シリカ質担体上の白金−スズを含む、酢酸の水素化によってエタノールを製造するための触媒
酢酸からエタノールを選択的に形成する方法は、酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、カルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカ上の白金及びスズを含む触媒と接触させることを含む。280℃において、数百時間の触媒寿命で、85%より高いエタノールへの選択率が達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月26日に出願の米国出願12/588,727(その全てを参照として本明細書中に包含する)の優先権を主張する。
本発明は、概して、カルボン酸、特に酢酸を水素化するための調節可能な触媒、並びに、変化する商業的な条件に適合させるためにそれぞれの触媒の変化を用いて酢酸エチル及びアセトアルデヒドに対するエタノールの割合を変化させることができる酢酸脱水素化の柔軟な方法に関する。より具体的には、本発明は、カルボン酸、特に酢酸を気相水素化して、対応するアルコール、エステル、及びアルデヒド、特にエタノールなどの種々の生成物を製造するための触媒に関する。本触媒は、一定範囲の生成物にわたって優れた活性及び選択性を示す。
【背景技術】
【0002】
酢酸をエタノール(これは、それ自体で用いることができるか、或いは、酢酸ビニル及び/又は酢酸エチル或いは広範囲の他の化学生成物に転化させることができるので重要な商業的供給材料であるエチレンにその後に転化させることができる)に転化させる経済的に実行可能なプロセスに対する必要性が長い間感じられている。例えば、エチレンは数多くのポリマー及びモノマー生成物に転化させることもできる。変動する天然ガス及び原油の価格は、従来製造されている石油又は天然ガス由来のエチレンのコストの変動の一因となり、石油の価格が上昇している場合にはエチレンの別の源に対する必要性がなお更に大きくなる。
【0003】
アルカン酸及び他のカルボニル基含有化合物を還元するための接触プロセスは広範囲に研究されており、触媒、担体、及び運転条件の種々の組合せが文献において言及されている。金属酸化物上での種々のカルボン酸の還元は、T. Yokoyamaら, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis. Carboxylic acids and derivatives"によって概説されている。8.3.1章においては、種々のカルボン酸のための水素化触媒に関する開発努力の幾つかが要約されている(Yokoyama, T.; Setoyama, T., "Carboxylic acids and derivatives": "Fine chemicals through heterogeneous catalysis, 2001, 370-379)。
【0004】
M.A. Vanniceらの一連の研究は、種々の不均一触媒上での酢酸の転化に関する(Rachmady, W.; Vannice, M.A.; J. Catal. 2002, 207, 317-330)。
担持及び非担持の両方の鉄上でのH2による酢酸の気相還元が別の研究において報告された(Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., 2002, 208, 158-169)。
【0005】
触媒表面種及び有機中間体に関する更なる情報が、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 208, 170-179に示されている。
気相酢酸水素化は、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 209, 87-98、及びRachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2000, 192, 322-334において、更に一群の担持Pt−Fe触媒に関して研究された。
【0006】
不飽和アルデヒドの選択水素化に関する種々の関連する出版物は、(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133;Liberkova, K.; Tourounde, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230;Rodrigues, E.L.; Bueno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211;Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42;Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9;Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175;Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22)において見ることができる。
【0007】
クロトンアルデヒドの不飽和アルコールへの選択水素化におけるコバルト、白金、及びスズ含有触媒に関する活性及び選択性を報告する研究が、R. Touroudeら(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133、及びLiberkova, K.; Tourounde, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230)、並びにK. Lazarら(Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96)において見られる。
【0008】
M. Santiagoら(Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28)においては、量子化学的計算と組み合わせたマイクロ熱量測定、赤外分光測定、及び反応速度測定が議論されている。
【0009】
酢酸水素化における触媒活性はまた、レニウム及びルテニウムを有する不均一系に関して報告されている(Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439)。
【0010】
Kitsonらの米国特許5,149,680においては、白金族金属合金触媒を用いてカルボン酸及びそれらの無水物をアルコール及び/又はエステルに接触水素化する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,777,303においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,804,791においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する他の方法が記載されている。また、USP−5,061,671;USP−4,990,655;USP−4,985,572;及びUSP−4,826,795;も参照。
【0011】
Malinowskiら(Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5)においては、シリカ(SiO2)又はチタニア(TiO2)のような担体材料上で不均一化されている低価チタン上での酢酸の接触反応が議論されている。
【0012】
二金属ルテニウム−スズ/シリカ触媒は、テトラブチルスズをシリカ上に担持されている二酸化ルテニウムと反応させることによって製造されている(Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600)。
【0013】
酢酸の接触還元はまた、例えばHindermanら(Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373)において研究されており、ここでは鉄上及びアルカリ促進鉄上での酢酸の接触還元が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許5,149,680
【特許文献2】米国特許4,777,303
【特許文献3】米国特許4,804,791
【特許文献4】USP−5,061,671
【特許文献5】USP−4,990,655
【特許文献6】USP−4,985,572
【特許文献7】USP−4,826,795
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Yokoyama, T; Setoyama, T, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis"の"Carboxylic acids and derivatives", 2001, 370-379
【非特許文献2】Rachmady W.; Vannice, M.A.; J. Catal. 2002, 207, 317-330
【非特許文献3】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., 2002, 208, 158-169
【非特許文献4】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 208, 170-179
【非特許文献5】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 209, 87-98
【非特許文献6】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2000, 192, 322-334
【非特許文献7】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献8】Liberkova, K.; Touroude, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献9】Rodrigues, E.L.; Burno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211
【非特許文献10】Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42
【非特許文献11】Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9
【非特許文献12】Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175
【非特許文献13】Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22
【非特許文献14】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献15】Liberkova, K.; Touroude, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献16】Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96
【非特許文献17】Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28
【非特許文献18】Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439
【非特許文献19】Malinowskiら, Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5
【非特許文献20】Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600
【非特許文献21】Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
既存のプロセスは、(i)エタノールへの必要な選択性を有しない触媒;(ii)場合によっては法外に高価で、及び/又はエタノールの形成に対して非選択性であり、望ましくない副生成物を生成する触媒;(iii)過度の運転温度及び圧力;及び/又は(iv)不十分な触媒寿命;などの商業的な実行可能性を妨げる種々の問題点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間、より好ましくは約225℃〜300℃の間、更により好ましくは約250℃〜300℃の間の温度で触媒上に通すことによって、酢酸を、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金−スズ触媒上で還元する場合に、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体をここに記載するように制御するとエタノールへの転化における高い選択性を得ることができることを見出した。本発明の一形態においては、本発明者らは、シリカ質担体の表面上に存在するブレンステッド酸部位の効果を、上記に記載のように選択される担体変性剤によって中和する。他の形態においては、上記に記載の担体変性剤は、流動する酢酸蒸気の存在下、275℃において、168時間、336時間、又は更には500時間までの時間にわたって、触媒による活性及び選択性の過度の損失を抑止するのに有効である。本発明の他の形態においては、担体変性剤は、所望の場合にはアルカンのような非常に望ましくない副生成物への酢酸の転化への低い選択性を伴って、酢酸エチルの製造を抑えてエタノール生成への高い選択性を与えるのに有効である。好ましくは、担体変性剤は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0018】
本発明者らは、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間、より好ましくは約225℃〜300℃の間、更により好ましくは約250℃〜300℃の間の温度で触媒上に通すことによって、酢酸を、実質的に塩基性のカルシウムメタシリケート/シリカ担体上に分散されている白金−スズ触媒上で還元する場合に、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにカルシウムメタシリケート/シリカ担体の酸性度をここに記載するように制御するとエタノールへの転化における高い選択性を得ることができることを見出した。特に、本発明の好ましい触媒及び方法を用いると、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化する。好ましい方法においては、白金は触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;一方、スズは少なくとも触媒の0.5〜10重量%の量で存在し;好ましくは、担体の表面積は、少なくとも約100m2/g、より好ましくは約150m2/g、更により好ましくは少なくとも約200m2/g、最も好ましくは少なくとも約250m2/gであり;スズと白金族金属とのモル比は、好ましくは約1:2〜約2:1、より好ましくは約2:3〜約3:2、更により好ましくは約5:4〜約4:5、最も好ましくは約9:10〜約10:9である。多くの場合においては、担体は、シリカ中の残留アルミナから生起するブレンステッド酸部位を中和するのに有効な量のケイ酸カルシウムを含み;通常は、約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムは、担体が実質的に中性又は塩基性であるのを確保するのに十分である。1つの特に好ましい態様においては、白金は、少なくとも約0.75重量%、より好ましくは1重量%の量で水素化触媒中に存在し;スズと白金とのモル比は約5:4〜約4:5であり;担体は少なくとも約2.5重量%〜10重量%のケイ酸カルシウムを含む。
【0019】
本発明の多くの態様の1つの特徴は、約1000hr−1、2500hr−1、更には5000hr−1より大きい空間速度を用いることができ、転化した酢酸の少なくとも90%はエタノールに転化し、酢酸の2%未満は、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化することである。本発明の多くの態様においては、アルカンの形成は低く、通常は触媒上を通過した酢酸の2%未満、しばしば1%未満、そして多くの場合には0.5%未満が、燃料又は合成ガスとして以外の価値を少ししか有しないアルカンへ転化する。
【0020】
本発明の他の形態においては、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属、並びに、スズ、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される促進剤を含む水素化触媒上に通すことによってアルカン酸を水素化し、ここで、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されており;担体の酸性度は、アルカン酸の4%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは約1%未満がアルカンに転化するように制御する。多くの場合においては、白金及びパラジウムの少なくとも一方は触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の0.5重量%であり;存在するレニウム及びスズの合計量は少なくとも0.5〜10重量%である。このプロセスにおいては、塩基性シリカ担体上の白金及びスズを含む触媒を用い、白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに白金族金属と存在するレニウム及びスズの合計モル数とのモル比;並びにシリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がアルカノール及び酢酸アルキルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、アルカン酸の4%未満が、対応するアルカノール、酢酸アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する。好ましくは、白金及びパラジウムの少なくとも一方は触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の重量の0.75%〜5%である。好ましくは、アルカン酸は酢酸であり、存在するスズ及びレニウムの合計量は少なくとも触媒の1.0重量%であり、一方、白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに白金族金属とレニウム及びスズ促進剤との比;並びにシリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノール又は酢酸エチルに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する。好ましくは、存在するレニウム及びスズの合計重量は触媒の約1〜10重量%であり、一方、白金族金属とレニウム及びスズの合計のモル数とのモル比は約1:2〜約2:1である。
【0021】
他の形態においては、本発明は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyCapSiqOr
(式中、v:yの比は3:2〜2:3の間であり、及び/又はw:xの比は1:3〜1:5の間であり、p及びqは、p:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0022】
【化1】
【0023】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法に関する。
この形態においては、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値は、好ましくは、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択する。本発明の多くの態様においては、pは、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択する。
【0024】
本発明の更に他の形態は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、p及びz、及び存在するアルミニウム及びカルシウム原子の相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され;p及びqは、p:qが1:20〜1:200であるように選択され;rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0025】
【化2】
【0026】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法に関する。好ましくは、この形態においては、水素化触媒は少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びp≧zである。本発明の多くの態様においては、pはまた、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が、エタノールの酢酸エチルへの転化を促進すると考えられる活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される。
【0027】
本発明の他の形態は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);並びに、触媒の約1重量%〜2重量%の量のレニウム及びスズからなる群から選択される金属促進剤;を含み;白金と金属促進剤とのモル比が約3:1〜1:2の間であり;シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びにこれらの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び酢酸エチルを製造する方法に関する。
【0028】
本発明の好ましい形態においては、金属促進剤と白金族金属とのモル比は、約2:3〜約3:2、より好ましくは約5:4〜約4:5、最も好ましくは約9:10〜約10:9であり、一方、シリカ質担体の表面積は少なくとも約200m2/gであり、ケイ酸ナトリウムの量は担体の表面を実質的に塩基性にするのに十分なものである。幾つかの場合においては、ケイ酸カルシウムの使用は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下となるように制御することができ;他の場合においては、用いるシリカは、アルミナ又は他の不純物の低い含量を有する高純度焼成シリカであってよい。多くの場合においては、かかるシリカは、99%より多いシリカ、より好ましくは99.5%より多いシリカ、最も好ましくは99.7%より多いシリカを含む。本発明の多くの態様においては、シリカの純度を制御することか、又は担体の表面上に存在するブレンステッド酸部位をケイ酸カルシウム又はここに議論する他の好適な安定剤−変性剤の1つで中和することのいずれかによって、その表面上に存在するブレンステッド酸部位の利用可能なモル数は、Saint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下、好ましくは、Saint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の半分未満、より好ましくは25%未満、更により好ましくは10%未満である。担体の表面上に存在する酸部位の数は、
(1)F. Delannay編, "Characterization of Heterogeneous Catalysts", III章: Measurement of Acidity of Surfaces, p.370-404; Marcel Dekker, Inc., N.Y., 1984;
(2)C.R. Brundle, C.A. Evans, Jr., S. Wilson, L.E. Fitzpatrick編, "Encyclopedia of Materials Characterization", 12.4章: Physical and Chemical Adsorption Measurements of Solid Surface Areas, p.736-744, Butterworth-Heinemann, MA 1992;
(3)G.A. Olah, G.K. Sura Prakask編, "Superacids"; John Wiley & Sons, N.Y. 1985;
に記載されている手順にしたがうピリジン滴定を用いて求めることができる。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、記載が他に示さない限りにおいて、表面の酸性度又はその上の酸部位の数を測定する場合には、F. Delannay編, "Characterization of Heterogeneous Catalysts", III章: Measurement of Acidity of Surfaces, p.370-404; Marcel Dekker, Inc., N.Y. 1984に記載されている方法を用いる。
【0030】
より好ましい場合においては、シリカ質担体の表面積は少なくとも約250m2/gであり、その表面上に存在する利用できるブレンステッド酸部位のモル数はSaint-Gobain NorPro HSA SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の1/2以下であり、水素化は約250℃〜300℃の間の温度で行う。
【0031】
本明細書での議論を検討することによって当業者に認められるように、上記に記載するシリカ質担体以外の触媒担体は、触媒系が用いるプロセス条件下において好適には活性で、選択性で、且つ強靱であるように成分を選択するならば、幾つかの態様において用いることができる。好適な担体としては、安定な金属酸化物ベースの担体、又はセラミックベースの担体、並びにゼオライトなどのモレキュラーシーブを挙げることができる。また幾つかの態様においては、上記のKitsonらの米国特許5,149,680の2欄64行〜4欄22行(この開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されているような炭素担体を用いることができる。
【0032】
エタノール及び酢酸エチルの混合物を同時に製造する場合には、本発明の多くの態様においては、水素化触媒は、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上のパラジウム(存在するパラジウムの量は少なくとも約1.5%である)を含んでいてよく、一方、金属促進剤は、触媒の約1重量%〜10重量%の間の量のレニウムであり、レニウムとパラジウムとのモル比は約4:1〜1:4、好ましくは2:1〜1:3の間である。
【0033】
主としてエタノールを製造することが所望の場合には、本発明の多くの態様においては、触媒は、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤から実質的に構成することができ、白金とスズとのモル比は、本発明の多くの態様においては約9:10〜10:9の間である。幾つかの場合においては、少量の他の白金族金属、殆どの場合にはパラジウムを配合物の触媒金属中に含ませることができる。本発明の多くの態様においては、存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%、好ましくは2.5〜3.5重量%の白金の間であり、スズ促進剤は触媒の約2重量%〜5重量%の間の量で存在し、一方、プロセスは約250℃〜300℃の間の温度において、少なくとも約1000hr−1のGHSVで、少なくとも2気圧の圧力において行う。スズと白金との比は、好ましくは2:3〜3:2の間、より好ましくは4:5〜5:4の間、最も好ましくは9:10〜10:9の間である。主としてエタノールを製造することが所望の更に他の態様においては、触媒に、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤を含ませることができ、白金とスズとのモル比は、本発明の多くの態様においては約9:10〜10:9の間である。
【0034】
本発明の他の形態は、シリカ、及び約3.0〜約7.5のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び、触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み;白金とスズとのモル比は約4:3〜3:4の間であり、シリカ質担体の組成及び構造はその表面が実質的に塩基性であるように選択される、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒に関する。
【0035】
本発明の他の形態は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びその表面上にカルシウムメタシリケートが配置されているカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、シリカ質担体の表面は、カルシウムによって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない粒子状水素化触媒に関する。エタノール及び酢酸エチルを同時に製造するのに最も適しているこれらの変法においては、存在する白金族金属の全重量は0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比は10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜90%の間である。
【0036】
エタノールを高い選択率で製造するのに最も適した形態においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在する白金の量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトと白金との重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間であり、一方、長い寿命を有する触媒によってエタノールを製造するのに最も適した形態においては、水素化触媒は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成誘導シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは、その表面がカルシウムメタシリケートによって中和されてないブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するのに有効な量のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である。
【0037】
本発明の他の触媒においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。
【0038】
本発明の更に他の触媒は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0039】
本発明者らは、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上に担持されているパラジウムとレニウムが混合されており、シリカ質担体は、場合によっては、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1%〜5%の促進剤によって促進されており、促進剤は、好ましくは、これらの促進剤のそれぞれの硝酸塩又は酢酸塩の形態で触媒配合物に加えられており、特に好ましくはカリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウム、及び亜鉛である触媒;
(iii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択される高表面積シリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択される高表面積シリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;
からなる群から選択される触媒から、酢酸のエタノールへの水素化に関する優れた選択性と組み合わせて驚くほど高い活性及び寿命が得られることを見出した。
【0040】
本発明の他の形態は、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を、約125℃〜350℃の間の温度において、
a.シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び
b.スズ及びレニウムからなる群から選択される促進剤;
を含み、
c.シリカ質担体は、場合によっては
i.触媒の1〜5重量%の量の、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;
ii.触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;及び
iii.触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;
からなる群から選択される促進剤によって促進されている;
水素化触媒上に通すことを含む、アルカン酸を水素化する方法に関する。
【0041】
好ましくは、アルカン酸は酢酸であり、白金は、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;パラジウムは、存在する場合には触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の0.5重量%であり;スズは少なくとも0.5〜5%の量で存在し、白金とスズとの比は上記に記載した通りである。
【0042】
本発明の他の形態においては、シリカ質担体の表面積は、少なくとも約150m2/g、より好ましくは少なくとも約200m2/g、最も好ましくは少なくとも約250m2/gである。より好ましい態様においては、シリカ質担体は約7.5%以下のカルシウムメタシリケートを含む。他の態様においては、シリカ質担体は約90%以下のカルシウムメタシリケートを含む。全ての態様において、担体の酸性度の制御は、特に実質的に純粋なエタノールを製造する場合には非常に有益である可能性がある。シリカ単独を担体として用いる場合には、シリカに関する通常の汚染物質であるアルミナの量が低く、好ましくは1重量%より低く、より好ましくは0.5重量%より低く、最も好ましくは0.3重量%より低いことを確保することが非常に有益である。この点に関し、所謂焼成シリカは、通常は99.7%を超える純度で入手できるので非常に好ましい。本出願において、高純度シリカに言及する場合には、アルミナのような酸性汚染物質が0.3重量%未満のレベルで存在するシリカを指す。カルシウムメタシリケート促進シリカを用いる場合には、担体として用いるシリカの純度に関して非常に厳格にすることは通常は必要ないが、アルミナは望ましくなく、通常は意図的には加えない。
【0043】
本発明のより好ましい態様においては、白金は、存在する場合には触媒の重量の1%〜5%の量で存在し;パラジウムは、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の1重量%である。
【0044】
担体が実質的に純粋な高表面積シリカ、好ましくは焼成形成シリカである本発明の他の好ましい態様においては、スズは触媒の1重量%〜3重量%の量で存在し、より好ましくは、スズと白金族金属とのモル比は約1:2〜約2:1であり;更により好ましくは、スズと白金とのモル比は約2:3〜約3:2であり;一方、最も好ましくは、スズと白金とのモル比は約5:4〜約4:5である。担体が約2%〜約10%の範囲の少量のCaSiO3又は他の安定剤−変性剤も含む場合には、それらが適当な量の実質的に塩基性の安定剤−変性剤によって中和されている限りにおいて、大量の酸性不純物を許容することができる。
【0045】
本発明の他の形態においては、プロセスは、好ましくは、約225℃〜300℃の間、より好ましくは250℃〜300℃の間の温度において行い、水素化触媒は、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);及び触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比は約3:1〜1:2の間であり、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている。
【0046】
アルカン酸を水素化するための本発明の特に好ましい態様においては、触媒は、高表面積高純度シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属を含み、存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%であり、スズ促進剤の量は触媒の約1重量%〜5重量%の間であり、白金とスズとのモル比は約3:2〜2:3の間である。好ましくは、高純度シリカは、焼成生成させ、次に固定床触媒において用いるのに十分に高密度の形態に錠剤化又はペレット化する。しかしながら、高純度シリカの場合においても、安定剤−変性剤、特にケイ酸カルシウムを存在させると、酢酸蒸気の存在下、275℃付近の温度、並びに2500hr−1及びそれ以上の空間速度における商業的に実行可能な運転の触媒の活性及び選択性を、数週間及び更には数ヶ月に延びた長期間に延ばすか又は安定化することが明らかである。特に、触媒活性が1週間(168時間)又は2週間(336時間)の期間にわたって、又は更には500時間にわたって10%未満減少するような程度の安定性を達成することが可能である。したがって、本発明の触媒は、酢酸を水素化するための商業的規模の工業用途、特に高純度のエタノール及び酢酸エチルとエタノールの混合物の製造において用いることが完全に可能であることを認めることができる。
【0047】
本発明の他の形態は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか;酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか;又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、イットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の塩基性非揮発性安定剤−変性剤をその表面上又は担体それ自体の中に導入した酸化物担体上の第VIII族金属(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、及びOs)又は他の遷移金属(特に、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW)をベースとする水素化触媒に関する。
【0048】
本発明方法の他の態様においては、触媒は、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケートによって安定化及び変性されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、場合によってはアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1〜5%の促進剤によって促進されているシリカ質担体上に担持されている、パラジウムとレニウムを組み合わせた触媒;
(iii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、コバルトによって促進されているパラジウム;
から選択される。
【0049】
一般に、シリカ質担体は、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体を含む安定剤−変性剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤を含み、酸性変性剤の存在は、エタノールと組み合わせた酢酸エチルの製造に有利に働く。
【0050】
本発明の他の形態は、シリカ、約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比は約3:2〜3:2の間であり、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒に関する。
【0051】
本発明の他の態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され;シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1%〜5%の促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;によって促進されている、粒子状水素化触媒に関する。本発明の1つのより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は2〜4%の間であり、存在する白金の量は少なくとも2%であり、促進剤はスズであり、白金とスズとのモル比は2:3〜3:2の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜7%の間である。本発明の他のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比は10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜90%の間である。本発明の第3のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在する白金の量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトと白金との重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。本発明の第4のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。
【0052】
以下において添付の図面を参照して本発明を詳細に記載する。同様の数値は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示す。
【図2】図2は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示す。
【図3】図3A〜3Cは、本発明の触媒の選択率及び生産性の相対的な温度非感受性を、酢酸を225℃において活性化された触媒上で225℃において水素化する際に得られる特性の変動と共に示す。
【図4】図4A〜4Cは、本発明の好ましい白金−スズ触媒における白金とスズとの比の変化に伴う選択率、転化率、及び生産性の変動を示す。
【図5】図5A及び5Bは、高表面積シリカ上に担持されている本発明の最も好ましい触媒のエタノール製造に関する選択率、及びこれを用いて得られる高い生産性を示す。
【図6】図6A及び6Bは、カルシウムメタシリケートによって促進された高表面積シリカをベースとする本発明の最も好ましい触媒を用いて低温において得られる優れた選択率を示す。エタノールに関する選択率は高いことを認めることができる。
【図7】図7A及び7Bは、カルシウムメタシリケートによって促進された高表面積シリカ上をベースとする本発明の最も好ましい触媒を用いて低温において得られる優れた選択率を示す。エタノールに関する選択率は高いことを認めることができる。
【図8】図8は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図9】図9は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図10】図10は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図11】図11は、シリカ上に担持されている白金−コバルトの触媒の性能を示す。
【図12】図12は、シリカ上に担持されている白金−コバルトの触媒の性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
市場の状況は定常的に変動しているが、大規模運転に関しては、酢酸のエタノールへの接触水素化に関して文献において報告されている選択率、活性、及び触媒寿命は、エタノール製造の他の方法と競合するのに必要なものに対して一般的に不利な経済性を与える。商業化のために必要な生産性の1つの目算は、約50%より高いエタノールに関する選択率、並びに触媒1kgあたり1時間あたりに約200gのエタノールの生産性が必要であると結論づけられた。本発明の触媒はかかる要求を遙かに超える。
【0055】
以下の記載においては、ここに開示される全ての数値は、「約」又は「およそ」という語をそれらに関して用いているかどうかにかかわらず、概算の値である。これらは、1%、2%、5%、又は時には10〜20%変動してよい。下限値RL及び上限値RUを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内の任意の数及び任意の部分的範囲が具体的に開示されている。特に、この範囲内の以下の数が具体的に開示されている:R=RL+k×(RU−RL)(ここで、kは、1%の増分の1%〜100%の範囲の変数であり、即ち、kは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。更に、上記に規定する2つのRの数値によって規定される任意の数値範囲も具体的に開示されている。
【0056】
図1及び2は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示し、種々の運転温度においてこれらの触媒を用いて得ることができる大きく向上した選択率及び生産性をグラフで示す。特に、280℃及び296℃において、エタノールに関する選択率は約60%である。これの評価においては、酢酸エチルはまた経済的に相当に重要で価値のある商品であるので、初期の目的はエタノールの製造であるが、酢酸エチルへ転化する全ての酢酸は大きな価値を保持し、一方、副生成物として生産されるアルカンは、一般に供給材料よりも価値が遙かに低いことを思い起こすことが重要である。図1においては、触媒1kgあたり、運転1時間あたりに生産されるエタノールのグラム数での生産性を時間(時)の関数として正方形によって表し、一方、酢酸エチルの生産性を円によって表し、アセトアルデヒドの生産性を菱形によって表す。この実験中において重要なことには、運転温度は示されるように運転中に上昇し、これは生産性及び選択率に対する運転温度の効果を示す。図2においては、以下に規定するエタノールに関する選択率を運転時間の関数として円によって表し、一方、以下に規定する酢酸エチルに関する選択率を正方形によって表し、アセトアルデヒドに関する選択率を菱形によって表す。
【0057】
図3A〜3Cは、金属前駆体を還元する温度に対する本発明の触媒の選択率の相対的な温度不感受性を示す。終始均一な温度を保持するように特別に構成されていない容器内で反応を行う可能性がある(通常はこれらの容器は、反応を抑えるために石英片又は他の不活性粒子で触媒を「希釈」することが通常であるが反応プロセスに伴う温度変化に適合させるための対策が少ししか与えられていないので「断熱反応器」と呼ばれる)ので、この特性は商業化のためには重要である。図3Aは、触媒を℃で示す温度において還元し、その後に水素及び酢酸を250℃においてこの触媒上で水素化する実験の結果を報告する。上の線はエタノールに関するこの特定の触媒の選択率を表し、一方、下の線は酢酸エチルに関する選択率を表す。図3Bにおいては、この実験に関する生産性の結果を示し、上の線はエタノールの生産性を、下の線は酢酸エチルの生産性を報告する。図3Cにおいては、この実験に関する転化率(以下に規定する)の結果を還元温度の関数として表す。更に、酢酸を225℃において還元又は活性化した触媒上で225℃の温度においても水素化した。図3B及び3C上の点はまた、酢酸を225℃において還元した触媒上で225℃において水素化した実験の結果も含む。225℃の温度においてこの触媒上で水素化することによって減少したエタノールへの選択率及び減少した転化率が得られることを認めることができる。
【0058】
図4A〜4Cは、2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片で希釈)を用い、p=200psig(14bar)の運転圧力;それぞれ0.09g/分−HOAc、160sccm/分−H2、及び60sccm/分−N2の酢酸、水素、及び窒素希釈剤の供給速度;6570hr−1の総空間速度:GHSV;における、12時間の反応時間にわたる酢酸の接触水素化における、SiO2−PtxSn(1−x)中のPtのモル分率(Σ[Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)と相関する、本発明の好ましい白金−スズ触媒における白金とスズとの比の変化に伴う選択率、転化率、及び生産性の変動を示す。この実験において、エタノール製造への選択率は、実質的に純粋な高表面積シリカ上に担持されているこれらの触媒に関して約1:1のモル比において最大であることを認めることができる(本明細書全体にわたって、「L」は、1の数字と多くのタイプフェースにおいてローマ字アルファベットの12番目の文字の小文字に関して用いられる記号との類似性又は更には同一性から生じる不明確性を避けるためにリットルに関して用いる)。図4A〜4Cのそれぞれについて、水平軸上のXi(Pt)は0と1の間の範囲の触媒中の白金の質量分率を表し、一方、選択率、転化率、及び生産性は上記のように示され、図4Aはエタノール及び酢酸エチルへの触媒の選択率を表し、エタノールに関する選択率は50%の質量分率においてピークであり、ここでは、図4Bにおいて示すように酢酸の転化率もピークであり、図4Cに示すようにエタノールの生産性も同様である。
【0059】
図5A及びBは、高表面積シリカ上に担持されている本発明の最も好ましい触媒のエタノール製造に関する選択率及び生産性、並びにそれを用いて得られる高い生産性を示す。図5Aにおいては、触媒1kgあたり、運転1時間あたりのグラム数での生産性を縦軸上に示し、ここでは、エタノールに関する生産性は正方形によって表し、酢酸エチルの生産性は円によって表し、アセトアルデヒドの生産性は菱形によって表す。同様に、図5Bにおいては、以下に規定する選択率を運転時間(時)の関数として縦軸上に表し、ここでも酢酸エチルへの選択率は円によって表し、エタノールへの選択率は正方形によって表し、アセトアルデヒドへの選択率は菱形によって表す。
【0060】
図6A及びB並びに図7A及びBは、図5A及びBと同じ形式を用いて、カルシウムメタシリケート促進高表面積シリカをベースとする本発明の好ましい触媒を用いて低温において得られる選択率を示す。エタノールに関する選択率は運転中全体にわたって90%より高いことを認めることができる。
【0061】
図8〜12は、関連する実施例に関連して議論する。
下記において、例示及び例証のみの目的の複数の態様を参照して本発明を詳細に記載する。特許請求の範囲に示す本発明の精神及び範囲内での特定の態様に対する修正は、当業者に容易に明らかであろう。
【0062】
下記においてより具体的に定義しない限りにおいて、ここで用いる用語はその通常の意味で与えられ、「%」などの用語は他に示さない限りにおいて重量パーセントを指す。一般に、担体の組成を議論する場合には、組成におけるパーセントは酸素及びそれに結合しているイオン若しくは金属を包含し、一方、触媒金属の重量を議論する場合には、それに結合している酸素の重量は無視する。而して、95%のシリカ及び5%のアルミナを含む担体においては、この組成は101.94の式量を有するアルミナ及び60.09の式量を有するシリカに基づく。しかしながら、2%の白金及び3%のスズを有するものとして触媒を示す場合には、それに結合している可能性がある酸素の重量は無視する。
【0063】
「転化率」は、供給流中の酢酸を基準とするモルパーセントで表す。
【0064】
【化3】
【0065】
「選択率」は、転化した酢酸を基準とするモルパーセントで表す。例えば、転化率が50モル%で、転化した酢酸の50モル%がエタノールに転化する場合には、エタノール選択率を50%と呼ぶ。エタノール選択率は、ガスクロマトグラフィー(GC)データから下記のようにして計算する。
【0066】
【化4】
【0067】
理論に縛られることは意図しないが、本発明による酢酸のエタノールへの転化は、次の反応の1以上を包含すると考えられる。
酢酸のエタノールへの水素化;
酢酸の酢酸エチルへの水素化;
酢酸エチルのエチレン及び酢酸への分解;
エタノールのエチレンへの脱水。
【0068】
酢酸をエタノールへ接触分解するための選択的触媒は、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、又はカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)場合によっては、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1〜5%の第1の促進剤(促進剤は、好ましくは、これらの促進剤のそれぞれの硝酸塩又は酢酸塩の形態で触媒配合物に加えられる)、特に好ましくはカリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、及び亜鉛によって促進されている、上記に記載のシリカ質担体上に担持されているパラジウムとレニウムを組み合わせた触媒;
(iii)シリカ質担体上のコバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ質担体上のコバルトによって促進されているパラジウム;
からなる群から選択されるものである。
【0069】
本発明方法は、当業者が容易に認めることができるように、固定床反応器又は流動床反応器を用いて種々の構成で実施することができる。本発明の多くの態様においては、「断熱」反応器を用いることがき、即ち、熱を加えるか又は除去するために反応区域を通る内部配管を用いる必要性は少しかないか又は全くない。或いは、熱伝達媒体を備えたシェルアンドチューブ反応器を用いることができる。多くの場合においては、反応区域は、単一の容器内か、或いはその間に熱交換を有する一連の複数の容器内に収容することができる。断熱反応器の構成は通常はチューブアンドシェルの構成よりもはるかに設備コストが少ないので、本発明の触媒を用いる酢酸還元プロセスを断熱反応器内で行うことができることは重要であると考えられる。
【0070】
当該技術において公知の種々の触媒担体を用いて、酢酸水素化触媒を担持することができる。かかる担体の例としては、限定なしに、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、グラファイト、及びこれらの混合物が挙げられる。シリカ、カルシウムメタシリケート、及びケイ酸カルシウムによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体を本発明のために用いることが好ましく、少なくとも99.7%のSiO2含量を有する焼成シリカは、固定床反応器において用いるのに十分に高密度の形態にペレット化すると特に望ましい。本発明者らは、場合によってカルシウムメタシリケートによって促進されている高純度の高表面積シリカ、特にSaint-Gobain NorProからのグレードHSA SS61138は、予期しなかったことに、本発明の触媒のための他の担体よりも優れていることを見出した。本発明において担体として用いるシリカは、少なくとも100m2/g、より好ましくは少なくとも150m2/g、より好ましくは少なくとも200m2/g、最も好ましくは約250m2/gの表面積を有することが好ましい。本明細書全体にわたって、「高表面積シリカ」という用語は、少なくとも250m2/gの表面積を有するシリカを意味すると理解すべきである。シリカ質担体の活性/安定性は、下記に記載するように少量の他の成分を含ませることによって変化させることができる。ペレット、押出物、球状体、噴霧乾燥形、環状、ペンタリング形、三つ葉形、及び四つ葉形などの任意の好都合な粒子形状を用いることができるが、本出願に関しては、一般に円筒形のペレットを用いることが好ましい。
【0071】
触媒担体の影響:
金属前駆体(即ち、ハロゲン:Cl−とハロゲンを含まないNO3−)及び製造条件の選択に加えて、得られる金属−担体相互作用は、下層の担体の構造及び特性に強く依存する。
【0072】
塩基性及び酸性の変性剤の効果を、種々のシリカ担持Pt−Sn材料に関して研究した。全ての材料に関してPtとSnとの間のモル比を1:1に保持し、全金属装填量も他に示さない限りにおいて一定に保持した。特に、SiO2、SiO2−TiO2、KA160(即ちSiO2−Al2O3)、及びH-ZSM5のような酸性担体上で製造された触媒は、酢酸の高い転化率を与えるが、エタノールへの選択率はより低い。興味深いことに、H-ZSM5触媒は、実際には、おそらくはエタノールからの脱水によって形成されるジエチルエーテルを主生成物として生成する。SiO2−TiO2及びKA160(即ちSiO2−Al2O3)をベースとする触媒は両方とも、高い転化率並びにEtOH及びEtOAcに関する同等の選択率を与え、いずれの場合においてもEtOAcが主生成物である。下層の触媒担体中にルイス酸性度が存在することは酢酸のより高い転化率のために有益である可能性があることが明らかである。SiO2−TiO2における酸性度は主としてルイス酸性度に基づくが、KA160(シリカ−アルミナ)材料は、残留酢酸及びEtOHからのEtOAcの形成を触媒することができる強酸性ブレンステッド部位も有する。H-ZSM5をベースとする触媒は、更に強酸性のゼオライトブレンステッド部位を有し、小孔による形状選択性もまた、エタノール脱水によるジエチルエーテルの酸触媒形成に寄与する可能性がある。研究されている任意の担体に塩基性変性剤を加えると、概して、酢酸転化率が大きく減少すると共に、エタノールへの選択率が増大した。92%のエタノールに関する最も高い選択率は、表Aの2番目のSiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して見られ、CaSiO3によって促進された純粋なTiO2も約20%の選択率でエタノールを生成した。SiO2−TiO2とTiO2−CaSiO3との間を比較することによって、酸性(ルイス)部位の部位密度も重要である可能性があり、触媒担体の酸性特性の更なる最適化は、おそらくは、塩基性及び酸性の促進剤を特定の製造方法と組合せて注意深く変化させることによって達成することができることが示唆される。
【0073】
【表1】
【0074】
KA160(SiO2−5%Al2O3)とKA160−CaSiO3促進触媒とを比較すると、エタノールへの選択率における大きなシフトが観察された。84%においては、この触媒による選択率はSiO2−CaSiO3ベースの材料に関して観察されるものよりもなお低いが、酢酸の転化率は、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して見られるもののほぼ倍である43%で維持される。表Aの2番目、6番目、及び7番目を参照。「酸性変性剤」特性に加えて、全てのCaSiO3で促進された材料は向上した長期間安定性を示す(より低い転化率ではあるが)ことが明らかである。具体的には、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)触媒は、種々の反応条件下において、220時間より長い反応時間にわたって10%未満の活性の低下を示した。また、SiO2及びSiO2−CaSiO3上で製造された2種類のRe−Pd触媒は、選択率に関して同様の傾向を示す。いずれの材料に関しても転化率は10%より低く保持されたが、CaSiO3促進材料に関してエタノールへの選択率における大きなシフトが観察された(表Aの9番目及び10番目)。生産性に関する更なる情報を表4に与える。
【0075】
したがって、理論には縛られないが、その表面上に存在する酸部位を中和する効果;又は表面を熱的に安定化する効果;のいずれかを有する非揮発性安定剤−変性剤を導入することにより酢酸水素化触媒のための酸化物担体を変性及び安定化することによって、エタノールへの選択率、長い触媒寿命、又は両方の所望の向上を達成することが可能になる。一般に、それらの最も安定な原子価状態の酸化物をベースとする変性剤は低い蒸気圧を有し、したがってどちらかというと非揮発性である。したがって、酸化物担体上の第VIII族金属(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、及びOs)又は他の遷移金属(特に、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW)をベースとする水素化触媒は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか、酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか、又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、イットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の塩基性非揮発性安定剤−変性剤を、担体の表面上又は担体それ自体の中へ含むことが好ましい。
【0076】
担体上の金属装填量は本発明においては非常に重要というわけではなく、約0.3重量%〜約10重量%の範囲で変化させることができる。触媒の重量を基準として約0.5重量%〜約6重量%の金属装填量が特に好ましい。極端に高価なために、白金族金属は通常はどちらかというと注意深く制御された量、しばしば全触媒組成物の10重量%未満で用いられる。0.25〜5%のような少量の白金をここで記載する他の触媒元素と組み合わせると、優れた選択率、寿命、及び活性を与えることができる。通常は、本発明の白金含有触媒においては、0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の白金を用いることが好ましい。白金−スズ触媒の場合においては、0.10〜5%のスズ、より好ましくは0.25〜3%のスズ、更により好ましくは0.5〜2.5%のスズ、最も好ましくは高表面積シリカ/カルシウムメタシリケート上に担持される場合には白金とスズとの1:1のモル比に多少近接して対応する約3%の白金及び約1.5%のスズの組合せ、或いはより低い重量%の白金に基づくより少ない相応の量を用いることが好ましい。この触媒に関しては、上記に記載の高純度高表面積シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカからなる群から選択されるシリカ質担体を用いることが好ましい。したがって、カルシウムメタシリケートの量は0〜100重量%の範囲で広範囲に変化させることができることを認めることができる。カルシウムメタシリケートはより低い表面積を有する傾向があるので、この触媒に関する我々の担体において少なくとも約10%の高表面積シリカを含ませることが好ましく、より好ましくは、我々の担体として、約95%の高表面積シリカである、250m2/gの表面積;12nmの中央孔径;水銀侵入ポロシメトリーによって測定して1.0cm3/gの全孔容積;及び約22lbs/ft3の充填密度;を有するSaint-Gobain NorProからのSS61138高表面積(HSA)シリカ触媒担体を用いることが好ましい。
【0077】
自動車用触媒及びディーゼル煤煙捕捉装置と同様のモノリシック担体上の洗浄被覆内に含侵するのではなく、我々の触媒は任意の種々の形状を有する時にはビーズ又はペレットとも呼ばれる粒子に成形し、多数のこれらの成形触媒を反応器内に配置することによって触媒金属を反応区域に供給するという意味では、本発明の触媒は粒子状触媒である。通常見られる形状としては、押出物の表面を画定する生成元が平行線であるという意味で一般的な円筒の形態をとる任意断面の押出物が挙げられる。球状体、噴霧乾燥微小球体、環、ペンタリング形、及び多葉形状が全て使用可能である。通常は、形状は、蒸気相を触媒試薬と有効に接触させる認められる能力に基づいて実験的に選択される。
【0078】
非常に好適な白金−スズ触媒は、約0.5%〜7.5%のカルシウムメタシリケートによって促進されている約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ上に担持されている約3重量%の白金、1.5重量%のスズを含む。本発明者らは、既に、この組成物を用いて280℃において、100時間の運転時間の触媒寿命を達成した。多くの場合において、上記記載の組成物において白金をパラジウムで部分的に置き換えることが可能である。
【0079】
前のパラグラフにおいて記載されているものと同様であるが、どちらかというと多量のコバルトによって促進されているより少ない量の非常のコスト高の白金を含む触媒は、良好な初期触媒活性を与えるが、上記記載の白金−スズ触媒と同等の長い触媒寿命を示さない傾向がある。この触媒のためのシリカ質担体に関する優先順位は、白金−スズ触媒のためのものと実質的に同一である。この種の好ましい触媒は、0.25〜5%の白金、より好ましくは0.3〜3%の白金、最も好ましくは0.5〜1.5%の白金を、約1%〜約20%のコバルト、より好ましくは約2%〜約15%のコバルト、より好ましくは約8〜12%のコバルトと組み合わせて含む。これらの触媒は上記に記載の白金−スズ触媒ほどは耐久性ではないが、多くの場合においては、これは、大きく減少した白金の必要量、白金族金属と比べてより低いコバルトのコスト、及び優れた初期選択率によって大きく相殺される。勿論、多くの場合においては、流れを適当に再生利用するか、又はより大きな反応器を用いることによって活性の欠如を補償することが可能であるが、劣った選択率を補償することはより困難であることがよく理解されている。
【0080】
レニウム又はコバルトによって促進されているパラジウムをベースとする触媒は、優れた触媒活性を多少低い選択率と共に与え、この選択率の損失は280℃より高い反応温度において更に悪化して、増加した量のアセトアルデヒド、二酸化炭素、及び更には炭化水素の形成を引き起こす。コバルト含有触媒は、通常は、対応するレニウム触媒よりも僅かに良好な選択率を示す。しかしながら、両方とも驚くほど長寿命の触媒活性を与えるが、両方とも、カルシウムメタシリケートによって安定化及び変性されている高純度アルミナ上の最も好ましい白金/スズ触媒のものと同じ程度に極めて優れた触媒寿命は与えない。ここでも、この触媒は、上記に記載の第I族、第II族、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにそれらに関する前駆体、並びにこれらの混合物によって安定化及び変性されているシリカ質担体上に担持させることができる。非常に好適な前駆体としては、亜鉛、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の酢酸塩及び硝酸塩が挙げられ、これらは場合によっては、酢酸塩及び/又は硝酸塩部分を除く金属の重量を基準として約1〜5%の量でシリカ質担体中に含ませることができる。
【0081】
本発明の他の態様においては、酸化還元活性変性剤、酸性変性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される変性剤をシリカ質担体中に導入し、それによってエタノール、酢酸エチル、及びアセトアルデヒドの間の相対的な選択率を変化させることによって、上記に記載の触媒を変性することができる。好適な酸化還元活性変性剤としては、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3が挙げられ、一方、酸性変性剤としては、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3が挙げられる。これらの変性剤をシリカ質担体中に慎重に導入することによって、触媒の活性を調整して、市場における変動及び種々の生成物に関する需要に合致した接触水素化の生成物の相対的な量のより望ましい分配を生成させることができる。通常は、これらの材料は、シリカ質担体中にその約1〜50重量%の範囲の量で含まれる。
【0082】
金属の含侵は、当該技術において公知の任意の方法を用いて行うことができる。通常は、含侵の前に、担体を120℃において乾燥し、約0.2〜0.4mmの範囲の寸法分布を有する粒子に成形する。場合によっては、担体をプレスし、粉砕し、所望の寸法分布に篩別することができる。担体材料を所望の寸法分布に成形する任意の公知の方法を用いることができる。触媒を製造する好ましい方法においては、白金族金属の好適な化合物及び/又は錯体のような白金族金属成分を用いて、担体、例えば担体粒子上での触媒成分の分散を達成することができる。白金族金属の水溶性化合物又は水分散性化合物或いは錯体を用いて、触媒金属化合物を担体粒子上に含侵又は堆積させることができる。白金族金属成分は、加熱するか及び/又は真空を施すことによって分解する。幾つかの場合においては、触媒を使用状態に配置し、運転中に遭遇する高温にかけるまでは、液体の除去の完了は起こらない。一般に、経済的な見地及び環境的な見地の両方から、白金族金属の可溶性化合物の水溶液が好ましい。例えば、好適な化合物は、クロロ白金酸、アミン可溶化水酸化白金、硝酸パラジウム又は塩化パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、塩化ナトリウム白金などであるが、エタノールが所望の生成物である場合にはハロゲンの使用を避けることが好ましい。か焼工程中か又は少なくとも触媒の初期使用段階中においては、かかる化合物は、白金族金属の触媒活性形態又はその触媒活性酸化物に転化する。しかしながら、一般的には、本発明者らはPt(NH3)4(NO4)2から製造される触媒は増加したエタノールへの選択率を示すと思われることを見出したので、塩化物を含まない白金族金属前駆体を用いることが好ましい。
【0083】
本発明の触媒が二元金属である限りにおいては、かかる場合には1つの金属は促進剤金属として機能し、他の金属は主金属であると一般的に考えられる。例えば、白金−スズ触媒の場合には、白金は本発明の水素化触媒を製造するための主金属と考えることができ、一方、スズは促進剤金属と考えられる。しかしながら、時には、特に所望の生成物であるエタノールに関する白金−スズ触媒の選択率が、スズの不存在下及び白金の不存在下の両方において0に近接する場合には、かかる区別は当てにならない可能性があることに注意すべきである。便宜上の理由により、1種類又は複数の白金族金属を主要触媒、他の金属を促進剤と呼ぶことが好ましい。これは、触媒活性の基本的なメカニズムを示すものと捉えるべきではない。
【0084】
2元金属触媒はしばしば2工程で含侵させる。まず「促進剤」金属を、次に「主」金属を加える。それぞれの含侵工程の後に乾燥及びか焼を行う。2元金属触媒はまた、共含侵によって製造することもできる。上記に記載のような促進2元金属触媒の場合には、「促進剤」金属の添加で開始し、次に2種類の主金属、即ちPt及びSnの共含侵を伴う第2の含侵工程を行う逐次含侵を用いることができる。例えば、SiO2上のPtSn/CaSiO3は、まずSiO2上にCaSiO3を含侵させ、次にクロロ白金酸、アミン可溶化水酸化白金、硝酸パラジウム又は塩化パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、塩化ナトリウム白金、Pt(NH3)4(NO4)2などの希釈混合物を共含侵させることによって製造することができる。ここでも、それぞれの含侵の後に乾燥及びか焼を行う。殆どの場合においては、含侵は金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、か焼によって金属イオンを放出する種々の他の可溶性塩を用いることもできる。含侵のために好適な他の金属塩の例としては、過レニウム酸溶液、金属シュウ酸塩などのような金属酸が挙げられる。実質的に純粋なエタノールを製造する場合には、白金族金属に関するハロゲン化前駆体の使用を避け、その代わりに窒素を含有するアミン及び/又は硝酸塩ベースの前駆体を用いることが一般的に好ましい。
【0085】
反応は、広範囲の条件下において蒸気状態で行うことができる。好ましくは、反応は蒸気相中で行う。例えば約125℃〜約350℃、より通常的には約200℃〜約325℃、好ましくは約225℃〜約300℃、最も好ましくは約250℃〜300℃の範囲の反応温度を用いることができる。圧力は一般に反応に対して重要ではなく、大気圧以下、大気圧、又は大気圧以上の圧力を用いることができる。しかしながら、殆どの場合においては、反応圧は約1〜30絶対気圧の範囲である。本発明方法の他の形態においては、水素化は、通常は選択される総毎時空間速度(GHSV)において触媒床を横切る圧力降下を克服するのに丁度十分な圧力において行うことができるが、より高い圧力の使用することに対する制約はなく、5000hr−1及び6,500hr−1の空間速度においては反応器床を通る相当な圧力降下に遭遇する可能性があり、これは本発明の触媒と共に容易に使用できると理解される。
【0086】
反応は、1モルのエタノールを製造するために酢酸1モルあたり2モルの水素を消費するが、供給流中の水素と酢酸との実際のモル比は広範囲の限界値の間、例えば約100:1〜1:100の間で変化させることができる。しかしながら、この比は約1:20〜1:2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、水素と酢酸とのモル比は約5:1である。
【0087】
本発明方法に関連して用いる原材料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマスなどをはじめとする任意の好適な源から誘導することができる。メタノールカルボニル化、アセトアルデヒドの酸化、エチレンの酸化、酸化発酵、及び嫌気発酵などによって酢酸を製造することは周知である。石油及び天然ガスは変動してより高価か又はより安価になるので、代替の炭素源から酢酸並びにメタノール及び一酸化炭素のような中間体を製造する方法に益々興味が持たれている。特に、石油が天然ガスと比べて比較的高価である場合には、任意の好適な炭素源から誘導される合成ガス(シンガス)から酢酸を製造することが有利になる可能性がある。例えば、Vidalinの米国特許6,232,352(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)においては、酢酸を製造するためにメタノールプラントを改造する方法が教示されている。メタノールプラントを改造することによって、新しい酢酸プラントのためのCO製造に関連する大きな設備コストが大きく減少するか又は大きく排除される。シンガスの全部又は一部をメタノール合成ループから迂回させ、分離器ユニットに供給してCO及び水素を回収し、これを次に酢酸を製造するために用いる。酢酸に加えて、このプロセスを用いて本発明に関して用いられる水素を製造することもできる。
【0088】
Steinbergらの米国特許RE35,377(これも参照として本明細書中に包含する)においては、石油、石炭、天然ガス、及びバイオマス材料のような炭素質材料を転化させることによってメタノールを製造する方法が与えられている。このプロセスは、固体及び/又は液体の炭素質材料を水素添加ガス化してプロセスガスを得て、これを追加の天然ガスで蒸気熱分解して合成ガスを形成することを含む。シンガスをメタノールに転化させ、これを酢酸にカルボニル化することができる。この方法では更に、上述のように本発明に関して用いることができる水素が生成する。Gradyらの米国特許5,821,111(ガス化によって廃バイオマスを合成ガスに転化させる方法が開示されている)、及びKindigらの米国特許6,685,754(これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)も参照。
【0089】
酢酸は、反応温度において気化させて、次に、非希釈状態か、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などのような比較的不活性のキャリアガスで希釈した状態で、水素と一緒に供給することができる。
【0090】
或いは、Scatesらの米国特許6,657,078(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている種類のメタノールカルボニル化ユニットのフラッシュ容器からの粗生成物として、蒸気形態の酢酸を直接回収することができる。粗蒸気生成物は、酢酸及び軽質留分を凝縮するか又は水を除去する必要なしに本発明の反応区域に直接供給することができ、これによって全体の処理コストが節約される。
【0091】
接触又は滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度、及び圧力のような変数によって広範囲に変化させることができる。通常の接触時間は、固定床以外の触媒系を用いる場合には1秒以下乃至数時間超の範囲であり、好ましい接触時間は、少なくとも蒸気相反応に関しては約0.5〜100秒の間である。
【0092】
通常は、触媒は、例えば、通常は蒸気形態の反応物質が触媒の上又は触媒を通して通過する細長いパイプ又はチューブの形状の固定床反応器内で用いる。所望の場合には、流動床又は沸騰床反応器のような他の反応器を用いることができる。幾つかの場合においては、水素化触媒をガラスウールのような不活性材料と組み合わせて用いて、触媒床を通る反応物質流の圧力降下、及び反応物質化合物と触媒粒子との接触時間を調節することができる。
【0093】
以下の実施例は、本発明方法において用いる種々の触媒を製造するために用いる手順を記載する。これらの製造例及び実施例の全体にわたって、「L」を用いる場合には、これは、多くのフォント及び/又はタイプフェースにおいて固有の小文字「l」、数字「1」、及び大文字「I」の間の不確実さを避けるために用いるものであり、用語の意味は共通の用法から生じるので、それに関する国際的な制約はないが「リットル」と示すと理解すべきである。
【実施例】
【0094】
触媒の製造(基本手順)
触媒担体は、使用前に循環空気下において120℃で一晩乾燥した。全ての市販の担体(即ち、SiO2、ZrO2)は、他に言及していない限りにおいて、14/30メッシュとしてか又はその元々の形状(1/16インチ又は1/8インチのペレット)で用いた。金属を加えた後に、粉末材料(即ちCaSiO3)をペレット化し、粉砕し、篩別した。以下のセクションにおいて、個々の触媒の製造を詳細に記載する。
【0095】
触媒製造例A
高純度低表面積シリカ上の0.5重量%白金及び5重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカNPSG SS61138(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(8mL)中の硝酸白金(Chempur)(0.82g)の溶液、及び希硝酸(1N、43.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0096】
触媒製造例B
高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を用いた他は、触媒製造例Aの手順を実質的に繰り返した。
【0097】
触媒製造例C
カルシウムメタシリケート上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を用い、触媒担体としてカルシウムメタシリケートを用いた他は、触媒製造例Bの手順を実質的に繰り返した。
【0098】
触媒製造例D
高表面積シリカ上の0.5重量%白金、0.5重量%スズ、及び0.2重量%コバルトの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカ(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(8mL)中の硝酸白金(Chempur)(0.82g)の溶液、及び希硝酸(1N、4.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(0.87g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。このか焼し冷却した材料に、蒸留水(2mL)中の硝酸コバルト6水和物(0.99g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0099】
触媒製造例E
高純度低表面積シリカ上の0.5重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0100】
触媒製造例F
高表面積シリカ上の2重量%白金及び2重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカNPSG SS61138(100g)を、循環空気オーブン雰囲気中120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに硝酸塩6水和物(Chempur)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥し、次にか焼した。これに、蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0101】
触媒製造例G
5%のZnOによって促進された高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
触媒製造例Fに記載の高表面積シリカに硝酸亜鉛6水和物の溶液を加えた他は、触媒製造例Fの手順を実質的に繰り返した。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥し、次にか焼した。その後、蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を、亜鉛によって促進された高表面積シリカに加えた。
【0102】
触媒製造例H
5%のSnO2によって促進された高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%亜鉛の製造:
硝酸亜鉛6水和物に代えて酢酸スズ(Sn(OAc)2)の溶液、及び蒸留水中の硝酸白金:Pt(NH3)4(NO3)2(Aldrich)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を高表面積シリカに加えた他は、触媒製造例Gの手順を実質的に繰り返した。
【0103】
触媒製造例I
カルシウムメタシリケート上の1.5重量%白金、0.5重量%スズの製造:
蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を用いた他は、上記の触媒製造例Cの手順を繰り返した。
【0104】
触媒製造例J
高表面積シリカ上の1.5重量%白金、10重量%コバルトの製造:
蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及びオクタン酸第一スズに代えて硝酸コバルト(II)6水和物(1.74g)の溶液を用いて、上記の触媒製造例Hの手順を繰り返した。
製造した触媒の組成、及び同様の手順によって製造し、試験した他の触媒の組成の概要を表1に示す。
【0105】
触媒製造例K〜O
SiO2−PtxSn1−x(0<x<1):1.20ミリモルの全金属量(Pt+Sn)を維持しながら、Ptのモル分率を変化させて5種類の材料を調製した。次の製造例は、触媒製造例K:SiO2−Pt0.5Sn0.5(即ち、x=0.5;両方の金属が等モル比)に関する手順を記載する。残りの製造例(即ち、x=0、0.25、0.75、及び1.00;それぞれ、触媒製造例L、M、N、及びO)は、適当な量の金属前駆体:Pt(NH3)4(NO3)2及びSn(OAc)2を用いて同様に行った。触媒は、まずSn(OAc)2(酢酸スズ、AldrichからのSn(OAc)2)(0.1421g、0.60ミリモル)を、6.75mLの1:1希釈氷酢酸(Fisher)を含むガラスビンに加えることによって調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2323g(0.60ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2(Aldrich)を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥SiO2触媒担体(高純度シリカ触媒担体:HSA SS#61138、SA=250m2/g;SZ#61152、SA=156m2/g;Saint-Gobain NorPro)に滴加した。金属溶液を全て加えた後、全てのPt/Sn混合物がSiO2触媒担体に付加されるまで、フラスコを回転させながら金属溶液を連続的に撹拌した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。次に、フラスコをロータリーエバポレーター(浴温80℃)に取り付け、フラスコをゆっくりと回転させながら乾燥するまで排水した。次に、材料を120℃において更に一晩乾燥した後、次の温度プログラム:25℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持:を用いてか焼した。収量:5.2gの暗灰色の物質。
【0106】
触媒製造例P
SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):この材料は、まずCaSiO3(Aldrich)をSiO2触媒担体に加え、次に上記に記載のようにしてPt/Snを加えることによって調製した。まず、0.52gの固体を13mLの脱イオンH2Oに加え、次に1.0mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて10.0gのSiO2触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、SiO2−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:11.21gの暗灰色の物質。
【0107】
触媒製造例Q
CaSiO3−Pt(1)−Sn(1):テフロンコート磁気撹拌子を含む100mLの丸底フラスコに、40mLの1.0M−NHO3を加え、次に0.2025g(0.52ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。Pt錯体を撹拌しながら溶解し、次に0.2052g(0.87ミリモル)の固体のSn(OAc)2を加えた。次に、10.0gのCaSiO3(≦200メッシュ)を撹拌しながら加え、次に混合物を80℃に加熱し、この温度において2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて懸濁液を排水乾固させ、固体を磁器製の皿中に移し、循環空気下120℃において一晩乾燥した。か焼(25℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持)の後、材料をプレスし、加圧下でペレット化し(我々の特定のプレスは、40,000ポンドの力を15分間加える)、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:9.98gの小麦色の物質。
【0108】
触媒製造例R
SiO2−TiO2(10)−Pt(3)−Sn(1.8):以下のようにしてTiO2変性シリカ担体を調製した。2−プロパノール(14mL)中の4.15g(14.6ミリモル)のTi{OCH(CH3)2}4の溶液を、100mLの丸底フラスコ内において、10.0gのSiO2触媒担体(1/16インチの押出物)に滴加した。フラスコを室温において2時間放置し、次にロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて排水乾固させた。次に、20mLの脱イオンH2Oをフラスコにゆっくりと加え、材料を15分間放置した。次に、得られた水/2−プロパノールを濾過によって除去し、H2Oの添加を更に2回繰り返した。最終的な材料を、循環空気下120℃において一晩乾燥し、次に500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、SiO2−TiO2材料の全部を用いた。収量:11.98gの暗灰色の1/16インチの押出物。
【0109】
触媒製造例S
SiO2−WO3(10)−Pt(3)−Sn(1.8):以下のようにしてWO3変性シリカ担体を調製した。脱イオンH2O(14mL)中の1.24g(0.42ミリモル)の(NH4)6H2W12O40・nH2O(AMT)の溶液を、100mLの丸底フラスコ内において、10.0gのSiO2:NPSGSS 61138触媒担体(SA=250m2/g、1/16インチの押出物)に滴加した。フラスコを室温において2時間放置し、次にロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて排水乾固させた。得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥し、次に500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、(明黄色の)SiO2−WO3材料の全部を用いた。収量:12.10gの暗灰色の1/16インチの押出物。
【0110】
触媒製造例T
(H−ZSM−5)−Pt(3)−Sn(1.8):H−ZSM−5(空気下550℃において8時間か焼することによってNH4−ZSM−5から調製した)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの1:1希酢酸に加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末H−ZSM−5を撹拌しながら溶液に加え、混合物を室温において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。か焼(250℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持)の後、材料をプレスし、ペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:9.55gの灰色の物質。
【0111】
触媒製造例U
SiO2−RexPd1−x(0<x<1):1.20ミリモルの全金属量(Re+Pd)を維持しながら、Reのモル分率を変化させて5種類の材料を調製した。次の製造例は、SiO2−Re0.5Pd0.5(即ち、x=0.5;両方の金属が等モル量)に関する手順を記載する。残りの製造例(即ち、x=0、0.25、0.75、及び1.00)は、適当な量の金属前駆体:NH4ReO4及びPd(NO3)2を用いて同様に行った。まず、6.75mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、NH4ReO4(0.1609g、0.60ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.1154g(0.60ミリモル)の固体のPd(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥SiO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。次に、フラスコをロータリーエバポレーター(浴温80℃)に取り付け、排水乾固させた。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:5.1gの褐色の物質。
【0112】
触媒製造例V
SiO2−CaSiO3(5)−Re(4.5)−Pd(1):SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して記載したようにして、SiO2−CaSiO3(5)変性触媒担体を調製した(上記参照)。次に、SiO2−CaSiO3(5)(1/16インチ押出物)に、NH4ReO4及びPd(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって、Re/Pd触媒を調製した。まず、12.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、NH4ReO4(0.7237g、2.70ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.1756g(0.76ミリモル)の固体のPd(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥SiO2−(0.05)CaSiO3触媒担体に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−RexPd1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:10.9gの褐色の物質。
【0113】
触媒製造例W
CaSiO3−Re(5)−Pd(2.5):CaSiO3(粉末、≦200メッシュ)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの脱イオンH2Oに加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、0.6169g(2.30ミリモル)のNH4ReO4及び0.5847g(2.53ミリモル)のPd(NO3)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末CaSiO3を撹拌しながら溶液に加え、混合物を室温において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−RexPd1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。最終材料をプレスし、40,000ポンドの力を15分間加えるプレスを用いてペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:10.65gの褐色の物質。
【0114】
触媒製造例X
SiO2−Co(10)−Pt(1):HSA−SiO2(14/30メッシュ)に、Co(NO3)2・H2O及びPt(NH3)4(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって材料を調製した。まず、12.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、Co(NO3)2・6H2O(5.56g、19.1ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2255g(0.58ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥SiO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:11.35gの黒色の物質。
【0115】
触媒製造例Y
CaSiO3−Co(10)−Pt(1):CaSiO3(粉末、≦200メッシュ)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの脱イオンH2Oに加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、5.56g(19.1ミリモル)のCo(NO3)2・6H2O及び0.2255g(0.58ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末CaSiO3を撹拌しながら溶液に加えた。次に、混合物を65℃に加熱し、この温度において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−Co(10)−Pt(1)材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。最終材料をプレスし、加圧下でペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:10.65gの黒色の物質。
【0116】
触媒製造例Z
ZrO2−Co(10)−Pt(1):ZrO2(SZ61152、Saint-Gobain NorPro、14/30メッシュ)に、Co(NO3)2・6H2O及びPt(NH3)4(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって材料を調製した。まず、5.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、Co(NO3)2・6H2O(5.56g、19.1ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2255g(0.58ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥ZrO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−Co(10)−Pt(1)材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:11.35gの黒色の物質。
【0117】
触媒製造例AA
SiO2−CaSiO3(2.5)−Pt(1.5)−Sn(0.9):
0.26gのCaSiO3、0.5mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)、0.3355g(0.86ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2、及び0.2052g(0.86ミリモル)のSn(OAc)2を用いて、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して上記に記載したようにして材料を調製した。収量:10.90gの暗灰色の物質。
【0118】
触媒製造例BB
TiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):
まずCaSiO3をTiO2触媒(Anatase、14/30メッシュ)担体に加え、次に上記のようにしてPt/Snを加えることによって材料を調製した。まず、0.52gの固体を7.0mLの脱イオンH2Oに加え、次に1.0mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて10.0gのTiO2触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、TiO2−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:11.5gの明灰色の物質。
【0119】
触媒製造例CC
KA160−Pt(3)−Sn(1.8):
SiO2−PtxSn1−xに関して上記したようにしてKA160触媒担体(SiO2−(0.05)Al2O3、Sud Chemie、14/30メッシュ)の初期湿潤含侵によって材料を調製した(上記参照)。まず、Sn(OAc)2(0.2040g、0.86ミリモル)を、4.75mLの1:1希釈氷酢酸を含むガラスビンに加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.3350g(0.86ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥KA160触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−xに関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:5.23gの小麦色の物質。
【0120】
触媒製造例DD
KA160−CaSiO3(8)−Pt(3)−Sn(1.8):
まずCaSiO3をKA160触媒担体に加え、次にKA160−Pt(3)−Sn(1.8)に関して上記に記載のようにしてPt/Snを加えることによって材料を調製した。まず、0.42gの固体を3.85mLの脱イオンH2Oに加え、次に0.8mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて5.0gのKA160触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.3350g(0.86ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.2040g(0.86ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、KA160−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:5.19gの小麦色の物質。
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
オンラインGCによって生成物の分析を行った。1つの炎イオン化検出器(FID)及び2つの熱伝導検出器(TCD)を備える3チャンネル小型GCを用いて、反応物質及び生成物を分析した。
【0124】
フロントチャンネルには、FID及びCP-Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)を取り付け、これを用いて、アセトアルデヒド;エタノール;アセトン;酢酸メチル;酢酸ビニル;酢酸エチル;酢酸;エチレングリコールジアセテート;エチレングリコール;エチリデンジアセテート;及びパラアルデヒド;を定量した。
【0125】
ミドルチャンネルには、TCD及びPorabond Qカラムを取り付け、これを用いて、CO2;エチレン;及びエタン;を定量した。
バックチャンネルには、TCD及びMolsieve 5Aカラムを取り付け、これを用いて、 ヘリウム;水素;窒素;メタン;及び一酸化炭素;を定量した。
【0126】
反応の前に、個々の化合物をスパイクすることによって異なる成分の保持時間を求め、公知の組成の較正用ガス又は公知の組成の液体溶液のいずれかを用いてGCを較正した。これによって、種々の成分に関する応答係数を求めることができた。
【0127】
実施例1
30mmの内径を有し、制御された温度に昇温することができるステンレススチール製の管状反応器内に、上記の触媒製造例Cに記載のようにして製造した50mLの触媒を配置した。充填後の合計の触媒床の長さは約70mmであった。
【0128】
供給液は、実質的に酢酸を含んでいた。反応供給液を蒸発させ、水素及びキャリアガスとしてヘリウムと共に、2500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)を用い、250℃の温度及び100psigの圧力で反応器に充填した。供給流は、約6.1%〜約7.3%のモル%の酢酸、及び約54.3%〜約61.5%のモル%の水素を含んでいた。流出流の内容物の分析のために、反応器からの蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。85%の酢酸の転化率において、エタノールへの選択率は93.4%であった。
【0129】
用いた触媒は、触媒製造例Aの手順にしたがって製造したシリカ上の1重量%の白金及び1重量%のスズであった。
実施例2
用いた触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造したケイ酸カルシウム上の1重量%の白金及び1重量%のスズであった。
【0130】
2,500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用い、250℃の温度及び22barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は70%より大きく、エタノール選択率は99%であった。
【0131】
比較例1
用いた触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造した低表面積高純度シリカ上の1重量%のスズであった。
【0132】
2,500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用い、250℃の温度及び22barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は10%未満であり、エタノール選択率は1%未満であった。
【0133】
実施例3
種々の触媒を用い、生成物中の一酸化炭素(CO)、アセトアルデヒド(AcH)、及びエタンのパーセント、並びに酢酸エチル(EtOAc);エタノール(EtOH)への選択率及びその生産性、並びに酢酸(HOAc)の転化率(MCD p.4)を示す表2に示す温度において、実施例2の手順を繰り返した。反応中にわたって、H2と酢酸とのモル比を5:1に保持した。便宜上のために、実施例1及び2並びに比較例1の結果も表2に含ませる。一般的に言えば、主生成物としてエタノールを製造することが所望の場合には、80%程度より高いエタノールへの選択率が望ましく、5%未満、好ましくは3%未満の酢酸エチルへの選択率が望ましい。
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
実施例4
約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ(NPSG SS61138)上の2重量%Pt;及び2重量%Sn;を含む本発明の水素化触媒上に、気化酢酸及び水素を、約160sccm/分−H2:0.09g/分−HOAcの水素と酢酸との比で、水素は約60sccm/分のN2で希釈して、約6570hr−1の空間速度及び200psigの圧力で通過させた。図1及び2に示すように、約50時間、70時間、及び90時間において温度を上昇させた。ここでは、触媒1kgあたり1時間あたりの示された生成物(エタノール、アセトアルデヒド、及び酢酸エチル)の生産性(g)を図1に示し、種々の生成物に関する触媒の選択率を図2に示し、上の線は酢酸エチルの生産性又はそれへの選択率を示し、中央の線はエタノールを示し、下の線はアセトアルデヒドを示す。アセトアルデヒドの生産性及びそれに関する選択率は低かったことは特に重要であると考えられる。結果を下記のデータの概要において要約する。
【0138】
【表7】
【0139】
実施例5
Saint-Gobain NorProからの高表面積シリカSS61138のペレットを含む触媒上に2重量%Pt;2重量%Snが担持されている触媒を用い、2500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸、水素、及びヘリウムの供給流を用い、表2に示す指示温度及び100psigの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。得られた供給流は、約7.3%のモル%の酢酸、及び約54.3%のモル%の水素を含んでいた。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。結果を表1に示す。
【0140】
【表8】
【0141】
実施例5の結果を図3に要約する。これは、温度変化に対する触媒の相対的非感受性によって、この触媒が、反応器からの熱除去の低く不均一な速度のために触媒床上で温度が大きく変化する可能性がある所謂断熱反応器において用いるのに適切であることを示す。
【0142】
実施例6
(i)一定の金属装填量([Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)においてPtのモル分率を変化させ、そして(ii)還元温度の関数として、SiO2−PtxSn(1−x)触媒における[Sn]/[Pt]のモル比の影響を研究した。酢酸の転化率及びエタノールへの選択率の両方に関して、0.5のPtモル分率(即ち、[Sn]/[Pt]=1.0)において明確な最大値が観察された。酢酸エチルへの選択率は、[Sn]/[Pt]=1.0においてエタノール優勢に鋭く変化した。25%又は75%のいずれかのPtモル分率において、酢酸エチルが主生成物として観察された。等モル比のPt及びSnの存在は、酢酸転化率及びエタノールへの選択率の両方の増加に好ましいことが明らかである(図4A〜Cを参照)。
【0143】
気化酢酸(0.09g/分のHOAc)及び水素(160sccm/分のH2;60sccm/分のN2)を、約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ上のPt及びSnを含む本発明の水素化触媒の上に、250℃の温度;6570hr−1のGHSV;12時間の反応時間;で通過させた。実施例6においては、金属(Pt+Sn)の量を一定に保持し、白金の質量分率を0〜1の間で変化させた。図4A〜4Cは、それぞれにおける触媒の選択率、活性、及び生産性を示す。この実施例から、白金の質量分率が約0.5であり、即ち触媒において白金の重量量がスズの量と実質的に等しい場合に、選択率、活性、及び生産性において最大値が現れることを認めることができる。
【0144】
実施例7
気化酢酸及び水素を、約250m2/gの表面積を有する高純度高表面積シリカ上の、3重量%のPt、1.5重量%のSn、及び促進剤として5重量%のCaSiO3を含む本発明の水素化触媒の上に、約5:1の水素と酢酸とのモルで、約225℃の温度において通過させた。図5A及び5Bは、触媒寿命の初期部分中における運転時間の関数としての触媒の選択率及び生産性を示す。図6A及び6Bに報告するこの実施例の結果から、90%を超えるエタノールの選択率活性及び触媒1kgあたり1時間あたり500gを超えるエタノールの生産性を達成することができることを認めることができる。
【0145】
実施例8
約250℃の温度において実施例8の手順を繰り返した(同じ触媒?)。図7A〜7Bは、触媒寿命の初期部分中における運転時間の関数としての触媒の選択率及び生産性を示す。図7A及び7Bに報告するこの実施例の結果から、この温度においては、90%を超えるエタノールの選択率活性を、触媒1kgあたり1時間あたり800gを超えるエタノール生産性と共に達成することが更に可能であることを認めることができる。
【0146】
実施例9
二元白金−スズ前駆体を触媒種に還元するために用いる温度の感受性を調べるために、225〜500℃の独立した実験においてPt/Snを最適化したSiO2−(Pt0.5Sn0.5)触媒(下記参照)を活性化することによって、還元温度の影響を調べた。4つの実験において、材料を280、350、425、及び500℃において、流動水素下で4時間活性化し、次に250℃の反応温度において酢酸還元した(触媒活性化は、10モル%のH2/N2混合物(275sccm/分)を用い、雰囲気圧力下において、次の温度プログラム:室温→還元温度(225〜500℃)、2℃/分で昇温;4.0時間保持;次にHOAc還元のために250℃に低下(又は必要に応じて昇温):を用いて行った。更に、225℃において活性化した材料を、HOAc水素化における225及び250℃の両方の反応温度において研究した。両方の反応温度:225及び250℃に関して、225℃において活性化した触媒に関するものを含む全温度範囲にわたって、エタノール及び酢酸エチルへの選択率の大きな変化は観察されなかった。興味深いことに、より低い225及び280℃の還元温度において活性化した触媒に関しては、転化率(及び生産性)における大きな増加が観察された。より高い還元温度における転化率の減少は、金属粒子の焼結が原因である可能性がある(図7A及び7Bを参照)。選択率の変化は観察されなかったので、金属粒子(即ちPtSn合金)の組成は変化しないで保持されていることが明らかである。この実施例の結果を図3A〜3Cに示す。
【0147】
これらの実施例においては、アセトアルデヒド、エタノール、酢酸エチル、エタン、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、イソプロパノール、アセトン、及び水などの種々の他の生成物が検出された。
【0148】
実施例10
表4に示す触媒の2.5mLの固体触媒を用いて、種々の触媒の触媒特性を酢酸の接触水素化において評価した。それぞれの場合において、触媒粒子は14/30メッシュの寸法を有し、14/30メッシュの石英片で1:1v/vに希釈した。それぞれの実験において、運転圧力は200psig(14bar)であり、0.09g/分の酢酸;120sccm/分の水素;60sccm/分の窒素;の供給速度;6570hr−1の総毎時空間速度で、24時間の運転時間(TOS)の期間にわたって行った。結果を表4に示す。
【0149】
【表9】
【0150】
【表10】
【0151】
実施例11
触媒安定性:SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)の触媒性能及び初期安定性を、一定の温度(260℃)において100時間の反応時間にわたって評価した。100時間の全反応時間にわたって、触媒性能及び選択率の小さい変化しか観察されなかった。アセトアルデヒドが唯一の副生成物であると思われ、その濃度(約3重量%)は実験中にわたって大きくは変化しないで保持された。触媒の生産性及び選択率の概要を図5A及び5Bに与える。生成物選択率に対する反応温度の影響を、別の実験において125時間の全反応時間にわたって調べた。上記参照。
【0152】
実施例12
5%のCaSiO3によって安定化した高純度高表面積SiO2上の3%Pt:1.5%Snの酢酸の水素化における生産性及び選択率を、通常の範囲の運転条件の水素化及びエステル化反応によって主としてアセトアルデヒド、エタノール、酢酸エチルを製造する固定床連続反応器システムを用い、2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片によって希釈))を用い、200psigの圧力において;0.09g/分−HOAc;160sccm/分−H2;60sccm/分−N2;の供給速度;及び6570hr−1のGHSV;を用いて、225℃において15時間の運転時間で調べた。結果を図6A及び6Bに示す。
【0153】
実施例13
2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片によって希釈))を用い、200psig(14bar)の圧力において;0.09g/分の酢酸を160sccm/分−水素及び希釈剤として60sccm/分−窒素と共に供給して;250℃の温度において;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で、一定の金属装填量([Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)においてReのモル分率を変化させることによってRexPd(1−x)のモル比を触媒間で変化させたSiO2中のRe及びPdを含む触媒の生産性及び選択率を調べた。約0.6のReモル分率において酢酸の最大転化率が観察されたが、約0.78のReモル分率においてはエタノールしか主生成物にならなかった。ReとPdの間のこのモル比(「Re7Pd2」と示される)においては、酢酸エチルへの選択性はエタノール優勢に狭く変化した。重要なことには、上記のPd/Snのシリーズに関して示されるように、特定の比の2種類の金属の存在は、特定の生成物の選択性のための主要な構造的要件であることが明らかである。即ち、選択性は[Re]/[Re+Pd]=0.78においてエタノールに向かってシフトしている(図8、9、及び10:これはXi(Re)が触媒中のレニウムの質量分率を示す以外は図4A〜Cと同じ形式で示す:を参照)。しかしながら、Pt/Sn材料とは対照的に、酢酸の最大転化率及びエタノールへの選択率はこれらの材料とは一致せず、エタノールへの優先的な選択性は低いHOAc転化率においてしか観察されなかった。したがって、最大の生産性は、エタノールに関してではなく、酢酸エチルに関して見られる。図8を参照。更に、CaSiO3−Re(5)−Pd(2.5)触媒を用いると、約30%の酢酸転化率及び僅か225℃の反応温度において、炭化水素(メタン及びエタン;それぞれ5.3及び2.4重量%)の形成が観察された。酢酸のより高い転化率はおそらくは反応温度を上昇させることによって得ることができるが、炭化水素の量もおそらくは同様に増加し、したがってRe/Prベースの触媒系の全体的な効率が限定される。
【0154】
実施例14
SiO2上のシリカ担持白金(1%)コバルト触媒(Co装填量=10重量%)を用いた初期触媒スクリーニングによって、高い酢酸転化率及びエタノールへの約80%の選択率が得られた。図11及び12(ここでは、選択率及び活性は上記で定義した通りであり、エタノールに関する結果は正方形によって表し、酢酸エチルに関する結果は円によって表し、アセトアルデヒドは菱形、エタンは三角形によって表す)を参照。しかしながら、9時間の反応時間の間に酢酸選択率が約80%から42%に低下したので、触媒が劣化することが明らかである。更に、生産性における大きな変化も同様に観察され、酢酸エチル及びアセトアルデヒドへの選択率が増加すると共にエタノール選択率が低下した。シリカ上に担持されている10%のコバルトを用いて同様の結果が観察された。
【0155】
実施例15
200psigの圧力の気化酢酸(0.09g/分−HOAc)及び水素(160sccm/分−H2;60sccm/分−N2)を、水素形態のZSM−5モレキュラーシーブを含む担体上の3重量%Pt及び1.8重量%Snを含む本発明の水素化触媒上に、250℃の温度;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で通過させた。4%の酢酸エチルと共に、ジエチルエーテルが96%の選択率及び2646g/kg/時の生産性で観察され、78%の酢酸は未反応のままであった。
【0156】
実施例16
200psigの圧力の気化酢酸(0.09g/分−HOAc)及び水素(160sccm/分−H2;60sccm/分−N2)を、高表面積グラファイトを含む担体上の2重量%Pt及び1重量%Snを含む本発明の水素化触媒上に、275℃;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で通過させた。酢酸エチルへの選択率は43%、エタノールへの選択率は57%であり、酢酸エチルの生産性は66g/kg/時であり、エタノールの生産性は88g/kg/時であり、酢酸の転化率は12%であった。
【0157】
本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(それらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると、更なる例示は不要であると考えられる。更に、下記及び/又は特許請求の範囲において示す本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができると理解すべきである。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
【0158】
而して、本発明によれば、酢酸に基づく水素化生成物を与えるための新規な方法及び触媒が提供される。
例えば、第1態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ質担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにシリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法である。
【0159】
第2態様は、水素化触媒がシリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、シリカ質担体が変性シリカ質担体であり、変性シリカ質担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、第1態様の方法である。
【0160】
第3態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0161】
第4態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第2態様の方法である。
第5態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第3態様の方法である。
【0162】
第6態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0163】
第7態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第5態様の方法である。
第8態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第6態様の方法である。
【0164】
第9態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0165】
第10態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第9態様の方法である。
第11態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第10態様の方法である。
【0166】
第12態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0167】
第13態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第12態様の方法である。
第14態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第12態様の方法である。
【0168】
第15態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0169】
第16態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第15態様の方法である。
第17態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第16態様の方法である。
【0170】
第18態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第2態様の方法である。
第19態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第16態様の方法である。
【0171】
第20態様は、担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第18態様の方法である。
第21態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第20態様の方法である。
【0172】
第22態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第20態様の方法である。
第23態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第20態様の方法である。
【0173】
第24態様は、担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第2態様の方法である。
第25態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する,第24態様の方法である。
【0174】
第26態様は、担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第24態様の方法である。
第27態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第24態様の方法である。
【0175】
第28態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第24態様の方法である。
第29態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第24態様の方法である。
【0176】
第30態様は、担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第2態様の方法である。
第31態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第30態様の方法である。
【0177】
第32態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第30態様の方法である。
第33態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第30態様の方法である。
【0178】
第34態様は、変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、第33態様の方法である。
第35態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;(b)白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして(d)変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;第2態様の方法である。
【0179】
第36態様は、存在する白金の量が少なくとも1重量%である、第35態様の方法である。
第37態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約100g/mであり;(b)スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;そして(c)変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;第2態様の方法である。
【0180】
第38態様は、存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、第37態様の方法である。
第39態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
【0181】
第40態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
第41態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて336時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、第40態様の方法である。
【0182】
第42態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
第43態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満がアルカンに転化し;(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度で、2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、第42態様の方法である。
【0183】
第44態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;(b)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;(c)変性シリカ質担体が少なくとも約95%の純度を有するシリカを含み、変性剤が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第43態様の方法である。
【0184】
第45態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに酸化物担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法である。
【0185】
第46態様は、水素化触媒が酸化物担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、酸化物担体が変性酸化物担体であり、変性酸化物担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、第45態様の方法である。
【0186】
第47態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0187】
第48態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第47態様の方法である。
第49態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第47態様の方法である。
【0188】
第50態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0189】
第51態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第50態様の方法である。
第52態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第51態様の方法である。
【0190】
第53態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0191】
第54態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第53態様の方法である。
第55態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第54態様の方法である。
【0192】
第56態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0193】
第57態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第56態様の方法である。
第58態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第57態様の方法である。
【0194】
第59態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0195】
第60態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第59態様の方法である。
第61態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第60態様の方法である。
【0196】
第62態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第46態様の方法である。
第63態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第62態様の方法である。
【0197】
第64態様は、担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第62態様の方法である。
第65態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第64態様の方法である。
【0198】
第66態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第64態様の方法である。
第67態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第64態様の方法である。
【0199】
第68態様は、担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第46態様の方法である。
第69態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する、第68態様の方法である。
【0200】
第70態様は、担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第68態様の方法である。
第71態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第68態様の方法である。
【0201】
第72態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第68態様の方法である。
第73態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第68態様の方法である。
【0202】
第74態様は、担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第46態様の方法である。
第75態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第74態様の方法である。
【0203】
第76態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第74態様の方法である。
第77態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第74態様の方法である。
【0204】
第78態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、変性安定化シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性されている少なくとも約95重量%の純度を有するシリカを含み;白金及びスズの量及び酸化状態、白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体中の安定剤−変性剤とシリカとの相対割合、並びに変性安定化シリカ質担体中のシリカの純度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する上記方法である。
【0205】
第79態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第78態様の方法である。
第80態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第79態様の方法である。
【0206】
第81態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第80態様の方法である。
第82態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第80態様の方法である。
【0207】
第83態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第79態様の方法である。
第84態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第78態様の方法である。
【0208】
第85態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する、第84態様の方法である。
第86態様は、変性安定化シリカ質担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第84態様の方法である。
【0209】
第87態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第84態様の方法である。
第88態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第84態様の方法である。
【0210】
第89態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第84態様の方法である。
第90態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第87態様の方法である。
【0211】
第91態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第90態様の方法である。
第92態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第90態様の方法である。
【0212】
第93態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第90態様の方法である。
第94態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、第90態様の方法である。
【0213】
第95態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;(b)白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして(d)変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第78態様の方法である。
【0214】
第96態様は、存在する白金の量が少なくとも1重量%である、第95態様の方法である。
第97態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100g/mであり;(b)スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;そして(c)変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第78態様の方法である。
【0215】
第98態様は、存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、第97態様の方法である。
第99態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
【0216】
第100態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
第101態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第100態様の方法である。
【0217】
第102態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
第103態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように制御する、第79態様の方法である。
【0218】
第104態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の1%未満がアルカンに転化するように制御し;(b)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;(d)変性安定化シリカ質担体が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第79態様の方法である。
【0219】
第105態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0220】
第106態様は、担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体である、第105態様の方法である。
【0221】
第107態様は、担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含む、第105態様の方法である。
第108態様は、炭素担体が還元性金属酸化物によって変性されている、第107態様の方法である。
【0222】
第109態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、pとz及び存在するアルミニウム及びカルシウムの相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され、p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0223】
【化5】
【0224】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法である。
【0225】
第110態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びpがp≧zであるように制御される、第109態様の方法である。
第111態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面がブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される、第110態様の方法である。
【0226】
第112態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御し;更に、(i)担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体であるか;(ii)担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含むか;或いは(iii)担体が還元性金属酸化物によって変性されている炭素担体である;ことを条件とする上記方法である。
【0227】
第113態様は、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の白金、パラジウム、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;並びに、スズ、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される促進剤;を含む水素化触媒上に通すことを含むアルカン酸の水素化方法であって、シリカ質担体が、場合によっては、(a)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;(b)触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、(c)触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている上記方法である。
【0228】
第114態様は、アルカン酸が酢酸であり、(a)白金及びパラジウムの少なくとも一方が触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;(b)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の0.5重量%であり;(c)存在するレニウム及びスズの合計量が少なくとも0.5〜10重量%である、第113態様の方法である。
【0229】
第115態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第114態様の方法である。
第116態様は、(a)白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに(b)白金族金属と存在するレニウム及びスズの合計モル数とのモル比;並びに(c)シリカ質担体上のブレンステッド酸部位の数を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第115態様の方法である。
【0230】
第117態様は、(a)白金及びパラジウムの少なくとも一方が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;(b)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の重量の0.75%〜5%であり;(c)存在するスズ及びレニウムの合計量が少なくとも触媒の1.0重量%である、第115態様の方法である。
【0231】
第118態様は、(a)(i)白金族金属、(ii)レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態;並びに(iii)白金族金属とレニウム及びスズ促進剤との比;並びに(iv)シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第117態様の方法である。
【0232】
第119態様は、存在するレニウム及びスズの合計重量が触媒の約1〜10重量%である、第118態様の方法である。
第120態様は、白金族金属とレニウム及びスズの合計のモル数とのモル比が約1:2〜約2:1である、第119態様の方法である。
【0233】
第121態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyCapSiqOr
(式中、v:yの比は3:2〜2:3の間であり、w:xの比は1:3〜1:5の間であり、p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0234】
【化6】
【0235】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法である。
第122態様は、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値が、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択される、第121態様の方法である。
【0236】
第123態様は、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値が、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように選択される、第122態様の方法である。
【0237】
第124態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が実質的に塩基性であることを確保するように選択される、第122態様の方法である。
第125態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、p及びz、及び存在するアルミニウム及びカルシウム原子の相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され;p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され;rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0238】
【化7】
【0239】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法である。
第126態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びpがp≧zであるように制御される、第125態様の方法である。
【0240】
第127態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面がブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される、第125態様の方法である。
【0241】
第128態様は、少なくとも約5:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、少なくとも約1000hr−1のGHSVにおいて、少なくとも2気圧の圧力で、(a)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;並びに、(b)スズ及びレニウム並びにこれらの混合物からなる群から選択される金属促進剤;を含み;(c)シリカ質担体が、場合によっては、(i)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;(ii)触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;(iii)触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びに(iv)i、ii、及びiiiの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含むアルカン酸の水素化方法である。
【0242】
第129態様は、アルカン酸が酢酸であり、(a)白金が、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、(b)パラジウムが、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、(c)金属促進剤が少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第128態様の方法である。
【0243】
第130態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第129態様の方法である。
第131態様は、(a)白金が触媒の重量の1%〜5%の量で存在し、(b)パラジウムが、存在する場合には触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し、(c)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の1.25重量%である、第130態様の方法である。
【0244】
第132態様は、スズが触媒の1〜3重量%の量で存在する、第131態様の方法である。
第133態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第132態様の方法である。
【0245】
第134態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第132態様の方法である。
第135態様は、シリカ質担体が、カルシウムメタシリケートによって中和されていないブレンステッド酸部位を実質的に含まず、その表面積が少なくとも約200m2/gである、第132態様の方法である。
【0246】
第136態様は、スズを白金族金属との重量比が約2:3〜約3:2である、第132態様の方法である。
第137態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第128態様の方法である。
【0247】
第138態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0248】
第139態様は、担体が、モレキュラーシーブ担体;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている変性シリカ質担体;並びに炭素担体;から選択される、第138態様の方法である。
【0249】
第140態様は、触媒金属が白金及びスズを含み、ジエチルエーテルへの選択率が80%より高い、第139態様の方法である。
第141態様は、担体がゼオライト担体であり、ジエチルエーテルへの選択率が90%より高い、第107態様の方法である。
【0250】
第142態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、(a)シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);並びに、(b)触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のレニウム及びスズからなる群から選択される金属促進剤;を含み;白金と金属促進剤とのモル比が約3:1〜1:2の間であり;(c)シリカ質担体は、場合によっては、(i)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;(ii)触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;(iii)触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びに(iv)i、ii、及びiiiの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び酢酸エチルを製造する方法である。
【0251】
第143態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約2:3〜約3:2である、第142態様の方法である。
第144態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約5:4〜約4:5である、第142態様の方法である。
【0252】
第145態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり、カルシウムメタシリケートの量がシリカ質担体の表面を実質的にブレンステッド酸性度を含まないようにするのに十分なものである、第142態様の方法である。
【0253】
第146態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約2:3〜約3:2である、第145態様の方法である。
第147態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下である、第146態様の方法である。
【0254】
第148態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro HSA SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の1/2以下である、第142態様の方法である。
【0255】
第149態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)水素化触媒が、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上のパラジウム(存在するパラジウムの量は少なくとも約1.5%である)を含み;そして(b)金属促進剤が触媒の約1重量%〜10重量%の間の量のレニウムであり、レニウムとパラジウムとのモル比が約3:1〜5:1の間である、第142態様の方法である。
【0256】
第150態様は、水素化触媒が、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤から実質的に構成され、白金とスズとのモル比が約9:10〜10:9の間である、第142態様の酢酸の還元方法である。
【0257】
第151態様は、存在する白金族金属の量が少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量が少なくとも約1.5%であり、スズ促進剤が触媒の約1重量%〜5重量%の間の量であり、白金とスズとのモル比が約9:10〜10:9の間である、第142態様の酢酸の還元方法である。
【0258】
第152態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;水素化触媒が、少なくとも200m2/gの表面積を有し、4〜7.5%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の白金、2重量%〜5重量%のスズを含む、第151態様の方法である。
【0259】
第153態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzTinCapSiqOr
(式中、vとyとの比は3:2〜2:3の間であり、wとxとの比は1:3〜1:5の間であり、p及びz、並びにp、q、及びnは
【0260】
【化8】
【0261】
となるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0262】
【化9】
【0263】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び少なくとも約40%の酢酸エチルを含む流れを製造する方法である。
【0264】
第154態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有する、第153態様の方法である。
第155態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の50%より多くが酢酸エチルに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0265】
第156態様は、(a)シリカ、及び約3.0〜約7.5のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び、(b)触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み;白金とスズとのモル比は約4:3〜3:4の間であり;(c)シリカ質担体の組成及び構造はその表面がカルシウムメタシリケートによって中和されていないブレンステッド酸部位を実質的に含まないように選択される、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒である。
【0266】
第157態様は、存在する白金族金属の全重量が2〜4%の間であり、存在する白金の量が少なくとも2%であり、白金とスズとの重量比が4:5〜5:4の間であり、存在するケイ酸カルシウムの量が3〜7.5%の間である、第156態様の水素化触媒である。
【0267】
第158態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びその表面上にカルシウムメタシリケートが配置されているカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、シリカ質担体の表面は、カルシウムによって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない粒子状水素化触媒である。
【0268】
第159態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比が10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量が3〜90%の間である、第158態様の水素化触媒である。
【0269】
第160態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在する白金の量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトと白金との重量比が20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量が3〜90%の間である、第159態様の水素化触媒である。
【0270】
第161態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比が20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量が3〜90%の間である、第158態様の水素化触媒である。
【0271】
第162態様は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは4〜6%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である水素化触媒である。
【0272】
第163態様は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0273】
第164態様は、変性安定化シリカ質担体からなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性及び安定化されており、変性安定化シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、(a)白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び(b)触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比が約4:3〜3:4の間である、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒である。
【0274】
第165態様は、存在する白金族金属の全重量が2〜4%の間であり、存在する白金の量が少なくとも2%であり、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間であり、存在する安定剤−変性剤の量が3〜7.5%の間である、第164態様の水素化触媒である。
【0275】
第166態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0276】
第167態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0277】
第168態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0278】
第169態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0279】
第170態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0280】
第171態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0281】
第172態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0282】
第173態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0283】
第174態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0284】
第175態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0285】
第176態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されている変性安定化シリカ質担体から実質的に構成され;シリカ質担体は、少なくとも95%の純度を有し、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性及び安定化されているシリカを含み、シリカ質担体の表面は安定剤−変性剤によって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない、粒子状水素化触媒である。
【0286】
第177態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比が10:1〜2:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0287】
第178態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0288】
第179態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0289】
第180態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0290】
第181態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0291】
第182態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0292】
第183態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0293】
第184態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0294】
第185態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0295】
第186態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0296】
第187態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0297】
第188態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在する白金の量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトと白金との重量比が20:1〜3:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0298】
第189態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0299】
第190態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0300】
第191態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0301】
第192態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0302】
第193態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0303】
第194態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比が20:1〜3:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0304】
第195態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0305】
第196態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0306】
第197態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0307】
第198態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0308】
第199態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0309】
第200態様は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは4〜6%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である水素化触媒である。
【0310】
第201態様は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0311】
第202態様は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか、酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか、又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、及びイットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の、塩基性非揮発性安定剤−変性剤を導入した安定化−変性酸化物担体上の、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びWからなる群から選択される触媒金属を導入した水素化触媒である。
【0312】
第203態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0313】
第204態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0314】
第205態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の半分より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0315】
第206態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の半分より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0316】
第207態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の25%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0317】
第208態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の25%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0318】
第209態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の10%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0319】
第210態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の10%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0320】
上記の種々の態様の記載においては、当業者に認められるように、他の態様に関するこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月26日に出願の米国出願12/588,727(その全てを参照として本明細書中に包含する)の優先権を主張する。
本発明は、概して、カルボン酸、特に酢酸を水素化するための調節可能な触媒、並びに、変化する商業的な条件に適合させるためにそれぞれの触媒の変化を用いて酢酸エチル及びアセトアルデヒドに対するエタノールの割合を変化させることができる酢酸脱水素化の柔軟な方法に関する。より具体的には、本発明は、カルボン酸、特に酢酸を気相水素化して、対応するアルコール、エステル、及びアルデヒド、特にエタノールなどの種々の生成物を製造するための触媒に関する。本触媒は、一定範囲の生成物にわたって優れた活性及び選択性を示す。
【背景技術】
【0002】
酢酸をエタノール(これは、それ自体で用いることができるか、或いは、酢酸ビニル及び/又は酢酸エチル或いは広範囲の他の化学生成物に転化させることができるので重要な商業的供給材料であるエチレンにその後に転化させることができる)に転化させる経済的に実行可能なプロセスに対する必要性が長い間感じられている。例えば、エチレンは数多くのポリマー及びモノマー生成物に転化させることもできる。変動する天然ガス及び原油の価格は、従来製造されている石油又は天然ガス由来のエチレンのコストの変動の一因となり、石油の価格が上昇している場合にはエチレンの別の源に対する必要性がなお更に大きくなる。
【0003】
アルカン酸及び他のカルボニル基含有化合物を還元するための接触プロセスは広範囲に研究されており、触媒、担体、及び運転条件の種々の組合せが文献において言及されている。金属酸化物上での種々のカルボン酸の還元は、T. Yokoyamaら, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis. Carboxylic acids and derivatives"によって概説されている。8.3.1章においては、種々のカルボン酸のための水素化触媒に関する開発努力の幾つかが要約されている(Yokoyama, T.; Setoyama, T., "Carboxylic acids and derivatives": "Fine chemicals through heterogeneous catalysis, 2001, 370-379)。
【0004】
M.A. Vanniceらの一連の研究は、種々の不均一触媒上での酢酸の転化に関する(Rachmady, W.; Vannice, M.A.; J. Catal. 2002, 207, 317-330)。
担持及び非担持の両方の鉄上でのH2による酢酸の気相還元が別の研究において報告された(Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., 2002, 208, 158-169)。
【0005】
触媒表面種及び有機中間体に関する更なる情報が、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 208, 170-179に示されている。
気相酢酸水素化は、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 209, 87-98、及びRachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2000, 192, 322-334において、更に一群の担持Pt−Fe触媒に関して研究された。
【0006】
不飽和アルデヒドの選択水素化に関する種々の関連する出版物は、(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133;Liberkova, K.; Tourounde, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230;Rodrigues, E.L.; Bueno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211;Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42;Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9;Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175;Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22)において見ることができる。
【0007】
クロトンアルデヒドの不飽和アルコールへの選択水素化におけるコバルト、白金、及びスズ含有触媒に関する活性及び選択性を報告する研究が、R. Touroudeら(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133、及びLiberkova, K.; Tourounde, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230)、並びにK. Lazarら(Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96)において見られる。
【0008】
M. Santiagoら(Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28)においては、量子化学的計算と組み合わせたマイクロ熱量測定、赤外分光測定、及び反応速度測定が議論されている。
【0009】
酢酸水素化における触媒活性はまた、レニウム及びルテニウムを有する不均一系に関して報告されている(Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439)。
【0010】
Kitsonらの米国特許5,149,680においては、白金族金属合金触媒を用いてカルボン酸及びそれらの無水物をアルコール及び/又はエステルに接触水素化する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,777,303においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,804,791においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する他の方法が記載されている。また、USP−5,061,671;USP−4,990,655;USP−4,985,572;及びUSP−4,826,795;も参照。
【0011】
Malinowskiら(Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5)においては、シリカ(SiO2)又はチタニア(TiO2)のような担体材料上で不均一化されている低価チタン上での酢酸の接触反応が議論されている。
【0012】
二金属ルテニウム−スズ/シリカ触媒は、テトラブチルスズをシリカ上に担持されている二酸化ルテニウムと反応させることによって製造されている(Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600)。
【0013】
酢酸の接触還元はまた、例えばHindermanら(Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373)において研究されており、ここでは鉄上及びアルカリ促進鉄上での酢酸の接触還元が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許5,149,680
【特許文献2】米国特許4,777,303
【特許文献3】米国特許4,804,791
【特許文献4】USP−5,061,671
【特許文献5】USP−4,990,655
【特許文献6】USP−4,985,572
【特許文献7】USP−4,826,795
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Yokoyama, T; Setoyama, T, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis"の"Carboxylic acids and derivatives", 2001, 370-379
【非特許文献2】Rachmady W.; Vannice, M.A.; J. Catal. 2002, 207, 317-330
【非特許文献3】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., 2002, 208, 158-169
【非特許文献4】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 208, 170-179
【非特許文献5】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2002, 209, 87-98
【非特許文献6】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. 2000, 192, 322-334
【非特許文献7】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献8】Liberkova, K.; Touroude, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献9】Rodrigues, E.L.; Burno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211
【非特許文献10】Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42
【非特許文献11】Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9
【非特許文献12】Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175
【非特許文献13】Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22
【非特許文献14】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献15】Liberkova, K.; Touroude, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献16】Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96
【非特許文献17】Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28
【非特許文献18】Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439
【非特許文献19】Malinowskiら, Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5
【非特許文献20】Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600
【非特許文献21】Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
既存のプロセスは、(i)エタノールへの必要な選択性を有しない触媒;(ii)場合によっては法外に高価で、及び/又はエタノールの形成に対して非選択性であり、望ましくない副生成物を生成する触媒;(iii)過度の運転温度及び圧力;及び/又は(iv)不十分な触媒寿命;などの商業的な実行可能性を妨げる種々の問題点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間、より好ましくは約225℃〜300℃の間、更により好ましくは約250℃〜300℃の間の温度で触媒上に通すことによって、酢酸を、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金−スズ触媒上で還元する場合に、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体をここに記載するように制御するとエタノールへの転化における高い選択性を得ることができることを見出した。本発明の一形態においては、本発明者らは、シリカ質担体の表面上に存在するブレンステッド酸部位の効果を、上記に記載のように選択される担体変性剤によって中和する。他の形態においては、上記に記載の担体変性剤は、流動する酢酸蒸気の存在下、275℃において、168時間、336時間、又は更には500時間までの時間にわたって、触媒による活性及び選択性の過度の損失を抑止するのに有効である。本発明の他の形態においては、担体変性剤は、所望の場合にはアルカンのような非常に望ましくない副生成物への酢酸の転化への低い選択性を伴って、酢酸エチルの製造を抑えてエタノール生成への高い選択性を与えるのに有効である。好ましくは、担体変性剤は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0018】
本発明者らは、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間、より好ましくは約225℃〜300℃の間、更により好ましくは約250℃〜300℃の間の温度で触媒上に通すことによって、酢酸を、実質的に塩基性のカルシウムメタシリケート/シリカ担体上に分散されている白金−スズ触媒上で還元する場合に、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにカルシウムメタシリケート/シリカ担体の酸性度をここに記載するように制御するとエタノールへの転化における高い選択性を得ることができることを見出した。特に、本発明の好ましい触媒及び方法を用いると、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化する。好ましい方法においては、白金は触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;一方、スズは少なくとも触媒の0.5〜10重量%の量で存在し;好ましくは、担体の表面積は、少なくとも約100m2/g、より好ましくは約150m2/g、更により好ましくは少なくとも約200m2/g、最も好ましくは少なくとも約250m2/gであり;スズと白金族金属とのモル比は、好ましくは約1:2〜約2:1、より好ましくは約2:3〜約3:2、更により好ましくは約5:4〜約4:5、最も好ましくは約9:10〜約10:9である。多くの場合においては、担体は、シリカ中の残留アルミナから生起するブレンステッド酸部位を中和するのに有効な量のケイ酸カルシウムを含み;通常は、約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムは、担体が実質的に中性又は塩基性であるのを確保するのに十分である。1つの特に好ましい態様においては、白金は、少なくとも約0.75重量%、より好ましくは1重量%の量で水素化触媒中に存在し;スズと白金とのモル比は約5:4〜約4:5であり;担体は少なくとも約2.5重量%〜10重量%のケイ酸カルシウムを含む。
【0019】
本発明の多くの態様の1つの特徴は、約1000hr−1、2500hr−1、更には5000hr−1より大きい空間速度を用いることができ、転化した酢酸の少なくとも90%はエタノールに転化し、酢酸の2%未満は、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化することである。本発明の多くの態様においては、アルカンの形成は低く、通常は触媒上を通過した酢酸の2%未満、しばしば1%未満、そして多くの場合には0.5%未満が、燃料又は合成ガスとして以外の価値を少ししか有しないアルカンへ転化する。
【0020】
本発明の他の形態においては、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属、並びに、スズ、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される促進剤を含む水素化触媒上に通すことによってアルカン酸を水素化し、ここで、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されており;担体の酸性度は、アルカン酸の4%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは約1%未満がアルカンに転化するように制御する。多くの場合においては、白金及びパラジウムの少なくとも一方は触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の0.5重量%であり;存在するレニウム及びスズの合計量は少なくとも0.5〜10重量%である。このプロセスにおいては、塩基性シリカ担体上の白金及びスズを含む触媒を用い、白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに白金族金属と存在するレニウム及びスズの合計モル数とのモル比;並びにシリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がアルカノール及び酢酸アルキルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、アルカン酸の4%未満が、対応するアルカノール、酢酸アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する。好ましくは、白金及びパラジウムの少なくとも一方は触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の重量の0.75%〜5%である。好ましくは、アルカン酸は酢酸であり、存在するスズ及びレニウムの合計量は少なくとも触媒の1.0重量%であり、一方、白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに白金族金属とレニウム及びスズ促進剤との比;並びにシリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノール又は酢酸エチルに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する。好ましくは、存在するレニウム及びスズの合計重量は触媒の約1〜10重量%であり、一方、白金族金属とレニウム及びスズの合計のモル数とのモル比は約1:2〜約2:1である。
【0021】
他の形態においては、本発明は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyCapSiqOr
(式中、v:yの比は3:2〜2:3の間であり、及び/又はw:xの比は1:3〜1:5の間であり、p及びqは、p:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0022】
【化1】
【0023】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法に関する。
この形態においては、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値は、好ましくは、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択する。本発明の多くの態様においては、pは、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択する。
【0024】
本発明の更に他の形態は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、p及びz、及び存在するアルミニウム及びカルシウム原子の相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され;p及びqは、p:qが1:20〜1:200であるように選択され;rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0025】
【化2】
【0026】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法に関する。好ましくは、この形態においては、水素化触媒は少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びp≧zである。本発明の多くの態様においては、pはまた、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が、エタノールの酢酸エチルへの転化を促進すると考えられる活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される。
【0027】
本発明の他の形態は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);並びに、触媒の約1重量%〜2重量%の量のレニウム及びスズからなる群から選択される金属促進剤;を含み;白金と金属促進剤とのモル比が約3:1〜1:2の間であり;シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びにこれらの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び酢酸エチルを製造する方法に関する。
【0028】
本発明の好ましい形態においては、金属促進剤と白金族金属とのモル比は、約2:3〜約3:2、より好ましくは約5:4〜約4:5、最も好ましくは約9:10〜約10:9であり、一方、シリカ質担体の表面積は少なくとも約200m2/gであり、ケイ酸ナトリウムの量は担体の表面を実質的に塩基性にするのに十分なものである。幾つかの場合においては、ケイ酸カルシウムの使用は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下となるように制御することができ;他の場合においては、用いるシリカは、アルミナ又は他の不純物の低い含量を有する高純度焼成シリカであってよい。多くの場合においては、かかるシリカは、99%より多いシリカ、より好ましくは99.5%より多いシリカ、最も好ましくは99.7%より多いシリカを含む。本発明の多くの態様においては、シリカの純度を制御することか、又は担体の表面上に存在するブレンステッド酸部位をケイ酸カルシウム又はここに議論する他の好適な安定剤−変性剤の1つで中和することのいずれかによって、その表面上に存在するブレンステッド酸部位の利用可能なモル数は、Saint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下、好ましくは、Saint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の半分未満、より好ましくは25%未満、更により好ましくは10%未満である。担体の表面上に存在する酸部位の数は、
(1)F. Delannay編, "Characterization of Heterogeneous Catalysts", III章: Measurement of Acidity of Surfaces, p.370-404; Marcel Dekker, Inc., N.Y., 1984;
(2)C.R. Brundle, C.A. Evans, Jr., S. Wilson, L.E. Fitzpatrick編, "Encyclopedia of Materials Characterization", 12.4章: Physical and Chemical Adsorption Measurements of Solid Surface Areas, p.736-744, Butterworth-Heinemann, MA 1992;
(3)G.A. Olah, G.K. Sura Prakask編, "Superacids"; John Wiley & Sons, N.Y. 1985;
に記載されている手順にしたがうピリジン滴定を用いて求めることができる。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、記載が他に示さない限りにおいて、表面の酸性度又はその上の酸部位の数を測定する場合には、F. Delannay編, "Characterization of Heterogeneous Catalysts", III章: Measurement of Acidity of Surfaces, p.370-404; Marcel Dekker, Inc., N.Y. 1984に記載されている方法を用いる。
【0030】
より好ましい場合においては、シリカ質担体の表面積は少なくとも約250m2/gであり、その表面上に存在する利用できるブレンステッド酸部位のモル数はSaint-Gobain NorPro HSA SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の1/2以下であり、水素化は約250℃〜300℃の間の温度で行う。
【0031】
本明細書での議論を検討することによって当業者に認められるように、上記に記載するシリカ質担体以外の触媒担体は、触媒系が用いるプロセス条件下において好適には活性で、選択性で、且つ強靱であるように成分を選択するならば、幾つかの態様において用いることができる。好適な担体としては、安定な金属酸化物ベースの担体、又はセラミックベースの担体、並びにゼオライトなどのモレキュラーシーブを挙げることができる。また幾つかの態様においては、上記のKitsonらの米国特許5,149,680の2欄64行〜4欄22行(この開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されているような炭素担体を用いることができる。
【0032】
エタノール及び酢酸エチルの混合物を同時に製造する場合には、本発明の多くの態様においては、水素化触媒は、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上のパラジウム(存在するパラジウムの量は少なくとも約1.5%である)を含んでいてよく、一方、金属促進剤は、触媒の約1重量%〜10重量%の間の量のレニウムであり、レニウムとパラジウムとのモル比は約4:1〜1:4、好ましくは2:1〜1:3の間である。
【0033】
主としてエタノールを製造することが所望の場合には、本発明の多くの態様においては、触媒は、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤から実質的に構成することができ、白金とスズとのモル比は、本発明の多くの態様においては約9:10〜10:9の間である。幾つかの場合においては、少量の他の白金族金属、殆どの場合にはパラジウムを配合物の触媒金属中に含ませることができる。本発明の多くの態様においては、存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%、好ましくは2.5〜3.5重量%の白金の間であり、スズ促進剤は触媒の約2重量%〜5重量%の間の量で存在し、一方、プロセスは約250℃〜300℃の間の温度において、少なくとも約1000hr−1のGHSVで、少なくとも2気圧の圧力において行う。スズと白金との比は、好ましくは2:3〜3:2の間、より好ましくは4:5〜5:4の間、最も好ましくは9:10〜10:9の間である。主としてエタノールを製造することが所望の更に他の態様においては、触媒に、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤を含ませることができ、白金とスズとのモル比は、本発明の多くの態様においては約9:10〜10:9の間である。
【0034】
本発明の他の形態は、シリカ、及び約3.0〜約7.5のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び、触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み;白金とスズとのモル比は約4:3〜3:4の間であり、シリカ質担体の組成及び構造はその表面が実質的に塩基性であるように選択される、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒に関する。
【0035】
本発明の他の形態は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びその表面上にカルシウムメタシリケートが配置されているカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、シリカ質担体の表面は、カルシウムによって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない粒子状水素化触媒に関する。エタノール及び酢酸エチルを同時に製造するのに最も適しているこれらの変法においては、存在する白金族金属の全重量は0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比は10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜90%の間である。
【0036】
エタノールを高い選択率で製造するのに最も適した形態においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在する白金の量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトと白金との重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間であり、一方、長い寿命を有する触媒によってエタノールを製造するのに最も適した形態においては、水素化触媒は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成誘導シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは、その表面がカルシウムメタシリケートによって中和されてないブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するのに有効な量のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である。
【0037】
本発明の他の触媒においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。
【0038】
本発明の更に他の触媒は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0039】
本発明者らは、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上に担持されているパラジウムとレニウムが混合されており、シリカ質担体は、場合によっては、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1%〜5%の促進剤によって促進されており、促進剤は、好ましくは、これらの促進剤のそれぞれの硝酸塩又は酢酸塩の形態で触媒配合物に加えられており、特に好ましくはカリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウム、及び亜鉛である触媒;
(iii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択される高表面積シリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択される高表面積シリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;
からなる群から選択される触媒から、酢酸のエタノールへの水素化に関する優れた選択性と組み合わせて驚くほど高い活性及び寿命が得られることを見出した。
【0040】
本発明の他の形態は、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を、約125℃〜350℃の間の温度において、
a.シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び
b.スズ及びレニウムからなる群から選択される促進剤;
を含み、
c.シリカ質担体は、場合によっては
i.触媒の1〜5重量%の量の、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;
ii.触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;及び
iii.触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;
からなる群から選択される促進剤によって促進されている;
水素化触媒上に通すことを含む、アルカン酸を水素化する方法に関する。
【0041】
好ましくは、アルカン酸は酢酸であり、白金は、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;パラジウムは、存在する場合には触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の0.5重量%であり;スズは少なくとも0.5〜5%の量で存在し、白金とスズとの比は上記に記載した通りである。
【0042】
本発明の他の形態においては、シリカ質担体の表面積は、少なくとも約150m2/g、より好ましくは少なくとも約200m2/g、最も好ましくは少なくとも約250m2/gである。より好ましい態様においては、シリカ質担体は約7.5%以下のカルシウムメタシリケートを含む。他の態様においては、シリカ質担体は約90%以下のカルシウムメタシリケートを含む。全ての態様において、担体の酸性度の制御は、特に実質的に純粋なエタノールを製造する場合には非常に有益である可能性がある。シリカ単独を担体として用いる場合には、シリカに関する通常の汚染物質であるアルミナの量が低く、好ましくは1重量%より低く、より好ましくは0.5重量%より低く、最も好ましくは0.3重量%より低いことを確保することが非常に有益である。この点に関し、所謂焼成シリカは、通常は99.7%を超える純度で入手できるので非常に好ましい。本出願において、高純度シリカに言及する場合には、アルミナのような酸性汚染物質が0.3重量%未満のレベルで存在するシリカを指す。カルシウムメタシリケート促進シリカを用いる場合には、担体として用いるシリカの純度に関して非常に厳格にすることは通常は必要ないが、アルミナは望ましくなく、通常は意図的には加えない。
【0043】
本発明のより好ましい態様においては、白金は、存在する場合には触媒の重量の1%〜5%の量で存在し;パラジウムは、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;存在する白金及びパラジウムの合計量は少なくとも触媒の1重量%である。
【0044】
担体が実質的に純粋な高表面積シリカ、好ましくは焼成形成シリカである本発明の他の好ましい態様においては、スズは触媒の1重量%〜3重量%の量で存在し、より好ましくは、スズと白金族金属とのモル比は約1:2〜約2:1であり;更により好ましくは、スズと白金とのモル比は約2:3〜約3:2であり;一方、最も好ましくは、スズと白金とのモル比は約5:4〜約4:5である。担体が約2%〜約10%の範囲の少量のCaSiO3又は他の安定剤−変性剤も含む場合には、それらが適当な量の実質的に塩基性の安定剤−変性剤によって中和されている限りにおいて、大量の酸性不純物を許容することができる。
【0045】
本発明の他の形態においては、プロセスは、好ましくは、約225℃〜300℃の間、より好ましくは250℃〜300℃の間の温度において行い、水素化触媒は、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);及び触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比は約3:1〜1:2の間であり、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている。
【0046】
アルカン酸を水素化するための本発明の特に好ましい態様においては、触媒は、高表面積高純度シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属を含み、存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%であり、スズ促進剤の量は触媒の約1重量%〜5重量%の間であり、白金とスズとのモル比は約3:2〜2:3の間である。好ましくは、高純度シリカは、焼成生成させ、次に固定床触媒において用いるのに十分に高密度の形態に錠剤化又はペレット化する。しかしながら、高純度シリカの場合においても、安定剤−変性剤、特にケイ酸カルシウムを存在させると、酢酸蒸気の存在下、275℃付近の温度、並びに2500hr−1及びそれ以上の空間速度における商業的に実行可能な運転の触媒の活性及び選択性を、数週間及び更には数ヶ月に延びた長期間に延ばすか又は安定化することが明らかである。特に、触媒活性が1週間(168時間)又は2週間(336時間)の期間にわたって、又は更には500時間にわたって10%未満減少するような程度の安定性を達成することが可能である。したがって、本発明の触媒は、酢酸を水素化するための商業的規模の工業用途、特に高純度のエタノール及び酢酸エチルとエタノールの混合物の製造において用いることが完全に可能であることを認めることができる。
【0047】
本発明の他の形態は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか;酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか;又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、イットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の塩基性非揮発性安定剤−変性剤をその表面上又は担体それ自体の中に導入した酸化物担体上の第VIII族金属(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、及びOs)又は他の遷移金属(特に、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW)をベースとする水素化触媒に関する。
【0048】
本発明方法の他の態様においては、触媒は、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケートによって安定化及び変性されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、場合によってはアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1〜5%の促進剤によって促進されているシリカ質担体上に担持されている、パラジウムとレニウムを組み合わせた触媒;
(iii)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、コバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、コバルトによって促進されているパラジウム;
から選択される。
【0049】
一般に、シリカ質担体は、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体を含む安定剤−変性剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤を含み、酸性変性剤の存在は、エタノールと組み合わせた酢酸エチルの製造に有利に働く。
【0050】
本発明の他の形態は、シリカ、約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比は約3:2〜3:2の間であり、シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒に関する。
【0051】
本発明の他の態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され;シリカ質担体は、場合によっては、触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1%〜5%の促進剤;触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;によって促進されている、粒子状水素化触媒に関する。本発明の1つのより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は2〜4%の間であり、存在する白金の量は少なくとも2%であり、促進剤はスズであり、白金とスズとのモル比は2:3〜3:2の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜7%の間である。本発明の他のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比は10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量は3〜90%の間である。本発明の第3のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在する白金の量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトと白金との重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。本発明の第4のより好ましい態様においては、存在する白金族金属の全重量は0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量は少なくとも0.5%であり、促進剤はコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比は20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量は3〜90%の間である。
【0052】
以下において添付の図面を参照して本発明を詳細に記載する。同様の数値は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示す。
【図2】図2は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示す。
【図3】図3A〜3Cは、本発明の触媒の選択率及び生産性の相対的な温度非感受性を、酢酸を225℃において活性化された触媒上で225℃において水素化する際に得られる特性の変動と共に示す。
【図4】図4A〜4Cは、本発明の好ましい白金−スズ触媒における白金とスズとの比の変化に伴う選択率、転化率、及び生産性の変動を示す。
【図5】図5A及び5Bは、高表面積シリカ上に担持されている本発明の最も好ましい触媒のエタノール製造に関する選択率、及びこれを用いて得られる高い生産性を示す。
【図6】図6A及び6Bは、カルシウムメタシリケートによって促進された高表面積シリカをベースとする本発明の最も好ましい触媒を用いて低温において得られる優れた選択率を示す。エタノールに関する選択率は高いことを認めることができる。
【図7】図7A及び7Bは、カルシウムメタシリケートによって促進された高表面積シリカ上をベースとする本発明の最も好ましい触媒を用いて低温において得られる優れた選択率を示す。エタノールに関する選択率は高いことを認めることができる。
【図8】図8は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図9】図9は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図10】図10は、本発明のシリカ上パラジウム−レニウム触媒を用いる酢酸の水素化に対するレニウムの質量分率の効果を示す。
【図11】図11は、シリカ上に担持されている白金−コバルトの触媒の性能を示す。
【図12】図12は、シリカ上に担持されている白金−コバルトの触媒の性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
市場の状況は定常的に変動しているが、大規模運転に関しては、酢酸のエタノールへの接触水素化に関して文献において報告されている選択率、活性、及び触媒寿命は、エタノール製造の他の方法と競合するのに必要なものに対して一般的に不利な経済性を与える。商業化のために必要な生産性の1つの目算は、約50%より高いエタノールに関する選択率、並びに触媒1kgあたり1時間あたりに約200gのエタノールの生産性が必要であると結論づけられた。本発明の触媒はかかる要求を遙かに超える。
【0055】
以下の記載においては、ここに開示される全ての数値は、「約」又は「およそ」という語をそれらに関して用いているかどうかにかかわらず、概算の値である。これらは、1%、2%、5%、又は時には10〜20%変動してよい。下限値RL及び上限値RUを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内の任意の数及び任意の部分的範囲が具体的に開示されている。特に、この範囲内の以下の数が具体的に開示されている:R=RL+k×(RU−RL)(ここで、kは、1%の増分の1%〜100%の範囲の変数であり、即ち、kは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。更に、上記に規定する2つのRの数値によって規定される任意の数値範囲も具体的に開示されている。
【0056】
図1及び2は、本発明の触媒の選択率及び生産性の性能を示し、種々の運転温度においてこれらの触媒を用いて得ることができる大きく向上した選択率及び生産性をグラフで示す。特に、280℃及び296℃において、エタノールに関する選択率は約60%である。これの評価においては、酢酸エチルはまた経済的に相当に重要で価値のある商品であるので、初期の目的はエタノールの製造であるが、酢酸エチルへ転化する全ての酢酸は大きな価値を保持し、一方、副生成物として生産されるアルカンは、一般に供給材料よりも価値が遙かに低いことを思い起こすことが重要である。図1においては、触媒1kgあたり、運転1時間あたりに生産されるエタノールのグラム数での生産性を時間(時)の関数として正方形によって表し、一方、酢酸エチルの生産性を円によって表し、アセトアルデヒドの生産性を菱形によって表す。この実験中において重要なことには、運転温度は示されるように運転中に上昇し、これは生産性及び選択率に対する運転温度の効果を示す。図2においては、以下に規定するエタノールに関する選択率を運転時間の関数として円によって表し、一方、以下に規定する酢酸エチルに関する選択率を正方形によって表し、アセトアルデヒドに関する選択率を菱形によって表す。
【0057】
図3A〜3Cは、金属前駆体を還元する温度に対する本発明の触媒の選択率の相対的な温度不感受性を示す。終始均一な温度を保持するように特別に構成されていない容器内で反応を行う可能性がある(通常はこれらの容器は、反応を抑えるために石英片又は他の不活性粒子で触媒を「希釈」することが通常であるが反応プロセスに伴う温度変化に適合させるための対策が少ししか与えられていないので「断熱反応器」と呼ばれる)ので、この特性は商業化のためには重要である。図3Aは、触媒を℃で示す温度において還元し、その後に水素及び酢酸を250℃においてこの触媒上で水素化する実験の結果を報告する。上の線はエタノールに関するこの特定の触媒の選択率を表し、一方、下の線は酢酸エチルに関する選択率を表す。図3Bにおいては、この実験に関する生産性の結果を示し、上の線はエタノールの生産性を、下の線は酢酸エチルの生産性を報告する。図3Cにおいては、この実験に関する転化率(以下に規定する)の結果を還元温度の関数として表す。更に、酢酸を225℃において還元又は活性化した触媒上で225℃の温度においても水素化した。図3B及び3C上の点はまた、酢酸を225℃において還元した触媒上で225℃において水素化した実験の結果も含む。225℃の温度においてこの触媒上で水素化することによって減少したエタノールへの選択率及び減少した転化率が得られることを認めることができる。
【0058】
図4A〜4Cは、2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片で希釈)を用い、p=200psig(14bar)の運転圧力;それぞれ0.09g/分−HOAc、160sccm/分−H2、及び60sccm/分−N2の酢酸、水素、及び窒素希釈剤の供給速度;6570hr−1の総空間速度:GHSV;における、12時間の反応時間にわたる酢酸の接触水素化における、SiO2−PtxSn(1−x)中のPtのモル分率(Σ[Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)と相関する、本発明の好ましい白金−スズ触媒における白金とスズとの比の変化に伴う選択率、転化率、及び生産性の変動を示す。この実験において、エタノール製造への選択率は、実質的に純粋な高表面積シリカ上に担持されているこれらの触媒に関して約1:1のモル比において最大であることを認めることができる(本明細書全体にわたって、「L」は、1の数字と多くのタイプフェースにおいてローマ字アルファベットの12番目の文字の小文字に関して用いられる記号との類似性又は更には同一性から生じる不明確性を避けるためにリットルに関して用いる)。図4A〜4Cのそれぞれについて、水平軸上のXi(Pt)は0と1の間の範囲の触媒中の白金の質量分率を表し、一方、選択率、転化率、及び生産性は上記のように示され、図4Aはエタノール及び酢酸エチルへの触媒の選択率を表し、エタノールに関する選択率は50%の質量分率においてピークであり、ここでは、図4Bにおいて示すように酢酸の転化率もピークであり、図4Cに示すようにエタノールの生産性も同様である。
【0059】
図5A及びBは、高表面積シリカ上に担持されている本発明の最も好ましい触媒のエタノール製造に関する選択率及び生産性、並びにそれを用いて得られる高い生産性を示す。図5Aにおいては、触媒1kgあたり、運転1時間あたりのグラム数での生産性を縦軸上に示し、ここでは、エタノールに関する生産性は正方形によって表し、酢酸エチルの生産性は円によって表し、アセトアルデヒドの生産性は菱形によって表す。同様に、図5Bにおいては、以下に規定する選択率を運転時間(時)の関数として縦軸上に表し、ここでも酢酸エチルへの選択率は円によって表し、エタノールへの選択率は正方形によって表し、アセトアルデヒドへの選択率は菱形によって表す。
【0060】
図6A及びB並びに図7A及びBは、図5A及びBと同じ形式を用いて、カルシウムメタシリケート促進高表面積シリカをベースとする本発明の好ましい触媒を用いて低温において得られる選択率を示す。エタノールに関する選択率は運転中全体にわたって90%より高いことを認めることができる。
【0061】
図8〜12は、関連する実施例に関連して議論する。
下記において、例示及び例証のみの目的の複数の態様を参照して本発明を詳細に記載する。特許請求の範囲に示す本発明の精神及び範囲内での特定の態様に対する修正は、当業者に容易に明らかであろう。
【0062】
下記においてより具体的に定義しない限りにおいて、ここで用いる用語はその通常の意味で与えられ、「%」などの用語は他に示さない限りにおいて重量パーセントを指す。一般に、担体の組成を議論する場合には、組成におけるパーセントは酸素及びそれに結合しているイオン若しくは金属を包含し、一方、触媒金属の重量を議論する場合には、それに結合している酸素の重量は無視する。而して、95%のシリカ及び5%のアルミナを含む担体においては、この組成は101.94の式量を有するアルミナ及び60.09の式量を有するシリカに基づく。しかしながら、2%の白金及び3%のスズを有するものとして触媒を示す場合には、それに結合している可能性がある酸素の重量は無視する。
【0063】
「転化率」は、供給流中の酢酸を基準とするモルパーセントで表す。
【0064】
【化3】
【0065】
「選択率」は、転化した酢酸を基準とするモルパーセントで表す。例えば、転化率が50モル%で、転化した酢酸の50モル%がエタノールに転化する場合には、エタノール選択率を50%と呼ぶ。エタノール選択率は、ガスクロマトグラフィー(GC)データから下記のようにして計算する。
【0066】
【化4】
【0067】
理論に縛られることは意図しないが、本発明による酢酸のエタノールへの転化は、次の反応の1以上を包含すると考えられる。
酢酸のエタノールへの水素化;
酢酸の酢酸エチルへの水素化;
酢酸エチルのエチレン及び酢酸への分解;
エタノールのエチレンへの脱水。
【0068】
酢酸をエタノールへ接触分解するための選択的触媒は、
(i)シリカ、カルシウムメタシリケート、又はカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属と、スズ又はレニウムを組み合わせた触媒;
(ii)場合によっては、アルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される1〜5%の第1の促進剤(促進剤は、好ましくは、これらの促進剤のそれぞれの硝酸塩又は酢酸塩の形態で触媒配合物に加えられる)、特に好ましくはカリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、及び亜鉛によって促進されている、上記に記載のシリカ質担体上に担持されているパラジウムとレニウムを組み合わせた触媒;
(iii)シリカ質担体上のコバルトによって促進されている白金;及び
(iv)シリカ質担体上のコバルトによって促進されているパラジウム;
からなる群から選択されるものである。
【0069】
本発明方法は、当業者が容易に認めることができるように、固定床反応器又は流動床反応器を用いて種々の構成で実施することができる。本発明の多くの態様においては、「断熱」反応器を用いることがき、即ち、熱を加えるか又は除去するために反応区域を通る内部配管を用いる必要性は少しかないか又は全くない。或いは、熱伝達媒体を備えたシェルアンドチューブ反応器を用いることができる。多くの場合においては、反応区域は、単一の容器内か、或いはその間に熱交換を有する一連の複数の容器内に収容することができる。断熱反応器の構成は通常はチューブアンドシェルの構成よりもはるかに設備コストが少ないので、本発明の触媒を用いる酢酸還元プロセスを断熱反応器内で行うことができることは重要であると考えられる。
【0070】
当該技術において公知の種々の触媒担体を用いて、酢酸水素化触媒を担持することができる。かかる担体の例としては、限定なしに、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、グラファイト、及びこれらの混合物が挙げられる。シリカ、カルシウムメタシリケート、及びケイ酸カルシウムによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体を本発明のために用いることが好ましく、少なくとも99.7%のSiO2含量を有する焼成シリカは、固定床反応器において用いるのに十分に高密度の形態にペレット化すると特に望ましい。本発明者らは、場合によってカルシウムメタシリケートによって促進されている高純度の高表面積シリカ、特にSaint-Gobain NorProからのグレードHSA SS61138は、予期しなかったことに、本発明の触媒のための他の担体よりも優れていることを見出した。本発明において担体として用いるシリカは、少なくとも100m2/g、より好ましくは少なくとも150m2/g、より好ましくは少なくとも200m2/g、最も好ましくは約250m2/gの表面積を有することが好ましい。本明細書全体にわたって、「高表面積シリカ」という用語は、少なくとも250m2/gの表面積を有するシリカを意味すると理解すべきである。シリカ質担体の活性/安定性は、下記に記載するように少量の他の成分を含ませることによって変化させることができる。ペレット、押出物、球状体、噴霧乾燥形、環状、ペンタリング形、三つ葉形、及び四つ葉形などの任意の好都合な粒子形状を用いることができるが、本出願に関しては、一般に円筒形のペレットを用いることが好ましい。
【0071】
触媒担体の影響:
金属前駆体(即ち、ハロゲン:Cl−とハロゲンを含まないNO3−)及び製造条件の選択に加えて、得られる金属−担体相互作用は、下層の担体の構造及び特性に強く依存する。
【0072】
塩基性及び酸性の変性剤の効果を、種々のシリカ担持Pt−Sn材料に関して研究した。全ての材料に関してPtとSnとの間のモル比を1:1に保持し、全金属装填量も他に示さない限りにおいて一定に保持した。特に、SiO2、SiO2−TiO2、KA160(即ちSiO2−Al2O3)、及びH-ZSM5のような酸性担体上で製造された触媒は、酢酸の高い転化率を与えるが、エタノールへの選択率はより低い。興味深いことに、H-ZSM5触媒は、実際には、おそらくはエタノールからの脱水によって形成されるジエチルエーテルを主生成物として生成する。SiO2−TiO2及びKA160(即ちSiO2−Al2O3)をベースとする触媒は両方とも、高い転化率並びにEtOH及びEtOAcに関する同等の選択率を与え、いずれの場合においてもEtOAcが主生成物である。下層の触媒担体中にルイス酸性度が存在することは酢酸のより高い転化率のために有益である可能性があることが明らかである。SiO2−TiO2における酸性度は主としてルイス酸性度に基づくが、KA160(シリカ−アルミナ)材料は、残留酢酸及びEtOHからのEtOAcの形成を触媒することができる強酸性ブレンステッド部位も有する。H-ZSM5をベースとする触媒は、更に強酸性のゼオライトブレンステッド部位を有し、小孔による形状選択性もまた、エタノール脱水によるジエチルエーテルの酸触媒形成に寄与する可能性がある。研究されている任意の担体に塩基性変性剤を加えると、概して、酢酸転化率が大きく減少すると共に、エタノールへの選択率が増大した。92%のエタノールに関する最も高い選択率は、表Aの2番目のSiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して見られ、CaSiO3によって促進された純粋なTiO2も約20%の選択率でエタノールを生成した。SiO2−TiO2とTiO2−CaSiO3との間を比較することによって、酸性(ルイス)部位の部位密度も重要である可能性があり、触媒担体の酸性特性の更なる最適化は、おそらくは、塩基性及び酸性の促進剤を特定の製造方法と組合せて注意深く変化させることによって達成することができることが示唆される。
【0073】
【表1】
【0074】
KA160(SiO2−5%Al2O3)とKA160−CaSiO3促進触媒とを比較すると、エタノールへの選択率における大きなシフトが観察された。84%においては、この触媒による選択率はSiO2−CaSiO3ベースの材料に関して観察されるものよりもなお低いが、酢酸の転化率は、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して見られるもののほぼ倍である43%で維持される。表Aの2番目、6番目、及び7番目を参照。「酸性変性剤」特性に加えて、全てのCaSiO3で促進された材料は向上した長期間安定性を示す(より低い転化率ではあるが)ことが明らかである。具体的には、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)触媒は、種々の反応条件下において、220時間より長い反応時間にわたって10%未満の活性の低下を示した。また、SiO2及びSiO2−CaSiO3上で製造された2種類のRe−Pd触媒は、選択率に関して同様の傾向を示す。いずれの材料に関しても転化率は10%より低く保持されたが、CaSiO3促進材料に関してエタノールへの選択率における大きなシフトが観察された(表Aの9番目及び10番目)。生産性に関する更なる情報を表4に与える。
【0075】
したがって、理論には縛られないが、その表面上に存在する酸部位を中和する効果;又は表面を熱的に安定化する効果;のいずれかを有する非揮発性安定剤−変性剤を導入することにより酢酸水素化触媒のための酸化物担体を変性及び安定化することによって、エタノールへの選択率、長い触媒寿命、又は両方の所望の向上を達成することが可能になる。一般に、それらの最も安定な原子価状態の酸化物をベースとする変性剤は低い蒸気圧を有し、したがってどちらかというと非揮発性である。したがって、酸化物担体上の第VIII族金属(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、及びOs)又は他の遷移金属(特に、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW)をベースとする水素化触媒は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか、酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか、又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、イットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の塩基性非揮発性安定剤−変性剤を、担体の表面上又は担体それ自体の中へ含むことが好ましい。
【0076】
担体上の金属装填量は本発明においては非常に重要というわけではなく、約0.3重量%〜約10重量%の範囲で変化させることができる。触媒の重量を基準として約0.5重量%〜約6重量%の金属装填量が特に好ましい。極端に高価なために、白金族金属は通常はどちらかというと注意深く制御された量、しばしば全触媒組成物の10重量%未満で用いられる。0.25〜5%のような少量の白金をここで記載する他の触媒元素と組み合わせると、優れた選択率、寿命、及び活性を与えることができる。通常は、本発明の白金含有触媒においては、0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の白金を用いることが好ましい。白金−スズ触媒の場合においては、0.10〜5%のスズ、より好ましくは0.25〜3%のスズ、更により好ましくは0.5〜2.5%のスズ、最も好ましくは高表面積シリカ/カルシウムメタシリケート上に担持される場合には白金とスズとの1:1のモル比に多少近接して対応する約3%の白金及び約1.5%のスズの組合せ、或いはより低い重量%の白金に基づくより少ない相応の量を用いることが好ましい。この触媒に関しては、上記に記載の高純度高表面積シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカからなる群から選択されるシリカ質担体を用いることが好ましい。したがって、カルシウムメタシリケートの量は0〜100重量%の範囲で広範囲に変化させることができることを認めることができる。カルシウムメタシリケートはより低い表面積を有する傾向があるので、この触媒に関する我々の担体において少なくとも約10%の高表面積シリカを含ませることが好ましく、より好ましくは、我々の担体として、約95%の高表面積シリカである、250m2/gの表面積;12nmの中央孔径;水銀侵入ポロシメトリーによって測定して1.0cm3/gの全孔容積;及び約22lbs/ft3の充填密度;を有するSaint-Gobain NorProからのSS61138高表面積(HSA)シリカ触媒担体を用いることが好ましい。
【0077】
自動車用触媒及びディーゼル煤煙捕捉装置と同様のモノリシック担体上の洗浄被覆内に含侵するのではなく、我々の触媒は任意の種々の形状を有する時にはビーズ又はペレットとも呼ばれる粒子に成形し、多数のこれらの成形触媒を反応器内に配置することによって触媒金属を反応区域に供給するという意味では、本発明の触媒は粒子状触媒である。通常見られる形状としては、押出物の表面を画定する生成元が平行線であるという意味で一般的な円筒の形態をとる任意断面の押出物が挙げられる。球状体、噴霧乾燥微小球体、環、ペンタリング形、及び多葉形状が全て使用可能である。通常は、形状は、蒸気相を触媒試薬と有効に接触させる認められる能力に基づいて実験的に選択される。
【0078】
非常に好適な白金−スズ触媒は、約0.5%〜7.5%のカルシウムメタシリケートによって促進されている約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ上に担持されている約3重量%の白金、1.5重量%のスズを含む。本発明者らは、既に、この組成物を用いて280℃において、100時間の運転時間の触媒寿命を達成した。多くの場合において、上記記載の組成物において白金をパラジウムで部分的に置き換えることが可能である。
【0079】
前のパラグラフにおいて記載されているものと同様であるが、どちらかというと多量のコバルトによって促進されているより少ない量の非常のコスト高の白金を含む触媒は、良好な初期触媒活性を与えるが、上記記載の白金−スズ触媒と同等の長い触媒寿命を示さない傾向がある。この触媒のためのシリカ質担体に関する優先順位は、白金−スズ触媒のためのものと実質的に同一である。この種の好ましい触媒は、0.25〜5%の白金、より好ましくは0.3〜3%の白金、最も好ましくは0.5〜1.5%の白金を、約1%〜約20%のコバルト、より好ましくは約2%〜約15%のコバルト、より好ましくは約8〜12%のコバルトと組み合わせて含む。これらの触媒は上記に記載の白金−スズ触媒ほどは耐久性ではないが、多くの場合においては、これは、大きく減少した白金の必要量、白金族金属と比べてより低いコバルトのコスト、及び優れた初期選択率によって大きく相殺される。勿論、多くの場合においては、流れを適当に再生利用するか、又はより大きな反応器を用いることによって活性の欠如を補償することが可能であるが、劣った選択率を補償することはより困難であることがよく理解されている。
【0080】
レニウム又はコバルトによって促進されているパラジウムをベースとする触媒は、優れた触媒活性を多少低い選択率と共に与え、この選択率の損失は280℃より高い反応温度において更に悪化して、増加した量のアセトアルデヒド、二酸化炭素、及び更には炭化水素の形成を引き起こす。コバルト含有触媒は、通常は、対応するレニウム触媒よりも僅かに良好な選択率を示す。しかしながら、両方とも驚くほど長寿命の触媒活性を与えるが、両方とも、カルシウムメタシリケートによって安定化及び変性されている高純度アルミナ上の最も好ましい白金/スズ触媒のものと同じ程度に極めて優れた触媒寿命は与えない。ここでも、この触媒は、上記に記載の第I族、第II族、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにそれらに関する前駆体、並びにこれらの混合物によって安定化及び変性されているシリカ質担体上に担持させることができる。非常に好適な前駆体としては、亜鉛、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の酢酸塩及び硝酸塩が挙げられ、これらは場合によっては、酢酸塩及び/又は硝酸塩部分を除く金属の重量を基準として約1〜5%の量でシリカ質担体中に含ませることができる。
【0081】
本発明の他の態様においては、酸化還元活性変性剤、酸性変性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される変性剤をシリカ質担体中に導入し、それによってエタノール、酢酸エチル、及びアセトアルデヒドの間の相対的な選択率を変化させることによって、上記に記載の触媒を変性することができる。好適な酸化還元活性変性剤としては、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3が挙げられ、一方、酸性変性剤としては、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3が挙げられる。これらの変性剤をシリカ質担体中に慎重に導入することによって、触媒の活性を調整して、市場における変動及び種々の生成物に関する需要に合致した接触水素化の生成物の相対的な量のより望ましい分配を生成させることができる。通常は、これらの材料は、シリカ質担体中にその約1〜50重量%の範囲の量で含まれる。
【0082】
金属の含侵は、当該技術において公知の任意の方法を用いて行うことができる。通常は、含侵の前に、担体を120℃において乾燥し、約0.2〜0.4mmの範囲の寸法分布を有する粒子に成形する。場合によっては、担体をプレスし、粉砕し、所望の寸法分布に篩別することができる。担体材料を所望の寸法分布に成形する任意の公知の方法を用いることができる。触媒を製造する好ましい方法においては、白金族金属の好適な化合物及び/又は錯体のような白金族金属成分を用いて、担体、例えば担体粒子上での触媒成分の分散を達成することができる。白金族金属の水溶性化合物又は水分散性化合物或いは錯体を用いて、触媒金属化合物を担体粒子上に含侵又は堆積させることができる。白金族金属成分は、加熱するか及び/又は真空を施すことによって分解する。幾つかの場合においては、触媒を使用状態に配置し、運転中に遭遇する高温にかけるまでは、液体の除去の完了は起こらない。一般に、経済的な見地及び環境的な見地の両方から、白金族金属の可溶性化合物の水溶液が好ましい。例えば、好適な化合物は、クロロ白金酸、アミン可溶化水酸化白金、硝酸パラジウム又は塩化パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、塩化ナトリウム白金などであるが、エタノールが所望の生成物である場合にはハロゲンの使用を避けることが好ましい。か焼工程中か又は少なくとも触媒の初期使用段階中においては、かかる化合物は、白金族金属の触媒活性形態又はその触媒活性酸化物に転化する。しかしながら、一般的には、本発明者らはPt(NH3)4(NO4)2から製造される触媒は増加したエタノールへの選択率を示すと思われることを見出したので、塩化物を含まない白金族金属前駆体を用いることが好ましい。
【0083】
本発明の触媒が二元金属である限りにおいては、かかる場合には1つの金属は促進剤金属として機能し、他の金属は主金属であると一般的に考えられる。例えば、白金−スズ触媒の場合には、白金は本発明の水素化触媒を製造するための主金属と考えることができ、一方、スズは促進剤金属と考えられる。しかしながら、時には、特に所望の生成物であるエタノールに関する白金−スズ触媒の選択率が、スズの不存在下及び白金の不存在下の両方において0に近接する場合には、かかる区別は当てにならない可能性があることに注意すべきである。便宜上の理由により、1種類又は複数の白金族金属を主要触媒、他の金属を促進剤と呼ぶことが好ましい。これは、触媒活性の基本的なメカニズムを示すものと捉えるべきではない。
【0084】
2元金属触媒はしばしば2工程で含侵させる。まず「促進剤」金属を、次に「主」金属を加える。それぞれの含侵工程の後に乾燥及びか焼を行う。2元金属触媒はまた、共含侵によって製造することもできる。上記に記載のような促進2元金属触媒の場合には、「促進剤」金属の添加で開始し、次に2種類の主金属、即ちPt及びSnの共含侵を伴う第2の含侵工程を行う逐次含侵を用いることができる。例えば、SiO2上のPtSn/CaSiO3は、まずSiO2上にCaSiO3を含侵させ、次にクロロ白金酸、アミン可溶化水酸化白金、硝酸パラジウム又は塩化パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、塩化ナトリウム白金、Pt(NH3)4(NO4)2などの希釈混合物を共含侵させることによって製造することができる。ここでも、それぞれの含侵の後に乾燥及びか焼を行う。殆どの場合においては、含侵は金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、か焼によって金属イオンを放出する種々の他の可溶性塩を用いることもできる。含侵のために好適な他の金属塩の例としては、過レニウム酸溶液、金属シュウ酸塩などのような金属酸が挙げられる。実質的に純粋なエタノールを製造する場合には、白金族金属に関するハロゲン化前駆体の使用を避け、その代わりに窒素を含有するアミン及び/又は硝酸塩ベースの前駆体を用いることが一般的に好ましい。
【0085】
反応は、広範囲の条件下において蒸気状態で行うことができる。好ましくは、反応は蒸気相中で行う。例えば約125℃〜約350℃、より通常的には約200℃〜約325℃、好ましくは約225℃〜約300℃、最も好ましくは約250℃〜300℃の範囲の反応温度を用いることができる。圧力は一般に反応に対して重要ではなく、大気圧以下、大気圧、又は大気圧以上の圧力を用いることができる。しかしながら、殆どの場合においては、反応圧は約1〜30絶対気圧の範囲である。本発明方法の他の形態においては、水素化は、通常は選択される総毎時空間速度(GHSV)において触媒床を横切る圧力降下を克服するのに丁度十分な圧力において行うことができるが、より高い圧力の使用することに対する制約はなく、5000hr−1及び6,500hr−1の空間速度においては反応器床を通る相当な圧力降下に遭遇する可能性があり、これは本発明の触媒と共に容易に使用できると理解される。
【0086】
反応は、1モルのエタノールを製造するために酢酸1モルあたり2モルの水素を消費するが、供給流中の水素と酢酸との実際のモル比は広範囲の限界値の間、例えば約100:1〜1:100の間で変化させることができる。しかしながら、この比は約1:20〜1:2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、水素と酢酸とのモル比は約5:1である。
【0087】
本発明方法に関連して用いる原材料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマスなどをはじめとする任意の好適な源から誘導することができる。メタノールカルボニル化、アセトアルデヒドの酸化、エチレンの酸化、酸化発酵、及び嫌気発酵などによって酢酸を製造することは周知である。石油及び天然ガスは変動してより高価か又はより安価になるので、代替の炭素源から酢酸並びにメタノール及び一酸化炭素のような中間体を製造する方法に益々興味が持たれている。特に、石油が天然ガスと比べて比較的高価である場合には、任意の好適な炭素源から誘導される合成ガス(シンガス)から酢酸を製造することが有利になる可能性がある。例えば、Vidalinの米国特許6,232,352(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)においては、酢酸を製造するためにメタノールプラントを改造する方法が教示されている。メタノールプラントを改造することによって、新しい酢酸プラントのためのCO製造に関連する大きな設備コストが大きく減少するか又は大きく排除される。シンガスの全部又は一部をメタノール合成ループから迂回させ、分離器ユニットに供給してCO及び水素を回収し、これを次に酢酸を製造するために用いる。酢酸に加えて、このプロセスを用いて本発明に関して用いられる水素を製造することもできる。
【0088】
Steinbergらの米国特許RE35,377(これも参照として本明細書中に包含する)においては、石油、石炭、天然ガス、及びバイオマス材料のような炭素質材料を転化させることによってメタノールを製造する方法が与えられている。このプロセスは、固体及び/又は液体の炭素質材料を水素添加ガス化してプロセスガスを得て、これを追加の天然ガスで蒸気熱分解して合成ガスを形成することを含む。シンガスをメタノールに転化させ、これを酢酸にカルボニル化することができる。この方法では更に、上述のように本発明に関して用いることができる水素が生成する。Gradyらの米国特許5,821,111(ガス化によって廃バイオマスを合成ガスに転化させる方法が開示されている)、及びKindigらの米国特許6,685,754(これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)も参照。
【0089】
酢酸は、反応温度において気化させて、次に、非希釈状態か、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などのような比較的不活性のキャリアガスで希釈した状態で、水素と一緒に供給することができる。
【0090】
或いは、Scatesらの米国特許6,657,078(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている種類のメタノールカルボニル化ユニットのフラッシュ容器からの粗生成物として、蒸気形態の酢酸を直接回収することができる。粗蒸気生成物は、酢酸及び軽質留分を凝縮するか又は水を除去する必要なしに本発明の反応区域に直接供給することができ、これによって全体の処理コストが節約される。
【0091】
接触又は滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度、及び圧力のような変数によって広範囲に変化させることができる。通常の接触時間は、固定床以外の触媒系を用いる場合には1秒以下乃至数時間超の範囲であり、好ましい接触時間は、少なくとも蒸気相反応に関しては約0.5〜100秒の間である。
【0092】
通常は、触媒は、例えば、通常は蒸気形態の反応物質が触媒の上又は触媒を通して通過する細長いパイプ又はチューブの形状の固定床反応器内で用いる。所望の場合には、流動床又は沸騰床反応器のような他の反応器を用いることができる。幾つかの場合においては、水素化触媒をガラスウールのような不活性材料と組み合わせて用いて、触媒床を通る反応物質流の圧力降下、及び反応物質化合物と触媒粒子との接触時間を調節することができる。
【0093】
以下の実施例は、本発明方法において用いる種々の触媒を製造するために用いる手順を記載する。これらの製造例及び実施例の全体にわたって、「L」を用いる場合には、これは、多くのフォント及び/又はタイプフェースにおいて固有の小文字「l」、数字「1」、及び大文字「I」の間の不確実さを避けるために用いるものであり、用語の意味は共通の用法から生じるので、それに関する国際的な制約はないが「リットル」と示すと理解すべきである。
【実施例】
【0094】
触媒の製造(基本手順)
触媒担体は、使用前に循環空気下において120℃で一晩乾燥した。全ての市販の担体(即ち、SiO2、ZrO2)は、他に言及していない限りにおいて、14/30メッシュとしてか又はその元々の形状(1/16インチ又は1/8インチのペレット)で用いた。金属を加えた後に、粉末材料(即ちCaSiO3)をペレット化し、粉砕し、篩別した。以下のセクションにおいて、個々の触媒の製造を詳細に記載する。
【0095】
触媒製造例A
高純度低表面積シリカ上の0.5重量%白金及び5重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカNPSG SS61138(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(8mL)中の硝酸白金(Chempur)(0.82g)の溶液、及び希硝酸(1N、43.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0096】
触媒製造例B
高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を用いた他は、触媒製造例Aの手順を実質的に繰り返した。
【0097】
触媒製造例C
カルシウムメタシリケート上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を用い、触媒担体としてカルシウムメタシリケートを用いた他は、触媒製造例Bの手順を実質的に繰り返した。
【0098】
触媒製造例D
高表面積シリカ上の0.5重量%白金、0.5重量%スズ、及び0.2重量%コバルトの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカ(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(8mL)中の硝酸白金(Chempur)(0.82g)の溶液、及び希硝酸(1N、4.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(0.87g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。このか焼し冷却した材料に、蒸留水(2mL)中の硝酸コバルト6水和物(0.99g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0099】
触媒製造例E
高純度低表面積シリカ上の0.5重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(100g)を、オーブン内において、窒素雰囲気下120℃で一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0100】
触媒製造例F
高表面積シリカ上の2重量%白金及び2重量%スズの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高表面積シリカNPSG SS61138(100g)を、循環空気オーブン雰囲気中120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに硝酸塩6水和物(Chempur)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥し、次にか焼した。これに、蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含侵した触媒混合物を500℃においてか焼した(6時間、1℃/分)。
【0101】
触媒製造例G
5%のZnOによって促進された高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%スズの製造:
触媒製造例Fに記載の高表面積シリカに硝酸亜鉛6水和物の溶液を加えた他は、触媒製造例Fの手順を実質的に繰り返した。得られたスラリーを、オーブン内において110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥し、次にか焼した。その後、蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸(1N、8.5mL)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(1.74g)の溶液を、亜鉛によって促進された高表面積シリカに加えた。
【0102】
触媒製造例H
5%のSnO2によって促進された高表面積シリカ上の1重量%白金及び1重量%亜鉛の製造:
硝酸亜鉛6水和物に代えて酢酸スズ(Sn(OAc)2)の溶液、及び蒸留水中の硝酸白金:Pt(NH3)4(NO3)2(Aldrich)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を高表面積シリカに加えた他は、触媒製造例Gの手順を実質的に繰り返した。
【0103】
触媒製造例I
カルシウムメタシリケート上の1.5重量%白金、0.5重量%スズの製造:
蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及び希硝酸中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)の溶液を用いた他は、上記の触媒製造例Cの手順を繰り返した。
【0104】
触媒製造例J
高表面積シリカ上の1.5重量%白金、10重量%コバルトの製造:
蒸留水中の硝酸白金(Chempur)の溶液、及びオクタン酸第一スズに代えて硝酸コバルト(II)6水和物(1.74g)の溶液を用いて、上記の触媒製造例Hの手順を繰り返した。
製造した触媒の組成、及び同様の手順によって製造し、試験した他の触媒の組成の概要を表1に示す。
【0105】
触媒製造例K〜O
SiO2−PtxSn1−x(0<x<1):1.20ミリモルの全金属量(Pt+Sn)を維持しながら、Ptのモル分率を変化させて5種類の材料を調製した。次の製造例は、触媒製造例K:SiO2−Pt0.5Sn0.5(即ち、x=0.5;両方の金属が等モル比)に関する手順を記載する。残りの製造例(即ち、x=0、0.25、0.75、及び1.00;それぞれ、触媒製造例L、M、N、及びO)は、適当な量の金属前駆体:Pt(NH3)4(NO3)2及びSn(OAc)2を用いて同様に行った。触媒は、まずSn(OAc)2(酢酸スズ、AldrichからのSn(OAc)2)(0.1421g、0.60ミリモル)を、6.75mLの1:1希釈氷酢酸(Fisher)を含むガラスビンに加えることによって調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2323g(0.60ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2(Aldrich)を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥SiO2触媒担体(高純度シリカ触媒担体:HSA SS#61138、SA=250m2/g;SZ#61152、SA=156m2/g;Saint-Gobain NorPro)に滴加した。金属溶液を全て加えた後、全てのPt/Sn混合物がSiO2触媒担体に付加されるまで、フラスコを回転させながら金属溶液を連続的に撹拌した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。次に、フラスコをロータリーエバポレーター(浴温80℃)に取り付け、フラスコをゆっくりと回転させながら乾燥するまで排水した。次に、材料を120℃において更に一晩乾燥した後、次の温度プログラム:25℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持:を用いてか焼した。収量:5.2gの暗灰色の物質。
【0106】
触媒製造例P
SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):この材料は、まずCaSiO3(Aldrich)をSiO2触媒担体に加え、次に上記に記載のようにしてPt/Snを加えることによって調製した。まず、0.52gの固体を13mLの脱イオンH2Oに加え、次に1.0mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて10.0gのSiO2触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、SiO2−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:11.21gの暗灰色の物質。
【0107】
触媒製造例Q
CaSiO3−Pt(1)−Sn(1):テフロンコート磁気撹拌子を含む100mLの丸底フラスコに、40mLの1.0M−NHO3を加え、次に0.2025g(0.52ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。Pt錯体を撹拌しながら溶解し、次に0.2052g(0.87ミリモル)の固体のSn(OAc)2を加えた。次に、10.0gのCaSiO3(≦200メッシュ)を撹拌しながら加え、次に混合物を80℃に加熱し、この温度において2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて懸濁液を排水乾固させ、固体を磁器製の皿中に移し、循環空気下120℃において一晩乾燥した。か焼(25℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持)の後、材料をプレスし、加圧下でペレット化し(我々の特定のプレスは、40,000ポンドの力を15分間加える)、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:9.98gの小麦色の物質。
【0108】
触媒製造例R
SiO2−TiO2(10)−Pt(3)−Sn(1.8):以下のようにしてTiO2変性シリカ担体を調製した。2−プロパノール(14mL)中の4.15g(14.6ミリモル)のTi{OCH(CH3)2}4の溶液を、100mLの丸底フラスコ内において、10.0gのSiO2触媒担体(1/16インチの押出物)に滴加した。フラスコを室温において2時間放置し、次にロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて排水乾固させた。次に、20mLの脱イオンH2Oをフラスコにゆっくりと加え、材料を15分間放置した。次に、得られた水/2−プロパノールを濾過によって除去し、H2Oの添加を更に2回繰り返した。最終的な材料を、循環空気下120℃において一晩乾燥し、次に500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、SiO2−TiO2材料の全部を用いた。収量:11.98gの暗灰色の1/16インチの押出物。
【0109】
触媒製造例S
SiO2−WO3(10)−Pt(3)−Sn(1.8):以下のようにしてWO3変性シリカ担体を調製した。脱イオンH2O(14mL)中の1.24g(0.42ミリモル)の(NH4)6H2W12O40・nH2O(AMT)の溶液を、100mLの丸底フラスコ内において、10.0gのSiO2:NPSGSS 61138触媒担体(SA=250m2/g、1/16インチの押出物)に滴加した。フラスコを室温において2時間放置し、次にロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いて排水乾固させた。得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥し、次に500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、(明黄色の)SiO2−WO3材料の全部を用いた。収量:12.10gの暗灰色の1/16インチの押出物。
【0110】
触媒製造例T
(H−ZSM−5)−Pt(3)−Sn(1.8):H−ZSM−5(空気下550℃において8時間か焼することによってNH4−ZSM−5から調製した)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの1:1希酢酸に加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末H−ZSM−5を撹拌しながら溶液に加え、混合物を室温において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。か焼(250℃→160℃/5.0℃/分で昇温;2.0時間保持;160→500℃/2.0℃/分で昇温;4時間保持)の後、材料をプレスし、ペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:9.55gの灰色の物質。
【0111】
触媒製造例U
SiO2−RexPd1−x(0<x<1):1.20ミリモルの全金属量(Re+Pd)を維持しながら、Reのモル分率を変化させて5種類の材料を調製した。次の製造例は、SiO2−Re0.5Pd0.5(即ち、x=0.5;両方の金属が等モル量)に関する手順を記載する。残りの製造例(即ち、x=0、0.25、0.75、及び1.00)は、適当な量の金属前駆体:NH4ReO4及びPd(NO3)2を用いて同様に行った。まず、6.75mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、NH4ReO4(0.1609g、0.60ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.1154g(0.60ミリモル)の固体のPd(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥SiO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。次に、フラスコをロータリーエバポレーター(浴温80℃)に取り付け、排水乾固させた。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:5.1gの褐色の物質。
【0112】
触媒製造例V
SiO2−CaSiO3(5)−Re(4.5)−Pd(1):SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して記載したようにして、SiO2−CaSiO3(5)変性触媒担体を調製した(上記参照)。次に、SiO2−CaSiO3(5)(1/16インチ押出物)に、NH4ReO4及びPd(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって、Re/Pd触媒を調製した。まず、12.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、NH4ReO4(0.7237g、2.70ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.1756g(0.76ミリモル)の固体のPd(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥SiO2−(0.05)CaSiO3触媒担体に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−RexPd1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:10.9gの褐色の物質。
【0113】
触媒製造例W
CaSiO3−Re(5)−Pd(2.5):CaSiO3(粉末、≦200メッシュ)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの脱イオンH2Oに加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、0.6169g(2.30ミリモル)のNH4ReO4及び0.5847g(2.53ミリモル)のPd(NO3)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末CaSiO3を撹拌しながら溶液に加え、混合物を室温において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−RexPd1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。最終材料をプレスし、40,000ポンドの力を15分間加えるプレスを用いてペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:10.65gの褐色の物質。
【0114】
触媒製造例X
SiO2−Co(10)−Pt(1):HSA−SiO2(14/30メッシュ)に、Co(NO3)2・H2O及びPt(NH3)4(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって材料を調製した。まず、12.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、Co(NO3)2・6H2O(5.56g、19.1ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2255g(0.58ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥SiO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:11.35gの黒色の物質。
【0115】
触媒製造例Y
CaSiO3−Co(10)−Pt(1):CaSiO3(粉末、≦200メッシュ)のスラリー含侵によって材料を調製した。100mLの丸底フラスコ内において成分を40mLの脱イオンH2Oに加え、混合物を室温において15分間撹拌することによって、5.56g(19.1ミリモル)のCo(NO3)2・6H2O及び0.2255g(0.58ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2の水溶液を調製した。次に、10.0gの固体の微粉末CaSiO3を撹拌しながら溶液に加えた。次に、混合物を65℃に加熱し、この温度において更に2時間撹拌した。次に、ロータリーエバポレーター(浴温80℃)を用いてフラスコを排水乾固させ、得られた材料を循環空気下120℃において一晩乾燥した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−Co(10)−Pt(1)材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。最終材料をプレスし、加圧下でペレット化し、粉砕し、14/30メッシュに篩別した。収量:10.65gの黒色の物質。
【0116】
触媒製造例Z
ZrO2−Co(10)−Pt(1):ZrO2(SZ61152、Saint-Gobain NorPro、14/30メッシュ)に、Co(NO3)2・6H2O及びPt(NH3)4(NO3)2を含む水溶液を含侵させることによって材料を調製した。まず、5.0mLの脱イオンH2Oを含むガラスビンに、Co(NO3)2・6H2O(5.56g、19.1ミリモル)を加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.2255g(0.58ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、10.0gの乾燥ZrO2触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。金属溶液の添加が完了した後、含侵した触媒を含むフラスコを室温において2時間放置した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−Co(10)−Pt(1)材料に関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:11.35gの黒色の物質。
【0117】
触媒製造例AA
SiO2−CaSiO3(2.5)−Pt(1.5)−Sn(0.9):
0.26gのCaSiO3、0.5mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)、0.3355g(0.86ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2、及び0.2052g(0.86ミリモル)のSn(OAc)2を用いて、SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)に関して上記に記載したようにして材料を調製した。収量:10.90gの暗灰色の物質。
【0118】
触媒製造例BB
TiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):
まずCaSiO3をTiO2触媒(Anatase、14/30メッシュ)担体に加え、次に上記のようにしてPt/Snを加えることによって材料を調製した。まず、0.52gの固体を7.0mLの脱イオンH2Oに加え、次に1.0mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて10.0gのTiO2触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.6711g(1.73ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.4104g(1.73ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、TiO2−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:11.5gの明灰色の物質。
【0119】
触媒製造例CC
KA160−Pt(3)−Sn(1.8):
SiO2−PtxSn1−xに関して上記したようにしてKA160触媒担体(SiO2−(0.05)Al2O3、Sud Chemie、14/30メッシュ)の初期湿潤含侵によって材料を調製した(上記参照)。まず、Sn(OAc)2(0.2040g、0.86ミリモル)を、4.75mLの1:1希釈氷酢酸を含むガラスビンに加えることによって金属溶液を調製した。混合物を室温において15分間撹拌し、次に0.3350g(0.86ミリモル)の固体のPt(NH3)4(NO3)2を加えた。混合物を室温において更に15分間撹拌し、次に100mLの丸底フラスコ内において、5.0gの乾燥KA160触媒担体(14/30メッシュ)に滴加した。全ての他の操作(乾燥、か焼)は、SiO2−PtxSn1−xに関して上記に記載のようにして行った(上記参照)。収量:5.23gの小麦色の物質。
【0120】
触媒製造例DD
KA160−CaSiO3(8)−Pt(3)−Sn(1.8):
まずCaSiO3をKA160触媒担体に加え、次にKA160−Pt(3)−Sn(1.8)に関して上記に記載のようにしてPt/Snを加えることによって材料を調製した。まず、0.42gの固体を3.85mLの脱イオンH2Oに加え、次に0.8mLのコロイド状SiO2(15重量%溶液、NALCO)を加えることによって、CaSiO3(≦200メッシュ)の水性懸濁液を調製した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、次に初期湿潤法を用いて5.0gのKA160触媒担体(14/30メッシュ)に加えた。2時間放置した後、材料を蒸発乾固させ、次に循環空気下120℃において一晩乾燥し、500℃において6時間か焼した。次に、SiO2−PtxSn1−x材料に関して上記に記載した手順にしたがう、0.3350g(0.86ミリモル)のPt(NH3)4(NO3)2及び0.2040g(0.86ミリモル)のSn(OAc)2を用いるPt/Sn金属含侵のために、KA160−CaSiO3材料の全部を用いた。収量:5.19gの小麦色の物質。
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
オンラインGCによって生成物の分析を行った。1つの炎イオン化検出器(FID)及び2つの熱伝導検出器(TCD)を備える3チャンネル小型GCを用いて、反応物質及び生成物を分析した。
【0124】
フロントチャンネルには、FID及びCP-Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)を取り付け、これを用いて、アセトアルデヒド;エタノール;アセトン;酢酸メチル;酢酸ビニル;酢酸エチル;酢酸;エチレングリコールジアセテート;エチレングリコール;エチリデンジアセテート;及びパラアルデヒド;を定量した。
【0125】
ミドルチャンネルには、TCD及びPorabond Qカラムを取り付け、これを用いて、CO2;エチレン;及びエタン;を定量した。
バックチャンネルには、TCD及びMolsieve 5Aカラムを取り付け、これを用いて、 ヘリウム;水素;窒素;メタン;及び一酸化炭素;を定量した。
【0126】
反応の前に、個々の化合物をスパイクすることによって異なる成分の保持時間を求め、公知の組成の較正用ガス又は公知の組成の液体溶液のいずれかを用いてGCを較正した。これによって、種々の成分に関する応答係数を求めることができた。
【0127】
実施例1
30mmの内径を有し、制御された温度に昇温することができるステンレススチール製の管状反応器内に、上記の触媒製造例Cに記載のようにして製造した50mLの触媒を配置した。充填後の合計の触媒床の長さは約70mmであった。
【0128】
供給液は、実質的に酢酸を含んでいた。反応供給液を蒸発させ、水素及びキャリアガスとしてヘリウムと共に、2500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)を用い、250℃の温度及び100psigの圧力で反応器に充填した。供給流は、約6.1%〜約7.3%のモル%の酢酸、及び約54.3%〜約61.5%のモル%の水素を含んでいた。流出流の内容物の分析のために、反応器からの蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。85%の酢酸の転化率において、エタノールへの選択率は93.4%であった。
【0129】
用いた触媒は、触媒製造例Aの手順にしたがって製造したシリカ上の1重量%の白金及び1重量%のスズであった。
実施例2
用いた触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造したケイ酸カルシウム上の1重量%の白金及び1重量%のスズであった。
【0130】
2,500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用い、250℃の温度及び22barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は70%より大きく、エタノール選択率は99%であった。
【0131】
比較例1
用いた触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造した低表面積高純度シリカ上の1重量%のスズであった。
【0132】
2,500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用い、250℃の温度及び22barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は10%未満であり、エタノール選択率は1%未満であった。
【0133】
実施例3
種々の触媒を用い、生成物中の一酸化炭素(CO)、アセトアルデヒド(AcH)、及びエタンのパーセント、並びに酢酸エチル(EtOAc);エタノール(EtOH)への選択率及びその生産性、並びに酢酸(HOAc)の転化率(MCD p.4)を示す表2に示す温度において、実施例2の手順を繰り返した。反応中にわたって、H2と酢酸とのモル比を5:1に保持した。便宜上のために、実施例1及び2並びに比較例1の結果も表2に含ませる。一般的に言えば、主生成物としてエタノールを製造することが所望の場合には、80%程度より高いエタノールへの選択率が望ましく、5%未満、好ましくは3%未満の酢酸エチルへの選択率が望ましい。
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
実施例4
約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ(NPSG SS61138)上の2重量%Pt;及び2重量%Sn;を含む本発明の水素化触媒上に、気化酢酸及び水素を、約160sccm/分−H2:0.09g/分−HOAcの水素と酢酸との比で、水素は約60sccm/分のN2で希釈して、約6570hr−1の空間速度及び200psigの圧力で通過させた。図1及び2に示すように、約50時間、70時間、及び90時間において温度を上昇させた。ここでは、触媒1kgあたり1時間あたりの示された生成物(エタノール、アセトアルデヒド、及び酢酸エチル)の生産性(g)を図1に示し、種々の生成物に関する触媒の選択率を図2に示し、上の線は酢酸エチルの生産性又はそれへの選択率を示し、中央の線はエタノールを示し、下の線はアセトアルデヒドを示す。アセトアルデヒドの生産性及びそれに関する選択率は低かったことは特に重要であると考えられる。結果を下記のデータの概要において要約する。
【0138】
【表7】
【0139】
実施例5
Saint-Gobain NorProからの高表面積シリカSS61138のペレットを含む触媒上に2重量%Pt;2重量%Snが担持されている触媒を用い、2500hr−1の平均合計気体空間速度(GHSV)の気化酢酸、水素、及びヘリウムの供給流を用い、表2に示す指示温度及び100psigの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。得られた供給流は、約7.3%のモル%の酢酸、及び約54.3%のモル%の水素を含んでいた。流出流の内容物の分析のために、蒸気流出流の一部をガスクロマトグラフに通した。結果を表1に示す。
【0140】
【表8】
【0141】
実施例5の結果を図3に要約する。これは、温度変化に対する触媒の相対的非感受性によって、この触媒が、反応器からの熱除去の低く不均一な速度のために触媒床上で温度が大きく変化する可能性がある所謂断熱反応器において用いるのに適切であることを示す。
【0142】
実施例6
(i)一定の金属装填量([Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)においてPtのモル分率を変化させ、そして(ii)還元温度の関数として、SiO2−PtxSn(1−x)触媒における[Sn]/[Pt]のモル比の影響を研究した。酢酸の転化率及びエタノールへの選択率の両方に関して、0.5のPtモル分率(即ち、[Sn]/[Pt]=1.0)において明確な最大値が観察された。酢酸エチルへの選択率は、[Sn]/[Pt]=1.0においてエタノール優勢に鋭く変化した。25%又は75%のいずれかのPtモル分率において、酢酸エチルが主生成物として観察された。等モル比のPt及びSnの存在は、酢酸転化率及びエタノールへの選択率の両方の増加に好ましいことが明らかである(図4A〜Cを参照)。
【0143】
気化酢酸(0.09g/分のHOAc)及び水素(160sccm/分のH2;60sccm/分のN2)を、約250m2/gの表面積を有する高表面積シリカ上のPt及びSnを含む本発明の水素化触媒の上に、250℃の温度;6570hr−1のGHSV;12時間の反応時間;で通過させた。実施例6においては、金属(Pt+Sn)の量を一定に保持し、白金の質量分率を0〜1の間で変化させた。図4A〜4Cは、それぞれにおける触媒の選択率、活性、及び生産性を示す。この実施例から、白金の質量分率が約0.5であり、即ち触媒において白金の重量量がスズの量と実質的に等しい場合に、選択率、活性、及び生産性において最大値が現れることを認めることができる。
【0144】
実施例7
気化酢酸及び水素を、約250m2/gの表面積を有する高純度高表面積シリカ上の、3重量%のPt、1.5重量%のSn、及び促進剤として5重量%のCaSiO3を含む本発明の水素化触媒の上に、約5:1の水素と酢酸とのモルで、約225℃の温度において通過させた。図5A及び5Bは、触媒寿命の初期部分中における運転時間の関数としての触媒の選択率及び生産性を示す。図6A及び6Bに報告するこの実施例の結果から、90%を超えるエタノールの選択率活性及び触媒1kgあたり1時間あたり500gを超えるエタノールの生産性を達成することができることを認めることができる。
【0145】
実施例8
約250℃の温度において実施例8の手順を繰り返した(同じ触媒?)。図7A〜7Bは、触媒寿命の初期部分中における運転時間の関数としての触媒の選択率及び生産性を示す。図7A及び7Bに報告するこの実施例の結果から、この温度においては、90%を超えるエタノールの選択率活性を、触媒1kgあたり1時間あたり800gを超えるエタノール生産性と共に達成することが更に可能であることを認めることができる。
【0146】
実施例9
二元白金−スズ前駆体を触媒種に還元するために用いる温度の感受性を調べるために、225〜500℃の独立した実験においてPt/Snを最適化したSiO2−(Pt0.5Sn0.5)触媒(下記参照)を活性化することによって、還元温度の影響を調べた。4つの実験において、材料を280、350、425、及び500℃において、流動水素下で4時間活性化し、次に250℃の反応温度において酢酸還元した(触媒活性化は、10モル%のH2/N2混合物(275sccm/分)を用い、雰囲気圧力下において、次の温度プログラム:室温→還元温度(225〜500℃)、2℃/分で昇温;4.0時間保持;次にHOAc還元のために250℃に低下(又は必要に応じて昇温):を用いて行った。更に、225℃において活性化した材料を、HOAc水素化における225及び250℃の両方の反応温度において研究した。両方の反応温度:225及び250℃に関して、225℃において活性化した触媒に関するものを含む全温度範囲にわたって、エタノール及び酢酸エチルへの選択率の大きな変化は観察されなかった。興味深いことに、より低い225及び280℃の還元温度において活性化した触媒に関しては、転化率(及び生産性)における大きな増加が観察された。より高い還元温度における転化率の減少は、金属粒子の焼結が原因である可能性がある(図7A及び7Bを参照)。選択率の変化は観察されなかったので、金属粒子(即ちPtSn合金)の組成は変化しないで保持されていることが明らかである。この実施例の結果を図3A〜3Cに示す。
【0147】
これらの実施例においては、アセトアルデヒド、エタノール、酢酸エチル、エタン、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、イソプロパノール、アセトン、及び水などの種々の他の生成物が検出された。
【0148】
実施例10
表4に示す触媒の2.5mLの固体触媒を用いて、種々の触媒の触媒特性を酢酸の接触水素化において評価した。それぞれの場合において、触媒粒子は14/30メッシュの寸法を有し、14/30メッシュの石英片で1:1v/vに希釈した。それぞれの実験において、運転圧力は200psig(14bar)であり、0.09g/分の酢酸;120sccm/分の水素;60sccm/分の窒素;の供給速度;6570hr−1の総毎時空間速度で、24時間の運転時間(TOS)の期間にわたって行った。結果を表4に示す。
【0149】
【表9】
【0150】
【表10】
【0151】
実施例11
触媒安定性:SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8):SiO2−CaSiO3(5)−Pt(3)−Sn(1.8)の触媒性能及び初期安定性を、一定の温度(260℃)において100時間の反応時間にわたって評価した。100時間の全反応時間にわたって、触媒性能及び選択率の小さい変化しか観察されなかった。アセトアルデヒドが唯一の副生成物であると思われ、その濃度(約3重量%)は実験中にわたって大きくは変化しないで保持された。触媒の生産性及び選択率の概要を図5A及び5Bに与える。生成物選択率に対する反応温度の影響を、別の実験において125時間の全反応時間にわたって調べた。上記参照。
【0152】
実施例12
5%のCaSiO3によって安定化した高純度高表面積SiO2上の3%Pt:1.5%Snの酢酸の水素化における生産性及び選択率を、通常の範囲の運転条件の水素化及びエステル化反応によって主としてアセトアルデヒド、エタノール、酢酸エチルを製造する固定床連続反応器システムを用い、2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片によって希釈))を用い、200psigの圧力において;0.09g/分−HOAc;160sccm/分−H2;60sccm/分−N2;の供給速度;及び6570hr−1のGHSV;を用いて、225℃において15時間の運転時間で調べた。結果を図6A及び6Bに示す。
【0153】
実施例13
2.5mLの固体触媒(14/30メッシュ、1:1に希釈(v/v、14/30メッシュの石英片によって希釈))を用い、200psig(14bar)の圧力において;0.09g/分の酢酸を160sccm/分−水素及び希釈剤として60sccm/分−窒素と共に供給して;250℃の温度において;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で、一定の金属装填量([Pt]+[Sn]=1.20ミリモル)においてReのモル分率を変化させることによってRexPd(1−x)のモル比を触媒間で変化させたSiO2中のRe及びPdを含む触媒の生産性及び選択率を調べた。約0.6のReモル分率において酢酸の最大転化率が観察されたが、約0.78のReモル分率においてはエタノールしか主生成物にならなかった。ReとPdの間のこのモル比(「Re7Pd2」と示される)においては、酢酸エチルへの選択性はエタノール優勢に狭く変化した。重要なことには、上記のPd/Snのシリーズに関して示されるように、特定の比の2種類の金属の存在は、特定の生成物の選択性のための主要な構造的要件であることが明らかである。即ち、選択性は[Re]/[Re+Pd]=0.78においてエタノールに向かってシフトしている(図8、9、及び10:これはXi(Re)が触媒中のレニウムの質量分率を示す以外は図4A〜Cと同じ形式で示す:を参照)。しかしながら、Pt/Sn材料とは対照的に、酢酸の最大転化率及びエタノールへの選択率はこれらの材料とは一致せず、エタノールへの優先的な選択性は低いHOAc転化率においてしか観察されなかった。したがって、最大の生産性は、エタノールに関してではなく、酢酸エチルに関して見られる。図8を参照。更に、CaSiO3−Re(5)−Pd(2.5)触媒を用いると、約30%の酢酸転化率及び僅か225℃の反応温度において、炭化水素(メタン及びエタン;それぞれ5.3及び2.4重量%)の形成が観察された。酢酸のより高い転化率はおそらくは反応温度を上昇させることによって得ることができるが、炭化水素の量もおそらくは同様に増加し、したがってRe/Prベースの触媒系の全体的な効率が限定される。
【0154】
実施例14
SiO2上のシリカ担持白金(1%)コバルト触媒(Co装填量=10重量%)を用いた初期触媒スクリーニングによって、高い酢酸転化率及びエタノールへの約80%の選択率が得られた。図11及び12(ここでは、選択率及び活性は上記で定義した通りであり、エタノールに関する結果は正方形によって表し、酢酸エチルに関する結果は円によって表し、アセトアルデヒドは菱形、エタンは三角形によって表す)を参照。しかしながら、9時間の反応時間の間に酢酸選択率が約80%から42%に低下したので、触媒が劣化することが明らかである。更に、生産性における大きな変化も同様に観察され、酢酸エチル及びアセトアルデヒドへの選択率が増加すると共にエタノール選択率が低下した。シリカ上に担持されている10%のコバルトを用いて同様の結果が観察された。
【0155】
実施例15
200psigの圧力の気化酢酸(0.09g/分−HOAc)及び水素(160sccm/分−H2;60sccm/分−N2)を、水素形態のZSM−5モレキュラーシーブを含む担体上の3重量%Pt及び1.8重量%Snを含む本発明の水素化触媒上に、250℃の温度;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で通過させた。4%の酢酸エチルと共に、ジエチルエーテルが96%の選択率及び2646g/kg/時の生産性で観察され、78%の酢酸は未反応のままであった。
【0156】
実施例16
200psigの圧力の気化酢酸(0.09g/分−HOAc)及び水素(160sccm/分−H2;60sccm/分−N2)を、高表面積グラファイトを含む担体上の2重量%Pt及び1重量%Snを含む本発明の水素化触媒上に、275℃;6570hr−1のGHSVにおいて;12時間の反応時間で通過させた。酢酸エチルへの選択率は43%、エタノールへの選択率は57%であり、酢酸エチルの生産性は66g/kg/時であり、エタノールの生産性は88g/kg/時であり、酢酸の転化率は12%であった。
【0157】
本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(それらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると、更なる例示は不要であると考えられる。更に、下記及び/又は特許請求の範囲において示す本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができると理解すべきである。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
【0158】
而して、本発明によれば、酢酸に基づく水素化生成物を与えるための新規な方法及び触媒が提供される。
例えば、第1態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ質担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにシリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法である。
【0159】
第2態様は、水素化触媒がシリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、シリカ質担体が変性シリカ質担体であり、変性シリカ質担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、第1態様の方法である。
【0160】
第3態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0161】
第4態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第2態様の方法である。
第5態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第3態様の方法である。
【0162】
第6態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0163】
第7態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第5態様の方法である。
第8態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第6態様の方法である。
【0164】
第9態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0165】
第10態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第9態様の方法である。
第11態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第10態様の方法である。
【0166】
第12態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0167】
第13態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第12態様の方法である。
第14態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第12態様の方法である。
【0168】
第15態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第2態様の方法である。
【0169】
第16態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第15態様の方法である。
第17態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第16態様の方法である。
【0170】
第18態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第2態様の方法である。
第19態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第16態様の方法である。
【0171】
第20態様は、担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第18態様の方法である。
第21態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第20態様の方法である。
【0172】
第22態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第20態様の方法である。
第23態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第20態様の方法である。
【0173】
第24態様は、担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第2態様の方法である。
第25態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する,第24態様の方法である。
【0174】
第26態様は、担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第24態様の方法である。
第27態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第24態様の方法である。
【0175】
第28態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第24態様の方法である。
第29態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第24態様の方法である。
【0176】
第30態様は、担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第2態様の方法である。
第31態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第30態様の方法である。
【0177】
第32態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第30態様の方法である。
第33態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第30態様の方法である。
【0178】
第34態様は、変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、第33態様の方法である。
第35態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;(b)白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして(d)変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;第2態様の方法である。
【0179】
第36態様は、存在する白金の量が少なくとも1重量%である、第35態様の方法である。
第37態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約100g/mであり;(b)スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;そして(c)変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;第2態様の方法である。
【0180】
第38態様は、存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、第37態様の方法である。
第39態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
【0181】
第40態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
第41態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて336時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、第40態様の方法である。
【0182】
第42態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第38態様の方法である。
第43態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満がアルカンに転化し;(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度で、2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、第42態様の方法である。
【0183】
第44態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;(b)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;(c)変性シリカ質担体が少なくとも約95%の純度を有するシリカを含み、変性剤が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第43態様の方法である。
【0184】
第45態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに酸化物担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法である。
【0185】
第46態様は、水素化触媒が酸化物担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、酸化物担体が変性酸化物担体であり、変性酸化物担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、第45態様の方法である。
【0186】
第47態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0187】
第48態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第47態様の方法である。
第49態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第47態様の方法である。
【0188】
第50態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0189】
第51態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第50態様の方法である。
第52態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第51態様の方法である。
【0190】
第53態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0191】
第54態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第53態様の方法である。
第55態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第54態様の方法である。
【0192】
第56態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0193】
第57態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第56態様の方法である。
第58態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第57態様の方法である。
【0194】
第59態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第46態様の方法である。
【0195】
第60態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第59態様の方法である。
第61態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第60態様の方法である。
【0196】
第62態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第46態様の方法である。
第63態様は、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、第62態様の方法である。
【0197】
第64態様は、担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第62態様の方法である。
第65態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第64態様の方法である。
【0198】
第66態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第64態様の方法である。
第67態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第64態様の方法である。
【0199】
第68態様は、担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第46態様の方法である。
第69態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する、第68態様の方法である。
【0200】
第70態様は、担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第68態様の方法である。
第71態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第68態様の方法である。
【0201】
第72態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第68態様の方法である。
第73態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第68態様の方法である。
【0202】
第74態様は、担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第46態様の方法である。
第75態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第74態様の方法である。
【0203】
第76態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第74態様の方法である。
第77態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第74態様の方法である。
【0204】
第78態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、変性安定化シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性されている少なくとも約95重量%の純度を有するシリカを含み;白金及びスズの量及び酸化状態、白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体中の安定剤−変性剤とシリカとの相対割合、並びに変性安定化シリカ質担体中のシリカの純度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する上記方法である。
【0205】
第79態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第78態様の方法である。
第80態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、第79態様の方法である。
【0206】
第81態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第80態様の方法である。
第82態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第80態様の方法である。
【0207】
第83態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第79態様の方法である。
第84態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第78態様の方法である。
【0208】
第85態様は、(a)白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、そして(b)スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する、第84態様の方法である。
第86態様は、変性安定化シリカ質担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、第84態様の方法である。
【0209】
第87態様は、スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、第84態様の方法である。
第88態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第84態様の方法である。
【0210】
第89態様は、スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、第84態様の方法である。
第90態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、第87態様の方法である。
【0211】
第91態様は、スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、第90態様の方法である。
第92態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第90態様の方法である。
【0212】
第93態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第90態様の方法である。
第94態様は、変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、第90態様の方法である。
【0213】
第95態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;(b)白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして(d)変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第78態様の方法である。
【0214】
第96態様は、存在する白金の量が少なくとも1重量%である、第95態様の方法である。
第97態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100g/mであり;(b)スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;そして(c)変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第78態様の方法である。
【0215】
第98態様は、存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、第97態様の方法である。
第99態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
【0216】
第100態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
第101態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第100態様の方法である。
【0217】
第102態様は、触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、第98態様の方法である。
第103態様は、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように制御する、第79態様の方法である。
【0218】
第104態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の1%未満がアルカンに転化するように制御し;(b)変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;(c)スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;(d)変性安定化シリカ質担体が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;第79態様の方法である。
【0219】
第105態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0220】
第106態様は、担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体である、第105態様の方法である。
【0221】
第107態様は、担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含む、第105態様の方法である。
第108態様は、炭素担体が還元性金属酸化物によって変性されている、第107態様の方法である。
【0222】
第109態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、pとz及び存在するアルミニウム及びカルシウムの相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され、p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0223】
【化5】
【0224】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法である。
【0225】
第110態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びpがp≧zであるように制御される、第109態様の方法である。
第111態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面がブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される、第110態様の方法である。
【0226】
第112態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御し;更に、(i)担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体であるか;(ii)担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含むか;或いは(iii)担体が還元性金属酸化物によって変性されている炭素担体である;ことを条件とする上記方法である。
【0227】
第113態様は、少なくとも約2:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の白金、パラジウム、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;並びに、スズ、レニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される促進剤;を含む水素化触媒上に通すことを含むアルカン酸の水素化方法であって、シリカ質担体が、場合によっては、(a)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択される促進剤;(b)触媒の1〜50重量%の量のWO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;並びに、(c)触媒の1〜50重量%の量のTiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;からなる群から選択される促進剤によって促進されている上記方法である。
【0228】
第114態様は、アルカン酸が酢酸であり、(a)白金及びパラジウムの少なくとも一方が触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し;(b)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の0.5重量%であり;(c)存在するレニウム及びスズの合計量が少なくとも0.5〜10重量%である、第113態様の方法である。
【0229】
第115態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第114態様の方法である。
第116態様は、(a)白金族金属、レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態、並びに(b)白金族金属と存在するレニウム及びスズの合計モル数とのモル比;並びに(c)シリカ質担体上のブレンステッド酸部位の数を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第115態様の方法である。
【0230】
第117態様は、(a)白金及びパラジウムの少なくとも一方が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;(b)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の重量の0.75%〜5%であり;(c)存在するスズ及びレニウムの合計量が少なくとも触媒の1.0重量%である、第115態様の方法である。
【0231】
第118態様は、(a)(i)白金族金属、(ii)レニウム及びスズ促進剤の量及び酸化状態;並びに(iii)白金族金属とレニウム及びスズ促進剤との比;並びに(iv)シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、第117態様の方法である。
【0232】
第119態様は、存在するレニウム及びスズの合計重量が触媒の約1〜10重量%である、第118態様の方法である。
第120態様は、白金族金属とレニウム及びスズの合計のモル数とのモル比が約1:2〜約2:1である、第119態様の方法である。
【0233】
第121態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyCapSiqOr
(式中、v:yの比は3:2〜2:3の間であり、w:xの比は1:3〜1:5の間であり、p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0234】
【化6】
【0235】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法である。
第122態様は、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値が、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択される、第121態様の方法である。
【0236】
第123態様は、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値が、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように選択される、第122態様の方法である。
【0237】
第124態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が実質的に塩基性であることを確保するように選択される、第122態様の方法である。
第125態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzCapSiqOr
(式中、vとyは3:2〜2:3の間であり、wとxは1:3〜1:5の間であり、p及びz、及び存在するアルミニウム及びカルシウム原子の相対位置は、その表面上に存在するブレンステッド酸部位がケイ酸カルシウムによって中和されるように制御され;p及びqはp:qが1:20〜1:200であるように選択され;rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0238】
【化7】
【0239】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法である。
第126態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有し、z及びpがp≧zであるように制御される、第125態様の方法である。
【0240】
第127態様は、pが、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面がブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択される、第125態様の方法である。
【0241】
第128態様は、少なくとも約5:1の水素とアルカン酸とのモル比の蒸気相の水素及びアルカン酸を含む気体流を約125℃〜350℃の間の温度で、少なくとも約1000hr−1のGHSVにおいて、少なくとも2気圧の圧力で、(a)シリカ、カルシウムメタシリケート、及びカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;並びに、(b)スズ及びレニウム並びにこれらの混合物からなる群から選択される金属促進剤;を含み;(c)シリカ質担体が、場合によっては、(i)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;(ii)触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;(iii)触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びに(iv)i、ii、及びiiiの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含むアルカン酸の水素化方法である。
【0242】
第129態様は、アルカン酸が酢酸であり、(a)白金が、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、(b)パラジウムが、存在する場合には触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し、(c)金属促進剤が少なくとも0.5〜10%の量で存在する、第128態様の方法である。
【0243】
第130態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、第129態様の方法である。
第131態様は、(a)白金が触媒の重量の1%〜5%の量で存在し、(b)パラジウムが、存在する場合には触媒の重量の0.25%〜5%の量で存在し、(c)存在する白金及びパラジウムの合計量が少なくとも触媒の1.25重量%である、第130態様の方法である。
【0244】
第132態様は、スズが触媒の1〜3重量%の量で存在する、第131態様の方法である。
第133態様は、スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、第132態様の方法である。
【0245】
第134態様は、スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、第132態様の方法である。
第135態様は、シリカ質担体が、カルシウムメタシリケートによって中和されていないブレンステッド酸部位を実質的に含まず、その表面積が少なくとも約200m2/gである、第132態様の方法である。
【0246】
第136態様は、スズを白金族金属との重量比が約2:3〜約3:2である、第132態様の方法である。
第137態様は、スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、第128態様の方法である。
【0247】
第138態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0248】
第139態様は、担体が、モレキュラーシーブ担体;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている変性シリカ質担体;並びに炭素担体;から選択される、第138態様の方法である。
【0249】
第140態様は、触媒金属が白金及びスズを含み、ジエチルエーテルへの選択率が80%より高い、第139態様の方法である。
第141態様は、担体がゼオライト担体であり、ジエチルエーテルへの選択率が90%より高い、第107態様の方法である。
【0250】
第142態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、(a)シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上の、白金、及び白金とパラジウムの混合物からなる群から選択される白金族金属(存在する白金族金属の量は少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量は少なくとも約1.5%である);並びに、(b)触媒の約1重量%〜2重量%の間の量のレニウム及びスズからなる群から選択される金属促進剤;を含み;白金と金属促進剤とのモル比が約3:1〜1:2の間であり;(c)シリカ質担体は、場合によっては、(i)触媒の1〜5重量%の量のアルカリ金属、アルカリ土類元素、及び亜鉛からなる群から選択されるドナー促進剤;(ii)触媒の1〜50重量%の量の、WO3、MoO3、Fe2O3、及びCr2O3からなる群から選択される酸化還元促進剤;(iii)触媒の1〜50重量%の量の、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Ta2O5、及びAl2O3からなる群から選択される酸性変性剤;並びに(iv)i、ii、及びiiiの組合せ;からなる群から選択される第2の促進剤によって促進されている水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び酢酸エチルを製造する方法である。
【0251】
第143態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約2:3〜約3:2である、第142態様の方法である。
第144態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約5:4〜約4:5である、第142態様の方法である。
【0252】
第145態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり、カルシウムメタシリケートの量がシリカ質担体の表面を実質的にブレンステッド酸性度を含まないようにするのに十分なものである、第142態様の方法である。
【0253】
第146態様は、金属促進剤と白金族金属とのモル比が約2:3〜約3:2である、第145態様の方法である。
第147態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数以下である、第146態様の方法である。
【0254】
第148態様は、シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり、その表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数がSaint-Gobain NorPro HSA SS61138シリカの表面上に存在するブレンステッド酸部位のモル数の1/2以下である、第142態様の方法である。
【0255】
第149態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;(a)水素化触媒が、シリカ、及び約7.5以下のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体上のパラジウム(存在するパラジウムの量は少なくとも約1.5%である)を含み;そして(b)金属促進剤が触媒の約1重量%〜10重量%の間の量のレニウムであり、レニウムとパラジウムとのモル比が約3:1〜5:1の間である、第142態様の方法である。
【0256】
第150態様は、水素化触媒が、約3〜約7.5%のケイ酸カルシウムによって促進されているシリカから実質的に構成されるシリカ質担体上の白金(存在する白金の量は少なくとも約1.0%である)、及び触媒の約1重量%〜5重量%の間の量のスズ促進剤から実質的に構成され、白金とスズとのモル比が約9:10〜10:9の間である、第142態様の酢酸の還元方法である。
【0257】
第151態様は、存在する白金族金属の量が少なくとも約2.0%であり、存在する白金の量が少なくとも約1.5%であり、スズ促進剤が触媒の約1重量%〜5重量%の間の量であり、白金とスズとのモル比が約9:10〜10:9の間である、第142態様の酢酸の還元方法である。
【0258】
第152態様は、約250℃〜300℃の間の温度において行い;水素化触媒が、少なくとも200m2/gの表面積を有し、4〜7.5%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されている高表面積シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の白金、2重量%〜5重量%のスズを含む、第151態様の方法である。
【0259】
第153態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている金属成分から実質的に構成され、組成:
PtvPdwRexSnyAlzTinCapSiqOr
(式中、vとyとの比は3:2〜2:3の間であり、wとxとの比は1:3〜1:5の間であり、p及びz、並びにp、q、及びnは
【0260】
【化8】
【0261】
となるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは
【0262】
【化9】
【0263】
となるように選択される)
を有する水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノール及び少なくとも約40%の酢酸エチルを含む流れを製造する方法である。
【0264】
第154態様は、水素化触媒が少なくとも約100m2/gの表面積を有する、第153態様の方法である。
第155態様は、少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む酢酸の水素化方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の50%より多くが酢酸エチルに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法である。
【0265】
第156態様は、(a)シリカ、及び約3.0〜約7.5のカルシウムメタシリケートによって促進されているシリカからなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び、(b)触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み;白金とスズとのモル比は約4:3〜3:4の間であり;(c)シリカ質担体の組成及び構造はその表面がカルシウムメタシリケートによって中和されていないブレンステッド酸部位を実質的に含まないように選択される、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒である。
【0266】
第157態様は、存在する白金族金属の全重量が2〜4%の間であり、存在する白金の量が少なくとも2%であり、白金とスズとの重量比が4:5〜5:4の間であり、存在するケイ酸カルシウムの量が3〜7.5%の間である、第156態様の水素化触媒である。
【0267】
第158態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されているシリカ質担体から実質的に構成され、シリカ質担体は、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、シリカ、カルシウムメタシリケート、及びその表面上にカルシウムメタシリケートが配置されているカルシウムメタシリケート促進シリカからなる群から選択され、シリカ質担体の表面は、カルシウムによって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない粒子状水素化触媒である。
【0268】
第159態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比が10:1〜2:1の間であり、カルシウムメタシリケートの量が3〜90%の間である、第158態様の水素化触媒である。
【0269】
第160態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在する白金の量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトと白金との重量比が20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量が3〜90%の間である、第159態様の水素化触媒である。
【0270】
第161態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比が20:1〜3:1の間であり、ケイ酸カルシウムの量が3〜90%の間である、第158態様の水素化触媒である。
【0271】
第162態様は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは4〜6%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である水素化触媒である。
【0272】
第163態様は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0273】
第164態様は、変性安定化シリカ質担体からなる群から選択されるシリカ質担体(シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性及び安定化されており、変性安定化シリカ質担体の表面積は少なくとも約150m2/gである)上の、(a)白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属;及び(b)触媒の約1重量%〜3重量%の間の量のスズ促進剤;を含み、白金とスズとのモル比が約4:3〜3:4の間である、アルカン酸を対応するアルカノールに水素化するための粒子状触媒である。
【0274】
第165態様は、存在する白金族金属の全重量が2〜4%の間であり、存在する白金の量が少なくとも2%であり、白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間であり、存在する安定剤−変性剤の量が3〜7.5%の間である、第164態様の水素化触媒である。
【0275】
第166態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0276】
第167態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0277】
第168態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0278】
第169態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0279】
第170態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第165態様の水素化触媒である。
【0280】
第171態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0281】
第172態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0282】
第173態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0283】
第174態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0284】
第175態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第164態様の水素化触媒である。
【0285】
第176態様は、白金、パラジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される白金族金属が、スズ、コバルト、及びレニウムからなる群から選択される促進剤と共にその上に分散されている変性安定化シリカ質担体から実質的に構成され;シリカ質担体は、少なくとも95%の純度を有し、少なくとも約175m2/gの表面積を有し、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)のいずれかに関する前駆体、並びに(i)〜(vii)のいずれかの混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性及び安定化されているシリカを含み、シリカ質担体の表面は安定剤−変性剤によって中和されていないアルミナのためにブレンステッド酸部位を実質的に含まない、粒子状水素化触媒である。
【0286】
第177態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5%〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がレニウムであり、レニウムとパラジウムとの重量比が10:1〜2:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0287】
第178態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0288】
第179態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0289】
第180態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0290】
第181態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0291】
第182態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第177態様の水素化触媒である。
【0292】
第183態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0293】
第184態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0294】
第185態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0295】
第186態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0296】
第187態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第176態様の水素化触媒である。
【0297】
第188態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在する白金の量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトと白金との重量比が20:1〜3:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0298】
第189態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0299】
第190態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0300】
第191態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0301】
第192態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0302】
第193態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第188態様の水素化触媒である。
【0303】
第194態様は、存在する白金族金属の全重量が0.5〜2%の間であり、存在するパラジウムの量が少なくとも0.5%であり、促進剤がコバルトであり、コバルトとパラジウムとの重量比が20:1〜3:1の間であり、担体変性剤の量が3〜90%の間である、第176態様の水素化触媒である。
【0304】
第195態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0305】
第196態様は、担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0306】
第197態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0307】
第198態様は、担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0308】
第199態様は、担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、第194態様の水素化触媒である。
【0309】
第200態様は、少なくとも200m2/gの表面積を有する高表面積焼成シリカ上に分散されている2.5〜3.5重量%の間の白金、3重量%〜5重量%の間のスズを含み、高表面積シリカは4〜6%の間のカルシウムメタシリケートによって促進されており、白金とスズとのモル比は4:5〜5:4の間である水素化触媒である。
【0310】
第201態様は、0.5〜2.5重量%の間のパラジウム、2重量%〜7重量%の間のレニウムを含み、レニウムとパラジウムとの重量比は少なくとも1.5:1.0であり、レニウム及びパラジウムはシリカ質担体上に分散されており、シリカ質担体は少なくとも80%のカルシウムメタシリケートを含む水素化触媒である。
【0311】
第202態様は、その表面上に存在する酸性部位を中和するか、酢酸の水素化において遭遇する温度において形状変化(主として、とりわけ焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化による)に対する抵抗性を与えるか、又は両方を行うのに十分な量の、アルカリ土類金属、アルカリ金属、亜鉛、スカンジウム、及びイットリウムの酸化物及びメタシリケート、酸化物及びメタシリケートに関する前駆体、並びにこれらの混合物の形態の、塩基性非揮発性安定剤−変性剤を導入した安定化−変性酸化物担体上の、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びWからなる群から選択される触媒金属を導入した水素化触媒である。
【0312】
第203態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0313】
第204態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0314】
第205態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の半分より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0315】
第206態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の半分より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0316】
第207態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の25%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0317】
第208態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の25%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0318】
第209態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有する焼成シリカの表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の10%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0319】
第210態様は、塩基性変性剤−安定剤の量及び位置が、酸化物担体の表面上の1m2あたりに存在する酸部位の数を、少なくとも約99.7重量%の純度を有するSain-Gobain NorPro HSA SS61138の表面上の1m2あたりに見られる酸部位の数の10%より少ない数に減少させるのに十分なものである、第202態様の水素化触媒である。
【0320】
上記の種々の態様の記載においては、当業者に認められるように、他の態様に関するこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ質担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにシリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法。
【請求項2】
水素化触媒がシリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、シリカ質担体が変性シリカ質担体であり、変性シリカ質担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項2に記載の方法。
【請求項19】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;
b.白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして
d.変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;
請求項2に記載の方法。
【請求項36】
存在する白金の量が少なくとも1重量%である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;
c.変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;
請求項2に記載の方法。
【請求項38】
存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて336時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満がアルカンに転化し;(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度で、2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;
c.変性シリカ質担体が少なくとも約95%の純度を有するシリカを含み、変性剤が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに酸化物担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法。
【請求項46】
水素化触媒が酸化物担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、酸化物担体が変性酸化物担体であり、変性酸化物担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
c.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
d.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項50に記載の方法。
【請求項52】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項56に記載の方法。
【請求項58】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項59に記載の方法。
【請求項61】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
e.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
f.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項46に記載の方法。
【請求項63】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項46に記載の方法。
【請求項69】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項68に記載の方法。
【請求項70】
担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項46に記載の方法。
【請求項75】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、変性安定化シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性されている少なくとも約95重量%の純度を有するシリカを含み;白金及びスズの量及び酸化状態、白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体中の安定剤−変性剤とシリカとの相対割合、並びに変性安定化シリカ質担体中のシリカの純度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する上記方法。
【請求項79】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項78に記載の方法。
【請求項80】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項84に記載の方法。
【請求項86】
変性安定化シリカ質担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;
b.白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして
d.変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項78に記載の方法。
【請求項96】
存在する白金の量が少なくとも1重量%である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;
c.変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項78に記載の方法。
【請求項98】
存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように制御する、請求項79に記載の方法。
【請求項104】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の1%未満がアルカンに転化するように制御し;
b.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;
d.変性安定化シリカ質担体が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項79に記載の方法。
【請求項105】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法。
【請求項106】
担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
炭素担体が還元性金属酸化物によって変性されている、請求項107に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、シリカ質担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びにシリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法。
【請求項2】
水素化触媒がシリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、シリカ質担体が変性シリカ質担体であり、変性シリカ質担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項2に記載の方法。
【請求項19】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;
b.白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして
d.変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;
請求項2に記載の方法。
【請求項36】
存在する白金の量が少なくとも1重量%である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;
c.変性シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のカルシウムメタシリケートによって変性されている少なくとも約95%の純度を有するシリカを含む;
請求項2に記載の方法。
【請求項38】
存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて336時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性シリカ質担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の2%未満がアルカンに転化し;(iii)触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度で、2500hr−1のGHSVにおいて168時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;
c.変性シリカ質担体が少なくとも約95%の純度を有するシリカを含み、変性剤が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、酸化物担体上に分散されている白金及びスズを含む水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに酸化物担体を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように選択、構成、及び制御する上記方法。
【請求項46】
水素化触媒が酸化物担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成され、酸化物担体が変性酸化物担体であり、変性酸化物担体が、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される有効量の担体変性剤を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
c.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
d.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項50に記載の方法。
【請求項52】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
担体変性剤が、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛のメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項56に記載の方法。
【請求項58】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
担体変性剤が、カルシウムメタシリケート、カルシウムメタシリケートに関する前駆体、及びカルシウムメタシリケートとそれに関する前駆体の混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項59に記載の方法。
【請求項61】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
e.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
f.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項46に記載の方法。
【請求項63】
白金とスズとのモル比が4:5〜5:4の間である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項46に記載の方法。
【請求項69】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項68に記載の方法。
【請求項70】
担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項46に記載の方法。
【請求項75】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、変性安定化シリカ質担体上に分散されている白金及びスズから実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、変性安定化シリカ質担体は、(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)酸化亜鉛、(vi)亜鉛メタシリケート、及び(vii)(i)〜(vi)に関する前駆体、並びに(i)〜(vii)の混合物からなる群から選択される安定剤−変性剤によって変性されている少なくとも約95重量%の純度を有するシリカを含み;白金及びスズの量及び酸化状態、白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体中の安定剤−変性剤とシリカとの相対割合、並びに変性安定化シリカ質担体中のシリカの純度を、転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し、酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する上記方法。
【請求項79】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜10%の量で存在する;
請求項78に記載の方法。
【請求項80】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
スズと白金族金属とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約150m2/gである、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
a.白金が触媒の重量の0.5%〜5%の量で存在し;そして
b.スズが少なくとも0.5〜5%の量で存在する;
請求項84に記載の方法。
【請求項86】
変性安定化シリカ質担体が少なくとも約1重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
スズと白金とのモル比が約1:2〜約2:1である、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
スズと白金との重量比が約5:4〜約4:5である、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gである、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
スズと白金とのモル比が約9:10〜約10:9である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gである、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約250m2/gであり;
b.白金が少なくとも約0.75重量%の量で水素化触媒中に存在し;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;そして
d.変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項78に記載の方法。
【請求項96】
存在する白金の量が少なくとも1重量%である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約100m2/gであり;
b.スズと白金とのモル比が約2:3〜約3:2であり;
c.変性安定化シリカ質担体が、少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項78に記載の方法。
【請求項98】
存在する白金の量が少なくとも0.75重量%である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約1000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約2500hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、及びエチレン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化するように制御する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
触媒が反応器容積を満たし、蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を少なくとも約5000hr−1の空間速度で反応器容積に通す、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の組成を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の2%未満がアルカンに転化するように制御する、請求項79に記載の方法。
【請求項104】
約250℃〜300℃の間の温度において行い、
a.白金及びスズの量及び酸化状態、並びに白金とスズとの比、並びに変性安定化シリカ質担体の酸性度を、転化した酢酸の少なくとも90%がエタノールに転化し、酢酸の1%未満がアルカンに転化するように制御し;
b.変性安定化シリカ質担体の表面積が少なくとも約200m2/gであり;
c.スズと白金とのモル比が約5:4〜約4:5であり;
d.変性安定化シリカ質担体が少なくとも約2.5重量%〜約10重量%のケイ酸カルシウムを含む;
請求項79に記載の方法。
【請求項105】
少なくとも約4:1の水素と酢酸とのモル比の蒸気相の水素及び酢酸を含む気体流を約225℃〜300℃の間の温度で、好適な担体上に分散されている、約0.1重量%〜約10重量%の量の、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Sn、Re、Os、Ti、Zn、Cr、Mo、及びW、並びにこれらの混合物からなる群から選択される触媒金属;並びに場合によっては促進剤;から実質的に構成される水素化触媒上に通すことを含む、酢酸の還元によってエタノールを製造する方法であって、1種類又は複数の触媒金属の量及び酸化状態、並びに担体及び場合によって用いる促進剤の組成、並びに反応条件を、(i)転化した酢酸の少なくとも80%がエタノールに転化し;(ii)酢酸の4%未満が、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸エチル、エチレン、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物以外の化合物に転化し;そして、触媒の活性が、10:1のモル比の酢酸と水素の蒸気混合物に、2気圧の圧力及び275℃の温度並びに2500hr−1のGHSVにおいて500時間曝露した際に10%未満減少する;ように制御する上記方法。
【請求項106】
担体が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛の酸化物及びメタシリケート、並びにこれらに関する前駆体、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される変性剤によって変性されている酸化物担体である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
担体が炭素担体であり、触媒金属が白金及びスズを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
炭素担体が還元性金属酸化物によって変性されている、請求項107に記載の方法。
【図4】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−508423(P2013−508423A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535457(P2012−535457)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054134
【国際公開番号】WO2011/056595
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054134
【国際公開番号】WO2011/056595
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】
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