説明

サーバーの無停電電源装置

【課題】サーバーのサーバーケースに収納しながら、停電時においてサーバーを安定に動作する。二次電池から電力を供給する電源ラインの配線を簡単にする。
【解決手段】サーバーの無停電電源装置は、サーバー90のサーバーケース91に収納されて、サーバー90の直流12Vの電源ライン43に接続される。この無停電電源装置は、電源ライン43の電圧を二次電池1の充電電圧に昇圧する昇圧用のDC/DCコンバータ3と、定格電圧を13V以上であって60V以下とする二次電池1と、二次電池1の電圧を電源ライン43の電圧に降圧して出力する降圧用のDC/DCコンバータ2と、昇圧用のDC/DCコンバータ3と降圧用のDC/DCコンバータ2とを制御する充放電制御回路4とを備えている。無停電電源装置は、商用電源95の停電状態において、二次電池1の出力電圧を電源ライン43の電圧に降圧して出力して、サーバー90を動作状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーのサーバーケースに収納されて、停電時には所定の時間サーバーに電力を供給するサーバーの無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバーは、停電時に正常な動作を保証する必要がある。このことを実現するために、サーバーの外部に設置される無停電電源装置が開発されている(特許文献1参照)。この無停電電源装置は、鉛蓄電池などの二次電池を内蔵し、停電時には交流の商用電源に代わってサーバーに交流電力を供給する。したがって、この無停電電源装置は、サーバーの商用電源の入力側に接続されて、停電時に商用電源に変わって交流電力を出力する。このため、この無停電電源装置は、停電を検出すると二次電池の出力をDC/ACインバータで商用電源と同じ電圧の交流に変換して出力する。停電時には、二次電池から出力される電力は、DC/ACインバータで交流に変換してサーバーに供給され、さらに、サーバーに内蔵される電源回路でもって、入力される交流を所定の電圧の直流に変換して電源ラインに供給している。この回路構成によると、二次電池の出力は、DC/ACインバータと電源回路を介して電源ラインに供給されるので、二次電池から出力される電力の利用効率が相当に低くなる欠点がある。さらに、この無停電電源装置は、サーバーケースの外部に設置されるので、便利に使用できない欠点もある。
【0003】
以上の欠点を解消するために、サーバーのサーバーケースの底部にセットできる無停電電源装置が開発されている(特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2の無停電電源装置は、内蔵する電池に充電される電力を交流に変換することなく、DC/DCコンバータで電源ラインの直流電圧に変換して出力する。したがって、DC/DCコンバータの出力を直接にサーバーの電源ラインに供給して電池の利用効率を高くできる。この無停電電源装置は、サーバーの電源ラインの電圧よりも低い電圧の二次電池を備えるので、停電時には二次電池の電圧を昇圧用のDC/DCコンバータで昇圧してサーバーの電源ラインに供給する必要がある。この回路構成によると、二次電池の電力効率が低下するばかりでなく、二次電池の放電電流が大きくなることから、放電ラインの電気抵抗を低抵抗な状態とする必要があって、電力を供給するラインを極めて太い配線とする必要があるなどの弊害が発生する。とくに、サーバーケースに収納される無停電電源装置は、電力効率をいかに高くできるかが極めて大切である。それは、二次電池の電力を効率よくサーバーに供給して、サーバーの動作時間を長くできることに加えて、停電時に発生する無停電電源装置の発熱を少なくできるからである。停電時における無停電電源装置の発熱は決して無視できない。たとえば、電力効率を90%とする無停電電源装置が1kWの電力を供給するとき、100Wの電力が発熱に利用されて温度を上昇させる。さらに、停電時にはエアコンの動作が停止することから、サーバーと無停電電源装置の両方の発熱を有効に冷却できない状態となる。この状態で、サーバーを正常に動作させるために、無停電電源装置の発熱は極力少なくすることが要求される。とくに、サーバーケースに収納している無停電電源装置の発熱が大きくなると、これがサーバーを加熱してサーバーの安定な動作を保証できなくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−42495号公報
【特許文献2】特開2003−309935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、サーバーのサーバーケースに収納しながら、停電時においてサーバーを安定に動作できるサーバーの無停電電源装置を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、二次電池から電力を供給する電源ラインの配線を簡単にしながら、二次電池から効率よくサーバーの電源ラインに電力を供給できるサーバーの無停電電源装置を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の大切な目的は、サーバーのサーバーケースに収納することで、便利に使用できるサーバーの無停電電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、サーバー90のサーバーケース91に収納され、かつサーバー90の直流12Vの電源ライン43にDC/DCコンバータを介して接続されて、電源ライン43の電力で充電され、かつ電源ライン43に電力を供給する二次電池1を備えている。この無停電電源装置は、サーバー90の電源ライン43に接続されて電源ライン43の電圧を二次電池1の充電電圧に昇圧する昇圧用のDC/DCコンバータ3と、この昇圧用のDC/DCコンバータ3で充電される定格電圧を13V以上であって60V以下とする二次電池1と、この二次電池1の電圧を電源ライン43の電圧に降圧してサーバー90の電源ライン43に出力する降圧用のDC/DCコンバータ2と、昇圧用のDC/DCコンバータ3と降圧用のDC/DCコンバータ2とを制御する充放電制御回路4とを備えている。無停電電源装置は、サーバー90に電力を供給する商用電源95の停電状態において、二次電池1の出力電圧が、降圧用のDC/DCコンバータ2でもって、サーバー90の電源ライン43の電圧に降圧して電源ライン43に出力されて、サーバー90を動作状態を保持する。
【0008】
以上の無停電電源装置は、サーバーのサーバーケースに収納して便利に使用できるにもかかわらず、停電時においてはサーバーを安定に動作状態にできる特徴がある。それは、二次電池の電圧をサーバーの電源ラインの12Vよりも高くして、停電時には二次電池の電圧を降圧用のDC/DCコンバータで降圧して、サーバーの電源ラインに供給するからである。降圧用のDC/DCコンバータは、二次電池から電源ラインに電力を供給する状態と、電力の供給を遮断する状態とを所定の周期で繰り返すことで、すなわち、二次電池と電源ラインとの間に接続しているスイッチング素子を所定の周期でオンオフに切り換えるデューティーをコントロールすることで、電源ラインに電力を供給できる。この状態で電力を供給する降圧用のDC/DCコンバータは、スイッチング素子をオンに切り換える状態で効率よく二次電池の電力を電源ラインに供給し、またスイッチング素子をオフに切り換えるタイミングで平均的に供給する電力をコントロールするので、二次電池から電源ラインに極めて効率よく電力を供給できる。すなわち、スイッチング素子をオンに切り換えるタイミングで、二次電池から電源ラインに供給されるときに発生する電力ロスは、スイッチング素子のオン抵抗のみであるから、スイッチング素子にオン抵抗の小さい素子を使用することで、二次電池から電源ラインに供給される電力ロスを極めて小さくできる。これに対して、昇圧用のDC/DCコンバータは、二次電池から出力される電力をコイルに蓄え、あるいはトランスで昇圧して電源ラインに供給する必要がある。コイルに電力を蓄えて昇圧する回路構成にあっては、コイルに通電するタイミングでの電力ロスを0にできず、また、トランスで昇圧する回路構成にあっては、トランスの効率を100%にできず、これ等が電力効率を低くする原因となる。
【0009】
降圧用のDC/DCコンバータは、極めて簡単な回路構成としながら、極めて効率よく二次電池の電力をサーバーの電源ラインに供給して電力効率を極めて高くできる。電力効率は、無停電電源装置が動作する状態での発熱量を特定する。電力効率を90%とする無停電電源装置は、二次電池から出力される電力の10%を発熱として温度を上昇させる。すなわち、電源ラインに供給されないで損失となる電力は、無停電電源装置を発熱させる電力に利用される。以上の無停電電源装置は、電力効率を極めて高くできることから、停電して二次電池からサーバーの電源ラインに電力を供給する状態での発熱量を少なくできる。このため、停電時にそれ自体でも発熱するサーバーを、無停電電源装置で加熱する熱エネルギを少なくして、サーバーを安定に動作できる。
【0010】
さらに、以上の無停電電源装置は、二次電池から電力を供給する電源ラインの配線を簡単にしながら、二次電池から効率よくサーバーの電源ラインに電力を供給できる特徴も実現する。それは、二次電池の電圧を降圧してサーバーの電源ラインに供給するので、サーバーの電源ラインの電流よりも二次電池の放電電流を小さくできるからである。このことは、大電力のサーバーにとって特に大切である。それは、大電力のサーバーは、電源ラインの電流が大きく、二次電池の電流も大きくなるからである。たとえば、1kWのサーバーは、12Vの電源ラインに100A近い大電流が流れるので、二次電池の電圧を昇圧して供給する回路構成にあっては、さらに二次電池の電流が大きな電流となる。ところが、以上の無停電電源装置は、二次電池の電圧を電源ラインの電圧の2倍とすることで、二次電池の電流を電源ラインの電流の1/2と相当に低くできる。
【0011】
さらに、以上の無停電電源装置は、二次電池の出力を交流に変換するのではなく、降圧用のDC/DCコンバータでサーバーの電源ラインの直流電圧に変換して出力するので、二次電池の出力をさらに効率よくサーバーに供給できる。このことは、無停電電源装置の発熱を少なくできることに加えて、二次電池でサーバーの動作時間を長くできる特徴も実現する。
【0012】
さらにまた、以上の無停電電源装置は、二次電池の電圧を60Vよりも低くしているので、昇圧用のDC/DCコンバータや降圧用のDC/DCコンバータの電子部品に高耐圧のスイッチング素子電子部品を使用する必要がなく、安価なパーツを使用しながら、電子部品自体の電力ロスを小さくして、電力効率を高くできる特徴も実現する。高耐圧の電子部品は、部品コストが高くなるばかりでなく、高耐圧な構造とするためにオン抵抗が大きくなって電力損失が大きくなる。
【0013】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、サーバー90を、複数のブレードサーバ50またはラックサーバ51をサーバーケース91に脱着自在にセットしてなるサーバーとして、サーバーケース91にセットされるブレードサーバ50やラックサーバ51、あるいは電源ユニット60、80に代わって脱着自在にセットできる外装ケース11、21、31、71を備えて、この外装ケース11、21、31、71に、昇圧用のDC/DCコンバータ3と、二次電池1と、降圧用のDC/DCコンバータ2と、充放電制御回路4とを内蔵することができる。
以上の無停電電源装置は、ブレードサーバやラックサーバ、あるいは電源ユニットに代わってサーバーのサーバーケースに簡単にセットできるので、無停電電源装置をセットするために専用設計されないサーバーのサーバーケースに、ブレードサーバやラックサーバに代わって、または電源ユニットに代わってセットすることで極めて便利に使用できる特徴がある。
【0014】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、充放電制御回路4が、降圧用のDC/DCコンバータ2を、非停電時状態では非動作状態として、停電状態で動作状態に切り換えるように制御することができる。
以上の無停電電源装置は、停電しない状態で降圧用のDC/DCコンバータを動作しない状態とするので、この状態での無駄な電力消費を極めて少なくできる。
【0015】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、充放電制御回路4が、サーバー90から入力される停電信号を検出して、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換えることができる。
以上の無停電電源装置は、サーバーの停電信号で降圧用のDC/DCコンバータを動作状態に切り換えるので、降圧用のDC/DCコンバータを動作状態に切り換えるための回路や配線を設ける必要がなく、サーバーのサーバーケースに簡単にセットしながら、停電しない状態での電力消費を削減できる特徴がある。
【0016】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、充放電制御回路4が、商用電源95の交流ライン96に接続されて停電を検出する停電検出回路97から有線または無線によって伝達される停電信号を検出して、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換えることができる。
以上の無停電電源装置は、商用電源の交流ラインに接続される停電検出回路でもって、商用電源の停電を瞬時に検出しながら、停電検出回路から有線または無線によって伝達される停電信号を充放電制御回路で検出して降圧用のDC/DCコンバータを速やかに動作状態に切り換えできる。
【0017】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、二次電池1の定格電圧を、30V以上であって50V以下とすることができる。
以上の無停電電源装置は、二次電池の電圧を電源ラインの約3倍以上に高くするので、二次電池の電力をサーバーの電源ラインの電流の約1/3以下に少なくして、電源ラインの配線を簡単にできる特徴がある。また、50Vよりも低くするので、電子部品を低圧の安価なものが使用でき、しかもオン抵抗を小さくして電力ロスをより高くできる。
【0018】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、二次電池1を、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のいずれかからなる複数の素電池5を直列に接続したものとすることができる。
以上の無停電電源装置は、小さく、軽くて充電容量の大きいニッケル水素電池やリチウムイオン電池を使用するので、サーバーのサーバーケースに収納しながら、大電流のサーバーの動作時間を長くできる。
【0019】
本発明のサーバーの無停電電源装置は、外装ケース21、71が、内部の空気を強制的に換気する冷却ファン24、74を備えることができる。
以上の無停電電源装置は、冷却ファンで強制送風して冷却できるので、無停電電源装置が動作する状態での温度上昇を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例にかかる無停電電源装置がセットされるサーバーの斜視図である。
【図2】図1に示すサーバーの垂直断面図である。
【図3】図1に示すサーバーのブロック図である。
【図4】サーバーの他の一例を示すブロック図である。
【図5】サーバーの他の一例を示すブロック図である。
【図6】サーバーの他の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施例にかかる無停電電源装置の斜視図である。
【図8】図7に示す無停電電源装置を背面から見た分解斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる無停電電源装置の斜視図である。
【図10】図9に示す無停電電源装置を背面から見た分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる無停電電源装置の斜視図である。
【図12】図11に示す無停電電源装置を背面から見た分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる無停電電源装置の斜視図である。
【図14】図13に示す無停電電源装置を背面から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのサーバーの無停電電源装置を例示するものであって、本発明は無停電電源装置の構造や回路構成を以下のものに特定しない。
【0022】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
図1と図2に示すサーバー90は、サーバーケース91に複数のブレードサーバ50とラックサーバ51を脱着自在にセットしている。複数のブレードサーバ50は、エンクロージャー40に収納されて、エンクロージャー40をサーバーケース91に収納している。エンクロージャー40は、複数のブレードサーバ50を脱着自在にセットしており、その下部には、ブレードサーバ50に電力を供給する複数の電源ユニット60を脱着自在にセットしている。ラックサーバ51は、サーバーケース91の底部にを脱着自在にセットしている。無停電電源装置10、20、30は、サーバー90のブレードサーバ50に代わって脱着自在にセットされ、あるいは電源ユニット60に代わって脱着自在にセットされ、あるいは、ラックサーバ51に代わってサーバーケース91に脱着自在にセットされて、停電時にブレードサーバ50やラックサーバ51に電力を供給して所定の時間はサーバー90を動作状態に保持する。無停電電源装置10、20、30が、停電してからサーバー90を動作状態に保持する時間は、サーバー90を正常に終了処理できる時間よりも長く、たとえば2分間ないし10分間とする。図1と図2のエンクロージャー40は、ブレードサーバ50を複数段、すなわち2段に収納して、各段に複数列にブレードサーバ50を収納できるようにしている。さらに、図のエンクロージャー40は、ブレードサーバ50の下方に、複数の電源ユニット60を水平方向に並べて収納できる構造としている。
【0024】
図のサーバーケース91は、複数のブレードサーバ50をセットしている複数のエンクロージャー40を脱着自在にセットできる構造としている。サーバーケース91は、エンクロージャー40の全ての位置にブレードサーバ50を使用しないので、ブレードサーバ50をセットしない部分に、ブレードサーバ50に代わって無停電電源装置10をセットできる。さらに、図のサーバーケース91は、底部に複数のラックサーバ51をセットできる構造としており、ラックサーバ51に代わって無停電電源装置30をセットしている。
【0025】
サーバーケース91にセットされる無停電電源装置10、20、30の数は、停電状態でサーバー90を所定の時間動作状態にできる個数に設定される。1台の無停電電源装置10、20、30で停電後の所定の時間にわたって動作状態にできない場合は、複数の無停電電源装置10、20、30をセットする。セットされる複数の無停電電源装置10、20、30は並列に接続されて、サーバー90に電力を供給して、サーバー90を所定の時間動作状態とする。たとえば、消費電力を1kWとするサーバーは、500Wの無停電電源装置を少なくとも2台セットして、所定の時間動作状態にできる。
【0026】
無停電電源装置10、20、30は、ブレードサーバ50または電源ユニット60に代わってエンクロージャー40に脱着自在にセットでき、あるいはラックサーバ51に代わってサーバーケース91に脱着自在にセットできる外装ケース11、21、31と接続部12、22、32とを備えている。接続部12、22、32は、外装ケース11、21、31をエンクロージャー40やサーバーケース91の所定の位置にセットする状態で、無停電電源装置10、20、30をサーバー90の電源ライン43に接続する。
【0027】
さらに、サーバーケース91は、図2に示すように、セットされるブレードサーバ50や電源ユニット60に接続されるバスラインや通信ライン7や電源ライン43等を設けているコネクトベイ41を背面に備えている。サーバーケース91の定位置にセットされるブレードサーバ50や電源ユニット60は、定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続端子やコネクタからなる接続部52、62を設けており、この接続部52、62を介してコネクトベイ41に接続される。したがって、ブレードサーバ50や電源ユニット60に代わってセットされる無停電電源装置10、20も、サーバーケース91の定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続部12、22を設けている。
【0028】
図3は、サーバー90のブロック図を示している。この図に示すサーバー90は、入力される商用電源95をブレードサーバ50の電源ライン43に供給する電源ユニット60を備えている。電源ユニット60は、入力される商用電源95を直流に変換するAC/DC変換回路63と、このAC/DC変換回路63から出力される直流をブレードサーバ50の電源ライン43に供給する直流12Vに変換するDC/DCコンバータ64とを備えている。この図のサーバー90は、ブレードサーバ50に電源回路53を内蔵しており、電源ユニット60から供給される直流電圧を、ブレードサーバ50に内蔵される負荷55である内部の回路に最適な電圧に変換するサブDC/DCコンバータ54を内蔵している。図のサーバー90は、電源ユニット60からブレードサーバ50の電源ライン43に供給する電圧を12Vとし、ブレードサーバ50は、この12Vを5V、3.3V、1Vに変換するサブDC/DCコンバータ54を内蔵している。図示しないが、ラックサーバ51もブレードサーバ50と同様の構造としており、電源ユニット60からラックサーバ51の電源ラインに供給される12Vの電圧を、ラックサーバ51に内蔵される負荷である内部の回路に最適な電圧に変換して供給している。
【0029】
無停電電源装置10、20、30は、充電できる二次電池1と、二次電池1の出力電圧をサーバー90の電源ライン43に供給できる直流電圧に降圧する降圧用のDC/DCコンバータ2と、電源ライン43の電圧を二次電池1の充電電圧に昇圧する昇圧用のDC/DCコンバータ3と、降圧用のDC/DCコンバータ2と昇圧用のDC/DCコンバータ3を制御する充放電制御回路4とを備えている。
【0030】
二次電池1は、複数の素電池5を直列に接続して、定格電圧をサーバー90の電源ライン43の12Vよりも高く、すなわち13V以上であって60Vよりも低くしている。二次電池1の定格電圧が13Vよりも低いと、二次電池1の電圧を降圧してサーバー90の電源ライン43に供給できなくなり、反対に60Vよりも高いと、降圧用のDC/DCコンバータ2や昇圧用のDC/DCコンバータ3に使用する電子部品に高耐圧の素子を使用する必要があって、電力損失が大きくなる。また、二次電池1は、電圧を高くすることで、サーバー90の電源ライン43に供給する平均電流を小さくできる。したがって、二次電池1の定格電圧は、好ましくは30Vよりも高く、理想的には35Vよりも高くする。この二次電池1は、サーバー90の電源ライン43に供給する平均電流を約1/3にできる。さらに、二次電池1の電圧は、好ましくは50Vよりも低くして、使用する電子部品の耐圧を低くする。
【0031】
二次電池1の素電池5には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池を使用する。二次電池1は、たとえば400W〜2kWの電力を、2分間ないし10分間連続してサーバー90の電源ライン43に出力できる容量に設定される。
【0032】
降圧用のDC/DCコンバータ2は、二次電池1の出力をサーバー90の電源ライン43に供給できる電圧である12Vに降圧して出力する。降圧用のDC/DCコンバータ2の出力電圧は、12V±0.5Vの範囲に設定される。図の無停電電源装置10、20、30は、降圧用のDC/DCコンバータ2の出力側に逆流を阻止するダイオード6を接続している。
【0033】
昇圧用のDC/DCコンバータ3は、サーバー90の電源ライン43の12Vの直流を二次電池1の充電電圧に昇圧して出力する。昇圧用のDC/DCコンバータ3は、出力電流を安定化する回路を内蔵している。素電池をニッケル水素電池とする二次電池を充電する昇圧用のDC/DCコンバータは、定電流回路でもって、素電池の充電電流を所定の電流に制限する。素電池をリチウムイオン電池とする二次電池を充電する昇圧用のDC/DCコンバータは、定電圧・定電流回路を内蔵して、二次電池の電圧上昇を制限しながら充電する。二次電池1を充電する昇圧用のDC/DCコンバータ3の出力電流は、電源ライン43に電力を供給する降圧用のDC/DCコンバータ2の出力電流に比較して極めて小さく、たとえば0.5A〜1Aに設定される。二次電池1を時間をかけて充電できるからである。出力電流の小さい昇圧用のDC/DCコンバータ3は、小さくて発熱を少なくできる。
【0034】
充放電制御回路4は、二次電池1の残容量を検出し、昇圧用のDC/DCコンバータ3を制御し、あるいは昇圧用のDC/DCコンバータ3の出力側に設けている充電スイッチを制御して、二次電池1の残容量を常に設定範囲に保持する。時間が経過して二次電池1が放電されて残容量が設定範囲よりも小さくなると、充放電制御回路4は、昇圧用のDC/DCコンバータ3を動作状態とし、あるいは昇圧用のDC/DCコンバータ3の出力側に接続している充電スイッチをオンに切り換えて、二次電池1を充電し、残容量が設定値になると昇圧用のDC/DCコンバータ3の動作を停止し、あるいは昇圧用のDC/DCコンバータ3を動作状態としながら、充電スイッチをオフに切り換えて充電を停止する。充放電制御回路4は、たとえば、二次電池1の残容量を80%〜100%に保持するように、昇圧用のDC/DCコンバータ3の動作状態や充電スイッチを制御する。また、充放電制御回路4は、二次電池1の過放電を防止するように降圧用のDC/DCコンバータ2も制御する。停電して、二次電池1を放電してサーバー90に電力を供給する状態で、二次電池1の残容量が最低容量まで減少すると、降圧用のDC/DCコンバータ2の動作を停止して二次電池1の放電を停止する。
【0035】
充放電制御回路4は、商用電源95が停電したことを検出して、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換える。充放電制御回路4は、停電しない状態においては、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態としない。すなわち、非停電時において、降圧用のDC/DCコンバータ2は非動作状態に保持される。動作状態にある降圧用のDC/DCコンバータ2は、たとえ無負荷の状態にあっても相当な電力を消費する。たとえば、降圧用のDC/DCコンバータ2が、無負荷の状態において定格出力の2%の電力を消費するとしても、定格出力を500Wとするものにあっては、無負荷の動作状態において10W以上の電力を消費する。この電力は常に連続して消費されて無駄に電力を消費する。この弊害を防止するために、充放電制御回路4は、商用電源95が停電して、サーバー90の電源ユニット60から電源ライン43に12Vの直流を出力できないときにのみ、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換える。動作状態に切り換えられた降圧用のDC/DCコンバータ2は、二次電池1の出力を12Vに降圧して、サーバー90の電源ライン43に供給して動作状態を保持する。
【0036】
降圧用のDC/DCコンバータ2は、商用電源95が停電して、サーバー90の電源ライン43の電圧が低下したことを検出して、動作状態に切り換えられるのではない。充放電制御回路4は、サーバー90から入力される停電信号で降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換える。サーバー90は、商用電源95の停電を瞬時に検出する停電検出回路65を内蔵しており、停電したことを検出すると、無停電電源装置10、20、30の充放電制御回路4に停電信号を出力する。充放電制御回路4は、サーバー90から停電信号を入力するために、通信ライン7を介してサーバー90に接続している。この無停電電源装置10、20、30は、商用電源95の停電を検出する必要がないので、商用電源95の交流ライン96に接続する必要がない。ただし、本発明の無停電電源装置は、充放電制御回路に商用電源の停電を検出する回路を設けて停電を検出することもできる。
【0037】
さらに、無停電電源装置10、20、30は、図4と図5に示すように、商用電源95の交流ライン96に接続されて停電を検出する停電検出回路97から有線または無線で伝送される停電信号を充放電制御回路4で検出して、降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換えることもできる。図の停電検出回路97は、サーバー90に内蔵されることなく、サーバー90の外部において商用電源95に直接に接続されて停電を検出する回路としている。この停電検出回路97は、図示しないが、商用電源95のコンセントにプラグを介して接続されて、商用電源95の停電時には、商用電源95が停電したことを検出して停電信号を出力する。停電検出回路97からの停電信号は、図4に示すように、有線である通信ライン98を介して無停電電源装置10、20、30の充放電制御回路に入力し、あるいは、図5に示すように、無線信号として無停電電源装置10、20、30の充放電制御回路4に伝送される。図5の無停電電源装置10、20、30は、停電検出回路97から送信される無線信号を受信する受信器99を内蔵しており、この受信器99で無線信号を受信して充放電制御回路4に入力している。ただ、停電検出回路97から送信される無線信号は、図6に示すように、サーバー側であるコネクトベイ41で受信した後、通信ライン7を介して無停電電源装置10、20、30の充放電制御回路4に入力することもできる。以上の構造は、サーバー90の外部に配設されて商用電源95に直接に接続される停電検出回路97で商用電源95の停電を瞬時に検出して、停電検出回路97から複数の無停電電源装置10、20、30に停電信号を伝送する。
【0038】
サーバー90や充放電制御回路4は、商用電源95の停電を速やかに検出して、降圧用のDC/DCコンバータ2を速やかに動作状態に切り換える。商用電源95が停電してサーバー90の電源ユニット60から電源ライン43に12Vの直流を出力できなくなると、電源ライン43の電圧は次第に低下する。無停電電源装置10、20、30は、停電して電源ライン43の電圧が設定値まで低下するより先に降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換えて、電源ライン43に電力を供給する。サーバー90の電源ライン43は、大容量の電解コンデンサ44を接続しているので、停電しても瞬時には電圧が低下しない。電解コンデンサ44によって、電源ライン43の電圧が、設定電圧、すなわち、サーバー90を正常に動作できる最低電圧に低下する以前に、充放電制御回路4が降圧用のDC/DCコンバータ2を動作状態に切り換えて、二次電池1から電源ライン43に電力を供給して、サーバー90を停電後においても動作状態に保持する。停電して動作状態になった降圧用のDC/DCコンバータ2は、二次電池1からサーバー90の電源ライン43に動作電力を供給する。この状態で、サーバー90は終了処理などの所定の処理をして電源をオフに切り換える。二次電池1は、サーバー90が終了処理などの所定の処理を完了するまで、電源ライン43に動作電圧を供給する。サーバー90が所定の処理を終了して電源をオフに切り換えた後、充放電制御回路4は、降圧用のDC/DCコンバータ2の動作を停止し、あるいは二次電池1の残容量が最低容量よりも少なくなると、降圧用のDC/DCコンバータ2の動作を停止する。
【0039】
充放電制御回路4は、停電を検出した後は、昇圧用のDC/DCコンバータ3も動作しない状態に切り換える。昇圧用のDC/DCコンバータ3は、降圧用のDC/DCコンバータ2に比較して出力が相当に小さいので、無負荷状態の消費電力は小さい。たとえば、36Vの二次電池1を0.5Aで充電する昇圧用のDC/DCコンバータ3は、定格出力が18Wと相当に小さい。このため、昇圧用のDC/DCコンバータ3の無負荷における消費電力も相当に小さくなる。たとえば、無負荷で定格出力の5%の電力を消費するとしても、0.9Wの電力を消費するに過ぎない。ただ、この昇圧用のDC/DCコンバータ3が停電時に動作状態になると、わずかであっても電力を消費する。また、停電時には、昇圧用のDC/DCコンバータ3が動作状態となって二次電池1を充電することはないので、充放電制御回路4は、停電を検出するときには、昇圧用のDC/DCコンバータ3を動作しない状態に切り換える。ただ、停電してサーバー90に電力を供給する時間は、たとえば2分間ないし10分間と短いので、この間に昇圧用のDC/DCコンバータ3を動作状態とすることもできる。
【0040】
停電検出回路65は、サーバー90に内蔵されて、商用電源95の停電を瞬時に検出する。図3に示すサーバー90は、電源ユニット60に停電検出回路65を内蔵している。ただ、停電検出回路は、コネクトベイに内蔵することもできる。さらに、図4ないし図6に示すように、停電検出回路97は、サーバー90の外部において商用電源95の交流ライン96に接続して、商用電源95の停電を瞬時に検出することもできる。停電検出回路65、97は、図示しないが、商用電源95の交流を、積分回路又は微分回路でもって、商用電源95に対して90度位相のずれた変相信号とし、この変相信号と、交流電源である商用電源95から入力される入力信号の両方を別々に二乗回路で二乗し、各々の二乗回路の出力を加算回路で加算することで、商用電源95の停電を速やかに検出できる。
この停電検出回路65、97は、商用電源95から入力される入力信号をωとするとき、以下の式を実現して、Aの電圧の直流を出力する。すなわち、交流を入力して直流を出力する。この式においてAは、商用電源95のピーク電圧となる。
(Asinω)+(Acosω)=A が成立する。
この停電検出回路65、97は、商用電源95が入力される状態では、加算回路が一定の直流電圧(A)を出力するが、停電して商用電源95の入力波形がサイン波からずれると、出力電圧が直ちに変化して、停電を検出できる。すなわち、入力される商用電源95が所定の周期で所定の電圧となるサインカーブに沿って変化しているかどうかを瞬時に判定して停電を検出する。停電検出回路65、97は、商用電源95が停電したことを検出すると、有線である通信ライン7、98を介して、あるいは無線によって、無停電電源装置10、20、30の充放電制御回路4に停電信号を伝達する。
【0041】
図7と図8は、ブレードサーバ50に代わって使用される無停電電源装置10を示している。この無停電電源装置10は、外装ケース11の前方に、充放電制御回路を実装する回路基板(図示せず)と降圧用のDC/DCコンバータ(図示せず)と昇圧用のDC/DCコンバータ(図示せず)とを内蔵し、後方に複数の素電池5からなる二次電池1を内蔵している。図の無停電電源装置20は、複数の素電池5を上下2段に配置して収納している。この無停電電源装置10は、多数の素電池5を収納して充電容量を大きくできる。このため、停電時に消費電力の大きい多数のブレードサーバ50を、長い時間にわたって連続して動作状態に保持できる。この無停電電源装置10は、図1と図2に示すように、エンクロージャー40の上部にセットされるブレードサーバ50に代わってセットされる。
【0042】
図9と図10は、電源ユニット60に代わってセットされる無停電電源装置20を示している。この無停電電源装置20は、外装ケース21の前方に、複数の素電池5からなる二次電池1を、後方に降圧用のDC/DCコンバータ2と昇圧用のDC/DCコンバータ3とを内蔵している。充放電制御回路(図示せず)は、内蔵される回路基板23に実装される。この無停電電源装置20は、図1と図2に示すように、エンクロージャー40の下部にセットされる電源ユニット60に代わってセットされる。この無停電電源装置20は、外装ケース21の前面に冷却ファン24を設けて、冷却ファン24でもって内蔵する発熱部品、たとえば降圧用のDC/DCコンバータ2や昇圧用のDC/DCコンバータ3のスイッチング素子のFET、整流用のダイオード、二次電池1などに強制送風して冷却する。外装ケース21は、前面の冷却ファン24が吸入する空気、あるいは排気する空気を通過させる多数の貫通孔26を前面パネル25に設けている。
【0043】
さらに、図の外装ケース21は、前面に、エンクロージャー40にロック状態でセットされるロックレバー27を設けている。このロックレバー27は、弾性金属板からなり、外装ケース21の側面に係止フック28を弾性的に突出させている。係止フック28は、エンクロージャー40に設けた係止部(図示せず)に係止されて、無停電電源装置20が抜けるのを阻止する。この無停電電源装置20は、ロックレバー27を操作して、係止フック28を外して、エンクロージャー40から外すことができる。
【0044】
以上の無停電電源装置10、20は、ブレードサーバ50に代わって、あるいは電源ユニット60に代わってエンクロージャー40にセットされて、エンクロージャー40に設けているコネクトベイ41に接続される接続部12、22を設けている。接続部12、22は、外装ケース11、21の奥部に設けられて、エンクロージャー40にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される。
【0045】
図11と図12は、ラックサーバ51に代わってブレードサーバケース91の底部にセットされる無停電電源装置30を示している。この無停電電源装置30は、外装ケース31の前方に、複数の素電池5からなる二次電池1を、後方に降圧用のDC/DCコンバータ2と昇圧用のDC/DCコンバータ3とを内蔵している。充放電制御回路(図示せず)は、内蔵される回路基板33に実装される。図の無停電電源装置30は、複数の二次電池1を平面状に並べて配置して収納している。この無停電電源装置30は、多数の二次電池1を収納して充電容量を大きくできる。このため、停電時に消費電力の大きい多数のブレードサーバ50やラックサーバ51を、長い時間にわたって連続して動作状態に保持できる。
【0046】
さらに、図12の無停電電源装置30は、外装ケース31の背面に冷却ファン34を設けて、冷却ファン34でもって内蔵する発熱部品、たとえば、降圧用のDC/DCコンバータ2や昇圧用のDC/DCコンバータ3のスイッチング素子のFET、整流用のダイオード、二次電池1などに強制送風して冷却する。外装ケース31は、背面の冷却ファン34が吸入する空気、あるいは排気する空気を通過させる多数の貫通孔36を前面パネル35に設けている。この無停電電源装置30は、内部の空気を冷却ファン34で強制的に換気して、無停電電源装置30の温度上昇を少なくできる。
【0047】
図1に示すサーバー90は、サーバーケース91の底部に無停電電源装置30をセットしているが、この無停電電源装置は、サーバーケースの上部であって、エンクロージャーの上方にセットすることも、サーバーケースの中間部であって、上下に配置される複数のエンクロージャーの間にセットすることもできる。
【0048】
以上のサーバー90は、ブレードサーバ50や電源ユニット60に代わって無停電電源装置10、20をセットし、あるいは、ラックサーバ51に代わってサーバーケース91に無停電電源装置30をセットすることで、停電時に所定の時間は動作状態に保持できる。サーバー90は、複数の無停電電源装置10、20、30をセットして、停電時には、各々の無停電電源装置10、20、30から、ブレードサーバ50やラックサーバ51の電源ライン43に電力を供給して、動作状態に保持することができる。
【0049】
さらに、サーバー90は、図2の鎖線で示すように、エンクロージャー40の背面でにできるスペース42に電源ユニット80を設置することもできる。図のサーバー90は、コネクトベイ41の上のスペース42に電源ユニット80を設置するが、サーバーは、コネクトベイの配置によって、コネクトベイの下や横のスペースに電源ユニットを配置することもできる。この電源ユニット80は、定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続端子やコネクタからなる接続部82を設けており、この接続部82を介してコネクトベイ41に接続される。このサーバー90は、背面のスペース42に、電源ユニット80を脱着自在にセットし、また、この電源ユニット80に代わって無停電電源装置70をセットすることができる。
【0050】
図13と図14は、サーバーケース91の背面であって、コネクトベイ41の上のスペース42に電源ユニット80に代わってセットされる無停電電源装置70を示している。この無停電電源装置70は、外装ケース71の前後に二次電池1と降圧用のDC/DCコンバータ2及び昇圧用のDC/DCコンバータ3を内蔵している。充放電制御回路(図示せず)は、内蔵される回路基板73に実装される。さらに、この無停電電源装置70は、外装ケース71の前面(サーバーケース91の背面側)に冷却ファン74を設けて、冷却ファン74でもって内蔵する発熱部品、たとえば降圧用のDC/DCコンバータ2や昇圧用のDC/DCコンバータ3のスイッチング素子のFET、整流用のダイオード、二次電池1などに強制送風して冷却する。外装ケース71は、前面の冷却ファン74が吸入する空気、あるいは排気する空気を通過させる貫通孔76を前面パネル75に設けている。
【0051】
さらに、図の外装ケース71は、前面に、エンクロージャー40にロック状態でセットされるロックレバー77を設けている。このロックレバー77は、弾性金属板からなり、外装ケース71の上面に係止フック78を弾性的に突出させている。係止フック78は、エンクロージャー40に設けた係止部(図示せず)に係止されて、無停電電源装置70が抜けるのを阻止する。この無停電電源装置70は、ロックレバー77を操作して、係止フック78を外して、エンクロージャー40から外すことができる。
【0052】
この無停電電源装置70も、電源ユニット80に代わってサーバーケース91の定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続部72を設けている。接続部72は、外装ケース71の奥部に設けられて、エンクロージャー40にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される。サーバー90は、電源ユニット80に代わって無停電電源装置70をセットすることで、停電時に所定の時間は動作状態に保持できる。サーバー90は、複数の無停電電源装置70をセットして、停電時には、各々の無停電電源装置70から、ブレードサーバ50やラックサーバ51の電源ライン43に電力を供給して、動作状態に保持することができる。
なお、図13及び図14では、厚みのある板状である箱型の無停電電源装置70において、一側面を下側にして配置しているが、一平面(図14における背面)を下側に配置して、換言すれば、図13及び図14の状態より90度回転した状態で、スペース42に設定することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1…二次電池
2…降圧用のDC/DCコンバータ
3…昇圧用のDC/DCコンバータ
4…充放電制御回路
5…素電池
6…ダイオード
7…通信ライン
10…無停電電源装置
11…外装ケース
12…接続部
20…無停電電源装置
21…外装ケース
22…接続部
23…回路基板
24…冷却ファン
25…前面パネル
26…貫通孔
27…ロックレバー
28…係止フック
30…無停電電源装置
31…外装ケース
32…接続部
33…回路基板
34…冷却ファン
35…前面パネル
36…貫通孔
40…エンクロージャー
41…コネクトベイ
42…スペース
43…電源ライン
44…電解コンデンサ
50…ブレードサーバ
51…ラックサーバ
52…装着部
53…電源回路
54…サブDC/DCコンバータ
55…負荷
60…電源ユニット
62…装着部
63…AC/DC変換回路
64…DC/DCコンバータ
65…停電検出回路
70…無停電電源装置
71…外装ケース
72…接続部
73…回路基板
74…冷却ファン
75…前面パネル
76…貫通孔
77…ロックレバー
78…係止フック
80…電源ユニット
82…装着部
90…サーバー
91…サーバーケース
95…商用電源
96…交流ライン
97…停電検出回路
98…通信ライン
99…受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバー(90)のサーバーケース(91)に収納され、かつ前記サーバー(90)の直流12Vの電源ライン(43)にDC/DCコンバータを介して接続されて、電源ライン(43)の電力で充電され、かつ電源ライン(43)に電力を供給する二次電池(1)を備えるサーバー(90)の無停電電源装置であって、
前記サーバー(90)の電源ライン(43)に接続されて電源ライン(43)の電圧を二次電池(1)の充電電圧に昇圧する昇圧用のDC/DCコンバータ(3)と、この昇圧用のDC/DCコンバータ(3)で充電される定格電圧を13V以上であって60V以下とする二次電池(1)と、この二次電池(1)の電圧を電源ライン(43)の電圧に降圧してサーバー(90)の電源ライン(43)に出力する降圧用のDC/DCコンバータ(2)と、前記昇圧用のDC/DCコンバータ(3)と降圧用のDC/DCコンバータ(2)とを制御する充放電制御回路(4)とを備え、
前記サーバー(90)に電力を供給する商用電源(95)の停電状態において、前記二次電池(1)の出力電圧が、前記降圧用のDC/DCコンバータ(2)でもって、前記サーバー(90)の電源ライン(43)の電圧に降圧して電源ライン(43)に出力されて、前記サーバー(90)を動作状態を保持するようにしてなるサーバーの無停電電源装置。
【請求項2】
前記サーバー(90)が、複数のブレードサーバ(50)またはラックサーバ(51)をサーバーケース(91)に脱着自在にセットしてなるサーバーで、サーバーケース(91)にセットされるブレードサーバ(50)やラックサーバ(51)、あるいは電源ユニット(60)、(80)に代わって脱着自在にセットできる外装ケース(11)、(21)、(31)、(71)を備え、この外装ケース(11)、(21)、(31)、(71)に、前記昇圧用のDC/DCコンバータ(3)と、前記二次電池(1)と、前記降圧用のDC/DCコンバータ(2)と、充放電制御回路(4)とを内蔵してなる請求項1に記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項3】
前記充放電制御回路(4)が、前記降圧用のDC/DCコンバータ(2)を、非停電時状態では非動作状態として、停電状態で動作状態に切り換えるように制御する請求項1又は2に記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項4】
前記充放電制御回路(4)がサーバー(90)から入力される停電信号を検出して、前記降圧用のDC/DCコンバータ(2)を動作状態に切り換える請求項3に記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項5】
前記充放電制御回路(4)が、商用電源(95)の交流ライン(96)に接続されて停電を検出する停電検出回路(97)から有線または無線によって伝達される停電信号を検出して、前記降圧用のDC/DCコンバータ(2)を動作状態に切り換える請求項3に記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項6】
前記二次電池(1)の定格電圧が30V以上であって50V以下である請求項1ないし5のいずれかに記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項7】
前記二次電池(1)が、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のいずれかからなる複数の素電池(5)を直列に接続してなる請求項1ないし6のいずれかに記載されるサーバーの無停電電源装置。
【請求項8】
前記外装ケース(21)、(71)が、内部の空気を強制的に換気する冷却ファン(24)、(74)を備える請求項2に記載されるサーバーの無停電電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−125123(P2011−125123A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279900(P2009−279900)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】