説明

シクロドデカトリエンの製造方法およびラウロラクトンの製造方法

本開示ではドデカン二酸(DDDA)の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年3月19日付けで出願した連続番号が61/037,861で表題が“CYCLODODECATRIENE AND CHEMICAL PROCESS”である米国仮出願(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)による優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書に示す開示はドデカン二酸(DDDA)含有混合物を生じさせる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ドデカン二酸(DDDA)の製造は1,3−ブタジエンから1,5,9−シクロドデカトリエン(CDDT)を生じさせる変換(三量化)で出発する化学方法を用いて行われることは公知である。そのような三量化方法ではチーグラー・ナッタ触媒(TiClおよび塩化アルミニウム)および約2バールの絶対圧力下70から80℃の穏やかな条件が用いられる。その後、前記CDDTに還元を水素およびラネーニッケル触媒を用いて26-28バールの絶対圧力下170から180℃で受けさせることでシクロドデカンを生じさせ、そのシクロドデカンに空気を用いた酸化をホウ酸触媒を存在させて1−2バールの絶対圧力下160から180℃で受けさせることでシクロドデカノール(CDDA)とシクロドデカノン(CDDK)を含有して成る混合物を生じさせる。そのCDDKとCDDAの混合物はCDDAを約80−90%とCDDKを約10−20%含有する。その混合物に酸化を銅とバナジウムを含有する触媒および硝酸を用いて受けさせることでDDDAを含有して成る混合物を得ている。
【発明の概要】
【0004】
簡単に述べると、本開示の態様は、ドデカン二酸(DDDA)の製造方法などを包含する。ドデカン二酸を製造するに適した1つの典型的な方法は、とりわけ、1,3−ブタジエンを1番目の触媒と接触させることでシクロドデカ−1,5,9−トリエンを生じさせ、前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせることでエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせ、前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンをシクロドデカノールとシクロドデカノンを含有して成る1番目の混合物に変化させそして前記1番目の混合物を3番目の触媒および硝酸を含有して成る反応体と接触させることでドデカン二酸を含有して成る2番目の混合物を生じさせることを包含する。
【0005】
ラウロラクトンを製造するに適した1つの典型的な方法は、とりわけ、シクロドデカノン(CDDK)がほぼ等しい重量の酸無水物中に溶解している溶液が入っている反応槽を準備し、前記槽にpKが約0から約5であるようにpKを基にして選択した酸触媒をこれが反応を助長するに有効な量で供給しそしてバイヤービリガー酸化を助長する目的で前記反応槽に過酸化水素を導入することで前記シクロドデカノン(CDDK)の約20%以上をラウロラクトンに変化させることを包含する。
【0006】
ラウロラクトンを製造するに適した1つの典型的な方法は、とりわけ、1,3−ブタジエンを1番目の触媒と接触させることでシクロドデカ−1,5,9−トリエンを生じさせ、前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせることでエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせ、前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンをシクロドデカノールとシクロドデカノンを含有して成る1番目の混合物
に変化させ、前記1番目の混合物からシクロドデカノン(CDDK)を取り出して反応槽に入れて、前記CDDKをほぼ等しい重量の酸無水物に溶解させ、前記槽にpKが約0から約5であるようにpKを基にして選択した酸触媒をこれが反応を助長するに有効な量で供給しそしてバイヤービリガー酸化を助長する目的で前記反応槽に過酸化水素を導入することで前記(CDDK)の約20%以上をラウロラクトンに変化させることを包含する。
【0007】
詳細な説明
本開示をより詳細に記述するに先立って、本開示を記述する個々の態様に限定するものでなく、それ自体勿論多様であり得ると理解されるべきである。また、本明細書で用いる用語は単に個々の態様を記述するための用語でありかつ限定を意図するものでないことも理解されるべきである、と言うのは、本開示の範囲を添付請求項によってのみ限定するからである。
【0008】
特に明記しない限り、本明細書で用いるあらゆる技術的および科学的用語に本開示が属する技術分野の通常の技術者が一般的に理解するであろう意味と同じ意味を持たせる。本開示を実施または試験する時にまた本明細書に記述する方法および材料に類似または相当するそれらのいずれかを使用することも可能ではあるが、ここに、好適な方法および材料を記述する。
【0009】
本明細書に引用するあらゆる刊行物および特許はあたかも個々の刊行物または特許を引用することによって具体的および個別に組み入れるように示す如く本明細書に組み入れられかつその引用した刊行物に関連した方法および/または材料を開示および記述するように引用することによって本明細書に組み入れられる。如何なる刊行物の引用も本出願日以前の開示に関する引用であり、先行開示が理由で本開示にそのような刊行物に先行する日付が与えられないことを認めるとして解釈されるべきでない。その上、与えられた刊行日付が実際の刊行日付とは異なる可能性もあり、それらの日付を個別に確認する必要があり得る。
【0010】
本開示の態様では、特に明記しない限り、当該技術分野の技術の範囲内である化学、化学工学などの技術を用いる。そのような技術は文献に充分に説明されている。
【0011】
本明細書および添付請求項で用いる如き単数形“a”、“an”および“the”は、文脈で明らかに他であると示さない限り、複数の指示対照を包含する。このように、例えば“ある担体”の言及は複数の担体を包含する。本明細書および以下の請求項では数多くの用語を言及するが、反対の意思が明らかでない限り、それらは下記の意味を持つと定義する。
【0012】
考察
本開示の態様では、ドデカン二酸(DDDA)の製造方法を提供する。本開示の態様は、他の方法と対比してエネルギー消費の点で特定の利点を有する可能性がある。本開示の態様でシクロドデカ−1,5,9−トリエンからシクロドデカノール(CDDA)またはシクロドデカノン(CDDK)を生じさせる変換に要するエネルギーの量は一般にWeltonの米国特許第3,607,948号(E.I.du Pont de Nemours and Co.に譲渡)(Weltonの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている方法のそれに比べて低い。
【0013】
本開示の態様は、一般に、ドデカン二酸(DDDA)の製造をシクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸素含有反応体を用いた酸化を受けさせてエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせ、シクロドデカノールとシクロドデカノンを含有する混合物を生じさ
せそしてその混合物に硝酸を用いた酸化を受けさせてDDDAを含有する二酸混合物を生じさせることで行う方法に関する。
【0014】
本開示の態様は、1,3−ブタジエンを重合(三量化)させてシクロドデカ−1,5,9−トリエンを生じさせた後にそれに酸化を受けさせてエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせる段階を用いる化学的変換方法に関する。その後、エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに選択的還元および/または転位を受けさせることでそれをシクロドデカノール(CDDA)とシクロドデカノン(CDDK)を含有する1番目の混合物に変化させる。次に、前記1番目の混合物に酸化を受けさせることでドデカン二酸(DDDA)を含有して成る2番目の混合物を生じさせる。この方法では水素と不均一ラネーニッケル触媒を用いてシクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)からシクロドデカンを生じさせる還元を行わずかつこの変換の中間段階では空気による酸化をホウ酸の存在下で起こさせることを利用している公知方法に比べて触媒を全く用いない。シクロドデカ−1,5,9−トリエンからエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせる酸化を実施する様式はInd.Eng.Chem.Res.、46(10)、3057−3062、2007に見られるT.Sridhar他(Department of Chemical Engineering、Monash University、Victoria 3800、Australia)の“Uncatalyzed Oxidation
of 1,5,9−Cyclododecatriene with Molecular Oxygen”から公知である。
【0015】
1つの態様において、本方法は、3−ブタジエン(BD)をBDの三量化に有効な1番目のチーグラー・ナッタ型触媒と接触させてシクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)を生じさせることを包含する。次に、この方法は、前記シクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)に酸素含有反応体を用いた酸化を受けさせてエポキシシクロドデカ−5,9−ジエン(ECDDD)を生じさせることを包含する。1つの態様では、前記酸化を2番目の触媒の存在下で実施してもよい。その後、この方法は、エポキシシクロドデカ−5,9−ジエン(ECDDD)をシクロドデカノール(CDDA)(例えば1番目の混合物の約30%から70%)とシクロドデカノン(CDDK)(例えば1番目の混合物の約70%から30%)を含有して成る1番目の混合物に変化させることを包含する。この変換は選択的還元および/または転位を用いて実施可能である。次に、この方法は、前記1番目の混合物を3番目の触媒(例えばメタバナジン酸アンモニウムおよび硝酸銅)および硝酸と接触させる結果としてドデカン二酸(DDDA)(例えば2番目の混合物の約40%から90%)を含有して成る2番目の混合物を生じさせることを包含する。
【0016】
1つの態様では、ドデカン二酸の製造方法に、1,3−ブタジエンを三量化に有効な1番目の触媒と接触させることでシクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)および少量の1,3−ブタジエン二量体、即ちシクロオクタジエンおよびビニルシクロヘキセンを生じさせることを含めてもよい。
【0017】
【化1】

【0018】
1つの態様における1番目の触媒(また“三量化用触媒”とも呼ぶ)は均一チーグラー
・ナッタ型、例えばTiClおよび塩化アルミニウム(AlCl)水溶液またはジエチル−AlClなどであってもよい。
【0019】
次に、この方法は、前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸素含有反応体を用いた酸化を受けさせてエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせることを包含する。1つの態様では、エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせる目的で2番目の触媒(例えば炭化水素に可溶なナフテン酸Mo、VもしくはTi)を用いることも可能である。しかしながら、1つの態様では、エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせる目的で2番目の触媒を用いる必要はない。
【0020】
【化2】

【0021】
その後、この方法は、前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンをシクロドデカノールとシクロドデカノンを含有して成る1番目の混合物に変化させることを包含する。1つの態様では、その変換を選択的還元および転位、例えばここに示す如きそれらを用いて実施してもよい:
【0022】
【化3】

【0023】
次に、この方法は、前記1番目の混合物を3番目の触媒(メタバナジン酸アンモニウムおよび硝酸銅)および硝酸(例えば濃硝酸)と接触させてドデカン二酸[および少量の直
鎖ジカルボン酸(炭素原子数が12未満のそれらを包含)]を生じさせることを包含する。
【0024】
その硝酸による酸化でもたらされた混合物(2番目の混合物)はC11ジカルボン酸(例えば2番目の混合物の約1%から5%)ばかりでなくより少ない量のCからC10ジカルボン酸(例えば2番目の混合物の約1%から5%)を含有する。
【0025】
【化4】

【0026】
1つの態様では、本明細書に開示するシクロドデカ−1,5,9−トリエンからエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンおよび他の一酸素置換シクロドデカトリエン(例えばアルコールおよびケトン置換基)を生じさせる酸化方法は酸素ガス存在下の半連続的および連続的方法で達成可能である。1つの態様では、前記ガスの約1から99.5%を酸素ガスにして、その残りを窒素ガスにする。1つの態様において、生成物の収率は約60から96%であると同時に生成物への変換率は約10から99%である。
【0027】
1つの態様において、本明細書に開示するシクロドデカ−1,5,9−トリエンからエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンおよび他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる酸化方法は酸素ガス存在下の半連続的および連続的方法で達成可能である。1つの態様では、約1から99.5%を酸素ガスにしそしてその残りを相乗的ガス、例えば二酸化炭素または不活性ガス、例えばアルゴンなどにする。相乗的ガスは酸素がある圧力下のある温度で示す溶解度を向上させ得るガスであることを注目すべきであり、窒素は酸素の溶解度を向上させることに関してそのような相乗性を示さない。1つの態様において、酸素がシクロドデカ−1,5,9−トリエン中で示す溶解度が高くなると結果として生成物への変換率および選択率が高くなる。1つの態様において、達成可能な生成物収率は約80から96%であると同時に生成物への変換率は約40から99%である。
【0028】
1つの態様において、本明細書に示すエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンおよび他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる方法はシクロドデカ−1,5,9−トリエンと純度が99.9%の酸素を約50psigから250psigの圧力下約50℃から150℃の温度で反応させることで達成可能である。
【0029】
1つの態様において、本明細書では、シクロドデカ−1,5,9−トリエンと空気を約60psigから500psigの圧力下約60℃から220℃の温度で反応させることでエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに加えて他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる方法を提供する。
【0030】
1つの態様では、本明細書でエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに加えて他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる目的で提供する方法は、シクロドデカ−1,5,9−トリエンを空気および高純度の酸素または窒素の混合物と反応させることで達成可能である。1つの態様において、そのような混合物には、高純度の酸素が豊富な空気または高純度の酸素と組成物の残りを構成する高純度の窒素が含まれる。1つの態様において
、空気と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれる。同様に、高純度の窒素と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれ得る。1つの態様において、この方法に適した反応温度は圧力を約50psigから500psigにした時の約50℃から220℃であり得る。
【0031】
1つの態様として、本明細書でエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに加えて他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる目的で提供する方法は、シクロドデカ−1,5,9−トリエンを空気と高純度の酸素または高純度の酸素と窒素の混合物と反応させることによる連続方法で達成可能である。1つの態様において、そのような混合物には、高純度の酸素が豊富な空気または高純度の酸素と組成物の残りを構成する高純度の窒素が含まれる。1つの態様において、空気と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれる。同様に、高純度の窒素と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれ得る。1つの態様において、この段階はAIBN、有機過酸化物(例えばt−ブチルヒドロパーオキサイド)または他のアゾ開始剤(例えばt−ブチルカルボニルアジド)の中から選択した開始剤の存在下で実施可能である。しかしながら、そのような開始剤の存在は必ずしも必要ではない。
【0032】
1つの態様として、本明細書でエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに加えて他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる目的で提供する方法は、シクロドデカ−1,5,9−トリエンを空気と高純度の酸素または高純度の酸素と窒素の混合物と反応させることで達成可能である。1つの態様において、そのような混合物には、高純度の酸素が豊富な空気または高純度の酸素と組成物の残りを構成する高純度の窒素が含まれる。1つの態様において、空気と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれる。同様に、高純度の窒素と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれ得る。1つの態様において、この段階は金属触媒、例えば銀、ニッケル、鉄および/またはコバルトなどを用いて実施可能である。1つの態様では、この段階を金属触媒無しに実施する。
【0033】
1つの態様として、本明細書でエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンおよび他の一酸素置換シクロドデカトリエンを生じさせる目的で提供する方法は、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)を空気と高純度の酸素または高純度の酸素と窒素の混合物と反応させることで達成可能である。1つの態様において、そのような混合物には、高純度の酸素が豊富な空気または高純度の酸素と組成物の残りを構成する高純度の窒素が含まれる。1つの態様において、空気と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれる。同様に、高純度の窒素と高純度の酸素の組み合わせには、酸素を反応に約1%から約99%の量で供給する組成物が含まれ得る。1つの態様において、この反応は金属:銀、ニッケル、鉄および/またはコバルトの中から選択した固定床触媒を用いて連続的に実施可能である(そのような活性金属を担持する触媒担体には酸化アルミニウム、二酸化ケイ素または活性炭が含まれ得る)。
【0034】
1つの態様では、そのような連続的方法はCDDT供給速度を変えることを伴わせて有利に実施可能である。有用なCDDT供給速度は連続循環工程流れ中1時間当たり約1リットルから1時間当たり約5リットルである。1つの態様として、滞留時間は有利に約2分から150分に及んで多様であり、約10分から120分の時間が適する。1つの態様では、反応温度を有利に約50℃から200℃にしてもよく、その温度を約80℃から160℃にしてもよい。エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンおよび他の一酸素置換シクロドデカトリエンの収率は約60から99%であることに加えて、出発材料であるシクロドデカ−1,5,9−トリエンが生成物に変化する変換率は約10から99%であり得る

【0035】
本明細書でシクロドデカノール(CDDA)を生じさせる目的で提供する方法は、貴金属触媒(これらに限定するものでないが、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素および活性炭を包含する適切な担体に担持されているPdまたはPt)を用いて約500psigから4500psigの水素ガス圧力下で達成可能である。エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンに加えて一酸素置換シクロドデカトリエンを用いて出発するとシクロドデカノール(CDDA)が生じる実質的に完全な水添を達成することができる。1つの態様として、そのような方法におけるCDDA収率は約96%から99.9%であり得ることに加えて生成物に変化する変換率は約95%から99%であり得る。
【0036】
本開示の1つの態様では、上述した本開示の態様で得ることができるシクロドデカノン(CDDK)の混合物を用いてラウロラクトンを製造することができる。1つの態様において、この方法は、シクロドデカノン(CDDK)が実質的に等しい重量の酸無水物(例えば無水酢酸、無水マレイン酸など)中に溶解している溶液が入っている反応槽を準備しそして前記槽に酸触媒を供給することを包含する。1つの態様として、このような酸触媒をこれが反応を助長するに有効な量、例えば存在するCDDKの量を基準にして0.5から10重量%などの量で供給してもよい。1つの態様として、そのような酸触媒はこれのpKが約0から約5であるようにこれのpKを基にして選択可能である(例えばジクロロ酢酸または過酸、例えばトリフルオロ過酢酸など)。加うるに、この方法は、過酸化水素(例えば、存在するCDDK 1モル当たり1から10モルの過酸化水素または同様な量の過酸、例えばトリフルオロ過酢酸など)を前記槽に導入してシクロドデカノン(CDDK)のバイヤービリガー酸化を助長することでシクロドデカノン(CDDK)の実質的部分をラウロラクトンに変化させる(例えば、CDDKの約20%以上を変化させる)ことを包含する。
【0037】
試験および分析方法
この上のプロセススキームに示したシクロドデカ−1,5,9−トリエンの酸化の監視は一般に酸素吸収速度ばかりでなくサンプルを反応中に断続的に採取することで実施可能である。当業者に公知のように、断続的または最終的反応生成物の場合に採取したサンプルをクロマトグラフィー方法、例えばGC、GC−MS、HPLCなどおよび分光方法、例えばH NMRおよび13C NMRなどおよびまた赤外(IR)方法で分析するのが便利である。
【0038】
全てのガスクロ(GC)分析はAGILENT DB−FFAPカラム(25m x 0.20mm x 0.3μm)が備わっているAGILENT TECHNOLOGIES 6890を用いて注入器および検出器の温度を250℃に維持することで実施可能である。そのようなサンプルに分析を便利にはヘキサデカンを内部標準として用いることに加えてヘリウムを担体ガスとして用いて120℃の等温で受けさせる。
【0039】
ガスクロ質量分光(GC−MS)分析をAgilent DB−FFAPカラム(25m x 0.20mm x 0.3μm)に加えてModel 5973−MSD(質量選択的検出器)が備わっているAGILENT TECHNOLOGIES 6890を用いて実施する。注入器および検出器の温度を250℃に維持する。サンプルに分析をヘキサデカンを内部標準として用いることに加えてヘリウムを担体ガスとして用いて120℃の等温で受けさせる。
【0040】
プロトン(H)NMRおよび炭素(13C)NMRをチューニングプローブが備わっているVarian 500MHz NMRを用いて実施する。選択的減結合およびホモ−およびヘテロ−核NOE実験を実施することで生成物が有する酸素基の幾何および位置
を確認することができる。
【0041】
本明細書に報告する圧力は1平方インチゲージ当たりのポンド(psig)を指し、それには1気圧(1平方インチ当たり14.7ポンド)の圧力が含まれる。
【0042】
絶対圧力[キロパスカル(kPa)で表す]は真空を基準にした圧力である。1平方インチ当たり1ポンドは約6.9kPaである。
【実施例】
【0043】
ここに、本開示の態様を一般的に記述してきたが、以下の実施例に本開示のいくつかの追加的態様を記述する。本開示の態様を以下に示す実施例および相当する本文および図に関連させて記述するが、本開示の態様をそのような記述に限定することを意図するものではない。それとは逆に、本開示の態様の精神および範囲の中に含まれる変形、修飾形および相当物の全部を保護することを意図する。
【実施例1】
【0044】
一例として、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(40.5グラム、0.25モル)をオートクレーブ反応槽に適切な開始剤(0.35%(重量/重量))と一緒に導入する。そのオートクレーブを密封した後、窒素ガスを導入することで内部の空気を追い出す。そのオートクレーブを撹拌しながら100℃に加熱する。そのオートクレーブ反応槽の温度に到達(100℃)した後、窒素ガスを圧力が1平方インチゲージ当たり80ポンド(psig)、即ち約450kPa絶対の高純度酸素ガスに置き換える。反応を半連続的様式で実施する。反応槽内の圧力を反応槽出口弁を密封した状態で80psigに設定した制御弁を用いて連続的に維持する。反応温度を反応槽内部の冷却用ループで100+/−3℃に調節する。サンプルを断続的に採取することで反応の進行を監視する。各サンプルの定量分析をこの上に開示した分析方法を用いて実施する。2.5時間が経過した時点で反応を停止させ、30℃未満に冷却した後、排気を行って周囲圧力にする。内容物をガラス製容器に移して過酸化物の分解および生成物の単離を行う。この反応でエポキシ−シクロドデカ−6−10−ジエンおよび他の一酸素化生成物[アルコール(CDDA)およびケトン(CDDK)の如き]が生じた選択率は96%である。シクロドデカ−1,5,9−トリエンがエポキシド(ECDDD)および一酸素化生成物に変化した変換率は88%である。
【実施例2】
【0045】
別の例として、実施例1と同様に、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(40.5グラム、0.25モル)をオートクレーブ反応槽に開始剤(0.35%(重量/重量))と一緒に仕込む。そのオートクレーブを密封した後、空気を窒素で追い出す。撹拌を開始した後、オートクレーブを110℃に加熱する。その反応槽の温度に到達した後、110℃の窒素ガスを高純度の酸素でフラッシュ洗浄して100psig、即ち約790kPaに加圧する。反応を半連続的様式で行う。反応槽内の圧力を反応槽出口弁を密封した状態で110psigに設定した制御弁で連続的に維持する。反応温度を反応槽内部の冷却用ループで110+/−3℃に調節してもよい。サンプルを断続的に採取しそしてこの上に示した分析方法を用いて定量分析を行うことで反応の進行を監視する。2時間が経過した時点で反応を停止させ、<30℃に冷却した後、排気を行って周囲圧力にする。内容物をガラス製容器に移して過酸化物の分解および生成物の単離を行ってもよい。この反応でエポキシシクロドデカ−6−10−ジエンおよび他の一酸素化生成物[アルコールおよびケトンの如き]が生じた選択率は91%である。シクロドデカ−1,5,9−トリエンがエポキシド(ECDDD)および一酸素化生成物(CDDA、CDDK)に変化した変換率は92%である。
【実施例3】
【0046】
別の例として、3.5時間が経過した時点で反応を停止させ、<30℃に冷却しそして排気を行って周囲圧力にする以外は同じく実施例2に従った。この実施例における酸化反応でエポキシシクロドデカ−6−10−ジエンおよび他の一酸素化生成物であるアルコール(CDDA)およびケトン(CDDK)が生じた選択率は95%である。CDDTがエポキシド(ECDDD)および一酸素化生成物(CDDA、CDDK)に変化した変換率は81%である。
【実施例4】
【0047】
別の例として、下記を除いて同じく実施例2に従う。シクロドデカ−1,5,9−トリエンの酸化を115+/−3℃に調節した温度で実施し、そして3時間が経過した時点で反応を停止させ、<30℃に冷却した後、排気を行って周囲圧力にする。内容物をガラス製容器に移して過酸化物の分解および生成物の単離を行う。この反応でエポキシシクロドデカ−6−10−ジエンおよび他の一酸素化生成物であるアルコール(CDDA)およびケトン(CDDK)が生じた選択率は93%である。CDDTがエポキシド(ECDDD)および一酸素化生成物(CDDA、CDDK)に変化した変換率は84%である。
【実施例5】
【0048】
別の例として、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(40.5グラム、0.25モル)をオートクレーブ反応槽に開始剤(0.35%(重量/重量))と一緒に仕込む。そのオートクレーブを密封した後、空気を窒素ガスで追い出す。撹拌を開始した後、オートクレーブを100℃に加熱する。反応槽の温度が100℃になった後、窒素ガスを窒素と酸素ガスの混合物(1:1重量%)でフラッシュ洗浄して100psig、即ち約790kPaに加圧する。反応を半連続的様式で実施する。反応槽内の圧力を100psiに設定した制御弁を用いて連続的に維持し、そして反応槽出口排気弁を反応槽に添加するガスの量に相当する量のガスが放出されるように設定する。反応温度を反応槽内部の冷却用ループで100+/−3℃に調節する。サンプルを断続的に採取して定量分析を上述した分析方法で実施することで反応の進行を監視する。3時間が経過した時点で反応を停止させ、<30℃に冷却した後、排気を行って周囲圧力にする。内容物をガラス製容器に移して過酸化物の分解および生成物の単離を行う。この反応でエポキシシクロドデカ−6−10−ジエンおよび他の一酸素化生成物であるアルコール(CDDA)およびケトン(CDDK)が生じた選択率は96%である。CDDTがエポキシド(ECDDD)および一酸素化生成物(CDDA、CDDK)に変化した変換率は86%である。
【実施例6】
【0049】
酸化方法の一例として、不活性な充填物が入っているトリクルベッド反応槽カラムの上部に100℃に加熱しておいたシクロドデカ−1,5,9−トリエンをポンプで送り込むことを連続的に実施する。100℃に予熱しておいた酸素ガスをポンプで前記トリクルベッド反応槽の中のカラムの下半分の高さが異なる2カ所に送り込む。前記トリクルベッド反応槽の下部に位置させたポンプで液体を熱交換器手段で循環させる。循環ループから小流れサンプル(シクロドデカ−1,5,9−トリエンの新鮮な供給量に相当する)を反応生成物として連続的に取り出す。反応槽内の圧力をカラム排気ラインに位置させた制御弁で連続酸化反応全体に渡って100psig(約790kPa絶対)に維持する。供給速度を最良に選択した状態でシクロドデカ−1,5,9−トリエンが生成物(ECDDD、CDDA、CDDK)に変化した変換率は94%でありそして選択率は96%である。
【実施例7】
【0050】
連続酸化方法の更に別の例として、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)および酸素ガスを個別に前以て100℃に加熱しておいた後、バブルカラム反応槽の下部にポンプ輸送する。前記バブルカラムの下部に位置させたポンプで液体を熱交換器に通し
た後、循環させる。ポンプ循環ループから小流れサンプル(導入するシクロドデカ−1,5,9−トリエンの量に相当する)を反応生成物として連続的に取り出す。反応槽内の圧力をカラム排気ラインに位置させた制御弁で連続酸化反応全体に渡って100psig(約790kPa絶対)に維持する。シクロドデカ−1,5,9−トリエンの供給速度を変えることで反応滞留時間を変える。CDDT供給速度を最良に選択した状態でシクロドデカ−1,5,9−トリエンが生成物(ECDDD、CDDA、CDDK)に変化した変換率は96%でありそして選択率は97%である。
【実施例8】
【0051】
連続酸化方法の更に別の例として、シクロドデカ−1,5,9−トリエン(CDDT)および空気を個別に前以て110℃に加熱しておいた後、不活性な充填物が入っているトリクルベッドカラム反応槽の上部にポンプ輸送する。110℃に予熱しておいた空気を前記トリクルベッド反応槽のカラムの下方1/3の所の高さが異なる2カ所にポンプ輸送する。前記反応槽の下部に位置させたポンプで液体を熱交換器手段に通して循環させる。循環ループから小流れサンプル(シクロドデカ−1,5,9−トリエンの新鮮な供給量に相当する)を反応生成物として連続的に取り出す。この連続反応では反応槽内の圧力を反応槽排気ライン内に位置させた制御弁で120psig(約930kPa絶対)に維持する。CDDT供給速度を最良に選択した状態でシクロドデカ−1,5,9−トリエンが生成物(ECDDD、CDDA、CDDK)に変化した変換率は91%でありそして選択率は94%である。
【実施例9】
【0052】
連続酸化方法の更に別の例として、CDDT(シクロドデカ−1,5,9−トリエン)および空気を個別に前以て110℃に加熱しておいて、バブルカラム反応槽の下部にポンプ輸送する。そのバブルカラムの下部に位置させたポンプで液体を熱交換器手段に通して循環させる。循環ループから小流れサンプル(CDDTの新鮮な供給量に相当する)を反応生成物として連続的に取り出す。この連続反応全体に渡って反応槽内の圧力を反応槽排気ライン内に位置させた制御弁で110psig(約860kPa絶対)に維持する。CDDTの供給速度を変えることで反応滞留時間を変える。CDDT供給速度を最良に選択した状態でシクロドデカ−1,5,9−トリエンが生成物(ECDDD、CDDA、CDDK)に変化した変換率は93%でありそして選択率は96%である。
【実施例10】
【0053】
実施例1から8で得た反応生成物を集めた後、個別にガラス製装置に入れて減圧下で蒸留する。130℃で収集した小溜分は主に未反応のシクロドデカ−1,5,9−トリエンを含有する。145-155℃で収集した主溜分は主にエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを含有しかつ少量のシクロドデカ−2,6,10−トリエノールおよびシクロドデカ−2,6,10−トリエノンを含有する。
【実施例11】
【0054】
一例として、実施例8に従う方法で集めた生成物を40グラム用いて、これに実施例10に従う蒸留工程を受けさせる。145-155℃の範囲で収集した溜分を高圧オートクレーブに移す。炭素に担持されているパラジウムを含有して成る水素還元用触媒を導入する。前記オートクレーブを密封し、空気を水素ガスで完全に追い出した後のオートクレーブを220℃に加熱する。追加的水素ガスを供給して圧力を12時間に渡って1300psig(約9000kPa絶対)に維持する。そのオートクレーブを100℃に冷却し、分析用サンプルを取り出し、ガラス製反応槽に移した後、固化させる。その採取したサンプルは純度が98.5%のシクロドデカノール(CDDA)であると同定し、その収率は97%である。
【実施例12】
【0055】
一例として、シクロドデカノール(CDDA)に脱水素を固定床触媒を用いて連続的に受けさせる。ラネーニッケルを含有して成る触媒または実質的に相当する触媒を用いてCDDAに脱水素を受けさせることでシクロドデカノン(CDDK)を生じさせる。脱水素の温度の範囲が120℃から350℃の範囲になるように選択する。脱水素条件を最適に選択した時のCDDKの収率は98%である。
【実施例13】
【0056】
一例として、シクロドデカノン(CDDK)(36.8g、0.20モル)を過剰量の硝酸およびV/Cu触媒(例えばバナジン酸アンモニウムおよび硝酸銅)と一緒にガラス製反応槽に入れて1時間加熱する。その反応処理物の一部を蒸発させた後、冷却する。その反応の生成物を溶液から結晶化させた後、それはドデカン二酸(DDDA)であると同定する。その結晶化させたDDDAを更に濾過した後、冷水で洗浄する。そのDDDAの純度は99%であると予測し、シクロドデカノールを基準にした収率は88%である。その濾液に更に蒸発そして結晶化を受けさせることで炭素原子数が12、11、10、9、8および7の混合ジカルボン酸を含有して成る別の結晶収穫物を得る。DDDAと混合二酸の全体を一緒にした収率はCDDKを基準にして約94%である。
【実施例14】
【0057】
一例として、シクロドデカノン(CDDK)(36.8g、0.20モル)を等しい重量の無水酢酸(1つの態様では、無水マレイン酸も等しく有効な酸無水物であり得る)に溶解させた後、過酸化水素(50%、81.6g、1.2モル)および無水酢酸(280g)を入れておいた反応槽に加える。その反応槽にpKを基にして選択した酸触媒(例えばpKが0から5またはジクロロ酢酸の如き酸を使用)を入れることでシクロドデカノンのバイヤービリガー酸化を助長しかつラウロラクトンの実質的な変換を助長する。本明細書に示した反応条件下でCDDKがラウロラクトンに変化する変換率は99%以上であることに加えて選択率は95%以上であると予測する。
【0058】
バイヤービリガー酸化モデル反応:
R−(C=O)−R+H−O−O−H+触媒(ジクロロ酢酸)=R−(C=O)−O−Rこの場合、R−(C=O)−RのR基は環状に配置しておりそして生成物であるR−(C=O)−O−Rも同様に環状であり、従って“ラクトン”または環式エステルである。
【0059】
本明細書では比率、濃度、量および他の数値データを範囲形式で表すことがあり得ることを注目すべきである。そのような範囲形式は便利さおよび簡潔さの目的で用いるものであり、従って、その範囲の限界として明確に示した数値を包含するばかりでなくまたその範囲内に含まれる数値および小領域の各々をあたかも明確に示す如く個々の数値または小領域の全部も包含するとして柔軟な様式で解釈されるべきであると理解されるべきである。例示として、“約0.1%から約5%”の濃度範囲は明確に示した約0.1重量%から約5重量%の濃度を包含するばかりでなくまたその示した範囲内に入る個々の濃度(例えば1%、2%、3%および4%)および小領域(例えば0.5%、1.1%、2.2%、3.3%および4.4%)も包含すると解釈されるべきである。用語“約”はその修飾を受けさせる数値1種または2種以上の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%または±10%またはそれ以上を包含し得る。“約”の値は本開示の教示を考慮した妥当な量の外側にはないであろう。加うるに、語句“約‘x’から‘y’”は“約‘x’から約‘y’”を包含する。
【0060】
上述した態様に対していろいろな変更および修飾を成すことができるであろう。本明細書では、そのような修飾形および変形の全部が本開示の範囲内に含まれかつそれらを以下の請求項で保護することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドデカン二酸の製造方法であって、
1,3−ブタジエンを1番目の触媒と接触させることでシクロドデカ−1,5,9−トリエンを生じさせ、
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせることでエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせ、
前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンをシクロドデカノールとシクロドデカノンを含有して成る1番目の混合物に変化させ、そして
前記1番目の混合物を3番目の触媒および硝酸を含有して成る反応体と接触させることでドデカン二酸を含有して成る2番目の混合物を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記1番目の触媒が均一チーグラー・ナッタ型触媒である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を受けさせる段階を2番目の触媒の存在下で実施する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記2番目の触媒を炭化水素に可溶なナフテン酸Mo、炭化水素に可溶なナフテン酸V、炭化水素に可溶なナフテン酸Tiおよびこれらの組み合わせから選択する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを1番目の混合物に変化させる段階に選択的還元、転位またはこれらの組み合わせから選択した方法を用いて前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを1番目の混合物に変化させることを含める請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記3番目の触媒をメタバナジン酸アンモニウムおよび硝酸銅から選択する請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記1番目の混合物の約30%から70%がシクロドデカノールでありそして前記1番目の混合物の約70%から30%がシクロドデカノンである請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記2番目の混合物の約40%から90%がドデカン二酸である請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記酸素含有反応体が酸素含有混合物である請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記酸素含有反応体が高純度の酸素が豊富な空気、高純度の酸素と高純度の窒素およびこれらの組み合わせから成る群より選択した混合物である請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記混合物が含有する酸素の量が酸素を反応に約1%から99%の量で供給する量である請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせる段階に更にAIBN、有機過酸化物およびアゾ開始剤から成る群より選択した開始剤も含める請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせる段階を約50psigから500psigの圧力下約50℃から220℃の反応温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせる段階に更に金属触媒も含める請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせる段階を固定床触媒を用いて連続的に実施する請求項1記載の方法。
【請求項16】
ラウロラクトンの製造方法であって、
シクロドデカノン(CDDK)がほぼ等しい重量の酸無水物中に溶解している溶液が入っている反応槽を準備し、
前記槽にpKが約0から約5であるようにpKを基にして選択した酸触媒をこれが反応を助長するに有効な量で供給し、そして
バイヤービリガー酸化を助長する目的で前記反応槽に過酸化水素を導入することで、前記シクロドデカノン(CDDK)の約20%以上をラウロラクトンに変化させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項17】
前記酸触媒をジクロロ酢酸および過酸から成る群より選択する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記過酸化水素を前記混合物中に存在するCDDK 1モル当たり約1から10モルの過酸化水素量で存在させる請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記反応を助長するに有効な量が前記混合物中に存在するCDDK 1モル当たり約1から10モルの酸触媒量である請求項16記載の方法。
【請求項20】
ドデカン二酸の製造方法であって、
1,3−ブタジエンを1番目の触媒と接触させることでシクロドデカ−1,5,9−トリエンを生じさせ、
前記シクロドデカ−1,5,9−トリエンに酸化を酸素含有反応体を用いて受けさせることでエポキシシクロドデカ−5,9−ジエンを生じさせ、
前記エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンをシクロドデカノールとシクロドデカノンを含有して成る1番目の混合物に変化させ、
前記1番目の混合物からシクロドデカノン(CDDK)を取り出して反応槽に入れて、前記CDDKをほぼ等しい重量の酸無水物に溶解させ、
前記槽にpKが約0から約5であるようにpKを基にして選択した酸触媒をこれが反応を助長するに有効な量で供給し、そして
バイヤービリガー酸化を助長する目的で前記反応槽に過酸化水素を導入することで、前記(CDDK)の約20%以上をラウロラクトンに変化させる、
ことを含んで成る方法。

【公表番号】特表2011−515411(P2011−515411A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500926(P2011−500926)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/037530
【国際公開番号】WO2009/117498
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】