説明

シロキサンコポリマーの製造方法

本発明は、シロキサンコポリマーを製造するための方法に関し、この場合、この方法は、第1の工程において、式RO−SiR−R−NHR (I)
のオルガニルオキシシランを、式R(NCO) (II)のイソシアネートと一緒に反応させ、式R(NH−(C=O)−NR−R−SiR−OR (III)の尿素化合物を形成する(基および指数については、請求項1に示す)。場合によっては、第2の工程において、式(III)の尿素化合物を水と反応させ、かつ第3の工程において、式(III)の尿素化合物および/または第2の工程から得られた反応生成物を、式(IV)R(SiR−OH)のシラノール末端化合物と反応させ、コポリマーを形成する(基および指数については、請求項1に示す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン−コポリマーを製造するための方法に関する。
【0002】
コポリマーおよびブロックコポリマーの製造はすでに知られている。アルコキシシランを、シラノール末端シロキサンを用いて、しばしば架橋可能な材料中で使用されるアルコキシシリル末端シロキサンに変換する方法もまた同様に公知であり、この場合、これらは、たとえばUS-A 6,265,598 および EP-A 137 883に記載されている。架橋反応中でのモノアルコキシシリル基が反応性ではないといった事実は、たとえば望ましい過小架橋(untervernetzung)を達成するために利用される。これについては、たとえばEP-A l 006 146に示されている。
【0003】
本発明の対象は、シロキサンコポリマーを製造するための方法に関し、この場合、この方法は、第1工程において、式
O−SiR−R−NHR (I)
のオルガニルオキシシランと式
(NCO) (II)
のイソシアネートとを反応させ、式
(NH−(C=O)−NR−R−SiR−OR (III)
の尿素化合物を形成し、その際、
は同一かまたは異なっていてもよく、かつ一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は多価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は二価の炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
xは1よりも大きい整数、好ましくは2または3、特に好ましくは2を意味し、
場合によっては第2工程において、式(III)の尿素化合物と水とを反応させ、かつ、第3の工程において、式(III)の尿素化合物および/または第2工程で得られた反応生成物を、式
(SiR−OH) (IV)
のシラノール末端化合物と反応させ、コポリマーを形成し、その際、
は同一または異なっていてもよく、かつ、Rに関して示された意味を有し、
は多価のポリエーテル基、ポリエステル基またはポリシロキサン基を意味し、
yは1よりも大きい整数、好ましくは2または3、特に好ましくは2である。
【0004】
の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基およびオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、たとえばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基および4−ペンテニル基、アルキニル基、たとえばエチニル基、プロパルギル基および1−プロピニル基;アリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基、アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアルアルキル基、例えばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0005】
置換された基Rの例はハロゲン化アルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサ−フルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲンアリール基、例えばo−、m−およびp−クロロフェニル基ならびにRに関して上記に挙げられた基、この場合、これらは好ましくはメルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、アリールオキシ基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、ヒドロキシ基およびハロゲン基によって置換されていてもよい。
【0006】
基Rは場合によっては、フッ素または塩素で置換された1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくはメチル基である。
【0007】
基Rの例は、基Rに関して前記に示された例である。
【0008】
好ましくは基Rは、水素原子、または場合によってはアミノ基で置換された炭素原子1〜12個を有する炭素原子、特に好ましくは水素原子または1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、特に水素原子である。
【0009】
基Rの例は、ヘキシレン基、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン基、4,4’−メチレンジフェニレン基、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4,4’−メチレンジシクロヘキシル)エン基、イソシアヌレート−トリス(4,4’−メチレンジシクロヘキシル)エン基、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4、4’−メチレンジフェニル)エン基、イソシアヌレート−トリス(4,4’−メチレンジフェニル)エン基ならびにイソホロニレン基である。
【0010】
好ましくは、基Rは二価または三価の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基であり、この場合、これらは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、特に好ましくは二価のヘキシレン基、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン基、4,4’−メチレンジフェニレン基およびイソホロニレン基、特に4,4’−メチレンジシクロヘキシレン基およびイソホロニレン基である。
【0011】
二価の基Rに関する例はアルキレン基、たとえばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソ−プロピレン基、n−ブチレン基、イソ−ブチレン基、tert.−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソ−ペンチレン基、ネオ−ペンチレン基、tert.−ペンチレン基、ヘキシレン基、たとえばn−ヘキシレン基、ヘプチレン基、たとえばn−ヘプチレン基、オクチレン基、例えばn−オクチレン基およびイソ−オクチレン基、例えば2,2,4−トリメチルペンチレン基、ノニレン基、たとえばn−ノニレン基、デシレン基、例えばn−デシレン基、ドデシレン基、例えばn−ドデシレン基、アルキレン基、例えばビニレン−およびアリレン−基、シクロアルキレン基、例えばシクロペンチレン−、シクロヘキシレン−、シクロヘプチレン基およびメチルシクロヘキシレン基、アリーレン基、例えばフェニレン−およびナフチレン基、アルカリーレン基、例えばo−、m−、p−トリレン基、キシリレン基およびエチルフェニレン基;アルアルキレン基、例えばベンジレン基、α−およびβ−フェニルエチレン基である。
特に好ましい基Rは、1〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基、さらに好ましくはメチレン基およびプロピレン基であり、特にメチレン基である。
【0012】
基Rに関する例は、基Rに関して挙げられた例ならびに基R−C=O−であり、その際、Rは一価の炭化水素基であり、例えば、HCC=O−および基R’R’’C=N−であり、その際、R’は一価の炭化水素基であり、かつR’’は一価の炭化水素基、たとえば(HC−CH)(HC)C=N−である。
【0013】
R、R’およびR’’に関する例は、互いに独立して基R1に関して挙げられた炭化水素基であり、その際、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
【0014】
基Rは場合によっては、アルコキシ基で置換された1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくはメチル基である。
【0015】
基Rに関する例および特に好ましい範囲は、基Rに関して記載された例および好ましい範囲である。
【0016】
多価の基Rに関する例は、二価、三価および四価のポリプロピレングリコール基、ポリエチレングリコール基、ポリシロキサン基、ポリブタジエン基、ポリイソプレン基、ポリ尿素基およびポリウレタン基である。
【0017】
基Rに関して好ましくは、二価のポリエーテル−またはポリシロキサン基、特に好ましくは二価のポリシロキサン基である。
【0018】
本発明により使用された式(I)のシランの例は、
【表1】

【0019】
本発明により使用された式(II)のイソシアネートの例は、ヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4,4’−メチレンジシクロヘキシル)ジイソシアネート、イソシアヌレート−トリス(4,4’−メチレンジシクロヘキシル)トリイソシアネート、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4,4’−メチレンジフェニル)ジイソシアネート、イソシアヌレート−トリス(4,4’−メチレンジフェニル)トリイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートであり、その際、ヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが好ましく、ならびに、ヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0020】
本発明による方法の第1工程において、式(II)のイソシアネートは、式(I)のシランのアミン基に対して、0.9〜1.1モル当量、好ましくは0.98〜1.02モル当量で使用する。
【0021】
本発明による方法の第1工程において、式(II)のイソシアネートと、式(I)のシランは、任意かつ従来の技術および方法で、互いに混合させ、かつ反応させる。望ましい場合には、極性の有機溶剤を使用するが、しかしながら使用しないことが好ましい。
【0022】
場合によっては使用された極性の有機溶剤に関する例は、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメチルスルホキシドである。
【0023】
本発明による反応は、第1工程において、好ましくは0〜80℃、特に好ましくは40〜70℃で、かつ周囲雰囲気、すなわち900〜1100hPaの圧力で実施する。
【0024】
本発明による方法の第1の工程は、好ましくは、湿分の排除下で実施する。
【0025】
場合によっては実施される本発明による方法の第2工程は、第1工程で得られた式(III)の尿素化合物と水とを、好ましくは水素化可能な基の量に対して化学量論比で、あるいは、過剰量で、化合物ROH(式中、Rは、前記意味を有する)を放出しながら反応させる。望ましい場合には、生じる化合物ROHを、蒸留によって好ましくは真空下で、反応混合物から除去することができる。
【0026】
本発明による方法の第2工程において、第1工程で得られた反応混合物を水と、任意かつ従来の技術および方法で混合し、かつ反応させる。したがって、第1工程で場合によって使用された溶剤を、予め除去する必要はない。
【0027】
本発明による第2工程の加水分解は、当業者に公知の酸性または塩基性の触媒、例えば蟻酸または水酸化アンモニウムを用いて実施することができる。好ましくは、本発明による加水分解の場合には、触媒を使用しない。
【0028】
本発明による加水分解は、第2工程において、好ましくは0〜80℃、特に好ましくは40〜70℃で、かつ周囲雰囲気、すなわち、900〜1100hPaの圧力で実施する。
【0029】
式(IV)の化合物に関する例は、
【表2】

【表3】

【表4】

その際、nおよびoはそれぞれ、少なくとも1の整数を示し、この場合、これらは、前記数平均分子量ないしは粘度が達成できる程度に選択される。
【0030】
本発明による方法の第3工程は、式(III)の尿素化合物(第2工程を実施しない場合(変法I))または水とのその反応生成物(第2工程を実施する場合(変法2))を、式(IV)の化合物と反応させる。
【0031】
本発明による方法の第3工程において、第1工程で得られた反応混合物または第2工程で得られた反応混合物を、式(IV)の化合物と、任意および従来の方法で互いに混合し、かつ反応させる。
【0032】
本発明による反応を、第3工程で、好ましくは20〜200℃、特に好ましくは80〜150℃の温度で、かつ好ましくは1〜800hPa、特に好ましくは5〜200hPaの圧力で実施する。反応は、当業者に公知の酸性または塩基性の触媒を用いて、たとえば蟻酸、ホスホニトリルクロリドまたは水酸化アンモニウムを用いて実施することができる。
【0033】
本発明によって製造されたシロキサンコポリマーは、任意の従来の方法で、場合によってはなおも存在する出発材料または場合によっては使用される溶剤または触媒から、たとえば蒸留または抽出によって除去することができる。
【0034】
本発明による方法において使用される成分は、市販の製品であるか、あるいは、化学的に適した方法によって製造することができる。
【0035】
本発明による方法において使用された成分は、それぞれこのような成分の1種のみならず、少なくとも2種のこのような成分からなる混合物であってもよい。
【0036】
本発明による方法を連続的または非連続的に実施することができ、その際、連続的方法が好ましい。
【0037】
本発明による方法の変法1は、第1工程において式(I)のオルガニルオキシシランと、式(II)のイソシアネートとを反応させ、式(III)の尿素化合物を形成し、かつ、他の工程において、式(III)の尿素化合物と、式(IV)のシラノール末端化合物とを、場合によっては触媒の存在下で反応させ、コポリマーを形成することを特徴とする。
【0038】
本発明による方法の変法2は、第1工程において、式(I)のオルガニルオキシシランと、式(II)のイソシアネートとを反応させ、式(III)の尿素化合物を形成し、第2工程において、式(III)の尿素化合物を水と反応させ、かつ、第3工程において、第2工程から得られた式(III)の尿素化合物の反応生成物を、場合によっては触媒の存在下で、式(IV)のシラノール末端化合物と反応させ、コポリマーを形成する。
【0039】
本発明による方法の変法1の他の工程において、第1工程で得られた式(III)の尿素化合物を、式(IV)の化合物と一緒に、20〜200℃、特に好ましくは80〜150℃の温度で、かつ1〜800hPa、特に好ましくは5〜200hPaで、特に好ましくは(III)中の加水分解可能な基および(IV)中のシラノール基のほぼ化学量論比で、ROH(Rは前記意味を有する)を分離しながら反応させる。したがって、第1工程で場合によって使用される溶剤は、予め除去する必要はない。
【0040】
本発明による変法1の他の工程は、当業者に公知の酸性または塩基性の触媒、たとえば蟻酸または水酸化アンモニウムを用いて実施することができるが、しかしながら使用しないことが好ましい。
【0041】
本発明による方法の変法1の場合には、好ましくは、(SiR−R−NR−(C=O)−NH−R−NH−(C=O)−NR−R−SiR−O−SiR−R−SiR−O)、特に好ましくは(Si(CH−(CH−NH−(C=O)−NH−R−NH−(C=O)−NH−(CH−(Si(CH−O)30−50の型のコポリマーが得られ、その際、R〜Rは前記意味を有し、かつ、nは少なくとも1の整数、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは少なくとも50の整数である。
【0042】
好ましくは、本発明によれば、変法1によって製造されたコポリマーは、150℃で50〜5000Pasの粘度を有する。
【0043】
本発明による変法2の第3工程において、第2工程で得られた式(III)の尿素化合物の反応生成物を、式(IV)の化合物と、好ましくは20〜200℃、特に好ましくは80〜150℃の温度で、かつ好ましくは1〜800hPa、特に好ましくは5〜200hPaの圧力で、水を分離しながら反応させる。第1工程中で場合によっては使用される溶剤または第2工程の加水分解からの水の過剰量を、予め除去する必要はない。反応は、当業者に公知の酸性または塩基性の触媒を用いて、たとえば蟻酸、ホスホニトリルクロリドまたは水酸化アンモニウムを用いて実施することができる。反応体の化学量論比は、自由に選択することができるが、好ましくは約1である。
【0044】
本発明による変法2は、好ましくは(SiR−R−NR−(C=O)−NH−R−NH−(C=O)−NR−R−SiRO)(SiR−R−SiR−O)、特に好ましくは(Si(CH−(CH−NH−(C=O)−NH−R−NH−(C=O)−NH−(CH−(Si(CH−O)((Si(CH−O)30−50の型のコポリマーが得られ、その際、ポリマーブロックは平衡に分布することができ、その際、R〜Rは前記意味の一つを有するものであってもよく、かつ、mおよびnはそれぞれ互いに独立して、少なくとも1の整数、好ましくは少なくとも20の整数、特に好ましくは少なくとも50の整数である。
【0045】
好ましくは、方法の変法2による本発明によって製造されたコポリマーは、150℃で50〜5000Pasの粘度を有する。
【0046】
本発明によるコポリマーは、従来のシロキサン−尿素−コポリマーについて使用することができるすべての目的に使用することができる。プラスチック加工の際(たとえば、押出、射出、紡糸)の際の添加剤として、他のプラスチック中の機能性添加剤として、押出、同時押出および射出によって、形材、シートおよび部品に加工することができる熱可塑性材料として、溶液または分散液の形で、すべての種類、たとえばプラスチック、金属または木材または繊維の表面の被覆に適している。
【0047】
本発明による方法は、その実施が簡単であり、かつ多くの可能なブロックコポリマーをより高い多様性で製造することができるという利点を有する。
【0048】
さらに、本発明による方法は、コポリマーの性質、たとえばレオロジー、熱可塑性および弾性を簡単に調整することが可能であるといった利点を有する。
【0049】
さらに本発明による変法1は、コポリマーが良好に定義されたように製造可能であるといった利点を有する。
【0050】
本発明による変法2は、コポリマーブロックの化学等量を自由に選択することによって、その性質を適切に調整することができるといった利点を有する。
【0051】
以下に記載する実施例では、部及びパーセンテージで示される全ての表示は、他に記載がない限り、質量に対するものである。他に記載がない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力で、すなわち約1000hPaで、かつ室温で、すなわち約20℃で、あるいは、反応体を室温で付加的加熱又は冷却をせずに合わせる場合に生じる温度で実施される。例中でしめされた粘度の記載については、すべてが、25℃の温度で示されたものである。
【0052】
引張り強さ、破断点伸びおよび100%伸びの際の引張り応力(モジュラス)については、DIN 53504 ( Mai 1994、発行)で、フォルムS2の試験体で測定された。
【0053】
実施例
例1
式(C11)NH−CH−Si(CH−OCHのシランの40.2質量部は、0℃で、テトラヒドロフラン(THF)20質量部中で、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート26.2質量部と反応させた。30分後に、IR−分光分析装置を用いて、イソシアネートをもはや検出することはできなかった。THFは、真空中で除去され、かつ無色の固体材料が得られた。このようにして得られた固体材料22.1質量部を、平均分子量(数平均)3000を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン200質量部と一緒に、IKA実験室用ニーダー中で、200mbarおよび150℃で、1時間に亘って混練し、その際、生じたメタノールと分離した。無色の熱可塑性材料が得られた。これらは、170℃で、プレス中で2mmの厚さの板にプレスし、かつ、これを用いて機械的性質を測定した。引張り強さ:2.2MPa、破断点伸び:150%、100%伸びでの引張り応力:2.5MPa。
【0054】
例2
式(C11)NH−CH−Si(CH−OCHのシラン40.2質量部は、0℃で、テトラヒドロフラン(THF)20質量部中で、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイシシアネート26.2質量部と反応させた。30分後に、IR−分光分析装置を用いて、イソシアネートを検出することはもはやできなかった。THFは、真空中で除去され、かつ無色の固体材料が得られた。このようにして得られた固体材料22.1質量部を、平均分子量(数平均)3000を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン200質量部および蟻酸水(98%濃度の蟻酸0.01質量部)1.2質量部と一緒に、IKA実験室用ニーダー中で、200mbarおよび150℃で、1時間に亘って混練し、その際、生じたメタノールと分離した。無色の熱可塑性材料が得られた。これらは、170℃で、プレス中で2mmの厚さの板にプレスし、かつ、これを用いて機械的性質を測定した。引張り強さ:2.8MPa、破断点伸び:210%、100%の伸びでの引張り応力:3.2MPa。
【0055】
例3
式(C11)NH−CH−Si(CH−OCHのシラン4020g/hを80℃で、並行するW&P−二軸スクリュー押出機(25mmスクリュー直径、L/D=40)の第一帯域(L/D=4長さ)中に計量供給した。ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート2620g/hを、140℃で、第2帯域中に計量供給した。平均分子量(数平均)3000を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン6000g/hを、第3帯域中に計量供給した(160℃)。残りの帯域を180℃に維持され、最後から2番目の帯域を、100mバールで真空にした。無色の、熱可塑性押出物が得られ、この場合、これを水浴中で冷却し、その後に造粒した。この顆粒を170℃でプレス中で2mmの厚さの板にプレスし、かつ、これを用いて機械的性質を測定した。引張り強さ:3.6MPa、破断点伸び:260%、100%の伸びでの引張り応力:3.4MPa。
【0056】
例4
式(C11)NH−CH−Si(CH−OCHのシラン40.2質量部は、0℃で、20質量部のテトラヒドロフラン(THF)中で、26.2質量部のジシクロヘキシルメタン−4,4’’−ジイシシアネートと反応させた。30分後に、IR−分光分析装置を用いて、イソシアネートを検出することはもはやできなかった。THFを真空中で除去し、かつ、無色の固体材料が得られた。このようにして得られた固体材料22.1質量部を、1.2質量部の蟻酸水(98質量%の蟻酸0.01質量部)と一緒に、IKA−実験室用ニーダー中で、1013mバールおよび80℃で30分に亘って混練した。このようにして得られた反応混合物を、平均分子量(数平均)3000を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン200質量部と、200mバールおよび150℃で、1時間に亘って混練し、これによって生じたメタノールと分離した。無色の熱可塑性材料が得られた。これらは、170℃で、プレス中で2mmの厚さの板にプレスし、かつこれを用いて機械的性質を測定した。引張り強さ:2.7MPa、破断点伸び:200%、100%の伸びでの引張り応力:3.2MPa

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサン−コポリマーの製造方法において、
第1工程において、式
O−SiR−R−NHR (I)
のオルガニルオキシシランを、式
(NCO) (II)
のイソシアネートと反応させ、式
(NH−(C=O)−NR−R−SiR−OR (III)
の尿素化合物を形成し、その際、
は同一または異なっていてもよく、かつ一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これはヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は水素または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は多価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は二価の炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、この場合、これは、ヘテロ原子によって中断されていてもよく、
xは1より大きい整数を意味し、
場合により第2工程において、式(III)の尿素化合物を水と反応させ、かつ、
第3工程において、式(III)の尿素化合物および/または第2工程で得られた反応生成物を、式
(SiR−OH) (IV)
のシラノール末端化合物と反応させ、コポリマーを形成し、その際、
は同一または異なっていてもよく、かつRに関して示された意味を有し、
は多価のポリエーテル基、ポリエステル基またはポリシロキサン基を意味し、かつ、yは1より大きい整数であることを特徴とする、シロキサン−コポリマーの製造方法。
【請求項2】
第1の工程において、式(II)のイソシアネートを、式(I)のシランのアミン基に対して0.9〜1.1モル当量のイソシアネート基の量で使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1工程での反応を、0〜80℃の温度で、かつ周囲雰囲気、すなわち900〜1100hPaの圧力で実施する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
場合によっては実施される第2工程において、第1工程で得られた式(III)の尿素化合物を水と一緒に、加水分解可能な基の量に対して化学量論比で、あるいは、過剰量で、化合物ROHを放出しながら反応させ、その際、Rは前記意味を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2工程において、加水分解を0〜80℃の温度で、かつ周囲雰囲気、すなわち900〜1100hPaの圧力で実施する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応を第3工程中で、20〜200℃の温度で、かつ1〜800hPaの圧力で実施する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
方法の変法1にしたがって、第1工程において、式(I)のオルガニルオキシシランと、式(II)のイソシアネートとを反応させて、式(III)の尿素化合物を形成し、かつ他の工程において、式(III)の尿素化合物を、式(IV)のシラノール末端化合物と場合によっては触媒の存在下で反応させ、コポリマーを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
方法の変法2にしたがって、第1工程において式(I)のオルガニルオキシシランと、式(II)のイソシアネートとを反応させ、式(III)の尿素化合物を形成し、かつ、第2工程において、式(III)の尿素化合物と水とを反応させ、かつ、第3工程において、第2工程から得られた式(III)の尿素化合物の反応生成物を、場合によっては触媒の存在下で、式(IV)のシラノール末端化合物と反応させ、コポリマーを形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2007−534811(P2007−534811A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509937(P2007−509937)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004300
【国際公開番号】WO2005/105895
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】