説明

シフト装置

【課題】シフト部材の操作が完了したことを直感的に認識すると共に、シフト部材のシフト位置と車両のシフト位置との不一致を回避する。
【解決手段】シフト装置10では、シフトレバー60が「H」位置から操作されることで、変速機のシフト位置が変更される。ここで、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作された際には、シフトレバー駆動制御部120が、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を制御することで、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間保持される。これにより、シフトレバー60の操作が完了したことを乗員が直感的に認識できる。また、シフトレバー60は、操作されたシフト位置に所定時間保持された後に、「H」位置に自動的に復帰される。このため、シフトレバー60のシフト位置と変速幾のシフト位置との不一致を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシフト位置を変更するシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シフト装置としては、バイワイヤ方式のシフト装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、シフト装置が、所謂ステーショナリ機構のものにされており、シフトノブが操作された際には、シフトノブが操作されたシフト位置に保持される。このため、操作者がシフトノブの操作が完了したことを直感的に認識できるという利点がある。
【0004】
また、バイワイヤ方式のシフト装置には、所謂モーメンタリ機構のものがあり、シフトノブがホーム位置から操作された際には、シフトノブがホーム位置まで自動的に復帰される。このため、シフトノブが操作されたシフト位置とトランスミッションのシフト位置とが一致しない際でも、シフトノブのシフト位置とトランスミッションのシフト位置との不一致が生じないという利点がある。
【0005】
ここで、シフト装置では、ステーショナリ機構の利点とモーメンタリ機構の利点との両方を備えることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4217393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、シフト部材の操作が完了したことを直感的に認識できると共に、シフト部材のシフト位置と車両のシフト位置との不一致を回避できるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のシフト装置は、所定位置から操作されることで車両のシフト位置が変更されるシフト部材と、前記シフト部材の操作状態を維持すると共に前記シフト部材を所定位置に復帰させる復帰手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載のシフト装置では、シフト部材が所定位置から操作されることで、車両のシフト位置が変更される。
【0010】
ここで、復帰手段がシフト部材の操作状態を維持する。このため、シフト部材の操作が完了したことを直感的に認識できる。
【0011】
さらに、復帰手段がシフト部材を所定位置に復帰させる。このため、シフト部材のシフト位置と車両のシフト位置との不一致を回避できる。
【0012】
請求項2に記載のシフト装置は、請求項1に記載のシフト装置において、前記復帰手段は、前記シフト部材を操作状態に停止させた後に前記シフト部材を所定位置に復帰させる。
【0013】
請求項2に記載のシフト装置では、復帰手段が、シフト部材を操作状態に停止させた後に、シフト部材を所定位置に復帰させる。このため、シフト部材の操作が完了したことを良好に直感的に認識できる。
【0014】
請求項3に記載のシフト装置は、請求項1に記載のシフト装置において、前記シフト部材は、所定位置から第1操作位置と第2操作位置とへ操作可能にされ、かつ、前記復帰手段は、前記シフト部材を第1操作位置から所定位置へ復帰させる速度を前記シフト部材が第2操作位置から所定位置へ復帰される速度未満にする。
【0015】
請求項3に記載のシフト装置では、シフト部材が、所定位置から第1操作位置と第2操作位置とへ操作可能にされている。
【0016】
ここで、復帰手段が、シフト部材を第1操作位置から所定位置へ復帰させる速度を、シフト部材が第2操作位置から所定位置へ復帰される速度未満にする。
【0017】
このため、シフト部材の第1操作位置に操作が完了したことを直感的に認識できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係るシフト装置では、シフト部材の操作が完了したことを直感的に認識できると共に、シフト部材のシフト位置と車両のシフト位置との不一致を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るシフト装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシフト装置におけるシフトレバーの操作パターンを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るシフト装置におけるシフトレバーの主要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシフト装置の別例におけるシフトレバーの操作パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明の実施の形態に係る車両(自動車)のシフト装置10が分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、車両上方を矢印UPで示す。
【0021】
図1に示す如く、シフト装置10は、下側部分に、本体部としてのベース12を備えており、ベース12は車両の床にボルト等により締結固定されている。
【0022】
図1及び図3に示す如く、ベース12の中央部には、シフト部材としてのシフトレバー60が配置されており、シフトレバー60は、円筒状のレバーロッド62を備えている。レバーロッド62の長手方向中間部には、矩形筒状の支持部材66が設けられており、レバーロッド62は、支持部材66内を貫通している。
【0023】
支持部材66の車両右側壁には、円柱状の支持軸70が車両右側に向けて延出形成されている。一方、支持部材66の車両左側壁には、円柱状の支持軸72が車両左側に向けて延出形成されている。支持軸70と支持軸72とは同軸上に配置されており、支持軸70及び支持軸72は、ベース12に立設された軸受壁14A及び軸受壁14Bにホルダ42によって回転可能に取付けられている。
【0024】
支持部材66の車両後側壁と車両前側壁との間には、円柱状の支持軸68が掛け渡されており、レバーロッド62は、支持軸68が貫通されて、車両左右方向に回動可能に支持されている。これにより、シフトレバー60が、車両左右方向(セレクト方向)に操作可能にされている。
【0025】
また、支持軸70と支持軸72とが軸線周りに回転することにより、レバーロッド62が支持軸68を介して車両前後方向に回動される。これにより、シフトレバー60が、車両前後方向(シフト方向)に操作可能にされている。
【0026】
シフトレバー60の長手方向中間部には、屈曲板状の回転部材76が配置されており、回転部材76の車両後側壁には、円柱状の支持軸78が車両後側に向けて延出形成されている。支持軸78は、ベース12に設けられた円孔22Aに回転可能に支持されて、支持軸68と同軸上に配置されている。
【0027】
回転部材76の車両下側壁には、長尺矩形状の長孔76Aが貫通形成されている。長孔76Aには、レバーロッド62が挿通されており、長孔76Aの車両左右方向の寸法は、レバーロッド62の外径より僅かに大きくされている。このため、レバーロッド62が車両左右方向に回動されると、レバーロッド62の外周面が長孔76Aの車両右側面又は車両左側面に当接して、レバーロッド62と一体に回転部材76が支持軸78の軸線回りに回転される。また、長孔76Aの車両前後方向の寸法は、レバーロッド62が車両前後方向に回動された際にレバーロッド62の外周面が長孔76Aの車両前後側面に当接しない寸法にされている。このため、長孔76Aがレバーロッド62の車両前後方向への回動を許容している。
【0028】
図1に示す如く、レバーロッド62の長手方向上側端には、シフトレバー60を構成するシフトノブ110が固定されている。シフトノブ110の車両上側面には、図2に示すシフトレバー60の操作パターンが図示されており、図2では、「H」位置がホーム位置(所定位置)を示し、「N」位置、「R」位置、「D」位置がそれぞれシフト位置としてのニュートラル位置、リバース位置、ドライブ位置を示し、「+」位置、「−」位置がそれぞれシフト位置としてのシフトアップ位置、シフトダウン位置を示している。
【0029】
図1に示す如く、レバーロッド62の長手方向下側端部には、節度機構を構成する円柱状の節度ピン98がレバーロッド62の軸線方向に沿って挿入されると共に、節度機構を構成する図示しない圧縮コイルスプリングが挿入されている。節度ピン98は、先端部が半球状に形成されており、圧縮コイルスプリングが節度ピン98をレバーロッド62の長手方向下側へ付勢して、節度ピン98の先端部がレバーロッド62の長手方向下側端から突出されている。
【0030】
シフトレバー60の車両下側には、節度機構を構成しかつ車両上側が開口した略直方体状のガイド部材96が配置されており、ガイド部材96はベース12に固定されている。ガイド部材96の底壁内側面には、図示しない節度面が形成されており、節度面には、前述した節度ピン98の先端部が、圧縮コイルスプリングの付勢力によって圧接されている。
【0031】
また、節度面は、シフトレバー60の「H」位置に対応する部位が、シフトレバー60の各シフト位置に対応する部位より車両下側に配置されており、シフトレバー60が操作パターンに沿って「H」位置から離間するに従い、対応する節度面の部位が徐々に車両上側に配置されている。このため、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作される際には、節度ピン98の節度面への圧接力(圧縮コイルスプリングの付勢力)が大きくされて、シフトレバー60(レバーロッド62)に「H」位置への復帰力が操作荷重として作用される。
【0032】
シフトレバー60の車両左側には、復帰手段を構成する第1モータ80が配置されており、第1モータ80は、自身の回転軸81を車両後側に向けた状態で、車両前後方向に沿ってベース12に固定されている。回転軸81の先端部には、復帰手段を構成する円筒状のギヤ82が固定されており、ギヤ82には、外周部に平歯86が形成されている。
【0033】
第1モータ80の車両後側には、復帰手段を構成するセンサ92が配置されている。センサ92は、第1モータ80の回転軸81に対向してベース12に取付けられており、センサ92は、回転軸81の回転位置を検出する。
【0034】
一方、回転部材76の支持軸78の先端部には、復帰手段を構成する略扇形状のギヤ50の一端が固定されている。また、ギヤ50の他端(円弧部)には、平歯52が形成されており、平歯52は、前述したギヤ82に噛合している。これにより、第1モータ80が回転することで、ギヤ82とギヤ50と回転部材76とを介して、シフトレバー60が車両左右方向に回動される。
【0035】
シフトレバー60の車両前側には、復帰手段を構成する第2モータ84が配置されており、第2モータ84は、自身の回転軸85を車両右側に向けた状態で、車両左右方向に沿ってベース12に固定されている。回転軸85の先端部には、復帰手段を構成する円筒状のギヤ87が固定されており、ギヤ87には、外周部に平歯88が形成されている。
【0036】
第2モータ84の車両右側には、復帰手段を構成するセンサ90が配置されている。センサ90は、第2モータ84の回転軸85に対向してベース12に取付けられており、センサ90は、回転軸85の回転位置を検出する。
【0037】
一方、シフトレバー60の支持軸70の先端部には、復帰手段を構成する略扇形状のギヤ56の一端が固定されている。また、ギヤ56の他端(円弧部)には、平歯58が形成されており、平歯58は、前述したギヤ87に噛合している。これにより、第2モータ84が回転することで、ギヤ87とギヤ56と支持軸68とを介して、シフトレバー60が車両前後方向に回動される。
【0038】
さらに、第1モータ80、第2モータ84、センサ90、センサ92は復帰手段を構成するシフトレバー駆動制御部120に電気的に接続されている。シフトレバー駆動制御部120は、センサ90及びセンサ92から出力された検出信号に基づいて、ギヤ82及びギヤ87の回転位置(回転量を含む)を検出する。これにより、シフトレバー駆動制御部120は、シフトレバー60の車両前後方向及び車両左右方向の回動位置を検出する。
【0039】
また、シフトレバー駆動制御部120は、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作されたことを検出した後に、検出したシフトレバー60の回動位置に基づいて、第1モータ80及び第2モータ84の駆動を制御するための駆動信号を第1モータ80及び第2モータ84へ出力する。このため、ギヤ82及びギヤ87の回転力が制御される。
【0040】
一方、ベース12の車両上側には、車両下側が開口した略直方体状のハウジング100が配置されており、ハウジング100は、シフトレバー60の支持部材66より下側部分を被覆してベース12に固定されている。ハウジング100の車両上側壁の中央部には、矩形状の貫通孔102が設けられており、貫通孔102には、レバーロッド62が貫通されている。貫通孔102は、シフトレバー60が車両前後方向及び車両左右方向に回動された際に、レバーロッド62が干渉しない大きさに設けられている。
【0041】
また、シフトレバー60は車両の変速機(トランスミッション)に電気的に接続されており、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作された際には、シフトレバー60のシフト位置を示す信号が変速機に出力されて、変速機のシフト位置(車両のシフト位置)が変更される構成となっている。さらに、車両の変速機は、車両の走行状態等に応じて自動的に適正なシフト位置に変更される構成となっている。
【0042】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0043】
乗員がシフトノブ110を把持して、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作された際には、変速機のシフト位置が変更されると共に、節度ピン98の節度面への圧接力によりシフトレバー60に「H」位置への復帰力が作用される。
【0044】
シフトレバー60を「H」位置から「N」位置へ操作する際には、シフトレバー60を「H」位置から「N」位置(車両右側)へ回動させる。
【0045】
シフトレバー60を「H」位置から「D」位置又は「R」位置へ操作する際には、シフトレバー60を、「H」位置から「N」位置(車両右側)へ回動させた後に、「N」位置から「D」位置(車両後側)又は「R」位置(車両前側)へ回動させる。
【0046】
シフトレバー60を「H」位置から「+」位置又は「−」位置へ操作する際には、シフトレバー60を、「H」位置から「+」位置(車両前側)又は「−」位置(車両後側)へ回動させる。
【0047】
シフトレバー60が「H」位置から「N」位置へ回動される際には、レバーロッド62が支持軸68の軸線周りに回動されることで、レバーロッド62と一体に回転部材76が支持軸78の軸線周りに回転されて、支持軸78が回転される。これにより、ギヤ50とギヤ82とを介して、第1モータ80の回転軸81が回転される。
【0048】
シフトレバー60が「N」位置から「D」位置又は「R」位置へ回動される際には、支持軸68と支持部材66とを介して支持軸70と支持軸72とが軸線周りに回転される。支持軸70が回転されることにより、ギヤ56とギヤ87とを介して、第2モータ84の回転軸85が回転される。
【0049】
シフトレバー60が「H」位置から「+」位置又は「−」位置へ回動される際には、支持軸68と支持部材66とを介して支持軸70と支持軸72とが軸線周りに回転される。支持軸70が回転されることにより、ギヤ56とギヤ87とを介して、第2モータ84の回転軸85が回転される。
【0050】
センサ92は、ギヤ82及び第1モータ80の回転軸81の回転位置を検出し、検出信号をシフトレバー駆動制御部120へ出力する。また、センサ90は、ギヤ87及び第2モータ84の回転軸85の回転位置を検出し、検出信号をシフトレバー駆動制御部120へ出力する。
【0051】
これにより、シフトレバー駆動制御部120は、シフトレバー60の回動位置を検出し、シフトレバー60のシフト位置を検出する。この際には、シフトレバー駆動制御部120は、シフトレバー60のシフト位置に基づいて、第1モータ80又は第2モータ84へ駆動信号を出力する。具体的には、シフトレバー60のシフト位置が「N」位置である際には、シフトレバー60が車両右側へ回動される方向に、第1モータ80が駆動される。また、シフトレバー60のシフト位置が「R」位置又は「+」位置である際には、シフトレバー60が車両前側へ回動される方向に、第2モータ84が駆動される。さらに、シフトレバー60のシフト位置が「D」位置又は「−」位置である際には、シフトレバー60が車両後側へ回動される方向に、第2モータ84が駆動される。このため、シフトレバー60が節度ピン98の節度面への圧接力に拘わらず当該シフト位置に保持される。
【0052】
シフトレバー60が当該シフト位置に所定時間保持された後には、シフトレバー駆動制御部120は、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を停止する。このため、シフトレバー60が節度ピン98の節度面への圧接力により自動的(自発的)に「H」位置へ復帰される。
【0053】
ここで、上述の如く、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作された際には、シフトレバー駆動制御部120が、センサ90及びセンサ92からの検出信号に基づいて、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を制御することで、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間保持される。これにより、シフトレバー60の操作が完了したことを乗員が直感的に認識できる。
【0054】
また、上述の如く、シフトレバー60は、操作されたシフト位置に所定時間保持された後に、「H」位置に自動的に復帰される。このため、例えば、将来、目的地まで自動で走行する自動運転システムの技術が確立した場合に、変速機のシフト位置が「D」位置と「R」位置とで自動制御で変更される際でも、シフトレバー60は「H」位置に配置されて各シフト位置に配置されないため、シフトレバー60のシフト位置と変速幾のシフト位置との不一致を回避できる。
【0055】
なお、本実施の形態では、シフト装置10がガイド部材96を備える構成としたが、シフト装置10がガイド部材96を備えない構成としてもよい。この場合には、シフトレバー60が車両左右方向又は車両前後方向に操作される際に、シフトレバー駆動制御部120は、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60に回動される方向とは反対方向への回動力を操作荷重として作用させる。
【0056】
さらに、この場合には、シフトレバー60が各シフト位置に操作された際に、シフトレバー駆動制御部120は、第1モータ80又は第2モータ84を駆動又は停止することで、シフトレバー60が各シフト位置に保持される。シフトレバー60が各シフト位置に所定時間保持された後には、シフトレバー駆動制御部120は、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60がH位置に復帰される。
【0057】
さらに、本実施の形態では、シフトレバー60が「H」位置から各シフト位置に操作された際に、節度ピン98の節度面への圧接力によりシフトレバー60に「H」位置への復帰力が作用されて、シフトレバー60が「H」位置に復帰される。これに替えて、シフトレバー60の「H」位置及び各シフト位置に対応するガイド部材96の節度面の各部位が各々車両下側への凹部にされてもよい。これにより、シフトレバー60が各シフト位置に操作された際には、節度ピン98の節度面への圧接力によりシフトレバー60が操作されたシフト位置に保持される。この場合には、シフトレバー60が各シフト位置に所定時間保持された後に、シフトレバー駆動制御部120は、第1モータ80又は第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60が「H」位置に復帰される。
【0058】
また、本実施の形態では、シフトレバー駆動制御部120が第1モータ80や第2モータ84の駆動を制御することで、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間保持された後に、シフトレバー60が「H」位置に復帰される。これに替えて、シフトレバー60が各シフト位置に操作されて、ロック機構(ソレノイド等)によって、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間ロックされた後に、ロック機構によるシフトレバー60のロックを解除して、第1モータ80や第2モータ84の駆動又は節度ピン98の節度面への圧接力によりシフトレバー60が「H」位置に復帰されてもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態では、シフトレバー60が各シフト位置に所定時間保持された後に、シフトレバー60が「H」位置に復帰されるが、シフトレバー60が各シフト位置に保持される時間は任意に設定することができる。例えば、シフトレバー60が操作されたシフト位置に保持される時間を、車両の変速機のシフト位置が切替る時間(例えば、2秒以上3秒以下)以降に設定することができる。また、例えば、シフトレバー60が「+」位置及び「−」位置に保持される時間を、シフトレバー60が「N」位置、「D」位置及び「R」位置に保持される時間よりも短く設定したり、シフトレバー60が「+」位置及び「−」位置に保持されない設定にすることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間保持された後に、節度ピン98の節度面への圧接力によりシフトレバー60が「H」位置に復帰される。これに替えて、シフトレバー60が操作されたシフト位置に所定時間保持された後に、又は、シフトレバー60が操作されたシフト位置に保持されないで、シフトレバー駆動制御部120が、第1モータ80及び第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60を任意の速度でシフト位置から「H」位置に復帰させてもよい。
【0061】
例えば、シフトレバー駆動制御部120が、シフトレバー60を「D」位置、「R」位置、「+」位置、「−」位置から「H」位置に復帰させる速度を、シフトレバー60を「N」位置から「H」位置に復帰させる速度未満に制御する。これにより、シフトレバー60の「D」位置、「R」位置、「+」位置、「−」位置への操作が完了したことを直感的に認識できる。
【0062】
また、例えば、シフトレバー駆動制御部120が、第1モータ80及び第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60を各シフト位置から「H」位置に復帰させる速度を変化させてもよい。具体的には、シフトレバー60を「H」位置に復帰させる初期を後期に比し低速にしたり、シフトレバー60を「H」位置に復帰させる際のシフトレバー60の車両前後方向速度をシフトレバー60の車両左右方向速度に比し速くしたり、シフトレバー60を「H」位置に復帰させる途中でシフトレバー60を一時停止させてもよい。
【0063】
さらに、例えば、シフトレバー駆動制御部120が、第1モータ80及び第2モータ84の駆動を制御して、シフトレバー60を低速で各シフト位置から「H」位置へ復帰させることで、シフトレバー60が「H」位置に復帰される際に、シフトレバー60の打音を低減できる。
【0064】
また、本実施の形態では、シフトレバー60が車両左右方向及び車両前後方向に回動されることで、シフトレバー60のシフト位置が変更される。これに替えて、図4に示す如く、シフトレバー60が車両前後方向のみへ回動されることによりシフトレバー60のシフト位置が変更されてもよい(所謂「ストレートタイプ」のシフトレバー)。
【0065】
さらに、本実施の形態では、シフト装置10が、車両の床に配置されている。これに替えて、シフト装置10は、車両の何れの位置に配置されてもよく、例えば、インストルメントパネルやステアリングコラム等に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
50 ギヤ(復帰手段)
56 ギヤ(復帰手段)
60 シフトレバー(シフト部材)
80 第1モータ(復帰手段)
82 ギヤ(復帰手段)
84 第2モータ(復帰手段)
87 ギヤ(復帰手段)
90 センサ(復帰手段)
92 センサ(復帰手段)
120 シフトレバー駆動制御部(復帰手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置から操作されることで車両のシフト位置が変更されるシフト部材と、
前記シフト部材の操作状態を維持すると共に前記シフト部材を所定位置に復帰させる復帰手段と、
を備えたシフト装置。
【請求項2】
前記復帰手段は、前記シフト部材を操作状態に停止させた後に前記シフト部材を所定位置に復帰させる請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフト部材は、所定位置から第1操作位置と第2操作位置とへ操作可能にされ、かつ、前記復帰手段は、前記シフト部材を第1操作位置から所定位置へ復帰させる速度を前記シフト部材が第2操作位置から所定位置へ復帰される速度未満にする請求項1記載のシフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251612(P2011−251612A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125986(P2010−125986)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】