説明

ショットキーバリアダイオード及びその製造方法

【課題】バリア金属層のカバレッジを向上させることができ、さらに、トレンチ内に埋め込まれた導電体に応力が集中する虞がなく、逆方向電流(IR)を抑制することができるショットキーバリアダイオード(SBD)及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のSBD11は、シリコン基板2の表面2aにトレンチ3が形成され、トレンチ3の内面に最上面12aが傾斜面22とされた絶縁膜12が形成され、このトレンチ3内には、最上端部21aがトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置するように導電体13が埋め込まれ、シリコン基板2の表面2a、絶縁膜12及び導電体13を覆うようにバリア金属層14及び電極金属層15が積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットキーバリアダイオード及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体と金属とを接合することにより、この界面に生じるショットキー障壁を利用したショットキーバリアダイオード(SBD)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このSBDは、順方向に所定の電圧を印加した場合に、電圧降下が小さく、かつ、逆方向に所定の電圧を印加した場合に、漏れ電流が小さいことが好ましいとされている。
【0003】
図4は、従来のトレンチ構造型のショットキーバリアダイオード(SBD)1を示す断面図であり、シリコン基板(半導体基板)2の表面(一主面)2aにトレンチ3が形成され、このトレンチ3の内面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜4が形成され、このトレンチ3内には多結晶シリコンからなる導電体が埋め込まれて導電体5とされ、これらシリコン基板2の表面2a、絶縁膜4の最上面4a及び導電体5の上面5aは面一とされ、これらを覆うようにバリア金属層6が形成され、バリア金属層6上には電極金属層7が積層されている。
このSBD1は、シリコン基板2の表面2aにトレンチ3を形成し、このトレンチ3の内面に絶縁膜4を形成し、この絶縁膜4により囲まれたトレンチ3内に多結晶シリコンからなる導電体を埋め込み、この導電体の上面をエッチングにより平坦化することにより、得られた導電体5の平坦な上面5aを表面2aと面一とし、この平坦な上面5aを覆うようにバリア金属層6及び電極金属層7を積層することにより作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−68688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のSBD1では、多結晶シリコンからなる導電体5のエッチングの制御性が十分ではなく、また、導電体5の厚みが不均一であることもあり、導電体5の上面5aを平坦化することが難しいという問題点があった。この導電体5の上面5aが平坦化されないと、この導電体5上に形成されたバリア金属層6と導電体5の上面5aとの接触部分に角部ができ易くなり、その結果、バリア金属層6のカバレッジが低下するという問題点があった。
また、導電体5の上面5aが平坦化されないと、この導電体5の形状が所望の形状から外れた異形となり、この導電体5上に形成されたバリア金属層6に応力が生じた場合、この応力が導電体5に局部的に集中し、その結果、逆方向電流(IR)が大きくなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、バリア金属層のカバレッジを向上させることができ、さらに、トレンチ内に埋め込まれた導電体に応力が集中する虞がなく、逆方向電流(IR)を抑制することができるショットキーバリアダイオード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、半導体基板の一主面にトレンチが形成され、該トレンチの内面に絶縁膜が形成されるとともに、該トレンチ内に導電体が埋め込まれ、該導電体上にバリア金属層が形成されたショットキーバリアダイオードにおいて、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させることとし、さらに、前記絶縁膜の最上面を前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面とすれば、前記導電体上に形成されたバリア金属層に角部ができ難くなり、よって、バリア金属層のカバレッジが向上し、さらには、トレンチ内に埋め込まれた導電体に応力が集中する虞がなくなり、逆方向電流(IR)が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1記載のショットキーバリアダイオードは、半導体基板の一主面にトレンチが形成され、該トレンチの内面に絶縁膜が形成されるとともに、該トレンチ内に導電体が埋め込まれ、該導電体上にバリア金属層が形成されたショットキーバリアダイオードにおいて、前記導電体の上面は前記トレンチの側壁上面より下方に位置しており、前記絶縁膜の最上面は、前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面であることを特徴とする。
【0009】
このショットキーバリアダイオードでは、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させることとし、前記絶縁膜の最上面を、前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面としたことにより、このトレンチの側壁上面から導電体の上面に至るまでの部分が滑らかな面となり、よって、この絶縁膜の上に形成されたバリア金属層では、トレンチの側壁上面との接触部分に角部ができ難くなり、よって、バリア金属層のカバレッジが向上する。
【0010】
また、導電体の上面をトレンチの側壁上面より下方に位置させたことにより、導電体の形状がトレンチの形状により規定されて該トレンチの内部形状と略同一の形状となり、導電体が異形になるのを防止する。さらに、トレンチ内の導電体上にバリア金属層を形成することにより、このバリア金属層の伸縮により生じる応力がトレンチ内の導電体に加わった場合に、アンカー効果により導電体に加わる応力を緩和し、この応力が導電体に局部的に集中するのを防止する。これにより、逆方向電流が小さくなる。
【0011】
請求項2記載のショットキーバリアダイオードは、請求項1記載のショットキーバリアダイオードにおいて、前記導電体の上面は凹面であることを特徴とする。
このショットキーバリアダイオードでは、前記導電体の上面を凹面としたことにより、前記導電体に加わる応力がさらに緩和され、この応力が導電体に局部的に集中することが無くなる。よって、逆方向電流がさらに小さくなる。
【0012】
請求項3記載のショットキーバリアダイオードは、請求項1または2記載のショットキーバリアダイオードにおいて、前記導電体の高さは、前記トレンチの深さの30%以上かつ95%以下であることを特徴とする。
このショットキーバリアダイオードでは、導電体の高さを、トレンチの深さの30%以上かつ95%以下としたことにより、導電体の形状がトレンチの内部形状と同一の形状となり、導電体が異形になるのをさらに防止する。
【0013】
請求項4記載のショットキーバリアダイオードの製造方法は、半導体基板の一主面にトレンチを形成し、該トレンチの内面に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜が形成されたトレンチ内に導電体を埋め込み、該導電体の上面及び前記絶縁膜の最上面を選択除去することにより、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させるとともに、前記絶縁膜の最上面を前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面とし、前記導電体上にバリア金属層を形成することを特徴とする。
【0014】
このショットキーバリアダイオードの製造方法では、トレンチ内に埋め込まれた導電体の上面及び該トレンチの内面に形成された絶縁膜の最上面を選択除去することにより、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させるとともに、前記絶縁膜の最上面を前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面とする。
これにより、絶縁膜の上に形成されたバリア金属層のうちトレンチの側壁上面との接触部分に角部ができ難くなり、また、バリア金属層の伸縮に起因する応力がトレンチ内の導電体に加わった場合においても、この応力が導電体に局部的に集中することが無くなる。よって、バリア金属層のカバレッジが向上し、逆方向電流が極めて小さなショットキーバリアダイオードを、容易かつ安価に製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載のショットキーバリアダイオードによれば、導電体の上面をトレンチの側壁上面より下方に位置させると共に、絶縁膜の最上面をトレンチの側壁上面と導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面としたので、トレンチの側壁上面から導電体の上面に至る部分を滑らかにすることができる。したがって、バリア金属層のカバレッジを向上させることができる。
また、導電体の異形化を防止することができ、バリア金属層に起因する応力が導電体に局部的に集中するのを防止することができる。したがって、逆方向電流(漏れ電流)を小さくすることができる。
以上により、バリア金属層のカバレッジが向上し、かつ、逆方向電流(IR)特性に優れたショットキーバリアダイオードを提供することができる。
【0016】
請求項2記載のショットキーバリアダイオードによれば、導電体の上面を凹面としたので、導電体に加わる応力を凹面にて分散することができ、導電体に加わる応力をさらに緩和することができ、この応力が導電体に局部的に集中しないようにすることができる。したがって、ショットキーバリアダイオードの逆方向電流(漏れ電流)をさらに小さくすることができる。
【0017】
請求項3記載のショットキーバリアダイオードによれば、導電体の高さをトレンチの深さの30%以上かつ95%以下としたので、導電体の形状をトレンチの内部形状と同一の形状とすることができ、導電体の異形化を防止することができる。
【0018】
請求項4記載のショットキーバリアダイオードの製造方法によれば、トレンチ内に埋め込まれた導電体の上面及び該トレンチの内面に形成された絶縁膜の最上面を選択除去することにより、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させるとともに、前記絶縁膜の最上面を前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面とするので、バリア金属層の伸縮に起因する応力が導電体に局部的に集中する虞が無く、バリア金属層のカバレッジが向上し、かつ、逆方向電流(IR)特性に優れたショットキーバリアダイオードを、容易かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のトレンチ構造型のショットキーバリアダイオード(SBD)を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態のトレンチ構造型のショットキーバリアダイオード(SBD)の絶縁膜の最上面部分の形状を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のトレンチ構造型のSBDの製造方法を示す過程図である。
【図4】従来のトレンチ構造型のショットキーバリアダイオード(SBD)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のショットキーバリアダイオード及びその製造方法を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のトレンチ構造型のショットキーバリアダイオード(SBD)を示す断面図であり、図1においては、図4と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
図1において、符号11はショットキーバリアダイオード(SBD)であり、シリコン基板(半導体基板)2の表面(一主面)2aに断面矩形状のトレンチ3が形成され、このトレンチ3の内面にはシリコン酸化膜からなる絶縁膜12が形成され、この絶縁膜12が形成されたトレンチ3内には、多結晶シリコンからなる導電体13が埋め込まれ、これらシリコン基板2の表面2a、絶縁膜12及び導電体13を覆うようにバリア金属層14が形成され、このバリア金属層14上には電極金属層15が積層されている。
【0022】
この導電体13は、その上面が、周縁部から中心部に向かって湾曲する凹面21とされ、この凹面21の周縁部の最上端部21aがトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置するように、トレンチ3内に埋め込まれている。
この導電体13では、その上面を、周縁部から中心部に向かって湾曲する凹面21としたことにより、電極金属層15に起因する引っ張り応力等の外部応力がバリア金属層14を介して導電体13に加わった場合においても、この外部応力を凹面21で分散させて緩和することで、この外部応力が導電体13の一部に局部的に集中することが無くなる。
【0023】
この導電体13の高さh、すなわちトレンチ3内の導電体13の底面から凹面21の最も低い部分までの高さhは、トレンチ3の深さdの30%以上かつ95%以下が好ましく、より好ましくは65%以上かつ75%以下である。
【0024】
ここで、導電体13の高さhをトレンチ3の深さdの30%以上かつ95%以下とした理由は、この範囲が導電体13の形状をトレンチ3の形状により規定されることで所望の形状に保持することができ、かつ導電体13としての電気的特性を保持することで所望の機能を十分に発揮することができる範囲だからである。
なお、導電体13の高さhがトレンチ3の深さdの100%を超えると、この導電体13の上部がトレンチ3から上方に突出し、導電体13の断面形状がトレンチ3の内部形状により拘束されず異形になるので好ましくない。
【0025】
このように、導電体13の高さhをトレンチ3の深さdの30%以上かつ95%以下としたことにより、導電体13の形状がトレンチ3の内部形状と同一の形状となり、導電体3が異形になるのを防止することができる。
また、導電体3が異形になるのを防止することで、この導電体13としての電気的特性を保持することができ、したがって、導電体13の有する電気的な機能を十分に発揮することができる。
【0026】
一方、絶縁膜12の最上面12aは、図2に示すように、トレンチ3の側壁上面3aと導電体13の凹面21の周縁部の最上端部21aとを接続する傾斜面22とされている。
この傾斜面22とシリコン基板2の表面2aとのなす傾斜角θ、換言すると傾斜面22のシリコン基板2の表面2aに平行な面に対する傾斜角θは、30°以上かつ60°以下が好ましく、より好ましくは40°以上かつ50°以下である。
【0027】
ここで、傾斜角θの範囲を30°以上かつ60°以下とした理由は、この範囲が、トレンチ3の側壁上面3aから導電体13の凹面21に至るまでの部分を滑らかな面とすることができる範囲だからである。
この傾斜角θが上記の範囲を外れた場合、バリア金属層14とトレンチ3の側壁上面3aとの接触部分に角部ができ易くなり、その結果、バリア金属層14のカバレッジが低下する虞があるので好ましくない。
【0028】
このように、絶縁膜12の最上面12aを、トレンチ3の側壁上面3aと導電体13の凹面21の最上端部21aとを接続する傾斜面22としたことにより、トレンチ3の側壁上面3aから導電体13の凹面21に至るまでの部分が滑らかな面となり、よって、この絶縁膜12の上に形成されたバリア金属層14では、トレンチ3の側壁上面3aとの接触部分に角部ができ難くなり、よって、バリア金属層14のカバレッジが向上する。
なお、絶縁膜12の最上面12aは、トレンチ3の側壁上面3aから導電体13の凹面21に至るまでを滑らかな面とする形状であればよく、曲面であってもよい。
【0029】
このSBD11では、トレンチ3内に埋め込まれた多結晶シリコンからなる導電体13上にバリア金属層14を形成したことにより、この導電体13にバリア金属層14の伸縮に起因する過度の応力が加わった場合においても、この過度の外部応力をアンカー効果により緩和し、この外部応力が導電体13の特定箇所に局部的に集中するのを防止する。このように、導電体13における外部応力の局部的な集中を防止することにより、SBD11の重要な特性である逆方向電流(IR)が極めて小さくなり、SBD11の漏れ電流が改善されることとなる。
【0030】
次に、SBD11の製造方法について、図3に基づき説明する。
まず、図3(a)に示すように、シリコン基板2の表面2aを熱酸化し、トレンチ形成用マスクとなるシリコン酸化膜31を形成する。
次いで、このシリコン酸化膜31上にレジスト32を塗布し、露光及び現像を行い、レジスト32のトレンチに対応する位置に開口32aを形成する。
次いで、開口32aが形成されたレジスト32をマスクとして、フッ酸を用いてシリコン酸化膜31を異方性エッチングし、このシリコン酸化膜31のトレンチに対応する位置に開口31aを形成する。
【0031】
次いで、レジスト32を除去し、図3(b)に示すように、開口31aが形成されたシリコン酸化膜31をマスクとして、シリコン基板2の表面2aにアルゴンガスに酸素ガスを添加した混合ガスを用いた異方性エッチングを施し、シリコン基板2の表面2aに断面矩形状のトレンチ3を形成する。その後、フッ酸を用いてシリコン酸化膜31を除去する。
【0032】
次いで、図3(c)に示すように、トレンチ3内を含むシリコン基板2の表面2a全面を熱酸化し、シリコン基板2の表面2a及びトレンチ3の内面にシリコン酸化膜33を形成する。
次いで、シリコン酸化膜33上に、熱CVD法により多結晶シリコンを堆積させる。これにより、トレンチ3内を含むシリコン酸化膜33全面に多結晶シリコンからなる導電体34が堆積されることとなる。
【0033】
次いで、図3(d)に示すように、プラズマを用いた異方性エッチングにより導電体34をエッチングし、この導電体34のうちトレンチ3内を除く部分を除去する。この過程では、エッチングの条件を調整することにより、トレンチ3の外側のシリコン酸化膜33を露出させるとともに、トレンチ3内の導電体34の上面をトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置させ、かつ導電体34の高さhをトレンチ3の深さdの30%以上かつ95%以下とする。
【0034】
これにより、トレンチ3内に残った導電体34は、上面が凹面21とされ、この凹面21の最上端部21aがトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置する導電体13となる。
その後、フッ酸を用いてトレンチ3内を除く部分のシリコン酸化膜33を除去する。
【0035】
次いで、図3(e)に示すように、トレンチ3内のシリコン酸化膜33にプラズマを用いた異方性エッチング及びフッ酸を用いた等方性エッチングを順次施し、このシリコン酸化膜33の最上面33aを導電体13の凹面21の最上端部21aまでエッチングする。これにより、トレンチ3内に残ったシリコン酸化膜33は、その最上面がトレンチ3の側壁上面3aと導電体13の凹面21の最上端部21aとを接続する傾斜面22とされた絶縁膜12となる。
以上により、シリコン基板2の表面2aからトレンチ3の側壁上面3aを経由して導電体13の凹面21に至るまでが、滑らかな面となる。
【0036】
次いで、図3(f)に示すように、蒸着法により、クロム等のバリア金属をシリコン基板2の表面2a、絶縁膜12及び導電体13を覆うように堆積させ、バリア金属層14を形成する。
次いで、蒸着法により、バリア金属層14上に、アルミニウム等の電極用金属を堆積させ、電極金属層15を形成する。
以上により、本実施形態のトレンチ構造型のSBD11を作製することができる。
【0037】
本実施形態のトレンチ構造型のSBD11によれば、導電体13の凹面21をトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置させると共に、絶縁膜12の最上面12aをトレンチ3の側壁上面3aと導電体13の凹面21とを接続する傾斜面22としたので、トレンチ3の側壁上面3aから導電体13の凹面22に至る部分を滑らかな面にすることができる。したがって、バリア金属層14のカバレッジを向上させることができる。
また、導電体13の上面を凹面22としたので、導電体13に加わる外部応力をさらに緩和することができ、この外部応力が導電体13の一部に局部的に集中しないようにすることができる。したがって、逆方向電流(漏れ電流)をさらに小さくすることができる。
【0038】
また、導電体13が異形になるのを防止することができ、バリア金属層14に起因する応力が導電体13に局部的に集中するのを防止することができる。したがって、逆方向電流(漏れ電流)を小さくすることができる。
【0039】
本実施形態のトレンチ構造型のSBD11の製造方法によれば、多結晶シリコンからなる導電体34をエッチングすることにより、メサ部のシリコン酸化膜33を露出させるとともに、トレンチ3内の導電体34の上面をトレンチ3の側壁上面3aより下方に位置させ、さらに、トレンチ3内のシリコン酸化膜33の最上面33aを導電体34の上面付近までエッチングするので、バリア金属層14のカバレッジが向上し、かつ、逆方向電流(IR)特性に優れたトレンチ構造型のSBD11を、容易かつ安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 ショットキーバリアダイオード(SBD)
2 シリコン基板(半導体基板)
2a 表面(一主面)
3 トレンチ
3a 側壁上面
12 絶縁膜
12a 最上面
13 導電体
14 バリア金属層
15 電極金属層
21 凹面
21a 最上端部
22 傾斜面
31 シリコン酸化膜
31a 開口
32 レジスト
32a 開口
33 シリコン酸化膜
33a 最上面
34 導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一主面にトレンチが形成され、該トレンチの内面に絶縁膜が形成されるとともに、該トレンチ内に導電体が埋め込まれ、該導電体上にバリア金属層が形成されたショットキーバリアダイオードにおいて、
前記導電体の上面は前記トレンチの側壁上面より下方に位置しており、
前記絶縁膜の最上面は、前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面であることを特徴とするショットキーバリアダイオード。
【請求項2】
前記導電体の上面は凹面であることを特徴とする請求項1記載のショットキーバリアダイオード。
【請求項3】
前記導電体の高さは、前記トレンチの深さの30%以上かつ95%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のショットキーバリアダイオード。
【請求項4】
半導体基板の一主面にトレンチを形成し、該トレンチの内面に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜が形成されたトレンチ内に導電体を埋め込み、該導電体の上面及び前記絶縁膜の最上面を選択除去することにより、前記導電体の上面を前記トレンチの側壁上面より下方に位置させるとともに、前記絶縁膜の最上面を前記トレンチの側壁上面と前記導電体の上面とを接続する曲面または傾斜面とし、前記導電体上にバリア金属層を形成することを特徴とするショットキーバリアダイオードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−9756(P2012−9756A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146349(P2010−146349)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】