説明

シリカナノシート/有機ポリマー複合物、その製造方法、および前記シリカナノシート/有機ポリマー複合物を含む塗料組成物

【課題】従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることが可能なシリカナノシート/有機ポリマー複合物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液から有機溶媒を除去することにより前記シリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物を形成する工程と、を含むことを特徴とするシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカナノシート/有機ポリマー複合物およびその製造方法に関し、さらに前記シリカナノシート/有機ポリマー複合物を含む塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカナノシートは、狭義には単層のシロキセンが酸化されてSi−O−Si結合が2次元的に広がったものであり、各Si原子には水酸基または水素原子が結合していると考えられている。理論上、シリカナノシートの厚さは約0.6nmであり、面方向の広がりには制約はないが、通常長さが厚さの100倍以上の広がりを有するものである。
【0003】
このようなシリカナノシートの調製方法として、特開2006−49729号公報(特許文献1)には、層状シリコン化合物(例えば、CaSi、YbSi)に濃塩酸を加えて反応させ、副生成物(例えば、CaCl、YbCl)を洗浄により除去して水素型層状化合物(例えば、ワイス型シロキセン:Si(OH)・HCl)を取り出し、この水素型層状化合物を、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウム)を含み且つpHを5以下に調整した水溶液中に加え、水溶液を所定時間(例えば、10日間)振とうする方法が開示されている。この方法により得られるシリカナノシートは水に分散されたものであり、特許文献1においては、このシリカナノシートの水分散物をそのままシリカを含むコーティング液として使用している。
【0004】
一方、従来から無機フィラーなどとして用いられているシリカ微粒子は、配合する有機ポリマーとの親和性を高めるために、カップリング剤で表面処理したり、シリカとの親和性の高い有機ポリマーで表面を被覆することが多い。このため、シリカナノシートについても有機ポリマーと複合化したものが求められていた。
【0005】
しかしながら、シリカナノシートの水分散物は有機溶媒や有機ポリマーとの相溶性が低いため、シリカナノシートの水分散物を用いてシリカナノシートと有機ポリマーとの複合物を調製することは困難であった。また、乾燥などによりシリカナノシートの水分散物から水を除去すると、シリカナノシートが凝集し、さらにこの凝集物が有機溶媒中に再分散しにくいため、シリカナノシートの水分散物から有機溶媒分散物を調製し、これを用いてシリカナノシートと有機ポリマーとの複合物を調製することも困難であった。
【0006】
また、シリカ微粒子などの無機微粒子は、従来から有機材料の機械的特性を向上させるために配合されている。例えば、特開平10−120948号公報(特許文献2)には、塗料組成物にカルバメート官能性シリカなどの反応性無機微粒子を、樹脂、架橋剤および無機微粒子の合計質量に対して0.1〜60質量%の割合で配合して塗膜の耐引っ掻き性(耐擦り傷性)を改良する方法が開示されており、その実施例において、固体クリアコートに対してカルバメート官能性シリカを20質量%、30質量%または75質量%の割合で含有する塗料組成物が耐引っ掻き性に優れることが具体的に開示されている。また、特開2007−91825号公報(特許文献3)には、耐擦り傷性に優れた組成物として、分子内に少なくとも1個のアミノ基および少なくとも1個のアルコキシシリル基を有する化合物とラクトン化合物とを反応させて得られたヒドロキシアルキルアミド基含有アルコキシシリル化合物により表面処理が施された無機微粒子を1〜95質量%の割合で含有する硬化性組成物が開示されており、その実施例において、硬化性組成物に対して表面処理されたシリカ微粒子を約10〜20質量%の割合で含有する硬化性組成物が耐擦り傷性に優れることが具体的に開示されている。
【0007】
しかしながら、シリカ微粒子の含有率が高くなると耐擦り傷性は向上するが、塗膜が脆く割れやすくなるなど他の機械的特性が低下するという問題があった。このため、他の機械的特性を低下させずに耐擦り傷性を向上させることが可能なシリカ微粒子が求められていた。
【特許文献1】特開2006−49729号公報
【特許文献2】特開平10−120948号公報
【特許文献3】特開2007−91825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることが可能なシリカナノシート/有機ポリマー複合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合した後、得られた混合溶液から有機溶媒を除去することによりシリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物が得られ、さらにこの複合物を添加することによって従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法は、シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液から有機溶媒を除去することにより前記シリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物を形成する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物としては、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるものが好ましい。
【0012】
また、本発明に用いられるシリカナノシートの有機溶媒分散物としては、シリカナノシートが、ジメチルスルホキシドおよび/またはN,N−ジメチルホルムアミドを含む有機溶媒に分散したものが好ましく、ジメチルスルホキシドおよび/またはN,N−ジメチルホルムアミドを主成分とする有機溶媒に分散したものがより好ましく、ジメチルスルホキシドおよび/またはN,N−ジメチルホルムアミドに分散したものが特に好ましい。
【0013】
また、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、前記シリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法により得られるものであり、例えば、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるシリカナノシートと、有機ポリマーと、を含有することを特徴とするものである。
【0014】
このようなシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、塗料組成物に添加して使用することができ、従来のシリカ微粒子に比べて比表面積が非常に大きいため、シリカ微粒子の添加量の低減を図ることが可能となる。
【0015】
なお、本発明の製造方法によってシリカナノシート/有機ポリマー複合物が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、シリカナノシートは表面積が非常に大きく、その表面には多量のシラノール基が存在すると考えられる。このシリカナノシートは、水中では多数の水分子が水素結合を介してシラノール基に配位しているため、安定に分散していると推察される。このようなシリカナノシートの水分散物に有機ポリマーを添加しても、水分子が有機ポリマー分子よりシラノール基との親和性が強いため、有機ポリマーはシラノール基に作用しにくく、シリカナノシート/有機ポリマー複合物が形成しにくいと推察される。また、図4に示すように、乾燥などによりシリカナノシートの水分散物から水を除去する場合には配位した水分子を介してシラノール基間で脱水縮合反応が起こり、シリカゲルが生成するため、シリカナノシート/有機ポリマー複合物が得られないと推察される。
【0016】
これに対して、シリカナノシートの有機溶媒分散物においては、図1に示すように、シリカナノシートが有機溶媒中においては主として有機溶媒分子で覆われていると考えられる。このようなシリカナノシートの有機溶媒分散物に有機ポリマーを添加すると、有機溶媒分子が有機ポリマーよりシラノール基との親和性が低いため、有機ポリマーがシラノール基に容易に作用してシリカナノシート/有機ポリマー複合物が形成するものと推察される。
【0017】
また、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物によって、従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、シリカ微粒子を含む塗料などの樹脂組成物を硬化させる場合、シリカ微粒子の表面はマクロ架橋点として作用するため、シリカ微粒子の含有量が多いほど、すなわち、樹脂組成物中のシリカ微粒子の総表面積が大きいほど、塗膜などの硬化物の強度が高くなると考えられる。しかしながら、シリカ微粒子自体は塗膜の樹脂成分に比べて非常に硬いものであるため、シリカ微粒子の含有量の増大とともに塗膜などの硬化物が硬くなり、脆く割れやすくなると推察され、この観点からは樹脂組成物中のシリカ微粒子の総体積が小さいこと、すなわちシリカ微粒子の含有量が少ないことが好ましいと推察される。
【0018】
本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、比表面積が従来のシリカ微粒子に比べて非常に大きい(例えば、従来の一般的な球状シリカ微粒子の直径は10〜30nmであり、比表面積は2×10〜6×10cm/cmであるのに対して、シリカナノシートの理論厚さは0.65nmであり、比表面積は3×10cm/cmである)ため、従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて非常に少ない添加量でも樹脂組成物中の前記複合物の総表面積を大きくすることができ、硬化物の硬度の上昇を抑制しながら耐擦り傷性を向上させることが可能となるものと推察される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来のシリカ微粒子を用いた場合に比べて少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることができるシリカナノシート/有機ポリマー複合物を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法は、シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合して混合溶液を調製する工程と、この混合溶液から有機溶媒を除去することにより前記シリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物を形成する工程と、を含むことを特徴とする方法である。前記シリカナノシートの有機溶媒分散物としては、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるものが好ましい。なお、本発明においては、濃塩酸とは、濃度が30質量%以上のものを意味し、濃度が高いものほど好ましい。
【0021】
先ず、本発明に用いられるシリカナノシートの有機溶媒分散物の好適な製造方法について説明する。
【0022】
(層状シロキセン形成工程)
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物の製造方法においては、先ず、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを混合して攪拌し、層状のシロキセン(ワイス型シロキセン)を形成する。得られた層状シロキセンは必要に応じてアセトンなどの有機溶媒を用いて数回洗浄して副生成物(CaCl)などを除去することが好ましい。また、必要に応じて、この洗浄後に残存した層状シロキセンの粒子間の有機溶媒を乾燥などにより除去してもよい。
【0023】
前記二ケイ化一カルシウム(以下、「CaSi」と記載する)は必要に応じて粉砕することが好ましい。粉砕されたCaSiの粒径は特に限定されないが、反応時間が短くなるという観点で2mm以下であることが好ましい。
【0024】
CaSiと濃塩酸との混合割合は、濃塩酸の質量がCaSiの質量の20倍以上となる割合であることが好ましい。混合割合が上記下限未満になると層状シロキセンの収率が低下する傾向にある。また、この工程における混合・攪拌時の温度は0〜50℃であることが好ましく、10〜30℃であることがより好ましい。混合・攪拌時の温度が上記下限未満になると反応速度が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると層状シロキセンの層間Si−O−Si結合が多く形成して層間剥離が困難となり、シリカナノシートの収率が低下する傾向にある。なお、上記温度範囲においては反応速度が増大する傾向にあるため、混合・攪拌時の温度は高い方が好ましい。また、攪拌速度および攪拌時間は特に限定されず、CaSiおよび濃塩酸の量などに応じて適宜設定することができる。
【0025】
(シリカナノシート形成工程)
前記層状シロキセン形成工程で得られた層状シロキセンを有機溶媒と混合して攪拌し、層状シロキセンを層間剥離させる。その後、剥離したシロキセンは空気中の酸素や有機溶媒分子、有機溶媒中に含まれる水分によって酸化されてシリカナノシートが形成すると考えられる。
【0026】
この工程で用いられる有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、クロロホルム、および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが好ましい。これらの有機溶媒は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、シリカナノシートの収率がより高くなるという観点からDMSOおよび/またはDMFを含むものがより好ましく、DMSOおよび/またはDMFを主成分とするものがさらに好ましく、DMSOおよび/またはDMFが特に好ましい。また、本発明に用いられるシリカナノシートの有機溶媒分散物の製造方法においては、前記有機溶媒には水が含まれていてもよいが、その場合の含水率は、シリカナノシートの収率が高くなるという観点から40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
層状シロキセンと有機溶媒との混合割合は、有機溶媒の質量が層状シロキセンの質量の5倍以上となる割合であることが好ましい。混合割合が上記下限未満になるとシリカナノシートの収率が低下する傾向にある。
【0028】
攪拌方法としては、層状シロキセンと有機溶媒との混合物中のいずれの位置のおいても剪断速度が1秒−1以上となるような一般的な攪拌方法を用いることができるが、前記混合物にジルコニア製やアルミナ製の無機ビーズ(径2mm程度のものが好ましい)を添加してローラー式ポットミルやフッ素樹脂製の攪拌羽根を用いて攪拌する方法などが好ましい。径2mmの無機ビーズを使用した場合の無機ビーズの添加量は、例えばジルコニア製ビーズの場合には層状シロキセンの質量の5〜100倍となる量であることが好ましく、15〜20倍となる量であることがより好ましい。また、攪拌速度は3〜150rpmの範囲にあることが好ましく、80〜120rpmの範囲にあることがより好ましい。本発明のシリカナノシートの製造方法においては攪拌によりシリカナノシートの収率が向上するが、攪拌速度が上記下限未満になると攪拌によるシリカナノシートの収率向上の効果が減少する傾向にあり、他方、上記上限を超えると摩擦熱により反応温度の制御が困難となる傾向にある。また、本発明の製造方法においては剪断速度が1秒−1以上となる連続式混合装置も使用できる。
【0029】
この工程における混合・攪拌時の温度は10〜70℃であることが好ましく、10〜25℃であることがより好ましい。ただし、前記温度は、使用する有機溶媒の融点以上(例えば、DMSOの場合には19℃以上)である必要がある。混合・攪拌時の温度が上記下限未満になると層間剥離速度が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると生成したシリカナノシートの縮合反応が起こるため、シリカゲルなどの沈殿物が生成し、シリカナノシートの実質的な収率が低下する傾向にある。
【0030】
また、この工程における攪拌時間は4〜100時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。攪拌時間が上記下限より短くなるとシリカナノシートの生成量が少なく、シリカナノシートの収率が低下する傾向にあり、他方、上記上限より長くなるとシリカナノシートの生産効率(単位時間当たりの生産量)が低下するとともに生成したシリカナノシートの縮合反応が起こるため、シリカゲルなどの沈殿物が生成し、シリカナノシートの実質的な収率が低下する傾向にある。
【0031】
(精製工程)
前記シリカナノシート形成工程で得られたシリカナノシートを含む溶液(シリカナノシートの有機溶媒分散物)には、未反応の層状シロキセンや副生成物などの固体状不純物が含まれている場合がある。この工程では、必要に応じてこれらの固体状不純物を遠心分離や吸引ろ過などの公知の分離精製方法により除去することが好ましい。例えば、前記シリカナノシート形成工程で得られたシリカナノシートを含む溶液に遠心分離(3500rpm×20分間)を施して上澄み液を回収したり、吸引ろ過(5μmのメンブレンフィルタを使用)を施してろ液を回収することにより、透明なシリカナノシート有機溶媒分散物を得ることができる。なお、遠心分離条件や吸引ろ過条件は前記条件に限定されるものではなく適宜設定することができる。
【0032】
(カップリング処理工程)
本発明に用いられるシリカナノシートの有機溶媒分散物の製造方法においては、得られたシリカナノシートの有機溶媒分散物(好ましくは精製したもの)にカップリング剤を添加して加熱処理を施し、シリカナノシートとカップリング剤とを反応させることが好ましい。これにより、シリカナノシートを、凝集させることなく、より長期間にわたって有機溶媒中に安定して分散させることが可能となる。前記カップリング剤は特に限定されないが、分子内にアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0033】
このようにして得られたシリカナノシートは、ケイ素と酸素を主成分とするものであり、面方向に長さ100nm以上の広がりを有し、厚さが1nm以下の薄片である。前記シリカナノシートは、通常有機溶媒に分散した状態で得ることができる。また、前記シリカナノシートは単層のものであることが好ましいが、単層のシリカナノシートが2層または数層(好ましくは2〜5層)重なったもの、およびこれらの混合物も本発明に用いられるシリカナノシートに含まれるものとする。単層のシリカナノシートが2層または数層重なったもの、およびその混合物も透明な有機溶媒分散物を形成することが可能であり、実質的に単層のシリカナノシートと同様に取り扱うことが可能である。
【0034】
次に、シリカナノシートの有機溶媒分散物から本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物を形成する方法について説明する。
【0035】
(混合溶液調製工程)
先ず、シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合して混合溶液を調製する。前記シリカナノシートの有機溶媒分散物としては、シリカナノシートが有機溶媒中に安定に分散されている点で、前記方法により得られたシリカナノシートの有機溶媒分散物を用いることが好ましい。また、有機ポリマーとの親和性が高く、有機溶媒を除去することにより均一な分散状態で複合物が得られるという観点から、前記シリカナノシートはカップリング処理されたものであることがより好ましい。
【0036】
前記有機ポリマーとしては、従来のシリカ微粒子/有機ポリマー複合物に用いられる有機ポリマーを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。中でも、自動車用塗料などの高外観、高耐久性の塗料に多用されているという観点からアクリル樹脂が好ましい。
【0037】
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物と前記有機ポリマーとの混合比は、複合物中のシリカナノシートと有機ポリマーとの割合が所望の値となるように適宜設定することができる。
【0038】
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物と前記有機ポリマーとを混合する場合、前記シリカナノシートの有機溶媒分散物に前記有機ポリマーを溶解させてもよいし、前記有機ポリマーを適宜有機溶媒に溶解した後、前記シリカナノシートの有機溶媒分散物と混合してもよいが、いずれの場合にも得られる混合溶媒が単一相になるように混合する必要がある。また、混合後、攪拌することが好ましい。前記有機ポリマーを溶解するための有機溶媒としては、前記シリカナノシート形成工程において例示したものが挙げられ、前記有機ポリマーの溶解性および前記シリカナノシートの有機溶媒分散物中の有機溶媒との相溶性を考慮して適宜選択される。
【0039】
(シリカナノシート/有機ポリマー複合物形成工程)
次に、前記混合溶液調製工程で得られた混合溶液から有機溶媒を除去して前記シリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物を形成する。有機溶媒を除去する方法としては、前記混合溶液中の有機溶媒との相溶性があり、前記有機ポリマーに対する貧溶媒を入手できる場合には、前記混合溶液を多量(好ましくは質量で10〜20倍)の前記貧溶媒に加えて(または前記混合溶液に多量の前記貧溶媒を加えて)シリカナノシート/有機ポリマー複合物を析出させて沈殿として回収する方法が挙げられる。この方法の具体例としては、シランカップリング処理されたシリカナノシートと疎水性有機ポリマーとを含むDMSO溶液を調製し、これを多量の水(貧溶媒)に加えることによってシリカナノシート/疎水性有機ポリマー複合物を沈殿として回収する方法が挙げられる。また、エバポレータなどを用いて有機溶媒を蒸発させる方法など従来公知の有機溶媒除去方法を適用することもできる。
【0040】
本発明の製造方法により得られるシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるシリカナノシートと、前記有機ポリマーと、を含有することを特徴とするものである。このようなシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、従来のシリカ微粒子もしくはシリカ微粒子/有機ポリマー複合物の代わりに、またはこれらと組み合わせて使用することができる。また、有機ポリマーとして使用することも可能である。
【0041】
本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物は従来のシリカ微粒子またはシリカ微粒子/有機ポリマー複合物と比べてシリカの比表面積が非常に大きいものであるので、塗料などの樹脂組成物に添加した場合には、より少ない添加量で耐擦り傷性の向上を図ることが可能となり、さらに添加量が少ないため、硬化物の硬度の上昇が抑えられ、シリカ微粒子を多量に配合することによって生じていた脆さなどの弊害を抑制することが可能となる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(調製例1)
<シリカナノシートDMSO分散物の調製>
CaSi(添川理化学(株)製試薬)24.4gを、目開き1.4mmのふるいを通過するように粉砕した。このCaSi粉砕物の半量(12.2g)と濃塩酸(和光純薬工業(株)製試薬)500mlとを容量1000mlのコニカルビーカーに入れ、10〜15℃に保持した水浴中でマグネチックスターラを用いて40分間攪拌した。その結果、黄緑色の嵩高い固形物(ワイス型シロキセン)を含む溶液を得た。この溶液を直ちに孔径5μmのメンブレンフィルタを用いて吸引ろ過した後、ろ過ケーキ(ワイス型シロキセン)をアセトンと混合してろ過することにより洗浄した。このアセトン洗浄を3回繰り返した。残りのCaSi粉砕物(12.2g)についても同様に濃塩酸処理を施し、アセトンで3回洗浄した後、先のろ過ケーキと混合した。
【0044】
このアセトンを含んだろ過ケーキ(ワイス型シロキセン)85.4gを容量1000mlのセパラブルフラスコに入れ、さらにジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株)製試薬、以下「DMSO」と略す)365gと径2mmのジルコニアビーズ500gとを加え、この混合物をフッ素樹脂製の攪拌羽根を用いて室温(20〜23℃)で15時間攪拌した(回転速度120rpm)。攪拌終了後の混合物は濁った褐色の液体であった。この混合物に遠心分離(3500rpm×20分間)を施して泥状物を除去し、上澄み液を孔径5μmのメンブレンフィルタを用いて吸引ろ過してろ液を回収し、シリカナノシートを含む淡黄色透明な溶液(シリカナノシートのDMSO分散物)163gを得た。
【0045】
この淡黄色透明な溶液について熱重量分析(空気中、10℃/分の昇温速度で25℃から1000℃まで加熱)を実施した結果、その灰分から計算されたシリカナノシートの含有率は0.50質量%であった。また、原料の量から計算されるシリカナノシートの生成量の理論値に対する収率(以下、「シリカナノシートの収率」という)は12%であった。
【0046】
(調製例2)
<シリカナノシート水分散物の調製>
前記調製例1と同様にして得たCaSi粉砕物(2.0g)に前記調製例1と同様にして200mlの濃塩酸による処理を施し、アセトンで3回洗浄してろ過ケーキを回収した。このろ過ケーキを真空乾燥機を用いて室温で乾燥させてワイス型シロキセンを得た。
【0047】
このワイス型シロキセンを、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製試薬)2.71gを水800mlに溶解した水溶液(pH3.2)に混合してマグネチックスターラを用いて攪拌した。攪拌開始時の懸濁液の色は橙色であったが、約6日間攪拌したところ淡黄色に変化した。さらに攪拌を続け、攪拌開始から10日後には淡灰色になった。
【0048】
10日間攪拌した前記懸濁液に遠心分離(3500rpm×20分間)を施し、上澄み液を回収したところ、上澄み液には濁りが見られた。この上澄み液を孔径5μmのメンブレンフィルタを用いて吸引ろ過してろ液を回収し、シリカナノシートを含む無色透明な水溶液(シリカナノシートの水分散物)を得た。この無色透明な水溶液をロータリーエバポレータを用いて水溶性成分を除去し、10倍に濃縮した。灰分の質量から計算された前記濃縮液中のシリカナノシートの含有率は0.02質量%であり、収率は0.6%であった。
【0049】
(実施例1)
<シランカップリング処理>
酢酸(和光純薬工業(株)製試薬)0.2質量%と水20質量%とを含むエタノール溶液20gに、シランカップリング剤(チッソ(株)製、商品名「サイラエースS510」)3.2gを混合して5分間静置した。この溶液に、前記調製例1において調製したシリカナノシートのDMSO分散物163gを混合して容量500mlのビーカーに入れ、蓋をせずに110℃の熱風炉で1.5時間加熱処理を施した。加熱処理後の混合溶液は淡黄色透明であり、その質量は132gであった。なお、この混合溶液を1ヶ月間静置したところ、沈殿は生成せず、シリカナノシートは長期間にわたって安定して有機溶媒中に分散されていることが確認された。
【0050】
この混合溶液の一部を採取し、真空乾燥して透過型電子顕微鏡(TEM)による観察と蛍光X線元素分析(EDX)を実施した。図2Aおよび図2Bには得られたシリカナノシートのTEM写真を示す。また、図3には得られたシリカナノシートの蛍光X線スペクトルを示す。図2Aに示したTEM写真から明らかなように、得られたシリカナノシートは面方向に長さ100nm以上の広がりを有する薄片であった。また、図2B中のシリカナノシート部分のうちの色の薄い部分は単層(理論値0.65nm)であると推察された。また、図3に示したEDXの結果から明らかなように、得られたシリカナノシートの主成分はケイ素と酸素であることが確認された。
【0051】
<シリカナノシートと有機ポリマーとの複合化>
表1に示す配合比で合成され、表1に示す特性を有するアクリル樹脂をメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、アクリル樹脂溶液(樹脂濃度63質量%)を調製した。このアクリル樹脂溶液5.3gとカップリング処理を施した前記混合溶液85.4gとを混合して5等分し、それぞれを容量1Lのコニカルビーカー中の800mlの脱イオン水に攪拌下で滴下したところ、沈殿が生成した。5等分したもの全てについて、遠心分離(3000rpm×3分間)を施して沈殿を回収し、60℃で65時間真空乾燥を施し、無色透明のシリカナノシート/アクリル樹脂複合物(シリカナノシート/アクリル樹脂の質量比=3/97)2.5gを得た。
【0052】
【表1】

【0053】
<シリカナノシート含有塗料組成物の製造および耐擦り傷性評価>
前記シリカナノシート/アクリル樹脂複合物をトルエンに分散させて前記複合物のトルエン分散物(複合物濃度40質量%)を調製した。この分散物に、前記複合物に対する固形分比で0.31倍のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デュラネートTPA−100」)を添加して塗料組成物E1を調製した。
【0054】
電着塗装、中塗り塗装および黒色上塗り塗装を施した鋼板に、前記塗料組成物E1を塗布し、140℃の熱風炉で30分間焼付け処理を施して試料塗板を作製した。この試料塗板の20度光沢をグロスメーターを用いて測定した。次に、ISO 20566:2005「塗料及びワニス−室内洗車を用いた被膜システムの引っかき抵抗性の測定」に記載の方法に準拠して洗車機による傷つき性評価試験を実施した後、再度、20度光沢をグロスメーターを用いて測定して、傷つき性評価試験前後の20度光沢から光沢保持率を算出した。その結果を表2に示す。
【0055】
なお、前記試料塗板から塗膜の一部を削り取って熱重量分析(空気中、10℃/分の昇温速度で25℃から1000℃まで加熱)を実施したところ、その灰分から計算されたシリカナノシートの含有率は2.2質量%であった。
【0056】
(比較例1)
実施例1と同様にしてアクリル樹脂溶液(樹脂濃度63質量%)を調製した。このアクリル樹脂溶液30gを204gのDMSOに溶解して8等分し、それぞれを容量1Lのコニカルビーカー中の800mlの脱イオン水に攪拌下で滴下したところ、沈殿が生成した。8等分したもの全てについて、実施例1と同様にして沈殿を回収し、真空乾燥を施して複合化されていないアクリル樹脂(以下、「アクリル樹脂再沈物」という)を得た。
【0057】
このアクリル樹脂再沈物をトルエンに分散させてアクリル樹脂のトルエン溶液(樹脂濃度44質量%)を調製した。この溶液に、アクリル樹脂に対する固形分比で0.31倍のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デュラネートTPA−100」)を添加して塗料組成物C1を調製した。
【0058】
次いで、前記塗料組成物E1の代わりにこの塗料組成物C1を使用した以外は実施例1と同様にして試料塗板を作製した。この試料塗板の光沢保持率を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示す。
【0059】
(比較例2)
比較例1と同様にして調製した塗料組成物C1にMIBK分散型シリカゾル(日産化学工業(株)製)を添加して塗料組成物C2を調製した。前記MIBK分散型シリカゾルは、塗料組成物C2の固形分100質量%に対して2.2質量%となるように添加した。次いで、前記塗料組成物E1の代わりにこの塗料組成物C2を使用した以外は実施例1と同様にして試料塗板を作製した。この試料塗板の光沢保持率を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示す。
【0060】
(比較例3)
塗料組成物の固形分100質量%に対して20質量%となるように、前記MIBK分散型シリカゾルを添加した以外は比較例2と同様にして塗料組成物C3を調製した。次いで、前記塗料組成物E1の代わりにこの塗料組成物C3を使用した以外は実施例1と同様にして試料塗板を作製した。この試料塗板の光沢保持率を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示す。
【0061】
(比較例4)
容量50mlのガラス容器に、調製例2で得たシリカナノシートを含む濃縮液20mlと有機溶媒(ヘキサン、トルエンまたはクロロホルム)5mlとを入れて激しく振とうした後、水相と油相とが分離するまで静置した。水から前記有機溶媒への溶媒置換の可否を確認するために、得られた油相を乾涸させたが、いずれの有機溶媒を使用した場合にも何も析出せず、シリカナノシート水分散物の水を前記有機溶媒に置換することはできなかった。このため、シリカナノシート水分散物を用いてシリカナノシート/アクリル樹脂複合物を製造することはできなかった。
【0062】
(比較例5)
容量50mlのガラス容器に、調製例2で得たシリカナノシートを含む濃縮液20mlとシランカップリング剤(サイラエースS310、S320、S330またはS510(商品名、チッソ(株)製))のエタノール溶液(濃度1質量%)0.2gとを入れて攪拌したところ、いずれのシランカップリング剤においても綿状沈殿が生じた。この綿状沈殿を遠心分離により回収し、エタノールと混合して再度遠心分離を施し、綿状沈殿を乾涸させた。この綿状沈殿にメチルイソブチルケトン(MIBK)20mlを加えて攪拌と超音波処理とを施したが、いずれのシランカップリング剤を使用した場合にも綿状沈殿は溶解せず、シリカナノシートのMIBK分散物を得ることはできなかった。このため、シリカナノシート水分散物を用いてシリカナノシート/アクリル樹脂複合物を製造することはできなかった。
【0063】
【表2】

【0064】
表2に示した結果から明らかなように、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物を用いた塗膜(実施例1)は、無機成分を添加しなかった場合(比較例1)および従来の球状シリカ微粒子を同じ含有率で添加した場合(比較例2)に比べて極めて光沢保持率に優れたものであった。また、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物を用いた場合(実施例1)には、従来の球状シリカ微粒子を用いた場合(比較例3)に比べて非常に少量(約1/10)の前記複合物を添加するだけで光沢保持率を高めることが可能であることが確認された。
【0065】
また、比較例4〜5に示した結果から明らかなように、シリカナノシート水分散物を用いてシリカナノシート/アクリル樹脂複合物を製造することはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明によれば、より少ない添加量で耐擦り傷性を向上させることが可能なシリカナノシート/有機ポリマー複合物を得ることが可能となる。
【0067】
したがって、本発明のシリカナノシート/有機ポリマー複合物は、従来の球状シリカ微粒子を用いた場合に比べて添加量を低減することが可能であり、耐擦り傷性を向上させることができ、さらに脆さなどの弊害を抑制することが可能であるため、塗料、ゴム、プラスチック製品などに使用されるシリカ微粒子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】DMSO中に分散したシリカナノシートの状態を示す模式図である
【図2A】実施例1で得たシリカナノシートを示す電子顕微鏡写真である。
【図2B】実施例1で得たシリカナノシートを示す電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得たシリカナノシートの蛍光X線スペクトルを示すグラフである。
【図4】水中に分散したシリカナノシートに乾燥処理を施した場合におけるシリカナノシート水分散物からシリカゲルへの状態変化を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカナノシートの有機溶媒分散物と有機ポリマーとを混合して混合溶液を調製する工程と、
前記混合溶液から有機溶媒を除去することにより前記シリカナノシートと前記有機ポリマーとの複合物を形成する工程と、
を含むことを特徴とするシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法。
【請求項2】
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物が、二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法。
【請求項3】
前記シリカナノシートの有機溶媒分散物が、ジメチルスルホキシドおよび/またはN,N−ジメチルホルムアミドを含む有機溶媒にシリカナノシートが分散したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカナノシート/有機ポリマー複合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の製造方法により得られるものであることを特徴とするシリカナノシート/有機ポリマー複合物。
【請求項5】
二ケイ化一カルシウムと濃塩酸とを反応させて層状のシロキセンを形成した後、前記層状シロキセンと有機溶媒とを混合して攪拌することにより得られるシリカナノシートと、
有機ポリマーと、
を含有することを特徴とするシリカナノシート/有機ポリマー複合物。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシリカナノシート/有機ポリマー複合物を含有することを特徴とする塗料組成物。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2009−185090(P2009−185090A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23134(P2008−23134)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】