説明

シクロヘキシレン反応性メソゲンおよびそれらの用途

【課題】シクロヘキシレン反応性メソゲンおよびそれらの用途を提供する。
【解決手段】本発明は、新規なシクロヘキシレン反応性メソゲン(RM)、それらより誘導される高分子、それらを含む液晶(LC)媒体、および装飾、セキュリティー、化粧または診断用途において、特に高分子安定化ブルー相中で、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光素子または装置中における化合物、高分子および液晶媒体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシクロヘキシレン反応性メソゲン(RM)、それらより誘導される高分子、それらを含む液晶(LC)媒体、および装飾、セキュリティー、化粧または診断用途において、特に高分子安定化ブルー相中での使用のための、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光素子または装置中における化合物、高分子および液状液晶媒体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術には液晶ディスプレイ(LCD)および液晶光変調媒体が記載されており、それらはディスプレイ用途において動作される際には光学的に等方なブルー相である。そのようなディスプレイは、例えば、ドイツ国特許出願公開第103 13 979号公報(特許文献1)または対応出願の国際特許出願公開第04/046805号パンフレット(特許文献2)および米国特許出願公開第2006/0050354号公報(特許文献3)で開示されている。等方相において、これらの媒体の動作電圧は温度上昇に伴い著しく増加(Kerr効果)する一方で、ブルー相領域においては殆ど温度に無関係である。しかしながら、ブルー相の温度範囲が不十分なため、このタイプのディスプレイの用途は限られている。
【0003】
典型的には、ブルー相は、高キラル性の1種類のメソゲン化合物または混合物中で観察されるが、一般に非常に狭い範囲で、典型的には1℃未満である。ブルー相において動作する新規な高速スイッチディスプレイモードを動作するには、可能な限り広いブルー相を有する混合物が必要で、典型的には−20〜+60℃である。
【0004】
ディスプレイ用途に必要な他の典型的な液晶特性も要求される。
【0005】
より広いブルー相を達成するために、先行技術において、重合性化合物を液状液晶媒体に添加し、次いでその場で重合することが示唆されている。それにより形成される高分子または高分子のネットワークが液状液晶媒体のブルー相を安定化すると報告されている。
【0006】
Kikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁(非特許文献1)およびKikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2003年)、89巻、90〜91頁(非特許文献2)には、60℃幅で周囲温度(−67〜53℃)を含む温度範囲にわたって、および120℃幅で室温(−73〜53℃)を含む温度範囲にわたって、それぞれブルー相を安定化するために、その場で重合することが記載されている。これは、ネマチック液状液晶ホスト混合物中において、2官能性の反応性メソゲン(RM)、例えばメルク社より入手可能なRM257と共に、2−エチルヘキシルアクリレートなどの非メソゲン性の単反応性単量体を使用することで達成される。
【0007】
H.Kikuchiら、Nature Materials(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁(非特許文献3)には、RM257および2−エチルヘキシルアクリレートなどの非メソゲン性の反応性単量体を使用し、室温(−67〜53℃)を含む60℃にわたってブルー相を安定化させるために、その場で重合することが記載されている。
【0008】
特開2003−327966号公報(特許文献4)には特定の組成物の光学的変調素子として使用するための複合体液晶が記載されており、ブルー相を有する低分子量LCと、架橋剤RM257と一緒に非液晶性の単量体を重合して得られるこの媒体中の高分子ネットワークとを含む。特に、好ましい実施形態は、側鎖中にアルキル基を有する分岐状のモノアクリレート単量体である。
【0009】
国際特許出願公開第2005/090520号パンフレット(特許文献5)には「不可視」な高分子で安定化されたブルー相が記載されており、特に非液晶性の単量体が好ましいことが再度述べられている。
【0010】
国際特許出願公開第2005/080529号パンフレット(特許文献6)には単反応性および多反応性単量体を使用する高分子安定化ブルー相が記載されているが、非メソゲン性の単反応性単量体のみを使用する。
【0011】
先行技術による上の方法および系では、それらが非メソゲン性の単量体またはRM257および非メソゲン性の単量体の組み合わせを用いることが特に述べられている。しかしながら、これらの系は重大な欠点を有している。特に非メソゲン性の単量体を使用することで、高分子を形成する構造が、単量体および液状液晶ホスト混合物と大きく異なる物理的特性を有する。光重合が行われる温度を多数回にわたって停止および変化させる必要があり、このため、この方法は行うことが困難で時間がかかる工程となり、再現が難しくなる。
【0012】
加えて、2−エチルヘキシルアクリレートなどの非メソゲン性の単量体を使用すると化合物の揮発性のために問題となる場合があり、蒸発による損失が問題となり、混合された単量体/ホスト系が不均一となることがある。
【0013】
また、非メソゲン性の化合物を使用すると液状液晶ホストの透明点が著しく低下する場合があり、高分子安定化されたブルー相の幅が非常に小さくなることがあり、ディスプレイ用途には望ましくない。
【0014】
更に、上の先行技術文献には未精製のシアノ系メソゲンホストに基づく液状液晶媒体が記載されているが、それは電圧保持率(VHR)の高さに乏しい。
【0015】
従って、広い温度範囲にわたってブルー相を安定化し、高速スイッチ、良好な電圧保持率、低電圧、高い透明点、および光および温度に対する高い安定性などの望ましい特性を有する材料を見出す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第103 13 979号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第04/046805号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0050354号公報
【特許文献4】特開2003−327966号公報
【特許文献5】国際特許出願公開第2005/090520号パンフレット
【特許文献6】国際特許出願公開第2005/080529号パンフレット
【特許文献7】特開2005−15473号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Kikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁
【非特許文献2】Kikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2003年)、89巻、90〜91頁
【非特許文献3】H.Kikuchiら、Nature Materials(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術に記載される方法および材料の上記不具合を有していない高分子安定化ブルー相を達成するために、本発明は、改良された方法および材料、特に新規のRMおよびそれらを含む液状液晶混合物を提供する目的を有している。本発明のもう一つの目的は、専門家が入手可能なRM材料の蓄積を広げることである。他の目的は、以下の記載から専門家に直ちに明らかとなる。
【0019】
驚くべきことに、シクロヘキシレンコアを含むRMを使用することで、広い温度範囲、極めて速いスイッチ時間、非常に高い電圧保持率および低電圧を有する安定化された液状液晶ブルー相を達成できることが見出された。
【0020】
加えて、全RM系(即ち、全ての単量体が棒状である)を使用することで高い透明点を維持でき、単一の温度で重合を行うことができ、製造にむく工程が可能となる。
【0021】
RMのシクロヘキシレンコアは、重合工程で使用されるUV光に対しても安定であるようである。従って、結果として生じる高分子安定化ブルー相は、高い電圧保持率(VHR)を有する。
【0022】
また、フルオロフェニル液状液晶化合物を含む液状液晶ホストと組み合わせてシクロヘキシレンRMを使用することで、RMがこのホストを効果的に安定化し、最新式のLCDに必要な高いVHRを与えることも見出された。
【0023】
特開2005−15473号公報(特許文献7)には広範な式のRMが開示されており、シクロヘキシレン環を含む幾つかのRMも開示されているが、本発明において請求されるような化合物は示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、式Iの化合物に関する。
【0025】
【化1】

式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状または分岐状で1〜30個のC原子を有するアルキル(該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。)、または、P−Sp−を表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はP−Sp−であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、1,4−シクロヘキシレンであり、式中、1個以上の−CH−基は、2個のO原子が共に結合しないようにして、−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、該環は好ましくは1個以上のCH−基またはハロゲン原子によって置換されていてもよく、それらは好ましくはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
bは、0または1であり、
および、式中、
bが、0であり、
およびRが、P−Spであり、
Pが、アクリレートまたはメタクリレートであり、
Spが、単結合または−CH−基である
化合物は除外される。
【0026】
更に本発明は、1種類以上の式Iの化合物を含む液晶材料に関する。
【0027】
【化2】

式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状または分岐状で1〜30個のC原子を有するアルキル(該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。)、または、P−Sp−を表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はP−Sp−であって、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、1,4−シクロヘキシレンであり、式中、1個以上の−CH−基は、2個のO原子が共に結合しないようにして、−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、該基は好ましくは1個以上のCH−基またはハロゲン原子によって置換されていてもよく、それらは好ましくはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
bは、0または1である。
【0028】
本発明は、更に、以下の成分、
(a)1種類以上の、非重合性、メソゲンまたは液晶化合物、
(b)1種類以上の、式Iの重合性、メソゲンまたは液晶化合物、
(c)任意成分として1種類以上の、追加の重合性、メソゲンまたは液晶化合物を含み、
ただし、前記混合物は1種類以上のキラル化合物を含み、該キラル化合物は成分(a)、(b)および/または(c)でよく、または追加の成分である成分(d)を形成してよい液状液晶媒体に関する。
【0029】
更に、本発明は上記のような液状液晶媒体に関し、前記液状液晶媒体はブルー相を有する。
【0030】
更に、本発明は上記のようなブルー相を有する液状液晶媒体に関し、未重合の液状液晶媒体がブルー相を示す温度において、成分bおよび存在するのであれば成分cをその場重合することで、ブルー相の温度範囲が広げられている。
【0031】
更に、本発明は、上および下に記載されるような液晶媒体のブルー相を安定化する方法に関する。
【0032】
更に、本発明は2枚の平面で平行な基体を含有し、該基体の少なくとも一方は可視光に対して透明であり、該基体の少なくとも一方は電極層を含有し、上および下に記載されるような液晶媒体を更に含有する電気光学的セルに関する。
【0033】
更に、本発明は重合性材料に関し、好ましくは、1種類以上の式Iの化合物を含み、任意成分として1種類以上の、重合性および/またはメソゲンまたは液晶でよい更なる化合物を含む重合性液状液晶材料である。
【0034】
更に、本発明は式Iの化合物または上に記載されるような重合性材料を、好ましくは、それが配向された状態で薄膜の形状に重合して得られる異方性高分子に関する。
【0035】
更に、本発明は、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、補償子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、有色画像、装飾またはセキュリティーマーク、液状液晶顔料、接着剤、化粧品、診断剤、非線形光学、光学的情報記憶装置、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスター(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスター(TFT)、無線ID(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光伝導体、電子写真記録、レーザー材料または装置中における、上および下に記載されるような化合物、材料および高分子の使用に関する。
【0036】
更に、本発明は、高分子安定化ブルー相用の上および下に記載されるような化合物、材料および高分子の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<用語および定義>
用語「フィルム」としては、剛直または柔軟で、機械的に安定な自立性または独立性のフィルム、ならびに支持基体上または2枚の基体間の塗工または層が挙げられる。
【0038】
用語「反応性メソゲン(RM)」は、重合性のメソゲンまたは液晶化合物を意味する。
【0039】
用語「液晶またはメソゲン材料」または「液晶またはメソゲン化合物」は、1つ以上の棒または板型(カラミチック)またはディスク型(ディスコチック)のメソゲン基、即ち液晶(LC)相挙動を誘発できる基を含む材料または化合物を意味する。メソゲン基を含む化合物または材料は、必ずしもそれら自体が液状液晶相を示す必要はない。また、それらが、他の化合物との混合物においてのみ、またはメソゲン化合物もしくは材料、もしくはそれらの混合物を重合させた際に、液状液晶相挙動を示すことも可能である。
【0040】
簡単のために、以降、用語「液晶材料」をメソゲンおよび液状液晶材料のいずれにも使用する。
【0041】
また、1つの重合性基を有する重合性化合物を「単反応性」化合物とも呼び、2つの重合性基を有する化合物を「二反応性」化合物とも呼び、2個より多い重合性基を有する化合物を「多反応性」化合物と呼ぶ。また、重合性基を有しない化合物を、「非反応性」化合物と呼ぶ。
【0042】
<発明の詳細な記載>
シクロヘキシレンコア単位を含むRMを使用し、場合により他のRMと組み合わせることで、その場での重合によりブルー相の範囲を広げることができる。それにより達成されるブルー相の範囲は、使用されるRMの構造およびホスト混合物に依存して、−20℃よりも低い温度から約+40℃〜+50℃まで安定である。
【0043】
RMはキラルまたはアキラルでよく、アクリレート/メタクリレート基または他の重合性基を含んでもよい。
【0044】
RMは、単反応性、二反応性または多反応性でよい。少なくとも1個の二反応性化合物(架橋剤)を含む材料が特に好ましく、また好ましくは、それぞれの末端に官能基を有する液晶で、例えば、ジアクリレート型のRMに基づいてよい。
【0045】
ホスト混合物は低分子量液状液晶成分、およびブルー相が誘発され得るに十分な量のキラルドーパントも含有する。しかしながら、高分子による安定化がなければ、典型的には、ブルー相の範囲は3℃未満の温度範囲内のみで存在する。ブルー相の安定化はキラル液状液晶ホスト混合物に1種類以上のRMを添加することで行われ、好ましくは単反応性および二反応性RMに加え適切な光開始剤を含む混合物であり、例えばUV照射によってRMを短時間で重合する。好ましくは、液状液晶ホスト混合物がブルー相である温度に維持された電気光学的セル中で重合を行う。
【0046】
式IのシクロヘキシレンRMはフッ素化フェニル誘導体(所謂「超フッ素化混合物」ホストまたは「SFM」ホスト)を含む液状液晶ホストを安定化するのに特に有用であり、例えばシアノフェニル化合物に基づく液晶ホストに比べ良好な保持率を与える。
【0047】
この工程は特に相分離を起すことなく低温においてブルー相を成功裏に安定化するもので、殆ど常に等温性である。
【0048】
式IのRMは、入手可能な液晶中間体より数少ない工程で調製できる。それらは、高分子安定化によりブルー相の幅を大きく増加させ、典型的には1Kから60〜70Kまでである。
【0049】
式IのRMを使用して達成され結果として得られる高分子安定化ブルー相は著しく高速のスイッチ時間を示し、広範な温度範囲にわたって典型的には5m秒未満である。これは、先行技術においては報告されていない注目に値する改良である。
【0050】
式IのRMのシクロヘキシレンコアの構造は、光および高温に対して高い安定性を有している。結果として、高分子安定化ブルー相は高いVHRを有する。
【0051】
式IのシクロヘキシレンRMは適用可能で、ディスプレイ用途の要件を満たすのに適切なSFM液状液晶ホストおよび混合液状液晶ホストを成功裏に安定化することが示された。これに対し、先行技術で報告されている系はシアノ化合物に基づくホストを使用しており、安定性は限定的である。
【0052】
排他的にRMからなる、即ち、反応性モノマーが全てメソゲン、好ましくは棒状メソゲンである重合性材料を使用することで、液状液晶混合物の高い透明点を維持することが可能となる。加えて、単一温度で重合することが可能となり、そのため、製造にむく工程が可能となる。これに対し、先行技術で報告されている系は非メソゲン性のモノアクリレートを使用しており、多段階で複雑および時間のかかる光重合工程を必要とする。
【0053】
また、式IのRMのシクロヘキシレンコアは、重合工程で使用されるUV光に対してより高い安定性を有している。従って、結果として生じる高分子安定化ブルー相は、高い電圧保持率を有する。
【0054】
式IのRMは、LCD、光学またはセキュリティー用途において使用される液晶ブルー相を高分子安定化する単量体として特に有用である。しかしながら、それらは、先行技術より既知の他の典型的なRM用途においても使用でき、例えば光学的フィルムを調製するためであり、特に光学的位相差または補償フィルム、LCD中の配向層または偏光子である。また、それらは、セキュリティーフィルム製品の形成における単量体としても有用である。また、それらは、半導体または電荷輸送材料、およびそのような化合物より作製される重合体フィルム中においても使用できる。
【0055】
式IのRMは、それ自身が液状液晶相を示す必要はない。しかしながら、それらは部分的に棒状構造からなるため、それらが溶解される液状液晶ホストの電気光学的特性は低減せず、例えば、透明点が著しく低下することはない。
【0056】
上の用途において、式IのRMを先行技術より既知の他のRM、または他の重合性化合物と共重合することも可能である。
【0057】
特に好ましい式Iの化合物は、式中、
−RおよびRの一方はP−Sp−であり、他方は非重合性基である、
−RおよびRの両方が同一または異なる基P−Sp−より選択される、
−RまたはRは1〜12個のC原子のアルキルまたはアルコキシで、フッ素化されていてもよく、
−Rおよび/またはRはキラル基である、
−基Spの一方または両方がキラル基である、
−P−SpがP−Sp’−X’−であるようSpは好ましくは式Sp’−X’であり、式中、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
Sp’は1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子のアルキレンで、該基はF、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていてもよく、式中、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
−P−Sp−はP−(CH−(O)−であり、nは1〜12、好ましくは1〜6の整数であり、oは0または1であり、
−Bは置換されていてもよい。
【0058】
特に好ましくは、Bは、1,4−シクロヘキシレン、ジオキサン−2,5−ジイルまたはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルより選択され、該基は好ましくは1個以上のCH−基またはハロゲン原子によって置換されていてもよく、好ましくは、それはトランス−1,4−シクロヘキシレンである。
【0059】
Bが置換されている場合、それは好ましくは1個以上の基Lによって置換されており、Lは式I中で与えられるRの意味の1つを有し、P−Sp−とは異なる。好ましくは、Lは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)OR、−C(=O)R、−NR00、−OH、−SF、置換されていてもよいシリル、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子のアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子で直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、RおよびR00は式I中で定義される通りで、Xはハロゲンである。
【0060】
より好ましくは、Lは、F、Cl、CN、NOまたは1〜12個のC原子で直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、アルキル基はペルフルオロ化されていてもい。
【0061】
最も好ましくは、Lは、F、Cl、CN、NO、CH、C、C(CH、CH(CH、CHCH(CH)C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHFまたはOC、特に、F、Cl、CN、CH、C、C(CH、CH(CH、OCH、COCHまたはOCF、最も好ましくは、F、Cl、CH、C(CH、OCHまたはCOCHより選択される。
【0062】
Bが、1個以上CH−基が置き換えられているシクロヘキシレンの場合、それは、好ましくは、
【0063】
【化3】

より選択される。
【0064】
アルキルまたはアルコキシ基は、即ち、末端CH基が−O−で置き換えられており、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、それは直鎖状で、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、更には、例えば、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0065】
オキサアルキルは、即ち、1個のCH基が−O−で置き換えられており、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0066】
1個以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、それは直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0067】
特に好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニルであり、特に、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が、一般に好ましい。
【0068】
1個のCH基が−O−基で置き換えられており、1個が−CO−で置き換えられているアルキル基の中では、これらの基は好ましくは隣接している。よって、これらの基は、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を共に形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有する。従って、それらは、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0069】
2個以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。好ましくは、それは直鎖状で3〜12個のC原子を有する。従って、好ましくは、それは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0070】
CNまたはCFによって一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。CNまたはCFによる置換は所望の位置でよい。
【0071】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。ハロゲンは好ましくはFまたはClであり、多置換の場合、好ましくはFである。結果として生じる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω−位である。末端F置換の直鎖状基の特に好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されている訳ではない。
【0072】
ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。
【0073】
およびRは、アキラルまたはキラル基でよい。好ましい実施形態において、それはキラル基で、非常に好ましくは式IIより選択される。
【0074】
【化4】

式中、
は、1〜9個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ、上で定義される通りのアリーレンまたはヘテロアリーレン、または単結合であり、
は1〜10個のC原子のアルキルまたはアルコキシで、該基は無置換またはF、Cl、BrまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、また、酸素原子が互いに直接結合しないように、それぞれの場合で互いに独立に、1個以上の隣接していないCH基を、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−で置き換えることも可能であり、または、QおよびQとは異なって、上で定義される通りのアリールまたはヘテロアリールであり、
は、F、Cl、Br、CNまたはQで定義されるようなアルキル、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであるが、QおよびQとは異なる。
【0075】
式II中のQがアルキレン−オキシ基の場合、O原子は好ましくはキラルC原子に隣接している。
【0076】
式IIの好ましいキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0077】
特に好ましいキラル基は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。非常に好ましくは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0078】
加えて、例えば、結晶化する傾向を低減するため、アキラルで分岐状の基RまたはRを含む化合物が、しばしば重要な場合がある。このタイプの分岐状の基は、一般に、1つより多くは鎖の枝を含んでいない。好ましいアキラルで分岐状の基は、イソプロピル、イソブチル(即ち、メチルプロピル)、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0079】
重合性基Pは、ラジカル性またはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合のような重合反応に関与できるか、または、例えば縮合または付加により、高分子類似反応において高分子主鎖上へグラフトできる基である。特に好ましくは、ラジカル性、カチオン性またはアニオン性重合のような連鎖重合反応のための重合性基である。非常に好ましくは、C−C二重または三重結合を含む重合性基、および、オキセタンまたはエポキシドのような開環反応により重合可能な重合性基である。
【0080】
非常に好ましくは、重合性基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0081】
【化5】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から選択され、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH3であり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Cl、1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレンで、上に定義される通りの1個以上の基Lで置換されていてもよく、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0082】
特に好ましい基Pは、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CH−、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
【0083】
【化6】

である。
【0084】
特に好ましくは、Pgは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であり、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
【0085】
非常に好ましくは、アクリレートおよびオキセタン基である。オキセタンは重合(架橋)時に収縮が少なく、結果としてフィルム中での応力の発生が少なく、配列が高度に保たれ欠陥が少なくなる。また、オキセタン架橋はカチオン性開始剤を必要とするため、フリーラジカル開始剤と異なり酸素に対して不活性である。
【0086】
オキセタンは、収縮に関して優れている。それらは、光学的フィルムの形成のために、特に有用である。
【0087】
スペーサー基については、この目的のために当業者に既知の全ての基を使用できる。
【0088】
スペーサー基Spは、好ましくは、P−SpがP−Sp’−X’−であるような式Sp’−X’で
式中、
Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子のアルキレンであり、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれの場合で互いに独立に、1個以上の隣接していないCH基が、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−,−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
【0089】
X’は、好ましくは、−O−、−S−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
【0090】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−で、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、およびRおよびR00は上で与えられる意味を有する。
【0091】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、2,2−ジメチルプロピレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0092】
SpおよびSp’は、アキラルまたはキラル基でよい。好ましい実施形態において、SpまたはSp’はキラル基である。キラル基Sp’は、非常に好ましくは、式IIIより選択される。
【0093】
【化7】

式中、
は、1〜9個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であり、
は1〜10個のC原子のアルキルまたはアルコキシ基で、該基は無置換またはF、Cl、BrまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、また、酸素原子が互いに直接結合しないように、それぞれの場合で互いに独立に、1個以上の隣接していないCH基を、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−で置き換えることも可能であり、
は1〜10個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であるが、Qとは異なり、
は重合性基Pに結合している。
【0094】
更に好ましくは、Spが単結合である1個または2個の基P−Sp−を有する化合物である。2個の基P−Sp−を有する化合物の場合、2個の重合性基Pおよび2個のスペーサー基Spは、それぞれ同一または異なっていてよい。
【0095】
式Iの特に好ましい化合物は、以下の式IA〜IDのものである。
【0096】
【化8】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および
式ICおよびID中のシクロヘキシレン環および式IAおよびIB中のシクロヘキシレン環は互いに独立に更に置換されていてもよいが、好ましくは更に置換されておらず、好ましくはトランスコンホメーションであるが、シスコンホメーションも可能である。
【0097】
およびPは、それぞれ互いに独立に、上でPに与えられる意味を有し、
Sp、SpおよびSpは、それぞれ互いに独立に、上でSp’に与えられる意味を有し、
X、XおよびXは、それぞれ互いに独立に、上でX’に与えられる意味を有し、
および、好ましくは、
は、アルキルであり、
P、PおよびPは、それぞれ互いに独立に重合性基であり、好ましくはアクリレートまたはメタクリレート、および最も好ましくは(メタ)アクリレートであり、
Sp、SpおよびSpは、それぞれ互いに独立に、アルキレン2価基で、ただし、1個のCH基、または有り得るならば1個より多くの隣接していないCH基はOで置き換えられていてもよく、該基はハロゲンで置換されていてもよく、分岐状でよく、キラルまたはアキラルでよく、分岐状でよく、キラルまたはアキラルでよく、および
X、XおよびXは、それぞれ互いに独立に、単結合、−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−O−、−CF−O−、−O−CF−、および、好ましくは
式IA、ICおよびIDでは、−CO−O−、および
式IBでは、−CH−であり、
および、更に好ましくは、式IBおよびIDにおいては、3つのそれぞれの組(PおよびP)、(SpおよびSp)および(XおよびX)は、それぞれ相互に同一である。
【0098】
式IAの特に好ましい化合物は、以下の式IA−1〜IA−5のものである。
【0099】
【化9】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および
式IA5の化合物は、それらのそれぞれのキラルなコンフィグレーションの1つとして、またはエナチオメリック過剰であるそれらの混合物として、またはラセミ体として存在でき、
nは1〜12、好ましくは3〜6の整数であり、
Pはメタクリレートまたはアクリレートで、alkylはプロピル、ペンチルであり、および
シクロヘキシル環は、トランス、トランスコンホメーションである。
【0100】
式IBの特に好ましい化合物は、以下の式IB−1〜IB−3のものである。
【0101】
【化10】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および
nは1〜12、好ましくは3〜6の整数であり、
好ましくは、シクロヘキシル環は、トランス、トランスコンホメーションである。
【0102】
式ICの特に好ましい化合物は、以下の式IC−1〜IC−3のものである。
【0103】
【化11】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および
nは1〜12、好ましくは3〜6の整数であり、
Pはメタクリレートまたはアクリレートで、および
シクロヘキシル環は、トランスコンホメーションである。
【0104】
式IDの特に好ましい化合物は、以下の式ID−1〜ID−4のものである。
【0105】
【化12】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および
nは0〜12、好ましくは2〜6の整数である。
【0106】
式IDの化合物はシスおよびトランス異性体の混合物でよく、好ましい実施形態においては、シスおよびトランス異性体の混合物である。
【0107】
上記の好ましい式中において、−Sp−Pは好ましくは−COO−alkylene−Pまたは−O−alkylene−Pであり、式中、「alkylene」は直鎖状または分岐状のアルキレンで、好ましくは1〜12個、非常に好ましくは2〜8個のC原子で、フッ素化されていてもよいが、好ましくはフッ素化されていない。
【0108】
これらの好ましい式中のRは、非常に好ましくは、直鎖状または分岐状のアルキルで、好ましくは1〜12個、非常に好ましくは2〜8個のC原子で、フッ素化されていてもよいが、好ましくはフッ素化されていない。
【0109】
これらの好ましい式中のRは、非常に好ましくは、アクリレート(即ち、−O−CO−CH=CH)またはメタクリレート(即ち、−O−CO−C(CH)=CH)である。
【0110】
式Iの化合物は、それ自体公知であって、文献中および例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作中に記載される方法に類似して合成できる。合成の適切な方法を下に示す。好ましくは、それらは以下の反応スキーム(スキーム1〜10)によって得られ、ただし、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは定義される通りである。
【0111】
<スキーム1>4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸n−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−アルキルエステルの調製
【0112】
【化13】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは上で定義される通りで、好ましくはnは1〜12である。
【0113】
<スキーム2>4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−アクリロイルオキシ−アルキルエステルの調製
【0114】
【化14】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは上で定義される通りで、好ましくはRはアルキルで、nは1〜12である。
【0115】
<スキーム3>6−アクリロイルオキシ−アルカン酸4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−イルエステルの調製
【0116】
【化15】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは上で定義される通りで、好ましくはRはアルキルで、nは1〜12である。
【0117】
<スキーム4>2−メチル−アクリル酸5−(4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−イル)−アルキルエステルの調製
【0118】
【化16】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、好ましくはアルキルである。
【0119】
<スキーム5>アクリル酸3−[4’−(3−アクリロイルオキシ−アルキル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−アルキルエステルの調製
【0120】
【化17】

【0121】
<スキーム6>4−アルキル−シクロヘキサンカルボン酸4−アクリロイルオキシ−アルキルエステルの調製
【0122】
【化18】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは上で定義される通りで、好ましくはRはアルキルで、nは1〜12である。
【0123】
<スキーム7>4−アルキル−シクロヘキサンカルボン酸4−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−アルキルエステルの調製
【0124】
【化19】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、nは上で定義される通りで、好ましくはRはアルキルで、nは1〜12である。
【0125】
アクリル酸ω−(4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−イル)−アルキルエステルの調製のための好ましい合成スキームは、スキーム8中で与えられる。中心的な中間体として、純粋なトランス異性体として容易に入手可能な共通の構築ブロックであるシクロヘキシルカルバルデヒドを選択する。適切に官能化されたスペーサー基を、例えば、商業的に入手可能なウィッティヒ試薬を用いウィッティヒ反応を経て導入できる。
【0126】
<スキーム8>シクロヘキサンカルバルデヒドから各種アルコールの合成
【0127】
【化20】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、好ましくは、アルキルである。
【0128】
スキーム8中で記載されるようにして調製されたアルコールより、塩基(ピリジン、トリエチルアミン)の存在下でアクリルクロリドとの反応、またはジシクロヘキシルカルボジイミドなどの存在下でアクリル酸との反応(スキーム9との比較)などの以下の標準的な手法により対応するアクリレートを得る。
【0129】
<スキーム9>アクリレートおよびメタクリレートの合成
【0130】
【化21】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、好ましくはアルキルであり、R’はHまたはメチルである。
【0131】
適切に置換されたウィッティヒ試薬により、分岐状のスペーサー基を有する化合物に至る。
【0132】
明らかに、2個のシクロヘキシレン部分構造を有する化合物を同様に得られる。
【0133】
上のスキーム8および9中のモノアルデヒドに対して示されるように、同じ化学的変換(スキーム5も参照)を用いて、ジアルデヒドよりジアクリレートを生じる。
【0134】
1箇所を保護することで、非対称に置換された化合物に至る。これは、スキーム10中で説明される。
【0135】
<スキーム10>ジアクリレートの合成
【0136】
【化22】

式中、Rは上でRに与えられる意味を有し、好ましくはHまたはメチルであり、R’はアルキルまたはω−アルカンジイルであり、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜12の整数である。
【0137】
式Iの化合物は、ドイツ国特許出願公開第103 13 979号公報(特許文献1)または対応出願の国際特許出願公開第04/046805号パンフレット(特許文献2)および米国特許出願公開第2006/0,050,354号公報(特許文献3)中に記載されるような等方性またはブルー相中で動作するキラルな液晶媒体を含有するディスプレイ中での使用に特に適する。
【0138】
よって、本発明のもう1つの様態は、ブルー相を有し、少なくとも1種類の式Iの化合物を含む液晶媒体である。本発明の更なるもう1つの様態は、そのような液状液晶媒体を含有するLCDである。
【0139】
そのような液晶媒体は、好ましくは0.1〜20重量%、非常に好ましくは0.5〜15重量%、最も好ましくは1〜8重量%の式Iの化合物を含む。好ましくは、それは、1種類、2種類または3種類の式Iの化合物を含む。
【0140】
ブルー相を示すLCホスト混合物、およびこれらの混合物を利用し本発明における使用に適するディスプレイのコンフィグレーションは、ドイツ国特許出願公開第103 13 979号公報(特許文献1)、国際特許出願公開第04/046805号パンフレット(特許文献2)および米国特許出願公開第2006/0,050,354号公報(特許文献3)中で開示されており、これらの開示全体が引用により本出願に取り込まれるものとする。
【0141】
本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体は2〜25種類、好ましくは3〜15種類の化合物からなり、それらの少なくとも1種類は式Iのキラル化合物である。他の化合物は、好ましくはネマチックまたはネマトゲン性の物質から選ばれる低分子量の液晶化合物で、例えば、アゾキシベンゼン類、ベンジリデン−アニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸の、シクロヘキサンカルボン酸のおよびシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシル−ビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキセン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビス−シクロヘキシルベンゼン類、4,4’−ビス−シクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロ−ヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロ−ヘキシルピリダジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロ−ヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニル−エタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)−エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニル−エタン類、1−フェニル2−シクロヘキシル−フェニルエタン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸類の公知の類およびネマチックまたはネマトゲン性の物質の更なる類からである。また、これらの化合物中の1,4−フェニレン基は、横方向にモノフッ素化またはジフッ素化されていてもよい。液晶混合物は、好ましくは、このタイプのアキラル化合物をベースとする。
【0142】
液晶混合物の成分として使用できる最も重要な化合物は、以下の式で特徴付けることができる。
【0143】
【化23】

式中、L’およびEは同一でも異なっていてもよく、それぞれの場合で互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−Pan−、−B−Phe−、−B−Phe−Phe−および−B−Cyc−およびそれらの鏡像により形成される群より選ばれる2価の基であり、ただし、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレンであり、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンであり、Pyrはピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、Panはピラン−2,5−ジイルであり、Bは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピラン−2,5−ジイルである。
【0144】
これらの化合物中のG’は、以下の2価の基およびそれらの鏡像:−CH=CH−、−CH=CY−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH−CH−、−CFO−、−CH−O−、−CH−S−、−CO−O−、−CO−S−または単結合より選択され、Yはハロゲン、好ましくはF、または−CNである。
【0145】
R’およびR”は、それぞれの場合で互いに独立に、1〜18個、好ましくは3〜12個のC原子のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシ、また、あるいはR’およびR”の1つは、F、CF、OCF、Cl、NCSまたはCNである。
【0146】
これらの化合物の殆どにおいて、R’およびR”は、それぞれの場合で互いに独立に、異なる鎖長のアルキル、アルケニルまたはアルコキシで、ただし、ネマチック媒体中のC原子の総和は一般に2および9の間、好ましくは2および7の間である。
【0147】
これらの化合物およびそれの混合物の多くは、商業的に入手できる。これらの化合物の全ては既知であるか、文献(例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの標準的な著作)に記載されるような、それ自身既知の方法で調製でき、既知で前記反応に適する反応条件下で正確にできる。それ自身既知であるがここでは述べない変法を、ここで行うこともできる。
【0148】
適切で好ましいホスト混合物は、例えば、国際特許出願公開第2005/019381号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006/0,061,699号公報および上記米国特許出願公開第2006/0,050,354号公報(特許文献3)中で開示されており、これらの開示全体が引用により本出願に取り込まれるものとする。
【0149】
式Iの化合物に加え、液晶媒体は1種類以上の更なるRMを含んでよい。追加のRMの量は、好ましくは0.1〜20重量%、非常に好ましくは0.5〜15重量%、最も好ましくは5〜15重量%(媒体中の固体化合物の総量について)である。好ましくは、液晶媒体は、1種類、2種類または3種類の追加のRMを含む。
【0150】
追加のRMは、好ましくは、カラミチック単量体である。これらの材料は、典型的には、色度が低減されているなどの良好な光学的特性を有しており、所望の方向へ容易および迅速に配向でき、大規模な高分子フィルムの工業的製造において特に重要である。また、重合性材料が1種類以上のディスコチック単量体を含むことも可能である。非常に好ましくは、追加のRMは以下の式より選択される:
【0151】
【化24】

式中、P、SpおよびRは式I中で与えられる意味を有し、MGはキラルでもよい棒状コアである。
【0152】
MGは、好ましくは、式Vより選択される。
【0153】
【化25】

式中、
およびAは、複数出現する場合は互いに独立に、芳香族または脂環式基で、該基は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、上で定義される通りのLで一置換または多置換されていてもよく、
は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−(CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4である。
【0154】
好ましい基AおよびAとしては、制限することなく、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレンが挙げられ、これらの全ては、1個以上の基Lで置換されていてもよい。
【0155】
特に好ましい基AおよびAは、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4−シクロヘキシレンから選択され、ただし、1個または2個の隣接していないCH基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよく、これらの基は無置換であるか、上で定義される通りのLで一置換または多置換されている。
【0156】
好ましい基R、PおよびSpは、上に列記されるものである。
【0157】
本発明のもう1つの様態は1種類以上の式Iの化合物および1種類以上の追加のRMを含む重合性材料であり、好ましくは、上で記載される通りの単反応性および二反応性のRMから選択される。
【0158】
追加のRMは、例えば、Houben−Weyl著、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような有機化学の標準的な著作に記載されている、それ自身既知の方法で調製できる。適切なRMは、例えば、国際特許出願公開第93/22397号パンフレット、欧州特許第0,261,712号、ドイツ国特許第195 04 224号、国際特許出願公開第95/22586号パンフレット、国際特許出願公開第97/00600号パンフレット、米国特許第5,518,652号、米国特許第5,750,051号、米国特許第5,770,107号および米国特許第6,514,578号に開示されている。特に適切で好ましいRMの例を、以下のリストに示す。
【0159】
【化26】

【0160】
【化27】

【0161】
【化28】

【0162】
【化29】

【0163】
【化30】

式中、
は、複数出現する場合は互いに独立に、重合性基であり、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
およびBは、複数出現する場合は互いに独立に、1個、2個、3個または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
は、複数出現する場合は互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、YまたはP−(CH−(O)−であり、
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、SF、1〜4個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、1〜4個のC原子を有し、モノフッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
01およびRは、それぞれ互いに独立に、H、RまたはYであり、
は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシのように、4個以上、好ましくは4〜12個のC原子のキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、メンチルまたはシトロネリルのような、コレステリル、エストラジオール、またはテルペノイド基より選択されるキラル基であり、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、H、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
tは、複数出現する場合は互いに独立に、0、1、2または3であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、ただし、隣接するxまたはyが0の場合zは0であり、
ただし、ベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0164】
式Iの化合物に加えるかまたは代わりに、本発明による液晶媒体および重合性材料は1種類以上の重合性または非重合性キラル化合物を含んでもよい。
【0165】
適切な非重合性キラル化合物は、例えば、R−またはS−811、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011、R−またはS−5011、またはCB15(全て、メルク社、Darmstadt市、ドイツ国より入手可)のような標準的なキラルドーパント、国際特許出願公開第98/00428号パンフレットに記載されるようなソルビトール類、英国特許第2,328,207号に記載されるようなヒドロベンゾイン類、国際特許出願公開第02/94805号パンフレットに記載されるようなキラルなビナフトール類、国際特許出願公開第02/34739号パンフレットに記載されるようなキラルなビナフトールアセタール類、国際特許出願公開第02/06265号パンフレットに記載されるようなキラルなTADDOL類、または国際特許出願公開第02/06196号パンフレットまたは国際特許出願公開第02/06195号パンフレットに記載されるようなフッ素化された架橋基を有するキラル化合物である。適切な重合性キラル化合物は、例えば、上にリストされるもの、または重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF社、Ludwigshafen市、ドイツ国製)である。
【0166】
上記用途に加え、式Iの化合物は、例えばマルチプレックスまたはアクティブマトリックスアドレスのツイストまたはスーパーツイストネマチック(TN、STN)ディスプレイのようなツイスト構造を示す他のLCD用の液晶混合物中においても、または、国際特許出願公開第92/19695号パンフレット、国際特許出願公開第93/23496号パンフレット、米国特許第5,453,863号または米国特許第5,493,430号中で記載される通りの表面安定化または高分子安定化コレステリックテクスチャディスプレイ(SSCT、PSCT)のようなコレステリックディスプレイ中においても、国際特許出願公開第98/57223号パンフレット中で記載される通りのマルチ−ドメインLCDのようなピッチを変えることができるLCD用にも、米国特許第5,668,614号中で記載される通りの多色性コレステリックディスプレイ用にも使用できる。また、それらは、例えば英国特許第2,356,629号中に記載される通りのフレキソエレクトリックディスプレイ中で使用することもできる。
【0167】
また、本発明の式Iの化合物は、温度変化または光照射によりそれぞれ色を変えるサーモクロミックまたはホトクロミック液晶媒体中での使用にも適している。
【0168】
式Iの化合物のもう1つの好ましい使用は、重合性液晶混合物、異方性高分子ゲルおよび異方性高分子フィルムの調製である。式Iの化合物をキラル化合物を含む混合物中で使用する場合、または式Iの化合物自身がキラルな場合、均一な平面配向でヘリカルツイスト分子構造を示す、即ち、配向コレステリックフィルムのようにヘリカル軸がフィルム面に対して垂直に配向している高分子フィルムを調製できる。それらを含む異方性高分子ゲルおよびディスプレイは、例えば、ドイツ国特許第195 04 224号および英国特許第2279 659号中に開示されている。配向コレステリック高分子フィルムは、例えば、広域反射偏光子、カラーフィルター、セキュリティーマークとして、または液晶顔料の調製用に使用できる。
【0169】
本発明による高分子液晶フィルムの一般的な調製は通常の専門家に既知であり、文献に記載されている。典型的には、重合性液晶材料を基体上に塗工またはそうでなければ塗布し、そこで均一な方向に配向し、例えば、熱または化学線照射に曝露して、好ましくは光重合により、非常に好ましくはUV−光重合により、選択された温度で液晶相中においてその場で重合し、液晶相の分子の配向を固定する。必要に応じて、液晶材料をせん断またはアニールする、基体の表面処理、または液晶材料に界面活性剤を添加すると言った付加的な方法により均一な配向を促進できる。
【0170】
基体として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチックフィルムを使用できる。また、重合前および/または重合中および/または重合後において、被覆された材料の最表面上に第2の基体を配置することも可能である。重合後、基体を取り除いても取り除かなくても構わない。2つの基体を使用して化学線照射により硬化する場合、少なくとも一方の基体は、重合のために使用される化学線照射に対して透過性を有していなければならない。等方性または複屈折性の基体を使用できる。重合後に重合されたフィルムから基体を取り除かない場合、好ましくは等方性基体を使用する。
【0171】
適切で好ましいプラスチック基体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−ナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)のフィルム、非常に好ましくはPETまたはTACフィルムである。複屈折性基体としては、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用できる。PETフィルムは、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社より商標名Melinex(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0172】
重合性材料は、スピンコートまたはブレードコートのような従来の塗工技術により、基体上に塗布できる。また、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、リール−ツー−リール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソグラフィック印刷、インタリオ印刷、パッド印刷、熱シール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷板を利用する印刷のような専門家に既知の従来の印刷技術によっても基体上に塗布できる。
【0173】
また、重合性材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。そして、この溶液を、例えば、スピンコートまたはプリントまたは他の既知の技術により、基体上に塗工または印刷し、重合前に溶媒を蒸発し除去する。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために、混合物を加熱することが適切である。溶媒としては、例えば、標準的な有機溶媒を使用できる。溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテートなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒類;ジ−またはトリ−クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)などのグリコール類またはそれらのエステル類、ブチロラクトンなどから選択できる。また、上の溶媒の2種類または3種類以上の混合物も使用できる。
【0174】
重合性液晶材料の初期配向(例えば、平面配向)は、例えば、基体をラビング処理する、塗工中または後に材料をせん断する、重合前に材料をアニールする、配向層を塗布する、塗工された材料に磁界または電界を印加する、または材料に表面活性化合物を添加することで達成できる。配向技術の総説が、例えば、I.Sage、「Thermotropic Liquid Crystals」中、G.W.Gray編、John Wiley & Sons社、1987年刊、第75〜77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki、「Liquid Crystals−Applications and Uses、第3巻」中、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、Singapore、1992年刊、第1〜63頁に与えられている。配向材料および技術の総説が、J.Cognard著、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、第78巻、補足1(1981年刊)、第1〜77頁に与えられている。
【0175】
特に好ましくは、液晶相の分子の特定の表面配向を促進する1種類以上の界面活性剤を含む重合性材料である。適切な界面活性剤は、例えば、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、第78巻、補足1、第1〜77頁(1981年刊)に記載されている。平面配向のための好ましい配向剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、好ましくは、商業的に入手可能なFluorad FC−171(登録商標)(3M社製)またはZonyl FSN(登録商標)(デュポン社製)などのフッ化炭素界面活性剤、英国特許第2,383,040号に記載される通りの多重ブロック界面活性剤または欧州特許第1 256 617号に記載される通りの重合性界面活性剤である。
【0176】
また、基体上に配向層を塗布し、この配向層上に重合性材料を提供することも可能である。適切な配向層は、例えば、米国特許第5,602,661号、米国特許第5,389,698号または米国特許第6,717,644号に記載される通りのラビングされたポリイミドまたは光配向で調製された配向層のように、技術的に既知である。
【0177】
また、重合前に、昇温して、好ましくは重合温度に昇温して、重合性液晶材料をアニールすることで配向を導入または改良することも可能である。
【0178】
重合は、例えば、重合性材料を熱または化学線照射に曝露することで達成される。化学線照射とは、UV光、IR光または可視光のような光の照射、X線またはガンマー線の照射またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましい重合は、UV照射により行われる。化学線照射の線源としては、例えば、単一のUVランプまたはUVランプの組み合わせを使用できる。高いランプパワーを使用すれば、硬化時間を短縮できる。化学線照射のもう1つの可能な線源は、例えばUV、IRまたは可視光レーザーのようなレーザーである。
【0179】
重合は、好ましくは、化学線照射の波長で吸収のある開始剤の存在下で行われる。例えば、UV光を利用する重合の場合、UV照射下で分解し、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用できる。アクリレートまたはメタクリレート基の重合には、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基の重合には、好ましくは、カチオン性の光開始剤が使用される。また、加熱されると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI6974(Union Carbide社)である。
【0180】
また、重合性材料は、望ましくない自発的な重合を予防するため、例えば、商業的に入手可能なIrganox(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)のような安定剤または阻害剤を1種類以上含んでよい。
【0181】
硬化時間は、重合性材料の反応性、塗工層の厚み、重合開始剤の型およびUVランプの出力にとりわけ依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産には、30秒以下の硬化時間が好ましい。
【0182】
好ましくは、重合は、窒素またはアルゴンのような不活性ガス雰囲気内で行う。
【0183】
また、重合性材料は、重合で使用される照射の波長で吸収が最大となるよう調整された染料、例えば、4,4”−アゾキシアニソールまたはTinuvin(登録商標)染料(Ciba Geigy社製、Basel市、スイス国)のような特にUV染料を1種類以上含んでもよい。
【0184】
もう1つの好ましい実施形態において、重合性材料は1種類以上の単反応性の重合性非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%、非常に好ましくは0〜20%の量である。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0185】
もう1つの好ましい実施形態において、二反応性または多反応性の重合性メソゲン化合物に代えるか加えて、重合性材料は1種類以上の二反応性または多反応性の重合性非メソゲン化合物を好ましくは0〜50%、非常に好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性の非メソゲン化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子のアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性の非メソゲン化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリトリトールテトラアクリレートである。
【0186】
また、高分子フィルムの物理的特性を改変するために、1種類以上の連鎖移動剤を重合性材料に加えることも可能である。特に好ましくはチオール化合物類で、例えば、ドデカンチオールのような単官能性チオール類またはトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)のような多官能性チオール類である。非常に好ましくは、例えば、国際特許出願公開第96/12209号パンフレット、国際特許出願公開第96/25470号パンフレットまたは米国特許第6,420,001号中に開示される通りのメソゲンまたは液晶チオール類である。連鎖移動剤を使用することで、高分子フィルム中の束縛されていない高分子鎖の長さおよび/または2つの架橋間の高分子鎖の長さを制御できる。連鎖移動剤の量を増加する場合、高分子フィルム中の高分子鎖長は減少する。
【0187】
また、重合性材料は、重合体バインダーまたは重合体バインダーを形成できる1種類以上の単量体、および/または1種類以上の分散助剤を含むことができる。適切なバインダーおよび分散助剤は、例えば、国際特許出願公開第96/02597号パンフレットに開示されている。しかしながら、好ましくは、重合性材料はバインダーおよび分散助剤を含まない。
【0188】
重合性材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応性単量体、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料、顔料またはナノ粒子のような1種類以上の添加剤を付加的に含んで構わない。
【0189】
本発明による高分子フィルムの厚みは、好ましくは0.3〜5ミクロン、非常に好ましくは0.5〜3ミクロン、最も好ましくは0.7〜1.5ミクロンである。配向層としての使用には、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.4ミクロンの厚みの薄膜が好ましい。
【0190】
本発明の高分子フィルムは、例えばLCD中において大きい視野角におけるコントラストおよび輝度を改良し色度を低減するために、位相差または補償フィルムとして使用できる。それはLCDのスイッチ可能なLCセルの外側または基体間で使用でき、通常、ガラス基体でスイッチ可能なLCセルを形成し、スイッチ可能な液晶媒体を含有する(インセルでの用途)。
【0191】
また、本発明の高分子フィルムは、液晶材料用の配向層としても使用できる。例えば、スイッチ可能な液晶媒体の配向を誘発または改良するため、または重合性液晶材料の上に塗工される次の層を配向するために、LCD中で使用できる。この方法で、重合性液晶フィルムの積層を調製できる。
【0192】
特に、本発明による化合物、混合物、高分子および高分子フィルムは、英国特許第2,315,072号または国際特許出願公開第97/35219号パンフレットに開示される通りの反射偏光子、国際特許出願公開第2001/20394号パンフレットまたは国際特許出願公開第2004/013666号パンフレットに開示される通りの負のC位相差板、国際特許出願公開第2003/054111号パンフレットに開示される通りの2軸性の負のC位相差板、欧州特許第1 376 163号に開示される通りの配向層、英国特許第2,315,760号、国際特許出願公開第2002/85642号パンフレット、欧州特許第1 295 929号または欧州特許第1 381 022号に開示される通りの装飾またはセキュリティー用の使用のための複屈折性マークまたは画像において使用できる。
【0193】
本発明の高分子フィルムは従来のLCディスプレイ中で使用でき、例えば、DAP(deformation of aligned phases)、ECB(electrically controlled birefringence)、CSH(colour super homeotropic)、VA(vertically aligned)、VANまたはVAC(vertically aligned nematicまたはcholesteric)、MVA(multi−domain vertically aligned)またはPVA(patterned vertically aligned)モードのような垂直配向のディスプレイ;OCB(optically compensated bend cellまたはoptically compensated birefringence)、R−OCB(reflective OCB)、HAN(hybrid aligned nematic)またはパイ−セル(π−cell)モードのようなベンドまたはハイブリッド配向のディスプレイ;TN(twisted nematic)、HTN(highly twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、AMD−TN(active matrix driven TN)モードのようなツイスト配向ディスプレイ;IPS(in plane switching)モードのディスプレイ、または、光学的等方相中でスイッチするディスプレイである。
【0194】
以下の例は、本発明を制限することなく、それを説明することを意図する。また、以降で記載される方法、構造および特性を、本発明中で特許請求されているが前述の明細書中および例中で明らかには記載されていない材料にも応用または移行できる。
【0195】
上および下において、パーセンテージは重量パーセントである。全ての温度は摂氏で与えられる。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点を表し、Tgはガラス転移温度を表す。更に、K=結晶状態、N=ネマチック相、S=スメクチック相およびI=等方相。これらの記号の間のデータは、相転移温度を示す。Δnは光学的異方性を表し(Δn=n−n、ただし、nは長手方向の分子軸に平行な屈折率を表し、nはそれに垂直な屈折率を表す)、589nmおよび20℃で測定される。V10およびV90は、10%および90%透過の電圧をそれぞれ表す(プレート表面に垂直な視角)。τonは、V10の値の2倍に対応する動作電圧におけるスイッチ−オン時間を表し、τoffはスイッチ−オフ時間を表す。Δεは誘電異方性を表す(Δε=ε−ε、ただし、εは長手方向の分子軸に平行な誘電定数を表し、εはそれに垂直な誘電定数を表す)。光学的および電気光学的データは、他に明言しない限り、20℃で測定される。
【0196】
他に明言しない限り、上および下で与えられる通りの重合性混合物の成分のパーセンテージは、混合重合性混合物中の固形分の総量によっており、即ち、溶媒を含まない。
【実施例】
【0197】
以下で与えられる例は、本発明を一切制限することなく、それを説明する。
【0198】
<RMの例>
全ての反応は、乾燥されたガラス容器中で窒素ガス加圧雰囲気下において行う。
【0199】
<例1〜5>
以下の化合物:4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸n−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−アルキルエステル(1)を、反応スキーム1に従って調製する。
【0200】
【化31】

<例1>:4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルエステル1の調製:
【0201】
【化32】

<工程1.1>:以下の化合物の調製
【0202】
【化33】

DCM(50ml)中のDCC(7.5g、36.4mmol)の溶液を、4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸(10.0g、35.7mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.7g)および6−ブロモプロパン−1−オール(6.5g、35.9mmol)およびDCM(60ml)の氷冷された混合物にゆっくり加える。添加を完了後、混合物を25℃で一晩撹拌する。過剰のDCCを掃討するためにシュウ酸を加え、混合物を濾過し、次いで蒸発乾燥し、4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸6−ブロモ−ヘキシルエステルを白色固体として与え、その構造をGCMSによる質量イオン(M+443)およびH NMRスペクトルにより確認する。生成物を、更に精製することなく、好ましい例1の調製で使用する。
【0203】
<工程1.2>:1の調製
ジメチルホルムアミド(30ml)中のメタクリル酸(3.6g、41.8mmol)の溶液を、ジメチルホルムアミド(50ml)中の水素化ナトリウム(パラフィンオイル中60%懸濁)(1.5g、37.5mmol)の氷冷されたスラリーに滴下により加える。添加が完了すれば、混合物を放置して室温まで温め、1時間撹拌し、ジメチルホルムアミド(100ml)中の中間体4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸6−ブロモ−ヘキシルエステル(15.0g、33.8mmol)を滴下により加える。混合物を50℃で一晩撹拌する。混合物を室温まで冷却し、氷水中に投入し、これをDCMに3回抽出する。DCM溶液を塩水および水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶液を蒸発させて乾燥し、アセトニトリルから再結晶して、白色ろう状の固体を与える。溶離液として水/アセトニトリルを使用し、分取HPLCにより、更なる精製を達成する。
【0204】
生成物はK11.7SmB28.2Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0205】
<例2>:4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピルエステル2の調製:
【0206】
【化34】

<工程2.1>:以下の化合物の調製
【0207】
【化35】

DCM中のDCC(11.3g、54.5mmol)の溶液を、4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸(15.0g、53.5mmol)、ジメチルアミノピリジン(1.1g)および3−ブロモプロパン−1−オール(7.5g、54.0mmol)およびDCM(100ml)の氷冷された混合物にゆっくり加える。添加を完了後、混合物を25℃で一晩撹拌する。過剰のDCCを掃討するためにシュウ酸を加え、混合物を濾過し、次いで蒸発乾燥し、4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−ブロモ−プロピルエステルを白色固体として与え、それはGCMSにより正しい質量イオン(M+401)を与えた。H NMRは、期待されるシグナルを与えた。生成物を、更に精製することなく、好ましい例2の調製で使用する。
【0208】
<工程2.2>:2の調製
ジメチルホルムアミド(100ml)中のメタクリル酸(3.5g、40.7mmol)の溶液を、ジメチルホルムアミド(100ml)中の水素化ナトリウム(パラフィンオイル中60%懸濁)(1.6g、40.0mmol)の氷冷されたスラリーに滴下により加える。添加が完了すれば、混合物を放置して室温まで温め、1時間撹拌し、ジメチルホルムアミド(100ml)中の中間体4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−ブロモ−プロピルエステル(15.0g、37.4mmol)を滴下により加える。混合物を50℃で一晩撹拌する。混合物を室温まで冷却し、氷水中に投入し、これをDCMに3回抽出する。DCM溶液を塩水および水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶液を蒸発させて乾燥し、工業用変性アルコールから再結晶して、白色結晶の固体を与える。
【0209】
生成物はK41SmB43Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0210】
<例3>:4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピルエステル3の調製
【0211】
【化36】

生成物はK(0.2SmB)31Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0212】
<例4>:4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルエステル4の調製
【0213】
【化37】

生成物はK(−7.0SmB)12Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。GCMSは、質量イオン420の単一ピークを示す。
【0214】
<例5>:4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸2,2−ジメチル−3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピルエステル5の調製
【0215】
【化38】

生成物、即ち白色結晶の固体はK45.5Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0216】
<例6〜8>
以下の化合物:4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−アクリロイルオキシ−アルキルエステル(2)を、反応スキーム2に従って調製する。
【0217】
【化39】

<例6>:4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−アクリロイルオキシ−プロピルエステル6の調製:
【0218】
【化40】

ジメチルホルムアミド(150ml)中のアクリル酸ナトリウム(2.5g、13.4mmol)、4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−ブロモプロピルエステル(好ましい例1で記載される合成)(5.0g、13.4mmol)およびヨウ化ナトリウム(2.5g、16.7mmol)の混合物を、130℃で一晩撹拌する。混合物を室温まで冷却し、水中に投入し、これをジエチルエーテルで2回抽出する。エーテル溶液を水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶液を蒸発して乾燥し、溶離液としてDCM/石油エーテル(1/1)を使用してフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、適切な画分を蒸発して、無色のオイルを与える。
【0219】
生成物はK4.7SmB12.6SmA20.1Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。GCMSは、質量イオン364の単一ピークを示す。
【0220】
<例7>:4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸3−アクリロイルオキシ−プロピルエステル7の調製
【0221】
【化41】

生成物はK7.6SmB42.8Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。GCMSは、質量イオン392の単一ピークを示す。
【0222】
<例8>:4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸6−アクリロイルオキシ−ヘキシルエステル8の調製
【0223】
【化42】

生成物はK17.9SmB39.1Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0224】
<例9〜11>
以下の化合物:6−アクリロイルオキシ−アルカン酸4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−イルエステル(3)を、反応スキーム3に従って調製する。
【0225】
【化43】

<例9>:2−メチレン−プロピオン酸3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イルオキシカルボニル)−プロピルエステル9の調製
【0226】
【化44】


生成物、即ち白色固体は、K(20.4SmB15.6SmA)41Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルおよびGCMSにより確認する。
【0227】
<例10>:2−メチレン−プロピオン酸5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イルオキシカルボニル)−ペンチルエステル10の調製
【0228】
【化45】

生成物、即ち白色固体は、K54.4Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルおよびGCMSにより確認する。
【0229】
<例11>:6−アクリロイルオキシ−ヘキサン酸4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イルエステル11の調製
【0230】
【化46】

生成物、即ち白色結晶の固体は、K(SmA39SmB38.9)61Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルおよびGCMSにより確認する。
【0231】
<例12〜16>
以下の化合物:2−メチル−アクリル酸5−(4’−アルキル−ビシクロヘキシル−4−イル)−アルキルエステル(4)を、反応スキーム4に従って調製する。
【0232】
【化47】

<例12>:2−メチル−アクリル酸3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステル12の調製
【0233】
【化48】

<工程12.1>:
【0234】
【化49】

4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルバルデヒド(32g、0.136mol)および(カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(50g、0.136mol)をトルエン(1l)中において還流下2時間加熱する。溶媒を蒸発させ、ヘプタン/酢酸エチル(10:1)によりシリカを通して残渣を濾過し、徐々に結晶化するネマチック液体として(E)−3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)アクリル酸エチルエステルを与える。
【0235】
相挙動:K32N79.6I。
【0236】
<工程12.2>:
【0237】
【化50】


(E)−3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)アクリル酸エチルエステルを、THF中パラジウム炭の存在下において水素化する。1当量の水素が消費された後、触媒を濾別し、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカに通して濾過し、無色のオイルとして3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)プロピオン酸エチルエステルを生じる。
【0238】
<工程12.3>:
【0239】
【化51】

THF(150ml)中の3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステル(22.0g、70mmol)を、THF(250ml)中の水素化リチウムアルミニウム(3.25g、86mmol)の懸濁液に還流温度において滴下により加える。反応物を還流下で1時間加熱し、冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液中に投入する。混合物を酸性とし、エーテルで抽出し、合わされた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をイソプロパノールより結晶化し、3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロパン−1−オールを無色の結晶として与える。
【0240】
MS(EI):m/z(%)=212(2)[M]、248(54)[M−HO]、69(100)。
【0241】
<工程12.4>:12の調製
【0242】
【化52】


3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロパン−1−オール(5g、18.8mmol)をジクロロメタン(50ml)およびトリエチルアミン(3.5ml)に溶解し、ジクロロメタン(30ml)中のメタクリロイルクロリド(2.2ml、21.8mmol)の溶液に0℃において滴下で加える。反応物を一晩撹拌し、蒸発させ、ヘプタン/酢酸エチル(19:1)によりシリカを通して濾過し、粗生成物をエタノールから結晶化して、無色の結晶として2−メチル−アクリル酸3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステルを与える。
【0243】
生成物はK47SmB(43)Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0244】
例13〜17を、適宜に調製する。
【0245】
<例13>:アクリル酸5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−ペンチルエステル13の調製
【0246】
【化53】

<工程13.1>:
【0247】
【化54】


THF(200ml)中の4’−ペンタ−4−エニル−4−プロピル−ビシクロヘキシル[日本国特許第10046150号明細書](9.9g、36mmol)を0℃まで冷却し、THF(100ml、50mmol)中の0.5Mの9−BBN溶液に滴下で加える。反応物を室温で一晩撹拌し、−20℃まで冷却し、30%の過酸化水素(12ml、0.11mol)、追って32%の水性水酸化ナトリウム(7ml、76mmol)を加える。冷浴を取り外し、反応物を一晩撹拌する。水を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わされた有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をエタノールより再結晶化し、5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−ペンタン−1−オールを無色の結晶として与える。
【0248】
<工程13.2>:
【0249】
【化55】

生成物、即ち白色の固体は、K29SmB81Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0250】
<例14>:2−メチル−アクリル酸5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−ペンチルエステルの調製
【0251】
【化56】


上記の手順に従い、5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−ペンタン−1−オールを5−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−ペンチルエステルへと反応させる。これは、K29SmB66Iの相順序を有する。
【0252】
<例15>:アクリル酸3−(4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステル15の調製
【0253】
【化57】

生成物、即ち白色の固体は、K33SmB87Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0254】
<例16>:アクリル酸3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステル16の調製
【0255】
【化58】

生成物、即ち白色の固体は、K34SmB66Iの相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0256】
<例17>:アクリル酸3−(4’−ビニル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステル17の調製
<工程17.1>:
【0257】
【化59】

上記の手順に従い、4−(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[5.5]ウンデカ−9−イル)−シクロヘキサンカルバルデヒド(米国特許第5,185,098号明細書参照)より3−[4’−(5,5−ジメチ−[1,3]ジオキサン−2−イル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピオン酸エチルエステルを、無色の結晶として与える。MS(EI):m/z(%)=379(2)[M−1]、115(100)[C11]。
【0258】
<工程17.2>:
【0259】
【化60】

トルエン(200ml)およびギ酸(70ml)中の3−[4’−(5,5−ジメチ−[1,3]ジオキサン−2−イル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピオン酸エチルエステル(17g、45mmol)の溶液を、80℃で一晩撹拌する。溶液を水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮および再結晶し、3−(4’−ホルミル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステルを無色の結晶として与える。
【0260】
MS(EI):m/z(%)=294(16)[M]、88(100)。
【0261】
<工程17.3>:
【0262】
【化61】

THF(150ml)中の3−(4’−ホルミル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステル(7.8g、25mmol)およびメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(9.5g、26mmol)に、カリウムtert−ブトキシドを−10℃で数回に分けて加える。反応混合物を一晩撹拌し、水により急停止し、塩酸で酸性とする。水層を分離し、MTBエーテルで2回抽出する。合わされた有機層を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、蒸発させる。粗生成物をヘプタン/酢酸エチル(19:1)によりシリカ上で精製し、3−(4’−ビニル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステルを無色の固体として与える。
【0263】
H−NMR(250MHz、CDCl
δ=0.75〜1.95ppm(25H)、2.96(2H、J=7.8Hz、CHCOOEt)、4.12(q、J=7.1Hz、2H、COOCHCH)、4.86(ddd、J=1.0Hz、J=1.8Hz、J=10.4Hz、1H、−CH=CH)、4.94(ddd、J=1.4Hz、J=1.9Hz、J=17.3Hz、1H、−CH=CH)、5.76(ddd、J=6.3Hz、J=10.4Hz、J=17.3Hz、1H、−CH=CH)。
【0264】
<工程17.4および17.5>:
【0265】
【化62】

上記の手順に従い、3−(4’−ビニル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステルより3−(4’−ビニル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピルエステルを生成し、無色のオイルとして得て、次の相挙動K2N(−4.7)Iを有する。
【0266】
【表1】

<例18および19>
例12〜16で記載される方法に類似して、以下の化合物を得る。
【0267】
【化63】

【0268】
<例18>:アクリル酸3−[4’−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピルエステル18の調製
【0269】
【化64】

4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−カルバルデヒドからアクリル酸3−(4’−プロピル−ビシクロヘキシル−4−イル)プロピルエステルの合成に従い、ビシクロヘキシル−4−4’−ジカルバルデヒドからアクリル酸3−[4’−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピルエステル、即ちK80Iの白色固体を生じる。その構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0270】
<例19>:2−メチル−アクリル酸3−{4’−[3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピル]−ビシクロヘキシル−4−イル}−プロピルエステル19の調製
【0271】
【化65】

この化合物は、例18に従い調製される。それはK42Iの相順序を有し、その構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0272】
<例20〜22>
スキーム6に従い、化合物20を調製する。
【0273】
<例20>:4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸4−アクリロイルオキシ−ブチルエステル20の調製
【0274】
【化66】

4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸(10.0g、58.0mmol)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(8.0g、57.0mmol)および触媒量のパラ−トルエンスルホン酸を、還流下トルエン(100ml)中でディーン−スターク装置を備えるフラスコ内において撹拌する。1時間後、GCMSにより反応は完了を示す。溶液を放置して室温まで冷却し、水性炭酸ナトリウムおよび水によって洗浄し、乾燥および蒸発させて乾燥させる。溶離液として石油エーテルを使用し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を達成する。適切な画分を蒸発して、無色のオイルを与える。
【0275】
生成物は、Tgが−70未満の相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。GCMSは質量イオン(310)を示す。
【0276】
スキーム6に従い、化合物21および22を調製する。
【0277】
<例21>:4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸4−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ブチルエステル21の調製
【0278】
【化67】

<工程21.1>:以下の調製
【0279】
【化68】

4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸(10.0g、58.0mmol)、4−ブロモブタン−1−オール(9.2g、60.0mmol)および触媒量のパラ−トルエンスルホン酸を、還流下トルエン(300ml)中でディーン−スターク装置を備えるフラスコ内において一晩撹拌する。溶液を放置して室温まで冷却し、水性炭酸ナトリウムおよび水によって洗浄し、乾燥および蒸発させて乾燥させる。溶離液として石油エーテルを使用し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を達成する。適切な画分を蒸発して、4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸4−ブロモ−ブチルエステルを生成物として与える。構造をH NMRスペクトルおよびGCMSにより確認する。
【0280】
<工程21.2>:21の調製
4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸4−ブロモ−ブチルエステル(9.4g、30.8mmol)、メタクリル酸(8.0g、92.4mmol)および炭酸カリウム(17.0g、123.2mmol)を、50℃においてジメチルスルホキシド(200ml)中で一晩撹拌する。固体の沈殿を濾過により除去して、ジエチルエーテルで洗浄する。濾液を水で洗浄し、除去し、乾燥および蒸発させて乾燥する。溶離液としてトルエンを使用し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を達成して、オイルとして21を与える。
【0281】
生成物は、Tgが−70を超える相順序を有する。構造をH NMRスペクトルにより確認する。
【0282】
<例22>:4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸2,2−ジメチル−3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピルエステル22の調製
【0283】
【化69】

<工程22.1>:以下の調製
【0284】
【化70】

4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸(10.0g、58.0mmol)、3−ブロモ−2,2−ジメチル−プロパン−1−オール(10.0g、59.9mmol)および触媒量のパラ−トルエンスルホン酸を、還流下トルエン(300ml)中でディーン−スターク装置を備えるフラスコ内において一晩撹拌する。溶液を放置して室温まで冷却し、水性炭酸ナトリウムおよび水によって洗浄し、乾燥および蒸発させて乾燥させる。溶離液として石油エーテルを使用し、シリカに通す濾過により精製を達成する。適切な画分を蒸発して、4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸3−ブロモ−2,2−ジメチル−プロピルエステルを液体として与える。構造をGCMSにより確認する。
【0285】
<工程22.2>:22の調製
4−プロピル−シクロヘキサンカルボン酸3−ブロモ−2,2−ジメチル−プロピルエステル(4.3g、13.3mmol)、メタクリル酸(3.4g、39.9mmol)および炭酸カリウム(6.9g、50.0mmol)を、100℃においてジメチルスルホキシド(100ml)中で3日間撹拌する。固体の沈殿を濾過により除去して、ジエチルエーテルで洗浄する。濾液を水で洗浄し、除去し、乾燥および蒸発させて乾燥する。溶離液として石油エーテルを使用し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を達成して、液体として22を与える。
【0286】
構造をH NMRにより確認する。
【0287】
【表2】

【0288】
<例23〜37>
例21および22で記載される方法に類似して以下の例23〜31および37の化合物を得て、例9〜11で記載される方法に類似して例32〜36の化合物を得る。
【0289】
【化71】

【0290】
【化72】

<例38および39>
以下のスキームで示され、アクリル酸3−[4’−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピルエステル(当該国際出願公開パンフレット第75頁)の合成に類似する合成に従って、例38および39を調製する。
【0291】
【化73】

<例38>:アクリル酸2−[4’−(2−アクリロイルオキシメチル−ブチル)−ビシクロヘキシル−4−イルメチル]−ブチルエステル38の調製
<工程38.1>:2−[1−[4’−(−2−エトキシカルボニル−ブタ−1−エニル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−メチリデン]−酪酸エチルエステルの調製
【0292】
【化74】

THF(1l)中のホスホノブタン酸トリエチル(70ml、0.289mol)を0℃まで冷却する。水素化ナトリウム(鉱油中60%、13.5g、0.338mol)を加え、混合物を30分撹拌する。臭化リチウム(20g、0.230mol)、追って200mlのTHF中のビシクロヘキシル−4−4’−ジカルバルデヒド(22.5g、0.1mol)の懸濁液を加える。6時間後、冷浴を取り外し、反応物を室温で一晩撹拌する。イソプロパノールを加え、反応混合物を水中に投入し、3回抽出(MTB−エーテル)し、乾燥(NaSO)する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をヘプタン/酢酸エチル(10:1)でシリカに通して濾過し、2−[1−[4’−(−2−エトキシカルボニル−ブタ−1−エニル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−メチリデン]−酪酸エチルエステルを無色の固体として与える。
【0293】
<例38>:
【0294】
【化75】

生成物は、T−69Iの無色のオイルである。
【0295】
<例39>:2−メチルアクリル酸2−[4’−(2−(2−メチルアクリロイルオキシメチル−ブチル)−ビシクロヘキシル−4−イルメチル]−ブチルエステル39の調製
<例39>:
【0296】
【化76】

生成物は、T−60Iの無色のオイルである。
【0297】
<例40>:アクリル酸3−[4’−(2−アクリロイルオキシメチル−ブチル)−ビシクロヘキシル−4−イル]−プロピルエステル40の調製
【0298】
【化77】

適宜に、3−(4’−ホルミル−ビシクロヘキシル−4−イル)−プロピオン酸エチルエステル(上を参照)40より、2種類の異なるスペーサーを有する化合物の例として無色の固体を得る。
【0299】
生成物は、T−78K28Iの相順序を有する。
【0300】
<例41および42>
化合物41および42を、先の例に類似して調製する。
【0301】
【化78】

<例43〜45>
本発明による式Iの化合物の更なる例は以下であり、先の例に類似して調製される。
【0302】
【化79】

<例46>:アクリル酸2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−ブチルエステル46の調製
<工程46.1>:
【0303】
【化80】

THF(500ml)中のホスホノブタン酸トリエチル(45ml、0.124mol)を0℃まで冷却する。水素化ナトリウム(鉱油中60%、9g、0.225mol)を加え、混合物を30分撹拌する。臭化リチウム(12.9g、0.149mol)、追ってシクロヘキサン−4−カルバルデヒド(19g、0.124mol)の懸濁液を加える。6時間後、冷浴を取り外し、反応混合物を室温で一晩撹拌する。イソプロパノールを加え、反応混合物を水中に投入し、3回抽出(MTB−エーテル)し、乾燥(NaSO)する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をヘプタン/酢酸エチル(10:1)でシリカに通して濾過し、2−[1−(4−プロピル−シクロヘキシル)−メチリデン]−酪酸エチルエステルを無色のオイルとして与える。
【0304】
MS(EI):m/z(%)=252(100)[M]。
【0305】
<工程46.2>:
【0306】
【化81】

2−[1−(4−プロピル−シクロヘキシル)−メチリデン]−酪酸エチルエステルを、THF中でパラジウム炭(5%)存在下において完了するまで水素化する。触媒を濾別し、溶媒を減圧下で除去し、更に精製することなく粗生成物を次の工程で反応させる。
【0307】
<工程46.3>:
【0308】
【化82】

THF(300ml)中の2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−酪酸エチルエステル(35.0g、138mmol)の溶液を、THF(300ml)中の水素化リチウムアルミニウム(6g、158mmol)の懸濁液に滴下で還流温度において加える。反応混合物を還流下において1時間加熱し、冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液に投入する。混合物を酸性とし、エーテルで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をイソプロパノールから結晶化し、2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−ブタン−1−オールを無色の結晶として与える。
【0309】
MS(EI):m/z(%)=266(2)[M]、194(60)[M−HO]、69(100)。
【0310】
<工程46.4>:
【0311】
【化83】

2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−ブタン−1−オール(13g、61.2mmol)をジクロロメタン(50ml)およびトリエチルアミン(3.5ml)に溶解し、ジクロロメタン(30ml)中のメタクリロイルクロリド(2.2ml、21.8mmol)の溶液に0℃において滴下で加える。反応物を一晩撹拌し、蒸発させ、ヘプタン/酢酸エチル(19:1)によりシリカを通して濾過し、粗生成物をエタノールから結晶化して、無色のオイルとして2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−ブチルエステルを与える。
【0312】
<例47>:2−メチル−アクリル酸2−(4−プロピル−シクロヘキシルメチル)−ブチルエステル47の調製
【0313】
【化84】


例46に類似して、生成物(47)を調製する。それは相挙動がT−87Iの無色のオイルである。
【0314】
また、先の例に類似して調製される化合物48〜52も、ブルー相の安定化および本発明による他の用途のために有用である。
【0315】
【化85】

<使用例>
高分子前駆体およびメソゲンホスト混合物の両者の組成物の物理的データは、何れの特性を何れの範囲内で達成できるかを説明する。よって、好ましく達成できる各種特性の組み合わせが十分に規定される。
【0316】
以下の一連の例において、単反応性および2反応性メソゲンの組み合わせを含む混合物のために、単反応性シクロヘキシレン含有単量体を検討する。
【0317】
液晶ホスト混合物の成分を記載するために、以下の頭文字を使用する。
【0318】
【表3】

【0319】
【表4】

RM220は、K82.5N97.1Iの相順序を有する。
【0320】
RM257は、RM220として同一のコア構造およびスペーサーを有し、K66N127Iの相順序有するビス−アクリレートである。
【0321】
本発明による好ましいホスト混合物は、上で示される通りの頭字語AUUQU−n−F、AUUQU−n−T、AUUQU−n−OTおよびAUUQGU−n−Fより好ましくは選択される1種類以上のピラン化合物と、上で示される通りの頭字語PUZU−n−Fより好ましくは選択される2,6−ジフルオロ安息香酸3,5−トリフルオロフェニルエステル基を含む1種類以上の化合物と、上で示される通りの頭字語PUQU−n−Fより好ましくは選択される5−[(2,6−ジフルオロフェニル)−ジフルオロメトキシ]−1,3−トリフルオロベンゼン基を含む1種類以上の化合物とを含む。
【0322】
高い値のヘリカルツイスト力(HTP)を有するキラルドーパントであり、メルク社より商業的に入手可能なR−5011を、下の表4で与えられる組成を有する極性ホスト混合物A0のある量に添加する。ホスト混合物A0中において、キラルドーパントR−5011のHTPは160μ−1と測定される。このドーパントを、全ての他の成分が加えられた後で混合物の2.5質量%で含まれるように添加する。下で特定される通りの単反応性シクロヘキシレン含有反応性メソゲンと、下で特定される通りの二反応性の反応性メソゲンとの所定量を、ホスト混合物に加える。また、少量の光開始剤2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−エタノン(商業的にはIrgacure−651として既知で、ここではIRG−651とも略称する)も、混合物に加える。全ての成分を加え終え、等方相で撹拌して混合物を均質にする。
【0323】
【表5】

<重合実験>
相を同定するために使用されるセルのタイプは、典型的には、配向層および電極が一切ない10ミクロン厚みである。セルは、約2.0cm×2.5cmの大きさを有する。それらは、オーブン中で典型的には75℃の温度で毛細管能によって充填される。重合前に混合物の挙動を偏光顕微鏡で特性解析し、それらの相転移温度を1℃/分で加熱しながら測定する。このために使用される実験セットは、Linkam温度プログラムおよびホットステージを備えるOlympus BX51偏光顕微鏡よりなる。
【0324】
365nmのナローバンドフィルターが装着され1.5mW/cmの出力を与えるEFOS UVランプを使用して、重合実験を行う。最初、偏光顕微鏡によりブルー相I(BP I)と同定されるブルー相(BP)の温度に試料を維持する。それぞれ5秒間隔のUV照射後、偏光顕微鏡を使用してセルのテクスチャーを確認し、どのような変化かを評価する。試料が暗くなっていく場合、このことは等方状態への相転移が起きつつあることを示し、それに応じて、次の工程のUV照射のために温度を変化させる。総露光時間は、最終テクスチャーが安定化される時点で、典型的には180秒である。
【0325】
重合工程の完了後、ブルー相が安定である温度範囲を測定する。引き続いて、更なるテストセルを調製し、混合物の電気光学的特徴を下記の通り検討する。
【0326】
<電気光学的特性解析>
電気光学的測定用に使用されるテストセルは、セルの一方の表面上に交差指電極を有する。電極幅、電極間距離およびセル間隙は典型的には10ミクロンであり、電極で覆われているセルの面積は約0.4cmである。セルの表面に配向層はなく、ラビングによる事前処理もされていない。試験セルは昇温されて毛細管能により選択される混合物で充填され、次いで上記の通りブルー相Iで重合される。
【0327】
交差偏光子間に配置され、電極の長軸が偏光子の透過軸と45°の角度をなすように偏光子に対して方向を合わされたセルを有するDMS301(Autronic−Melchers社)を使用して、電気光学的測定を行う。セル面は、セルの透過率を測定する方向に垂直に位置する。この配置により、電極間に動作電圧を印加しない場合、本質的に暗状態となる。電気光学的検討を2段階で行う。第1段階においてセルの動作電圧を測定し、第2段階においてセルのスイッチ速度を測定する。セルの電極間に印加される動作電圧は、正および負の極性に交互になり、100Hzの周波数で下記の通り可変な振幅の矩形波である。
【0328】
スイッチ挙動を記載する目的のために、以下の定義を適用する。動作電圧を印加していない場合のセルの透過率を0%透過と定義する。測定の第1段階において、動作電圧をゼロより徐々に増加しながらセルの透過率を測定する:所定の電圧において透過強度の最大値を測定する。セルのその透過率を、この印加電圧における100%と定義し、この特性電圧をV100と定義する。V100が印加されている場合に測定される透過率を0から10%に透過率を増加させるために必要な電圧として、特性電圧V10を定義する。スイッチ測定の第2段階において、スイッチ速度を測定する。セルの「スイッチオン」電気−光応答を測定するために、印加される電圧をゼロからV100に瞬時に増加する。最終透過強度の0から90%にセルの透過率をスイッチするのにかかる時間として、スイッチ時間τonを定義する。引き続いて、セルの「スイッチオフ」応答を測定するために、印加される電圧をV100からゼロに瞬時に減少する。V100が印加される場合の透過率の値から電圧が印加されていない場合の値までの経過の90%にセルの透過率が低下するのにかかる時間として、スイッチ時間τoffを定義する。この特性解析方法を、異なる温度範囲に維持されるセルにより繰り返す。
【0329】
低温において、混合物は高いスイッチ電圧を示す。温度を上昇するに従い動作電圧は最小まで低下し、次いで温度上昇に伴い増加し、最初この増加は定常的で、次いで混合物が等方的となると、温度の更なる上昇に伴い非常に急速に増加する。ブルー相においてシステムを電気−光学的に使用できる最低および最高の温度を特徴付ける2つの転移温度TおよびTを同定する。温度に対するV100のプロットより、低温において高い動作電圧が得られる点に沿って引かれた接線と、ブルー相の温度範囲にわたって動作電圧が定常的に増加する点に沿って引かれた第2の接線との交点によってTを得る。同一のプロットより、ブルー相の温度範囲にわたって電圧が定常的に増加する点に沿って引かれた同様の接線と、システムが等方相である場合で高い動作電圧が得られる点に沿って引かれた第3の接線との交点によってTを得る。ブルー相において混合物を電気−光学的に使用できる温度範囲をフラット範囲と呼び、(T−T)で与えられる。
【0330】
<混合物例>
<例A1〜A16>
下の表4中で与えられる組成(質量%による)の混合物において、二反応性メソゲン成分RM220(メルク社より入手可能)と共に単反応性化合物1〜16を検討する。重合前後における、これらのシステムの相挙動を表5に与える。
【0331】
【表6】

【0332】
【表7】

<例A18およびA19>
この組の例(例A18およびA19)において、式IBの二反応性単量体(架橋剤)の影響を検討する。
【0333】
以下の表6中で与えられる組成(質量%による)の混合物中において二反応性化合物を検討し、検討される例の構造を表7中で与える。ここで表3中で与えられる組成の同一の混合物A0を、ホスト混合物として使用する。
【0334】
【表8】

例A1〜A16において記載される通り重合前後のシステムの相挙動を検討し、以下の表である表7で結果を与える。
【0335】
【表9】

<例A1>
6.1%の化合物1、5%の二官能性RM220および2.5%のキラル剤R−5011を、0.2%の光開始剤Irgacure−651と共に、アキラル液晶混合物A0中に溶解する。結果として生じる混合物を、電極および配向層を一切有していない10ミクロン厚のセルに充填する。このことは、約75℃でオーブン中において毛細管能により行う。次いで、液晶相のため、およびブルー相の温度範囲を決定するために、セルを検討する。顕微鏡ステージ上に装着されたLinkam制御ホットステージ上にセルを配置し、交差偏光子を通して見る。相転移温度および重合条件を上記の通り決定する。
【0336】
次いで、約75℃でオーブン中において、一方の基体側上に交差指電極を有する電気−光学的テストセル中に混合物を充填する。電極幅は10ミクロンで、隣接する電極間の距離は10ミクロンで、セル間隙は10ミクロンである。
【0337】
365nmのナローバンドフィルターが装着され、1.5mW/cmの出力で動作するEFOS UVランプを使用して重合を行う。ブルー相領域内の温度である34.9℃の温度に試料を維持し、365nmでUV照射に180秒間曝露する。次いで、どのような変化かを評価するために、偏光顕微鏡下においてセルを確認する。相転移が起きていなければ、交差偏光子間において電気−光学的にテストセルを検討する。
【0338】
下の表9中で示される通り、低温において、充填されたセルは高いスイッチ電圧および遅い応答時間を示す。温度を上昇するに従い1.4℃において動作電圧は最小まで低下し、次いで38.4℃で測定される値まで定常的に増加し、その後、混合物が等方的となると、温度の更なる上昇に伴い動作電圧は非常に急速に増加する。1.4℃および38.4℃の間の温度範囲にわたって、スイッチオフ時間は4秒から0.2ミリ秒まで低下する。この例における特性温度TおよびTは−10.5℃および38.8℃で、この混合物に49.3℃のフラット範囲を与える。応答時間τonおよびτoffの両者が5ミリ秒未満で、同時に特性電圧が依然として十分低い温度範囲は、この例では、11.2℃から38.8℃におよぶ。
【0339】
【表10】

混合物例A1〜A16について、特性温度、電圧およびスイッチ時間を同様に測定し、下の表9に示す。
【0340】
【表11】

【0341】
【表12】

【0342】
【表13】

【0343】
【表14】

<例A20〜A22>
この組の例(例A20〜A22)において、上記の通り、単反応性シクロヘキシル単量体の影響を検討する。
【0344】
以下の表である表10中で与えられる組成(質量%による)の混合物中において、二反応性メソゲン成分RM257(メルク社より入手可能)またはRM220の一方と共に代えて単反応性化合物20〜22を検討する。重合前後のこれらのシステムの相挙動は、表11中に与えられる。
【0345】
【表15】

【0346】
【表16】

<例A20〜A22>
相転移温度および重合条件を上記の通り決定した。結果として生じる混合物の電気−光学的特性を、例A1で記載される通り検討する。
【0347】
【表17】

【0348】
【表18】

<例A23およびA24>
例(例A22およびA23)の以下の組において、式IDのこれらの二反応性メソゲンと、化合物1、即ち、式IAの単反応性メソゲンとの組み合わせを含有する混合物について、式IDの単一のシクロヘキシル部分構造を含有する二反応性単量体の影響を検討する。
【0349】
【化86】

【0350】
【表19】

【0351】
【表20】

<例A23>
相転移温度および重合条件を上記の通り決定した。結果として生じる混合物の電気−光学的特性を、例A1で記載される通り検討する。
【0352】
【表21】

混合物例A23およびA24について、特性温度、電圧およびスイッチ時間を同様に測定し、下の表19に示す。
【0353】
【表22】

式IのシクロヘキシレンRMは液晶ホスト混合物のブルー相の高分子安定化に有用であることを、結果は明瞭に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状または分岐状で1〜30個のC原子を有するアルキル(該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。)、または、P−Sp−を表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はP−Spであり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、1,4−シクロヘキシレンであり、式中、1個以上の−CH−基は、2個のO原子が共に結合しないようにして、−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、該基は置換されていてもよく、
bは、0または1であり、
および、式中、
bが、0であり、
およびRが、P−Spであり、
Pが、アクリレートまたはメタクリレートであり、
Spが、単結合または−CH−基である
化合物は除外される。)
【請求項2】
およびRの一方が、P−Sp’−X’−であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
(式中、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子のアルキレンであり、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、式中、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。)
【請求項3】
およびRの両方が、互いに独立に、パラメーターが請求項2で与えられるそれぞれの意味を有するP−Sp’−X’−であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
bが0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
bが1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Bが1,4−シクロヘキシレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
および/またはRおよび/または基Spの一方または両方がキラル基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
以下の式IA〜IDから選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【化2】

(式中、
は、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状または分岐状で1〜30個のC原子を有するアルキルであり、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
、R00およびPは、請求項1中で与えられるそれぞれの意味を有し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
およびPは、それぞれ互いに独立に、Pに対して与えられる意味を有し、
SpおよびXは、Sp’およびX’に対して請求項2中で与えられる意味をそれぞれ有し、
SpおよびSpは、それぞれ互いに独立に、Spに対して与えられる意味を有し、
およびXは、それぞれ互いに独立に、Xに対して与えられる意味を有する。)
【請求項9】
式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【化3】

(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、CN、NCS、SF、または直鎖状または分岐状で1〜30個のC原子を有するアルキル(該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合に互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。)、または、P−Sp−を表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はP−Spであり、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
AおよびBは、それぞれ互いに独立に、1,4−シクロヘキシレンであり、式中、1個以上の−CH−基は、2個のO原子が共に結合しないようにして、−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、該基は置換されていてもよく、
bは、0または1である。)
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物を含む請求項9に記載のLC媒体。
【請求項11】
以下の成分、
(a)1種類以上の、非重合性、メソゲンまたは液晶化合物、
(b)1種類以上の、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの重合性メソゲンまたは液晶化合物、
(c)任意成分として1種類以上の、追加の重合性、メソゲンまたは液晶化合物を含み、
ただし、前記混合物は1種類以上のキラル化合物を含み、該キラル化合物は成分(a)、(b)および/または(c)でよく、または追加の成分である成分(d)を形成してよい請求項9または10に記載のLC媒体。
【請求項12】
ブルー相を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のLC媒体。
【請求項13】
未重合の液晶媒体がブルー相を示す温度において、成分(b)および存在するのであれば成分(c)をその場重合することで、ブルー相の温度範囲が広げられている請求項11または12に記載のLC媒体。
【請求項14】
1種類以上の、請求項1〜9のいずれか一項に記載の重合性メソゲンまたは液晶化合物を含む成分(b)と、任意成分として1種類以上の、追加の重合性メソゲンまたは液晶化合物を含む成分(c)とを媒体に加え、未重合の液晶媒体がブルー相を示す温度において、成分(b)および存在するのであれば成分(c)をその場で重合することで液晶媒体のブルー相を安定化する方法。
【請求項15】
2枚の平面で平行な基体を含有し、該基体の少なくとも一方は可視光に対して透明であり、該基体の少なくとも一方は電極層を含有し、請求項9〜13のいずれか一項に記載の液晶媒体を更に含有する電気光学的セル。
【請求項16】
1種類以上の、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物を含み、任意成分として1種類以上の、重合性および/またはメソゲンまたは液晶でよい更なる化合物を含む重合性液晶材料。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物または請求項9〜13および16のいずれか一項に記載の液晶材料を配向された状態で重合して得られる異方性高分子。
【請求項18】
薄膜の形状に配向された状態の請求項17に記載の異方性高分子。
【請求項19】
電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、補償子、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、有色画像、装飾またはセキュリティーマーク、液晶顔料、接着剤、化粧品、診断剤、非線形光学、光学的情報記憶装置、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスター(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスター(TFT)、無線ID(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光伝導体、電子写真記録、レーザー材料または装置中におけるか、または高分子安定化ブルー相用の、請求項1〜12および16〜18のいずれか一項に記載の化合物、材料または高分子の使用。

【公表番号】特表2010−510256(P2010−510256A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537499(P2009−537499)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009332
【国際公開番号】WO2008/061606
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】