特に良好に適切なものは概して、単細胞で、肉眼に見えない生物を包含する用語の微生物で、その研究所において増加され、および取り扱うことができる微生物であり、制限されないが、次のものを含み、グラム陽性であるか、またはグラム陰性であるバクテリア、酵母およびかびである。グラム陰性バクテリアとして、以下の属のバクテリアに言及することができ、すなわち、シュードモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、シゲラ属(赤痢菌)、エンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、モルガネラ属、ビブリオ属、エルシニア属、アシネトバクター属、ステノトロホモナス属、ブレブンディモナス属(Brevundimonas)、ラルストニア属、アクロモバクター属、フゾバクテリウム属、プレボテラ属、ブランハメラ属、ナイセリア属、バークホルデリア属、シトロバクター属、ハフニア属、エドワジエラ属、アエロモナス属、モラクセラ属、ブルセラ属、パスツレラ属、プロビデンシア属、およびレジオネラ属である。グラム陽性バクテリアとして、次の属のバクテリアに言及することができ、すなわち、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属(連鎖球菌)、スタフィロコッカス属(ブドウ球菌)、バチルス属、パエニバチルス属、ラクトバチルス属(乳酸桿菌属)、リステリア属、ペプトストレプトコッカス属、プロピオニバクテリウム属、クロストリジウム属、バクテロイド属、ガードレネラ属、コクリア属(Kocuria)、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ミクロコッカス属、マイコバクテリウム属およびコリネバクテリウム属である。酵母およびカビとして、次の属の酵母に言及することができ、カンジダ属、クリプトコッカス属、ノカルジア属、ペニシリウム属(アオカビ属)、アルテルナリア属、ロドトルラ属、アスペルギルス属、フザリウム属、サッカロミセス属およびトリコスポロン属(毛芽胞菌)である。
【0018】
本発明によると、システムを実行することができる検出および/または特徴付けのレベルを設計する際に、柔軟性が存在する。検出は、少なくとも2つの、時間依存的な測定値によって定められるように、サンプルでの少なくとも1つの変化の観察を包含し、それはサンプルでの生物学的粒子の存在と相関させることができる。検出は、生物学的粒子の増殖率、増殖組成物の生産力(fertility)、検出アルゴリズムの選択性、および/または測定の時間間隔、その他を含むたくさんの因子によって、ほとんどすぐに起こる場合がある。実際の検出時間がこれらの因子に依存して変動するかもしれないが、好ましい具体化は、方法の開始からおよそ48時間以内に、より一層好ましくは、方法の開始からおよそ24時間以内に、さらにより一層好ましくは、方法の開始からのおよそ1時間からおよそ16時間までの範囲内で、および最も好ましくは、方法の開始からのおよそ1時間からおよそ10時間までの範囲内で微生物の検出を提供することができる。特徴付けは、単一の種の実際の識別だけでなく生物学的粒子の幅広いカテゴリー化または分類を包含する。若干の具体化において、関心の生物学的粒子の分類は、所定の生物学的粒子の特徴の事前知識を必要としないかもしれず、経験的な測定値との一貫した相関関係を必要とするだけであり、このようにして、この方法が、特定の結合事象または代謝反応に基づく方法より一般的で、そしてすぐに順応性があるようにされる。
【0019】
より一層詳しくは、微生物ベースの適用のために、特徴付けは、本発明の方法によって提供される時間枠の範囲内で、さもなければ利用できない場合があった、役に立つ情報(例は、測定値)に基づき微生物の1またはそれより多くの分類モデルへの分類を包含することがある。ここに使われるように、好ましい分類モデルは微生物の以下の1またはそれよりも多くへのグループ化または分類化を含み、すなわち、(1)グラムグループ(集団)(Gram Groups)、(2)臨床的グラムグループ(Clinical Gram Groups)、(3)治療上のグループ(Therapeutic Groups)、(4)機能的グループ(Functional Groups)、および(5)自然自家蛍光グループ(Natural Intrinsic Fluorescence Groups)である。
【0020】
(1)グラムグループ:グラムグループ分類の範囲内で、生物学的粒子または微生物は、それらのグラム染色反応、そして全体的なサイズに基づく3つの幅広い分類カテゴリーのうちの1つに特徴付けることができ、前記グループは次のものからなるグループの1またはそれよりも多くから選ぶことができ、すなわち、(a)グラム染色でダークブルーに染色されるグラム陽性微生物、(b)グラム染色で赤に染色されるグラム陰性微生物、および(c)グラム染色でダークブルーに染色されるが、バクテリアの形態的な特徴から区別される非常に大きな丸みを帯びた酵母細胞である。
【0021】
(2)臨床的グラムグループ:グラムグループは、際立った形態的な特長を表すいくつかのサブカテゴリーに、さらに分けることができる。これらのサブカテゴリーは経験豊かな研究所の科学技術者によって報告されるすべての関連した臨床的情報を含むことができ、そしてこのようにして、ポジティブ(陽性)であるか、またはネガティブ(陰性)であるグラム反応よりも一層高いレベルの識別を提供することができる。この特定の分類は非常に役に立つ場合があり、それは、グラム染色の品質または等しい臨床的に関連した情報にオートメーション化したシステムを供給することによって塗抹(スメア)を読む技術者の技術レベルに頼ることについての懸念を除くからである。より一層詳しくは、この分類モデルに基づく微生物のサブカテゴリーは、以下からなる群の1またはそれよりも多くから選ぶことができ、すなわち、(a)球菌で、小さな丸みを帯びた細胞のもの、(b)双球菌で、互いに接合された2つの小さな丸みを帯びた細胞のもの、(c)ロッドで、矩形(長方形)の形のもの、および(d)桿菌(Bacilli)で、ロッド形状のものである。本発明によって確かめることができる形態的な情報の例は、以下を含み、すなわち(i)グラム陽性球菌、(ii)グラム陽性球菌の連鎖(cocci in chains)、(iii) グラム陽性球菌のクラスター(in clusters、集団)(すなわち、「ブドウのような」クラスター)、(iv)グラム陽性双球菌、(v)グラム陽性ロッド、(vi)内生胞子を有するグラム陽性ロッド、(vii)グラム陰性ロッド、(viii)グラム陰性球桿菌、(ix)グラム陰性双球菌、(x)酵母、および(xi)糸状菌類である。
【0022】
(3)治療上のグループ:治療上のグループは、特定の標本タイプから分離されるとき、抗生物質の同じクラス(種類)または抗生物質の混合物で処置されうる複数の微生物種を含む(参考文献:「抗菌療法に対するサンフォードガイド2008」)。多くの場合に、種レベルへのアイデンティティは、臨床医によって初期の経験的な治療から、より一層多く目標とされた治療までの変化を可能にすることを要求されないかもしれず、それは、複数の種が抗生物質の同じ選択で扱われうるからである。この分類レベルは、正しくこれらの「同じ処置」の微生物を、単一の治療上のカテゴリーに入れる。この特徴付けレベルの例は、高度に耐性化している腸内細菌科(enterobacteriacae、Enterobacteriaceae)(EB)種を、高感度(感受性)なEB種から区別する能力(大腸菌からのエンテロバクター属菌種)、または高感度なカンジダ属〔C. albicans(カンジダ・アルビカンス)およびC. parapsilosis(カンジダ・パラプローシス)〕、その他からのフルコナゾール耐性カンジダ属種〔C. glabrata(カンジダ・グラブラタ)およびC. kruzei(カンジダ・グラブラタ)〕を含む。
【0023】
(4)機能的なグループ:本発明によると、微生物はまた代謝性の、毒性(病原性)の、および表現型の特徴の混合に基づくいくつかのグループにも特徴付けることができる。非発酵性の生物は、発酵性のものから明りょうに区別することができる。さらにまた、典型的溶血素を生産する微生物種は、非溶血性種とは別にグループ化することができる。場合によっては、これらのグループは、属レベルより幅広いカテゴリーを表すかもしれず(例は、大腸菌型、グラム陰性非発酵性のロッド)、および場合によっては属レベルであり(例は、腸球菌、カンジダ属)、そして若干のケースで、種レベルの判別により一層近く〔例は、凝固促進酵素(コアグラーゼ)陰性スタフィロコッカス属(ブドウ球菌)、アルファ(α-)ヘモ溶解ストレプトコッカス属(連鎖球菌)、ベータ-ヘモ溶解連鎖球菌、凝固促進酵素陽性ブドウ球菌、すなわち、S. aureus(スタフィロコッカス・アウレウス、黄色ブドウ球菌)〕。
【0024】
(5)自然自家蛍光(「IF」)グループ:微生物はまた、それらの生得的または固有の蛍光の特徴に基づくカテゴリーにも特徴付けられるかもしれない。これらのグループの若干は、治療上の、および機能的なグループのカテゴリーに共通である場合がある。これらのグループ化は、特徴のあるIFサインがあるE. faecalis(エンテロコッカス・フェカリス)、S. pyogenes(ストレプトコッカス・ピオゲネス、化膿性連鎖球菌)またはP. aeruginosa(シュードモナス・エルジノーサ)のような個々の種か、または比較的保存されたIFサインを有する生物の小さなグループで、たとえば、E. coli(大腸菌)-K. oxytoca(クレブシエラ・オキシトカ)またはE. aerogenes(エンテロバクター・エロゲネス)- C. freundii(シトロバクター・フロインデイ)グループを含むことができる。
【0025】
本発明によれば、サンプルは、システムにおいて、特に連続モニタリングのための能力を含むシステムで監視するために、生存能力および/または自己再生するのが可能な生物学的粒子の増殖を維持する組成物として規定される増殖組成物と組み合わされる。システムの使用によって、増殖組成物は、生物学的粒子の迅速な増殖を促進し、それによって初期の検出および特徴付けを容易にするために十分な栄養分を含むことができる。たとえば、増殖組成物は、媒体(寒天を含む)、液体培養基(liquid culture media)(多くの用途に理想的)、または液体の懸濁物、および同様のものを包含することができる。好ましくは、微生物のテストのために、組成物はこの技術における熟練者(当業者)に知られている他の一般的目的の複合媒体と同様に、媒体、たとえば、トリプシン大豆ブロス(ブイヨン)、ブレインハートインフュージョン(脳心臓注入)ブイヨン、コロンビアブイヨンおよびブルセラブイヨンのようなものを含み、そして代用血液および特定の成長因子の追加を含むことができる。その上、いろいろな微生物の培養のためのすぐに使える特別に調剤された好気的および嫌気的培養基は、関心の生物の必要条件につき、システムに組み込むことができる。媒体の生産力およびこの技術をよく知る者の技量の範囲内で調整される媒体の選択性を伴う、標準的な血液培養基は、より一層一般化されたテストのために好ましい。微生物が非同種であるか、または粒状の様式において増殖する(例は、マイコバクテリア、カビ)ところの組成物はまた、採用することができる。吸着性の材料、たとえば、樹脂、木炭、フラーのアース(Fuller's earth)、および同様のもののようなものは、抗生物質で、当業者にとってよく知られたようなものに曝されるサンプルの影響を軽くするために、組成物に含むことができる。
【0026】
システムを異なる増殖組成物およびサンプルタイプに適応可能である一方、システムは好ましくは変動性に適応する。たとえば、サンプルが血液を包含するとき、生物学的粒子の増殖が観察可能であるように、モデリングのためのアルゴリズムまたは他の手段が背景を考慮する。
【0027】
好ましい具体化において、システムは典型的に、サンプルおよび増殖組成物を含有する1またはそれよりも多くの容器を含む温度制御された区画(コンパートメント)を包含する1またはそれよりも多くの増殖チャンバーを含む。随意に、増殖チャンバーは、生物学的粒子、最も好ましくは微生物の増殖のための最適な培養条件を提供するために、撹拌機構を有することができる。適切な増殖条件は、当業者に知られている。容器中のサンプルおよび組成物の双方の量は、デザインし好および関心の生物によって支配されるかもしれない。たとえば、システムはオートメーション化した方法で容器に加えられるサンプルの量を規制するために、制御部品(たとえば、光学センサーのようなもの)を含むことができる。サンプルおよび/または組成物はシステム中に導入されるのに先立ち容器にすでに含まれるかもしれず、そしてサンプルはシステム中に導入されるのに先立ち、連続モニタリングなしで増殖されるものを含むことができる。
【0028】
システムの容器の物理的な特長は、全体システム、サンプルタイプ、増殖組成物、および同様のものの設計を考慮することができ、そして光学的アラインメント(位置合せ)の特長を、光学的読みを容易にするために含むことができる。容器は、生物学的粒子の増殖に干渉しないで、採用された測定のじゃまをしない任意の物質からでも構築することができる。より一層詳しくは、容器は、UV、電磁スペクトルの可視および/または赤外線の領域での良好な伝達の特徴を有し、少なくとも測定を起こす領域で存在する伝達の特徴を伴う材料から構築することができる。たとえば、物質には、任意のUV-VIS-IRの透明な物質で、たとえば、ガラスまたはプラスチックのようなものを含むことができ、および理想的には低いガス透過性をもつ。物質は単一または多層でよく、そこでは好ましくは、少なくとも1層は低いガス透過性をもつ。容器は密閉され、または密閉されないでよく、たとえば、温度センサー、二酸化炭素センサー、酸素センサー、比色センサー、それらの組合せ、および同様のものの中で、他の望ましい特長を含むことができる。たとえば、容器は、センサー、好ましくは事実上電子的または光学的であることができ、そしてボトル温度の読みを提供し、一方、容器に物理的な接触を必要としないでよい容器の温度を監視するために、内在するセンサーを備えることができる。容器は、開けられ、通気され、または閉ざされたシステムであることができる。生物学的粒子が、モニタリングの間、いつでもID、AST、分子または他の診断テストシステムでの使用のために分離および精製されうるように、一旦十分な微生物増殖が起こるなら、容器はサンプリングを容易にするように設計されている場合もあります。容器はまた、蛍光および散乱した光の収集のために、光学面またはコーティングももつことができる。その上、当業者に知られるように、容器は、検定標準および/または光学的参照を異なるフォーマットに組み込むことができる。たとえば、較正は内部の層またはコーティングにおいて存在する光学的参照とともに光学的に埋められている特長によって達成することができる。
【0029】
1種の具体化において、生物学的粒子の増殖を検出する少なくとも2つの手段を含む単一のシステムが有利であると見出され、それは、1つのシステムでの増殖を検出する第一および第二の手段の組合せが様々な組成のサンプルをテストするために、より一層速くて、より一層特異的で、高感度な微生物検出システムにより一層広い適用性を供給するからである。本発明によれば、システムでの増殖を検出する1つの手段は、反射率および/または蛍光分光学の時間依存的な測定値を、前に記述したように、好ましくは、前面の構成において含む。システムでの増殖を検出する第2の手段は、非侵襲的に増殖を感知することが可能なサンプル、増殖組成物、およびセンサーを含む密閉容器を備える。この技術で知られるように、好ましくは前記センサーは比色センサー、より一層好ましくは液体のエマルジョンセンサー(LES)である。しかし、内蔵センサーの必要なしで、時間依存的な反射率および/または分光学的方法は高度に代謝的に活性な微生物の初期の検出のために可能性を提供することができる。さらに、複数の検出指標(波長対)は、システムの特異性を改善することができる一方、サンプルに含まれる任意の生物学的粒子の非侵襲的検出および/または特徴付けが提供される。センサーを含む密閉容器の第2の手段は、生物学的粒子により提供される二酸化炭素および他の化合物を測る、強力な、校正された内蔵センサーを提供するために、随意に含まれうる。第2の手段も遅れた加入に対して陽性サンプルを検出する方法を提供し、そこでは、発生した信号はテストサンプルの組成に必ずしも依存しているというわけではなく、生物それ自体に由来するかもしれない。
【0030】
本発明によれば、時間依存的な様式でサンプルをモニターすることによって(すなわち、少なくとも2つの時間依存的な測定値を採用することによって)、今回の発明は周囲の強い蛍光を発する環境において複数の変化を測定することによって、生物学的粒子の増殖を検出し、および変化をモニターし続けることによって、特徴のあるパターンが記録され、そして分析されるまで、生物学的粒子を分類することができる。より一層詳しくは、微生物が含まれるので、本方法は微生物検出および/または特徴付けの領域で役に立ち、または特定の細胞組成物および代謝に依存して、自然に蛍光を発する分子から構成される。結果として生じるパターンは生物タイプによって異なり、そしてこのように生物タイプにつきフィンガープリント(はっきりした特徴)を提供する。
【0031】
好ましくは、システムは、生物学的粒子がサンプルにおいて検出されるとき、ユーザーが自動的に通知されるように設計される。要望通り、更なる特徴付けは、生物学的粒子で作成されうる。
【0032】
一旦、検出が起これば、または一旦サンプルが生物学的粒子を存在させると確認されるならば、測定可能な違いが、増殖相において初期に、時々ほとんど瞬間的に、生物学的粒子の特徴付けのための方法の基礎を形成することができることが見出された。サンプルタイプ、サンプル濃度、サンプルでの生物濃度、増殖組成物のタイプ、生物の増殖率、測定の時間間隔、その他を含む多重の因子に依存して、特徴付けのパターンは、初期の検出の後迅速に出現してくるかもしれない。オートメーション化した信号は、ユーザーに生物学的粒子の特徴付けを通知するために、システムにおいて提供することができ、一旦、生物学的粒子が1またはそれよりも多くの特徴付けのグループに特徴づけられる(ここに記述されるように)か、または種、その他によって識別されるならばである。1種の好適な具体化では、本方法は複雑な、強い蛍光および/または光学的密度のサンプル内で存在する微生物を、自動的に、少なくとも細菌(バクテリア)および酵母(イースト)の場合に、標準的なグラム染色によって提供される情報のレベルに特異的な特徴付けとともに検出し、および特徴付ける。一旦、サンプルがシステムに導入されるならば、分類情報は、生物学的粒子の増殖の間、任意の点で抽出することができる。
【0033】
特徴付けは好ましくは、初期の検出のおよそ48時間以内に、より一層好ましくは、初期の検出のおよそ24時間の範囲内で、さらにより一層好ましくは、初期の検出のおよそ0からおよそ16時間までの範囲内で、そして最も好ましくは、初期の検出後およそ0からおよそ8時間までの範囲内で起こる。たとえば、特徴付けは「初期相」(初期の検出またはポジティブな増殖信号の後およそ0からおよそ2時間までに起こる変化)および/または「後期相」(初期の検出またはポジティブな増殖信号の後およそ2からおよそ8時間までに起こる変化)において起こり始めるかもしれない。初期相は、スペクトルが増殖組成物での変化によって支配されるパターンを示す傾向がある。後期相は典型的に、スペクトルが増殖組成物での変化によってよりもむしろ、生物学的粒子の質量によって支配されるパターンを示す。
【0034】
サンプルのモニタリングを起こすことができる時間の長さは、ユーザーの必要によって、広範囲に変動させることができる。たとえば、当業者に知られているように、テストは、テスト開始から日または月までもの間での期間について、関心の生物学的粒子、その他に依存して起こすことができる。
【0035】
生物学的粒子の増殖のため、好ましくは微生物の増殖のために、モニターするとき、サンプルはユーザーが特定のテストニーズのために役に立つことを見出すのと同じくらいしばしば励起されることがあり、およびソフトウェアによって自動化することができる。たとえば、血液または体液のテストにおいてモニターされる典型的な微生物については、サンプルは絶えず、または定期的に励起することができる。より一層詳しくは、サンプルを励起させる頻度は、一定の励起から、わずかな(2、3の)時間ごとに、または数日(2、3日)ほどおきの励起までのどこでも、より一層好ましくは、毎分またはそこらから、3時間ごとまで、サンプルを励起させる範囲内で、および最も好ましくは、およそ5分ごとから時間ごとについての範囲内に調節することができる。ここに用いるように、励起および照射は交換可能に用いられる。
【0036】
自己再生する生物学的粒子の増殖は、リアルタイムで、自動化されたシステムの選定によってサンプルの除去を必要とすることなく、読みが行われる増殖チャンバー内でモニターすることができる。連続モニタリングに特定の有用性がある一方、その方法はあるいはまた、定期的なスキャン、ランダムアクセス、および同様のものによってサンプルに存在する生物学的粒子をモニターし、検出し、および/または特徴付けるように構成することができる。
【0037】
この技術における熟練者に知られるように、サンプルの照射源、または励起の供給源は、任意の数の適した光源から選ぶことができる。より一層好ましくは、電磁スペクトルの紫外線、可視および近赤外部分の放出が可能な光源は、利用され、そしてこの技術における熟練者に知られている。たとえば、光源は連続体(continuum)ランプで、たとえば、紫外線光の生成のための重水素またはキセノンアークランプおよび可視/近赤外励起の生成のためのハロゲンランプであることができる。これらの光源は放出の幅広い範囲を提供し、そして特定の励起波長のためのスペクトルバンド(分光帯域)幅は光学的干渉フィルタ、プリズムまたは光学格子を用いて減らすことができる。
【0038】
あるいはまた、複数の狭帯域光源で、たとえば、発光ダイオードまたはレーザーのようなものは、マルチ波長励起源を提供するために空間的に多重送信することができる。たとえば、目下、発光ダイオードは240nmから900nmを超過してまで入手可能で、および供給源は20-40nm(半値全幅)の分光帯域幅をもつ。レーザーは、紫外線から近赤外線までの個別の波長において利用でき、多くの多重化方法(multiplexing methods)は当業者に知られている。
【0039】
光源の任意のもののスペクトル選択性は、走査式単色光分光器(モノクロメーター)のようなスペクトル区別手段を用いて改善することができる。区別の他の方法は音響光学のチューナブル(調節可能な)フィルター、液晶チューナブルフィルター、光学的干渉フィルターのアレイ、プリズム分光器、その他のようなもので、この技術での熟練者によって利用することができる。スペクトルの区別を選ぶことでの考慮は、選択性のレベルだけでなく、調和性(tunability)の範囲を考慮する。実例として、たとえば、区別は10nmの選択性を有する300-800nmの波長範囲を利用するかもしれない。これらのパラメータは一般に、選択性だけでなく調和性の範囲を達成するのに必要な最適技術を定める。
【0040】
典型的に、光源は予め定めら時点に、または連続的にサンプルの蛍光の放出の測定が続くサンプルの励起をもたらす。同様に、サンプルとの励起源の相互作用からの反射光(すなわち、散乱光)を測定することができ、および該当するデータを検出および特徴付けのために提供することが示された。
【0041】
サンプルからの放出は、スペクトルの区別の任意の適した手段によって、最も好ましくは分光計を採用して測定することができる。分光計は、モノクロメーターからの出力が光電子増倍管チューブによって検出されるところの特定の放出波長を検出する走査式モノクロメーターであることができ、あるいは分光計は、出力が電荷結合素子(CCD)検出器アレイのようなイメージング検出器アレイによって検出されるところの画像スペクトルグラフ(イメージング分光器)として構成することができる。区別の他の方法は、音響光学チューナブルフィルター、および液晶チューナブルフィルター、光学的干渉フィルターのアレイ、プリズム分光器、その他のように、この技術における熟練者によって利用することができる。好ましい具体化では、区別は光検出手段によって蛍光および/または散乱信号の観察を可能にする(たとえば、光電子増倍管チューブ、アバランチフォトダイオード、電荷結合素子(CCD)検出器アレイ、または電子マルチプライ電荷結合素子(EMCCD)検出器アレイのようなもの)。
【0042】
時間依存的な分光技術は、好ましくは励起発光マトリクス(EEM)測定として提供される少なくとも2つの測定値を得るのに用いられる。ここに使われるように、EEMは、励起および発光の波長の双方の関数としての蛍光物質のルミネセンススペクトル放出強度として規定され、そしてフルスペクトルまたはそのサブセットを含むことができ、そこでは、サブセットが単一か、または多重の励起/放出の対(群)を含むことができる。図4AおよびBは、全体的EEMスペクトルにわたり時間依存的な変化の等高線図を示す。その上、固定励起波長によるEEMの横断面は、特定の励起波長のために発光スペクトルを示すのに用いることができ、および固定放出波長によるEEMの横断面は、サンプルのために励起スペクトルを示すのに用いることができる。1種の具体化において、多重のEEMsは、別個の時間での点で、および特定の励起放出波長の対を用いて測定される。
【0043】
1種の具体化に従って、前面の蛍光分光法がサンプルを高度に散乱させ、および高度にクエンチする蛍光および反射率の特性を測定する際に利益を提供することが見出された。前面の方法が特に役に立つ分光法であり、それはこの構成が血液および微生物学的な培養基の干渉する構成要素により影響を受けないことが見出されているからである。この具体化に従って、容器の光学面は、当業者に知られるように許容できる結果を提供するように、そのような角度で照射することができる〔例は、Eisinger(アイジンガー), J.、およびJ. Flores(フロレス)、1983、“Front-face fluorometry of liquid samples(液体サンプルの前面蛍光測定法)”、Anal. Biochem.(アナリティカル・バイオケミストリー)、94:15-21〕。より一層詳しくは、照射は、正反射率(specular refection)が検出器に導かれない任意の角度ででも起こることができる。好ましくは、分光学的測定が最低1つの固定角度で発された蛍光を測ることに加え、最低1つの固定角度で広がった反射光を測るように、システムは設計される。例証として、容器の光学面は、前面の構成において置かれる場合があり、および容器の表面に対し0から90度までの法線の角度で照射することができる。
【0044】
本発明によると、コントロール測定値(例は、蛍光および/または反射率測定値)は、このように、当業者に知られる種々の数学的方法を用い、測定されたテストデータの関心の生物学的粒子の特徴付けとの相関を考慮に入れる特定のサンプルタイプにおいて、既知の生物学的粒子(好ましくは微生物)と考えられる。たとえば、サンプルからのデータは、当業者に知られるソフトウェアシステムを用いて、ベースラインまたはコントロールの測定値と比較することができる。より一層詳しくは、蛍光および散乱するデータは、いくつかの多変量分析法、たとえば、一般的な判別分析(GDA)、部分的な最小二乗法判別分析(PLSDA)、部分的な最小二乗法回帰、主成分分析法(PCA)、平行因子分析(PARAFAC)、神経ネットワーク分析(NNA)およびサポートベクターマシン(SVM)のようなものによって分析されるかもしれない。これらの方法は関心のの未知の生物学的粒子(好ましくは微生物の選ばれたグループ)を既存の命名法に基づく関連したグループに、または生物をモニタリングし、検出し、および/または特徴付けるために、システムを設計する際に、前に記述するように、生物の代謝、病原性および毒性に基づいて自然に生じるグループに分類するのに用いることができる。
【0045】
好ましい具体化において、システムは、培養基およびサンプルの固有の蛍光での変化および/または反射率を用い、培養における微生物の代謝により、微生物自体の増殖および動力学の変化を考慮し、微生物を検出する。微生物、特にバクテリアの固有の蛍光または自己蛍光は、バクテリアがマルチ波長光源を介して励起されうる芳香族アミノ酸(例は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)のような自然なフルオロフォアを含むという事実を活用する。
【0046】
サンプルを保つためにシステムで用いる容器は、何らかの理由で、前のシステムとの互換性を含め、これに限られず、そのために含められる組み合わせられたCO2または他のセンサーを更に含み、それは製造、輸送または保存の間の汚染の検出、およびインキュベーション/リーディングのシステムへのボトルの遅れたエントリーの適応である。またさらに、容器は無線周波数識別装置、バーコード、または同様のものがサンプル、および同様のものを収集する時点で獲得した時刻に、サンプル収集(時間を含む)の際のボトルの最初の読みからのデータ、テストからの情報(特徴付け後のために用いることができた)、製造情報(ロット、日付、期限満了、最初の読み、その他)、患者およびサンプル情報を保存するために含められる。
【0047】
本発明を、以下の例ではさらに詳述し、それは実例として提供され、およびいかなる方法ででも本発明を制限することを意図しない。技術的によく知られた標準的技術である方法または特に以降に記す技術が利用される。
【実施例】
【0048】
フルオロログ(Fluorolog)3蛍光分光光度計システム〔Horiba Jobin-Yvon(堀場ジョバン-イボン)〕を、滅菌キュベットに含まれる接種された血液培養のインキュベーションおよび連続モニタリングを可能にするために、ある温度に制御された前面キュベットホルダーとともに修飾した。蛍光は、光電子増倍管チューブを使って記録した。蛍光信号強度はいくつかの異なる波長で採取し、および保存した。読みは、異なる種類の微生物のために実験的に定めた強さと比較した。そのうえ、信頼の所定のレベルへの微生物識別が達成されるように、スペクトルの更なる分析が行われた。
【0049】
例1は、オートクレーブ処理されたクォーツキュベットにおいて接種された血液培養を記述し、酸化エチレン殺菌されたアクリルキュベットが、例2で使われた。35-37℃で培養物をインキュベーションし、そして多重の培養が同時に実行されるのを可能にしたカスタムビルドのカルーセルアダプターが、例3で使われた。これらの実験は、本発明が、目下の最高水準の技術であるCO2センサーよりも以前に血液培養において微生物を検出する潜在的能力を備え、分離株を少なくとも臨床的に役に立つ分類レベルに特定する能力があることを証明した。およそ80の微生物株の血液培養からのEEMおよび散乱データのデータベースを構築した。いくつかの多変量分析法を、未知の株を分類するのに用いた。一般的判別分析(GDA)方法の結果を例4において提示する。血液培養EEMの収集および散乱スペクトルのための前面の角度の最適化は、例5において記述される。接種された血液培養において増殖する微生物の非侵襲性の識別は、例6において説明する。例7は、多重の蛍光および反射率波長での既存の商業上の血液培養ボトルおよび連続モニタリングを用いた原理証明(Proof-of-Principle)(POP)の血液培養システムで得られる結果を説明する。
例1:ウォーターバスアダプターでのクォーツキュベットでの血液培養(培養基および血液サンプル)
【0050】
接種された血液培養は、かき混ぜのために撹拌バーを含むオートクレーブで処理した1.0cmのねじぶたを締められたクォーツキュベット〔スタルナ社(Starna, Inc.)〕において準備された。キュベットに対して、2.4mLの標準的な血液培養基、0.6mLの新鮮な通常のヒト血液およびテスト微生物の103/mLの懸濁物の0.05mL(およそ10CFU/キュベット)を加えた。無菌の、隔壁ねじ蓋をキュベット上に置き、そしてそれを前に説明した前面アダプター中に挿入した。培養物は、アダプターを36℃にまで加熱した再循環水浴に接続することによって、およそ36℃に維持した。キュベットは、制御されるソフトウェアであったフルオロログ3の蛍光分光光度計によって45分おきに読んだ。全EEMスペクトルを、走査につき合計3,139のデータポイントのための260-580nmの励起波長範囲(5nmごと)および260-680nmの発光波長範囲(5nmごと)による各時点に収集した。各々の走査に、完了するまでおよそ23分かかった。培養物を維持し、そして最高24時間まで、測定を連続的に行った。
【0051】
大腸菌および黄色ブドウ球菌の培養のためのいくつかの励起-発光波長の対の蛍光信号の変化の例を、図1Aおよび1Bに示す。検出の初期の点に次いで、これらの波長で発生する一時的な変化が2つの生物の間で著しく異なることは明白である。大腸菌および黄色ブドウ球菌の培養物のために465-465nmの拡散反射率信号での変化の例は、図2Aおよび2Bに示す。カーブの形状でのはっきりした違いは、時間とともに観察された。
【0052】
大腸菌培養の全3,139のデータポイントからの蛍光における変化のさらに詳細な検査は、少なくとも2つの視覚的に識別可能な相の存在を明らかにし、それらは培養基の蛍光において迅速な初期変化を主に含む培養物の7-10時間からの変化(初期の検出の後のおよそ0-2時間)および微生物固有のフルオロフォアの増加を反映する10-15時間からの変化(初期の検出の後のおよそ2-7時間)である。この現象は、およそ310-320nmからの励起波長およびおよそ345-530nmからの発光波長の折れ線グラフとして図3に、そして図4Aおよび4Bには、全てのEEMスペクトル上の時間依存的な変化の等高線図として示す。図3、4Aおよび4Bは、生物学的粒子の検出および/または特徴付けのために用いることができる、「初期」および「後期」の相変化を示す。このデータは、増殖する微生物の培養の一時的な蛍光の力および散在する測定値を例証する。
例2:ウォーターバスアダプターにおけるアクリルキュベットの血液培養。
【0053】
大腸菌血液培養は、キュベットがUV透過性アクリル〔Sarstedt (サルステッド)67.755〕から造られ、そして酸化エチレン処理によって殺菌された以外は、例1に記載されているように準備した。時間とともに多重の波長の対を伴う血液媒体混合物の自己蛍光または固有の蛍光での変化を、図5に示す。
例3:マルチステーションカルーセルアダプターでのアクリルのキュベットでの血液培養
【0054】
大腸菌血液培養は、キュベットがフルオロログ(Fluorolog)3システムのためにカスタムビルドの、温度で制御されたカルーセルアダプターに負荷された以外で、例2に記載されているように準備した。自己蛍光での変化または時間とともに多重の波長の対を伴う血液媒体混合物の固有の蛍光は、図6に示される。
【0055】
例2および3で説明する実験は、それぞれ、蛍光での時間依存的な変化がすぐに利用できるプラスチック容器において、そしてより一層大規模オートメーションに影響を受けやすい方法で測定されたことを実証する。同じことは、これらの実験(示されないデータ)で集められる拡散反射率の測定値にとって真実である。
例4:シミュレーションされた血液培養研究のGDA分析(グループレベル)
【0056】
この研究において、陽性培養基のサンプルは、培養物を陽性であると称する2、3分のBacT/ALERT(R)ミクロバイアル・デテクション・システム〔バイオメリエラクス社(bioMerieux, Inc.)内での、接種されたBacT/ALERT(R)SA(バイオメリエラクス社)血液培養ボトルから除かれた。類似した時間での無菌の血液培養ボトルから除かれた培養基は、ネガティブ(陰性)コントロールとして用いられた。培養基サンプルはアクリルのキュベットに置かれて、完全なEEM走査とともにフルオロログ(Fluorolog)3において読まれた。蛍光および散乱のデータを、年齢をマッチさせたネガティブコントロールに対し標準化し、そして一般的判別分析(GDA)によって分析した。
【0057】
テストされる各々のサンプルからの多重のデータポイントと考えられる測定値は12の種を表す、77の既知の微生物株の血液培養物からのEEMおよび反射率データのデータベースと比較され、そして、テストされた菌株は比較に基づいて分類された。集められるデータポイントの数に基づき「グループ」分類レベルに正しく識別される菌株のパーセンテージを、図7に示す。図7は、蛍光および散乱での微生物特異的な変化の分析が、テスト微生物の>97%を既存の命名法か、または生物の生来の代謝に基づく臨床的に関連したグループ、病原性および毒性の特徴に正しく分類されたことを実証する。
例5:前面角度の最適化
【0058】
アクリルのキュベットにおける大腸菌の血液培養は、例3に説明したように準備した。連続した培養物の前面角度は、以下の角度をテストするように調整し、すなわち20、22.5、26、30、34および38度である。大腸菌および黄色ブドウ球菌の純粋な懸濁物は、各々の角度でも測られた。大腸菌培養(表1)において変化で最も大きな程度として、または最も高い絶対的な信号および2つの微生物の懸濁物(示されないデータ)の細胞性フルオロフォアのノイズ比への信号のどちらででもを評価したとき、最適前面角度は26度であることが示された。表1で与えられる価値は、EEM内ですべてのレーリー点(260-750nm)およびすべての蛍光点への平均的信号を意味する。微生物増殖曲線のポジティブな領域での平均的レーリー信号が66%だけ減る一方で、図2Aおよび2Bにおいて例証されるように、大きな増加は465-465nmのような特定の波長で観察された。
【0059】
【表1】

【0060】
例6:血液培養において成長している微生物の非侵襲性の識別。
【0061】
合計で119の接種された血液培養物は、14の臨床的に関連した種(下記の表2を参照)の5-15の菌株を表し、無菌のアクリルのキュベットに接種され、フルオロログ(FluoroLog)3のシステムのためのマルチステーションカルーセルアダプターに詰めた。
【0062】
【表2】

各々の培養は、82の蛍光波長の対および50の広がった散在する波長の選定を用いて、連続的に(30から35分までごとに)最高で5日までのためにスキャンされた。
【0063】
図8B-8Dは、異なる微生物のために23時間の期間にわたって特徴のある蛍光パターンを示す。82の波長の対のうちの4つからのデータを示す(Ex360/Em380nm、Ex460/Em480nm、Ex650/Em670nmおよびEx700/Em730nm)。図8Aはネガティブコントロールのために集められたデータを示し、図8BはE. faecalisの接種された血液培養のために収集されたデータを示し、図8Cは緑膿菌の接種された血液培養のために集められたデータを表し、そして図8Dは肺炎球菌の接種された血液培養のために集められるデータを表す。蛍光カーブの形状での明らかな違いは、これらの3つの種の間で明白である。
【0064】
図9B-9Dは、図8に示す同じ3つの微生物のために、23時間の培養期間にわたって、280-720nmからの波長で特徴のある拡散反射率パターンを示す。図9Aはネガティブコントロールのために集めたデータを表し、図9BはE. faecalisのために集めたデータを明らかにし、図9Cは緑膿菌のために集められたデータを表し、そして図9Dは肺炎球菌のために集められるデータを表す。再度、ネガティブコントロール(図9A)の通常の反射率信号から離れるシフトによって示されるように、反射率の特徴的なパターンが出現した。反射率でのこの一時的なシフトの範囲および比率は、特定の微生物のために特徴的であった。
【0065】
図10A - 10Fは、微生物の11種のために、6つの選ばれた波長での時間とともにの蛍光信号のパーセント変化を示す。図10Aは、300nmの励起波長および種々の種のための490nmの放出波長で集めたデータを表し、図10Bは、360nmの励起波長および種々の種のための380nmの放出波長で集めたデータを表し、図10Cは、460nmの励起波長および種々の種のための480nmの放出波長で集めたデータを表す。図10Dは、480nmの励起波長および種々の種のための510nmの放出波長で集めたデータを表し、図10Eは520nmの励起波長および種々の種のための740nmの放出波長で集めたデータを表し、そして図10Fは610nmの励起波長および種々の種のための640nmの放出波長で集められるデータを表す。
【0066】
測定値およびデータは、時間にわたっての特徴のある蛍光および/または拡散反射率のパターンのために集め、多重な波長での時間にわたる蛍光信号における変化は、既知の微生物菌株からEEMおよび散乱データのデータベースと比較することができ、サンプルにおいて存在する場合がある生物学的粒子を検出し、および特徴付けるために用いる。
【0067】
図11A-11Dは、蛍光における微生物グループに特有の一時的な変化の一般的な判別分析を用い、異なる分類モデルおよび/またはモデルでの異なる数のデータポイントを用いる拡散反射率データとして正しく識別される菌株のパーセンテージを示す。テストされる各々のサンプルから多数のデータポイントに供される測定値は、およそ120の既知の微生物菌株の血液培養からのEEMおよび反射率データのデータベースと比較され、そして各々のテスト菌株は比較に基づいて分類された。図11Aは臨床上のグラムグループによる分類を表し、そしてテストされる種のおよそ93%が11のデータポイントに基づく検出の0-4時間後に臨床上のグラムレベルに正しく識別されたことを示す。図11Bは治療上のグループレベルによる分類を表し、テストされる種のおよそ97%が同じ11のデータポイントに基づく検出の0-4時間後に正しく特徴付けられたことを示す。図11Cは、治療上のグループレベルによる分類を示し、テストされる種のおよそ96%が同じ11のデータポイントに基づく検出の0-7時間後に正しく特徴付けられたことを示す。図11Dは治療上のグループによる分類を示し、そしてテストされる種のおよそ98%が21のデータポイントの異なる入力に基づく検出の0-7時間後に正しく特徴付けられたことを示す。
【0068】
図11A-11Dは、蛍光における微生物に特異的な変化の分析が、微生物を既存の命名法か、または生物の生来の代謝、病原性および毒性の特徴のいずれかに基づく臨床的に関連したグループまたはカテゴリーに格付けするのに用いることができることを証明する。
例7:商業上の血液培養ボトルを用いた概念証明の血液培養システム
【0069】
概念証明の血液培養システムは、内在する液体エマルションセンサー(Liquid Emulsion Sensor)(LES)を伴うか、およびそれを伴わない商業上の製造されたBacT/ALERT(R)(バイオメリエラクス社)培養ボトルでの新技術の能力を示すために開発された。このシステムは、商業上、BacT/ALERT(R)微生物検出システム(Microbial Detection System)(バイオメリエラクス社)と同じ温度およびかき混ぜ条件を使って一回に1つのボトルをテストすることができた。
【0070】
2つの光源は、励起光を生じさせるのに用い、一方は470nmのレーザーで、そして他方は650nmのレーザーであった。評価がナローストークスシフト(交替制)でされることができるように、コヒーレント光源が使われた。光学結合効率がレーザーでより一層高いので、光ファイバー適用でコヒーレント光源を使うことも有利である。狭帯域光学フィルターは、蛍光(または増幅された自然放出)が繊維に入るのを制限し、これは、蛍光信号単独がサンプルにおいて関心のフルオロフォアからであることを確実にする。供給源の各々からのフィルター処理された光は、光ファイバー結合光学(その分野の者によく知られる)を用いる分岐したファイバー中に接合する。分岐した(birfurcated)ファイバーは、2つのファイバーの光をサンプルボトル上で入射するものに結合する。古典的な反射率のプローブ配置は(1つの励起ファイバーのあたりに6つの収集ファイバーが使われた)。収集ファイバーは反射された励起光および蛍光を収集し、そして分岐しているファイバー(それは、光を2本の経路に分ける)へ、それを結合させる。光は対でファイバーオプティックスから抽出され、そして視準光学アセンブリを使って平行にされる。1つの光検出器システムが470nmの供給源から蛍光を検出するように、帯域通過フィルタは蛍光を各々のチャネルから分けるのに用いられ、そして他は650nmの供給源から蛍光を検出する。フィルターの各々は励起光頻度をブロックする。システムのブロックダイヤグラムを図14に示す。
【0071】
プラスチックBacT/ALERT(R)SA(バイオメリエラクス社)培養ボトルは、10mLの通常のヒト血液または繊維素を除かれたウマ血液で満たされ、そして様々な微生物の102-103のCFUを接種した。ボトルは機器に搭載され、そして120時間まで10分毎に読まれた。光ファイバープローブを、0および90度の間の角度で、振動培養ボトルの側壁に隣接して置いた。その上、BacT/ALERT(R)SAボトルを、内在する液体エマルジョンセンサー(LES)およびデータを集めるためにチューブの底に対して垂直で置かれる光ファイバープローブなしで作成した。
【0072】
いくつかの側壁の読みの培養物の結果を、肺炎球菌、E. faecalis、プロテウス・ミラビリスおよびC. hominisのそれぞれについて、図12A-12Dで示す。蛍光強さの明らかな変化が、双方のテスト波長(Ex650/Em670 nmおよびEx470/Em670 nm)について、微生物の増殖により起こった。さらにまた、蛍光信号の範囲、比率および方向は、テストした種の間で異なった。
【0073】
いくつかの底部壁の読みの培養物の結果を、内在する液体のエマルジョンセンサー(LES)なしで作成されるBacT/ALERT(R)SAボトルでの肺炎球菌、プロテウス・ミラビリス、黄色ブドウ球菌および大腸菌のそれぞれについて、図13A-13Dに示す。蛍光強さ、比率および方向の特徴のある変化は、最初の検出の2、3時間内で、微生物のこれらの種について観察された。
【0074】
図12A-Dおよび13A-Dは、蛍光での微生物に特有の変化の分析が、微生物を既存の命名法または生物の生来の代謝、病原性および毒性の特徴のいずれかに基づく臨床的に関連したグループまたはカテゴリーに分類するのに用いられることを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルにおいて存在しうる生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるための方法であって、サンプルを含む増殖組成物の少なくとも2つの時間依存的な測定値を得るために分光学的技術を利用すること、および前記サンプルにおいて存在する任意の生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるために前記測定値を相関させることを含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルは、血液、体液、または不透明な物質を含み、前記生物学的粒子は微生物である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
前記サンプルは臨床サンプルであり、および前記増殖組成物は液体培養基である、請求項2に従う方法。
【請求項4】
前記サンプルは非臨床的サンプルである、請求項1に従う方法。
【請求項5】
前記生物学的粒子は微生物であり、および前記微生物は、グラム集団、臨床的グラム集団、治療上の集団、機能的な集団、および自然自家蛍光集団からなる群より選ばれる1またはそれよりも多くの分類モデル上に特徴付けられる、請求項1に従う方法。
【請求項6】
前記分類モデルは、グラム染色でダークブルーに染色されるグラム陽性微生物、グラム染色で赤に染色されるグラム陰性微生物、またはグラム染色でダークブルーに染色される酵母細胞からなる群より選ばれるグラム集団中に前記微生物を特徴付ける、請求項5に従う方法。
【請求項7】
前記分類モデルは、球菌、双球菌、ロッド(桿体)、または桿菌からなる群の1またはそれよりも多くから選ばれる臨床的グラム集団中に前記微生物を特徴付ける、請求項5に従う方法。
【請求項8】
前記分類モデルは、高度に耐性化している腸内細菌科(enterobacteriacae、Enterobacteriaceae)(EB)種が感受性EB種から区別されるか、またはフルコナゾール耐性カンジダ種が感受性カンジダ種から区別される、治療上の集団中に前記微生物を特徴付ける、請求項5に従う方法。
【請求項9】
前記生物学的粒子の検出により、自動化した通知が提供される、請求項1に従う方法。
【請求項10】
前記検出は方法の開始から48時間未満で起こる、請求項9に従う方法。
【請求項11】
前記分光学的技術は、前面蛍光および拡散反射率を包含し、および前記組成物は液体培養基を含む、請求項1に従う方法。
【請求項12】
分光学的技術は、約5分ごとから約1時間ごとまでの時間間隔でサンプルを励起することを含む、請求項11に従う方法。
【請求項13】
前記特徴付けは検出後8時間内で起こる、請求項12に従う方法。
【請求項14】
前記相関は、既知の生物学的粒子に供されるコントロールの測定値を有する前記少なくとも2つの時間依存的な測定値の比較を含む、請求項1に従う方法。
【請求項15】
前記相関は既知の生物学的粒子を特徴付けることである、請求項1に従う方法。
【請求項16】
前記相関は前記生物学的粒子を検出することである、請求項1に従う方法。
【請求項17】
サンプルにおいて存在しうる生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるための自動化されたシステムであって、次の、(1)増殖組成物および前記サンプルを含む増殖チャンバー、(2)2つまたはそれよりも多くの時点での前記サンプルからの反射率および/または蛍光の測定値を得るために、時間依存的な反射率および/または蛍光の分光計を含む測定装置、および(3)前記生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるために前記測定値を相関させるための手段を含み、前記増殖チャンバーは前記分光計内で配置され、および前記測定値は前記増殖チャンバーに対し非侵襲性である、自動化システム。
【請求項18】
前記相関は、既知の生物学的粒子に供されるコントロールの測定値を有する前記2つまたはそれよりも多くの時点での前記時間依存的な反射率および/または蛍光の測定値の比較を含む、請求項17の自動化システム。
【請求項19】
前記比較はソフトウェアを用いて行われる、請求項18の自動化システム。
【請求項20】
前記分光計は、微生物の代謝活性による微生物の増殖パラメータおよび複合体培養基の変化を監視するために構成される、請求項17に従うシステム。
【請求項21】
前記増殖チャンバーは密閉容器である、請求項17に従うシステム。
【請求項22】
前記増殖チャンバーはさらに、生物学的粒子の増殖を非侵襲的に検出するためにセンサーを含む、請求項17に従うシステム。
【請求項23】
さらに、前記生物学的粒子の検出により信号を提供する自動化通知装置を含む、請求項16に従うシステム。
【請求項24】
システムはさらに、前記生物学的粒子の特徴付けにより信号を提供する第2の自動化通知装置を含む、請求項19に従うシステム。
【請求項25】
生物学的粒子をサンプルにおいて存在するならば検出し、および/または特徴付けるための方法であって、次のステップ
(a)前記サンプルおよび増殖組成物が含まれる容器を診断システム中に導入することであり、そこで前記サンプルおよび増殖組成物は、前記診断システムへの前記容器の導入に先立ち、またはその導入の後に前記容器に含めることができ、
(b)前記容器を、1またはそれよりも多くの予め定められた時点に、または連続的に照射すること、
(c)前記照射された組成物を、少なくとも2つの測定値を得るために、前記1またはそれよりも多くの予め定められた時点で、または連続的に監視することであり、前記監視は、反射率および蛍光のため、それぞれ、照射において用いられる波長と等しいか、またはそれよりも長い波長で行われ、および
(d)前記生物学的粒子を検出し、および/または特徴付けるために前記測定値を相関させること
を含む、方法。
【請求項26】
前記相関は、前記少なくとも2つの測定値と既知の生物学的粒子に供されるコントロール測定値との比較を含む、請求項25に従う方法。
【請求項27】
前記測定値は、前記生物学的粒子の特徴付けについて、次の(a)球菌、(b)双球菌、(c)ロッド、または(d)桿菌の1またはそれよりも多くからなる群より選ばれる微生物の分類モデルに相関される、請求項25に従う方法。
【請求項28】
前記測定値は、前記生物学的粒子の特徴付けについて、次の(i)グラム陽性球菌、(ii)グラム陽性球菌の連鎖、(iii)グラム陽性球菌のクラスター、(iv)グラム陽性双球菌、(v)グラム陽性ロッド、(vi)内生胞子を有するグラム陽性ロッド、(vii)グラム陰性ロッド、(viii)グラム陰性球桿菌、(ix)グラム陰性双球菌、(x)酵母、および(xi)糸状菌類の1またはそれよりも多くからなる形態学的群より選ばれる微生物の分類モデルに相関される、請求項25に従う方法。
【請求項29】
前記測定値は、前記生物学的粒子の特徴付けについて、(a)感受性の腸内細菌科(enterobacteriacae、Enterobacteriaceae)(EB)種からの高度に耐性化しているEB種、および(b)感受性のカンジダ属種からのフルコナゾール耐性カンジダ属種からなる群の1またはそれよりも多くからなる治療上の群より選ばれる微生物の分類モデルに相関される、請求項25に従う方法。
【請求項30】
前記測定値は、前記生物学的粒子の特徴付けについて、非発酵性の生物および発酵性の生物からなる1またはそれよりも多くの群からなる機能的な集団より選ばれる微生物の分類モデルに相関される、請求項25に従う方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−529187(P2011−529187A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520183(P2011−520183)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051473
【国際公開番号】WO2010/011798
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(502073946)バイオメリュー・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】bioMerieux, Inc.
【Fターム(参考)】