説明

シリコン化合物、蓄電デバイス用負極及び蓄電デバイス

【課題】新規なシリコン化合物、蓄電デバイス用負極及び蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の蓄電デバイスは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格としアニオンと結合可能な部位を有する修飾基がケイ素原子と結合しているシリコン化合物を含む負極と、正極と、修飾基と結合可能なアニオンを伝導可能なイオン伝導媒体とを備えている。このシリコン化合物の修飾基は、窒素を介してアニオンと結合可能であり、酸素を介してケイ素原子と結合しているものであることが好ましい。修飾基と結合するアニオンとしては、BF4-、PF6-、ClO4-、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(TFSI-)、Br-、Cl-、F-のうち1種以上であることが好ましい。この蓄電デバイスは、アニオンが負極と正極の間を移動することで作動するロッキングチェア型のデバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン化合物、蓄電デバイス用負極及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極と負極とを有しリチウムイオンを伝導する電解液を有するリチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池の一般的な構成としては、正極活物質としてLiMO2(Mは遷移金属)、負極活物質として炭素、電解液としてLiPF6をエチレンカーボネート(EC)やジエチルカーボネート(DEC)などのカーボネート系溶媒に溶かしたものなどが知られている。
【0003】
また、リチウムイオン二次電池以外の蓄電デバイスとして、デュアルカーボンセルが提案されている(例えば、非特許文献1,特許文献1参照)。デュアルカーボンセルは、正極にグラファイト、負極に活性炭、あるいは、正負極共に活性炭を用いたものなどが知られており、例えばトリエチルメチルアンモニウム・BF4(TEMABF4)などの電解液が両極で分極することで、容量を発生することが知られている。また、正極としての黒鉛には、BF4-やPF6-などのアニオンを挿入でき、正極重量あたり約120mAh/g程度の容量が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−243153号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Electrochemistry Communication 8(2006),1482-1486
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リチウムイオン二次電池では、大電流で充放電した場合などに、リチウムが活物質内で十分に拡散できず、活物質表面に析出して不具合を生じることがあった。また、上述したデュアルカーボンセルでは、負極の反応は電解液に含まれるカチオンが吸着脱離する機構などであり、負極でのエネルギー密度が低く、よりエネルギー密度を高めることが望まれていた。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、アニオンの吸蔵放出が可能な新規なシリコン化合物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格とし、窒素(N)を介してアニオン(BF4-など)と結合する修飾基が酸素(O)を介して上述のケイ素と結合しているシリコン化合物を負極活物質として蓄電デバイスを作製したところ、充放電可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のシリコン化合物は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格とし、アニオンと結合可能な部位を有する修飾基がケイ素原子と結合しているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリコン化合物は、薄片状で大きな形状異方性を示すため、半導体、電気・電子等の各分野への応用が可能である。また、六員環を構成するケイ素原子に、アニオンと結合可能な部位を有する修飾基と結合しているものを含むため、それによって、アニオンと結合することができる。この性質を利用して蓄電デバイスの電極として用いた場合、アニオンを取り込むことができ、充放電することができるものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】層状ポリシランの模式図である。
【図2】本発明の蓄電デバイスの作動原理を示す模式図である。
【図3】実施例1のシリコン化合物の合成スキームである。
【図4】実施例2のシリコン化合物の合成スキームである。
【図5】実施例3のシリコン化合物の合成スキームである。
【図6】実施例1のシリコン化合物のIRスペクトルのグラフである。
【図7】実施例2のシリコン化合物のIRスペクトルのグラフである。
【図8】実施例3のシリコン化合物のIRスペクトルのグラフである。
【図9】実施例1のシリコン化合物のXRDの結果を示すグラフである。
【図10】実施例2のシリコン化合物のXRDの結果を示すグラフである。
【図11】実施例3のシリコン化合物のXRDの結果を示すグラフである。
【図12】実施例1の評価セルの充放電サイクルの測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシリコン化合物は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格とするものである。このシリコン化合物において、六員環を構成するケイ素原子には、アニオンと結合可能な部位を有する修飾基(以下、単に「修飾基」とも称する)が結合している。六員環を構成するケイ素原子は、上述した修飾基以外と結合していてもよく、他の元素や他の置換基などと結合していてもよい。例えば、ケイ素原子の一部は上述した修飾基と結合し、残りのケイ素原子は水素と結合していてもよい。他の元素や他の置換基などは、特に限定されるものではないが、原子量・分子量が小さいものであることが好ましい。アニオンの吸蔵放出に関与しない部分の重量を少なくすることで、活物質重量当たりの電池容量を高めることができるからである。また、ケイ素原子のうち、上述した修飾基と結合したものの比率は、1/6以上1/2以下であることが好ましい。このような範囲であれば、アニオンを効率よく吸蔵放出できると考えられるからである。また、作成が容易だからである。このシリコン化合物は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なり、厚さがナノオーダーであるシート状の材料又はこれらの凝集体若しくは積層体であると考えられ、修飾基が結合したポリシランとも、修飾基が結合した有機シロキセンとも称することができる。なお、本発明のシリコン化合物の厚さは、特に限定するものではないが、10nm以下であることが好ましい。
【0013】
本発明のシリコン化合物において、修飾基は、ケイ素原子で構成された基本骨格に結合しているものとすれば特に限定されるものではないが、酸素を有していてもよく、この酸素を介してケイ素原子と結合するものとしてもよい。こうすれば、より容易に修飾基をケイ素原子と結合させることができる。このような修飾基は、例えば−ORのように表すことができる。ここで、Rは、炭化水素構造を含むものとしてもよい。炭化水素構造を含むものであれば、アニオンと結合可能な部位を有しかつ直接又は間接にケイ素原子と結合するものとすることが容易だからである。炭化水素構造としては、鎖状(直鎖でもよいし分岐鎖を有していてもよい)の炭化水素基や、環状の炭化水素基や、鎖状と環状の構造を有する基としてもよい。このRの炭素数は、それぞれ1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。炭素数が1以上20以下であれば、分子量が大きくなりすぎず、活物質重量当たりの電池容量を高めることができるからである。鎖状の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの飽和炭化水素基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。また、環状の炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状飽和炭化水素基やフェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。このRは、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。置換基としては、上述の炭化水素基や、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンなどが挙げられる。また、Rには、例えば窒素、硫黄、酸素などが含まれていてもよい。また、この修飾基は、アニオンと結合可能な部位を有するものとすれば特に限定されるものではないが、窒素を介してアニオンと結合するものとしてもよい。なお、上述のRにおいても、アニオンと結合可能である窒素を含むものであることが好ましい。窒素を有する修飾基は、極性が大きいものが多く、より容易にアニオンと結合することができる。この窒素を有する修飾基は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウムイオンなどを含むものが好ましい。これらのアミンやアンモニウムイオンの窒素には、例えば、1以上の炭化水素基が結合していることが好ましい。ここで、窒素に結合した炭化水素基としては、上述した鎖状、環状及び鎖状と環状の構造を有するものなどが挙げられる。また、この窒素は、ケイ素と直接又は間接に結合しているものとすることができるが(ケイ素側の結合)、ケイ素側の結合以外は同じ炭化水素基が複数結合していてもよいし、異なる炭化水素基が複数結合していてもよく、前者がより好ましい。アニオンとの結合がより安定すると考えられるからである。窒素に結合した炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。この置換基は、上述したものを挙げることができる。アニオンと結合可能な部位としては、複素環に窒素原子が含まれている構造(複素環構造)を有するアミンやアンモニウムイオンなどとしてもよい。この窒素原子を含む複素環構造としては、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペリジン、モルフォリンなどの含窒素複素環式化合物が挙げられる。また、修飾基は、窒素を介してアニオンと結合可能であると共に、酸素を介してケイ素原子と結合しているものとするのがより好ましい。修飾基の具体例としては、式(1)〜(3)に示すものなどが好適である。なお、式(1)〜(3)では、アニオン(BF4-)を結合している修飾基を示した。
【0014】
【化1】

【0015】
本発明のシリコン化合物において、アニオンは、修飾基と結合可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラフルオロボレート(BF4-)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6-)、パークロレート(ClO4-)、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(TFSI-)、Br-、Cl-、F-のうち1種以上であることが好ましい。このうち、BF4-であれば、分子量が小さく、且つイオン伝導度が高いため負極活物質単位重量当たりの理論容量を高めることができ好ましい。また、PF6-、TFSI-であれば、BF4-に比して分子量が大きく活物質単位重量当たりの理論容量が減少する反面、イオン伝導度が高く低温特性を高めることができると考えられる。また、ClO4-は、熱的及び化学的に不安定である反面、イオン伝導度が高く低温特性向上が期待される。また、Br-、Cl-、F-であれば、蓄電デバイスの容器などを耐食性としなければならない反面、BF4-に比して分子量が小さく活物質単位重量当たりの理論容量を増加することができる。このように、修飾基と結合可能なアニオンは、用途等に応じて適宜選択することができる。この、本発明のシリコン化合物は、アニオンと結合可能な部位を有していれば、実際にアニオンと結合していることを要しないが、シリコン化合物の合成時に所望のアニオンを導入するなどして、アニオンと結合しているものであることが望ましい。
【0016】
本発明のシリコン化合物は、例えば、層状ポリシラン(Si66)と、上記修飾基の構造を含む化合物(以下、修飾基を含む化合物とも称する)とを混合して反応させ、さらに濾別して乾燥することにより粉体として得ることができる。ここで、層状ポリシランは、図1に示すように、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格とするシート構造が、層状に形成されたものである。この層状ポリシランにおいて、ケイ素原子と結合するのは、水素であることが好ましいが、一部が他の元素や置換基などであるものとしてもよい。層状ポリシランと修飾基を含む化合物とを混合して反応させる際には、層状ポリシランは、アセトンなどの有機溶媒と混合して用いてもよい。この有機溶媒は無水物であることが好ましい。層状ポリシランは水と反応して分解しやすいからである。また、このとき、修飾基を含む化合物は、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFとも称する)などの有機溶媒と混合して用いてもよい。層状ポリシランの分散性をより高めることができるからである。ここで、窒素を介してアニオンと結合可能であり酸素を介してケイ素原子と結合している修飾基を有するシリコン化合物の製造方法において、修飾基の構造を含む化合物は、カチオンとアニオンとの塩としてもよい。カチオンとしては、イミダゾリウムやアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウムや、これらのいずれかにヒドロキシル基が直接又は間接的に結合したものなどが挙げられ、このうち、ヒドロキシル基とアミン構造を有するものが好ましく、コリンなどがより好ましい。ヒドロキシル基を有するものであれば、ヒドロキシル基部位が層状ポリシランの水素部位と反応して容易にケイ素原子と結合するものとすることができるからである。また、アミン構造を有するものであれば、アニオンと結合可能である窒素を有するものとすることが容易だからである。ヒドロキシル基が間接的に結合したものとしては、メタノールやエタノールなどのアルコール構造が挙げられる。イミダゾリウムとしては、1−(ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム等が挙げられ、アンモニウムとしては、N,N−ジメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられ、ピリジニウムとしては、1−ブチル−3−メチルピリジニウムや1−ブチルピリジニウム等が挙げられ、ピペリジニウムとしては、1−エチル−1−メチルピペリジニウム等が挙げられる。具体的には、式(1)に示す修飾基を合成する際には、N,N−ジメチルアンモニウムエタノール・テトラフルオロホウ酸塩を用いることができ、式(2)に示す修飾基を合成する際には、テトラフルオロホウ酸1−(ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムを用いることができ、式(3)に示す修飾基を合成する際には、テトラフルオロホウ酸コリンを用いることができる。また、アニオンとしては、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド(BETI-)や上述したTFSI-等のイミドアニオンのほか、BF4-、ClO4-、PF6-、Br-、Cl-、F-等の無機アニオンが挙げられる。このうち、アニオンをBF4-とすれば、シリコン化合物の合成をより容易にすることができる。また、アニオンをTFSI-とすれば充放電特性をより高めることができる。
【0017】
本発明の蓄電デバイスは、上述したシリコン化合物を有する負極と、正極と、負極と正極との間に介在しシリコン化合物の修飾基と結合可能なアニオンを伝導可能なイオン伝導媒体と、を備えたものである。この蓄電デバイスは、アニオンが負極と正極の間を移動することで作動するロッキングチェア型(シャトルコック型)の反応を主として示すものと考えられる。図2は、本発明の蓄電デバイスの作動原理を示す模式図である。図2では、アニオンはBF4-であるものとした。この蓄電デバイスでは、放電時には負極にアニオンを吸蔵し、充電時には負極からアニオンを放出すると考えられ、具体的には、放電時には修飾基にアニオンが結合して負極活物質が酸化され、充電時には修飾基からアニオンが脱離して負極活物質が還元されると考えられる。このとき、リザーブ型の反応を生じたり、電気二重層による静電容量を生じていてもよい。この蓄電デバイスでは、放電時には正極からアニオンを放出し、充電時には正極にアニオンを吸蔵すると考えられる。
【0018】
本発明の蓄電デバイスにおいて、負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の電極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質は、上述したシリコン化合物を含むものである。この負極活物質は、アニオンの吸蔵放出電位が、リチウム基準で0.0V以上2.0V以下であることが好ましく、1.0V以上2.0V以下であることがより好ましい。1.0V以上であれば、例えばLiBF4のポリカーボネート(PC)溶液を電解液とした場合などであっても、Liが負極表面に析出することを抑制することができる。
【0019】
導電材は、電極性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。電極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
【0020】
本発明の蓄電デバイスにおいて、正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質は、特に限定されるものではないが、アニオンを吸蔵放出可能なものであることが好ましく、上述したシリコン化合物の修飾基に結合可能なアニオンを吸蔵放出可能なものであることがより好ましい。このうち、アニオンの吸蔵放出電位がリチウム基準で3.0〜5.5Vの範囲であることが好ましく、このようなものとして、炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、黒鉛を主成分とするものであることが好ましい。ここで、「黒鉛を主成分とする」とは、黒鉛を50%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上含むものとすることができる。このようなものであれば、非晶質炭素を含んでいてもよいし、その他の活物質を含んでいてもよい。黒鉛としては、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などが挙げられるが、人造黒鉛であれば、蓄電デバイスの電位をより高めることができ、エネルギー密度を高めることができる点で好ましい。更に、アルカリ賦活した人造黒鉛を用いると、黒鉛の層間が広がりイオンの出入りが容易となるために出力特性が向上するため、好ましい。具体的には、NaやKなどのアルカリを黒鉛に添加し、不活性雰囲気中、600℃〜1000℃の高温で処理することにより、アルカリ賦活することができる。正極活物質として炭素材料を用いれば、アニオンを可逆的に吸蔵放出しやすく、好ましい。
【0021】
正極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ上述した負極で例示したものを用いることができる。正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、上述した電極で例示したいずれかとすることができる。
【0022】
本発明の蓄電デバイスのイオン伝導媒体としては、上述した修飾基と結合可能なアニオンを伝導可能なものとして用いることができる。このイオン伝導媒体は、イオン液体を含むものであることが好ましく、負極活物質に含まれるものと同種のアニオンをカウンターアニオンとして構成されることが好ましい。イオン液体は、常温で溶融しているカチオンとアニオンとの塩であるが、カチオンとしては、イミダゾリウム、アンモニウム、コリン、ピリジニウム、ピペリジニウムなどが挙げられる。イミダゾリウムとしては、1−(ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム等が挙げられ、アンモニウムとしては、N,N−ジメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられ、ピリジニウムとしては、1−ブチル−3−メチルピリジニウムや1−ブチルピリジニウム等が挙げられ、ピペリジニウムとしては、1−エチル−1−メチルピペリジニウム等が挙げられる。また、アニオンとしては、TFSI-やBETI-等のイミドアニオンのほか、BF4-、ClO4-、PF6-、Br-、Cl-、F-等の無機アニオンが挙げられる。このうち、アニオンをテトラフルオロボレートとすれば、蓄電デバイスをより軽量化することができる。また、アニオンをTFSI-とすれば充放電特性をより高めることができる。アニオンをBF4-とするものとしては、具体的には、ジエチルメチル(2メトキシエチル)アンモニウム・BF4(以下DEMEBF4とも称する)などが挙げられる。アニオンをTFSIとするものとしては、具体的には、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:PP13TFSI)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:EMITFSI)、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(略称:TMPATFSI)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。このうち、PP13TFSIが好ましい。
【0023】
本発明の蓄電デバイスにおいて、イオン伝導媒体は、イオン液体とカーボネート系の有機溶媒とを含むものとしてもよい。カーボネート系の有機溶媒を含むものとすれば、低温での凍結などを防止し、低温での出力特性などの低温特性をより良好にすることができる。また、カーボネート系の有機溶媒を添加すれば、粘度を低下させて出力特性を良好にすることができる。特に、本発明の蓄電デバイスにおいては、イオン伝導媒体として加えるイオン液体の濃度を低くしても、アニオンの伝導を良好に行うことができる。イオン液体と有機溶媒とを混合して用いる場合、イオン液体の濃度は、0.5M以上2.0M以下が望ましい。カーボネート系の有機溶媒としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。なお、本発明の蓄電デバイスのイオン伝導媒体は、イオン液体を含まず、修飾基に結合可能なアニオンを溶解した上記カーボネート系の有機溶媒としてもよい。
【0024】
本発明の蓄電デバイスは、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ガラス繊維製のガラスフィルタや、ポリプロピレン製不織布、ポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。このうち、ガラスフィルタであれば、例えばBF4系のイオン液体などの電解液との濡れ性が良好であり、アニオンの移動を円滑にすることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0025】
本発明の蓄電デバイスの形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0027】
例えば、本発明は、シリコン化合物としてもよいし、このシリコン化合物を有する蓄電デバイス用負極としてもよいし、シリコン化合物を有する蓄電デバイス用負極を用いた蓄電デバイスとしてもよい。
【実施例】
【0028】
以下には、本発明の蓄電デバイス用電極を具体的に作製した例を実施例として説明する。
【0029】
(1)シリコン化合物(有機シロキセン)の合成
[実施例1]
まず、シリコン化合物の合成に用いる層状ポリシラン(Si66)を以下のように合成した。この合成は、−30℃に冷却した濃塩酸100ml中へ二ケイ化カルシウム(CaSi2)3gを添加し、1週間、−30℃の暗室で静置した。この処理で、黒色の二ケイ化カルシウムは黄色へ変化した。この黄色固体をAr雰囲気下で加圧ろ過し、脱気塩酸(−30℃)で洗浄し、脱気HF(フッ化水素)水溶液(−30℃)で洗浄し、さらに脱気アセトン(−30℃)で洗浄し、110℃で一晩減圧乾燥して層状ポリシランを合成した。合成した層状ポリシランを以下の実施例の合成に用いた。この層状ポリシランの合成の化学反応式を式(4)に示す。
【0030】
(化2)
3CaSi2+6HCl→Si66+3CaCl2 …(4)
【0031】
図3は、実施例1のシリコン化合物の合成スキームである。まず、N,N−ジメチルアミノエタノール(0.6ml)を0℃に冷却し、テトラフルオロホウ酸ジエチルエーテル錯体(0.25ml)を滴下した。室温で2時間撹拌後、溶媒を留去することで、N,N−ジメチルアンモニウムエタノール・テトラフルオロホウ酸塩を得た。上述のように合成した層状ポリシラン(Si66)の100.8mgをアセトン(2ml)に懸濁させ、N,N−ジメチルアンモニウムエタノール・テトラフルオロホウ酸塩(319.2mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFとも称する)溶液(2ml)を室温で加え、90℃で終夜加熱撹拌した。反応後、室温まで冷やし、テフロンフィルター(「テフロン」は登録商標)を用いて、濾別した。得られた濾物をアセトンで洗浄し真空乾燥して、126.8mgの白色粉体として実施例1のシリコン化合物を得た。実施例1の白色粉体は、後述する分析結果により、図3に示すような化学構造を有するものと推察された。この実施例1のシリコン化合物の組成は、Si64(OCH2CH2N(CH32H)2・(BF42と考えられ、この物質が2電子反応を起こす場合の理論容量は、153mAh/gである。この値は、4.2VカットのLiCoO2系の既存のリチウムイオン二次電池(130〜170mAh/g)に匹敵する値である。
【0032】
[実施例2]
図4は、実施例2のシリコン化合物の合成スキームである。まず、層状ポリシラン51.6mgを1mlのアセトン中に懸濁させ、テトラフルオロホウ酸1−(ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムのDMF溶液(1ml)を室温で加え、90 ℃で終夜加熱撹拌した。反応後、室温まで冷やし、テフロンフィルターを用いて、濾過した。得られたろ物をアセトンで洗浄し、真空乾燥することで、シリコン化合物を白色粉体として81.3mg得た。実施例2の白色粉体は、後述する分析結果により、図4に示すような化学構造を有するものと推察された。
【0033】
[実施例3]
図5は、実施例3のシリコン化合物の合成スキームである。まず、コリンメタノール溶液(45%)5mlを0 ℃に冷却し、テトラフルオロホウ酸(50%水溶液)4.2mlを滴下した。室温で2時間撹拌後、溶媒を留去することで、テトラフルオロホウ酸コリンを得た。次に、層状ポリシラン100.0mgを2mlのアセトン中に懸濁させ、前述の手法で得られたテトラフルオロホウ酸コリン(418.3mg)のDMF溶液(2ml)を室温で加え、90 ℃で終夜加熱撹拌した。反応後、室温まで冷やし、テフロンフィルターを用いて、濾過した。得られたろ物をDMF、アセトンで洗浄し、真空乾燥することで、51.8mgの白色粉体として実施例3のシリコン化合物を得た。実施例3の白色粉体は後述する分析結果により、図5に示すような化学構造を有するものと推察された。
【0034】
(2)IR測定
得られたシリコン化合物について、IRスペクトルを測定した。測定装置はニコレー社製Magna760型フーリエ赤外分光計、Nic−Plan型赤外顕微鏡を用いた。図6〜8は、それぞれ実施例1〜3のシリコン化合物のIRスペクトルである。図6〜8では、いずれもSi−OR(Rは置換基を有してもよい炭化水素)の伸縮に由来する1100cm-1のピークが観測された。このことから六員環を形成するケイ素原子は、Si−O結合を有していると推察された。このように、シリコンと酸素が結合しているため、アニオンはR側に結合するものと推察され、Rに窒素を有する実施例1〜3では、アニオンは窒素と結合するものと推察された。なお、Si−H伸縮に由来する2100cm-1のピークは観測されなかったが、実施例1〜3の製法ではSi−Hの結合も残存するものと推察された。また、実施例1,3ではC−C伸縮に由来する1400cm-1のピークや、C−H伸縮に由来する2900cm-1のピークが観測された。また、実施例2では、芳香族のC−H伸縮に由来する3100cm-1のピークが観測された。これらの結果及び元素分析(CHN分析)により、実施例1〜3では、CとHの構造がそれぞれ式(1)〜(3)に示す化合物と同様であることが分かった。
【0035】
(3)XRD測定
得られたシリコン化合物について、XRD測定を行った。測定装置はリガク社製RINT−TTRを用いた。線源にはCuKα線を用いた。図9〜11は、実施例1〜3のシリコン化合物のXRDの測定結果である。図9〜11において、48°付近のピークはケイ素原子で構成された六員環の(110)面に起因するものと推察され、28°付近のピークはケイ素原子で構成された六員環の(100)面に起因するものと推察される。実施例1〜3では、いずれも48°付近にピークが観察され、ケイ素原子で六員環が構成されていると推察された。なお、実施例2では、28°付近のピークが観察されなかったが、これは消滅則などによるものと推察された。また、図9〜11において、いずれも18°付近にピークが観察された。このピークは、修飾基の規則構造の存在を示すものであると推察された。
【0036】
(4)電極の性能評価
得られた実施例1のシリコン化合物を蓄電デバイス(評価セル)の活物質として使用し、その特性を調べた。具体的には、活物質としての上述したシリコン化合物を70重量%と、導電剤としてのカーボンブラック(ライオン製ECP)を25重量%と、テフロンを5重量%と、を混合し、混合物10mgを、18mmφのSUSメッシュへ圧着して実施例1の電極とした。この実施例1の電極を負極とし、人造黒鉛を95重量%と、テフロンを5重量%とを乾式混合して得られた合材20mgを、直径18mmのSUSメッシュに圧着したものを正極として評価セルを作成した。電解液(イオン伝導媒体)としては、ジエチルメチル(2メトキシエチル)アンモニウム・BF4(以下DEMEBF4とも称する)を用い、セパレータとしてのガラスフィルターに含浸させて用いた。蓄電デバイスの性能評価は、下限電位を0V、上限電位を4.5Vとし、0.7mAの定電流測定を室温で5回繰り返すことにより行った。図12は、実施例1のシリコン化合物を負極活物質として用いた評価セルの充放電サイクルの測定結果である。図12に示すように、本発明のシリコン化合物を活物質とする電極は、充放電可能であることが分かった。このように、本発明のシリコン化合物を用いた蓄電デバイスは、リチウムの吸蔵放出により作動するものではないためリチウムの析出による不具合がなく、より容易に安全性を高めることができると推察された。また、本発明のシリコン化合物はアニオンを吸蔵放出可能な負極として用いることができるため、デュアルカーボンセルと比較してエネルギー密度をより高めることができるものと推察された。
【0037】
なお、リチウムイオン二次電池では、負極として、卑な材料である炭素を用いることが多い。これは、エネルギー密度を大きくとるためである。しかし、0℃程度の低温で大電流充放電すると、リチウム化炭素の電位がリチウムの析出電位(0V)に近くなるため、炭素表面にリチウムが析出して、ショートなどの不具合を生じるおそれがある。これに対し、本発明の蓄電デバイスでは、アニオンを吸蔵放出するため、リチウムの析出を伴わず、より安定且つ高エネルギー密度の蓄電デバイスとすることができるものと推察された。
【0038】
また、正極に黒鉛、負極に活性炭を用いたデュアルカーボンセル(キャパシタ)などにおいては、負極側では活性炭にカチオンが吸着する機構であり、単位活物質重量あたりの容量は、大きくても10〜20mAh/g程度と低く、正極に対し極めて多い負極重量を要する(例えば正極の10倍など)。また、充放電により移動するイオンは系内の電解液量に依存することから、高容量化を図るには大量の電解液を要する。これらの理由より、デュアルカーボンセルの体積当たりのエネルギー密度は、キャパシターとほぼ同程度の15Wh/Lに留まる。これに対し、本発明の蓄電デバイスでは、ロッキングチェア型として作動可能な蓄電デバイスであるため、電解液量をより少なくすることができる。更に、本発明の蓄電デバイスは、負極側ではアニオンの吸蔵放出を伴うため、エネルギー密度をより高めることができるものと推察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造を基本骨格とし、アニオンと結合可能な部位を有する修飾基がケイ素原子と結合している、シリコン化合物。
【請求項2】
前記修飾基は、窒素を介してアニオンと結合可能であり、酸素を介してケイ素原子と結合している、請求項1に記載のシリコン化合物。
【請求項3】
前記修飾基と結合可能なアニオンは、BF4-、PF6-、ClO4-、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(TFSI-)、Br-、Cl-、F-のうち1種以上である、請求項1又は2に記載のシリコン化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコン化合物を有する、蓄電デバイス用負極。
【請求項5】
放電時には前記アニオンを吸蔵し、充電時には前記アニオンを放出する、請求項4に記載の蓄電デバイス用負極。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のシリコン化合物を有する蓄電デバイス用負極と、
正極と、
前記負極と前記正極との間に介在し、前記シリコン化合物の修飾基と結合可能なアニオンを伝導可能なイオン伝導媒体と、
を備えた蓄電デバイス。
【請求項7】
前記正極は、放電時には前記アニオンを放出し、充電時には前記アニオンを吸蔵する、請求項6に記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記正極は、前記炭素材料を有しており、該炭素材料は、アニオンの吸蔵放出電位がリチウム基準で3.0V以上5.5V以下である、請求項6又は7に記載の蓄電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22924(P2012−22924A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160545(P2010−160545)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】