説明

シリコンおよびゲルマニウムフタロシアニンならびに関連物質の製造

本発明は、一般式(II)[式中、L、L’は、互いに独立に、同一または異なり、ClまたはOHを表わす]の化合物を、a)塩素化合物Cl−M2123、Cl−M3456(但し、LおよびL’の両方が同時にOHでないものとする)、またはb)ヒドロキシ化合物HO−M2123、HO−M3456の存在下に、反応させることによって、一般式(I)の化合物を製造する方法に関する。本発明は、液体用のトレーサ物質としての、一般式(I)の化合物の使用、および液体中のトレーサ物質の検出方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I):
【化1】

[式中、記号および添え字は、それぞれ下記のように定義される:
1、M2、M3は、同一または異なり、それぞれ独立に、SiまたはGeであり、
A、A’、A’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
D、D’、D’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
E、E’、E’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
G、G’、G’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
n、m、p、qは、同一または異なり、それぞれ独立に、0〜2から選択される整数であり、
rは、1〜(4+n・2)から選択される整数であり、
sは、1〜(4+m・2)から選択される整数であり、
uは、1〜(4+p・2)から選択される整数であり、
vは、1〜(4+q・2)から選択される整数であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C3〜C15シクロアルキル、アリール、複素環、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C1〜C4ジアルキルアミノ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、CO2M、SO3M、C1〜C4ジアルキルスルファモイルであり、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル−、C2〜C20アルケニル−、C2〜C20アルキニル−、C3〜C15シクロアルキル−、アリール−、アリールアルキル−、C1〜C20アルコキシ−、C1〜C20アルキルチオ−、アリールオキシ−、トリアルキルシロキシ−、CO2M、SO3M、C1〜C4トリアルキルアンモニウム置換C1〜C20アルキル基であり、
Mは、水素、アルカリ金属であり、
ここで、置換基R1〜R6、W、X、YまたはZは、それぞれ、任意の位置で、1個以上のヘテロ原子で中断されてもよく、これらのヘテロ原子の数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、特に3以下であり、かつ/または、それぞれの場合に、任意の位置で、5回以下、好ましくは4回以下、より好ましくは3回以下で、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロ原子、NR2(R=水素、C1〜C20アルキル)、SO3M、CO2Mまたはハロゲンで置換されてもよく、これらも同様に、前記の置換基によって、2回以下、好ましくは1回以下で、置換されてもよい]の化合物の製造法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、一般式(I)の特定化合物、および液体用マーカ物質としての一般式(I)の特定化合物の使用にも関する。本発明は、一般式(I)の特定化合物をマーカ物質として含有する液体を含んで成る。本発明は、さらに、液体中のマーカ物質を検出する方法、および一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含んで成る液体を同定する方法にも関する。本発明の他の実施形態は、請求の範囲、説明および実施例から得られる。上述され、かつ以下に説明される本発明の主題の特徴は、各場合に特に記載した組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱しない他の組み合わせにおいても、使用することができる。好ましい、および特に好ましいのは、本発明の主題の全ての特徴が、好ましい定義、および極めて好ましい定義を有する本発明の実施形態である。
【0003】
一般式(I)で示される特定化合物、特にフタロシアニンおよびナフタロシアニン誘導体の他の製造法が公知である。一般に、これらの他の公知の方法は、対応するイソインドリンの製造または準備を含んで成り、次に、適切であれば金属化合物の存在下に、対応する金属不含または金属含有フタロ−またはナフタロシアニンに変換する。特定の他の方法において、金属化合物は塩化ケイ素であってよいことも公知であり、それを、例えばフタロシアニン化合物に組み込んだ後に、対応するジヒドロキシドに加水分解することができる。クロロシランを使用して、ジヒドロキシドをシロキシ化合物に変換する他の方法も公知である。これらの他の先行技術法の詳細を下記に説明する。
【0004】
米国特許第3509146号は、アルキルアルカノールアミンと共に1,3−ジイミノイソインドリンまたはそれらの複素環類似体から、金属不含フタロシアニンおよび関連化合物を製造することを記載している。
【0005】
欧州特許公開第0373643(A2)号は、o−フタロジニトリルおよび/または1,3−ジイミノイソインドリンの混合物から、金属化合物との反応によって、金属含有フタロシアニンを製造することを記載している。欧州特許公開第0373643(A2)号によるこの反応は、アルコール中の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)の存在下、または高沸点溶媒、例えば、クロロナフタレン、ブロモナフタレンまたはトリクロロベンゼン中で行うことができる。欧州特許公開第0373643(A2)号の金属含有フタロシアニンは、光学記録媒体用の近赤外線の吸収剤として使用しうる。
【0006】
米国特許第3094536号は、ジクロロ−およびジヒドロキシシリコンフタロシアニンの製造を記載している。ジクロロシリコンフタロシアニンは、キノリン溶液中のフタロジニトリルおよび塩化ケイ素から製造される。
【0007】
B.L.Wheeler et al.,J.Am.Chem.Soc.1984,106,7404−7410(N.Sasa et al.,J.Mol.Structure 446(1988)163−178も参照)は、トリ−n−ヘキシルクロロシランを使用したビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)(2,3−フタロシアニナト)シリコン(シリコンフタロシアニンビス(トリヘキシルシリルオキシド))、および該化合物のジヒドロキシドからのそのナフタロシアニン類似体の合成を記載している。
【0008】
米国特許第5872248号は、金属不含化合物とトリクロロシランとの反応による、シリコンフタロシアニンおよびナフタロシアニンの製造を記載している。
【0009】
独国特許公開第3810956(A1)号は、種々のシロキシ置換基を有しうるシリコンナフタロシアニン誘導体、および種々のクロロシランを使用したそれらの製造を記載している。
【0010】
欧州特許公開第0499345(A2)号は、ジクロロ化合物に基づくジヒドロキシシリコンナフタロシアニンおよびビス(トリエチルシロキシ)シリコンナフタロシアニンの合成を記載している。次に、ジクロロシリコンナフタロシアニン(シリコンナフタロシアニンジクロリド)を、ジイミノベンゾ(f)−イソインドリンおよびシリコンテトラクロリドから製造している。
【0011】
液体用のマーカ物質としての、種々のフタロシアニンおよびナフタロシアニン誘導体も公知である。
【0012】
文献独国特許公開第4224301(A1)号および同第19721399(A1)号は、フタロシアニンおよびナフタロシアニン誘導体、ならびに液体用マーカ物質としてのそれらの使用を記載している。
【0013】
独国特許公開第4243774(A1)号は、液体中のフタロシアニン誘導体を包含するマーカ物質を検出する方法、および該方法を実施するための装置を記載している。
【0014】
一般的な鉱油添加剤と比較して、鉱油中のマーカ物質として使用されるアリール−またはアルコキシ−置換フタロシアニンの増加した長期安定性が、出願番号06111161.3を有する未公開欧州特許文献から公知である。
【0015】
鉱油を標識付けするための、種々のシリコンフタロシアニンおよびシリコンナフタロシアニン誘導体の使用が、米国特許第5525516号から公知である。近赤外線における蛍光放射線を検出することによって、標識付けされた鉱油を同定する装置および方法も米国特許第5525516号に記載されている。
【0016】
実際に、公知の製造法の多くが、マーカ物質として使用できる最終生成物の比較的低収量を与えることがわかっている。特に、添加剤が一般に存在する鉱油において、または添加剤濃縮物において、多くのマーカ物質が有する他の課題は、それらが所望される長期安定性を有さない場合が多いことである。該添加剤の作用の結果として、例えば、マーカ物質の分光特性(例えば吸光度)が変化する。多くの場合、特に低マーカ物質濃度において、マーカ物質の正確な検出および信頼できる液体の同定が、長時間の経過後に、限られた程度に可能であるにすぎない。
【0017】
従って、本発明の目的は、マーカ物質の有効な製造法を見出すことである。本発明のさらなる目的は、標識付けされる液体、特に鉱油および添加剤濃縮物中での、優れた長期安定性(=貯蔵安定性)を特徴とするマーカ物質を提供することである。
【0018】
これら、および他の目的は、本発明の開示内容から明らかなように、以下に記載する本発明の方法の種々の実施形態によって達成できる。
【0019】
従って、最初に記載した一般式(I)の化合物の製造法が見出され、該製造法において、一般式(II):
【化2】

[式中、L、L’は、同一または異なり、それぞれ独立に、ClまたはOHである]の化合物を、
a.塩素化合物Cl−M2123、Cl−M3456(但し、LおよびL’の両方が同時にOHでないものとする)、または
b.ヒドロキシル化合物HO−M2123、HO−M3456
の存在下に、反応させる(ここで、記号および添え字は、それぞれ、一般式(I)の化合物に関して最初に定義した通りである)。
【0020】
前記の一般式(I)の化合物が、特に通常の燃料添加剤に対して、極めて優れた長期安定性を有することも見出された。
【0021】
本発明に関して、Ca−Cbという表現は、特定数の炭素原子を有する化合物または置換基を意味する。炭素原子の数は、aおよびbを含むa〜bの全範囲から選択することができ;aは少なくとも1であり、bは常にaより大きい。化合物または置換基のさらなる詳述は、Ca−Cb−Vという表現で行われる。この場合、Vは化合物種または置換基種、例えば、アルキル化合物またはアルキル置換基を表わす。
【0022】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは、フッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素または塩素を表わす。
【0023】
特に、種々の置換基R1〜R6、W、X、Y、ZおよびMに関して指定される集合名は、それぞれ下記のように定義される。
【0024】
1〜C20アルキル:20個までの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基、例えばC1〜C10アルキルまたはC11〜C20アルキル、好ましくはC1〜C10アルキル、例えばC1〜C3アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはC4〜C6アルキル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、またはC7〜C10アルキル、例えば、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニルまたはデシル、およびそれらの異性体。
【0025】
2〜C20アルケニル:2〜20個の炭素原子、および任意の位置の1個の二重結合を有する不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素基、例えばC2〜C10アルケニルまたはC11〜C20アルケニル、好ましくはC2〜C10アルケニル、例えばC2〜C4アルケニル、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、またはC5〜C6アルケニル、例えば、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルまたは1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、およびC7〜C10アルケニル、例えば、ヘプテニル、オクテニル、ノネニルまたはデセニルの異性体。
【0026】
2〜C20アルキニル:2〜20個の炭素原子、および任意の位置の1個の三重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基、例えばC2〜C10アルキニルまたはC11〜C20アルキニル、好ましくはC2〜C10アルキニル、例えばC2〜C4アルキニル、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、またはC5〜C7アルキニル、例えば、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、1−エチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブチニルまたは1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、およびC7〜C10アルキニル、例えば、ヘプチニル、オクチニル、ノニニルまたはデシニルの異性体。
【0027】
3〜C15シクロアルキル:3〜15個の炭素環員を有する単環式飽和炭化水素基、好ましくはC3〜C8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、および飽和または不飽和環系、例えばノルボルニルまたはノルベニル。
【0028】
アリール:6〜14個の炭素環員を有する一〜三環式芳香環系、例えば、フェニル、ナフチルまたはアントラセニル、好ましくは一〜二環式、より好ましくは単環式芳香環系。
【0029】
複素環:酸素、窒素および/または硫黄原子、および任意に複数の環を有する5〜12員、好ましくは5〜9員、より好ましくは5〜6員の環系、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニルまたはt−ブチルチオフェニル。さらに、特に、環窒素原子を介して結合し、1個または2個の付加的窒素原子または1個の付加的酸素または硫黄原子も含有してよい5または6員の飽和窒素含有環系。
【0030】
1〜C20アルコキシは、酸素原子(−O−)を介して結合している1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基(前記のように指定される)、例えば、C1〜C10アルコキシまたはC11〜C20アルコキシ、好ましくはC1〜C10アルキルオキシ、特に好ましくはC1〜C3アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシである。
【0031】
アリールオキシは、酸素原子(−O−)を介して結合している一〜三環式芳香環系(前記のように指定される)、好ましくは一〜二環式、より好ましくは単環式芳香環系である。
【0032】
アリールアルキルは、C1〜C20アルキレン基を介して結合している一〜三環式芳香環系(前記のように指定される)、好ましくは一〜二環式、より好ましくは単環式芳香環系である。
【0033】
1〜C20アルキレン:1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基、例えばC1〜C10アルキレンまたはC11〜C20アルキレン、好ましくはC2〜C10アルキレン、特に、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンまたはヘキサメチレン。
【0034】
ヘテロ原子は、好ましくは、酸素、窒素または硫黄である。
【0035】
1〜C4ジアルキルアミノは、1〜4個の炭素原子を有する2個の同一または異なる直鎖または分岐鎖アルキル基(前記のように指定される)によって置換され、窒素を介して結合しているアミノ基、例えば、C1〜C2ジアルキルアミノまたはC3〜C4ジアルキルアミノ、好ましくはC1〜C2ジアルキルアミノである。
【0036】
3〜C6シクロアルキルアミンは、3〜6個の炭素原子を有するC3〜C6シクロアルキル基(前記のように指定される)によって置換され、窒素を介して結合しているアミノ基、例えば、C3〜C4シクロアルキルアミンまたはC5〜C6シクロアルキルアミン、好ましくはC5〜C6シクロアルキルアミンである。
【0037】
1〜C4ジアルキルスルファモイルは、1〜4個の炭素原子を有する2個の同一または異なる直鎖または分岐鎖アルキル基によって置換されたスルホンアミドのアミノ基である。
【0038】
1〜C4トリアルキルアンモニウムは、1〜4個の炭素原子を有する3個の同一または異なる直鎖または分岐鎖アルキル基(前記のように指定される)によって置換され、窒素を介して結合しているアンモニウム基、例えば、C1〜C2トリアルキルアンモニウムまたはC3〜C4トリアルキルアンモニウム、好ましくはC1〜C2トリアルキルアンモニウムである。
【0039】
上述した本発明の方法において、一般式(I)の化合物は、一般式(II)の化合物を、塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456、またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456の存在下に反応させることによって製造される。例えば、一般式(II)の化合物の置換基LおよびL’は、両方ともClであるか、またはL=ClおよびL’=OHである。塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456は、以下に、共に「Cl化合物」と称される。同様に、ヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456は、以下に、共に「HO化合物」と称される。本発明の方法において、Cl化合物を使用するのが好ましい。Cl化合物およびHO化合物は周知であり、多くの場合、商業的に入手可能であるか、または当業者に周知の方法によって製造できる。
【0040】
一般式(II)の化合物を、Cl化合物またはHO化合物の存在下に反応させるために、過剰のCl化合物またはHO化合物を一般に使用する。Cl化合物またはHO化合物と一般式(II)の化合物とのモル比は、好ましくは10:1、より好ましくは3:1、例えば2:1である。
【0041】
一般式(I)および(II)の化合物は、当然、2,3化合物、例えば2,3−ナフタロシアニンまたは2,3−アントラシアニン、および異性1,2化合物も包含する。
【0042】
一般式(I)および(II)の化合物は、特定化合物の酸付加塩として存在しうるか、または本発明の方法において製造しうる。
【0043】
当然、本発明の方法を使用して、一般式(II)の化合物の混合物をCl化合物またはHO化合物の存在下に反応させることによって、一般式(I)の化合物の混合物を得ることもできる。
【0044】
本発明の方法において、種々のCl−M2123およびCl−M3456の混合物をCl化合物として、または種々のHO−M2123およびHO−M3456の混合物をHO化合物として、使用することもできる。M2およびM3が同じであるそれらの混合物を使用するのが好ましい。より好ましくは、M2=M3=Siである。混合物中の個々の化合物Vx(ここで、x=1〜種々の化合物の数)は、種々の置換基R1、R2、R3およびR4、R5、R6によって異なる。例えば、好ましくは、2種類の化合物Cl−M2111(V1)およびCl−M2222(V2)、またはHO−M2111(V1)およびHO−M2222(V2)を混合物として使用することができる。好ましくは、3種類の化合物の混合物Cl−M2111(V1)、Cl−M2222(V2)およびCl−M2333(V3)、またはHO−M2111(V1)、HO−M2222(V2)およびHO−M2333(V3)を使用することもできる。当然、任意の混合物、例えば、Cl−M2123(V1)、Cl−M2445(V2)、Cl−M3123(V3)およびCl−M2456(V4)を使用することもでき、その場合、記号M2、M3およびR1〜R6は全て、互いに異なるように選択される。
【0045】
本発明の方法に使用できる混合物の種々の化合物の量的比率は、一般に、要求に応じた比率である。2種類の化合物の混合物の場合、そのモル比V1:V2は、好ましくは、10:1〜1:10であり、その比率は、より好ましくは3:1〜1:3、特に1:1である。3種類の化合物の混合物の場合、モル比は、好ましくは、(V1:V2:V3=1:1〜3:1〜3)〜(V1:V2:V3=3:1〜3:1〜3)であり、V1:V2:V3の比率は、より好ましくは1:1:1である。
【0046】
本発明の方法において、塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456の全量を、1段階以上で添加することができる。
【0047】
本発明の方法において、添え字n、m、pおよびqが0であるか、またはそれらの全てが1である一般式(I)の化合物を製造するのが好ましい。極めて好ましくは、添え字n、m、pおよびqが全て0の数値である。他の好ましい実施形態において、添え字n、m、pおよびqが全て1の数値である。
【0048】
本発明の方法において、記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである一般式(I)の化合物を製造するのも好ましい。
【0049】
本発明の方法において、添え字n、m、pおよびqが全て0であるかまたはそれらの全てが1であり、記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである一般式(I)の化合物を製造するのが特に好ましい。この場合に特に好ましくは、添え字n、m、pおよびqが全て0である。
【0050】
さらに、本発明の方法において、記号M1、M2およびM3が全てSiである一般式(I)の化合物を製造するのも特に好ましい。
【0051】
さらに、本発明の方法において、記号R1〜R6が、C1〜C20アルキル、アリールまたはアリールアルキルである一般式(I)の化合物を製造するのも特に好ましい。最も好ましくは、記号R1〜R6は、C1〜C20アルキル、特にC1〜C10アルキル、特にC4〜C6アルキルである。
【0052】
本発明の方法において、好ましいおよび極めて好ましいのは、実質的に全ての記号および添え字が好ましいおよび極めて好ましい定義を有する一般式(I)の化合物を特に製造することである。
【0053】
溶媒の存在下に一般式(I)の化合物を製造するのが好ましい。原則的に、好適な溶媒は、本発明の方法の温度において液体であり、本発明の方法の反応に関与する物質が少なくとも部分的に可溶性である全ての物質である。例えば、これらの溶媒は、標準圧力(101.325kPa)において100℃より高い沸点を有する。溶媒の存在下の、本発明の方法に使用される一般式(I)の化合物の溶液は、懸濁液または分散液の特性も有しうる。好適な溶媒は、例えば、芳香族化合物または双極性非プロトン化合物である。芳香族化合物を溶媒として使用するのが好ましい。特に好ましい溶媒は、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キノリン、ピリジンまたはスルホランである。極めて好ましいのは、クロロベンゼンまたはピリジンである。当然、溶媒の混合物を使用することもできる。本発明の方法に使用できる溶媒の量は、溶解される化合物の溶解性に依存し、従って、広範囲で変化しうる。溶媒を、過剰に(質量比)添加するのが好ましい。極めて好ましくは、一般式(II)の化合物/溶媒の質量比は、1:2〜1:20である。
【0054】
本発明の方法において、式(I)の一般的化合物の製造用に設定される温度は、原則的に、広範囲で変化しうる。一般に、温度範囲の選択は、例えば、前記のように、一般式(I)および(II)の化合物の溶解性に依存し、簡単な予備実験により当業者によって決めることができる。比較的高い溶解性の場合、例えば、本発明の方法における反応用に比較的低い温度を選択することができる。本発明の方法における温度は、0℃〜200℃の範囲から一般に選択される。温度は、好ましくは20℃〜150℃の範囲である。70℃〜140℃の範囲から温度を選択するのが極めて好ましい。
【0055】
式(I)の化合物を製造する本発明の方法を実施する圧力範囲は、変化しうる。本発明の方法は、標準圧力、わずかに減圧または高圧において、実施できる。例えば、圧力は、90kPa〜1000kPaの範囲から選択される。100kPa〜500kPaの範囲の圧力が好ましい。
【0056】
塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456の存在下、付加的に塩基または塩基/水混合物の存在下に、一般式(II)の化合物の一般式(I)の化合物への本発明の反応を行うのが好ましい。原則的に、本発明の方法のこの実施形態は、任意の塩基を使用して行うことができる。例えば、NaOH(固体または水溶液として)、アルカリ金属炭酸塩(アルカリ金属=Na、K)、アルカリ金属炭酸水素塩、およびこれらの塩基の混合物を使用することができる。NaOH(固体または水溶液として)または炭酸カリウムを使用するのが好ましい。極めて好ましい塩基はNaOH(粉末)である。使用される塩基の量は、放出される塩化水素(HCl)の量によって変化する。放出されるHClに基づいて、0〜100%の過剰の塩基を使用するのが好ましい。
【0057】
本発明の方法の他の実施形態において、一般式(I)の化合物を得るための、塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456の存在下の一般式(II)の化合物の反応は、付加的に相間移動触媒の存在下に行われる。例えば、一般式(II)の化合物の置換基LおよびL’は、共にClであるか、共にOHであるか、またはL=ClおよびL’=OHである。原則的に、任意の相間移動触媒がこの目的に好適である。相間移動触媒(PTC)およびそれらの製造は、当業者に周知である(ROEMPP Online,"Phasentransferkatalyse"[Phase transfer catalysis],Georg Thieme Verlag、文書識別番号RD−16−01507;M.J.Dagani et al.,"Bromine Compounds",Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley−VCH, 2002)。多くのPTCを商業的に購入することができる。例えば、使用されるPTCは、テトラアルキルアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム化合物、クラウンエーテルまたはポリエチレングリコールであってよい。好ましいPTCは、ヘキサエチルグアニジニウム塩、特にヘキサエチルグアニジニウムクロリド、4−ジメチルアミノ−N−(2−エチルヘキシル)ピリジニウム塩、特に、4−ジメチルアミノ−N−(2−エチルヘキシル)ピリジニウムクロリド、テトラアルキルホスホニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミンまたはテトラアルキルアンモニウム塩である。さらに、使用されるPTCは、好ましくは、CognisからのAliquat(登録商標)HTA−1であってよい。Aliquat(登録商標)HTA−1は、水溶性第四級アンモニウム塩であり、例えば、水溶液(30〜36質量%のAliquat(登録商標)HTA−1、50〜62質量%の水、および10〜15質量%のNaClを含有)において使用される。本発明の方法において、特に高い反応温度(>100℃)において、ヘキサエチルグアニジニウムクロリド、4−ジメチルアミノ−N−(2−エチルヘキシル)ピリジニウムクロリド、テトラアルキルホスホニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミンを使用するのが特に好ましい。ヘキサエチルグアニジニウムクロリドが極めて好ましい。本発明の方法に使用されるPTCの量は、広範囲で変化しうる。一般式(II)の化合物に基づいて0.01〜10mol%のPTCを使用するのが好ましい。
【0058】
本発明の方法の好ましい実施形態において、一般式(I)の化合物の製造は、下記工程:
a) 溶媒に下記物質を初期添加する工程:
a. 一般式(II)の化合物;
b. 塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456
c. 塩基;
d. PTC;
b) 場合により、工程1からの混合物を加熱する工程;
c) 場合により、1つまたはそれ以上の下記物質の添加を行う工程:
a. 塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456
b. 場合により、塩基;
d) 場合により、冷却する工程;
e) 一般式(I)の化合物を分離する工程;
f) 一般式(I)の化合物の後処理を行う工程、を含んで成る。
【0059】
本発明の方法の工程1.a.〜1.d.は、任意の順序で行うことができる。例えば、一般式の化合物(1.a.)を、他の工程(任意の順序の1.b.〜1.d.)の前に添加することができる。しかし、他の実施形態において、最初に塩素化合物Cl−M2123およびCl−M3456またはヒドロキシル化合物HO−M2123およびHO−M3456(1.b.)を溶媒に初期添加し、次に、工程1.a.、1.c.および1.d.を任意の順序で行うこともできる。
【0060】
工程1.〜6.の全工程の時間、および各工程の時間は、一般に重要でない。全工程の時間は、数分〜24時間の広い範囲で変化しうる。より長い時間が考えられるが、不利な空時収量により、ほとんど興味が持たれない。
【0061】
該方法は、この目的に好適な、当業者に周知の任意の装置で行うことができる。一般式(I)の化合物の分離および後処理のために、当業者によく知られた任意の方法を使用できる。例えば、分離は、濾過または相分離によって行われる。後処理は、精製工程、例えば、メタノールのような液体での一般式(I)の化合物の洗浄、および/または乾燥工程を含んで成ってよい。
【0062】
一般式(I)の化合物を製造するために、前記の方法で変換される一般式(II)の化合物は、本発明の方法によって製造しうる(ここで、記号および添え字は、それぞれ、式(I)において最初に定義した通りである)。
【0063】
一般式(II)の化合物を製造する本発明の方法は、一般式(IIIa)〜(IIId):
【化3】

の化合物を反応させ、化合物(IIIa)〜(IIIb)のイソインドリン誘導体(IIIa’)〜(IIId’)(またはそれらの互変異性体):
【化4】

を分離せずに行われる。
【0064】
本発明の方法の一実施形態において、一般式(II)の化合物は、一般式(IIIa)〜(IIId)の化合物を反応させることによって製造され、該方法は下記工程(a)〜(d)を含んで成る:
(a) 一般式(IIIa)〜(IIIb)の化合物を溶媒に溶解させる工程;
(b) アンモニアおよび強塩基の存在下に、工程(a)からの溶解化合物を反応させる工程;
(c) 工程(b)で生成された化合物の分離および/または後処理を行わずに、工程(a)からの溶媒を他の溶媒と交換する工程;
(d) 工程(c)からの溶解化合物を、M1Cl4と反応させる工程。
【0065】
原則的に、一般式(II)の化合物を製造する本発明の方法の工程(a)および(b)における好適な溶媒は、工程(a)および(b)においてこの本発明の方法の温度で液体であり、かつ、反応に関与する物質が少なくとも部分的に可溶性である全ての物質である。本発明の方法に使用される溶液は、懸濁液または分散液の特性も有しうる。溶媒の混合物も使用しうることが認識される。工程(a)および(b)に好適な溶媒は、例えば、アルコールである。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノールまたはi−ブタノールである。極めて好ましくは、メタノールを使用する。
【0066】
一般に、工程(b)において、任意の強塩基またはそれらの混合物を使用することができる。好ましい強塩基は、例えば、9以上のpKBを有する。特に好ましい強塩基はアルコキシドまたはアミンであり、ナトリウムメトキシドが極めて好ましい。
【0067】
式(II)の一般的な化合物を製造する本発明の方法の工程(c)における他の溶媒は、一般式(II)の化合物の溶解性、および工程(d)の反応に必要とされる温度に依存して一般に選択される。例えば、他の溶媒は、工程(a)の溶媒より高い沸点を有し;他の溶媒は、好ましくは高沸点溶媒である(沸点>100℃)。工程(c)で使用される他の溶媒は、好ましくは、工程(d)の反応に必要とされる温度より高い沸点を有する溶媒である。溶媒の混合物、または高沸点溶媒と塩基との混合物も使用できることが認識される。例えば、使用される高沸点溶媒は、キノリン、またはテトラリンとトリブチルアミンの混合物(トリブチルアミンの量は、工程(d)で放出されるHClの量によって変わる)であってよい。キノリンを使用するのが好ましい。
【0068】
工程(d)における化合物M1Cl4として、四塩化ケイ素(M1=Si)を使用するのが好ましい。
【0069】
前記の方法の工程(c)において、工程(b)で生成された化合物の分離および/または後処理工程を行わずに工程(a)の溶媒を他の溶媒に交換することは、工程全体の高収量を可能にする。溶媒は、任意の方法で、例えば連続的または回分的に、交換することができる。例えば、交換は2段階から成ってよく、先ず、工程(a)の溶媒を除去し、次に、工程(c)の他の溶媒を添加する。工程(a)の溶媒は、工程(c)の他の溶媒の添加前または後に除去できる。しかし、工程(a)の溶媒は、工程(c)の他の溶媒の添加と同時に除去することもできる。工程(a)の溶媒を蒸留によって除去し、工程(c)の他の溶媒を、反応器へ計量添加によって添加するのが好ましい。
【0070】
本発明の方法において、特に工程(b)および工程(d)において、式(II)の一般的な化合物を製造するために設定される温度は、原則的に、広い範囲で変化しうる。一般に、工程(b)および工程(d)における温度範囲の選択は、例えば前記のように、一般式(IIIa〜IIId)および(II)の化合物の溶解性に依存する。工程(b)の温度は、一般に、反応物の反応性にも依存する。必要とされる温度は、簡単な予備実験により当業者によって決めることができる。比較的高い溶解性の場合、例えば、本発明の方法の工程(b)および(d)における反応のために、比較的低い温度を選択することができる。本発明の方法における温度は、一般に、20℃〜250℃の範囲から選択される。工程(b)の温度は、好ましくは、20℃〜150℃の範囲である。最も好ましくは、工程(b)のために、温度は、40℃〜120℃、特に50℃〜100℃の範囲から選択される。工程(d)の温度は、好ましくは100℃〜250℃の範囲である。極めて好ましくは、工程(d)のために、温度は120℃〜230℃、特に140℃〜220℃の範囲から選択される。
【0071】
一般式(II)の化合物を製造する本発明の方法が実施される圧力範囲は、変化しうる。本発明の方法は、標準圧力、わずかに減圧または高圧下において、実施できる。例えば、圧力は、90kPa〜1000kPaの範囲から選択される。100kPa〜500kPaの範囲からの圧力が好ましい。
【0072】
四塩化物M1Cl4が揮発性である場合、反応温度へのゆっくりした到達および/または高圧下に、前記方法の工程(d)の反応を行うのが好ましい。
【0073】
工程(a)〜(d)の全工程の時間、および各工程の時間は、一般に重要ではなく、温度に依存する。全工程の時間は、数分〜48時間の広い範囲で変化しうる。より長い時間が考えられるが、不利な空時収量により、ほとんど興味が持たれない。
【0074】
一般式(II)の化合物をさらに処理する前に、当業者に公知の方法によって、例えば、濾過、固形物の洗浄、相分離または乾燥によって、それらを分離および後処理することができる。
【0075】
本発明の方法において、添え字n、m、pおよびqが全て0であるかまたは全て1である一般式(II)の化合物を製造するのが好ましい。極めて好ましくは、添え字n、m、pおよびqが全て0である。
【0076】
本発明の方法において、記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである一般式(II)の化合物を製造するのも好ましい。
【0077】
本発明の方法において、添え字n、m、pおよびqが全て0であるかまたは全て1であり、記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである一般式(II)の化合物を製造するのが特に好ましい。この場合に特に好ましくは、添え字n、m、pおよびqが全て0である。
【0078】
本発明の方法によって製造される一般式(II)の化合物は、一般式(I)の化合物の製造に使用できる。
【0079】
上述したように、本発明は、液体用マーカ物質としての、一般式(I)の化合物の使用(本発明の使用)にも関し、式中の記号および添え字はそれぞれ、式(I)に関して最初に記載したように定義され、
(A) そして、A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、n、m、p、qが全て0または1であり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでなく、
(B) そして、A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、n、m、p、qが全て1であり、かつM1〜M3がそれぞれSiである場合、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C2〜C20アルキニル−、C3〜C15シクロアルキル−、アリール−、アリールオキシ−、トリアルキルシロキシ−またはC1〜C4トリアルキルアンモニウム置換C1〜C20アルキル基である。
【0080】
前記の本発明の使用において、記号および添え字は、先の記載に加えて、好ましくは次のように定義される:
n、m、p、qは、それぞれ0であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、5または6員飽和窒素含有環系であり、該環系は環窒素原子を介して結合し、かつ該環系は1個または2個の付加的窒素原子または1個の付加的酸素または硫黄原子を含有してもよく、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシであり、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでない。
【0081】
さらに、前記の本発明の使用の場合、記号および添え字は、先の記載に加えて、好ましくは次のように定義される:
n、m、p、qは、それぞれ1であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、5または6員飽和窒素含有環系であり、該環系は環窒素原子を介して結合し、かつ該環系は1個または2個の付加的窒素原子または1個の付加的酸素または硫黄原子を含有してもよく、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシであり、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでなく、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、かつM1〜M3がそれぞれSiである場合、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、アリールまたはアリールオキシである。
【0082】
マーカ物質としての本発明の使用は、前記の規定を条件として、一般式(I)の化合物の混合物を用いて行うこともできる。
【0083】
一般式(I)の化合物の中には、公知のものもあり、新規なものもある。
【0084】
従って、本発明は、記号および添え字がそれぞれ下記のように定義される一般式(I)の化合物も提供する:
1=R2=R3≠R4=R5=R6であり、
他の全ての記号および添え字は、それぞれ、最初に定義した通りである。
【0085】
従って、これらの新規化合物を含む一般式(I)の化合物の混合物も新規である。式(Ia)の化合物も好ましい:
【化5】

【0086】
他の好ましい新規化合物は、記号および添え字がそれぞれ下記のように定義される一般式(I)の化合物である:
1=R2=R4=R5=Me、R3=R6=CH2(C13272であるかまたは、
1=R2=R4=R5=Me、i−Pr(イソプロピル)、R3=R6=OC817であり、
他の全ての記号および添え字は、それぞれ、最初に定義した通りである。
【0087】
より好ましくは、新規化合物において、M1=M2=M3=Siである。
【0088】
一般式(I)の化合物を使用して、本発明の方法によって標識付けできる好適な液体は、特に下記の液体である:水または有機液体、例えばアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノールまたはヘキサノール、グリコール、例えば、1,2−エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−、2,3−または1,4−ブチレングリコール、ジ−またはトリエチレングリコールまたはジ−またはトリプロピレングリコール、エーテル、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−エチレングリコールモノメチルまたはジメチルエーテル、1,2−エチレングリコールモノエチルまたはジエチルエーテル、3−メトキシプロパノール、3−イソプロポキシプロパノール、テトラヒドロフランまたはジオキサン、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトンまたはジアセトンアルコール、エステル、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテートまたはブチルアセテート、脂肪族または芳香族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタレン、石油スピリット、ブレーキ液または油、例えば鉱油(該油は、本発明によれば、ガソリン、灯油、ディーゼル油および暖房用油を含む)、天然油、例えば、オリーブ油、大豆油またはヒマワリ油、または天然または合成のモータ、作動またはトランスミッション油、例えば自動車エンジン油またはミシン油。
【0089】
特に好都合には、油、特に鉱油、好ましくは添加剤濃縮物を、標識付けするために、一般式(I)の化合物を本発明の方法によって使用する。
【0090】
本発明は、さらに、一般式(I)の少なくとも1つの化合物をマーカ物質として含んで成る液体、好ましくは油、特に鉱油も提供する。
【0091】
マーカ物質として使用される一般式(I)の化合物は、信頼できる検出を確実にする量で液体に添加される。一般に、標識付けされた液体中のマーカ物質の総含有量(質量に基づく)は、約0.1〜5000ppb、好ましくは1〜2000ppb、より好ましくは1〜1000ppbである。
【0092】
液体を標識付けするために、一般に溶液(保存溶液)の形態で化合物を添加する。特に、鉱油の場合、これらの保存溶液を製造するのに好適な溶媒は、好ましくは、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレンまたは比較的高沸点の芳香族混合物である。
【0093】
そのような本発明の保存溶液の過度に高い粘性(および、それによる低い計量性および取扱性)を避けるために、これらの保存溶液の総質量に対して0.5〜50質量%のマーカ物質総濃度が、一般に選択される。
【0094】
適切であれば、一般式(I)の化合物を、他のマーカ物質/染料との混合物において使用してもよい。その場合、液体中のマーカ物質の総量は、一般に前記の範囲内である。
【0095】
本発明は、液体、好ましくは油、特に鉱油、好ましくは添加剤濃縮物を、標識付けする方法も提供し、該方法において、一般式(I)の化合物を該液体に添加する。
【0096】
本発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体中のマーカ物質を検出する方法も提供する。
【0097】
液体中の一般式(I)の化合物は、一般的方法によって検出される。これらの化合物は、高吸光能力を一般に有し、かつ/または蛍光を示すので、所定の場合に可能な1つの例は、分光学的検出である。
【0098】
一般式(I)の化合物は、600〜1000nmの範囲における吸収極大、および/または600〜1200nmの範囲における蛍光を一般に有し、従って、適切な装置で容易に検出できる。
【0099】
検出は、それ自体公知の方法、例えば、分析される液体の吸収スペクトルを測定することによって、行うことができる。
【0100】
しかし、液体に存在する一般式(I)の化合物の蛍光を、好都合には半導体レーザまたは半導体ダイオードによって、励起することもできる。λmax−100nm〜λmax+20nmのスペクトル域の波長を有する半導体レーザまたは半導体ダイオードを使用するのが特に好都合である。λmaxは、マーカ物質の最長波長吸収極大の波長を意味する。極大発光の波長は、一般に、620〜900nmの範囲である。
【0101】
このように発生される蛍光は、半導体検出器、特にシリコンフォトダイオードまたはゲルマニウムフォトダイオードで好都合に検出される。
【0102】
検出は、干渉フィルタおよび/またはエッジフィルタ(λmax〜λmax+80nmの範囲の短波長透過エッジを有する)および/または偏光子を、検出器の上流に配置した場合に、特に都合よく行われる。
【0103】
前記の化合物の使用により、一般式(I)の化合物が約1ppm(吸収による検出)または約5ppm(蛍光による検出)の濃度でしか存在しない場合でも、標識付けされた液体を極めて容易に検出することができる。
【0104】
好適な波長の放射線での照射時に検出可能な蛍光を励起するのに充分な量で、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体において、マーカ物質を検出する好ましい方法は、下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、および
b) 600〜1200nmの範囲の放射線を検出する装置によって、誘起された蛍光放射線を検出する工程によって行われる。
【0105】
好適な波長の放射線での照射時に検出可能な吸収を示すのに充分な量で、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体において、マーカ物質を検出する他の好ましい方法は、下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、および
b) 600〜1000nmの範囲の放射線を検出する装置によって、放射線a)の吸収を検出する工程によって行われる。
【0106】
本発明は、好適な波長での照射時に検出可能な蛍光を励起するのに充分な量で、一般式(I)の化合物を含有する液体、好ましくは油、特に鉱油、好ましくは添加剤濃縮物を同定する方法も提供し、該方法は下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、
b) 放射線を検出する装置によって、電磁放射線a)の吸収を検出する工程、
c) 600〜1200nmの範囲の放射線を検出する装置によって、誘起された蛍光放射線を検出する工程、
d) 吸収b)および/または蛍光c)によって、液体を同定する工程、および
e) 液体中の一般式(I)の化合物の濃度を、蛍光放射線c)によって測定する工程を含んで成る。
【0107】
本明の同定方法の好ましい実施形態において、同定を行うために、該方法の工程b)〜e)の測定データを合わす。同定は、公知の分光データとの比較を付加的工程として含んで成ってよい。例えば、公知の分光データは、例えばデータベースに蓄積しうる電子的記憶スペクトルである。
【0108】
一般式(I)の化合物は、添加剤濃縮物(以下に、関連用語法に従って、「パッケージ」とも称される)の成分としても使用でき、該濃縮物は、担体油、および種々の燃料添加剤の混合物の他に、染料も一般に含んで成り、不可視フィスカルまたは製造者特定マーキングのために、付加的にマーカ物質も含んで成る。これらのパッケージは、種々の鉱油販売業者が、無添加鉱油の「プール」から供給されることを可能にし、個々のパッケージを使用するだけで、会社特定添加、色およびマーキングが、例えば適切な輸送容器に充填する間に、鉱油に付与される。
【0109】
パッケージは、例えば国際特許第2005/063942号から公知である。この文献(国際特許第2005/063942号)が特に参照され、その内容は参考として本明細書で援用される。
【0110】
そのような本発明のパッケージに存在する成分は、特に、下記の成分:
a) 一般式(I)の少なくとも1つの化合物、
b) 少なくとも1つの担体油、
c) 下記から成る群から選択される少なくとも1つの添加剤、
i. 清浄剤、
ii. 分散剤、および
iii バルブシート摩耗抑制添加剤、ならびに
d) 適切であれば、付加的添加剤および助剤である。
【0111】
個々に記載した成分b)〜d)のより正確な定義のために、前記の参考文献(国際特許第2005/063942号)(p.13、L.29〜p.20、L.26)の開示がここで明示的に参照される。
【0112】
本発明のパッケージにおける成分a)、即ち一般式(I)の少なくとも1つの化合物の濃度は、一般に、鉱油へのパッケージの添加後に所望濃度のマーカ物質がそれに存在するように選択される。鉱油中のマーカ物質の一般的な濃度は、例えば、質量により0.01〜数十ppmの範囲である。
【0113】
成分b)、即ち少なくとも1つの担体油は、パッケージ中に、一般に1〜50質量%、特に5〜30質量%の濃度で存在し、成分c)、即ち少なくとも1つの清浄剤および/または少なくとも1つの分散剤は、一般に25〜90質量%、特に30〜80質量%の濃度で存在するため(各場合に、成分a)〜c)および適切であればd)の総量に対して)、成分a)〜c)および適切であればd)の各濃度の合計は100質量%である。
【0114】
成分d)として、腐食抑制剤、酸化防止剤または安定剤、抗乳化剤、帯電防止剤、メタロセン、潤滑性向上剤、および燃料のpHを下げるためのアミンが、パッケージに存在する場合、それらの濃度の合計は、一般に、パッケージの総質量(即ち、成分a)〜c)およびd)の総量)に対して10質量%を超えず、腐食抑制剤および抗乳化剤の濃度は、一般に、パッケージの総量のそれぞれ約0.01〜0.5質量%の範囲である。
【0115】
成分d)として、付加的有機溶媒(即ち、残りの成分と共に導入されていない)がパッケージに存在する場合、それらの濃度の合計は、パッケージの総量に基づいて20質量%を一般に超えない。これらの溶媒は、一般に、マーカ物質および/または染料の溶液に由来し、該溶液は、より正確な計量性を目的として、純粋なマーカ物質および/または染料の代わりにパッケージに添加される。
【0116】
成分d)として、一般式(I)の化合物以外の付加的マーカ物質が、パッケージに存在する場合、それらの濃度も、鉱油へのパッケージの添加後にそれらが有する含有量に基づく。成分a)について記載したことが、必要な変更を加えて適用される。
【0117】
成分d)として、染料が本発明のパッケージに存在する場合、それらの濃度は一般に、パッケージの総量に基づいて例えば0.1〜5質量%である。
【0118】
本発明は、効率的なマーカ物質製造法を提供する。さらに、標識付けされる液体、特に、油、鉱油または添加剤濃縮物において、優れた長期安定性を特徴とするマーカ物質が見出された。
【0119】
本発明を実施例によって詳しく説明するが、該実施例は本発明の主題を限定するものでない。
【0120】
略語:
nm:ナノメートル
UV/Vis(トルエン):トルエンに溶解した物質の300nm〜900nmの波長範囲におけるUV/Visスペクトル
λmax:最長波長吸収極大の波長(nm)
質量吸光ME:モル十進法吸光係数から、それを特定化合物の分子量で割ることによって得られる(単位l/(g*cm)=1000cm/g)
λem:最短波長発光極大の波長(nm)
室温:20℃
実施例1:シリコンフタロシアニンジクロリドの製造
【化6】

【0121】
a) 比較例 1−アミノ−3−イミノイソインドリンより
四塩化ケイ素169.9g(106.8mL、0.930mol)を、97質量%キノリン657mL中の1−アミノ−3−イミノイソインドリン100.0g(0.689mol)の溶液に、40〜50℃で、冷却しながら45分以内で滴下した。反応混合物を4時間以内に215℃に加熱し、215〜219℃で2時間維持した。120℃に冷却した後、トルエン325mLをゆっくり添加し、さらに70℃に冷却した後に、メタノール325mLを添加し、その間にさらなる冷却をおこなった。懸濁液を40〜50℃に冷却した後に、固形物を吸引濾過によって取った。残渣をメタノールおよびアセトンで洗浄し、次に、50℃で減圧乾燥した。>390℃のm.p.を有する分析的に純粋な暗紫色微結晶90.2g(理論量の86%)を得た。分離を、Y.Kojima,Y.T.Osano and T.Ohashi,Bull.Chem.Soc.Jpn.72,2203−2210(1999)の方法によって行った。
【0122】
b) 本発明の方法 o−フタロジニトリルより
3.32g(0.0185mol)の30質量%ナトリウムメトキシド溶液を、室温で、窒素下に、撹拌しながら、15分以内で、無水メタノール250mL中のo−フタロジニトリル80.08g(0.628mol)の懸濁液に添加した。アンモニアを、懸濁液に15分間導入した(20g/時)。次に、1時間、アンモニアを還流下に導入しながら懸濁液を加熱して沸騰させた。撹拌しながら、598mLの97質量%キノリンを添加した。メタノールを、浴温度60℃まで溶解させた。次に、反応混合物を窒素で不活性化し、室温に冷却した。テトラクロロシラン143.9g(0.847mol)を、25〜47℃において1時間以内で滴下した。反応混合物を215℃に加熱し、215〜221℃で2時間撹拌した。反応混合物を120℃に冷却した後、トルエン296mLを滴下し、その間に、固形物が沈殿し、温度が75℃に下がった。65〜75℃で、メタノール296mLを滴下した。反応混合物を50℃で15分間撹拌し、次に、濾過した。残渣をメタノールおよびアセトンで洗浄し、60℃で減圧乾燥した。暗青色微結晶84.1g(理論量の88%)を得た。
【0123】
215〜221℃の代わりに180〜181℃で16時間の反応は、82.7g(理論量の86%)を生じた。
【0124】
実施例2:比較例 シリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ヘキシルシリルオキシド)の製造
【化7】

【0125】
シリコンフタロシアニンジヒドロキシド2.24g(3.9mmol)および97質量%クロロトリ−n−ヘキシルシラン13.06g(39.7mmol)を、5時間、無水ピリジン225mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(115℃)。室温に冷却した後、反応溶液を濾過し、これによって青色残渣(0.093g)を生じた。濾液を実質的に濃縮し、次に、ペンタンと混合した。沈殿物を吸引濾過によって取り、ペンタン、アセトンおよび水で洗浄し、減圧下に50℃で乾燥した。粗生成物(4.04g)を50mLのヘプタン/トルエン(2:1)に溶解させた。未溶解部分を除去し、減圧下に50℃で乾燥した。融点171〜174℃(事実上175〜177℃)を有する紫色粉末1.15gを得た。酸化アルミニウム中性タイプ510(活性化レベル1)上で、ヘプタン/トルエン(2:1)を溶離剤として使用して、濾液を精製した。紫色粉末1.58gを得、これは80mol%(UV/Visによって測定)の有用物質含有量を有していた。有用物質の総収量は理論量の53%であった。製造は、B.L.Wheeler et al.,J.Am.Chem.Soc.1984,106,7404−7410の方法に従って行った。
【0126】
実施例3:PTCを使用するシリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ヘキシルシリルオキシド)の本発明の製造
【化8】

【0127】
a) シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)、クロロトリ−n−ヘキシルシラン4.93g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)、およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で、還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに1.64g(5.0mmol)のクロロトリ−n−ヘキシルシランを添加し、さらに1時間後、さらに1.64g(5.0mmol)のクロロトリ−n−ヘキシルシランおよび0.40g(10mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じた。濾液を濃縮乾固し、次に、メタノールと混合した。固形物を吸引濾過によって取り、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末5.05gを得、これは有用物質99mol%を含有していた(UV/Vis)。有用物質の計算収量は、理論量の93%であった。
【0128】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=335.1 l/(g*cm)、λem=671nm
b) シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)、クロロトリ−n−ヘキシルシラン4.93g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)、およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.12gを、ピリジン25mL中で、還流させながら加熱して沸騰させた(117℃)。1時間後、1.64g(5.0mmol)のクロロトリ−n−ヘキシルシランを添加し、さらに1時間後、さらに1.64g(5.0mmol)のクロロトリ−n−ヘキシルシランおよび0.40g(10mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度で3.5時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって少量の残渣を生じた。濾液を濃縮乾固し、次に、メタノールと混合した。懸濁液を吸引濾過した。残渣をメタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末5.59gを得、これは有用物質81mol%を含有していた(UV/Vis)。有用物質の計算収量は、理論量の85%であった。
【0129】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=274.2 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例4:シリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ブチルシリルオキシド)の製造
【化9】

【0130】
クロロベンゼン25mL中の、97質量%トリ−n−ブチルクロロシラン3.63g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)0.94g(23.5mmol)、およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gの溶液を、室温で3時間撹拌し、次に、シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)および炭酸カリウム1.63g(11.8mmol)と混合した。反応混合物を、合計6時間、還流させながら加熱して沸騰させ(132℃)、その間に97質量%トリ−n−ブチルクロロシラン1.21g(5.0mmol)を、1時間後および2時間後にそれぞれ添加した。溶液を室温に冷却した後、溶液を濾過した。濾液を濃縮乾固した。残渣をメタノール10mLと共に撹拌し、吸引濾過し、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末3.78gを得、これは純粋物質と比較して、UV/Visにより95mol%の有用物質を含有していた。有用物質の収量は、理論量の79%であった。
【0131】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=380.6 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例5:シリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ヘキシルシリルオキシド)、シリコンフタロシアニントリ−n−ブチルシリルオキシドトリ−n−ヘキシルシリルオキシドおよびシリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ブチルシリルオキシド)の混合物の製造
【化10】

【0132】
97質量%トリ−n−ヘキシルクロロシラン2.47g(7.5mmol)および97質量%トリ−n−ブチルクロロシラン1.82g(7.5mmol)を、室温で、クロロベンゼン25mL中の、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)、シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.70mmol)および20質量%Aliquat(登録商標)HTA−1(これは、1部のAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)を4部の水で希釈することによって製造した)0.0124gの溶液/懸濁液に添加した。反応混合物を加熱して沸騰させ、還流させながら1時間撹拌した。さらに0.82g(2.5mmol)のトリ−n−ヘキシルクロロシランおよび0.61g(2.5mmol)のトリ−n−ブチルクロロシランを添加し、混合物を1時間加熱還流した。トリ−n−ヘキシルクロロシラン0.82g(2.5mmol)、トリ−n−ブチルクロロシラン0.61g(2.5mmol)および水酸化ナトリウム(粉末)0.40g(10mmol)を添加した後、反応混合物を還流させながらさらに4時間撹拌した。溶液を室温に冷却した後、溶液を濾過した。濾液を濃縮乾固した。残渣を、冷たいメタノール20mLと共に撹拌し、吸引濾過によって取り、冷たいメタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末4.01gを得、これは薄層クロマトグラフィーにより3つの染料成分を含有していた。
【0133】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=357.6 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例6:シリコンフタロシアニントリ−n−ブチルシリルオキシドトリ−n−ヘキシルシリルオキシドの製造
【化11】

【0134】
実施例5のように製造した混合物5.0gを、塩化メチレン500mLに溶解させた。濾過によって清澄にした後、濾液をシリカゲル(60Å、70〜200μm)20gと混合し、濃縮乾固した。直列につないだ2つのVersaPakカラム(40x150mmシリカカートリッジ)によって、n−ヘプタンおよび塩化メチレンの4:1混合物を溶離剤として使用して(ポンプ流量300ml/時)、残渣をシリカゲル上で精製した。薄層クロマトグラフィーにより純粋であることが示された画分を合わせ、濃縮乾固した。164℃で溶融する青色固形物0.16gを得た。
【0135】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=368.05 l/(g*cm)、λem=371nm
実施例7:シリコンフタロシアニンビス(トリフェニルシリルオキシド)の製造
【化12】

【0136】
クロロベンゼン25mL中の、97質量%トリフェニルクロロシラン7.14g(23.5mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)0.94g(23.5mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gの溶液を、室温で3時間撹拌し、次に、シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)および炭酸カリウム1.62g(11.8mmol)と混合した。反応混合物を、6時間還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。室温に冷却した後、反応混合物を濾過した。残渣を各25mLのキシレンで2回、次に、水で洗浄し、吸引濾過によって取り、50℃で減圧下に乾燥した。粗生成物を塩化メチレン80mL中で撹拌し、次に、吸引濾過によって取り、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末3.78gを得た。
【0137】
UV/Vis(N−メチル−2−ピロリドン):λmax=672nm、質量吸光ME=221.6 l/(g*cm)、λem=676nm
実施例8:シリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ヘキシルシリルオキシド)、シリコンフタロシアニントリ−n−ヘキシルシリルオキシドトリフェニルシリルオキシドおよびシリコンフタロシアニンビス(トリフェニルシリルオキシド)の混合物の製造
【化13】

【0138】
クロロベンゼン25mL中の、97質量%トリ−n−ヘキシルクロロシラン3.88g(11.8mmol)、97質量%トリフェニルクロロシラン3.59g(11.8mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.39g(34.8mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gの溶液を、室温で1時間撹拌し、次に、シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)と混合した。反応混合物を6時間還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。室温に冷却した後、反応混合物を濾過した。濾液を濃縮乾固し、次に、残渣をアセニトリル40mLと共に撹拌した。固形物を吸引濾過によって取り、アセトニトリル、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧乾燥した。青色粉末4.60gを得た。
【0139】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=210.1 l/(g*cm)、λem=672nm
実施例9:シリコンフタロシアニンビス(ジメチル−n−オクタデシルシリルオキシド)の製造
【化14】

【0140】
シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)、95%n−オクタデシルジメチルクロロシラン5.48g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに1.83g(5.0mmol)の95%n−オクタデシルジメチルクロロシランを添加し、さらに1時間後、さらに1.83g(5.0mmol)の95%n−オクタデシルジメチルクロロシランおよび0.40g(10mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じた。濾液を濃縮乾固し、次に、メタノールと混合した。固形物を吸引濾過によって取り、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末7.89gを得、その2.5gを塩化メチレン500mLに溶解させた。濾過によって清澄にした後、溶液をシリカゲル20gと混合し、濃縮乾固した。VersaPakクロマトグラフィーカラム(40x150mmシリカカートリッジ)によって、塩化メチレンおよびn−ヘプタンの混合物(混合比1:4〜1:1〜1:0)を溶離剤として使用して、ポンプ流量300ml/時で、残渣を精製した。均質画分を合わせ、濃縮乾固した。青色固形物0.263gを得た。
【0141】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=225.8 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例10:シリコンフタロシアニンビス(ジメチルオクタデシルシリルオキシド)の製造
【化15】

【0142】
シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)、97%オクタデシルジメチルクロロシラン(5〜10% C18異性体混合物)5.48g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに1.79g(5.0mmol)の97%オクタデシルジメチルクロロシラン(5〜10% C18異性体混合物)を添加し、さらに1時間後、さらに1.79g(5.0mmol)の97%オクタデシルジメチルクロロシランおよび0.40g(10mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じた。濾液を濃縮乾固し、次に、メタノールと混合した。固形物を吸引濾過によって取り、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色粉末25.37gを得、それをヘプタン−塩化メチレン混合物(4:1)20mLに溶解し、シリカゲルで精製した。薄層クロマトグラフィーにより均質であることが示された画分を合わせ、濃縮乾固した。青色固形物1.23gを得た。
【0143】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=221.2 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例11:シリコンフタロシアニンビス(ジイソブチルオクタデシルシリルオキシド)の製造
【化16】

【0144】
シリコンフタロシアニンジクロリド2.87g(4.7mmol)、97w%クロロジイソブチル−n−オクタデシルシラン7.61g(15.0mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)1.00g(25.0mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに2.54g(5.0mmol)のクロロジイソブチル−n−オクタデシルシランを添加し、さらに1時間後、さらに2.54g(5.0mmol)のクロロジイソブチル−n−オクタデシルシランおよび0.40g(10mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じた。濾液を濃縮して油状物を得た。油状物をシリカゲルで精製した(溶離剤:n−ヘプタン/塩化メチレン(4:1))。溶媒を除去した後、青色固形物2.01gを得た。
【0145】
UV/Vis(トルエン):λmax=670nm、質量吸光ME=240.1 l/(g*cm)、λem=672nm
実施例12:シリコンフタロシアニンビス(ジメチル−13−ヘプタコシル−メチルシリルオキシドの製造
【化17】

【0146】
シリコンフタロシアニンジクロリド1.44g(2.4mmol)、95w%13−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン3.85g(7.5mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)0.50g(12.5mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.02gを、クロロベンゼン12.5mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに1.28g(2.5mmol)の13−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサンを添加し、さらに1時間後、さらに1.28g(2.5mmol)の13−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサンおよび0.20g(5.0mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じた。濾液を濃縮して油状物を得た。油状物をシリカゲルで精製した(溶離剤:n−ヘプタン/塩化メチレン(4:1))。溶媒を除去した後、青色固形物0.52gを得た。
【0147】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=257.0 l/(g*cm)、λem=671nm
実施例13:シリコンフタロシアニンビス(ジメチルオクチルオキシシリルオキシド)の製造
【化18】

【0148】
シリコンフタロシアニンジヒドロキシド2.70g(4.7mmol)、クロロジメチルオクチルオキシシラン4.17g(15mmol)(これは、Synth.Commun.31,2379−2389,2001の方法と同様に製造した)、炭酸カリウム3.46g(25.0mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。1時間後、さらに1.39g(5.0mmol)のクロロジメチルオクチルオキシシランを添加し、さらに1時間後、さらに1.39g(5.0mmol)のクロロジメチルオクチルオキシシランおよび1.38g(10.0mmol)の炭酸カリウムを添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液をケイ藻土で濾過し、これによって残渣を生じた。固形物をキシレン、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧乾燥した。青色固形物2.22gを得た。
【0149】
UV/Vis(トルエン):λmax=668nm、質量吸光ME=212.2 l/(g*cm)、λem=674nm
実施例14:シリコンフタロシアニンビス(ジイソプロピルオクチルオキシシリルオキシド)の製造
【化19】

【0150】
シリコンフタロシアニンジヒドロキシド2.70g(4.7mmol)、クロロジイソプロピルオクチルオキシシラン4.17g(15mmol)(これは、米国特許第5576453号の方法によって製造した)、炭酸カリウム6.50g(47.0mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.04gを、クロロベンゼン25mL中で6時間還流させながら加熱して沸騰させた(132℃)。室温に冷却した後、溶液を濾過し、これによって残渣が生じた。残渣を各20mLのキシレンで5回洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、残渣をメタノール50mLと共に撹拌した。固形物を吸引濾過によって取り、メタノールおよび水で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。青色固形物2.36gを得た。
【0151】
UV/Vis(トルエン):λmax=672nm、質量吸光ME=329.2 l/(g*cm)、λem=676nm
実施例15:シリコン1(4)、8(11)、15(18)、22(25)−テトラ(3−メチルピペリジノ)フタロシアニンビス(トリ−n−ブチルシリルオキシド)
a) 1−アミノ−3−イミノ−4−(3−メチルピペリジノ)イソインドリン
【化20】

【0152】
合計52g(3.1mol)のアンモニアを、無水メタノール750mL中の、3−(3−メチルピペリジノ)フタロジニトリル90.12g(0.400mol)および30%メタノールナトリウムメトキシド溶液33.15g(0.184mol)の溶液に、初めは室温で1時間、次に58〜60℃で13時間注いだ。次に、溶液を室温で一晩(17時間)撹拌した。氷水冷却しながら1時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾過残渣を冷たいメタノールで洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。104℃で溶融するピンク色粉末75.31gを得た。母液を濃縮乾固し、次に、メタノール100mLと混合した。氷水冷却しながら1時間撹拌した後、懸濁液を濾過した。残渣を氷冷メタノールで洗浄し、50℃で減圧下に乾燥した。104℃で溶融するピンク色粉末12.41gを得た。2つの画分を合わせた:87.72g(理論量の90%)。
【0153】
b) シリコン1(4)、8(11)、15(18)、22(25)−テトラ(3−メチルピペリジノ)フタロシアニンジヒドロキシド
【化21】

【0154】
無水キノリン82mL中の1−アミノ−3−イミノ−4−(3−メチルピペリジノ)イソインドリン12.12g(50.0mmol)の溶液を、室温で、四塩化ケイ素(発熱性)12.16g(71.6mmol)と混合し、1時間以内に160℃に加熱した。反応混合物をこの温度で1時間維持した。室温に冷却した後、トルエン75mLおよび水100mLを反応混合物に添加した。炭酸ナトリウム12.6gを添加して、溶液をpH9に調節した。トルエンおよびキノリンを蒸気蒸留によって除去した。室温に冷却した後、溶液を濾過した。濾過残渣を水で洗浄し、50℃で減圧乾燥した。粗生成物14.01gを得、これをトルエン250mL中で30分間還流させながら加熱して沸騰させた。溶液を加熱濾過した。濾液を濃縮乾固した。固形物7.45gを得、これをシリカゲル41gに吸着し、VersaPakクロマトグラフィーカラム(40x150mmシリカカートリッジ)によって、トルエン/メタノール(15:1)を溶離剤として使用して、ポンプ流量2.5ml/分で精製した。適切な画分を合わせ、濃縮乾固した。黒色粉末1.03gを得た。
【0155】
UV/Vis(トルエン):λmax=776nm、質量吸光ME=103.3 l/(g*cm)
c) シリコン1(4)、8(11)、15(18)、22(25)−テトラ(3−メチルピペリジノ)フタロシアニンビス(トリ−n−ブチルシリルオキシド)
【化22】

【0156】
トリブチルクロロシラン489mg(0.519mmol)を、トルエン20mL中の、シリコン1(4)、8(11)、15(18)、22(25)−テトラ(3−メチルピペリジノ)フタロシアニンジヒドロキシド400mg、硫酸水素テトラブチルアンモニウム1.4mg(0.0042mmol)および炭酸カリウム575mg(4.16mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で6時間撹拌した。溶液を濾過し、濃縮して油状残渣を得、少量のジエチルエーテルと共にスラリーにした。固形物を吸引濾過によって取り、ジエチルエーテルで洗浄し、空気下に減圧乾燥した。黒色固形物234mgを得た。
【0157】
UV/Vis(トルエン):λmax=776nm、質量吸光ME=35.0 l/(g*cm)
実施例16:シリコンナフタロシアニン−ビス(トリヘキシルシリルオキシド)
【化23】

【0158】
シリコンナフタロシアニンジクロリド1.00g(1.23mmol)、97%トリ−n−ヘキシルクロロシラン1.29g(3.93mmol)、水酸化ナトリウム(粉末)0.26g(6.6mmol)およびAliquat(登録商標)HTA−1(Cognis)0.01gを、1,2−ジクロロベンゼン5mL中で、還流させながら加熱して沸騰させ(183℃)た。1間後、さらに0.43g(1.3mmol)の97%トリ−n−ヘキシルクロロシランを添加し、さらに1時間後、さらに0.43g(1.3mmol)の97%トリ−n−ヘキシルクロロシランおよび0.10g(2.6mmol)の水酸化ナトリウム(粉末)を添加した。還流温度でさらに4時間加熱した後、溶液を室温に冷却した。溶液を濾過し、これによって残渣を生じ、次に、それをトルエン20mLで加熱した。溶液を加熱濾過し、濃縮乾固した。メタノール10mLを添加した後、固形物を吸引濾過によって取り、メタノールで洗浄し、減圧乾燥した。黄緑色固形物0.29g(理論量の18%)を得た。
【0159】
UV/Vis(トルエン):λmax=774nm、質量吸光ME=397.5 l/(g*cm)、λem=776nm
比較例17:1(4)、8(11)、15(18)、22(25)−テトラ(3−メチルピペリジノ)フタロシアニン
【化24】

【0160】
実施例18:鉱油添加剤の存在下の貯蔵安定性試験
約20mgの特定物質を、25mLのSolvesso 150(Shellsol A 150,CAS# 64742−94−5)に溶解させた。あらゆる不溶性成分を濾過によって除去した。溶解物質の濃度は、測定される最長波長吸収バンドの吸光度ができる限り0.8〜1.5になるように選択した。濾液5mLを、ポリイソブテナミン(PIBA)に基づく市販添加剤(Kerocom(登録商標)PIBA 03;BASF Aktiengesellschaftによる市販のポリイソブテナミン)と共に10mLにし、混合し、気密密閉したアンプル中において40℃で保存した。下記の表に記載されている貯蔵時間後に、試料をアンプルから取り、1mmキュベットで分析した(UV/VIS)。種々の試料のよりよい比較を得るために、1(貯蔵時間の開始時に1である吸光度)に標準化した吸光度を表に示す。
【0161】
【表1】

【0162】
実施例19:シリコンフタロシアンビス(トリ−n−ヘキシルシリルオキシド)、シリコンフタロシアニントリ−n−ブチルシリルオキシドトリ−n−ヘキシルシリルオキシドおよびシリコンフタロシアニンビス(トリ−n−ブチルシリルオキシド)の混合物の製造
【化25】

【0163】
3−ピコリン30mLおよび99%トリブチルアミン0.65g(3.46mmol)中の80%シリコン2,3−ナフタロシアニンジヒドロキシド(Aldrich)0.25g(0.323mmol)の懸濁液/溶液を、97%トリ−n−ヘキシルクロロシラン0.54g(1.65mmol)および97%クロロトリブチルシラン0.40g(1.65mmol)と混合し、1.5時間還流させながら加熱して沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、これによって残渣は生じなかった。濾液を回転蒸発器で濃縮し、次に、メタノールと混合した。固形物を吸引濾過によって取り、ペンタンで洗浄し、真空乾燥室で乾燥した。緑色固形物0.178gを得た。
【0164】
UV/Vis(トルエン):λmax(質量吸光)=774nm(397.03)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、記号および添え字は、それぞれ下記のように定義される:
1、M2、M3は、同一または異なり、それぞれ独立に、SiまたはGeであり、
A、A’、A’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
D、D’、D’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
E、E’、E’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
G、G’、G’’は、同一または異なり、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
n、m、p、qは、同一または異なり、それぞれ独立に、0〜2から選択される整数であり、
rは、1〜(4+n・2)から選択される整数であり、
sは、1〜(4+m・2)から選択される整数であり、
uは、1〜(4+p・2)から選択される整数であり、
vは、1〜(4+q・2)から選択される整数であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C3〜C15シクロアルキル、アリール、複素環、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C1〜C4ジアルキルアミノ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、CO2M、SO3M、C1〜C4ジアルキルスルファモイルであり、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル−、C2〜C20アルケニル−、C2〜C20アルキニル−、C3〜C15シクロアルキル−、アリール−、アリールアルキル−、C1〜C20アルコキシ−、C1〜C20アルキルチオ−、アリールオキシ−、トリアルキルシロキシ−、CO2M、SO3M、C1〜C4トリアルキルアンモニウム置換C1〜C20アルキル基であり、
Mは、水素、アルカリ金属であり、
ここで、置換基R1〜R6、W、X、YまたはZは、それぞれ、任意の位置で、1個以上のヘテロ原子で中断されてもよく、これらのヘテロ原子の数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、特に3以下であり、かつ/または、それぞれの場合に、任意の位置で、5回以下、好ましくは4回以下、より好ましくは3回以下で、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロ原子、NR2(R=水素、C1〜C20アルキル)、SO3M、CO2Mまたはハロゲンで置換されてもよく、これらも同様に、前記の置換基によって、2回以下、好ましくは1回以下で、置換されてもよい]の化合物の製造法であって、一般式(II):
【化2】

[式中、L、L’は、同一または異なり、それぞれ独立に、ClまたはOHである]の化合物を、
a.塩素化合物Cl−M2123、Cl−M3456(但し、LおよびL’の両方が同時にOHでないものとする)、または
b.ヒドロキシル化合物HO−M2123、HO−M3456
の存在下に、反応させることによって行われる方法。
【請求項2】
添え字n、m、pおよびqが全て0であるか、または全て1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記号M1、M2およびM3が全てSiである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応が溶媒中で行われる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応が、塩基、または塩基と水の混合物の存在下に行われる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応が、相間移動触媒の存在下に行われ、塩素化合物Cl−M2123、Cl−M3456との反応の場合、LおよびL’の両方が同時にOHであってもよい、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(II)[式中、記号および添え字はそれぞれ請求項1に定義した通りである]の一般的化合物の製造法であって、一般式(IIIa)〜(IIId):
【化3】

の化合物を反応させ、化合物(IIIa)〜(IIId)のイソインドリン誘導体を分離せずに行う方法。
【請求項9】
請求項1に記載の式(II)[式中、記号および添え字はそれぞれ請求項1に定義した通りである]の一般的化合物を製造する請求項8に記載の方法であって、請求項9に記載の一般式(IIIa)〜(IIId)の化合物を反応させることによって行われ、下記工程(a)〜(d):
(a) 一般式(IIIa)〜(IIIb)の化合物を、溶媒に溶解させる工程、
(b) アンモニアおよび強塩基の存在下に、工程(a)からの溶解化合物を反応させる工程、
(c) 工程(b)で生成された化合物の分離および/または後処理を行わずに、工程(a)からの溶媒を他の溶媒と交換する工程、
(d) 工程(c)からの溶解化合物を、M1Cl4と反応させる工程を含んで成る方法。
【請求項10】
添え字n、m、pおよびqが全て0であるか、または全て1である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
記号A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’およびG、G’、G’’が全てCHである、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
記号M1がSiである、請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物の、液体用マーカ物質としての使用であって、該式において、記号および添え字はそれぞれ請求項1に定義した通りであり、
(A) そして、A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、n、m、p、qが全て0または1であり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでなく、
(B) そして、A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、n、m、p、qが全て1であり、かつM1〜M3がそれぞれSiである場合、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C2〜C20アルキニル−、C3〜C15シクロアルキル−、アリール−、アリールオキシ−、トリアルキルシロキシ−またはC1〜C4トリアルキルアンモニウム−置換C1〜C20アルキル基である使用。
【請求項14】
記号および添え字がそれぞれ下記:
n、m、p、qは、それぞれ0であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、5または6員飽和窒素含有環系であり、該環系は環窒素原子を介して結合し、かつ該環系は1個または2個の付加的窒素原子または1個の付加的酸素または硫黄原子を含有してもよく、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシであり、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでないと定義される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
添え字および記号がそれぞれ下記:
n、m、p、qは、それぞれ1であり、
W、X、Y、Zは、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシ、C3〜C6シクロアルキルアミノ、5または6員飽和窒素含有環系であり、該環系は環窒素原子を介して結合し、かつ該環系は1個または2個の付加的窒素原子または1個の付加的酸素または硫黄原子を含有してもよく、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20アルコキシ、アリールオキシであり、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、液体が油または鉱油であり、かつM1がSiである場合、
全ての置換基R1〜R3が同時に、かつ全ての置換基R4〜R6が同時に、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、またはアリールオキシでなく、
そして、
A、A’、A’’、D、D’、D’’、E、E’、E’’、G、G’、G’’が全てCHであり、かつM1〜M3がそれぞれSiである場合、
1〜R6は、同一または異なり、それぞれ独立に、アリールまたはアリールオキシであると定義される、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
請求項13から15までのいずれか1項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物を、マーカ物質として含んで成る液体。
【請求項17】
好適な波長の放射線での照射時に検出可能な蛍光を誘起するのに充分な量で、請求項13から15までのいずれか1項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体において、マーカ物質を検出する方法であって、下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、および
b) 600〜1200nmの範囲の放射線を検出する装置によって、誘起された蛍光放射線を検出する工程を含んで成る方法。
【請求項18】
好適な波長の放射線での照射時に検出可能な吸収を誘起するのに充分な量で、請求項13から15までのいずれか1項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体において、マーカ物質を検出する方法であって、下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、および
b) 600〜1000nmの範囲の放射線を検出する装置によって、放射線a)の吸収を検出する工程を含んで成る方法。
【請求項19】
好適な波長の放射線での照射時に検出可能な蛍光を誘起するのに充分な量で、請求項13から15までのいずれか1項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する液体を同定する方法であって、下記工程:
a) 600〜1000nmの波長の電磁放射線で、液体を照射する工程、
b) 放射線を検出する装置によって、電磁放射線a)の吸収を検出する工程、
c) 600〜1200nmの範囲の放射線を検出する装置によって、誘起された蛍光放射線を検出する工程、
d) 吸収b)および/または蛍光c)によって、液体を同定する工程、および
e) 液体中の一般式(I)の化合物の濃度を、蛍光放射線c)によって測定する工程を含んで成る方法。
【請求項20】
式(Ia’)
【化4】

の化合物。
【請求項21】
式(Ib’):
【化5】

の化合物。
【請求項22】
式(Ic’):
【化6】

[式中、R1=R2=R4=R5=メチル、イソプロピルである]の化合物。
【請求項23】
式(Id’):
【化7】

[式中、R’=OH、O−Si(n−ブチル)3である]の化合物。

【公表番号】特表2010−523751(P2010−523751A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501491(P2010−501491)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053779
【国際公開番号】WO2008/122531
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】